JP2001500062A - 物質交換カラムのための組込み物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 少なくとも１つのパッキングベッド（２０１；３０１；４０１）を有する物質交換カラムのための組込み物。パッキングベッド（２０１；３０１；４０２）は、少なくとも１つの第１のパッキングブロック(２０８；３０２；４０２)、及びこれに所属の少なくとも１つの修正要素（２０９；３０３；４０３）を有し、その際、パッキングブロック（２０８；３０２；４０２）及びこれに所属の修正要素（２０９；３０３；４０３）は、種々の液体最終分布又は系統的な多重分布を発生する。パッキングブロック（２０８；３０２；４０２）及びこれに所属の修正要素（２０９；３０３；４０３）は、パッキングブロック（２０８；３０２；４０２）によって引起こされる液相における系統的な多重分布を所属の修正要素（２０９；３０３；４０３）によるものによって、少なくとも部分的に修正するように、配置されかつ選択されている。物質交換カラムに適用した場合に、このパッキングによって上昇した分離能力が達成され、又はさらに大きな高さを有するパッキングベッドが可能である。

Description

【発明の詳細な説明】 物質交換カラムのための組込み物 技術分野 本発明は、カラム組込み物とも称する物質交換カラムのための組込み物に関す る。とくに本発明は、液体の及びガス−又は蒸気状の相の間の物質交換に使われ る組込み物に関する。 従来の技術 カラム組込み物は、熱分離技術及び混合技術において、２つの流体相の間の物 質−及び熱交換のために多様に適用される。これらのカラム組込み物は、分離− 又は混合組込み物としてカラム及び類似の装置内に組込むことができ、これらの 装置は、とりわけ蒸留、精留、収着、反応又は抽出のために利用される。液体の 及びガス−又は蒸気状の相の間の熱−又は物質交換の際に、組込み物の目的は、 ガス又は蒸気、及びガス−又は蒸気流のカラムを通るものと反対の方向に又は同 じ方向に流れる液体を、カラム横断面にわたって均一に分配し、かつ物質−又は 熱交換のためにできるだけ大きな液体表面積を提供することにある。カラム組込 み物として底部及び／又はパッキングが利用される。古典的な底部カラムに対し て、パッキングされたカラムは、すなわちその組込み物がパッキングからなるカ ラムは、とくにカラムを介する圧力損失、生産量、したがって壊れやすい物質の わずかな熱応力に関しても特別の利点を提供する。投資コストに関してパッキン グされたカラムは、底部カラムと比較して、小さな必要構成容積に基づいてほと んどの場合はっきりと望ましい。 物質交換カラムのためパッキングとして、いわゆる充填部材ばら積み（無秩序 なばら積みとも称する）の他にますます構造化されたパッキング（整然としたパ ッキングとも称する）が利用される。蒸留カラムに利用する際に、構造化された パッキングは、充填部材ばら積みに対してと りわけ分離能力及び大きな直径を有するカラムに対する尺度拡大に関する利点を 有する。 構造化されたパッキングは、その構造に基づいて、“畳まれた表面”タイプと “格子パッキング”タイプにさらに細分化することができる。畳まれた表面のタ イプのパッキングは、ジグザグ状に畳まれた薄板、いわゆるプリーツを付けられ たマットを有し、これらのマットは、軸線方向に対して平行な組込み物としてカ ラム内に挿入されており、かつこれらのパッキングは、その構造により、ガス− 又は蒸気流及び液体流に、それぞれ１つのパッキング要素に対してカラムの横断 面投影において認めることができる１つの優先方向だけを与える。畳まれた表面 のタイプの典型的な構造化されたパッキングは、ドイツ連邦共和国特許第２６０ １８９０号明細書に示されている。 それに対して格子パッキングのタイプの構造化されたパッキングは、格子状の 開いた構造を有し、かつ格子要素（積層板又は部分面）は、網−、格子−又はベ ンチレータ状の形に配置されている。格子要素は、交差−又は結節位置において 結合されており、その際、２−または３次元の形の配置が可能である。格子パッ キングのタイプの構造化されたパッキングは、その構造により、ガス−又は蒸気 流及び／又は液体流に、それぞれ１つのパッキング要素に対してカラムの横断面 投影において認めることができる１つより多くの優先方向を与えることができる 。格子パッキングの適当な構成又は構造化の際、このパッキングタイプを構成す るためにプリーツを付けられたマットも利用することができる。格子パッキング のタイプの典型的な構造化されたパッキングは、ヨーロッパ特許第０６９２４１ 号明細書に記載されたパッキングであり、このパッキングは、商品名“ロンボパ ック”として販売される。 畳まれた表面のタイプの構造化されたパッキングは、格子パッキングのタイプ のものに対して、パッキングの簡単な製造様式の利点を有する。ただしこれに対 して、畳まれた表面のタイプの構造化されたパッキング において、関連する表面（閉じた構造）に基づいて、格子パッキングに比較して パッキング表面のわずかな濡れ、したがって物質−又は熱交換のための小さな液 体表面積しか達成されないという欠点が対立している。それ故に格子パッキング のタイプの構造化されたパッキングを装備した分離カラムは、畳まれた表面のタ イプのパッキングを装備する分離カラムによるものよりも分離能力におけるさら に高い効率を達成することができる。 ただし高度な純度の要求を有する用途において、工業的な慣習においてパッキ ングされた精留カラムの使用は、まだ抵抗に突き当たる。なぜなら充填部材ばら 積みに対しかつ構造化されたパッキングに対して、とくに液相の多重分布の問題 が生じるからである。多重分布は、初めに均一にカラムの横断面にわたって分配 された液体流が、パッキングの通過の後に、不均一な分布を有することによって 現われる。しかしながら分離作用の品質は、流れ経路に沿ったカラム内部空間の 全横断面にわたるガス又は蒸気及び液体の分配の均一度、及びその混合の強さに 依存している。液体−及び蒸気流における生じた不均一分配は、２つの異なった 様式の多重分布に細分化することができる。統計的な多重分布は、小さな空間の （ランダムな）不均一分布を表わす。しかしさらに大きな面範囲にわたって、分 布は補償されている。それに対して系統的な多重分布は、カラム横断面に関して 大きな面積の誤った分布を特徴づけている。工業的な実現性において、系統的な ものに常に統計的な多重分布が重畳されている。 統計的な多重分布の特殊な形は、パッキングベッド上における液体の不十分な 粗くしか行なわれない分配である。大きな面積において、液体流は均一に分配さ れ、すなわち使用された液体分配器によって発生され、所定の数の同じ及び均一 に分配された液体部分流に分配される。しかし小さな面積において、不均一分配 が生じ、すなわち液体供給のない面範囲、及び分配器の液体流が生じるようなも のが生じる。液体の不十分な 予備分布の形のこのような統計的な多重分布は、高価な分配器又は追加的な分配 補助手段によって改善することができる。 ドイツ連邦共和国特許第４４１８４８８号明細書によれば、カラム壁の範囲に おいて液体及び蒸気の増強した流れを設定し、充填部材ばら積み又はパッキング の縁層がわずかな抵抗を提供するので、系統的な多重分布の特殊な形としていわ ゆる縁流通を設定することが公知である。それ故にこれらの範囲において、液体 は、物質交換に不十分にしか関与しない。マーチン ガン他の論文“Ｐｒｏｂｌ ｅｍｅ ｕｎｄ Ｅｒｆａｈｒｕｎｇｅｎ ｂｅｉ ｇｒｏｓｓｔｅｃｈｎｉｓ ｃｈｅｎ Ｐａｃｋｕｎｇｓｋｏｌｏｎｎｅｎ、Ｃｈｅｍ．−Ｉｎｇ．−Ｔｅｃ ｈ.、６４(１９９２)、第１号、第６−１６頁によれば、構造化されたパッキン グは、その構造に基づいて、充填部材ばら積みよりも系統的な多重分布のわずか な危険を有するが、それにもかかわらずこれらは、以前に仮定したように自己分 配しない。 分離作用のために、とくに液体−及び蒸気流内における系統的な多重分布は有 害である。なぜならカラム横断面にわたる十分な混合が保証されていないからで ある。それに対して統計的な多重分布の際、多かれ少なかれはっきりした横断混 合は、不利な作用を継続的に補償しかつ相殺することができる。 とりわけドイツ連邦共和国特許第４４１８４８８号明細書からも明らかなよう に、多重分布に対する慣用の補助手段としてのパッキング製造器によって、液体 を多重に収集しかつ中間分配器を介してこれを再分配することは推奨される。そ のためにパッキングは、複数のベッドに細分化され、これらのベッドの間に液体 収集器及び中間分配器が配置される。この処置は、前記両方の種類の多重分布に とって有意義であるが、主として系統的な多重分布を除去するために有意義であ る。しかしながら液体収集器及び分配器を利用する際、そのコスト及びカラムの 拡大される全高は、不利とわかった。 前記の高価な収集器及び中間分配器を避けるために、液体の収集及び再分配の 機能を含む分配要素を使用することが、すでに試みられている。米国特許第５５ ２３９６２号明細書（Ｃｈｅｍｉｃａｌ Ｒｅｓｅａｒｃｈ ＆ Ｌｉｃｅｎｃ ｉｎｇ Ｃｏｍｐａｎｙ）は、触媒蒸留カラムにおけるガス−及び液体流の一様 な再分配に適したこのような組合わせ分配要素に関する。ジグザグ状の分配要素 は、パッキング要素の間に横向きに配置されており、その際、ガス及び液体のた めの流通開口は、もっぱらジグザグ構造の尖端に配置されている。しかしながら このような組合わせ再分配器は、それほど有効ではないとわかった。一方におい て液体は、完全には混合せず、他方においてほぼ均一な分配すらもほとんど達成 できない。 統計的多重分布を改善しかつ補償するために、パッキングベッドの両方の境界 （上及び下）にではあるが、パッキングベッドの間にも分配要素を配置すること が、すでに提案されている： ・米国特許第４８４２７７８号明細書（Ｇｌｉｔｓｃｈ Ｉｎｃ.）に、パッ キングベッドの上及び下端部にわずかな高さのそれぞれ３つの分配要素を配置す ることが提案されており、これらの分配要素の１次的な機能は、ガス−及び液体 流のための初期分配の改善にある。分配要素は、パッキングタイプ“畳まれた表 面”からなる。これらは、液体及び蒸気の均一なかつ統一された分配を増強する ために、パッキングベッド内に配置することもできる。それどころか分配要素を 多数配置することによって、分離した液体−及び蒸気分配器の除去を行なおうと する。 ・ソ連国特許第１６８１９２４号明細書（Ｓｔｙｔｓｅｎｋｏ）において、液 体流の均一化のためにパッキングの初めに１つ又は複数の分配要素（又は分配変 更パッケージ）を、液体分配器の直後であるが、パッキングベッド内にも配置す ることが示されている。それにより分配器の後における液体の２次的な分配、及 び局所的な不均一（統計的な多重分布）の回避が目的とされている。ここでもパ ッキング及び分配変更パッ ケージにおいて、パッキングタイプ“畳まれた表面”が問題になっている。 ドイツ連邦共和国特許第４４１８４８８号明細書において、とくに縁流通の形 で系統的な多重分布の問題に打勝つ改善された解決策として、後続のパッキング ベッドによって引起こされる系統的な液相の多重分布を補償するために、カラム 横断面にわたって、液体分配器の相応する構成によって液体散布密度の意図した 不等分配が設定される方法及び装置が提案されている。しかしながら本発明の出 願人による詳細な調査及び膨大な研究は、ドイツ連邦共和国特許第４４１８４８ ８による解決策では系統的な多重分布の問題は解決されず、局所的に移動される だけであることを示した。パッキングベッドの上端部において液体散布密度の意 図した不等分配を行なわないと、液体分配の均一度は、上側において良好であり 、かつ下側において粗悪であるが、一方液体散布密度の意図した不等分配は、こ の時に液体分配の均一度が上側において粗悪であり、かつ下側において良好にな ることを引起こす。 ＰＣＴ第ＷＯ９７／１６２４７号明細書（Ｓｕｌｚｅｒ）に、蒸気流における 圧力損失を減少するために、隣接するパッキング要素を互いに間隔を置いて配置 し、かつ隣接するパッキング要素の間の中間空間に、いわゆる流体案内手段を配 置することが示されている。それにより液体の管理された流出、及びその下にあ る次のパッキングへの案内が目的とされているだけである。とくにそれぞれその 上のパッキングのその下のパッキング縁における液体の収集、及びあらゆる場合 にそれにより発生する誤り分配を避けるようにする。 さらに前に述べたマーチン、ガン他による論文によれば、いわゆる“スケール アップ”の際、すなわち実験室−又はパイロット尺度から大工業的な尺度へカラ ムを拡大する際に、系統的な多重分布の問題は、尖鋭化される。なぜなら充填部 材ばら積み及び構造化されたパッキングに、古典的なカラム底部が有するような 正確に定義された液体案内が欠けてい るからである。実験室−又はパイロットカラムから大工業的な精留カラムに“ス ケールアップ”する際、とくに充填部材ばら積みの分離能力の評価が、困難を引 起こす。なぜなら通常ここでは別の充填部材寸法が使用されるからである。構造 化されたパッキングの際、問題は減少されるが、基本的にいぜんとして存在する 。 発明の説明 本発明の課題は、従来周知のパッキングにおいて生じる系統的な多重分布の現 象に関連する欠点を回避し、かつそれにより高い分離能力を有する高度なパッキ ングベッドを可能にする、材料交換カラムのための組込み物を提供することにあ る。 課題の解決策は、請求の範囲第１項の対象である。 材料交換カラムのための本発明による組込み物は、少なくとも１つのパッキン グベッドからなり、このパッキングベッドは、少なくとも１つの第１のパッキン グブロック、及びこれに所属の少なくとも１つの修正要素を有し、その際、この 第１のパッキングブロック及びこれに所属の修正要素は、異なった液体最終分布 を、すなわち異なった系統的な多重分布を発生し、かつパッキングブロック及び これに所属の修正要素は、パッキングブロックによって引起こされる液相の系統 的な多重分布が、所属の修正要素のものによって少なくとも部分的に修正される ように配置され、かつ選択されている。 本発明は、一方においてカラムパッキングにおいて(とくに充填部材ばら積み の際であるが、構造化されたパッキングの際にも)、所定のパッキング高さにし たがって、おそらく程度においてなお変化することがあるがその基本的なパター ンについては変化することがない液体に対する特徴的な分配が（カラムパッキン グに対して特徴的な最終分布）が設定されるという周知の事実に基づいている。 初めに導入された用語によれば、特徴的な最終分布において、系統的な多重分布 が問題になっている。他方において本発明は、これまで専門分野に普及していた 見解に反して、 タイプ、格子パッキングの構造化されたパッキングにおいてカラム壁の範囲に、 別のパッキングタイプにおけるような増強された液体流、いわゆる縁流通ではな く、弱められた液体流、いわゆる縁空乏が設定されるという新しい知識を前提と している。 次の説明及び請求の範囲において、カラム組込み物の種々の部分に対して種々 の概念が利用され、これらの概念の意味は、次に明確にしかつ相互に区切るため に説明する： ・パッキング要素として、カラムの直径を有するパッキングの一般に円筒形の 要素が示され、この要素は、通常２００ないし２５０ｍｍの標準高さで製造され る。 ・パッキングブロックにより、１つ又は同じタイプの直接上下に配置された複 数のパッキング要素からなる連続が示される。さらに後に定義するパッキングベ ッドとは相違して、パッキングブロックは、別のタイプのパッキング要素によっ て又は液体のための案内要素によって中断されていない。 ・パッキングタイプとは、パッキングブロック又はパッキング要素のの（統一 的な）タイプであり、例えば充填部材ばら積み、格子パッキング、畳まれた表面 等のことである。 ・液体のための案内要素として、カラムの直径を有する一般に円筒形の要素が 示され、この要素の主役割は、カラム内における液相の案内であり、すなわちそ の流通の後における正規の固有の液体分布の、ときには意図した系統的な多重分 布の発生である。それに反してパッキング要素の主な役割は、できるだけ大きな 物質交換面積の提供、及び均一に分配される液体−及び蒸気流の維持にある。 ・修正要素は、カラムを通って流れる液相の系統的な多重分布を固有の液体最 終分布又は意図した系統的な多重分布を発生することによって修正する要素であ り；これは、パッキングブロック又は液体用案内要素からなることができる。 ・パッキングベッドとして、少なくとも１つのパッキングブロック及び選択的 に互いに上下に配置された別のパッキングブロック、及び／又は修正要素からな る連続が示され、この連続は、液体収集器によって中断されていない。したがっ てパッキングベッドは、異なったパッキングタイプのパッキングブロック及び液 体のための案内要素を有することができる。 ・カラム組込み物によって、１つ又は互いに上下に配置された複数のパッキン グベッドからなる連続が示される。 本発明のきわめて簡単な構成において、修正要素は、液体のための案内要素だ けからなる。液体のための案内要素は、きわめて小さな全高を有するように構成 することができるので、本発明のこの構成は、パッキングの全高に比較して修正 要素の高さが小さいという利点を有する。案内要素の可能なきわめて簡単な構成 は、液体をカラム壁から離れるように又はその方に案内する同心的な円錐形の面 の配置である。このようにしてパッキングの縁流通又は縁空乏を修正することが 可能である。 本発明のとくに有利な構成において、第１のパッキングブロックに所属の修正 要素は、別のパッキングブロックからなり、その際、修正要素の第１のパッキン グブロックと別のパッキングブロックは、異なったパッキングタイプのものであ る。本発明のこの構成は、全パッキングベッドが物質交換に適し、かつそのため に構成されており、修正要素のために非生産的な高さが浪費されることはない。 液体のための案内要素と比較して、この構成ははっきりとしたコスト上の利点を 有する。有利なように、両方のパッキングブロックのうちの一方において縁流通 が生じ、かつ他方において液体流の縁空乏が生じるように、所属の修正要素の第 １のパッキングブロックと別のパッキングブロックは、そのパッキングタイプに 関して選択されており：したがって系統的な多重分布の互いに逆の２つの特殊な 形が生じる。このことは、次のような場合である。すなわち第１のパッキングブ ロックに対して、格子パッキングのタイプの パッキング要素が、かつ所属の修正要素の別のパッキングブロックに対して、畳 まれた表面又は充填部材ばら積みのタイプのパッキング要素が選択され、又はそ の逆に選択される。 なるべく第１のパッキングブロック（主パッキング部分）のタイプのパッキン グブロックの全高は、別のパッキングブロック（修正パッキング部分）のタイプ のパッキングブロックのものを、はっきりと越えている。本発明のこの構成は、 修正パッキング部分のパッキングタイプが、主パッキング部分のパッキングタイ プに対して、例えば製造コストに関して又は分離能力の効率に関して欠点を有す るときに、とくに有利とわかった。修正パッキング部分の欠点は、主パッキング 部分と比較して修正パッキング部分の小さな全高の際に、全パッキングベッドに あまり強力に作用しない。ただし修正パッキング部分の全高及び主パッキング部 分におけるその配置は、成立する系統的な多重分布ができるだけ十分に補償され るように選択しなければならない。本発明の有利な構成において、主パッキング 部分は、少なくとも修正パッキング部分の３倍の高さを有するが；なるべく修正 パッキング部分の６ないし１０倍の高さを有し、その際、高いパッキングベッド において、主パッキング部分は、修正パッキングの複数のブロックによって細分 化されている。 本発明のとくに有利な構成において、主パッキング部分は、格子パッキングの タイプのものであり、かつ修正パッキング部分は、畳まれた表面のタイプのもの である。なぜならこの場合、両方とも構造化されたパッキングタイプだからであ る。このことは、例えば精留カラムにおける用途において、高い分離能力に、か つ大きな生産量に通じる。本発明のこの構成は、ガス−又は蒸気流に関してとく に有利とわかった。なぜなら一方において格子パッキングのタイプのパッキング ブロック（及び充填部材ばら積みのタイプのもの）は、ガス流の均一化を生じ、 したがってガス流のための整流器として作用し、かつ他方において畳まれた表面 のタイプのパッキングブロックは、ガス流における混合作用を高めるか らである。それにより分離能力への多重分布の有害作用が、同様に減少される。 全パッキングベッドの液圧容量が修正要素のものによって制限されないように するため、第１のパッキングブロックとその所属の修正要素が、大体において同 じ液圧容量（高水位点又は高水位線として表現して）を有することは、さらに有 利である。類似の理由により、精留−又は吸収カラムのための用途において主パ ッキング部分及び修正パッキング部分を有する構成の場合、修正パッキング部分 の特性が、分離能力及び圧力損失に関して著しく主パッキング部分のものと相違 しないと有利である。それ故に前記のとくに有利な構成において、修正パッキン グ部分は、主パッキング部分とほぼ同じパッキング面積比（すなわちほぼ同じパ ッキング密度）を有する。 本発明の別の有利な構成において、第１の及び／又は別のパッキングブロック の少なくとも一方は、その構造によりガス−又は蒸気流の及び／又は液体流に、 カラムの水平横断面投影内に認めることができる優先方向を明確に現わす様式の パッキング要素からなり、その際、このブロックのパッキング要素は、垂直に連 続して所定の角度だけ、カラム軸線の回りで互いに旋回して配置されている。格 子パッキングのタイプの主パッキング部分と畳まれた表面のタイプの修正パッキ ング部分とを有する本発明のさらに前に述べたとくに有利な構成において、パッ キングブロックは、２つのパッキング要素からなり、これらのパッキング要素は 、なるべく９０°だけ、カラム軸線の回りで互いに旋回して配置されている。 とりわけ投資コストに関して魅力的な別の構成は、主パッキング部分としての 充填部材ばら積みを修正パッキング部分としての格子パッキングと組合わせるこ とにある。このことは、とりわけ簡単な分離の問題又は固体を含む汚れた液体の 際にも、大きなカラム直径及び高められたパッキングベッドの場合でさえ、充填 部材の利用を可能にする。 本発明の前記の構成の他に、個々のパッキングタイプの異なった液体最終分布 の適当な組合わせによって、パッキングブロックによって生じる液体の系統的な 多重分布を減少するために、用途に応じて種々のパッキングタイプのパッキング ブロックの別の有利なサンドイッチ組合わせが可能である。とくに格子パッキン グのタイプのそれぞれ２つのパッキング要素及びほぼ同じ高さを有する畳まれた 表面のタイプの２つのパッキング要素の交互の順序も、述べる価値がある。最後 にそれぞれ１つだけのパッキング要素の交互の順序を使用することも、考えるこ とができる。このことは、液体最終分布に関して異なったパッキングタイプが、 実際に分離能力、圧力損失及び容量に関して同じ能力値を有するときに表示され ている。 次の詳細な説明は、添付の図面に関連して例としてのみ、本発明の一層良好な 理解のために使われ、かつ請求の範囲に定義されたような本発明の保護範囲を制 限するものと解すべきではない。添付の図面に関連した次の説明及び請求の範囲 の全体から、専門家には別の有利な構成及び特徴組合わせがわけなく気付くこと ができるが、これらは、いぜんとして本発明の範囲内にある。 図面の簡単な説明 図面は、周知の従来の技術による物質交換カラム及び本発明の実施例を示して いる。ここでは： 図１は、周知の従来の技術による物質交換カラムを示し； 図２ａは、種々のパッキングタイプにおけるカラム直径に沿った液体負荷の概 略的な表示を線図の形で示し（特徴的な液体最終分布又は系統的な多重分布）； 図２ｂは、カラム直径に沿った統計的な液体最終分布の表示を示し； 図３は、格子パッキングのタイプの主パッキング部分及び畳まれた表面のタイプ の修正パッキング部分からなる本発明のとくに有利な構成による物質交換カラム のための組込み物の部分図を示し； 図４は、格子パッキングのタイプのそれぞれ２つのパッキング要素及び同じ高 さを有する畳まれた表面のタイプの２つのパッキング要素の交互の順序からなる 本発明の別の構成による物質交換カラムのための組込み物を示し； 図５は、充填部材ばら積みのタイプの主パッキング部分及び格子パッキングの タイプの修正パッキング部分からなる本発明の別の有利な構成による物質交換カ ラムのための組込み物の部分図を示している。 図において基本的に同じ部分は、同じ参照符号を備えている。 発明の詳細な説明 図１は、従来の技術によるパッキングベッド１、１１、２１に細分化されたカ ラム組込み物を有する蒸留又は精留に適した物質交換カラム−すなわち蒸留カラ ム−を示している。構造化されたパッキングの場合、パッキングベッド１、１１ 、２１は、互いに上下に配置された個々のパッキング要素からなる。液体入口２ を通して分離すべき液体が、蒸留カラム内に供給される。流入物は、その上にあ るパッキングベッド１から流出する液体とともに、液体分配器１６によってカラ ム又はそのパッキングベッド１１の横断面にわたって均一に分配される。液体は 、カラム内部空間におけるパッキングベッド１１、２１を通って下方へ液体出口 ４の方向に流れ、この液体出口を通って液体は、沸騰しにくい成分を濃厚化して 、サンプ生成物として蒸留カラムから流出する。パッキングベッド１１、２１に おいて液相は、ガス−又は蒸気相に密に接触し、この相は、サンプ生成物の一部 の蒸発によって発生し、かつガス−又は蒸気入口３を通ってカラム内に、パッキ ングベッド２１、１１、１を通って上方に、かつガス−又は蒸気出口５を通って カラムから外へ流れ、蒸発しやすいものにより濃厚化されている。精留の際、ガ ス−又は蒸気出口５を通って流出する頂部生成物の一部は、凝縮され、かつ帰還 物８として改めてカラム内部空間内に導かれ、ここにおいてこれらは、液体分配 器６によってパッキングベッド１の横断面にわたって均一に分配され、 かつパッキングベッド１を通って下方へ流れる。 パッキングによって引起こされる多重分布に、とくに系統的なものに抗する補 助手段として、かつ流入物２を分配するために、カラムの組込み物は、複数のパ ッキングベッド１、１１、２１に細分化されている。それぞれのパッキングベッ ド１、１１（いちばん下のものは除く）の下端部において、液体は、液体収集器 ７、１７によって収集され、かつ少なくとも次のパッキングベッド１１及び２１ の上端部において蒸留にとって最適な均一な液体分布が存在するようにするため 、液体分配器１６、２６を介して改めてカラム又はパッキングベッド１１及び２ １の横断面にわたって均一に分配される。 液体が、液体分配器６、１６、２６の下のパッキングベッド１、１１、２１に おいて所定の距離を進むとすぐに、これは、パッキングベッド１、１１、２１の 作用に基づいて、もはやカラム横断面にわたって完全に均一には分配されておら ず、このことは、蒸留カラムの分離能力に不利に作用する。多重分布のこの現象 は、種々のパッキングタイプに対して図２ａ及び２ｂに概略的に示されている。 図２ａ及び２ｂの線図において、ｙ方向に物質交換カラムを通る直径（ｘ方向に 記入された）に沿った場所に関する液体負荷が記入されている。図２ａの線図は 、それぞれのカラムパッキングに対して特徴的なさらに前に述べた最終分布又は 系統的な多重分布を示している。曲線１１１は、充填部材ばら積みのタイプパッ キングベッドに関する線図を、曲線１１２は、畳まれた表面のタイプのパッキン グベッドに関する線図を、かつ曲線１１３は、格子パッキングのタイプのパッキ ングベッドに関する線図を示している。線図１１１及び１１２によれば、充填部 材ばら積み及び畳まれた表面のタイプのパッキングベッドにおける液体の系統的 な多重分布は、縁流通の形に現われることが明らかであり、その際、充填部材ば ら積みのタイプにおける縁流通は、畳まれた表面のタイプにおけるものよりもは るかにはっきりとしている。線図１１３によれば、格子パッキングのタイプのパ ッキン グベッドにおける液体の系統的な多重分布は、縁空乏の形に現われることがわか る。パッキングの高さを適当に選択した際、縁空乏の程度は、畳まれた表面のタ イプにおける縁流通の程度（逆の符号を有する）にほぼ一致する。図２ｂは、同 様な形で、統計的な多重分布を示している。一層大きな部分範囲にわたる液体負 荷の平均化の際に、結果として均一な分布が得られることが、表示から直接明ら かである。 本発明のとくに有利な構成による図３に示されたパッキングベッド２０１の部 分図において、格子パッキングのタイプ及び畳まれた表面のタイプのパッキング の図２ａから認めることができる特性が利用される。本発明のこの構成によるパ ッキングベッド２０１は、格子パッキングのタイプの第１のパッキングブロック ２０８、それに続いて畳まれた表面のタイプのパッキングブロック２０９、格子 パッキングのタイプのパッキングブロック２１８、畳まれた表面のタイプのパッ キングブロック２１９、及び格子パッキングのタイプのパッキングブロック２２ ８からなる。したがってパッキングベッド２０１は、ときには格子パッキングの タイプの３つのパッキングブロック（２０８、２１８、２２８）（主パッキング 部分）と畳まれた表面のタイプのその間に配置された２つのパッキングブロック （２０９、２１９）（修正パッキング部分）との連続である。 修正パッキング部分の畳まれた表面のタイプのパッキングブロック２０９、２ １９は、パッキングブロックあたりそれぞれ２つのパッキング要素からなり、こ れらのパッキング要素は、９０°だけ、カラム軸線の回りで互いに旋回して配置 されている。図３に示した蒸留カラムにおいて、修正パッキング部分は、主パッ キング部分とほぼ同じパッキング表面積比（すなわちほぼ同じパッキング密度） を有する。さらに修正パッキング部分は、主パッキング部分とほぼ同じ液圧容量 （高水位点又は高水位線として表現して）を有する。主パッキング部分は、少な くとも修正パッキング部分の３倍の高さを有するが、なるべく６ないし１０倍の 高さを有する。 図２ａから認めることができる液体最終分布に基づいて、主パッキング部分及 び修正パッキング部分によって引起こされる系統的な液体の多重分布は、かなり の程度まで補償される。本発明のこの有利な構成による蒸留カラムによる実験の 際に、パッキングベッドに対するはっきりと３０を越える理論的な分離段の分離 能力が達成された。したがって本発明によるこの装置によれば、従来の技術によ れば液体収集器及び一分配器によって追加的に細分化しなければならなかった（ 図１、下側の２つのパッキングベッド参照）多くの分離段数を有する高いベッド 高さが実現できる。 図３による蒸留カラムによる別の実験の際に、修正パッキング部分を持たない 高さ３．５ｍのパッキングベッドの分離能力が、高さ７．５ｍのパッキングベッ ドのものと比較され、このことは、一方において図３による装置と、かつもう一 方において類似ではあるが畳まれた表面のタイプパッキング要素の代わりに格子 パッキングのタイプの別のパッキング要素を使用した装置と、したがってパッキ ングが主パッキング部分と修正パッキング部分からなる代わりに１つの主パッキ ング部分だけからなる装置と比較された。実験は、修正パッキング部分なしでは 、７．５ｍの高さを有するパッキングベッドにおけるベッド高さあたりの分離能 力が、３．５ｍの高さを有するパッキングベッドと比較してはっきりと低下する が、一方修正パッキング部分を有するものが、ほぼ不変のままであり、又はわず かしか低下しないことを示した。 本発明の別の有利な構成による物質交換カラムは、図４に示されている。パッ キングベッド３０１、３１１は、それぞれ格子パッキングのタイプの２つのパッ キング要素からなるそれぞれ１つの第１のパッキングブロック３０２、３１２、 第１のパッキングブロックの要素３０２、３１２とほぼ同じ高さを有する畳まれ た表面のタイプの２つのパッキング要素からなる所属の修正要素３０３、３１３ 、それに続いて交互にそれ ぞれ格子パッキング及び畳まれた表面のタイプのパッキングブロック３０４−３ ０８、３１４−３２０からなる交互の順序からなる。 本発明の図５に示された構成による物質交換カラムは、充填部材ばら積みのタ イプの主パッキング部分の第１のパッキングブロック４０２、格子パッキングの タイプの修正パッキング部分の別のパッキングブロック４０３、及び充填部材ば ら積みのタイプの主パッキング部分の第３のパッキングブロック４０４からなる パッキングベッド４０１を有する。本発明のここに示された構成によるパッキン グベッド４０１に対する投資コストは、パッキングベッド２０１に対するものよ りも著しくわずかである。なぜなら比較的小さな修正パッキング部分４０３だけ が、格子パッキングのタイプの比較的高価なパッキング要素からなるが、一方そ れよりずっと大きな主パッキング部分４０２、４０４は、望ましいコストの充填 部材ばら積みからなるからである。 要約すれば、本発明は、物質交換カラムのための組込み物を提供し、それによ り前記のそれにより得られる利点を伴って、これまで周知のパッキングにおいて 生じる液体の系統的な多重分布の現象が著しく抑圧されることがわかった。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．少なくとも１つのパッキングベッド（２０１；３０１；４０１）が設けら れており、このパッキングベッドが、少なくとも１つの第１のパッキングブロッ ク（２０８；３０２；４０２）、及びこれに所属の少なくとも１つの修正要素（ ２０９；３０３；４０３）を有する、物質交換カラムのための組込み物において 、液相において系統的な多重分布を発生するために少なくとも１つの修正要素（ ２０９；３０３；４０３）が、この系統的な多重分布によって所属のパッキング ブロック（２０８；３０２；４０２）の別種の系統的な多重分布を少なくとも部 分的に修正するように構成されていることを特徴とする、物質交換カラムのため の組込み物。 ２．修正要素が、液体のための案内要素からなることを特徴とする、請求項１ に記載の物質交換カラムのための組込み物。 ３．第１のパッキングブロック（２０８；３０２；４０２）に所属の修正要素 （２０９；３０３；４０３）が、少なくとも１つの別のパッキングブロック（２ ０９；３０３；４０３）からなり、その際、第１のパッキングブロック（２０８ ；３０２；４０２）と別のパッキングブロック（２０９；３０３；４０３）が、 異なったパッキングタイプのものであることを特徴とする、請求項１に記載の物 質交換カラムのための組込み物。 ４．両方のパッキングブロックのうちの一方において縁流通が生じ、かつ他方 において液体流の縁空乏が生じるように、第１のパッキングブロック（２０８； ３０２；４０２）と別のパッキングブロック（２０９；３０３；４０３）が選択 されていることを特徴とする、請求項３に記載の物質交換カラムのための組込み 物。 ５．両方のパッキングブロックのうちの一方が、主としてガス又は蒸気流内に 均一化を引起こすパッキングタイプのものであり、かつ他方が、 ガス又は蒸気流に主として混合を引起こすパッキングタイプのものであるように 、第１のパッキングブロック（２０８；３０２）と別のパッキングブロック（２ ０９；３０３）が選択されていることを特徴とする、請求項３又は４に記載の物 質交換カラムのための組込み物。 ６．両方のパッキングブロックのうちの一方が、格子パッキングのタイプのも のであり、かつ他方が、畳まれた表面のタイプのものであるように、第１のパッ キングブロック（２０８；３０２）と別のパッキングブロック（２０９；３０３ ）が選択されていることを特徴とする、請求項４又は５に記載の物質交換カラム のための組込み物。 ７．第１のパッキングブロック（４０２）が充填部材ばら積みのタイプのもの であり、かつ別のパッキングブロック（４０３）が格子パッキングのタイプのも のであることを特徴とする、請求項４に記載の物質交換カラムのための組込み物 。 ８．第１及び別のパッキングブロック（２０８，２０９；３０２，３０３；４ ０３）が、その構造によりガス又は蒸気流及び／又は液体流に、カラムの水平横 断面投影内に認めることができる優先方向を明確に現わす様式のパッキング要素 からなることを特徴とする、請求項１ないし７の１つに記載の物質交換カラムの ための組込み物。 ９．優先方向を明確に現わすパッキング要素が、それぞれ９０°だけ、カラム 軸線の回りで互いに旋回して配置されていることを特徴とする、請求項８に記載 の物質交換カラムのための組込み物。 １０．第１のパッキングブロック（２０８；３０２；４０２）が、大体におい てこれに所属の修正要素（２０９；３０３；４０３）と同じ液圧容量を有するこ とを特徴とする、請求項１ないし９の１つに記載の物質交換カラムのための組込 み物。 １１．第１のパッキングブロック（２０８；４０２）のパッキングタイプのパ ッキングブロック（２０８，２１８，２２８；４０２，４０４）からなる主パッ キング部分が、別のパッキングブロック（２０９；４０ ３）のパッキングタイプのパッキングブロック（２０９，２１９；４０３）から なる修正パッキング部分を、パッキング高さに関してはっきりと越えていること を特徴とする、請求項３ないし１０の１つに記載の物質交換カラムのための組込 み物。 １２．主パッキング部分（２０８，２１８，２２８；４０２，４０４）が、修 正パッキング部分（２０９，２１９；４０３）の６ないし１０倍の高さを有する ことを特徴とする、請求項１１に記載の物質交換カラムのための組込み物。