JP2001292773A - 細胞増殖抑制遺伝子 - Google Patents

細胞増殖抑制遺伝子

Info

Publication number
JP2001292773A
JP2001292773A JP2000108525A JP2000108525A JP2001292773A JP 2001292773 A JP2001292773 A JP 2001292773A JP 2000108525 A JP2000108525 A JP 2000108525A JP 2000108525 A JP2000108525 A JP 2000108525A JP 2001292773 A JP2001292773 A JP 2001292773A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tiga1
added
dna
minutes
gene
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000108525A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4567140B2 (ja
Inventor
Masafumi Watanabe
雅文 渡邉
Hiroshi Nojima
博 野島
Katsuyuki Tamai
克之 玉井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
IGAKU SEIBUTSUGAKU KENKYUSHO K
Medical and Biological Laboratories Co Ltd
Original Assignee
IGAKU SEIBUTSUGAKU KENKYUSHO K
Medical and Biological Laboratories Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by IGAKU SEIBUTSUGAKU KENKYUSHO K, Medical and Biological Laboratories Co Ltd filed Critical IGAKU SEIBUTSUGAKU KENKYUSHO K
Priority to JP2000108525A priority Critical patent/JP4567140B2/ja
Publication of JP2001292773A publication Critical patent/JP2001292773A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4567140B2 publication Critical patent/JP4567140B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 新規な細胞増殖抑制遺伝子、その遺伝子がコ
ードするタンパク質、およびその遺伝子を用いた遺伝子
検査方法等を提供すること。 【解決手段】 本発明により、特定の配列のTIGA1 cDN
A、およびその遺伝子がコードする特定の配列のTIGA1タ
ンパク質が単離された。また、ゲノムTIGA1の塩基配列
が決定された。TIGA1がコードするタンパク質は、肺癌
細胞株EBC-1のコロニー形成を強力に阻止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、細胞増殖抑制遺伝
子、およびその遺伝子がコードするタンパク質、および
その遺伝子を用いた遺伝子検査方法に関するものであ
り、例えば医薬品の分野で利用される。
【0002】
【従来の技術】一般的に静止期(G0期)及び老化状態にあ
る細胞は、細胞周期を離れた状態にあり、一切の増殖が
停止した状態にある。その状態を維持するために、何ら
かの強力な増殖抑制因子が発現・機能している可能性
が、以前より指摘されていた。しかし、細胞周期におけ
る静止期の研究は遅れており、静止期特異的に発現誘導
を受ける遺伝子の報告はごく僅かである。老化細胞特異
的に発現上昇の認められる遺伝子に関しては、現在まで
に多数の報告があるが、その中には癌抑制遺伝子の候補
である可能性が示唆されているものも含まれている。故
に、老化という現象が、細胞癌化の重要な防御機構であ
るという考え方が定着しつつある。従って、静止期(G0
期)或いは老化状態で特異的に発現が誘導される遺伝子
群の中で、強力な増殖抑制因子として機能しているもの
が癌細胞では失われている可能性がある。その様な遺伝
子群を単離することができれば、未だ研究のあまり進ん
でいない静止期の解明、並びに未知の癌抑制遺伝子の発
見につながることが十分に期待できる。また、そのよう
な細胞増殖抑制因子は、臨床的な視点で考えてみても、
以下のような利点が挙げられる。現在の癌治療の主流
である化学、放射線治療等は、癌細胞のみならずその周
囲の正常細胞までも損傷させてしまうため、患者への副
作用が大きいことが大きな問題となっている。しかし、
G0期特異的な増殖抑制因子の発現を促すという方法に基
づいた治療法であれば、多くの癌細胞の増殖を抑制する
ことで有効的であるということは言うまでも無く、もと
もと静止期にある周囲の正常細胞にはほとんど影響(副
作用)を与えないという点での利点は大きい。また、
癌抑制遺伝子p53による遺伝子治療が既に行われている
ことからも、新規の癌抑制遺伝子の発見が新たな遺伝子
治療や遺伝子診断に繋がっていく可能性は十分考えられ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
な利点が考えられるにもかかわらず、これまでG0期にお
いて特異的に発現する遺伝子については研究が進んでお
らず、細胞増殖抑制遺伝子を特定することができなかっ
た。本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであ
り、その目的は、新規な細胞増殖抑制遺伝子、その遺伝
子がコードするタンパク質、およびその遺伝子を用いた
遺伝子検査方法等を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、静止期或い
は老化細胞においてmRNAとして発現されている遺伝子ラ
イブラリーと、対数増殖期にある細胞においてmRNAと
して発現されている遺伝子ライブラリーとの間でサブト
ラクションを行い、ライブラリー中の各クローンを解析
するという手法と、この手法に加え、2次差分化法によ
る高効率差分化cDNA ライブラリー作製技術を駆使する
ことで、従来クローニングできなかった新規の増殖抑制
因子をコードする遺伝子を単離し、その遺伝子の構造解
析、その遺伝子がコードするタンパク質の性質、および
そのタンパク質に特異的な抗体による細胞内でのタンパ
ク質の分布状態等を解析することにより、基本的には本
発明を完成するに至った。すなわち本発明は、(1)配
列番号2に記載のアミノ酸配列または該アミノ酸配列に
おいて少なくとも一個のアミノ酸が欠失、置換若しくは
付加された配列を含み、細胞増殖抑制活性を有するタン
パク質、(2)配列番号1に記載のDNAとハイブリダイ
ズするDNAがコードするタンパク質であって、細胞増殖
抑制活性を有するタンパク質、(3)上記(1)または
(2)のいずれかに記載のタンパク質をコードするDN
A、(4)配列番号1に記載のDNAとハイブリダイズする
DNAであって、細胞増殖抑制活性を有するタンパク質を
コードするDNA、(5)上記(3)または(4)のいず
れかに記載のDNAを含む組換えベクター、(6)上記
(5)に記載の組換えベクターを保持する形質転換細
胞、(7)上記(1)または(2)のいずれかに記載の
タンパク質を抗原とする抗体、(8)配列番号8、上記
(3)または(4)のいずれかに記載のDNA配列の一部
を含むDNAをプライマー、プローブまたはマーカとして
使用し、被検査用DNAとハイブリダイズさせることを特
徴とする遺伝子検査方法に関する。以下に、本発明を詳
細に説明する。
【0005】
【発明の実施の形態】(1)cDNAライブラリーの作製 正常ヒト胎児由来細胞株(TIG-1)を培養し、血清飢餓
法により静止期(G0期)に誘導したTIG-1細胞、対数増
殖期(Log期)にあるTIG-1細胞、および継代培養により
***寿命に達したTIG-1細胞(老化期または、senescenc
e)におけるcDNAライブラリーをそれぞれ作成する。な
お、老化期(senescence)に関しては、TIG-1細胞を***
寿命(約60〜70PDL)まで継代培養し続け、1) 老化細胞特
異的な形態学的特徴(細胞の巨大化、扁平化、密度低下)
を示していること、および2)老化特異的なβガラクトシ
ダーゼ活性の検出により老化状態を確認できる。cDNA
ライブラリーは、以下の方法によって作製することがで
きる。
【0006】上記の各期にある培養TIG-1のそれぞれか
らTotalRNAを抽出しておき、そのTotalRNAをオリゴ(d
T)セルロースカラムで処理することにより、Poly(A)+
RNAを調整し、そのPoly(A)+RNAからcDNAを作成後、さ
らにPCR法によってcDNAを調整する。このcDNAをベク
ターDNAに組み込んだ後、大腸菌DH12S(GIBCO BR
L)に導入する。なお、このDNAが導入された大腸菌にヘ
ルパーファージ(R408)を添加・培養することにより、
一本鎖DNAを調整することができる。
【0007】(2)サブトラクションライブラリーの作
製 サブトラクションライブラリーは、サブトラクションハ
イブリダイゼーション法を使用することにより作製でき
る。ここに、サブトラクションハイブリダイゼーション
とは、二つの遺伝子ライブラリー間において、発現量に
差のある遺伝子を得ることを可能にする方法であり、正
常ヒト胎児由来細胞株(TIG-1)を培養中のG0期から抽
出した mRNA を元にして、cDNAを合成し、この cDNA の
両端にPCR用のリンカーを結合させた状態でPCRを行い、
ベクターDNAに連結した後に、一本鎖(ss)DNAを調整可
能な大腸菌株に導入しておく。この大腸菌株からサブト
ラクションに必要な量の一本鎖 cDNA を作製する(試料
1)。次に、前記のG0期とは別の時期(例えば、細胞増
殖期(以下には、Log期と言うことがある。)または、
老化期)から抽出した mRNA にビオチンを結合させたも
のを作製する(試料2)。
【0008】得られた2種類の核酸(試料1及び2)を
混合させてハイブリダイズさせた後、ストレプトアビジ
ンを混合することにより、ビオチン化されたmRNA(及
びそのmRNAにハイブリッドしたsscDNA)と結合させ
る。その混合試料をフェノール/クロロホルム処理する
ことにより、試料2と、試料2とハイブリッドした試料
1とを除去する。最終的に一本鎖のままで残っている c
DNAから二本鎖DNAを合成し、大腸菌に導入することによ
りサブトラクションライブラリーを作製することができ
る。
【0009】(3)2次差分化法 2次差分化法は、ライブラリー中に含まれる各クローン
のノザン解析を効率的に行うことを目的とした方法であ
る。ノザン解析を行ったクローン(プラスミド)DNAの混
合物を鋳型としてインサート由来のRNAを合成し、これ
を1本鎖DNAとハイブリした後、それらを有するssDNAを
除去したライブラリーを作製する。この原理に従い、サ
ブトラクション(1次差分化)ライブラリーにて解析を行
った所定数のクローン(プラスミド)DNAを混合し、それ
らに含まれるインサート由来のRNAを合成後、ハイブリ
に使用できる。
【0010】(4)G0期特異的な細胞増殖抑制遺伝子の
クローニング 差分化ライブラリーから適当数のクローンを任意に選択
し、プラスミド、インサートDNAを回収した後に、その
インサートDNAをプローブとしてノザン解析を行う。そ
の結果に基づいて、G0期特異的に発現している遺伝子を
同定し、そのうちの一つの遺伝子(以下には、「TIGA
1」と言うことがある。)について遺伝子の構造解析、T
IGA1がコードするタンパク質の性質、およびそのタンパ
ク質に特異的な抗体による細胞内でのタンパク質の分布
状態を検討する。
【0011】(5)TIGA1遺伝子の構造解析 細胞または組織から抽出したゲノムDNAを鋳型とし、TIG
A1として同定されたDNAの配列の一部をセンスプライマ
ーおよびアンチセンスプライマーとして選択し、一次PC
Rを行う。また、一次PCRの反応溶液からPCRプライマー
を除去した後に、さらにセンスプライマーとアンチセン
スプライマー(一次PCRにて使用したアンチセンスプラ
イマーよりも内側のもの)とを用いて二次PCR(nested
PCR)を行うことにより、より高感度とすることができ
る。また、mRNAからcDNAを作製した後、そのcDNAを
鋳型として、TIGA1のDNAの配列の一部をセンスプライマ
ーおよびアンチセンスプライマーとして選択し、PCRを
行うことができる。ゲノムDNAおよびcDNAを用いたPCR法
により、TIGA1遺伝子の全長cDNAおよび、ゲノムDNAに
おける遺伝子構造を明らにする。なお、TIGA1遺伝子の
塩基配列は、公知方法(例えばジデオキシ法)により決
定することができる。また、例えばABI社、Pharmacia
社、島津社等の自動塩基配列決定装置等を用いることが
できる。また、遺伝子情報の解析には、例えばDNAsis配
列解析ソフトウエア(日立)を使用することができる。
【0012】このようにして決定されるヒトTIGA1遺伝
子のcDNAの塩基配列を配列番号1に、また、TIGA1遺伝
子によりコードされる TIGA1 タンパク質のアミノ酸配
列を配列番号2に示す。また、TIGA1遺伝子のゲノム中
での塩基配列を配列番号8に示す。なお、本質的に本発
明の遺伝子が TIGA1 タンパク質を発現し、細胞増殖抑
制活性を備えている限り、そのタンパク質に含まれるア
ミノ酸配列又はその遺伝子の塩基配列の少なくとも1個
(好ましくは1個又は数個)に欠失、置換、付加等の変
異が生じたものであっても、本発明の技術的範囲に属す
る。また、本発明のタンパク質に含まれるアミノ酸をコ
ードする塩基配列のほか、縮重コドンにおいてのみ異な
る同一のポリペプチドをコードする縮重異性体も本発明
の遺伝子に含まれる。
【0013】(6)TIGA1遺伝子を含んだベクターおよ
びそのベクターを導入した形質転換細胞の作製 形質転換細胞の作製は、本発明の組み換えベクターを、
その組み換えベクターを作製する際に用いた発現ベクタ
ーに適合する宿主中に導入することにより得られる。宿
主としては、目的とする遺伝子を発現できるものであれ
ば特に限定されず、例えば、大腸菌(Escherichia col
i) 、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis) 等の
細菌、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cer
evisiae)等の酵母、COS細胞、CHO細胞等の哺乳類細胞な
どが挙げられる。大腸菌等の細菌を宿主として用いる場
合は、本発明の組換えDNAが宿主中で自立複製可能であ
ると同時に、プロモーター、本発明のDNA、転写終結配
列を含む構成であることが好ましい。発現ベクターとし
ては、例えばファルマシア社のpGEX、pUC18 等が挙げら
れる。プロモーターとしては、大腸菌等の宿主中で発現
できるものであればいずれを用いてもよい。例えば、tr
pプロモーター、lac プロモーター、PL プロモータ
ー、PR プロモーターなどの大腸菌やファージ等に由来
するプロモーターが用いられる。細菌への組み換え体DN
Aの導入方法としては、例えばエレクトロポーレーショ
ン法や塩化カルシウム法を用いることができる。
【0014】また、酵母を宿主として用いる場合は、発
現ベクターとして、例えばYEp13 、YCp50等が挙げられ
る。プロモーターとしては、例えばgal1 プロモータ
ー、gal10プロモーター等が挙げられる。酵母への組換
えベクターの導入方法としては、例えばエレクトロポレ
ーション法、スフェロプラスト法、酢酸リチウム法等が
挙げられる。哺乳類細胞を宿主として用いる場合は、発
現ベクターとして例えばpcDNA3(INVITROGEN CORPORATIO
N)等が挙げられる。TIGA1発現ベクタープラスミドを、
例えばLipofectamine(GIBCO BRL社) を用いたリポソー
ム法にて細胞株に導入する。その後、ネオマイシンを含
む選択培地にて約1ヶ月程度培養を行い、薬剤耐性を示
す細胞コロニーを得ることができる。
【0015】(7)TIGA1がコードするタンパク質に対
する抗体の作製 TIGA1とグルタチオンSトランスフェラーゼ(以下、GST
という。)とをコードする遺伝子を連結させて、融合タ
ンパク質を発現させるプラスミドベクター(例えば pGE
X(Pharmacia社))に組み込んだ後、そのプラスミドを大
腸菌に導入し、その大腸菌にて目的とする融合タンパク
質を発現させた後、精製したものを抗原として用い、公
知の方法によってウサギに注射することにより抗血清を
得ることができる。この抗血清から、アフィニティーカ
ラムを利用して、TIGA1に対して特異的な抗体を精製す
ることができる。
【0016】(8)TIGA1がコードするタンパク質の特
性評価 TIGA1遺伝子がコードするタンパク質の特性を評価する
ためには、癌細胞株(例えば、肺癌細胞株であるEBC-
1)にTIGA1遺伝子を組み込んだプラスミドを導入するこ
とにより行うことができる。使用するプラスミドとして
は、例えばpcDNA3(INVITROGEN CORPORATION)等が挙げら
れる。TIGA1発現ベクタープラスミドを、例えばLipofec
tamine(GIBCO BRL社) を用いたリポソーム法にて癌細胞
株に導入し、その細胞株を軟寒天中で培養し、コロニー
形成能を判定することにより、TIGA1遺伝子の性質を評
価することができる。また、個体においては、ヌードマ
ウスを使用して造腫瘍性の検定を行うこともできる。
【0017】
【実施例】以下には、実施例により本発明をさらに具体
的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例によっ
て技術的範囲が限定されるものではない。 <実施例1>TIG-1(正常ヒト胎児由来2倍体繊維芽細胞)
の培養 TIG-1(JCRB0501、20PDL)はヒューマンサイエンス研究資
源バンクより購入したものを用いた。コンフルエント〜
セミコンフルエントとなったところで培地を除き、PBS
(-)で洗浄後、0.05%トリプシン/ 0.02%EDTA /PBS(-)で
細胞を剥がした。これに培地(DMEM/10%FCS)を加え、細
胞を懸濁し、滅菌チューブに移して遠心(室温、1000rp
m、5min)した。上清を除き、再度PBS(-)に懸濁し遠心
(室温、1000rpm、5min)した。上清除去後、培地(DMEM/1
0%FCS)によく懸濁して、直径60又は100mm dishにまい
た。Split ratioは1:4又は1:8で、パッセージは5〜7日
に一度行った。70〜80%コンフルエントとなったところ
で対数増殖期(以後、Log期とする)由来のtotal RNAの調
整を、以降のRNA調整のステップの通り行った。血清飢
餓の実験には、継代数(PDL)が約40までの細胞を用い
た。
【0018】<実施例2>細胞のβ-galactosidase活性
の確認 細胞の老化状態を確認するために、βガラクトシダーゼ
の活性を検出した。培地を除去後、PBS(-)で2回洗浄し
た。これに、培養皿(直径60mm)あたり5mlの0.25% Gluta
raldehydeを加え、室温にて約5分静置し、細胞の固定を
行った。1mMMgCl2の入ったPBS(-)で4回洗浄した後、5ml
のSA-β-gal stain solution(1mg X-gal / 1mM MgCl2 /
0.12mM Potassium ferrocyanide[K4Fe(CN)6] / 0.12mM
Potassium ferricyanide [K3Fe(CN)6] / PBS(-) (pH
6.0)を加え、37℃で一晩保温した[CO2(-)] 。位相差顕
微鏡にて細胞を観察することにより、老化状態を観察し
た。
【0019】<実施例3>TIG-1の血清飢餓培養 TIG-1が50〜60%コンフルエントとなったところで培地(D
MEM/10%FCS)を除き、PBS(-)で2回洗浄後、これに培地(D
MEM/0.5%FCS)を加え、細胞を培養した。静止期(以後、G
0期とする)由来のtotal RNAの調整は、培地交換後、約9
6時間経過したものについて以降のRNA調整のステップの
通り行った。 <実施例4>Total RNAの調整 以下には、二種類の調整法を掲げたが、適宜に適当な方
法を使用してTotalRNAを調整した。 (1)CsTFA法 Total RNAはLog期 、G0期及び老化期(以降、「senesce
nce期」と言うことがある)状態のTIG-1細胞について、
それぞれ培養皿(直径100mm)100、200及び60枚分の細胞
を用いて調整した。各状態の細胞について、培地を除去
し、PBS(-)で2回洗浄して死細胞や残査血清を除いた
後、培養皿に直接0.8〜1mlの5.5M GTC(Guanidinethioc
yanate 64.9gと、Sodium citrate・2H2O 0.74gと、So
dium lauryl sarcosinate 0.5gとに滅菌MilliQ水を加
えて100mlとし、室温保存した。使用直前に2-mercaptoe
thanol(2-ME)を1/71(終濃度0.2M)加えて使用した。)を
加えることで細胞を溶かし、ラバーポリスマンにてビー
カーにそれぞれ回収した。30ml注射筒に18G注射針を付
け、溶液を2個の乾熱滅菌済のビーカーの一方から他方
へ移す要領で、溶液の粘性が減るまで数回注射針を通過
させてDNAを細断した。遠心により細胞破片を除き、上
清22〜23mlをオートクレーブ済みのポリアロマーチュー
ブ(BECKMAN;40ml容 )に入れたCsTFA溶液(CsTFA (D=2.
01;Pharmacia) 100mlと、0.5M EDTA(pH7.0) 39.5ml
(終濃度 100mM)とに滅菌MilliQ水 58.15mlを加えて使
用した。4℃にて保存した。)15ml上にそっと重層し
た。超遠心(17℃、25000rpm、24時間)後、上清を静かに
除き、沈澱を600μlの4M GTC溶液(5.5M GTC溶液 4ml
と、滅菌MilliQ水 1.5mlと、2-ME 56μlとを加えて使
用した。室温にて保存した。)にピペッティングにより
溶解した。これをエッペンドルフチューブに移し、遠心
(4℃、15000rpm、30sec)して不溶物を沈澱させた。上清
600μlあたり15μlの1M酢酸、450μlのエタノールを加
えvortexし、-20℃で3時間以上氷冷した。遠心(4℃、15
000rpm、10min)して上清を除き、沈澱を330μlのTE(10
mMTris・HCl(pH8.0)/1mMEDTA(pH8.0)をフィルター(孔径
0.22μm;MILLIPORE)滅菌後、更にオートクレーブ滅菌
した。-20℃で保存した。)に溶かした。遠心(4℃、150
00rpm、30sec)して不溶物を沈澱させ、上清330μlあた
り33μlの2M NaCl、990μlのエタノールを加え、vortex
した。-20℃で3時間以上氷冷した後、遠心(4℃、15000r
pm、10min)し、沈澱を直前に調整した70%エタノールで
洗浄した。上清を完全に除き、得られたRNA沈澱をTEに
溶解した。これは-80℃に保存しておいた。
【0020】(2)AGPC法 Log期 、G0期及びsenescence期のTIG-1細胞について、1
×106細胞あたり1.6mlのsolution D(Guanidinethiocya
nate 50gと、0.75M Sodium citrate(pH 7.0)1.52ml
と、10% Sodium lauryl sarcosinate 5.28mlとに滅菌M
illiQ水を加えて100mlとし、室温保存した。使用直前に
2-MEを1/142(終濃度0.1M)加えて使用した。)を加え、
ピペッティング、vortexにより細胞を溶かした。ソニケ
ーションによりDNAを細断後、遠心(4℃、15000rpm、30s
ec)して不溶物を沈澱させた。上清を500μlづつ3本のエ
ッペンドルフチューブに移した。500μlあたり50μlの2
MNaOAc(pH 4.0)、500μlの水飽和フェノール(65℃で溶
解させたフェノール100gに、100mlの滅菌MilliQ水と0.1
gの8-ヒドロキシキノリンを加え、スターラーで5分撹拌
した。静置後水層を除去した。この操作を2〜3回繰り返
すことで、水飽和状態とした。これは4℃にて遮光保存
した。)、300μlのクロロホルムを加え、10秒間vortex
した。氷上に15分放置した後、遠心(4℃、15000rpm、10
min)した。水層のみ採取し、等量のイソプロパノール約
500μlを添加、vortex後、室温にて10分静置した。遠心
(4℃、15000rpm、15min)によりRNAが沈澱するので上清
を静かに捨て、Solution Dを100μl加え、沈澱を完全に
溶解させた。これに100μlのイソプロパノールを加え、
vortex後、-20℃にて30分静置した。遠心(4℃、15000rp
m、10min)後、上清を捨て、150μlの70%エタノールにて
洗浄した。遠心(4℃、15000rpm、3min)等によりエタノ
ールを完全に除去後、30μlのTEを加え、沈澱を溶解さ
せた。沈澱が溶けにくい場合は、更に適当量のTEを加
え、沈澱を完全に溶解させた。
【0021】<実施例5>Poly(A)+RNAの調整 (1) オリゴ(dT)セルロースカラムの調整 0.2gのオリゴ(dT)セルロース(Type3;Collaborative Re
search)に20mlの滅菌MilliQを加え、室温で10分静置し
た。上清をデカンテーションにより除き、新たに10mlの
滅菌水を加えた。この懸濁液をオートクレーブ済みのエ
コノカラム(直径0.6cm;Bio-Rad)に注ぎ込み、セルロー
スカラムの高さが約1cmになるようにした。滅菌水が流
れ落ちた後、約8mlのTE/NaCl(TEと1M NaClを1:1の割合
で混合した。-20℃にて保存した。)を加え、平衡化し
た。 (2) Poly(A)+RNAの調整 超遠心(CsTFA)法により得られたLog期、G0期とsenescen
ce期由来のtotal RNAに等容のTE、及び2倍容の1M NaCl
を加え、総容量を約1mlとした。(1)で平衡化したカラム
に全RNA溶液を加え、溶出してきた液を再度カラムに注
いだ。溶出液をもう一度カラムに通した後、8mlのTE/Na
Clで洗浄した。0.5mlづつ6回に分けてTEをカラムに加
え、poly(A)+RNAを溶出した。溶出液はすぐに氷上に置
いた。各分画について2μlづつ、パラフィルム上で20μ
lのEtBr溶液(1μg/ml)と混合し、UVライト下で写真撮影
した。RNAを含む分画250μlあたり50μlの2M NaCl、750
μlのエタノール、1μlのGlycogenを加え、vortexし
た。-80℃のエタノール中で20分以上氷冷した後、遠心
(4℃、15000rpm、15min)し、上清を静かに除いた。直前
に調整した70%エタノールで洗浄し、遠心(4℃、15000rp
m、5min)した後、上清をできるだけ除いた。30μlの5mM
Tris・HCl(pH 7.5)に溶解し、一部をすぐにcDNAライブ
ラリー作製に用いた。残りは-80℃で保存した。最終的
にLog期、G0期とsenescence期について、それぞれ約4
9、55と12μgのpoly(A)+RNAを得た。
【0022】<実施例6>cDNAライブラリーの作製 cDNAライブラリー作製のスキームについて要約すると、
次の通りである。まず、目的とするmRNAをNot I site等
を有するリンカープライマーとアニーリング後、逆転写
酵素によりFirst strand cDNAを合成する。次に、RNA鎖
の分解と同時にSecond strand cDNAを合成し、T4 DNAポ
リメラーゼにより2本鎖cDNAの末端を平滑化した後、Bam
HI (Bgl II)-Sma Iアダプターを結合させる。これをNot
Iで処理したものと、予めNot I/Bgl II処理を施してお
いたpAP3neo ベクタープラスミドとの間でライゲーショ
ンを行う。その後、エレクトロポレーション法により濃
縮大腸菌に導入するという方法でライブラリーを作製し
た。 A.試験方法 (1) First strandの合成 Log期、G0期とsenescence期由来のPoly(A)+RNA7.5μl
(4.5μg)をエッペンドルフチューブにとり、65℃で5分
加熱した後、氷上で急冷し、変性させた。ここに2.5μl
の10×First Strand Buffer(ZAP cDNA Synthesis Kit
「Stratagene」内のもの)、2.5μlの0.1M DTT、1.5μl
のFirst Strand Methyl Nucleotide Mixture(10mM dAT
P、dGTP、dTTP/5mM 5-methyl-dCTP;ZAP cDNA Synthesi
s Kit「Stratagene」内のもの)、1μlのリンカープライ
マー(5'-(GA)10ACGCGTCGACTCGAGCGGCCGCGGACCG(T)18-
3')(1.6μg/μl)、0.5μlのRNase Inhibitor(40U/μ
l;東洋紡)、8.5μlの滅菌MilliQ水を順に加えていっ
た。室温に10分放置し、プライマーをアニーリングさせ
た。2μlの逆転写酵素(約20U/μl;生化学工業)を加
え、ピペッティングにより混合し37℃で40分、反応させ
た。Superscript II RT(200U/μl;GIBCO BRL)を2μl加
え、48℃で40分、さらに反応させた。遠心(4℃、15000r
pm、5sec)後、氷上に置いた。
【0023】(2) Second strandの合成 氷上に置いた反応液に、20μlの10×Second Strand Buf
fer(ZAP cDNA Synthesis Kit「Stratagene」内のも
の)、7.5μlの0.1M DTT、3μlのSecond Strand Nucleot
ide Mixture(10mM dATP、dGTP、dTTP/25mM dCTP;ZAP c
DNA Synthesis Kit「Stratagene」内のもの)、132.5μl
の滅菌MilliQ水(予め氷冷しておいたもの)を順に加えて
いった。氷上に5分置いた後、1.5μlのRNaseH(1.5U/μ
l;東洋紡)、6μlのE.coli DNA polymerase I(9U/μl;
東洋紡)を加え(総容量約200μl)、16℃で150分反応させ
た。200μlのフェノール/クロロホルムを加え、vortex
後、遠心(室温、15000rpm、7分)して上清を新しいエッ
ペンドルフチューブに移した。50μlの滅菌MilliQ水に
て再抽出した後、クロロホルム処理を行った。50μlの
滅菌MilliQ水にて再抽出した後、上清をミリポアフィル
ター(UFCP3TK50;MILLIPORE)の上室にのせ、溶液が全て
下室に流れ落ちるまで遠心(4℃、10000rpm、20min)し
た。下室のTEを除き、新たに上室に100μlのTEを加え、
遠心(4℃、10000rpm、15min)してフィルターを洗浄し
た。この操作をもう一度行った後、30μlの1/10TEをフ
ィルターの上室に加え、ピペッティングとvortexにより
フィルターに付着したcDNAを溶かし出した。フィルター
を逆さにして遠心(4℃、5000rpm、10sec)することでcDN
A溶液を回収した。
【0024】(3) 2本鎖cDNAの末端平滑化 上述のcDNA溶液30μl(in 1/10TE)に、10μlの10×Secon
d Strand Buffer(ZAPcDNA Synthesis Kit「Stratagen
e」内のもの)、5μlのblunting dNTP Mixture(KIT内の
もの)、51.5μlの滅菌MilliQ水を順に加えた。ここに3.
5μlのPfu DNA polymerase (2.5U/μl)を加え(総容量10
0μl)、軽くvortexした後、37℃で30分、反応させた。
フェノール/クロロホルム処理を行い、100μlの滅菌Mil
liQ水で再抽出を行った。この後、クロロホルム処理を
行い、100μlの滅菌MilliQ水で再抽出を行った。上清を
ミリポアフィルターにのせ、(2)の場合と同様にしてフ
リーのdNTPを除いた。最終的に20μlのTEに2本鎖cDNAを
回収した。 (4) アダプターのライゲーション、Not Iによる切断 上記(3)で末端を平滑化した2本鎖cDNA 20μlのうち、4
μlをとり、2μlの10×ligation buffer、2μlの10mM r
ATP、1μlのBam HI(Bgl II)-Sma Id(GATCCCCGGG)アダプ
ター(0.35μg/μl)、10μlの滅菌MilliQ水を加えた。氷
上に5分置いた後、1.5μlのT4 DNA ligase(4U/μl;東
洋紡)を加え、ピペッティングにより混合した。8℃で24
時間反応させた。70℃で30分加熱した後、遠心(4℃、10
000rpm、10sec)して氷上に置いた。ここに27μlのNot I
補充液(278mM NaCl/8mM MgCl2/1.8mM DTT/0.018% BSA/
0.018% Triton X-100)、3μlのNot I(10U/μl;New En
gland Biolabs社(以下、NEBと省略する。))を加え、ピ
ペッティングにより混合した。37℃で90分保温し、Not
Iで切断した。反応液に5μlの10×STE(1M NaCl/0.1MTr
is・HCl(pH 8.0)/10mM EDTA(pH 8.0))、5μlのtRNA(2
μg/μl)を加え(総容量60μl)、10μlづつスピンカラム
(CHROMA SPIN-400;Clontech)に加えた。遠心(BECKMAN
J6-HC;4℃、2100rpm[700g]、5min)後、等量のフェノ
ール/クロロホルムを加え、vortexした。これを遠心(室
温、15000rpm、2min)後、上清を新しい0.6mlチューブに
回収した。これに等量のクロロホルムを加え、vortexし
た後、遠心(室温、15000rpm、2min)により上清を回収し
た。これに4μlの5M NaCl、100μlのエタノールを加
え、vortex後、-80℃に2〜3時間静置した。
【0025】(5) ベクターへのライゲーション 遠心(4℃、15000rpm、15min)後、上清を注意深く除き、
直前に調整した100μlの70%エタノールを加えて再度遠
心(4℃、15000rpm、7min)した。上清を注意深く除き、c
DNAの沈殿に3μlの10×ligation buffer、3μlの10mM A
TP、22μlの滅菌MilliQ水、1μlのベクター(pAP3neoをN
ot Iで切断後、BAP処理し、その後Bgl IIで切断したも
の、1μg/μl)を直接加えた。氷上に5分置いた後、1μl
のT4 DNA ligase(4U/μl;東洋紡)を加え、ピペッティ
ングにより混合した。12℃で40時間、反応させた。70℃
で30分加熱した後、遠心(4℃、10000rpm、10sec)し、70
μlのTEを加えた。フェノール/クロロホルム処理を行
い、50μlのTEで再抽出を行った。上清をミリポアフィ
ルター(UFCP3TK50)の上室にのせ、溶液が全て下室に流
れ落ちるまで遠心(4℃、10000rpm、20min)した。下室の
TEを除き、新たに上室に100μlのTEを加え、遠心(4℃、
10000rpm、15min)してフィルターを洗浄した。この操作
をもう一度行った後、30μlのTEをフィルターの上室に
加え、ピペッティングとvortexによりフィルターに付着
したDNAを溶かし出した。フィルターを逆さにして遠心
(4℃、5000rpm、10sec)することでDNA溶液を回収した。
これは、-20℃で保存しておいた。
【0026】(6) 大腸菌への導入 上記(5)で調整したライゲーション液のうち約15(5×3)
μlを、エレクトロポレーション用濃縮大腸菌DH12S (GI
BCO BRL) 150(50×3)μlに導入した。エレクトロポレー
ションはLog期、G0期とsenescence期のそれぞれについ
て、各5μlづつ3回に分けて行った。2mlのSOC培地(2ml
×3本、計6ml)中、37℃で1時間、激しく振とう培養し
た。これを全て、アンピシリンを含む500mlのLB培地(B
acto-tryptone 10g、Bacto-yeast extract 5g、NaCl
10gにH2O 1000mlを加えて溶解し、10N NaOH 0.1ml
を加えたもの。オートクレーブ滅菌の後、室温に保存し
た。)(3Lの三角フラスコ内)に移し、よく混合し、1
0、100μlをとってそれぞれアンピシリンを含むLBプレ
ートにまいた。37℃で終夜培養し、titerを測定した。
残りの培養液は37℃で激しく振とう培養した。約6時間
後、200mlの培養液を新しい3Lの三角フラスコに移し、
5mlのヘルパーファージ(R408)を加え37℃にて終夜培養
した。残りの300mlの培養液については、そのまま終夜
培養を行った。ヘルパーファージを加えた200mlの培養
液については、1本鎖DNA(ssDNA)の調整を引き続き行っ
た(後述する)。300mlの終夜培養液については、約275
mlからプラスミド抽出キット(QIAGEN Maxi)を用い、総
プラスミドを調整した。残りの約25mlについては、DMSO
を7%となるように添加し、液体窒素中で保存した。(7)
Titerの測定、インサート分布の検査Titer check用プレ
ート上のコロニーをカウントし、各ライブラリーのtite
rを算出した。また、Log期、G0期とsenescence期の各プ
レート上の任意の約20クローンについて、制限酵素処理
(Eco RI/Kpn I)により、インサートサイズの分布を調べ
た。
【0027】B.試験結果 (1) Log期については、DMEM/10%FCSにて通常培養を続
け、約30〜40PDLとなったTIG-1細胞(100mm dish×100枚
分)について、70〜80%コンフルエントの状態からpoly
(A)+RNAを回収し、続いてライブラリーを作製した。 (2) G0期由来のpoly(A)+RNAを回収するにあたっては、D
MEM/10%FCSにて通常培養を続け、約30〜40PDLとなったT
IG-1細胞について、培地をDMEM/10%FCSからDMEM/0.5%FC
Sに置換(血清飢餓)するという方法を適用した。従っ
て、TIG-1細胞では、血清飢餓状態においてから約何時
間後に増殖停止状態となっているかの条件設定を行うこ
とが必要となった。そこで、増殖停止状態において、特
異的に発現が上昇するものとしてgas-1遺伝子(マウス由
来NIH3T3細胞にて)が既に報告されていたので、これを
コントロールとすることとした。具体的な方法は、以下
の通りである。まず、TIG-1細胞を血清飢餓状態とし、
0,24,48,72,96,120,144時間後の各細胞からtotal RNAを
回収した。これを元にノザンフィルターを作製し、PCR
にてクローニングしたヒトgas-1遺伝子をプローブと
し、ノザン解析を行った。結果的には、ヒトにおいては
gas-1の発現量はLog期とG0期の状態で顕著な差が認めら
れず、これを指標として条件設定を行うことは困難であ
った(データは示していない)。静止期にて発現が上昇す
る様なポジティブコントロールとしては、他に適切なも
のがなかったため、逆に発現量が低下するようなネガテ
ィブコントロールを用いることで条件決めを行った。ネ
ガティブコントロールとしてMCM 2〜7を使用し、同様に
ノザン解析を行った結果、TIG-1細胞では約96時間(4日)
後に増殖停止状態に至っていることが確認された。従っ
て、G0期由来のpoly(A)+RNAを同条件にて回収し、cDNA
ライブラリーの作製を行うこととした。なお、血清飢餓
状態においたTIG-1細胞では、Log期の状態にある細胞と
比べ、total RNAの回収量が約半分となってしまうこと
が条件設定の実験から経験的に分かっていたので、100m
m dish×200枚分(Log期の2倍)の細胞からRNAを回収し
た。
【0028】(3) 結果としては、TIG-1細胞を約63PDLま
で継代培養した時点でほとんど増殖停止していた。この
時点において、上記の老化細胞特異的な形態学的特徴が
観察された(データは示さない)。また、SA-β-gal st
ainingを行った結果、ネガティブコントロールのTIG-1
(Log期)やHeLa S3細胞ではその活性が認められず、老化
状態にあると思われた細胞のみに特異的であった。従っ
て、senescence期由来のpoly(A)+RNAを同条件にて回収
(結果的に、約100mm dish×60枚分)し、cDNAライブラリ
ーの作製を行った。
【0029】以上の方法により各ライブラリーの作製を
行った後、1) Titer測定用のプレート上のコロニー数を
カウントすることより複雑度を、2) 任意の約20クロー
ンについて、EcoRI/Kpn I処理によりインサート率及び
その平均長を調べた結果を図1および表1に示した。
【表1】 Log期における cDNA libraryの複雑度がやや低かった
が、インサートの挿入率等に関しては何ら遜色はなく、
これらのライブラリーを用いて以降のサブトラクション
に使用した。
【0030】<実施例7>1本鎖DNA(ssDNA)の調整 200mlの培養液(Bacto tryptone 16gと、Bacto yeast
extract 10gと、NaCl5gとに水を加えて1Lとし、オー
トクレーブ滅菌したもの。)を新しい3Lの三角フラス
コに移し、5mlのヘルパーファージ(R408)を加え37℃に
て終夜培養後、培養液を滅菌ガラスチューブに移し、遠
心(4℃、10000rpm、5min)して大腸菌を沈殿させた。上
清を注意深く新しい滅菌ガラスチューブに移し、再度遠
心(4℃、10000rpm、10min)した。上清を滅菌フィルター
(孔径0.22μm;MILLIPORE)に通し、大腸菌を完全に除い
た。25mlの上清あたり2.5mlの10×DNase buffer(0.1MT
ris・HCl(pH 7.5)/0.1M MgCl2)、1μlのDNase I(20U/
μlに希釈したもの;ニッポンジーン)を加え、37℃で30
分反応させた。1/4容量の20% PEG(MW=6000)/2.5M NaCl
を加えてvortexし、滅菌ガラスチューブに移した。室温
に20分置いた後、遠心(4℃、10000rpm、10min)し上清を
除いた。再度遠心(4℃、10000rpm、5min)し、イエロー
チップを用いて上清を除いた。さらにもう一度遠心(4
℃、10000rpm、1min)し、先細のチップを用いて上清を
完全に除いた。得られたファージの沈殿を、総容量で40
0μlのTEに溶解し、25μlのproteinase K(2μg/μl in
20%glycerol)、4μlの10% SDS(SDS 100gを900mlのH2O
に溶かし、数滴の濃塩酸を加えてpHを7.2に合わせた
後、全体を1Lにしたもの。50〜100mlずつ分注して室温
保存した。)を加えて42℃で1時間、反応させた。フェノ
ール処理、フェノール/クロロホルム処理(5〜6回)、ク
ロロホルム処理の後、エタノール沈殿を行った。70%エ
タノールで洗浄後、得られたssDNAを20〜30μl のTEに
溶解した。このssDNAは、-20℃で保存した。
【0031】<実施例8>サブトラクションライブラリ
ー(一次差分)の作製 Subtracted cDNA library作製のスキームは、図2に示
した通りである。要約すると、まず作製した2本鎖cDNA
library (G0期)から1本鎖cDNA library (G0期)を作製
し、これとTIG-1(Log期)由来のpoly(A)+RNAをビオチン
化したものをハイブリさせた後、ストレプトアビジンを
添加する。ビオチン-ストレプトアビジン複合体(G0期と
Log期の両者に共通して存在するもの)は、以降のフェノ
ール/クロロホルム処理により有機層にトラップされ、
ビオチン化RNAと複合体を形成しなかったもののみが、
水層に回収される。この原理に従って、静止期にのみ特
異的に存在する遺伝子を有するssDNAを回収する。これ
から、再度、2本鎖DNAを合成し、エレクトロポレーショ
ン用濃縮大腸菌に導入してサブトラクションライブラリ
ーを作製した。
【0032】A.試験方法 (1) Poly(A)+RNAのビオチン化 Log期由来のpoly(A)+RNA 10μgをエッペンドルフチュー
ブにとり、滅菌MilliQ水を加えて容量を20μlとした。
ここに10μlのPHOTOPROBE Biotin(0.5mgのPHOTOPROBE
Biotin(Vector Laboratories)に、0.5mlの滅菌水(-20℃
保存しておいたもの)を暗所で加え、溶解させたも
の。)(1μg/μl)を暗所で加え、ピペッティングにより
混合した。エッペンドルフチューブの蓋を開けて氷上に
置き、約10cmの高さから水銀ランプ(アイセルフバラス
ト、BHRF160WH;岩崎電気)で20分照射してビオチン化を
行った。70μlの0.1M Tris・HCl(pH 9.5)/1mM EDTAを加
え、100μlの水飽和ブタノールを加えてvortexした。遠
心(4℃、15000rpm、5min)後、上層(ブタノール層)を除
いた。この操作をあと2回繰り返した。水層に100μlの
クロロホルムを加えてvortexし、遠心(4℃、15000rpm、
5min)後、水層を新しいエッペンドルフチューブに移し
た。クロロホルム抽出をもう一度行った後、水層に1/10
容の3M NaOAc(pH 5.2)、3倍容のエタノール、1μlのgly
cogenを加えてvortexし、-80℃で30分以上置いた。遠心
(4℃、15000rpm、15min)して上清を除き、RNAの沈殿が
薄くオレンジ色をしていることを確認した。直前に調整
した70%エタノールで洗浄した後、沈殿を20μlの滅菌Mi
lliQ水に溶かした。ここに再度10μlのPHOTOPROBE Biot
in(1μg/μl)を暗所で加え、上記の操作を繰り返した。
cDNAとのハイブリダイゼーションまで、エタノール沈殿
の状態で-80℃に置いた。
【0033】(2) cDNAとPAB-RNA(ビオチン化RNA)のハイ
ブリダイゼーション 上記(1)で調整したPAB-RNA 5μg分を遠心(4℃、15000rp
m、15min)により回収し、70%エタノールで洗浄後、上清
を除き8μlの滅菌MilliQ水に溶かした。ここに、12.5μ
lの2×HB(脱イオンホルムアミド400μl、1M HEPES(pH
7.5)50μl、0.5M EDTA(pH 8.0)2μl、10% SDS 10μlお
よび滅菌MilliQ水 38μlを混合したもの。)、2.5μlの2
M NaCl、1μlのpoly(A) (1μg/μl;Pharmacia)、及び1
μlのssDNA(0.5μg/μl;G0期由来のcDNAライブラリー)
を加え、総容量を25μlとした。65℃で10分加熱した
後、速やかに42℃のヒートブロックに移した。2〜3晩(4
2時間以上)、ハイブリダイゼーションを行った。 (3) ssDNAの回収、再ハイブリダイゼーション サンプルをエッペンドルフチューブに移し、400μlのSB
(1M HEPES(pH 7.5)50μl、0.5M EDTA(pH 8.0)4μl、2M
NaCl 250μl、滅菌MilliQ水 696μlを混合したもの。)
を加えてピペッティングで混合した。5μlのStreptavid
in(2μg/μl;GIBCO BRL)を加え、ピペッティングで混
合後、室温に5分置いた。フェノール/クロロホルム処理
を行い、上清を新しいエッペンドルフチューブに移し
た。100μlのTEで再抽出した後、水層に5μlのStreptav
idin(2μg/μl)を加え、ピペッティングで混合後、室温
に5分置いた。フェノール/クロロホルム処理を2回行
い、クロロホルム処理を1回行った。水層をミリポアフ
ィルター(UFCP3TK50;MILLIPORE)の上室にのせ、溶液が
全て下室に流れ落ちるまで遠心(4℃、10000rpm)した。
下室のTEを除き、新たに上室に300μlのTEを加え、遠心
(4℃、10000rpm、20min)してフィルターを洗浄した。こ
の操作をもう一度行った後、30μlの1/10 TEをフィルタ
ーの上室に加え、ピペッティングとvortexによりフィル
ターに付着したssDNAを溶かし出した。フィルターを逆
さにして遠心(4℃、5000rpm、10sec)することでssDNA溶
液を回収した。これを真空乾燥し、滅菌MilliQ水で調整
して9μlとした。(1)で調整したPAB-RNA 3μg分を遠心
して回収し、70%エタノールで洗浄後、上清を除き、上
記のssDNA溶液9μlを加えた。ここに12.5μlの2×HB、
2.5μlの2M NaCl、1μlのpoly(A) (1μg/μl)を加え、
上記(2)の場合と同様にしてハイブリダイゼーションを
行った。
【0034】(4) ssDNAの回収、2本鎖DNAの合成、大腸
菌への導入 上記の様にしてPAB-RNAと2回ハイブリダイゼーションを
行ったcDNAについて、上記(3)の方法に従いssDNAを回収
した。30μl(in 1/10 TE)のssDNA溶液のうち15μlを以
降の2本鎖DNA合成に使用し、残りは-20℃に保存した。s
sDNA15μlに、14μlの滅菌MilliQ水、1μlの5'-APプラ
イマー(塩基配列は、5'-GGAAGTGTTACTTCTGCTCT-3'であ
る。0.2μg/μl、リン酸化済みのもの)を加え、65℃で1
0分加熱した。室温に5分置いてプライマーをssDNAにア
ニーリングした後、5μlの10×buffer(Bca BEST Dideox
y Sequencing Kit[宝酒造] 内のもの)、10μlの1mM dNT
P mixture、0.5μlのSSB(3μg/μl)、2μlのBca BEST D
NA polymerase(2U/μl;宝酒造)、3μlの滅菌MilliQ水
を加えた。65℃で1時間反応することにより2本鎖DNAを
合成した。反応液に50μlの滅菌水を加え、フェノール/
クロロホルム処理を行った。100μlのTEで再抽出した
後、クロロホルム処理を行った。100μlのTEで再抽出し
た後、上清をミリポアフィルター(UFCP3TK50;MILLIPOR
E)にのせ、遠心(4℃、10000rpm、20min)した。下室のTE
を除き、上室に300μlのTEを加えて遠心(4℃、10000rp
m、20min)してフィルターを洗浄した。この操作をもう
一度行った後、25μlのTEをフィルターの上室に加え、
ピペッティングとvortexによりフィルターに付着した2
本鎖DNAを溶かし出した。フィルターを逆さにして遠心
(4℃、5000rpm、10sec)することで2本鎖DNAを回収し
た。この25μl(6.25μl×4)をエレクトロポレーション
用濃縮大腸菌(50μl×4)に導入した。これに各々1.5ml
のSOC培地を加え、37℃で1時間激しく振とうした後、4
本を1本にまとめた。このうちの300μlにLB2mlを加え、
230μlづつ10枚のLB/Ampプレートにまいた。また、この
培養液のうち1、10、100μlをアンピシリンを含むLBプ
レートにまいた。37℃で終夜培養し、titerを測定し
た。残りをアンピシリンを含むLB培地500mlに加え、37
℃で6時間、振とう培養した。この500mlのうち30mlから
プラスミドを抽出した(G0期-Log期 dsDNA subtracted l
ibrary)。残りの470mlについては、3mlのヘルパーファ
ージ(R408)を加え、約6時間、37℃で振とう培養した
後、前述の実施例7の方法と同様にしてssDNAを回収し
た(G0期-Log期 ssDNA subtracted library)。
【0035】B.試験結果 結果として、作製したライブラリーの複雑度は、約1×1
06であった(データは示さない。)。 コントロールと
して、poly(A)+RNA (Log期)の代わりに滅菌MilliQ水を
加え、以降のステップを同時に行ったものの複雑度は、
約1×107であった。このことから、サブトラクションに
よるG0期特異的な遺伝子の濃縮は、約10倍程度と低値で
あると考えられた。
【0036】<実施例9>ノーザンハイブリダイゼーシ
ョン A.試験方法 (1) RNAのブロッティング Log期、G0期状態のTIG-1細胞から超遠心(CsTFAの代わり
にCsClを使用)、又はAGPC法により得たtotal RNA 1μl
(3μg/μlに調整)に1μl の10×MOPS(6.56gのNaOAcと
4.2gのMOPSを約800mlの滅菌MilliQ水に溶かし、NaOHでp
Hを7.0に調整したものに、20mlの0.5M EDTA(pH 8.0)を
加え、滅菌MilliQ水で容量を1Lとした。フィルター滅
菌(孔径0.22μm;IWAKI)後、4℃で遮光保存した。)、2
μl のホルムアルデヒド溶液、5μl の脱イオンホルム
アミド(30〜40mlの100%ホルムアミド(ナカライテス
ク、分子生物学特級)に0.5g程度のイオン交換レジン(AG
501-X8;Bio-Rad)を加え、軽く撹拌したもの。-20℃で
保存し、使用前に緑色のレジンが残っていれば使用可能
とし、すべてオレンジ色ならば新たにレジンを加え
た。)を加え、総容量を9μl とした。65℃で5分加熱し
た後、氷上に5分置いて急冷した。1μl の泳動用色素
(Glycerol 2.5ml、0.5M EDTA(pH 8.0) 10 μl、BPB1
2.5mg、XC 12.5mgに滅菌MilliQ水 2.5mlを混合して、
オートクレーブ滅菌後、エッペンドルフチューブに分注
し、-20℃で保存したもの。)を加え、全量をMOPS/ホル
ムアルデヒドゲル(10×MOPS buffer 13mlと、滅菌Mil
liQ水 110.5mlと、アガロース 1.3gとを混合し、アガ
ロースを溶かして50〜60℃に冷めた後、ホルマリン(35%
ホルムアルデヒド溶液)を7.8ml加えた。)にアプライし
た。滅菌した1×MOPS bufferを用いて100Vで電気泳動し
た。BPBが2/3程度流れた時点で泳動を止め、滅菌MilliQ
水で15分づつ3回洗うことによりゲルからホルムアルデ
ヒドを除いた。20×SSC(NaCl 175.4gと、クエン酸ナ
トリウム2水和物 88.2gとに滅菌MilliQ水を加えて1L
とし、オートクレーブ滅菌したもの。)に30〜60分浸し
た後、20×SSCを用いたキャピラリートランスファーに
よりゲル中のRNAをナイロンメンブレン(Biodyne A、孔
径0.2μm;PALL)にブロットした(一晩)。メンブレンを8
0℃で2時間ベイクすることにより、RNAをメンブレンに
固定した。ハイブリダイゼーションまで室温で保存し
た。
【0037】(2) SephadexG-50カラムの作製 プローブをラベルした後、残存する[α-32P] dCTPを効
率良く除くため、以下のようにしてカラムを作製した。
0.6ml のチューブの底に21Gの注射針で軽く穴を開け、
1.5mlのエッペンドルフチューブ上に置いた。TEで膨潤
させオートクレーブ滅菌したSephadexG-50(Pharmacia)
を250μlとり、上述の0.6mlチューブ内に入れた。遠心
(室温、3000rpm、3min)して1.5mlチューブ内に落ちたTE
を除き、再度遠心(室温、3000rpm、3min)してTEを除い
た。0.6mlチューブ内にSephadexG-50をもう250μl加
え、上記の操作を繰り返してTEを除いた。プローブ1個
について、このカラムを2個作製した。 (3) プローブのラベリング サブトラクションライブラリー中、インサートが0.4kb
以上であるクローンについて、Sma IとNot Iで切断し、
インサートを含むDNA断片を精製した。RandomPrimer DN
A Labeling Kit Ver.2(宝酒造)を用い、以下の様にして
プローブのラベリングを行った。精製したDNA断片25〜5
0ng程度に1μlのRandom Primerを加え、2.5μlとした。
95℃で5分加熱後、急冷し、DNAを変性させた。ここに1.
25μlの10×buffer、1.25μlのdNTP mixture、2μlの
[α-32P] dCTP(3000Ci/mmol;Amersham)、0.5μlのExo-
free klenow(2U/μl)を加え、滅菌MilliQ水で総容量を1
2.5μlとした。37℃で30分反応した後、65℃で10分加熱
してKlenowを変性させた。反応液のうち1μlをとり、
[α-32P] dCTPの取り込み率の測定に使用した。残りの
反応液を(2)で作製したカラムに加え、遠心(室温、3000
rpm、5min)した。溶出液を新しいカラムに加え、遠心
(室温、3000rpm、5min)後、溶出液のうち1μlを取り込
み率の測定に使用した。カラム処理の前後の反応液の放
射能活性を測定することで、[α-32P] dCTPの取り込み
効率を測定した。残りの反応液はハイブリダイゼーショ
ンに用いるまで-20℃で保存した。なお、この放射性プ
ローブは、以下に述べるコロニーハイブリダイゼーショ
ンおよびプラークハイブリダイゼーションにおいても使
用した。
【0038】(4) プレハイブリダイゼーション、ハイブ
リダイゼーション 上記(1)で作製したメンブレンをハイブリバッグに入
れ、直前に調整したハイブリダイゼーション液(50%ホ
ルムアミド/5×Denhardt's/5×SSC/0.1% SDSを使用直前
に調整し、ここに変性させたサケ***DNA(5mg/ml)を1/5
0加えた(最終濃度0.1mg/ml)。なお、5xDenhardt'sは、5
0xDenhardt's溶液(フィコール(Type400;Pharmacia)
5gと、Polyvinylpyrrolidone(MW=360,000;SIGMA) 5g
と、Bovineserum albumin(Fraction V;SIGMA) 5gとに
滅菌MilliQ水を加えて500mlとし、フィルター(孔径0.22
μm;MILLIPORE)により滅菌したもの。-20℃で保存し
た。)を10倍希釈して用いた。)を加えた。このと
き、6×1.5cm程度の短冊型のメンブレンの場合には、1
枚あたり2ml加えた。泡が出来るだけ入らないようにシ
ーリングし、42℃の湯浴中に2時間以上おいてプレハイ
ブリダイゼーションを行った。上記(3)で調整したプロ
ーブを95℃で5分加熱後、急冷し、変性させた。これを
0.2mlのハイブリダイゼーション液と混合し、プレハイ
ブリダイゼーション後のメンブレンに加えた(0.2m/
枚)。泡が出来るだけ入らないようシーリングし、42℃
の湯浴中で24時間以上、ハイブリダイゼーションを行っ
た。
【0039】(5) 洗浄、オートラジオグラフィー メンブレンをハイブリバッグから注意深く取り出し、2
×SSC/0.1% SDSの入ったガラストレイ(乾熱滅菌したも
の)に移した。室温で10分、ゆっくり振とうしてハイブ
リダイゼーション液を出来るだけ除いた後、0.15×SSC/
0.1% SDS中、42〜50℃で30分づつ2回洗浄した。メンブ
レンをサランラップに包み、増感紙2枚を用いて-80℃で
数時間〜一晩、X線フィルムに感光した。 B.試験結果 作製したサブトラクションライブラリー中には、G0期非
特異的な遺伝子も多く含まれていることが予測されたた
め、取りあえずライブラリー中の任意の約30クローンか
らプラスミド、更にインサートを回収し、それらをプロ
ーブとしてノザン解析を行ったが、G0期とLog期との両
者間において発現量に顕著な差が認められるものは、そ
れらの中には含まれていなかった(データは、示してい
ない)。そのままノザン解析を続けても効率が良くない
と判断し、2次差分化法によりG0期-Log期 2次差分化
ライブラリーの作製を行うこととした。
【0040】<実施例10>2次差分化ライブラリーの
作製 A.試験方法 作製したサブトラクションライブラリー(一次差分)
中、ノーザン解析を行った約30クローンのプラスミドを
混合し、フェノール/クロロホルム処理、クロロホルム
処理、エタノール沈殿により精製した。このうち20μg
をとり、10μlの10×NEB buffer4(NEB)、10μlの10×BS
A(NEB)、5μlのNot I(10U/μl;NEB)及び滅菌MilliQ水
を加えて総容量を100μlとした。37℃で終夜反応させ、
Not Iで切断した。このうち1μlを電気泳動して切断を
確認した後、フェノール/クロロホルム処理、クロロホ
ルム処理を行った。上清をミリポアフィルター(UFCP3TK
50)の上室にのせ、溶液が全て下に流れ落ちるまで遠心
(4℃、10000rpm、30min)した。下室のTEを除き、新たに
上室に300μlのTEを加え、遠心(4℃、10000rpm、20min)
してフィルターを洗浄した。この操作をもう一度行い、
フリーのrNTP、dNTPを除去した。30μlのTEをフィルタ
ーの上室に加え、ピペッティングとvortexによりフィル
ターに付着したRNAを溶かし出した。ここに、10μlの10
×TRL buffer(T7RNA polymeraseに付属のもの)、10μl
の10mM rATP、10μlの10mM rCTP、10μlの10mM rGTP、1
0μlの10mM rUTP、1μlのRNase inhibitor(40U/μl;東
洋紡績)、3μlのT7 RNA polymerase(160U/μl;東洋紡
績)を加え、滅菌MilliQ水にて総容量を100μlとし、37
℃で90分反応させた。1μlのDNase I(70U/μl;宝酒造)
を加え、37℃で15分保温して鋳型DNAを分解した。等量
のフェノール/クロロホルムを加え処理した後、更に等
量のクロロホルムにて処理を行った。上清を回収後、こ
れに総容量が330μlとなるようにTEを加え、13μlの5M
NaClと1μlのglycogen、990μlのエタノールを加え、-8
0℃に30分静置した。これを遠心(4℃、15000rpm、15mi
n)後、沈殿に70%エタノールを加え洗浄し、更に遠心(4
℃、15000rpm、5min)によりエタノールを完全に除去
後、50μlのTEに溶解した。20μgの鋳型DNAから約100μ
gのRNAが合成された。このうちの5μgとLog期由来のpol
y(A)+RNA 5μgを、前述の方法に従って、ビオチン化し
た。
【0041】(2) ハイブリダイゼーション、サブトラク
ション Log期由来のpoly(A)+RNAとサブトラクション(一次差分)
にて解析済みのクローン由来のRNA各 5μgをビオチン化
したものに滅菌MilliQ水を加え、総容量を10μlとし
た。このうちの6μl(理論的には、各々のRNAが3μg含ま
れていることになる)に1.2μlのマスキングオリゴ(塩基
配列は、5'-CCCGGGGATCTAGACGTCGAATTCCC-3'である。10
0pmol/μl)を加え、滅菌MilliQ水にて総容量を12μlと
した。65℃で10分加熱した後、室温に30分置き、ビオチ
ン化RNAにマスキングオリゴをアニーリングさせた。こ
こに20μlの2×HB(通常のサブトラクション時に用いる
もの)、4μlの2M NaCl、2μlのpoly(A)、そして1μlのs
sDNA(0.1μg/μl;一旦増幅させたライブラリー)を加え
た。65℃で変性せず、そのまま42℃のヒートブロックに
移し、48時間ハイブリダイゼーションを行った。以下、
通常のサブトラクション時と同様にしてssDNAを回収
し、2本鎖DNAとした。これから、G0期-Log期 2次差分
化ds-、ss-cDNAライブラリーを前述と同様の方法により
作製した。
【0042】B.試験結果 (1)2次差分化法は、ライブラリー中に含まれる各クロ
ーンのノザン解析を効率的に行うことを目的とした方法
である。つまり、ノザン解析を行ったクローン(プラス
ミド)の混合物を鋳型としてインサート由来のRNAを合
成、1本鎖DNAとハイブリし、それらを有するssDNAを除
去したライブラリーを作製する。この原理に従い、サブ
トラクション(1次差分化)ライブラリーにて解析を行っ
た約30クローン(プラスミド)を混合し、それらに含まれ
るインサート由来のRNAを合成、ハイブリに使用した。
また、1次差分化ライブラリーでは、G0期特異的な遺伝
子が十分に濃縮されていなかったことから、ssDNAの約3
0倍量に相当するpoly(A)+RNA(Log期)も同時に加え、 2
次差分化ライブラリーの作製を行った。その結果、作製
した同ライブラリーの複雑度は、約1×105となった。つ
まり、2次差分化ライブラリーは、1次差分化ライブラ
リーの約10倍程度の濃縮がかかったライブラリーである
と考えられた。
【0043】1次差分化ライブラリーの場合と同様、ま
ず任意の約30クローンからプラスミド、更にインサート
を回収し、それらをプローブとしてノザン解析を行っ
た。その結果、これらの中にはgrowth arrest (G0期)特
異的に発現量が上昇しているものが含まれていた。従っ
て、2次差分化ライブラリー中の解析クローン数をさら
に増やし、最終的に400クローンからプラスミド、更に
インサートを回収し、ノザン解析を行うこととした。結
果として、400クローン中、0.4kb以上のインサートを含
むものが218個であった(インサートの挿入率;54.5%)。
これらについて、静止期にて発現が上昇しているものの
スクリーニングを行ったところ、そのようなクローンを
約30個単離することができた。これらのクローンについ
て、その再現性の確認も兼ねて、各遺伝子について、Ti
me course northern (Serum starve)を行った。その結
果の一部を図3に示した。前述の約30クローンのうちの
15個(TIGA1、TIGA3〜TIGA16)については再現性が確認
され(表2を参照)、その発現パターンは、後述のType
1かType2であり、Type1について2クローンが、Type
2について13クローンが単離された。尚、Type1およ
び、Type2の定義は、以下の通りである。 Type 1;増殖状態の細胞(Log期)ではほとんど発現が認
められず、増殖停止(G0期)状態にある細胞でmRNA転写量
が著しく上昇しているもの。 Type 2;増殖状態の細胞(Log期)でもやや発現が認めら
れるが、増殖停止(G0期)状態にある細胞の方がmRNA転写
量が数倍程度高くなっているもの。
【0044】
【表2】
【0045】(2)次に単離された各クローンの塩基配列
を決定し、それらとこれまでに知られている遺伝子のデ
ータベースとの間でホモロジーサーチを行った。その結
果、これらのクローンの中には、1) 新規遺伝子である
と考えられるものが3種、2)癌抑制遺伝子、或いはそのc
andidateである可能性が示唆されているものが3種類、
含まれていた。このうち、2)のうちの一つであるTIGA1
は、癌抑制遺伝子の候補となる可能性が報告されている
ESTクローンと同一であった(なお、発表されたESTクロ
ーンについての機能は未解析である。)。
【0046】<実施例11>TIGA1遺伝子の解析(1) 癌抑制遺伝子の候補遺伝子である可能性が報告されてい
るESTクローンと相同性のあったTIGA1は遺伝子座が第5
染色体長腕21-22であり、この領域は肺癌、特に小細胞
癌の臨床サンプルの約80%と非常に高頻度でLOHが認めら
れるとの報告がある(CANCER RESEARCH 54,1787-1790,A
pril1,1994)。特に同遺伝子座には、他にAPCなどがあ
り、当初は大腸癌等と同様に肺癌に関しても、これらが
癌化に寄与している原因遺伝子であると考えられてい
た。しかし、その後の解析の結果、肺癌ではこれらの蛋
白は正常であることが分かり、この領域には新規の癌抑
制遺伝子が存在している可能性が示唆されている。以上
の背景から、TIGA1は新規の癌抑制遺伝子の候補遺伝子
である可能性が十分に考えられた。
【0047】(1) TIGA1の各組織における発現について 各組織(心臓、脳、胎盤、肺、肝臓、筋肉、腎臓、膵
臓、脾臓、胸腺、前立腺、精巣、卵巣、小腸、結腸、白
血球、胃、甲状腺、脊髄、リンパ腺、気管支、副腎、骨
髄)由来のmRNAを使用して、TIGA1の発現パターンにつ
いて確認したところ、図4に示すように、全ての組織に
おいてTIGA1のバンドが確認され、TIGA1が各組織につい
て恒常的に(ubiquitous)発現されていることが認めら
れた。 (2) TIGA1のORFについて TIGA1 cDNA中のORF検索 次に、TIGA1にORFが存在し、蛋白をコードしているかど
うかについて確認した。TIGA1の塩基配列をアミノ酸配
列に置換したところ、この段階の塩基配列では、何れの
フレームについても、ORFと思われる箇所は認められな
かった。ノザンハイブリダイゼーションにおけるTIGA1
の転写サイズが約0.7kb付近であったため、サブトラク
ションにより単離したクローン(約0.65kb)が全長ではな
いものと考えられたので、次に、G0期 cDNAライブラリ
ーを用い、後述したコロニーハイブリダイゼーション法
により全長と思われるクローンの単離を試みた。
【0048】<実施例12>コロニーハイブリダイゼー
ション法 (1)ニトロセルロースフィルターとナイロン膜の前処理 ニトロセルロースフィルターとナイロン膜は決して素手
では触らぬようにラテックス手袋をして作業するように
した。直径10cm以上のビーカー、あるいはプラスチック
箱に滅菌水を入れ、ケースから1枚づつ取り出したニト
ロセルロースフィルター(ミリポア;HATF08250:トライ
トンフリー以外は不可)、あるいはナイロン膜(PALL:By
odyne Aなど)を浸した。フィルターを10cm角に切ったワ
ットマン3MM濾紙(3枚に1枚はやはり滅菌水に浸す)に一
枚ずつ挟んでいった。その後、アルミホイルで包み、90
℃で10分間オートクレーブした。乾燥しないようビニー
ル袋に包んで4℃に保存した。 (2)液体窒素中に保存しておいた前述のG0期特異的なcDN
Aライブラリーを室温で溶かし、中に含まれているコロ
ニー濃度を測定するために、これをLBを用いて段階的に
希釈して数枚のアンピシリン・プレート(LB培地をつく
る際に、1Lあたり15gのbacto-agarを加えてオートクレ
ーブした。この溶液が60〜70℃の温度に下がったところ
で1mlの50mg/mlのアンピシリン溶液(50%エタノール)を
加え、9cm径のシャーレに25mlずつ分注して4℃に保存し
た。特に最初のcDNAライブラリーをニトロセルローズフ
ィルターに蒔くときに使うプレートはコロニーの生えを
良くするために7mm以上の厚さになるよう熱アガーを分
注しておいた。)に蒔き、37℃で一晩培養した。ライブ
ラリーの力価は約1×108cfu/mlであった。前処理したニ
トロセルロースフィルターを10枚のアンピシリンプレー
トにまんべんなくのせた。泡が生じたら滅菌したピンセ
ットでフィルターを撫でて除いた。泡が残るとそこには
コロニーが生えなくなるので、この操作は慎重に行うよ
うにした。この上にシリコナイズ後、乾熱滅菌した径3
〜5mmのグラスビーズを10〜30個のせておいた。前述の
ライブラリーを200μl蒔けば30万コロニーになるように
2本の1ml LBに希釈した。1枚のフィルターに200μlの希
釈液をのせ、すぐさまプレートを左右に動かしてグラス
ビーズをまんべんなくころがして大腸菌を分散させた。
この作業を一枚ずつ、合計10枚のニトロセルロースフィ
ルターについて行った。この時、実際にどのくらいのコ
ロニーを蒔いたかを測定するため、1μlコロニー液を段
階的に希釈して3枚のアンピシリンプレートに蒔き37℃
で一夜培養し、明朝カウントしたところ、6×106cfu/ml
であった。10枚のプレートについてはこれらを37℃で6
〜8時間培養しながらコロニーの出方を観察した。0.2mm
くらいの大きさのコロニーがフィルター上一面に生えて
きたところで培養を止め、4℃に保存しておいた。
【0049】(3)ナイロン膜へのトランスファー 明朝一番にプレートを4℃から取り出し、そのフィルタ
ーをワットマン3MMろ紙にのせ、その上に新しいナイロ
ン膜をずれないように重ねてのせた。針先(20G程度)で
フィルターとナイロン膜を貫通させるようなかたちで非
対称に4ケ所穴をあけ目印とした。その後、爪楊枝の先
に少量つけた墨汁でフィルターとナイロン膜の各々に番
号をつけておいた。フィルターとナイロン膜の全体が一
様に合わさるようアルミ製円筒ブロックで上から押さえ
た。この時にも泡は不可なので、生じた泡はラテックス
手袋をした手で撫でて除いた。ピンセットでフィルター
とナイロン膜を剥がし、各々新しいアンピシリンプレー
ト上に泡が立たないようにのせ、37℃で2〜3時間培養し
た。元のプレート(フィルター)は4℃へ保存しマスター
フィルターとした。トランスファーされた方のナイロン
膜はクロマイ・プレート(LB培地をつくる際に、1Lあ
たり15gのbacto-agarを加えてオートクレーブした。こ
の溶液が60〜70℃の温度に下がったところで5mlの34mg/
mlクロラムフェニコール(エタノール中に溶かしたもの)
を加え、9cm径のシャーレに25mlずつ分注して4℃に保存
したもの。あるいは、アンピシリン・プレートに1mlの4
mg/mlのクロラムフェニコールを染み込ませてから使用
した。)にのせ、さらに37℃で培養を続けた。この際に
もプレートとナイロン膜の間に空気が入らないよう気を
つけた。
【0050】(4)第一次スクリーニング 明朝一番にピンセットを用いて培養したナイロン膜に新
しいナイロン膜をずれないように重ねてのせ、上記(3)
と同様にしてアルミ製円筒ブロックで上から押さえた。
爪楊枝の先に少量つけた黒汁でナイロン膜に番号をつけ
るとともに4ケ所の位置目印をつけておいた。大きなガ
ラス板かステンレスバットなどに変性液(0.5N NaOH、
1.5M NaCl)を1.5mlずつ20個(プレート数が10枚の場合)
スポットした。その上に10組(おのおの2枚)のナイロン
膜を重ねたままのせて5分間置いた。ピンセットを用い
ナイロン膜がずれないように裏返しながら新しいスポッ
トにのせ、さらに5分間置いた。紙タオルでナイロン膜
を重ねたままブロットして変性液を除いた。別のガラス
板に1.5mlずつ20個スポットした中和液(0.5M Tris-HCl
(pH7.4)、1.5M NaCl)の上にナイロン膜を重ねたままの
せ、5分間置いた。ピンセットを用いナイロン膜がずれ
ないように裏返しながら新しいスポットにのせ、更に5
分間置いた。紙タオルでナイロン膜を重ねたままブロッ
トして中和液を除いた。別のガラス板に1.5mlずつ10個
スポットした2×SSCの上に、ナイロン膜を重ねたままの
せ5分間置いた。同様にして各組のナイロン膜を離し、
コロニーの側を上に向けてろ紙の上で風乾してから高温
乾燥機で80℃、1〜2時間熱処理した(ニトロセルロース
フィルターは真空乾燥器を使わないと焦げることがある
がナイロン膜の場合は真空乾燥である必要はない)。ナ
イロン膜を100〜200mlの予洗液(5×SSC、0.5% SDS、1m
M EDTA(pH8.0))を含むタッパーウェア(10×10×5cm)に
入れ、室温で10分間振とうした。ナイロン膜を紙タオル
にのせ1枚ずつティッシュで数回強くこすり膜上の大腸
菌破砕片を拭き取った。紙タオル上でブロット(あるい
はしばらく風乾)してから9cm径のプラスチックシャーレ
にナイロン膜を10〜20枚重ねて入れ、この上にナイロン
膜あたり1.0〜1.5mlのハイブリダイゼーション液(5×SS
C、10×Denhardt's)(合計15〜25ml)を注ぎ込んだ。厚め
のビニール袋をナイロン膜と同じ形に丸く切り、ナイロ
ン膜の上に重ねて液が蒸発するのを防ぐ蓋とした。シャ
ーレに蓋をし、ビニールテープでシールして約55℃で3
〜6時間保温した。ハイブリダイゼーション液を捨て、
標識したプローブを含む新しいハイブリダイゼーション
液を10〜20ml注ぎ入れた。同様にシールして55℃で20時
間程度保温した。ナイロン膜をタッパーウェア(10×10
×5cm)に移し、100〜200mlの0.1%SDSを含む1×SSCを加
え30〜60分間60℃でナイロン膜を洗浄した。洗浄液を0.
1%SDSを含む0.3×SSCに替え、さらに30分間60℃でナイ
ロン膜を洗浄した。洗浄液を0.1%SDSを含む0.1×SSCに
替え、さらに30分間60℃でナイロン膜を洗浄した。ナイ
ロン膜を少し湿った程度まで風乾し、X線フィルム(半
切)の大きさに切ったサランラップの上にのせた(X線フ
ィルムに露光後、位置合わせが簡単になるようにのせる
順番に注意する)。径5mmの紙ラベルに[α-32P]dCTPを
少量しみ込ませたマジックペンでマークし、それらを数
カ所散りばめて位置合わせのガイドとした。これらの上
を、1枚の大きなサランラップで覆い、超低温庫にて増
感紙のもと、X線フィルムに露光した。
【0051】(5)第二次スクリーニング X線フィルムを現像し、マークに従って位置合わせを
し、元と写し(複製)の両方にほぼ同等の強度で見い出さ
れるスポットを探した。アンピシリンプレート上に4℃
で保存しておいたマスターフィルターをシャーレの蓋の
方にコロニー側を上にして置き、前述のスポットとマー
クに従って位置合わせをした。スポット付近のフィルタ
ー上の大腸菌の1mm角程度をナイフを用いてフィルター
ごと切り取り、1mlのLB培地に移した。よく撹拌し、そ
の1μlをとって新しい1mlのLB培地に移した。この液を1
〜100μlとってアンピシリンプレートに蒔いて、プレー
トあたり100〜1000コロニーになるようにして二次スク
リーニングに供した。37℃で一晩培養したプレートは4
℃で3時間以上冷やした。ナイロン膜をプレートに直接
のせ、前述と同様にしてアルミブロックで押さえ、墨汁
をつけた爪楊枝でマークしてからピンセットで剥がし、
新しいアンピシリンプレートにのせ、37℃で2〜3時間培
養した。クロマイ・プレートに移し、さらに37℃で一夜
培養した。第一スクリーニングの操作と同様にフィルタ
ー処理とハイブリダイゼーションを行った。 (6)第三次スクリーニング X線フィルムのポジティブスポットと位置合わせをし、
第二スクリーニングの操作と同様にしてアンピシリンプ
レートあたり10〜100コロニーとなるように大腸菌を蒔
いた。第一スクリーニング操作と同様にしてフィルター
処理とハイブリダイゼーションを行った。最終的にポジ
ティブとなったシングルクローンを回収した。原液は、
7% DMSO溶液とし、-80℃に保存しておいた。
【0052】<実施例13>Polymerase chain reactio
n(PCR) TIGA1遺伝子にかんするPCRは、Ex Taq PCR、またはLA T
aq PCR kit(TakaRa)を使用した。なお、PCRにおいて
は、配列番号3〜配列番号7に示したセンスプライマー
(配列番号3に示すF1「5'- AGAATTCGGCGCGCCGATGGTA
CAGCCCGCT -3'」、または配列番号4に示すF2「5'- T
TTTTGCTCTGGGTCCTCTGGG -3'」)または、アンチセンス
プライマー(配列番号5に示すR1「5'- TGTATTTACAGA
CTCCAGCAGG-3'」、配列番号6に示すR2「5'- ATACTCG
AGGCGGCCGCACTCCTCAGACTCCCAGAAAT-3'」、または配列番
号7に示すR3「5'- ATACTCGAGGCGGCCGCTCAGTTATACGGT
AAGGC -3'」)のうち、適当な一組のプライマーセット
を使用した。 A.試験方法 (1) Genomic-PCR、nested-PCR 細胞または組織より抽出したゲノムDNA (1〜10ng/μl)
1μlを鋳型とし、これに滅菌水4.4μl(LA taq DNAポリ
メラーゼを使用する場合は、3.4μlの滅菌水と1μlの25
mM MgCl2を使用)、0.5μlのDMSO、1μlの10×Ex buffer
(或いは10×LA buffer)、1μlの2.5mM dNTP mix、検出
したい遺伝子に特異的なセンスプライマーおよび、アン
チセンスプライマー(ともに10pmol/μl)をそれぞれ1μ
l、Ex Taq DNAポリメラーゼ(或いはLA Taq DNAポリメラ
ーゼ)(TakaRa;5U/μl) 0.1μlを加えた。95℃で3分間
変性させた後、95℃で30秒、55〜60℃で30秒、72℃で30
秒〜1分のサイクルを30回行い、最後に72℃で5分反応さ
せた。これに滅菌水を90μl加えて10倍希釈し、総容量
を100μlとした後、プライマー除去用のマイクロスピン
カラム(S-200HR;ファルマシア)によりPCRプライマーを
除いた。さらにこの溶液を滅菌水により10倍希釈(最終1
00倍希釈)したもの1μlを鋳型とし、検出したい遺伝子
に特異的なセンスプライマー、アンチセンスプライマー
(1回目のプライマーの内側のもの)を用いてnested-PCR
を行った。10μlの反応液のうち5μlを1.0〜2.0%アガロ
ースゲルで電気泳動した。
【0053】(2) RT-PCR Superscript Preamplification System (GIBCO BRL)を
使用した。超遠心、あるいはAGPC法により得たtotal RN
A約1μgを鋳型とし、オリゴ(dT)12-18プライマー(0.5μ
g/μl)を1μl加え、滅菌水で総容量を14μlとした。65
℃で10分加熱した後、氷上で急冷し、2μlの10× synth
esis buffer、1μlの10mM dNTP mix、2μlの0.1M DTT、
1μlのsuperscript II (200U/μl;BRL社)を加え、ピペ
ッティングにより混合した。室温に10分置いた後、42℃
で50分反応した。90℃で5分加熱して逆転写酵素を変性
させた後、氷上に10分置いた。RNase H(2U/μl)を1μl
加え、37℃で20分反応した。この反応液1μlに13.3μl
の滅菌水(LA taq DNAポリメラーゼを使用する場合は、1
1.3μlの滅菌水と2μlの25mM MgCl2を使用)、2μlの10
×Ex buffer(或いは10×LA buffer)、1.6μlの2.5mM dN
TP mix、検出したい遺伝子に特異的なセンスプライマ
ー、アンチセンスプライマー(ともに10pmol/μl)をそれ
ぞれ1μl、Ex Taq DNAポリメラーゼ(或いはLA Taq DNA
ポリメラーゼ)(TakaRa;5U/μl) 0.1μlを加えた。95℃
で3分間変性させた後、95℃で30秒、55〜60℃で30秒、7
2℃で30秒〜1分のサイクルを30回行い、最後に72℃で5
分反応させた。20μlの反応液のうち10μlを1.0〜2.0%
アガロースゲルで電気泳動した。
【0054】B.試験結果 PCRの一例として、図5には、胎盤由来のcDNAライブラ
リーを鋳型として使用し、上述のプライマーセットを利
用したときの結果を示した。図5(A)は、プライマー
F3(99年3月にESTデータベースに登録されたESTクロ
ーン(AI557437)の塩基配列が、5'末端付近の塩基配列が
不明であった当時のTIGA1 cDNAの塩基配列と高い相同性
を示しており、かつこのESTクローンが、当時は不明で
あったTIGA1 cDNAよりも5'上流の塩基配列情報を含んで
いたため、このESTクローンの5'上流の塩基配列のシー
クエンスデータに基づいてプライマーF3を設計したも
のである。塩基配列は、5'-ATGGATTTTGGACGTGGAA-3'で
ある。但し、結果としては、AI557437のクローンとTIGA
1とは、同じ遺伝子ではなかったため、PCRのバンドは確
認されなかったもの。)とR1、プライマーF1とR
3、プライマーF1とR1とを使用して一度目のPC
Rを行い、上記の溶液を鋳型DNAとしてプライマーF2
とR3、また上記の溶液を鋳型DNAとしてプライマー
F2とR3、プライマーF2とR2、プライマーF2と
R1とをそれぞれ使用して二度目のPCRを行ったもので
ある(nested-PCR)。
【0055】<実施例14>プラークハイブリダイゼー
ション法によるTIGA1ゲノムの単離 次に、TIGA1のゲノム上での構造を解明するために、プ
ラークハイブリダイゼーション法による遺伝子の単離を
行った。 A.試験方法 (1)プラークリフティング ライブラリーのファージ液をSMで適当に希釈して、1ml
程度に4〜5×105pfuのファージが含まれるように調整し
た。10本の遠心管にファージ液を100μlずつ入れた。宿
主菌の終夜培養液を500μlずつ加え、ボルテックスし
た。37℃で15分インキュベート後、駒込ピペットで7ml
のソフトアガロースを加え、手早くボルテックスした。
これを素早くプレート培地に広げた。そのまま動かさず
に15分以上静置して、ソフトアガロースが固まるのを待
った。プレート培地を逆さにして37℃のインキュベータ
ーに入れ、6〜10時間ほど静置した。プレート培地を裏
返して表面を上にし、フタをずらして乗せ、37℃でさら
に30分間ほど静置した。プレート培地が冷えるまで冷蔵
庫に入れておいた。この間に、13×9cmに切ったフィル
ターを20枚用意しておいた。先のあまり尖っていない鉛
筆で、フィルターの右肩に-1から(10)-1、-2から(1
0)-2まで印を付けた。先の平らなピンセットを2本用い
て、1組目(-1から(10)-1)のフィルターを同じ番号(
から(10))のプレート培地の上に、気泡が入らないよう
に静かに乗せた。そのまま室温で3分間ほど静置した。
フィルターに注射針を非対称に4ケ所突き刺してマーク
した。プレート培地の裏側から、マークされた針穴の位
置にサインペンで印を付けた。ベンチの上にラップフィ
ルムを敷き、厚手の濾紙を3枚並べた。この厚手の濾紙
の1枚に変性溶液(1.5M NaCl/0.5M NaOH)を、残り2
枚に中和溶液(1.5M NaCl/1.5M Tris-HCl(pH7.5))を
注いだ。ピンセットを用いて、フィルターを角から静か
に剥がした。フィルターを裏返し、プレート培地と接し
ていた面を上にして、変性溶液を染み込ませた厚手の濾
紙の上に3分間静置した。そのまま乾いた濾紙の上に乗
せ、軽く水気を切った。フィルターを裏返したまま、中
和溶液を染み込ませた厚手の濾紙の上に乗せ、3分間静
置した。そのまま乾いた濾紙の上に乗せ、軽く水を切っ
た。2×SSCを入れたバットにフィルターを入れ、3分間
ほど静置した。乾いた濾紙の上に乗せて乾燥させた。2
組目(-2から(10)-2)のフィルターについても、同様の
処理を行った。プレート培地をラップフィルムで包み、
4℃で保存した。フィルターを1枚ずつ濾紙に挟んでオー
ブンに入れ、80℃で2時間ほど加熱した。このフィルタ
ーは濾紙に挟んだままラップフィルムで包み、4℃に保
存しておいた。
【0056】(2)ハイブリダイゼーション タイトボックスに4〜5ml/100cm2フィルターのハイブリ
ダイゼーションバッファー(50% ホルムアミド、5×Den
hardt's solution、5×SSPE、0.5% SDS)を入れた。4℃
に保存しておいたフィルターを1枚ずつ浸した。42℃で2
時間プレハイブリダイゼーションを行った。終濃度が5
〜10×105/mlになるように、プローブ(TIGA1遺伝子を実
施例9(3)に記載の方法によって、[α-32P]dCTPで放射能
標識したもの。)を徐々に加えていった。42℃で16〜20
時間ほどハイブリダイゼーションを行った。ハイブリダ
イゼーション後、バッファーをRI用廃液タンクに捨て
た。少量の洗浄液A(2×SSC、0.1% SDS、予めインキュ
ベーターなどに入れ、大体65℃にしておいたもの。)を
入れたバットにフィルターを移し、軽くリンスした。洗
浄液AはRI用廃液タンクに捨てた。各フィルターが自由
に動ける以上の量の洗浄液Aをバットに注ぎ、65℃で15
分間振とうした。洗浄液AをRI用廃液タンクに捨てた。
この洗浄液Aによる洗いを再度、繰り返して行った。各
フィルターが自由に動ける以上の量の洗浄液Bをバット
に注ぎ、65℃で15分間振とうした。洗浄液BをRI用廃液
タンクに捨てた。この洗浄液B(1×SSC、0.1% SDS、予
めインキュベーターなどに入れ、大体65℃にしておいた
もの。)による洗いを再度、繰り返して行った。各フィ
ルターが自由に動ける以上の量の洗浄液C(0.1×SSC、
0.1%SDS)をバットに注ぎ、65℃で15分間振とうした。
洗浄液CをRI用廃液タンクに捨てた。この洗浄液Cによる
洗いを再度、繰り返して行った。フィルターを濾紙の上
に乗せて軽く水気を切った。後にポジティブシグナルの
識別を行う際のことを考えてフィルターをサランラップ
上に並べていき、これをラップで完全に包んだ。暗室内
で、増感紙をセットしたカセットにX線フィルムと共に
入れ、-70℃で一晩(15時間)ほど露光した。現像後、各
々のX線フィルムをマーカーを指標に位置を合わせ、両
方でシグナルの重なるものに目印をつけた。X線とプレ
ートを針穴のマークが合うように重ね合わせ、プレート
上のポジティブシグナルに目印を付けていった。マイク
ロピペッターを用いて、ダブルポジティブマークの付近
のプラークをつつき、2mm角ぐらいを取った。マイクロ
チューブに入れた1mlのSMにソフトアガロースごと懸濁
した。これにクロロホルムを一滴垂らし、ボルテックス
で混合した。軽く遠心して4℃で保存した。
【0057】(3)第二次スクリーニング SMバッファーに懸濁した第一次ポジティブクローン(No.
1〜8) 10μl を宿主菌XL1-Blue MRA(P2)の終夜培養液10
0μlと混合した。37℃、20分間プレインキュベートした
後、駒込ピペットで予め53℃であたためておいた4mlの
ソフトアガロースを加え、手早くボルテックスした。こ
れを素早くプレート培地(直径;9cm dish)に広げた。そ
のまま動かさずに15分以上静置して、ソフトアガロース
が固まるのを待った。プレート培地を逆さにして37℃の
インキュベーターに入れ、10〜16時間ほど静置した。プ
レート培地を裏返して表面を上にし、フタをずらして乗
せ、37℃でさらに30分間ほど静置した。プレート培地が
冷えるまで冷蔵庫に入れておいた。4℃にて十分に冷や
しておいたプレート(3時間以上冷した)上に、バイオダ
インA フィルター(そのまま使用)を乗せた。この状態で
1分間程度静置した。プレート上のフィルターの端の方
に左右非対称に注射針で穴を開けた。その穴に、爪楊枝
の先につけた墨汁で印をつけた。ピンセットでフィルタ
ーを一気にはがし、変性液に約20秒間浸した。ペーパー
タオルの上に乗せ水分を除去し、中和液に約20秒間浸し
た。別のペーパータオルにのせ、乾かした。フィルター
は各2枚ずつ作製しておいた(各2枚目のフィルターは、1
枚目と比較してプラークがトランスファーされにくいこ
とを考慮し、5分間程度、コンタクトさせておいた)。以
下、同様の処理を行った。フィルターを1枚ずつ濾紙に
挟んでオーブンに入れ、80℃で2時間ほど加熱した。こ
のフィルターは濾紙に挟んだままラップフィルムで包
み、4℃に保存しておいた。以降、一次スクリーニング
と同様にしてポジティブクローンの選別を行った。ポジ
ティブクローンはマイクロチューブに入れた1mlのSMに
ソフトアガロースごと懸濁し、これにクロロホルムを一
滴垂らし、ボルテックスで混合した。軽く遠心して4℃
で保存した。
【0058】(4)第三次スクリーニング 第二次スクリーニングのポジティブクローンについて、
同様の方法で第三次スクリーニングを行った。三次スク
リーニングでポジティブとなったクローンのうち、シグ
ナルが強かった4つのシングルプラークをSMバッファー5
00μlに回収した。 (5)ファージの回収 SMバッファーに懸濁した第三次ポジティブクローン(No.
1〜4) 50μl を宿主菌XL1-Blue MRA(P2)の終夜培養液50
0μlと混合した。37℃、15分間プレインキュベートした
後、駒込ピペットで予め53℃であたためておいた4mlの
ソフトアガロースを加え、手早くボルテックスした。こ
れを素早くプレート培地(直径;9cm dish)に広げた。各
クローンについて5枚ずつのプレートに蒔いた。そのま
ま動かさずに15分以上静置して、ソフトアガロースが固
まるのを待った。プレート培地を逆さにして37℃のイン
キュベーターに入れ、ほぼComplete lysisの状態まで保
温を続けた。5mlのSMバッファーを各プレート上に流し
込み、4℃で終夜静置した。翌日、各クローンごと50ml
のコニカルチューブにSMバッファーを回収した(各、約2
0ml程度回収できた)。これを遠心(3000rpm、4℃、10分
間)した。上清を新しい50mlコニカルチューブに回収し
た。このうち約4mlをファージの回収に使用し、残りは5
00分の1程度のクロロホルムを加え、4℃に保存しておい
た。また、このうちの一部を80%グリセロール溶液とし
て-80℃に保存しておいた。4mlの回収液に対して、DNas
e I(70U/μl) 0.4μl、RNase A(10mg/ml) 2μl加え、37
℃で1時間インキュベートした。これに2分の1倍量の30%
PEG6000/3M NaCl(終濃度 PEG6000 10%)を加え、よく混
ぜてからガラス製の30mlコレックスチューブに移し、氷
上に1時間放置しておいた。J2-21(BECKMAN)ローターに
て、遠心(9000rpm、4℃、5分間)した。上清を除き、ペ
レットを回収した(PEGが残らないようにチューブの中を
キムワイプで拭き、上清を完全に除去した)。ペレット
を500μlのSMバッファーに懸濁。1.5mlチューブに移
し、TOMY遠心機にて遠心(11000rpm、4℃、5分間)し、上
清を新しい1.5mlチューブに移した。10%SDSと0.5M EDTA
を各5μl加え、65℃で15分間インキュベートした。フェ
ノール/クロロホルム処理を2回行った後、等量のイソ
プロパノールと混ぜ、遠心(15000rpm、室温、5分間)し
た。上清を捨て、ペレットに70% エタノールを1ml加え
て洗浄後、各々100μlのTEに溶解させた。OD260/280を
測定し、各サンプルの濃度を決定した。 (6)シークエンスのためのサブクローニング プラークハイブリダイゼーションでポジティブとなった
EMBL3ファージクローン(No.1〜4)について、MCS上のBam
HI、EcoRIとSal Iを用いてインサートチェックを行っ
た。適当なインサートをシークエンス用ベクターpBlues
cript SK(+/-)にサブクローニングし、シークエンスを
行った。
【0059】B.試験結果 プラークハイブリダイゼーションにおいてTIGA1 cDNAを
プローブとし、ポジティブなシングルクローンとしてEM
BL3ファージ4クローンを回収した。マルチプルクローニ
ングサイト(MCS)上のBam HI、EcoRIとSal Iを用いてイ
ンサートを切り出し、適当なインサートをシークエンス
用ベクターpBluescript SK(+/-)にサブクローニング
し、シークエンスを行った。その結果、図6に示すよう
に、TIGA1 cDNA中には少なくとも3個のエクソンと2個の
イントロンが存在していることが明らかとなった。更
に、TIGA1 cDNAの5'上流の塩基配列も明かとなった。こ
のようにしてゲノム構造が明らかとなった genomic TIG
A1の塩基配列を配列番号8に示した。この5'上流の塩基
配列を解析したところ、TIGA1 cDNAとして既知であった
配列の約100塩基上流に翻訳開始のATGと思われる部位の
存在が判明した。そこで既述のプライマーを使用して、
cDNA libraryを鋳型としてPCRを行った。その結果、F1
をセンスプライマーとしてPCRを行った時に、目的のサ
イズにバンドの増幅が確認された。以下1)、2)の点を考
慮し、このプライマーF1中のATGがTIGA1の開始ATGであ
ると結論付けた。 1) TIGA1のノザンハイブリダイゼーションにおける転写
サイズは約0.7〜0.8kbであった。既に、TIGA1 cDNAとし
て約0.65kbを単離していたので、未知の5'上流はせいぜ
い100塩基程度と考えられた。 2) 開始ATGと考えられる部位のさらに約200塩基上流に
別のATGが存在していたが、この両ATG間にRNAスプライ
シングのコンセンサス配列と考えられるものは存在して
いなかった。従って、TIGA1の転写サイズを考慮する
と、より5'上流のATGが翻訳開始部位であるという可能
性は極めて低いと考えられた。
【0060】(2)TIGA1 cDNAの塩基配列と相同性を有す
る各ESTクローンとの配列比較 単離されたTIGA1 cDNAの塩基配列を基としたESTデータ
ベース検索の結果、相同性の認められた各ESTクローン
(特に、その由来が腫瘍組織であるもの)との塩基配列の
比較を行った。これにより、TIGA1 cDNA上の突然変異に
関するホットスポットの存在の可能性についての検討し
た。正常組織由来のESTクローン8個と、腫瘍組織由来の
ESTクローン20個との塩基配列との比較を行った結果を
図7に示した。図7には、上側の8個のクローンが正常
組織由来のもの、そこから下方の20個のクローンが腫瘍
組織由来のものを並べてある。また、TIGA1 cDNA 中に
おいて、変異の見られた位置と、塩基配列の置換を配列
マップ上に示した。ORF中に確認された変異のうち、正
常組織由来のものは、244位のもの(T→A)のみであ
り、残りは全て腫瘍組織由来の変異であった。このよう
に、突然変異のホットスポットの存在は認められなかっ
たものの、明らかに腫瘍組織由来のクローンではTIGA1
のORF中に塩基置換が多いという傾向が認められた。こ
のことからもTIGA1が図中のORFに対応するタンパク質を
コードしており、この領域に変異が加わることによって
その機能が失われ、癌化に寄与している可能性が強く示
された。
【0061】<実施例15>TIGA1タンパク質が大腸菌
の増殖に与える影響 A.試験方法 TIGA1を F1プライマーとR3プライマーとでPCR法によっ
て増幅したフラグメントを AscI と NotI とで切断処理
した精製済のフラグメントと、pGEX(Pharmacia)を AscI
と NotI とで切断処理したフラグメントとをライゲー
スによってつなぎ合わせたプラスミドベクターを利用し
て、TIGA1がコードするタンパク質(より正確には、発
現されるものは、GstとTIGA1との融合タンパク質であ
る。)が大腸菌の増殖に与える影響を確認した。大腸菌
(PR745、またはBL21)において、GST-TIGA1およびGST-TI
GA1(mt)(TIGA1において、二つのアミノ酸のみをコード
し、停止コドンを導入させたもの。TIGA1のcDNAを鋳型
として、PCR法によって作製した。)をコードする遺伝子
をもつプラスミドベクターを導入して発現させた場合
と、GSTのみをコードする遺伝子(元のプラスミドベク
ターのみ)を持つプラスミドベクターを導入して発現さ
せたものとの間での大腸菌の増殖率の比較を行った。 B.試験結果 融合タンパク質が大腸菌の増殖率に与える影響を見る
と、図8に示すように、IPTGにより各蛋白の誘導をかけ
る前までは、全ての大腸菌において増殖率にほとんど差
が認められなかったのに対し、誘導後はGST-TIGA1融合
タンパク質を発現させた大腸菌では、明らかに宿主菌の
増殖率の低下が観察された。なお、GST-TIGA1(mt)融合
タンパク質を発現させた大腸菌では、元のベクター(pGE
X8T)を導入して発現させた大腸菌とは、ほとんど増殖状
態に変化がなかった。また、同時にGST-TIGA1融合タン
パク質の発現量についてCBB染色、またはWestern blott
ing法により調べたところ、その発現はWestern blotで
確認できる程度であり、ごく少量であった。上記の実験
から、大腸菌(PR745、またはBL21)においてGST-TIGA1融
合タンパク質の発現がその増殖に抑制的に働く、或いは
Toxicである可能性が強いことが確認された。 <実施例16>GSTとTIGA1との融合蛋白の発現 A.試験方法 上記実施例15において作製したプラスミドベクターを
利用して、TIGA1がコードするタンパク質に対する特異
抗体を検出するために、GSTとTIGA1との融合タンパク質
を発現させた。このプラスミドを持った大腸菌(PR745)
を、アンピシリン(10μg/ml)を含んだLB培地2ml中で37
℃にて一晩培養し、終夜培養液の100μlをアンピシリン
(10μg/ml)を含んだLB培地5mlと混ぜ、OD600値が0.5〜
1.0になるまで約2時間程度、37℃で培養を続けた。OD
600値が0.5〜1.0に到達したら、その培養液を予め20℃
にしておいた水中に約10分間放置し、培養液を20℃とし
た。これに、IPTGを0.5〜1mMとなるよう培地に加えて融
合タンパク質を発現させながら、20℃で一晩培養した。
大腸菌を遠心(5000×g、4℃、10分間)することにより集
菌した。菌体ペレットに約100〜150μlの2×サンプルバ
ッファー(0.5MTris-HCl (pH6.8)2mlと、10% SDS4ml
と、β-メルカプトエタノール1.2mlと、グリセロール2m
lに蒸留水0.8mlを混合し、1% BPB数滴を添加した後、総
容量を10mlに調整したもの。)を加え、加熱処理(boili
ng、5分間)することでSDS-PAGE用のサンプルを調整し
た。IPTGにてGSTリコンビナント蛋白を発現させる前の
菌体についても同様にSDS-PAGE用のサンプルを調整し、
ネガティブコントロールとして使用した。
【0062】B.試験結果 IPTGを添加して培養した大腸菌の菌体をSDS-PAGEにより
解析したところ、図9に示すように、GST-TIGA1融合タ
ンパク質のサイズ(約40kDa)に顕著なバンドが確認さ
れた。なお、前述のように、TIGA1タンパク質は菌の増
殖に対して抑制的に、または Toxic に働くようであ
り、一般的にGST融合タンパク質として発現されるタン
パク量に比較すると、少ない量しか発現が見られなかっ
た。しかしながら、TIGA1に対するポリクローナル抗体
作製のための抗原として、大腸菌によるGST-TIGA1融合
タンパク質の発現は可能であるものと考え、次のステッ
プに進んだ。
【0063】<実施例17>TIGA1がコードするタンパ
ク質に対する特異抗体の作製 A.試験方法 (1)抗原の調整およびウサギへの免疫 前述のようにして発現が確認されたGST-TIGA1融合タン
パク質を発現する大腸菌について、IPTGを添加して培養
した菌体ペレットをSDS - PAGE Sample bufferに溶解さ
せたものを2分間 boil し、遠心して 10% アクリルアミ
ドゲルにapplyした。50 〜 80mA で泳動を行い(約3〜
4時間)、染色(0.05%Brilliant Blue )を行った後、
GST-TIGA1融合タンパク質のバンドを切り出した。この
バンドをカッターで1mm四方に細かく切った。15mlチュ
ーブの底部を切り取り透析チューブをつけ、フィルター
でゲルがでないように押さえ、100Vで泳動しゲルから溶
出した(10〜15時間)。透析チューブに溶出されてき
たタンパクをPBS に透析したところ、図10に示すよう
に、高度に精製されたGST-TIGA1融合タンパク質を回収
することができた。これを免疫源とし、0.1 mg / ml x
2.5 ml ( 0.25mg )でウサギ 1 羽に免疫 (40μg / 回 )
し、TIGA1遺伝子がコードするタンパク質に対する特異
抗体の作製を行った。なお免疫は、ウサギ(日本白色種
またはニュージーランドホワイト、メス、3.5〜4.0kg)
を免疫用木箱に入れ、背中の毛をバリカンまたは鋏で刈
り上げ、アルコール綿で消毒後、皮下を針の先でつまみ
上げるようにして10〜20 μlづつ、10箇所ぐらいに分け
て注射した。
【0064】(2)抗体価の確認 抗体価は、抗原感作プレートを利用して、ELISA法
により確認した。 抗原感作プレートの作製 GST-TIGA1融合タンパク質をPBSまたは、0.1M 炭酸バッ
ファー pH 9.0で5 μg/mlに希釈し、50 μl / wellづつ
96穴マイクロタイタープレートに分注した。溶液が乾か
ないように蓋をして、室温に1〜2時間、または4℃
一晩静置した後、抗原を捨て、ブロッキングバッファー
(PBS/5% BSA/1 % Sucrose/0.1 % NaN3)を200 μl/well
分注し、室温1〜2時間静置した。ブロッキングバッフ
ァーを捨て、扇風機または乾燥機等で1〜2時間風乾
後、4℃に保存した。 ELISA法 抗血清を段階的に10倍づつ希釈した後、抗原感作プレー
トに50 μl/wellづつ分注し、室温で1時間反応させ
た。抗血清溶液を捨て、PBSで4回洗浄した。抗ウサギ
IgG-HRP標識抗体を標識抗体希釈液で1000倍希釈し、50u
l/wellづつ分注した後、室温で1時間反応させた。反応
液を捨て、PBSで4回洗浄した。発色基質(SIGMA:T-854
0)を50 μl/wellづつ入れ、室温10分反応させた後、反
応停止液(1.5N リン酸)を入れ、マイクロプレートリー
ダーでO.D.450を測定した。 (3)血清分離と処理 適当な抗体価を備えた抗血清が得られたところで、免疫
ウサギから血液を採取し、一晩4℃に放置した後に、血
清画分を遠心チューブに移し、3000 回転10分遠心し
た。血清を新しいチューブに移し、防腐剤として最終濃
度 0.1 % のNaN3を添加した。抗血清は、4℃に保存し
た。 (4)抗体の精製 アフィニティーカラムの作製 アフィゲル(BIO RAD)1 ml (wet vol. 0.86g) 相当量
を量り、グラスフィルター上で約200 mlの1 mM HClで洗
った。15ml遠心チューブにゲルを移し、抗原約2mgを
加え、PBSで3mlにメスアップし、ディスクローターに
取り付けた後、4℃で一晩ゆっくり回した。その後、ゲ
ルをカラムに移し、PBSで洗浄後、5 mlの1M Tris-HCl p
H7.5を流し、その後カラムを止めて、室温2時間静置し
て活性基をブロッキングした。ブロッキングバッファー
をPBS/0.1% NaN3に置換し、4℃に保存した。なお、TIGA
1を組み込んでいないGSTのみを含むベクターを導入し、
発現させた大腸菌の菌体成分について、上記と同様の処
理を行い、吸着用カラムとした。 アフィニティーカラムによる抗血清処理 抗血清は、沈殿物を除くために、再度 20000〜25000回
転5分遠心した後、上清をNo.2ろ紙でろ過した。この血
清30 mlをPBS/0.2% Triton X100で2倍希釈後、PBSを落
としたアフィニティーカラムにかけ、す通りの血清を回
収した。PBSでろ液のO.D.がなくなるまで洗浄した後、
溶出バッファー(0.17 M Glycine-HCl pH2.3/10% glycer
ol)で溶出液を1mlづつ分取した。各溶出液のO.D.280を
測定し、抗体の溶出画分を集め、吸収操作を行った。ア
フィニティー精製した抗体を、吸収用カラムにアプライ
し、O.D.値がなくなるまで、す通り画分を集めた。精製
した抗体は、PBS/0.1% NaN3に透析した。また透析後、
O.D.280を測定し、1O.D.=0.7mg/mlとして、抗体濃度を
求めた。 (5)特異性の確認 精製した抗体は、もう一度ELISA及びウェスタンブロッ
ティングで特異性を確認した。ELISAでは、抗血清のチ
ェックのときと同様に、今度は5〜10μg/mlからの希釈
系列を作り、どの程度希釈したところまで発色するかを
目安に抗体価を測定した。また、このときコントロール
として、TIGA1を含まないGSTのみを発現させた大腸菌の
抽出物を感作したプレートでも同時にELISAを行い、反
応性の有無を確認した。
【0065】B.試験結果 ウサギに免疫を行い、得られたウサギ血清の抗体価のチ
ェックを行った。図11には、ウサギ血清とGST-TIGA1
融合タンパク質または、GSTのみとの反応性を示した。
この図から明らかなように、GST-TIGA1融合タンパク質
を免役したウサギには、融合タンパク質に対する抗体が
発現されていることが確認された。但し、TIGA1に融合
させたGSTに対しても特異性を有する抗体成分も発現さ
れていた。次に、これらの血清中のGSTや大腸菌の菌体
成分と反応する抗体と特異抗体を分離するため、アフィ
ニティー精製及びベクターのみを発現させた大腸菌の菌
体成分を固相とした吸収用カラムによる精製を行った。
精製後の抗体の反応特異性を確認した結果を図12に示
した。この図から明らかなように、精製後の抗体は、GS
Tに対する反応性がほとんど消失しており、GST-TIGA1融
合タンパク質に対して優れた特異性と強い力価を備えた
ものであることが判明した。このようにして、GST-TIGA
1融合タンパク質に対し特異的なポリクローナル抗体を
作製することができた。
【0066】<実施例18>TIGA1タンパク質の細胞内
分布状態の観察 A.試験方法 (1)導入用プラスミドベクターの構築 TIGA1を F1プライマーとR3プライマーとでPCR法によっ
て増幅したフラグメントをAscI と NotI とで切断処理
した精製済のフラグメントと、pcDNA3-HA(INVITROGEN社
より購入したpcDNA3(ネオマイシン耐性遺伝子を含有し
ている)のMCSのうち、EcoR I と EcoR V との間に、Ant
i-HA mAB(Babco社より購入)の認識部位であるヘマグル
チニン(HA)のアミノ酸配列(11個)をコードするDNA
を挿入したもの)を AscI と NotI とで切断処理したフ
ラグメントとをライゲースによってつなぎ合わせたプラ
スミドベクターを構築した。このプラスミド(pcDNA3-H
A-TIGA1)を利用して、HAとTIGA1との融合タンパク質を
発現させた。 (2)哺乳類細胞への遺伝子導入 前日に、2×105個/直径60mmシャーレとなるようにCOS-7
細胞をプレーティングしておき、翌日に、滅菌済みの1.
5mlチューブに250μlのOPTI-MEM(Serum free)を入れ、
ここにトランスフェクションしたい精製プラスミドpcDN
A3-HA(TIGA1を導入しないプラスミドベクターのみ)また
はpcDNA3-HA-TIGA1を1〜2μgとLipofectamine Plus Rea
gent(GIBCO BRL)を8μl加え、ピペッティングにより混
合した。室温で15分静置した。この間に、250μlのOPTI
-MEMにLipofectamine(GIBCO BRL)を12μl加え、ピペッ
ティングにより混合しておいた。反応終了後、両者を混
合し、ピペッティングにより十分に混ぜておいた。これ
も室温で15分静置した。この間に各プレーティングセル
(直径;60mm)をPBS(-) 、OPTI-MEM 2mlにて洗浄し、最
後にOPTI-MEM 2mlを加えておいた。各ディッシュにトラ
ンスフェクション混合液を全量(0.5ml)滴下した後、培
養器(37℃、5% CO2)で3時間インキュベートした。普段
の倍量のウシ胎児血清を含んだ適切な培地を2.5ml(最終
的な血清濃度は同じになる)加え、培養器(37℃、5% C
O2)で24時間インキュベートした。24時間後、トランス
フェクションしたCOS-7細胞を8穴チャンバースライドグ
ラスに蒔きなおした。これを更に、24時間培養した。 (3)間接蛍光抗体法 デカンテーションにより、チャンバー内の培地を捨て
た。これに4%パラホルムアルデヒド-PBS(-)溶液を0.5ml
/well加え、室温で10分間放置することにより、細胞を
固定した。デカンテーションにより、固定液を捨て、0.
1% Triton X-100-PBS(-)溶液を0.5ml/well加え、室温で
10分間放置することにより、細胞を浸透化させた。デカ
ンテーションにより浸透化液を捨てた後、2% BSA-PBS
(-)溶液を50μl/well加え、室温にて15分間静置するこ
とでブロッキングを行った。ブロッキング液を捨てた
後、一次抗体Anti-HA mAb(Babco,clone 16B12) 1μg/μ
l (100倍希釈)を50μl/well加え、湿潤箱中で室温1時
間、静置した。PBS(-)にて5分間×3回洗浄を行った後、
二次抗体Texas-Red標識Anti-mouse pAb(25倍希釈)を50
μl/well加え、湿潤箱中で暗所にて室温で1時間、反応
させた。PBS(-)にて5分間×1回洗浄を行った後、核を染
めるためにHoechst 33258 (1mg/ml)を500倍希釈(最終濃
度2μg/ml)したものを50μl/well加え、湿潤箱中で暗所
にて室温で5分間、反応させた。PBS(-)にて5分間×3回
洗浄を行った後、封入した。このスライドグラスの観察
は、共焦点レーザー顕微鏡(model 510,Carl Zeiss)にて
行った。
【0067】B.試験結果 TIGA1がコードする蛋白質のアミノ酸配列中に唯一認め
られたモチーフはN末端の25-45番目に位置する膜貫通ド
メインのみであった。TIGA1は蛋白としてのサイズが非
常に小さく、リガンドとして機能していることも予測さ
れたが、膜貫通ドメインを有していたことから膜蛋白と
して機能している可能性が示唆された。過去の実験デー
タから増殖停止期にある細胞から膜成分を抽出し、それ
を増殖中の細胞にかけてやるとその増殖が抑制されるこ
とが証明されているが、TIGA1はまさにその様なものの
一つであると考えられた。また、哺乳動物細胞中のTIGA
1の局在について調べたところ、その結果は図13に示
すようであった。Hoechst 33258で処理した細胞では、D
NAが存在する部位に蛍光が観察された。また、プラスミ
ドを導入した細胞において、一次抗体Anti-HA mAbと二
次抗体Texas-Red標識Anti-mouse pAbとで蛍光を観察し
たところ、TIGA1を導入しないプラスミドベクターのみ
では、ほとんど蛍光が観察されなかった。一方、TIGA1
を導入したプラスミドでは、蛍光が細胞内小器官に局在
して観察されたことから、TIGA1がコードするタンパク
質が膜蛋白である可能性が支持された。以上から、TIGA
1は一種のレセプターとして機能している可能性が示唆
された。
【0068】<実施例19>各肺癌細胞株におけるTIGA
1の発現状態について TIGA1は肺癌、特に小細胞癌の臨床サンプルの約80%と非
常に高頻度でLOHが認められる領域5q21-22に位置してい
る。そこで、実際の各肺癌細胞株におけるTIGA1の発現
について、ノザンハイブリダイゼーション法またはRT-P
CR法によって調べたところ以下のような結果となった。
各種の肺癌細胞株(EBC-1,Lu-65,Lu-130,Lu-134-A,Lu-13
5,Lu-139,Lu-140)について、ノザンハイブリダイゼーシ
ョン法によりTIGA1の発現について調べたところ、図1
4に示すように、全体的にシグナルが弱く、EBC-1、Lu-
140等ではほとんど発現が認められなかった。しかし、T
IGA1 cDNA上のセンスプライマーF2とアンチセンスプラ
イマーR1との組み合わせでRT-PCRを行った結果、図15
に示すように、全ての肺癌細胞株でTIGA1の発現が認め
られた。また同時に、センスプライマーF1とアンチセン
スプライマーR1の組み合わせでRT-PCRを行ったところ、
全ての肺癌細胞株で目的のサイズにバンドの増幅は認め
られなかった(データは示していない)。但し、TIGA1 cD
NA全長を単離するために行ったコロニーハイブリダイゼ
ーション法や各種cDNAライブラリーを鋳型としたPCR法
で全長が単離できなかったことから考慮して、TIGA1 cD
NAのセンスプライマーF2より5'上流における高次構造形
成の可能性が示唆され、この高次構造により逆転写反応
が5'上流まで完全に進まないため、センスプライマーF1
ではPCR反応がかからないという可能性があると考えら
れた。従って、次に各肺癌細胞株におけるTIGA1 ORF全
長領域をPCRでスクリーニングするために、各肺癌細胞
株から抽出したゲノムDNAを鋳型としたnested-PCR法を
行った。この結果、図16に示すように、Lu-135、Lu-1
39およびLu-140において、センスプライマーF1とアンチ
センスプライマーR3の組み合わせでは、目的のサイズに
バンドの増幅が認められなかった。つまり、TIGA1 cDNA
のセンスプライマーF2より5'上流の開始ATGを含む領域
での欠失の可能性が示唆された。このことから、これら
の肺癌細胞株では正常なTIGA1 タンパクを発現していな
い可能性が考えられた。
【0069】<実施例20>TIGA1タンパク質のガン細
胞に対する効果(ガン細胞を用いたコロニー形成阻止試
験) A.試験方法 (1)癌細胞への遺伝子導入 前日に、3×105個/直径60mmシャーレとなるように肺癌
細胞株EBC-1をプレーティングしておいた。翌日に、滅
菌済みの1.5mlチューブに250μlのOPTI-MEM(Serum fre
e)を入れ、ここにトランスフェクションしたい精製プラ
スミドpcDNA3-HA(ベクタープラスミドのみ。コントロー
ルとして細胞に導入する。)またはpcDNA3-HA-TIGA1を1
〜2μgとLipofectamine Plus Reagent(GIBCO BRL)を8μ
l加え、ピペッティングにより混合し、室温で15分静置
した。この間に、250μlのOPTI-MEMにLipofectamine(GI
BCO BRL)を12μl加え、ピペッティングにより混合して
おいた。反応終了後、両者を混合し、ピペッティングに
より十分に混ぜておいた。これも室温で15分静置した。
この間に各プレーティングセル(直径;60mm)をPBS(-)、
OPTI-MEM 2mlにて洗浄し、最後にOPTI-MEM 2mlを加えて
おいた。各ディッシュにトランスフェクション混合液を
全量(0.5ml)滴下した後、培養器(37℃、5% CO2)で3時間
インキュベートした。普段の倍量のウシ胎児血清を含ん
だ適切な培地を2.5ml(最終的な血清濃度は同じになる)
加え、培養器(37℃、5% CO2)で24時間インキュベートし
た。24時間後、直径100mmシャーレにプレーティングし
なおした。更に24時間培養した後、G418(800μg/ml)を
含む選択培地に交換した。3〜4日ごとにG418入りの選択
培地を交換し、約3週間培養を継続して行った。 (2)ギムザ染色 培地を除去後、約10mlのPBS(-)にて洗浄を一回行った。
100%メタノールを約4〜5ml加え、細胞固定を行った。室
温で約1分間放置した後、メタノールを完全に除去し
た。10%ギムザ-PBS(-)溶液をシャーレに十分量加えた。
室温に約30分間静置した。デカンテーションによりギム
ザ液を除いた後、水道水で軽くすすいだ。室温に一晩放
置し、シャーレを乾燥させた。翌日、コロニーの観察を
行った。
【0070】B.試験結果 図17に示すように、コントロール(VectorのpcDNA3-H
Aを導入した細胞株)では、EBC-1細胞がシャーレ当た
り、二百〜三百個程度のコロニーを形成した。一方、pc
DNA3-HA-TIGA1を導入したEBC-1細胞では、シャーレ当た
り、二十〜三十個程度のコロニーしか観察されず、コン
トロールに比べると約10分の1以下の個数であった。ま
た、個々のコロニーについて見ると、コントロールのコ
ロニーの大きさに比べると、明らかにTIGA1遺伝子を導
入したEBC-1のコロニーの大きさが小さかった。以上の
ことから、TIGA1遺伝子が肺癌細胞株EBC-1のコロニー形
成を抑制したことが判明し、肺癌細胞株EBC-1におけるT
IGA1の増殖抑制能が認めれらた。本発明の技術的範囲
は、上記した実施形態によって限定されるものではな
い。また、本発明の技術的範囲は、均等の範囲にまで及
ぶものである。
【0071】
【発明の効果】本発明によれば、新規な細胞増殖抑制遺
伝子、その遺伝子がコードするタンパク質、その遺伝子
を含む組換えベクター、その組換えベクターを保持する
形質転換細胞、その遺伝子がコードするタンパク質を抗
原とする抗体、その遺伝子のDNA配列の一部を含むDNAを
プライマー・プローブ・またはマーカとして使用し、被
検査用DNAとハイブリダイズさせることを特徴とする遺
伝子検査方法が提供される。
【0072】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> MEDICAL&BIOLOGICAL LABORATORIES CO.,LTD <120> New cell-growth inhibitory gene <130> TIGA-1 <140> <141> <160> 8 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 761 <212> DNA <213> Homo sapiens <220> <221> CDS <222> (1)..(363) <400> 1 atg gta cag ccc gct ccc ccc tcg cgc tct cgg aca gtg ggt cct tcc 48 Met Val Gln Pro Ala Pro Pro Ser Arg Ser Arg Thr Val Gly Pro Ser 1 5 10 15 act tgt aga aaa gca ttg tgg gac gga agc ctg tcc ttt ctt cct ttt 96 Thr Cys Arg Lys Ala Leu Trp Asp Gly Ser Leu Ser Phe Leu Pro Phe 20 25 30 ggt gcg agc ttg ctg tgg ttt ttg ctc tgg gtc ctc tgg gat ggc gcc 144 Gly Ala Ser Leu Leu Trp Phe Leu Leu Trp Val Leu Trp Asp Gly Ala 35 40 45 tgg ctg tgg ccg cgt ggt ctc tca cgc agg ggc gcc ggg cgg ggg aac 192 Trp Leu Trp Pro Arg Gly Leu Ser Arg Arg Gly Ala Gly Arg Gly Asn 50 55 60 gcg gcc acc ctg agt ctg gtg agt cga ctg cgg cgg cct gtg tcc gaa 240 Ala Ala Thr Leu Ser Leu Val Ser Arg Leu Arg Arg Pro Val Ser Glu 65 70 75 80 gtg tcc ggg gcc gtg aac aag ggc agc ggc ctg gcc tca ggc ctg cgt 288 Val Ser Gly Ala Val Asn Lys Gly Ser Gly Leu Ala Ser Gly Leu Arg 85 90 95 tcc cac gtt tgg aaa cgg gga gct tcg tcg att tgt gtt tac atc atc 336 Ser His Val Trp Lys Arg Gly Ala Ser Ser Ile Cys Val Tyr Ile Ile 100 105 110 gac tat gcc agg gag ttc tcc aga taa gcctggtttt attttcgtca 383 Asp Tyr Ala Arg Glu Phe Ser Arg 115 120 gtgaaaaggc cttaccgtat aactgacttt atgcttgccc tgcccccgta taaaataact 443 taaaagcagc gtgcctggtt acagctgttt ccacgtgcgg tgctcgtcgg gagtgatcac 503 ctaccctaca ggtggaagat ggatgcctga agtgtagact gctgctagct gaataccatc 563 tgggagcata aaggtgacct gaaggatgtc cttggtgagg attttgaaaa tttgatcttc 623 acaagagttg cctggatcat ttgaaatttc tgggagtctg aggagtactg acataattac 683 ctgctggagt ctgtaaatac acatttaaga cagtgaggat gtgaataaat atattaatgc 743 aaaaaaaaaa aaaaaaaa 761 <210> 2 <211> 120 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 2 Met Val Gln Pro Ala Pro Pro Ser Arg Ser Arg Thr Val Gly Pro Ser 1 5 10 15 Thr Cys Arg Lys Ala Leu Trp Asp Gly Ser Leu Ser Phe Leu Pro Phe 20 25 30 Gly Ala Ser Leu Leu Trp Phe Leu Leu Trp Val Leu Trp Asp Gly Ala 35 40 45 Trp Leu Trp Pro Arg Gly Leu Ser Arg Arg Gly Ala Gly Arg Gly Asn 50 55 60 Ala Ala Thr Leu Ser Leu Val Ser Arg Leu Arg Arg Pro Val Ser Glu 65 70 75 80 Val Ser Gly Ala Val Asn Lys Gly Ser Gly Leu Ala Ser Gly Leu Arg 85 90 95 Ser His Val Trp Lys Arg Gly Ala Ser Ser Ile Cys Val Tyr Ile Ile 100 105 110 Asp Tyr Ala Arg Glu Phe Ser Arg 115 120 <210> 3 <211> 31 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:SenceF1 <400> 3 agaattcggc gcgccgatgg tacagcccgc t 31 <210> 4 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:SenceF2 <400> 4 tttttgctct gggtcctctg gg 22 <210> 5 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:AntisenceR1 <400> 5 tgtatttaca gactccagca gg 22 <210> 6 <211> 38 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:AntisenceR2 <400> 6 atactcgagg cggccgcact cctcagactc ccagaaat 38 <210> 7 <211> 35 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:AntisenceR3 <400> 7 atactcgagg cggccgctca gttatacggt aaggc 35 <210> 8 <211> 1780 <212> DNA <213> Homo sapiens <220> <221> intron <222> (769)..(1176) <220> <221> intron <222> (1250)..(1624) <400> 8 tgtcgggtcc caaaatacgt ggtctaaagt cctttgggct cctgccgctg ccagcactga 60 tcatatgctc ttgaccctgg tcgggtgggg ggatgtctgg atacctcctc tgtggaaaga 120 actggccaca catccgcaga ggtgactcgg gctgagaacc caggctcctc ctccctttgg 180 tgacacgccc ctcggtccct cactggcact tctccctccg gccacacggc ggcgtctcgc 240 catagcgcag acncgatggt acagcccgct cccccctcgc gctctcggac agtgggtcct 300 tccacttgta gaaaagcatt gtgggacgga agcctgtcct ttcttccttt tggtgcgagc 360 ttgctgtggt ttttgctctg ggtcctctgg gatggcgcct ggctgtggcc gcgtggtctc 420 tcacgcaagg gcgccgggcg ggggaacgcg gccaccctga gtctggtgag tcgactgcgg 480 cggcctgtgt ccgaagtgtc cggggccgtg aacaagggca gcggcctggc ctcaggctgc 540 gttcccacgt ttggaaacgg ggagcttcgt cgatttgtgt ttacatcatc gactatgcca 600 gggagttctc cagataagcc tggttttatt ttcgtcagtg aaaaggcctt accgtataac 660 tgactttatg cttgccctgc ccccgtataa aataacttaa aagcagcgtg cctggttaca 720 gctgtttcca cgtgcggtgc tcgtcgggag tgatcaccta ccctacaggt gagttttcac 780 gttcgtgcaa gaccagtcgc catttaaaac gcatcgcatt tcacttttca ttattaagtc 840 ggattttaaa tcgtgagaaa atttctctga aatgtattgt ccgtttttag gctgtaatcg 900 gcattactgt cagccagtca gcaaccttat gccataaagc ctacctcacg cagtgtcagc 960 ctttgtgttg cccattcact ttggaaacta gtgaatgtgg tgtcaaaaaa ggcgtaaatt 1020 aaacgctttg cagccttttc ctgcccttaa atttgatacc tttggtgtag gagctgcata 1080 agtaacagtt gctgctttta cgtttccacg cgtgatcttg agccctgcta gccttaagtg 1140 tatggtttct cttagccagt tctaattwtt gttcaggtgg aagatggatg cctgaagtgt 1200 agactgctgc tagctgaata ccatctggga gcataaaggt gacctgaagg tagggtgata 1260 tgtcttaaag cactttgtaa tgggaatttt tatcaccttt taaattgggg ttccttctct 1320 agtgagtttt aatgtcagtg gtacattcgt agtgttgctc tgtctgtagc tattaaggtg 1380 agttaataaa tgggatagcc tccacagctt atttttggga aggttttgct gatacttcct 1440 gagaagccca gggaaataaa tacgcatagt actggcattc tgcatctctt taagatttgt 1500 ttttatgtgt agtaattgag ttttttaaaa gcttgtgaaa tcgcaggcat attaccaagt 1560 tcttgattaa matgtaatac aaaaatattt gcygtcgaat tgagtacttt attttttctc 1620 ttaggatgtc cttggtgagg attttgaaaa tttgatcttc acaagagttg cctggatcat 1680 ttgaaatttc tgggagtctg aggagtactg acataattac ctgctggagt ctgtaaatac 1740 acatttaaga cagtgaggat gtgaataaat atattaatgc 1780
【図面の簡単な説明】
【図1】 Log期、G0期または老化期におけるcDNAライ
ブラリーのインサートDNAサイズを示すグラフ
【図2】 サブトラクションライブラリー作製のスキー
ムを示す図
【図3】 TIGA1遺伝子の発現が日時の経過によって変
化する様子をタイムコースを追ってノザンハイブリダイ
ゼーションによって観察した写真
【図4】 各組織におけるTIGA1の発現を確認するため
のノザンハイブリダイゼーションの結果を示す写真
【図5】 胎盤由来cDNAライブラリーをTIGA1の塩基配
列に基づく各種プライマーセットを使用して nested-PC
R によりバンドの有無を確認したときの電気泳動パター
ンを示す写真 (A)1stPCR後の産物を示す写真 (B)2nd(nested)PCR後の産物を示す写真
【図6】 ゲノムTIGA1遺伝子の構造を示す図
【図7】 各種ESTクローンとTIGA1 cDNA との塩基配列
を比較した図
【図8】 GST-TIGA1融合タンパク質の発現が大腸菌の
増殖状態に与える影響を確認したグラフ
【図9】 大腸菌によって GST-TIGA1 融合タンパク質
を発現させたときの様子を示すSDS-PAGEパターンの写真
【図10】 GST-TIGA1融合タンパク質を精製したとき
のSDS-PAGEパターンの写真
【図11】 ウサギ血清の特性と抗体価とを評価したグ
ラフ
【図12】 ウサギ血清から精製した抗TIGA1タンパク
質ポリクローナル抗体の特性と抗体価とを評価したグラ
【図13】 蛍光抗体法を用いてTIGA1がコードするタ
ンパク質の細胞内局在を確認するための写真
【図14】 各種の肺癌細胞株におけるTIGA1の発現を
確認するためのノザンハイブリダイゼーションの結果を
示す写真
【図15】 各種の肺癌細胞株におけるTIGA1の発現を
確認するための RT-PCR (A)TIGA1遺伝子におけるプライマーの位置を示す図 (B)PCR後の産物を示す写真
【図16】 各種の肺癌細胞株におけるゲノムTIGA1を
確認するための nested-PCR (A)TIGA1遺伝子におけるプライマーの位置を示す図 (B)PCR後の産物を示す写真
【図17】 TIGA1がコードするタンパク質が肺癌細胞
株EBC-1のコロニー形成に与える影響を確認したときの
シャーレの写真 Vector:TIGA1遺伝子を含まないベクタープラスミドの
みを導入したもの hTIGA1:TIGA1遺伝子を含むベクタープラスミドを導入
したもの
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/21 C12Q 1/68 A 5/10 C12P 21/02 C C12Q 1/68 C12N 15/00 ZNAA // C12P 21/02 5/00 A (72)発明者 玉井 克之 長野県伊那市大字手良沢岡字大原1063− 103 株式会社医学生物学研究所内 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA12 BA80 CA04 CA07 CA09 CA12 CA20 DA02 DA06 EA04 FA10 GA13 HA01 HA12 HA17 4B063 QA01 QA13 QA19 QQ08 QQ42 QQ52 QR32 QR56 QR62 QS25 QS34 4B064 AG01 AG31 CA02 CA10 CA19 CC24 DA01 DA14 4B065 AA26X AA90X AA93Y AB01 AC14 BA02 BA05 CA24 CA44 CA46 4H045 AA10 AA11 BA10 BA41 CA40 DA75 EA28 FA72 FA73 FA74 HA05

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号2に記載のアミノ酸配列または
    該アミノ酸配列において少なくとも一個のアミノ酸が欠
    失、置換若しくは付加された配列を含み、細胞増殖抑制
    活性を有するタンパク質。
  2. 【請求項2】 配列番号1に記載のDNAとハイブリダイ
    ズするDNAがコードするタンパク質であって、細胞増殖
    抑制活性を有するタンパク質。
  3. 【請求項3】 請求項1または2のいずれかに記載のタ
    ンパク質をコードするDNA。
  4. 【請求項4】 配列番号1に記載のDNAとハイブリダイ
    ズするDNAであって、細胞増殖抑制活性を有するタンパ
    ク質をコードするDNA。
  5. 【請求項5】 請求項3または4のいずれかに記載のDN
    Aを含む組換えベクター。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の組換えベクターを保持
    する形質転換細胞。
  7. 【請求項7】 請求項1または2のいずれかに記載のタ
    ンパク質を抗原とする抗体。
  8. 【請求項8】 配列番号8、請求項3または請求項4の
    いずれかに記載のDNA配列の一部を含むDNAをプライマ
    ー、プローブまたはマーカとして使用し、被検査用DNA
    とハイブリダイズさせることを特徴とする遺伝子検査方
    法。
JP2000108525A 2000-04-10 2000-04-10 細胞増殖抑制遺伝子 Expired - Fee Related JP4567140B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000108525A JP4567140B2 (ja) 2000-04-10 2000-04-10 細胞増殖抑制遺伝子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000108525A JP4567140B2 (ja) 2000-04-10 2000-04-10 細胞増殖抑制遺伝子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001292773A true JP2001292773A (ja) 2001-10-23
JP4567140B2 JP4567140B2 (ja) 2010-10-20

Family

ID=18621346

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000108525A Expired - Fee Related JP4567140B2 (ja) 2000-04-10 2000-04-10 細胞増殖抑制遺伝子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4567140B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002186484A (ja) * 2000-12-20 2002-07-02 Univ Osaka 細胞増殖抑制遺伝子

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1995014772A1 (fr) * 1993-11-12 1995-06-01 Kenichi Matsubara Signature genique
JP2002186484A (ja) * 2000-12-20 2002-07-02 Univ Osaka 細胞増殖抑制遺伝子
JP2003061666A (ja) * 2001-08-23 2003-03-04 Japan Science & Technology Corp 多段階差次的クローニング技術と細胞増殖制御遺伝子

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1995014772A1 (fr) * 1993-11-12 1995-06-01 Kenichi Matsubara Signature genique
JP2002186484A (ja) * 2000-12-20 2002-07-02 Univ Osaka 細胞増殖抑制遺伝子
JP2003061666A (ja) * 2001-08-23 2003-03-04 Japan Science & Technology Corp 多段階差次的クローニング技術と細胞増殖制御遺伝子

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002186484A (ja) * 2000-12-20 2002-07-02 Univ Osaka 細胞増殖抑制遺伝子

Also Published As

Publication number Publication date
JP4567140B2 (ja) 2010-10-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6032616B2 (ja) Kif5b遺伝子とret遺伝子との融合遺伝子、並びに該融合遺伝子を標的としたがん治療の有効性を判定する方法
US5773579A (en) Lung cancer marker
US7838216B1 (en) Human gene related to but distinct from EGF receptor gene
JP3501802B2 (ja) ヒト結腸直腸癌において突然変異を起こしている遺伝子
JP5922159B2 (ja) 腫瘍診断と治療のための表面関連抗原の同定
JP5861244B2 (ja) 新規ros1融合体の検出法
US5759776A (en) Targets for breast cancer diagnosis and treatment
MacCallum et al. The biochemical characterization of the DNA binding activity of pKi67
US8163883B2 (en) Gene encoding labyrinthin, a marker for cancer
WO2013141266A1 (ja) 新規ret融合体の検出法
JPH11504803A (ja) ヒト転移サプレッサー遺伝子kai1に由来する試薬を使用する診断方法及び遺伝子療法
JP2000509256A (ja) ガン細胞において増幅される遺伝子
JPH09203734A (ja) 抗血清、抗体、リガンド及びそれらの検出方法
JP2001292773A (ja) 細胞増殖抑制遺伝子
JP2002186484A (ja) 細胞増殖抑制遺伝子
US5693778A (en) Arg a human gene related to but distinct from abl proto-oncogene
JPWO2006077873A1 (ja) サルの新規薬物代謝酵素、およびそれをコードする核酸
JP3898009B2 (ja) 多段階差次的クローニング技術と細胞増殖制御遺伝子
JP3855042B2 (ja) 毛髪の鑑別法
CA2491420A1 (en) Rb1 gene induced protein (rb1cc1) and gene
Máximo et al. Core I gene is overexpressed in Hürthle and non-Hürthle cell microfollicular adenomas and follicular carcinomas of the thyroid
WO2001016158A2 (en) Bridging integrator-2 (bin2) nucleic acid molecules and proteins and uses therefor
Burke et al. Neuropeptide FMRFamide Gene Expression
US6790936B1 (en) CAI resistance proteins and uses thereof
Wang CD9 expression and its putative role in prostate cancer progression

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070301

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100119

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100323

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20100406

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20100406

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100427

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100615

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100803

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100805

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130813

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees