JP2001310800A - シリコン熱制御ブランケット - Google Patents

シリコン熱制御ブランケット

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JP2001310800A JP2001011076A JP2001011076A JP2001310800A JP 2001310800 A JP2001310800 A JP 2001310800A JP 2001011076 A JP2001011076 A JP 2001011076A JP 2001011076 A JP2001011076 A JP 2001011076A JP 2001310800 A JP2001310800 A JP 2001310800A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱制御コーティングを与えるための、スペー
スクラフト(10)又はスペースクラフト部材に関する
使用のための熱制御ブランケット(28)を提供するこ
と。 【解決手段】 熱ブランケット(28)はプラスチック
基材(22)を含む。この基材の上には、真空蒸着プロ
セスによりシリコンフィルム(24)が堆積される。こ
のシリコンフィルム(24)は、比較的高い赤外光透過
及び太陽スペクトル中の高エネルギー帯域幅の適度の吸
収を与え、高エネルギー可視光線の反射及び赤外線放射
による放熱を可能にする。加えて、シリコンフィルム
(24)は、硬くて丈夫なコーティングであり、湿度及
び他の腐食性の環境に対する耐性を与える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般に、スペース
クラフトのための不動の(passive)熱制御コーティン
グ、特に、基材上にスパッターされたケイ素の外側コー
ティングを含むスペースクラフトのための熱ブランケッ
トに関する。
【0002】
【従来の技術】スペースクラフトは、一般的には、宇宙
空間における種々の機能(例えば、情報伝送及び光学的
画像生成など)を発揮するための多くの高感度の及び高
価な部材を使用する。宇宙空間に存在するとき、スペー
スクラフトは、太陽からの熱放射に曝される。この熱放
射により、スペースクラフト及びその部材は非常に高温
に加熱され、このため、スペースクラフトが損傷を被る
こともある。宇宙空間の環境では、可視光線が熱エネル
ギーの主な源である。それゆえ、高感度のスペースクラ
フト部材上に、熱制御コーティング(一般には、熱ブラ
ンケットと呼ばれているもの)を設けて有害な太陽放射
線を反射及び放出し、これら部材が過剰に加熱されない
ようにすることが、この分野では、従来から知られてい
る。
【0003】スペースクラフトの熱制御は、一般に、ス
ペースクラフトの外表面から熱を放出することによって
行われる。スペースクラフトの太陽加熱及び冷却は、ス
ペースクラフトによって吸収されたエネルギーの量及び
放出されたエネルギーの量で決定される。スペースクラ
フトによって吸収されたエネルギーの大半は、それが宇
宙空間にあるときは、太陽放射スペクトルのピークに由
来する。このピークは、約400〜600nmの波長を
有する。放出されるエネルギーの大半は、1000nm
よりも大きな波長の赤外線スペクトルに由来する。太陽
加熱に適用できる式は、 aS10=eS2sT4 (1) (ここで、aはスペースクラフト表面の太陽光吸収度で
あり、S1は太陽光吸収面積であり、E0は太陽光放射度
であり、eはスペースクラフト表面の放射率(エミッタ
ンス)であり、S2は放射面積であり、sはシュテファ
ン‐ボルツマン定数であり、Tは温度(絶対)であ
る。)によって与えられる。
【0004】この目的に使用される一つの公知の熱ブラ
ンケットは、銀めっきしたテフロン(登録商標)積層体
である。特に、約2ミル(mils)の厚さを有するKapton
製のプラスチック基材は、コールドバイアス化単層クロ
ーズアウト(cold-biased single layer closeout)と
しての使用に対して、強度及び高い放射率を提供する。
ポリエステル接着層は、Kapton基材上に、約1.5ミル
の厚さまで堆積される。次に、インコネル層が、この接
着層上に、約300オングストロームの厚さまで堆積さ
れる。その後、銀層が、インコネル層上に、約1350
オングストロームの厚さまで真空蒸着される。外側の層
は、5ミル厚のFEPタイプ“A”テフロンである。こ
の構成は、望ましい太陽光吸収及び放出を提供して太陽
加熱及び温度を最小化するのに効果的である。しかしな
がら、このタイプの熱ブランケットは、高価な材料で作
製され、製造が困難である。
【0005】この目的に使用される別の公知の熱ブラン
ケットは、薄いゲルマニウムフィルムでスパッターさ
れ、コートされたプラスチックシート(例えばKaptonな
ど)である。ゲルマニウムフィルムは、可視光線を反射
するための好適な反射特性を提供する。プラスチックシ
ートは、赤外線放射を放出するための好適な放射特性を
提供すると共に、熱がブランケットを貫通するのを抑え
るように作用する。一般に、ゲルマニウムは、公知の真
空蒸着プロセスを使用してプラスチックシート上にスパ
ッターされる。熱制御のためのこの技術の代わりのバー
ジョンにおいて、プラスチック層は、スペースクラフト
表面上に塗布され、その後、ゲルマニウム層が塗布され
たプラスチック層上に真空蒸着される。
【0006】スペースクラフトへの取り付けに先立っ
て、ゲルマニウムでコートされたプラスチックの大きな
シートは、保存のために巻き上げられる。熱ブランケッ
トの一片が必要なとき、このシートは、ある長さに切断
され、スペースクラフトの好適な部材に取り付けられ
る。保存期間中、湿気に曝されると、ゲルマニウムは腐
食性の劣化により損傷を受けることが見出されている。
この腐食性の劣化は、ゲルマニウムフィルムのピッティ
ング(窪み形成)の原因及びフィルムをカバーするヘイ
ズ(曇り)の原因となる。この劣化は、シートの反射及
び放射特性に影響し、多くの場合、シートを意図する目
的に役立たないものにしてしまう。そのような劣化を防
ぐことを試みて、熱コーティングは、巻き取らない条件
で又は制御された環境下で保存されることができる。し
かし、これら苦しい方策は、また、コストを追加する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】必要なものは、スペー
スクラフト又はスペースクラフトの部材に関する使用の
ための熱ブランケットであって、保存の際に腐食性の劣
化により損傷を受けることがなく、比較的費用のかから
ないものである。従って、本発明の目的は、そのような
熱ブランケットを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の教示によれば、
スペースクラフト又はスペースクラフト部材に熱制御コ
ーティングを与えるための、熱ブランケットが開示され
る。この熱ブランケットは基材を含む。この基材の上に
は、真空蒸着プロセスによりシリコンフィルムが堆積さ
れる。このシリコンフィルムは、比較的高い赤外光透過
及び太陽スペクトル中の高エネルギー帯域幅の適度の吸
収を与え、高エネルギー可視光線の反射及び赤外線放射
による放熱を可能にする。加えて、シリコンフィルム
は、硬くて丈夫なコーティングであり、湿度及び他の腐
食性の環境に対する耐性を与える。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の追加の目的、利点及び特
徴は、下記説明及び添付図面及び特許請求の範囲から当
業者に明らかとなるであろう。
【0010】真空蒸着されたシリコンフィルムを含む熱
制御ブランケットに向けられる下記の好適な態様の説明
は、実際、単なる例示に過ぎないし、本発明又はその用
途又は使用を制限することを意図するものでは決してな
い。例えば、以下の説明は、スペースクラフト上の不動
の熱制御のための熱ブランケットを使用することに向け
られる。しかしながら、熱ブランケットは、他の用途に
おいて、不動の熱制御のために使用されることができ
る。本明細書で使用される「熱ブランケット」との用語
は、表面をカバーするものを意味することとし、本明細
書に記載されるように多くの形態を取り得る。
【0011】図1は、スペースクラフト本体12、アン
テナ14及びソーラーアレイ16を含むスペースクラフ
ト10の斜視図である。スペースクラフト10は、太陽
光が人工衛星本体12の太陽側上の不動の熱制御ブラン
ケット20に当たるように、太陽光に向けられる。ブラ
ンケット20は、スペースクラフト本体12を熱から保
護するために、熱制御コーティング提供する。ブランケ
ット20は、また、スペースクラフト10の他の部分を
カバーするために使用できる。スペースクラフト10
は、太陽光からの吸収エネルギー(I)によって加熱さ
れ、スペースクラフトからの放射エネルギー(M)によ
って冷却される。ブランケット20は、本体12に(例
えば、接着剤で)適用された別個のカバーとして示され
ているが、本体12上に塗布されることもできる。
【0012】図2は、望遠鏡18の本体を包むシート状
の不動の熱制御ブランケット26を含む宇宙望遠鏡18
の絵図である。この熱ブランケット26は、ブランケッ
ト20と同様にして熱から宇宙望遠鏡18を保護するた
めに熱制御を与える。
【0013】図3は、本明細書で説明されたタイプの不
動の熱制御ブランケット28の分解横断面図である。熱
ブランケット28は、シリコンコーティング24を堆積
されたプラスチック基材層22を含む。シリコンコーテ
ィング24は、プラスチック基材22上に、当業者に周
知のいかなる適切な真空蒸着プロセス、例えば、スパッ
タリング、によっても堆積することができる。一つの態
様においては、シリコンコーティング24は、IR及び
可視の放射線の好適な反射及び放射の品質を提供するた
めに、500から3000オングストロームの間の厚さ
を有する。図4は、熱ブランケット28の反射及び放射
の性質を示す。基材層22は、約1〜2ミルの厚さを有
し、本明細書に記載した目的のためのいかなる適切なプ
ラスチック、例えば、Kapton、によっても作製すること
ができる。
【0014】シリコンコーティング24は、スペースク
ラフト10上の制御表面として使用するための好適な反
射、吸収及び放射の特性を提供する。シリコンコーティ
ング24は、比較的高い赤外光透過及び可視の太陽スペ
クトル中の高エネルギー帯域幅の適度な吸収を有する。
これにより、高エネルギー可視光の反射及び基材層22
を通じて赤外線放射の放出が可能となる。加えて、シリ
コンコーティング24は、湿気及び腐食性の環境に耐え
る、硬質で丈夫なコーティングを与える。コーティング
24は、太陽光の吸収を低減し、熱放出を可能にする。
この熱放出によって、熱放射線に曝される表面に関し
て、不動の熱制御が可能となる。加えて、熱ブランケッ
ト28は、目方が軽い。
【0015】シリコンコーティング24は、また、多く
の他の有益な特徴を提供する。シリコンは、原子状態の
酸素に耐性を有し、太陽光放射の損傷に耐性を有し、静
電気の放電を防ぐための十分な電導性を提供し、地球型
の腐食に耐性を有し、Kaptonに対する優れた接着を提供
する。
【0016】不動の熱制御のためにKapton基材と組み合
わせてシリコンコーティングを使用することは、また、
他のコーティング層と組み合わせてシリコンを使用する
ことにまで拡張されることができる。例えば、ゲルマニ
ウム及びシリコンの組み合わせ(ここで、シリコン層は
外側になる。)もまた使用できる。加えて、基材層22
上に堆積された二つのシリコン層間にゲルマニウム層を
サンドイッチすることも使用できる。加えて、シリコ
ン、ゲルマニウム及び二酸化ケイ素の組み合わせも使用
できる。しかしながら、シリコン単独の使用が最も良い
結果を達成している。下記の表1は、シリコン、ゲルマ
ニウム及び二酸化ケイ素の様々な組み合わせに関する試
験結果を示す。この表は、層の厚み、層の組み合わせの
合計厚さ、及び層の組み合わせの吸収(α)及び放射度
(ε)を含む。
【0017】
【表1】
【0018】図5は、本発明の別の態様に従った、Kapt
on基材層22及び3つの制御コーティング層32、34
及び36を含む熱ブランケット30の分解横断面図を示
す。このブランケット30は、ある用途のためにスペー
スクラフト上のブランケット28と取り替えることがで
きる。制御コーティング層32〜36は、複数の層のい
ずれの組み合わせとすることができ、本明細書において
は、例えば、ケイ素−ゲルマニウム−ケイ素又はケイ素
−ゲルマニウム−二酸化ケイ素などが提案される。
【0019】上述した説明は、本発明の例示的な態様を
単に開示及び記載する。当業者は、特許請求の範囲に定
義されるような本発明の精神及び範囲から逸脱すること
無く、様々な置換、改良及び変更がなし得ることを直ち
に理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の態様に従った熱制御ブランケットを
含むスペースクラフトの斜視図である。
【図2】 本発明の別の態様に従った熱制御ブランケッ
トを含む宇宙望遠鏡の絵図である。
【図3】 本発明に従った、スペースクラフトから分離
された熱制御ブランケットの分解横断面図である。
【図4】 ブランケットから熱エネルギーが反射及び放
出されることを示す、図3に示された熱制御ブランケッ
トの分解横断面図である。
【図5】 本発明の更に別の態様に従った、シリコンフ
ィルム及び他の層を含む熱制御ブランケットの分解横断
面図である。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不動の熱制御ブランケットであって、 ブランケットは、基材及び基材上のシリコンコーティン
    グを含み、 基材及びシリコンコーティングは、ブランケットに、予
    め選択された、赤外線エネルギーに対する放射的特性及
    び可視光に対する反射的特性を与え、これにより、被覆
    される対象物に熱制御を与える、ことを特徴とするブラ
    ンケット。
  2. 【請求項2】 対象物がスペースクラフトであり、シリ
    コンコーティングが500〜3000オングストローム
    の厚さを有する、請求項1記載のブランケット。
  3. 【請求項3】 基材及びシリコンコーティングの間に挟
    まれたゲルマニウム又は二酸化ケイ素の中間層を更に含
    む、請求項1記載のブランケット。
  4. 【請求項4】 基材がプラスチック基材である、請求項
    1記載のブランケット。
  5. 【請求項5】 ブランケットが、対象物を包むことがで
    きるフレキシブルシートの形状である、請求項1記載の
    ブランケット。
  6. 【請求項6】 スペースクラフトに関する使用のため
    の、不動の熱制御ブランケットであって、 ブランケットは、プラスチック基材、及び真空蒸着プロ
    セスにより基材上に500〜3000オングストローム
    の間の厚さに堆積されたシリコンコーティングを含み、 基材及びシリコンコーティングは、ブランケットに、予
    め選択された、赤外線エネルギーに対する放射的特性及
    び可視光に対する反射的特性を与え、これにより、スペ
    ースクラフトに熱制御を与える、ことを特徴とするブラ
    ンケット。
  7. 【請求項7】 基材及びシリコンコーティングの間に挟
    まれたゲルマニウム又は二酸化ケイ素の中間層を更に含
    む、請求項6記載のブランケット。
  8. 【請求項8】 ブランケットが、スペースクラフトを包
    むことができるフレキシブルシートの形状である、請求
    項6記載のブランケット。
  9. 【請求項9】基材上にシリコンコーティングを真空蒸着
    して、熱制御ブランケットを形成する工程;及びシリコ
    ンコーティングがブランケットの外側の表面上にあるよ
    うに、スペースクラフト本体をカバーする工程;を含
    む、スペースクラフト本体を熱から保護する方法。
  10. 【請求項10】 基材上に、シリコンコーティングが5
    00〜3000オングストロームの間の厚さに堆積され
    る、請求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 基材及びシリコンコーティングの間の
    基材上に、ゲルマニウム層又は二酸化ケイ素層を真空蒸
    着する工程を更に含む、請求項9記載の方法。
  12. 【請求項12】 基材がフレキシブルプラスチックシー
    トであり、スペースクラフト本体がブランケット内に包
    まれる、請求項9記載の方法。
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