JP2001354518A

JP2001354518A - 皮膚外用剤

Info

Publication number: JP2001354518A
Application number: JP2000211926A
Authority: JP
Inventors: Chiyoko Uchiyama; 千代子内山; Tsuneo Miyahara; 恒雄宮原
Original assignee: Lion Corp
Current assignee: Lion Corp
Priority date: 2000-06-09
Filing date: 2000-06-09
Publication date: 2001-12-25

Abstract

(57)【要約】【課題】すぐれた表皮角化促進、真皮コラーゲン合成
促進、抗酸化作用を示し、しかも安全性に優れた皮膚外
用剤を提供する。【解決手段】本発明の皮膚外用剤は、イソノハナ（Ｈ
ａｌｙｍｅｎｉａ）属、トサカノリ（Ｍｅｒｉｓｔｏｔ
ｈｅｃａ）属、フルセラリア（Ｆｕｒｃｅｌｌａｒｉ
ａ）属、コンドラカンサス・スコッツベルギイ（Ｃｈｏ
ｎｄｒａｃａｎｔｈｕｓｓｋｏｔｓｂｅｒｇｉｉ）、
コンドラカンサス・サンドパーパー（Ｃｈｏｎｄｒａｃ
ａｎｔｈｕｓｓａｎｄｐａｐｅｒ）からなる群より選
ばれた海藻又はその抽出物を有効成分として含有する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、極めて安全性の高
い海藻抽出物を表皮角化促進、真皮コラーゲン合成促進
又は抗酸化作用の有効成分として含有する皮膚外用剤に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】表皮の最も重要な生理機能のひとつとし
て、外界からの様々な刺激、例えば、乾燥、紫外線、そ
の他の物理的、化学的刺激に対する防御壁となるべき角
質層を形成することが挙げられる。この角質層を形成す
る角質細胞は、表皮角化細胞の分化によって次々と新し
く作られ、古くなった角質細胞は表皮から離脱してい
く。しかし、何らかの原因でこの分化が阻害されたり、
あるいは異常に亢進されたりすると、様々な角化異常
症、例えば乾皮症やざ瘡を引き起こす。

【０００３】また肌は、加齢などの内的因子や紫外線、
活性酸素などの外的因子によって、皮膚が本来維持して
いる収縮性、柔軟性、保湿性などの機能が衰え、様々な
トラブルを発生する。通常、皮膚などの生体組織は新陳
代謝によって、種々の要因によって起こる機能の低下や
構造的変化などを速やかに改善することができる。しか
しながら、紫外線や乾燥・有害化学物質などの過度な暴
露や加齢に伴って、生体組織に傷害が蓄積することによ
り、本来の働きが損なわれ、様々なトラブルが発生す
る。皮膚であれば、しみやしわ、肌荒れ、アトピー様症
状などに悩まされるようになる。これらのトラブルのひ
とつであるしわは、真皮の細胞外マトリックスを産生す
る細胞数の減少、***速度の衰えなどの細胞機能の老化
や、コラーゲン繊維の減少及び変性、皮下脂肪組織の減
少などにより、皮膚の弛緩及び弾力性の損失が起こるこ
とが原因となって発生する。

【０００４】これらの様々な肌トラブルを解消する手段
としては、従来、種々の外的刺激や加齢により失われる
コラーゲン、ヒアルロン酸やアミノ酸などのＮＭＦなど
の物質を皮膚に塗布し補う組成物や、紫外線や活性酸素
から皮膚を守るための防御物質を配合した組成物が主流
であった。しかし、これらは皮膚そのものが持つ機能を
改善するものではなく、十分な効果を有するものではな
かった。

【０００５】本発明者らはすでに、加齢により失われる
ヒアルロン酸の生合成を促進する海藻（特開平７−１０
１８７１、特開平９−１７６０３６）や、ヒアルロニダ
ーゼの活性を阻害する海藻（特開平９−６７２６６）
に、皮膚老化防止効果を見出している。上述のように、
皮膚の老化には様々な因子が複雑に関与しており、他の
因子についても検討を行なう必要があった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、優れた表皮
角化促進、真皮コラーゲン合成促進、抗酸化作用を示
し、しかも安全性に優れた皮膚外用剤を提供することを
目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】上
記課題を解決するため、鋭意検討を行った結果、紅藻類
であるイソノハナ（Ｈａｌｙｍｅｎｉａ）属、トサカノ
リ（Ｍｅｒｉｓｔｏｔｈｅｃａ）属、フルセラリア（Ｆ
ｕｒｃｅｌｌａｒｉａ）属、コンドラカンサス・スコッ
ツベルギイ（Ｃｈｏｎｄｒａｃａｎｔｈｕｓｓｋｏｔ
ｓｂｅｒｇｉｉ）、コンドラカンサス・サンドパーパー
（Ｃｈｏｎｄｒａｃａｎｔｈｕｓｓａｎｄｐａｐｅ
ｒ）からなる群より選ばれた海藻又はその抽出物に、目
的の表皮角化促進、真皮コラーゲン合成促進、抗酸化作
用を見出し、本発明を完成するに至った。

【０００８】即ち、本発明の皮膚外用剤は、イソノハナ
（Ｈａｌｙｍｅｎｉａ）属、トサカノリ（Ｍｅｒｉｓｔ
ｏｔｈｅｃａ）属、フルセラリア（Ｆｕｒｃｅｌｌａｒ
ｉａ）属、コンドラカンサス・スコッツベルギイ（Ｃｈ
ｏｎｄｒａｃａｎｔｈｕｓｓｋｏｔｓｂｅｒｇｉｉ）、
コンドラカンサス・サンドパーパー（Ｃｈｏｎｄｒａｃ
ａｎｔｈｕｓｓａｎｄｐａｐｅｒ）からなる群より選
ばれた海藻又はその抽出物を、表皮角化を促進する有効
成分、真皮コラーゲン合成を促進する有効成分又は抗酸
化作用を与える有効成分として含有することを特徴とす
る。

【０００９】本発明の皮膚外用剤は、イソノハナ（Ｈａ
ｌｙｍｅｎｉａ）属、トサカノリ（Ｍｅｒｉｓｔｏｔｈ
ｅｃａ）属、フルセラリア（Ｆｕｒｃｅｌｌａｒｉａ）
属、コンドラカンサス・スコッツベルギイ（Ｃｈｏｎｄ
ｒａｃａｎｔｈｕｓｓｋｏｔｓｂｅｒｇｉｉ）、コン
ドラカンサス・サンドパーパー（Ｃｈｏｎｄｒａｃａｎ
ｔｈｕｓｓａｎｄｐａｐｅｒ）からなる群より選ばれ
た海藻又はその抽出物中に含まれる、表皮角化促進、真
皮コラーゲン合成促進、抗酸化作用物質が、老化や病
気、外的刺激により低下した皮膚細胞の機能を助長する
ことにより、皮膚の保湿性、柔軟性、弾力性を改善し、
顕著な皮膚老化防止効果等を示すものと推定される。こ
の場合、更に保湿剤と併用することにより、上記海藻類
のもつ生理機能と保湿剤の保湿効果が相乗的に働き、よ
り高い皮膚老化防止効果を提供することができる。

【００１０】なお、従来より皮膚に対して保湿性を高め
るなどの効果が知られている海藻抽出物、例えば褐藻類
のコンブや緑藻類のヒトエグサ等の抽出物には、イソノ
ハナ属、トサカノリ属、フルセラリア属、コンドラカン
サス・スコッツベルギイ、コンドラカンサス・サンドパ
ーパーの海藻抽出物に見られた、表皮角化促進、真皮コ
ラーゲン合成促進、抗酸化作用は認められず、これらの
効果は上記海藻類の抽出物に特異的なものである。

【００１１】更に、イソノハナ属、トサカノリ属、フル
セラリア属、コンドラカンサス・スコッツベルギイ、コ
ンドラカンサス・サンドパーパーの海藻及び抽出物の安
全性を確認したところ、急性毒性、皮膚刺激性、皮膚感
作性等の点で問題は認められず、安全性の高いことが確
認された。従って、本発明の皮膚外用剤を化粧用クリー
ム、ローション、乳液等に調製することにより、皮膚の
老化を防止し、しわのない、滑らかで潤いのある若々し
い肌を与えることができるものであり、このように本発
明の皮膚外用剤は、優れた表皮角化促進、真皮コラーゲ
ン合成促進、抗酸化作用を有し、かつ安全性が高いこと
から、医薬品、医薬部外品、化粧品等の各種用途に使用
することができる。

【００１２】以下、本発明を更に詳細に説明する。本発
明の皮膚外用剤に含まれる海藻であるムカデノリ科（Ｈ
ａｌｙｍｅｎｉａｃｅａｅ）イソノハナ属（Ｈａｌｙｍ
ｅｎｉａ）に属する海藻としては、ツヅレグサ（Ｈａｌ
ｙｍｅｎｉａｄｕｒｖｉｌｌａｅｉ）、フイリグサ
（Ｈａｌｙｍｅｎｉａｄｉｌａｔａｔａ）、イソノハ
ナ（Ｈａｌｙｍｅｎｉａｆｌｏｒｅｓｉａ）などが用
いられるが、最も好ましくはツヅレグサ（Ｈａｌｙｍｅ
ｎｉａｄｕｒｖｉｌｌａｅｉ）である。なお、例えばイ
ソノハナ（Ｈａｌｙｍｅｎｉａｆｌｏｒｅｓｉａ）
は、体は直径２〜５ｍｍの盤状付着器から直立し、高さ
１０〜４０ｃｍになる。色は淡紅色で、質は柔らかく、
表面に不規則な斑紋が見られる。九州南部、太平洋熱帯
域などに分布し、漸深帯の岩上に生育する。

【００１３】ミリン科（Ｓｏｌｉｅｒｉａｃｅａｅ）ト
サカノリ属（Ｍｅｒｉｓｔｏｔｈｅｃａ）に属する海藻
としては、キクトサカ（Ｍｅｒｉｓｔｏｔｈｅｃａｃ
ｏａｃｔａ）、トサカノリ（Ｍｅｒｉｓｔｏｔｈｅｃａ
ｐａｐｕｌｏｓａ）などが用いられる。なお、例えば
トサカノリ（Ｍｅｒｉｓｔｏｔｈｅｃａｐａｐｕｌｏ
ｓａ）は、体は小盤状の付着器から直立し、短い茎状部
から急に広い楔形に扁平な体に広がる。本州太平洋岸中
・南部、九州、南西諸島など分布し、水深５〜３０ｍの
場所の岩盤や転石上に生育する。

【００１４】ススカケベニ科（Ｆｕｒｃｅｌｌａｒｉａ
ｃｅａｅ）フルセラリア属（Ｆｕｒｃｅｌｌａｒｉａ）
に属する海藻としては、フルセラリア・ウンビリカリス
（Ｆｕｒｃｅｌｌａｒｉａｕｍｂｉｌｉｃａｌｉ
ｓ）、フルセラリア・ファスティギアタ（Ｆｕｒｃｅｌ
ｌａｒｉａｆａｓｔｉｇｉａｔａ）、フルセラリア・
ルンブリカリス（Ｆｕｒｃｅｌｌａｒｉａｌｕｍｂｒ
ｉｃａｌｉｓ）等が用いられるが、最も好ましくはフル
セラリア・ウンビリカリス（Ｆｕｒｃｅｌｌａｒｉａ
ｕｍｂｉｌｉｃａｌｉｓ）である。体は盤状または分枝
した付着器を持ち、髄部は細い細胞系からなり、皮膚は
緻密で、内側に大形の、外側に小形の細胞がある。

【００１５】コンドラカンサス・スコッツベルギイ（Ｃ
ｈｏｎｄｒａｃａｎｔｈｕｓｓｋｏｔｓｂｅｒｇｉ
ｉ）、コンドラカンサス・サンドパーパー（Ｃｈｏｎｄ
ｒａｃａｎｔｈｕｓｓａｎｄｐａｐｅｒ）は、スギノ
リ科（Ｇｉｇａｒｔｉｎａｃｅａｅ）スギノリ属（Ｃｈ
ｏｎｄｒａｃａｎｔｈｕｓ）に属する。なおＣｈｏｎｄ
ｒａｃａｎｔｈｕｓ属はこれまでＧｉｇａｒｔｉｎａ属
と称されていた。体は羽状に分枝するか葉状で典型的に
は多数の栄養的小羽枝が乳頭状突起を持つ。

【００１６】本発明の皮膚外用剤に含まれるイソノハナ
属、トサカノリ属、フルセラリア属、コンドラカンサス
・スコッツベルギイ、コンドラカンサス・サンドパーパ
ーの海藻からその抽出物を得る方法としては、特に制限
はなく、通常の抽出法が採用され、水、親水性有機溶
媒、含水親水性有機溶媒、その他の有機溶媒等を使用し
て海藻から抽出される。親水性溶媒としては、例えばメ
タノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アル
コール、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリ
ル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等が
挙げられる。

【００１７】これらの中でも、特に水又は水とメタノー
ル、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール
との混合物を用いて抽出することが好ましい。この場合
の水と低級アルコールの比率は、水／低級アルコールが
１００／０〜３０／７０（Ｖ／Ｖ、体積比）であること
が好ましい。海藻原体と抽出溶媒との比率は、海藻原体
（乾燥物）／溶媒比が１／５０〜１／２（Ｗ／Ｗ、質量
比）の範囲が好ましい。

【００１８】その他の抽出条件としては、抽出温度は特
に制限はないが、好ましくは５〜８０℃の範囲で、１〜
２４時間、撹拌しながら行うのが好ましい。抽出ｐＨ
は、極端な酸性、アルカリ性に傾かなければ、特に制限
はない。

【００１９】この抽出液はそのまま用いても、あるいは
希釈液としたり、濃縮エキスとしてもよく、また凍結乾
燥などにより乾燥粉末物としたり、ペースト状に調製し
てもよい。乾燥粉末に調製した場合には、水又は水を含
むメタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級
アルコールに予め溶解して用いるか、あるいは後述の水
を含む外用剤中で可溶化して用いるのが好ましい。

【００２０】本発明の皮膚外用剤の剤型は任意であり、
リニメント剤、スプレー剤、ローション剤、軟膏等、種
々の形態に製剤化して用いることができる。

【００２１】必須成分であるイソノハナ属、トサカノリ
属、フルセラリア属、コンドラカンサス・スコッツベル
ギイ、コンドラカンサス・サンドパーパーの海藻及び海
藻抽出物は任意の濃度で配合できるが、通常、各種皮膚
外用剤中に０．００１〜３０質量％（以下、単に「％」
という。）、好ましくは０．０１〜１０％配合させるの
がよい。

【００２２】本発明で用いられる保湿剤としては、グリ
セリン、プロピレングリコール、１，３−ブチレングリ
コール、ソルビトール、ポリグリセリン、ポリエチレン
グリコール２０００、ジプロピレングリコールなどの多
価アルコール類、トリメチルグリシンなどのアミノ酸誘
導体、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸カリウ
ム、アミノ酸などのＮＭＦ成分、ヒアルロン酸ナトリウ
ム、トレハロース、ヘパリノイド、コンドロイチン硫酸
ナトリウムなどの糖類、コラーゲン加水分解物、セラミ
ド類、尿素などを、１種又は２種以上配合することがで
きる。配合量は通常、各種皮膚外用剤中に０．０５〜３
０％配合するのが好ましい。０．０５％未満ではその効
果は発揮されず、３０％を超える配合は製剤の使用感を
悪くするなどの不都合を生じるおそれがある。

【００２３】本発明の皮膚外用剤には、必須成分である
上記海藻及びその海藻抽出物の他に、通常外用剤に用い
られる原料、例えば、界面活性剤、油分、アルコール
類、増粘剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、ｐＨ調
整剤、香料、色素、紫外線吸収・散乱剤、ビタミン類、
水等を配合することができる。

【００２４】なお、任意成分は、これらに限定されるも
のではない。上記必須成分と任意成分を適当に配合する
ことにより、例えば、上記海藻又は海藻抽出物０．０１
〜３０％、保湿剤０．０５〜３０％、任意成分として油
分０〜８０％、界面活性剤０〜１２％、精製水バラン
ス、防腐剤微量を含有する皮膚外用剤を提供することが
できる。具体的には、クリーム、乳液、化粧水、美容
液、パック剤、アンダーメークアップ、ファンデーショ
ン、ゼリー剤、軟膏等の製品形態として用いることがで
きる。

【００２５】

【実施例】次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。

【００２６】［調製例１：イソノハナ属海藻の抽出物の
製造］Ｈａｌｙｍｅｎｉａｄｕｒｖｉｌｌａｅｉの乾
燥物１００ｇを２リットルの水に浸漬し、撹拌しながら
室温で３時間抽出処理を行った。その後、濃縮及び凍結
乾燥することにより、Ｈａｌｙｍｅｎｉａｄｕｒｖｉ
ｌｌａｅｉ水抽出物３２．５ｇを得た。また、同様にし
て、Ｈａｌｙｍｅｎｉａｄｕｒｖｉｌｌａｅｉ以外の
イソノハナ属海藻の水抽出物を得た。

【００２７】［調製例２：トサカノリ属海藻の抽出物の
製造］Ｍｅｒｉｓｔｏｔｈｅｃａｐａｐｕｌｏｓａの
乾燥物１００ｇを２リットルの水に浸漬し、撹拌しなが
ら室温で３時間抽出処理を行った。その後、濃縮及び凍
結乾燥することにより、Ｍｅｒｉｓｔｏｔｈｅｃａｐ
ａｐｕｌｏｓａ水抽出物２８．３ｇを得た。また、同様
にして、Ｍｅｒｉｓｔｏｔｈｅｃａｐａｐｕｌｏｓａ
以外のトサカノリ属海藻の水抽出物を得た。

【００２８】［調製例３：フルセラリア属海藻の抽出物
の製造］Ｆｕｒｃｅｌｌａｒｉａｕｍｂｉｌｉｃａｌ
ｉｓの乾燥物１００ｇを２リットルの水に浸漬し、撹拌
しながら室温で３時間抽出処理を行なった。その後、濃
縮及び凍結乾燥することにより、Ｆｕｒｃｅｌｌａｒｉ
ａｕｍｂｉｌｉｃａｌｉｓ水抽出物２１．５ｇを得
た。また、同様にして、Ｆｕｒｃｅｌｌａｒｉａｕｍｂ
ｉｌｉｃａｌｉｓ以外のフルセラリア属の水抽出物を得
た。

【００２９】［調製例４：コンドラカンサス・スコッツ
ベルギイの抽出物の製造］Ｃｈｏｎｄｒａｃａｎｔｈｕ
ｓｓｋｏｔｓｂｅｒｇｉｉの乾燥物１００ｇを２リッ
トルの水に浸漬し、撹拌しながら室温で３時間抽出処理
を行った。その後、濃縮及び凍結乾燥することにより、
Ｃｈｏｎｄｒａｃａｎｔｈｕｓｓｋｏｔｓｂｅｒｇｉ
ｉ水抽出物３１．２ｇを得た。また、同様にして、Ｃｈ
ｏｎｄｒａｃａｎｔｈｕｓｓａｎｄｐａｐｅｒの水抽
出物を得た。

【００３０】［試験例１：ヒト表皮角化細胞に対するイ
ンボルクリン発現促進試験］調製例に従って得た上記海
藻抽出物が、正常ヒト表皮角化細胞の分化を促進し、角
化異常治療効果を有することを証明するため、正常ヒト
表皮角化細胞の分化マーカーであるインボルクリン（コ
ニファイド・エンベロープの前駆タンパク）発現に及ぼ
す作用について以下の試験を行った。

【００３１】正常ヒト表皮角化細胞（クラボウ社製）を
４８穴コラーゲンコートプレート（住友ベークライト社
製）に播種し、５％炭酸ガス雰囲気下、３７℃で３日間
培養した。培養上清を吸引除去し、無添加（コントロー
ル）及び５００μｇ／ｍｌの上記海藻抽出物を添加した
培地を各ウエルに加え、更に２日間培養した。培養終了
後、抗インボルクリン抗体を用いたＥＬＩＳＡ法を用い
てインボルクリン発現量を定量した。コンロトールを
１．００とした時のインボルクリン発現量を算出した結
果を表１に示す。

【００３２】

【表１】

【００３３】上記表１に示した結果のように、イソノハ
ナ属、トサカノリ属、フルセラリア属、コンドラカンサ
ス・スコッツベルギイ、コンドラカンサス・サンドパー
パーの抽出物は、インボルクリン発現を促進することが
判明した。特にイソノハナ属のツヅレグサ（Ｈａｌｙｍ
ｅｎｉａｄｕｒｖｉｌｌａｅｉ）の水抽出物では、コ
ントロールに対して１．８倍という高い効果が認められ
た。一方、褐藻類のコンブ及び緑藻類のヒトエグサの抽
出物には、インボルクリン発現促進効果は認められなか
った。

【００３４】［試験例２：ヒト表皮角化細胞に対するコ
ニファイド・エンベロープ形成促進試験］調製例に従っ
て得た海藻抽出物が、正常ヒト表皮角化細胞の分化を促
進し、角化異常治療効果を有することを証明するため、
正常ヒト表皮角化細胞の分化マーカーであるコニファイ
ド・エンベロープ形成に及ぼす作用について以下の試験
を行った。

【００３５】正常ヒト表皮角化細胞（クラボウ社製）を
プラスチックディッシュ（ファルコン社製）に播種し、
５％炭酸ガス雰囲気下、３７℃で４日間培養した。培養
上清を吸引除去し、無添加（コントロール）及び５００
μｇ／ｍｌの上記海藻抽出物を添加した培地を各ディッ
シュに加え、更に７日間培養した。培養終了後、トリプ
シン処理で細胞を剥離し、１％ＳＤＳ／２０ｍＭＤＴ
Ｔ液に溶解したあと、９０℃、３分間の熱処理をした。
熱処理後、不溶化細胞数を計測し、コニファイド・エン
ベロープ数とした。結果を表２に示す。

【００３６】

【表２】

【００３７】上記表２に示す結果から明らかなように、
イソノハナ属、トサカノリ属、フルセラリア属、コンド
ラカンサス・スコッツベルギイ、コンドラカンサス・サ
ンドパーパーの抽出物は、コニファイド・エンベロープ
形成を促進することが判明した。特にイソノハナ属のツ
ヅレグサ（Ｈａｌｙｍｅｎｉａｄｕｒｖｉｌｌａｅ
ｉ）、コンドラカンサス・サンドパーパー（Ｃｈｏｎｄ
ｒａｃａｎｔｈｕｓｓａｎｄｐａｐｅｒ）の水抽出物
では、コニファイド・エンベロープ形成率３０％以上と
いう高い効果が認められた。

【００３８】［試験例３：ヒト皮膚由来線維芽細胞に対
するコラーゲン合成促進試験］調製例に従って得た海藻
抽出物が、ヒト皮膚由来線維芽細胞のコラーゲン合成促
進に及ぼす作用について以下の試験を行った。

【００３９】２４穴細胞培養用プレート（住友ベークラ
イト社製）にヒト皮膚由来線維芽細胞（クラボウ社製）
を２５％コンフレントになるように播種し、コンフレン
トになるまで１０％ウシ胎児血清を含むＤＭＥＭ培地で
３７℃、５％炭酸ガス雰囲気下で培養した。サンプルを
適量加えた後、１８時間同条件にて培養した。培養上清
中に含まれるＩ型コラーゲンをＥＬＩＳＡ法にて定量し
た。１００μｌの培養上清をＥＬＩＳＡ用プレートに添
加し、１８時間室温中で保管した。０．０５％Ｔｗｅｅ
ｎ−２０を含むＰＢＳ（ＰＢＳ−Ｔ）で洗浄後、１％ス
キムミルク／ＰＢＳ−Ｔで２時間ブロッキングした。抗
ヒトＩ型コラーゲン抗体、ペルオキシダーゼ標識抗ラッ
トＩｇＧ抗体で処理し、ペルオキシダーゼ用発色キット
を用いて発色させた。４５０ｎｍの吸光度から培養上清
中に含まれるＩ型コラーゲン量を求めた。コントロール
に対して、Ｉ型コラーゲン量が１２０％以上を◎、１０
０％以上１２０％未満を○、１００％未満を×として表
わした。結果を表３に示す。

【００４０】

【表３】

【００４１】上記表３に示す結果から明らかなように、
イソノハナ属、トサカノリ属、フルセラリア属、コンド
ラカンサス・スコッツベルギイ、コンドラカンサス・サ
ンドパーパーの抽出物は、コラーゲン合成を促進するこ
とが判明した。特にフイリグサ（Ｈａｌｙｍｅｎｉａ
ｄｉｌａｔａｔａ）、キクトサカ（Ｍｅｒｉｓｔｏｔｈ
ｅｃａｃｏａｃｔａ）、コンドラカンサス・スコッツ
ベルギイ（Ｃｈｏｎｄｒａｃａｎｔｈｕｓｓｋｏｔｓ
ｂｅｒｇｉｉ）の水抽出物では、Ｉ型コラーゲン量が１
２０％以上という高い効果が認められた。

【００４２】［試験例４：一重項酸素消去能試験］調製
例に従って得た海藻抽出物を用い、生体組織に傷害を与
える一重項酸素の消去能について以下の試験を行った。

【００４３】一重項酸素はローズベンガル（和光純薬工
業社製）に蛍光灯を照射することにより発生させ、スク
ワレンの酸化の程度を指標に一重項酸素消去能を測定し
た。３ｍＭスクワレン、２５μＭローズベンガルになる
ようにサンプルを適量とメタノールを加えて溶液を調製
した。コントロールにはメタノールのみを加えた。４℃
で蛍光灯を１８時間照射した。照射時間０時間のものを
ブランクとした。生じた過酸化スクワレンをＴＢＡ法に
て定量した。標準物質には１，１，３，３−テトラエト
キシプロパン（和光純薬工業社製）を用いた。１ｍｌの
溶液にＴＢＡ試薬（０．３７５％チオバルビトール酸、
１５％トリクロロ酢酸、０．０４％ブチルヒドロキシト
ルエン、２％エタノール、０．２５Ｎ塩酸）を２ｍｌ加
えて、撹拌後、沸騰水浴上で１時間加熱した。氷冷して
室温まで冷却後、ブタノールで抽出し、ブランクを対照
として５３５ｎｍの吸光度を測定した。一重項酸素消去
能の程度は、コントロールのＴＢＡ値を１００としたと
きの相対値で表わし、９０％以上を◎、６０％以上９０
％末満を○、３０％以上６０％末満を△、３０％末満を
×として表わした。結果を表４に示す。

【００４４】

【表４】

【００４５】表４の結果から明らかなように、イソノハ
ナ属、トサカノリ属、フルセラリア属、コンドラカンサ
ス・スコッツベルギイ、コンドラカンサス・サンドパー
パーの抽出物は、高い一重項酸素消去能を有することが
判明した。

【００４６】［試験例５：皮膚光老化試験］１群２匹の
ヘアレスマウス（ｈｏｓ：ＨＲ−１、９〜１０週齢、
雌）背部皮膚に紫外線（ＵＶ−Ｂ）を１日１回５０ｍＪ
／日・ｃｍ^２となるように照射したのち、表５に示した
被験溶液（比較例１〜５、実施例１〜１０）１００μｌ
を均一になるように塗布し、これを週５日、５週間行っ
た。なお、紫外線照射時には、皮膚上に残っている被験
物質を３０％エタノール溶液で良く拭き取ってから照射
を行った。５週間の紫外線照射と塗布が終了したところ
で、角層水分量をＣｏｒｎｅｏｍｅｔｅｒ（Ｃｏｕｒａ
ｇｅ＆Ｋｈａｚａｋａ社製）、経表皮水分喪失量
（以下、ＴＥＷＬと略）をＴＥＷＡＭＥＴＥＲＴＭ２
１０（Ｃｏｕｒａｇｅ＆Ｋｈａｚａｋａ社製）、皮
膚弾力性をＣｕｔｏｍｅｔｅｒＳＥＭ５７５（Ｃｏｕ
ｒａｇｅ＆Ｋｈａｚａｋａ社製）にて評価した。

【００４７】評価した３指標については、各指標のコン
トロール群（比較例１）の値と比較し、値がほとんど変
わらない場合を×、若干改善した場合を△、改善した場
合を○、顕著に改善した場合を◎として表わした。結果
を表５に示す。

【００４８】

【表５】

【００４９】表５の結果から明らかなように、ヒトエグ
サ（比較例２）を除く各海藻抽出物（実施例１〜５）は
皮膚光老化に対して高い予防効果を示し、保湿剤との併
用（実施例６〜１０）では顕著な効果を示すことが判明
した。

【００５０】以下、本発明皮膚外用剤を配合した処方例
を示す。下記の例は、いずれも肌荒れ改善効果、角質改
善効果、美肌効果（滑らかさ、しっとり感、張り、艶な
ど）といった優れた効果を示し、安全性も良好なもので
あった。

【００５１】

【表６】

【００５２】

【表７】

【００５３】

【表８】

【００５４】

【表９】

【００５５】

【表１０】

【００５６】

【表１１】

【００５７】

【表１２】

【００５８】

【表１３】

【００５９】

【表１４】

【００６０】

【表１５】

【００６１】

【表１６】

【００６２】

【発明の効果】本発明によれば、表皮角化促進、真皮コ
ラーゲン合成促進、抗酸化作用により、皮膚細胞の賦活
化、皮膚の老化防止が図られ、しわの発生を予防し、滑
らかでしっとりとした若々しい肌を与える効果をもち、
安全性の高い皮膚外用剤が提供される。

【００６３】また、本発明の皮膚外用剤の有効成分は、
古くから食用等に用いられる海藻類から抽出されるもの
であるため、人体への安全性が極めて高く、しかも優れ
た表皮角化促進、真皮コラーゲン合成促進、抗酸化作用
を有することから、医薬品、医薬部外品、化粧品などの
各種用途に使用することができる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号ＦＩテーマコート゛(参考）Ａ６１Ｐ 17/16 Ａ６１Ｐ 17/16 Ｆターム(参考） 4C083 AA082 AA111 AA112 AA122 AB032 AB112 AB242 AB442 AC012 AC022 AC072 AC102 AC122 AC132 AC242 AC302 AC312 AC342 AC352 AC422 AC432 AC472 AC482 AC532 AC542 AC562 AC582 AC642 AC662 AC682 AC812 AC852 AC902 AD022 AD092 AD112 AD132 AD152 AD172 AD212 AD282 AD312 AD332 AD342 AD352 AD432 AD532 AD572 AD662 BB51 CC01 CC04 CC05 CC23 EE09 EE12 EE13 EE14 EE16 4C084 AA22 MA02 MA63 NA14 ZA891 ZB221 4C088 AA14 BA07 BA08 CA08 MA08 MA63 NA14 ZA89 ZB22

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】イソノハナ（Ｈａｌｙｍｅｎｉａ）属、
トサカノリ（Ｍｅｒｉｓｔｏｔｈｅｃａ）属、フルセラ
リア（Ｆｕｒｃｅｌｌａｒｉａ）属、コンドラカンサス
・スコッツベルギイ（Ｃｈｏｎｄｒａｃａｎｔｈｕｓ
ｓｋｏｔｓｂｅｒｇｉｉ）、コンドラカンサス・サンド
パーパー（Ｃｈｏｎｄｒａｃａｎｔｈｕｓｓａｎｄｐ
ａｐｅｒ）からなる群より選ばれた海藻又はその抽出物
の１種又は２種以上を、表皮角化を促進する有効成分と
して含有することを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項２】イソノハナ（Ｈａｌｙｍｅｎｉａ）属、
トサカノリ（Ｍｅｒｉｓｔｏｔｈｅｃａ）属、フルセラ
リア（Ｆｕｒｃｅｌｌａｒｉａ）属、コンドラカンサス
・スコッツベルギイ（Ｃｈｏｎｄｒａｃａｎｔｈｕｓ
ｓｋｏｔｓｂｅｒｇｉｉ）、コンドラカンサス・サンド
パーパー（Ｃｈｏｎｄｒａｃａｎｔｈｕｓｓａｎｄｐ
ａｐｅｒ）からなる群より選ばれた海藻又はその抽出物
の１種又は２種以上を、真皮コラーゲン合成を促進する
有効成分として含有すること特徴とする皮膚外用剤。
【請求項３】イソノハナ（Ｈａｌｙｍｅｎｉａ）属、
トサカノリ（Ｍｅｒｉｓｔｏｔｈｅｃａ）属、フルセラ
リア（Ｆｕｒｃｅｌｌａｒｉａ）属、コンドラカンサス
・スコッツベルギイ（Ｃｈｏｎｄｒａｃａｎｔｈｕｓ
ｓｋｏｔｓｂｅｒｇｉｉ）、コンドラカンサス・サンド
パーパー（Ｃｈｏｎｄｒａｃａｎｔｈｕｓｓａｎｄｐ
ａｐｅｒ）からなる群より選ばれた海藻又はその抽出物
の１種又は２種以上を、抗酸化作用を与える有効成分と
して含有することを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項４】保湿剤を含有することを特徴とする請求
項１〜３のいずれかの請求項記載の皮膚外用剤。