JP2001341662A - 後輪操舵装置 - Google Patents

後輪操舵装置

Info

Publication number
JP2001341662A
JP2001341662A JP2000167374A JP2000167374A JP2001341662A JP 2001341662 A JP2001341662 A JP 2001341662A JP 2000167374 A JP2000167374 A JP 2000167374A JP 2000167374 A JP2000167374 A JP 2000167374A JP 2001341662 A JP2001341662 A JP 2001341662A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steering angle
electric motor
rear wheel
vehicle speed
power reduction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000167374A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Furuumi
洋 古海
Kunio Shirakawa
邦雄 白川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2000167374A priority Critical patent/JP2001341662A/ja
Publication of JP2001341662A publication Critical patent/JP2001341662A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Steering-Linkage Mechanisms And Four-Wheel Steering (AREA)
  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両停止時に消費電力を低減しかつ動作確認
が可能である後輪操舵装置を提供することを課題とす
る。 【解決手段】 後輪ギヤボックスを駆動して後輪を操舵
する電動機(電動モータ)4と、車速を検出する車速検
出手段(車速センサ)SPSと、後輪の実舵角を検出す
る実舵角検出手段(操舵ストロークセンサ)33と、車
両の走行状態から後輪の目標舵角θrを設定し、実舵角
が目標舵角θrになるように電動機4の駆動を制御する
制御手段(電子制御装置)3とを備える後輪操舵装置で
あって、制御手段3は、車速が所定車速以下かつ実舵角
の変化が無い時、電動機4の駆動を停止することを特徴
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両の前輪の操舵
に伴って後輪を操舵する電動式の後輪操舵装置に関し、
特に、後輪操舵装置での消費電力の低減に関する。
【0002】
【従来の技術】車両の前輪の操舵に対応させて後輪を操
舵する後輪操舵装置を備える4輪操舵システムが知られ
ている。後輪操舵装置には、高速時安定性を向上させる
ために後輪を前輪と同じ方向に操舵する同位相操舵また
は/および小回り性を向上させるために後輪を前輪とは
逆方向に操舵する逆位相操舵を行なうものがある。後輪
操舵装置には、モータ等の電動機によって後輪を操舵す
る電動式の後輪操舵装置がある。この後輪操舵装置は、
前輪の舵角や車速等の車両の走行状態から後輪の目標舵
角を設定し、後輪の実舵角が目標舵角になるように電動
機の駆動を制御する。すると、後輪操舵装置では、この
電動機の駆動によって後輪ギヤボックスが駆動され、後
輪ギヤボックスに連結した操舵シャフトが車幅方向に移
動し、この操舵シャフトの移動に伴って後輪が左右に転
舵する。
【0003】なお、電動機によって後輪を操舵する場
合、タイヤに作用する路面反力より大きい転舵力を後輪
に発生させるだけの電力を電動機に供給しないと、後輪
を操舵することができない。特に、車速が低車速になる
ほど、路面反力が大きくなり、電動機には大きな電力を
供給しなければならない。しかし、車両停止時の非常に
路面反力が大きい場合には、電動機に大きな電力を供給
しても、後輪が転舵しない場合がある。そこで、路面反
力が大き過ぎて後輪を操舵することができないような場
合には、電動機への電力供給を停止し、無駄な電力消費
を防止する後輪操舵装置が開発されている。例えば、特
開平6−219299号公報には、モータ制御電流の印
加による駆動で後輪舵角を制御する電動モータを備える
電動モータ駆動式四輪操舵装置が開示されている。この
4輪操舵装置は、第1設定車速(実施例では、20km
/h)以上になると電動モータへのモータ制御電流の出
力を開始し、第1設定車速より低く設定された第2設定
車速(実施例では、2km/h)以下になると電動モー
タへのモータ制御電流の出力を停止する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、ユーザ等に
よって、車両停止時に、後輪操舵装置が正常に動作して
いるか否かの確認を行ないたい場合がある。例えば、車
両停止時に、右回転方向にステアリングホイールを操作
し、後輪操舵装置によって後輪が左方向(逆位相)に操
舵されるか否かを確認する。このように、車両停止時に
は、安全かつ簡単な方法で、後輪操舵装置の動作確認を
行なうことができる。しかし、前記した電動モータ駆動
式四輪操舵装置では、車両停止時(車速=0km/h
時)には、電動モータはモータ制御電流の出力が停止さ
れるため、後輪を操舵することができない。つまり、こ
の4輪操舵装置では、車両停止時に動作確認を行なうこ
とができない。
【0005】しかしながら、車両停止時に後輪操舵装置
の動作確認を行なうために、車両停止時に電動機への電
力供給を無条件に許可すると、無駄な電力が消費される
場合がある。つまり、路面反力が大き過ぎるために、電
動機に最大電力を供給しても、後輪を操舵することがで
きない場合がある。この場合には、電動機に電力を供給
しているにもかかわらず、後輪操舵装置の動作を確認す
ることができない。
【0006】そこで、本発明の課題は、車両停止時に消
費電力を低減しかつ動作確認が可能である後輪操舵装置
を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決した本発
明に係る後輪操舵装置は、後輪ギヤボックスを駆動して
後輪を操舵する電動機と、車速を検出する車速検出手段
と、前記後輪の実舵角を検出する実舵角検出手段と、車
両の走行状態から前記後輪の目標舵角を設定し、前記実
舵角が前記目標舵角になるように前記電動機の駆動を制
御する制御手段とを備える後輪操舵装置であって、前記
制御手段は、前記車速が所定車速以下かつ前記実舵角の
変化が無い時、前記電動機の駆動を停止することを特徴
とする。この後輪操舵装置によれば、車両停止時等で後
輪が転舵されていない(実舵角の変化が無い)場合に、
電動機の駆動を停止するので、消費電力を低減すること
ができる。しかも、この後輪操舵装置は、車両停止時で
もステアリングホイールが操作された時に、路面反力よ
り大きい転舵力を電動機によって発生させることができ
る場合、後輪が転舵する。つまり、前輪の舵角変化に対
応して後輪の実舵角が変化するので、電動機の駆動が停
止されずに、車両停止時における後輪操舵装置の動作確
認が可能となる。
【0008】さらに、前記課題を解決した本発明に係る
後輪操舵装置は、後輪ギヤボックスを駆動して後輪を操
舵する電動機と、車速を検出する車速検出手段と、前記
後輪の実舵角を検出する実舵角検出手段と、車両の走行
状態から前記後輪の目標舵角を設定し、前記実舵角が前
記目標舵角になるように前記電動機の駆動を制御する制
御手段とを備える後輪操舵装置であって、前記制御手段
は、前記車速が所定車速以下で前記実舵角と前記目標舵
角との差が所定舵角差以上かつ前記実舵角の変化が無い
時、前記電動機の駆動を停止することを特徴とする。こ
の後輪操舵装置によれば、車両停止時等で後輪が転舵さ
れていない(実舵角の変化が無い)場合に、実舵角と目
標舵角との差が所定舵角差以上の時、電動機の駆動を停
止するので、消費電力を低減することができる。つま
り、実舵角と目標舵角との差が所定舵角差以上の場合、
制御手段は、実舵角を目標舵角との差をゼロにするため
に、電動機に大きな電力を供給している。しかし、電動
機に大きな電力を供給しているにもかかわらず実舵角の
変化が無い場合、路面反力が大きいために後輪が転舵で
きないと考えられる。そこで、制御手段は、後輪を転舵
させることができない場合には、無駄な電力の供給を停
止する。しかも、この後輪操舵装置は、車両停止時でも
ステアリングホイールが操作された時に、路面反力より
大きい転舵力を電動機によって発生させることができる
場合、後輪が転舵する。つまり、前輪の舵角変化に対応
して後輪の実舵角が変化するので、電動機の駆動が停止
されずに、車両停止時における後輪操舵装置の動作確認
が可能となる。
【0009】また、前記課題を解決した本発明に係る後
輪操舵装置は、後輪ギヤボックスを駆動して後輪を操舵
する電動機と、車速を検出する車速検出手段と、前記電
動機に流れる電動機電流を検出する電動機電流検出手段
と、前記後輪の実舵角を検出する実舵角検出手段と、車
両の走行状態から前記後輪の目標舵角を設定し、前記実
舵角が前記目標舵角になるように前記電動機の駆動を制
御する制御手段とを備える後輪操舵装置であって、前記
制御手段は、前記車速が所定車速以下で前記電動機電流
が所定電流以上かつ前記実舵角の変化が無い時、前記電
動機の駆動を停止することを特徴とする。この後輪操舵
装置によれば、車両停止時等で後輪が転舵されていない
(実舵角の変化が無い)場合に、電動機電流が所定電流
以上の時、電動機の駆動を停止するので、消費電力を低
減することができる。つまり、電動機に所定電流以上を
供給しているにもかかわらず実舵角の変化が無い場合、
路面反力が大きいために後輪が転舵できないと考えられ
る。そこで、制御手段は、後輪を転舵させることができ
ない場合には、無駄な電力の供給を停止する。しかも、
この後輪操舵装置は、車両停止時でもステアリングホイ
ールが操作された時に、路面反力より大きい転舵力を電
動機によって発生させることができる場合、後輪が転舵
する。つまり、前輪の舵角変化に対応して後輪の実舵角
が変化するので、電動機の駆動が停止されずに、車両停
止時における後輪操舵装置の動作確認が可能となる。
【0010】なお、「車速が所定車速以下」とは、電動
機への電力供給を停止しても後輪操舵装置としては実用
上問題の無い車速であり、車両が停止状態または車両が
極低車速状態であることを示す車速である。所定車速
は、車速センサ等の車速検出手段の検出精度等を考慮し
て設定し、本実施の形態では電力低減開始速度である。
また、「実舵角の変化が無い」とは、実際に電動機によ
って後輪が転舵されていないことである。本実施の形態
では、実舵角の時間的な変化が後輪変化実舵角以下の時
を実舵角の変化の無い時とする。後輪変化実舵角は、実
舵角検出手段の精度やCPUのサイクル時間等を考慮し
て設定する。また、「実舵角と目標舵角との差が所定舵
角差以上」とは、電動機に後輪を転舵させるために充分
な電力を供給していることを示す実舵角と目標舵角との
差である。所定舵角差は、後輪操舵装置の後輪最大操舵
角等を考慮して設定し、本実施の形態では電力低減舵角
差である。また、「電動機電流が所定電流以上」とは、
電動機に後輪を転舵させるために充分な電力を供給して
いることを示す電動機電流である。所定電流は、電動機
の特性等を考慮して設定し、本実施の形態では電力低減
電動機電流である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明に
係る後輪操舵装置の実施の形態を説明する。
【0012】本発明に係る後輪操舵装置は、電動機に電
力を供給しなくても実用上問題無い車両停止時(極低車
速時を含む)に、実舵角の変化が無い場合(つまり、実
際に後輪が転舵していない場合)、電動機の駆動を停止
して消費電力を低減する。しかも、この後輪操舵装置
は、車両停止時でもステアリングホイールが操作された
(前輪が転舵した)時に、実舵角が変化する場合(つま
り、路面反力より大きい転舵力を電動機によって発生さ
せることができる場合)、電動機を駆動して後輪を操舵
する。そのため、この後輪操舵装置は、車両停止時での
動作確認が可能となる。さらに、本発明に係る後輪操舵
装置は、車両停止時に、実舵角と目標舵角との差が所定
舵角差以上で実舵角の変化が無い場合あるいは電動機電
流が所定電流以上で実舵角の変化が無い場合、電動機の
駆動を停止して電力を低減する。つまり、この後輪操舵
装置は、車両停止時にステアリングホイールが操作され
ているにもかかわらず、路面反力より大きい転舵力を電
動機によって発生させることができない場合には、無駄
な電力消費を防止する。なお、この後輪操舵装置は、前
輪操舵に伴って後輪を転舵させる4輪操舵システムを搭
載する車両に組み込まれ、高速安定性または/および小
回り性を向上させる。なお、車両としては、土木工事用
の大型車両から普通乗用車まで様々な車両を対象とす
る。
【0013】本実施の形態に係る後輪操舵装置は、制御
手段として電子制御装置を備え、この電子制御装置には
各種演算や後輪操舵装置の統括制御等を行なうCPU
[Central Processing Unit]
を備える。さらに、このCPUには電力低減部を備え、
この電力低減部が、電力低減を目的として、電動機の駆
動を停止するか否かの判定を行なう。なお、この電力低
減部での判定は、本発明に係る各請求項に対応して、車
両停止時かつ実舵角の変化が無い時を判定基準とする第
1の実施の形態と、車両停止時で実舵角と目標舵角との
差が所定舵角差以上かつ実舵角の変化が無い時を判定基
準とする第2の実施の形態と、車両停止時で電動機電流
が所定電流以上かつ実舵角の変化が無い時を判定基準と
する第3の実施の形態の3つの実施の形態で説明する。
また、本実施の形態では、後輪操舵装置を一般的な4輪
自動車に搭載し、前輪操舵装置と共に4輪操舵システム
を構成する。なお、本実施の形態では、「前」は自動車
の進行方向であり、「後」は自動車の後退方向である。
また、「左右方向」は自動車の幅方向であり、「左」は
自動車の進行方向の左側であり、「右」は自動車の進行
方向の右側である。また、本実施の形態では、「外」は
自動車の幅方向の外側であり、「内」は自動車の幅方向
の中央側である。
【0014】まず、図1を参照して、本実施の形態に係
る後輪操舵装置1の全体構成について説明する。後輪操
舵装置1は、主として、後輪操舵機構2、電子制御装置
3、電動モータ4から構成される。なお、本実施の形態
では、電子制御装置3が特許請求の範囲に記載の制御手
段に相当し、電動モータ4が特許請求の範囲に記載の電
動機に相当する。
【0015】後輪操舵機構2は、一対の後輪WL,WR
を転舵させる後輪操舵装置1のメカニカルな部分であ
り、電子制御装置3により制御され、電動モータ4によ
って回転駆動力が加えられる。後輪操舵機構2は、精密
センサによる制御によらないで、中立位置(すなわち、
後輪WL,WRの直進方向)を機構的に位置決めできる
機構として構成される。そのために、後輪操舵機構2
は、電動モータ4の回転駆動力を直線駆動力に変換する
直線駆動機構10、転舵方向を選択するクラッチ機構2
0および後輪WL,WRを転舵させるために左右に従動
する操舵シャフト30からなる。本実施の形態では、直
線駆動機構10およびクラッチ機構20が、特許請求の
範囲に記載の後輪ギヤボックスに相当する。
【0016】後輪操舵機構2は、クラッチ機構20を点
対称な作動原理を採る2個の機能ブロックに分け、さら
に三重の同軸シリンダ構造のねじ式延縮機構である。つ
まり、後輪操舵機構2の直線駆動機構10は、電動モー
タ4に回転駆動される1個の外部回転筒11内で、一対
の中間部スライド筒12,13を左右方向(操舵シャフ
ト30の軸方向)に延縮させる。ちなみに、後輪WL,
WRを転舵させる場合には中間部スライド筒12,13
を外部回転筒11の左右外方に延び出して離間させ、後
輪WL,WRを直進方向に戻す場合には中間部スライド
筒12,13を外部回転筒11の内方に引き込み中立位
置で停止させる。さらに、後輪操舵機構2は、中間部ス
ライド筒12,13内にクラッチ機構20の左右の機能
ブロック20L,20R(図2参照)を各々配設し、ク
ラッチ機構20によって中間部スライド筒12,13の
いずれか一方を操舵シャフト30に連結させる。そし
て、後輪操舵機構2は、操舵シャフト30を右方向に移
動させて後輪WL,WRを左方向に転舵させ、あるいは
操舵シャフト30を左方向に移動させて後輪WL,WR
を右方向に転舵させる。なお、後輪操舵機構2は、図示
しないタイロッドおよびナックルアームを含む左右のリ
ンク機構31,32を介して操舵シャフト30の両端部
が後輪WL,WRに各々連結する。
【0017】電子制御装置3は、前輪操舵装置FSから
の前輪操舵情報SFや車速センサSPSからの車速信号
Vに基づいて、後輪WL,WRの目標舵角と転舵方向を
設定する。さらに、電子制御装置3は、設定した目標舵
角と転舵方向に応じて、後輪操舵機構2の左右の電磁ア
クチュエータ21,22を作動するためのソレノイド電
流ISおよび電動モータ4を回転駆動するための電動機
電圧VMを出力し、電磁アクチュエータ21,22およ
び電動モータ4を制御する。さらに、電子制御装置3
は、自動車Aが停止時に実際に後輪WL,WRが転舵し
ていない(または転舵できない)と判定した時に、電動
モータ4への電動機電圧VMの出力を停止し、消費電力
を低減する。
【0018】電動モータ4は、減速機構4aを介して、
外部回転筒11を正回転または逆回転させる。ちなみ
に、外部回転筒11が正回転されると一対の中間部スラ
イド筒12,13が離間し、外部回転筒11が逆回転さ
れると一対の中間部スライド筒12,13が接近する。
電動モータ4は、直流モータであり、電動機電圧VMが
印加されると電動機電流IMが流れ、正転駆動または逆
転駆動する。なお、電動モータは、励磁方法の種類によ
って異なる駆動回路を用いれば、その他の異なる電動モ
ータを用いてもよい。
【0019】次に、図2乃至図6を参照して、後輪操舵
機構2について詳細に説明する。後輪操舵機構2は、直
線駆動機構10により電動モータ4の回転駆動力を直線
駆動力に変換する。そして、後輪操舵機構2は、クラッ
チ機構20の左機能ブロック20Lまたは右機能ブロッ
ク20Rのいずれか一方で直線駆動機構10と操舵シャ
フト30を連結し、直線駆動機構10の直線駆動力で操
舵シャフト30を従動する。なお、後輪操舵機構2は、
左機能ブロック20Lで連結した場合には操舵シャフト
30が左方向に移動し、後輪WL,WRを右方向に転舵
させる。他方、後輪操舵機構2は、右機能ブロック20
Rで連結した場合には操舵シャフト30が右方向に移動
し、後輪WL,WRを左方向に転舵させる。また、後輪
操舵機構2は、機構上の中立位置に戻すことによって、
後輪WL,WRを直進方向に戻す。
【0020】まず、図2を参照して、直線駆動機構10
について説明する。直線駆動機構10は、主として、外
部回転筒11と左右の中間部スライド筒12,13から
なる。
【0021】外部回転筒11は、外周面に、減速機構4
aの最終歯車4b(図4参照)に噛合する外歯歯車11
aが形成される。そして、外部回転筒11は、電動モー
タ4の駆動歯車からの回転駆動力が減速機構4aを介し
て外歯歯車11aに伝達され、回転する。なお、外部回
転筒11は、ケーシング(図示せず)内に回転自在に支
持される。
【0022】さらに、外部回転筒11は、内周面に、中
央部から左右に振り分けて互いに逆ねじとなる左ねじ部
11bと右ねじ部11cが螺刻される。そして、外部回
転筒11は、左右両側から一対の中間部スライド筒1
2,13が螺入される。なお、外部回転筒11と中間部
スライド筒12,13は、同軸となる。
【0023】中間部スライド筒12,13は、各外周面
の内端部から中央部に、左ねじ部11bまたは右ねじ部
11cに各々螺合するねじ部12a,13aが螺刻され
る。さらに、中間部スライド筒12,13は、各外周面
の外端部に摺動案内用の突起12b,13bが各々形成
されるとともに、各内周面の内端側に移動突起12c,
13cが操舵シャフト30に向けて各々形成される。こ
の突起12b,13bをケーシングに設けられた軸方向
の溝(図示せず)に係合させることによって、中間部ス
ライド筒12,13がケーシングに対して回転不能に支
持される。
【0024】そのため、外部回転筒11がケーシングに
対して回転すると、中間部スライド筒12,13は、外
部回転筒11に螺合するため、ケーシングに対して左右
軸方向に移動する。したがって、電動モータ4が正転駆
動すると、逆ねじ作用によって、中間部スライド筒1
2,13が外部回転筒11から左右外方に延び出して離
間する。なお、左右外方に延び出した場合、突起12
b,13bがケーシングの左右端部の各ストッパ(図示
せず)に各々当接し、中間部スライド筒12,13は最
外延出位置で停止する。ちなみに、中間部スライド筒1
2,13が最外延出位置を越えて延び出さないように、
ケーシング内での各部の取付位置および取付方向が予め
調節されている。他方、電動モータ4が逆転駆動する
と、逆ねじ作用によって、中間部スライド筒12,13
が外部回転筒11の内方に引き込まれ、機構上の中立位
置に戻る。
【0025】なお、中間部スライド筒12,13の一方
に、駆動ストロークセンサ14が設けられる(図1およ
び図4)。なお、本実施の形態では、左中間部スライド
筒12の突起12bの延出方向に、駆動ストロークセン
サ14が設けられる。駆動ストロークセンサ14は、両
中間部スライド筒12,13の軸方向の移動距離L2を
検出する。なお、この移動距離L2は、電子制御装置3
に入力され、電子制御装置3で後輪WL,WRの第2実
舵角θR2に変換される(図7参照)。
【0026】次に、図2および図3を参照して、クラッ
チ機構20について説明する。クラッチ機構20は、左
右機能ブロック20L,20Rを有し、中間部スライド
筒12,13に各々配設される。なお、左機能ブロック
20Lと右機能ブロック20Rは点対称で同一構成を有
するので、図3に示す左機能ブロック20Lの構成を代
表して説明する。
【0027】左機能ブロック20Lは、左電磁アクチュ
エータ21、左内部クラッチ筒23、左バネ機構25、
案内用貫通溝26aおよび案内用溝26bからなる。
【0028】左電磁アクチュエータ21は、ソレノイド
を内蔵し、左内部クラッチ筒23の外周部に配置され
る。左電磁アクチュエータ21は、ソレノイドに通電さ
れると可動ピン21aを突き出すアクチュエータであ
る。なお、電磁アクチュエータは、機構部での取付位置
や取付方向によって、回動作動に伴い可動ピンを揺動さ
せるものであってもよい。
【0029】左内部クラッチ筒23は、左中間部スライ
ド筒12に内接し、左中間部スライド筒12と同軸に摺
動回転する。左内部クラッチ筒23は、外周面の外端側
に、アーム状のクラッチレバー23aが突設される。ク
ラッチレバー23aは、左中間部スライド筒12に形成
された案内用貫通溝26aに突き出し、案内用貫通溝2
6aに沿って移動可能である。なお、案内用貫通溝26
aは、左中間部スライド筒12の外端部からL字状に内
周面から外周面に貫通して削設される。また、ケーシン
グにも同様に、案内用溝26bが形成される。そして、
左内部クラッチ筒23は、クラッチレバー23aが左バ
ネ機構25に付勢され、軸端部から見て反時計回り方向
に回転付勢される。なお、左バネ機構25は、例えば、
ねじりバネ等のバネである。
【0030】そのため、左機能ブロック20Lは、中間
部スライド筒12,13が中立位置の時に左電磁アクチ
ュエータ21に通電されると、可動ピン21aの先端部
が押し出され、左バネ機構25による回転付勢に抗して
クラッチレバー23aが案内用貫通溝26aおよび案内
用溝26bに沿って押し下げられる。すると、左機能ブ
ロック20Lは、クラッチレバー23aが案内用貫通溝
26aおよび案内用溝26bに導かれて、左内部クラッ
チ筒23が左中間部スライド筒12内で一定角度回転
(軸端部から見て時計回り方向に回転)する。つまり、
左内部クラッチ筒23は、クラッチレバー23aが案内
用貫通溝26aおよび案内用溝26bによって案内可能
な中間部スライド筒12,13が中立位置の時だけ回転
可能である。
【0031】さらに、左内部クラッチ筒23は、内周面
の外端部に、複数の内歯歯車状のクラッチ歯23c,・
・・23cが突設される。なお、クラッチ歯23c,・
・・23cは、所定ピッチで形成される。そして、操舵
シャフト30の外周面に、クラッチ歯23cと同数の外
歯歯車状の係合歯30a,・・・30aが突設される。
係合歯30a,・・・30aは、各クラッチ歯23c,
・・・23cに対向する位置に同様のピッチで形成され
る。そのため、クラッチ歯23cと係合歯30aは、各
係合歯30aと各クラッチ歯23cをスプライン結合さ
せると、各係合歯30aを各クラッチ歯23c,23c
間に形成される谷溝23e内に滑り込ませることができ
る配置である。したがって、左電磁アクチュエータ21
に通電し、クラッチレバー23aを押し下げて左内部ク
ラッチ筒23を回転させ、各クラッチ歯23cを各係合
歯30a,30a間に形成される谷溝30b内に滑り込
ませることができる。
【0032】なお、左右電磁アクチュエータ21,22
(図1参照)が通電されず非励磁の場合、左右機能ブロ
ック20L,20Rと操舵シャフト30がそれぞれ係合
(クラッチオン)状態にある。他方、左右電磁アクチュ
エータ21,22(図1参照)が通電されて励磁された
場合、左右機能ブロック20L,20Rと操舵シャフト
30が非係合(クラッチオフ)状態にある。なお、中間
部スライド筒12,13が中立位置以外の位置では、案
内用溝26b、27bにより内部クラッチ筒23,24
が元に戻らない(すなわち、回転不能)構造であるた
め、左右機能ブロック20L,20Rが作動しない。
【0033】また、各内部クラッチ筒23,24は、内
端部に、係止鈎23d、24dが設けられる。係止鈎2
3d、24dは、両内部クラッチ筒23,24が同時に
回転した時に互いに係止し合って左右移動を抑止するた
めに、内部クラッチ筒23,24の各内端から延び出し
て形成される。
【0034】次に、図2および図3を参照して、操舵シ
ャフト30について説明する。操舵シャフト30は、内
部クラッチ筒23,24内に挿入される。なお、操舵シ
ャフト30は、外部回転筒11、中間部スライド筒1
2,13および内部クラッチ筒23,24と同軸であ
る。さらに、操舵シャフト30は、図示しないタイロッ
ドおよびナックルアームを含む左右のリンク機構31,
32(図1参照)を介して両端部が左右の後輪WL,W
Rに各々連結する。そのため、後輪WL,WRは、キン
グピン(図示せず)を介して転舵可能となる。
【0035】また、操舵シャフト30は、外周面の一方
の軸端部に、ガイドピン30c,30cが突設される。
操舵シャフト30は、ガイドピン30c,30cがケー
シングに凹状に削設されたガイド(図示せず)に沿って
摺動し、左右軸方向に移動可能に軸支されるとともに、
ケーシングに対して回り止めされる。
【0036】なお、操舵シャフト30のガイドピン30
c、30cの延出方向に、操舵シャフト30の左右軸方
向への従動による移動距離を検出する操舵ストロークセ
ンサ33(図1、図4参照)が設けられる。操舵ストロ
ークセンサ33は、操舵シャフト30の左右移動方向と
移動距離L1を検出する。なお、この移動距離L1は、
電子制御装置3に入力され、電子制御装置3で後輪W
L,WRの第1実舵角θR1に変換される(図7参
照)。なお、本実施の形態では、操舵ストロークセンサ
33が、特許請求の範囲に記載の実舵角検出手段に相当
する。
【0037】それでは、図4および図5を参照して、後
輪操舵機構2の動作について説明する。ここでは、動作
の一例として、操舵シャフト30を右方向に移動させて
後輪WL,WRを左方向に転舵し、転舵後、操舵シャフ
ト30を中立位置に戻して後輪WL,WRを直進方向に
戻す場合について説明する。
【0038】まず、左右中間部スライド筒12,13が
中立位置の時に、左電磁アクチュエータ21(図1参
照)が、通電されて励磁し、可動ピンによって左内部ク
ラッチ筒23のクラッチレバー23aを押し下げる(図
2参照)。すると、左内部クラッチ筒23が回転し、左
内部クラッチ筒23の各クラッチ歯23c(図2参照)
が操舵シャフト30の各谷溝30bと対向する位置に回
転する。そして、左機能ブロック20Lと操舵シャフト
30が非係合(クラッチオフ)状態になる。このとき、
右電磁アクチュエータ22は非励磁なので、右機能ブロ
ック20Rは、各係合歯30aを介して操舵シャフト3
0と係合する。その結果、操舵シャフト30が、右機能
ブロック20Rを介して右中間部スライド筒13と連結
し、右中間部スライド筒13に従動して右方向に移動可
能となる。
【0039】続いて、図4に示すように電動モータ4を
正回転させると、外部回転筒11が回転する。すると、
外部回転筒11のねじ部11b,11cと左右中間部ス
ライド筒12,13のねじ部12a、13aによる逆ね
じ作用により、左右中間部スライド筒12,13が外部
回転筒11の外方に延び出し離間する。このとき、左内
部クラッチ筒23の各クラッチ歯23cと操舵シャフト
30の各係合歯30aは係合しないが、右内部クラッチ
筒24の各クラッチ歯24cと操舵シャフト30の各係
合歯30aは係合している(図2参照)。そのため、操
舵シャフト30が、右内部クラッチ筒24を介して右中
間部スライド筒13に押しやられるため、右中間部スラ
イド筒13の延出に伴って右方向に従動する。さらに、
操舵シャフト30の右方向への移動(すなわち、右後輪
WR側への移動)に連動して、両後輪WL,WRが自動
車Aの直進方向に対して左方向に転舵する。
【0040】転舵後、図5に示すように電動モータ4を
逆回転させると、外部回転筒11が逆回転する。する
と、外部回転筒11のねじ部11b,11cと左右中間
部スライド筒12,13のねじ部12a、13aによる
逆ねじ作用により、左右中間部スライド筒12,13が
外部回転筒11の内方に引き込まれ接近する。このと
き、右中間部スライド筒13の移動突起13cが、左方
向に移動し、操舵シャフト30のセンタリング突起30
fに当接する。そして、移動突起13cの移動に伴って
センタリング突起30fが左方向に移動するため、右中
間部スライド筒13の引込に伴って操舵シャフト30が
左方向に従動する。さらに、操舵シャフト30の左方向
への移動(すなわち、左後輪WL側への移動)に連動し
て、両後輪WL,WRの転舵方向が左方向から直進方向
に変わる。そして、操舵シャフト30および左右中間部
スライド筒12,13が中立位置となり、両後輪WL,
WRの転舵方向が直進方向に戻される。
【0041】なお、後輪操舵を行なう場合、電子制御装
置3は、駆動ストロークセンサ14によって左右中間部
スライド筒12,13および操舵ストロークセンサ33
によって操舵シャフト30を監視しながら、前輪の操舵
状況を前提条件として左右電磁アクチュエータ21,2
2および電動モータ4を制御する。そして、後輪操舵装
置1は、前輪操舵に協働させて後輪WL,WRを左方向
または右方向に転舵したり、直進方向に戻して、自動車
Aの姿勢制御をアシストする後輪操舵を実現している。
【0042】次に、図6を参照して、左右内部クラッチ
筒23,24の係止鈎23d,24dによる作用につい
て説明する。
【0043】なお、ケーシングの各案内用溝26b,2
7bの中央縦部26c、27cの長さは、左右中間部ス
ライド筒12,13の各案内用貫通溝26a、27aの
中央縦部26d,27dより短く形成してある。これ
は、左右内部クラッチ筒23,24の各クラッチレバー
23a,24aが案内用貫通溝26a、27aから外れ
落ちないようにするためである。
【0044】左右電磁アクチュエータ21,22のいず
れか一方が作動すると、作動した側の内部クラッチ筒2
3または24が回転する。このとき、左右内部クラッチ
筒23,24の係止鈎23d,24dは、相対的に接近
するが、互いに係止し合う位置までは接近しない。
【0045】しかし、両電磁アクチュエータ21,22
が作動して両内部クラッチ筒23,24が同時に回転す
ると、係止鈎23d,24dは、互いに係止し合う位置
まで移動することができる。そして、係止鈎23d,2
4d同士が係止し合うと両電磁アクチュエータ21,2
2の同時作動による誤った後輪操舵とみなし、両内部ク
ラッチ筒23,24が係止鈎23d,24dの係止によ
って外方に延び出さない構造となっている。したがっ
て、両電磁アクチュエータ21,22が同時に作動した
場合には、後輪WL,WRは操舵されずに直進方向が維
持される。
【0046】それでは、図7を参照して、電子制御装置
3について説明する。電子制御装置3は、CPU40、
ソレノイド通電手段50、電動機駆動手段60および電
動機電流検出手段70等から構成される。電子制御装置
3は、CPU40が前輪操舵装置FSからの前輪操舵情
報SFおよび車速センサSPSからの車速信号V等に基
づいて目標舵角θrと転舵方向Drを設定する。そし
て、電子制御装置3では、CPU40が、目標舵角θr
と転舵方向Drに基づいて、電動モータ4への制御と左
右電磁アクチュエータ21,22への制御を行なう。さ
らに、電子制御装置3は、自動車Aが停止時に実際に後
輪WL,WRが転舵していない(または転舵できない)
と判定した時に、電動モータ4による電力消費を低減す
るために、電動モータ4に対する電動機電圧VMの印加
を停止する。なお、本実施の形態では、前輪操舵情報S
Fや車速信号V等による自動車Aの走行情報から、特許
請求の範囲に記載の車両の走行状態を得ている。
【0047】まず、図7を参照して、CPU40につい
て説明する。CPU40は、目標舵角設定部41、転舵
方向設定部42、減算部43、PID演算部44、駆動
制御部45、第1実舵角計測部46、第2実舵角計測部
47および電力低減部48等からなる。CPU40は、
電動モータ4を制御するために電動機駆動手段60のF
ETのブリッジ回路60a(図9参照)に対してFET
制御を行なうとともに、左右電磁アクチュエータ21,
22の制御を行なう。そのために、CPU40は、電動
機駆動手段60に電動機制御信号SCを出力するととも
に、転舵方向Drの情報を内蔵レジスタに設定する。さ
らに、CPU40は、電動モータ4による消費電力の低
減のために、電動モータ4への電動機電圧VMの出力を
停止するか否かの制御を行なう。
【0048】目標舵角設定部41は、前輪操舵装置FS
からの前輪操舵情報SFと車速センサSPSからの車速
信号Vおよび第1実舵角計測部46からの第1実舵角θ
R1が入力され、後輪WL,WRの目標舵角θrと転舵
方向Drおよび制御モードを設定する。目標舵角設定部
41は、前輪操舵情報SFに含まれる前輪舵角および車
速信号Vに基づいて、後輪WL,WRの目標舵角θrを
設定する。さらに、目標舵角設定部41は、目標舵角θ
r、前輪の転舵方向および第1実舵角θR1に基づい
て、転舵方向Drおよび制御モードを設定する。ちなみ
に、第1実舵角θR1は、正負の値であり、この符号に
よって後輪WL,WRの実際の転舵方向の情報も含む。
【0049】車速センサSPSは、自動車Aの車速を検
出する。なお、車速センサSPSは、後輪操舵装置1の
専用センサであってもよいし、他のシステムの車速セン
サを利用してもよい。車速センサSPSの車速信号Vは
単位時間当たりのパルス数であり、CPU40は、この
パルス数から車速を演算する。なお、本実施の形態で
は、車速センサSPSが、特許請求の範囲に記載の車速
検出手段に相当する。
【0050】転舵方向設定部42は、目標舵角設定部4
1で設定した転舵方向Drを内蔵レジスタに設定する。
【0051】減算部43は、目標舵角設定部41で設定
した目標舵角θrから第1実舵角計測部46で演算され
た第1実舵角θR1を減算し、実際に後輪WL,WRを
転舵させる角度である舵角偏差Δθrを演算する。
【0052】PID演算部44は、減算部43で演算さ
れた舵角偏差Δθrからその比例項、積分項および微分
項を演算する。なお、これら比例項等のパラメ−タは、
舵角偏差Δθrに基づく値である。また、各種の演算係
数は、後輪操舵機構2の構造特性に基づいて決まる値で
あり、予め作動試験等で求めた統計上の平均値等を用い
てもよい。
【0053】駆動制御部45は、目標舵角設定部41か
らの転舵方向Dr、PID演算部44からの舵角偏差Δ
θrの比例項、積分項と微分項、第1実舵角計測部46
からの第1実舵角θR1、第2実舵角計測部47からの
第2実舵角θR2、電力低減部48からの電力低減信号
SSおよび電動機電流検出手段70からの電動機電流信
号IMOが入力され、電動機駆動手段60に電動機制御
信号SCを出力する。そのために、駆動制御部45は、
PWM信号生成部(図示せず)および論理回路45a等
を備える(図8参照)。まず、駆動制御部45は、PI
D演算部44で演算した舵角偏差Δθrの比例項、積分
項および微分項に基づいて、舵角偏差Δθrの大きさに
応じた電動モータ4に流す目標電動機電流を設定する。
そして、駆動制御部45は、この目標電動機電流、舵角
偏差Δθr、電動機電流信号IMOおよび転舵方向Dr
に基づいて、PWM[Pulse Width Mod
ulation]信号VPWM、オン信号VONおよび
オフ信号VOFを生成する。そして、駆動制御部45
は、電動モータ4の駆動を停止するか否か(消費電力を
低減するか否か)を判定するために、論理回路45aで
PWM信号VPWM、オン信号VONおよびオフ信号V
OFと電力低減信号SSとを論理判定する。論理判定
後、駆動制御部45は、電動機制御信号SCを電動機駆
動手段60に出力する。なお、電動機制御信号SCは、
論理判定されたPWM信号VPWM、オン信号VONお
よびオフ信号VOFで構成され、電動機駆動手段60の
ブリッジ回路60aを制御する信号である(図9参
照)。具体的には、ブリッジ回路60aのFET62,
64にはPWM信号VPWMまたはオフ信号VOFが設
定され、FET63,65にはオン信号VONまたはオ
フ信号VOFが設定される。なお、駆動制御部45は、
第1実舵角θR1、第2実舵角θR2および電動機電流
信号IMO等を使用して後輪WL,WRの中立位置判定
を行なう。
【0054】ここで、図8を参照して、駆動制御部45
の論理回路45aを説明しておく。論理回路45aは、
PWM信号生成部で生成されたPWM信号VPWM、オ
ン信号VONおよびオフ信号VOFと電力低減部48か
らの電力低減信号SSが入力され、電動機制御信号SC
を出力する。そのために、論理回路45aは、NOT回
路45b,45c,45d,45eとAND回路45
f,45g,45h,45iを備える。各NOT回路4
5b,45c,45d,45eは、電力低減部48から
の電力低減信号SSが入力され、AND回路45f,4
5g,45h,45iに電力低減信号SSの論理レベル
を反転出力する。AND回路45f,45g,45h,
45iは、各NOT回路45b,45c,45d,45
eの出力とPWM信号VPWM、オン信号VONまたは
オフ信号VOFが入力され、FET62,63,64,
65の各ゲートG1,G2,G3,G4に論理判定後の
電動機制御信号SCを出力する。各AND回路45f,
45g,45h,45iは、全NOT回路45b,45
c,45d,45eの出力が0の場合(すなわち、電力
低減信号SSの論理レベル1で電動モータ4の駆動を停
止して消費電力を低減する場合)には、全て論理レベル
0(オフ信号VOF)を出力する。他方、各AND回路
45f,45g,45h,45iは、全NOT回路45
b,45c,45d,45eの出力が1の場合(すなわ
ち、電力低減信号SSの論理レベル0で電動モータ4の
駆動を停止しない場合)には、入力されたPWM信号V
PWM、オン信号VONまたはオフ信号VOFをそのま
ま出力する。
【0055】電動モータ4の駆動を停止しない場合、駆
動制御部45は、PWM信号VPWMを電動機駆動手段
60のFET62のゲートG1またはFET64のゲー
トG3に出力し、FET62またはFET64をPWM
駆動する(図9参照)。なお、PWM信号VPWMをゲ
ートG1かゲートG3のどちらのゲートに出力するか
は、転舵方向Drおよび舵角偏差Δθrによって決ま
る。つまり、駆動制御部45は、転舵方向Drと舵角偏
差Δθrに基づいて、後輪WL,WRの舵角を大きくす
るか小さくするのかを判断する。そして、駆動制御部4
5は、舵角を大きくする場合には電動モータ4を正転駆
動(すなわち、中間部スライド筒12,13を離間)す
るためにゲートG1にPWM信号VPWMを出力し、舵
角を小さくする場合には電動モータ4を逆転駆動(すな
わち、中間部スライド筒12,13を接近)するために
ゲートG3にPWM信号VPWMを出力する。さらに、
駆動制御部45は、ゲートG1にPWM信号VPWMを
出力する場合には、FET63のゲートG2にオン信号
VONを出力し、FET63をオン駆動する。他方、駆
動制御部45は、ゲートG3にPWM信号VPWMを出
力する場合には、FET65のゲートG4にオン信号V
ONを出力し、FET65をオン駆動する。また、駆動
制御部45は、ゲートG1またはゲートG3のうちPW
M信号VPWMを出力しないゲートにはオフ信号VOF
を出力し、FET62またはFET64をオフする。そ
して、駆動制御部45は、FET62をオフする場合に
はFET63のゲートG2にオフ信号VOFを出力して
FET63をオフし、FET64をオフする場合にはF
ET65のゲートG4にオフ信号VOFを出力してFE
T65をオフする。その結果、電動モータ4の正転駆動
または逆転駆動によって後輪操舵機構2の操舵シャフト
30が左右軸方向に移動または中立位置に戻り、後輪W
L,WRが左方向、右方向転舵または直進方向となる。
【0056】他方、電動モータ4の駆動を停止して消費
電力を低減する場合、駆動制御部45は、オフ信号VO
Fを電動機駆動手段60の全ゲートG1,G2,G3,
G4に出力し、全FET62,63,64,65をオフ
する。その結果、電動モータ4には電動機電圧VMの印
加が停止され(電動機電流IMの出力が停止され)、電
動モータ4の駆動が停止される。さらに、電動モータ4
の駆動停止によって後輪操舵機構2の操舵シャフト30
の移動が停止し、後輪WL,WRの転舵が停止する。
【0057】第1実舵角計測部46は、操舵ストローク
センサ33からの移動距離L1が入力され、この移動距
離L1を後輪WL,WRの実際の舵角である第1実舵角
θR1に変換する。なお、操舵ストロークセンサ33は
操舵シャフト30の移動方向を検出できるので、第1実
舵角θR1は、操舵シャフト30の中立位置から左方向
への移動距離(すなわち、後輪WL,WRの右方向転
舵)を正値とし、右方向への移動距離(すなわち、後輪
WL,WRの左方向転舵)を負値とする。
【0058】第2実舵角計測部47は、駆動ストローク
センサ14からの移動距離L2が入力され、この移動距
離L2を後輪WL,WRの実際の舵角である第2実舵角
θR2に変換する。なお、駆動ストロークセンサ14は
移動した方向を検出することができないので、第2実舵
角θR2は、操舵シャフト30の移動方向(すなわち、
後輪WL,WRの転舵方向)に関係なく設定され、正値
とする。
【0059】なお、駆動ストロークセンサ14は、移動
方向を検出することができないが、操舵ストロークセン
サ33に比較して移動距離の検出精度が高い。そのた
め、第2実舵角θR2は、後輪WL,WRの転舵方向の
情報を含まないが、後輪WL,WRの実舵角としては第
1実舵角θR1より高精度である。
【0060】電力低減部48は、車速センサSPSから
の車速信号V、目標舵角設定部41からの目標舵角θ
r、第1実舵角計測部46からの第1実舵角θR1、第
2実舵角計測部47からの第2実舵角θR2および電動
機電流検出手段70からの電動機電流信号IMOが入力
され、駆動制御部45に電力低減信号SSを出力する。
電力低減部48は、電動モータ4の消費電力の低減を目
的として、自動車Aが停止時に後輪操舵装置1による後
輪WL,WRの転舵を停止(電動モータ4の駆動を停
止)してもよいか否かを判定する。そして、電力低減部
48は、停止してもよい場合には、電動モータ4の駆動
を停止するために、電力低減信号SSに1を設定する。
なお、電力低減信号SSは、電動モータ4の駆動を停止
するか否かを表す信号であり、電動モータ4の駆動を停
止する場合には論理レベルとして1が設定され、電動モ
ータ4の駆動を停止しない場合には論理レベルとして0
が設定される。
【0061】本実施の形態では電動モータ4の駆動を停
止する(すなわち、電力低減を開始する)か否かの3つ
の制御について説明するが、電力低減部48は、この3
つの制御の内のいずれか1つの制御によって電動モータ
4の駆動を停止するか否かの判定を行なう。以下に説明
する第1乃至第3の3つの実施の形態の電力低減開始制
御の各フローチャートに対して、電力低減部48は、C
PU40の処理速度に基づいて、一定時間間隔毎に各フ
ローチャートの処理を繰り返し実行する。そして、電力
低減部48は、フローチャートの処理を1回実行する毎
に電動モータ4の駆動停止条件を判定し、電動モータ4
の駆動停止条件を連続して条件連続時間満たした場合
に、電動モータ4の駆動を停止してもよいと判定する。
なお、CPU40が起動されると、電力低減部48は、
初期化処理として、電力低減フラグに0を設定し、電力
低減タイマに初期タイマ値を設定する。また、各フロー
チャートの処理を1回実行する毎(つまり、一定時間間
隔毎)に、電力低減部48には、最新の車速信号V、目
標舵角θr、第1実舵角θR1、第2実舵角θR2およ
び電動機電流信号IMOが入力される。
【0062】なお、電力低減フラグは、電動モータ4の
駆動を停止する場合には1が設定され、電動モータ4の
駆動を停止しない場合には0が設定される。電力低減タ
イマは、電動モータ4の駆動停止条件が連続して満たさ
れている時間を計測するタイマである。この電力低減タ
イマは、初期タイマ値(正の整数)が設定され、各フロ
ーチャートの1回の処理で電動モータ4の駆動停止条件
が満たされている毎にタイマ値から1が減算される。そ
して、電力低減タイマのタイマ値が0になると、電力低
減フラグに1が設定され、電動モータ4の駆動停止が実
行される。なお、初期タイマ値は、各フローチャートの
処理が1回実行される一定時間間隔と条件連続時間によ
って決定される。例えば、各フローチャートの処理が1
00mS毎に実行され、条件連続時間が10秒の場合、
初期タイマ値は100である。また、条件連続時間は、
電動モータ4の駆動を停止してもよい(つまり、後輪W
L,WRを操舵しなくても実用上問題無いまたは後輪W
L,WRを操舵できない)と確認するために充分な時間
であり、かつ後輪操舵装置1の動作確認を行なうために
自動車Aの停止からステアリングホイール操作を行なう
ことができる充分な時間であり、数秒から数十秒程度の
時間が設定される。
【0063】それでは、図10のフローチャートに沿っ
て、第1の実施の形態の電力低減開始制御について説明
する。なお、随時、図1および図7を参照する。まず、
電力低減部48は、電力低減フラグが0か否かを判定す
る(ステップS10)。電力低減フラグが1の場合は、
既に、電動モータ4の駆動を停止して消費電力の低減を
実行しているので、電力低減部48は、電動モータ4の
駆動停止条件の判定を行なわずに処理を終了する。
【0064】他方、電力低減フラグが0の場合、電力低
減部48は、車速信号Vに基づいて、車速が電力低減開
始車速以下か否かを判定する(ステップS11)。つま
り、自動車Aが停止している場合、後輪操舵装置1によ
って後輪WL、WRを操舵しなくても実用上問題無いの
で、自動車Aが停止を電動モータ4の駆動を停止する1
つの条件とする。また、自動車Aが停止している場合、
路面反力が大きいので、電動モータ4では最も電力を消
費する。したがって、自動車Aが停止している時に、電
動モータ4の駆動を停止するのが、消費電力を低減する
には最も効果的である。なお、電力低減開始車速は、車
速センサSPSの検出精度等を考慮して、自動車Aの停
止と判定できる車速が設定され、数km/hの車速が設
定される。というのは、実際の車速が数km/h(例え
ば、3km/h)でも、車速センサSPSの検出精度に
より、車速センサSPSからの車速信号Vでは車速0k
m/hと検出する場合がある。そこで、自動車Aの停止
時を判定する場合、0km/hか否かで判定するのでは
なく、車速センサSPSの検出精度等を考慮して、数k
m/h以下を自動車Aが停止と判定する。
【0065】そして、車速が電力低減開始車速より速い
場合、電力低減部48は、自動車Aが停止していないと
判定し、電力低減タイマのタイマ値を初期タイマ値に設
定して処理を終了する(ステップS17)。他方、車速
が電力低減開始車速以下の場合、電力低減部48は、自
動車Aが停止していると判定する。そして、電力低減部
48は、第2実舵角θR2が中立確認角以上か否かを判
定する(ステップS12)。つまり、中立位置付近で電
動モータ4の駆動を停止するとガタや外力等で制御が乱
れる恐れがあるので、後輪WL,WRが中立位置付近で
ないことを電動モータ4の駆動を停止する1つの条件と
する。なお、中立確認角は、後輪WL,WRの最大転舵
角や後輪操舵装置1の装置特性等を考慮して、十分の数
°程度の微小角が設定される。ちなみに、この判定は、
後輪WL、WRの転舵方向には関係なく、後輪WL,W
Rの実舵角が中立位置付近にあるか否かを高精度に判定
する必要があるので、検出精度の高い第2実舵角θR2
を使用する。
【0066】そして、第2実舵角θR2が中立確認角未
満の場合、電力低減部48は、後輪WL,WRが中立位
置付近にあると判定し、電力低減タイマのタイマ値を初
期タイマ値に設定して処理を終了する(ステップS1
7)。他方、第2実舵角θR2が中立確認角以上の場
合、電力低減部48は、後輪WL,WRが中立位置付近
にないと判定する。そして、電力低減部48は、今回の
処理で入力された第1実舵角θR1と前回の処理で入力
された第1実舵角θR1との差の絶対値として第1実舵
角差を演算し、後輪WL,WRの実舵角の時間的な変化
を検出する。さらに、電力低減部48は、この演算した
第1実舵角差が後輪変化実舵角以下か否かを判定する
(ステップS13)。つまり、自動車Aが停止時に実際
に後輪WL,WRが転舵していない場合、後輪操舵装置
1によって後輪WL、WRを操舵しなくても実用上問題
無いので、後輪WL,WRの実舵角の時間的な変化が無
い場合を電動モータ4の駆動を停止する1つの条件とす
る。なお、実際に後輪WL,WRが転舵していないの
は、第1実舵角θR1と目標舵角θrが一致して電動モ
ータ4が駆動されていない場合、あるいは第1実舵角θ
R1と目標舵角θrが一致していないが路面反力が大き
いために電動モータ4を駆動しているにもかかわらず後
輪WL,WRが転舵しない場合等がある。また、後輪変
化実舵角は、フローチャートの処理が一回実行される一
定時間間隔や後輪WL,WRの最大転舵角等を考慮し
て、百分の数°程度の微小角に設定される。ちなみに、
この判定では、実舵角の変化を検出するためには後輪W
L、WRの転舵方向も関係するので、第1実舵角θR1
を使用する。
【0067】そして、演算した第1実舵角差が後輪変化
実舵角より大きい場合、電力低減部48は、後輪WL,
WRが転舵されていると判定し、電力低減タイマのタイ
マ値を初期タイマ値に設定して処理を終了する(ステッ
プS17)。他方、この演算した第1実舵角差が後輪変
化実舵角以下の場合、電力低減部48は、実際に後輪W
L,WRが転舵されていないと判定する。そこで、電力
低減部48は、電力低減タイマのタイマ値を1減算する
(ステップS14)。つまり、電力低減部48は、電動
モータ4の駆動停止条件が満たされているので、電力低
減タイマを進める。なお、第1の実施の形態では、ステ
ップS11からステップS13の全ての条件が満たされ
た場合、電動モータ4の駆動停止条件が満たされたと判
定する。
【0068】さらに、電力低減部48は、電力低減タイ
マのタイマ値が0か否かを判定する(ステップS1
5)。つまり、電力低減部48は、電動モータ4の駆動
停止条件が連続して条件連続時間満たされているか否か
を判定する。
【0069】そして、電力低減タイマのタイマ値が0で
ない場合、電力低減部48は、電力低減タイマのタイマ
値を保持して処理を終了する。他方、電力低減タイマの
タイマ値が0の場合、電力低減部48は、電動モータ4
の駆動を停止してよいと判定する。そこで、電力低減部
48は、電力低減フラグに1を設定して処理を終了する
(ステップS16)。つまり、電力低減部48は、電動
モータ4の駆動を停止して後輪WL,WRの転舵を停止
しても実用上問題無いと判定し、電動モータ4を停止し
て電力低減を開始する。なお、この駆動停止判定には、
第1実舵角θR1と目標舵角θrが一致していないため
に電動モータ4を駆動しているにもかかわらず、路面反
力より大きい転舵力を電動モータ4の駆動によって発生
することができない場合も含まれる。この場合、電動モ
ータ4に電力を供給しても無駄になるので、電動モータ
4の駆動を停止する。
【0070】ちなみに、ユーザが、後輪操舵装置1の動
作確認を行なうために、自動車Aを停止(自動車Aのエ
ンジンを始動)させてから条件連続時間内にステアリン
グホイールを操作(すなわち、前輪が転舵)したとす
る。すると、路面反力より大きな転舵力を電動モータ4
によって発生させることができる場合、勿論、後輪操舵
装置1では、後輪WL,WRが転舵し、第1実舵角θR
1が変化する。そのため、電力低減部48は、ステップ
S13の判定で電動モータ4の駆動停止条件を解除し、
電力低減フラグには1を設定しない。その結果、電動モ
ータ4の駆動が停止されずに、動作確認が可能となる。
【0071】この第1の実施の形態に係る電力低減開始
制御では、自動車Aが停止時に第1実舵角θR1の時間
的な変化がない状態が条件連続時間継続した場合、後輪
操舵装置1によって後輪WL,WRを操舵する必要がな
い(あるいは操舵することができない)と判定する。こ
の場合、電動モータ4に電力を供給しても無駄になるの
で、電力低減部48は、積極的に電動モータ4への電力
供給を停止し、電力低減を図る。
【0072】次に、図11のフローチャートに沿って、
第2の実施の形態の電力低減開始制御について説明す
る。なお、随時、図1および図7を参照する。この第2
の実施の形態の電力低減開始制御は、第1の実施の形態
の電力低減開始制御に対してステップS12とステップ
S13の間にステップS18の処理が追加された制御で
ある。そこで、このステップS18の処理について詳細
に説明する。
【0073】ステップS12の処理で第2実舵角θR2
が中立確認角以上の場合、電力低減部48は、後輪W
L,WRが中立位置付近にないと判定する。そして、電
力低減部48は、目標舵角θrと第1実舵角θR1との
差の絶対値を演算し、後輪WL,WRの目標舵角と実舵
角との差を検出する。さらに、電力低減部48は、この
演算した絶対値が電力低減舵角差以上か否かを判定する
(ステップS18)。つまり、目標舵角θrと第1実舵
角θR1との差がある程度大きい場合、CPU40で
は、後輪WL,WRの実舵角を目標舵角θrに一致させ
るために、電動機制御信号SCを電動機駆動手段60に
出力する。すると、電動機駆動手段60では、電動機制
御信号SCに基づいて、電動モータ4に電動機電圧VM
を印加し、電動モータ4にある程度以上電動機電流IM
(例えば、10A程度)を流す。さらに、後輪操舵装置
1では、電動モータ4の駆動によって、後輪操舵機構2
を介して後輪WL,WRが転舵する。しかし、路面反力
が大きい場合、電動モータ4は大きな電動機電流IMが
流れて駆動しているにもかかわらず、後輪WL,WRが
転舵しない。したがって、目標舵角θrと第1実舵角θ
R1との差の絶対値が電力低減舵角差以上の場合に、後
輪WL,WRの実舵角が時間的に変化しないと、路面反
力が大きいので後輪WL、WRを転舵することができな
いと判定することができる。この場合、電動モータ4に
電力を供給するのは無駄になるので、電動モータ4の駆
動を停止する。そこで、目標舵角θrと第1実舵角θR
1との差の絶対値が電力低減舵角差以上の場合を電動モ
ータ4の駆動を停止する1つの条件とする。なお、電力
低減舵角差は、電動モータ4に流す電動機電流IMと後
輪WL,WRの実舵角と目標舵角との差の関係や後輪W
L,WRの最大転舵角等を考慮して、数°程度の角度に
設定される。ちなみに、この判定では、後輪WL,WR
の実舵角と目標舵角との差を検出するためには後輪W
L、WRの転舵方向も関係するので、第1実舵角θR1
を使用する。
【0074】そして、目標舵角θrと第1実舵角θR1
との差の絶対値が電力低減舵角差未満の場合、電力低減
部48は、電動モータ4にはある程度以上の電動機電流
IMが流れていないと判定し、電力低減タイマのタイマ
値を初期タイマ値に設定して処理を終了する(ステップ
S17)。つまり、電動モータ4に流れている電動機電
流IMが小さい場合、電動モータ4の駆動を停止して積
極的に電力を低減する必要がないので、電動モータ4の
駆動を停止しない。
【0075】他方、目標舵角θrと第1実舵角θR1と
の差の絶対値が電力低減舵角差以上の場合、電力低減部
48は、電動モータ4にはある程度以上の電動機電流I
Mが流れていると判定し、ステップS13の処理に移
る。つまり、電動モータ4に流れている電動機電流IM
がある程度以上大きい場合に、路面反力が大きいために
後輪WL,WRを転舵させることができないと、電力の
無駄になる。そこで、電動モータ4の駆動を停止して、
積極的に電力を低減する。なお、第2の実施の形態で
は、ステップS11からステップS13およびステップ
S18の全ての条件が満たされた場合、電動モータ4の
駆動停止条件が満たされたと判定する。
【0076】この第2の実施の形態に係る電力低減開始
制御では、自動車Aが停止時に目標舵角θrと第1実舵
角θR1との差がある程度以上ありかつ第1実舵角θR
1の時間的な変化がない状態が条件連続時間継続した場
合、後輪操舵装置1によって後輪WL,WRを操舵する
ことができないと判定する。つまり、電動モータ4が駆
動しているにもかかわらず、路面反力が大きいために、
後輪WL,WRが転舵することができない。この場合、
電動モータ4に電力を供給しても無駄になるので、電力
低減部48は、積極的に電動モータ4への電力供給を停
止し、電力の低減を図る。
【0077】次に、図12のフローチャートに沿って、
第3の実施の形態の電力低減開始制御について説明す
る。なお、随時、図1および図7を参照する。この第3
の実施の形態の電力低減開始制御は、第1の実施の形態
の電力低減開始制御に対してステップS12とステップ
S13の間にステップS19の処理が追加された制御で
ある。そこで、このステップS19の処理について詳細
に説明する。
【0078】ステップS12の処理で第2実舵角θR2
が中立確認角以上の場合、電力低減部48は、後輪W
L,WRが中立位置付近にないと判定する。そして、電
力低減部48は、電動機電流信号IMOに基づいて、電
動機電流IMが電力低減電動機電流以上か否かを判定す
る(ステップS19)。つまり、電動モータ4にある程
度以上大きな電動機電流IM(例えば、10A程度)が
流れると、電動モータ4の駆動によって、後輪操舵機構
2を介して後輪WL,WRが転舵する。しかし、路面反
力が大きい場合、電動モータ4は大きな電動機電流IM
が流れて駆動しているにもかかわらず、後輪WL,WR
が転舵しない。したがって、電動機電流信号IMが電力
低減電動機電流以上の場合に、後輪WL,WRの実舵角
が時間的に変化しないと、路面反力が大きいので後輪W
L、WRを転舵することができないと判定することがで
きる。この場合、電動モータ4に電力を供給するのは無
駄になるので、電動モータ4の駆動を停止する。そこ
で、電動機電流IMが電力低減電動機電流以上の場合を
電動モータ4の駆動を停止する1つの条件とする。な
お、電力低減電動機電流は、電動モータ4の特性等を考
慮して、数A〜数十A程度の電流に設定される。
【0079】そして、電動機電流IMが電力低減電動機
電流未満の場合、電力低減部48は、電力低減タイマの
タイマ値を初期タイマ値に設定して処理を終了する(ス
テップS17)。つまり、電動モータ4に流れている電
動機電流IMが小さい場合、電動モータ4の駆動を停止
して積極的に電力を低減する必要がないので、電動モー
タ4の駆動を停止しない。
【0080】他方、電動機電流IMが電力低減電動機電
流以上の場合、電力低減部48は、ステップS13の処
理に移る。つまり、電動モータ4に流れている電動機電
流IMがある程度以上大きい場合に、路面反力が大きい
ために後輪WL,WRを転舵させることができないと、
電力の無駄になる。そこで、電動モータ4の駆動を停止
して、積極的に電力を低減する。なお、第3の実施の形
態では、ステップS11からステップS13およびステ
ップS19の全ての条件が満たされた場合、電動モータ
4の駆動停止条件が満たされたと判断する。
【0081】この第3の実施の形態に係る電力低減開始
制御では、自動車Aが停止時に電動機電流IMが電力低
減電動機電流以上かつ第1実舵角θR1の時間的な変化
がない状態が条件連続時間継続した場合、後輪操舵装置
1によって後輪WL,WRを操舵することができないと
判定する。つまり、電動モータ4が駆動しているにもか
かわらず、路面反力が大きいために、後輪WL,WRが
転舵することができない。この場合、電動モータ4に電
力を供給しても無駄になるので、電力低減部48は、積
極的に電動モータ4への電力供給を停止し、電力の低減
を図る。
【0082】次に、図13のフローチャートに沿って、
電力低減解除制御について説明する。なお、随時、図1
および図7を参照する。ちなみに、電力低減部48は、
前記した3つの電力低減開始制御のいずれの制御を行っ
ている場合でも、この電力低減解除制御を実行する。電
力低減部48は、CPU40の処理速度に基づいて、一
定時間間隔毎に電力低減解除制御のフローチャートの処
理を繰り返し実行する。なお、このフローチャートの処
理を1回実行する毎(つまり、一定時間間隔毎)に、電
力低減部48には、最新の車速信号V、目標舵角θrお
よび第1実舵角θR1が入力される。
【0083】まず、電力低減部48は、電力低減フラグ
が1か否かを判定する(ステップS20)。電力低減フ
ラグが0の場合は、電動モータ4の駆動を停止していな
いので、電力低減部48は、処理を終了する。
【0084】他方、電力低減フラグが1の場合、電力低
減部48は、車速信号Vに基づいて、車速が電力低減解
除車速以上か否かを判定する(ステップS21)。つま
り、自動車Aが停止していない場合、後輪操舵装置1に
よって後輪WL、WRを操舵しないと実用上問題があ
る。例えば、低車速でも、車庫入れの際には後輪WL,
WRを転舵させなければならない。そこで、自動車Aが
停止していない場合を、電動モータ4の駆動停止を解除
する1つの条件とする。なお、電力低減解除車速は、車
速センサSPSの検出精度等を考慮して、自動車Aが停
止していないと判定できる車速が設定され、数km/h
の車速が設定される。ちなみに、本実施の形態では、電
力低減解除車速は、電力低減開始車速と同一車速に設定
する。
【0085】そして、車速が電力低減解除車速以上の場
合、電力低減部48は、自動車Aが停止していないと判
定し、電力低減フラグに0を設定して処理を終了する
(ステップS23)。つまり、電力低減部48は、自動
車Aが動きはじめると、電動モータ4の駆動停止を解除
して、後輪WL,WRを転舵可能な状態とする。
【0086】他方、車速が電力低減解除車速未満の場
合、電力低減部48は、自動車Aが引き続き停止してい
ると判定する。そして、電力低減部48は、目標舵角θ
rと中立角との差の絶対値を演算し、目標舵角θrと中
立角との差を検出する。さらに、電力低減部48は、第
1実舵角θR1と中立角との差の絶対値を演算し、第1
実舵角θR1と中立角との差を検出する。続いて、電力
低減部48は、目標舵角θrと中立角との差の絶対値が
第1実舵角θR1と中立角との差の絶対値より小さいか
否かを判定する(ステップS22)。つまり、目標舵角
θrが第1実舵角θR1より中立角に近いということ
は、CPU40では、後輪WL,WRを中立位置に戻す
ための制御を行なっている。なお、中立位置に戻す場
合、電動モータ4で消費される電力が小さい。また、後
輪WL,WRが中立位置に戻るのは、フェイルアンドセ
ーフの観点からも望ましい。したがって、CPU40で
中立位置に戻す制御を行なっている場合には、電動モー
タ4の駆動を停止して積極的に電力を低減する必要がな
い。そこで、目標舵角θrと中立角との差の絶対値が第
1実舵角θR1と中立角との差の絶対値より小さい場合
を、電動モータ4の駆動停止を解除する1つの条件とす
る。ちなみに、この判定では、後輪WL,WRの実舵角
と目標舵角とのどちらが中立角に近づいているかを検出
するためには後輪WL、WRの転舵方向も関係するの
で、第1実舵角θR1を使用する。
【0087】そして、目標舵角θrと中立角との差の絶
対値が第1実舵角θR1と中立角との差の絶対値より小
さい場合、電力低減部48は、CPU40が中立位置に
戻す制御を行なっていると判定し、電力低減フラグに0
を設定して処理を終了する(ステップS23)。他方、
目標舵角θrと中立角との差の絶対値が第1実舵角θR
1と中立角との差の絶対値以上の場合、電力低減部48
は、電動モータ4の駆動停止を解除する(電力低減を解
除する)必要はないと判定し、処理を終了する。
【0088】次に、図14のフローチャートに沿って、
電力低減信号SSの設定処理について説明する。なお、
随時、図7を参照する。ちなみに、電力低減部48は、
前記した3つの電力低減開始制御のいずれの制御を行っ
ている場合でも、この電力低減信号SSの設定処理を実
行する。電力低減部48は、CPU40の処理速度に基
づいて、一定時間間隔毎に電力低減信号SS設定のフロ
ーチャートの処理を繰り返し実行する。
【0089】まず、電力低減部48は、電力低減フラグ
が1か否かを判定する(ステップS30)。そして、電
力低減フラグが1の場合、電力低減部48は、電力低減
信号SSに1を設定する(ステップS31)。すると、
駆動制御部45では、電動モータ4の駆動を停止する電
動機制御信号SCを生成する。他方、電力低減フラグが
0の場合、電力低減部48は、電力低減信号SSに0を
設定する(ステップS32)。すると、駆動制御部45
では、PWM信号生成部で生成したPWM信号VPW
M、オン信号VONおよびオフ信号VOFを電動機制御
信号SCとする。
【0090】次に、図7を参照して、ソレノイド通電手
段50について説明する。ソレノイド通電手段50は、
転舵方向設定部42が内蔵レジスタに設定した転舵方向
Drに基づいて、左右電磁アクチュエータ21,22の
ソレノイドの一方を選択し、選択したソレノイドのコイ
ルにソレノイド電流ISを供給する。そして、ソレノイ
ド通電手段50は、左右電磁アクチュエータ21,22
の可動ピンを作動させる。なお、ソレノイド通電手段5
0がソレノイド電流ISを供給するのは、操舵シャフト
30が機構上の中立位置近傍にある時のみである。その
ために、転舵方向設定部42に第1実舵角θR1を導入
して、中立位置を判定している。
【0091】次に、図9を参照して、電動機駆動手段6
0について説明する。電動機駆動手段60は、ブリッジ
回路60aを備える。ブリッジ回路60aは、CPU4
0に制御される。そのため、ブリッジ回路60aは、C
PU40から出力される電動機制御信号SCが入力され
る。そして、ブリッジ回路60aは、電動機制御信号S
Cに基づいて電動機電圧VMを電動モータ4に印加し、
電動モータ4を正転駆動または逆転駆動する。
【0092】ブリッジ回路60aは、パワー電界トラン
ジスタであるFET62,63,64,65で構成され
る。ブリッジ回路60aは、電源電圧61とグランド6
6間に4個のFET62,63,64,65でブリッジ
回路が構成され、電源電圧61から12Vの電圧が供給
される。さらに、ブリッジ回路60aは、電動モータ4
がFET62とFET63の間に直列にかつFET64
とFET65の間に直列に接続される。FET62,6
3は、電動モータ4を正転駆動するための正転用のFE
Tであり、両方がオンした時に電動モータ4が正転駆動
する。また、FET64,65は、電動モータ4を逆転
駆動するための逆転用のFETであり、両方がオンした
時に電動モータ4が逆転駆動する。
【0093】そして、電動モータ4を正転駆動する場
合、ブリッジ回路60aは、上段正転用FET62のゲ
ートG1にPWM信号VPWM、下段正転用FET63
のゲートG2にオン信号VONおよび逆転用FET6
4,65の各ゲートG3,G4にオフ信号VOFが各々
入力され、電動モータ4を正転駆動するための電動機電
圧VMを印加する。他方、電動モータ4を逆転駆動する
場合、ブリッジ回路60aは、上段逆転用FET64の
ゲートG3にPWM信号VPWM、下段逆転用FET6
5のゲートG4にオン信号VONおよび正転用FET6
2,63の各ゲートG1,G2にオフ信号VOFが各々
入力され、電動モータ4を逆転駆動するための電動機電
圧VMを印加する。なお、電動モータ4に印加される電
動機電圧VMは、PWM信号VPWMのデューティ比に
よって決定される。そして、電動モータ4に流れる電動
機電流IMは、電動機電圧VMに対応する。例えば、P
WM信号VPWMのデューティ比が70%(すなわち、
7(論理レベル1):3(論理レベル0))の場合、1
2V×(7/10)=8.4Vが電動機電圧VMとな
り、電動モータ4に連続して8.4Vが印加されている
ことになる。
【0094】次に、図7を参照して、電動機電流検出手
段70について説明する。電動機電流検出手段70は、
電動モータ4に対して直列に接続された抵抗またはホー
ル素子等を備え、電動モータ4に実際に流れる電動機電
流IMの大きさと方向を検出する。そして、電動機電流
検出手段70は、電動機電流IMに対応した電動機電流
信号IMOをCPU40にフィードバック(負帰還)す
る。なお、本実施の形態では、電動機電流検出手段70
が、特許請求の範囲に記載の電動機電流検出手段に相当
する。
【0095】それでは、図1乃至図14を参照して、電
子制御装置3の動作およびそれに伴う後輪転舵機構2と
電動モータ4の動作について説明する。ここでは、電動
モータ4を駆動して後輪WL,WRを転舵する場合、電
動モータ4の駆動を停止して消費電力の低減を図る場
合、電動モータ4の駆動停止を解除する場合および自動
車Aが停止時に後輪操舵装置1の動作を確認する場合に
分けて説明する。なお、電動モータ4を駆動して後輪W
L,WRを転舵する場合、自動車Aが停止していないと
する。また、電動モータ4の駆動を停止して消費電力の
低減を図る場合、自動車Aが停止しているとする。
【0096】電動モータ4を駆動して後輪WL,WRを
転舵する場合について説明する。まず、電子制御装置3
は、CPU40で前輪操舵情報SFや車速信号Vから目
標舵角θr、転舵方向Drと制御モードを設定する。続
いて、CPU40は、目標舵角θr、転舵方向Drおよ
び第1実舵角θR1等に基づいて電動機制御信号SCを
生成する。なお、自動車Aが停止していないので、CP
U40の電力低減部48は、論理レベル0の電力低減信
号SSを駆動制御部45に出力している。そのため、駆
動制御部45の論理回路45aでは、PWM信号生成部
(図示せず)で生成したPWM信号VPWM、オン信号
VONおよびオフ信号VOFをそのまま電動機制御信号
SCとして電動機駆動手段60に出力している。そし
て、電子制御装置3は、転舵方向Drに基づいて、ソレ
ノイド通電手段50によって左右電磁アクチュエータ2
1,22のいずれか一方を作動させたり、両方の作動を
停止させる。さらに、電子制御装置3は、電動機駆動手
段60のブリッジ回路60aによって電動モータ4を正
転駆動または逆転駆動させたり、駆動を停止させる。す
ると、後輪操舵機構2の操舵シャフト30が、後輪WL
側または後輪WR側に移動したり、あるいは中立位置に
戻る。その結果、後輪WL,WRが、左方向または右方
向に転舵したり、あるいは直進方向に戻る。
【0097】次に、電動モータ4の駆動を停止して消費
電力の低減を図る場合について説明する。電力低減部4
8は、前記した3つの電力低減開始制御のいずれか1つ
の制御に基づいて、一定時間間隔毎に電動モータ4の駆
動を停止して電力低減を開始するか否かを判定する(図
10乃至図12参照)。そして、電力低減部48は、前
記した電動モータ4の駆動停止条件が条件連続時間連続
して満たされると、電力低減フラグに1を設定するとと
もに、論理レベル1の電力低減信号SSを駆動制御部4
5に出力する。すると、駆動制御部45の論理回路45
aは、電動機制御信号SCとして電動機駆動手段60の
全てのゲートG1〜G4に対してオフ信号VOFを設定
し、この電動機制御信号SCを電動機駆動手段60に出
力する。そのため、電動機駆動手段60は、全てのFE
T62〜65がオフし、電動モータ4への電動機電圧V
Mの印加を停止し、電動機電流IMを流さない。そし
て、後輪操舵装置1では、電動モータ4の駆動が停止
し、後輪WL,WRの転舵が停止する。その結果、電動
モータ4で無駄な電力消費が防止され、消費電力が低減
される。
【0098】次に、電動モータ4の駆動停止を解除する
場合について説明する。電力低減部48は、前記した電
力低減解除制御に基づいて、一定時間間隔毎に電力低減
を解除するか否かを判定する(図13参照)。そして、
電力低減部48は、車速が電力低減解除車速以上または
目標舵角θrと中立角との差の絶対値が第1実舵角θR
1と中立角との差の絶対値より小さくなると、電力低減
フラグに0を設定するとともに、論理レベル0の電力低
減信号SSを駆動制御部45に出力する。すると、駆動
制御部45の論理回路45aは、PWM信号生成部(図
示せず)で生成したPWM信号VPWM、オン信号VO
Nおよびオフ信号VOFをそのまま電動機制御信号SC
として電動機駆動手段60に出力する。そのため、電動
機駆動手段60のブリッジ回路60aでは、電動機制御
信号SCに基づいてFET62〜65がオン/オフし、
電動モータ4に電動機電圧VMを印加し、電動機電流I
Mを流す。そして、後輪操舵装置1では、電動モータ4
が正転駆動または逆転駆動し、後輪操舵機構2の操舵シ
ャフト30が移動可能となり、さらに後輪WL,WRが
転舵可能となる。ちなみに、電動モータ4の駆動停止中
でも、CPU40では、前輪操舵情報SFや車速信号V
から目標舵角θr、転舵方向Drと制御モードを設定
し、さらにPWM信号VPWM、オン信号VONおよび
オフ信号VOFを生成している。
【0099】最後に、自動車Aが停止時に後輪操舵装置
1の動作を確認する場合について説明する。ユーザが、
自動車Aを停止させる(あるいは、自動車Aのエンジン
を始動させる)。自動車Aが停止時、電力低減部48
は、電力低減開始制御に基づいて、車速が電力低減開始
車速以下と判定し、さらにステアリングホイール操作が
なされて(すなわち、前輪が転舵して)後輪WL,WR
が転舵するまで第1実舵角差が後輪変化実舵角以下と判
定し、電力低減タイマを起動する(図10乃至図12参
照)。そして、電力低減タイマが起動してから条件連続
時間内に、ユーザが、後輪操舵装置1の動作を確認する
ためにステアリングホイールを操作する。すると、後輪
操舵装置1では、ステアリングホイール操作(前輪の舵
角変化)に応じて、後輪WL,WRを転舵させる。その
ため、第1実舵角θR1が時間の経過とともに変化する
ので、電力低減部48は、電力低減開始制御に基づい
て、第1実舵角差が後輪変化実舵角より大きいと判定
し、電力低減タイマを初期化する。そして、電力低減部
48は、電力低減フラグの0を維持し、論理レベル0の
電力低減信号SSを駆動制御部45に出力し続ける。そ
のため、電動機駆動手段60のブリッジ回路60aで
は、電動機制御信号SCに基づいてFET62〜65が
オン/オフし、電動モータ4に電動機電圧VMを印加
し、電動機電流IMを流し続ける。さらに、後輪操舵装
置1では、電動モータ4が正転駆動または逆転駆動し、
後輪操舵機構2の操舵シャフト30が移動し、さらに後
輪WL,WRが転舵可能な状態が続く。なお、後輪操舵
装置1では、ステアリングホイール操作がなされたにも
かかわらず、路面反力より大きい転舵力を電動モータ4
によって発生させることができない場合、後輪WL,W
Rが転舵しない。この場合、電力低減部48は、電力低
減開始制御に基づいて、第1実舵角差が後輪変化実舵角
以下と判定し続け、電力低減タイマを継続する。やが
て、電力低減タイマによって条件連続時間の経過を判定
すると、電力低減部48は、電力低減フラグに1を設定
し、論理レベル1の電力低減信号SSを駆動制御部45
に出力して電動モータ4の駆動を停止させる。
【0100】この後輪操舵装置1によれば、電力低減部
48によって後輪WL,WRを転舵させなくてもよい状
態または後輪WL,WRを転舵させることができない状
態を判定し、電動モータ4の駆動を停止させることがで
きる。そのため、この後輪操舵装置1では、自動車Aが
停止時に電動モータ4での無駄な電力消費を防止し、電
力低減を図ることができる。ちなみに、自動車Aが停止
している場合には路面反力が大きいので、電動モータ4
で消費される電力が大きく、しかも電動モータ4、FE
T62〜65およびハーネス(図示せず)等の発熱量も
多い。そのため、自動車Aが停止中に電動モータ4に電
力を供給しないことは、電力低減だけでなく、電動モー
タ4や各部品等の保護という点でも非常に効果的であ
る。また、電動モータ4の小型化やハーネスカプラの容
量低減等も図ることができる。さらに、電力低減部48
では、自動車Aが停止時でも条件連続時間内に後輪W
L,WRの実舵角が変化した場合には、電動モータ4の
駆動を停止しない。そのため、この後輪操舵装置1で
は、自動車Aが停止中における動作確認が可能となる。
【0101】以上、本発明は、前記の実施の形態に限定
されることなく、様々な形態で実施される。例えば、電
動モータ4の駆動を停止させる場合、FET62〜65
を全てオフにして電動モータ4への電動機電圧VMの印
加を停止したが、ブリッジ回路60aと電源電圧61と
の間にリレー回路等を設け、このリレー回路によってブ
リッジ回路60aに+12vの供給を停止するようにし
てもよい。また、電動モータ4の駆動停止条件が連続し
て条件連続時間満たされた場合に電動モータ4の駆動を
停止したが、電動モータ4の駆動停止条件が満たされた
時点で電動モータ4の駆動を停止してもよい。また、後
輪操舵機構2をねじ部材(外部回転筒)と操舵軸(操舵
シャフト)を同軸上に構成したが、ねじ部材と操舵軸を
並行に構成する等の他の後輪操舵機構でもよい。また、
電動モータを正転駆動した場合には一対の中間部スライ
ド筒が離間し、逆転駆動した場合には一対の中間部スラ
イド筒が接近するように構成したが、その逆に動作する
ように構成してもよい。
【0102】
【発明の効果】本発明の請求項1に係る後輪操舵装置
は、車両停止時等で後輪が転舵されていない場合(つま
り、後輪を転舵させなくてもよい場合または後輪を転舵
させることができない場合)を判定し、電動機の駆動を
停止する。そのため、路面反力が大きく電力消費量が多
い車両停止時に電動機に電力を供給しないので、消費電
力を効果的に低減することができる。しかも、この後輪
操舵装置は、車両停止時でもステアリングホイールが操
作された時に、路面反力より大きい転舵力を電動機によ
って発生させることができる場合、後輪を転舵させるこ
とができる。つまり、ステアリングホイールが操作され
る(前輪の舵角が変化する)と後輪の実舵角が変化する
ので、電動機の駆動が停止されずに、車両停止時におけ
る後輪操舵装置の動作確認が可能となる。
【0103】本発明の請求項2に係る後輪操舵装置は、
車両停止時等で後輪が転舵されていない場合に、実舵角
と目標舵角との差が所定舵角差以上の時(つまり、後輪
を転舵させることができない時)を判定し、電動機の駆
動を停止する。そのため、路面反力より大きい転舵力を
電動機で発生させることができない時には電動機に無駄
な電力を供給しないので、消費電力を効果的に低減する
ことができる。しかも、この後輪操舵装置は、車両停止
時でもステアリングホイールが操作された時に、路面反
力より大きい転舵力を電動機によって発生させることが
できる場合、後輪を転舵させることができる。つまり、
ステアリングホイールが操作される(前輪の舵角が変化
する)と後輪の実舵角が変化するので、電動機の駆動が
停止されずに、車両停止時における後輪操舵装置の動作
確認が可能となる。
【0104】本発明の請求項3に係る後輪操舵装置は、
車両停止時等で後輪が転舵されていない場合に、電動機
電流が所定電流以上の時(つまり、後輪を転舵させるこ
とができない時)を判定し、電動機の駆動を停止する。
そのため、路面反力より大きい転舵力を電動機で発生さ
せることができない時には電動機に無駄な電力を供給し
ないので、消費電力を効果的に低減することができる。
しかも、この後輪操舵装置は、車両停止時でもステアリ
ングホイールが操作された時に、路面反力より大きい転
舵力を電動機によって発生させることができる場合、後
輪を転舵させることができる。つまり、ステアリングホ
イールが操作される(前輪の舵角が変化する)と後輪の
実舵角が変化するので、電動機の駆動が停止されずに、
車両停止時における後輪操舵装置の動作確認が可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る後輪操舵装置の全体構成図
である。
【図2】図1の後輪操舵装置の後輪操舵機構の分解斜視
図である。
【図3】図2に示すクラッチ機構の左機能ブロックの斜
視図である。
【図4】図1の後輪操舵装置の後輪操舵機構の要部の部
分断面図である。(電動モータが正転駆動し、操舵シャ
フト右方向移動時)
【図5】図1の後輪操舵装置の後輪操舵機構の要部の部
分断面図である。(操舵シャフト右方向移動後、電動モ
ータが逆転駆動時)
【図6】図2に示す左右中間部スライド筒の係止鈎によ
る作用を説明する図であり、(a)は後輪操舵機構の要
部の部分断面図であり、(b)は後輪操舵機構の係止鈎
部分を一部破断した部分正面図であり、(c)はケーシ
ング内から見た案内用溝である。
【図7】図1の後輪操舵装置の電子制御装置のブロック
構成図である。
【図8】図7のCPUの駆動制御部の論理回路図であ
る。
【図9】図7の電動機駆動手段の回路図である。
【図10】第1の実施の形態に係る電力低減開始制御の
フローチャートである。
【図11】第2の実施の形態に係る電力低減開始制御の
フローチャートである。
【図12】第3の実施の形態に係る電力低減開始制御の
フローチャートである。
【図13】本実施の形態に係る電力低減解除制御のフロ
ーチャートである。
【図14】本実施の形態に係る電力低減信号設定のフロ
ーチャートである。
【符号の説明】
1・・・後輪操舵装置 2・・・後輪操舵機構 3・・・電子制御装置(制御手段) 4・・・電動モータ(電動機) 10・・・直線駆動機構(後輪ギヤボックス) 20・・・クラッチ機構(後輪ギヤボックス) 30・・・操舵シャフト 33・・・操舵ストロークセンサ(実舵角検出手段) 40・・・CPU 45・・・駆動制御部 45a・・・論理回路 48・・・電力低減部 70・・・電動機電流検出手段 SPS・・・車速センサ(車速検出手段)
フロントページの続き Fターム(参考) 3D032 CC49 DA04 DA23 DA64 DB20 DC01 DC02 DC03 DC32 DC33 DE09 DE14 EA01 EB30 EC22 GG01 3D034 CA00 CC09 CC14 CD04 CD12 CD13 CD18 CD20 CE03 CE13 CE15

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 後輪ギヤボックスを駆動して後輪を操舵
    する電動機と、車速を検出する車速検出手段と、前記後
    輪の実舵角を検出する実舵角検出手段と、車両の走行状
    態から前記後輪の目標舵角を設定し、前記実舵角が前記
    目標舵角になるように前記電動機の駆動を制御する制御
    手段とを備える後輪操舵装置であって、 前記制御手段は、前記車速が所定車速以下かつ前記実舵
    角の変化が無い時、前記電動機の駆動を停止することを
    特徴とする後輪操舵装置。
  2. 【請求項2】 後輪ギヤボックスを駆動して後輪を操舵
    する電動機と、車速を検出する車速検出手段と、前記後
    輪の実舵角を検出する実舵角検出手段と、車両の走行状
    態から前記後輪の目標舵角を設定し、前記実舵角が前記
    目標舵角になるように前記電動機の駆動を制御する制御
    手段とを備える後輪操舵装置であって、 前記制御手段は、前記車速が所定車速以下で前記実舵角
    と前記目標舵角との差が所定舵角差以上かつ前記実舵角
    の変化が無い時、前記電動機の駆動を停止することを特
    徴とする後輪操舵装置。
  3. 【請求項3】 後輪ギヤボックスを駆動して後輪を操舵
    する電動機と、車速を検出する車速検出手段と、前記電
    動機に流れる電動機電流を検出する電動機電流検出手段
    と、前記後輪の実舵角を検出する実舵角検出手段と、車
    両の走行状態から前記後輪の目標舵角を設定し、前記実
    舵角が前記目標舵角になるように前記電動機の駆動を制
    御する制御手段とを備える後輪操舵装置であって、 前記制御手段は、前記車速が所定車速以下で前記電動機
    電流が所定電流以上かつ前記実舵角の変化が無い時、前
    記電動機の駆動を停止することを特徴とする後輪操舵装
    置。
JP2000167374A 2000-06-05 2000-06-05 後輪操舵装置 Pending JP2001341662A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000167374A JP2001341662A (ja) 2000-06-05 2000-06-05 後輪操舵装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000167374A JP2001341662A (ja) 2000-06-05 2000-06-05 後輪操舵装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001341662A true JP2001341662A (ja) 2001-12-11

Family

ID=18670538

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000167374A Pending JP2001341662A (ja) 2000-06-05 2000-06-05 後輪操舵装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001341662A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010254272A (ja) * 2009-03-30 2010-11-11 Honda Motor Co Ltd 車両の後輪操舵制御装置
JP5429290B2 (ja) * 2009-09-11 2014-02-26 トヨタ自動車株式会社 後輪操舵装置の制御装置
US20210347406A1 (en) * 2020-05-06 2021-11-11 Hyundai Mobis Co., Ltd. Apparatus and method for controlling motor driven power steering

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010254272A (ja) * 2009-03-30 2010-11-11 Honda Motor Co Ltd 車両の後輪操舵制御装置
JP5429290B2 (ja) * 2009-09-11 2014-02-26 トヨタ自動車株式会社 後輪操舵装置の制御装置
US20210347406A1 (en) * 2020-05-06 2021-11-11 Hyundai Mobis Co., Ltd. Apparatus and method for controlling motor driven power steering
US11820443B2 (en) * 2020-05-06 2023-11-21 Hyundai Mobis Co., Ltd. Apparatus and method for controlling motor driven power steering

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4753308A (en) Electro-motive power steering system
US4708220A (en) Power steering control apparatus
EP3611076A1 (en) Steering system
US9932069B2 (en) Vehicle steering system
CN101172488B (zh) 电气式动力转向装置
JP6826377B2 (ja) 車両用操舵装置
JP2001219868A (ja) 後輪操舵装置
JP2007245821A (ja) 車両用操舵装置
JP2004338562A (ja) 電動パワーステアリング制御装置
JPH0218173A (ja) 車両の後輪操舵装置
JP2001341662A (ja) 後輪操舵装置
JP2001341663A (ja) 後輪操舵装置
JP2004231108A (ja) 船外機付きボートのパワーステアリング装置
JPH04201782A (ja) 前後輪操舵装置
JP2009057011A (ja) 操舵制御装置
JP4424181B2 (ja) 車両用操舵制御装置
JP2001347962A (ja) 後輪操舵装置
JP3422214B2 (ja) パワーステアリングの制御装置
JP5050402B2 (ja) 車両用操舵制御装置
JPH11208493A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2022142864A (ja) 車両用パワーステアリング装置
JP3881766B2 (ja) 車両の自動操舵装置
JP2007190938A (ja) 車両用ステアリングシステム
JPS61215166A (ja) 電動パワ−ステアリング装置
JP5769006B2 (ja) 車両用操舵装置及び荷役車両

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061201

A977 Report on retrieval

Effective date: 20090327

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20090407

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Effective date: 20090608

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100105