JP2001320828A - 事故範囲判別機能付地絡継電器 - Google Patents

事故範囲判別機能付地絡継電器

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JP2001320828A
JP2001320828A JP2000134554A JP2000134554A JP2001320828A JP 2001320828 A JP2001320828 A JP 2001320828A JP 2000134554 A JP2000134554 A JP 2000134554A JP 2000134554 A JP2000134554 A JP 2000134554A JP 2001320828 A JP2001320828 A JP 2001320828A
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voltage
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Hideki Osawa
秀樹 大澤
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TOHOKU DENKI HOAN KYOKAI
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 配電用変電所からの高圧配電線路に接続され
る自家用受電設備で地絡事故が発生したときに、自家用
側か否かを判断する手段を設けて、もらい事故の場合に
は、自家用側の地絡継電器の動作時間を遅延させる制御
を行う。 【解決手段】 自家用側地絡継電器に設ける制御装置1
0は、入力信号を自家用側零相変流器で検知した事故電
流の情報を用い、前記事故電流の信号を入力回路12か
らフィルタ回路13、高調波解析回路14とレベル検出
回路15に伝達し、前記2つの回路の出力を動作時間特
性切替回路16にタイマー17の信号をも入力して処理
し、信号を出力回路18を介してGRの動作回路に出力
する。そして、波形の違いと高調波の解析値との2つの
情報を用いて判断し、もらい事故の場合には、GRの動
作時間を遅らせるような制御を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高圧電気設備の送
配電設備に接続し、自家用電気設備に設ける地絡継電器
において、地絡事故が発生した箇所が自家用側か否かを
判別し、配電系統での事故に対しては、自家用側の地絡
継電器が作動しないように保護する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、高圧電気設備を含む送配電設備
においては、図8に示すように、供給変電所(配電用変
電所)1からの高圧配電線路2に自家用受電設備3、4
……を配置し、前記自家用受電設備3、4……において
は、各需要部に給電する給電経路を設けている。一般の
工場等においては、配電用変電所からの高圧配電線から
自家用受電設備に分岐して接続し、変圧器を通して低圧
電力をモータ等の自家用電気設備に供給するようにして
いる。前記自家用受電設備には、高圧受電用地絡継電器
(以下「GR」と呼ぶ)が広く用いられており、自家用
設備内で地絡事故が発生した時に、前記GRが動作して
自家用設備側の開閉器を遮断し高圧電線配電線から切り
離すようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記自家用
受電設備に設けているGRは、高圧配電線側の事故(も
らい事故)によっても作動するので、自家用受電設備側
に何等の異常がない場合にも停電するという問題があ
る。前記高圧配電線側で異常電流が流れた場合に、比較
的短時間(数秒)の停電の後に送電が再開されたとして
も、前記自家用側では開閉器が切られた状態が続くの
で、停電の回復のために長い時間を要するとともに、工
場等では停電による損失が大きく発生する。また、前記
GRとしては、一般に静止型機器が用いられており、外
部から供給する電源、またはGR付交流負荷開閉器内の
専用変圧器による制御電源を設けることが必要である。
ところが、専用の電源を用いてGRの制御を行う場合に
は、余分な給電系統を設ける必要があり、専用変圧器を
用いる場合には、開閉器全体が大型となるという問題が
ある。
【0004】本発明は、前述したような従来のGRの不
必要な動作を解消しようとするもので、もらい事故に対
しては作動せずに、自己の地絡事故に対しては他の設備
に影響を与えないように早期に開閉器を作動させ得る装
置を提供することを第1の目的とし、GRに対して制御
電源の供給を容易に行い得る手段を提供することを第2
の目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、配電用変電所
からの高圧配電線路に接続される自家用高圧受電設備に
関する。本発明の請求項1の発明は、前記自家用高圧受
電設備に零相変流器を内蔵した開閉器を配置し、零相変
流器を介して地絡継電器を配置し、前記開閉器に設ける
地絡継電器には、零相変流器から入力される高圧電路の
零相電流データから、自家用高圧受電設備側での事故と
高圧配電線路側での事故とを判別する手段を設け、前記
事故の発生源が高圧配電線路側の場合に、自家用高圧受
電設備側での開閉器の動作時間を遅らせるよう制御する
ことを特徴とする。
【0006】請求項2の発明は、前記自家用高圧受電設
備に設ける事故判別手段においては、事故電流の波形を
解析した結果にもとづいて、高圧配電線路側の事故を判
別して、前記自家用高圧受電設備の開閉器の動作時間
を、自家用高圧受電設備側事故時の動作時間よりも所定
の時間遅らせる制御を行うことを特徴とする。請求項3
の発明は、前記自家用高圧受電設備に設ける事故判別手
段において、零相変流器から地絡継電器の制御回路に入
力される情報を、高調波解析する回路とレベル検出回路
とに並列に入力し、前記2つの回路の出力を動作時間特
性切換回路に伝達し、前記動作時間特性切換回路におい
ては、波形の歪率と偶数高調波成分の含有率を、あらか
じめ設定している値と比較し、自家用側か否かの判断を
行う手段を設けることを特徴とする。
【0007】前述したように構成した制御装置を用いる
のであるから、異常電流が流れた場合に、自家用側での
地絡事故か、もらい事故かを容易に判別することができ
る。そして、前記自家用側での地絡事故ではない場合
に、その開閉器の動作を遅延させている間に、事故電流
が流れた原因側での電路が遮断されて、特定の自家用側
での開閉器が遮断されずに済むことになる。したがっ
て、前記制御装置により、従来のGRの場合のように、
異常電流が流れたことを検知した時に、直ちに開閉器を
遮断する処理を行わないので、開閉器の不必要遮断が少
なくなり、停電後の復旧処理を行う頻度が少なくなる。
また、特定の自家用側での地絡事故が、他の自家用側の
受電設備や変電所に影響を与えることがなくなる。
【0008】請求項4の発明は、配電用変電所からの高
圧配電線路に接続される自家用高圧電気設備において、
前記自家用高圧受電設備に設ける地絡継電器に対して、
制御電源としての自己電源回路を設け、前記自己電源回
路においては、一次導体の絶縁に用いる絶縁ブッシング
に対して、二次巻線を設けた磁心を配置して変流手段を
構成することを特徴とする。
【0009】そして、GRの動作のために必要とされる
電源を、高圧コンデンサおよび負荷設備に流れる電流を
自己電源回路を介して給電する手段を設けることによ
り、従来のGRのような電源を別の変圧器等を用いて形
成する必要がない。そして、前記自己電源回路において
は、貫通ブッシングを用いたことで、変流器の磁心や二
次巻線を一次導体に対して絶縁する必要がなく、高圧電
路のサージングインピーダンスに不均衡が生じないた
め、高圧電路に過渡電圧の集中が発生しにくいという特
徴がある。
【0010】
【発明の実施の形態】最初に、本発明の装置の動作原理
と、背景技術を説明する。一般に、GRのもらい事故
は、前記図8に示したように、配電用変電所からの高圧
配電線路に対して、多数の自家用受電設備を接続して配
置した場合に、高圧配電線路での事故や、他の自家用受
電設備での事故により発生する。そして、その高圧配電
線路に接続される各自家用受電設備のGRが、前記事故
により流れる異常電流を検知して、高圧配電線路から遮
断する動作を行う。
【0011】前記もらい事故の際に流れる電流は、図1
2の配電線側地絡時の非接地配電系統の等価回路図に示
すように、配電系統に零相電圧Voが発生する。この系
統に発生したVoにより、自家用側対地静電容量C2を
通して電流Ig2が流れるもので、このIg2が流れる
状態をもらい事故という。なお、この等価回路図におい
て、R:配電用変電所等価中性点抵抗、Vo:零相電
圧、E:配電線対地電圧、Rg:地絡点抵抗、C1・C
2:配電線側および自家用側対地静電容量、ZCT1:
配電用変電所零相変流器、ZCT2:自家用側零相変流
器、を各々示している。
【0012】*もらい事故の動作:例えば、前記図8に
おいて、自家用電気設備3に地絡が発生した場合に、前
記設備3のみのGRが動作し、配電線2から遮断される
ことが望ましい。ところが、前記設備3に地絡事故が発
生した場合に、その際に流れる電流Ig2により、他の
設備4等でもGRが動作して、不要な停電に至るという
問題かある。つまり、設備3の事故が他の設備4等にも
影響を与えて、地絡事故が発生した設備3の保護範囲外
にも影響が発生する原因となっている。 *もらい事故の電流の大きさ:もらい事故電流の大きさ
Ig2[A]は、系統の地絡事故により発生する零相電
圧Vo[V]と、自家用側対地静電容量C2[F]およ
び、系統の周波数f[Hz]によって、式1で定められ
る。 Ig2=2πfC2Vo…………… 式1 *高圧受電用地絡継電器(GR)の動作:GRは零相変
流器(以下「ZCT」という)設置点に流れる定格周波
数(商用周波数)電流(以下「Ig」という)の大きさ
のみを判断し、動作する継電器である。高圧受電設備用
GRは、一般に静止型で動作電流タップ(0.2A、
0.4Aなど)が設けられ、図2の例のように、動作時
間は、定限時動作(Igがタップ値からある値を越えた
場合一定時間で動作)である。また、Igと零相電流I
oの関係は、Ig=3Ioで表される。
【0013】*もらい事故によるGRの不必要動作:高
圧配電系統に接続された多数の高圧受電設備3、4……
のうちの1か所に地絡が生じると、前記図12の等価回
路図に示したように、高圧配電系統にVoが発生する。
このVoにより、各自家用電気設備の対地静電容量に応
じたもらい事故電流Ig2が、ZCT2に流れる。この
Ig2の大きさは、前記式1に示す大きさとなる。前記
もらい事故電流の大きさが、GRの整定タップ値(0.
2A、0.4Aなど)を超え、図4に示すような慣性不
動作時間と余裕時間の和を超える電流が連続して流れた
場合、GRが動作して電路を遮断する動作を行う。前記
Ig2の大きさは、Voが一定の場合には、自家用電気
設備の対地静電容量C2に比例する。したがって、対地
静電容量の大きい(高圧ケーブル旦長の長い)電気設備
程、GRが不必要動作しやすくなる。これらの点から、
同一の配電系統に接続された多数の自家用電気設備のう
ち、1か所で地絡事故が発生した場合、対地静電容量の
大きい電気設備等がもらい事故電流によりGRが不必要
動作し、多数の自家用電気設備が不要な停電に至るとい
う問題がある。
【0014】自家用側地絡時の特徴:地絡電流波形と高
調波成分分析例:自家用側地絡時には、図9の等価回路
図に示すような地絡電流Igが流れる。前記Ig波形例
は図10に示すようなものであり、高調波成分分析例は
図11に示すようになる。その波形と高調波成分の特徴
は、以下の通りとなる。 (a)地絡電流波形は、放電を原因とするものが多いた
めに、図10に示すように、基本波成分が少なく、高調
波成分を多く含む。 (b)間欠放電等が発生した場合、正極側と負極側の波
形が非対称のいわゆる非対称波が多く発生する。 (c)非対称波が発生した場合には、高調波成分には図
11に示すような2次、4次等の偶数次数の高調波成分
を多く含む。 (d)変圧器等の油入機器の場合は、絶縁油の消弧能力
が高いため、放電の発生がランダムで高い次数の高調波
が発生する。
【0015】自家用地絡時の地絡電流値変化の特徴:自
家用側地絡時の等価回路は前記図9に示したようにな
り、ZCT2に流れる電流Ig2′は、図のとの合
成電流となり、第2式で表される。
【0016】 計算例1(地絡点抵抗がRgの場合) ……式2 但し 2πf=ω 計算例2(完全地絡し、地絡抵抗Rgが「0」の場合) Rg2′={(1/R)+jωC1}E ……式3 前記式2および式3からRg2′は、系統の対地静電容
量C1と、変電所の等価中性点抵抗R、対地電圧Eおよ
び地絡抵抗Rgから定まる。一般に自家用地絡時に流れ
る電流値はC1の値が数μFから十数μF程度と大きい
ため、もらい事故電流に比較して変化が大きく、地絡点
抵抗の変化により、0(Rg=∞)から、数十A程度
(Rg=0)まで変化する。また、地絡抵抗はアーク地
絡に発展することが多く、アークの特性から極めて短時
間に小電流領域から最大値まで変化することがある。な
お、最大電流は系統の対地静電容量C1によりほぼ定ま
り、10〜30A程度の場合が多い。
【0017】もらい事故時の特徴:前記図12の等価回
路図に示したような地絡事故が発生した場合に、そのZ
CT設置点のIg波形例は図13に示されるようにな
り、前記Igの高調波成分分析結果例は図14に示され
るように得られる。 *地絡電流波形と高調波成分分析:もらい事故電流がG
Rのタップ値(0.2A、0.4Aなど)に近くなる場
合は、配電系統が完全地絡に近い状態の場合である。そ
して、この時の波形と高調波成分の特徴と以下のように
なる。 (a)地絡電流波形は、高調波成分を殆ど含まず、基本
波成分が多い。 (b)波形の正極側と負極側が対称の対称波が多く発生
する。 (c)高調波成分は奇数波成分が多く、偶数波成分をほ
とんど含まない。
【0018】*もらい事故時のIg変化の特徴:前記図
12の等価回路からZCT2に流れる電流は、自家用電
気設備の対地静電容量C2と、Voにより決定され、前
記式1の電流値となる。なお、6,6kV系統では、V
oは最大で3810Vで、静電容量C2は一般にC1に
比較して1/10以下であるため、もらい事故の電流は
一般に1A以下である。また、Voの最大値をVomと
すると、最大電流Ig2mは、次の式4のようになる。 Ig2m=2πfC2Vom……… 式4 したがって、C2をあらかじめ測定してある場合は、最
大電流値Ig2mは既知となり、Ig2の値は、Ig2
mに収束する。
【0019】もらい事故電流によるGR動作を防止する
ための手段 *原理:前述の例のように、自家用設備ZCT設置点に
流れる地絡電流波形は、自家用側地絡時ともらい事故時
では、地絡電流波形に顕著な差異がある。また、自家用
側完全地絡時と、もらい事故時のZCT2設置点のIg
の大きさには10倍以上の開きがある。この性質を利用
して、自家用側地絡と判断される場合ともらい事故と判
断される場合に、継電器の動作時間特性を変化させ、も
らい事故電流による継電器の不必要動作を低減させるも
のである。
【0020】*配電用変電所の動作時間特性:配電用変
電所の地絡保護動作は、地絡方向継電器(DGR)と地
絡過電圧継電器(OVG)のAND条件で動作し、一般
に6kΩで系統に地絡があった場合に、1秒以内(一般
に0.7秒程度)の定限時動作となるように整定されて
いる。
【0021】*継電器の動作特性上重要な事項:自家用
設備用保護継電器を設計または整定する場合、継電装置
の動作時間を配電用変電所より自家用側が早くなるよう
に整定する。そして、自家用側に地絡事故があった場合
に、速やかに自家用側地絡継電器を動作させて事故を除
去し、配電用変電所の継電装置が先に動作することがな
いようにする。
【0022】*自家用側地絡時ともらい事故の相違:保
護範囲判別機能は、自家用側地絡事故時ともらい事故の
それぞれに対して、ZCT一次電流の地絡電流波形と地
絡電流値の変化の違いに着目し、自家用側地絡時、配電
系統の地絡によるもらい事故を判別する。そして、前記
地絡が自家用側地絡と判断される場合には、GRを動作
させて速やかに開閉器を遮断する。また、もらい事故と
判別される場合は、GRの動作時間特性を変化させ、G
Rの不必要動作を防ぐように制御するものである。前述
したように、もらい事故の場合と自家用側での事故の場
合との間で、波形と電流の大きさの2つの要素に明らか
な差異があることを前提として、本発明においては、以
下に説明するような装置を構成することができる。
【0023】次に、前記動作原理を利用した本発明の装
置の構成を説明する。図1に示す制御装置10において
は、入力信号に自家用側零相変流器(以下「ZCT」と
呼ぶ)で検知した事故電流の情報を用い、前記事故電流
の信号を入力端子11から入力回路12に入力する。前
記入力回路12の出力はフィルタ回路13に伝達され、
その出力を高調波解析回路14とレベル検出回路15に
伝達する。そして、前記高調波解析回路とレベル検出回
路の出力を動作時間特性切替回路16に伝達して処理す
るが、前記動作時間特性切替回路16にはタイマー17
の信号をも入力して処理し、信号を出力回路18を介し
てGRのトリップ回路に出力する。
【0024】前記制御装置10に配置する各回路におい
て、入力回路12では、ZCT2次端子からの入力され
る2次電流をGR内部で処理しやすい電圧に変換する。
また、フィルタ回路13はローパスフィルタであり、系
統周波数から針状波形の周波数成分までの、周波数帯域
を通過させることができる。
【0025】高調波解析回路14においては、Ig波形
を高調波解析し、波形の歪率(高調波成分の実効値/基
本波の実効値)がある一定の割合を超過した場合、また
は偶数高調波成分の含有率(偶数波成分の実効値/波形
の実効値)がある一定の割合を超過した場合は、自家用
側と判断した信号を動作時間特性切替回路16に向けて
出力する。また、波形の歪率、または偶数高調波成分の
含有率が一定の割合以下の場合は、もらい事故電流と判
断する信号を、動作時間特性切替回路16に向けて出力
する。前記レベル検出回路15は、入力されたIg電流
の大きさを実効値または平均値で検出し、動作時間特性
切替回路16に向けて信号を出力する。
【0026】動作時間特性切替回路16における動作時
間特性を、定限時特性と反限時特性(Igが大きくなる
にしたがって動作時間が短くなる)の2つの特性をIg
波形の高調波解析結果により切替える処理を行う。 (a)定限時動作時:自家用設備で地絡があった場合
に、Igが大きいので、動作時間が早くなり、速やかに
地絡事故を除去することが必要である。そこで、従来の
GRの場合と同様に、動作時間特性切替回路16では、
高調波解析により、自家用側地絡と判断した場合は、図
2の定限時動作特性とし、Igの値が制定タップ値
(0.2A、0.4Aなど)を超過した場合は、速やか
にGRを動作させる。なお、前記自家用側地絡と判断し
た場合に、GRを動作させる時間は0.2秒程度に設定
される。
【0027】(b)反限時動作時:高調波解析の結果、
もらい事故と判断される場合には、図3の反限時特性と
して処理する。つまり、配電系統に接続されている他の
自家用設備で地絡事故が発生した場合に、そのもらい事
故の事故電流(Ig)は小さい値となるので、動作時間
は一般のGRの動作時間よりも遅くなるような、反限時
特性とすることにより、不必要なGRの動作を防止す
る。タイマー回路17は、一定の時間信号を出力するも
ので、前記図9、図10の動作時間の設定に用いる。ま
た、出力回路18は、GRに動作信号(トリップ信号
等)を出力する回路で、前記動作時間特性切替回路16
の出力を、GRに向けて出力する。
【0028】前述したように構成した制御装置10で
は、高調波解析回路14において前記図10、図13に
示すような波形の解析を行い、レベル検出回路15にお
いて図11、図14に示すような解析を行って、その解
析の結果の情報を動作時間特性切替回路16に伝達す
る。前記動作時間特性切替回路16においては、GRに
つながる自家用側受電設備での地絡と、もらい事故の判
別を行い、レベル検出回路15でのIg波形からの電流
の大きさの検出結果から、図2、3の入力電流(Ig)
のデータとして用いる。
【0029】そして、前記動作時間特性切替回路16に
入力された情報にもとづいて、自家用設備で地絡があっ
たと判別された時には、開閉器を遮断する動作を迅速に
行って、配電用変電所や配電線に接続されている他の自
家用設備に影響を与えないような処理を行う。また、前
記検知された電流が、もらい事故であると判別された場
合には、タイマー17の信号を加味して信号の処理を行
い、図4に示すような余裕時間を設定し、自家用側での
開閉器の動作時間を遅らせる処理を行うことで、そのG
Rを設置している自家用側受電設備での開閉器が遮断さ
れないようにする。
【0030】前述したような構成の制御装置10を設け
て、異常電流が流れた場合に、自家用側での地絡事故
か、もらい事故かを容易に判別することができる。そし
て、前記自家用側での地絡事故ではない場合に、その開
閉器の動作を遅延させている間に、事故電流が流れた原
因側での電路が遮断されて、特定の自家用側での開閉器
が遮断されずに済むことになる。したがって、前記制御
装置により、従来のGRの場合のように、異常電流が流
れたことを検知した時に、直ちに開閉器を遮断する処理
を行わないので、開閉器の不必要遮断が少なくなり、復
旧作業を行う頻度が少なくなる。また、特定の自家用側
での地絡事故が、他の自家用側の受電設備や変電所に影
響を与えることがなくなる。
【0031】
【GRの電源】一般に従来の交流負荷開閉器において
は、専用の変圧器を内蔵しており、高圧電路と負荷側の
間に設けている開閉器の負荷側に変圧器を配置し、GR
用の交流低圧電源に変換して、110V程度の電源電圧
をGRに供給している。ところが、前記専用の変圧器を
用いた電源装置の場合には、変圧器の2次側配線に異常
が生じた場合等に、GRの動作を正常に行わせることが
できなくなるという問題がある。また、前記GRの電源
として外部電源を配線する場合には、電気室等にGR電
源専用の回路を設け、電源の配線を行う必要があるが、
その専用線の配線や保守に問題がある。
【0032】そこで、前記GRへの給電の問題に対処さ
せるために、例えば、図5に示すような機器の外箱等を
貫通するブッシング変流器(以下「BCT」と呼ぶ)を
用いた自己電源回路30を設けることができる。前記自
己電源回路30は、開閉器の外箱の金属部に一次導体2
1を貫通させる部分で、一次導体21の絶縁に用いる碍
子製貫通ブッシング22に対して、二次巻線24を設け
た磁心23を配置し、前記一次導体21に流れている電
流に対して二次巻線24の巻線比率に応じた電流を自己
電源回路30へ供給する。BCT20は一次導体21に
一次電流I1 が流れると、二次巻線には変流比に応じた
二次電流I2 が流れるため、この電流を自己電源回路3
0に供給することにより、外部電源を設けない自己電源
型GR付交流負荷開閉器を構成することが可能になる。
【0033】前記自己電源機能をGRに設けるために、
図6に示すような自家用高圧受電設備の特性を利用する
ことができる。前記高圧受電設備においては、開閉器2
5の設置箇所に流れる電流I1 は、高圧進相コンデンサ
27に流れる電流Icと、負荷26に流れる電流ILの
ベクトル和となる。前記負荷電流は常に変動し、0から
最大値まで変動するが、前記負荷電流ILが0となって
も、コンデンサ27は常に一定電流が流れるので、この
開閉器25の一次導体に流れる電流が0にならないこと
を利用してGRの電源とすることが可能である。
【0034】前述したように、開閉器25の一次導体に
常に流れる電流を利用するために、図7に示すような自
己電源回路を構成することができる。前記図7に示す例
では、BCT(図5のBCT20と同様な部材)により
得られる自己電源回路二次電流を、自己電源回路30の
昇圧トランス32により必要な電圧まで昇圧する。そし
て、前記トランス32の出力電圧を整流・安定化回路3
3を通して、整流、安定化し。GR動作に必要な直流電
源として用いる。なお、装置の使用初期段階等で必要な
電源が得られない場合があるために、バッテリー34を
付設して、地絡検出部35の電源として用いる。なお、
前記バッテリーとしては、ニッケル水素電池等の二次電
池、または、超大容量コンデンサ(スーパーキャパシ
タ)等を利用することができる。
【0035】したがって、前記GRの動作のために必要
とされる電源を、開閉器25の一次導体に流れる電流を
BCT20を介して利用することにより、従来のGRの
ように、電源を別の変圧器等を用いて形成する必要がな
い。そして、前記自己電源回路においては、貫通ブッシ
ングを用いたことで、変流器の磁心や二次巻線を一次導
体に対して絶縁する必要がなく、高圧電路のサージング
インピーダンスに不均衡が生じないため、高圧電路に過
渡電圧の集中が発生しにくいという特徴がある。また、
前記BCTを用いることで、一次導体から二次側への移
行電圧値が一般に小さい。さらに、前記二次側電流は、
開閉器の過電流検知用としても併用が可能である。
【0036】
【発明の効果】本発明の装置は、前述したように構成し
た制御装置を用いるのであるから、異常電流が流れた場
合に、自家用側での短絡事故か、もらい事故かを容易に
判別することができる。そして、前記自家用側での地絡
事故ではない場合に、その開閉器の動作を遅延させてい
る間に、事故電流が流れた原因側での電路が遮断され
て、特定の自家用側での開閉器が遮断されずに済むこと
になる。したがって、前記制御装置により、従来のGR
の場合のように、異常電流が流れたことを検知した時
に、直ちに開閉器を遮断する処理を行わないので、開閉
器の不要な遮断が少なくなり、停電後の復旧処理を行う
頻度が少なくなる。また、特定の自家用側での地絡事故
が、他の自家用側の受電設備や変電所に影響を与えるこ
とがなくなる。
【0037】さらに、本発明においては、GRの動作の
ために必要とされる電源を、高圧電路の一次導体に流れ
る電流をBCTを介して給電する手段を設けることによ
り、従来のGRのように、電源を別の変圧器等を用いて
形成する必要がない。そして、前記自己電源回路におい
ては、貫通ブッシングを用いたことで、変流器の磁心や
二次巻線を一次導体に対して絶縁する必要がなく、高圧
電路のサージングインピーダンスに不均衡が生じないた
め、高圧電路に過渡電圧の集中が発生しにくいという特
徴がある。また、前記自己電源回路を用いることで、一
次導体側から二次側への移行電圧値が一般に小さく、前
記二次側電流は、開閉器の過電流検出用としても併用が
可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の制御装置の構成を示す回路図であ
る。
【図2】 定限時動作での動作時間と入力電流の関係の
説明図である。
【図3】 反限時動作での動作時間と入力電流の関係の
説明図である。
【図4】 動作時間の説明図である。
【図5】 BCTの構成を示す説明図である。
【図6】 自家用高圧受電設備の説明図である。
【図7】 自己電源回路の構成を示す説明図である。
【図8】 事故に対する配電系統に流れる電流の説明図
である。
【図9】 自家用側の事故で流れる電流の説明図であ
る。
【図10】 事故電流の波形の説明図である。
【図11】 図10の波形解析の説明図である。
【図12】 もらい事故で流れる電流の説明図である。
【図13】 事故電流の波形の説明図である。
【図14】 図13の波形解析の説明図である。
【符号の説明】
1 変電所、 2 配電線、 3・4 自家用電
気設備、10 制御装置、 11 入力端子、 1
2 入力回路、13 フィルタ回路、 14 高
調波解析回路、15 レベル検出回路、 16 動
作時間特性切替回路、17 タイマー、 18 出
力回路、 20 BCT、21 一次導体、 22
貫通型ブッシング、 23 磁心、24 二次
巻線、 25 開閉器、 26 負荷、27 高
圧進相コンデンサ、 30 自己電源回路、 31
BCT、32 昇圧トランス、 33 整流・安
定化回路、34 バッテリー、 35 地絡検出
部。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配電用変電所からの高圧配電線路に接続
    される自家用高圧受電設備において、 前記自家用高圧受電設備に零相変流器を内蔵した開閉器
    を配置し、零相変流器を介して地絡継電器を配置し、 前記開閉器に設ける地絡継電器には、零相変流器から入
    力される高圧電路の零相電流データから、自家用高圧受
    電設備側での事故と高圧配電線路側での事故とを判別す
    る手段を設け、 前記事故の発生源が高圧配電線路側の場合に、自家用高
    圧受電設備側での開閉器の動作時間を遅らせるよう制御
    することを特徴とする事故範囲判別機能付地絡継電器
  2. 【請求項2】 前記自家用高圧受電設備に設ける事故判
    別手段においては、事故電流の波形を解析した結果にも
    とづいて、高圧配電線路側の事故を判別して、前記自家
    用高圧受電設備の開閉器の動作時間を、自家用高圧受電
    設備側事故時の動作時間よりも所定の時間遅らせる制御
    を行うことを特徴とする請求項1に記載の事故範囲判別
    機能付地絡継電器。
  3. 【請求項3】 前記自家用高圧受電設備に設ける事故判
    別手段において、零相変流器から地絡継電器の制御回路
    に入力される情報を、高調波解析する回路とレベル検出
    回路とに並列に入力し、 前記2つの回路の出力を動作時間特性切換回路に伝達
    し、 前記動作時間特性切換回路においては、波形の歪率と偶
    数高調波成分の含有率を、あらかじめ設定している値と
    比較し、自家用側か否かの判断を行う手段を設けること
    を特徴とする請求項2に記載の事故範囲判別機能付地絡
    継電器。
  4. 【請求項4】 配電用変電所からの高圧配電線路に接続
    される自家用高圧電気設備において、 前記自家用高圧受電設備に設ける地絡継電器に対して、
    制御電源としての自己電源回路を設け、前記自己電源回
    路においては、一次導体の絶縁に用いる絶縁ブッシング
    に対して、二次巻線を設けた磁心を配置して変流手段を
    構成し、外部電源を設けない自己電源型を設けることを
    特徴とする事故範囲判別機能付地絡継電器。
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