JP2001311424A - 流体軸受部品の製造方法、流体軸受部品を備えたモータ及びそれを用いたディスク装置 - Google Patents

流体軸受部品の製造方法、流体軸受部品を備えたモータ及びそれを用いたディスク装置

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JP2001311424A
JP2001311424A JP2000132036A JP2000132036A JP2001311424A JP 2001311424 A JP2001311424 A JP 2001311424A JP 2000132036 A JP2000132036 A JP 2000132036A JP 2000132036 A JP2000132036 A JP 2000132036A JP 2001311424 A JP2001311424 A JP 2001311424A
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plating
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JP2000132036A
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Keiji Matsumoto
啓司 松本
Kyoko Yokoyama
恭子 横山
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Original Assignee
Nidec Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期間の使用によっても摩耗しない流体軸受
部品を製造でき、しかも優れた生産性を示す製造方法を
提供する。 【解決手段】 銅を主成分とする基材の表面に、銅より
硬度が高い金属材料からなる金属層を形成した後、電解
加工により該金属層に動圧溝を形成する。ここで金属層
の硬度および電解加工性の点から、金属層はニッケルを
主体とするものであるのがよい。また均一な金属層が得
られる点からは、金属層はメッキにより形成するのがよ
い。さらに前記金属層の硬度をより高くして耐摩耗性を
さらに向上させるには、無電解ニッケルメッキにより金
属層を形成した後にアニール処理を行うのがよい。ま
た、動圧溝の深さと形成する金属層の層厚の均一性との
兼ね合いから、金属層の層厚は5〜30μmの範囲であ
ることが望ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は流体軸受部品の製造
方法に関し、より詳細には長期間の使用によっても摩耗
することのない流体軸受部品を製造でき、しかも優れた
生産性を示す製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】銅を主成分とする材料は優れた加工性を
有し、また価格も安いことから、流体軸受部品の材料と
して従来から広く用いられてきた。しかし銅を主成分と
する材料が有するこの優れた加工性が奏する反対効果と
して、使用により摩耗しやすいという問題があった。そ
こで、当該材料からなる流体軸受部品の表面に硬質材料
のメッキを施して用いることが従来から提案・検討され
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、流体軸
受部品の表面に切削加工により動圧溝を形成した後に硬
質材料のメッキ処理を行うと、切削により生じた微細な
バリ、むしれ又は切り粉が溝周辺に残留しているため、
これらを核としてメッキが施され、メッキ表面に微細な
突起物が生じることになる。この突起物は正常な回転に
異常を来すと共に、メッキ層から剥離すると異物となっ
て軸本体やスリーブを傷つけて、モータの作動に支障を
来すことがあった。
【0004】微細なバリ、むしれ又は切り粉を除去する
には、動圧溝の切削加工後に溝部分を洗浄することが考
えられるが、洗浄ではこれらを完全に除去することはで
きない。また別の方法として表面を研磨することも考え
られるが、深さ数十μm程度の溝部分を研磨することは
技術的に困難である。加えて、どちらの方法にしても生
産工程において新たな工程が必要となり、製造工程が複
雑化して生産性が低下する。また動圧溝の加工を電解加
工で行うと、バリ、むしれ及び切り粉は生じないもの
の、イオン化傾向が小さい銅を主成分とする材料には用
いることができない。
【0005】本発明はこのような従来の問題に鑑みてな
されたものであり、所要の動圧溝を正確に形成すると共
に、長期間の使用によっても摩耗しない流体軸受部品を
製造でき、しかも優れた生産性を示す製造方法を提供す
ることをその目的とするものである。また本発明の他の
目的は、前記製造方法で製造された流体軸受部品を用い
たモータ及びディスク装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の流体軸受部品の製造方法では、銅を主成分
とする基材の表面に、銅より硬度が高い金属材料からな
る金属層を形成した後、電解加工により該金属層に動圧
溝を形成する構成とした。
【0007】ここで金属層の硬度および電解加工性など
の観点から、金属層はニッケルを主体とするものである
のがよい。また均一な金属層が得られる点から、金属層
をメッキにより形成することが推奨される。さらに前記
金属層の硬度をより高くして耐摩耗性をさらに向上させ
る観点から、金属層を無電解ニッケルメッキにより形成
した後にアニール処理を行うことが望ましい。そして動
圧溝の深さと形成する金属層の層厚の均一性との兼ね合
いから、金属層の層厚は5〜30μmの範囲であること
が望ましい。
【0008】また本発明のモータでは、スリーブ部材
と、該スリーブ部材に対して相対的に回転自在である軸
部材と、該スリーブ部材と該軸部材との間に充填された
潤滑流体とを有する流体動圧軸受を備えたモータであっ
て、スリーブ部材および軸部材の少なくとも一方は、前
記の製造方法により製造された流体軸受部品である構成
とした。
【0009】さらに本発明のディスク装置では、情報を
記録できる円盤状記録媒体が装着されるディスク装置に
おいて、ハウジングと、該ハウジングの内部に固定され
たスピンドルモータと、前記記録媒体の所要位置に情報
の書き込み及び/又は読み出しのための情報アクセス手
段とを備えたディスク装置であって、前記スピンドルモ
ータとして上記記載のモータを用いる構成とした。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明者等は、長期間の使用によ
っても摩耗しない流体軸受部品を製造でき、しかも優れ
た生産性を示す製造方法を提供することができないか鋭
意検討を重ねた結果、基材表面に高い硬度の金属層を形
成し、その後に電解加工により動圧溝を形成すればよい
ことを見出し本発明をなすに至った。
【0011】すなわち本発明の製造方法の大きな特徴の
一つは、銅を主体とする基材の表面に、銅より硬度が高
い金属材料からなる金属層を形成した後、動圧溝を形成
する点にある。従来は、まず基材に動圧溝を形成し、そ
の後にメッキ処理を行っていたので、動圧溝を形成した
ときに生じた微細なバリ、むしれ又は切り粉にまでメッ
キがなされて、こららを核とする微細な突起物がメッキ
層に生じていたが、本発明の製造方法では金属層を形成
した後に動圧溝を形成するので従来のような不具合は生
じない。また基材表面に硬度の高い金属材料からなる金
属層を形成しているので、長期間の使用によっても摩耗
することがない。
【0012】ここで銅を主成分とする基材としては、銅
を50wt%以上含有する基材を基本的に意味し、具体
的には純Cuの他、Cu−Zn(黄銅)、Cu−Ni、
Cu−Sn(青銅)、Cu−Si、Cu−Al、Cu−
Be、Cu−Zn−Mn、Cu−Zn−Si、Cu−Z
n−Ni、Cu−Sn−P、Cu−Sn−Zn、Cu−
Zn−Sn−Fe、Cu−Zn−Sn−Mnなどを挙げ
ることができるが、もちろんこれらに限定されるもので
はない。
【0013】また銅より硬度が高い金属材料としては、
銅より硬度が高く、且つ電解加工できるものであれば特
に限定はなく、例えばNi、Fe、Cr、Co、Mo、
Ti、Wなどの金属元素およびこれらを主成分とする合
金などが挙げられる。この中でも、電解加工性および金
属硬度の観点からNiを主体とする金属材料が好適に使
用できる。Niを主体とする金属材料としては、純Ni
の他、Fe、Al、Ti、Nb、Co、Cr、Mo、
W、V、Ta、Si、C、B、Zr、Pからなる群から
選ばれる1又は2以上の元素とNiとの合金が挙げられ
る。
【0014】基材の表面に金属層を形成する方法として
は、電気メッキ、無電解メッキ、溶融メッキなどのメッ
キ法;真空蒸着、スパッタリングなどの物理蒸着(PV
D)法;熱化学蒸着(CVD)、プラズマCVD、光C
VDなどのCVD法などを用いることができる。これら
の方法について以下に簡単に説明する。
【0015】電気メッキ法は、金属層を構成する金属イ
オンを含む水溶液中に基材を浸漬し、これをカソードと
する。他方、適当な可溶性または不溶性のアノードを設
ける。カソードとアノードとの間に直流電流を通じ、基
材表面に目的の金属層を電解析出させる方法である。金
属層の層厚や形態などは、電解時間や電流密度、電解温
度、電流波形、電流密度分布、撹拌条件などの電解条
件;金属イオン濃度・割合や添加剤の種類・濃度、水溶
液中の不純物量などの水溶液の組成などにより制御する
ことができる。なお電気メッキを行う前に、基材の表面
粗さを整える研磨、表面の清浄化する酸洗い、脱脂を行
うことが推奨され、さらには電気メッキを行った後に、
水洗、乾燥の他水素脆性を除去する熱処理を行うことが
推奨される。
【0016】無電解メッキ法は、メッキしようとする金
属のイオンと還元剤が存在する溶液中に被メッキ素材を
浸漬し、還元剤が酸化されることによって電子が放出さ
れ、溶液中の金属イオンをこの電子が還元して被メッキ
素材上に金属を析出させる方法である。詳細については
後述する。
【0017】溶融メッキ法は、低融点の溶融金属中に基
材を浸漬し、基材表面に密着性の高い金属層を形成させ
る方法である。形成したメッキ層は、溶融金属浴中で基
材と溶融金属との固/液相間の反応によって形成された
合金層と、浴から基材と共に引き上げられて付着凝固し
た浴組成の金属層とから構成されている。
【0018】真空蒸着法は、真空中で金属材料を加熱
し、発生した蒸気を基材上に凝集・付着させて金属層を
形成する方法である。蒸着材料の加熱方法には抵抗加
熱、加熱ルツボ、電子ビーム、高周波、レーザなどがあ
る。この方法でFe−NiやAl−Cuなどの合金層を
形成すると、蒸着材料と形成した金属層とで組成が異な
ることがあるが、このような場合には、瞬時に蒸発させ
るフラッシュ蒸着法や、蒸着材料を別々にする二元蒸着
法を用いればよい。
【0019】スパッタリング法は、高いエネルギーを持
った粒子を固体に衝突させて、固体表面の原子、分子な
どを固体表面からたたき出し、固体近くに置かれた基材
に飛散した原子、分子などを体積させて層を形成する方
法である。スパッタリング法には、直流2極スパッタリ
ングやマグネトロンスパッタリング、対向ターゲット式
スパッタリング、イオンビームスパッタリング、ECR
スパッタリングなどの種類があるが、本発明の金属層の
形成にはいずれの方法を用いてもよい。
【0020】熱CVD法は、原料ガスを高温に加熱して
熱的に活性化して化学反応を促進させ、基材上に金属層
を形成させる方法である。またプラズマCVDは、反応
ガスをプラズマ励起することで活性なイオンやラジカル
を生成し基板上に金属層を作成する方法である。高い温
度を必要とする熱CVDと比較して、この方法では適用
可能な基材の適用範囲が広い。光CVD法は、光子のエ
ネルギーをCVD反応場に照射することにより、反応化
学種を励起または活性化して金属層を形成する方法であ
る。
【0021】前記説明した金属層の形成方法の中でも、
Niを主体とする金属材料からなる金属層を基材表面に
形成する場合には、均一なメッキが可能な無電解メッキ
法を用いることが推奨される。このとき還元剤として次
亜リン酸ナトリウム又は水素化ホウ素を用いるのが望ま
しい。
【0022】次亜リン酸ナトリウムを還元剤として用い
た場合、ニッケルの塩化物または硫酸塩が金属塩として
用いられ、複雑な反応を経て自己触媒的にNiが析出す
る。析出物の中にはリンが含まれ、Ni−Pの合金が生
成する。このようなリンの共析により高い硬度のメッキ
層(Hv500程度)が得られる。後述するようなアニ
ール処理をすれば硬度をさらに高くすることができ、最
高Hv800程度にまで高めることができる。なお、流
体軸受部品の硬度としては、Hv400以上であること
が望ましく、より望ましい硬度はHv600以上であ
る。
【0023】一方、水素化ホウ素を還元剤として用いた
場合、具体的にはアミンボラン又は水素化ホウ素ナトリ
ウムを用いた場合には、どちらもNi−B合金が析出す
る。還元剤としてアミンボランを用いると、ニッケルの
純度が高くなり、高い硬度の金属層が得られる(Hv8
00程度)。還元剤として水素化ホウ素ナトリウムを用
いると、アミンボランを用いたものよりボラン含有率の
高い合金が得られる。この合金はアニール処理により硬
度を高くすることができる。またこの合金は融点が高
く、高温時においても高硬度を維持するので、流体軸受
部品の基材表面に形成する金属層として好適である。
【0024】基材の表面に形成する金属層の層厚として
は、5〜30μmの範囲が好ましい。金属層の層厚が5
μm未満の場合、十分な深さの動圧溝を形成することが
できないおそれがあり、他方30μmより大きい場合、
金属層の層厚が不均一となるおそれがあるからである。
金属層の層厚のより好ましい下限値は10μmであり、
より好ましい上限値は20μmである。
【0025】基材表面に形成した金属層の硬度をより高
くするためには、金属層の形成後アニール処理するのが
よい。アニール処理の具体的条件は、金属層の組成や層
厚などから適宜決定すればよい。好ましくは200〜4
00℃で0.5〜4hの範囲である。なおアニール処理
は動圧溝の形成前でもよいし、形成後でもよい。
【0026】本発明に係る製造方法のもう一つの大きな
特徴は、電解加工により前記金属層に動圧溝を形成する
点にある。動圧溝を形成する方法として従来専ら用いら
れていた切削加工では、微細なバリ、むしれ又は切り粉
が不可避的に発生し、前記のような問題が生じていた
が、電解加工では溝部分の金属材料を電解溶出させて除
去するので、これらに起因する従来の問題は完全に解決
される。
【0027】本発明で用いる電解加工とは、電気化学的
溶解作用を材料の所要部分に集中・制限することによっ
て所要の形状・寸法・表面状態を得る加工法をいう。電
解加工の一般的な構成を図1に示す。図1は、スピンド
ルモータの支持部材として用いる中空円筒状の被加工材
16に、ラジアル状の動圧溝を形成する電解加工装置の
全体構成を示した図である。中空円筒状の被加工材16
は加工室42内に固定され、露出電極44aが被加工材
16の内周面と微小間隙を隔てて対向するように円柱状
の工具電極44が加工装置ハウジング40に取り付けら
れている。ここで露出電極44aは、被加工材に形成さ
せたいラジアル状の動圧溝の形状(図1ではヘリングボ
ーン形状)と相似形状をしていて、ラジアル状の動圧溝
より若干小さい幅に形成されている。
【0028】被加工材16には、加工用電源54の正電
源端子から延出した正極端子60が接続され、そしてそ
の途中には、被加工材16と工具電極44との間に流れ
る電流を検出する電流検出手段58が設けられている。
他方、工具電極44には、加工用電源54の負電源端子
から延出した負極端子62が接続され、そしてその途中
には、加工用電源54からの直流電圧(パルス電圧)の
オン・オフを行うスイッチ手段46が設けられている。
【0029】一方、電解液タンク50には電解液が貯留
されており、電解液タンク50と加工室42の供給口と
は循環ポンプ48を介して供給管で接続され、加工室4
2の排出口と電解液タンク50とは排出管で接続されて
いる。電解加工時には、循環ポンプ48が作動されて、
電解液タンク50から加工室42に電解液52が供給さ
れる。加工室42に供給された電解液52は、加工室4
2の上部から被加工材16と工具電極44との間隙を流
れて、加工室42の下部に至る。そして電解液52は、
加工室42の下部から排出管を通って電解液タンク50
に回収され、また循環ポンプ48により加工室42へ供
給されるという流れを繰り返す。ここで、被加工材16
と工具電極44との間隙を通過するとき、電解生成物が
電解液中に混入する。電解加工では、電流密度が極めて
大きく、加工間隙が極めて小さいので、電解生成物の発
生や電解液の加熱は加工に大きな影響を及ぼし、これら
の影響をすみやかに除去しなければ加工が進行しなくな
るおそれがある。したがって、電解液の流速は高速にす
る必要があり、加工条件によって異なるものの、一般に
は6〜60m/secの範囲が望ましい。また電解生成
物が沈殿性のものである場合には、遠心分離や沈降、濾
過およびこれらの組み合わせによって電解液タンク50
中の電解液から電解生成物を分離・除去し、電解液を清
浄にしてから循環使用するのがよい。
【0030】このような構成の装置において、前記スイ
ッチ手段46を所定時間(加工時間)オンにすると、被
加工材16と工具電極44の間に直流電圧(パルス電
圧)が印加され、被加工材16と工具電極44の間に加
工用電源54から電流が流れる。そして例えばNaCl
液を電荷液とし、被加工材の表面がNiとした場合に
は、主として次の電極反応が起こる。
【0031】被加工材表面:Ni→Ni2++2e- 工具電極表面:2Na++2H2O+2e-→2NaOH
+H2
【0032】このような反応によって、工具電極44の
露出電極に対向する被加工材16の表面材料は、電解液
52中に溶出し、露出電極に対応する形状の動圧溝が被
加工材16表面に形成される。
【0033】加工時に、被加工材16と工具電極44と
の間に流れる電流は、電流検出手段58により検出さ
れ、検出値は通電制御回路56に送られ、ここで検出値
に基づきスイッチ手段46のオン・オフが制御される。
この結果、電解液52の中に溶出した電解生成物量や加
工位置における電解液の流速、その他種々の加工条件の
変化によっても影響を受けず、常に安定した品質の溝加
工が行える。
【0034】電解加工の加工条件としては、被加工材の
組成や形状および形成する溝の深さや幅、形状といった
ものから適宜決定すればよい。加工条件の一例を示す
と、加工電圧10V、加工電流10A、加工時間(スイ
ッチ手段46をオンとする時間)3秒、被加工材16の
加工面と工具電極44の電極面との間隙0.1mmに設
定すると、深さ10μmの所望形状の動圧溝を形成でき
る。
【0035】次に請求項6のモータについて説明する。
請求項6のモータは、流体動圧軸受を備えたモータであ
って、該流体動圧軸受の部品であるスリーブ部材および
軸受部材の少なくとも一方が、前記説明した製造方法で
製造されたものであることが大きな特徴である。このよ
うな構成により本発明のモータでは、高速で安定した回
転を長期間持続することができる。
【0036】以下、図に基づいて本発明のモータについ
て詳述する。図2は、本発明のモータの一実施形態であ
って、記録ディスク駆動用の流体軸受モータの概略断面
図である。モータ1は、ブラケット2と、このブラケッ
ト2の中央開口部に一方の端部が外嵌固定されるシャフ
ト4、このシャフト4に対して相対的に回転自在に保持
されたロータ6とを備える。ブラケット2にはステータ
12が固定され、ロータ6にはステータ12に対向した
位置にロータマグネット10が設けられ、ステータ12
とロータマグネット10との間で回転駆動力が発生す
る。
【0037】シャフト4の上部及び下部には半径方向外
方に突出する円盤状の上部スラストプレート4aと下部
スラストプレート4bがあり、これらのスラストプレー
ト間のシャフト外側面には、気体介在部22が形成され
ている。
【0038】一方ロータ6は、その外周部に記録ディス
クDが載置されるロータハブ6aと、ロータ6の内周側
に位置し、潤滑油8が保持される微小間隙を介してシャ
フト4に支持されるスリーブ6bとを備えている。さら
にスリーブ6bには、上部および下部スラストプレート
の外側に蓋をする形で、上部カウンタプレート7aおよ
び下部カウンタプレート7bが設けられている。
【0039】ここで、シャフト4及び上・下部スラスト
プレート4a,4bが本発明における軸部材、スリーブ
6bが本発明のスリーブ部材に相当する。これら軸部材
およびスリーブ部材の双方又はどちらか一方が、銅を主
成分とする基材表面にニッケルを主体とするメッキ層を
形成したものである。そして後述するように、スリーブ
6bの内周部貫通孔6cの上部・下部内面にはヘリング
ボーン状の動圧溝24、上部スラストプレート4aの下
面および下部スラストプレート4bの上面にはスパイラ
ル状の動圧溝14が、電解加工によりがそれぞれ形成さ
れている。
【0040】シャフト4の中央部に設けられた気体介在
部22の上部に隣接するシャフト4の外周部から、上部
スラストプレートの下面、外周面および上面外周部に至
る部分には、対向するスリーブ6bの内周部貫通孔6c
の上部から上部カウンタプレート7aの下面に至る部分
との間に、微小間隙が形成され、潤滑油8が保持されて
いる。そして上部スラストプレート4aの下面および下
部スラストプレート4bの上面には、ロータ6の回転に
ともない潤滑油8中に動圧を発生するスパイラル状の動
圧溝14が形成されている。動圧溝14は、モータ回転
時にロータ部を軸線方向に保持する支持力を発生すると
同時に、潤滑油8を矢印Aの方向に押し戻す作用を奏す
る。さらにスリーブ6bの内周部貫通孔6cの上部・下
部内面の潤滑油保持部には、ヘリングボーン状の動圧溝
24が形成されている。動圧溝24は、モータ回転時に
ロータ部を半径方向に保持する支持力を発生すると同時
に、潤滑油8を矢印Bの方向に押し上げる作用を奏す
る。
【0041】これら動圧溝により生じる微小間隙内の潤
滑油8の動圧圧力分布は、上部スラストプレートの下面
内周部Pで最も高くなる。この結果、潤滑油8内に溶け
込んでいた空気が気泡化すると、その気泡は前記内周部
Pの外側に拡散排除され、下方の気体介在部22空隙部
または上方の上部カウンタプレート7a下面空隙部に至
る。そしてこれらの空隙部は、直接または外気連通孔2
0により大気に解放されているので、ここから気泡は外
気に解放され、気泡の膨張に起因する潤滑油漏れは防止
される。
【0042】更に前記潤滑油保持部の端部であるカウン
タプレート7aの下面と上部スラストプレート4a上面
との間には、シャフト方向に向かう程その間隙が徐々に
広がるテーパシール部が形成され、テーパシール部の端
部には発油剤が塗布されている。同様に、前記潤滑油保
持部の他端部であるシャフト4中央部の気体介在部22
の上部にも、シャフト4の外周面とスリーブ6bの内周
面との間で、潤滑油保持部から軸方向下方に離れる程そ
の間隙が徐々に広がるテーパシール部が形成され、テー
パシール部の端部には発油剤が塗布されている。これら
の両端に形成されたテーパシール部により、潤滑油内部
に生じる動圧力、大気圧、テーパシール部の表面張力が
バランスした位置に潤滑油は保持される。テーパシール
部に塗布された発油剤は、潤滑油がシャフトやスリーブ
の金属表面を伝って拡散する、いわゆるオイルマイグレ
ーションを防止する作用も有する。これらの潤滑油保持
構造により、潤滑油漏れがなくかつ負荷支持力の高い流
体軸受構造を実現している。
【0043】同様の微小間隙、動圧溝、潤滑油保持部の
構造が、シャフト4の中央部に設けられた気体介在部2
2の下部から下部スラストプレート4bおよび下部カウ
ンタプレート7bに、上下逆配置で形成されており、こ
の下部動圧軸受部によりロータ部は一層安定に支持され
る。
【0044】またこのような構造の流体軸受モータは、
毎分2万回転前後の高速回転においても、回転遠心力に
よる潤滑油8の外周方向への発散が、上部および下部カ
ウンタプレート7a、7bにより効果的に防止され、一
層高速で安定した回転を実現することができる。
【0045】次に請求項7のディスク装置について説明
する。このディスク装置は、スピンドルモータの回転部
に装着された記録媒体に対して、情報の書き込み及び/
又は読み出しを情報アクセス手段により行う装置であっ
て、当該スピンドルモータとして請求項6のモータを用
いることを特徴とすものである。
【0046】図3に、本発明のディスク装置の一実施態
様である概略説明図を示す。ハウジング71の内部に
は、各種情報をデジタル形式で高密度に記憶するディス
ク板(記録媒体)73を回転自在に支持したスピンドル
モータ72と、ディスク板73に対して情報の読み書き
を行う情報アクセス手段77が配置されている。この情
報アクセス手段77は、ディスク板73上の情報を読み
書きするヘッド76と、ヘッド76を支えるアーム75
と、ヘッド76およびアーム75をディスク板73上の
所要の位置に移動させるアクチュエータ部74から少な
くとも構成されている。そしてスピンドルモータ72と
して請求項6のモータが用いられている。
【0047】なお、ディスク板に記憶できる情報密度は
近年飛躍的に向上し、ディスク板の設置環境として塵・
埃などの極度に少ないクリーンな環境が必須となってい
る。したがって、ハウジング71の内部を外気から遮断
した高度にクリーンな空間とするためは、その内部構成
部品である情報アクセス手段77及びスピンドルモータ
72として、その内部で使用されている潤滑油のミスト
等が外部に漏れない機構のものを使用するのが望まし
い。
【0048】
【発明の効果】請求項1の製造方法では、銅を主成分と
する基材の表面に、銅より硬度が高い金属材料からなる
金属層を形成した後、電解加工により該金属層に動圧溝
を形成する構成としたので、バリ、むしれ及び切り粉に
起因する金属層の突起物を除去する必要がなく、また長
期間の使用によっても摩耗しない流体軸受部品を製造で
き、さらに生産性が向上する。また金属層をニッケルを
主体とするものとすれば、金属層としての硬度と電解加
工性とのバランスに優れたものが得られる。さらに金属
層をメッキにより形成することにより、均一な金属層が
得られる。そしてまた金属層を無電解ニッケルメッキに
より形成した後にアニール処理を行うことにより、金属
層の硬度をより高くして耐摩耗性をさらに向上させるこ
とができる。また金属層の層厚を5〜30μmの範囲と
することにより、形成する動圧溝の深さと形成する金属
層の層厚の均一性とのバランスを保つことができる。
【0049】請求項6のモータでは、流体動圧軸受と備
え、該流体動圧軸受のスリーブ部材および軸部材の少な
くとも一方は、本発明の製造方法で製造されたものを使
用するので、長期間にわたって高速で安定した回転を実
現できる。
【0050】請求項7のディスク装置では、ハウジング
の内部に固定され、記録媒体を回転部に装着したスピン
ドルモータを備え、このスピンドルモータとして本発明
のモータを用いるので、装置の長寿命化を図ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 請求項1の製造方法で用いる電解加工の一実
施態様を示す概略構成図である。
【図2】 請求項6のモータの概略構成図である。
【図3】 請求項7のディスク装置の概略構成図であ
る。
【符号の説明】
1 モータ 4 シャフト 6b スリーブ(スリーブ部材) 8 潤滑油(潤滑流体) 14、24 動圧溝 16 被加工材 44 工具電極 44a 露出電極 71 ハウジング 72 スピンドルモータ 73 ディスク板(記録媒体) 77 情報アクセス手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3J011 AA20 BA02 BA06 CA02 CA05 DA02 JA02 KA02 KA03 MA02 QA03 RA03 SB03 SB15 5H607 BB01 BB17 CC01 CC05 DD05 DD16 FF01 GG01 GG02 GG12 GG15 KK10

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銅を主成分とする基材の表面に、銅より
    硬度が高い金属材料からなる金属層を形成した後、電解
    加工により該金属層に動圧溝を形成することを特徴とす
    る流体軸受部品の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記金属層がニッケルを主体とするもの
    である請求項1記載の流体軸受部品の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記金属層をメッキにより形成する請求
    項1又は2記載の流体軸受部品の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記金属層を無電解ニッケルメッキによ
    り形成した後アニール処理を行う請求項3記載の流体軸
    受部品の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記金属層の層厚が5〜30μmの範囲
    である請求項1〜4のいずれかに記載の流体軸受部品の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 スリーブ部材と、該スリーブ部材に対し
    て相対的に回転自在である軸部材と、該スリーブ部材と
    該軸部材との間に充填された潤滑流体とを有する流体動
    圧軸受を備えたモータであって、 前記スリーブ部材および前記軸部材の少なくとも一方
    は、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法により製
    造された流体軸受部品であることを特徴とするモータ。
  7. 【請求項7】 情報を記録できる円盤状記録媒体が装着
    されるディスク装置において、ハウジングと、該ハウジ
    ングの内部に固定されたスピンドルモータと、前記記録
    媒体の所要位置に情報の書き込み及び/又は読み出しの
    ための情報アクセス手段とを備えたディスク装置であっ
    て、 前記スピンドルモータとして請求項6記載のモータを用
    いることを特徴とするディスク装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008052652A1 (de) * 2006-10-30 2008-05-08 Daimler Ag Verfahren zur bearbeitung einer beschichteten reibkontaktfläche aus elektrisch leitfähigem material und elektrode zur elektrochemischen bearbeitung
US9940682B2 (en) 2010-08-11 2018-04-10 Nike, Inc. Athletic activity user experience and environment

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