JP2001343505A - 反射防止フィルム、その製造方法および画像表示装置 - Google Patents

反射防止フィルム、その製造方法および画像表示装置

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JP2001343505A
JP2001343505A JP2000345125A JP2000345125A JP2001343505A JP 2001343505 A JP2001343505 A JP 2001343505A JP 2000345125 A JP2000345125 A JP 2000345125A JP 2000345125 A JP2000345125 A JP 2000345125A JP 2001343505 A JP2001343505 A JP 2001343505A
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antireflection film
coating
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Akihiro Ikeyama
昭弘 池山
Kenichi Nakamura
謙一 中村
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】反射率が低く、かつ輝点欠陥の数が少なく、し
かも生産性よく連続塗布方式で製造できる大量生産に適
した反射防止フィルム、その製造方法、及び輝点欠陥が
少なく、映り込みが少ない画像表示装置を提供するこ
と。 【解決手段】透明支持体上に、高屈折率層と低屈折率層
とが塗布法で形成され、50μm以上の輝点欠陥の数が
20個/m2以下である反射防止フィルム、(A)連続
的に搬送される透明支持体上の異物を除去する工程、お
よび(B)透明支持体上に高屈折率層と低屈折率層と
を、特定の清浄な空気の雰囲気下に、高屈折率層および
低屈折率層を形成する塗布・乾燥工程からなる反射防止
フィルムの製造方法、そして上記反射防止フィルムを有
する画像表示装置が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、輝点欠陥の改良さ
れた反射防止フィルムおよびその製造方法、ならびにそ
れを用いた画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】反射防止フィルムは、一般に、陰極管表
示装置(CRT)、プラズマディスプレイパネル(PD
P)や液晶表示装置(LCD)のような画像表示装置に
おいて、外光の反射によるコントラスト低下や像の映り
込みを防止するために、光学干渉の原理を用いて反射率
を低減するディスプレイの最表面に配置される反射防止
フィルムとしては、金属酸化物の透明薄膜を積層させた
多層フィルムが従来から普通に用いられている。複数の
透明薄膜を用いるのは、様々な波長の光の反射を防止す
るためである。金属酸化物の透明薄膜は、化学蒸着(C
VD)法や物理蒸着(PVD)法、特に物理蒸着法の一
種である真空蒸着法により形成されている。
【0003】金属酸化物の透明薄膜は、反射防止フィル
ムとして優れた光学的性質を有しているが、蒸着による
形成方法は、生産性が低く大量生産に適していない。
【0004】蒸着法に代えて、透明支持体上に光学的機
能層を塗布により形成して反射防止フィルムを製造する
方法も提案されている。反射防止のため、透明支持体の
屈折率よりも低い屈折率を有する層(低屈折率層)を塗
布することにより反射率を下げた低反射フィルムは一般
によく知られている。このような反射防止フィルムの製
造方法は、連続で生産できるため、大量生産に向いてい
る。
【0005】しかしながら、透明支持体上に透明支持体
の屈折率よりも低い屈折率を有する層(低屈折率層)の
みを有する反射防止フィルムにおいて、反射率を低減す
るためには低屈折率層を十分に低屈折率化する必要が生
じる。例えばトリアセチルセルロースを支持体とし、ジ
ペンタエリスリトールヘキサアクリレートのUV硬化被
膜をハードコート層とする反射防止フィルムで450n
mから650nmにおける平均反射率を1.6%以下に
するためには屈折率を1.40以下にしなければならな
い。屈折率1.40以下の素材としては無機物ではフッ
化マグネシウムやフッ化カルシウム等の含フッ素化合
物、有機物ではフッ素含率の大きい含フッ素化合物が挙
げられるが、これらの含フッ素化合物は凝集力がないた
めディスプレイの最表面に配置するフィルムとしては耐
傷性が不足していた。従って、十分な耐傷性を有するた
めには1.43以上の屈折率を有する化合物が必要であ
った。
【0006】このような問題点を解決するためには、低
屈折率層の下の層の屈折率をあげることにより可能とな
る。例えば、特開平7−287102号公報では、ハー
ドコート層の屈折率を大きくすることにより、反射率を
低減させることが記載されている。また、蒸着法による
光学薄膜の積層の原理と同様の考えで、特開昭59−4
9501号公報等に示される様に、透明支持体上に複数
の屈折率の異なる層を塗布により積層することにより、
可視光域での反射率をより低くすることができる。
【0007】しかしながら、このような高屈折率層と低
屈折率層を積層した反射防止フィルムにおいては、基材
や塗膜上にゴミ、ほこり等の異物が存在したときに、そ
の部分の膜厚の乱れが生じると、大きく色味、反射率が
変わることになる。したがって、塗膜の輝点欠陥として
目立ち易くなる。また、蒸着に比べ、塗布により付与す
る場合には、液の流動性があるため、異物が存在する部
分で、異物部への液の寄り、はじき等が発生し、膜厚の
乱れる部分が大きくなり、核となる異物に対して塗膜の
輝点欠陥が大きく、目立ちやすくなる。このような輝点
欠陥は50μm以上となると、目視ではっきりみえ、反
射防止フィルムの品質上の問題となる。この点欠陥の数
が多いと、製造時の得率が低くなる、大面積の反射防止
フィルムが作れないという点で問題となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、反射
率が低く、かつ輝点欠陥の数が少なく、しかも生産性よ
く連続塗布方式で製造できる大量生産に適した反射防止
フィルムを提供することにある。本発明の他の目的は、
反射率が低く、かつ輝点欠陥の数が少ない反射防止フィ
ルムを生産性よく連続塗布方式で製造でき大量生産し得
る製造方法を提供することにある。本発明のさらなる目
的は、輝点欠陥が少なく、映り込みが少ない画像表示装
置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、下記構
成の反射防止フィルム、およびその製造方法が提供さ
れ、本発明の上記目的が達成される。 1.透明支持体上に、透明支持体の屈折率より0.05
以上高い屈折率を有する少なくとも1層の高屈折率層
と、該高屈折率層上に支持体より屈折率の低い低屈折率
層とが、各層を形成するための塗布液を塗布・乾燥する
工程を含んで形成されてなり、しかも50μm以上の輝
点欠陥の数が1平方メートル当たり20個以下であるこ
とを特徴とする反射防止フィルム。 2.上記高屈折率層の屈折率が1.57〜2.30の範
囲にあり、低屈折率層の屈折率が1.35〜1.49の
範囲にあることを特徴とする上記1記載の反射防止フィ
ルム。 3.防眩性を有すると共に、ヘイズ値が3〜20%、波
長450nm〜650nmにおける平均反射率が1.8
%以下であることを特徴とする上記1または2に記載の
反射防止フィルム。 4.波長450nm〜650nmにおける平均反射率が
0.8%以下であることを特徴とする上記1〜3のいず
れかに記載の反射防止フィルム。 5.50μm以上の輝点欠陥の数が1平方メートルあた
り5個以下であることを特徴とする上記1〜4のいずれ
かに記載の反射防止フィルム。 6.透明支持体がトリアセチルセルロースフィルムであ
り、トリアセチルセルロースを溶剤に溶解することで調
整されたトリアセチルセルロースドープを単層流延、複
数層共流延もしくは複数層逐次流延の何れかの流延方法
により流延することにより作成されたことを特徴とする
上記1〜5のいずれかに記載の反射防止フィルム。 7.前記トリアセチルセルロースドープが、トリアセチ
ルセルロースを低温溶解法あるいは高温溶解法によって
ジクロロメタンを実質的に含まない溶剤に溶解すること
で調整されたトリアセチルセルロースドープであること
を特徴とする上記6に記載の反射防止フィルム。 8.高屈折率層および低屈折率層を形成するための塗布
液の塗布・乾燥工程の前工程として、連続的に搬送され
る透明支持体上の異物を除去する工程が設けられてお
り、しかも米国連邦規格209Eにおける空気清浄度の
規格に基づいたクラス10以上の清浄度の空気雰囲気下
に塗布・乾燥工程が行われることを特徴とする上記1〜
7のいずれかに記載の反射防止フィルム。 9.透明支持体上の異物を除去する工程が、超音波を用
いる除塵方法および/または湿式除塵方法により行われ
ることを特徴とする上記8に記載の反射防止フィルム。 10.(A)連続的に搬送される透明支持体上の異物を
除去する工程、および(B)上記(A)工程の後工程と
して、該透明支持体上に透明支持体の屈折率より0.0
5以上高い屈折率を有する少なくとも1層の高屈折率層
と、該高屈折率層上に支持体により屈折率の低い低屈折
率層とを、米国連邦規格209Eにおける空気清浄度の
規格に基づいたクラス10以上の清浄度の空気雰囲気下
に、高屈折率層および低屈折率層を形成するための塗布
液を塗布・乾燥する工程、を含むことを特徴とする反射
防止フィルムの製造方法。 11.上記1〜9のいずれかに記載の反射防止フィルム
を有することを特徴とする画像表示装置。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の反射防止フィルムの基本
的な構成を図面を引用しながら説明する。図1は、反射
防止フィルム1の主な層構成を模式的に示す断面模式図
である。図1の(a)に示す態様は、透明支持体2、高
屈折率層3、低屈折率層4の順序の層構成を有する。透
明支持体2と低屈折率層4は、以下の関係を満足する屈
折率を有する。低屈折率層の屈折率<透明支持体の屈折
率図1の(b)に示す態様は、透明支持体2、ハードコ
ート層5、高屈折率層3、低屈折率層4の順序の層構成
を有する。透明支持体2と低屈折率層4は、以下の関係
を満足する屈折率を有する。低屈折率層の屈折率<透明
支持体の屈折率図1の(a)、(b)のように、高屈折
率層3と低屈折率層4とを有する反射防止フィルムで
は、特開昭59−50401号公報に記載されているよ
うに、高屈折率層が下記数式(I)、低屈折率層が下記
数式(II)をそれぞれ満足することが反射率の低減の点
から好ましい。
【0011】 (mλ/4)×0.7<n11<(mλ/4)×1.3 ……数式(I)
【0012】数式(I)中、mは正の整数(一般に1、
2または3)であり、n1は高屈折率層の屈折率であ
り、そしてd1は高屈折率層の膜厚(nm)である。ま
た、λは波長であり、350〜800(nm)の範囲の
値である。
【0013】 (nλ/4)×0.7<n22<(nλ/4)×1.3 ……数式(II)
【0014】数式(II)中、nは正の奇数(一般に1)
であり、n2は低屈折率層の屈折率であり、そして、d2
は低屈折率層の膜厚(nm)である。また、λは波長で
あり、350〜800(nm)の範囲の値である。
【0015】なお、上記数式(I)を満たすとは、上記
波長の範囲において数式(I)を満たすm(正の整数、
一般に1、2または3である)が存在することを意味し
ている。同様に、上記数式(II)を満たすとは、上記波
長の範囲において数式(II)を満たすm(正の整数、一
般に1、2または3である)が存在することを意味して
いる。
【0016】図1の(c)に示す態様の反射防止フィル
ム1は、透明支持体2、ハードコート層5、中屈折率層
6、高屈折率層3、低屈折率層4の順序の層構成を有す
る。透明支持体2、中屈折率層6、高屈折率層3および
低屈折率層4は、以下の関係を満足する屈折率を有す
る。低屈折率層の屈折率<透明支持体の屈折率<中屈折
率層の屈折率<高屈折率層の屈折率図1の(c)のよう
に、中屈折率層、高屈折率層および低屈折率層を有する
反射防止フィルムでは、特開昭59−50401号公報
に記載されているように、中屈折率層が下記数式(II
I)を、高屈折率層が下記数式(IV)を、低屈折率層が
下記数式(V)をそれぞれ満足することにより図1の
(a)、(b)に示される態様と比べ、反射防止フィル
ムとしての平均反射率をさらに下げる設計が可能となり
好ましい。
【0017】 (hλ/4)×0.7<n33<(hλ/4)×1.3 ……数式(III)
【0018】数式(III)中、hは正の整数(一般に
1、2または3)であり、n3は中屈折率層の屈折率で
あり、そして、d3は中屈折率層の膜厚(nm)であ
る。また、λは波長であり、350〜800(nm)の
範囲の値である。
【0019】 (jλ/4)×0.7<n44<(jλ/4)×1.3 ……数式(IV) 数式(IV)中、jは正の整数(一般に1、2または3)
であり、n4は高屈折率層の屈折率であり、そして、d4
は高屈折率層の膜厚(nm)である。また、λは波長で
あり、350〜800(nm)の範囲の値である。
【0020】 (kλ/4)×0.7<n55<(kλ/4)×1.3 ……数式(V)
【0021】数式(V)中、kは正の奇数(一般に1)
であり、n5は低屈折率層の屈折率であり、そして、d5
は低屈折率層の膜厚(nm)である。また、λは波長で
あり、350〜800(nm)の範囲の値である。
【0022】なお、上記数式(III)、(IV)、あるい
は(V)を満たすとは、上記数式(I)、(II)につい
て既に述べたことと同様である。また、下記数式(VI)
についても同様である。
【0023】また、本発明においては、ハードコート層
あるいは高屈折率層に凹凸を付与して防眩性反射防止フ
ィルムとすることも好ましい。この基本的な構成を図面
を引用しながら説明する。(d)に示す態様は本発明の
防眩性反射防止フィルムの一例である。この場合の防眩
性反射防止フィルム1は、透明支持体2、防眩性ハード
コート層3'、および低屈折率層4の順序の層構成を有
する。そして防眩性ハードコート層3'にはマット粒子
6が分散している。この場合、防眩性ハードコート層
3'は、高屈折率層とハードコート層を兼ねている。防
眩性ハードコート層3'のマット粒子以外の部分の屈折
率は1.57〜2.30であることが好ましく、低屈折
率層の屈折率は1.38〜1.49であることが好まし
い。また、本発明において、防眩性ハードコート層3'
とは別に、高屈折率層を設けてもよいし、ハードコート
層上に防眩性高屈折率層を設けてもよい。(d)に示さ
れる反射防止フィルムでは、低屈折率層が下記数式(V
I)をそれぞれ満足することが反射率の低減の点から好
ましい。
【0024】 (pλ/4)×0.7<n44<(pλ/4)×1.3 ……数式(VI)
【0025】数式(VI)中、pは正の奇数(一般に1)
であり、n4は低屈折率層の屈折率であり、そして、d4
は低屈折率層の膜厚(nm)である。また、λは波長で
あり、350〜800(nm)の範囲の値である。
【0026】なお、上記数式(I)〜(IV)を満たすよ
うにすることは、各層を構成する後述する成分の種類お
よび量割合を適宜選択することによりなし得る。
【0027】本発明の反射防止フィルムを構成する各層
について、以下説明する。本発明の反射防止フィルム
は、透明支持体上に少なくとも1層の高屈折率層を有
し、さらにその上に低屈折率層を有するが、必要に応
じ、高屈折率層の下層に平滑なハードコート層を設ける
ことができる。
【0028】<透明支持体>透明支持体としては、プラ
スチックフィルムを用いることが好ましい。プラスチッ
クフィルムを形成するポリマーとしては、セルロースエ
ステル(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセル
ロース)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステ
ル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナ
フタレート)、ポリスチレン、ポリオレフィンなどが挙
げられる。このうちトリアセチルセルロース、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、が好
ましい。本発明の防眩性反射防止フィルムを液晶表示装
置に用いる場合、片面に粘着層を設ける等してディスプ
レイの最表面に配置する。該透明支持体がトリアセチル
セルロースの場合は偏光板の偏光層を保護する保護フィ
ルムとしてトリアセチルセルロースが用いられるため、
本発明の防眩性反射防止フィルムをそのまま保護フィル
ムに用いることがコストの上では好ましい。
【0029】上記のトリアセチルセルロースフィルムと
しては、トリアセチルセルロースを溶剤に溶解すること
で調整されたトリアセチルセルロースドープを単層流
延、複数層共流延もしくは複数層逐次流延の何れかの流
延方法により流延することにより作成されたトリアセチ
ルセルロースフィルムを用いることがより好ましい。特
に、環境保全の観点から、トリアセチルセルロースを低
温溶解法あるいは高温溶解法によってジクロロメタンを
実質的に含まない溶剤に溶解することで調整されたトリ
アセチルセルロースドープを用いて作成されたトリアセ
チルセルロースフィルムが好ましい。単層のトリアセチ
ルセルロースは、特開平7−11055号公報等で開示
されているドラム流延、あるいはバンド流延等により作
成され、後者の複数の層からなるトリアセチルセルロー
スは、特開昭61−94725号公報、特公昭62−4
3846号公報等で開示されている、いわゆる共流延法
により作成される。すなわち、原料フレークをハロゲン
化炭化水素類(ジクロロメタン等)、アルコール類(メ
タノール、エタノール、ブタノール等)、エステル類
(蟻酸メチル、酢酸メチル等)、エーテル類(ジオキサ
ン、ジオキソラン、ジエチルエーテル等)等の溶剤にて
溶解し、これに必要に応じて可塑剤、紫外線吸収剤、劣
化防止剤、滑り剤、剥離促進剤等の各種の添加剤を加え
た溶液(ドープと称する)を、水平式のエンドレスの金
属ベルトまたは回転するドラムからなる支持体の上に、
ドープ供給手段(ダイと称する)により流延する際、単
層ならば単一のドープを単層流延し、複数の層ならば高
濃度のセルロースエステルドープの両側に低濃度ドープ
を共流延し、支持体上である程度乾燥して剛性が付与さ
れたフィルムを支持体から剥離し、次いで各種の搬送手
段により乾燥部を通過させて溶剤を除去することからな
る方法である。
【0030】上記のような、トリアセチルセルロースを
溶解するための溶剤としては、ジクロロメタンが代表的
である。しかし、技術的には、ジクロロメタンのような
ハロゲン化炭化水素は問題なく使用できるが、地球環境
や作業環境の観点では、溶剤はジクロロメタン等のハロ
ゲン化炭化水素を実質的に含まないことが好ましい。
「実質的に含まない」とは、有機溶剤中のハロゲン化炭
化水素の割合が5重量%未満(好ましくは2重量%未
満)であることを意味する。共流延法の場合には、ジク
ロロメタンを実質的に含む溶剤を用いたドープを複数層
共流延法によって流延しても、外側の流延層と比較して
トリアセチルセルロース濃度の高いドープを内側の流延
層に用いることができるため、結果として大気中に放出
されるジクロロメタンの量が減少できる。本発明におい
て、共流延法の場合であってもジクロロメタン等のハロ
ゲン化炭化水素を実質的に含まないことが好ましい。ま
た、共流延法は流延速度も高くすることが可能であり、
生産性にも優れる。
【0031】ジクロロメタン等を実質的に含まない溶剤
を用いてトリアセチルセルロースのドープを調整する場
合には、後述するような特殊な溶解法が必須となる。
【0032】第一の溶解法は、冷却溶解法と称され、以
下に説明する。まず室温近辺の温度(−10〜40℃)
で溶剤中にトリアセチルセルロースを撹拌しながら徐々
に添加する。次に、混合物は−100〜−10℃(好ま
しくは−80〜−10℃、さらに好ましくは−50〜−
20℃、最も好ましくは−50〜−30℃)に冷却す
る。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール浴(−
75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30
〜−20℃)中で実施できる。このように冷却すると、
トリアセチルセルロースと溶剤の混合物は固化する。さ
らに、これを0〜200℃(好ましくは0〜150℃、
さらに好ましくは0〜120℃、最も好ましくは0〜5
0℃)に加温すると、溶剤中にトリアセチルセルロース
が流動する溶液となる。昇温は、室温中に放置するだけ
でもよし、温浴中で加温してもよい。
【0033】第二の方法は、高温溶解法と称され、以下
に説明する。まず室温近辺の温度(−10〜40℃)で
溶剤中にトリアセチルセルロースを撹拌しながら徐々に
添加される。本発明のトリアセチルセルロース溶液は、
各種溶剤を含有する混合溶剤中にトリアセチルセルロー
スを添加し予め膨潤させることが好ましい。本法におい
て、トリアセチルセルロースの溶解濃度は30重量%以
下が好ましいが、フィルム製膜時の乾燥効率の点から、
なるべく高濃度であることが好ましい。次に有機溶剤混
合液は、0.2MPa〜30MPaの加圧下で70〜2
40℃に加熱される(好ましくは80〜220℃、更に
好ましく100〜200℃、最も好ましくは100〜1
90℃)。次にこれらの加熱溶液はそのままでは塗布で
きないため、使用された溶剤の最も低い沸点以下に冷却
する必要がある。その場合、−10〜50℃に冷却して
常圧に戻すことが一般的である。冷却はトリアセチルセ
ルロース溶液が内蔵されている高圧高温容器やライン
を、室温に放置するだけでもよく、更に好ましくは冷却
水などの冷媒を用いて該装置を冷却してもよい。以上の
ように作製したトリアセチルセルロースフィルムは、従
来の方法で作成したフィルムに比べ、加工時の切り屑が
発生しにくく、より好ましい。
【0034】透明支持体の光透過率は、80%以上であ
ることが好ましく、86%以上であることがさらに好ま
しい。透明支持体のヘイズは、2.0%以下であること
が好ましく、1.0%以下であることがさらに好まし
い。透明支持体の屈折率は、1.4〜1.7の範囲にあ
ることが好ましい。透明支持体には、機能性付与のた
め、下塗り層、帯電防止層、マット層、滑り層等を設け
ることも好ましい。
【0035】<ハードコート層・防眩性付与層>本発明
の反射防止フィルムでは、ハードコート層を、必要に応
じて、フィルム強度向上の目的で透明支持体と高屈折率
層の間に塗設してもよい。また、本発明のハードコート
層の屈折率は、上層もしくは支持体の屈折率に応じて、
調整することができる。この屈折率は、1.45〜1.
90の範囲が好ましい。
【0036】ハードコート層のバインダーポリマーとし
ては、飽和炭化水素鎖またはポリエーテル鎖を主鎖とし
て有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素
鎖を主鎖として有するポリマーであることがさらに好ま
しい。また、バインダーポリマーは架橋構造を有するこ
とが好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバイ
ンダーポリマーとしては、エチレン性不飽和モノマーの
重合体が好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、
かつ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、二
個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)
重合体が好ましい。高屈折率にするには、このモノマー
の構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫
黄原子、リン原子、および窒素原子から選ばれた少なく
とも1種の原子を含むことが好ましい。
【0037】二個以上のエチレン性不飽和基を有するモ
ノマーとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸
とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アク
リレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペ
ンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペ
ンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメ
チロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチ
ロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリ
スリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリ
スリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリス
リトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シ
クロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリ
アクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニ
ルベンゼンおよびその誘導体(例、1,4−ジビニルベ
ンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチル
エステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニ
ルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド
(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリル
アミドが挙げられる。
【0038】高屈折率モノマーの具体例としては、ビス
(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニ
ルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタク
リロキシフェニル−4'−メトキシフェニルチオエーテ
ル等が挙げられる。
【0039】これらのエチレン性不飽和基を有するモノ
マーの重合は、後述する光ラジカル開始剤あるいは無
機、有機の過酸化物やアゾ化合物等の熱ラジカル開始剤
の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うこと
ができる。従って、エチレン性不飽和基を有するモノマ
ー、および光ラジカル重合開始剤あるいは熱ラジカル開
始剤を含有する塗布液を調製し、該塗液を透明支持体上
に塗布後電離放射線または熱による重合反応により硬化
してハードコート層を形成することができる。
【0040】ポリエーテルを主鎖として有するポリマー
は、多官能エポシキシ化合物の開環重合体が好ましい。
多官能エポシキ化合物の開環重合は、光酸発生剤あるい
は熱酸発生剤の存在下、電離放射線の照射または加熱に
より行うことができる。従って、多官能エポシキシ化合
物、および光酸発生剤あるいは熱酸発生剤を含有する塗
布液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後電離放射
線または熱による重合反応により硬化してハードコート
層を形成することができる。
【0041】上記の二個以上のエチレン性不飽和基を有
するモノマーを含有する塗布液からハードコート層を形
成する場合、塗布液に光ラジカル重合開始剤を用いるこ
とは特に好ましい。光ラジカル重合開始剤の例として
は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーの
ベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、
テトラメチルチウラムモノサルファイドおよびチオキサ
ントン類が挙げられる。光ラジカル重合開始剤に加え
て、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の例としては、
n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチ
ルホスフィン、ミヒラーのケトンおよびチオキサントン
が挙げられる。光ラジカル重合開始剤は、二個以上のエ
チレン性不飽和基を有するモノマー100重量部に対し
て、0.1〜15重量部の範囲で使用することが好まし
く、1〜10重量部の範囲で使用することがさらに好ま
しい。光重合反応は、塗布液の塗布および乾燥後、紫外
線照射により実施することが好ましい。
【0042】二個以上のエチレン性不飽和基を有するモ
ノマーの代わりにまたはそれに加えて、架橋性官能基を
有するモノマーを用いてポリマー中に架橋性官能基を導
入し、この架橋性官能基の反応により、架橋構造をバイ
ンダーポリマーに導入してもよい。架橋性官能基の例と
しては、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン
基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒ
ドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性
メチレン基が挙げられる。ビニルスルホン酸、酸無水
物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化
メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシ
シランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入す
るためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシア
ナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す
官能基を用いてもよい。即ち、架橋性官能基とは、上記
官能基に限らず官能基が分解した結果反応性を示すもの
であってもよい。これら架橋性官能基を有するバインダ
ーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を
形成することができる。
【0043】更にハードコート層には、屈折率の調節や
フィルムの硬化強度を高めるために無機の微粒子を添加
しても良い。無機の微粒子としては平均粒子サイズが
0.5μm以下のものが好ましく、0.2μm以下のも
のが特に好ましい。上記無機微粒子としては二酸化ケイ
素粒子、二酸化チタン粒子、酸化アルミニウム粒子、酸
化錫粒子、炭酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子、タ
ルク、カオリンおよび硫酸カルシウム粒子があげられ、
二酸化ケイ素粒子、二酸化チタン粒子、酸化アルミニウ
ム粒子が特に好ましい。これらの微粒子は、塗布液中で
の安定性、フィルム強度の強化のために、表面処理され
ていることも好ましい。また、ハードコート層の屈折率
を高めることも好ましい。このためには、チタン、アル
ミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちよ
り選ばれる少なくとも一つの酸化物からなる粒径100
nm以下、好ましくは50nm以下の微粒子を含有する
ことが好ましい。微粒子の例としては、TiO2、Al2
3、In23、ZnO、SnO2、Sb23、ITO等
が挙げられる。なお、このような金属酸化物の微粒子
は、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じ
ず、バインダーポリマーに該微粒子が分散した分散体は
光学的に均一な物質として振舞う。これら無機微粒子の
添加量は、ハードコート層の全重量の10〜90重量%
であることが好ましく、20〜80重量%であると更に
好ましく、30〜60重量%が特に好ましい。
【0044】また、本発明においては、防眩性の付与の
ために、上記のハードコート層もしくは後述の高屈折率
層にマット粒子を分散させることもできる。また、ハー
ドコート層を高屈折率にし、マット粒子を分散させ、ハ
ードコート層と高屈折率層を兼ねた防眩層とすることも
できる。また、このマット粒子添加によりハードコート
層の干渉による反射率悪化防止や色むら防止も可能とな
る。上記目的のためのマット粒子として、平均粒径が1
〜10μm、好ましくは1.5〜7μmの粒子、例えば
無機化合物の粒子または樹脂粒子が好ましい。マット粒
子の粒径が1μm未満では防眩性が不足し、10μmを
越えるとフィルムのヘイズ値の上昇、目視でのザラツキ
感の悪化が発生し、好ましくない。上記マット粒子の具
体例としては、例えばシリカ粒子、TiO2粒子等の無
機化合物の粒子;架橋アクリル粒子、架橋スチレン粒
子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の
樹脂粒子が好ましく挙げられる。マット粒子の形状は、
真球あるいは不定形のいずれも使用できる。また、異な
る2種以上のマット粒子を併用して用いてもよい。ま
た、ハードコート層のバインダ膜厚よりも大きい粒径の
マット粒子が、マット粒子全体の40〜100%を占め
ることが好ましい。粒度分布はコールターカウンター法
等により測定できるが、分布は粒子数分布に換算する。
また、マット粒子中から、平均粒径から大きく外れる粗
大粒子を除くことが好ましい。この粗大粒子の存在が、
輝点欠陥の原因となる場合もある。粗大粒子の除去方法
としては、マット粒子を風力分級する方法、マット粒子
分散液や塗布液をろ過する方法等が挙げられる。
【0045】ハードコート層の膜の屈折率、マット粒子
が存在している場合はマット粒子を除いた成分から形成
される膜の屈折率は、1.57〜2.30であることが
好ましく、より好ましくは1.38〜1.49である。
屈折率を上記範囲とするには、バインダーポリマーおよ
び微粒子の種類および量割合を適宜選択すればよい。ど
のように選択するかは、予め実験的に容易に知ることが
できる。ハードコート層の膜厚は、2〜10μmが好ま
しく、3〜6μmがより好ましい。
【0046】<高屈折率層および中屈折率層>本発明に
おいては、反射率の低減のために、透明支持体若しくは
ハードコート層を付与した透明支持体と低屈折率層との
間に、高屈折率層を設けることが必須である。また、図
1の(c)に示すように、透明支持体と高屈折率層との
間に中屈折率層を設けることは、反射率の低減のため
に、好ましい。高屈折率層の屈折率は、1.55〜2.
30であることが好ましく、1.57〜2.20である
ことがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、透明支
持体の屈折率と高屈折率層の屈折率との中間の値となる
ように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.55〜
1.80であることが好ましい。高屈折率層および中屈
折率層の厚さは、5nm〜100μmであることが好ま
しく、10nm〜10μmであることがさらに好まし
く、30nm〜1μmであることが最も好ましい。高屈
折率層および中屈折率層のヘイズは、5%以下であるこ
とが好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、
1%以下であることが最も好ましい。高屈折率層および
中屈折率層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度でH以上で
あることが好ましく、2H以上であることがさらに好ま
しく、3H以上であることが最も好ましい。高屈折率層
および中屈折率層は、無機微粒子とバインダーポリマー
とを含むことが好ましい。
【0047】高屈折率層および中屈折率層に用いる無機
微粒子は、屈折率が1.80〜2.80であることが好
ましく、1.90〜2.80であることがさらに好まし
い。無機微粒子の一次粒子の重量平均径は、1〜150
nmであることが好ましく、1〜100nmであること
がさらに好ましく、1〜80nmであることが最も好ま
しい。層中での無機微粒子の重量平均径は、1〜200
nmであるることが好ましく、5〜150nmであるこ
とがより好ましく、10〜100nmであることがさら
に好ましく、10〜80nmであることが最も好まし
い。無機微粒子の平均粒径は、20〜30nm以上であ
れば光散乱法により、20〜30nm以下であれば電子
顕微鏡写真により測定される。無機微粒子の比表面積
は、BET法で測定された値として、10〜400m2
/gであることが好ましく、20〜200m2/gであ
ることがさらに好ましく、30乃至150m2/gであ
ることが最も好ましい。
【0048】無機微粒子は、金属の酸化物または硫化物
から形成された粒子であることが好ましい。金属の酸化
物または硫化物の例として、二酸化チタン(例、ルチ
ル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルフ
ァス構造)、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化
ジルコニウムおよび硫化亜鉛が挙げられる。なかでも、
酸化チタン、酸化錫および酸化インジウムが特に好まし
い。無機微粒子は、これらの金属の酸化物または硫化物
を主成分とし、さらに他の元素を含むことができる。主
成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(重量
%)が多い成分を意味する。他の元素の例としては、T
i、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、C
d、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、Pお
よびSが挙げられる。
【0049】無機微粒子は表面処理されていてもよい。
表面処理は、無機化合物または有機化合物を用いて実施
することができる。表面処理に用いる無機化合物の例と
しては、アルミナ、シリカ、酸化ジルコニウムおよび酸
化鉄が挙げられる。なかでもアルミナおよびシリカが好
ましい。表面処理に用いる有機化合物の例としては、ポ
リオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シラン
カップリング剤およびチタネートカップリング剤が挙げ
られる。なかでも、シランカップリング剤が最も好まし
い。二種類以上の表面処理を組み合わせて処理されてい
ても構わない。無機微粒子の形状は、米粒状、球形状、
立方体状、紡錘形状あるいは不定形状であることが好ま
しい。二種類以上の無機微粒子を高屈折率層および中屈
折率層に併用してもよい。
【0050】高屈折率層および中屈折率層中の無機微粒
子の割合は、5〜65体積%であることが好ましく、よ
り好ましくは10〜60体積%であり、さらに好ましく
は20〜55体積%である。
【0051】無機微粒子は、媒体に分散した分散体の状
態で、高屈折率層および中屈折率層を形成するための塗
布液に供される。無機微粒子の分散媒体としては、沸点
が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散
溶媒の具体例としては、水、アルコール(例、メタノー
ル、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベン
ジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノ
ン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プ
ロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プ
ロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサ
ン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチ
レンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族
炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミ
ド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミ
ド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチル
エーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エー
テルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノー
ル)が挙げられる。なかでも、トルエン、キシレン、メ
チルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘ
キサノンおよびブタノールが特に好ましい。
【0052】無機微粒子は、分散機を用いて媒体中に分
散することができる。分散機の例としては、サンドグラ
インダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペ
ラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライター
およびコロイドミルが挙げられる。サンドグラインダー
ミルおよび高速インペラーミルが特に好ましい。また、
予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる
分散機の例としては、ボールミル、三本ロールミル、ニ
ーダーおよびエクストルーダーが挙げられる。
【0053】高屈折率層および中屈折率層は、架橋構造
を有するポリマー(以下、「架橋ポリマー」ともいう)
をバインダーポリマーとして用いることが好ましい。架
橋ポリマーの例として、ポリオレフィン等の飽和炭化水
素鎖を有するポリマー(以下「ポリオレフィン」と総称
する)、ポリエーテル、ポリウレア、ポリウレタン、ポ
リエステル、ポリアミン、ポリアミドおよびメラミン樹
脂等の架橋物が挙げられる。なかでも、ポリオレフィ
ン、ポリエーテルおよびポリウレタンの架橋物が好まし
く、ポリオレフィンおよびポリエーテルの架橋物がさら
に好ましく、ポリオレフィンの架橋物が最も好ましい。
また、架橋ポリマーが、アニオン性基を有することは、
更に好ましい。アニオン性基は、無機微粒子の分散状態
を維持する機能を有し、架橋構造は、ポリマーに皮膜形
成能を付与して皮膜を強化する機能を有する。上記アニ
オン性基は、ポリマー鎖に直接結合していてもよいし、
連結基を介してポリマー鎖に結合していてもよいが、連
結基を介して側鎖として主鎖に結合していることが好ま
しい。
【0054】アニオン性基の例としては、カルボン酸基
(カルボキシル)、スルホン酸基(スルホ)およびリン
酸基(ホスホノ)が挙げられる。なかでも、スルホン酸
基およびリン酸基が好ましい。ここで、アニオン性基
は、塩の状態であってもよい。アニオン性基と塩を形成
するカチオンは、アルカリ金属イオンであることが好ま
しい。また、アニオン性基のプロトンは、解離していて
もよい。アニオン性基とポリマー鎖とを結合する連結基
は、−CO−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、
およびこれらの組み合わせから選ばれる二価の基である
ことが好ましい。好ましいバインダーポリマーである架
橋ポリマーは、アニオン性基を有する繰り返し単位と、
架橋構造を有する繰り返し単位とを有するコポリマーで
あることが好ましい。この場合、コポリマー中のアニオ
ン性基を有する繰り返し単位の割合は、2〜96重量%
であることが好ましく、4〜94重量%であることがさ
らに好ましく、6〜92重量%であることが最も好まし
い。繰り返し単位は、二以上のアニオン性基を有してい
てもよい。
【0055】アニオン性基を有する架橋ポリマーには、
その他の繰り返し単位(アニオン性基も架橋構造も有し
ない繰り返し単位)が含まれていてもよい。その他の繰
り返し単位としては、アミノ基または四級アンモニウム
基を有する繰り返し単位およびベンゼン環を有する繰り
返し単位が好ましい。アミノ基または四級アンモニウム
基は、アニオン性基と同様に、無機微粒子の分散状態を
維持する機能を有する。ベンゼン環は、高屈折率層の屈
折率を高くする機能を有する。なお、アミノ基、四級ア
ンモニウム基およびベンゼン環は、アニオン性基を有す
る繰り返し単位あるいは架橋構造を有する繰り返し単位
に含まれていても、同様の効果が得られる。
【0056】上記アミノ基または四級アンモニウム基を
有する繰り返し単位を構成単位として含有する架橋ポリ
マーにおいて、アミノ基または四級アンモニウム基は、
ポリマー鎖に直接結合していてもよいし、あるいは連結
基を介し側鎖としてポリマー鎖に結合していてもよい
が、後者がより好ましい。アミノ基または四級アンモニ
ウム基は、二級アミノ基、三級アミノ基または四級アン
モニウム基であることが好ましく、三級アミノ基または
四級アンモニウム基であることがさらに好ましい。二級
アミノ基、三級アミノ基または四級アンモニウム基の窒
素原子に結合している基としては、アルキル基が好まし
く、より好ましくは炭素数1〜12のアルキル基であ
り、さらに好ましくは炭素数1〜6のアルキル基であ
る。四級アンモニウム基の対イオンは、ハライドイオン
であることが好ましい。アミノ基または四級アンモニウ
ム基とポリマー鎖とを結合する連結基は、−CO−、−
NH−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、および
これらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが
好ましい。架橋ポリマーが、アミノ基または四級アンモ
ニウム基を有する繰り返し単位を含む場合、その割合
は、0.06〜32重量%であることが好ましく、0.
08〜30重量%であることがさらに好ましく、0.1
〜28重量%であることが最も好ましい。
【0057】架橋ポリマーは、該架橋ポリマーを生成す
るためのモノマーを配合して高屈折率層および中屈折率
層形成用の塗布液を調製し、塗布液の塗布と同時または
塗布後に、重合反応によって生成させることが好まし
い。架橋ポリマーの生成と共に、各層が形成される。ア
ニオン性基を有するモノマーは、塗布液中で無機微粒子
の分散剤として機能する。アニオン性基を有するモノマ
ーは、無機微粒子に対して、好ましくは1〜50重量
%、より好ましくは5〜40重量%、さらに好ましくは
10〜30重量%使用される。また、アミノ基または四
級アンモニウム基を有するモノマーは、塗布液中で分散
助剤として機能する。アミノ基または四級アンモニウム
基を有するモノマーは、アニオン性基を有するモノマー
に対して、好ましくは3〜33重量%使用される。塗布
液の塗布と同時または塗布後に、重合反応によって架橋
ポリマーを生成する方法により、塗布液の塗布前にこれ
らのモノマーを有効に機能させることができる。
【0058】2個以上のエチレン性不飽和基を有するモ
ノマーの例としては、多価アルコールと(メタ)アクリ
ル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレー
ト、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレー
ト)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、
ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、
ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、
ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、
1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポ
リウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリ
レート)、ビニルベンゼンおよびその誘導体(例、1,
4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アク
リロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキ
サノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、
アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)お
よびメタクリルアミド等が挙げられる。アニオン性基を
有するモノマー、およびアミノ基または四級アンモニウ
ム基を有するモノマーは市販のモノマーを用いてもよ
い。好ましく用いられる市販のアニオン性基を有するモ
ノマーとしては、KAYAMARPM-21 、PM-2(日本化薬
(株)製)、Antox MS-60、MS-2N、MS-NH4(日本乳化剤
(株)製)、アロニックス M-5000、M-6000、M-8000シ
リーズ(東亞合成化学工業(株)製)、ビスコート#200
0シリーズ(大阪有機化学工業(株)製)、ニューフロ
ンティアGX-8289(第一工業製薬(株)製)、NKエステ
ル CB-1、A-SA(新中村化学工業(株)製)、AR-100、M
R-100、MR-200(第八化学工業(株)製)などがあげら
れる。また、好ましく用いられる市販のアミノ基または
四級アンモニウム基を有するモノマーとしてはDMAA
(大阪有機化学工業(株)製)、DMAEA,DMAP
AA(興人(株)製)、ブレンマーQA(日本油脂
(株)製)、ニューフロンティアC−1615(第一工
業製薬(株)製)などがあげられる。
【0059】ポリマーの重合反応は、光重合反応または
熱重合反応を用いることができる。特に光重合反応が好
ましい。重合反応のため、重合開始剤を使用することが
好ましい。例えば、ハードコート層のバインダーポリマ
ーを形成するために用いられる前述した熱重合開始剤、
および光重合開始剤が挙げられる。
【0060】重合開始剤として市販の重合開始剤を使用
してもよい。重合開始剤に加えて、重合促進剤を使用し
てもよい。重合開始剤と重合促進剤の添加量は、モノマ
ーの全量の0.2〜10重量%の範囲であることが好ま
しい。塗布液(モノマーを含む無機微粒子の分散液)を
加熱して、モノマー(またはオリゴマー)の重合を促進
してもよい。また、塗布後の光重合反応の後に加熱し
て、形成されたポリマーの熱硬化反応を追加処理しても
よい。
【0061】中屈折率層および高屈折率層には、比較的
屈折率が高いポリマーを用いることが好ましい。屈折率
が高いポリマーの例としては、ポリスチレン、スチレン
共重合体、ポリカーボネート、メラミン樹脂、フェノー
ル樹脂、エポキシ樹脂および環状(脂環式または芳香
族)イソシアネートとポリオールとの反応で得られるポ
リウレタンが挙げられる。その他の環状(芳香族、複素
環式、脂環式)基を有するポリマーや、フッ素以外のハ
ロゲン原子を置換基として有するポリマーも、屈折率が
高く用いることができる。
【0062】被膜形成能を有する有機金属化合物から、
高屈折率層または中屈折率層を形成してもよい。有機金
属化合物は、適当な媒体に分散し得るか、あるいは液状
であることが好ましい。有機金属化合物の例としては、
金属アルコレート(例、チタンテトラエトキシド、チタ
ンテトラ−i−プロポキシド、チタンテトラ−n−プロ
ポキシド、チタンテトラ−n−ブトキシド、チタンテト
ラ−sec-ブトキシド、チタンテトラ−tert−ブ
トキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウム
トリ−I−プロポキシド、アルミニウムトリブトキシ
ド、アンチモントリエトキシド、アンチモントリブトキ
シド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテ
トラ−I−プロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−プ
ロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド、ジ
ルコニウムテトラ−sec-ブトキシド、ジルコニウムテト
ラ−tert−ブトキシド)、キレート化合物(例、ジ
−イソプロポキシチタニウムビスアセチルアセトネー
ト、ジ−ブトキシチタニウムビスアセチルアセトネー
ト、ジ−エトキシチタニウムビスアセチルアセトネー
ト、ビスアセチルアセトンジルコニウム、アルミニウム
アセチルアセトネート、アルミニウムジ−n−ブトキシ
ドモノエチルアセトアセテート、アルミニウムジ−I−
プロポキシドモノメチルアセトアセテート、トリ−n−
ブトキシドジルコニウムモノエチルアセトアセテー
ト)、有機酸塩(例、炭酸ジルコニールアンモニウム)
およびジルコニウム等が挙げられる。
【0063】<低屈折率層>低屈折率層としては、熱ま
たは電離放射線により架橋する含フッ素樹脂(以下、
「架橋前の含フッ素樹脂」ともいう)の架橋からなる低
屈折率層、ゾルゲル法による低屈折率層、および粒子と
バインダーポリマーを用い、粒子間または粒子内部に空
隙を有する低屈折率層等が用いられる。低屈折率層の屈
折率は、低ければ反射防止性能が良化するため好ましい
が、低屈折率層の強度付与の観点では困難となる。この
バランスから、低屈折率層の屈折率は1.30〜1.5
0であることが好ましく、1.35〜1.49であるこ
とがさらに好ましい。
【0064】架橋前の含フッ素樹脂として、含フッ素ビ
ニルモノマーと架橋性基付与のためのモノマーから形成
される含フッ素共重合体を好ましく挙げることができ
る。上記含フッ素ビニルモノマー単位の具体例として
は、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチ
レン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレ
ン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレ
ン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキ
ソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ
素化アルキルエステル誘導体類(例えはビスコート6F
M(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)
等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等があ
げられる。架橋性基付与のためのモノマーとしては、グ
リシジルメタクリレートや、ビニルトリメトキシシラ
ン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシ
ラン、ビニルグリシジルエーテル等のように分子内にあ
らかじめ架橋性官能基を有するビニルモノマーの他、カ
ルボキシル基やヒドロキシル基、アミノ基、スルホン酸
基等を有するビニルモノマー(例えば(メタ)アクリル
酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアル
キル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒド
ロキシアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルア
リルエーテル等)が挙げられる。後者は共重合の後、ポ
リマー中の官能基と反応する基ともう1つ以上の反応性
基をもつ化合物を加えることにより、架橋構造を導入で
きることが特開平10−25388号公報および特開平
10一147739号公報に記載されている。架橋性基
の例には、アクリロイル、メタクリロイル、イソシアナ
ート、エポキシ、アジリジン、オキサゾリン、アルデヒ
ド、カルボニル、ヒドラジン、カルボキシル、メチロー
ルおよび活性メチレン基等が上げられる。含フッ素共重
合体が、加熱により反応する架橋基、もしくは、エチレ
ン性不飽和基と熱ラジカル発生剤もしくはエポキシ基と
熱酸発生剤等の相み合わせにより、加熱により架橋する
場合、熱硬化型であり、エチレン性不飽和基と光ラジカ
ル発生剤もしくは、エポキシ基と光酸発生剤等の組み合
わせにより、光(好ましくは紫外線、電子ビーム等)の
照射により架橋する場合、電離放射線硬化型である。
【0065】また上記モノマー加えて、含フッ素ビニル
モノマーおよび架橋性基付与のためのモノマー以外のモ
ノマーを併用して形成された含フッ素共重合体を架橋前
の含フッ素樹脂として用いてもよい。併用可能なモノマ
ーには特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレ
ン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリ
デン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−
エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(メタクリ
ル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチ
ル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレ
ン誘導体(スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエ
ン、α−メチルスチレン等)、ビニルエーテル類(メチ
ルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリル
アミド類(N−tertブチルアクリルアミド、N−シ
クロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド
類、アクリロ二トリル誘導体等を挙げることができる。
また、含フッ素共重合体中に、滑り性、防汚性付与のた
め、ポリオルガノシロキサン骨格や、パーフルオロポリ
エーテル骨格を導入することも好ましい。これは、例え
ば末端にアクリル基、メタクリル基、ビニルエーテル
基、スチリル基等を持つポリオルガノシロキサンやパー
フルオロポリエーテルと上記のモノマーとの重合、末端
にラジカル発生基を持つポリオルガノシロキサンやパー
フルオロポリエーテルによる上記モノマーの重合、官能
基を持つポリオルガノシロキサンやパーフルオロポリエ
ーテルと、含フッ素共重合体との反応等によって得られ
る。
【0066】架橋前の含フッ素共重合体を形成するため
に用いられる上記各モノマーの使用割合は、含フッ素ビ
ニルモノマーが好ましくは20〜70モル%、より好ま
しくは40〜70モル%、架橋性基付与のためのモノマ
ーが好ましくは1〜20モル%、より好ましくは5〜2
0モル%、併用されるその他のモノマーが好ましくは1
0〜70モル%、より好ましくは10〜50モル%の割
合である。
【0067】含フッ素共重合体は、これらモノマーをラ
ジカル重合開始剤の存在下で、溶液重合、塊状重合、乳
化重合、懸濁重合法等の手段により重合することにより
得ることができる。
【0068】架橋前の含フッ素樹脂は、市販されており
使用することができる。市販されている架橋前の含フッ
素樹脂の例としては、サイトップ(旭硝子)、テフロン
AF(デュポン)、ポリフッ化ビニリデン、ルミフロン
(旭硝子)、オプスター(JSR)、等があげられる。
【0069】架橋した含フッ素樹脂を構成成分とする低
屈折率層は、動摩擦係数が0.03〜0.15の範囲、
水に対する接触角が90〜120度の範囲にあることが
好ましい。
【0070】架橋した含フッ素樹脂を構成成分とする低
屈折率層が無機粒子を含有することは、強度向上の点か
ら好ましい。低屈折率層に用いられる無機微粒子として
は、非晶質のものが好ましく用いられ、金属の酸化物、
窒化物、硫化物またはハロゲン化物からなることが好ま
しく、なかでも金属酸化物が特に好ましい。金属原子と
しては、Na、K、Mg、Ca、Ba、Al、Zn、F
e、Cu、Ti、Sn、In、W、Y、Sb、Mn、G
a、V、Nb、Ta、Ag、Si、B、Bi、Mo、C
e、Cd、Be、PbおよびNiが好ましく、Mg、C
a、BおよびSiがさらに好ましい。2種以上の金属を
含む無機微粒子を用いてもよい。特に好ましい無機微粒
子は、二酸化ケイ素微粒子、すなわちシリカ微粒子であ
る。無機微粒子の平均粒径は0.001〜0.2μmで
あることが好ましく、0.005〜0.05μmである
ことがより好ましい。微粒子の粒径はなるべく均一(単
分散)であることが好ましい。該無機微粒子の粒径は大
きすぎると光が散乱し、フィルムが不透明になり、小さ
すぎるものは凝集しやすく合成および取り扱いが困難で
ある。
【0071】無機微粒子の配合量は、低屈折率層の全重
量の5〜90重量%であることが好ましく、さらに好ま
しくは10〜70重量%であり、特に好ましくは10〜
50重量%である。無機微粒子は、表面処理を施して用
いることも好ましい。表面処理法としてはプラズマ放電
処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理とカップ
リング剤を使用する化学的表面処理があるが、カップリ
ング剤の使用が好ましい。カップリング剤としては、オ
ルガノアルコキシ金属化合物(例、チタンカップリング
剤、シランカップリング剤等)が好ましく用いられる。
無機微粒子がシリカの場合はシランカップリング剤によ
る処理が特に有効である。
【0072】また、低屈折率層用の素材として、各種ゾ
ルゲル素材を用いることもできる。このようなゾルゲル
素材としては、金属アルコレート(シラン、チタン、ア
ルミニウム、ジルコニウム等のアルコレート)、オルガ
ノアルコキシ金属化合物、およびその加水分解物を用い
ることができる。特に、アルコキシシラン、オルガノア
ルコキシシランおよびその加水分解物が好ましい。これ
らの例としては、テトラアルコキシシラン(テトラメト
キシシラン、テトラエトキシシラン等)、アルキルトリ
アルコキシシラン(メチルトリメトキシシラン、エチル
トリメトキシシラン等)、アリールトリアルコキシシラ
ン(フェニルトリメトキシシラン等)、ジアルキルジア
ルコキシシラン、ジアリールジアルコキシシラン等が挙
げられる。また、各種の官能基を有するオルガノアルコ
キシシラン(ビニルトリアルコキシシラン、メチルビニ
ルジアルコキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピル
トリアルコキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピル
メチルジアルコキシシラン、β−(3,4−エポキジシ
クロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン、γ−メタ
クリロイルオキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−
アミノプロピルトリアルコキシシラン、γ−メルカプト
プロピルトリアルコキシシラン、γ−クロロプロピルト
リアルコキシシラン等)、パーフルオロアルキル基含有
シラン化合物(例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,
2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン、3,3,
3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等)を用
いることも好ましい。特にフッ素含有のシラン化合物を
用いることは、層の低屈折率化および撥水・撥油性付与
の点で好ましい。
【0073】低屈折率層として、無機もしくは有機の微
粒子を用い、微粒子間または微粒子内のミクロボイドと
して形成した層を用いることも好ましい。微粒子の平均
粒径は、0.5〜200mmであることが好ましく、1
〜100nmであることがより好ましく、3〜70nm
であることがさらに好ましく、5〜40nmの範囲であ
ることが最も好ましい。微粒子の粒径は、なるべく均一
(単分散)であることが好ましい。
【0074】無機微粒子としては、非晶質であることが
好ましい。無機微粒子は、金属の酸化物、窒化物、硫化
物またはハロゲン化物からなることが好ましく、金属酸
化物または金属ハロゲン化物からなることがさらに好ま
しく、金属酸化物または金属フッ化物からなることが最
も好ましい。金属原子としては、Na、K、Mg、C
a、Ba、Al、Zn、Fe、Cu、Ti、Sn、I
n、W、Y、Sb、Mn、Ga、V、Nb、Ta、A
g、Si、B、Bi、Mo、Ce、Cd、Be、Pbお
よびNiが好ましく、Mg、Ca、BおよびSiがさら
に好ましい。二種類の金属を含む無機化合物を用いても
よい。特に好ましい無機化合物は、二酸化ケイ素、すな
わちシリカである。
【0075】無機微粒子内ミクロボイドは、例えば、粒
子を形成するシリカの分子を架橋させることにより形成
することができる。シリカの分子を架橋させると体積が
縮小し、粒子が多孔質になる。ミクロボイドを有する
(多孔質)無機微粒子は、ゾル−ゲル法(特開昭53−
112732号、特公昭57−9051号の各公報記
載)または析出法(APPLIED OPTICS、27、3356頁(198
8)記載)により、分散物として直接合成することがで
きる。また、乾燥・沈澱法で得られた粉体を、機械的に
粉砕して分散物を得ることもできる。市販の多孔質無機
微粒子(例えば、二酸化ケイ素ゾル)を用いてもよい。
ミクロボイドを有する無機微粒子は、低屈折率層の形成
のため、適当な媒体に分散した状態で使用することが好
ましい。分散媒としては、水、アルコール(例、メタノ
ール、エタノール、イソプロピルアルコール)およびケ
トン(例、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン)が好ましい。
【0076】有機微粒子も、非晶質であることが好まし
い。有機微粒子は、モノマーの重合反応(例えば乳化重
合法)により合成されるポリマー微粒子であることが好
ましい。有機微粒子のポリマーはフッ素原子を含むこと
が好ましい。ポリマー中のフッ素原子の割合は、35〜
80重量%であることが好ましく、45〜75重量%で
あることがさらに好ましい。また、有機微粒子内に、例
えば、粒子を形成するポリマーを架橋させ、体積を縮小
させることによりミクロボイドを形成させることも好ま
しい。粒子を形成するポリマーを架橋させるためには、
ポリマーを合成するためのモノマーの20モル%以上を
多官能モノマーとすることが好ましい。多官能モノマー
の割合は、30〜80モル%であることがさらに好まし
く、35〜50モル%であることが最も好ましい。上記
有機微粒子の合成に用いられるモノマーとしては、含フ
ッ素ポリマーを合成するために用いるフッ素原子を含む
モノマーの例として、フルオロオレフィン類(例、フル
オロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオ
ロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ
−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、アクリ
ル酸またはメタクリル酸のフッ素化アルキルエステル類
およびフッ素化ビニルエーテル類が挙げられる。フッ素
原子を含むモノマーとフッ素原子を含まないモノマーと
のコポリマーを用いてもよい。フッ素原子を含まないモ
ノマーの例としては、オレフィン類(例、エチレン、プ
ロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデ
ン)、アクリル酸エステル類(例、アクリル酸メチル、
アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、
メタクリル酸エステル類(例、メタクリル酸メチル、メ
タクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル)、スチレン類
(例、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレ
ン)、ビニルエーテル類(例、メチルビニルエーテ
ル)、ビニルエステル類(例、酢酸ビニル、プロピオン
酸ビニル)、アクリルアミド類(例、N−tert−ブチル
アクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミ
ド)、メタクリルアミド類およびアクリルニトリル類が
挙げられる。多官能モノマーの例としては、ジエン類
(例、ブタジエン、ペンタジエン)、多価アルコールと
アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジア
クリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)、多価ア
ルコールとメタクリル酸とのエステル(例、エチレング
リコールジメタクリレート、1,2,4−シクロヘキサ
ンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラ
メタクリレート)、ジビニル化合物(例、ジビニルシク
ロヘキサン、1,4−ジビニルベンゼン)、ジビニルス
ルホン、ビスアクリルアミド類(例、メチレンビスアク
リルアミド)およびビスメタクリルアミド類が挙げられ
る。
【0077】粒子間のミクロボイドは、微粒子を少なく
とも2個以上積み重ねることにより形成することができ
る。なお、粒径が等しい(完全な単分散の)球状微粒子
を最密充填すると、26体積%の空隙率の微粒子間ミク
ロボイドが形成される。粒径が等しい球状微粒子を単純
立方充填すると、48体積%の空隙率の微粒子間ミクロ
ボイドが形成される。実際の低屈折率層では、微粒子の
粒径の分布や粒子内ミクロボイドが存在するため、空隙
率は上記の理論値からかなり変動する。空隙率を増加さ
せると、低屈折率層の屈折率が低下する。微粒子を積み
重ねてミクロボイドを形成と、微粒子の粒径を調整する
ことで、粒子間ミクロボイドの大きさも適度の(光を散
乱せず、低屈折率層の強度に問題が生じない)値に容易
に調節できる。さらに、微粒子の粒径を均一にすること
で、粒子間ミクロボイドの大きさも均一である光学的に
均一な低屈折率層を得ることができる。これにより、低
屈折率層は微視的にはミクロボイド含有多孔質膜である
が、光学的あるいは巨視的には均一な膜にすることがで
きる。粒子間ミクロボイドは、微粒子およびポリマーに
よって低屈折率層内で閉じていることが好ましい。閉じ
ている空隙には、低屈折率層表面に開かれた開口と比較
して、低屈折率層表面での光の散乱が少ないとの利点も
ある。
【0078】ミクロボイドを形成することにより、低屈
折率層の巨視的屈折率は、低屈折率層を構成する成分の
屈折率の和よりも低い値になる。層の屈折率は、層の構
成要素の体積当りの屈折率の和になる。微粒子やポリマ
ーのような低屈折率層の構成成分の屈折率は1よりも大
きな値であるのに対して、空気の屈折率は1.00であ
る。そのため、ミクロボイドを形成することによって、
屈折率が非常に低い低屈折率層を得ることができる。
【0079】低屈折率層は、5〜50重量%の量のポリ
マーを含むことが好ましい。ポリマーは、微粒子を接着
し、空隙を含む低屈折率層の構造を維持する機能を有す
る。ポリマーの使用量は、空隙を充填することなく低屈
折率層の強度を維持できるように調整する。ポリマーの
量は、低屈折率層の全量の10〜30重量%であること
が好ましい。ポリマーで微粒子を接着するためには、
(1)微粒子の表面処理剤にポリマーを結合させるか、
(2)微粒子をコアとして、その周囲にポリマーシェル
を形成するか、あるいは(3)微粒子間のバインダーと
して、ポリマーを使用する、ことが好ましい。(1)の
表面処理剤に結合させるポリマーは、(2)のシェルポ
リマーまたは(3)のバインダーポリマーであることが
好ましい。(2)のポリマーは、低屈折率層の塗布液の
調製前に、微粒子の周囲に重合反応により形成すること
が好ましい。(3)のポリマーは、低屈折率層の塗布液
にモノマーを添加し、低屈折率層の塗布と同時または塗
布後に、重合反応により形成することが好ましい。上記
(1)〜(3)のうちの二つまたはすべてを組み合わせ
て実施することが好ましく、(1)と(3)の組み合わ
せ、または(1)〜(3)すべてを組み合わせで実施す
ることが特に好ましい。(1)表面処理、(2)シェル
および(3)バインダーについて、順次説明する。
【0080】(1)表面処理 微粒子(特に無機微粒子)には、表面処理を実施して、
ポリマーとの親和性を改善することが好ましい。表面処
理は、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理
的表面処理と、カップリング剤を使用する化学的表面処
理に分類できる。化学的表面処理のみ、または物理的表
面処理と化学的表面処理の組み合わせで実施することが
好ましい。カップリング剤としては、オルガノアルコキ
シメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカ
ップリング剤)が好ましく用いられる。微粒子が二酸化
ケイ素からなる場合は、シランカップリング剤による表
面処理が特に有効に実施できる。具体的なシランカップ
リング剤の例としては、メチルトリメトキシシラン、メ
チルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシ
シラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブト
キシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエ
トキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリ
エトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニル
トリメトキシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシ
ラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセ
トキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロ
ロプロピルトリアセトキシシラン、3,3,3−トリフ
ルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオ
キシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキ
シプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシジル
オキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、β−
(3,4−エポシシシクロヘキシル)エチルトリメトキ
シシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エ
チルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメ
トキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−
メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−β−(ア
ミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン
およびβ−シアノエチルトリエトキシシランが挙げられ
る。
【0081】また、ケイ素に対して2置換のアルキル基
を持つシランカップリング剤の例として、ジメチルジメ
トキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメ
チルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラ
ン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシ
ラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシ
シラン、γ−グリシジルオキシプロピルフェニルジエト
キシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラ
ン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−アクリロイルオ
キシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイ
ルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタク
リロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−
メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、
γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−
アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプ
ロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキ
シシランおよびメチルビニルジエトキシシランが挙げら
れる。
【0082】これらのうち、分子内に二重結合を有する
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラ
ン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシ
エトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリ
メトキシシランおよびγ−メタクリロイルオキシプロピ
ルトリメトキシシラン、ケイ素に対して2置換のアルキ
ル基を持つものとしてγ−アクリロイルオキシプロピル
メチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロ
ピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキ
シプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイ
ルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニ
ルジメトキシシランおよびメチルビニルジエトキシシラ
ンが好ましく、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメ
トキシシランおよびγ−メタクリロイルオキシプロピル
トリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピル
メチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロ
ピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキ
シプロピルメチルジメトキシシランおよびγ−メタクリ
ロイルオキシプロピルメチルジエトキシシランが特に好
ましい。
【0083】二種類以上のカップリング剤を併用しても
よい。上記に示されるシランカップリング剤に加えて、
他のシランカップリングを用いてもよい。他のシランカ
ップリング剤には、オルトケイ酸のアルキルエステル
(例、オルトケイ酸メチル、オルトケイ酸エチル、オル
トケイ酸n−プロピル、オルトケイ酸i−プロピル、オ
ルトケイ酸n−ブチル、オルトケイ酸sec-ブチル、オル
トケイ酸t−ブチル)およびその加水分解物が挙げられ
る。カップリング剤による表面処理は、微粒子の分散物
に、カップリング剤を加え、室温から60℃までの温度
で、数時間から10日間分散物を放置することにより実
施できる。表面処理反応を促進するため、無機酸(例、
硫酸、塩酸、硝酸、クロム酸、次亜塩素酸、ホウ酸、オ
ルトケイ酸、リン酸、炭酸)、有機酸(例、酢酸、ポリ
アクリル酸、ベンゼンスルホン酸、フェノール、ポリグ
ルタミン酸)、またはこれらの塩(例、金属塩、アンモ
ニウム塩)を、分散物に添加してもよい。
【0084】(2)シェル シェルを形成するポリマーは、飽和炭化水素を主鎖とし
て有するポリマーであることが好ましい。フッ素原子を
主鎖または側鎖に含むポリマーが好ましく、フッ素原子
を側鎖に含むポリマーがさらに好ましい。ポリアクリル
酸エステルまたはポリメタクリル酸エステルが好まし
く、フッ素置換アルコールとポリアクリル酸またはポリ
メタクリル酸とのエステルが最も好ましい。シェルポリ
マーの屈折率は、ポリマー中のフッ素原子の含有量の増
加に伴い低下する。低屈折率層の屈折率を低下させるた
め、シェルポリマーは35〜80重量%のフッ素原子を
含むことが好ましく、45〜75重量%のフッ素原子を
含むことがさらに好ましい。フッ素原子を含むポリマー
は、フッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーの重合
反応により合成することが好ましい。フッ素原子を含む
エチレン性不飽和モノマーの例としては、フルオロオレ
フィン(例、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライ
ド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレ
ン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキ
ソール)、フッ素化ビニルエーテルおよびフッ素置換ア
ルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのエステル
が挙げられる。
【0085】シェルを形成するポリマーは、フッ素原子
を含む繰り返し単位とフッ素原子を含まない繰り返し単
位からなるコポリマーであってもよい。フッ素原子を含
まない繰り返し単位は、フッ素原子を含まないエチレン
性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好まし
い。フッ素原子を含まないエチレン性不飽和モノマーの
例としては、オレフィン(例、エチレン、プロピレン、
イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン)、アクリル
酸エステル(例、アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エ
ステル(例、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタク
リレート)、スチレンおよびその誘導体(例、スチレ
ン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルス
チレン)、ビニルエーテル(例、メチルビニルエーテ
ル)、ビニルエステル(例、酢酸ビニル、プロピオン酸
ビニル、桂皮酸ビニル)、アクリルアミド(例、N−te
rtブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリル
アミド)、メタクリルアミドおよびアクリロニトリルが
挙げられる。
【0086】後述する(3)のバインダーポリマーを併
用する場合は、シェルポリマーに架橋性官能基を導入し
て、シェルポリマーとバインダーポリマーとを架橋によ
り化学的に結合させてもよい。シェルポリマーは、結晶
性を有していてもよい。シェルポリマーのガラス転移温
度(Tg)が低屈折率層の形成時の温度よりも高いと、
低屈折率層内のミクロボイドの維持が容易である。ただ
し、Tgが低屈折率層の形成時の温度よりも高いと、微
粒子が融着せず、低屈折率層が連続層として形成されな
い(その結果、強度が低下する)場合がある。その場合
は、後述する(3)のバインダーポリマーを併用し、バ
インダーポリマーにより低屈折率層を連続層として形成
することが望ましい。微粒子の周囲にポリマーシェルを
形成して、コアシェル微粒子が得られる。コアシェル微
粒子中に無機微粒子からなるコアが5〜90体積%含ま
れていることが好ましく、15〜80体積%含まれてい
ることがさらに好ましい。二種類以上のコアシェル微粒
子を併用してもよい。また、シェルのない無機微粒子と
コアシェル粒子とを併用してもよい。
【0087】(3)バインダー バインダーポリマーは、飽和炭化水素またはポリエーテ
ルを主鎖として有するポリマーであることが好ましく、
飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることが
さらに好ましい。バインダーポリマーは架橋しているこ
とが好ましい。飽和炭化水素を主鎖として有するポリマ
ーは、エチレン性不飽和モノマーの重合反応により得る
ことが好ましい。架橋しているバインダーポリマーを得
るためには、二以上のエチレン性不飽和基を有するモノ
マーを用いることが好ましい。二以上のエチレン性不飽
和基を有するモノマーの例としては、多価アルコールと
(メタ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジクロヘキサン
ジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)
アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)ア
クリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アク
リレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレ
ート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレ
ート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレ
ート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレー
ト、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレー
ト、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリ
アクリレート)、ビニルベンゼンおよびその誘導体
(例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸
−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニル
シクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルス
ルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリル
アミド)およびメタクリルアミドが挙げられる。ポリエ
ーテルを主鎖として有するポリマーは、多官能エポシキ
化合物の開環重合反応により合成することが好ましい。
【0088】二以上のエチレン性不飽和基を有するモノ
マーの代わりまたはそれに加えて、架橋性基の反応によ
り、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。
架橋性官能基の例としては、イソシアナート基、エポキ
シ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、
カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロ
ール基および活性メチレン基が挙げられる。ビニルスル
ホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミ
ン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン
も、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用でき
る。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結
果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。また、本
発明において架橋基とは、上記化合物に限らず上記官能
基が分解した結果反応性を示すものであってもよい。バ
インダーポリマーの重合反応および架橋反応に使用する
重合開始剤は、熱重合開始剤や、光重合開始剤が用いら
れるが、光重合開始剤の方がより好ましい。光重合開始
剤の例としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベ
ンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、
アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過
酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスル
フィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スル
ホニウム類がある。アセトフェノン類の例としては、
2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセ
トフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メ
チル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェ
ノンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−
(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンが挙げられ
る。ベンゾイン類の例としては、ベンゾインメチルエー
テル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソ
プロピルエーテルが挙げられる。ベンゾフェノン類の例
としては、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフ
ェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−ク
ロロベンゾフェノンが挙げられる。ホスフィンオキシド
類の例としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジ
フェニルフォスフィンオキシドが挙げられる。
【0089】バインダーポリマーは、低屈折率層の塗布
液にモノマーを添加し、低屈折率層の塗布と同時または
塗布後に重合反応(必要ならばさらに架橋反応)により
形成することが好ましい。低屈折率層の塗布液に、少量
のポリマー(例、ポリビニルアルコール、ポリオキシエ
チレン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリ
レート、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロー
ス、ニトロセルロース、ポリエステル、アルキド樹脂)
を添加してもよい。
【0090】<反射防止フィルム>反射防止フィルムの
各層またはその塗布液には、前述した成分(無機微粒
子、ポリマー、分散媒体、重合開始剤、重合促進剤)以
外に、重合禁止剤、レベリング剤、増粘剤、着色防止
剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、帯電防止剤
や接着付与剤を添加してもよい。反射防止フィルムの各
層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カー
テンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート
法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法
(米国特許2681294号明細書)により、塗布によ
り形成することができる。二以上の層を同時に塗布して
もよい。同時塗布の方法については、米国特許2761
791号、同2941898号、同3508947号、
同3526528号の各明細書および原崎勇次著、コー
ティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載
がある。
【0091】本発明の反射防止フィルムにおいては、高
屈折率層と低屈折率層を塗布により積層するので、前記
したようにゴミ、ほこり等の異物が存在したとき、輝点
欠陥が目立ちやすい。本発明における輝点欠陥とは、目
視により、塗膜上の反射で見える欠陥のことで、塗布後
の反射防止フィルムの裏面を黒塗りする等の操作により
目視で検出できる。目視により見える輝点欠陥は、一般
的に50μm以上である(以下このような輝点欠陥を単
に「輝点欠陥」という)。輝点欠陥が多いと製造時の得
率が低下し、大面積の反射防止フィルムを製造すること
ができない。
【0092】本発明の反射防止フィルムは、輝点欠陥の
数が1平方メートル当たり20個以下、好ましくは10
個以下、さらに好ましくは5個以下、特に好ましくは1
個以下とする。また、本発明では、高屈折率層と低屈折
率層の屈折率を調整して本発明の反射防止フィルムの平
均反射率を、好ましくは1.8%以下、より好ましくは
1.5%以下、特に好ましくは0.8%以下とし、輝点
欠陥の数を上記した範囲とすることが好ましい。ここ
で、平均反射率は、波長450nmから650nmにお
ける鏡面での平均反射率である。なお、平均反射率0.
8%以下のフィルムは、無反射フィルムと呼ばれる。
【0093】さらに、上記のように高屈折率層と低屈折
率層の積層により反射防止性を付与すると共に、ヘイズ
値を比較的低く保ち、フィルムを透過する画像の鮮明性
を悪化させないようにすることが好ましい。ヘイズ値と
しては、3〜20%の範囲が好ましく、より好ましくは
5〜15%の範囲である。
【0094】本発明の反射防止フィルムを連続的に製造
するために、ロール状の支持体フィルムを連続的に送り
出す工程、塗布液を塗布・乾燥する工程、塗膜を硬化す
る工程、硬化した層を有する支持体フィルムを巻き取る
工程が行われる。このような工程の一例を図2に示し
た。
【0095】図2において、ロール状のフィルム支持体
11からフィルム支持体がクリーン室15に連続的に送
り出され、クリーン室15内で、フィルム支持体に帯電
している静電気を静電除電装置12により除電し、引き
続きフィルム支持体上に付着している異物を、除塵装置
13により除去する。引き続きクリーン室15内に設置
されている塗布部14で塗布液がフィルム支持体上に塗
布され、塗布されたフィルム支持体は乾燥室16に送ら
れて乾燥される。乾燥した塗布層を有するフィルム支持
体は乾燥室16から放射線硬化室17へ送り出され、放
射線が照射されて塗布層に含有されるモノマーが重合し
て硬化する。さらに、放射線により硬化した層を有する
フィルム支持体は熱硬化部18へ送られ、加熱されて硬
化を完結させ、硬化が完結した層を有するフィルム支持
体19は巻き取られてロール状となる。
【0096】上記工程は、各層の形成毎に行ってもよい
し、塗布部−乾燥室−放射線硬化部−熱硬化室を複数設
けて、各層の形成を連続的に行うことも可能である。
【0097】本発明における、輝点欠陥の少ない反射防
止フィルムを作成するためには、上記の塗布部14にお
ける塗布工程および乾燥室16で行われる乾燥工程が高
い清浄度の空気雰囲気下で行われ、かつ塗布が行われる
前に、フィルム支持体上のゴミ、ほこりが充分に除かれ
ていることが好ましい。塗布工程および乾燥工程の空気
清浄度は、米国連邦規格209Eにおける空気清浄度の
規格に基づき、クラス10(0.5μm以上の粒子が3
53個/(立方メートル)以下)以上であることが望ま
しく、更に好ましくはクラス1(0.5μm以上の粒子
が35.5個/(立方メートル)以下)以上であること
が望ましい。また、空気清浄度は、塗布−乾燥工程以外
の送り出し、巻き取り部等においても高いことがより好
ましい。
【0098】塗布が行われる前工程としての除塵工程に
用いられる除塵方法として、特開昭59−150571
号公報に記載のフィルム表面に不織布や、ブレード等を
押しつける方法、特開平10−309553号公報に記
載の清浄度の高い空気を高速で吹き付けて付着物をフィ
ルム表面から剥離させ、近接した吸い込み口で吸引する
方法、特開平7−333613号公報に記載される超音
波振動する圧縮空気を吹き付けて付着物を剥離させ、吸
引する方法(伸興社製、ニューウルトラクリーナー等)
等の乾式除塵法が挙げられる。また、洗浄槽中にフィル
ムを導入し、超音波振動子により付着物を剥離させる方
法、特公昭49−13020号公報に記載されているフ
ィルムに洗浄液を供給したあと、高速空気の吹き付け、
吸い込みを行なう方法、特願平11−215807号に
記載のように、ウェブを液体でぬらしたロールで連続的
に擦った後、擦った面に液体を噴射して洗浄する方法等
の湿式除塵法を用いることができる。このような除塵方
法の内、超音波除塵による方法もしくは湿式除塵による
方法が、除塵効果の点で特に好ましい。
【0099】また、このような除塵工程を行う前に、フ
ィルム支持体上の静電気を除電しておくことは、除塵効
率を上げ、ゴミの付着を抑える点で特に好ましい。この
ような除電方法としては、コロナ放電式のイオナイザ、
UV、軟X線等の光照射式のイオナイザ等を用いること
ができる。除塵、塗布前後のフィルム支持体の帯電圧
は、1000V以下が望ましく、好ましくは300V以
下、特に好ましくは、100V以下である。
【0100】また、塗布に用いる塗布液は、塗布直前に
ろ過することが好ましい。ろ過のフィルターは、塗布液
中の成分が除去されない範囲でできるだけ孔径の小さい
ものを使うことが好ましい。
【0101】本発明の反射防止フィルムは、液晶表示装
置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PD
P)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(EL
D)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置
に適用することができる。CRT、PDP、ELD等で
は透明支持体を有する反射防止フィルムは、粘着剤を介
して透明支持体側を画像表示装置の画像表示面に直接、
もしくは他の機能性フィルム等を介して接着することが
好ましい。また、LCDの場合は反射防止フィルムの透
明支持体側を粘着剤層を介して、偏光板の保護膜、もし
くは偏光板に直接接着するか、反射防止フィルムの透明
支持体側を直接偏光板に接着し、反射防止面を画像表示
面の最外層に設ける様に配置することが好ましい。
【0102】
【実施例】本発明を詳細に説明するために、以下に実施
例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるも
のではない。
【0103】〔実施例1〜3、比較例1〜3〕 (ハードコート層用塗布液Aの調製)JSR社製ハード
コート素材デソライトZ7503のMEK溶液(固形分
濃度72%、シリカ含量38%)625gを、375g
のメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=50/50
重量%の混合溶媒に溶解した。混合物を撹拌した後、孔
径0.4μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して
ハードコート層の塗布液を調製した。
【0104】(二酸化チタン分散物の調製)二酸化チタ
ン(一次粒子重量平均粒径:50nm、屈折率:2.7
0)30重量部、アニオン性ジアクリレートモノマー
(PM21、日本化薬(株)製)4.5重量部、カチオ
ン性メタクリレートモノマー(DMAEA、興人(株)
製)0.3重量部およびメチルエチルケトン65.2重
量部を、サンドグラインダーにより分散し、二酸化チタ
ン分散物を調製した。
【0105】(中屈折率層用塗布液の調製)シクロヘキ
サノン151.9gおよびメチルエチルケトン37.0
gに、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギ
ー社製)0.14gおよび光増感剤(カヤキュアーDE
TX、日本化薬(株)製)0.04gを溶解した。さら
に、上記の二酸化チタン分散物6.1gおよびジペンタ
エリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリ
トールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化
薬(株)製)2.4gを加え、室温で30分間攪拌した
後、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターでろ
過して、中屈折率層用塗布液を調製した。
【0106】(高屈折率層用塗布液の調製)シクロヘキ
サノン1152.8gおよびメチルエチルケトン37.
2gに、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイ
ギー社製)0.06gおよび光増感剤(カヤキュアーD
ETX、日本化薬(株)製)0.02gを溶解した。さ
らに、上記の二酸化チタン分散物およびジペンタエリス
リトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトール
ヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬
(株)製)を、表1に示した高屈折率層の屈折率になる
よう調節して加え、室温で30分間攪拌した後、孔径
0.4μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、
高屈折率層用塗布液を調製した。
【0107】(低屈折率層用塗布液Aの調製)平均粒径
15nmのシリカ微粒子のメタノール分散液(メタノー
ルシリカゾル、日産化学(株)製)200gにシランカ
ップリング剤(KBM−503、信越シリコーン(株)
製)3gおよび0.1N塩酸2gを加え、室温で5時間
撹拌した後、3日間室温で放置して、シランカップリン
グ処理したシリカ微粒子の分散物を調製した。分散物3
5.04gに、イソプロピルアルコール58.35gお
よびジアセトンアルコール39.34gを加えた。ま
た、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー
社製)1.02gおよび光増感剤(カヤキュアーDET
X、日本化薬(株)製)0.51gを772.85gの
イソプロピルアルコールに溶解した溶液を加え、さら
に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペ
ンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DP
HA、日本化薬(株)製)25.6gを加えて溶解し
た。得られた溶液67.23gを、上記分散液、イソプ
ロピルアルコールおよびジアセトンアルコールの混合液
に添加した。混合物を20分間室温で撹拌し、孔径0.
4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して、低屈
折率層用塗布液A−1を調製した。この塗布液を塗布、
乾燥し紫外線硬化後の屈折率を測定したところ、屈折率
は1.40であった。また、上記において、シリカ分散
物とDPHA添加量を調節することにより、それぞれ屈
折率1.42となる塗布液A−2、屈折率1.45とな
る塗布液A−3を調製した。
【0108】(低屈折率層用塗布液Bの調製)屈折率
1.40の熱架橋性含フッ素ポリマー(JN−722
3、固形分濃度6重量%、JSR(株)製)210gに
シリカゾル(MIBK−ST、平均粒径10〜20n
m、固形分濃度30重量%、日産化学製)15.2gお
よびメチルイソブチルケトン174gを添加、攪拌の
後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過し
て、低屈折率層用塗布液を調製した。
【0109】(反射防止フィルムの作成) <実施例1−A〜実施例1−E>80μmの厚さのトリ
アセチルセルロースフイルム(TAC−TD80U、富
士写真フイルム(株)製、屈折率1.49)に、上記の
ハードコート層用塗布液をバーコーターを用いて塗布
し、90℃で乾燥の後、紫外線を照射して塗布層を硬化
させ、厚さ6μmのハードコート層(屈折率1.49)
を形成した。その上に、上記中屈折率層用塗布液をバー
コーターを用いて塗布し、60℃で乾燥の後、紫外線を
照射して塗布層を硬化させ、中屈折率層(屈折率1.7
2)を形成した。その上に、上記高屈折率層用塗布液を
バーコーターを用いて塗布し、60℃で乾燥の後、紫外
線を照射して塗布層を硬化させ、表1に示した屈折率の
高屈折率層を形成した。なお、実施例1−A〜1−C、
比較例3については、中屈折率層は設けず、ハードコー
ト層上に直接高屈折率層を設けた。その上に、表1に示
されるように上記低屈折率層用塗布液A−1〜A−3お
よびBのいずれかをバーコーターを用いて塗布し、 塗
布液A−1〜A−3については60℃で乾燥の後、紫外
線を照射して塗布層を硬化して、Bについては、120
℃で10分乾燥・硬化することにより表1に示した低屈
折率層を形成した。
【0110】上記において、塗布、乾燥工程は0.5μ
m以上の粒子として30個/(立方メートル)以下の空
気清浄度の空気雰囲気下で行われ、塗布直前に特開平1
0−309553号に記載の清浄度の高い空気を高速で
吹き付けて付着物をフィルム表面から剥離させ、近接し
た吸い込み口で吸引する方法で除塵を行いながら塗布を
行った。除塵前のベースの帯電圧は、200V以下であ
った。上記の塗布は1層毎に、送り出し−除塵−塗布−
乾燥−(UVまたは熱)硬化−巻き取りの各工程で行っ
た。
【0111】<実施例2>実施例1−Dにおいて、除塵
装置を超音波除塵機(伸興社製、ニューウルトラクリー
ナー)を用いた以外は同様にして反射防止フィルムを作
成した。
【0112】<実施例3>実施例1−Dにおいて、除塵
をウェブを液体でぬらしたローラーで連続的に擦った
後、擦った面に液体を噴射して洗浄する方法(特願平1
1−215807に記載)で行った以外は同様にして反
射防止フィルムを作成した。
【0113】<比較例1>実施例1−Dにおいて、塗布
前の除塵を実施しない以外は同様にして、反射防止フィ
ルムを作成した。
【0114】<比較例2>実施例1−Dにおいて、塗布
乾燥ゾーンの空気清浄度が0.5μm以上の粒子として
10000個/(立方メートル)である以外は同様にし
て、反射防止フィルムを作成した。
【0115】<比較例3>実施例1−Aにおいて、高屈
折率層中から、二酸化チタン粒子を除いた以外は同様に
して、反射防止フィルムを作成した。
【0116】(反射防止フィルムの評価)得られたフィ
ルムについて、以下の項目の評価を行った。 (1)平均反射率 分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜7
80nmの波長領域において、入射角5度における分光
反射率を測定した。結果には450〜650nmの平均
反射率を用いた。 (2)各層の屈折率 各層の屈折率は反射率の測定結果より、屈折率をフィッ
ティングにより計算して求めた。 (3)輝点欠陥 全層塗布した後のフィルムの裏面をマジックインキ等で
黒塗りした後、塗膜上にある輝点欠陥の数を目視で判定
した。目視で見える輝点欠陥のサイズは、50μm以上
である。輝点欠陥は、1平方メートルあたりの個数でカ
ウントした。 (4)ヘイズ 得られたフィルムのヘイズをヘイズメーターMODEL
1001DP(日本電色工業(株)製)を用いて測定
した。
【0117】(5)鉛筆硬度評価 耐傷性の指標としてJIS K 5400に記載の鉛筆
硬度評価を行った。反射防止フィルムを温度25℃、湿
度60%RHで2時間調湿した後、JIS S6006
に規定する3Hの試験用鉛筆を用いて、1kgの荷重に
て n=5の評価において傷が全く認められない :○ n=5の評価において傷が1または2つ :△ n=5の評価において傷が3つ以上 :× (6)防眩性評価 作成した防眩性フィルムにルーバーなしのむき出し蛍光
灯(8000cd/m 2)を映し、その反射像のボケの
程度を以下の基準で評価した。 蛍光灯の輪郭が全くわからない :◎ 蛍光灯の輪郭がわずかにわかる :○ 蛍光灯はぼけているが、輪郭は識別できる :△ 蛍光灯がほとんどぼけない :× (7)ギラツキ評価 作成した防眩性フィルムにルーバーありの蛍光灯拡散光
を映し、表面のギラツキを以下の基準で評価した。 ほとんどギラツキが見られない :○ わずかにギラツキがある :△ 目で識別できるサイズのギラツキがある :×
【0118】表1に本発明の実施例および比較例の結果
を示す。実施例1-A〜1−Eの反射防止フィルムは、
いずれも反射率が低く、輝点欠陥も少ない。このうち、
特に反射率の低い実施例1−C〜1−Eは、画像表示装
置上での映り込みが特に少なく好ましいが、若干輝点欠
陥の数が増える傾向にある。除塵方法を変えた実施例
2,3の反射防止フィルムは、反射率の低い場合でも、
輝点欠陥の数がさらに少ない。これは、除塵方法として
超音波除塵あるいは湿式除塵を採用すると、製造時の得
率が向上すること、および大面積の反射防止フィルムの
作成に有効であることを示すものである。これに対し、
比較例1は除塵をせず、比較例2は塗布乾燥時の空気清
浄度が悪いため、輝点欠陥が極端に悪い。また、比較例
3は高屈折率層の屈折率が低いため(支持体であるトリ
アセチルセルロースの屈折率は1.49であり、高屈折
率層の屈折率は1.53であるので、その差は0.4と
本発明で特定されている差より小さい)、反射率が高
く、画像表示装置上での映り込みも悪かった。
【0119】
【表1】
【0120】上記の実施例2,3の反射防止フィルム
を、偏光板の保護フィルム上に貼り付けてLCDパネル
の表面に設けたところ、輝点欠陥がなく画面への映り込
みも少なかった。
【0121】〔実施例4〜5、比較例4〕以下の例にお
いて、防眩性ハードコート層は高屈折率層でもある。 (防眩性ハードコート層用塗布液Bの調製)ジペンタエ
リスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリト
ールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬
(株)製)125g、ビス(4−メタクリロイルチオフ
ェニル)スルフィド(MPSMA、住友精化(株)製)
125gを、439gのメチルエチルケトン/シクロヘ
キサノン=50/50重量%の混合溶媒に溶解した。得
られた溶液に、光重合開始剤(イルガキュア907、チ
バガイギー社製)5.0gおよび光増感剤(カヤキュア
ーDETX、日本化薬(株)製)3.0gを49gのメ
チルエチルケトンに溶解した溶液を加えた。この溶液を
塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.60
であった。さらにこの溶液に平均粒径3μmの不定形シ
リカ粒子(商品名:ミズカシルP−526、水澤化学工
業(株)製)10gを添加して、高速ディスパにて50
00rpmで1時間攪拌、分散した後、孔径10μmの
ポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩性ハードコ
ート層の塗布液Bを調製した。
【0122】(防眩性ハードコート層用塗布液Cの調
製)シクロヘキサノン104.1g、メチルエチルケト
ン61.3gの混合溶媒に、エアディスパで攪拌しなが
ら平均粒径20nmの二酸化ジルコニウム粒子分散物含
有ハードコート塗布液(KZ−7991、JSR(株)
製)217.0g、を添加した。この溶液にジペンタエ
リスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリト
ールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬
(株)製)を添加して、表2の実施例5−A〜実施例5
−Eに示される屈折率に調整した。さらにこの溶液に風
力分級により5μm以上の粗大粒子を除いた平均粒径2
μmの架橋ポリスチレン粒子(商品名:SX−200
H、綜研化学(株)製)5gを添加して、高速ディスパ
にて5000rpmで1時間攪拌、分散した後、孔径3
μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩性ハ
ードコート層の塗布液Cを調製した。
【0123】(防眩性ハードコート層用塗布液Dの調
製)ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペ
ンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DP
HA、日本化薬(株)製)250gをメチルエチルケト
ン/シクロヘキサノン=50/50重量%の混合溶媒4
39gに溶解した。得られた溶液に、光重合開始剤(イ
ルガキュア907、チバガイギー社製)7.5gおよび
光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)
5.0gを49gのメチルエチルケトンに溶解した溶液
を加えた。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗
膜の屈折率は1.53であった。さらにこの溶液に風力
分級により5μm以上の粗大粒子を除いた平均粒径2.
0μmの架橋ポリスチレン粒子(商品名:SX−200
H、綜研化学(株)製)10gを添加して、高速ディス
パにて5000rpmで1時間攪拌、分散した後、孔径
3μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩性
ハードコート層の塗布液Dを調製した。
【0124】(ハードコート層用塗布液Eの調製)ジペ
ンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリ
スリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日
本化薬(株)製)250gを、439gのメチルエチル
ケトン/シクロヘキサノン=50/50重量%の混合溶
媒に溶解した。得られた溶液に、光重合開始剤(イルガ
キュア907、チバガイギー社製)7.5gおよび光増
感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)5.
0gを49gのメチルエチルケトンに溶解した溶液を加
えた。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の
屈折率は1.53であった。さらにこの溶液を孔径0.
4μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩性
ハードコート層の塗布液Eを調製した。
【0125】(低屈折率層用塗布液C−1〜C−3の調
製)屈折率1.40の熱架橋性含フッ素ポリマー(JN
−7223、固形分濃度6重量%、JSR(株)製)2
10gにシリカゾル(MEK−ST、平均粒径10〜2
0nm、固形分濃度30重量%、日産化学製)15.2
gおよびメチルエチルケトン174gを添加、攪拌の
後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過し
て、低屈折率層用塗布液C−1を調製した。また、上記
の熱架橋性含フッ素ポリマーにおいて、屈折率の異なる
ものを用いた以外は上記と同様にして、屈折率1.42
の低屈折率層用塗布液C−2、屈折率1.45の低屈折
率層用塗布液C−3を作成した。
【0126】(反射防止フィルムの作成) <実施例4>80μmの厚さのトリアセチルセルロース
フイルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム
(株)製、屈折率約1.49)に、上記の防眩性ハード
コート層用塗布液Bをバーコーターを用いて塗布し、1
20℃で乾燥の後、160W/cmの空冷メタルハライ
ドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照
度400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外
線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ2.5μmの防眩
性ハードコート層(表2では防眩層)を形成した。その
上に、上記低屈折率層用塗布液C−2をバーコーターを
用いて塗布し、80℃で乾燥の後、さらに120℃で1
0分間熱架橋し、厚さ0.096μmの低屈折率層を形
成した。
【0127】<実施例5−A〜実施例5−C>80μm
の厚さのトリアセチルセルロースフイルム(TAC−T
D80U、富士写真フイルム(株)製)に、上記のハー
ドコート層用塗布液Eをバーコーターを用いて塗布し、
120℃で乾燥の後、160W/cmの空冷メタルハラ
イドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、
照度400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫
外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ2μmのハード
コート層を形成した。その上に、上記屈折率の異なる防
眩性ハードコート層用塗布液Cをバーコーターを用いて
塗布し、上記ハードコート層と同条件にて乾燥、紫外線
硬化して、厚さ約1.5μmの防眩性ハードコート層
(表2では防眩層)を形成した。その上に、表2に示さ
れるように上記低屈折率層用塗布液C−1〜C−3のい
ずれかをバーコーターを用いて塗布し、80℃で乾燥の
後、さらに120℃で10分間熱架橋し、厚さ0.09
6μmの低屈折率層を形成した。
【0128】<比較例4−A>実施例5−Aにおいて、
防眩性ハードコート層用塗布液Cのかわりに防眩性ハー
ドコート層用塗布液Dを用いた以外は同様にして比較用
サンプルを作成した。
【0129】<比較例4−B>実施例5−Dにおいて、
防眩性ハードコート層用塗布液Cのかわりに防眩性ハー
ドコート層用塗布液Dを用いた以外は同様にして比較用
サンプルを作成した。
【0130】上記の実施例4,実施例5−A〜実施例5
−E、比較例4−A、比較例4−Bにおいて、塗布、乾
燥工程は、0.5μm以上の粒子として200個/(立
方メートル)以下の空気清浄度であり、塗布直前に超音
波除塵機(伸興社製、ニューウルトラクリーナー)で除
塵を行いながら塗布を行った。除塵前のベースの帯電圧
は、200V以下であった。上記の塗布は1層毎に、送
り出し−除塵−塗布−乾燥−(UVまたは熱)硬化−巻
き取り、の各工程で行った。
【0131】表2、表3に上記実施例および比較例の結
果を示す。実施例4、実施例5−A〜実施例5−Eの反
射防止フィルムは、いずれも反射防止性能に優れ、点欠
陥の少ない防眩性反射防止フィルムであった。これに対
し、防眩性ハードコート塗布液Dを用いた比較例4−
A、4−Bは、防眩性ハードコート層(高屈折率層)の
屈折率と支持体の屈折率の差が本発明で特定している値
より小さいため、反射率が高く、反射防止性能が不足し
ていた。
【0132】
【表2】
【0133】
【表3】
【0134】<実施例6> [トリアセチルセルロース支持体の作製] (支持体Aの作製) (トリアセチルセルロースドープAの調整)トリアセチ
ルセルロース17.4重量部、トリフェニルフォスフェ
ート2.6重量部、ジクロロメタン66重量部、メタノ
ール5.8重量部、ノルマルブタノール8.2重量部か
らなる原料を攪拌しながら混合して溶解し、トリアセチ
ルセルロースドープAを調整した。
【0135】(トリアセチルセルロースドープBの調
整)トリアセチルセルロース24重量部、トリフェニル
フォスフェート4重量部、ジクロロメタン66重量部、
メタノール6重量部からなる原料を攪拌しながら混合し
て溶解し、トリアセチルセルロースドープBを調整し
た。
【0136】特開平11−254594等に従って、3
層共流延ダイを用い、ドープBの両側にドープAを共流
延するように配置して金属ドラム上に同時に吐出させて
重層流延した後、流延膜をドラムから剥ぎ取り、乾燥し
て、ドラム面側から10μm、60μm、10μmの3
層共流延トリアセチルセルロースフィルムAを作成し
た。このフィルムには、各層間に明確な界面は形成され
ていなかった。
【0137】(支持体Bの作製) (トリアセチルセルロースドープCの調整)トリアセチ
ルセルロース20重量部、酢酸メチル48重量部、シク
ロヘキサノン20重量部、メタノール5重量部、エタノ
ール5重量部、トリフェニルフォスフェート/ビフェニ
ルジフェニルフォスフェート(1/2)2重量部、シリ
カ(粒径20nm)0.1重量部、2、4−ビス−(n
−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ
−tert−ブチルアニリノ)−1、3、5−トリアジ
ン0.2重量部を添加、攪拌して得られた不均一なゲル
状溶液を、−70℃にて6時間冷却した後、50℃に加
温し攪拌してドープCを調整した。
【0138】特開平7−11055に従い、上記トリア
セチルセルロースドープCを単層ドラム流延し、厚み8
0μmのトリアセチルセルロースフィルムBを作成し
た。
【0139】(支持体Cの作製) (トリアセチルセルロースドープDの調整)上記トリア
セチルセルロースドープCと同様にして得られた不均一
なゲル状溶液を、ステンレス製密閉容器にて1MPa、
180℃で5分間加熱した後、50℃の水浴中に容器ご
と投入し冷却し、トリアセチルセルロースドープDを調
整した。
【0140】特開平7−11055に従い、上記トリア
セチルセルロースドープDを単層ドラム流延し、厚み8
0μmのトリアセチルセルロースフィルムCを作成し
た。
【0141】(反射防止フィルムの作製)上記支持体A
からCおよび富士写真フイルム(株)製TAC−TD8
0Uを90cm巾にスリット加工し、前記実施例5−A
と同様の方法で反射防止フィルムを作製した。支持体A
〜Cはいずれも屈折率1.49であった。これらのサン
プルのスリット時の端面と、輝点欠陥の結果を表4に示
す。
【0142】
【表4】
【0143】支持体がTAC−TD80Uを用いたもの
に比べ、支持体A,B,Cを用いたものは、端面切り屑
が良化し、点欠陥の改良効果が見られた。
【0144】実施例4、実施例5−A〜実施例5−Eで
作成した防眩性反射防止フィルムを用いて防眩性反射防
止偏光板を作成した。この偏光板を用いて反射防止層を
最表層に配置した液晶表示装置を作成したところ、輝点
欠陥が少なく、外光の映り込みがないために優れたコン
トラストが得られ、防眩性により反射像が目立たず優れ
た視認性を有していた。
【0145】
【発明の効果】本発明の反射防止フィルムは、反射率が
低く、かつ輝点欠陥の数が少なく、しかも生産性よく連
続塗布方式で製造でき大量生産に適している。本発明の
反射防止フィルムの製造方法は、反射率が低く、かつ輝
点欠陥の数が少ない反射防止フィルムを生産性よく連続
塗布方式で製造でき、しかも大量生産に適している。ま
た、本発明の画像表示装置は、上記特性に優れた反射防
止フィルムを用いているので、輝点欠陥が少なく、映り
込みが少ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(d)いずれも反射防止フィルムの主
な層構成を示す断面模式図である。
【図2】反射防止フィルムの塗布工程の一例を示した模
式図である。
【符号の説明】
1 反射防止フィルム 2 透明支持体 3 高屈折率層 3' 防眩性ハードコート層 4 低屈折率層 5 ハードコート層 6 中屈折率層 7 マット粒子 11 フィルム支持体 12 静電気除電装置 13 除塵装置 14 塗布部 15 クリーン室 16 乾燥室 17 放射線硬化部 18 熱硬化室 19 フィルム支持体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02F 1/1335 G09F 9/00 313 5G435 G09F 9/00 313 B29K 1:00 // B29K 1:00 B29L 11:00 B29L 11:00 G02B 1/10 A Fターム(参考) 2H042 BA02 BA12 BA20 2H091 FA37X FC07 LA02 LA03 LA12 LA16 2K009 AA06 AA07 AA15 BB28 CC09 CC24 CC26 CC42 DD02 DD05 DD06 DD08 DD09 EE00 4F100 AJ06A BA03 BA10A BA10C BA26 CC00 EH46 EH46B EH46C EJ08 EJ25 EJ54 EJ58 EJ86 EJ86B EJ86C EK03 GB41 JB07 JL02 JN01A JN06 JN18B JN18C JN30 YY00B YY00C 4F205 AA01 AC05 AE10 AG03 AH73 GA07 GB02 GB11 GB22 GC06 GE02 GE22 GF05 GF23 GF24 GN22 GN29 5G435 AA01 BB02 BB06 BB12 DD11 FF01 HH01 KK07

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明支持体上に、透明支持体の屈折率よ
    り0.05以上高い屈折率を有する少なくとも1層の高
    屈折率層と、該高屈折率層上に支持体より屈折率の低い
    低屈折率層とが、各層を形成するための塗布液を塗布・
    乾燥する工程を含んで形成されてなり、しかも50μm
    以上の輝点欠陥の数が1平方メートル当たり20個以下
    であることを特徴とする反射防止フィルム。
  2. 【請求項2】 上記高屈折率層の屈折率が1.57〜
    2.30の範囲にあり、低屈折率層の屈折率が1.35
    〜1.49の範囲にあることを特徴とする請求項1記載
    の反射防止フィルム。
  3. 【請求項3】 防眩性を有すると共に、ヘイズ値が3〜
    20%、波長450nm〜650nmにおける平均反射
    率が1.8%以下であることを特徴とする請求項1また
    は2に記載の反射防止フィルム。
  4. 【請求項4】 波長450nm〜650nmにおける平
    均反射率が0.8%以下であることを特徴とする請求項
    1〜3のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  5. 【請求項5】 50μm以上の輝点欠陥の数が1平方メ
    ートルあたり5個以下であることを特徴とする請求項1
    〜4のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  6. 【請求項6】 透明支持体がトリアセチルセルロースフ
    ィルムであり、トリアセチルセルロースを溶剤に溶解す
    ることで調整されたトリアセチルセルロースドープを単
    層流延、複数層共流延もしくは複数層逐次流延の何れか
    の流延方法により流延することにより作成されたことを
    特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の反射防止フ
    ィルム。
  7. 【請求項7】 前記トリアセチルセルロースドープが、
    トリアセチルセルロースを低温溶解法あるいは高温溶解
    法によってジクロロメタンを実質的に含まない溶剤に溶
    解することで調整されたトリアセチルセルロースドープ
    であることを特徴とする請求項6に記載の反射防止フィ
    ルム。
  8. 【請求項8】 高屈折率層および低屈折率層を形成する
    ための塗布液の塗布・乾燥工程の前工程として、連続的
    に搬送される透明支持体上の異物を除去する工程が設け
    られており、しかも米国連邦規格209Eにおける空気
    清浄度の規格に基づいたクラス10以上の清浄度の空気
    雰囲気下に塗布・乾燥工程が行われることを特徴とする
    請求項1〜7のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  9. 【請求項9】 透明支持体上の異物を除去する工程が、
    超音波を用いる除塵方法および/または湿式除塵方法に
    より行われることを特徴とする請求項8に記載の反射防
    止フィルム。
  10. 【請求項10】 (A)連続的に搬送される透明支持体
    上の異物を除去する工程、および(B)上記(A)工程
    の後工程として、該透明支持体上に透明支持体の屈折率
    より0.05以上高い屈折率を有する少なくとも1層の
    高屈折率層と、該高屈折率層上に支持体により屈折率の
    低い低屈折率層とを、米国連邦規格209Eにおける空
    気清浄度の規格に基づいたクラス10以上の清浄度の空
    気雰囲気下に、高屈折率層および低屈折率層を形成する
    ための塗布液を塗布・乾燥する工程、を含むことを特徴
    とする反射防止フィルムの製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜9のいずれかに記載の反射
    防止フィルムを有することを特徴とする画像表示装置。
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