JP2001284099A - 放電装置およびこれを用いた物体の放電処理方法ならびに絶縁性連続体の製造方法 - Google Patents

放電装置およびこれを用いた物体の放電処理方法ならびに絶縁性連続体の製造方法

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JP2001284099A
JP2001284099A JP2000090636A JP2000090636A JP2001284099A JP 2001284099 A JP2001284099 A JP 2001284099A JP 2000090636 A JP2000090636 A JP 2000090636A JP 2000090636 A JP2000090636 A JP 2000090636A JP 2001284099 A JP2001284099 A JP 2001284099A
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insulating
continuum
gap
electrodes
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Kazuhiro Fukushima
和宏 福島
San Kanehara
粲 金原
Hidehito Nanto
秀仁 南戸
Eiji Kusano
英二 草野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】大気圧近傍でHe等の特殊かつ高価な気体を用い
ることなく、均一かつ活性な放電を生成する放電装置お
よび放電方法を実現し、耐熱性の低い絶縁性のプラスチ
ック等にも均一な表面処理を施せる連続体の製造方法を
提供すること。 【解決手段】間隙を挟んで対向する一対の電極と、前記
電極間に交流電圧を印加するよう接続された電源とを備
え、前記一対の電極うちの少なくとも一方の電極の間隙
側が誘電体で被覆され、かつ前記誘電体単位面積当たり
の静電容量δ(F/m2)と前記交流電圧の周波数f(Hz)との
比δ/fが1400(pF/m2・kHz)以下とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放電装置およびこ
れを用いた放電方法ならびにこの放電方法を用いた放電
処理を施す絶縁性連続体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチック等の耐熱性が低い材質の表
面を均一に処理する方法として、放電プラズマが用いら
れている。大気圧近傍の放電プラズマ生成方法としてコ
ロナ放電が知られているが、これは放電が局所的に集中
(放電していない領域が多く存在)した微小放電の集ま
りであり、均一性や活性度の点で問題がある。一方、大
気圧近傍で気体を均一かつ活性な状態にする方法とし
て、対向する電極の少なくとも一方を誘電体で被覆した
電極を用いかつ放電気体としてHeを用いさらに1kHz以
上の周波数の電圧を印加する方法が知られている(特開
昭63-138630号公報)。しかし、Heは大変高価でかつ漏
洩し易いため大気圧開放系での連続表面処理プロセス等
への適用は工業的に極めて困難であるという問題があっ
た。
【0003】これに対し、処理ガスの種類によらず大気
圧近傍で均一な放電プラズマを発生させ、基材表面を処
理する方法として、例えば特開平11-241165号公報に記
載の「少なくとも一方の対向面に固体誘電体が設置され
た対向電極間に処理用ガスを導入して、大気圧近傍の圧
力となし、対向電極間に電圧立ち上がり時間が100μs以
下、電界強度が1〜100kV/cmのパルス化された電界を印
加する」という方法や、特開平10-36537号公報に記載の
「対向する一対の少なくとも一方の対向面に、比誘電率
が10以上(25℃環境下)の固体誘電体を設置し、一方の
電極と該固体誘電体又は固体誘電体同士の間に基材を配
置し、大気圧近傍の圧力下で、当該一対の電極間にパル
ス化された電界を印加する」という方法ならびに「対向
する一対の電極の少なくとも一方の対向面に固体誘電体
を設置し、大気圧近傍の圧力下で、当該一対の電極間に
パルス化された電界を印加することにより発生させた放
電プラズマによって基材表面を処理する放電プラズマ処
理方法であって、上記固体誘電体が、酸化チタニウム50
〜95重量%からなり、被膜厚みが10〜1,000μmである金
属酸化被膜であることを特徴とする」という方法などが
知られている。
【0004】しかし、上記発明を用いても必ずしも十分
に均一な放電プラズマが得られるとは限らなかった。特
に大気圧近傍の空気を処理ガスとして用い、電極を被覆
する誘電体の比誘電率を高く、その厚みを薄くし、放電
周波数を高くした場合には、局所的なストリーマ放電が
発生し易かった。このような放電を用いて電極間隙でプ
ラスチックフィルムの様な耐熱性の低い絶縁性のフィル
ム等を処理すると、局所的なストリーマ放電に起因し
て、被処理物体表面に処理むら、局所的な強い帯電、場
合によってはピンホールが発生する問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する第一の課題は、対向する電極の少なくとも一方を誘
電体で被覆し、この間に交流電圧を印加してプラズマを
発生させるバリア放電をHe等の特殊で高価な気体を用い
ずに大気圧中で均一に発生できる放電装置および放電方
法を提供することである。
【0006】また、本発明が解決すべき第二の課題は、
大気圧近傍でHe等の特殊かつ高価な気体を用いることな
く、均一かつ活性な放電を生成する放電装置および放電
方法を実現し、耐熱性の低い絶縁性のプラスチック等に
も均一な表面処理を施せる連続体の製造方法を提供する
ことである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らの知見によれ
ば、バリア放電は、誘電体バリア層に充放電される電荷
により電極間の気体を放電させるものである。電極間の
印加電圧が一定ならば、電極間に供給される電荷は(1)
式により表せるバリア層のインピーダンスZにより制限
される。
【0008】Z=1/2πfC ……………(1) ここで、fは印加電圧の周波数、Cはバリア層の静電容
量である。バリア層が対向する両方の電極にある場合、
Cは各バリア層の静電容量の直列接続した値となる。
(1)式からは、fとCの積さえ一定となる条件を満たせ
ば、その条件下でfとCの比を変えてもバリア層のイン
ピーダンスZは一定であることが導かれる。ただし、こ
れは電極間の放電が空間的に均一なグロー放電で満たさ
れる場合に限られる。一般に大気圧空気のバリア放電で
は、均一なグローと不均一なストリーマを伴うコロナが
混在する。C/fが小さい時はバリア層の小さな静電容
量に制限された少ない電荷が、単位時間当たりに多くの
移動を繰り返し、C/fが大きい時は一度に多くの電荷
が時間間隔を置いて移動することになる。つまり、fと
Cはバリア放電における役割が異なり、バリア層のイン
ピーダンスZが一定でもC/fにより放電状態(空間的
均一性)が異なることが推察される。
【0009】そこで、この推察に基づき鋭意研究を行っ
た結果、放電の均一性はバリア層の単位面積当たりの静
電容量と電源周波数との比δ/fに依存するという重要
な知見を得た。
【0010】その結果、本発明者らは、以下のごとき本
発明をなすに至ったのである。
【0011】上記目的を達成するため、本発明は以下の
構成からなる。すなわち、 [1]間隙を挟んで対向する一対の電極と、前記電極間
に交流電圧を印加するよう接続された電源とを備え、前
記一対の電極うちの少なくとも一方の電極の間隙側が誘
電体で被覆され、かつ前記誘電体単位面積当たりの静電
容量δ(F/m2)と前記交流電圧の周波数f(Hz)との比δ/
fが1400(pF/m2・kHz)以下であることを特徴とする放電
装置である。
【0012】ここで、誘電体として用いる材料として
は、酸化アルミや酸化珪素などを主成分とするセラミッ
クスやシリコーンゴムなど機械的強度、耐熱性、耐オゾ
ン性に優れた物が好ましい。また、一対の電極それぞれ
に誘電体が被覆されている場合は、前記誘電体の単位面
積当たりの静電容量δ(F/m2)は各誘電体被覆の単位面積
当たりの静電容量を直列接続して得られる値となる。
【0013】また、電極として回転可能なローラーを用
いると、連続体を保持しながら電極間隙で比較的処理を
容易に行えるのでよい。このとき、ローラーの直径を50
0(mm)以上にするとローラー表面の曲率を小さくで
き、放電間隙を均一にし易いのでよい。また、ローラー
の機械的強度を確保できるのでよい。さらに好ましくは
ローラーの直径を1000〜2000(mm)の範囲を選ぶとよ
い。直径が2000(mm)以上になると装置が大型化し、重
量による負荷が増え回転軸や駆動部分への負荷が増大
し、保守や制御が困難となるので好ましくない。
【0014】δは電極を被覆した誘電体表面の単位面積
当たりに蓄えらられる電荷量を決める値である。従っ
て、δ/fの値が大きいほど一放電サイクル当たりに放
電空間内に供給される電荷量が多くなることを意味す
る。実際には、この値が大きすぎると局所的に強い放電
(ストリーマ)を引き起こし、放電が不均一になり易
い。δ/fの値を500(pF/m2・kHz)以下にするとさらに均
一な放電プラズマを実現し易いのでより好ましい。
【0015】また、電極間隙に酸素原子やフッ素原子を
持つ電子親和性の分子がないまたは無視できるほど少な
い場合には、窒素やアルゴンなど電子親和力の小さい分
子は放電によりイオンや励起子となり放電間隙に残留す
るようになる。電極間隙におけるイオンや励起子が拡散
しながら増加すると間隙内の気体は均一に放電し易くな
り、δ/fの値を180(pF/m2・kHz)以下に小さく(放電空
間内に供給される電荷量当たりの放電周期を短く)する
と放電が集中し難く、均一なプラズマを実現し易いので
より好ましい。
【0016】なお、電極間隙に印加する交流電圧の波形
は正弦波、三角波、矩形波、パルスまたは高調波を含ん
だ歪みのある波形のいずれでも良いが、正弦波の方が大
容量の電源を選び易くまた電磁波ノイズ対策も容易にな
るので好ましい。
【0017】[2]前記δ/fが180(pF/m2・kHz)以上で
あることを特徴とする、前記[1]に記載の放電装置で
ある。
【0018】δ/fの値を1400(pF/m2・kHz)以下の範囲
で180(pF/m2・kHz)以上にすると、酸素原子やフッ素原子
を持つ電子親和性の分子を含む気体を放電させる場合に
均一な放電プラズマを実現し易いのでよい。電極間隙に
電子親和性の原子または分子が存在すると、放電により
生成したプラズマ中の電子を捕捉したり、捕捉した電子
でイオンを中和したり、励起子からポテンシャルエネル
ギーを奪い取る。従って、電子親和性の分子は放電によ
り局所的に発生した電子、イオン、励起子などが電極間
隙内に拡散するのを阻止する。その結果、放電路には電
子、イオン、励起子などが局所的に残留し、他の空間と
比較して局所的に放電し易いチャネルが形成される。そ
して、局所的に放電し易いチャネルが残留している間に
次ぎの放電を繰り返すと、放電が局所的に集中すること
になる。従って、電極間隙に電子親和性の分子が存在す
る条件でδ/fの値を極端に小さく(放電空間内に供給
される電荷量に対して放電周期を短くする)すると、均
一なプラズマを実現しにくくなってしまう。そこで、δ
/fの値は180(pF/m2・kHz)以上とするのがよい。)ま
た、δ/fの値を1400(pF/m2・kHz)以下の範囲で300(pF/
m2・kHz)以上とすると電子親和性の分子を含む気体をさ
らに均一に放電させ易くなるのでより好ましい。
【0019】[3]前記電極間隙の少なくとも一部に2.
5(m/s)以上の流速の気流を通過させる気流供給手段を
備えたことを特徴とする、前記[1]または[2]に記
載の放電装置である。
【0020】ここで、気流供給手段とは、送風機、コン
プレッサー、加圧ボンベ等の送風源に圧量調整弁、開閉
バルブ、流量計測器、流量制御器などを配管より連結し
たもののことをいう。気流供給手段と放電電極とは連結
されていても良いし、接触していてもよいし、離して配
置されていても良い。ただし、いずれの場合においても
電極と気流供給手段とは電気的に絶縁されている方が異
常放電が生じ難くなるのでよい。また、電極と気流供給
手段とを離して配置する場合には、気流供給手段の先端
に整流ノズルを付加すると、安定に気流を電極間隙に供
給できるのでよい。
【0021】また、気流は電極端から供給しても良い
し、電極に穴を開けるなどして任意の場所から供給して
もよい。ただし、気流供給手段により供給された気体が
できるだけ長く電極間隙内に滞在する方が、気体が活性
化され易いのでよい。
【0022】気流の流速はできるだけ速い方が、単位時
間当たりに多くの気体分子を活性化させることができる
のでよい。好ましくは6(m/s)以上がよい。
【0023】[4]間隙を挟んで対向する一対の電極間
に交流電圧を印加して前記間隙において放電し、該放電
により発生した発生した気体中の粒子の作用により物体
の処理を行なう物体の放電処理方法であって、前記一対
の電極うちの少なくとも一方の電極の間隙側を、単位面
積当たりの静電容量δ(F/m2)が、前記交流電圧の周波数
f(Hz)との比δ/fが180〜1400(pF/m 2・kHz)となる誘電
体により被覆し、かつ、前記気体として、酸素原子また
はフッ素原子を有する分子を含む気体を10kPa以上1MPa
以下の圧力で用いることを特徴とする物体の放電処理方
法である。
【0024】ここで、酸素原子を有する分子とは、酸
素、オゾン、一酸化炭素、二酸化炭素、水、一酸化窒
素、二酸化窒素等の酸化物等をいう。また、フッ素原子
を持つ分子とは、四フッ化炭素、六フッ化炭素等の炭素
化合物の他、六フッ化硫黄等の硫化物などをいう。これ
らは、電子親和力が比較的大きいため放電プラズマ中の
電子を捕捉し易く、大気圧近傍の圧力下で均一で安定な
放電プラズマを生成するためには、前記δ/fが180〜1
400(pF/m2・kHz)となる条件で放電処理するのが好まし
い。なお、被処理物体がいずれかの電極と密着した状態
で放電させる場合には、上記の誘電体の誘電率は、この
被処理物体を加味した値により算出するものとする。
【0025】[5]間隙を挟んで対向する一対の電極間
に交流電圧を印加して前記間隙において放電し、該放電
により発生した発生した気体中の粒子の作用により絶縁
性連続体の処理を行なう物体の放電処理方法であって、
前記一対の電極うちの少なくとも一方の電極の間隙側
を、単位面積当たりの静電容量δ(F/m2)が、前記交流電
圧の周波数f(Hz)との比δ/fが1400(pF/m2・kHz)以下
となる誘電体により被覆し、かつ、前記絶縁性連続体を
前記電極間隙を通過させながら処理することを特徴とす
る絶縁性連続体の製造方法である。
【0026】ここで、絶縁性連続体とはガラス、セラミ
ックス、プラスチックなど表面抵抗が109(Ω/□)以
上で、長さが10(m)以上のものをいう。その形状はシ
ート、布帛、繊維等のいずれでもよい。
【0027】[6]間隙を挟んで対向する一対の電極間
に交流電圧を印加して前記間隙において放電し、該放電
により発生した発生した気体中の粒子の作用により絶縁
性連続体の処理を行なう物体の放電処理方法であって、
前記一対の電極うちの少なくとも一方の電極の間隙側
を、単位面積当たりの静電容量δ(F/m2)が、前記交流電
圧の周波数f(Hz)との比δ/fが1400(pF/m2・kHz)以下
となる誘電体により被覆し、かつ、前記粒子を含む気体
の気流を発生させて該気流を移動している前記絶縁性連
続体に吹きつけながら処理することを特徴とする絶縁性
連続体の製造方法である。
【0028】電極と絶縁性連続体との距離は近い方が放
電により生成された粒子の密度が高いため好ましいが、
あまり近すぎると電極と絶縁性連続体が接触し、電極あ
るいは絶縁性連続体を損傷するおそれがある。従って、
電極と絶縁性連続体との距離は5(mm)〜30(mm)が好ま
しい。より好ましくは5(mm)〜15(mm)の範囲がよ
い。
【0029】[7]電極間隙の放電により活性化された
気体の供給の向きと、移動する絶縁性連続体の移動の向
きの成す角度が0度〜90度の範囲であることを特徴とす
る、前記[6]に記載の絶縁性連続体の製造方法であ
る。
【0030】ここで気体の供給の向きとは、絶縁性連続
体表面に入射する気流の主な方向成分をいい、拡散や渦
による方向成分は含まないものとする。絶縁性連続体の
移動の向きとの関係は、次のように定義する。すなわ
ち、絶縁性連続体がウェブの場合、ウェブの法線と移動
の向きのベクトルを含む面内に供給の向きのベクトルを
投影し、上記面内で移動の向きとの間の角度を測定す
る。また、絶縁性連続体が線状体の場合は、移動の向き
のベクトルと供給の向きのベクトルとを含む平面内で測
定する。両者を含む平面を定義できないときは、移動の
向きを含む面内に供給の向きのベクトルを投影したもの
を用いて定義する。
【0031】上記定義に基づいて二つの向きのなす角度
が0度の場合は気流と絶縁性連続体の移動方向とが平行
であることを表し、90度の場合は、気流が絶縁性連続体
に向かって移動の向きに直交する方向から吹き付けられ
る状況を表す。気体の供給方向と、移動する絶縁性連続
体の移動方向の成す角度が90度よりも大きいと、移動す
る絶縁性連続体による随伴流との干渉により放電により
生成された活性種等の粒子が拡散し、表面処理効果が低
下する。逆に、前記角度を90度よりも小さくすると粒子
は移動する絶縁性連続体と随伴するので、拡散が少なく
なると共に活性種の寿命が尽きるまでの間絶縁性連続体
表面と反応する確率が高まるのでよい。なお、前記角度
が0度より小さくなると、放電により生成された粒子が
絶縁性連続体表面に到達しにくくなるので好ましくな
い。
【0032】また、絶縁性連続体を電極間隙に配置しな
いことにより、絶縁性連続体の形状が電極間隙の制約を
受けなくなるのでよい。また、放電状態が絶縁性連続体
の影響を受けなくなるのでよい。さらに、電極間隙の高
電界の外に絶縁性連続体を配置するため、絶縁性連続体
が発泡体など絶縁破壊し易い物であっても処理が可能に
なるのでよい。また、電極間隙の外では気流によりプラ
ズマが均一化されると共に、寿命の短いイオンや電子が
ほとんど消滅し、電気的に中性な励起子や活性種といっ
た粒子が絶縁性連続体表面に到達する。そのため、絶縁
性連続体表面はほとんど帯電することなく中性な励起子
や活性種により処理されるのでよい。
【0033】[8]絶縁性連続体がプラスチックからな
ることを特徴とする、前記[5]〜[7]のいずれかに記載
の絶縁性連続体の製造方法である。
【0034】ここでいうプラスチックとは、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポ
リイミド、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリ
フェニルサルファイト、ポリカーボネート、アクリル、
ポリフェニレンスルフィド、ポリテトラフルオロエチレ
ン等の高分子および未硬化のエポキシ樹脂ならびに硬化
したエポキシ樹脂またはこれらを混合、混錬、複合、積
層などして組み合わせた物をいう。また、前記プラスチ
ックに金属、酸化物、紙、ゴムなどの被膜を被覆したも
の、塗料を塗布したもの、炭素繊維やガラス繊維と複合
したものもここでいうプラスチックに含まれる。
【0035】[9]絶縁性連続体がポリプロピレンフィ
ルムであることを特徴とする、前記[8]に記載の絶縁
性連続体の製造方法である。
【0036】ポリプロピレンフィルムは、未延伸、一軸
延伸、二軸延伸のいずれでもよい。
【0037】[10]絶縁性連続体がポリイミドフィル
ムであることを特徴とする、前記[8]に記載の絶縁性
連続体の製造方法である。
【0038】[11]絶縁性連続体がポリアミドフィル
ムであることを特徴とする、前記[8]に記載の絶縁性
連続体の製造方法である。
【0039】[12]絶縁性連続体が発泡体であること
を特徴とする、前記[8]に記載の絶縁性連続体の製造
方法である。
【0040】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の望ましい実施の
形態の一例を図を用いて説明する。なお、本発明の実施
の形態はこの限りではない。
【0041】図1に、本発明を用いて、電極間隙で絶縁
性連続体4を処理するための放電装置および放電処理方
法の一実施形態を示す。電極1と2は間隙6を介して対向
して大気圧空気中(25±2℃、HR50±5%)に配置されて
いる。間隙6は2.5mm程度が好ましく、これより狭いと振
動や重力および熱によるたわみにより均等な間隙を維持
することが困難となるので好ましくない。また、これよ
り広いと放電が起こりにくくなったり不均一になったり
するので好ましくない。電極2は回転可能なローラで、
外形は1000(mm)である。電極1と2の心材11と21はそれ
ぞれ誘電体12と22で被覆されている。心材11と21の材質
はステンレス(SUS304)で、誘電体12と22の材質は酸化
アルミを主成分とするセラミックスで、厚さ1(mm)あ
る。誘電体12と22の材質は酸化アルミに限らず、酸化珪
素やシリコーンゴムなど機械的強度、耐熱性、耐オゾン
性に優れたものであればよい。心材11と12には高周波電
源3が接続され、間隙6で放電プラズマ5を生成できるよ
うになっている。電源3の出力周波数fは10(kHz)から4
00(kHz)まで可変でき、この場合は86(kHz)に設定さ
れている。このときの誘電体12および22の単位面積当た
りの直列の静電容量δは31000(pF/m2)であり、δ/f
の値は360(pF/m2・kHz)である。大気圧空気中で均一な放
電を実現するには、誘電体12および22による単位面積あ
たりの静電容量δ(F/m2)と電源周波数fとの比は、180(p
F/m2・kHz)以上1400(pF/m2・kHz)以下が好ましく、さらに
好ましくは320(pF/m2・kHz)以上700(pF/m2・kHz)以下がよ
い。なお、心材21は接地されている。電極2の上には絶
縁性連続体4として二軸延伸ポリプロピレンフィルム
(厚さ13μm)が保持され搬送されている。
【0042】図2に、本発明を用いて、電極間隙で活性
化させた気流により絶縁性連続体4を処理するための放
電装置および放電方法の実施形態例を示す。電極1と2は
間隙6を介して対向して配置され、間隙6には大気圧空気
(25±2℃、HR50±5%)が送風機7からノズル8を経由し
て供給されている。ノズル8の材質は酸化アルミのよう
なセラミックスやポリテトラフルオロエチレンの様な耐
熱性と電気絶縁性をそなえるものがよい。電極1と2の心
材11と21はそれぞれ誘電体12と22で被覆されている。心
材11と21の材質はステンレス(SUS304)で、誘電体12と
22の材質は酸化アルミを主成分とするセラミックスで、
厚さ1(mm)ある。誘電体12と22の材質は酸化アルミに
限らず、酸化珪素やシリコーンゴムなど機械的強度、耐
熱性、耐オゾン性に優れたものであればよい。心材11と
12には高周波電源3が接続され、間隙6で放電プラズマ5
を生成できるようになっている。間隙6は2.5(mm)程度
が好ましく、これより狭いと重力や熱によるたわみによ
り均等な間隙を維持することが困難となるので好ましく
ない。また、これより広いと放電が起こりにくくなった
り高速気流を排出するために送風機7から供給する気流
の量を多くする必要があるので好ましくない。電源3の
出力周波数fは10(kHz)から400(kHz)まで可変でき、
この場合は86(kHz)に設定されている。このときの誘
電体12および22の単位面積当たりの直列の静電容量δは
31000(pF/m2)であり、δ/fの値は360(pF/m2・kHz)で
ある。大気圧空気中で均一な放電を実現するには、誘電
体12および22による単位面積あたりの静電容量δ(F/m2)
と電源周波数fとの比は、180(pF/m2・kHz)以上1400(pF/m
2・kHz)以下が好ましく、さらに好ましくは320(pF/m2・kH
z)以上700(pF/m2・kHz)以下がよい。
【0043】電極間隙6に供給された気流は放電プラズ
マとなり、電極下流に3(m/s)以上で排出されている。
電極下流では放電プラズマの他に比較的寿命の長いオゾ
ンや酸素ラジカル、窒素ラジカル等の電気的に中性な活
性種10も存在している。電極下流には絶縁性連続体4と
して二軸延伸ポリプロピレンフィルム(厚さ13μm)が
保持され搬送されている。電極と比処理物体との距離は
近い方が放電により生成された活性種の密度が高いため
好ましいが、あまり近すぎると電極と絶縁性連続体4が
接触し、電極あるいは絶縁性連続体4を損傷するおそれ
がある。従って、電極端部と絶縁性連続体4との距離は5
(mm)〜30(mm)が好ましい。より好ましくは5(mm)〜
15(mm)の範囲がよい。気流は絶縁性連続体の移動方向
と45度の角度をなしている。電極1の下流側にはフード9
が設置されており、電極間隙6から排出された放電プラ
ズマ5や活性種(粒子)10が絶縁性連続体4とフード9との
間に充満するようになっている。これにより、活性化さ
れた気流が有効に被処理物体4に供給されるのでよい。
なお、フード9と絶縁性連続体4との間隔は2〜5(mm)程
度が好ましく、2(mm)よりも狭いと接触により移動す
る絶縁性連続体4またはフード9を損傷するおそれが生じ
るので好ましくない。また、5(mm)より広いと放電に
より活性化された気体を充満させる効果が低下するため
好ましくない。
【0044】
【実施例】実施例1 図3に、図1の放電装置と等価の状態を現出し、この状
態における、誘電体の単位面積あたりの静電容量δと電
源周波数fとの比δ/fが放電の均一性に及ぼす影響を調
べるための実験装置の構成図を示す。ロータリーポンプ
で排気可能なアククリルチャンバー30内に放電電極が配
置されている。電極心材11には透明導電膜を用い、放電
の様子を上部のカメラ20により撮影できるようにしてあ
る。透明導電膜は厚さ0.7(mm)のアルミの珪酸ガラス
状にスパッタ法により作製されたインジウムスズ酸化物
で、その膜厚は120(nm)、表面抵抗は23(Ω/□)で
ある。電極心材21にはステンレス(SUS304)を用いた。
電極心材の面積は90(mm)×90(mm)とした。誘電体12
および22には厚さ0.7(mm)、比誘電率7.6、面積100(m
m)×100(mm)のアルミノ珪酸ガラスを1〜3枚づつ重ね
て用いた。厚さ0.7(mm)のアルミノ珪酸ガラスを対向
する電極に1枚づつ用いた場合の単位面積あたりの静電
容量δは48100(pF/m2)であり、2枚づつ用いた場合は
24100(pF/m2)、3枚づつ用いた場合は16000(pF/
m2)。であった。放電間隙はガラスの枚数に関係なく2.
1(mm)一定となるように調整した。誘電体によるイン
ピーダンスZ=1/2πfCが12.3(kΩ)一定となる
ように、誘電体の単位面積あたりの静電容量δが16000
(pF/m2)、24100(pF/m2)および48100(pF/m2)の場
合に、電源周波数fをそれぞれ100(kHz)、66.7(kHz)
および33.3(kHz)とした。このときのδ/fは160(pF/
kHz・m2)、358(pF/kHz・m2)および1430(pF/kHz・m2
である。放電を行う場合には、チャンバー内をロータリ
ーポンプで排気しながら放電気体を導入し、チャンバー
内を1気圧(およそ100kPa)に維持した。放電電力は250
(W)一定とした。
【0045】まず、図3で説明した実験装置を用い、チ
ャンバー内をロータリーポンプで1.0(Pa)まで排気し
た後、純度99.9999%以上の窒素を流量8(l/min)で流し
1気圧に維持した状態で放電を行った。チャンバー内の
酸素濃度は、酸素計(TORAYLC-800)で測定した結果200
(ppm)であった。図4に誘電体の単位面積当たりの静
電容量δと電源周波数との比δ/fを(a)160(pF/kHz
・m2)、(b)358(pF/kHz・m2)および(c)1430(pF/kH
z・m2)に設定した場合の放電光の写真のスケッチを示
す。図4において、(a)と(b)は本発明の請求項1に
よるδ/fが1400以下の範囲となる実施例であり、
(c)は比較例である。(c)では電極全体に海状の均一
なグロー放電51の中に、周辺よりも明るい発光領域54が
島状に分布していた。発光領域54はコロナ放電によるス
トリーマによるものと考えられる。これに対し、実施例
の(b)では周辺よりも明るい発光領域53が細かくなり
全体として比較的均一な状態になった。また、実施例の
(a)の場合では(b)の場合よりもさらに均一化し、周
辺よりも明るい発光領域52と周辺のグローとが混在した
状態になった。
【0046】次に、チャンバー内に導入する放電気体を
窒素から空気(温度25±2℃、相対湿度50±5%)に変え
て同様の実験を行った。圧力は、やはりおよそ100kPaで
ある。このときの放電光の写真のスケッチを図5に示
す。図5において(b)は本発明の請求項2によるδ/
fが180以上かつ1400以下の範囲となる実施例であり、
(a)および(c)は比較例である。実施例の(b)の場
合は、電極全体に海状の均一なグロー放電51の中に、周
辺よりもやや明るく輪郭の不明瞭な発光領域56が島状に
分布していた。この発光領域56はコロナ放電によるスト
リーマとグローが混在した状態と考えられる。これに対
し、比較例の(a)の場合では、海状の均一なグロー放
電51の中に明るい発光領域55が細かく分散しているが、
均一であるとはいえない。また、(c)の場合にははっ
きりとした明るい発光領域57が見られ、明らかに不均一
な放電となった。発光領域55および57は、コロナ放電に
よるストリーマの発光と考えられる。このように、本発
明の実施例においては、比較例よりも放電光、すなわ
ち、放電自体が均一であることが明らかにわかる。
【0047】さらに誘電体12および誘電体22に厚さ0.2
(mm)、面積100(mm)×面積100(mm)のアルミノ珪酸
ガラスを各1枚づつ用い、電源周波数fを9.5(kHz)と
して大気圧空気(温度25±2℃、相対湿度50±5%)中に
おいて放電電力250(W)で放電を試みたが、放電が集中
し、約1分後に誘電体として用いたガラスが割れてしま
ったため放電を中止した。このときのδ/fは17500(p
F/kHz・m2)になる。
【0048】また、誘電体12および誘電体22に厚さ0.7
(mm)、面積100(mm)×面積100(mm)のアルミノ珪酸
ガラスを各4枚づつ用い、電源周波数fを133(kHz)と
して大気圧空気(温度25±2℃、相対湿度50±5%)中に
おいて放電電力250(W)で放電を試みたが、電極間隙で
は放電が起きなかった。このときのδ/fは90(pF/kHz
・m2)になる。
【0049】実施例2 図6に、図2の放電装置と等価の状態を現出し、この状
態における、気体の流速と処理効果の関係を調べるため
の実験装置の構成図を示す。ただし、絶縁性連続体は移
動させずに実験を行った。電極1と2は間隙6を介して対
向して配置され、間隙6には大気圧空気(およそ100kP
a、25±2℃、HR50±5%)が送風機7からノズル8を経由
して供給されている。送風機7は最大送風量50(l/min)
のしごきポンプと流量計付きバルブを1/4インチのフレ
キシブルチューブで連結したものを用いた。ノズル8の
材質はポリテトラフルオロエチレンで、誘電体12および
22と連結されている。これにより電極幅全体に均一に整
流された気流を供給できるようになっている。電極1と2
の心材11と21はそれぞれ誘電体12と22で被覆されてい
る。材質11と21はアルミニウムで幅(紙面法線方向)90
(mm)長さ(紙面左右方向)45(mm)である。誘電体12
と22は厚さ0.7(mm)、幅100(mm)長さ55(mm)のアル
ミノ珪酸ガラスをそれぞれ2枚ずつ重ねたものを用い
た。電極心材11と12には高周波電源3が接続され、間隙6
で放電プラズマ5を生成できるようになっている。間隙
はガラスの枚数に関係なく2.1(mm)一定となるように
調整した。電源3の出力周波数fは66.7(kHz)とし、こ
のときの誘電体12および22の単位面積当たりの直列の静
電容量δと周波数fの比δ/fの値は360(pF/m2・kHz)と
なる。電極の下流側には誘電体22と平行にアルミの珪酸
ガラスが配置され、その上に絶縁性連続体として厚さ8
(μm)の二軸延伸ポリプロピレンフィルムが置かれて
いる。
【0050】まず、送風機7により実験室内の空気を1
0、20、30(l/min)の各条件で供給し、電極下流端から
10(mm)の位置での気流の流速を流速計(アネモマスタ
ー)により計測した。その結果、気流供給量10、20、2
5、30(l/min)に対して流速はそれぞれ1.83、2.48、3.
54、6.50(m/s)であった。
【0051】次に、送風機7から30(l/min)で実験室内
の空気を電極間隙6に供給しながら、250(W)で7秒間放
電させ、放電を止めた後気流を止めた。このとき、放電
プラズマ5は下流側にやや伸びたものの、ポリプロピレ
ンフィルム表面に長く伸びる事はなかった。また、ポリ
プロピレンフィルムは電極下端から5(mm)の位置では
やや溶融したが、それ以外は外観上の変化は観測されな
かった。
【0052】図7に電極下端における空気気流を1.83、
2.48、3.54、6.50(m/s)として250(W)で7秒間処理し
た場合のポリプロピレンフィルム表面の表面張力を測定
した結果を示す。図の横軸は電極下端からの距離、縦軸
はJIS K6768の方法により、ぬれ試薬(ホルム
アルデヒドとエチレングリコールモノエチルエーテルの
混合液)を用いて測定した表面張力の値である。未処理
のポリプロピレンフィルムの表面張力は32.5(mN/m)で
あった。このように、放電電力が一定でも、気流の流速
1.83(m/s)よりも高い場合、高くするにに従って処
理効果が増加していることがわかる。また、電極下端に
近いほど処理効果が高いことがわかる。電極下端から10
(mm)の位置では、気流の流速を2.48(m/s)以上の場
合に処理効果が顕著に増加することがわかる。また、気
流の流速を6.50(m/s)以上にするとさらに処理効果が
増加することがわかる。
【0053】実施例3 図6で説明した実験装置を用い、厚さ8(μm)の二軸延
伸ポリプロピレンフィルムを誘電体22上に置き電極間隙
6で処理した場合と、実施例2と同様電極の下流で処理
した場合のポリプロピレンフィルム表面の帯電状態を調
べた。帯電状態は極性の異なる二色のカラーコピー用の
トナー(キャノンPC20:正帯電部に付着する赤トナー、
キャノンNP300R:負帯電部に付着する青トナー)の混合
物をポリプロピレンフィルムに振り掛けてその付着状態
により調べた。電極間隙、電極下流いずれで処理した場
合も電極間隙6に大気圧空気流を流し、流速は電極下端1
0(mm)の位置で6.50(m/s)とした。気流を流した後25
0(W)で放電を3秒行い、放電を停止した後気流を止め
た。その後、処理したポリプロピレンフィルムの表面に
カラートナーを適量振り掛け、余分なトナーを振り落と
した。
【0054】図8に電極間および電極下流で処理したポ
リプロピレンフィルムの帯電状態を調べた結果のスケッ
チを示す。(a)は電極間で処理した場合の比較例で、
赤トナーおよび青トナーが付着していることから、ポリ
プロピレンフィルムは正負に帯電していることがわか
る。一方(b)は電極下流で処理した場合の実施例で、
トナーは付着せず、帯電していないことがわかる。
【0055】図8の(a)の様に、表面に正負の電荷が
混在して帯電した絶縁性連続体を相対的に移動する点か
ら観測すると、正負電荷は見かけ上中和した状態とな
る。その結果、コロナ除電器等の除電手段を用いても正
負に混在した移動する絶縁性連続体の帯電電荷を除去す
ることは困難となる。しかし、絶縁性連続体表面に残っ
た電荷は、表面に接触または近接する物体との間に静電
引力を発生させる。そのため、絶縁性連続体表面が正負
に混在して帯電すると、フィルムロールの巻姿を向上さ
せる効果があることがある一方、シワなどの搬送不良
や、コーティングむらなどの加工欠点を誘発し問題とな
ることがある。もちろん、正負混在した状態に限らず、
絶縁性連続体表面に帯電電荷が残る場合は前記問題点を
抑制するために、表面処理後に除電工程を付加する必要
があるので好ましくないときもある。
【0056】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
対向する電極の少なくとも一方を誘電体で被覆し、この
間に交流電圧を印加してプラズマを発生させるバリア放
電を、He等の特殊で高価な気体を用いずに大気圧中で均
一に発生することができきる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を用いた放電装置および放電方法の一例
を示す図である。
【図2】本発明を用いて、電極間隙で活性化させた気流
により絶縁性連続体を処理するための放電装置および放
電方法の一例を示す図である。
【図3】実施例1の実験装置の構成を説明する図であ
る。
【図4】図3の装置を使用し、窒素中で、δ/fを種々
の値にした場合の放電の様子を示す模式図である。
【図5】図3の装置を使用し、空気中で、δ/fを種々
の値にした場合の放電の様子を示す模式図である。
【図6】実施例2の実験装置の構成を説明する図であ
る。
【図7】図6の装置を使用し、空気中で、気流供給手段
の流速を変化させた場合のノズルからの距離と表面張力
増大処理の効果の関係を示す図である。
【図8】図6の装置を使用し、電極間に大気圧の空気流
を流し、電極間および電極下流で処理したポリプロピレ
ンフィルムの帯電状態を調べた結果のスケッチ図であ
る。
【符号の説明】
1 、2:電極 11、21 :電極心材 12、22:誘電体 3 :高周波電源 4 :絶縁性連続体 41:正帯電部 42:負帯電部 5:放電プラズマ 51:グロー領域 52、53、54、55、56、57:周辺より明るい領域 6 :電極間隙 7 :送風機 8 :ノズル 9 :フード 10:活性種 20:カメラ 30:アクリルチャンバー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 77:00 C08L 77:00 79:08 79:08

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 間隙を挟んで対向する一対の電極と、前
    記電極間に交流電圧を印加するよう接続された電源とを
    備え、前記一対の電極うちの少なくとも一方の電極の間
    隙側が誘電体で被覆され、かつ前記誘電体単位面積当た
    りの静電容量δ(F/m2)と前記交流電圧の周波数f(Hz)と
    の比δ/fが1400(pF/m2・kHz)以下であることを特徴と
    する放電装置。
  2. 【請求項2】 前記δ/fが180(pF/m2・kHz)以上である
    ことを特徴とする、請求項1に記載の放電装置。
  3. 【請求項3】 前記電極間隙の少なくとも一部に2.5(m
    /s)以上の流速の気流を通過させる気流供給手段を備え
    たことを特徴とする、請求項1または2に記載の放電装
    置。
  4. 【請求項4】 間隙を挟んで対向する一対の電極間に交
    流電圧を印加して前記間隙において放電し、該放電によ
    り発生した発生した気体中の粒子の作用により物体の処
    理を行なう物体の放電処理方法であって、 前記一対の電極うちの少なくとも一方の電極の間隙側
    を、単位面積当たりの静電容量δ(F/m2)が、前記交流電
    圧の周波数f(Hz)との比δ/fが180〜1400(pF/m 2・kHz)
    となる誘電体により被覆し、かつ、前記気体として、酸
    素原子またはフッ素原子を有する分子を含む気体を10kP
    a以上1MPa以下の圧力で用いることを特徴とする物体の
    放電処理方法。
  5. 【請求項5】 間隙を挟んで対向する一対の電極間に交
    流電圧を印加して前記間隙において放電し、該放電によ
    り発生した発生した気体中の粒子の作用により絶縁性連
    続体の処理を行なう物体の放電処理方法であって、 前記一対の電極うちの少なくとも一方の電極の間隙側
    を、単位面積当たりの静電容量δ(F/m2)が、前記交流電
    圧の周波数f(Hz)との比δ/fが1400(pF/m2・kHz)以下
    となる誘電体により被覆し、かつ、前記絶縁性連続体を
    前記電極間隙を通過させながら処理することを特徴とす
    る絶縁性連続体の製造方法。
  6. 【請求項6】間隙を挟んで対向する一対の電極間に交流
    電圧を印加して前記間隙において放電し、該放電により
    発生した発生した気体中の粒子の作用により絶縁性連続
    体の処理を行なう物体の放電処理方法であって、 前記一対の電極うちの少なくとも一方の電極の間隙側
    を、単位面積当たりの静電容量δ(F/m2)が、前記交流電
    圧の周波数f(Hz)との比δ/fが1400(pF/m2・kHz)以下
    となる誘電体により被覆し、かつ、前記粒子を含む気体
    の気流を発生させて該気流を移動している前記絶縁性連
    続体に吹きつけながら処理することを特徴とする絶縁性
    連続体の製造方法。
  7. 【請求項7】 電極間隙の放電により活性化された気体
    の供給の向きと、移動する絶縁性連続体の移動の向きの
    成す角度が0度〜90度の範囲であることを特徴とする、
    請求項6に記載の絶縁性連続体の製造方法。
  8. 【請求項8】 絶縁性連続体がプラスチックからなるこ
    とを特徴とする、請求項5〜7のいずれかに記載の絶縁
    性連続体の製造方法。
  9. 【請求項9】 絶縁性連続体がポリプロピレンフィルム
    であることを特徴とする、請求項8に記載の絶縁性連続
    体の製造方法。
  10. 【請求項10】 絶縁性連続体がポリイミドフィルムで
    あることを特徴とする、請求項8に記載の絶縁性連続体
    の製造方法。
  11. 【請求項11】 絶縁性連続体がポリアミドフィルムで
    あることを特徴とする、請求項8に記載の絶縁性連続体
    の製造方法。
  12. 【請求項12】 絶縁性連続体が発泡体であることを特
    徴とする、請求項8に記載の絶縁性連続体の製造方法。
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