JP2001356813A - プラント保全支援システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 複雑なプラント構造、それにともなう複雑な
図面のような条件下で、不慣れな保全管理者でも、検査
業務が容易に行えるシステムを目的とする。 【解決手段】 コンピュータを用いたプラント保全支援
システムにおいて、管理対象のプラントを自由な視点か
ら見ることができる三次元モデルにより構成し、前記三
次元モデルの当該三次元モデルと保全管理のデータベー
スとを橋渡しするための機能をメニュー上に設定し、各
部位に所定の保全管理データをリンクさせる手段を備え
たシステムとする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、各種プラントの保
全管理、安全管理を効率的に一元管理するための保全支
援システムである。より詳しくは、石油精製プラントの
ような、複雑な構成をしているプラントの保全管理シス
テムに関する。

【０００２】

【従来の技術】石油精製、石油化学、原子カプラント等
の複雑な配管、容器等を有するプラントの保全は、設備
の長期安定運転を目指して、反応器、各種塔橿類、熱交
換器などの圧力容器および配管系の各部につき、定期的
に各種の非破壊検査を実施し、設備状況の監視に努めて
いる。

【０００３】とりわけ装置の腐食、摩耗による肉厚減少
に対しては、肉厚定点測定を継続的に行い、その肉厚の
滅肉傾向から余寿命の予測などを行っている。また、製
品、原料の多様化、高負荷運転など運転の高度化、苛酷
化に対応して従来にも増して高度で、かつきめ細かい設
備保全が求められている。このため、保全業務で取り扱
うデータの量は増大の一途をたどり、膨大な量になって
きている。

【０００４】このような保全業務を支援するため、本件
出願の発明者等は、これまでに設備保全管理業務につ
き、保全技術者が診断業務の思考の流れに合わせて、検
査図面等のナビゲータ（案内画面）として、保全部位と
診断に必要な検査情報を同一画面で閲覧でき、また肉厚
定点測定、非破壊検査計画の立案から検査履歴管理まで
の各種検査業務を支援する検索システムを開発した。

【０００５】特に、このシステムの遂行に当たり、プラ
ント内の管理項目、例えば、肉厚測定箇所等を画面に表
示させるシステムの検討を進めてきた。図面等の図形を
電子化して図形データを作り、図形の各セクションに関
する情報をデータベース化して情報データベースを作
り、図形データと情報データベースを組み合わせて、情
報の検索をコンピュータ処理できるようにした検索シス
テムを開発した。

【０００６】具体的には、本出願人が既に出願した特開
平6−149953（発明の名称：指示用スイッチボタンの設
定方法）に記載されているように、図形の電子化のため
の手段とは別に指示用スイッチボタンを設定するもの
で、ソフトウエアおよび各種のメモリがスイッチボタン
設定手段として用意されている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記の特開
平6−149953の方法では、二次元の図面を用いての保全
管理を対象としており、画面の表示に際し、専門的な技
術者ならともかく、必ずしもそのようなＩＴ技術に精通
していない保全管理者にとっては、この画面表示による
検索作業は困難であった。今後、ますます複雑なプラン
ト構造、それにともなう複雑な図面が増えると考えられ
ているが、そのような条件下で、不慣れな保全管理者で
も、検査業務が容易に行えるシステムが望まれている。
本発明は、このような複雑なプラントシステムにおいて
も、熟練した技術者でなくとも、効率的に保全管理でき
るシステムを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、コンピュータを用いたプラント保全支援
システムにおいて、管理対象のプラントを自由な視点か
ら見ることができる三次元モデルにより構成し、前記三
次元モデルの当該三次元モデルと保全管理のデータベー
スとを橋渡しするための機能をメニュー上に設定し、各
部位に所定の保全管理データをリンクさせる手段を備え
たことをシステムとする。

【０００９】本発明は、管理対象のプラントを三次元モ
デルにより構成し、自由な視点から見ることができるよ
うにする。三次元モデルの各部位は保全箇所として登録
でき、各種の保全管理データをリンクさせることができ
る。三次元モデルを表示した画像の特定箇所を指示する
ことで、保全管理データを呼び出すことができる。

【００１０】すなわち、本発明は、三次元モデルと保全
管理項目とを橋渡しするための機能をメニュー画面上に
設定し、かつ、各部位に所定の保全管理データをリンク
させるシステムである。ここで、保全管理項目と三次元
モデルとを橋渡しする部位とは、図形の電子化のための
手段とリンクした属性を有するコンポーネント、具体的
には実物の元イメージが合致するエルボ、ノズルなどの
図面の一部のことを言う。

【００１１】この実物をイメージできる部位を介して、
保全管理者は保全管理データにアプローチできるため、
従来のように専門家にしか理解できなかったような、三
次元モデルビューワーの検索機能のコマンドで検索項目
を入力し、関連する保全管理データを表示しなくても、
簡単で楽な方法で検査が可能となる。

【００１２】三次元モデルを用いての検索は、特に複数
方向から多面的に検索、監視する場合に有効となる。併
せて、減肉の激しい箇所について、部位に色彩などのハ
イライトを設けることで、より視覚的な検査が三次元モ
デルの活用によって効果を発揮する。本発明は、このよ
うな複雑なプラントシステムにおいても、熟練した技術
者でなくとも、効率的に保全管理できる。

【００１３】図１に本発明のシステムの概念図を示す。
三次元モデルと検査管理リストとが、部位が設定された
メニュー画面を介して橋渡しされ、メニューに表示され
た保全管理項目の表からボタンのクリック一つで三次元
モデルの対象部分に保全管理データを表示させることが
できる。さらに、この作業の流れと逆に、モデルの画面
から検査結果を呼び出すことを可能にすることにより、
保全管理者が容易に保全データの管理、およびモデルを
見ることにより、周囲の状況を把握することができるよ
うになる。

【００１４】また、当該保全支援システムには、各部位
に所定の保全管理データをリンクさせる手段が講じられ
ている。すなわち、保全管理を行うべき危険個所の特定
を新規、もしくは追加して行う手段が設けられている。
石油プラント等の保全箇所は、個々のプラントごとにそ
れぞれ異なった、基準、方法で、リンク対象を選択しな
ければならない。そのために、保全管理者が、新規に、
もしくは追加して、検査項目、検査箇所を設定する場
合、三次元モデルビューワーの画面で、対象物をクリッ
クし、リンクさせた、検査データを指定する。それによ
って、モテルの属性データのテキストファイル、及び検
査管理データベースにリンクを設定するデータを書き込
む機能を設けることとする。

【００１５】

【発明の実施の形態】本発明のシステムの一例の動作を
示すフローチャートを図２に示す。本発明のシステム１
は、三次元モデルセクション２〜９と保全管理データセ
クション１１〜１４とからなる。当該各セクションのリ
ンク付けは、グラフィカルユーザーインターフェイス
（以下、ＧＵＩと称する）設定ユニット５にてなされ
る。保全技術者が本発明のシステムを利用して、実際に
検査・診断業務を行っていく動作例を説明する。

【００１６】まず、所定の初期メニュー２を開き、さら
にプラントの装置全体の三次元モデル３のメインメニュ
ーを呼び出す。このメニューに埋め込まれたキーとして
の属性を有する部位によって、発明の基本的機能が果た
される。すなわち、この部位とは、例えば配管のエルボ
とかレデューサーとかの検査項目、検査データ、検査個
所等を表す属性を有し、かつ検査管理リストなどの保全
管理データと三次元モデルとを結びつける共通のキーを
持った部位を指す。 この部位を介して呼び出された保
全支援システム１のメインメニュー４の中から検索対象
とする所定のメニューを指示選択する。

【００１７】このメインメニュー４は、図１に示したよ
うに、プラントの検査における日常の検査項目などの管
理項目のデータベースと三次元モデルとを橋渡しをする
機能を有することによりメニューに表示される管理項目
の表からボタンのクリックひとつで三次元モデルの対象
部分を画面に表示させることができる。このメニュー画
面を介して操作することにより、保全管理者は複雑な三
次元モデルであっても、きわめて容易に検査結果を呼び
出すことが可能となる。なお、モデルの画面から検査結
果を呼び出すことも可能にすることにより、検査担当者
が容易に検査データの管理およびモデルを見ることによ
り周囲の状況を把握することが出きるようになる。

【００１８】また呼び出されたメインメニューの検索対
象条件については、ＧＵＩ設定ユニット５に送られ、登
録される。一方、このＧＵＩ設定ユニットには、後述す
る保全管理セクションの情報データベース１４から情報
検索ルーチン９で検索され、呼び出されたデータの保管
先が提示されてくる。また、対象パーツにつき、データ
の更新が必要のときは、所定の各部位に保全管理データ
をリンクさせる手段を講じることでメインメニュー４で
指示、選択されたプラント三次元モデル６Ａにてズーム
アップされた画面７Ａに送って検索されることとなる。

【００１９】当該システムにリンクさせたい検査データ
を指定することにより、モデルの属性データのテキスト
ファイル及び保全管理データベースにリンクを設定する
データを書き込む機能を付加させることが、望ましい。
例えば、保全技術者が、新規に保全項目・個所を設定し
た場合に三次元モデルビューワー画面で対象物をクリッ
クするなどして行う。これによって、ＣＡＤのオペレー
ションあるいは複雑なデータ編集を検査担当者が習得す
ることなく検査業務を行うことができる。

【００２０】指示選択されたメニューについて検査対象
の装置全体のプラント三次元モデルを表示器６Ａで表示
し、かつ画面上にズームアップする。一方において装置
全体の属性を持たせながら割付けした部位を検索キー検
出ルーチン８に送り込む。同じく画面７Ａ上にズームア
ップされた検索アイテムを選び、検索キー検出ルーチン
８に送る。この検索キーは、所望の情報検索を行う場合
の接点となる、情報検索ルーチン９に送られる。

【００２１】次に、本発明で使用する保全管理データセ
クションの説明を行う。このセクションには、まず測定
データとして、各種のこれまでの所定の測定、各種検査
結果及び保全検査内容、結果等のデータが逐次測定デー
タ入力ユニット１１に入力される。これらは必要に応じ
変更、更新されていく。これらの情報は、標準登録デー
タベース１３から送られる処理管理上のしきい値や検査
の周期等の標準となる管理データと融合させて、二次的
に加工（データ登録処理、データ分析評価、予寿命計算
処理）する加工ユニット１２で処理され、最終的に履歴
データ、評価情報、診断情報、予寿命情報として、情報
データベース１４に格納される。

【００２２】このデータは、前述した如く、一つにはＧ
ＵＩ設定用にそのパスをＧＵＩ設定ユニット５に送られ
る。一方、情報検索ルーチン９からの情報検索サーチを
情報データベースは受け取り、その検索結果を情報検索
ルーチンに送る。検査担当者は、この検索結果を表示す
るため、装置全体のコンポーネント対象を視覚的にわか
るようプラント三次元モデル６Ｂに表示する。必要に応
じ画面をズームアップする。一方、選択されたアイテム
毎に情報（例えば、肉厚のトレンドグラフ）を画面に表
示し、検査を進める。

【００２３】画像表示装置上で、プラントを構成する物
体を仮想三次元空間内において構成する方法の例として
は、多面体すなわちポリゴンとして表現する方法があ
る。モデリングされた立体図形は各頂点の(X,Y,Z)座標
で表現される。仮想空間内でモデリングされた立体図形
は、画像表示空間（具体的には可変表示装置の画面）に
対応付けることによって画面表示することができる。視
点を変えてズームイン、ズームアウトを行う場合には、
透視変換における投影中心すなわち視点を座標変換し、
移動体の見る方向を変えることができ、視点を移動体に
近づければズームインし、遠ざければズームアウトとす
る。

【００２４】立体図形についている表面のパターンも一
緒にポリゴンとして表現することもできるが、これでは
頂点の座標が多くなるし、また三次元座標変換計算に時
間が掛かってしまい、現実的でない。そこで一般的には
表面の図柄パターンをテクスチャとして別個に用意して
おき、画像表示空間に立体図形を表示するときにテクス
チャを張り付けるようにする。

【００２５】このようにすれば、メモリ上は立体図形を
構成するポリゴンの頂点座標とテクスチャの画像データ
を保有するだけで、あとは具体的に画像表示するときに
計算によって様々な立体図形の表現が可能となる。

【００２６】物体の動きを表すために座標変換を行う。
座標変換の結果、変換式に示されるマトリックスの係数
を変えることで、物体の回転、縮小、拡大、反転、平行
移動などを行える。例えば図３のようにｘ軸の回りに所
定の角度回転させることができ、全ポリゴンの頂点に対
して同じ変換を施すことによって物体全体を回転させる
ことができる。次に三次元立体図形は、投影透視変換に
よって二次元の平面に変換する、マトリックスによる透
視変換の具体例を図４に示す。視点を変えるには投影中
心を座標変換すればよい。これによって対象物体を見る
方向を変えることができる、もちろん、視点の座標を変
えずに対象物全体の座標を変換してもよい。

【００２７】

【実施例】検査支援システムの構築例を示す。図５に保
全支援支援システムメインメニューを介して、肉厚測定
管理データ、リーク個所管理データへのアクセスと情報
閲覧の概念図を示す。

【００２８】三次元ＣＡＤモデルに保全管理データをリ
ンクし、メイン画面メニューより保全管理データを呼び
出し、且つ特定箇所に合致したデータの検索を可能にす
る。この場合、肉厚測定管理データが、リンクされる部
位はエルボ部分であり、リーク箇所管理データが、リン
クされる部位はフランジ、バルブ部分となる。このよう
に、保全管理者は慣れないコマンドを使用することな
く、メニューを媒介とする部位にアクセスすることで、
容易に検索作業を進めることができる。作業の流れを以
下に示す。

【００２９】検査の結果、配管や機器に損傷等が検出さ
れ検査技術者が診断業務を行う場合、この検査情報閲覧
機能を利用することにより、簡単に保全支援支援システ
ムのメインメニューから三次元モデルＣＡＤ図面と保全
管理データを検査技術者は自分自身の思考の流れに合わ
せて、日頃見慣れた図面から目的の検査ポイント情報や
肉厚トレンドグラフ等を閲覧して、損傷部位の検討・評
価を行い、余寿命予測をしたり、補修・改造・更新を決
定することができる。

【００３０】その結果、肉厚測定や各種非破壊検査の実
施計画を検査周期と検査実施記録から計算し、指定され
た期間に実施予定となる検査部位の選択、検査内容など
を正確かつ容易に立案することを支援できる。

【００３１】例えば、三次元モデルを駆使することな
く、保全支援システムメニューを介して、計画資料とし
ては肉厚指示書、検査実施指示書等を出力できる。また
複数の依頼先毎に指示書を出力することもできる。さら
に、各種検査計画を一元管理できるので、検査業務を確
実に実施することができる。

【００３２】

【発明の効果】本発明のシステムは、三次元モデルによ
り、複雑化したプラントの要注意箇所を視点を変えてみ
たり、プラント装置内部に視点を置くことで、見にくい
場所についても容易に見ることができるようになった。
さらに、個々にコマンドを指示することなく保全データ
にリンクさせたことで、検査箇所の状況を熟練保全技術
者でなくても、容易に集中管理画面で操作することによ
り、保全要項を判断することが行えるようになり、保全
管理上のミスを大幅に減少させるなどの効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のシステムの概念図である。

【図２】本発明のシステムの動作例を示すフローチャー
トである。

【図３】三次元物体を投影透視変換によって二次元の平
面に変換する説明図である。

【図４】透視変換の説明図である。

【図５】本発明のシステムの実施例における肉厚測定管
理データ、リーク個所管理データへのアクセスと情報閲
覧の概念図である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 和人 神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央二丁目12番 １号 千代田化工建設株式会社内 (72)発明者 高須 潤 神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央二丁目12番 １号 千代田化工建設株式会社内 (72)発明者 星野 幸治 神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央二丁目12番 １号 千代田化工建設株式会社内 Ｆターム(参考） 5B075 ND30 NK37 PP03 PP13 PQ02 PQ32 5H223 AA01 BB01 EE06 FF03

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】コンピュータを用いたプラント保全支援シ
   ステムにおいて、管理対象のプラントを自由な視点から
   見ることができる三次元モデルにより構成し、前記三次
   元モデルの当該三次元モデルと保全管理のデータベース
   とを橋渡しするための部位をメニュー上に設定し、各部
   位に所定の保全管理データをリンクさせる手段を備えた
   ことを特徴とするプラント保全支援コンピュータシステ
   ム。