JP2001278963A - 硬化可能な成形材、成形品およびそれらの製造方法 - Google Patents

硬化可能な成形材、成形品およびそれらの製造方法

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JP2001278963A
JP2001278963A JP2000096505A JP2000096505A JP2001278963A JP 2001278963 A JP2001278963 A JP 2001278963A JP 2000096505 A JP2000096505 A JP 2000096505A JP 2000096505 A JP2000096505 A JP 2000096505A JP 2001278963 A JP2001278963 A JP 2001278963A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ルテニウム錯体触媒の存在下にノルボルネン系
モノマーを開環メタセシス重合させて得られる予備硬化
状態にある硬化可能な成形材であって、低温安定性及び
高温での重合反応性に優れ、かつ触媒由来の金属の含有
量が極めて少ない成形材、該成形材を用いる成形品の製
造方法及び該成形品を提供する。 【解決手段】ルテニウム錯体触媒の存在下に、ノルボル
ネン系モノマーを開環メタセシス重合させて得られる予
備硬化状態にある硬化可能な成形材であって、前記ルテ
ニウム錯体触媒として、ルテニウムに少なくとも1つの
ヘテロ原子含有カルベン化合物が配位してなるルテニウ
ム錯体を用いたことを特徴とする成形材、前記成形材を
得る第1の工程と、該成形材を所定形状に賦形し、加熱
硬化せしめる第2の工程とを有する成形品の製造方法及
び該成形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ルテニウム錯体触
媒の存在下に、ノルボルネン系モノマーを開環メタセシ
ス重合させて予備硬化状態(以下、「Bステージ」と言
うことがある。)とした硬化可能な成形材、その成形材
から得られる成形品およびそれらを製造する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来から、ノルボルネン系モノマーを開
環メタセシス重合することにより、エラストマーや室温
で軟質な樹脂、硬質樹脂などが得られ、これらのエラス
トマーや樹脂が各種成形品の製造に用いられている。
【0003】成形品を得る方法としては、ノルボルネン
系モノマーを溶液重合した後、その重合体を射出成形法
やカレンダー成形法などの熱成形法により成形品とする
方法がある。また、反応射出成形(RIM)法のよう
に、金型内でノルボルネン系モノマーを塊状(バルク)
重合して成形品を得る方法も知られている。後者のRI
M法は、ノルボルネン系モノマーを金型内で塊状重合す
ることにより、液状原料から一挙に耐熱性のよい熱硬化
性樹脂となるため、近年、各種の成形品の製造に実用化
され注目を浴びている。
【0004】ポリノルボルネン系樹脂の成形品を得る別
の方法も報告されている。例えば、特開平2−2255
18号公報や特開平3−292124では、金型内での
塊状重合によって一次成形されたポリノルボルネン系樹
脂を、さらに外力を加えたり、加熱したりして2次成形
する成形方法が記載されている。
【0005】また、WO99/54374号公報には、
メタセシス重合触媒の存在下に、メタセシス重合可能な
シクロオレフィン類を反応させて半硬化状態とした硬化
可能な成形材、およびその成形材から種々の成形品を製
造する方法が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記WO9
9/54374号公報記載の成形材は、メタセシス重合
触媒としてルテニウムに2つの中性電子供与体(ホスフ
ィンやアミンなど)が配位したルテニウムカルベン錯体
を用い、メタセシス重合可能なシクロオレフィン類を原
料として得られるものであり、通常の大気中で容易かつ
安全に種々の形状の成形品を製造することができるもの
である。
【0007】しかしながら、上記のようなルテニウム触
媒を用いて得られる成形材は保存安定性が悪く、しかも
加熱硬化時の触媒活性が低いという問題点があった。ま
た、該ルテニウム触媒は触媒活性が低く、触媒の使用量
が比較的多量になって成形材が高価になるという問題点
があった。さらにまた、最終的に得られる成形品の使用
目的によっては、成形品中に触媒由来の金属化合物やハ
ロゲンなどが多量に含まれていると、例えば、電気・電
子部品用途の樹脂においては、望ましくない影響がでる
場合があり、一般的に樹脂中の金属含有量を可能な限り
低減することが必要とされている。
【0008】かかる実状に鑑み、本発明は第1に、工業
的に有利に、ルテニウム錯体触媒の存在下にノルボルネ
ン系モノマーを開環メタセシス重合させて得られる予備
硬化状態にある硬化可能な成形材であって、低温時(常
温時)の保存安定性が良好であり、しかも加熱硬化が容
易な成形材を提供することを目的とする。また、本発明
は第2に、触媒由来の金属、ハロゲンなどの含有量が極
めて少ない成形材を提供することを目的とする。さら
に、本発明は第3に、得られる成形材を硬化してなる成
形品及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成すべく、各種のルテニウム錯体触媒を用いてノ
ルボルネン系モノマーの開環メタセシス重合させてなる
予備硬化状態にした成形材について鋭意検討を重ねた結
果、特定の構造を有するルテニウム錯体触媒が重合反応
速度の温度依存性が極めて大きく、このものを用いて得
られる予備硬化状態の成形材は、低温での保存安定性と
高温での重合反応性に優れていることを見出した。ま
た、該ルテニウム触媒は極めて高い触媒活性を有し、こ
のものを用いて重合を行うと、成形材に含まれる金属含
有量を一段と低減できることを見出した。さらに、この
成形材を用いる成形品の製造方法を確立して、本発明を
完成するに至った。
【0010】すなわち本発明は、ルテニウム錯体触媒の
存在下に、ノルボルネン系モノマーを開環メタセシス重
合させて得られる予備硬化状態にある硬化可能な成形材
であって、前記ルテニウム錯体触媒として、ルテニウム
に少なくとも1つのヘテロ原子含有カルベン化合物が配
位してなるルテニウム錯体を用いたことを特徴とする成
形材を提供する。
【0011】前記成形材は、該成形材中に含まれるルテ
ニウム化合物の濃度は25ppm以下で成形可能であ
る。
【0012】また本発明は、前記成形材を得る第1の工
程と、該成形材を所定形状に賦形し、加熱硬化せしめる
第2の工程とを有する成形品の製造方法および成形品を
提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態について、項目に分けて詳細に説明する。 (メタセシス重合触媒)本発明の成形材の製造において
使用される触媒は、ルテニウムに少なくとも1つのヘテ
ロ原子含有カルベン化合物が配位してなるルテニウム錯
体であれば特に限定されないが、例えば、下記の一般式
1または一般式2で表わされるルテニウムカルベン錯体
が挙げられる。
【0014】
【化1】
【0015】(式中、R1,R2は、それぞれ独立して、
水素、または(ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫
黄原子、リン原子、けい素原子)を含んでもよいC1
20の炭化水素基を表し、X1,X2は、互いに独立して
任意のアニオン性配位子を表し、L1はヘテロ原子含有
カルベン化合物を表し、L2はヘテロ原子含有カルベン
化合物または任意の中性の電子供与性化合物を表す。ま
た、R1、R2、X1、X2、L1およびL2の2個、3個、
4個、5個または6個が互いに結合して多座配位子を形
成してもよい。)
【0016】前記一般式1および一般式2において、R
1、R2としては、例えば、水素、C 2〜C20アルケニル
基、C2〜C20アルキニル基、C1〜C20アルキル基、置
換基を有していてもよいアリール基、カルボキシル基、
2〜C20アルケニルオキシ基、C2〜C20アルキニルオ
キシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、
2〜C20アルコキシカルボニル基、C1〜C20アルキル
チオ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、C
1〜C20アルキルスルホニル基、C1〜C20アルキルスル
フィニル基などが挙げられる。
【0017】また、前記アリル基、アリルオキシ基およ
びアリールチオ基の置換基としては、ニトロ基、フッ
素、塩素、臭素などのハロゲン原子、メチル基、エチル
基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基などのア
ルコキシ基などが挙げられる。また、これらの基は同一
または相異なる複数個の置換基を有していてもよい。
【0018】L1は、ヘテロ原子含有カルベン化合物を
表し、L2は、ヘテロ原子含有カルベン化合物または任
意の中性の電子供与性化合物を表す。
【0019】ここで、ヘテロ原子としては、例えば、
N、O、P、S、As、Se原子などを挙げることがで
きる。中でもN、O、P、S原子などが安定なカルベン
化合物を得るためには好ましく、N原子が特に好まし
い。
【0020】カルベン化合物は、分子内にメチレン遊離
基を有する化合物の総称であり、(>C:)で表される
ような電荷のない2価の炭素原子を有する。一般的にカ
ルベンは、反応中に生じる不安定な中間体として存在す
るが、ヘテロ原子を有する場合には比較的安定なカルベ
ン化合物となる。
【0021】かかるヘテロ原子含有カルベン化合物の例
としては、下記の式3または式4で示される化合物が挙
げられる。
【0022】
【化2】
【0023】上記式中、R3、R4は、それぞれ独立し
て、水素、または(ハロゲン原子、酸素原子、窒素原
子、硫黄原子、リン原子、けい素原子)を含んでもよい
1〜C2 0の炭化水素基を表す。
【0024】前記R3,R4としては、例えば、C1〜C
20アルキル基、C2〜C20アルケニル基、C2〜C20アル
キニル基、置換基を有していてもよいC3〜C8シクロア
ルキル基、置換基を有していてもよいアリール基などが
挙げられる。
【0025】前記式3の具体例としては、1,3−ジイ
ソプロピルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジ
シクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3
−ジフェニルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−
ジ(メチルフェニル)イミダゾール、1,3−ジ(メチ
ルナフチル)イミダゾリジン−2−イリデン、1,3−
ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジ
アダマンチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3,
4,5−テトラメチルイミダゾリジン−2−イリデンな
どが挙げられる。
【0026】前記式4の具体例としては、1,3−ジイ
ソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3
−ジシクロヘキシル−4−イミダゾリン−2−イリデ
ン、1,3−ジフェニル−4−イミダゾリン−2−イリ
デン、1,3−ジ(メチルフェニル)−4−イミダゾリ
ン−2−イリデン、1,3−ジ(メチルナフチル)−4
−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジメシチル−
4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジアダマン
チル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3,4,
5−テトラメチル−4−イミダゾリン−2−イリデン、
1,3,4,5−テトラフェニル−4−イミダゾリン−
2−イリデンなどが挙げられる。
【0027】また、前記式3および式4で示される化合
物のほかに、1,3,4−トリフェニル−2,3,4,
5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−
5−イリデン、3−(2,6−ジイソプロピルフェニ
ル)−2,3,4,5−テトラヒドロチアゾール−2−
イリデン、1,3−ジシクロヘキシルヘキサヒドロピリ
ミジン−2−イリデン、N,N,N’,N’−テトライ
ソプロピルホルムアミジニリデン、1,3,4−トリフ
ェニル−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリア
ゾール−5−イリデン、3−(2,6−ジイソプロピル
フェニル)−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデ
ンなどのヘテロ原子含有カルベン化合物を挙げることが
できる。
【0028】ヘテロ原子含有カルベン化合物としては、
カルベンに隣接するヘテロ原子が嵩高い置換基を有する
環状化合物が好ましい。その具体例としては、1,3−
ジイソプロピルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3
−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン、
1,3−ジ(メチルフェニル)イミダゾリジン−2−イ
リデン、1,3−ジ(メチルナフチル)イミダゾリジン
−2−イリデン、1,3−ジメシチルイミダゾリジン−
2−イリデン、1,3−ジアダマンチルイミダゾリジン
−2−イリデン、1,3−ジフェニルイミダゾリジン−
2−イリデン、1,3,4,5−テトラフェニルイミダ
ゾリジン−2−イリデンなどの1,3−ジ置換イミダゾ
リジニリデンカルベン化合物、
【0029】1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリ
ン−2−イリデン、1,3−ジシクロヘキシル−4−イ
ミダゾリン−2−イリデン、1,3−(ジメチルフェニ
ル)−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジ
(メチルナフチル)−4−イミダゾリン−2−イリデ
ン、1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリ
デン、1,3−ジアダマンチル−4−イミダゾリン−2
−イリデン、1,3−ジフェニル−4−イミダゾリン−
2−イリデン、1,3,4,5−テトラフェニル−4−
イミダゾリン−2−イリデンなどの1,3−ジ置換イミ
ダゾリニリデンカルベン化合物が挙げられる。
【0030】前記式1および式2のアニオン(陰イオ
ン)性配位子X1、X2としては、中心金属から引き離さ
れたときに負の電荷を持つ配位子であればいかなるもの
でもよい。また、X1,X2が一緒になって2座以上のア
ニオン性配位子を形成していてもよい。
【0031】前記X1,X2の具体例としては、F、B
r、Cl、Iなどのハロゲン原子、水素、OH基、置換
アリル基、アルケニル基、アルキル基、アリール基、ア
ルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル
基、カルボキシル基、アルキルまたはアリールスルフォ
ネート基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリー
ルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニ
ル基、アセチルアセトナト基、ジケトネート基、置換シ
クロペンタジエニル基、などを挙げることができる。こ
れらのうち、好ましくはハロゲン原子であり、より好ま
しくは塩素原子である。
【0032】また、中性の電子供与性化合物は、中心金
属から引き離されたときに中性の電荷を持つ配位子、す
なわちルイス塩基であればいかなるものでもよい。その
具体例としては、酸素、水、カルボニル、アミン類、ピ
リジン類、エ−テル類、ニトリル類、エステル類、ホス
フィン類、ホスフィナイト類、ホスファイト類、スチビ
ン類、スルホキシド類、チオエーテル類、アミド類、芳
香族化合物、環状ジオレフィン類、オレフィン類、イソ
シアニド類、チオシアネ−ト類などが挙げられる。
【0033】これらのうち、ホスフィン類が好ましく、
トリアルキルホスフィンやトリアリールホスフィンがよ
り好ましい。トリアルキルホスフィンとしては、トリメ
チルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリプロピル
ホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリブチル
ホスフィン、トリイソブチルホスフィン、トリ(sec
−ブチル)ホスフィン、トリ(t−ブチル)ホスフィ
ン、トリペンチルホスフィン、トリヘキシルホスフィ
ン、トリシクロプロピルホスフィン、トリシクロペンチ
ルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ
(2−メチルシクロヘキシル)ホスフィン、トリ(3−
メチルシクロヘキシル)ホスフィン、トリ(3−メチル
シクロヘキシル)ホスフィン、トリ(2,4−ジメチル
シクロヘキシル)ホスフィン、トリ(2,4,6−トリ
メチルシクロヘキシル)ホスフィンなどが挙げられる。
【0034】トリアリールホスフィンとしては、トリフ
ェニルホスフィン、トリ(2−メチルフェニル)ホスフ
ィン、トリ(4−クロロフェニル)ホスフィン、トリ
(3−メチルフェニルホスフィン)、トリ(4−メチル
フェニル)ホスフィン、トリ(2,4−ジメチルフェニ
ル)ホスフィン、トリ(2,4,6−トリメチルフェニ
ル)ホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、ジエチ
ルフェニルホスイン、ジイソプロピルフェニルホスフィ
ン、ジブチルフェニルホスフィン、メチルジフェニルホ
スフィン、エチルジフェニルホスフィン、プロピルジフ
ェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィンなどが
挙げられる。
【0035】前記式1で表される錯体化合物としては、
例えば、(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−
2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベン
ジリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジシクロヘ
キシル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシク
ロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロ
リド、(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2
−イリデン)(トリフェニルホスフィン)ベンジリデン
ルテニウムジクロリド、(1,3−ジシクロヘキシル−
4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリフェニルホス
フィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3
−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシ
クロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジク
ロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イ
リデン)(トリフェニルホスフィン)ベンジリデンルテ
ニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4−イミダ
ゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフ
ィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3−
ジメシチル−4−イミダゾリジン−2−イリデン)(ト
リフェニルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロ
リド、
【0036】[1,3−ジ(2−メチルフェニル)イミ
ダゾリジン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホス
フィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、[1,3
−ジ(3−メチルフェニル)イミダゾリジン−2−イリ
デン](トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデン
ルテニウムジクロリド、[1,3−ジ(4−メチルフェ
ニル)イミダゾリジン−2−イリデン](トリシクロヘ
キシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリ
ド、[1,3−ジ(2−メチルフェニル)イミダゾリジ
ン−2−イリデン](トリフェニルホスフィン)ベンジ
リデンルテニウムジクロリド、[1,3−ジ(3−メチ
ルフェニル)イミダゾリジン−2−イリデン](トリフ
ェニルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリ
ド、[1,3−ジ(4−メチルフェニル)イミダゾリジ
ン−2−イリデン](トリフェニルホスフィン)ベンジ
リデンルテニウムジクロリド、
【0037】[1,3−ジ(2−メチルフェニル)−4
−イミダゾリン−2−イリデン](トリシクロヘキシル
ホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、
[1,3−ジ(3−メチルフェニル)−4−イミダゾリ
ン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)
ベンジリデンルテニウムジクロリド、[1,3−ジ(4
−メチルフェニル)−4−イミダゾリン−2−イリデ
ン](トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンル
テニウムジクロリド、[1,3−ジ(2−メチルフェニ
ル)−4−イミダゾリン−2−イリデン](トリフェニ
ルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、
[1,3−ジ(3−メチルフェニル)−4−イミダゾリ
ン−2−イリデン](トリフェニルホスフィン)ベンジ
リデンルテニウムジクロリド、[1,3−ジ(4−メチ
ルフェニル)−4−イミダゾリン−2−イリデン](ト
リフェニルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロ
リド、
【0038】[1,3−ジ(2−メチル−1−ナフチ
ル)イミダゾリジン−2−イリデン](トリシクロヘキ
シルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、
[1,3−ジ(4−メチル−1−ナフチル)イミダゾリ
ジン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィ
ン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、[1,3−ジ
(8−メチル−1−ナフチル)イミダゾリジン−2−イ
リデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデ
ンルテニウムジクロリド、[1,3−ジ(1−メチル−
2−ナフチル)イミダゾリジン−2−イリデン](トリ
シクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジ
クロリド、[1,3−ジ(4−メチル−2−ナフチル)
イミダゾリジン−2−イリデン](トリシクロヘキシル
ホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、
[1,3−ジ(8−メチル−2−ナフチル)イミダゾリ
ジン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィ
ン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、
【0039】[1,3−ジ(2−メチル−1−ナフチ
ル)−4−イミダゾリン−2−イリデン](トリシクロ
ヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリ
ド、[1,3−ジ(4−メチル−1−ナフチル)−4−
イミダゾリン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホ
スフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、[1,
3−ジ(8−メチル−1−ナフチル)−4−イミダゾリ
ン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)
ベンジリデンルテニウムジクロリド、[1,3−ジ(1
−メチル−2−ナフチル)−4−イミダゾリン−2−イ
リデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデ
ンルテニウムジクロリド、[1,3−ジ(4−メチル−
2−ナフチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン]
(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニ
ウムジクロリド、[1,3−ジ(8−メチル−2−ナフ
チル)−4−イミダゾリン−2−イリデン](トリシク
ロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロ
リド、(1,3,4,5−テトラフェニル−4−イミダ
ゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィ
ン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジ
シクロヘキシルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデ
ン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンル
テニウムジクロリドなどのヘテロ原子含有カルベン化合
物と中性の電子供与性化合物が配位したルテニウム錯体
化合物;
【0040】ビス(1,3−ジイソプロピルイミダゾリ
ジン−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロリ
ド、ビス(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−
2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、ビ
ス(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−
イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、ビス
(1,3−ジシクロヘキシル−4−イミダゾリン−2−
イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、ビス
(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)
ベンジリデンルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジ
メシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)ベンジリ
デンルテニウムジクロリドなどの2つのヘテロ原子含有
カルベン化合物が配位したルテニウム錯体化合物などが
挙げられる。
【0041】前記式2で表わされる錯体化合物として
は、例えば、(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジ
ン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)
フェニルビニリデンルテニウムジクロリド、(1,3−
ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシク
ロヘキシルホスフィン)t−ブチルビニリデンルテニウ
ムジクロリド、1,3−ジシクロヘキシル−4−イミダ
ゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィ
ン)フェニルビニリデンルテニウムジクロリド、(1,
3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)
(トリシクロヘキシルホスフィン)フェニルビニリデン
ルテニウムジクロリド、
【0042】[1,3−ジ(メチルフェニル)イミダゾ
リジン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィ
ン)t−ブチルビニリデンルテニウムジクロリド、
[1,3−ジ(2−メチル−1−ナフチル)イミダゾリ
ジン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィ
ン)フェニルビニリデンルテニウムジクロリド、[1,
3−ジ(4−メチルフェニル)−4−イミダゾリン−2
−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)t−ブ
チルビニリデンルテニウムジクロリド、[1,3−ジ
(4−メチル−1−ナフチル)−4−イミダゾリン−2
−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)フェニ
ルビニリデンルテニウムジクロリド、(1,3,4,5
−テトラフェニルイミダゾリジン−2−イリデン)(ト
リシクロヘキシルホスフィン)t−ブチルビニリデンル
テニウムジクロリド、(1,3−ジシクロヘキシルヘキ
サヒドロピリミジン−2−イリデン)(トリシクロヘキ
シルホスフィン)フェニルビニリデンルテニウムジクロ
リドなどのヘテロ原子含有カルベン化合物と中性の電子
供与性化合物が配位したルテニウム錯体化合物;
【0043】ビス(1,3−ジイソプロピルイミダゾリ
ジン−2−イリデン)フェニルビニリデンルテニウムジ
クロリド、ビス(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリ
ジン−2−イリデン)t−ブチルビニリデンルテニウム
ジクロリド、ビス(1,3−ジイソプロピル−4−イミ
ダゾリン−2−イリデン)t−ブチルビニリデンルテニ
ウムジクロリド、ビス(1,3−ジシクロヘキシル−4
−イミダゾリン−2−イリデン)フェニルビニリデンル
テニウムジクロリドなどの2つのヘテロ原子含有カルベ
ン化合物が配位したルテニウム錯体化合物などが挙げら
れる。これらのルテニウム錯体化合物は、単独にまたは
2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0044】また本発明においては、前記ルテニウム錯
体化合物を、ジ−μ−クロロビス[(p−シメン)クロ
ロルテニウム]、ジ−μ−クロロビス[(p−シメン)
クロロオスミウム]、ジクロロ(ペンタメチルシクロペ
ンタジエニル)ロジウムダイマーなどの複核金属錯体と
反応させて得られる、複核ルテニウム−カルベン錯体化
合物を用いることもできる。
【0045】これらのルテニウム錯体化合物は、例え
ば、Org.Lett.,1999年,1巻,953
頁、Terahedron.Lett.,1999年,
40巻,2247頁などに記載された方法に従って製造
することができる。
【0046】かかるルテニウム錯体化合物の使用量、す
なわちノルボルネン系モノマーに対するメタセシス重合
触媒の割合は、触媒中の金属ルテニウム/ノルボルネン
系モノマーのモル比として、通常1:2,000〜1:
2,000,000、好ましくは1:5,000〜1,
000,000、より好ましくは1:10,000〜
1:500,000である。
【0047】ルテニウム触媒は必要に応じて、少量の不
活性溶剤に溶解させて使用することができる。かかる溶
媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンな
どの鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキ
サン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサ
ン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサ
ン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、
ビシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロイ
ンデンシクロヘキサン、シクロオクタンなどの脂環式炭
化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭
化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリ
ルなどの含窒素炭化水素;ジエチルエ−テル、テトラヒ
ドロフランなどのエ−テルなどの溶媒を使用することが
できる。これらの中では、工業的に汎用な芳香族炭化水
素や脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素が好ましい。
【0048】また、酸化防止剤や可塑剤などの添加剤が
液状である場合には、これらを触媒溶解用の溶媒として
使用することもできる。液状酸化防止剤の例としては、
2,6−ジ−t−ブチルフェノールと2,6−ジ−t−
ブチル−4−メチルフェノールの混合物や、2,6−ジ
−t−ブチル−4−ノニルフェノールなどが挙げられ
る。
【0049】(ノルボルネン系モノマー)前記の触媒の
存在下に開環メタセシス重合されるモノマーは、ノルボ
ルネン環構造を有するノルボルネン系モノマーである。
かかるノルボルネン系モノマーとしては、置換および未
置換の二環もしくは三環以上の多環ノルボルネンが用い
られる。
【0050】その具体例としては、ノルボルネン、ノル
ボルナジエン、メチルノルボルネン、ジメチルノルボル
ネン、エチルノルボルネン、塩素化ノルボルネン、エチ
リデンノルボルネン、クロロメチルノルボルネン、トリ
メチルシリルノルボルネン、フェニルノルボルネン、シ
アノノルボルネン、ジシアノノルボルネン、メトキシカ
ルボニルノルボルネン、ピリジルノルボルネン、ナヂッ
ク酸無水物、ナヂック酸イミドなどの二環ノルボルネン
類;
【0051】ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロ
ペンタジエンやそのアルキル、アルケニル、アルキリデ
ン、アリール置換体などの三環ノルボルネン類;ジメタ
ノヘキサヒドロナフタレン、ジメタノオクタヒドロナフ
タレンやそのアルキル、アルケニル、アルキリデン、ア
リール置換体などの四環ノルボルネン類;トリシクロペ
ンタジエンなどの五環ノルボルネン類、ヘキサシクロヘ
プタデセンなどの六環ノルボルネン類;ジノルボルネ
ン、二個のノルボルネン環を炭化水素鎖またはエステル
基などで結合した化合物、これらのアルキル、アリール
置換体などのノルボルネン環を含む化合物などが挙げら
れる。
【0052】上記ノルボルネン系モノマーにシクロブテ
ン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセン
などの単環シクロオレフィンおよび置換基を有するそれ
らの誘導体を共重合することもできる。
【0053】前記ノルボルネン系モノマーは単独でも二
種以上を使用してもよいが、二種以上の使用が好まし
い。二種以上使用する場合には、熱可塑性樹脂となる1
つの二重結合を有するモノマーと、熱硬化性樹脂となる
複数の二重結合を有するモノマーを適宜組合せると、種
々の物性を有する樹脂を入手することができる。また、
モノマーを単独で使用する場合と比較して、二種以上併
用すると凝固点降下により、凝固点温度が高いモノマー
でも液状として取扱えるという利点がある。
【0054】(予備硬化状態にある成形材)前記したよ
うなルテニウム錯体化合物(メタセシス重合触媒)およ
びノルボルネン系モノマーを用い、反応条件すなわち触
媒の使用量、反応温度、反応調節剤の使用など適宜選択
することにより、メタセシス重合反応の速度を任意に調
節することができる。そのため、原料であるノルボルネ
ン系モノマーの重合が完結していない反応途中の状態の
成形材を得ることができる。このような状態を「予備硬
化状態」という。この予備硬化状態にある成形材を加熱
するとメタセシス重合反応が再開し、硬化を完結させる
ことができる。
【0055】本発明の予備硬化状態にある成形材は、条
件を選択することにより、流動性のある液体状や流動性
のない固形状にすることができる。また、賦形の方法に
応じて適宜その流動状態を選ぶことができる。予備硬化
状態の成形材が液体状の場合、その粘度は通常数10c
ps以上であり、賦形の方法に応じて適宜選択すること
ができる。予備硬化状態の成形材が固形状の場合、その
硬さ(曲げ剛性)に特に限定はなく、賦形の方法に応じ
て適宜選択することができる。予備硬化させてから所定
の形状に賦形するまでの時間は、成形品の生産の形態に
応じて適宜選択すればよい。また、予備硬化時間を維持
する時間は保管温度によって調整することが可能であ
る。
【0056】本発明の成形材には、必要に応じて、酸化
防止剤、紫外線吸収剤、エラストマー、高分子改質剤、
充填剤、難燃剤、架橋剤、摺動化剤、着色剤、着臭剤、
軽量化のためのフィラー類、発泡剤、表面平滑化のため
のウィスカーなど種々の添加剤を配合することにより、
後述する成形品の特性を改質することができる。通常、
これらの添加剤は、予めノルボルネン系モノマーに溶解
または分散させて使用する。
【0057】酸化防止剤としては、例えば、ヒンダード
フェノール系、リン系、アミン系などの各種のプラスチ
ック・ゴム用酸化防止剤が挙げられる。これらの酸化防
止剤は単独で用いてもよいが、併用することが好まし
い。酸化防止剤の配合割合は、通常、ノルボルネン系モ
ノマーに対して0.5重量部以上、好ましくは1〜3重
量部である。また酸化防止剤はモノマーと共重合可能な
ものでもよく、その具体例として5−(3,5−ジ−t
ert−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンジル−2−ノル
ボルネンなどのごときノルボルネニルフェノール系化合
物などが例示される(例えば、特開昭57−83522
号公報参照)。
【0058】エラストマーは、ノルボルネン系モノマー
に可溶なものであれば特に限定されない。かかるエラス
トマーとしては、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、ポリ
ブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、エチ
レン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジ
エンターポリマー(EPDM)、スチレン系ブロック共
重合体などが挙げられるが、EPDM、スチレン系ブロ
ック共重合体などが好ましい。これらのエラストマー
は、平均分子量が500〜数千の液状のものから、数万
〜数十万の固体状のものまで広範な範囲のものを用いる
ことができる。また、単独で用いても、2種以上を併用
してもよい。
【0059】充填剤としては、ガラス粉末、タルク、炭
酸カルシウム、雲母、水酸化アルミニウムなどの無機質
充填剤が挙げられる。かかる充填剤はシランカップリン
グ剤などで表面処理したものが好ましい。架橋剤として
イオウまたは過酸化物を用いると耐熱性が向上する。
【0060】補強材としては、ガラス、炭素などの無機
系補強材、PAN、ピッチ、レーヨン系炭素繊維、PE
T、ポリエチレン、ケプラーなどの有機系繊維を使用す
ることができる。これらの補強材は、チョップドストラ
ンド、マット、ロービング、クロスなどのいずれの形態
でもよい。これらの補強材は、材料に混合しておくこと
ができ、また、予め成形用型に設置しておいてもよい。
【0061】本発明の成形材は温度依存性が大きい、す
なわち低温では安定だが、高温では反応性に優れるルテ
ニウム錯体触媒を用いて製造されるため、予備硬化状
態にある成形材の保存安定性に優れ(硬化反応は進行し
ない)、また、成形材中に含まれるルテニウム化合物
(ルテニウム錯体化合物またはその分解生成物)の量が
25ppm以下に抑えることができる。したがって、最
終的に得られる成形品が、例えば、電気・電子部品など
のような触媒由来の金属化合物、ハロゲンなどの含有量
が極力少ない方が望ましい成形品の材料として好適に用
いることができる。
【0062】(成形品の製造方法および成形品)予備硬
化状態にある成形材を加熱することで硬化させて成形品
を得る。加熱の操作は通常2段階で行われる。1段階目
の加熱は、前述した予備硬化状態とするために行われる
ものである。その温度は、通常は、0〜100℃、好ま
しくは20〜50℃で、その時間は触媒の量および反応
温度により適宜設定することができる。2段階目の加熱
は、所定の形状に賦形するとともに硬化を完了させるた
めに行われる。その際の温度は通常50〜250℃、好
ましくは60〜200℃であり、反応の時間は触媒の使
用量および反応温度により適宜設定することができる。
前述したように、本発明では、温度依存性の大きいルテ
ニウム錯体触媒を用いるため、成形材の硬化時間は短時
間に設定することができ、工業的に製造する上で有利と
なる。
【0063】本発明においては、予備硬化状態にある成
形材を所定形状に賦形した後、賦形された成形材を加熱
硬化させてもよく、成形材を所定形状に賦形すると同時
に加熱硬化させることもできる。また、本発明の成形材
は、無溶剤の組成で使用でき、必要に応じて溶剤を使用
することもできる。
【0064】本発明の予備硬化状態にある成形材を加熱
硬化させて得られる成形品としては、パイプ、半円管、
積層体などの平面状物、立体状物のいかなるものであっ
てもよい。所定の形状に賦形するために成形用金型を使
用する場合には、圧縮成形用の型、通常のSMC(Sh
eet Mold Compound)やBMC(Bu
lk Mold Compound)成形用型を使用す
ることができる。また、圧縮、射出圧縮、マッチドメタ
ルダイ、プリプレグ成形などの各種成形法が使用でき
る。成形品の用途や生産量に応じて、成形法を適宜選択
し、また、型の形状や材質を選ぶことができる。
【0065】(プリント配線基板)本発明の成形品の製
造方法は、プリント配線基板の製造に好適に適用するこ
とができる。かかるプリント配線基板は、先ず基材に含
浸させたプリプレグまたはシート状(シートまたはフィ
ルム)の予備硬化状態にある成形材を準備し、このもの
を積層し、加熱硬化させることにより製造される。
【0066】プリプレグを製造する方法は特に限定され
ないが、通常、前記したようなモノマー、触媒および各
種配合剤を均一に溶解ないしは分散させた反応液を、補
強基材に含浸させて、予備硬化させるための加熱処理を
施して製造される。一般に、プリプレグは50〜500
μm程度の厚さになるようにするのが好ましい。
【0067】補強基材としては、例えば、紙基材(リン
ター紙、クラフト紙など)、ガラス基材(ガラスクロ
ス、ガラスマット、ガラスペーパークオーツファイバー
など)および合成樹脂含浸基材(ポリエステル樹脂、ア
ラミド繊維など)を用いることができる。また、これら
の補強基材は、シランカップリング剤などの処理剤で表
面処理されていてもよい。これらの補強基材は、それぞ
れ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いること
ができる。補強基材に対するポリノルボルネン系樹脂の
使用量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、補強基
材に対して1〜90重量%、好ましくは10〜60重量
%の範囲である。
【0068】シートを製造する方法は特に限定されない
が、一般にはキャスティング法が用いられる。例えば、
前述したようなモノマー、触媒および各種配合剤を均一
に溶解ないしは分散させた反応液を、平滑面上に流延ま
たは塗布し、予備硬化させるための加熱処理を施した
後、平滑面から剥離してシートを得る。平滑面として
は、鏡面処理した金属板や樹脂製のキャリアフィルムな
どを用いることができる。キャスティング法により得ら
れるシートは、一般に10μm〜1mm程度の厚みを有
する。
【0069】プリント配線板(積層板)は、前述のプリ
プレグおよび/またはシートを積み重ね、加熱圧縮成形
して硬化させることにより、必要な厚さにしたものであ
る。この基板には、例えば、金属箔などからなる配線用
導電層を積層したり、表面のエッチング処理などにより
回路を形成する。配線用導電層は、基板の外部表面に積
層するのみでなく、必要に応じて、基板の内部に積層さ
れていてもよい。エッチング処理などの二次加工時の反
り防止のためには、上下対称に組み合わせて積層するこ
とが好ましい。例えば、重ねたプリプレグおよび/また
はシートを、熱硬化温度以上、通常60〜250℃、好
ましくは80〜250℃に加熱し、10〜80gf/c
2程度に加圧して積層板を得ることができる。
【0070】これらの絶縁層または基材に金属を適用す
る他の方法としては、蒸着、電気メッキ、スパッタリン
グ、イオンメッキ、噴霧およびレヤーリングなどがあ
る。一般に使用される金属は、銅、ニッケル、錫、銀、
金、アルミニウム、白金、チタン、亜鉛およびクロムな
どが挙げられる。配線基板においては、銅がもっとも頻
繁に使用されている。
【0071】かかるプリント基板は、例えば次のように
して電気素子などを実装することもできる。先ず、本発
明の成形材の製造方法によって得られる樹脂と、所望に
よりフィラーなどを添加した組成物を混練機や3本ロー
ルなどの公知の手段によって十分に混合し、これを圧延
法、押出法、射出法、ドクターブレード法などによって
シート状に成形し、必要に応じ熱処理を施して予備硬化
状態にある硬化可能な絶縁シートを得る。次に、この絶
縁シートに、所望により厚み方向に貫通するスルーホー
ルを形成し、そのスルーホール内に導電性金属ペースト
を充填して、バイアホール導体を形成する。
【0072】さらに、この絶縁シートの所定箇所に電気
素子を収納するための空隙部を形成する。次いで、絶縁
シート表面に配線回路層を形成するとともに前記空隙部
に電気素子を実装する。配線回路層は、例えば、絶縁シ
ート表面にメッキにより金属層を形成し、エッチング処
理して回路パターンを形成する方法、あるいは絶縁シー
ト表面にレジストパターンを形成し、メッキにより回路
パターンを形成する方法などの公知の方法により形成す
ることができる。
【0073】電気素子が実装された転写フィルムを絶縁
シートに対して、電気素子が絶縁シートの空隙部に収納
されるように積層して圧着した後、転写フィルムを剥が
して、電気素子を絶縁シートに転写させて、電気素子が
空隙部に実装収納された単層の配線層を形成する。この
場合、配線回路層と電気素子を実装した構造物を転写フ
ィルムから絶縁シートに転写させることもできる。
【0074】その後は、電気素子が収納された絶縁シー
トの上下面に、本発明で得られる予備硬化状態にある第
2、第3の絶縁シートを積層圧着して、絶縁シートが硬
化するのに十分な温度に加熱して、一括して完全硬化さ
せる。
【0075】このようにして得られる配線基板は、低誘
電率であって電気的特性に優れ、機械的強度、密着性に
優れたものである。
【0076】
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて、本発明
をより具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの
例に限定されるものではない。なお、これらの例におい
て、%および比率は重量基準値である。また、各種物性
の測定法は、次のとおりである。
【0077】(1)粘度:B型粘度計(トキメック社
製)を使用して、No.4のローターを12rpmで回
転させて測定した。 (2)ガラス転移温度(Tg):ガラス転移点温度(T
g)測定はJIS K7121にしたがってTigを測
定してTgとした。 (3)引き剥がし強さ:JIS C6481にしたがっ
て測定した。
【0078】実施例1 予備硬化状態にある成形材の調
製及び低温安定性試験 300mlのセパラブルフラスコに、ベンジリデン
(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)
(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリ
ド(Org.Lett.,1999年,1巻,953頁
の記載に基づいて合成したもの)42mg(重合系での
濃度0.5ミリモル/リットル)と攪拌子を入れた。
【0079】トルエン0.5mlを加えてマグネティッ
クスターラーで攪拌してルテニウム触媒を溶解させた
後、ジシクロペンタジエン(5−エチリデンビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エンを10%含む)99.
5mlを加えて攪拌した。攪拌子をとりだし、30℃の
ウォーターバスに入れ50分間メカニカルスターラーで
攪拌した後、ただちに氷冷したところ、流動性のある高
粘度の液体となった(成形材1)。以上の操作は、すべ
て窒素雰囲気で行なった。成形材1の0℃における粘度
を測定したところ、12.2Pasであった。
【0080】成形材1の低温での保存安定性を調べるた
めに、−10℃の冷蔵庫に窒素雰囲気下で1週間保存し
たところ、流動性のある高粘度の液体状態が保たれてい
た。0℃における粘度を測定したところ、18.2Pa
sであった。
【0081】比較例1 予備硬化状態にある成形材の調
製及び低温安定性試験 300mlのセパラブルフラスコに、ジシクロペンタジ
エン(5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−
2−エンを10%含む)100mlとトリフェニルホス
フィン78mg(重合系での濃度3ミリモル/リット
ル)を入れ、メカニカルスターラーで攪拌し溶解させ
た。これに、ベンジリデンビス(トリシクロヘキシルホ
スフィン)ルテニウムジクロリド(Strem Che
mical社製)を41mg(重合系での濃度0.5ミ
リモル/リットル)加え、攪拌し溶解させた。これを3
0℃のウォーターバスに入れ50分間攪拌した後、ただ
ちに氷冷したところ、流動性のある高粘度の液体となっ
た(成形材2)。以上の操作は、すべて窒素雰囲気で行
なった。
【0082】成形材2の0℃における粘度を測定したと
ころ、10.3Pasであった。成形材2の低温での保
存安定性を調べるために、−10℃の冷蔵庫に窒素雰囲
気下で保存したところ、1日後には流動性の無い固形状
になっていた。以上のように、比較例1では低温でも硬
化反応が進行し、保存安定性が悪いことがわかった。
【0083】実施例2 前記成形材1の高温での硬化反
温度調節用配管を有する4×10×10の平板成形用プ
レス用金型(SUS420j2製)を、上下動可能な油
圧プレスを有するプレス成形装置に設置し、型温は、上
型80℃、下型60℃とした。型が開いた状態で、前記
の成形材1を40gだけ下型に導入し、続いて、油圧プ
レスを作動させて型を閉じて成形した。このときの圧力
は、平板の面積1平方cm当たり10kgであった。3
分経過後、型を開けて成形品を取り出した。以上の成形
操作は、空気中で行なった。得られた成形品は、充分に
硬化しており、Tgは130℃であった。
【0084】比較例2 前記成形材2の高温での硬化反
成形材2を使用する他は、実施例2と同様に操作した。
得られた成形品は、充分に硬化しておらず、Tgは45
℃であった。この成形品を、150℃のオーブンに30
分間入れてポストキュアーを行なったところ、硬化が進
行し、Tgが131℃となった。以上のように、比較例
2では高温での反応性が悪いため、金型内では硬化不充
分となり、充分に硬化させるためには、更に高温でのポ
ストキュアーが必要であった。
【0085】実施例3 ベンジリデン(1,3−ジメシ
チル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロ
ヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリドを使用した
成形材の調製および硬化反応 ルテニウム触媒として、ベンジリデン(1,3−ジメシ
チル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロ
ヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド(Tetr
ahedron Lett.,1999年,40巻,2
247頁の記載に基づいて合成したもの)を、42mg
(重合系での濃度0.5ミリモル/リットル)使用し、
ウォーターバスの温度を46℃とし、半硬化成形材の冷
蔵庫での保存温度を0℃とする以外は、実施例1と同様
に操作した。ここで得られた成形材を成形材3とする。
【0086】調製直後の成形材3の0℃における粘度
は、11.5Pasであった。また、0℃で1週間保存
した後の0℃における粘度は、12.9Pasであり、
低温での保存安定性に優れていることが分かった。ま
た、調製直後の成形材3を用いて、実施例2と同様に平
板を成形したところ、平板のTgは、131℃であっ
た。このことから、高温での重合反応性にも優れている
ことが分かった。
【0087】実施例4 強化材入り成形材の調製および
硬化反応 500mlのセパラブルフラスコに、ジシクロペンタジ
エン(シクロペンタジエンの3量体を10%含む)10
0g、ガラス繊維のチョップドストランド(商品番号:
CS3E227,日東紡績(株)製、120℃で30分
乾燥させた後に室温に戻したもの)60gおよび炭酸カ
ルシウム粉末(商品名:白艶華A,白石工業(株)製、
120℃で30分乾燥させた後に室温に戻したもの)6
0gを加え、メカニカルスターラーで攪拌しながら真空
にして脱泡した後、窒素置換した。
【0088】液状老化防止剤(2,6−ジ−tert−
ブチルフェノールと2,6−ジ−tert−ブチル−4
−メチルフェノールを2:1の比率で混合したもの)に
ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2
−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニ
ウムジクロリド(実施例1と同じもの)を1%溶解させ
た触媒液2.1gを、セパラブルフラスコ内にメカニカ
ルスターラーで激しく攪拌しながら加えた。セパラブル
フラスコを34℃のウォーターバスにつけ、50分間攪
拌を続けた後、ただちに氷冷したところ、流動性のある
高粘度混合物(成形材4)が得られた。
【0089】成形材4を−10℃の冷蔵庫に入れて、1
週間保存したところ、流動性のある状態を保っていた。
保存後の成形材4を65g使用し、型温を上型120
℃、下型80℃とする以外は、実施例2と同様にして平
板を成形したところ、ガラス繊維強化成形品が得られ
た。
【0090】実施例5 プリプレグ(樹脂含浸基材)法
による銅張積層板の製造 300mlのナス型フラスコに、テトラシクロ[7.
4.0.110,13.02,7]トリデカ−2,4,6,11
−テトラエン(インデンとシクロペンタジエンのディー
ルス・アルダー付加物)98mlと攪拌子を入れた。そ
こへ、液状老化防止剤(2,6−ジ−tert−ブチル
フェノールと2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチ
ルフェノールを2:1の比率で混合したもの)にベンジ
リデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリ
デン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジ
クロリド(実施例1と同じもの)を2%溶解させた触媒
溶液を2.1g加えて攪拌し、配合液1を得た(配合液
中のルテニウム濃度は、0.5ミリモル/リットル)。
以上の操作は、すべて窒素雰囲気で行なった。
【0091】窒素雰囲気下のドライボックス内に、テフ
ロンシートを敷き、その上に厚み0.19mmのガラス
クロス(商品番号:WE 19 105、日東紡績
(株)製)に上記配合液1を含浸させたものを1枚敷
き、その上にテフロン(登録商標)シートをかけて、室
温(23℃)で2時間置き、半硬化状態としてプリプレ
グを得た。このプリプレグをテフロンシートをつけたま
まロール状に巻いて、窒素雰囲気下−10℃で2日間保
存した。保存後のプリプレグを室温に戻した後、空気中
に出してテフロンシートを剥がした。このプリプレグを
4枚重ね、外層両側に18μmの電解銅箔を積層し、プ
レス成形装置で2枚のステンレス鏡板にはさみ、1平方
cm当たり30kgの荷重をかけて190℃で10分間
加熱加圧し、0.8mmの銅張積層板を得た。得られた
銅張積層板の銅箔引き剥がし強さを測定したところ1,
300gf/cmであった。
【0092】比較例3 プリプレグ(樹脂含浸基材)法
による銅張積層板の製造 300mlのナス型フラスコに、テトラシクロ[7.
4.0.110,13.02,7]トリデカ−2,4,6,11
−テトラエン(インデンとシクロペンタジエンのディー
ルス・アルダー付加物)99.5mlと攪拌子を入れ、
トリフェニルホスフィン78mg(重合系での濃度3ミ
リモル/リットル)を加え、攪拌し溶解させた。
【0093】液状老化防止剤(2,6−ジ−tert−
ブチルフェノールと2,6−ジ−tert−ブチル−4
−メチルフェノールを2:1の比率で混合したもの)に
ベンジリデンビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ル
テニウムジクロリド(Strem Chemical社
製)を2%溶解させた触媒溶液を2.1g加えて攪拌
し、配合液2を得た(配合液中のルテニウム濃度は、
0.5ミリモル/リットル)。以上の操作は、すべて窒
素雰囲気で行なった。
【0094】以降の操作は、実施例5と同様にして銅張
積層板を得た。しかし、この銅張積層板の引き剥がし強
さは200gf/cmであった。引き剥がし強さが小さ
いのは、保存中に硬化が進んだために銅箔と積層した際
に充分な接着が出来なかったことを示している。
【0095】実施例6 300mlのセパラブルフラスコに、ベンジリデン
(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)
(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリ
ド(Org.Lett.,1999年,1巻,953頁
の記載に基づいて合成したもの)8.5mg(重合系で
の濃度0.1ミリモル/リットル、ルテニウム濃度10
ppm)と攪拌子を入れた。これに、トルエン0.2m
lを加えてマグネティックスターラーで攪拌してルテニ
ウム触媒を溶解させた後、ジシクロペンタジエン(シク
ロペンタジエンの3量体を10%含む)99.8mlを
加えて攪拌した。攪拌子をとりだし、45℃のウォータ
ーバスに入れ、50分間メカニカルスターラーで攪拌し
た後、ただちに氷冷したところ、流動性のある高粘度の
液体となった(成形材5)。以上の操作は、すべて窒素
雰囲気で行なった。
【0096】次いで、成形材5を実施例2と同様に成形
して平板を得た。得られた成形品は、充分に硬化してお
り、Tgは143℃であった。このように、触媒量を減
量しても充分な反応性が得られることがわかった。
【0097】比較例4 300mlのセパラブルフラスコに、ジシクロペンタジ
エン(シクロペンタジエンの3量体を10%含む)10
0mlとトリフェニルホスフィン5.2mg(重合系で
の濃度0.2ミリモル/リットル)を入れ、メカニカル
スターラーで攪拌し溶解させた。これに、ベンジリデン
ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジク
ロリド(Strem Chemical社製)を8.2
mg(重合系での濃度0.1ミリモル/リットル、ルテ
ニウム濃度10ppm)加え、攪拌し溶解させた。これ
を45℃のウォーターバスに入れ50分間攪拌した後、
ただちに氷冷したところ、流動性のある高粘度の液体と
なった(成形材6)。以上の操作は、すべて窒素雰囲気
で行なった。
【0098】次いで、成形材6を実施例2と同様に成形
して、平板を得た。得られた成形品は、充分に硬化して
おらず、ゴム状であった。この成形品を、150℃のオ
ーブンに30分間入れてポストキュアーを行なったが、
硬化は不充分であり、Tgが65℃となった。以上のよ
うに、比較例4では触媒量を減量することにより、高温
での反応性が比較例2に増して悪くなり、ポストキュア
ーを行なっても硬化不充分であった。
【0099】
【発明の効果】本発明は、従来用いられているメタセシ
ス重合触媒に比して温度依存性が大きなルテニウム触媒
を用いる。本発明に用いられるルテニウム触媒は、低温
での安定性に優れ、高温での反応性に優れるという利点
をもつ。従って、本発明の半硬化状態にある成形材は、
低温安定性に優れ、高温での重合反応性に優れている。
【0100】本発明の製造方法は、高温での反応性に優
れる触媒を用いるため、硬化時間を短くでき、触媒量の
低減化を図ることができるので、予備硬化状態にある成
形材および成形品を工業的に有利に製造することができ
る。
【0101】また本発明によれば、触媒由来の金属、ハ
ロゲンなどの含有量が極めて少ない成形材が得られる。
従って、特に電気・電子部品用途のように、最終的に得
られる成形品中の金属含有量が可能な限り低減すること
が求められる成形品の製造に好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29K 105:06 B29K 105:06 C08L 65:00 C08L 65:00 (72)発明者 神田 直樹 神奈川県川崎市川崎区夜光1−2−1 日 本ゼオン株式会社総合開発センター内 Fターム(参考) 4F071 AA69 AF13 AF36 AF40 AF58 AH13 BA02 BB01 BB12 BC01 BC03 4F204 AA12 EA03 EB01 EE03 EE10 EE23 EF27 EK13 EK17 4J032 CA23 CA24 CA27 CA28 CA34 CA35 CA36 CA38 CA43 CA45 CA46 CA68 CB01 CB03 CD02 CE06 CE07 CF01 CG07

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ルテニウム錯体触媒の存在下に、ノルボル
    ネン系モノマーを開環メタセシス重合させて得られる予
    備硬化状態にある硬化可能な成形材であって、 前記ルテニウム錯体触媒として、ルテニウムに少なくと
    も1つのヘテロ原子含有カルベン化合物が配位してなる
    ルテニウム錯体を用いたことを特徴とする成形材。
  2. 【請求項2】前記成形材中に含まれるルテニウム化合物
    の濃度は25ppm以下である、 請求項1に記載の成形材。
  3. 【請求項3】前記請求項1または2に記載の成形材を得
    る第1の工程と、 該成形材を所定形状に賦形し、加熱硬化せしめる第2の
    工程とを有する、成形品の製造方法。
  4. 【請求項4】前記請求項1または2に記載の成形材を用
    いて成形したことを特徴とする成形品。
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