JP2001347564A - ガスバリア性と光線遮断性に優れた延伸フィルム - Google Patents

ガスバリア性と光線遮断性に優れた延伸フィルム

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JP2001347564A
JP2001347564A JP2000330861A JP2000330861A JP2001347564A JP 2001347564 A JP2001347564 A JP 2001347564A JP 2000330861 A JP2000330861 A JP 2000330861A JP 2000330861 A JP2000330861 A JP 2000330861A JP 2001347564 A JP2001347564 A JP 2001347564A
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stretched
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Shukichi Kawamura
修吉 河村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた可視光線および紫外線の遮蔽機能、ガ
スバリア性および耐屈曲性を兼備えた延伸フィルムを得
ること。 【解決手段】 バリア性樹脂(A)70〜95重量%お
よび粒子径0.5〜2.5μmの無機フィラー(B)5
〜30重量%からなり、少なくとも一軸方向に2倍以上
延伸してなる延伸フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可視光線および紫
外線の遮蔽機能、ガスバリア性および耐屈曲性に優れた
延伸フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】単層または多層の構造体からなる包装容
器にはさまざまなものが充填されるが、一部の薬品や食
品類など、光により劣化しやすい性質のものを内容物と
することも多い。かかる内容物を長期間安定に保存する
ために、ガスバリア性に優れ、光遮断性に優れた単層ま
たは多層の構造体が求められている。特に、内容物が酒
類(特にアルコール度数の高くない日本酒やワインな
ど)や一部の薬品類は、可視光によっても品質が低下す
ることがあるため紫外線および可視光線のいずれにおい
ても優れた光遮断性を示すことが望ましい。
【0003】従来、エチレン−ビニルアルコール共重合
体に無機フィラーを添加した樹脂組成物からなる層を含
む多層容器として、特開平5−193076号公報には
エチレン含量20〜60モル%、けん化度95モル%以
上のエチレン−ビニルアルコール系共重合体50〜95
重量%と無機フィラー50〜5重量%とからなる樹脂組
成物(A)を中間層とし、該中間層の内外層に耐湿性熱
可塑性樹脂(B)を有する多層容器が開示されている。
しかしながら当該発明の目的は、熱成形性およびレトル
ト時のガスバリア性に優れた包装体を得ることであり、
光線遮断性については記載されていない。また、熱成形
容器を作製する際の延伸性については記載があるが、本
発明の延伸フィルムのように、極めて高度なガスバリア
性および優れた光線遮断性を得るために、前記樹脂組成
物(A)からなる層を少なくとも一軸方向に2倍以上延
伸することに関しては全く記載されていない。
【0004】また、特開平5−140345号公報にエ
チレン−ビニルアルコール系共重合体50〜99重量%
と無機フィラー1〜50重量%からなる樹脂組成物の層
からなり、かつ少なくとも片面の表面光沢度が60%以
下の機能性フィルムが開示されているが、当該機能性フ
ィルムを延伸する旨の記載はなく、かかる構成のフィル
ムでは充分な光線遮断性およびガスバリア性が得られな
い(本願明細書比較例3参照)。
【0005】また、特開平11−227118号公報に
は、EVOHにタルク0.05〜0.5重量%を含有し
た層と、ポリアミドからなる層の少なくとも2層を有
し、かつ、同時二軸延伸された延伸フィルムが記載され
ている。しかしながら、該公報に記載された発明と本願
発明では、無機フィラー(B)の含有量において明白に
異なる。
【0006】さらに、ガスバリア性材料で形成された容
器または外包材等で密閉された構造体の内部を真空排気
し断熱効果を高める方法は従来より知られており、さら
に断熱効果を高めるために、該構造体の内部にコア材を
充填し真空排気した真空断熱材も知られている。このよ
うな真空断熱材においては、内部を高真空度に保持する
ことにより気体伝熱を小さくして断熱性を向上させてい
るため、その断熱性を長期にわたって維持するために
は、例えば上記構造体には極めて優れたガスバリア性能
を有する材質を使用する必要がある。
【0007】かかる材質としては、成形性の観点から樹
脂、特に熱可塑性樹脂の使用が好ましいが、ガスバリア
性に優れる樹脂の代表例であるポリビニリデンクロライ
ド(PVDC)またはエチレン−ビニルアルコール共重
合体(以下、EVOHと略記することがある)等でもそ
のガスバリア性は真空断熱材としては不充分であり、得
られる構造体の断熱性を長期にわたって維持することは
困難であった。そこで樹脂のガスバリア性を改良する目
的で、例えば特開昭63−279083号公報、特開昭
63−233284号公報には、アルミニウム箔を熱可
塑性樹脂フィルムに積層した金属積層体が記載されてい
る。
【0008】しかしながら、上記金属積層体からなる真
空断熱材は、長期にわたって高真空度を維持することは
できるが、アルミニウム等の金属は熱伝導率が大きいた
め(例えばアルミニウムの熱伝導率は約200W/m・
Kであるのに対し、ポリプロピレン樹脂は約0.23W
/m・K、空気で約0.02W/m・K)、熱が金属部
分を伝って移動するいわゆるヒートブリッジが発生しや
すく、断熱性能が低下する虞があった。
【0009】ヒートブリッジを抑制する目的で、金属層
の厚みを薄くすることも考えられてはいるが、一般に金
属を熱可塑性樹脂層に積層する場合、アルミニウム等の
金属を高温で一旦気化させ樹脂層の表面に蒸着させた
り、圧延等により金属箔を別途作成した後、樹脂層に積
層することが多い。これらの方法では金属層の厚みを薄
くすると柔軟性や耐衝撃性が必ずしも充分に得られない
ことがあり、運搬などの流通過程においてピンホール等
を生じ、金属層を設けたにもかかわらずガスバリア性お
よび光線遮断性が低下し、長期にわたる断熱性能が低下
してしまうことがある。
【0010】また、アルミニウム箔を用いた場合は、リ
サイクルが必ずしも容易とは言えず、さらに焼却時には
焼却炉内に設置されている熱交換器の水管にアルミ蒸気
が凝縮して熱効率を悪化させる虞があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】このため、可視光線お
よび紫外線の遮蔽機能、ガスバリア性および耐屈曲性に
優れた、単層または多層の構造体が望まれている。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題は、バリア性樹
脂(A)70〜95重量%および粒子径0.5〜2.5
μmの無機フィラー(B)5〜30重量%からなり、少
なくとも一軸方向に2倍以上延伸してなる延伸フィルム
を提供することで達成される。
【0013】すなわち、本発明はバリア性樹脂(A)7
0〜95重量%および粒子径0.5〜2.5μmの無機
フィラー(B)5〜30重量%からなり、少なくとも一
軸方向に2倍以上延伸してなる延伸フィルムに関する。
【0014】好ましい実施態様では、本発明に用いられ
るバリア性樹脂(A)がエチレン−ビニルアルコール共
重合体およびポリメタキシリレンアジパミドより選択さ
れる少なくとも1種であり、特に好適にはエチレン含有
量5〜60モル%、ケン化度90%以上のエチレン−ビ
ニルアルコール共重合体である。
【0015】好ましい実施態様では、本発明に用いられ
る無機フィラー(B)がタルクである。
【0016】また、好ましい実施態様では、本発明の延
伸フィルムの厚みが3〜100μmであり、かつ全ヘイ
ズが50%以上である。さらに好ましい実施態様では、
当該延伸フィルムの全ヘイズと内部ヘイズの差が40%
以下である。
【0017】好ましい実施態様では、本発明の延伸フィ
ルムは、当該延伸フィルムからなる層を少なくとも一層
含む多層構造体として用いられる。
【0018】また、好ましい実施態様では、本発明の延
伸フィルムは、当該延伸フィルムを基材にドライラミネ
ートしてなる多層構造体として用いられる。また、上記
多層構造体の好ましい実施態様は紙容器であり、別の好
ましい実施態様は壁紙または化粧板である。また、上記
多層構造体は真空断熱材としても好適に用いられる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるバリア性樹脂
(A)は、ガスバリア性を有する樹脂である。かかるバ
リア性樹脂(A)としては、酸素透過量が100ml・
20μm/m 2・day(20℃−65%RHで測定し
た値)以下であることが好ましい。酸素透過量の上限は
より好適には10ml・20μm/m2・day・at
m以下であり、さらに好適には5ml・20μm/m2
・day・atm以下であり、特に好適には1ml・2
0μm/m2・day・atm以下である。
【0020】また、本発明に用いられるバリア性樹脂
(A)として、ポリビニルアルコール系樹脂およびポリ
アミドからなる群から選ばれる少なくとも一種を用いる
ことも好適である。
【0021】本発明におけるポリビニルアルコール系樹
脂とは、ビニルエステル重合体、またはビニルエステル
と他の単量体との共重合体をアルカリ触媒等を用いてケ
ン化して得られる樹脂のことを指す。ビニルエステルと
しては酢酸ビニルが代表的なものとして挙げられるが、
その他の脂肪酸ビニルエステル(プロピオン酸ビニル、
ピバリン酸ビニルなど)も使用できる。
【0022】また、本発明のポリビニルアルコール系樹
脂のビニルエステル成分のケン化度は好適には90%以
上であり、より好適には95%以上であり、更に好適に
は99%以上である。ケン化度が90モル%未満では、
高湿度下でのガスバリア性が低下する虞があり、かつガ
ソリンバリア性が不充分になる虞がある。なおここで、
ポリビニルアルコール系樹脂がケン化度の異なる2種類
以上のポリビニルアルコール系樹脂の配合物からなる場
合には、配合重量比から算出される平均値をケン化度と
する。かかるポリビニルアルコール系樹脂のケン化度
は、核磁気共鳴(NMR)法により求めることができ
る。
【0023】本発明のポリビニルアルコール系樹脂とし
ては、溶融成形が可能で、高湿度下でのガスバリア性が
良好であり、かつ優れたガソリンバリア性を有する観点
から、エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、E
VOHと略記することがある)が好適である。
【0024】本発明に用いられるEVOHとしては、エ
チレン−ビニルエステル共重合体をケン化して得られる
ものが好ましく、その中でも、エチレン含有量は5〜6
0モル%であることが好ましい。エチレン含有量の下限
はより好適には15モル%以上であり、さらに好適には
25モル%以上である。エチレン含有量の上限はより好
適には55モル%以下であり、さらに好適には50モル
%以下である。エチレン含有量が5モル%未満の場合は
溶融成形性が悪化する虞があり、60モル%を超えると
バリア性が不足する虞がある。
【0025】さらに、本発明に用いられるEVOHのビ
ニルエステル成分のケン化度は90%以上である。ビニ
ルエステル成分のケン化度は、好ましくは95%以上で
あり、最適には99%以上である。ケン化度が90%未
満では、ガソリンバリア性、熱安定性が不充分となる虞
がある。
【0026】EVOH製造時に用いるビニルエステルと
しては酢酸ビニルが代表的なものとして挙げられるが、
その他の脂肪酸ビニルエステル(プロピオン酸ビニル、
ピバリン酸ビニルなど)も使用できる。また、EVOH
は共重合成分としてビニルシラン化合物0.0002〜
0.2モル%を含有することができる。ここで、ビニル
シラン系化合物としては、たとえば、ビニルトリメトキ
シシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(β
−メトキシ−エトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシ
プロピルメトキシシランが挙げられる。なかでも、ビニ
ルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが好
適に用いられる。さらに、本発明の目的が阻害されない
範囲で、他の共単量体、例えば、プロピレン、ブチレ
ン、あるいは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル
酸メチルもしくは(メタ)アクリル酸エチルなどの不飽
和カルボン酸またはそのエステル、及び、N−ビニルピ
ロリドンなどのビニルピロリドンを共重合することも出
来る。
【0027】さらに、本発明の目的を阻外しない範囲で
EVOHにホウ素化合物をブレンドすることもできる。
ここでホウ素化合物としては、ホウ酸類、ホウ酸エステ
ル、ホウ酸塩、水素化ホウ素類等が挙げられる。具体的
には、ホウ酸類としては、オルトホウ酸、メタホウ酸、
四ホウ酸などが挙げられ、ホウ酸エステルとしてはホウ
酸トリエチル、ホウ酸トリメチルなどが挙げられ、ホウ
酸塩としては上記の各種ホウ酸類のアルカリ金属塩、ア
ルカリ土類金属塩、ホウ砂などが挙げられる。これらの
化合物のうちでもオルトホウ酸(以下、単にホウ酸と表
示する場合がある)が好ましい。
【0028】ホウ素化合物をブレンドする場合、ホウ素
化合物の含有量は好ましくはホウ素元素換算で20〜2
000ppm、より好ましくは50〜1000ppmで
ある。この範囲にあることで加熱溶融時のトルク変動が
抑制されたEVOHを得ることができる。20ppm未
満ではそのような効果が小さく、2000ppmを超え
るとゲル化しやすく、成形性不良となる場合がある。
【0029】また、本発明に用いられるEVOHに対
し、アルカリ金属塩をアルカリ金属元素換算で5〜50
00ppm含有させることも層間接着性や相容性の改善
のために効果的であることから好ましい。アルカリ金属
塩のより好適な含有量はアルカリ金属元素換算で20〜
1000ppm、さらには30〜500ppmである。
ここでアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、
カリウムなどが挙げられ、アルカリ金属塩としては、一
価金属の脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸塩、燐
酸塩、金属錯体等が挙げられる。例えば、酢酸ナトリウ
ム、酢酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリ
ン酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸のナトリウム塩
等が挙げられる。中でも酢酸ナトリウム、酢酸カリウム
が好適である。
【0030】また、本発明に用いられるEVOHに対し
リン酸化合物を、リン酸根換算で20〜500ppm、
より好適には30〜300ppm、最適には50〜20
0ppm含有させることも好ましい。かかる範囲でリン
酸化合物を含有させることにより、EVOHの溶融成形
性や熱安定性を改善することができる。特に、かかる範
囲でリン酸化合物を含有させることにより、EVOHを
用いて長時間に渡る溶融成形を行なう際に、ゲル状ブツ
の発生や着色の発生を、効果的に抑制することが出来
る。
【0031】EVOH中に配合するリン酸化合物の種類
は特に限定されるものではない。リン酸、亜リン酸等の
各種の酸やその塩等を用いることができる。リン酸塩と
しては第1リン酸塩、第2リン酸塩、第3リン酸塩のい
ずれの形で含まれていても良く、そのカチオン種も特に
限定されるものではないが、アルカリ金属塩、アルカリ
土類金属塩であることが好ましい。中でもリン酸2水素
ナトリウム、リン酸2水素カリウム、リン酸水素2ナト
リウム、リン酸水素2カリウムの形でリン酸化合物を添
加することが好ましい。
【0032】また本発明の目的を阻外しない範囲で熱安
定剤、酸化防止剤、グリセリンやグリセリンモノステア
レートなどの可塑剤をEVOHにブレンドすることもで
きる。
【0033】本発明に用いるEVOHの好適なメルトフ
ローレート(MFR)(190℃、2160g荷重下)
は0.1〜50g/10分であり、より好適には0.3
〜40g/10分、更に好適には0.5〜30g/10
分である。但し、融点が190℃付近あるいは190℃
を超えるものは2160g荷重下、融点以上の複数の温
度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆数を横軸、M
FRの対数を縦軸にプロットし、190℃に外挿した値
で表す。これらのEVOH樹脂は、それぞれ単独で用い
ることもできるし、2種以上を混合して用いることもで
きる。
【0034】本発明のバリア性樹脂(A)として用いら
れるポリアミドは、アミド結合を有する重合体であっ
て、例えば、ポリカプロアミド(ナイロン−6)、ポリ
ウンデカンアミド(ナイロン−11)、ポリラウリルラ
クタム(ナイロン−12)、ポリヘキサメチレンアジパ
ミド(ナイロン−6,6)、ポリヘキサメチレンセバカ
ミド(ナイロン−6,12)の如き単独重合体、カプロ
ラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン−6/
12)、カプロラクタム/アミノウンデカン酸重合体
(ナイロン−6/11)、カプロラクタム/ω−アミノ
ノナン酸重合体(ナイロン−6,9)、カプロラクタム
/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体
(ナイロン−6/6,6)、カプロラクタム/ヘキサメ
チレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジア
ンモニウムセバケート共重合体(ナイロン−6/6,6
/6,12)、ポリメタキシリレンアジパミド(以下、
MXD−6と略記することがある)、あるいはヘキサメ
チレンジアミンとm,p−フタル酸との重合体である芳
香族系ナイロンなどが挙げられる。これらのポリアミド
は、それぞれ単独で用いることもできるし、2種以上を
混合して用いることもできる。
【0035】これらのポリアミドの中でも、ガスバリア
性の観点からポリメタキシリレンアジパミド(MXD−
6)が好適である。
【0036】以上に例示されたバリア性樹脂(A)の中
でも、ガスバリア性の観点からエチレン−ビニルアルコ
ール共重合体(EVOH)およびポリメタキシリレンア
ジパミド(MXD−6)が好適であり、特にEVOHを
用いることが好ましい。
【0037】本発明の延伸フィルムを構成する樹脂組成
物は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、バリア
性樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂を配合することは任意
である。熱可塑性樹脂としては各種ポリオレフィン(ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4
−メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピレン共重合
体、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重
合体、ポリオレフィンと無水マレイン酸との共重合体、
エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−アクリ
ル酸エステル共重合体、またはこれらを不飽和カルボン
酸またはその誘導体でグラフト変性した変性ポリオレフ
ィンなど)、ポリウレタン、ポリアセタールなどが挙げ
られる。
【0038】しかしながら、該樹脂組成物からなる延伸
フィルムのガスバリア性の観点からは、バリア性樹脂
(A)以外の熱可塑性樹脂の配合量が少ないことが好ま
しい。樹脂組成物を構成する熱可塑性樹脂は、バリア性
樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂の含有量が20重量%以
下であることが好ましく、10重量%以下であることが
より好ましく、5重量%以下であることがさらに好まし
く、3重量%以下であることが特に好ましく、樹脂組成
物を構成する熱可塑性樹脂が実質的にバリア性樹脂
(A)のみからなることが最適である。
【0039】本発明に用いられる粒子径0.5〜2.5
μmの無機フィラー(B)の好ましい例としては、マイ
カ、セリサイト、ガラスフレークおよびタルクが挙げら
れるが、これらに限定されない。これらの無機フィラー
は単独で用いることもできるし、また複数種で用いるこ
ともできる。上記に例示した無機フィラー(B)の中で
も、重量平均アスペクト比(α)が大きく、光線遮断性
およびガスバリア性に特に優れた延伸フィルムが得られ
る観点から、タルクを用いることが特に好ましい。
【0040】本発明で用いられる無機フィラー(B)の
重量平均アスペクト比(α)は5以上が好適であり、更
に好適には10以上であり、最適には13以上である。
無機フィラー(B)の重量平均アスペクト比(α)が5
未満では酸素バリア性および光線遮断性の付与効果が小
さくなる虞があり、さらに、耐ピンホール性の改善効果
が不充分なものとなる虞がある。
【0041】本発明における無機フィラー(B)の重量
平均アスペクト比(α)とは、重量平均フレーク径L
と、以下の方法により測定される無機フィラーの重量平
均フレーク厚さdより(1)式を用いて算出される値で
ある。 α=L/d (1) (1)式における無機フィラー(B)の重量平均フレー
ク径Lは、粉体を各種目開きのマイクロシーブまたはフ
ルイで分級し、その結果をRosin‐Rammlar
線図にプロットし、測定に供した粉体の全重量の50重
量%が通過するマイクロシーブまたはフルイの目開きL
50に相当する値である。すなわち粉体の重量平均フレー
ク径Lは(2)または(3)式で定義される。 L=L50 (マイクロシーブの場合) (2) L=20.5・L50 (フルイの場合) (3) ここで、粉体のうち粒度の大きい部分についてはフルイ
によって分級されるものであり、粒度の細かい部分につ
いてはマイクロシーブによって分級されるものである。
【0042】一方、無機フィラーの重量平均フレーク厚
さdとは、C.E.Capesらの報告による水面単粒
子膜法{C.E.Capes and R.C.Cole
man.Ind.Eng.Chem.Fundam.,
Vol.12,No.2,P.124−126(197
3)}により測定されるフレークの水面での占有面積S
を用いて以下の(4)式より算出される値である。 d=W/{ρ(1−ε)・S} (4) ここでWは測定に供した粉体の重量、ρは粉体の比重、
(1−ε)は粉体が水面上で最密充填状態をとった場合
の占有率であり、粉体に関しては(1−ε)を0.9と
して計算した。
【0043】また、バリア性樹脂(A)との親和性を向
上させ延伸時の穴開きを防止するために、無機フィラー
(B)の表面に対して表面処理剤(例えばシラン系カッ
プリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウ
ム系カップリング剤等)での処理を施すことも好まし
い。
【0044】本発明に用いられる無機フィラー(B)の
粒子径は0.5〜2.5μmであり、好ましくは0.8
〜2.5μm、更に好ましくは0.8〜1.8μmであ
る。なお、本発明における無機フィラー(B)の粒子径
とは、上述の重量平均フレーク径Lのことを指す。無機
フィラー(B)の粒子径が0.5μmに満たない場合は
光線遮断性、特に可視光線遮断性が不充分なものとな
る。
【0045】また、無機フィラー(B)の粒子径が2.
5μm以下であることが極めて重要である。本発明の延
伸フィルムは、優れた紫外線遮断性および可視光線遮断
性、ならびにガスバリア性を得るために、少なくとも一
軸方向に2倍以上延伸してなる。本発明者の詳細な検討
の結果、上述の特開平5−193076号公報に記載さ
れている、多層シートを熱成形して多層容器を得るよう
な緩やかな延伸条件ではバリア性樹脂(A)に含有され
る無機フィラー(B)の粒子径は特に限定されないが、
本発明に要求されるような高倍率な延伸を行う際には、
無機フィラー(B)の粒子径が2.5μm以下であるこ
とが必須であることが初めて明らかになった。無機フィ
ラー(B)の粒子径が2.5μmを超える場合はバリア
性樹脂(A)および無機フィラー(B)からなる樹脂組
成物の延伸性が不満足なものとなる。その結果、延伸処
理を行うことによりフィルムの破れを生じることがあ
り、また、延伸後の膜厚が不均一になることがある。
【0046】本発明の延伸フィルムは、特に好適には当
該延伸フィルムと他の基材のフイルムまたはシートとを
有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステ
ル系化合物等の公知の接着剤を用いてラミネートする方
法、いわゆるドライラミネート法によって積層してなる
多層構造体として用いられる。かかる多層構造体を得る
ためには、本発明に用いられるバリア性樹脂(A)およ
び無機フィラー(B)からなる樹脂組成物を成形してな
る単層の原反フィルムを少なくとも一軸方向に2倍以上
延伸してなるフィルムを作製することが好ましい。基材
に積層する延伸フィルムは、バリア性樹脂(A)および
無機フィラー(B)からなる樹脂組成物層を少なくとも
一層含む多層構造体を延伸したものも使用可能である
が、当該樹脂組成物にとって、最も良好な延伸条件で延
伸を行うことができる観点から、樹脂組成物を成形して
なる単層の原反フィルムを延伸する実施態様が特に好ま
しい。樹脂組成物にとって良好な条件で延伸することに
より、紫外線遮断性および可視光遮断性、ガスバリア性
および耐ピンホール性をさらに向上させることが可能で
ある。
【0047】延伸原反として多層構造体を用いた場合
は、樹脂組成物層に積層された他の層も同時に延伸する
必要があるため、必ずしも樹脂組成物層にとって最適な
延伸条件で延伸することができないことがある。また、
延伸原反として多層構造体を用いた場合は、樹脂組成物
層に隣接する層の少なくとも一方は必ず延伸されるた
め、樹脂組成物層に隣接する層の両面ともに無延伸の層
を用いたい場合は、樹脂組成物を成形してなる単層の延
伸原反を延伸してなる延伸フィルムを用いる必要があ
る。
【0048】このため、本発明に用いられるバリア性樹
脂(A)および無機フィラー(B)からなる樹脂組成物
は、樹脂組成物単層の場合においても優れた延伸性を示
すことが好ましく、一般に多層の原反よりも単層の原反
の方が延伸が困難であり、高い延伸性を要求される観点
からも、本発明に用いられる無機フィラー(B)の粒子
径が2.5μm以下であることが極めて重要である。
【0049】また、本発明の延伸フィルムはバリア性樹
脂(A)70〜95重量%および粒子径0.5〜2.5
μmの無機フィラー(B)5〜30重量%からなる樹脂
組成物を成形してなる。当該樹脂組成物における(A)
および(B)の配合比は、好適には(A)80〜93重
量%および(B)7〜20重量%であり、より好ましく
は(A)85〜93重量%および(B)7〜15重量%
である。
【0050】(B)の含有量が30重量%を超える場合
は、当該樹脂組成物からなるフィルム原反を延伸する際
に充分な延伸性が得られず、表面凹凸が激しくなること
がある他、フィルムの破断を生じることがある。また、
他の基材等と貼り合わせる際に、表面形状が不良なため
に皺が多発することがある。
【0051】また、本発明においては、(B)の含有量
が5重量%以上であることが極めて重要である。(B)
の含有量が5重量%に満たない場合は、充分な可視光線
および紫外線の遮蔽機能、ガスバリア性および耐屈曲性
の改善効果が得られない。
【0052】特開平11−227118号公報には、E
VOHにタルク0.05〜0.5重量%を含有した層
と、ポリアミドからなる層の少なくとも2層を有し、か
つ、同時二軸延伸されてなる延伸フィルムが記載されて
いる。かかる延伸フィルムは、耐ピンホール性を有し、
ガスバリア性に優れる旨が記載されている。しかしなが
ら、該公報記載の実施例1および比較例1を比較すれば
明らかなように、EVOHに配合するタルクの含有量が
0.05〜0.5重量%である場合には、得られる延伸
フィルムはガスバリア性が改善されず、耐ピンホール性
も同様に改善されない。また、同文献には、EVOHに
タルクを0.60重量%添加した組成物を用いた場合で
は、ピンホール発生個数が増加する旨が記載されている
(同公報比較例3)。
【0053】また、該公報には、EVOHからなる組成
物にアイオノマー樹脂をさらに配合することにより、耐
ピンホール性が改善する旨が記載されているが、同文献
記載の実施例1と実施例4〜6を比較すれば明らかなよ
うに、アイオノマー樹脂の添加により耐ピンホール性は
向上する一方で、延伸フィルムのガスバリア性の低下が
見られている。このように、EVOHからなる延伸フィ
ルムにおいて、ガスバリア性および耐ピンホール性を同
時に改善する技術はこれまで存在せず、そのような技術
の開発が強く望まれていた。
【0054】そこで、本発明者が鋭意検討を行った結
果、バリア性樹脂(A)70〜95重量%および粒子径
0.5〜2.5μmの無機フィラー(B)5〜30重量
%からなり、少なくとも一軸方向に2倍以上延伸してな
る延伸フィルムが、可視光線および紫外線の遮蔽機能に
優れるのみならず、ガスバリア性および耐屈曲性に優れ
ることを見出し、本発明を完成されるに至った。
【0055】本願比較例1および比較例2から明らかな
ように、EVOHからなるフィルムを延伸した場合、未
延伸の場合と比較して、約4倍耐ピンホール性が向上し
(測定条件:23℃−50%RH)、かつ、酸素透過量
は0.6倍になり、ガスバリア性がある程度改善される
(測定条件:20℃−65%RH)。
【0056】ところが、EVOH90重量%およびタル
ク10重量%からなる樹脂組成物を延伸してなるフィル
ム(本願実施例1)を用いた場合、未延伸のEVOHの
みからなるフィルムに対し、約7倍も耐ピンホール性が
改善することが明らかとなった(測定条件:23℃−5
0%RH)。このように、タルクを特定量配合すること
により、延伸による耐ピンホール性の改善効果が大幅に
改善することは、極めて意外な事実である。
【0057】さらに、本願実施例1記載のフィルムの酸
素透過量は、比較例1記載のフィルムの約5分の1であ
り(測定条件:20℃−65%RH)、極めて顕著にガ
スバリア性が改善されている。このように、本願発明の
延伸フィルムは、光線遮断性に優れるのみならず、極め
て高度な耐ピンホール性およびガスバリア性を兼ね備え
たものであり、紙容器や真空断熱材などの用途に極めて
有用なものである。
【0058】本発明の効果を奏するためには、上記のよ
うに、フィルムを構成する樹脂組成物が無機フィラー
(B)を特定量配合してなることが必須であり、さら
に、少なくとも一軸方向に2倍以上延伸してなる延伸フ
ィルムであることが必須である。樹脂組成物が、バリア
性樹脂(A)70〜95重量%および無機フィラー
(B)5〜30重量%からなる場合でも、かかる延伸処
理を施されない場合は、耐ピンホール性はほとんど改善
されず、ガスバリア性に至っては全く改善されない(本
願比較例3参照)。
【0059】本発明に用いられる樹脂組成物は、バリア
性樹脂(A)および粒子径0.5〜2.5μmの無機フ
ィラー(B)からなるが、その製造方法は特に限定され
ない。バリア性樹脂(A)および無機フィラー(B)の
混練方法は特に限定されず、(A)および(B)を公知
のタンブラー、ヘンシェルミキサー等を用いて一括ブレ
ンドしてから溶融押出機でペレット化する方法、(A)
の溶融押出機途中から(B)を強制的にフィードして溶
融混練ペレット化する方法などが好適なものとして例示
される。
【0060】中でも、当該ブレンド物を混練部を有する
ベント型一軸押出機またはベント型二軸押出機を用いて
一旦ペレット化することが、(A)に対する(B)の分
散性がさらに良好となる観点から特に好ましい。
【0061】バリア性樹脂(A)と無機フィラー(B)
からなる混合物を公知のタンブラー、ヘンシェルミキサ
ー等を用いて一括ブレンドする場合、あらかじめバリア
性樹脂(A)を20〜40メッシュに粉砕したものを使
用することが好ましい。かかる方法を採用することによ
り、(B)の(A)への分散性が良好になり、かつ
(A)と(B)の混合物が押出機に供給される途中の分
級が防止できる。
【0062】無機フィラー(B)をバリア性樹脂(A)
と混練する際には、水分率を0.3%以下に乾燥するこ
とが望ましい。かかる操作を行うことで、本発明に用い
られるバリア性樹脂(A)が溶融押出機の中で水分と反
応して、ブツを発生しやすくなることを回避でき、良好
なペレットを得ることができる。また、溶融配合操作に
おいては、ブレンドが不均一になったり、ゲル、ブツが
発生、混入したりする可能性があるので、ブレンドペレ
ット化はなるべく混練度の高い押出機を使用し、ホッパ
ー口を窒素ガスでシールし、低温で押出しすることが望
ましい。
【0063】上記に例示した方法で得られた樹脂組成物
を溶融成形してなる延伸原反を、少なくとも一軸方向に
2倍以上延伸することにより本発明の延伸フィルムが得
られる。当該延伸原反の製造方法は特に限定されない
が、溶融成形して得られたフィルムまたはシートを、急
冷して得る製造方法が特に好ましい。フィルムまたはシ
ートを急冷することにより、製造直後のフィルムまたは
シートが溶融状態から冷却、固化する間の結晶化の促進
を抑制可能であり、延伸原反の延伸性を向上させること
ができる。溶融成形して得られたフィルムまたはシート
を急冷する方法は特に限定されず、公知の水冷法、空気
冷却法、金属ロール接触法などが好適なものとして例示
される。
【0064】本発明の延伸フィルムはバリア性樹脂
(A)および無機フィラー(B)からなる樹脂組成物を
溶融成形してなる延伸原反を、少なくとも一軸方向に2
倍以上延伸することにより得られる。少なくとも一軸方
向に2倍以上延伸されていることが極めて重要であり、
延伸倍率が2倍に満たない場合では、可視光線および紫
外線の遮蔽機能並びにガスバリア性に優れという本発明
の効果は奏することができない。
【0065】従来、バリア性樹脂(EVOHなど)から
なるフィルムを延伸することにより、ガスバリア性が向
上することは広く知られていた。しかしながら、バリア
性樹脂(A)70〜95重量%および粒子径0.5〜
2.5μmの無機フィラー(B)5〜30重量%からな
る樹脂組成物からなる延伸原反を、少なくとも一軸方向
に2倍以上延伸した延伸フィルムはこれまで知られてお
らず、本発明者は当該延伸フィルムが極めて優れたガス
バリア性を示すことを初めて明らかにした。
【0066】また、バリア性樹脂のみからなるフィルム
はほとんど光線遮断性を有さないが、無機フィラーを添
加することにより、顕著に光線遮断性を改善することが
可能となる。しかしながら、バリア性樹脂に無機フィラ
ーを添加したフィルムは、単層で用いた場合は優れた光
線遮断性を示すが、その内部ヘイズは小さく(本願比較
例3参照)、当該フィルムを中間層とする多層フィルム
の光線遮断性は不満足なものであった。これに対して、
バリア性樹脂(A)70〜95重量%および粒子径0.
5〜2.5μmの無機フィラー(B)5〜30重量%か
らなり、少なくとも一軸方向に2倍以上延伸してなる本
発明の延伸フィルムは、充分な光線遮断性を有し、内部
ヘイズも充分に大きく、当該延伸フィルムを多層フィル
ムの中間層として用いるような場合においても、優れた
光線遮断性を維持することが可能であった。
【0067】延伸原反を一軸延伸する場合は、延伸倍率
は2倍以上であることが必須であり、好適には2.5倍
以上、より好適には3倍以上である。延伸については一
軸延伸、二軸延伸のいずれであってもよいが、延伸フィ
ルムのガスバリア性および機械強度の改善効果の観点か
ら、二軸延伸が好ましい。延伸原反を二軸延伸する場合
は、面積倍率で好ましくは3倍以上、より好ましくは4
倍以上、特に好ましくは6倍以上延伸することが、ガス
バリア性および機械強度の改善効果の観点から好まし
い。
【0068】延伸原反を延伸する方法としては、公知の
延伸方法を採用することができる。ダブルバブル法、テ
ンター法、ロール法などで一軸または二軸延伸する方法
等があるが、フィルム厚み精度が優れている点で、テン
ター法が好ましい。延伸方法としては、数本の異なるロ
ールを組み合わせた縦延伸機でまず縦方向に延伸後、テ
ンター式延伸機で横方向に延伸しても良いし、逆に先に
横方向に延伸後、縦方向に延伸しても構わない。また、
テンター式延伸機で同時2軸延伸する方法でもよい。
【0069】延伸温度に関しては特に限定されないが、
本発明に用いられるバリア性樹脂(A)の融点以下の温
度で行うことが、光線遮断性の観点から好ましい。特
に、バリア性樹脂(A)がEVOHからなる場合にこの
傾向が強い。バリア性樹脂(A)がEVOHからなる場
合は、延伸温度は用いられるEVOHの融点より20℃
以上低いことが好ましく、EVOHの融点より40℃以
上低いことがより好ましく、EVOHの融点より60℃
以上低いことがさらに好ましく、EVOHの融点より8
0℃以上低いことが特に好ましい。延伸温度を低下させ
ることにより、延伸自体が困難になる場合があるので、
含水状態の延伸原反を用いて延伸処理を行うことが好適
である。含水状態の延伸原反を製造する方法は特に限定
されず、含水させた樹脂組成物ペレットを溶融成形して
得る方法や、延伸原反を温水(60〜90℃が好まし
い)に浸漬させて含水させる方法などが好適なものとし
て例示される。
【0070】なお、本発明でいうバリア性樹脂(A)の
融点は、バリア性樹脂(A)をJIS K7121に記
載の方法にて測定した値をいう(温度の校正にはイリジ
ウムと鉛を用いた)。また、本発明でいう延伸温度と
は、延伸原反を所定時間加熱した後の、延伸直前の延伸
原反の表面温度を測定した値を指す。
【0071】また、本発明の延伸フィルムは、ガスバリ
ア性および機械強度をさらに向上させる観点から、熱処
理を施すことが好ましい。一方、熱処理を施されない延
伸フィルムは、熱収縮性フィルムとして好適に用いられ
る。なお、本発明における熱処理温度とは、熱処理工程
において、延伸フィルムを所定時間加熱直後の多層構造
体の表面温度を測定した値を指す。熱処理温度は特に限
定されないが、下式(1)を満たす条件で行うことが好
ましい。 0≦Tm−T1≦80 (1) ただし、 Tm:バリア性樹脂(A)の融点(℃) T1:熱処理温度(℃) である。なお、本発明における熱処理温度とは、熱処理
工程において、延伸フィルムを所定時間加熱直後の延伸
フィルムの表面温度を測定した値を指す。
【0072】本発明の延伸フィルムの厚みは特に限定さ
れないが、3〜100μmであることが好ましい。3μ
m未満の場合は、フィルムの機械強度が不満足なものと
なる虞があり、ピンホール等が発生しやすくなることが
ある。また、100μmを超える場合は使用用途が限定
されることがあり、また、高度な延伸倍率の延伸フィル
ムを得る際に、延伸原反の厚みが大きくなるため、均一
な延伸が難しくなる虞がある。フィルムの厚みはより好
適には5〜50μmであり、特に好適には5〜20μm
である。かかる膜厚みにおいても、本発明の樹脂組成物
からなるフィルムは充分な可視光線および紫外線の遮蔽
機能、ならびにガスバリア性を有する観点から好適であ
る。
【0073】また、厚みが3〜100μmの本発明の延
伸フィルムにおいて、全ヘイズが50%以上であること
が可視光線の遮断機能という本願の効果を充分に奏する
観点から特に好ましい。当該フィルムの全ヘイズは60
%以上であることがより好ましく、65%以上であるこ
とがさらに好ましい。また、当該フィルムの全ヘイズと
内部ヘイズの差は30%以下であることが好ましく、よ
り好ましくは20%以下である。フィルムの全ヘイズと
内部ヘイズの差が30%以下である場合、該フィルムを
他の熱可塑性樹脂からなるフィルムまたはシートなどに
積層した場合においても、特に良好な可視光線遮断機能
を発揮することが可能である。
【0074】さらに、厚みが3〜100μmの本発明の
延伸フィルムにおいて、可視光線透過率が50%以下で
あり、かつ紫外線透過率が30%以下であることが、充
分な光線遮断性を得る観点から好ましい。可視光線透過
率はより好適には40%以下であり、さらに好適には3
0%以下であり、特に好適には20%以下である。ま
た、紫外線透過率はより好適には20%以下であり、さ
らに好適には10%以下である。なお、本発明において
可視光線透過率とは波長700nmにおける光線透過率
であり、紫外線透過率とは波長350nmにおける光線
の透過率である。
【0075】本発明の延伸フィルムは、当該延伸フィル
ムのみからなる単層の製品以外に、本発明の延伸フィル
ムからなる層を少なくとも1層とする多層構造体として
実用に供せられることができる。該多層構造体の層構成
としては、本発明の延伸フィルムからなる層をE、接着
性樹脂からなる層をAd、熱可塑性樹脂からなる層をT
で表わすと、E/Ad/T、T/Ad/E/Ad/T等
が挙げられるが、これに限定されない。それぞれの層は
単層であってもよいし、場合によっては多層であっても
よい。両外層に熱可塑性樹脂層を設ける場合は、異なっ
た種類のものでもよいし、同じものでもよい。さらに、
成形時に発生するトリムなどのスクラップからなる回収
樹脂層を別途設けてもよいし、回収樹脂を熱可塑性樹脂
層にブレンドしてもよい。多層構造体の厚み構成に関し
ても特に限定されるものではないが、成形性およびコス
ト等を考慮した場合、全層厚みに対する当該延伸フィル
ムからなる層の厚み比は2〜20%が好適である。
【0076】上記に示す多層構造体を製造する方法は特
に限定されず、例えば、本発明の延伸フィルムに熱可塑
性樹脂を溶融押出する方法、バリア性樹脂(A)70〜
95重量%および粒子径0.5〜2.5μmの無機フィ
ラー(B)5〜30重量%樹脂組成物と他の熱可塑性樹
脂とを共押出した後、少なくとも一軸方向に2倍以上延
伸する方法、、更には本発明の延伸フィルムと他の基材
とを有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエ
ステル系化合物等の公知の接着剤を用いてラミネートす
る方法(ドライラミネート法)等が好適なものとして挙
げられるが、これらの中でも本発明の延伸フィルムと他
の基材とをドライラミネートする方法が特に好ましいこ
とは上述に示した通りである。なお、基材としては熱可
塑性樹脂からなるフィルムまたはシートや、紙などが好
適なものとして例示される。
【0077】用いられる熱可塑性樹脂としては、直鎖状
低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリ
エチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル
共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ポリプロピ
レン、プロピレン−α−オレフィン共重合体(炭素数4
〜20のα−オレフィン)、ポリブテン、ポリペンテン
等のオレフィンの単独またはその共重合体、ポリエチレ
ンテレフタレート等のポリエステル、ポリエステルエラ
ストマー、ナイロン−6、ナイロン−6,6等のポリア
ミド樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビ
ニリデン、アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポ
リウレタンエラストマー、ポリカーボネート、塩素化ポ
リエチレン、塩素化ポリプロピレンなどが挙げられる。
上記の中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレ
ン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエステルが好まし
く用いられる。
【0078】本発明の延伸フィルム、および当該延伸フ
ィルムからなる層を少なくとも一層含む多層構造体は、
ガスバリア性に優れ、可視光線と紫外線の遮蔽性にも優
れているので各種食品、酒類、酸化劣化を嫌う工業用品
などを保存する容器として好適に用いられる。容器の形
態としては特に限定されず、フレキシブルパウチや紙容
器などが好適なものとして例示されるが、特に紙容器が
好適である。
【0079】従来、可視光線および紫外線により劣化し
やすい内容物を充填する紙容器には、薄い膜厚で可視光
線および紫外線遮断機能とガスバリア性を付与できる観
点から、アルミ箔が積層されていた。しかしながらアル
ミ箔を用いた多層構造体は、上述のようにリサイクル性
および焼却性のいずれにおいても問題が残されていた。
ところが、本発明の樹脂組成物からなる層を含む紙容器
を用いることにより、リサイクル性が大幅に向上し、焼
却時の問題も解決される。
【0080】紙容器の層構成として、熱可塑性樹脂から
なる層をT、本発明の延伸フィルムからなる層をE、接
着性樹脂からなる層または接着剤からなる層をAd、紙
をPとすると、T/P/Ad/E/Ad/T、 T/P
/Ad/E/Ad/P/T、T/P/Ad/E/Adな
どの層構成が例示されるがこれらに他の層を適宜付加す
ることは何ら差しつえなく、上記の例に限定するもので
はない。
【0081】また着色フィルムないしシート、鋼鈑、合
板を含む単層構造体または多層構造体との積層も可能で
ある。これら単層構造体または多層構造体に積層される
場合には、その表面保護や艶消し効果などのために用い
られ、壁紙、化粧板、建材、看板、鳥獣被害防止具等が
好適な用途として例示される。特に本発明の樹脂組成物
からなる層は艶消し効果およびエンボス加工性に優れて
いるため、本発明の樹脂組成物層を含む多層構造体は壁
紙または化粧板として好適に用いられる。
【0082】さらに、本発明の延伸フィルムは可視光線
および紫外線の遮蔽機能並びにガスバリア性に優れるた
め、当該延伸フィルムからなる層を少なくとも一層含む
多層構造体は、真空断熱材として極めて好適である。上
述の通り、従来、真空断熱材にはガスバリア性および光
線遮断性を付与するためにアルミ箔からなる層を少なく
とも一層含む多層構造体が用いられていたが、リサイク
ル性や焼却性に問題が残されていた他、いわゆるヒート
ブリッジによる断熱性能の低下の問題も残されていた。
ところが、本発明の延伸フィルムからなる層を少なくと
も一層含む多層構造体を用いることにより、これらの問
題を一挙に解決することが可能である。
【0083】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに説明する
が、これにより何ら限定されるものではない。本発明に
おける各種試験方法は以下の方法にしたがって行った。
なお部、%とあるのは、特に断りのない限りいずれも重
量基準である。
【0084】<酸素透過度>MODERN CONTR
OLS INC.製酸素透過量測定装置MOCONOX
−TRAN2/20型を用い、20℃−65%RH条件
でJIS K7126(等圧法)に記載の方法に準じて
測定した。なお、本発明でいう酸素透過量は、単一の層
からなるフィルムについて任意の膜厚で測定した酸素透
過量(ml/m2・day・atm)を、膜厚20μm
での酸素透過量に換算した値(ml・20μm/m2
day・atm)である。
【0085】<ヘイズ>日本精密光学(株)製積分式
H.T.Rメーターを使用し、JIS D8741に準
じて、各実施例および比較例で得られたフィルムのヘイ
ズの測定を行った。なお、内部ヘイズは、各実施例およ
び比較例で得られたフィルムの両面にシリコンオイルを
厚み約2μm塗布して測定した値である。
【0086】<光線透過率>島津製作所(株)製自記分
光光度計UV−2100を用い、JIS K7105に
記載の方法に準じて光線透過率を測定し、測定線図から
波長700nmにおける光線透過率(可視光線透過率)
および波長350nmにおける光線透過率(紫外線透過
率)を求めた。
【0087】<外観>延伸後、熱処理したフィルムの外
観および表面平滑性を目視にて評価し、以下の基準で判
定した。 判 定: 基 準 ◎ (合 格):破れがなく、表面が平滑である。 ○ (合 格):破れがなく、表面が多少ザラついてい
るが、実用上問題はない。 × (不合格):破れがあり、表面のザラつきが激し
い。
【0088】実施例1 バリア性樹脂(A)としてエチレン含有量32モル%、
ケン化度99.5モル%のEVOH(融点183℃)、
無機フィラー(B)として粒子径1.5μm、重量平均
アスペクト比15のタルク(富士タルク工業(株)製、
LMS−200)を用いた。前記EVOH90重量部お
よび前記タルク10重量部をタンブラーで混合した後、
ベント式二軸押出機を用いて230℃でペレット化し
た。得られたペレットを一軸押出機を用いて230℃で
フラットダイから溶融押出し、温度20℃の冷却ロール
に接触させ、厚さ135μmの延伸原反を得た。得られ
た延伸原反の表面は、平滑でブツがなく、厚薄精度も良
好であった。
【0089】次いで、延伸原反の水分を15%に調湿し
て、東洋精機(株)製の2軸延伸装置を用い、予熱80
℃(20秒間)、延伸温度80℃、延伸倍率9倍(縦
3.0倍×横3.0倍)、延伸速度1m/分で同時二軸
延伸して、厚み15μmの延伸フィルムを得た。得られ
た延伸フィルムを木枠に固定して、温度140℃・10
分間の熱処理した。当該単層延伸フィルムの酸素透過量
は0.04ml・20μm/m2・day・atm、全
ヘイズは70%、内部ヘイズは53%であり、可視光線
透過率は14%、紫外線透過率は6%であった。
【0090】得られた延伸フィルムを21cm×30c
mにカットして、23℃−50%RHに調湿した後、A
STM F 392−74に準じて、理学工業(株)製
ゲルボフレックステスターを使用し、300回屈曲させ
た(23℃―50%RH)。当該屈曲後のフィルムをP
PC用紙(コクヨKB―239、A4)の上に乗せて蒸
留水1000gに対して赤色顔料(住友化学製、N−4
G)5gを溶解して作成した赤色インクを布に染み込ま
せてフィルムの上面に塗布して、ピンホールの部分をP
PC用紙に転写させた。
【0091】上記のようにして紙面に転写されたフィル
ムのピンホールを、それぞれのサイズ毎に個数を測定し
た(n=2)。評価結果を表3に示す。
【0092】また、21cm×30cmにカットされた
上記延伸フィルムを45枚作製し、それぞれのフィルム
を23℃−50%RHに調湿した後、ASTM F 3
92−74に準じて、理学工業(株)製ゲルボフレック
ステスターを使用し、屈曲回数200回、225回、2
50回、300回、350回、400回、500回、6
25回および750回屈曲させた後、ピンホールの数を
測定した。それぞれの屈曲回数において、測定を5回行
い、その平均値をピンホール個数とした。
【0093】屈曲回数(P)を横軸に、ピンホール数
(N)を縦軸に取り、上記測定結果をプロットし、ピン
ホール数が1個の時の屈曲回数(Np1)を外挿により
求めた(図1参照)。本実施例の延伸フィルムのNp1
は230回であった。
【0094】上記作製した延伸フィルムの両面に、厚さ
60μmのポリエチレンフィルム(アイセロ化学(株)
製、スズロン)を貼り合わせ複合フィルムとした。接着
剤は、武田薬品工業、タケラック、A385/A50を
用いて塗布量を固形分4g/m2とし、温度を70℃で
ラミネートし、40℃で5日間エージングした。当該複
合フィルムは、デラミネーションを起こしておらず膜面
は、良好であった。また、当該複合フィルムの可視光線
透過率は42%、紫外線透過率は19%であった。
【0095】実施例2 バリア性樹脂(A)として、エチレン含有量27モル
%、ケン化度99.5%のEVOH(融点191℃)を
用いた以外は、実施例1と同様にして延伸フィルムを作
製し、各種物性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0096】実施例3 バリア性樹脂(A)として、エチレン含有量47モル
%、ケン化度99.5%のEVOH(融点160℃)を
用いた以外は、実施例1と同様にして延伸フィルムを作
製し、各種物性を評価した。評価結果を表3に示す。
【0097】実施例4 無機フィラー(B)として粒子径2μmのタルク(富士
タルク工業(株)製、LMK−100)を用いた以外
は、実施例1と同様にして延伸フィルムを作製し、各種
物性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0098】実施例5 バリア性樹脂(A)および無機フィラー(B)の配合量
を、バリア性樹脂(A)80重量部に対して無機フィラ
ー(B)を20重量部とした以外は、実施例1と同様に
して延伸フィルムを作製し、各種物性を評価した。評価
結果を表1に示す。
【0099】実施例6 バリア性樹脂(A)としてMXD−6(三菱瓦斯化学
製、MXナイロン6007)を用いた以外は、実施例1
と同様にしてフィルムを作製し、各種物性を評価した。
評価結果を表1に示す。
【0100】実施例7 バリア性樹脂(A)としてナイロン−6(宇部興産製、
UBEナイロン1024B)を用いた以外は、実施例1
と同様にしてフィルムを作製し、各種物性を評価した。
評価結果を表1に示す。
【0101】
【表1】
【0102】比較例1 エチレン含有量32モル%、ケン化度99.5モル%の
EVOH(融点183℃)を一軸押出機を用いて230
℃で押出し、厚さ20μmの無延伸フィルムを得た。ま
た、当該単層フィルムの酸素透過量は0.20ml・2
0μm/m2・day・atm、全ヘイズは1%、内部
ヘイズは1%であり、可視光線透過率は91%、紫外線
透過率は87%だった。
【0103】21cm×30cmにカットされた上記無
延伸フィルムを40枚作製し、それぞれのフィルムを2
3℃−50%RHに調湿した後、ASTM F 392
−74に準じて、理学工業(株)製ゲルボフレックステ
スターを使用し、屈曲回数25回、30回、35回、4
0回、50回、60回、80回および100回屈曲させ
た後の、直径2mm以上のピンホールの数を測定した。
それぞれの屈曲回数において、ピンホール数の測定を5
回行い、その平均値をピンホール個数とした。
【0104】屈曲回数(P)を横軸に、ピンホール数
(N)を縦軸に取り、上記測定結果をプロットし、ピン
ホール数が1個の時の屈曲回数(Np1)を外挿により
求めた(図2参照)。本比較例の無延伸フィルムのNp
1は32回であった。
【0105】上記作製した無延伸EVOHフィルムの両
面に、厚さ60μmのポリエチレンフィルム(アイセロ
化学(株)製、スズロン)を貼り合わせ複合フィルムと
した。接着剤は、武田薬品工業、タケラック、A385
/A50を用いて塗布量を固形分4g/m2とし、温度
を70℃でラミネートし、40℃で5日間エージングし
た。当該複合フィルムの可視光線透過率は83%であ
り、紫外線透過率は63%であった。
【0106】比較例2 エチレン含有量32モル%、ケン化度99.5モル%の
EVOH(融点183℃)を一軸押出機を用いて230
℃でフラットダイから溶融押出し、温度20℃の冷却ロ
ールに接触させ、厚さ135μmの延伸原反を得た。得
られた延伸原反の表面は、平滑でブツがなく、厚薄精度
も良好であった。
【0107】次いで、延伸原反の水分を15%に調湿し
て、東洋精機(株)製の2軸延伸装置を用い、予熱80
℃・20秒間、延伸温度80℃、延伸倍率9倍(縦3.
0倍×横3.0倍)、延伸速度1m/分で同時二軸延伸
して、厚み15μmの延伸フィルムを得た。得られた延
伸フィルムを木枠に固定して、温度140℃・10分間
の熱処理した。当該単層延伸フィルムの酸素透過量は
0.13ml・20μm/m2・day・atm、全ヘ
イズは0.3%、内部ヘイズは0.1%であり、可視光
線透過率は92%、紫外線透過率は90%であった。
【0108】得られた延伸フィルムを21cm×30c
mにカットして、23℃−50%RHに調湿した後、A
STM F 392−74に準じて、理学工業(株)製
ゲルボフレックステスターを使用し、300回屈曲させ
た(23℃―50%RH)。当該屈曲後のフィルムをP
PC用紙(コクヨKB―239、A4)の上に乗せて蒸
留水1000gに対して赤色顔料(住友化学製、N−4
G)5gを溶解して作成した赤色インクを布に染み込ま
せてフィルムの上面に塗布して、ピンホールの部分をP
PC用紙に転写させた。
【0109】上記のようにして紙面に転写されたフィル
ムのピンホールを、それぞれのサイズ毎に個数を測定し
た(n=2)。評価結果を表3に示す。
【0110】また、21cm×30cmにカットされた
上記延伸フィルムを45枚作製し、それぞれのフィルム
を23℃−50%RHに調湿した後、ASTM F 3
92−74に準じて、理学工業(株)製ゲルボフレック
ステスターを使用し、屈曲回数100回、110回、1
25回、150回、175回、200回、225回、2
50回および300回屈曲させた後の、直径2mm以上
のピンホールの数を測定した。それぞれの屈曲回数にお
いて、測定を5回行い、その平均値をピンホール個数と
した。
【0111】屈曲回数(P)を横軸に、ピンホール数
(N)を縦軸に取り、上記測定結果をプロットし、ピン
ホール数が1個の時の屈曲回数(Np1)を外挿により
求めた(図3参照)。本比較例の延伸フィルムのNp1
は130回であった。
【0112】上記作製した延伸フィルムの両面に、厚さ
60μmのポリエチレンフィルム(アイセロ化学(株)
製、スズロン)を貼り合わせ複合フィルムとした。接着
剤は、武田薬品工業、タケラック、A385/A50を
用いて塗布量を固形分4g/m2とし、温度を70℃で
ラミネートし、40℃で5日間エージングした。当該複
合フィルムの可視光線透過率は82%、紫外線透過率は
65%であった。
【0113】比較例3 バリア性樹脂(A)としてエチレン含有量32モル%、
ケン化度99.5モル%のEVOH(融点183℃)、
無機フィラー(B)として粒子径1.5μm、重量平均
アスペクト比15のタルク(富士タルク工業(株)製、
LMS−200)を用いた。前記EVOH90重量部お
よび前記タルク10重量部をタンブラーで混合した後、
ベント式二軸押出機を用いて230℃でペレット化し
た。得られたペレットを一軸押出機を用いて230℃で
押出し、厚さ20μmの無延伸フィルムを得た。また、
当該単層フィルムの酸素透過量は0.20ml・20μ
m/m2・day・atm、全ヘイズは61%、内部ヘ
イズは25%であり、可視光線透過率は20%、紫外線
透過率は12%だった。
【0114】得られた無延伸フィルムを用いて、比較例
1と同様にしてNp1の回数を求めた。本比較例の無延
伸フィルムのNp1は39回であった。
【0115】上記作製した無延伸EVOHフィルムの両
面に、厚さ60μmのポリエチレンフィルム(アイセロ
化学(株)製、スズロン)を貼り合わせ複合フィルムと
した。接着剤は、武田薬品工業、タケラック、A385
/A50を用いて塗布量を固形分4g/m2とし、温度
を70℃でラミネートし、40℃で5日間エージングし
た。当該複合フィルムの可視光線透過率は73%であ
り、紫外線透過率は53%であった。
【0116】比較例4 無機フィラー(B)として粒子径6μm、重量平均アス
ペクト比7のタルク(富士タルク工業(株)製、PKP
−80)を用いた以外は、実施例1と同様にして延伸フ
ィルムの作製を試みたが、フィルム外観は不良であり、
延伸により破れ等が生じ、フィルム外観および表面の平
滑性は不良であり、実用に耐えなかった。
【0117】比較例5 バリア性樹脂(A)および無機フィラー(B)の配合量
を、バリア性樹脂(A)60重量部に対して無機フィラ
ー(B)を40重量部とした以外は、実施例1と同様に
して延伸フィルムの作製を試みたが、延伸により破れ等
が生じ、フィルム外観および表面の平滑性は不良であ
り、実用に耐えなかった。
【0118】比較例6 粒子径1.5μm、重量平均アスペクト比15のタルク
(富士タルク工業(株)製、LMS−200)の替わり
に、粒子径0.25μmの酸化チタン(石原産業(株)
製、タイペークCR60)を用いた以外は実施例1と同
様にして延伸フィルムを作製し、各種物性を評価した。
評価結果を表2に示す。
【0119】
【表2】
【0120】
【表3】
【0121】本発明の構成を満たす実施例1〜7の延伸
フィルムは可視光線および紫外線の遮蔽機能、ならびに
ガスバリア性のいずれにおいても優れた性能を発揮し
た。これに対して、無機フィラー(B)を用いない、無
延伸のEVOHフィルムを用いた比較例1あるいは延伸
EVOHフィルムを用いた比較例2では、可視光線およ
び紫外線の遮蔽機能、ガスバリア性および耐ピンホール
性のいずれにおいても充分な性能が得られなかった。ま
た、バリア性樹脂(A)および無機フィラー(B)から
なるが、延伸処理を行っていない比較例3では充分なガ
スバリア性および耐ピンホール性が得られず、また、内
部ヘイズが充分に大きくならないため、特にポリエチレ
ンとの複合フィルムとした際に、満足な光線遮断性が得
られなかった。
【0122】本願比較例1および比較例2で得られたフ
ィルムのガスバリア性を比較すれば明らかなように、無
機フィラーを含まず、EVOHのみからなるフィルムの
場合は、延伸による酸素透過量の低減効果は約3割程度
である。
【0123】一方、本願実施例1および比較例3で得ら
れたフィルムのガスバリア性を比較すれば明らかなよう
に、バリア性樹脂(A)および無機フィラー(B)から
なるフィルムの場合は、延伸処理を行わない場合は無機
フィラー(B)を添加しても殆どガスバリア性の改善効
果が見られないにも関わらず、延伸を行うことにより、
約8割も酸素透過量を低減させることが可能であった。
このように、無機フィラー(B)の添加により、延伸に
よるガスバリア性の改善効果が大幅に向上することは本
発明者によって初めて明らかにされたことであり、かか
る観点からも、本発明の意義は大きい。
【0124】また、本発明の延伸フィルムは充分な内部
ヘイズを得ることが可能であるのに対し(実施例1参
照)、未延伸フィルムを用いた比較例3では、充分な内
部ヘイズが得られず、他の熱可塑性樹脂等との複合フィ
ルムとした際に満足な光線遮断性が得られなかった。少
なくとも一軸方向に2倍以上延伸することにより、バリ
ア性樹脂(A)および無機フィラー(B)からなるフィ
ルムが充分な内部ヘイズを有し、積層体として用いた際
にも優れた光線遮断性を維持できる理由は明らかではな
いが、かかる特性は本発明者によって初めて明らかにさ
れたことであり、かかる観点からも、本発明の意義は大
きい。
【0125】また、無機フィラー(B)の粒子径が2.
5μmを超える比較例4の場合、および無機フィラー
(B)の配合量が30重量%を超える比較例5の場合
は、延伸原反の延伸性が不満足であり、延伸により破れ
等が生じ、フィルム外観および表面の平滑性は不良であ
り、実用に耐えなかった。
【0126】さらに、無機フィラー(B)の粒子径が
0.5μmに満たない比較例6の場合は、充分な可視光
遮断性およびガスバリア性が得られなかった。
【発明の効果】本発明の延伸フィルムは、可視光線およ
び紫外線の遮蔽機能、ガスバリア性および耐屈曲性に優
れており、各種食品、水産加工品、薬品、化粧品等の容
器、特に好適には紙容器として用いられる他、壁紙、建
材、看板類や、真空断熱材等に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で作製された延伸フィルムの、23℃
−50%RHでのゲルボフレックステスターでの屈曲回
数(N)とピンホール発生数(P)の関係を示す図であ
る。
【図2】比較例1で作製された未延伸フィルムの、23
℃−50%RHでのゲルボフレックステスターでの屈曲
回数(N)とピンホール発生数(P)の関係を示す図で
ある。
【図3】比較例2で作製された延伸フィルムの、23℃
−50%RHでのゲルボフレックステスターでの屈曲回
数(N)とピンホール発生数(P)の関係を示す図であ
る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08J 5/18 CEX C08J 5/18 CEX CFG CFG C08K 3/00 C08K 3/00 3/34 3/34 C08L 29/04 C08L 29/04 S 77/00 77/00 101/12 101/12 // B29K 55:00 B29K 55:00 77:00 77:00 105:16 105:16 303:04 303:04 B29L 7:00 B29L 7:00 9:00 9:00 Fターム(参考) 3E086 AD02 BA04 BA15 BA33 BB05 BB22 BB23 BB85 CA01 CA25 CA28 CA29 4F071 AA15X AA29X AA56 AA76 AB30 AF07 AF30 AH03 AH05 BA01 BB06 BB07 BC01 4F100 AA00A AC10A AK01A AK47A AK69A AT00B BA02 BA10A BA10B CA23A CB00 DA01 DG10B EJ37A GB08 GB90 HB00 HB31 JA20A JD02A JK20 JN01A YY00A 4F210 AA04E AA19E AA29 AB11 AB16 AG01 AG03 AH48 AH56 AR20 QA03 QC01 QC05 QG01 QG15 QG18 4J002 BE021 BE031 CL001 CL011 CL031 CL061 DJ046 DJ056 DL006 FD016

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バリア性樹脂(A)70〜95重量%お
    よび粒子径0.5〜2.5μmの無機フィラー(B)5
    〜30重量%からなり、少なくとも一軸方向に2倍以上
    延伸してなる延伸フィルム。
  2. 【請求項2】 バリア性樹脂(A)がエチレン−ビニル
    アルコール共重合体およびポリメタキシリレンアジパミ
    ドより選択される少なくとも1種である請求項1記載の
    延伸フィルム。
  3. 【請求項3】 バリア性樹脂(A)がエチレン含有量5
    〜60モル%、ケン化度90%以上のエチレン−ビニル
    アルコール共重合体である請求項1または2記載の延伸
    フィルム。
  4. 【請求項4】 無機フィラー(B)がタルクである請求
    項1〜3のいずれかに記載の延伸フィルム。
  5. 【請求項5】 厚みが3〜100μmであり、全ヘイズ
    が50%以上である請求項1〜4のいずれかに記載の延
    伸フィルム。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の延伸フ
    ィルムからなる層を少なくとも一層含む多層構造体。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれかに記載の延伸フ
    ィルムを、基材にドライラミネート法によって積層して
    なる多層構造体。
  8. 【請求項8】 請求項6または7記載の多層構造体から
    なる紙容器。
  9. 【請求項9】 請求項6または7記載の多層構造体から
    なる壁紙または化粧板。
  10. 【請求項10】 請求項6または7記載の多層構造体か
    らなる真空断熱材。
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