JP2001342196A - 高純度酸性リン脂質の製造方法 - Google Patents

高純度酸性リン脂質の製造方法

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JP2001342196A JP2000166347A JP2000166347A JP2001342196A JP 2001342196 A JP2001342196 A JP 2001342196A JP 2000166347 A JP2000166347 A JP 2000166347A JP 2000166347 A JP2000166347 A JP 2000166347A JP 2001342196 A JP2001342196 A JP 2001342196A
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Atsuro Nishina
淳良 仁科
Hideyuki Torada
英之 虎田
Ron Hashizume
論 橋爪
Yoshiro Nakano
善郎 中野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】反応時の劣化が少なく、油脂との相溶性や生理
活性に優れた高純度の酸性リン脂質を得る製造方法を提
供する。 【解決手段】塩型リン脂質と酸とを接触させて酸性リン
脂質を製造するに際して、[1]塩型リン脂質を水中懸
濁液で、[2]0〜50℃の条件下で、[3]塩型リン
脂質1molに対し、酸を1〜100molの割合で混
合し、反応することを特徴とする高純度酸性リン脂質の
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高純度酸性リン脂
質の製造方法に関する。さらに詳しくは、塩型リン脂質
と酸とを反応して酸性リン脂質を製造する際して、特定
の条件下で行うことにより高純度酸性リン脂質を得る製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、塩型リン脂質は牛脳や植物から抽
出されたり、他のリン脂質を出発原料とする塩基交換反
応または加水分解により製造されてきた。天然から得ら
れるホスファチジルセリンまたはホスファチジン酸は主
に陽イオンと塩を形成したものであり、酸型のリン脂質
を天然界から抽出によって得ることは困難とされてき
た。
【0003】特開昭63−36190号公報、特開昭6
3−36191号公報、特開昭63−36192号公
報、特開平2−79990号公報ではホスファチジルコ
リンに微生物由来のホスフォリパーゼDを作用させ、塩
基交換反応によりホスファチジルセリン等を得ている。
特開平5−336984号公報では、ホスファチジル基
塩基交換反応を行う際にpHを調節して、反応の選択性
を高めている。しかし、いずれの方法も、得られる反応
物は塩型のリン脂質であった。
【0004】特開平9−173092号公報では、リン
脂質のカルシウム塩を作った後、ヘプタン/アセトン中
で結晶化し、他の塩に変換する技術が開示されている。
実施例では、リン脂質のカルシウム塩の高純度化につい
て記載されているが、カルシウム塩を他の塩に変換する
条件や、カルシウム塩から酸型のリン脂質(酸性リン脂
質ともいうこともある)を調製する具体的な方法につい
ては開示されていない。
【0005】すなわち、天然界に存在するリン脂質は多
くの場合、塩の状態で存在するため、天然界から酸性リ
ン脂質を直接得ることはコスト的にも資源量的にも困難
であった。また前記の先行技術は、すべて塩型のリン脂
質を製造するものであった。すなわち、天然界からの抽
出や従来の製造法を用いても、酸性リン脂質を得ること
ができなかった。また一方、酸性リン脂質については、
最近、様々な生理活性が見出されており、特にホスファ
チジルセリンは、学習効果を高めるような脳機能改善効
果や、抗ストレス効果等の機能が見い出されており、医
薬品や食品等への応用も期待されてきている。しかし、
これらのリン脂質は、酸型では、化学的に不安定であ
り、酸化や加水分解による品質の劣化を引き起こしやす
かった。そのため、前記のように塩型のリン脂質が主流
として流通していた。酸性リン脂質は、塩型のものに比
べて、他の油脂との相溶性がよく製品加工しやすく、ま
た、先のような機能を有することから高純度の酸性リン
脂質が求められていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
の実状に鑑み、特定の条件で塩型リン脂質と酸とを反応
させて、高反応率で、高純度の酸性リン脂質を得る製造
方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の問
題点に鑑み鋭意検討した結果、塩型リン脂質と酸とを反
応させて、酸性リン脂質を製造する方法において、特定
の条件で製造を行うことにより、反応率が高く、高純度
の酸性リン脂質が得られることの知見を得て、本発明を
完成させるに至った。すなわち、本発明は、〔1〕およ
び〔2〕である。 〔1〕塩型リン脂質と酸とを接触させて酸性リン脂質を
製造するに際して、[1]塩型リン脂質を水中懸濁状態
で、[2]0〜50℃の条件下で、[3]塩型リン脂質
1molに対し、酸を1〜100molの割合で混合
し、反応することを特徴とする高純度酸性リン脂質の製
造方法。
【0008】〔2〕塩型リン脂質がナトリウム、カルシ
ウム、マグネシウム、カリウムの塩型ホスファチジルセ
リンまたはホスファチジン酸であり、酸がギ酸、酢酸、
コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、マレイン酸、クエン
酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、フィチン酸からなる群
より選択される1種または2種以上であり、得られる酸
性リン脂質の純度が、高周波プラズマ発光装置による陽
イオンの測定方法により算出する純度で90%以上の陽
イオンが除去されることである前記[1]の高純度酸性
リン脂質の製造方法。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に用いる塩型リン脂質は、
各種のリン脂質が使用でき、なかでも、ホスファチジル
セリンまたはホスファチジン酸が好ましい。各種のリン
脂質は、天然資源から抽出したもの、あるいは合成した
リン脂質が使用できる。また、市販のもの、または公知
の方法で調製したものを使用してもよい。例えば、大
豆、脱脂大豆、卵黄等から抽出したものを単独または2
種以上混合して使用することができる。また、大豆レシ
チン、脱脂大豆レシチン、卵黄レシチン、ホスファチジ
ルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファ
チジルグリセロール、リゾレシチン等から塩基交換反応
もしくは加水分解により得られたものを使用することも
可能である。塩型リン脂質は、ナトリウム、カルシウ
ム、マグネシウム、カリウムの塩型ホスファチジルセリ
ンまたはホスファチジン酸を望ましく挙げられる。
【0010】本発明では、高純度酸性リン脂質を効率よ
く得るために、精製により純度を高めた塩型リン脂質を
用いる方が好ましい。公知の濃縮法、例えば、カラム精
製、溶媒分画により20から98%に純度を高めた塩型
リン脂質が原料として好ましい。例えば、市販品として
は、ルーカスマイヤー社の製品、商品名DP−841
(ホスファチジルセリンカルシウム塩純度20%)、同
LECI−PS20(ホスファチジルセリンカルシウム
塩純度20%)、シグマ社の製品、ホスファチジルセリ
ンナトリウム塩(純度98%)、ホスファチジン酸ナト
リウム塩(純度98%)、同ジステアロイルホスファチ
ジンナトリウム塩(純度99%)等が好ましいものとし
て挙げられる。
【0011】本発明に用いる塩型ホスファチジルセリン
またはホスファチジン酸の構成脂肪酸は、同一でも異っ
ていてもよく、炭素数8〜24の飽和または不飽和の脂
肪酸である。例えば、カプロン酸、カプリン酸、ラウリ
ン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、アラキ
ジン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、リノール
酸、αおよびγ−リノレン酸、エルシン酸、アラキドン
酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、テト
ラコサテトラエン酸等が挙げられる。なかでも、オレイ
ン酸、リノール酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキ
サエン酸が生理活性等の面から好ましい。
【0012】本発明に用いる酸としては、例えば、ギ
酸、酢酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、マレイン
酸、クエン酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、フィチン酸
等が挙げられる。これらの中から選ばれる1種または2
種以上を組み合わせて用いることができる。また、緩衝
液溶液、例えば、ギ酸−ギ酸ナトリウム緩衝液、グリシ
ン−塩酸緩衝液、酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液、クエン
酸−クエン酸ナトリウム緩衝液、リン酸緩衝液等を所定
のpHの調整用に用いることがより望ましい。陽イオン
の除去効果の点から塩酸、硫酸、硝酸、リン酸の無機
酸、フィチン酸等の有機酸を使用することがより好まし
い。酸または緩衝液の添加量は、塩型リン脂質1mol
に対し、酸を1〜100mol、好ましくは15〜60
mol、より好ましくは20〜50molである。添加
量が1mol未満では酸の効果が十分でなく、高純度酸
性リン脂質を製造することができない。また、酸の添加
量が100molを越えると、加水分解等の副反応が生
じるので望ましくない。
【0013】本発明の酸性リン脂質を得る方法は、具体
的には例えば、有機溶媒を用いずに、酸水溶液に、塩型
リン脂質を添加し、物理的に懸濁して反応を行う。この
とき、反応様式として容器に入れた懸濁液を回転撹拌や
超音波により撹拌して反応を行うことができる。反応系
中の塩型リン脂質の濃度は0.01から50重量%、好
ましくは0.1から20重量%、より好ましくは1〜1
0重量%とする。濃度が0.01重量%未満では回収が
困難となる。また、濃度が50重量%を越えると、分離
が起こり、反応速度が低下する。ここで反応条件は、温
度は0〜50℃、好ましくは5〜30℃、より好ましく
は7〜20℃である。温度が0℃未満では反応液の粘度
が上昇したり凝固するため取り扱いが難しくなる。ま
た、反応液の温度が50℃を越えると、加水分解等の副
反応が生じるので望ましくない。
【0014】塩型リン脂質を酸水溶液に添加し、物理的
に懸濁するために、市販の均質化器、例えば、ポリトロ
ン(キネマチカ社)、ソニファイヤー(ブランソン
社)、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイド
社)、ホモゲナイザー(岩井機械社)、ホモミキサー
(特殊機化工業社)等を使用することができる。また、
塩型リン脂質と酸との混合条件は、容器に入れた塩型リ
ン脂質を水相中で、沈殿させずに反応させればよく、回
転撹拌や超音波による撹拌方式、カラム中において、水
相と塩型リン脂質を向流にして接触させる方式、カラム
中に水相を保持しておいて、細分化した塩型リン脂質を
自然浮上させながら反応を行う方式、などあらゆる形式
の反応様式が可能である。
【0015】反応時間は、通常5分〜10時間、好まし
くは30分から5時間、より好ましくは45分から2時
間である。反応時間は、選択する酸の種類と塩型リン脂
質の種類により適宜選択することができる。
【0016】本発明で得られる酸性リン脂質の純度は、
高周波プラズマ発光装置を用いて、厚生省の発令、平成
8年5月23日の衛新第47号(栄養表示基準に伴う栄
養成分の分析方法等について)の記載方法に準じて、リ
ン脂質に結合している陽イオン(mol)の量と、高速
液体クロマトグラフィーの方法で測定して求めた総リン
脂質(mol)との比を求めることにより測定する。例
えば、反応物中のホスファチジルセリンとホスファチジ
ン酸の総量が24mmolで、リン脂質に結合したカル
シウムイオンが1mmolの場合には、酸性リン脂質の
純度の算出は、(1−1/24)×100=96%とな
る。本発明で得られる酸性リン脂質は、好ましくは、9
0%以上の高純度の酸性リン脂質である。
【0017】
【発明の効果】本発明の酸性リン脂質の製造方法は、塩
型リン脂質を水中懸濁状態で、特定の条件で反応するこ
とにより、高純度の酸性リン脂質を得ることができる。
その結果、反応時の劣化が少なく、油脂との相溶性や生
理活性に優れた高純度酸性リン脂質を得ることができ、
食品や医薬品等に用途展開する際の可能性が広がる。
【0018】
【実施例】次に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に
説明する。なお以下の記載において、「%」は特に断ら
ない限り「重量%」を意味する。なお、用いた測定方法
を次に示す。 1.リン脂質(塩型および酸性リン脂質の合計)の定量
方法 反応物中の塩型および酸性リン脂質の定量について、リ
ン脂質の定量は、高速液体クロマトグラフィー(ギルソ
ン社製、機種モデル303)を用いて行った。すなわ
ち、固定相にはシリカゲルカラム(径4.6mm×長さ
250mm)を用い、移動相にはアセトニトリル:メタ
ノール:10mMリン酸二水素アンモニウム=612:
289:100の混合溶液を用い、検出はUV検出器
(検出波長202nm)で行った。なお、リン脂質のm
ol数としては、原料のカタログデータまたは脂肪酸組
成から算出した平均分子量を基に計算した。
【0019】2.塩型および酸性リン脂質の定量方法 試料のリン脂質1gに対して、クロロホルム9mlを加
えて、遠心分離(条件;2000rpm、10分間)に
よりリン脂質に結合していない陽イオンを徐去した後、
高周波プラズマ発光装置(島津製作所、ICPS−75
00)を用いて下記の方法に準じて行い、リン脂質に結
合している陽イオン(mol)を求めた。次に陽イオン
のmol数から塩型リン脂質のmol数を求め、リン脂
質の合計mol数から差し引くことにより試料中の酸性
リン脂質の含有量を求めた。 酸性リン脂質の含量(%)={1−(塩型リン脂質のm
ol数/リン脂質の合計mol数)×100 なお、陽イオンがカルシウム等の多価イオンの場合は、
陽イオンの価数により補正する。なおまた、酸性リン脂
質の含量(%)を用いて、反応率(%)を次式により求
めた。 反応率(%)={1−(酸性リン脂質のmol数/リン
脂質の合計mol数)}×100 3.リン脂質に結合した陽イオンの測定 装置;高周波プラズマ発光装置(ICPS7500:島
津製作所製)を用い、厚生省、発令、平成8年5月23
日、衛新第47号(栄養表示基準の導入に伴う栄養成分
の分析方法等について)に従って測定を行った。
【0020】実施例1 DP−841(ルーカスマイヤー社品;リン脂質含量2
0%、含まれるリン脂質の平均分子量800)100g
(ホスファチジルセリンのカルシウム塩25mmol)
を2Mの塩酸1Lに加え、ホモミキサー(特殊機化工業
社)で10分間均質化した。さらに25℃で3時間撹拌
した。反応後に濾過により余分な酸を除去し、真空凍結
乾燥機により水分を蒸発させて、反応物95gを得た。
反応物中のリン脂質を前記の方法により測定した結果、
塩型と酸型の合計で、24mmolのフォスファチジル
セリンが得られ、また、酸型/(塩型+酸型の合計リン
脂質)の比を求めたところ96%であった。
【0021】実施例2 ジステアロイルホスファチジン酸ナトリウム塩(シグマ
社品、純度99%、分子量727)1g(1.3mmo
l)を、10℃の85%リン酸0.007L(60mm
ol)に加え、超音波撹拌機(ブランソン社製)で5分
間均質化した。さらに5℃で30分間撹拌し酸性リン脂
質を調製した。反応後に1Lの精製水を加え濾過により
余分な酸を除去し、真空凍結乾燥機により水分を蒸発せ
しめ、反応物0.95gを得た。反応物中のリン脂質の
含量を前記の測定方法により測定した結果、酸型と塩型
の合計で1.24mmolのホスファチジルセリンであ
った。さらに、酸型/(塩型+酸型の合計リン脂質)の
比を求めたところ96%であった。
【0022】実施例3 ジオレオイルホスファチジルセリンナトリウム塩(シグ
マ社品、純度98%、分子量810)500g(0.6
3mol)を0.1mMの硝酸水溶液10kg(1mo
l)に入れ、ホモミキサー(特殊機化工業社製品)で均
質化し、懸濁液を調製した。混濁液を0℃に保持して5
時間撹拌した。反応後に遠心分離を行い、余分な酸を除
去し、沈殿物を真空凍結乾燥して反応物485gを回収
した。反応物中のリン脂質の含量を前記の測定方法によ
り測定した結果、酸型と塩型の合計で0.63mmol
のホスファチジルセリンであった。さらに、酸型/(塩
型+酸型の合計リン脂質)の比を求めたところ95%で
あった。
【0023】比較例1 DP−841(ルーカスマイヤー社品、;リン脂質含量
20%、含まれるリン脂質の平均分子量800)100
g(ホスファチジルセリンカルシウム塩25mmol)
を2Mの塩酸3Lに加え、ホモミキサー(特殊機化工業
社)で10分間均質化した。さらに25℃で3時間撹拌
した。反応後に濾過により余分な酸を除去し、真空凍結
乾燥機により水分を蒸発せしめ、反応物80gを得た。
反応物中のリン脂質の含量を前記の測定方法により測定
した結果、酸型と塩型の合計で10mmolのホスファ
チジルセリンであった。さらに、酸型/(塩型+酸型の
合計リン脂質)の比を求めたところ80%であった。
【0024】比較例2 DP−841(ルーカスマイヤー社品、酸性リン脂質2
0%、含まれる酸性リン脂質の平均分子量800)10
0g(ホスファチジルセリンカルシウム塩25mmo
l)を0.02Mの塩酸1Lに加え、ホモミキサー(特
殊機化工業社)で10分間均質化した。さらに25℃で
3時間撹拌した。反応後に濾過により余分な酸を除去
し、真空凍結乾燥機により水分を蒸発せしめ、反応物7
5gを得た。反応物中のリン脂質の含量を前記の測定方
法により測定した結果、酸型と塩型の合計で23mmo
lのホスファチジルセリンであった。さらに、酸型/
(塩型+酸型の合計リン脂質)の比を求めたところ4.
3%であった。
【0025】比較例3 ジステアロイルホスファチジン酸ナトリウム塩(シグマ
社品、分子量727)1g(1.4mmol)を、10
℃の85%リン酸0.007L(60mmol)に加
え、超音波撹拌機(ブランソン社製)で5分間均質化し
た。さらに60℃で30分間撹拌し酸性リン脂質を調製
した。反応後に1Lの精製水を加え濾過により余分な酸
を除去し、真空凍結乾燥機により水分を蒸発せしめ、反
応物0.6gを得た。反応物中のリン脂質の含量を前記
の測定方法により測定した結果、酸型と塩型の合計で
0.3mmolのホスファチジン酸であった。さらに、
酸型/(塩型+酸型の合計リン脂質)の比を求めたとこ
ろ67%であった。
【0026】比較例4 ジステアロイルホスファチジン酸ナトリウム塩(シグマ
社品、分子量727)1g(1.4mmol)を、10
℃の85%リン酸0.007L(60mmol)に加
え、超音波撹拌機(ブランソン社製)で5分間均質化し
た。さらに−1℃で30分間撹拌し酸性リン脂質を調製
した。反応後に1Lの精製水を加え濾過により余分な酸
を除去し、真空凍結乾燥機により水分を蒸発せしめ、反
応物0.9gを得た。反応物中のリン脂質の含量を前記
の測定方法により測定した結果、酸型と塩型の合計で
1.1mmolのホスファチジン酸であった。さらに、
酸型/(塩型+酸型の合計リン脂質)の比を求めたとこ
ろ9%であった。
【0027】比較例5 ジオレイルホスファチジルセリンナトリウム塩(シグマ
社品、純度98%)500g(0.62mol)を0.
1mMの硝酸水溶液10kg(1mol)に入れ、均質
化を行わず、2相に分離した混合溶液を調製した。混濁
液を0℃に保持して5時間撹拌した。反応後に遠心分離
を行い、余分な酸を除去し、沈殿物を真空凍結乾燥して
反応物405gを回収した。反応物中のリン脂質の含量
を前記の測定方法により測定した結果、酸型と塩型の合
計で0.61mmolのホスファチジン酸であった。さ
らに、酸型/(塩型+酸型の合計リン脂質)の比を求め
たところ14%であった。
【0028】試験例1 実施例1〜3、比較例1〜5で得られた反応物の収率を
測定した結果を表1および2に示す。
【0029】試験例2 実施例1〜3、比較例1〜5で得られた反応物の反応率
を測定した結果を表1および2に示す。
【0030】試験例3 実施例1〜3、比較例1〜5で得られた反応物のそれぞ
れ10gをオリーブ油90gに添加し、マグネチックス
ターラーにより40℃で2時間撹拌した。撹拌後に真空
ポンプを用いて気泡を除き、24時間40℃中で保存し
たときの溶解状態を表1および2に示した。
【0031】試験例4 実施例1〜3、比較例1〜5で得られた反応物の生理活
性をPC−12細胞の分化誘導作用により評価した。す
なわち、理研細胞銀行から取り寄せたPC−12細胞を
10%の牛胎児血清、5%の馬血清を添加したMEME
培地中で、37℃、CO2濃度5%の雰囲気下で培養し
た。細胞数を1.5×104/mlに調製した溶液を2
4穴のマイクロタイタープレートに注ぎ、24時間前培
養した。上澄を廃棄し、実施例2で用いた原料および反
応物を血清を添加せず、DMSOを1%添加したMEM
E培地に1%添加した溶液に置き換えた。37℃、CO
2濃度5%の雰囲気下7日間培養し、形態の変化を顕微
鏡で判定した結果を表1および2に示した。実施例1〜
3の試験区はPC−12細胞に形態変化を起こす作用が
認められ、神経細胞に対する生理活性が認められたが、
比較例1〜5の試験区には活性が認められなかった。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】なお、表中略号は次のとおりである。 PS−Ca;ホスファチジルセリンカルシウム塩、 PA−Na;ホスファチジン酸ナトリウム塩、 PS−Na;ホスファチジルセリンナトリウム塩。
【0035】上記の実施例1〜3は、酸の添加量が本発
明の範囲外の比較例1、2、反応温度が本発明の範囲外
の比較例3、4、反応時に原料リン脂質の均質化を省略
した比較例5に比べて、陽イオン量の含量が低く、リン
脂質の減少が抑えられ、油脂との相溶性が高いことが分
かる。また、試験例4から、本発明で得られた高純度酸
性リン脂質が、本発明の範囲外の条件で製造したリン脂
質よりも生理活性面でも優れた特性を有することがわか
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、実施例1のリン脂質の試料を高速液
体クロマトグラフィーを用いて行った図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩型リン脂質と酸とを接触させて酸性リン
    脂質を製造するに際して、[1]塩型リン脂質を水中懸
    濁液で、[2]0〜50℃の条件下で、[3]塩型リン
    脂質1molに対し、酸を1〜100molの割合で混
    合し、反応することを特徴とする高純度酸性リン脂質の
    製造方法。
  2. 【請求項2】塩型リン脂質が、ナトリウム、カルシウ
    ム、マグネシウム、カリウムの塩型ホスファチジルセリ
    ンまたはホスファチジン酸であり、酸が、ギ酸、酢酸、
    コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、マレイン酸、クエン
    酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、フィチン酸からなる群
    より選択される1種または2種以上であり、得られる酸
    性リン脂質の純度が、高周波プラズマ発光装置による陽
    イオンの測定方法により算出する純度で90%以上の陽
    イオンが除去されることである請求項1記載の高純度酸
    性リン脂質の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN104447854A (zh) * 2014-11-06 2015-03-25 江南大学 一种磷脂酸钠的制备方法

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CN104447854A (zh) * 2014-11-06 2015-03-25 江南大学 一种磷脂酸钠的制备方法

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