JP2001344737A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP2001344737A
JP2001344737A JP2000164638A JP2000164638A JP2001344737A JP 2001344737 A JP2001344737 A JP 2001344737A JP 2000164638 A JP2000164638 A JP 2000164638A JP 2000164638 A JP2000164638 A JP 2000164638A JP 2001344737 A JP2001344737 A JP 2001344737A
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Noboru Jinbo
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】短波長出力を向上させるために磁性層の表面粗
さを1.0〜3.0nmと小さくし、全体の厚み、バッ
ク層の厚みも比較的薄く形成した場合であっても、電磁
変換特性や走行耐久性に優れ、データの記録及び読み出
しに対する信頼性が高く、しかも湿熱保存特性に優れて
おり、特にデジタルデータ記録用として有利に用いるこ
とができる磁気テープとして好適な磁気記録媒体を提供
すること。 【解決手段】支持体上に、非磁性層と強磁性粉末を含む
磁性層がこの順序で設けられている磁気記録媒体におい
て、非磁性層が、カルボン酸アミン塩及び燐酸エステル
アミン塩から選択される少なくとも1種以上のアニオン
性界面活性剤で処理されたカーボンブラックを含有する
ことを特徴とする磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気記録媒体に関
し、特に強磁性金属粉末と結合剤を主体とする磁性塗料
を支持体上に塗布して磁性層を形成した塗布型の磁気記
録媒体てあって、短波長領域における出力、C/N、ド
ロップアウト特性が優れた磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録技術は、媒体の繰り返し使用が
可能であること、信号の電子化が容易であり周辺機器と
の組み合わせによるシステムの構築が可能であること、
信号の修正も簡単にできること等の他の記録方式にはな
い優れた特長を有することから、ビデオ、オーディオ、
コンピューター用途等を始めとして様々な分野で幅広く
利用されてきた。そして、機器の小型化、記録再生信号
の質の向上、記録の長時間化、記録容量の増大等の要求
に対応するために、記録媒体に関しては、記録密度、信
頼性、耐久性をより一層向上させることが常に望まれて
きた。
【0003】近年、ミニコンピュータ、パーソナルコン
ピュータなどのオフィスコンピュータの普及に伴って、
外部記憶媒体として、コンピュータ情報を保存するため
の磁気テープ(所謂、バックアップテープ)の研究が盛
んに行われている。このような用途の磁気記録媒体の実
用化に際しては、特にコンピュータの小型化、情報処理
能力の増大および搭載されるハ−ドディスクの大容量化
と相まって、記録容量の向上が強く要求される。また磁
気記録媒体が可換媒体であること、磁気記録媒体の使用
環境の広がりによる幅広い環境条件下(特に、変動の激
しい温湿度条件下など)での使用、データ保存に対する
信頼性、更に高速での繰り返し使用による多数回走行に
おけるデータの安定した記録、読み出し等の性能に対す
る信頼性なども従来にまして要求される。
【0004】一般に、磁気記録媒体は、合成樹脂などの
可撓性材料の支持体上に、磁性層が設けられた構成であ
る。そして上記のような大きい記録容量(体積記録容
量)を達成するためには、磁性粉末の粉体サイズを小さ
くする、その分散性を向上させる、あるいは磁性層を更
に薄膜化するなどの磁性層自体の面記録密度を高めると
共に、磁気記録媒体の全厚を薄くすることが有効な方法
であるとされている。また良好な感度(特に高周波領域
での出力)を維持させるためには磁性層は平滑、通常、
中心面平均表面粗さで1.0〜3.0nmであることが
好ましいが、この平滑化を達成するために支持体と磁性
層の間に下地層を設けたり、巻き乱れ、走行性の低下を
防止するために、上記支持体の磁性層とは反対の面に通
常バック層が設けられることが多い。そして特に全厚を
薄くした場合には、磁気テープの自己支持性と強度も低
下するため、バック層の付設は、繰り返し使用に対する
良好な走行耐久性を維持させるためにも必要になる。但
し、上記のように磁気テープの薄手化に伴って下地層、
バック層の厚さも比較的薄く設けられることが必要にな
る。
【0005】磁気記録媒体の全厚、そしてバック層の厚
さを比較的薄くした磁気記録媒体は、例えば、特開平6
−215350号公報に開示されている。そしてこの公
報に記載されている磁気テープの具体的な例としては、
磁気テープの全厚を10μm、バック層の層厚を0.5
μmにした態様のもの、あるいはまた全厚を9.5μ
m、バック層の層厚を0.5μmにした態様のものが挙
げられている。これらの態様におけるバック層には、帯
電防止と安定した走行性付与のために、前者の態様で
は、比較的微粒子状のカーボンブラックが単独で使用さ
れており、また後者の態様では、比較的微粒子状のカー
ボンブラックと比較的粗粒子状のカーボンブラックの二
種類のカーボンブラックが使用されている。
【0006】一方、バック層の高い表面平滑性、ガイド
ピンに対する摩擦係数の低減化、そして良好な走行安定
性を得る目的で、バック層中に、微粒子状カーボンブラ
ックと、粗粒子状のカーボンブラックと、微粒子状炭酸
カルシウムを含有した磁気テープが提案されている(特
開平2−7223号公報)。また上記バック層には、更
に無機質粉末(例えば、α−酸化鉄など)が添加される
ことがあると記載されている。
【0007】本発明者らは、磁気テープの全厚が10μ
m以下と薄く、かつバック層の層厚も0.2〜0.8μ
mと非常に薄く抑えた磁気記録媒体のデジタルデータ用
の外部記録媒体としての利用について検討した。その結
果、前記特開平6−215350号公報に記載の磁気テ
ープでは、充分満足できる性能は得られないことが判明
した。すなわち、磁気記録媒体の薄型化に伴って媒体自
体の強度が不足するためか、特に湿度及び温度が高いか
又は低いときに磁性層の摩擦係数が増大し、ドロップア
ウトが増加し、また出力も低下する傾向にあるという問
題が生じた。これは、走行を繰り返すうちにカーボンブ
ラックが磁性層から脱落し易くなることが関与している
ものと考えられる。
【0008】そこで、フッ素ガスを用いたカーボンブラ
ック表面の処理法が考案されている(化学、46巻、9
号、1991)。この方法では粒子表面がフッ素ガスに
よって炭素粒子表面がイオン化することにより、分散性
に優れた炭素が得られることが挙げられている。しかし
ながら、炭素粒子表面のイオン化は、粉体状態での保存
中の性能安定性に問題が有り、分散系中のpHや温度変
化に対して不安定であるという欠点を有し、上記表面改
質したカーボンブラックを用いて磁性塗料化、磁気記録
媒体としても、まだ不十分であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、短波
長出力を向上させるために磁性層の表面粗さを1.0〜
3.0nmと小さくし、全体の厚み、バック層の厚みも
比較的薄く形成した場合であっても、電磁変換特性や走
行耐久性に優れ、データの記録及び読み出しに対する信
頼性が高く、しかも湿熱保存特性に優れており、特にデ
ジタルデータ記録用として有利に用いることができる磁
気テープとして好適な磁気記録媒体を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、下記構
成の磁気記録媒体が提供されて、上記目的が達成され
る。 1.支持体上に、非磁性層と強磁性粉末を含む磁性層が
この順序で設けられている磁気記録媒体において、非磁
性層が、カルボン酸アミン塩及び燐酸エステルアミン塩
から選択される少なくとも1種以上で処理されたカーボ
ンブラックを含有することを特徴とする磁気記録媒体。 2.カーボンブラックの平均粒子径が5〜20nmの範
囲にあることを特徴とする上記1に記載の磁気記録媒
体。 3.非磁性層が、ポリウレタン硬化型樹脂、フェノ−ル
樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂とイソシアネ−
トプレポリマ−の混合物、ポリエステルポリオ−ルとポ
リイソシアネ−ト、ポリウレタンとポリイソシアネート
の混合物から選択される少なくとも1種の結合剤を含有
することを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気記録
媒体。 4.非磁性層は、平均粉体サイズが10〜300nmの
金属酸化物を含有し、その含有量が、上記カーボンブラ
ックとの質量割合(金属酸化物/カーボンブラック)
で、95/5〜60/40であることを特徴とする上記
1〜3のいずれかに記載の磁気記録媒体。 5.非磁性層は、上記金属酸化物と上記カーボンブラッ
クとを別々に分散後、これらを含む塗料を調製し、支持
体に塗布して形成された層であることを特徴とする上記
1〜4のいずれかに記載の磁気記録媒体。 6.磁性層の厚みが0.01〜0.5μmであり、表面
粗さが3D−MIRAU法による中心面平均表面粗さ
で、1.0〜3.0nmであることを特徴とする上記1
〜5のいずれかに記載の磁気記録媒体。 7.磁性層の抗磁力が1.35×105A/m(170
0Oe)以上であり、前記磁性層の飽和磁束密度と磁性
層厚みの積が5〜300(mT・μm)であることを特
徴とする上記1〜6のいずれかに記載の磁気記録媒体。 8.非磁性層に含有されるカーボンブラックは、平均粒
子径が5〜15nm、比表面積が200〜800m2
g、DBP吸油量が50〜120cc/100g、揮発
分が5〜15質量%であることを特徴とする上記1〜7
のいずれかに記載の磁気記録媒体。 9. 磁性層は、カルボン酸アミン塩及び燐酸エステル
アミン塩から選択される少なくとも1種以上のアニオン
性界面活性剤で処理され、平均粒子径が5〜100nm
のカーボンブラックを含有することを特徴とする上記1
〜8のいずれかに記載の磁気記録媒体。
【0011】本願明細書において、平均粒子径とは一次
粒子の円相当径の平均を意味する。一次粒子とは、凝集
のない独立した1個の粉体であって、粉体形状が球形、
多面体状、不特定形等であって、かつ形状から粉体を構
成する長軸を特定できない場合を意味し、円相当径と
は、円投影法で求められるものを言う。カーボンブラッ
クの平均粒子径についても上記と同様である。
【0012】本願明細書において、上記カーボンブラッ
クや強磁性粉末のように種々の粉体のサイズ(以下、
「粉体サイズ」と言う)は、高分解能透過型電子顕微鏡
写真より求められる。即ち、粉体サイズは、粉体の形
状が針状、紡錘状、柱状(ただし、高さが底面の最大長
径より大きい)等の場合は、粉体を構成する長軸の長
さ、即ち長軸長で表され、粉体の形状が板状乃至柱状
(ただし、厚さ乃至高さが板面乃至底面の最大長径より
小さい)場合は、その板面乃至底面の最大長径で表さ
れ、粉体の形状が球形、多面体状、不特定形等であっ
て、かつ形状から粉体を構成する長軸を特定できない場
合は、円相当径で表される。
【0013】また、該粉体の平均粉体サイズは、上記粉
体サイズの算術平均であり、約500個の粉体について
上記の如く測定を実施して求めたものである。また、該
粉体の平均針状比は、上記測定において粉体の短軸の長
さ、即ち短軸長を測定し、各粉体の(長軸長/短軸長)
の値の算術平均を指す。ここで、短軸長とは、上記粉体
サイズの定義での場合は、粉体を構成する短軸の長さ
を、同じくの場合は、厚さ乃至高さを各々指し、の
場合は、長軸と短軸の区別がないから、(長軸長/短軸
長)は便宜上、1とみなす。
【0014】そして、粉体の形状が特定の場合、例え
ば、上記粉体サイズの定義の場合は、平均粉体サイズ
を平均長軸長と言い、同定義の場合は平均粉体サイズ
を平均板径と言い、(最大長径/厚さ乃至高さ)の算術
平均を平均板状比という。同定義の場合は平均粉体サ
イズを平均粒子径という。
【0015】
【発明の実施の形態】以下本発明も磁気記録媒体につい
て詳細に説明する。本発明の磁気記録媒体は、支持体上
に、非磁性層と強磁性粉末を含む磁性層がこの順序で設
けられている。そして、非磁性層が、親水基としてカル
ボン酸アミン塩及び燐酸エステルアミン塩から選択され
る少なくとも1種以上のアニオン性界面活性剤で処理さ
れたカーボンブラックを含有している。以下、本発明の
磁気記録媒体を構成する層、層に含有される成分等につ
いて説明する。
【0016】〔非磁性層に含有されるカーボンブラッ
ク〕非磁性層に含有されるカーボンブラックは、平均粒
子径が好ましくは5〜20nm、より好ましくは5〜1
8nmである。特に種類や製造履歴に制約されることは
なく、市販のオイルファーネスブラック、ガスファーネ
スブラック、チャンネルブラックなど各種のものを用い
ることができる。また、通常行われているオゾン処理、
プラズマ処理、液相酸化処理されたカーボンブラックを
用いてもよい。
【0017】微粒子のカーボンブラックの分散は非常に
困難であるが、カルボン酸アミン塩及び燐酸エステルア
ミン塩の少なくともいずれかのアニオン性界面活性剤を
分散剤として用い、前記カーボンブラックを処理すれ
ば、平均粒子径が5〜20nmの超微粒子カーボンブラ
ックであっても、分散性を向上できる。しかしながら、
平均粒子径が5nm未満であるか、20nmを越えると
非磁性層表面、ひいては磁性層表面の平滑性の改善効果
は小さくなる傾向にある。
【0018】また、一般にカーボンブラックは、生成過
程で粒子表面にカルボキシル基(−COOH)、フェノ
ール性水酸基(−OH)、キノン基といった官能基が生
成する。官能基の定量方法の一つに揮発分がある。本発
明に用いるカーボンブラックとしては、揮発分が、好ま
しくは5〜15質量%、さらに好ましくは6〜13質量
%である。揮発分が5質量%以上であると、分散剤の吸
着あるいは反応点が多く、十分な分散効果を得ることが
できる。一方、揮発分が15質量%より多いカーボンブ
ラックを用いても特に問題はないが、分散効果に顕著な
向上は認められない。また各官能基や極性基含有原子団
の比率については特に制限はないが、カルボキシル基の
割合が多い方が好ましい。非磁性層に用いられる特に好
ましいカーボンブラックは、平均粒子径が5〜15n
m、比表面積が200〜800m2/g、DBP吸油量
が50〜120cc/100g、揮発分が5〜15質量
%のカーボンブラックである。
【0019】カーボンブラックの処理に用いられるカル
ボン酸アミン塩及び燐酸エステルアミン塩の少なくとも
いずれかのアニオン性界面活性剤は、分散剤であり、好
ましくは一般式(1)で示される。 一般式(1) R−COO-・H+アミン:カルボン酸アミン塩、 R−OPO3 -・H+アミン:燐酸エステルアミン塩
【0020】一般式(1)で示される分散剤は、親水基
を有する界面活性剤の化合物であり、これら親水基はカ
ーボンブラックの表面官能基あるは極性基含有原子団の
うち酸性を示すカルボキシル基およびフェノール性水酸
基に対して酸−塩基相互作用により吸着すると推定され
る。一般式(1)中のRは、ポリマー鎖または直鎖状な
いし分岐鎖状の、好ましくは炭素数1〜3000のアル
キル基である。アルキル基の具体例として、例えばメチ
ル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル
基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル
基、デシル基、ラウリル基、及びステアリル基が挙げら
れるがこれらに制限されない。上記アルキル基は置換基
で置換されていてもよく、置換基としてアルコキシ基、
ヒドロキシ基、スルホ基、カルボキシル基等を挙げるこ
とができる。さらに、アルキル基は、置換基として複素
環基、例えば、ピロリジニル基、ピペリジノ基などを有
していてもよい。
【0021】Rにおけるポリマー鎖としては、ポリエー
テル鎖、ポリエステル鎖、ポリエーテル・エステル鎖等
が挙げられる。これらポリマー鎖の分子量は、好ましく
は2000〜50000の範囲である。
【0022】一般式(1)で表される化合物のなかで
も、アミン価が15〜45及び/又は酸価が10〜30
の化合物が好ましい。ここで、アミン価及び酸価は指示
薬を用いた滴定法や自動電位差滴定装置を用いることに
より測定することができる。アミン価及び酸価の単位
は、mg(KOH)/gである。
【0023】一般式(1)に示す構造に該当する化合物
の具体例としては、例えば楠本化成(株)製の商品名
KS860、KS−873N、7004、DA−703
−50、DA−705、DA−725、DA−234、
DA−325等で販売されているものが挙げられ、これ
らを単独使用あるいは併用してもよい。これらの化合物
の中でも、DA−703−50、DA−705、DA−
725、DA−234、及びDA−325が分散性が優
れているため、特に好ましく用いることができる。
【0024】分散剤である上記アニオン界面活性剤の使
用量は、カーボンブラックに対し、1〜100質量%使
用することが好ましい。使用量が1質量%より少ない
と、カーボンブラックの分散効果が小さく好ましくな
い。使用量が100質量%より多くても、分散効果の顕
著な向上が認められない。
【0025】カーボンブラックの分散剤によりる処理
は、通常、非磁性層を形成するための塗布液を調製する
ときに行われるが、事前に上記分散剤により処理したも
のを塗布液調製に用いることもできる。処理法について
は、本発明の磁気記録媒体を製造する方法の説明と共に
後で述べる。
【0026】〔磁性層〕磁性層は、単層であっても2層
以上から構成してもよく、後者の場合、それら層相互の
位置関係は目的により隣接して設けても間に磁性層以外
の層を介在させて設けてもよく、公知の層構成が採用で
きる。なお、本発明において、磁性層の厚みとは、複層
の場合は最上層の磁性層の乾燥厚みを言う。以下、磁性
層を上層あるいは上層磁性層、非磁性層を下地層と称す
ることもある。
【0027】磁性層を複層で構成する例としては、強磁
性酸化鉄、強磁性コバルト変性酸化鉄、CrO2粉末、
六方晶系フェライト粉末及び各種強磁性金属粉末等から
選択した強磁性粉末を結合剤中に分散した磁性層を組み
合わせたものが挙げられる。なお、この場合、同種の強
磁性粉末であっても元素組成、粉体サイズ等の異なる強
磁性粉末を含む磁性層を組み合わせることもできる。
【0028】磁性層の抗磁力は、磁気記録媒体の高出力
を確保する観点から、好ましくは1.35×105A/
m(1700Oe)以上であり、より好ましくは1.4
3×105A/m〜2.79×105A/m(1800〜
3500Oe)である。また、磁性層の飽和磁束密度と
磁性層厚みの積は、オーバーライト、ノイズの点から、
好ましくは5〜300(mT・μm)、より好ましくは
10〜270(mT・μm)の範囲である。
【0029】本発明の磁気記録媒体は、下地層と磁性層
を支持体上に設けたものであるが、下地層を塗布後、下
地層が湿潤状態の内に上層を同時、又は逐次に塗布する
ウェット・オン・ウェット法(W/W)でも、下地層が乾
燥した後に上層磁性層を設けるウェット・オン・ドライ法
(W/D)でも作成できる。生産得率の点から同時、又
は逐次湿潤塗布が好ましい。本発明では同時、又は逐次
湿潤塗布(W/W)では上層/下地層が同時に形成でき
るため、カレンダー工程などの表面処理工程を有効に活
用でき、超薄層でも上層磁性層の表面粗さを良化でき
る。
【0030】(強磁性粉末)磁性層に使用する強磁性粉
末としては、強磁性金属粉末または六方晶系フェライト
粉末が好ましい。強磁性金属粉末としては、α−Feを
主成分とする強磁性金属粉末が好ましい。強磁性金属粉
末には所定の原子以外にAl、Si、Ca、Mg、T
i、Cr、Cu、Y、Sn、Sb、Ba、W、La、C
e、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、Sr、
Bなどの原子を含んでもかまわない。特に、Al、C
a、Mg、Y、Ba、La、Nd、Sm、Co、Niの
少なくとも1つをα−Fe以外に含むことが好ましい。
CoはFeと合金を作ると飽和磁化が増加し、かつ減磁
が改良されるので特に好ましい。Coの含有量はFeに
対して1原子%〜40原子%が好ましく、さらに好まし
くは15原子%〜35原子%、より好ましくは20原子
%〜35原子%である。Y等の希土類元素の含有量は
1.5原子%〜12原子%が好ましく、さらに好ましく
は3原子%〜10原子%、より好ましくは4原子%〜9
原子%である。Alは1.5原子%〜12原子%が好ま
しく、さらに好ましくは3原子%〜10原子%、より好
ましくは4原子%〜9原子%である。Yを含む希土類や
Alは焼結防止剤として機能しており、組合わせて使用
することでより高い焼結防止効果が得られる。これらの
強磁性粉末にはあとで述べる分散剤、潤滑剤、界面活性
剤、帯電防止剤などで分散前にあらかじめ処理を行って
もかまわない。具体的には、特公昭44−14090
号、特公昭45−18372号、特公昭47−2206
2号、特公昭47−22513号、特公昭46−284
66号、特公昭46−38755号、特公昭47−42
86号、特公昭47−12422号、特公昭47−17
284号、特公昭47−18509号、特公昭47−1
8573号、特公昭39−10307号、特公昭46−
39639号、米国特許第3026215号、同303
1341号、同3100194号、同3242005
号、同3389014号などの各公報に記載されてい
る。
【0031】強磁性金属粉末には、少量の水酸化物また
は酸化物が含まれてもよい。強磁性金属粉末の公知の製
造方法により得られたものを用いることができ、下記の
方法を挙げることができる。焼結防止処理を行った含水
酸化鉄、酸化鉄を水素などの還元性気体で還元してFe
あるいはFe−Co粒子などを得る方法、複合有機酸塩
(主としてシュウ酸塩)と水素などの還元性気体で還元
する方法、金属カルボニル化合物を熱分解する方法、強
磁性金属の水溶液に水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン
酸塩あるいはヒドラジンなどの還元剤を添加して還元す
る方法、金属を低圧の不活性気体中で蒸発させて粉末を
得る方法などである。このようにして得られた強磁性金
属粉末は公知の徐酸化処理する。含水酸化鉄、酸化鉄を
水素などの還元性気体で還元し、酸素含有ガスと不活性
ガスの分圧、温度、時間を制御して表面に酸化皮膜を形
成する方法が、減磁量が少なく好ましい。
【0032】磁性層の強磁性粉末をBET法による比表
面積(SBET)で表せば、通常、40〜80m2/gであ
り、好ましくは45〜70m2/gである。40m2/g
以下ではノイズが高くなり、80m2/g以上では平滑
な表面が得にくく好ましくない。本発明の磁性層の強磁
性粉末の結晶子サイズは通常、80〜180Åであり、
好ましくは100〜170Å、さらに好ましくは110
〜165Åである。強磁性粉末の平均長軸長は、通常、
0.02μm〜0.25μmであり、好ましくは0.0
3μm〜0.15μmであり、さらに好ましくは0.0
3μm〜0.12μmである。強磁性粉末の平均針状比
((長軸長/短軸長)の平均)は3〜15が好ましく、
さらには3〜10が好ましい。磁性金属粉末の飽和磁化
σsは通常、90〜170A・m2/kgであり、好ま
しくは100〜160A・m2/kg、さらに好ましく
は110〜160A・m2/kgである。強磁性金属粉
末の抗磁力は1700エルステッド〜3500エルステ
ッド(1.35×105A/m〜2.79×105A/
m)が好ましく、さらに好ましくは1800エルステッ
ド〜3000エルステッド(1.43×105A/m〜
2.39×105A/m)である。
【0033】強磁性金属粉末の含水率は0.1〜2質量
%とするのが好ましい。結合剤の種類によって強磁性粉
末の含水率は最適化するのが好ましい。強磁性粉末のp
Hは、用いる結合剤との組合せにより最適化することが
好ましい。その範囲は6〜12であるが、好ましくは7
〜11である。強磁性金属粉末のSA(ステアリン酸)
吸着量(表面の塩基性点の尺度)は1〜15μmol/
2、好ましくは2〜10μmol/m2、さらに好まし
くは3〜8μmol/m2である。ステアリン酸吸着量
が多い強磁性金属粉末を使用する時、表面に強く吸着す
る有機物で表面修飾して磁気記録媒体を作成することが
好ましい。強磁性粉末には可溶性のNa、Ca、Fe、
Ni、Sr、NH4、SO4、Cl、NO2、NO3などの
無機イオンを含む場合がある。これらは、本質的に無い
方が好ましい。各イオンの総和が300ppm以下程度
であれば、特性には影響しない。また、本発明に用いら
れる強磁性粉末は空孔が少ないほうが好ましくその値は
20容量%以下、さらに好ましくは5容量%以下であ
る。また形状については先に示した粉体サイズ、磁気特
性を満足すれば針状、米粒状、紡錘状のいずれでもかま
わない。強磁性粉末自体のSFD(switching-field di
stribution)は小さい方が好ましく、強磁性粉末のHc
分布を小さくする必要がある。テ−プのSFDが小さい
と、磁化反転がシャープでピークシフトが小さくなり、
高密度デジタル磁気記録に好適である。Hc分布を小さ
くするためには、強磁性金属粉末においてはゲ−タイト
の粒度分布を良くする、単分散αFe23を使用する、
粒子間の焼結を防止するなどの方法がある。
【0034】(六方晶フェライト粉末)六方晶フェライ
トとしては、バリウムフェライト、ストロンチウムフェ
ライト、鉛フェライト、カルシウムフェライトおよびこ
れらの各種の各置換体、Co置換体等がある。具体的に
はマグネトプランバイト型のバリウムフェライト及びス
トロンチウムフェライト、スピネルで粒子表面を被覆し
たマグネトプランバイト型フェライト、さらに一部スピ
ネル相を含有した複合マグネトプランバイト型のバリウ
ムフェライト及びストロンチウムフェライト等が挙げら
れ、その他所定の原子以外にAl、Si、S、Nb、S
n、Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、Pd、A
g、Sn、Sb、Te、W、Re、Au、Bi、La、
Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、B、
Ge、Nbなどの原子を含んでもかまわない。一般には
Co−Zn、Co−Ti、Co−Ti−Zr、Co−T
i−Zn、Ni−Ti−Zn、Nb−Zn−Co、Sn
ーZn−Co、Sn−Co−Ti、Nb−Zn等の元素
を添加した物を使用することができる。原料・製法によ
っては特有の不純物を含有するものもある。粉体サイズ
は、六角板径で好ましくは平均板径が10〜55nm、
さらに好ましくは10〜45nmであり、特に好ましく
は10〜40nmである。
【0035】特にトラック密度を上げるため磁気抵抗ヘ
ッド(MRヘッド)で再生する場合、低ノイズにする必
要があり、平均板径は45nm以下が好ましいが、10
nmより小さいと熱揺らぎのため安定な磁化が望めな
い。55nmより大きいとノイズが高く、いずれも高密
度磁気記録には向かない。板状比(板径/板厚)は1〜
15が望ましい。好ましくは1〜7である。板状比が小
さいと磁性層中の充填性は高くなり好ましいが、十分な
配向性が得られない。15より大きいと粒子間のスタッ
キングによりノイズが大きくなる。この粉体サイズ範囲
のBET法による比表面積は30〜200m2/gを示
す。比表面積は概ね粒子板径と板厚からの算術計算値と
符号する。粒子板径・板厚の分布は狭いほど好ましい。
数値化は困難であるが、粒子TEM(透過型電子顕微
鏡)写真より約500個を無作為に測定することで比較
できる。分布は正規分布ではない場合が多いが、計算し
て平均サイズに対する標準偏差で表すとσ/平均粉体サ
イズ=0.1〜1.5である。粉体サイズ分布をシャー
プにするには、粒子生成反応系をできるだけ均一にする
と共に、生成した粒子に分布改良処理を施すことも行わ
れている。たとえば酸溶液中で超微細粉体を選別的に溶
解する方法等も知られている。ガラス化結晶法では、熱
処理を複数回行い、核生成と成長を分離することでより
均一な粉体を得ている。
【0036】磁性粉で測定された抗磁力Hcは、500
〜5000エルステッド(0.4×105A/m〜4×
105A/m)程度まで作成できる。高Hcの方が高密
度記録に有利であるが、記録ヘッドの能力で制限され
る。Hcは粉体サイズ(板径・板厚)、含有元素の種類
と量、元素の置換サイト、粒子生成反応条件等により制
御できる。飽和磁化σsは30〜70A・m2/kgで
ある。σsは、微粒子になるほど小さくなる傾向があ
る。製法では結晶化温度、または熱処理温度時間を小さ
くする方法、添加する化合物を増量する、表面処理量を
多くする方法等がある。またW型六方晶フェライトを用
いることも可能である。磁性体を分散する際に磁性体粒
子表面を分散媒、ポリマーに合った物質で処理すること
も行われている。表面処理剤は無機化合物、有機化合物
が使用される。主な化合物としてはSi、Al、P等の
酸化物または水酸化物、各種シランカップリング剤、各
種チタンカップリング剤が代表例である。量は磁性体に
対して0.1〜10質量%である。磁性体のpHも分散
に重要である。通常4〜12程度で分散媒、ポリマーに
より最適値があるが、媒体の化学的安定性、保存性から
6〜11程度が選択される。磁性体に含まれる水分も分
散に影響する。分散媒、ポリマーにより最適値があるが
通常0.1〜2.0質量%が選ばれる。
【0037】六方晶フェライトの製法としては、炭酸
バリウム・酸化鉄・鉄を置換する金属酸化物とガラス形
成物質として酸化ホウ素等を所望のフェライト組成にな
るように混合した後溶融し、急冷して非晶質体とし、次
いで再加熱処理した後、洗浄・粉砕してバリウムフェラ
イト結晶粒子を得るガラス化結晶法、バリウムフェラ
イト組成金属塩溶液をアルカリで中和し、副生成物を除
去した後100℃以上で液相加熱後、洗浄・乾燥・粉砕
してバリウムフェライト結晶粒子を得る水熱反応法、
バリウムフェライト組成金属塩溶液をアルカリで中和
し、副生成物を除去した後乾燥し1100℃以下で処理
し、粉砕してバリウムフェライト結晶粒子を得る共沈法
等があるが、本発明は製法を選ばない。
【0038】(磁性層のカーボンブラック)磁性層は、
所望によりカーボンブラックを含むことができる。使用
されるカーボンブラックはゴム用ファーネス、ゴム用サ
ーマル、カラー用ブラック、導電性カーボンブラック、
アセチレンブラック、等を用いることができる。比表面
積は5〜500m2/g、DBP吸油量は10〜400
ml/100g、平均粒子径は5nm〜300nm、p
Hは2〜10、含水率は0.1〜10質量%、タップ密
度は0.1〜1g/cc、が好ましい。磁性層に用いら
れるカーボンブラックの具体的な例としては、キャボッ
ト製、BLACKPEARLS 2000、1300、
1000、900、905、800、700、VULC
AN XC−72、旭カーボン製、#80、#60、#
55、#50、#35、三菱化学製、#2400B、#
2300、#900、#1000、#30、#40、#
10B、コロンビアンカーボン製、CONDUCTEX
SC、RAVEN 150、50、40、15、RA
VEN−MT−P、アクゾー社製、ケッチェンブラック
EC、などがあげられる。カーボンブラックを分散剤な
どで表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用して
も、表面の一部をグラファイト化したものを使用しても
かまわない。特に、非磁性層に含有されるカーボンブラ
ックの場合と同様にカルボン酸アミン塩及び燐酸エステ
ルアミン塩から選択される少なくとも1種以上のアニオ
ン性界面活性剤で処理され、平均粒子径が5〜100n
mのカーボンブラックが好ましい。また、カーボンブラ
ックを磁性塗料に添加する前にあらかじめ結合剤で分散
してもかまわない。これらのカーボンブラックは単独、
または組合せで使用することができる。カーボンブラッ
クを使用する場合は、磁性体に対する量の0.1〜30
質量%%で通常、用いることができる。カーボンブラッ
クは磁性層の帯電防止、摩擦係数低減、遮光性付与、膜
強度向上などの働きがあり、これらは用いるカーボンブ
ラックにより異なる。従って本発明に使用されるこれら
のカーボンブラックは上層磁性層、下層非磁性層でその
種類、量、組合せを変え、粉体サイズ、吸油量、電導
度、pHなどの先に示した諸特性をもとに目的に応じて
使い分けることはもちろん可能であり、むしろ各層で最
適化すべきものである。本発明の磁性層で使用できるカ
ーボンブラックは例えば(「カーボンブラック便覧」カ
ーボンブラック協会編)を参考にすることができる。
【0039】(研磨剤)磁性層に使用できる研磨剤とし
ては、α化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミ
ナ、微粒子ダイヤモンド、炭化ケイ素、酸化クロム、酸
化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、窒化珪素、炭化
珪素、チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒
化ホウ素、など主としてモ−ス硬度6以上の公知の材料
が単独または組合せで使用される。また、これらの研磨
剤同士の複合体(研磨剤を他の研磨剤で表面処理したも
の)を使用してもよい。これらの研磨剤には主成分以外
の化合物または元素が含まれる場合もあるが主成分が9
0質量%以上であれば効果にかわりはない。これら研磨
剤の粒径は0.01〜1μmが好ましく、特に電磁変換
特性を高めるためには、その粒度分布が狭い方が好まし
い。また耐久性を向上させるには必要に応じて粒径の異
なる研磨剤を組み合わせたり、単独の研磨剤でも粒径分
布を広くして同様の効果をもたせることも可能である。
タップ密度は0.3〜1.5g/cc、含水率は0.1
〜5質量%、pHは2〜11、比表面積は1〜40m2
/gが好ましい。研磨剤の形状は針状、球状、サイコロ
状、のいずれでも良いが、形状の一部に角を有するもの
が研磨性が高く好ましい。具体的には住友化学社製AK
P−10、AKP−15、AKP−20、AKP−3
0、AKP−50、HIT−20、HIT−30、HI
T−50、HIT−60A、HIT−50G、HIT−
70、HIT−80、HIT−82、HIT−100、
レイノルズ社製ERC−DBM、HP−DBM、HPS
−DBM、不二見研磨剤社製WA10000、上村工業
社製UB20、日本化学工業社製G−5、クロメックス
U2、クロメックスU1、戸田工業社製TF100、T
F140、イビデン社製ベータランダムウルトラファイ
ン、昭和鉱業社製B−3などが挙げられる。これらの研
磨剤は必要に応じ下地層に添加することもできる。下地
層に添加することで表面形状を制御したり、研磨剤の突
出状態を制御したりすることができる。これら磁性層、
下地層の添加する研磨剤の粒径、量はむろん最適値に設
定すべきものである。
【0040】〔非磁性層(下地層)〕次に非磁性層であ
る下地層に関する詳細な内容について説明する。下地層
は、少なくともカーボンブラックと結合剤を含む構成で
実質的に非磁性であれば、特に制限されるべきものでは
なく、カーボンブラック以外の非磁性粉末が併用される
ことが好ましい。尚、本明細書において、非磁性粉末と
言及する場合は、カーボンブラックは含まないものとす
る。下地層は、実質的に非磁性である範囲で磁性粉末も
使用され得るものである。下地層が実質的に非磁性であ
るとは、上層の電磁変換特性を実質的に低下させない範
囲で下地層が磁性を有することを許容するということで
ある。
【0041】磁気記録媒体の下地層に用いられる非磁性
粉末としては、例えば、金属酸化物、含水金属酸化物、
金属炭酸塩、金属窒化物、金属炭化物、等の無機質化合
物から選択することができる。無機質化合物としては例
えばα化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、
γ−アルミナ、θ−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロ
ム、酸化セリウム、α−酸化鉄、ゲータイト、窒化珪
素、二酸化チタン、二酸化珪素、酸化スズ、酸化マグネ
シウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、
などが単独または組合せで使用される。特に好ましいの
は、粒度分布の小ささ、機能付与の手段が多いこと等か
ら、二酸化チタン、酸化亜鉛、α−酸化鉄、ゲ−タイ
ト、硫酸バリウムであり、さらに好ましいのは二酸化チ
タン、α−酸化鉄、ゲ−タイトである。α−酸化鉄は、
粒径がそろった磁性酸化鉄やメタル用原料を加熱脱水、
アニ−ル処理し空孔を少なくし、必要により表面処理を
したものが好ましい。通常、二酸化チタンは光触媒性を
持っているので、光があたるとラジカルが発生しバイン
ダー、潤滑剤と反応する懸念がある。このため、本発明
に使用する二酸化チタンは、Al、Fe等を1〜10質
量%固溶させ光触媒特性を低下させることが好ましい。
さらに表面をAl及び/又はSi化合物で処理し、触媒
作用を低下させることが好ましい。
【0042】これら非磁性粉末の平均粉体サイズは5〜
1000nmが好ましいが、必要に応じて平均粉体サイ
ズの異なる非磁性粉末を組み合わせたり、単独の非磁性
粉末でも粉体サイズ分布を広くして同様の効果をもたせ
ることもできる。特に、非磁性粉末が粒状金属酸化物で
ある場合は、平均粒子径が10〜150nmの範囲のも
のが好ましく、針状金属酸化物である場合は、平均長軸
長が10〜300nmのものが好ましく、10〜200
nmがさらに好ましい。
【0043】タップ密度は通常、0.3〜1.5g/m
l、好ましくは0.4〜1.3g/mlである。非磁性
粉末の含水率は通常、0.2〜5質量%、好ましくは
0.3〜3質量%、さらに好ましくは0.3〜1.5質
量%である。非磁性粉末のpHは通常、3〜12である
が、pHは5.5〜11の間が特に好ましい。非磁性粉
末の比表面積は通常、1〜100m2/g、好ましくは
5〜80m2/g、さらに好ましくは10〜80m2/g
である。非磁性粉末の結晶子サイズは40〜1000Å
が好ましく、40〜800Åがさらに好ましい。DBP
(ジブチルフタレート)を用いた吸油量は通常、5〜1
00ml/100g、好ましくは10〜80ml/10
0g、さらに好ましくは20〜60ml/100gであ
る。比重は通常、1.5〜7、好ましくは3〜6であ
る。形状は針状、球状、多面体状、板状のいずれでも良
い。非磁性粉末のSA(ステアリン酸)吸着量は通常、
1〜20μmol/m2、好ましくは2〜15μmol
/m2、さらに好ましくは3〜8μmol/m2である。
ステアリン酸吸着量が多い非磁性粉末を使用する時、表
面に強く吸着する有機物で表面修飾して磁気記録媒体を
作成することが好ましい。これらの非磁性粉末の表面に
はAl、Mg、Si、Ti、Zr、Sn、Sb、Zn、
Y化合物で表面処理することが好ましい。特に分散性に
好ましいのはAl 23、SiO2、TiO2、ZrO2
MgOおよびこれらの含水酸化物であるが、さらに好ま
しいのはAl23、SiO2、ZrO2およびこれらの含
水酸化物である。これらは組み合わせて使用しても良い
し、単独で用いることもできる。また、目的に応じて共
沈させた表面処理層を用いても良いし、先ずアルミナを
被覆処理した後にその表層をシリカを被覆処理する方
法、またはその逆の方法を採ることもできる。また、表
面処理層は目的に応じて多孔質層にしても構わないが、
均質で密である方が一般には好ましい。
【0044】下地層に用いられる非磁性粉末の具体的な
例としては、昭和電工製ナノタイト、住友化学製HIT
−100、HIT−82、戸田工業製α−酸化鉄DPN
−250BX、DPN−245、DPN−270BX、
DPN−550BX、DPN−550RX、DBN−6
50RX、DAN−850RX、石原産業製酸化チタン
TTO−51B、TTO−55A、TTO−55B、T
TO−55C、TTO−55S、TTO−55D、SN
−100、チタン工業製酸化チタンSTT−4D、ST
T−30D、STT−30、STT−65C、α−酸化
鉄α−40、テイカ製酸化チタンMT−100S、MT
−100T、MT−150W、MT−500B、MT−
600B、MT−100F、MT−500HD、堺化学
製FINEX−25、BF−1、BF−10、BF−2
0、ST−M、同和鉱業製酸化鉄DEFIC−Y、DE
FIC−R、日本アエロジル製AS2BM、TiO2
25、宇部興産製100A、500A、及びそれを焼成
したものが挙げられる。
【0045】下地層には、前記したようなカーボンブラ
ックが含有される。カーボンブラックの含有量は、非磁
性粉末100質量部に対して、好ましくは1〜50質量
部、より好ましくは5〜30質量部の範囲である。ま
た、非磁性粉末とカーボンブラックとの質量割合(非磁
性粉末/カーボンブラック)は、95/5〜60/40
であることが好ましく、より好ましくは90/10〜7
0/30である。
【0046】また、下地層には有機質粉末を目的に応じ
て、添加することもできる。例えば、アクリルスチレン
系樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン系樹
脂粉末、フタロシアニン系顔料が挙げられるが、ポリオ
レフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリア
ミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、ポリフッ化エ
チレン樹脂も使用することができる。その製法は特開昭
62−18564号、特開昭60−255827号に記
されているようなものが使用できる。
【0047】下地層の結合剤樹脂(種類と量)、潤滑剤・
分散剤・添加剤の量、種類、溶剤、分散方法に関しては
磁性層に関する公知技術が適用できる。
【0048】〔結合剤〕本発明の磁気記録媒体の磁性
層、非磁性層等に使用される結合剤としては、従来公知
の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂やこれらの
混合物が使用される。熱可塑性樹脂としては、ガラス転
移温度が−100〜150℃、数平均分子量(GPC法
によるポリスチレン換算値)が1,000〜200,00
0、好ましくは10,000〜100,000、重合度が
約50〜1000程度のものである。このような例とし
ては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マ
レイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、塩化ビニ
リデン、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル
酸エステル、スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニル
ブチラ−ル、ビニルアセタ−ル、ビニルエーテル、等を
構成単位として含む重合体または共重合体、ポリウレタ
ン樹脂、各種ゴム系樹脂がある。また、熱硬化性樹脂ま
たは反応型樹脂としては、フェノ−ル樹脂、エポキシ樹
脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹
脂、アルキド樹脂、アクリル系反応樹脂、ホルムアルデ
ヒド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ−ポリアミド樹
脂、ポリエステル樹脂とイソシアネ−トプレポリマ−の
混合物、ポリエステルポリオ−ルとポリイソシアネ−ト
の混合物、ポリウレタンとポリイソシアネートの混合物
等があげられる。これらの樹脂については朝倉書店発行
の「プラスチックハンドブック」に詳細に記載されてい
る。また、公知の電子線硬化型樹脂を各層に使用するこ
とも可能である。これらの例とその製造方法については
特開昭62−256219に詳細に記載されている。以
上の樹脂は単独または組合せて使用できる。好ましいも
のとして、ポリウレタン硬化型樹脂、フェノ−ル樹脂、
エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂とイソシアネ−トプレ
ポリマ−の混合物、ポリエステルポリオ−ルとポリイソ
シアネ−ト、ポリウレタンとポリイソシアネートの混合
物等があげられる。
【0049】ポリウレタン樹脂の構造は、ポリエステル
ポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテ
ルポリエステルポリウレタン、ポリカ−ボネ−トポリウ
レタン、ポリエステルポリカ−ボネ−トポリウレタン、
ポリカプロラクトンポリウレタンなど公知のものが使用
できる。ここに示したすべての結合剤について、より優
れた分散性と耐久性を得るためには必要に応じ、−CO
OM、−SO3M、−OSO3M、−P=O(OM)2、−
O−P=O(OM)2、(以上につきMは水素原子、また
はアルカリ金属塩基)、OH、NR2、N+3(Rは炭
化水素基)、エポキシ基、SH、CN等から選ばれる少
なくとも1つ以上の極性基を共重合または付加反応で導
入したものを用いることが好ましい。このような極性基
の量は10-1〜10-8モル/gであり、好ましくは10
-2〜10-6モル/gである。
【0050】本発明に用いられるこれらの結合剤の具体
的な例としてはユニオンカ−バイト製VAGH、VYH
H、VMCH、VAGF、VAGD、VROH、VYE
S、VYNC、VMCC、XYHL、XYSG、PKH
H、PKHJ、PKHC、PKFE、日信化学工業製、
MPR−TA、MPR−TA5、MPR−TAL、MP
R−TSN、MPR−TMF、MPR−TS、MPR−
TM、MPR−TAO、電気化学製1000W、DX8
0、DX81、DX82、DX83、100FD、日本
ゼオン製MR−104、MR−105、MR110、M
R100、MR555、400X−110A、日本ポリ
ウレタン製ニッポランN2301、N2302、N23
04、大日本インキ製パンデックスT−5105、T−
R3080、T−5201、バ−ノックD−400、D
−210−80、クリスボン6109、7209、東洋
紡製バイロンUR8200、UR8300、UR−87
00、RV530、RV280、大日精化製、ダイフェ
ラミン4020、5020、5100、5300、90
20、9022、7020、三菱化学製、MX500
4、三洋化成製サンプレンSP−150、旭化成製サラ
ンF310、F210などがあげられる。
【0051】本発明の非磁性層、磁性層に用いられる結
合剤は、非磁性粉末または磁性体に対し、通常、5〜5
0質量%の範囲、好ましくは10〜30質量%の範囲で
用いられる。塩化ビニル系樹脂を用いる場合は5〜30
質量%、ポリウレタン樹脂を用いる場合は2〜20質量
%、ポリイソシアネートは2〜20質量%の範囲でこれ
らを組み合わせて用いることが好ましいが、例えば微量
の脱塩素によりヘッド腐食が起こる場合は、ポリウレタ
ンのみまたはポリウレタンとイソシアネートのみを使用
することも可能である。本発明において、ポリウレタン
を用いる場合はガラス転移温度が通常、−50〜150
℃、好ましくは0〜100℃、破断伸びが100〜20
00%、破断応力は0.05〜10Kg/mm2(0.
49〜98MPa)、降伏点は0.05〜10Kg/m
2(0.49〜98MPa)が好ましい。
【0052】本発明の磁気記録媒体は、少なくとも二層
からなる。従って、結合剤量、結合剤中に占める塩化ビ
ニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイソシアネート、
あるいはそれ以外の樹脂の量、磁性層を形成する各樹脂
の分子量、極性基量、あるいは先に述べた樹脂の物理特
性などを必要に応じ各層とで変えることはもちろん可能
であり、むしろ各層で最適化すべきであり、多層磁性層
に関する公知技術を適用できる。例えば、各層で結合剤
量を変更する場合、磁性層表面の擦傷を減らすためには
磁性層の結合剤量を増量することが有効であり、ヘッド
に対するヘッドタッチを良好にするためには、非磁性層
の結合剤量を多くして柔軟性を持たせることができる。
【0053】本発明に用いるポリイソシアネートとして
は、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニル
メタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,
5−ジイソシアネート、o−トルイジンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタン
トリイソシアネート等のイソシアネート類、また、これ
らのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、ま
た、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソ
シアネート等を使用することができる。これらのイソシ
アネート類の市販されている商品名としては、日本ポリ
ウレタン製、コロネートL、コロネートHL、コロネー
ト2030、コロネート2031、ミリオネートMR、
ミリオネートMTL、武田薬品製、タケネートD−10
2、タケネートD−110N、タケネートD−200、
タケネートD−202、住友バイエル製、デスモジュー
ルL、デスモジュールIL、デスモジュールNデスモジ
ュールHL、等がありこれらを単独または硬化反応性の
差を利用して二つもしくはそれ以上の組合せで各層とも
用いることができる。
【0054】〔添加剤〕本発明の磁性層、非磁性層等に
使用される、添加剤としては潤滑効果、帯電防止効果、
分散効果、可塑効果などをもつものが使用される。二硫
化モリブデン、二硫化タングステン、グラファイト、窒
化ホウ素、フッ化黒鉛、シリコーンオイル、極性基をも
つシリコーン、脂肪酸変性シリコーン、フッ素含有シリ
コーン、フッ素含有アルコール、フッ素含有エステル、
ポリオレフィン、ポリグリコール、アルキル燐酸エステ
ルおよびそのアルカリ金属塩、アルキル硫酸エステルお
よびそのアルカリ金属塩、ポリフェニルエーテル、フェ
ニルホスホン酸、αナフチル燐酸、フェニル燐酸、ジフ
ェニル燐酸、p−エチルベンゼンホスホン酸、フェニル
ホスフィン酸、アミノキノン類、各種シランカップリン
グ剤、チタンカップリング剤、フッ素含有アルキル硫酸
エステルおよびそのアルカリ金属塩、炭素数10〜24
の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐し
ていてもかまわない)、およびこれらの金属塩(Li、
Na、K、Cu等)、または炭素数12〜22の一価、
二価、三価、四価、五価、六価アルコール(不飽和結合
を含んでも、また分岐していてもかまわない)、炭素数
12〜22のアルコキシアルコール(不飽和結合を含ん
でも、また分岐していてもかまわない)、炭素数10〜
24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分
岐していてもかまわない)と炭素数2〜12の一価、二
価、三価、四価、五価、六価アルコールのいずれか一つ
(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわな
い)とからなるモノ脂肪酸エステルまたはジ脂肪酸エス
テルまたはトリ脂肪酸エステル、アルキレンオキシド重
合物のモノアルキルエーテルの脂肪酸エステル、炭素数
8〜22の脂肪酸アミド、炭素数8〜22の脂肪族アミ
ン等が使用できる。
【0055】これらの具体例としては脂肪酸では、カプ
リン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パル
ミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エラ
イジン酸、リノール酸、リノレン酸、イソステアリン
酸、などが挙げられる。エステル類ではブチルステアレ
ート、オクチルステアレート、アミルステアレート、イ
ソオクチルステアレート、ブチルミリステート、オクチ
ルミリステート、ブトキシエチルステアレート、ブトキ
シジエチルステアレート、2−エチルヘキシルステアレ
ート、2−オクチルドデシルパルミテート、2−ヘキシ
ルドデシルパルミテート、イソヘキサデシルステアレー
ト、オレイルオレエート、ドデシルステアレート、トリ
デシルステアレート、エルカ酸オレイル、ネオペンチル
グリコールジデカノエート、エチレングリコールジオレ
イル、アルコール類ではオレイルアルコール、ステアリ
ルアルコール、ラウリルアルコール、などがあげられ
る。また、アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グ
リシド−ル系、アルキルフェノ−ルエチレンオキサイド
付加体、等のノニオン界面活性剤、環状アミン、エステ
ルアミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダントイン誘導
体、複素環類、ホスホニウムまたはスルホニウム類、等
のカチオン系界面活性剤、カルボン酸、スルフォン酸、
燐酸、硫酸エステル基、燐酸エステル基、などの酸性基
を含むアニオン界面活性剤、アミノ酸類、アミノスルホ
ン酸類、アミノアルコールの硫酸または燐酸エステル
類、アルキルベダイン型、等の両性界面活性剤等も使用
できる。これらの界面活性剤については、「界面活性剤
便覧」(産業図書株式会社発行)に詳細に記載されてい
る。これらの潤滑剤、帯電防止剤等は必ずしも100%
純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応
物、分解物、酸化物等の不純分が含まれてもかまわな
い。これらの不純分は30質量%以下が好ましく、さら
に好ましくは10質量%以下である。
【0056】本発明で使用されるこれらの潤滑剤、界面
活性剤は、個々に異なる物理的作用を有するものであ
り、その種類、量、および相乗的効果を生み出す潤滑剤
の併用比率は目的に応じ最適に定められるべきものであ
る。非磁性層、磁性層で融点の異なる脂肪酸を用い表面
へのにじみ出しを制御する、沸点、融点や極性の異なる
エステル類を用い表面へのにじみ出しを制御する、界面
活性剤量を調節することで塗布の安定性を向上させる、
潤滑剤の添加量を中間層で多くして潤滑効果を向上させ
るなど考えられ、無論ここに示した例のみに限られるも
のではない。一般には潤滑剤の総量として磁性体または
非磁性粉末に対し、0.1〜50質量%、好ましくは2
〜25質量%の範囲で選択される。
【0057】また、本発明で用いられる添加剤のすべて
またはその一部は、磁性および非磁性塗料製造のどの工
程で添加してもかまわない、例えば、混練工程前に磁性
体と混合する場合、磁性体と結合剤と溶剤による混練工
程で添加する場合、分散工程で添加する場合、分散後に
添加する場合、塗布直前に添加する場合などがある。ま
た、目的に応じて磁性層を塗布した後、同時または逐次
塗布で、添加剤の一部または全部を塗布することにより
目的が達成される場合がある。また、目的によってはカ
レンダ−した後、またはスリット終了後、磁性層表面に
潤滑剤を塗布することもできる。本発明で用いられる有
機溶剤は公知のものが使用でき、例えば特開昭6−68
453号公報に記載の溶剤を用いることができる。
【0058】〔層構成〕本発明の磁気記録媒体の厚み構
成は、支持体が好ましくは2.5〜8μmであり、体積
密度を大きくするためさらに好ましくは2.5〜7.5
μm、特に好ましくは2.5〜7μmである。支持体と
非磁性層また磁性層の間に密着性向上のための下塗り層
を設けてもかまわない。下塗層厚みは0.01〜0.5
μm、好ましくは0.02〜0.5μmである。これら
の下塗層は公知のものが使用できる。本発明の媒体の磁
性層の厚みは、用いるヘッドの飽和磁化量やヘッドギャ
ップ長、記録信号の帯域により最適化されるものである
が、好ましくは0.01μm〜0.5μmであり、さら
に好ましくは0.05μm〜0.30μmである。磁性
層を異なる磁気特性を有する2層以上に分離してもかま
わず、公知の重層磁性層に関する構成が適用できる。下
地層である非磁性層の厚みは、好ましくは0.3〜2.
5μm、さらに好ましくは0.5〜2.0μmである。
【0059】〔バック層〕以下に、バック層について詳
述する。バック層は基本的に帯電防止やカール補正など
の効果を有する。バック層は、改質炭素質粉粒体を含有
することができる。また、バック層は微粒子で電気伝導
性がすぐれたカーボンブラックをフィラーとして含有
し、平均粒子径の異なる二種類のカーボンブラックを含
有させたり、必要により無機質粉末を含有してもよい。
例えば、モース硬度5〜9の無機質粉末を含有させるこ
とができる。
【0060】(バック層のカーボンブラック)バック層
に一般的に含有されるカーボンブラックは、平均粒子径
が10〜20nmの微粒子状カーボンブラックと平均粒
子径が50〜300nm、好ましくは230〜300n
mの粗粒子状カーボンブラックである。一般に、上記の
ような微粒子状のカーボンブラックの添加により、バッ
ク層の表面電気抵抗を低く設定でき、また光透過率も低
く設定できる。磁気記録の装置によっては、テープの光
透過率を利用し、動作の信号に使用しているものが多く
あるため、このような場合には特に微粒子状のカーボン
ブラックの添加は有効になる。また、微粒子状カーボン
ブラックは、一般に潤滑剤の保持力に優れ、潤滑剤併用
時、摩擦係数の低減化に寄与する。一方、50〜300
nm、好ましくは230〜300nmの粗粒子状カーボ
ンブラックは、固体潤滑剤としての機能を有しており、
またバック層の表面に微小突起を形成し、接触面積を低
減化して、摩擦係数の低減化に寄与する。しかし粗粒子
状カーボンブラックは、過酷な走行系では、テープ摺動
により、バック層からの脱落が生じ易くなり、エラー比
率の増大につながる欠点を有している。
【0061】本発明で用いることができる微粒子状カー
ボンブラックの具体的な商品としては、以下のものを挙
げることができる。かっこ内は、平均粒子径を示す。R
AVEN2000B(18nm)、RAVEN1500
B(17nm)(以上、コロンビアカーボン社製)、B
P800(17nm)(キャボット社製)、PRINN
TEX90(14nm)、PRINTEX95(15n
m)、PRINTEX85(16nm)、PRINTE
X75(17nm)(以上、デグサ社製)、#3950
(16nm)(三菱化学(株)製)。また粗粒子カーボ
ンブラックの具体的な商品の例としては、サーマルブラ
ック(270nm)(カーンカルブ社製)、RAVEN
MTP(275nm)(コロンビアカーボン社製)を
挙げることができる。50〜200nmのカーボンブラ
ックは,ゴム用カーボンブラックや,カラー用カーボン
ブラックより選択することができる.
【0062】(バック層の無機質粉末)バック層に添加
することができる無機質粉末としては、好ましくは平均
粉体サイズが20〜250nm、さらに好ましくは20
〜150μmでモース硬度が5〜9の無機質粉末が挙げ
られる。無機質粉末としては、前述した下地層に使用さ
れる非磁性粉末や研磨剤などと同様のものが使用される
が、中でもα−酸化鉄、α−アルミナ等が好ましい。
【0063】カーボンブラックを除いた無機質粉末のバ
ック層への添加量は、後述する結合剤100質量部に対
して、好ましくは3〜40質量部の範囲であり、さらに
好ましくは5〜30質量部の範囲である。
【0064】(バック層の結合剤)バック層で使用でき
る結合剤としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹
脂、反応型樹脂やこれらの混合物を挙げることができ
る。熱可塑性樹脂の例としては、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩
化ビニル−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸エス
テル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル
−塩化ビニリデン共重合体、アクリル酸エステル−スチ
レン共重合体、メタアクリル酸エステル−アクリルニト
リル共重合体、メタアクリル酸エステル−塩化ビニリデ
ン共重合体、メタアクリル酸エステル−スチレン共重合
体、ポリ弗化ビニル、塩ビニリデン−アクリロニトリル
共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポ
リアミド樹脂、ポリビニルブチラール、繊維素系樹脂
(セルロースアセテートブチレート、セルロースダイア
セテート、セルロースプロピオネート、ニトロセルロー
スなど)、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエステ
ル樹脂、クロロビニルエーテル−アクリル酸エステル共
重合体、アミノ樹脂、各種ゴム系樹脂を挙げることがで
きる。
【0065】また熱硬化性樹脂または反応型樹脂として
は、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレ
タン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹
脂、アクリル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリ
コーン樹脂、エポキシーポリアミド樹脂、ポリイソシア
ネートを挙げることができる。
【0066】(バック層の任意成分)本発明に係るバッ
ク層は、上記各成分が後述する結合剤中に分散されてな
るものであるが、他の任意の成分として、分散剤、潤滑
剤を添加することが好ましい。分散剤としては、例え
ば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン
酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン
酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアロ
ール酸等の炭素数12〜18個の脂肪酸(RCOOH、
Rは炭素数11〜17個のアルキル基、又はアルケニル
基)、前記脂肪酸のアルカリ金属又はアルカリ土類金属
からなる金属石けん、前記の脂肪酸エステルのフッ素を
含有した化合物、前記脂肪酸のアミド、ポリアルキレン
オキサイドアルキルリン酸エステル、レシチン、トリア
ルキルポリオレフィンオキシ第四級アンモニウム塩(ア
ルキルは炭素数1〜5個、オレフィンは、エチレン、プ
ロピレンなど)、硫酸エステル、及び銅フタロシアニン
等を使用することができる。これらは、単独でも組み合
わせて使用しても良い。上記の中では、オレイン酸銅、
銅フタロシアニン、及び硫酸バリウムが好ましい。分散
剤は、結合剤樹脂100質量部に対して、通常0.5〜
20質量部の範囲で添加される。
【0067】潤滑剤としては、従来から磁気テープに通
常使用されている潤滑剤から適宜選択して使用できる
が、本発明では特に炭素数18以上の脂肪酸、あるいは
脂肪酸エステルが走行性の向上の点から好ましい。潤滑
剤は、結合剤樹脂100質量部に対して通常1〜5質量
部の範囲で添加される。
【0068】(バック層の形成、物性等)バック層は、
通常の方法に従って支持体の磁性層が設けられている側
とは反対側に設けられる。即ち、前記の各成分を適当な
有機溶媒に溶解、分散させた塗布液を調製し、これを常
法の塗布方法に従い、塗布、乾燥することにより、支持
体上にバック層を設けることができる。バック層は、そ
の表面粗さRaが、3D−MIRAU法による中心面平
均表面粗さで好ましくは1〜15nm、さらに好ましく
は1〜10nmの範囲にある。この表面粗さは、テープ
が巻かれた状態でバック層の表面が磁性層の表面に転写
され、再生出力に影響を与えたり、ガイドポールに対す
る摩擦係数に影響を与えるため、上記の範囲に調整する
ことが好ましい。なお、この表面粗さRaの調整は、通
常バック層を塗布形成後、カレンダーによる表面処理工
程において、用いるカレンダーロールの材質、その表面
性、圧力等の調整により行われる。本発明において、バ
ック層は、その厚みが0.2〜0.8μm、さらに好ま
しくは0.2〜0.7μmの範囲である。
【0069】〔支持体〕本発明の磁気記録媒体に用いら
れる支持体は、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリエチ
レンナフタレート等のポリエステル類、ポリオレフィン
類、セルロ−ストリアセテ−ト、ポリカ−ボネート、ポ
リアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフ
ォン、芳香族ポリアミド、ポリベンゾオキサゾ−ルなど
の公知のフィルムが使用できる。ガラス転移温度が10
0℃以上の支持体が好ましく、ポリエチレンナフタレ−
ト、アラミドなどの高強度支持体を用いることが特に好
ましい。また必要に応じ、磁性面とベ−ス面の表面粗さ
を変えるため特開平3−224127号に示されるよう
な積層タイプの支持体を用いることもできる。これらの
支持体にはあらかじめコロナ放電処理、プラズマ処理、
易接着処理、熱処理、除塵処理、などを行ってもよい。
【0070】支持体としては、WYKO社製TOPO−
3DのMIRAU法で測定した中心面平均表面粗さ(S
Ra)は、通常5.0nm以下、好ましくは3.0nm
以下、さらに好ましくは2.0nm以下のものを使用す
ることが好ましい。これらの支持体は、単に中心面平均
表面粗さが小さいだけではなく、0.5μm以上の粗大
突起がないことが好ましい。また表面の粗さ形状は必要
に応じて支持体に添加されるフィラ−の大きさと量によ
り自由にコントロ−ルされるものである。これらのフィ
ラ−の例としては、Ca、Si、Tiなどの酸化物や炭
酸塩の他、アクリル系などの有機粉末があげられる。支
持体の最大高さSRmaxは1μm以下、十点平均粗さS
Rzは0.5μm以下、中心面山高さはSRpは0.5μ
m以下、中心面谷深さSRvは0.5μm以下、中心面
面積率SSrは10%以上、90%以下、平均波長Sλa
は5μm以上、300μm以下が好ましい。所望の電磁
変換特性と耐久性を得るため、これら支持体の表面突起
分布をフィラーにより任意にコントロールできるもので
あり、0.01μmから1μmの大きさのもの各々を
0.1mm2あたり0個から2000個の範囲でコントロ
−ルすることができる。
【0071】支持体のF−5値は、好ましくは5〜50
Kg/mm2(49〜490MPa)であり、また支持
体の100℃30分での熱収縮率は好ましくは3%以
下、さらに好ましくは1.5%以下、80℃30分での
熱収縮率は好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.
5%以下である。破断強度は5〜100Kg/mm
2(49〜980MPa)、弾性率は100〜2000
Kg/mm2(980〜19600MPa)、が好まし
い。温度膨張係数は10-4〜10-8/℃であり、好まし
くは10-5〜10-6/℃である。湿度膨張係数は10-4
/RH%以下であり、好ましくは10-5/RH%以下で
ある。これらの熱特性、寸法特性、機械強度特性は支持
体の面内各方向に対し10%以内の差でほぼで等しいこ
とが好ましい。
【0072】〔磁気記録媒体の製法〕本発明の磁気記録
媒体は、各層の塗料を調製し、それらを支持体上に塗
布、乾燥、必要に応じて加熱・硬化処理やカレンダー処
理することにより製造される。磁気記録媒体の各層に相
当する塗料を製造する工程は、少なくとも混練工程、分
散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設け
た混合工程からなる。個々の工程はそれぞれ2段階以上
にわかれていてもかまわない。本発明に使用する磁性
体、非磁性粉末、結合剤、カーボンブラック、研磨剤、
帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などすべての原料はどの工程
の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々
の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわな
い。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、分散
後の粘度調整のための混合工程で分割して投入してもよ
い。本発明の目的を達成するために、従来の公知の製造
技術を一部の工程として用いることができる。混練工程
ではオープンニーダ、連続ニ−ダ、加圧ニ−ダ、エクス
トルーダなど強い混練力をもつものを使用することが好
ましい。ニ−ダを用いる場合は磁性体または非磁性粉末
と結合剤のすべてまたはその一部(ただし全結合剤の3
0質量%以上が好ましい)および磁性体100部に対し
15〜500部の範囲で混練処理される。これらの混練
処理の詳細については特開平1−106338号公報、
特開平1−79274号公報に記載されている。また、
磁性層液および非磁性層液を分散させるにはガラスビー
ズを用ることができるが、高比重の分散メディアである
ジルコニアビーズ、チタニアビーズ、スチールビーズが
好適である。これら分散メディアの粒径と充填率は最適
化して用いられる。分散機は公知のものを使用すること
ができる。分散速度がことなる磁性体、研磨剤、カーボ
ンブラック等をあらかじめ別々に分散し、混合し必要に
よりさらに微分散して塗布液とすることができる。
【0073】なお、非磁性層を形成するための塗料の調
製において、カーボンブラックの分散処理工程は前記し
た分散剤の存在下で行われる。この分散処理工程は、公
知の溶媒の存在下で行い、その際非磁性層に含有される
他の成分を加えて行ってもよい。また、非磁性層に含有
される非磁性粉末としての金属酸化物は、カーボンブラ
ックとは別に分散処理を行い、その後混合して塗布液を
調製することが好ましい。
【0074】本発明で重層構成の磁気記録媒体を塗布す
る場合、以下のような方式を用いることが好ましい。第
一に磁性塗料の塗布で一般的に用いられるグラビア塗
布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗
布装置等により、まず下地層を塗布し、下地層がウェッ
ト状態のうちに特公平1−46186号公報や特開昭6
0−238179号公報、特開平2−265672号公
報に開示されている支持体加圧型エクストルージョン塗
布装置により上層を塗布する方法。第二に特開昭63−
88080号公報、特開平2−17971号公報、特開
平2−265672号公報に開示されているような塗布
液通液スリットを二つ内蔵する一つの塗布ヘッドにより
上下地層をほぼ同時に塗布する方法。第三に特開平2−
174965号公報に開示されているバックアップロー
ル付きエクストルージョン塗布装置により上下地層をほ
ぼ同時に塗布する方法である。なお、磁性粒子の凝集に
よる磁気記録媒体の電磁変換特性等の低下を防止するた
め、特開昭62−95174号公報や特開平1−236
968号公報に開示されているような方法により塗布ヘ
ッド内部の塗布液にせん断を付与することが望ましい。
さらに、塗布液の粘度については、特開平3−8471
号公報に開示されている数値範囲を満足する必要があ
る。本発明の構成を形成するには、下地層を塗布し乾燥
させたのち、その上に磁性層を設ける逐次重層塗布をも
ちいてもむろんかまわず、本発明の効果が失われるもの
ではない。ただし、塗布欠陥を少なくし、ドロップアウ
トなどの品質を向上させるためには、前述の同時重層塗
布を用いることが好ましい。
【0075】カレンダ処理ロ−ルとしてエポキシ、ポリ
イミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等の耐熱性のあ
るプラスチックロ−ルまたは金属ロ−ルで処理する。処
理温度は、好ましくは50℃以上、さらに好ましくは1
00℃以上である。線圧力は好ましくは200Kg/c
m(196kN/m)以上、さらに好ましくは300k
g/cm(294kN/m)以上である。
【0076】本発明の磁気記録媒体のヘッドに対する摩
擦係数は温度−10℃〜40℃、湿度0%〜95%の範
囲において0.5以下、好ましくは0.3以下、表面電
気抵抗は好ましくは磁性面が104〜1012Ω/sq、
帯電位は−500Vから+500V以内が好ましい。磁
性層の0.5%伸びでの弾性率は面内各方向で好ましく
は100〜2000Kg/mm2(980〜1960M
Pa)、破断強度は好ましくは10〜70Kg/mm2
(98〜686MPa)、磁気記録媒体の弾性率は面内
各方向で好ましくは100〜1500Kg/mm2(9
80〜14700MPa)、残留のびは好ましくは0.
5%以下、100℃以下のあらゆる温度での熱収縮率は
好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下、
もっとも好ましくは0.1%以下である。磁性層のガラ
ス転移温度(110Hzで測定した動的粘弾性測定の損
失弾性率の極大点)は50℃以上120℃以下が好まし
く、下層非磁性層のそれは0℃〜100℃が好ましい。
損失弾性率は1×107〜8×108N/m2の範囲にあ
ることが好ましく、損失正接は0.2以下であることが
好ましい。損失正接が大きすぎると粘着故障が発生しや
すい。これらの熱特性や機械特性は媒体の面内各方向で
10%以内でほぼ等しいことが好ましい。磁性層中に含
まれる残留溶媒は好ましくは100mg/m2以下、さ
らに好ましくは10mg/m2以下である。塗布層が有
する空隙率は非磁性層、磁性層とも好ましくは30容量
%以下、さらに好ましくは20容量%以下である。空隙
率は高出力を果たすためには小さい方が好ましいが、目
的によってはある値を確保した方が良い場合がある。
【0077】磁性層を3D−MIRAU法で測定した中
心面平均表面粗さRaは、好ましくは1.0〜3.0n
m、さらに好ましくは1.0〜2.5nmである。磁性
層の最大高さRmaxは0.5μm以下、十点平均粗さRz
は0.3μm以下、中心面山高さRpは0.3μm以
下、中心面谷深さRvは0.3μm以下、中心面面積率
Srは20〜80%以下、平均波長λaは5〜300μm
以下が好ましい。磁性層の表面突起は0.01μm〜1
μmの大きさのものを0〜2000個の範囲で任意に設
定することが可能であり、これにより電磁変換特性、摩
擦係数を最適化することが好ましい。これらは支持体の
フィラ−による表面性のコントロ−ルや磁性層に添加す
る粒子の粒径と量、カレンダ処理のロ−ル表面形状など
で容易にコントロ−ルすることができる。カールは±3
mm以内とすることが好ましい。
【0078】本発明の磁気記録媒体は、目的に応じ非磁
性層と磁性層でこれらの物理特性を変えることができる
のは容易に推定されることである。例えば、磁性層の弾
性率を高くし走行耐久性を向上させると同時に非磁性層
の弾性率を磁性層より低くして磁気記録媒体のヘッドへ
の当りを良くするなどである。
【0079】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれら実施例に限定されて解釈されるこ
とはない。実施例、比較例で用いたカーボンブラックの
種類及び特性を表1に示す。
【0080】
【表1】
【0081】 実施例1 <磁性層用塗料組成> ・強磁性金属微粉末 100部 (Co/Fe=30原子%、Al/Fe=8原子%、Y/Fe=6原子%、 Hc:1.87×105A/m(2350Oe)、比表面積:55m2/g、 σs:140A・m2/kg、結晶子サイズ:140Å、 平均長軸長:0.068μm、平均針状比:6、表面酸化膜厚:25Å) ・塩化ビニル重合体 MR110(日本ゼオン社製) 12部 ・ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡社製) 4部 ・αアルミナ(平均粒子径:0.15μm) 5部 ・カーボンブラック(平均粒子径:40nm) 5部 ・フェニルホスホン酸 3部 ・ブチルステアレート 5部 ・ステアリン酸 6部 ・メチルエチルケトン 180部 ・シクロヘキサノン 180部
【0082】 <非磁性層用塗料組成> ・非磁性粉末 α−Fe23 80部 平均長軸長:0.12μm、BET法による比表面積:50m2/g pH:9、表面層のアルミ化合物(Al23として1質量%) ・α−アルミナ(平均粒子径:0.15μm) 7部 ・カ−ボンブラック(表1のA) 20部 ・塩化ビニル重合体 MR110(日本ゼオン製) 12部 ・ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡社製) 5部 ・フェニルホスホン酸 2部 ・分散剤(表2参照) 2部 ・ブチルステアレート 6部 ・ステアリン酸 5部 ・メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(7/3混合溶剤) 250部
【0083】 <バック層形成用塗布液組成(1)> ・微粒子状カーボンブラック粉末 100部 (キャボット社製、BP−800、平均粒子径:17nm) ・粗粒子状カーボンブラック粉末 10部 (カーンカルブ社製、サーマルブラック、平均粒子径:270nm) ・α−アルミナ 15部 (住友化学工業(株)製、HIT60A、平均粒子径:0.17μm、 モース硬度:9) ・ニトロセルロース 120部 ・ポリウレタン樹脂 15部 ・ポリイソシアネート 40部 ・ポリエステル樹脂 5部 ・分散剤:オレイン酸銅 5部 銅フタロシアニン誘導体 5部 硫酸バリウム 5部 ・メチルエチルケトン 2200部 ・トルエン 800部
【0084】上記の磁性層用塗料について、粉体、ポリ
塩化ビニル、フェニルホスホン酸と処方量の50%の各
溶剤をニ−ダで混練したのち、ポリウレタン樹脂と残り
の成分を加えてサンドグラインダーで分散した。得られ
た分散液にポリイソシアネ−トを14部を加え、さらに
シクロヘキサノン30部を加え、1μmの平均孔径を有
するフィルターを用いて濾過し、磁性層形成用の塗布液
を調製した。
【0085】非磁性層用塗料について、非磁性粉末及び
α−アルミナの全て、ポリ塩化ビニル8部、フェニルホ
スホン酸2部と、メチルエチルケトン70部、シクロヘ
キサノン30部をニ−ダで混練したのち、ポリウレタン
樹脂3部とメチルエチルケトン21部、シクロヘキサノ
ン9部を加えてサンドグラインダーで分散し非磁性層用
分散液(a)とした。非磁性層用塗料について、カーボ
ンブラックの全て、ポリ塩化ビニル残部、分散剤(表
2)の全てとメチルエチルケトン70部、シクロヘキサ
ノン30部をニ−ダで混練したのち、ポリウレタン樹脂
残部とメチルエチルケトン14部、シクロヘキサノン6
部を加えてサンドグラインダーで分散処理し非磁性層用
分散液(b)とした。得られた分散液(a)と分散液
(b)を処方量に併せてディスパーで混合後、サンドグ
ラインダーで分散した。得られた分散液にポリイソシア
ネ−ト15部、さらにシクロヘキサノン30部を加え、
1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、
非磁性層形成用の塗布液を調製した。
【0086】尚、上記非磁性層用塗料組成で用いられた
分散剤(表2記載)のアミン価及び酸価の測定法は以下
の通りである。 アミン価の測定法 試料を容器に精秤し、アミン価測定用混合溶剤を加え、
湯浴中で加温し試料を完全に溶解させ、ブロムクレゾー
ルグリーン指示薬を数滴加えて、0.5mol/l塩酸−エチル
アルコール標準液で滴定し、試料溶液が赤色から黄色に
変化し始めたときを終点とし、該標準液の使用量を読み
取り、次式により試料のアミン価を算出する。 A(mg(KOH)/g)=(B×F×28.055)
/S(A:アミン価、
【0087】B:標準液の使用量(ml)、標準液のフ
ァクター、S:試料(g)) 酸価の測定法 試料を容器に精秤し、酸価測定用混合溶剤を加え、湯浴
中で加温し試料を完全に溶解させ、フェノールフタレイ
ン指示薬を数滴加えて、0.1mol/l水酸化カリウム−エチ
ルアルコール標準液で滴定し、試料溶液が微赤色に変化
して30秒間消えなくなったときを終点とし、該標準液
の使用量を読み取り、次式により試料の酸価を算出す
る。 A(mg(KOH)/g)=(B×F×28.055)
/S(A:酸価、B:標準液の使用量(ml)、標準液
のファクター、S:試料(g))
【0088】<磁気テープの作製>得られた非磁性層形
成用塗布液を、乾燥後の下層の厚さが1.7μm になる
ようにさらにその直後にその上に磁性塗料1の塗布液を
磁性層の厚さが0.20μmとなるように、厚さ5.5
μm で中心面平均表面粗さが2nmのアラミドベース上
に同時重層塗布をおこない、両層がまだ湿潤状態にある
うちに4.8×10 5A/m(6000Oe)の磁力を
持つコバルト磁石と4.8×105A/m(6000O
e)の磁力を持つソレノイドにより配向、乾燥させた。
その後、バック層形成用塗布液(1)を厚み0.4μm
となるように塗布した。金属ロ−ルのみから構成される
7段のカレンダ−で温度95℃にて分速150m/mi
n.で処理を行い、熱処理を施した。次いで、得られた
塗布物を3.8mm幅にスリットし、磁性層を表面研磨
処理を施した後、DDSカートリッジに組み込んでサン
プル(磁気テープ)とした。得られた磁性層の磁気特
性、磁性層とバック層のRa、さらに4.7MHz再生
出力、C/N、23℃、60%RHでの摩擦係数を下記
方法で測定した。
【0089】(1)磁気特性(Hc、SQ、Bm) 振動試料型磁力計(東英工業社製)を用い、Hm:8×
105A/m(10kOe)で測定した。Bmとは磁束
密度で磁気記録媒体の単位体積当たりの磁気モーメント
である。SQは、角型比を指す。 (2)中心面平均表面粗さ(Ra):3D−MIRAU
での表面粗さ(Ra) WYKO社製TOPO3Dを用いて、MIRAU法で約
250×250μmの面積のRa値を測定した。測定波
長約650nmにて球面補正、円筒補正を加えている。
本方式は光干渉にて測定する非接触表面粗さ計である。 (3)4.7MHz再生出力 DDSドライブにて4.7MHzの単一周波数信号を最
適記録電流にて記録し、その再生出力を測定した。出力
値は、比較例1の再生出力を0dBとして相対値で示し
た。
【0090】(4)4.7MHz C/N DDSドライブにて4.7MHzの単一周波数信号を最
適記録電流にて記録し、その再生出力と4.7MHzか
ら±1MHz離れたノイズレベルを平均し算出した。比
較例1のC/Nを0dBとして相対値で示した。 (5)23℃60%RH環境下での磁性層面の1パス目
の摩擦係数(μ値)、及び100パス目の摩擦係数(μ
(N)値) DDSドライブで使用されている磁性層面タッチのガイ
ドポールに対して、磁気テープの磁性層面を接触させて
荷重20g(T1)をかけ、14mm/秒の速度になる
ように張力(T2)をかけ引っ張り、T2/T1よりガ
イドポールに対する磁性層面の摩擦係数μ(N)を求め
た。測定は繰り返し100パスまで行い、1パス目の摩
擦係数μ1と100パス目の摩擦係数μ100を求め
た。 (6)23℃60%RH環境下での磁性層面の表面電気
抵抗 磁性層面の表面電気抵抗を計測した。実施例の表面電気
抵抗測定値−比較例1の表面電気抵抗測定値(2×10
9Ω/sq)を求めた。実施例測定値−比較例の測定値
が、+0.5×101Ω/sq以上の場合を×、−0.5×1
1Ω/sqより大きく+0.5×101Ω/sq未満の場
合を△、−0.5×102Ω/sqより大きく−0.5×101
Ω/sq以下の場合を○、−0.5×102Ω/sq以下の
場合を◎、と評価した。
【0091】実施例2〜7 非磁性層のカーボンブラックと分散剤を表2に示す種類
に変更した以外は実施例1と同様にして磁気記録媒体を
作成した。
【0092】比較例1 実施例1の非磁性層のカーボンブラックの代わりに、三
菱化学社製 #950を用い、分散剤を添加しなかった
以外は実施例1と同様に磁気記録媒体を作成した。
【0093】比較例2 比較例1の非磁性層のカーボンブラックの代わりに、CO
LOMBIAN Chem.社製 CONDUVCTEX SC URTLA を用いた以
外は比較例1と同様にして磁気記録媒体を作成した。
【0094】比較例3 比較例1の非磁性層のカーボンブラックの代わりに、CA
BOT.社製 VULCAN XC72を用いた以外は比較例1と同様に
して磁気記録媒体を作成した。
【0095】以上の内容、結果を2及び3に示した。
【0096】
【表2】
【0097】
【表3】
【0098】上記表2及び3から、実施例は比較例に対
して、磁性層の表面粗さ(Ra)が小さく、平滑で、出力,
C/Nに優れている。また初期の走行摩擦係数の値も同
等であり、かつ繰り返し走行での摩擦係数の変化が安定
して小さい値であり、導電性が向上している。
【0099】
【発明の効果】本発明の磁気記録媒体は、短波長出力を
向上させるために磁性層の表面粗さを1.0〜3.0n
mと小さくし、全体の厚み、バック層の厚みも比較的薄
く形成した場合であっても、電磁変換特性や走行耐久性
に優れ、データの記録及び読み出しに対する信頼性が高
く、しかも湿熱保存特性に優れており、特にデジタルデ
ータ記録用として有利に用いることができる磁気テープ
として好適である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、非磁性層と強磁性粉末を含
    む磁性層がこの順序で設けられている磁気記録媒体にお
    いて、 非磁性層が、カルボン酸アミン塩及び燐酸エステルアミ
    ン塩から選択される少なくとも1種以上のアニオン性界
    面活性剤で処理されたカーボンブラックを含有すること
    を特徴とする磁気記録媒体。
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