JP2001502205A - 血管移植片 - Google Patents

血管移植片

Info

Publication number
JP2001502205A
JP2001502205A JP10517763A JP51776398A JP2001502205A JP 2001502205 A JP2001502205 A JP 2001502205A JP 10517763 A JP10517763 A JP 10517763A JP 51776398 A JP51776398 A JP 51776398A JP 2001502205 A JP2001502205 A JP 2001502205A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
blood
flow
vessel
vessels
pressure
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10517763A
Other languages
English (en)
Inventor
マーク エル. ジェンソン
ウイリアム ジェイ. ドラスラー
Original Assignee
ポシス メディカル インコーポレイテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ポシス メディカル インコーポレイテッド filed Critical ポシス メディカル インコーポレイテッド
Publication of JP2001502205A publication Critical patent/JP2001502205A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61FFILTERS IMPLANTABLE INTO BLOOD VESSELS; PROSTHESES; DEVICES PROVIDING PATENCY TO, OR PREVENTING COLLAPSING OF, TUBULAR STRUCTURES OF THE BODY, e.g. STENTS; ORTHOPAEDIC, NURSING OR CONTRACEPTIVE DEVICES; FOMENTATION; TREATMENT OR PROTECTION OF EYES OR EARS; BANDAGES, DRESSINGS OR ABSORBENT PADS; FIRST-AID KITS
    • A61F2/00Filters implantable into blood vessels; Prostheses, i.e. artificial substitutes or replacements for parts of the body; Appliances for connecting them with the body; Devices providing patency to, or preventing collapsing of, tubular structures of the body, e.g. stents
    • A61F2/02Prostheses implantable into the body
    • A61F2/04Hollow or tubular parts of organs, e.g. bladders, tracheae, bronchi or bile ducts
    • A61F2/06Blood vessels

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Pulmonology (AREA)
  • Cardiology (AREA)
  • Oral & Maxillofacial Surgery (AREA)
  • Transplantation (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Heart & Thoracic Surgery (AREA)
  • Vascular Medicine (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Prostheses (AREA)

Abstract

(57)【要約】 移植片(36)は、一つ以上の冠状動脈枝に血液を供給するために使用される。また、移植片(36)は、他の所望の血管に血液を供給する周辺の再新生人工血管(peripheralre-vascularization prothesis)としても使用される。移植片(36)は、移植片(36)の入口端(41)に取り付けられた高圧の血液供給部から移植片(36)の出口端(42)に取り付けられた血液受入部に血液を運搬する連続した通路(40)となっている長尺な管状の主幹(37)を有する。主幹(37)の長さに沿った一つ以上の開口部により血液が冠状動脈、または、他の血液を必要とする血管に流入することが可能となる。また、移植片(36)を、管状の移植片の主幹(37)の長さに沿った開口部を備えることなく構成するようにしてもよい。通路内の血液の流れおよび圧力は、管状の主幹(37)の入口端(41)から離間した位置にある絞り通路(48)となっている絞り(44)により制御される。移植片(36)の性能を向上させるためにタンパク質等の生体物質、または、内皮細胞等の組織が移植片(36)に施される。一つの実施の形態において、絞り(44)は、血液供給部への接台部を開口した絞りのない形状に保持するのに役立つスリーブ(17)により補強される。

Description

【発明の詳細な説明】 血管移植片 同時継続出願の記載 本特許出願は、同一の発明者による「血管移植片」と題する1995年3月2 7日出願の同時継続出願第8/410,865号の一部継続出願である。 発明の背景 1.発明の属する技術分野 本発明は血管移植片、より詳細には、身体全体に渡って特に動脈血を器官や組 織に供給する自然の血管に代用され、または、該血管を増大させるべく身体内で 用いられる移植片に関する。さらに詳細には、この移植片は血液を組織へ供給す るために用いられる血管移植片である。 2.従来技術の記載 人間の血管は、先天性欠陥、疾患、または損傷により、血液の適正な輸送路と しての機能を失うことがある。このような疾患や外傷が生じた自然の脈管の代用 物として、自原的(autogenous)血管を人体のその元々の部位から移し換え、新し い部位へ移植することが行われる。合成または非自原的組織起源の血管移植片も 、疾患または外傷が生じた自然の脈管系に代用させて人体内に移植することがで きる。 感染、動脈瘤、血栓症、過形成組織反応、および吻合箇所の狭窄は、自原的な ものであろうと非自原的なものであろうと、全て、いずれの公知の血管移植片に も生ずる問題である。一般に、血液の流速および流量率が低いということが開存 性を減少させる主要な因子であると考えられている。逆に、流量率および流速が 高いということは開存性の寿命を増す主要な因子であるといえる。 冠状動脈の再血管形成に関して、自原的伏在静脈および内胸動脈が血液輸送路 として成功裏に用いられている。大動脈−冠状動脈バイパスのための適切な補綴 移植片の研究が続けられているが、自原的脈管よりも良好に利用できるものは見 つかっていない。外科医は、大動脈−冠状動脈バイパスに合成移植片を用いるこ とについては、長期間の開存性が実証された例が少ないために消極的である。 伏在静脈は大動脈−冠状動脈バイパス処理に用いられているが、次のような幾 つかの欠点がある。(1)入手の困難さ、(2)小寸法、(3)不均一な内径、 (4)静脈瘤、(5)大直径、(6)硬化症、(7)内膜過形成による閉塞、( 8)動脈瘤形成、(9)採取をするために必要とされるかなりの時間、(10) 下腿不快および腫張、および(11)下腿感染の危険性。 大動脈−冠状動脈バイパスを必要とするかなりの数の患者が適切な静脈を持っ ていないか、或いは、適切な静脈が既に大動脈−冠状動脈バイパスまたは周辺血 管バイパス処置のために使用されている。場合によっては、移植片の必要性が手 術前に予想されておらず、また静脈を採取できるように下腿が準備されていない ことがある。伏在静脈を利用できないときには、腕からの橈側皮静脈が用いられ てきた。しかし、この橈側皮静脈は一般に壁厚が薄く、また多くの場合、内径が 小さすぎる。更に、橈側皮静脈を採取することは美容上にも影響するので、患者 にとって受け入れ難いものである。 内胸動脈は、優れた開存比を有するので、心筋の再血管形成に適するものとし て広く受け入れられているが、これは通常、左前下行冠状動脈および冠状動脈対 角枝に対してのみ有用である。内胸および橈側皮動脈の遊離移植片は、長期間の 開存性に乏しいため、期待外れであった。 自原的動脈の移植片内の血流の流速の重要性が強調されてきている。静脈から なる移植片内の血液の流速と観察された脈管内膜の増殖の量との間に反比例的関 係があることが認められた。解剖の所見によれば、大動脈−冠状動脈の伏在静脈 移植片は、最も一般的には、繊維性内膜が増殖することによって、手術から1ヵ 月を超えた期間が経過すると閉塞するという。このような障害の原因は明確には 解明されていないが、種々の研究において、おそらく移植片を通る血液の流速の 低さに関係しているであろうということが示唆されている。このことは、大動脈 −冠状動脈バイパス移植片内の流速を高くするための努力がなされるべきである ことを示唆するものである。 高い流速で輸送路を通る血流により、その輸送路の壁に非常に大きい剪断応力 が生じる可能性がある。壁が粗く、その表面に血小板が付着されれば、血小板は 高い剪断応力に連続的に曝されることにより活性化されていく。血小板の活性化 によって血栓が形成されることにより、今度はその輸送路が狭められたり、閉塞 されたりする結果が引き起こされる。これを防ぐためには、剪断応力が血小板の 活性化を引き起こす可能性のある部位が滑らかな血液接触表面を有するように、 輸送路を作らねばならない。血小板の堆積物が、滑らかな表面上では蓄積されず に、輸送路を著しく狭めるか、または閉塞を引き起こしうる大きさに達する前に 、表面から分離されるようにする。血小板または血栓の堆積物が壁に接着し蓄積 し始めると、流れにより生じる剪断応力は接着力に打ち勝ち、その堆積物を壁か ら解離させ、流れの通路を遮断することができる大きさになるまでは蓄積できな いようにする。 本発明の絞り通路に見られる剪断応力の高い領域では、この堆積物の蓄積を防 ぐことが特に重要である。 合成血管移植片は、一般的に多孔性の構造を有するために、何らかの組織が移 植片の外側から内側の血流表面に侵入することとなる。典型的には膨張ポリテト ラフルオロエチレン製である移植片は、結節間距離が約30ミクロンと記載され る多孔度を有する。他の多孔性の移植片としては、特定の圧力の推進力に曝され た水のような流体に対する単位面積当たりの移植片の透過性によって定義される 繊維の隙間(fiber spacing)または孔寸法をもつ繊維状構造であってもよい。 比較的小さい多孔度を有する移植片においては、多孔度のより大きい、より開 放的な構造を有する移植片と同じような、壁を通した組織侵入は起こらない。移 植片の壁を通った著しい組織侵入が不可能な移植片では、一般に、移植片の流れ の表面上に完全な細胞層または新生内膜が形成されない。このような新生の内膜 形成は、血液と接する細胞が特に内皮細胞である場合には非常に望ましい。内皮 細胞は血小板の接着や血小板の活性化を減少させるのに役立ついくつかの物質を 分泌し、移植片に容易に閉塞を引き起こす可能性のある血栓性事象の発生率およ びその大きさを減少させる。 移植片の多孔度を上げると、組織の侵入をより容易かつ迅速に起こすことがで き、内表面から内皮細胞へのアクセスが可能となる。移植片の壁を通して侵入す ることができる付加的な細胞の種類には、平滑筋細胞、線維芽細胞、および種々 のタイプの白血球が含まれる。 組織が、走化性物質、異物、電気的、機械的、および他の生理学的な信号に反 応し、移植片の壁を通して侵入すると、移植片の内側の血流表面に組織の肥厚が 発生し、移植片を狭窄および閉塞に導く可能性がある。この過度の組織の蓄積の 厚さは、流量率と、移植片の内側の血流表面に存在する対応する剪断速度ならび に剪断応力とにより調節される。通常の動脈輸送路では、典型的な剪断応力は1 0〜100ダイン/cm2の範囲で変動することが可能であり、中央値(median v alue)は約20ダイン/cm2である。低い剪断応力の条件においては、高い剪断 応力下におけるよりも組織が内側の流れの表面上に肥厚を生じる能力ははるかに 大きい。高い剪断応力下では、組織が過度に肥厚することはないが、その代わり に薄い細胞の新生内膜を形成し、血小板の堆積および血栓症に抵抗することとな る。 本発明は、内側の血流表面上に高い壁剪断応力を提供する。さらに、移植片は 、壁を通った組織の侵入を容易にする物質で構成することができ、その結果とし て、内側の表面に過度に厚い組織の蓄積が生じない。内皮細胞または新生内膜が 内面の流れの表面に形成されることが可能となり、移植片に抗血栓性の特性が与 られる。 当該表面に内皮細胞を、移植片を取り巻く組織由来の自然の細胞の通過増殖(t hrough-growth)よりも速く運ぶ方法は、移植片の移植に先立って内皮細胞を移植 片の内側表面上に置くことであろう。このような方法は、しばしば内皮細胞のシ ーディング(播種)またはソディング(芝付)と呼ばれる。表面化学または形態 学を改良して自然の内皮形成の過程を促進するため、あるいはシーディングまた はソディング技術を高めるために他のアプローチが行われている。これらのアプ ローチは、IV/V型コラーゲンのような特定の生体または合成物質の付着(dep osition)と、治癒および内皮形成を促進するための移植片の基質としての細胞外 マトリックスタンパク質の使用、および種々の薬物による生物学的反応の調節を 含む。これらの内皮細胞のシーディングまたはソディング技術は、多孔質の血管 移植片とともに用いられてきたが、その成功する場面は極めて限られていた。 補綴静脈移植片は、今日、直径が大きく流速が高い条件下ではいくつかの成功を おさめている。しかしながら、内皮細胞のシーディングまたはソディング技術は 一般的に、低い血液の流量率とその結果として生じる低い剪断応力とに曝された 合成移植片の抗血栓能を高めるために用いられている。これらの条件下では一般 的には、移植片の多孔度に依存し、2つの結果のうちのいずれかが起こることと なる。低い多孔度の移植片では、内皮細胞は一般的に移植片の表面上に定着せず 、すぐに表面から脱落するかまたは洗い流される。組織の通過増殖が可能な高い 多孔度の移植片では、新生内膜は過度に肥厚し、移植片に狭窄を生じる結果とな る。 従って、内皮のシーディングまたはソディングによる改良では、一般的に大動 脈−冠動脈バイパスのような流量の低い条件下においては、補綴血管移植片の性 能が十分に高まることがなく、満足される性能を得ることができない。しかしな がら、本発明は調整された動静脈吻合を用いることにより、このような典型的な 低流量の状況を高流量の状況に変え、内皮のシーディングまたはソディングを改 良することにより、この補綴血管移植片の性能を改善することができる。 本発明の移植片の一部として、移植片の多孔度が十分に高く容易に侵入するこ とが可能な内皮細胞のシーディングまたはソディングを用いることにより、他の 合成移植片に優位するいくつかの利点が得られる。シーディングまたはソディン グは、内皮およびそれが分泌した化学物質の存在により、急性の抗血栓活性を与 える。移植片の多孔質性により、組織が内表面に侵入し、該内表面は次いで移植 片によって与えられる高い剪断応力により薄いレベルに維持される。その結果、 長期的な抗血栓活性が、移植片壁に侵入した組織から得られた内皮を介して移植 片に与えられる。この内皮からは、活性のある抗血栓剤の分泌により、またソデ ィングの工程に用いた組織による移植片の孔の物理的な封鎖により、短期的な、 または即効性のある利点をも得ることができる。 内皮細胞のソディングは、典型的には次のようなステップを含む。典型的には 患者から、脂肪組織、網、または腹腔内組織から微小血管に富んだ組織を取得す るステップ、組織から内皮細胞を分離し、内皮細胞を濃縮および精製するステッ プ、および、内皮細胞を移植片の表面に施すステップを含む。内皮細胞のシーデ ィングは、典型的には次のようなステップを含む。典型的には患者であるドナー から、内皮細胞を採取するステップ、内皮細胞を血液と混合するステップ、血液 と内皮細胞との混合物を移植片に施すステップであり、典型的には物質を強制的 に移植片の孔へ押し込むステップ、さらに、血液を凝固させることにより、移植 片を凝血内で内皮細胞を用いて「プレクロッティング(pre-clotting:前凝血) 」するステップを含む。 合成血管移植片が、リービッグ(Liebig)によって米国特許第3,096,56 0号、第3,805,301号、および第3,945,052号に開示されてい る。これらの移植片は、ポリエステル繊維のような織糸から作られた長尺なニッ ト編組チューブである。例えば、ゴア(Gore)による米国特許第3,953,56 6号および第4,187,390号に従って作られたePTFE(expanded poly tetrafluoroethylene:延伸ポリ四フッ化エチレン)チューブのような、他の構造 の合成チューブも血管移植片として用いることができる。ヒトおよび他の動物の 動脈、静脈、または他の組織のような生体起源のチューブが、血管移植片として 用いられてきた。例えば、ダーディック(Dardik)は米国特許第3,894,53 0号において、血管移植片に臍帯を使用することを開示している。ホルマン等(H olman et al.)は米国特許第4,240,794号において、血管代用物として 使用するためのヒトおよび他の動物の臍帯を調製する方法を開示している。これ らの合成および生体チューブは、伏在静脈移植片に代わるものとして用いられて きた。チューブの端は、動脈の疾患または傷害範囲をバイパスするべく動脈の端 に吻合され、これらのチューブは動脈の疾患部分に代用される。同様の移植片は また、動脈と静脈のような身体の血管を接続するため、または静脈の疾患または 損傷領域をバイパスするために用いられている。標準的な血管移植片の、内皮細 胞のシーディングまたはソディングの方法および装置は、ウイリアム等(William s et al.)により米国特許第4,820,626号、および第5,131,90 7号に、またアルチャス等(Alchas et al.)により米国特許第5,035,70 8号、および第5,372,945号に開示されている。 本発明は、ポシス(Possis)により流れの絞りを有する血管移植片に関して記載 している米国特許第4,601,718号、第4,546,499号、および第 4,562,597号に開示されている先行する血管移植片および血液供給法に 関する。本発明は、先行する特許には開示されていないが実用的な価値があり、 さらに実用化の範囲を広げることの可能な種々の主要な技術および改善点を開示 する。 発明の概要 本発明の一般的な目的は血管移植片に関するものである。血管再構成について の外科的処置の目標は、動脈硬化症、外傷、および他の疾患のような先天性欠陥 または後天性傷害により血管の完全性が損なわれてしまっている器官および組織 に血液を有効に供給することにある。本発明は、全身に渡って器官および組織に 血液を供給するための移植片およびそれを用いる方法に係わる。移植片はまた、 器官または組織からの有効な流出を提供し、または二つの血管を結合する経路ま たは身体の経路として機能する静脈再構成物としても用いることができる。 移植片は、付加的な血流を必要とする血管(血液を必要とする血管)に血液を 供給することができる。より一般的には、実際に付加的な血流を必要とするのは 「血液を必要とする血管」により灌流される組織および器官である。あるいはま た、付加的な血流は、血流量の増加による血管の開存性の寿命を延ばすため、血 管へのアクセスに適した手段を作り出して血液を得るため、血液透析を行うため 、または血管系への化学物質の点滴または投薬を行う等の他の目的のためにも役 立つものである。さらに、絞り通路は、過剰の圧力を解放するため、ブラロック ・タウジヒシャント吻合術(Blalock-Taussig shunt)におけるような酸化された 血液、および酸化されていない血液を再配分するため、または患者を処置するた め等、身体における血圧あるいは流量率の再配分に用いることができる。 移植片は、より圧力の高い血液供給部から、一つ以上の血液を受入部に血液を 輸送するための長尺な手段を含む。この長尺な手段は、血液を輸送するための第 1の通路をなす主幹を有する。この主幹は、血液を必要とする血管に血液を供給 するための、主幹内における一つ以上の開口部を介して、一つ以上の血液を必要 とする血管に接続されてもよい。この主幹は、圧力下に一つ以上の血液供給器官 に接続されるように適合した入口端手段を有することにより血液が第1の通路に 流入する。この第1の通路における血流量および血圧は、入口端手段から離間し た主幹の下流部分に接続された第2の絞り通路を有する絞り手段により制御され ている。出口端手段は、この絞り手段を血液の受入器官に接続する。この出口端 手段は、当該絞り手段から当該血液の受入部に血液を運ぶ第3の長尺な通路を含 んだ絞り手段より下流のセグメント(下流セグメント)を含むか、あるいはこの 出口端手段が、当該絞り手段を血液の受入部に接続するための手段を有すること により、第2の通路から血液の受入部への血流を容易にするように連通される。 第3の通路には、室(chamber)が設けられて血流の速度および速度勾配が、受入 血管に入る前に減少される。第1および第2の(および、存在する場合には第3 の)通路は、共同して連続した通路を形成する。血液を供給部と受入部との間の 圧力差によって、第1および第2の通路を介して所望の圧力および速度で連続的 かつ適度な血流が保たれ、また主幹に取り付けられた血液を必要とする血管に対 しても連続的に血液が供給される。器官または組織から有効な流出を供給するた めに用いられる場合は、静脈またはリンパ管のような一つ以上の排水用脈管が、 第3の通路における一以上の開口部を介して、第3の通路に接続される。これら の排水用脈管からの流れは、次いで第3の通路へ流入するが、それは第3の通路 が絞りの下流にあって、圧力が低いからである。 当該移植片は、典型的にはヒトの心臓において、一つ以上の冠状動脈の分岐に 血液を供給するために用いられる。心臓は、大静脈および肺静脈からの血液を受 け入れるための二つの心房を有しており、また心臓からの圧力下に血液を運ぶた めの大動脈に接続されている。移植片は典型的には長尺な管状手段を含み、大動 脈または他の圧力の高い血管(供給血管)から上大静脈または心房または他の圧 力の低い血管(受入血管)に血液を運ぶための連続した長手方向の通路を有する 。この管状手段は、縫合または他の方法で大動脈に接着され吻合を形成している 入口端を有しており、血液は、圧力下に大動脈から第1の通路へ流入し、出口端 を通って上大静脈または大動脈よりも平均圧力の低い他の血管へ排出される。こ の管状手段の出口端は、上大静脈と連通している開口部周辺の組織に縫合される か、または他の方法で接着されている。 連続した通路における血液の流量率、流れの速度、および圧力は、絞りにより 調整される。絞りを付けられた第2の通路は、典型的には断面積が減少しており 、 第1通路よりも小さな直径を有している。この直径は、典型的には管状手段の主 幹または第1の通路の直径の二分の一よりも小さい。絞り通路はまた典型的には 、管状手段の出口端における第3の通路よりも小さい。しかしながら、この絞り 通路は、絞りを付けられていない領域を有することなく、出口端に配置されてお り、受入血管との接合を容易にするために、ソーイングリングまたはフランジの ような取付け手段を用いてもよい。この流れの絞りは、円形状の断面を有する直 径がより小さな通路であることが可能であるが、流れを制限し、かつ絞りの上流 端と下流端との間の圧力の差を維持するものであるならば他のいかなる特徴を有 するものであってもよい。例えば、この絞りは、小さい有効直径を有する非円形 状の通路、開口部(orifice)またはノズル、または流れの絞りの効果を共に生み 出す複数の通路のような絞り領域の組み合わせであってもよい。この絞りは、例 えば連続した通路において所望の特定の流量率を得るため、または連続した通路 において特定の圧力を得るべく調整することが可能であり、もしくは、例えばこ の絞りを連続した通路に沿った所望の位置に配置されるように位置決め可能であ る。絞りを付けられた第2の通路の長さが長いほど、絞りを付けられた第2の通 路の所定の直径に対する絞り効果が大きい。絞りを付けられた部分は、典型的に は、表面において連続した通路の他の部分よりも、より高い流体剪断応力を有す る。供給する血管と受け入れる血管との間の圧力差により、血栓を抑制する量お よび速度で血液が連続して流れて管状手段に接続された動脈に対して所望の圧力 で血液が連続的に供給される。 特定の寸法の移植片が特定の用途に適応するように選択される。例えば、内径 が約4mm〜約7mmの範囲にあり、必要なだけの種々の血管に到達するのに十 分な長さを有する移植片の主幹と、内径が約1mm〜約3mmの範囲にある絞り とを、大動脈−冠状動脈バイパスの用途に効果的に用いることができる。 本発明は、移植片の性能を向上させるため、絞り通路と共に生体物質を使用す ることを含む。種々の生体物質は、血液に接する内側の表面、外側の表面、移植 片の壁の中の隙間に、またはこれらの組み合わせに施されて効果的に用いられる 。例えば、血液に接する表面に施された内皮細胞は、該表面での血栓を減少させ ることができ、プロスタサイクリンまたは窒素酸化物のような物質を下流の組織 に 供給することができ、それによって下流の組織の環境を改善し、生物学的反応ま たは活性を向上させることができる。他の例では、内皮細胞を含めた生体物質混 合物が移植片の隙間に設置されて血液に接する表面上への内皮細胞の移動および 増殖が提供される。また別の例では、成長因子を含んでいる生体物質を多孔性の 移植片の外表面に施し、隙間への組織の内埴(ingrowth)および移植片の取り込み を最適化している。また別の例では、生体物質を使用して移植片の隙間を満たす ことにより壁を通って漏出することが防止される。これらやその他の生体物質の 応用例は、移植の成果を高め、さらに、移植片の絞り通路に存在する制御された 流れを利用して開存性を高め、通路における圧力を制御するために用いることが できる。大動脈−間動脈バイパスのような多くの応用例においては、このような 生体物質を含んだ従来の移植片では血栓に対して満足には機能しない。絞り通路 を有し、生体物質を含んでおり、一つ以上の動脈および静脈のような圧力の異な る血管に接続されている移植片では、相乗効果が表れ、(1)絞り通路を有する が生体物質を用いていない移植片、(2)生体物質は用いているが絞り通路を有 してい移植片、のいずれかよりも良好に機能し、さらに(1)(絞り通路を有す る移植片)、または(2)(生体物質を用いた移植片)、のいずれも単独では有 用でない応用例に対しても、(生体物質を用いて絞り通路を有する)組み合わせ 移植片の有用性が拡張されている。 第1の使用法においては、管状手段は本体に、一つ以上の冠状動脈または分岐 に血液を供給するために用いられる一つ以上の開口部を有する。冠状動脈が、こ の管状手段に縫合されることにより管状手段の開口部を通して血液が冠状動脈の 分岐に流入する。移植片はまた身体の他の(血液を必要とする)非冠状動脈を灌 う流するために用いられる。この管状手段の入口端は、適切な動脈圧を有して血 流量を供給するいかなる動脈性の血液源にも吻合されるようにしてもよく、例え ば、この動脈性の源は腋窩動脈、大腿動脈、または他のいかなる適合する動脈ま たは複数の動脈であってもよい。血液は、供給される血液の流量率を受け入れる ことのできるいかなる血管にも排出される。例えば、受入血管は大腿静脈または 一つ以上の適合する静脈であってもよい。血液の灌流を必要とする非冠状動脈性 の血液を必要とする血管は、管状手段に吻合され、血液は動脈性の源から当該管 状手 段を介して、これらの非冠状動脈の血液を必要とする血管に流入する。絞り通路 は血液を必要とする血管から下流に位置しており、出口端を介して一つ以上の血 液を必要とする血管に接続されている。 もう一つの使用法においては、移植片を用いて圧力の高い血管と圧力の低い血 管との間の動静脈シャントを、管状手段に付加的な開口部を必要とせずに作るこ とができる。入口端は動脈か、または他の圧力の高い供給血管に吻合されており 、また出口端は静脈か、または他の圧力の低い受入血管に吻合されている。絞り 通路は、移植片の輸送路を通過する血流量を減少させるか、または制御するため に用いられる。この方式で動静脈シャントを作るために絞りが用いられる場合、 絞りは移植片に沿ったどの位置にあってもよい。例えば、この絞りを上流の端( 入口端)近傍に位置させると、絞りから下流に圧力の低い通路(第3の通路)を 含むより長い領域(下流セグメント)が設けられることになり、圧力がより低い 第3の通路への血液との針穿刺を介したアクセスに適している(例えば、低い圧 力により穿刺部位における出血が減少する)。この絞りを下流の端近傍に位置さ せると、絞りから上流に圧力のより高い長い領域(第1の通路)が設けられるこ とになり、針穿刺によるこの血管系からの血液の取得、あるいは他のアクセス方 法による第1の通路内での血液とのアクセスに適している。 この絞りを移植片の中間部近傍に位置させると、より圧力の高い領域とより低 い領域とを供することが可能であり、例えば血液透析に適して、より圧力の高い 第1の通路から血液を取得することや、より圧力の低い第3の通路に血液を注入 することができる。供給血管と受入血管は、動脈、静脈、または心腔のような自 然の血管であってもよく、あるいは血管、または他の腔に移植されたか、または 他の方法で接続されている伏在静脈、または他の生体、または合成血管であって もよい。 本発明の第1の実施の形態においては、長尺な手段は、長尺な合成または生体 管である(この管は、ポリテトラフルオロエチレンチューブ、ダクロンチューブ (Dacron tube)、シリコンチューブ、または他の一つ以上の生体適合性合成物質 、自原的伏在静脈、ヒトの臍帯、補強または他の理由のための処理を施されたウ シ内乳動脈のような生体脈管、または組織と合成成分との複合体を含んたいかな る 起源の他の組織管でもよく、金属を成分として有してもよい)。この管は、出口 端近傍に、連続した通路と、(より高い剪断領域、減少した直径、または減少し た断面積、管の狭い部分、管に挿入される狭められた通路を有する別個の片、ま たはこの管の外側から圧縮された部分を備えるような)流れの絞りとを有する。 この流れの絞りは、長尺な管と同様の物質で構成されてもよく、また異なる生体 適合性物質から構成されてもよい。血液は、動脈のような血液の供給器官に取り 付けられた入口端から、通路に沿い、流れの絞りを通って、静脈のような血液の 受入部に取り付けられた出口端まで流れる。入口端と流れの絞りとの間に、付加 的な灌流を必要とする(冠状動脈のような)一つ以上の動脈を当該管に接続して 、血液が当該管からそれらの動脈に流入するようにすることができる。この管の 直径は、供給動脈および血液を必要とする動脈と、受入静脈への接続に適したも のである。この通路の直径は典型的には流れの絞りにおいて減少されている。流 れの絞りは血液の流れを調節し、血液を必要とする動脈への接続部において十分 な圧力を維持し、当該動脈が当該管からの血液によって潅流されるようにする。 また、絞り通路はこの管の出口端を通って受入血管内へ移動する血液の流量、速 度および圧力を調整する。任意の外側スリーブが、絞りおよびこの管の出口端と 、受入静脈への接続部を支持して押つぶしやよじれを減少させる。この管に沿っ た流れの流量率は、流れの絞りを通って受入静脈へ入る流れによって、典型的に はこの管への接続部から血液を必要とする血管へ供給される流量率よりも大きく なっている。流量率がより大きくなっているため、この管の血栓および凝血の可 能性が減少される。流れの絞り領域においては、血液と接触している表面は、こ の領域での血栓または細胞の堆積の可能性を減少させるために滑らかになってい る。この管の他の領域における血液と接する表面は、身体における移植片の治癒 および取り込みを助け、新生内膜の内膜形成を促進し、内膜の肥厚を抑制し、あ るいは血栓を減少させるために、生体物質が取り込まれている。次のような生体 物質を、効果的に用いることができる。コラーゲン、架橋されたコラーゲン、フ ィブロネクチン、ヴィトロネクチン、ラミニン、プロテオグリカン類、アルギニ ン−グリシン−アスパラギン酸配列を取り込んだアミノ酸ペプチド類、他の細胞 外マトリックスタンパク質または脈管内膜の基底膜タンパク質、インテグリン関 連化 合物、フィブリン、内皮細胞、または他の組織由来の物質または混合物、または 合成類似体および誘導体、および成長因子または血栓を調整する因子または化学 物質のような生物学的に活性のある添加物。このように、種々の生体物質、合成 類似体、および誘導体を用いて血管移植片の性能を高め、また本発明に用いられ た絞られた流れから更なる利点を生み出すことが可能である。多孔性の移植片の 隙間もまた、移植片の性能または移植片に対する組織の反応を調整するために生 体物質を含むことができる。 本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態と類似しているが、流れの絞 りが管の出口端に配置されている点において異なっている。従って、通路の直径 は小さいため、受入静脈への接続には適さない。受入静脈への接続を容易にする ために、縫合リングまたはフランジが設けられている。 本発明の第3の実施の形態は、第1および第2の実施の形態と類似しているが 、分岐した通路を有している。複数の枝部が供給動脈に接続されており、各々の 枝部は一つ以上の血液を必要とする動脈に接続されている。この枝部は、流れの 絞りより上流で結合している。この方法では、この管は、心臓の前後の表面上の 動脈のように、分岐しない管の使用には不都合な場所に位置している複数の血液 を必要とする動脈に用いることが可能であるが、一つの流れの絞りおよび一つの 受入静脈への接合部のみが必要となっている。 本発明の第4の実施の形態においては、長尺な手段は、長尺な合成または生体 管である(この管は、ポリテトラフルオロエチレンチューブ、ダクロンチューブ 、シリコンチューブ、または他の一つ以上の合成生体適合性物質、ヒトの臍帯、 補強または他の理由のためにの処理を施されたウシ内乳動脈のような生体脈管、 または自原的脈管、または組織と合成成分との複合体を含んだいかなる起源の他 の組織管でもよく、金属を成分として有していてもよい)。この管は、連続した 通路と、この管に沿ったいくつかの場所において(高い剪断領域、減少した直径 または減少した断面積、管の狭い部分、管に挿入される狭められた通路を有する 別個の片、または管の外側から圧縮された部分を備えるような)流れの絞りとを 有する。血液は、動脈のような血液の供給源に取り付けられた入口端から、通路 に沿い、流れの絞りを通って、静脈または肺動脈のようなより圧力の低い血液の 受 入部に取り付けられた出口端に流れる。この管の直径は、供給動脈および受入静 脈への接合に適したものである。この通路の直径は典型的には流れの絞りにおい て減少している。流れの絞りは管を通る血液の流れを制御し、流れの絞りから上 流の血液のより高い圧力と、当該流れの絞りから下流の血液のより低い圧力とを 維持する。任意の外側スリーブがこの絞りを支持する。出口端にある任意の外側 の支持部がつぶれやよじれを減少させる。この管は、例えば血液透析での針穿刺 を介した血液へのアクセスのために、または、酸化されている血液と酸化されて いない血液を混合して大動脈と肺動脈との間に制御された血流を提供すること等 のために使用することができる。 前述の実施の形態は、本発明の方式または有用性を説明することを意図したも のである。自原的脈管内に流れの絞りを挿入した付加的な実施の形態や、前述し た実施の形態の組み合わせについても効果的に用いることが可能である。 本発明は、ヒトまたは他の霊長類の冠動脈のような一つ以上の血液を受け入れ る血管に、所望の圧力の血流を連続的に提供する方法を含む。血流を絞る通路を 有する移植片は、動脈または他の血液循環系の圧力の高い部分に吻合される。移 植片は心臓に隣接して置かれ、該移植片の各部分が選択された冠状枝動脈の近傍 に配置される。移植片の選択された部分が冠状動脈に吻合される。出口端手段は 、(絞りを付けられた第2の通路よりも下流の、第3の通路を有する下流のセグ メントを含むことができ、)移植片の出口端を形成する。移植片の出口端は上大 静脈または他の血液循環系の圧力の低い部分に吻合される。大動脈と上大静脈と の間にはかなりの血圧差が存在するため、圧力の作用下に血液は連続的に大動脈 から移植片内へ流れる。従って、絞り通路を通って上大静脈へ流入する移植片に 沿った連続的な血流が存在する。この絞り通路は、血液の流れが過度になること を防止し、移植片の絞り通路から上流の部分の血圧を大動脈血圧と実質的に同一 に維持し、また移植片から心房または静脈のような低圧の受入血管に流出する血 液の圧力および速度を制御する。 絞り通路においては、血液と接する表面を有しており、該表面はこの表面上で 血小板および他の血栓性または細胞性の堆積を減少させるために滑らかになって いる。剪断により発現される血小板の活性化は、剪断応力の大きさ、ならびにこ れらの応力に曝される時間に依存する。血液と接する表面における流体の剪断応 力は、典型的には流れの絞りの一つ以上の部分において、移植片の一つ以上の他 の部分における剪断応力よりも大きいこととなる。この絞り通路の流れの表面に は、著しい血小板の堆積または血栓性の堆積がないことが求められる。剪断応力 は、滑らかな絞り通路の表面上のいかなる組織の蓄積物をも洗い流そうとする傾 向があり、相対的に堆積物がないようにこの表面が保たれている。従って、この 絞りにおいては血液と接する滑らかな表面を有することが重要である。この絞り 通路における剪断応力は、移植片を通過する流れの流量率に依存して、典型的に は約300ダイン/cm2から1000ダイン/cm2を超える範囲にすることが 可能である。このような圧力に長時間曝された血小板は、活性化し、血栓を起こ し始め、移植を失敗に導く。血液との接触表面が滑らかであることにより、血栓 性または細胞性の堆積物が表面上に蓄積することなく、移植片での血栓の可能性 が減少される。この滑らかな表面は典型的には、研磨された金属表面の滑らかさ 程の1マイクロインチ程度の仕上げとされ、通常は0〜約20マイクロインチの 範囲内であるが、概略的には、形態の粗さと欠陥の数および分布とに依存するた め、0〜約200マイクロインチの範囲内である。穴、かき傷、または***のよ うなより大きい欠陥は、それらが相対に多いものではなく、より広く滑らかな表 面に存在するのであれば、かなり大きくてもよい。物質の組成、血液の特性、薬 物投与等のような他の因子は、滑らかさの条件に影響する可能性があるが、一般 的には他の部分よりも滑らかな表面を有する絞りにおいては血小板または他の組 織の蓄積は少ない傾向がある。例えば、より直径の小さい領域を含んでいる流れ の絞りにおいては、より直径の小さい部分に対してより大きな滑らかさが要求さ れる。また、テーパ、収束(converging)、または発散(diverging)している領 域の近傍においても、また流れが乱れたり、血液の動きが停滞したり、遅くなっ ている領域においてもより大きな滑らかさが要求されることがある。同様に、大 きさもしくは形状が変化する場所、特に絞り近傍においては、流れが停滞してい る領域、段部、分割線部分、およびその他の欠陥は、過度の血栓または他の組織 の堆積を防ぐために最小限にされなければならない。 血液を運ぶための第1および第3の通路を備えた主幹を有する長尺な手段は、 典型的にはこの長尺な手段の外側から通路の内側の流れの表面への組織の侵入を 可能とするため、多孔性の物質で構成されている。高い多孔度により組織の侵入 が促進され、内皮細胞または新生内膜が内側表面に送出される。本発明の移植片 における増大された流速のために、通路内に存在する相対的により高い剪断応力 は、狭窄および移植の失敗の原因となる内壁上の組織の肥厚の可能性を減少させ ることになる。 第1および第3の通路は、急性期の抗血栓活性を付与するため、内皮細胞にシ ーディングまたはソディングすることがある。時間の経過により、移植片に侵入 した組織は内側の流れの表面上の安定した新生内膜の形成を助け、長期的な抗血 栓活性を与えることになる。本発明の移植片に存在する比較的高い剪断速度によ って、新生内膜の厚さが過度になることが確実に防止される。また、安定した新 生内膜の存在により、血管移植片に生じうる吻合狭窄の問題を減少させることが 可能である。 適切な組織の通過増殖(through-growth)または管腔の内皮形成を促進または持 続するために必要とされるような、多孔度の高い血管移植片は、その表面の形態 のために、特に急性期においては、血栓形成が増加する傾向にある。本発明の移 植片の使用による流れの増加は、この急性の問題の克服に役立ち、特に、別のや りかたでは低い流量率になってしまう応用例において用いられる内皮細胞のシー ディングまたはソディングの増進がなされる。血管移植片は、典型的には移植片 の壁を通して比較的均一な多孔性の構造を有するが、生体物質を取り入れている 絞り通路は他の壁構造を有することも可能であり、さらに効果的に用いることが できる。例えば、この壁は内側または外側の表面にのみ孔を有するか、壁のある 場所において基本的に無孔の層を有するか、全体的には多孔性の構造であるか、 壁の厚さを通して様々な寸法の孔および隙間を有するか、または基本的に無孔の 構造を有するものでもよい。生体物質をもつ絞り通路は、隙間への組織の内殖を 容易にするため、外側の表面に大きい孔を有するような構造であるか、組織また は血栓の蓄積を減少させるため、壁を通した組織の通過増殖を抑制するため、ま たは壁を通して血液または血清の漏出を制限するため、内側の表面またはその近 傍には、より小さい孔を有するようにすることもできる。例えば、約5マイクロ メーター〜200マイクロメーターの範囲にあるような細胞の寸法よりも大きい 均一の孔を有する壁構造を用いることや、あるいは内側の表面近傍では約5マイ クロメーター〜約20マイクロメーター、かつ外側の表面近傍では約10マイク ロメーター〜約200マイクロメーターであるような大きさの異なる孔を有する 壁構造を用いることもできる。多孔性の物質には、例えば、結節間距離が約10 マイクロメーター〜約120マイクロメーターの範囲内に特定されている膨張し たポリテトラフルオロエチレンのように他の寸法によって特徴づけられるものも ある。いずれの多孔性の構造物であっても、有効な同等の孔直径の範囲をもって その構造物を特徴づけることや、あるいは入水圧、平均流量孔寸法等のような他 の多孔度の尺度を用いることにより、類似の方法で検討することができる。 移植片の壁を通った血清または血液の漏出は、多孔度の高い移植片を利用する 際に問題となることがある。内皮細胞のシーディングまたはソディング、あるい はコラーゲンまたは他の物質の移植片上への堆積は、多孔度の高い移植片に付随 して起こりかねない出血または漏出を減少するか、または制限することとなり、 移植片の壁を通った組織の通過増殖をさせるために必要なより高い多孔度によっ ても、移植の間または後の、移植片の壁を通った血清、血液、または他の物質の 漏出が生じない。さらに、高い多孔度を得るために必要な高い多孔度と大きい孔 のために血栓性になりやすい移植片に急性期の抗血栓活性が与えられる。 図面の簡単な説明 全図を通して同じ参照数字が同じ構成部分を示している添付図面と併せて以下 の詳細な説明を検討することによってこの発明を十分に理解すれば、本発明の他 の目的ならびに本発明に付随する多くの利点は容易に諒解されるであろう。 第1図は、心臓の部材に取り付けられた流れの絞りを含む血管移植片を示して いる。 第2図は、移植片の一端の近傍上に配設された絞り部材を示している。 第3図は、第2図の3−3線に沿った絞りの断面図を示している。 第4図は、第2図の4−4線に沿った絞りの断面図を示している。 第5図は、第2図の5−5線に沿った絞りの断面図を示している。 第6図は、大動脈口に移植され、縫合によりそこに吻合された管状部材の大動 脈端を示している。 第7図は、上大静脈の小孔開口内に移植され、縫合によってそこに吻合された 下流セグメントの開口端を示している。 第8図は、縫合により冠状枝に吻合された移植片を示している。 第9図は、連続した部材である絞りセグメントを有する移植片セグメントを示 している。 第10図は、第9図の10−10線に沿った連続した絞りの断面図を示してい る。 第11図は、第9図の11−11線に沿った管状部材の断面図を示している。 第12図は、流れの絞りを有する自原的伏在静脈を示している。 第13図は、第12図の13−13線に沿った円筒状の壁の断面図を示してい る。 第14図は、第12図の14−14線に沿った入口通路の断面図を示している 。 第15図は、第12図の15−15線に沿った中間ののど状の区間の断面図を 示している。 第16図は、第12図の16−16線に沿った出口通路の断面図を示している 。 第17図は、自原的伏在静脈に縫合された流れの絞りの断面図を示している。 第18図は、螺旋状に巻き付けられた管状の主幹を有する移植片セグメントを 示している。 第19図は、管状の本体の周りに多数のループを有する移植片セグメントを示 している。 第20図は、縫合環によって大静脈に取り付けられた流れの絞りを示している 。 第21図は、第20図の21−21線に沿った縫合環および絞り部材の断面図 を示している。 第22図は、第20図の22−22線に沿った小径の領域の断面図を示してい る。 第23図は、複数のセグメントを有する血管移植片を示している。 第24図は、繊維物質の管状部材を有する血管移植片を示している。 第25図は、第24図の25−25線に沿った断面図を示している。 第26図は、内皮細胞のシーディングを有する繊維物質の管状部材を有する血 管移植片を示している。 第27図は、第26図の27−27線に沿った断面図を示している。 第28図は、繊維物質の管状部材の孔の中に存在している調整用の生体物質を 有する繊維物質の管状部材を有する移植片を示している。 好ましい態様の詳細な説明 第1図、第2図、第3図、第4図、および第5図を参照すると、参照符号10 によりヒトの心臓の前面の図が概ね示されている。心臓10は、右心房11、お よび上大静脈16を有する。身体からの血液は、大静脈16を通じて右心房11 に流れる。右心房11内の血液の圧力は、血液が右心房11内に流入する際には 低くなっている。血液は心臓から大動脈23を介して身体の組織へ送り出される 。大動脈23と上大静脈16との間の圧力差は約90mmHgである。心臓の筋 肉組織は、左冠状動脈24のような冠状動脈から血液の供給を受けている。左冠 状動脈24は大動脈23から心臓の左側に沿って尖27に向かって延在している 。冠状動脈24は筋肉組織へ血液を供給する多数の枝28、29、および30を 有する。左冠状動脈24は枝28〜30内へ二叉または三叉に分岐する短い共通 の幹を有する。これらの枝は正常な心臓内では非常に小さい。それらは、冠状動 脈枝が癒着または閉塞してしまう冠状動脈硬化症に羅患しているヒトにおいては 、著しく拡大することがある。右冠状動脈もまた血液を心臓に供給する。本発明 の移植片を用いていずれの冠状動脈にも適切に血液を供給することができる。 第1図〜第5図を参照すると、参照符号36にて本発明の脈管の移植片が概ね 示されている。移植片36は、血液を輸送するための連続した通路を有する長尺 な管状部材37である。管状部材37は連続的な円筒状の壁38を有し、該壁3 8は、長尺な長手方向の通路40を形成する内側表面39を有する。管状部材3 7は、大動脈端または入口端41と、心房端または出口端42とを有する。主幹 43は、入口端41から絞りを付けられたか、または縮径した区間44に延在し ている。絞り区間44は下流セグメント46に接続されている。好ましくは、絞 り区間44は心臓組織に取り付けられた状態で、出口端42から約5cm未満の 位置にある。絞り区間44が出口端42に配置されていることにより、絞りの下 流に位置する管状部材の量が少なくなり、移植片のこの低圧の領域における移植 片のよじれが生じる可能性が減少される。 第2図〜第5図に示したように、下流セグメント46近傍の絞り区間44は、 主幹43の円筒状の壁38と一体的に構成された円筒状の壁47を有する。円筒 状の壁47は絞り12を囲繞し、かつ接合しており、絞り12はのど状領域13 と、直径の変化している二つの壁49および51を含む。この絞りは流れを絞る ものであるが、典型的には、その絞りは、第3図および第5図に示したように、 通路40の断面積よりも実質的に小さい断面積を有するのど状通路48により行 われる。通路40の断面積は、好ましくはのど状通路48の断面積の4倍よりも 大きい。同様の流れの絞りは、通路40の有効直径よりも小さい有効直径を有す る非環状ののど状領域か、または共同して流れの絞りとしての機能を果たす複数 の通路の組み合わせによっても供給することができる。収束形状(converging)の 壁49は接合部14において壁47と接合する。発散形状(diverging)の壁51 は接合部15において壁部分47と接合する。壁部分20は出口端42に通ずる 出口通路52を囲繞している。出口通路52の断面積は、主幹43の通路40の 断面積と実質的に同一である。出口通路52の断面積は、通路40の断面積より も大きくても小さくてもどちらでもよい。収束形状および発散形状の壁49およ び51は、各々長手方向の長さを有し、流れの絞り(第2の通路)における血液 の乱流を最小化し、堆積物が蓄積しうる停滞した領域を最小化するために徐々に 滑らかに変化する直径を有する内側壁表面を備える。通路48を囲繞している円 筒状の壁13の長手方向の長さは、壁部分49および51の長手方向の長さより も短いことが好ましいが、他の長さおよび大きさの関係も用いることができる。 のど状領域13の長さが長ければ長い程、通路48の所与の断面積に対して血圧 の下降が大きい。絞りは、滑らかな表面仕上げを施して作られ、血球の堆積およ び活性化が絞りに血栓を生じないようにされている。内側の表面39には、内皮 細胞のような生体物質が施されている。この生体物質は一般的には絞り領域に至 るまでは施されていないが、それはこの絞りの血液と接する表面の滑らかな表面 仕上げのためであり、さらに、この絞りが典型的には血液と接する表面において 、より速い血液速度と高い流体剪断応力とを有し、生体物質を除去する傾向を有 するためである。通路52は血液が心臓の心房または大静脈内に流入する前に、 血流の速度および速度勾配が減少するように作用する室を供給している。下流セ グメント46は、心臓の組織あるいは血液を受け入れる脈管に容易に取り付けら れるような寸法である。外側のスリーブ17を壁47に接合し、18および19 の場所において接合部を形成することができる。この外側のスリーブは、下流セ グメント46がよじれていない開口した円筒形に保つのを助け、望ましくないよ じれのために出口端42を通る血液の流れが閉塞または制限されないようにする 。外側のスリーブ17は、受入血管の形状に極めて近似した構造とすることがで き、出口端における受入血管の開口部の保持にさらに役立つ。第1図は斜めに切 った構造を示している。また、外側のスリーブ17は絞り12と壁47との間の 相対的な動きを制限することにより、接合部14および15を保護する。この外 側のスリーブは一つの改善点であるが、常に必要とされるものではない。下流セ グメント46の好ましい長さは、移植片のこの低圧区間での移植片のよじれの可 能性を減少させるため2cm以下である。移植片40の主幹は、使用中に含有す る血液の圧力が大きくなっているため、容易によじれることはない。 部材37は管状の構造物であり、好ましくはポリテトラフルオロエチレン、ポ リエステル、シリコン、または他のポリマー物質または一つ以上の物質からなる 合成物質等から作られる管状構造物である。この管状構造物はまた、限定される ものではないが、伏在静脈、ヒト臍帯静脈、またはウシ頚動脈を含む自原的な、 異種の、または他の生物学的組織から作ることができる。この管状部在は、加工 によりあらかじめ屈曲させておくことや、テーパを付けて所望の絞り区間44を 形成させることができる。この場合、連続した構造のため、接合部14および1 5はなくてもよい。この絞りは、シリコン、熱分解炭素、ポリテトラフルオロエ チレン、ポリエステル、ポリウレタン、チタン、ステンレス鋼、または他の生物 学的なポリマーまたは非ポリマー物質から作ることができるが、これに限定され るものではない。絞り12は、標準的な液体ポリマー射出または溶解射出を用い て管状部材38内に成形することができる。この場合、絞り12とその管状壁4 7への接合部14および15の形成は、同一工程において行うことができる。逆 に、絞り12を別々の物質から作り、別の作業において壁47に結合してもよい 。代替的には、絞りの形状を有する挿入物を別個に製造し、内側の管状部材の適 切な部位に単に設置してもよい。 第1図を参照すると、血管移植片36は心臓10に隣接して位置している。絞 り区間44および下流セグメント46は、上大静脈16に隣接して位置する。第 6図に示すように、管状部材37の入口または動脈端41は大動脈口53内へ移 植され、縫合54により吻合されている。代替的には、入口端41は、左鎖骨下 動脈や他の主要な動脈のような圧力の高い別の適した脈管に吻合することもでき る。第7図に示すように、下流セグメント46の開口端は、上大静脈16に開口 した小孔56内へ移植され、縫合57により吻合されている。絞り44は出口端 42の近傍に位置している。血液は、大動脈23と上大静脈16との間の血圧差 のため管状部材37の通路40を通って連続的に流れる。絞り44は、通路40 を通る血液の流れが過度になるのを防止する。代替的には、管状部材37の下流 セグメント46は、右心房11,左心房13、下大静脈、冠状動脈洞、または他 の便利な低圧の脈管に吻合することもできる。移植片36の主幹43は、一つ以 上の冠状枝28〜30に隣接して配置されている。外科医は、選択的に移植片3 6の経路に沿って一つ以上の冠状枝を吻合し、潅注することもできる。 第8図を参照すると、移植片36は縫合58により冠状枝35に吻合されてい る。円筒状の壁38には、血液を通路40から冠状動脈通路61内へ流入させる ための開口59が設けられている。移植片の出口端に隣接している絞り通路48 は、冠状動脈が大動脈血液圧力の数mmHg以内の圧力で、十分な量の血液によ り灌流されることを可能にする。絞り通路48を通る血液の流れは層流であり、 通路52を通って上大静脈16内への過渡的な流れとして連続する。移植片36 内の血液の乱れは最小である。管状部材37の内側表面39は好ましくは平滑か つ連続的であるが、絞りを形成するために移植片の内側に設置される別個の挿入 物を用いるような場合等には、形状または物質に段部または移行部があってもよ い。 実験によれば、大動脈の流量を約5000ml/分、圧力を100mmHgと して、直径5mmの管状の移植片を用いてシュミレートすると、約500〜70 0ml/分で2mmの絞りを通って上大静脈または右心房内へ流れることが示さ れた。心臓の拍出量は、移植片の絞り部分を通った受入部への流れに適応させる ため、約10〜15%増加することになる。受入部への過度な流れは心臓の拍出 量に過大な増加を要求する可能性がある。流れの絞りの機能の一つは、患者にと って通常許容される程度に流れを調整することである。血液を供給された各々の 冠状動脈が適切に灌流されるためには、約50〜150ml/分の血液が要求さ れ、全ての冠状動脈を合わせた全休止期冠状動脈流量は約250ml/分である 。大動脈に吻合された絞りを付けられていない5mmの移植片は2000ml/ 分を十分上回る血流を提供することができるため、必要な数の冠状枝に適切な血 液を供給することができる。外科医は、移植片の管状部在37に、自原的伏在静 脈、合成移植片、または生体の輸送路の使用を選択してもよい。 第9図〜第11図を参照すると、絞りセグメント44を管状部材37の連続し た部分として含む移植片のセグメントが示されている。この移植片は、連続して いるかまたは同一の物質で形成されているため、絞り部の壁22の、管状部材3 7の壁38への接合部ならびに結合部を必要としない。この絞りの流れの表面2 3、24、および25は、この表面への血栓の堆積および付着を防ぐため、滑ら かかつ相対的に欠陥がないものでなければならない。絞りにおいて血液と接する 表面以外の内側表面には、内皮細胞のような生体物質が施されている。この生体 物質は一般的には絞り領域に至るまでには施されていないが、それはこの絞りの 血液と接する表面の滑らかな表面仕上げのためであり、さらに、この絞りが典型 的には血液と接する表面において、より速い血液速度と高い流体剪断応力とを有 し、生体物質を除去する傾向を有するためである。 第12図〜第17図を参照すると、参照符号70にて長尺な部材71を含んで いる自原的伏在静脈のセグメントが概ね示されている。部材71は、流れる血液 を受け入れる通路または腔73を囲繞する連続した円筒状の壁72を有する。部 材71の入口端74は、開口部75を有する。この伏在静脈70は、第1図に示 されている移植片36と同様に、心臓の周りの経路をたどり、閉塞された動脈へ 到達する。腔73は、入口端74から出口端76に渡って全体的に均一な直径を 有する。参照符号77にて概ね示されている血流の絞りまたは管状セグメントが 、静脈70の出口端76に吻合されている。血流の絞り77は、中間にあるのど 状の区間81に接合されている入口端区間78および出口端区間79を有する。 この絞りは表面仕上げを施した滑らかな内側表面を含んでおり、のど状の区間8 1の流れの表面には血小板または血栓性の堆積が蓄積されない。この絞りの他の 部分は、内側表面に施される内皮細胞のような生体物質を有する。5〜10ミク ロンの大きさの欠陥のある全体的な表面仕上げを施された多孔性または滑らかで ない表面は、絞りに血栓を生み出す結果を生じさせることがある。約10〜30 ミクロン仕上げでは、流れの絞りの高い剪断応力の領域における流れの表面は、 血液の流れによって課せられる剪断応力により洗い流されることがない。入口通 路82は、のど状の区間81において絞り通路83と連通している。通路83は 出口端86を備えた出口通路84と連通している。出口端84の断面積は、入口 通路82の断面積と実質的には同一である。絞り通路83の寸法は、入口通路8 2の寸法に対して相対的に変化しうる。好ましくは、入口通路82の直径は、絞 り通路83の直径の2倍よりも大きい。通路82の断面積は、好ましくは、のど 状の通路83の断面積の4倍より大きい。通路83は、一つ以上の冠状動脈が灌 流され得るように血液が管状部材77内にて所望の血液圧力で腔73を通って連 続的に流れることができるようにする。出口端区間79は、該区間79が上大静 脈に吻合された状態で、血液が上大静脈に流入することを可能にする開口出口8 6を有する。 使用の際には、外科医は患者の脚から伏在静脈の一部分を採取する。所望の寸 法の絞り通路83を有する血流の絞り77は、縫合87によって管状部材71の 出口端76に取り付けられる。入口端74は大動脈23に吻合されている。管状 部材71は、絞り77の出口端79が上大静脈に隣接して配置されるように、心 臓を取り囲む。端79は、連続した適切な血液の流れが管状部材70および絞り 77を通して維持されるように、上大静脈に吻合されている。血液の圧力は、一 つ以上の冠状動脈が灌流されうるような所望の値である。外科医は、第11図に 示した方式で、管状部材70の通路に沿って一つ以上の冠状動脈を吻合すること ができる。このことにより、腔73から冠状動脈の腔内へ、圧力の作用により血 液が連続して流れることとなる。 移植片のよじれは血管移植片の移植にとって重大な問題であり、もし適切に考 慮がされていなければ装置の故障につながるおそれがある。第18図は、出口端 42の近傍に位置する絞りセグメント44を有する移植片セグメントを示す。入 口端41は典型的には大動脈に取り付けられることにより、管状部材37を大動 脈の圧力下に置き、よじれに対抗するようにする。絞り区間44と管状の主幹と の間の接合部101は、管状部材と絞り区間との可撓性の差によりよじれやすい ことがある。移植片のよじれの可能性を減少させるため、シリコン、ポリオレフ イン、ダクロン、ポリテトラフルオロエチレン、または他の物質のような、ポリ マー物質のらせん状のビーズ100が管状主幹37の周囲に巻き付けられている 。この管状主幹37の巻き付けられた部分は、約1cmから管状主幹37の全長 の範囲にある。 第19図は、出口端42から1cmを超えて離間した絞り44をもつ移植片セ グメントを示す。移植片の下流セグメント46は、該セグメント内の圧力が身体 の静脈系に存在する低い圧力と同様であるため、よじれが起こりやすい。このセ グメントにおいては、この下流セグメント46の外側の壁にポリマーのループが 取り付けられている。このトロイダル形のループは重合体、金属、または複合体 性の物質から作ることができ、それが下流セグメント46の断面を円形状になる ように保持することによってこの領域のよじれを防ぐ。 第20図〜第22図を参照すると、移植片の出口端に配置した絞り44を含む 本発明の血管移植片のセグメントが示されている。そこには上大動脈16への取 り付けを行うための縫合環110が含まれている。縫合環110はその外縁11 5またはその近傍の場所において取り付けられている。縫合環110には、内皮 細胞のような生体物質が施されている。この絞りは、より小さい内径を有する領 域111と、血液と接する表面113とを含む。この内径のより小さい領域は、 上大静脈16まで延在し、血液と接する表面113は縫合環110において血液 と接する表面112と連続する。血液はより内径の小さい領域111を通り、参 照符号114で示したように上大静脈16内に流入する。 第23図を参照すると、第1図の移植片と類似した血管移植片が示されており 、 該血管移植片は、第1図の主幹43と類似した複数のセグメント152および1 53が設けられるように適合している。セグメント152および153は、合成 物質あるいは生体物質か、それらの組み合わせから作ることができ、位置154 において合流し、強度を与えられてそこに含有された血液の漏出が防止されてい る。本発明の移植片は、位置154において合流する複数の枝をつけて製造して もよく、熱、化学物質、または他の結合法を用いて、複数の別個のセグメントを 位置154において合流させてもよく、または外科医が複数のセグメントを所望 の位置154に取り付けることもできる。セグメント152および153はそれ ぞれ入口端150および151を有しており、大動脈に取り付けられていること が示されている。セグメント152および153は、環状動脈枝近傍に位置する ことができる。セグメント152は、心臓10の前方の表面上にある冠状動脈枝 28および29に各々隣接し、場所156および156において取り付けられて いることが示されており、セグメント153は、心臓10の後ろの表面上で、冠 状動脈枝158に隣接し、位置157において取り付けられていることが示され ている。この移植片は、冠状動脈枝28、29、および158に血液を供給する 。セグメント152および153のような複数の別個のセグメントを有すること の利点は、動脈から動脈へ移植片が大幅に迂回(loop)したり、鋭く曲折されたり 、それ自体が交差したり、あるいは他の不都合な経路になる必要なしに、心臓の 前と後ろの表面のような、互いに離れた動脈枝の結合を可能にすることである。 セグメント152および153は、位置154にて合流し、単一の流れの絞り4 4がこの移植片の血流を調節する。下流セグメント46の開口出口端42は、上 大静脈16に取り付けられている。 第24図および第25図を参照すると、移植片160は、大動脈端または入口 端162と出口端164とを有する環状部材172、および下流セグメント16 8に接続している絞り区間166を含む。主幹170は入口端162から絞りを 付けられたか、または直径の減少した区間166まで延在している。管状部材1 72は内側表面176および外側表面178を有する連続した円筒状の移植片壁 174を有する。内側表面176は、長尺な長手方向の通路180を形成する。 管状部材172を構成している物質182は、膨張ポリテトラフルオロエチレン 、 多孔性シリコン、多孔性ウレタン、繊維状ダクロン、または、組織181を連続 した円筒状の移植片壁174を通って外側表面178から内側表面176まで侵 入させることが可能な他の多孔性の物質または複合体構造であってもよい。 第25図は、第24図の25−25線に沿った断面図を示しており、数字は全 て前記の要素に対応するものである。連続した円筒状の移植片壁174の多孔性 構造が示されている。相互に接続する繊維状物質182が示されている。この多 孔性構造は、相互に接続している繊維からなる基質中における相互に連通した複 数の孔により得ることができるが、組織181を連続した円筒状の移植片壁17 4を通って外側表面178から内側表面176まで侵入させることが可能ないか なる構造物も用いることが可能である。 第26図および第27図を参照すると、血管移植片186は、大動脈端または 入口端190と、出口端192と、下流セグメント196に接続された絞り区間 194とを有する環状部材188を含む。主幹198は入口端190から、絞り を付けられたか、または縮径した区間194に向かって延在している。管状部材 188は、内側表面202と外側表面204とを有する連続した円筒状の移植片 壁200を有する。内側表面202は、長尺な長手方向の通路206を形成する 。管状部材188を構成している物質184は、膨張ポリテトラフルオロエチレ ン、多孔性シリコン、多孔性ウレタン、繊維状ダクロン、または、組織210が 連続した円筒状の移植片壁200を通って外側表面204から内側表面202ま で侵入することを可能にする他の多孔性の物質または複合体構造であってもよい 。 第27図は、第26図の27−27線に沿った図を示しており、第25図の物 質182に対してより大きい多孔度またはより大きい繊維間距離を有する物質1 84が、第26図の連続した円筒状の移植片壁200を構成する。内側表面20 2には、内皮細胞のシーディングまたはソディング208が施されており、組織 210が連続した円筒状の移植片壁200を通って侵入した後、内側表面202 上に敷かれる結果となる。細胞性組織210が、大きい外側表面204に侵入し 、連続した円筒状の移植片壁200を通って移動し、内側表面202に到達する 。血管移植片186の内側表面202上に細胞組織210が存在することで、内 側表面202に、血小板の減少した接着および活性と減少した血栓形成という形 で の、生物学的適合性が与えられる。この新生内膜は、また連続した円筒状の移植 片壁200に組織210が外側表面204から孔内に侵入するために必要な時間 が経過する前に、血管移植片186の内側表面202から外側表面204へ移動 する血液上の血清の漏出を減少させる。 第28図および第29図を参照すると、血管移植片212は、大動脈端または 入口端216と出口端218と下流セグメント222に接続された絞り区間22 0とを有する管状部材214を含む。主幹224は、入口端216から、絞りを 付けられたか、または縮径した区間220に向かって延在している。管状部材2 14は、内側表面228と外側表面230とを有する連続した円筒状の移植片壁 226を有する。内側表面228は、長尺な長手方向の通路232を形成する。 管状部材214を構成している物質234は、膨張ポリテトラフルオロエチレン 、多孔性シリコン、多孔性ウレタン、繊維状ダクロン、または、組織210が連 続した円筒状の移植片壁226を通って外側表面230から内側表面228まで 侵入することを可能にする他の多孔性の物質または複合体構造であってもよい。 第28図は、多孔性の移植片壁を取り入れた、第24図および第26図の態様 に類似した代替的な実施の形態を示している。第29図は、第25図および第2 7図に類似した部分断面図を示す。この実施の形態においては、連続した円筒状 の移植片壁226の隙間または孔は、この移植片に対する生物反応を調整する生 体物質235を含む。生体物質235は、孔空間236のような孔空間を満たす か、被覆物235aによって、または繊維240、または連続した円筒状の移植 片壁226を構成する物質を被覆できる。この場合、必ずしも血液と接する内側 表面228に内皮細胞をソディングする必要はないが、その代わりに生体物質2 35および235aが被移植者の自然の反応を調整して、血栓および内皮の肥厚 の調整に必要な効果を与える。例えば、被移植者の自然の組織(図示せず)が移 動して内側表面228の上に増殖し、移植片の血液に接する表面を覆う内皮細胞 となることが可能である。 本発明の移植片は、下肢の周辺の血管再生法のような他の応用例においても、 血液を運搬するものとして用いることができる。例えば、移植片は最遠位動脈吻 合と、膝窩静脈またはその主要枝の一つとの間に挿入されることとなるであろう 。 血液の源または血液の供給部は大腿動脈であり、吻合は移植片の主幹の開口部か ら、膝窩動脈および/またはその遠位枝、前脛骨、後脛骨、または腓骨動脈のよ うな、血液を必要とする脈管に吻合されることとなるであろう。これらの動脈と 移植片の遠位端との間に配置された血液の流れを絞る通路、またはのど状の通路 が、移植片を通る血液の流れを制御する。血液の流れを制御することにより、こ れらの動脈に適切な血液の圧力の灌流を行うことが可能となり、また同時に移植 片の開存性を維持するための連続的な血液の流れが保証されることになる。 本発明の移植片の好ましい実施の形態と、一つ以上の動脈に連続的な血流を供 給する方法とを図示し説明してきたが、移植片の材料、寸法、長さ、および移植 片の配置の変更が、本発明の範囲内において当業者により行われ得ることは理解 されよう。本発明の範囲は、以下の請求の範囲により定義される。 血管移植片 部分一覧表 10 心臓 11 右心房 12 絞り 13 のど 14 接合部 15 接合部 16 上大静脈 17 外側のスリーブ 18 流れの表面 19 流れの表面 20 流れの表面 21 壁部分 22 絞りの壁 23 大動脈 24 左冠状動脈 27 尖 28 枝 29 枝 30 枝 34 通路 35 冠状枝 36 血管移植片 37 管状部材 38 円筒状壁 39 内側表面 40 長手方向の通路 41 大動脈端または入口端 42 心房端または出口端 43 主幹 44 絞りを付けられたかまたは縮径した区間 44a 連続的な絞りセグメント 44b 絞り 44c 絞り 46 下流セグメント 47 円筒状の壁部分 48 のど状通路 49 直径の変化している壁 51 直径の変化している壁 52 出口通路 53 大動脈口 57 縫合 58 縫合 59 開口部 61 冠状動脈通路 70 自原的伏在静脈 71 長尺な部材 72 円筒状の壁 73 通路腔 74 入口端 75 開口部 76 出口 77 流れの絞り 78 入口端 79 出口端 81 中間にあるのど状区間 82 入口通路 83 絞り通路 84 出口通路 86 出口端 102 ポリマーループ 103 外側表面 110 縫合環 111 領域 113 接触表面 114 血液の流れ 115 外縁 150 入口端 151 入口端 152 複数のセグメント 153 複数のセグメント 154 位置 155 取り付け点 156 取り付け点 157 取り付け点 158 冠状動脈枝 160 血管移植片 162 入口端 164 出口端 166 絞り区間 168 下流セグメント 170 主幹 172 管状部材 174 連続した円筒状の移植片壁 176 内側表面 178 外側表面 180 通路 181 組織 182 物質 184 物質 186 血管移植片 188 管状部材 190 入口端 192 出口端 194 絞り 196 下流セグメント 198 主幹 200 連続した円筒状の移植片壁 202 内側表面 204 外側表面 206 通路 208 シーディング 210 組織 212 血管移植片 214 管状部材 216 入口端 218 出口端 220 絞り区間 222 下流セグメント 224 主幹 226 連続した円筒状の移植片壁 228 内側表面 230 外側表面 232 通路 234 繊維物質 235 生体物質 235a 被覆物 236 孔空間 240 繊維 本発明の範囲を逸脱することなく、本発明につき種々の改変をなしうることが 諒解されよう。
───────────────────────────────────────────────────── 【要約の続き】 て、絞り(44)は、血液供給部への接台部を開口した 絞りのない形状に保持するのに役立つスリーブ(17) により補強される。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 生体内で、一つ以上の身体の血管または腔(供給血管)から前記供給血管 よりも圧力の低い一つ以上の身体の血管または腔(受入血管)に血液を運ぶため の移植片において、 a. 血液を運ぶための連続した通路を有する長尺な生体適合性手段を含み、 前記連続した通路が血液と接する表面を有し、 b.前記長尺な生体適合手段が一つ以上の供給血管に接続可能な入口手段と、 一つ以上の受入血管に接続可能な出口手段とを有し、 c. 前記入口手段および出口手段が、前記供給および受入血管にそれぞれ接 続されている際に、前記供給血管と前記受入血管との間の圧力差が、前記連続し た通路に沿って、前記供給血管から前記受入血管への血液の流れを引き起こし、 d. 前記入口手段と前記出口手段との間の絞り手段であって、前記連続した 通路内の血液の流れを絞り、前記連続した通路の前記入口手段と前記絞り手段と の間の部分において、前記連続した通路の前記絞り手段と前記出口手段との間の 部分における圧力よりも高い圧力を維持する絞り手段を含み、 e. 前記血液と接する表面の少なくとも一部に施された生体物質を含むこと を特徴とする移植片。 2. 生体内で、一つ以上の身体の血管または腔(供給血管)から、前記供給血 管よりも圧力の低い一つ以上の身体の血管または腔(受入血管)に血液を運ぶた めの移植片において、 a. 壁構造を有する長尺な生体適合手段を含み、前記壁構造が外側面と内側 面とを有し、前記内側面が、血液を運ぶための連続した通路の血液と接する表面 を含み、さらに前記壁構造が、前記連続した通路の前記血液と接する表面と連絡 する孔を含み、 b. 前記長尺な生体適合手段が一つ以上の供給血管に接続可能な入口手段と 、一つ以上の受入血管に接続可能な出口手段とを有し、 c. 前記入口手段および出口手段が、前記供給および受入血管に接続されて いる際に、前記供給血管と前記受入血管との間の圧力差が、前記連続した通路に 沿って、前記供給血管から前記受入血管への血液の流れを引き起こし、 d. 前記入口手段と前記出口手段との間の絞り手段であって、前記連続した 通路内の血液の流れを絞り、前記連続した通路の前記入口手段と前記絞り手段と の間の部分において、前記連続した通路の前記絞り手段と前記出口手段との間の 部分における圧力よりも高い圧力を維持する絞り手段を含み、 e. 前記孔に少なくとも部分的に含まれている生体物質を含む ことを特徴とする移植片。 3. 生体内で、一つ以上の身体の血管または腔(供給血管)から前記供給血管 よりも圧力の低い一つ以上の身体の血管または腔(受入血管)に血液を運ぶため の移植片において、 a. 壁構造を有する長尺な生体適合手段を含み、前記壁構造が内側面と外側 面とを有し、前記内側面が、血液を運ぶための連続した通路の血液と接する表面 を含み、前記外側面が外側の反管腔側の表面(outer abluminal surface)を含み 、さらに、前記壁構造が、前記連続した通路の前記反管腔側の表面と連通する孔 を含み、 b.前記長尺な生体適合手段が一つ以上の供給血管に接続可能な入口手段と、 一つ以上の受入管に接続可能な出口手段とを有し、 c. 前記入口手段および出口手段が、前記供給および受入血管に接続されて いる際に、前記供給血管と前記受入血管との間の圧力差が、前記連続した通路に 沿って、前記供給血管から前記受入血管への血液の流れを引き起こし、 d. 前記入口手段と前記出口手段との間の絞り手段であって、前記連続した 通路内の血液の流れを絞り、前記連続した通路の前記入口手段と前記絞り手段と の間の部分において、前記連続した通路の前記絞り手段と前記出口手段との間の 部分における圧力よりも高い圧力を維持する絞り手段を含み、 e. 前記孔に少なくとも部分的に含まれている生体物質を含む ことを特徴とする移植片。 4. 生体内で、一つ以上の血液を必要とする血管に血液を供給する移植片にお いて、 a. 血液を運ぶための連続した通路を有する長尺な生体適合手段を含み、前 記連続した通路が血液と接する表面を有し、 b. 前記長尺な生体適合手段が、一つ以上の動脈または心室のような他の圧 力の高い血液の源(供給血管)に接続可能な入口手段と、一つ以上の静脈または 右心房のような他の圧力の低い血管または腔(受入血管)に接続可能な出口手段 と、さらに、血液を必要としている血管に血液を供給するために血液を必要とす る一つ以上の血管(血液を必要とする血管)に接続可能な主幹手段とを有し、 c. 前記入口手段および出口手段が、前記供給および受入血管に接続されて いる際に、前記供給血管と前記受入血管との間の圧力差が、前記連続した通路に 沿って、前記供給血管から前記受入血管への血液の流れを引き起こし、 d. 前記主幹手段と前記出口手段との間の絞り手段であって、前記連続した 通路内の血液の流れを絞り、前記主幹手段において、前記連続した通路の前記絞 り手段と前記出口手段との間の部分における圧力よりも高い圧力を維持する絞り 手段を含み、 e. 前記主幹手段内の血液が、一つ以上の血液を必要とする血管を灌流する のに十分な圧力下にあり、 f. 前記血液と接する表面の少なくとも一部に施される生体物質を含むこと を特徴とする移植片。 5. 生体内で、一つ以上の血液を必要とする血管に血液を供給する移植片にお いて、 a. 壁構造を有する長尺な生体適合手段を含み、前記壁構造が外側面と内側 面とを有し、前記内側面が、血液を運ぶための連続した通路の血液と接する表面 を含み、さらに前記壁構造が、前記連続した通路の前記血液と接する表面と連絡 する孔を含み、 b. 前記長尺な生体適合手段が、一つ以上の動脈または心室のような他の圧 力の高い血液の源(供給血管)に接続可能な入口手段と、一つ以上の静脈または 右心房のような他の圧力の低い血管または腔(受入血管)に接続可能な出口手段 と、さらに、血液を必要としている血管に血液を供給するために血液を必要とす る一つ以上の血管(血液を必要とする血管)に接続可能な主幹手段とを有し、 c. 前記入口手段および出口手段が、前記供給および受入血管に接続されて いる際に、前記供給血管と前記受入血管との間の圧力差が、前記連続した通路に 沿って、前記供給血管から前記受入血管への血液の流れを引き起こし、 d. 前記主幹手段と前記出口手段との間の絞り手段であって、前記連続した 通路内の血液の流れを絞り、前記主幹手段において、前記連続した通路の前記絞 り手段と前記出口手段との間の部分における圧力よりも高い圧力を維持する絞り 手段を含み、 e. 前記主幹手段内の血液が、一つ以上の血液を必要とする血管を灌流する のに十分な圧力下にあり、 f. 前記孔に少なくとも部分的に含まれている生体物質を含む ことを特徴とする移植片。 6. 生体内で、一つ以上の血液を必要とする血管に血液を供給する移植片にお いて、 a. 壁構造を有する長尺な生体適合手段を含み、前記壁構造が内側面と外側 面とを有し、前記内側面が、血液を運ぶための連続した通路の血液と接する表面 を含み、前記外側面が外側の反管腔側の表面(external abluminal surface)を含 み、さらに、前記壁構造が、前記連続した通路の前記反管腔側の表面と連通する 孔を含み、 b. 前記長尺な生体適合手段が、一つ以上の動脈または心室のような他の圧 力の高い血液の源(供給血管)に接続可能な入口手段と、一つ以上の静脈または 右心房のような他の圧力の低い血管または腔(受入血管)に接続可能な出口手段 と、さらに、血液を必要としている血管に血液を供給するために血液を必要とす る一つ以上の血管(血液を必要とする血管)に接続可能な主幹手段とを有し、 c. 前記入口手段および出口手段が、前記供給および受入血管に接続されて いる際に、前記供給血管と前記受入血管との間の圧力差が、前記連続した通路に 沿って、前記供給血管から前記受入血管への血液の流れを引き起こし、 d. 前記主幹手段と前記出口手段との間の絞り手段であって、前記連続した 通路内の血液の流れを絞り、前記主幹手段において、前記連続した通路の前記絞 り手段と前記出口手段との間の部分における圧力よりも高い圧力を維持する絞り 手段を含み、 e. 前記主幹手段内の血液が、一つ以上の血液を必要とする血管を灌流する のに十分な圧力下にあり、 f. 前記孔に少なくとも部分的に含まれている生体物質を含む ことを特徴とする移植片。 7. 請求項2、3、5、または6のいずれか1項に記載の装置において、 a. 前記孔が、前記壁構造を通して前記外側面から前記内側面へ完全に連通 することを特徴とする装置。 8.請求項7記載の装置において、 a. 前記壁構造の前記内側面から前記外側面への、前記連通孔を介した血液 成分の漏出を防ぐのに十分な量の前記生体物質が存在することを特徴とする装置 。 9. 請求項1、2、3、4、5、または6のいずれか1項に記載の装置におい て、 a. 前記絞り手段が、前記血液と接する表面において、少なくとも一つの他 の非絞り領域よりも、実質的に流体剪断応力の高い少なくとも一つの領域を有す ることを特徴とする装置。 10. 請求項1、2、3、4、5、または6のいずれか1項に記載の装置にお いて、 a. 前記絞り手段が、前記連続した通路の少なくとも他の一つの非絞り領域 よりも実質的に小さい有効直径を有することを特徴とする装置。 11. 請求項1、2、3、4、5、または6のいずれか1項に記載の装置にお いて、 a. 前記絞り手段が、前記血液と接する表面上に組織が蓄積する傾向を減少 させる滑らかな血液と接する表面を有することを特徴とする装置。 12. 請求項11記載の装置において、 a. 前記絞り手段の前記滑らかな血液と接する表面が、時折ある穴やこぶの ような欠陥を除き、典型的には約0〜20マイクロインチの表面の滑らかさを有 することを特徴とする装置。 13. 請求項1、2、4、または5のいずれか1項に記載の装置において、 a. 前記生体物質が組織細胞を含むことを特徴とする装置。 14. 請求項13項記載の装置において、 a. 前記組織細胞が内皮細胞を含むことを特徴とする装置。 15. 請求項1、2、4、または5のいずれか1項に記載の装置において、 a. 前記生体物質が、前記移植片において血栓を減少させるための手段を含 むことを特徴とする装置。 16. 請求項1、2、3、4、5、または6のいずれか1項に記載の装置にお いて、 a. 前記絞り手段が、前記連続した通路における低い流体剪断応力の結果と して生じかねない血液血栓の傾向を減少させるのに十分な流量率に血液の流れを 絞るように選択されることを特徴とする装置。 17. 請求項3または6記載の装置において、 a. 前記生体物質が、前記孔内への組織の内殖を助ける手段を含むことを特 徴とする装置。 18. 請求項1、2、3、4、5、または6のいずれか1項に記載の装置にお いて、 a. 前記生体物質が前記移植片の迅速な組織治癒を助ける手段を含むことを 特徴とする装置。 19. 請求項1、2、4、または5のいずれか1項に記載の装置において、 a. 前記生体物質が、前記移植片の少なくとも一部において、安定な新生内 膜層の維持を助ける手段を含むことを特徴とする装置。 20.請求項1、2、3、4、5、または6のいずれか1項に記載の装置におい て、 a. 前記生体物質が、少なくとも一つのポリペプチド配列を含むことを特徴 とする装置。 21. 請求項1、2、3、4、5、または6のいずれか1項に記載の装置にお いて、 a. 前記生体物質が、少なくとも一つの細胞増殖因子を含むことを特徴とす る装置。 22. 請求項1、2、3、4、5、または6のいずれか1項に記載の装置にお いて、 a. 前記生体物質が、自然界で生じた物質(naturally-occurring-material) の合成類似体を含むことを特徴とする装置。 23. 請求項1、2、4、または5のいずれか1項に記載の装置において、 a. 前記連続した通路の内側の大部分の内部圧力を利用して前記移植片のよ じれの可能性を減少させるために、前記絞り手段が、受入血管の近傍に位置する ことにより前記連続した通路の実質的に大部分に沿ってより高い圧力が維持され ることを特徴とする装置。 24. 請求項1、2、4、または5のいずれか1項に記載の装置において、 a. 前記絞り手段が前記連続した通路の中途の部分に存在し、前記連続した 通路の一部は前記供給血管の圧力と同様の圧力下にあり、前記連続した通路の一 部は受入血管の圧力と同様の圧力下にあることを特徴とする装置。 25. 請求項1、2、4、または5のいずれか1項に記載の装置において、 a. 前記絞りが、前記移植片を通る所望の流量率、または前記絞りに渡って 所望の圧力差を得るために調節可能になっている等、調節可能な絞りであること を特徴とする装置。 26. 請求項1、2、4、または5のいずれか1項に記載の装置において、 a. 前記出口手段に支持する手段をさらに含むことにより前記出口手段が一 つ以上の受入血管に接続されている際に、前記支持する手段がよじれまたはつぶ れに対して抵抗する際に役立つことにより、前記移植片から前記受入血管内への 血液の流れを維持しやすくなることを特徴とする装置。 27. 請求項1、2、3、4、5、または6のいずれか1項に記載の装置にお いて、 a. 前記移植片の構成物質が、シリコン、ポリテトラフルオロエチレン、炭 素、ポリエステル、または他のポリマー、金属、ガラス、セラミック、またはそ れらの複合体のような少なくとも一つの合成物質を含むことを特徴とする装置。 28. 請求項1、2、4、または5のいずれか1項に記載の装置において、 a. 前記移植片の構成物質が(臍帯組織、ヒトまたは他の動物からの処理ま たは保存された血管組織、またはそれらの複合体のような)少なくとも一つの生 体物質を含むことを特徴とする装置。 29. 請求項2、3、5、または6のいずれか1項に記載の装置において、 a. 前記孔が、前記孔内への組織の内殖を可能にするのに十分な寸法である ことを特徴とする装置。 30. 請求項29記載の装置において、 a. 前記孔の有効等価径(effective equivalent diameter)が、概ね約5マ イクロメーター〜約200マイクロメーターの範囲内にあることを特徴とする装 置。 31. 請求項29記載の装置において、 a. 前記孔の有効等価径が、概ね約8マイクロメーター〜約80マイクロメ ーターの範囲内にあることを特徴とする装置。 32. 請求項29記載の装置において、 a. 前記孔の有効等価径が、概ね約20マイクロメーター〜約120マイク ロメーターの範囲内にあることを特徴とする装置。 33. 請求項29記載の装置において、 a. 前記孔の節間距離が、概ね約10マイクロメーター〜約120マイクロ メーターの範囲内にあることを特徴とする装置。 34. 請求項29記載の装置において、 a. 前記孔の有効等価径が、前記壁構造の内側面と外側面との間で変化し、 前記壁構造の内側面近傍では概ね約5マイクロメーター〜約20マイクロメータ ーの範囲内にあり、前記外側面近傍では概ね約10マイクロメーター〜200マ イクロメーターの範囲内にあることを特徴とする装置。 35. 請求項1、2、4、または5のいずれか1項に記載の装置において、 a. 前記絞りが、シリコン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステルま たは他のポリマー、臍帯組織または他の生体物質、炭素、ステンレス鋼、チタン 、 あるいは他の金属、もしくはそれらの複合体のような少なくとも一つの生物適合 性物質から構成されることを特徴とする装置。 36. 一つ以上の動脈に血液を供給するための移植片において、 a. 血液を運ぶための連続した通路を有する長尺な生体適合性管状部材を含 み、前記連続した通路がその長さに沿って異なる直径を有し、前記連続した通路 が血液と接する表面を有し、 b. 前記管状部材が、大動脈のような供給血管に接続可能な開口した入口端 、および上大静脈のような受入血管に接続可能な開口した出口端と、少なくとも 内径約4mmの管状主幹とを有しており、前記管状主幹が、血液を必要とする動 脈に血液を供給するための冠状動脈のような、付加的な血液の供給を必要とする 一つ以上の動脈(血液を必要とする動脈)に接続可能であり、 c. 前記入口端および出口端が、前記供給および前記受入血管に接続されて いる際に、前記供給血管と前記受入血管との間の圧力差が、前記連続した通路に 沿って、前記供給血管から前記受入血管への血液の流れを引き起こし、 d. 前記管状主幹と前記出口端との間にあるが、前記出口端の近傍にある前 記管状部材における流れの絞りであって、前記連続した通路における血液の流れ を絞り、前記流れの絞りに渡った圧力の差を維持するための流れの絞りと、 e. 一つ以上の血液を必要とする動脈が前記管状主幹に接続されている際に 、前記管状主幹内の血液の圧力が、前記管状主幹から一つ以上の血液を必要とす る動脈への血液の流れを引き起こすことによって前記血液を必要とする動脈に血 液が供給されるように前記流れの絞りが、前記管状主幹における血液の十分な圧 力を維持し、 f. 前記流れの絞りが、徐々に直径が減少する収束領域(converging region )と、約1mm〜約3mmの範囲の内径を有する小径の部分と、徐々に直径が増 加する発散領域(diverging region)と、滑らかな移行部とを有し、 g. 前記連続した通路の前記流れの絞りと前記出口端との間に少なくとも直 径約4mmの管状部分を含み、 h. 前記血液と接する表面に施される生体物質を含む ことを特徴とする移植片。 37. 請求項36記載の装置において、前記移植片がポリテトラフルオロエチ レンから構成され、前記流れの絞りがシリコンから構成され、さらに、 a. 前記流れの絞りにおいて、前記移植片のよじれまたはつぶれを回避させ やすい外側の支持体を含むことにより前記連続した通路に沿った血液の流れを維 持し、 b. 前記流れの絞りの前記小径の部分と、前記隣接する収束および発散領域 とが、前記流れの絞りの前記血液と接する表面上における血小板または他の物質 の蓄積を防ぐのに役立ちやすい実質的に滑らかな血液と接する表面を有し、 c. 前記出口端の近傍に補強支持体を含み、前記出口端が前記受入血管に接 続されている際に、前記補強支持体がよじれまたはつぶれに抵抗するのを助ける ことにより前記移植片から前記受入血管への血液の流れを維持するのに役立ち、 前記補強支持体がシリコンからなり、受入血管への前記出口端の接続部の形状に 近似する構造を有する ことを特徴とする装置。 38. 請求項36または37記載の装置において、 a. 前記生体物質が、前記血液と接する表面に施されることを特徴とする装 置。 39. 請求項36または37記載の装置において、 a. 前記管状部材内に孔をさらに含み、前記孔の少なくともいくらかが、少 なくともいくらかの前記生体物質を含むことを特徴とする装置。 40. 請求項36または37記載の装置において、 a. 前記管状部材の外側表面をさらに含み、前記外側表面に生体物質が施さ れることを特徴とする装置。 41. 請求項36または37記載の装置において、 a. 前記生体物質がポリペプチドを含むことを特徴とする装置。 42. 請求項38記載の装置において、 a. 前記生体物質が内皮細胞を含むことを特徴とする装置。 43. 請求項39記載の装置において、 a. 前記生体物質が内皮細胞を含むことを特徴とする装置。 44. 二つ以上の圧力下に置かれた二つ以上の身体の流体の血管または腔を接 続するための装置において、 a. 流体を運ぶための通路手段を含み、前記通路手段が流体と接する表面を 有し、 b. 前記通路手段が二つ以上の身体の血管に接続可能であり、 c. 前記通路手段に接続されている身体の血管の間の圧力差に誘導された前 記通路手段における身体の流体の流れを含み、二つ以上の身体の血管が前記通路 手段に接続されている際に、前記圧力差が、より高い圧力の身体の血管からより 低い圧力の身体の血管に身体の流体の流れを引き起こし、 d. 前記通路手段において前記身体の流体の流れを絞るための絞り手段を含 み、前記通路手段における前記身体の流体の流れの少なくともいくらかが前記絞 り手段を通って流れることにより前記絞り手段が前記通路手段の前記身体の流体 の流れを絞り、 e. 前記絞り手段に渡って圧力の差が存在し、 f. 前記通路手段の少なくとも一部に施された生体物質を含む ことを特徴とする装置。 45. 大動脈、上腕動脈、または他の動脈のような圧力のより高い血管から、 橈側皮静脈または他の静脈のような圧力の低い血管に、血液の流れを供給する方 法において、 a. より高い圧力の血管に少なくとも一つの開口部を、またより低い圧力の 血管に少なくとも一つの開口部を形成するステップと、 b. より圧力の高い血管における前記開口部と、より圧力の低い血管におけ る前記開口部とを、連続した血液の流れの通路を備え、且つ、壁構造と、血液と 接する表面および外側の反管腔側の表面とを有する血管移植片をより圧力の高い 血管における前記開口部とより圧力の低い血管における前記開口部との間に介在 させるように接続することによって、より圧力の高い血管からより圧力の低い血 管に前記連続した通路を通る血液の流れを供給するステップと、 c. 流れの絞りを用いて前記連続した通路における前記血液の流れを絞るス テップと、さらに、 d. 前記移植片と共に取り込まれて前記血管移植片に対する生物学的反応を 調整するように作用する生体物質を供給するステップと、 を含むことを特徴とする方法。 46. 例えば、アテローム性動脈硬化症または外傷の結果として生じた不適切 な灌流のために、血液の流れを必要とする動脈のような血管に、血液の流れを提 供する方法において、 a. 大動脈または大腿動脈、あるいは心室のような、より高い圧力の供給血 管に少なくとも一つの開口部を、また大静脈、大腿静脈、心房、または肺動脈の ようなより低い圧力の受入血管に少なくとも一つの開口部を形成し、さらに冠状 動脈または頚骨動脈のような血液の流れを必要とする血管に少なくとも一つの開 口部を形成するステップと、 b. より圧力の高い血管における前記開口部と、より圧力の低い血管におけ る前記開口部とを、壁構造、血液と接する表面および外側の反管腔側の表面を有 する血管移植片をより圧力の高い血管における前記開口部とより圧力の低い血管 における前記開口部との間に介在させるように接続させることによって、より圧 力の高い血管からより圧力の低い血管への連続した通路を供給するステップと、 c. 流れの絞りを用いて前記連続した通路内の流れを絞るステップと、 d. 前記流れの絞りの上流の前記連続した通路において少なくとも一つの開 口部を作るステップと、 e. 血液を必要とする血管の前記開口部と、前記流れの絞りの上流の前記連 続した通路の前記開口部とを接続するステップと、 f. 前記連続した通路を介したより高い圧力の供給血管との連通により、血 液を必要とする血管へ、必要とされる血液の流れを供給するステップと、 g. 前記連続した通路に沿い、前記流れの絞りを通って前記圧力のより低い 受入血管内に流入する流れによって、前記連続した通路において、血液を必要と する血管によって必要とされる流量率よりも大きい流量率を維持するステップと 、 h. 前記流れの絞りの上流の前記連続した通路において十分な圧力を維持し て前記血液を必要とする血管に適切な灌流を供給するステップと、さらに、 i. 前記血管移植片と共に取り込まれる生体物質を供給するステップと、 を含むことを特徴とする方法。 47. 請求項45または46記載の方法において、 a. 前記連続した通路の前記血液と接する表面上に、前記生体物質を供給す るステップをさらに含むことを特徴とする方法。 48. 請求項45または46記載の方法において、 a. 前記血管移植片の前記壁構造に、孔および隙間を設けるステップをさら に含むことを特徴とする方法。 49. 請求項48記載の方法において、 a. 前記血管移植片の前記壁構造における少なくともいくらかの前記孔およ び隙間に前記生体物質を供給するステップをさらに含むことを特徴とする方法。 50. 請求項45または46記載の方法において、 a. 前記血管移植片の前記壁構造に、相互に連絡する孔および隙間を設ける ことにより、前記相互に接続する孔および隙間を介して前記血管移植片の前記壁 構造を通して前記血液と接する表面を前記外側の反管腔側の表面と連通させるス テップと、 b. 前記血管移植片の前記壁構造において、少なくともいくらかの前記孔お よび隙間に、前記生体物質を供給するステップと、 c. 前記血管移植片の前記壁構造における前記孔および隙間の生体物質を用 いて、前記移植片の前記壁構造を通る血液の漏出を防ぐステップと、 をさらに含むことを特徴とする方法。 51. 請求項45または46記載の方法において、 a. 前記外側の反管腔側の表面上に、前記生体物質を供給するステップをさ らに含むことを特徴とする方法。 52. 請求項51記載の方法において、 a. 外側の反管腔側の表面と連通し、前記外側の反管腔側の表面から前記孔 内への組織の内殖(ingrowth)を可能にするのに十分な寸法の孔を設けるステップ と、 b. 前記孔における前記生体物質を用いて、前記孔内への組織の内殖を調整 するステップと、 をさらに含むことを特徴とする方法。 53. 請求項45または46記載の方法において、 a. 前記生体物質に、組織細胞を供給するステップをさらに含むことを特徴 とする方法。 54. 請求項45または46記載の方法において、 a. 前記生体物質に、内皮細胞を供給するステップをさらに含むことを特徴 とする方法。 55. 請求項45または46記載の方法において、 a. 前記血液と接する表面と連通し、前記血液と接する表面から前記孔内ヘ の組織細胞の通過を可能にするのに十分な寸法の孔を設けるステップと、 b. 前記生体物質に、内皮細胞を含ませるステップと、 c. 前記孔に前記内皮細胞を供給することにより、前記内皮細胞が前記孔と 連通する前記血液と接する表面に移動および増殖することを可能にするステップ と、 をさらに含むことを特徴とする方法。 56. 請求項45または46記載の方法において、 a. 前記血管移植片と共に取り込まれた前記生体物質を用いて、前記連続し た通路における血栓を減少させるステップをさらに含むことを特徴とする方法。 57. 請求項45または46記載の方法において、 a. 前記血管移植片と共に取り込まれた前記生体物質を用いて、前記血管移 植片の迅速な組織の取り込みおよび治癒を促進するステップをさらに含むことを 特徴とする方法。 58. 請求項45または46記載の方法において、 a. 前記血管移植片と共に取り込まれる前記生体物質を用いて、前記血液と 接する表面上の安定した組織層の確立を促進するステップをさらに含むことを特 徴とする方法。 59. 請求項45または46記載の方法において、 a. 前記流れの絞りの表面において、前記血液と接する表面を滑らかさを与 えることにより前記流れの絞りにおける前記血液と接する表面上の血小板のよう な身体の物質の蓄積を回避しやすくなるようにするステップをさらに含むことを 特徴とする方法。 60. 請求項45または46記載の方法において、 a. 前記絞りを付けられた連続した通路を用いて、血栓形成の傾向を減少さ せるステップを含むことを特徴とする方法。 61. 請求項45記載の方法において、 a. 前記連続した通路を用いて治療処置のための血液のアクセスを得るステ ップをさらに含むことを特徴とする方法。 62. 請求項45または46記載の方法において、 a. 前記流れの絞りをより圧力の低い血管の近傍に位置させて、前記連続し た通路の大部分を、よじれを回避するのに役立つことが可能なより高い圧力下に 置くステップをさらに含むことを特徴とする方法。 63. 請求項45または46記載の方法において、 a. 前記連続した通路の少なくとも一部のつぶれや損壊を防ぐ作用をする支 持手段を設けるステップをさらに含むことを特徴とする方法。 64. 請求項45または46記載の方法において、 a. 前記圧力のより低い血管への接続部の形状に整合した広がりを有する支 持手段を設けることにより、前記圧力のより低い血管への接続部の損壊の防止を 助けるステップをさらに含むことを特徴とする方法。 65. 請求項45または46記載の方法において、 a. 前記流れの絞りを調整して、流量率および圧力のような所望の流れの特 性を得るステップをさらに含むことを特徴とする方法。 66. 請求項45または46記載の方法において、 a. 前記流れの絞りの位置を調整するステップをさらに含む方法。 67. 請求項46記載の方法において、 a. 前記生体物質を用い、前記移植片によって供給された組織の生物学的環 境を改善させるステップをさらに含むことを特徴とする方法。 68. 冠状動脈のような血管へ血液の流れを供給する方法において、 a. 大動脈のようなより高い圧力の供給血管に開口部を形成し、また大静脈 のようなより低い圧力の受入血管に開口部を形成し、さらに冠状動脈のような血 液の流れを必要とする少なくとも一つの血管に少なくとも一つの開口部を形成す るステップと、 b. より圧力の高い血管における前記開口部と、より圧力の低い血管におけ る前記開口部とを、壁構造、血液と接する表面、および外側の反管腔側の表面を 有する血管移植片を、より圧力の高い供給血管における前記開口部と、より圧力 の低い受入血管における前記開口部との間に介在させるように接続することによ り、より圧力の高い供給血管からより圧力の低い受入血管への血液の流れのため の連続した通路を作るステップと、 c. 流れの絞りを用いて前記連続した通路内の流れを絞るステップと、 d. 前記圧力のより高い供給血管と前記流れの絞りとの間の前記連続した流 れにおいて、少なくとも一つの上流の開口部を作るステップと、 e. 血液を必要とする血管の前記開口部と、前記連続した通路の前記上流の 開口部とを接続するステップと、 f. 前記連続した通路を介したより高い圧力の供給血管との連通により、血 液を必要とする血管へ、必要とされる血液の流れを供給するステップと、 g. 前記連続した通路に沿い、前記流れの絞りを通った前記圧力のより低い 受入血管内に流入する流れによって、前記連続した通路において、血液を必要と する血管に必要な流量率よりも大きい流量率を維持するステップと、 h. 前記血液を必要とする血管に適切な灌流を提供するために十分な圧力を 前記連続した通路における前記上流の開口部において維持するステップと、さら に、 i. 前記血管移植片と共に取り込まれる生体物質を供給するステップと、 を含むことを特徴とする方法。 69. 請求項68記載の方法において、前記生体物質が内皮細胞を含むことを 特徴とする方法。 70. 請求項68記載の方法において、前記より圧力の高い血管が大腿動脈で あり、前記より圧力の低い血管が大腿静脈であり、さらに前記血液を必要とする 血管が膝窩動脈であることを特徴とする方法。
JP10517763A 1996-10-07 1997-10-06 血管移植片 Pending JP2001502205A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US72975396A 1996-10-07 1996-10-07
US08/729,753 1996-10-07
PCT/US1997/018311 WO1998015237A1 (en) 1996-10-07 1997-10-06 Vascular graft

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001502205A true JP2001502205A (ja) 2001-02-20

Family

ID=24932466

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10517763A Pending JP2001502205A (ja) 1996-10-07 1997-10-06 血管移植片

Country Status (5)

Country Link
EP (1) EP0957822A4 (ja)
JP (1) JP2001502205A (ja)
AU (1) AU4814897A (ja)
CA (1) CA2264695A1 (ja)
WO (1) WO1998015237A1 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012527281A (ja) * 2009-05-19 2012-11-08 バスキュラー フロー テクノロジーズ リミテッド 血管移植片
JP2013144158A (ja) * 2006-09-21 2013-07-25 Tissue Genesis Inc 細胞送達用マトリックス

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2426819A1 (en) * 2000-10-30 2002-05-10 Children's Medical Center Corporation Tissue-engineered vascular structures
US10888414B2 (en) 2019-03-20 2021-01-12 inQB8 Medical Technologies, LLC Aortic dissection implant

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4546499A (en) * 1982-12-13 1985-10-15 Possis Medical, Inc. Method of supplying blood to blood receiving vessels
DE3478192D1 (en) * 1983-06-06 1989-06-22 Kanegafuchi Chemical Ind Artificial vessel and process for preparing the same

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013144158A (ja) * 2006-09-21 2013-07-25 Tissue Genesis Inc 細胞送達用マトリックス
JP2012527281A (ja) * 2009-05-19 2012-11-08 バスキュラー フロー テクノロジーズ リミテッド 血管移植片

Also Published As

Publication number Publication date
AU4814897A (en) 1998-05-05
EP0957822A1 (en) 1999-11-24
CA2264695A1 (en) 1998-04-16
EP0957822A4 (en) 2001-04-11
WO1998015237A1 (en) 1998-04-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU572819B2 (en) Vascular graft and blood supply method
JP3748881B2 (ja) 多孔度の調節された移植可能な第一内腔装置
Jonas et al. A new sealant for knitted Dacron prostheses: Minimally cross-linked gelatin
JP3995057B2 (ja) 血液透析用血管アクセスシステム
US9421084B2 (en) Stent
JP2021058668A (ja) 血管移植片およびその開存性を維持する方法
JP2013056202A (ja) 血管アクセスを強化するための方法および組成物
JPH11513284A (ja) 皮下に移植されるカニューレ及び動脈へのアクセス方法
JPH04242642A (ja) ハイブリッド人工血管及びその製造方法
JP2001502205A (ja) 血管移植片
JP2003526386A (ja) 中空器官または脈管の自己上皮化または内皮化
Matsuda et al. Newly designed compliant hierarchic hybrid vascular grafts wrapped with a microprocessed elastomeric film—I: Fabrication procedure and compliance matching
Ota Towards an ideal polyurethane graft for hemodialysis
DRASHER et al. Venturi grafts for hemodialysis access
CN113017914B (zh) 一种防止覆膜支架出入口内膜增生的外周血管复合支架
Harloff Are Biomaterials the Limiting Factor in the Progress of Arterial Prostheses?
Sauvage Advances in the development of grafts for bypass of small‐caliber arteries
Satoh et al. Clinical use of low porosity woven ultrafine polyester fiber grafts
Tizian A new microvascular substitute (inside diameter: 1 mm): Evaluation and early patency rates
GAGE et al. New developments in hemodialysis grafts
Park et al. Soft tissue replacement—II: blood interfacing implants
NAKAZONO et al. New concepts in blood access devices (preliminary study)
WO2008024224A2 (en) Arteriovenous graft blood flow controllers and methods
Gyurkó et al. Experiences obtained with polyester velour angioplasty
Tellis Recent techniques in vascular access