JP2001276722A - 塗膜形成方法 - Google Patents

塗膜形成方法

Info

Publication number
JP2001276722A
JP2001276722A JP2000091150A JP2000091150A JP2001276722A JP 2001276722 A JP2001276722 A JP 2001276722A JP 2000091150 A JP2000091150 A JP 2000091150A JP 2000091150 A JP2000091150 A JP 2000091150A JP 2001276722 A JP2001276722 A JP 2001276722A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating
coating film
electrodeposition
powder coating
powder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000091150A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4309017B2 (ja
Inventor
Junichi Fukuno
純一 福野
Masayuki Yamaguchi
賢之 山口
Masaru Ishiwatari
賢 石渡
Koichi Iwamoto
宏一 岩本
Tsuneo Ukita
恒夫 浮田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Nippon Paint Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Nippon Paint Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd, Nippon Paint Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2000091150A priority Critical patent/JP4309017B2/ja
Publication of JP2001276722A publication Critical patent/JP2001276722A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4309017B2 publication Critical patent/JP4309017B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 粉体塗膜形成後に電着塗膜を形成するリバー
ス塗装において、粉体塗膜の塗り際部の耐食性および密
着性を改善した塗膜形成方法を提供すること。 【解決手段】 下記工程を包含する、導電性被塗物の表
面に塗膜を形成する方法:(1)第1のブロックポリイ
ソシアネート化合物と熱硬化性樹脂とを含有する熱硬化
性粉体塗料を、導電性被塗物表面に塗布して粉体塗膜を
形成する工程、(2)粉体塗料が熱溶融するが熱架橋反
応を生じない条件にて、該粉体塗膜を加熱する工程、
(3)第2のブロックポリイソシアネート化合物と、カ
チオン性基体樹脂と、該熱硬化性粉体塗料の硬化を促進
する金属触媒とを含有するカチオン電着塗料を用いて電
着塗装を行って、導電性被塗物表面の未塗装部分に電着
塗膜を形成する工程、(4)形成された塗膜を水洗する
工程、及び(5)塗膜を加熱することにより硬化させる
工程。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は塗膜形成方法に関
し、特に、粉体塗料による塗膜形成を行った後に、電着
塗料によって電着塗膜を形成するリバース塗装法による
塗膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車車体における塗装に関して、粉体
塗料による塗膜形成を行った後、電着塗料による電着塗
膜を形成するリバース塗装においては、粉体塗膜と電着
塗膜との塗り際部付近におけるトータル膜厚の確保が困
難であり、耐食性が不十分であった。この課題を解決す
る技術として、特開平9−206663号公報に、粉体
塗料による塗膜形成前に被塗物の上記塗り際部付近とな
る箇所に、予め導電性プライマーを塗装しておくこと
が、また特開平9−206664号公報には、粉体塗料
による塗膜を形成した後、電着塗膜形成前に、上記塗り
際部付近となる箇所に、導電性プライマーを塗装してお
く方法が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記導電性プライマー
を用いる塗装方法は、トータル膜厚の確保が困難な、上
記塗り際部付近の改善の一方策であるが、導電性プライ
マーを塗装するための工程を別途必要とするものであ
る。また上記塗り際部付近においては、これらの方法を
用いても耐食性および密着性が十分とは言い難い。
【0004】本発明が解決しようとする課題は、上記リ
バース塗装系で、トータル膜厚の確保が困難な、上記塗
り際部付近において、導電性プライマーを使用せずに、
上記塗り際部付近における耐食性および密着性が良好に
行われる塗膜形成方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上述の課題
に鑑み鋭意研究した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記(1)〜(5)の工程を包含
する導電性被塗物の表面に塗膜を形成する方法を提供す
る。
【0006】(1)第1のブロックポリイソシアネート
化合物と熱硬化性樹脂とを含有する熱硬化性粉体塗料
を、導電性被塗物表面に塗布して粉体塗膜を形成する工
程、(2)熱硬化性粉体塗料が熱溶融するが熱架橋反応
を生じない条件にて、該粉体塗膜を加熱する工程、
(3)第2のブロックポリイソシアネート化合物と、カ
チオン性基体樹脂と、該熱硬化性粉体塗料の硬化を促進
する金属触媒とを含有し、この金属触媒中の金属量が塗
料固形分100質量部に対して0.1〜0.5質量部で
あり、硬化開始温度が100〜150℃であり、塗装時
の電着塗料液のpHが5.7〜6.7であるカチオン電
着塗料を用いて電着塗装を行って、導電性被塗物表面の
未塗装部分に電着塗膜を形成する工程、(4)導電性被
塗物表面上に形成された塗膜を水洗する工程、及び
(5)該塗膜を温度160〜200℃に加熱することに
より硬化させる工程。
【0007】工程(3)で用いる金属触媒中の金属は、
錫、鉛、ビスマス、銅、亜鉛からなる群から選択される
1種または2種以上であることが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳述する。
【0009】塗膜形成方法 本発明の塗膜形成方法に適用する導電性被塗物として、
冷延鋼板、各種めっき鋼板、ステンレス板、アルミニウ
ム板等の各種金属板または加工品、これらの金属を脱脂
や化成処理等により表面処理した各種金属板または加工
品、導電プライマー等を塗布して導電処理したプラスチ
ック板または加工品等が挙げられる。本発明の塗膜形成
方法はこれらの導電性被塗物に対し、下記(1)〜
(5)の工程を順次経て塗膜を形成するものである。
【0010】(1)粉体塗料塗装工程 本発明における工程(1)は熱硬化性粉体塗料を導電性
被塗物の表面に塗布して粉体塗膜を形成する工程であ
る。
【0011】本発明の工程(1)に用いる熱硬化性粉体
塗料は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹
脂、エポキシ樹脂とポリエステル樹脂をブレンドしたポ
リエステル・エポキシ樹脂、エポキシ樹脂とアクリル樹
脂をブレンドしたアクリル・エポキシ樹脂等の熱硬化性
樹脂、および硬化剤として第1のブロックポリイソシア
ネート化合物を含有する熱硬化性の粉体塗料である。
【0012】上記エポキシ樹脂としては、グリシジルエ
ステル樹脂、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンと
の縮合物等のグリシジルエーテル樹脂、脂環式エポキシ
樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、含臭素エポキシ樹脂、
フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラ
ックエポキシ樹脂等の分子内に2個以上のオキシラン基
を含有する化合物が挙げられる。
【0013】上記アクリル樹脂としては、スチレン、
(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メ
タ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチ
ル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル。(メタ)アク
リル酸tert−ブチル、グリシジル(メタ)アクリレ
ート、2−メチルグリシジルメタクリレート等のモノマ
ーを通常の方法で重合させたものが挙げられる。
【0014】またポリエステル樹脂としては、多塩基酸
と多価アルコールを加熱縮合して得られた縮合物が挙げ
られる。多塩基酸としては、例えば、マレイン酸、テレ
フタル酸、イソフタル酸、フタル酸、コハク酸、グルタ
ミン酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられ、多価ア
ルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエ
チレングリコール、プロパンジオール、ペンタンジオー
ル、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリ
メチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げら
れる。
【0015】上記熱硬化性の粉体塗料中に硬化剤として
配合される第1のブロックイソシアネート化合物として
は、ウレトジオン等のように解離してイソシアネート基
を発生させる化合物も含めるものとする。この第1のブ
ロックポリイソシアネート化合物は、ポリイソシアネー
ト化合物をブロック剤でブロックしたものである。ここ
で好ましいポリイソシアネート化合物としては、トリグ
リシジルイソシアネート、キシリレンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイ
ソシアネートおよびこれらのウレトジオン類等を挙げる
ことができる。また好ましいブロック剤としては、ε−
カプロラクタム等のラクタム類等を挙げることができ
る。
【0016】なお、硬化剤として、セバシン酸等の脂肪
族多価カルボン酸、アミノプラスト樹脂、脂肪族酸無水
物、アミン系化合物、ジシアンジアミド、フェノール樹
脂、エポキシ樹脂等を、ポリイソシアネート化合物の効
果を妨げない量で併用することも可能である。
【0017】上記熱硬化性粉体塗料の熱硬化性樹脂/硬
化剤固形分質量比は、好ましくは55/45〜90/1
0、より好ましくは60/40〜85/15である。5
5/45〜90/10の範囲から外れると、硬化性に問
題を生じる恐れがある。
【0018】また上記粉体塗料は、着色顔料、防錆顔料
または体質顔料等の顔料;表面調製剤;ベンゾイン、ベ
ンゾイン誘導体等の発泡防止剤;ワキ防止剤;硬化触
媒;可塑剤;紫外線吸収剤;酸化防止剤;顔料分散剤;
難燃剤;流動性付与剤等の各種添加剤を含むことができ
る。
【0019】上記粉体塗料の粒径は、平均粒径で10〜
50μmが好ましく、10μm未満では、粒径を粉砕す
るのに生産コストがかさむ恐れがあり、50μmを超え
ると塗膜外観が低下する恐れがある。
【0020】上記粉体塗料として、例えば「パウダック
スP−100」(ポリエステル樹脂系)、「パウダック
スP−200」(ポリエステル樹脂系)、「パウダック
スP−300」(アクリルポリエステル樹脂系)、「パ
ウダックスP−500」(ポリエステル樹脂系)、「パ
ウダックスP−700」(ポリエステル樹脂系、いずれ
も日本ペイント社製)等が、好ましく挙げられる。
【0021】上記粉体塗料を静電粉体塗装法により、必
要により表面処理した導電性被塗物に塗装する。静電粉
体塗装法としては、コロナ荷電法または摩擦荷電法を用
いることができる。
【0022】上記静電粉体塗装法は、被塗物を接地した
後、コロナ帯電型塗装ガンまたは摩擦帯電型塗装ガン等
の粉体塗装ガンを用いて粉体塗料を、導電性被塗物にス
プレーすることにより行われる。好ましい塗装のための
条件は、コロナ帯電型塗装ガンにて塗装電圧:−50〜
−100KV、吐出量:50〜400g/分、吐出圧:
0.05〜0.2MPa、塗装ガン先端から被塗物まで
の距離:10〜50cmであり、これらの範囲で塗装す
ることにより、粉体塗料中の粒子が導電性被塗物に静電
的に付着して未硬化の粒子層が形成される。本工程の粉
体塗料の硬化膜厚は、15〜100μmとなるようにす
ることが好ましい。
【0023】(2)熱溶融プレヒート工程 本発明における工程(2)は、熱溶融プレヒートを施す
工程である。熱溶融プレヒートとは、粉体塗料が熱溶融
するが熱架橋反応を生じない条件にて、粉体塗膜を加熱
する工程である。例えば、粉体塗料でなる粉体塗膜が完
全に硬化せず熱溶融し、かつ塗膜として架橋反応を生じ
ない加熱条件にて、1〜15分間加熱する。この時の温
度は、用いる粉体塗料の種類により異なるが、具体的に
は70〜150℃、好ましくは70〜120℃の温度で
ある。この熱溶融プレヒート工程により、上記被塗物を
工程(3)の電着塗料浴に浸漬した際に、粉体塗料によ
る未硬化塗膜が被塗物から剥落することを防止できる。
【0024】(3)カチオン電着塗装工程 この工程(3)では、上記工程(2)に引き続き、表面
に塗膜を有する導電性被塗物をカチオン電着塗料を含む
浴中に浸漬し、電着塗装法により、導電性被塗物の未塗
装部分に電着塗膜を形成する。上記カチオン電着塗料は
第2のブロックポリイソシアネート化合物と、これと反
応するカチオン性基体樹脂と、該熱硬化性粉体塗料の硬
化を促進する金属触媒とを含有し、この金属触媒中の金
属量が塗料固形分100質量部に対して0.1〜0.5
質量部であり、硬化開始温度が100〜150℃であ
り、塗装時の電着塗料液のpHが5.7〜6.7であ
る。
【0025】本明細書において、導電性被塗物の未塗装
部分とは、粉体塗料による塗膜が被覆されていない領域
または粉体塗装ダスト部等の粉体塗料による塗膜に素穴
の発生している領域をいう。粉体塗料による塗膜形成
は、平面的な被塗物上には、十分均一に形成できるが、
被塗物が凹凸形状、湾曲形状、袋状形状のような非平面
部を有する場合、均一に形成するのは困難であり、粉体
塗料による塗膜が十分に形成されないか、または全く形
成されない領域が発生する。従って、本工程(3)で
は、上記工程(1)及び(2)で形成された導電性被塗
物の未塗装部分の領域に電着塗膜を形成することにな
る。
【0026】本工程に用いる電着塗料は、第2のブロッ
クポリイソシアネート化合物およびカチオン性基体樹脂
を含有しているが、更に工程(1)で用いる粉体塗料の
硬化反応を促進する金属触媒を塗料固形分100質量部
に対して0.1〜0.5質量部を含んでいる。0.1質
量部未満では電着塗膜の硬化が不足し、上記塗り際部付
近の耐食性が不充分となり、0.5質量部を超えると粉
体塗膜の硬化を促進しすぎてしまい、上記塗り際部付近
の粉体塗膜上の塗り重ね塗膜との密着性が低下する。上
記熱溶融プレヒートされた粉体塗膜に、上記金属触媒を
含む電着塗膜が塗り重ねられることにより、未硬化の粉
体塗膜中のポリイソシアネート化合物と金属触媒とで適
度の反応を生じ上記塗り際部付近の密着性および耐食性
を改善することができる。
【0027】上記金属触媒としては、金属触媒中の金属
が、錫、鉛、ビスマス、銅、亜鉛、コバルト、ニッケル
より選ばれた1種または2種以上であるものが好まし
い。より好ましいものは錫、鉛、ビスマス、銅、亜鉛よ
り選ばれた1種または2種以上である。これらの金属触
媒は、通常、有機化合物塩、有機酸塩、塩基性金属塩、
無機酸塩の形態をとっている。上記金属触媒は必要に応
じ、同種類または異種類の金属を含有する2種以上を混
合して用いることができる。有機化合物塩として、例え
ば、ジブチル錫オキシド、ジオクチル錫オキシド、ビス
アセチルアセトナート亜鉛、ビスアセチルアセトナート
銅等があり、有機酸塩として、例えば、ジブチル錫ジラ
ウレート、ジブチル錫ジアセテート、酢酸鉛、2−エチ
ルヘキサン酸鉛、ナフテン酸ビスマス、乳酸ビスマス、
ジメチロールプロピオン酸ビスマス、オクチル酸ビスマ
ス、2−エチルヘキサン酸銅、オクチル酸亜鉛、酢酸亜
鉛等があり、塩基性金属塩として、例えば、塩基性ケイ
酸鉛、塩基性炭酸ビスマス、水酸化ビスマス、塩基性炭
酸銅、水酸化銅、水酸化亜鉛、塩基性ケイ酸亜鉛、塩基
性炭酸亜鉛等があり、無機酸塩として、例えば、塩化
錫、硫酸錫、硝酸鉛、硝酸ビスマス、硫酸銅、炭酸亜
鉛、硫酸亜鉛等がある。
【0028】これらの中で特に好ましいものは、ジブチ
ル錫オキシド、ジオクチル錫オキシド、ジブチル錫ジラ
ウレート等の有機錫化合物、オクチル酸ビスマス、ジメ
チロールプロピオン酸ビスマス、乳酸ビスマス、硝酸ビ
スマス等のビスマス化合物、酢酸亜鉛、オクチル酸亜
鉛、硫酸亜鉛等の亜鉛化合物である。
【0029】上記カチオン性基体樹脂としては、より高
い防食性を得るためのもので、カチオン電着塗料として
常用されている基体樹脂を挙げることができる。例えば
アミノ−エポキシ樹脂、オキサゾリドン環含有エポキシ
樹脂をアミン化した樹脂等が挙げられる。通常、これら
はエポキシ樹脂のエポキシ環を1級アミン、2級アミン
あるいは3級アミン等のアミン類によって開環し、カチ
オン化して用いられる。
【0030】上記カチオン性基体樹脂の出発原料である
エポキシ樹脂の例としては、ビスフェノールA、ビスフ
ェノールF、ビスフェノールS、フェノールノボラッ
ク、クレゾールノボラック等の多環式フェノール化合物
とエピクロルヒドリンとの反応生成物であるポリフェノ
ールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が挙げられ
る。
【0031】上記カチオン性基体樹脂の好ましいもの
は、アミノ価が30〜130、より好ましくは、40〜
80で、かつ数平均分子量が1000〜20000の樹
脂である。アミノ価が30未満の場合は、水溶化しにく
く、130を超えると、電導度が高くなりガスピンホー
ル性が低下したり、クーロン効率の低下や再溶解性等の
電着塗装作業性に問題が生じる恐れがある。
【0032】上記カチオン性基体樹脂の例示中、分子内
にオキサゾリドン環を含む変性エポキシ樹脂を用いるこ
とが好ましい。この変性エポキシ樹脂は、ジイソシアネ
ート化合物を反応させたビスウレタン化合物あるいは他
の活性水素化合物を反応させたヘテロウレタン化合物
と、エポキシ樹脂とを脱アルコール反応させることによ
り得ることができる。オキサゾリドン環を含む変性エポ
キシ樹脂を基体樹脂として用いれば、耐熱性に優れた電
着塗膜が得られる。
【0033】中和に用いる水溶性有機酸として、ギ酸、
酢酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石
酸、アクリル酸などを、無機酸として、塩酸、リン酸、
硝酸、スルファミン酸などを挙げることができる。好ま
しい水溶性有機酸または無機酸としては、酢酸、乳酸、
プロピオン酸、蟻酸、硝酸である。
【0034】本発明の塗膜形成方法に用いられるカチオ
ン電着塗料に含有される上記第2のブロックポリイソシ
アネート化合物は、芳香族系ポリイソシアネートや脂環
族系ポリイソシアネートなどのポリイソシアネート化合
物に含まれるイソシアネート基をブロック剤により完全
ブロック化または部分ブロック化して得られる。
【0035】本工程に用いる電着塗料は、硬化開始温度
が100〜150℃の範囲である。硬化開始温度が10
0℃未満では、電着塗膜のフロー性が低下することによ
る塗膜外観不良を起こし、電着塗料の貯蔵安定性も低下
する。硬化開始温度が150℃を超えると、上記塗り際
部付近の耐食性が不足する。より好ましい硬化開始温度
は、100〜140℃である。
【0036】硬化開始温度を100〜150℃にするた
めには、ブロック剤の解離温度がこの範囲になるような
ポリイソシアネート化合物とブロック剤とを組み合わせ
た第2のブロックポリイソシアネート化合物を用いる。
【0037】上記ポリイソシアネート化合物として、ト
リメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシ
アネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメ
チレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシ
アネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3
−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソ
シアネート、エチリデンジイソシアネート、ブチリデン
ジイソシアネートなどの脂肪族化合物、1,3−シクロ
ペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジ
イソシアネート、1,2−シクロヘキサンジイソシアネ
ート、イソホロンジイソシアネートなどの脂肪族環式化
合物、ノルボルナンジイソシアネート等の脂肪族双環式
化合物、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニ
レンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシ
アネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,
4−ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族化合物、
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4
−または2,6−トルエンジイソシアネートまたはそれ
らの混合物、4,4’−トルイジンジイソシアネート、
1,4−キシレンジイソシアネートなどの脂肪族−芳香
族化合物、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−
ジフェニルエーテルジイソシアネート、クロロジフェニ
ルジイソシアネートなどの核置換芳香族化合物、トリフ
ェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネー
ト、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、2,
4,6−トリイソシアネートトルエンなどのトリイソシ
アネート、4,4’−ジフェニル−ジメチルメタン−
2’,2’,5,5’−テトライソシアネートなどのテ
トライソシアネート、トルエンジイソシアネートダイマ
ー、トルエンジイソシアネートトリマーなどの重合した
ポリイソシアネートなどを挙げることができる。また、
上記のポリイソシアネートをトリメチロールプロパンの
ような多価アルコールで多官能化したものを用いること
ができる。
【0038】上記100〜150℃の温度で解離するブ
ロック剤としては、芳香族系ポリイソシアネートの場合
には、1−クロロ−2−プロパノール、エチレンクロル
ヒドリンなどのハロゲン化アルコール、n−プロパノー
ル、フルフリルアルコール、アルキル基置換フルフリル
アルコールなどの脂肪族または複素環式アルコール類、
フェノール、m−クレゾール、p−ニトロフェノール、
p−クロロフェノール、ノニルフェノールなどのフェノ
ール類、メチルエチルケトンオキシム、メチルイソブチ
ルケトンオキシム、アセトンオキシム、シクロヘキサン
オキシムなどのオキシム類、アセチルアセトン、アセト
酢酸エチル、マロン酸エチルなどの活性メチレン化合
物、その他、カプロラクタムなどを挙げることができ、
特に好ましいものはオキシム類、アルコール類ではフル
フリルアルコールとアルキル基置換フルフリルアルコー
ルである。脂肪族ポリイソシアネートの場合は、上記の
うちフェノール類とオキシム類がよい。
【0039】なお、硬化開始温度が上記範囲外にならな
い限り、他のブロック剤を混合して用いることができ
る。この場合、他のブロック剤は、先の100〜150
℃の温度で解離するブロック剤に対して、当量で50%
以下になるような量で用いることが好ましい。このよう
な他のブロック剤としては、解離温度が160℃未満の
ものが好ましく、例えばメタノール、エタノール、イソ
パノールなどの脂肪族アルコール、ベンジルアルコール
などの芳香族アルコール類、エチレングリコールモノメ
チルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテ
ル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレ
ングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエー
テル類が挙げられる。
【0040】このようなブロック剤を混合して用いる場
合、ポリイソシアネートに2種のブロック剤を同時に反
応させたものを用いてもよいし、それぞれのブロック剤
でブロックしたブロックポリイソシアネートを混合して
用いてもよい。
【0041】上記カチオン電着塗料におけるカチオン性
基体樹脂/第2のブロックポリイソシアネート化合物の
固形分質量比は、50/50〜90/10が好ましく、
60/40〜80/20がより好ましい。上記50/5
0〜90/10の範囲から外れると、硬化性に問題を生
じる恐れがある。
【0042】上記カチオン電着塗料は、水を溶媒として
含有するが、有機溶剤として、エチルセロソルブ、プロ
ピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、2−エチルヘキシ
ルセロソルブ、n−ヘキシルセロソルブ、プロピレング
リコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモ
ノフェニルエーテル、メタノール、エタノール、イソプ
ロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、
エチレングリコールジメチルエーテル、ジアセトンアル
コール、アセトン、メチルエチルケトン、メトキシブタ
ノール、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエ
ーテルアセテート等の水混和性の有機溶剤やキシレン、
トルエン、メチルイソブチルケトン、ヘキサン、四塩化
炭素、2−エチルヘキサノール、イソホロン、シクロヘ
キサン、ベンゼン等の水不混和性の有機溶剤を含むこと
ができる。有機溶剤の量は、カチオン性基体樹脂と硬化
剤との合計での固形分100質量部当たり、0.1〜1
0質量部が好ましい。好ましい有機溶剤は、プロピレン
グリコールモノメチルエーテル、プロピルセロソルブ、
ブチルセロソルブ、2−エチルヘキシルセロソルブ、n
−ヘキシルセロソルブ、プロピレングリコールモノフェ
ニルエーテル、イソホロンである。
【0043】上記カチオン電着塗料は上記成分の他に、
必要に応じて、架橋性樹脂粒子、顔料および各種添加剤
を含んでいてもよい。上記架橋性樹脂粒子を含むことに
より、塗装される基材のエッジ部の膜厚保持効果を促進
することができる。このような架橋性樹脂粒子として
は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メ
ラミン樹脂等のいずれの樹脂であってもかまわないが、
製法の容易さからアクリル樹脂を用いた架橋性粒子であ
ることが特に好ましい。なお、その平均粒径は、0.0
2〜30μmであることが好ましい。
【0044】また上記顔料として酸化チタン、ベンガ
ラ、カーボンブラック等の着色顔料、ケイ酸アルミニウ
ム、沈降性硫酸バリウム等の体質顔料、およびリンモリ
ブデン酸とアルミニウム、鉄、チタニウム、ジルコニウ
ム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、珪素等
の二価または三価金属塩との塩であるリンモリブデン酸
塩、トリポリリン酸、メタリン酸、ピロリン酸等と上記
の二価または三価金属塩との塩である縮合リン酸塩、具
体的にはトリポリリン酸二水素アルミニウム、メタリン
酸アルミニウム、ピロリン酸第二鉄等の防錆顔料を添加
することもできる。
【0045】本発明の塗膜形成方法に用いられる上記カ
チオン電着塗料は、上記成分を先に挙げた水溶性有機酸
または無機酸を中和剤として含む水性媒体中に分散する
ことによって得ることができる。電着塗装時の電着塗料
液のpHは、5.7〜6.7であり、pHが5.7未満
では、電着塗料のクーロン効率が低下し、つきまわり性
が低下する。一方、pHが6.7を超えると電着塗料浴
中の金属触媒が不安定で沈殿し易くなり、有効な触媒機
能が低下する。より好ましいpHは5.8〜6.5であ
る。pHの調整は、上記樹脂の中和に使用するものと同
じ酸を使用するか、または樹脂のアミン価と中和酸の酸
価の調整によって行うことができる。
【0046】この工程で得られる電着塗膜の乾燥膜厚
は、10〜40μmが好ましく、15〜30μmがより
好ましい。
【0047】本工程での電着塗装の条件は、例えば、塗
装電圧:100〜450V、塗装時間:1〜5分、電着
液温度:20〜35℃、電着液固形分:5〜40%に設
定することができる。
【0048】(4)水洗工程 本発明の工程(4)は、工程(3)の後に、電着浴から
引き上げた被塗物を洗浄水により水洗する工程である。
上記水洗は、通常数次にわたって行われるが、最終水洗
以外は、濾液、工業用水または水道水を用い、最終水洗
は脱イオン水が用いられる。この水洗は、スプレーまた
は浸漬により行うことができるが、スプレーでの洗浄が
効率的であるため好ましい。なお、好ましいスプレー圧
は0.3〜3kg/cm2である。
【0049】(5)硬化工程 本発明の工程(5)は、上記工程(1)〜(4)で得た
塗膜を同時に、焼き付け温度160〜200℃で加熱硬
化するものである。焼き付け温度が160℃未満では、
上記塗り際部付近の耐食性が低下し、200℃を超える
と粉体塗膜の硬化を促進しすぎてしまい,上記塗り際部
付近の粉体塗膜上に塗り重ねられる塗膜との密着性が低
下する。好ましくは、170〜190℃である。また、
好ましい加熱時間は10〜90分間である。
【0050】塗装物 本発明の塗膜形成方法により、導電性被塗物上に粉体塗
料から得られた塗膜とカチオン電着塗料から得られた塗
膜とを有する塗装物が得られる。この塗装物に対し、適
用目的に応じて、更に所望の中塗り塗膜や上塗り塗膜を
形成することができる。
【0051】
【実施例】次に、本発明を実施例および比較例を挙げて
更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にの
み限定されるものではない。なお、配合量は特に断りの
ないかぎり質量部を表す。
【0052】製造例1 カチオン性基体樹脂の製造 ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(エポキシ当
量910)1000質量部を撹拌下に70℃に保ちなが
ら、エチレングリコールモノエチルエーテル463質量
部に溶解させ、更にジエチルアミン80.3質量部を加
え、100℃で2時間反応させてカチオン性基体樹脂を
得た。
【0053】製造例2 第2のブロックポリイソシアネート化合物(イ)の製造 反応容器に仕込んだトルエンジイソシアネート(2,4
−トルエンジイソシアネート/2,6−トルエンジイソ
シアネートの80/20混合物)174質量部に、メチ
ルエチルケトンオキシム87質量部を、外部冷却により
反応温度を50℃以下に保ちながら、徐々に滴下してハ
ーフブロックポリイソシアネートを得た。次いで、トリ
メチロールプロパン45質量部およびジブチル錫ジラウ
レート0.05質量部を加え、120℃で90分間反応
させた。得られた反応生成物をエチレングリコールモノ
エチルエーテル131質量部で希釈し、ブロックポリイ
ソシアネート化合物(イ)を得た。
【0054】製造例3 第2のブロックポリイソシアネート化合物(ロ)の製造 反応容器に仕込んだトルエンジイソシアネート(2,4
−トルエンジイソシアネート/2,6−トルエンジイソ
シアネートの80/20混合物)174質量部に、メチ
ルエチルケトンオキシム30.5質量部を、外部冷却に
より反応温度にて50℃以下に保ちながら、徐々に滴下
して完全に反応させ、つづいてフルフリルアルコール3
4.3質量部を同様にして完全に反応させ、更にエチレ
ングリコールモノブチルエーテル35.4質量部を同様
にして反応させハーフブロックポリイソシアネートを得
た。次いで、トリメチロールプロパン45質量部および
ジブチル錫ジラウレート0.05質量部を加え、120
℃で90分間反応させた。得られた反応生成物をエチレ
ングリコールモノエチルエーテル137質量部で希釈
し、第2のブロックポリイソシアネート化合物(ロ)を
得た。
【0055】製造例4 第2のブロックポリイソシアネート化合物(ハ)の製造 反応容器に仕込んだトルエンジイソシアネート(2,4
−トルエンジイソシアネート/2,6−トルエンジイソ
シアネートの80/20混合物)174質量部に、メチ
ルエチルケトンオキシム30.5質量部を、外部冷却に
より反応温度を50℃以下に保ちながら徐々に滴下して
完全に反応させ、つづいてエチレングリコールモノブチ
ルエーテル76.7質量部を同様にして反応させハーフ
ブロックポリイソシアネートを得た。次いで、トリメチ
ロールプロパン45質量部およびジブチル錫ジラウレー
ト0.05質量部を加え、120℃で90分間反応させ
た。得られた反応生成物をエチレングリコールモノエチ
ルエーテル140質量部で希釈し、ブロックポリイソシ
アネート化合物(ハ)を得た。
【0056】製造例5 第2のブロックポリイソシアネート化合物(ニ)の製造 反応容器に仕込んだトルエンジイソシアネート(2,4
−トルエンジイソシアネート/2,6−トルエンジイソ
シアネートの80/20混合物)174質量部に、2−
エチルヘキシルアルコール130質量部を、外部冷却に
より反応温度を50℃以下に保ちながら、徐々に滴下し
てハーフブロックポリイソシアネートを得た。次いで、
トリメチロールプロパン45質量部およびジブチル錫ジ
ラウレート0.05質量部を加え、120℃で90分間
反応させた。得られた反応生成物をエチレングリコール
モノエチルエーテル150質量部で希釈し、ブロックポ
リイソシアネート化合物(ニ)を得た。
【0057】製造例6 顔料ペースト(A)の製造 表1に示す配合に基づき、カチオン性基体樹脂に氷酢酸
および脱イオン水を加えて溶解したのち、顔料を添加し
てディスパーで約1時間撹拌した。この混合物にガラス
ビーズを加え、サンドミルで20μm以下に分散してガ
ラスビーズを濾別した。得られた顔料ペースト(A)
は、不揮発分50質量%であった。
【0058】製造例7 顔料ペースト(B)の製造 表1に示す配合に基づいて顔料ペースト(A)と同様な
方法で製造して得られた顔料ペースト(B)は、不揮発
分50質量%であった。
【0059】
【表1】
【0060】製造例8 カチオン電着塗料1〜16の調製 製造例1で得たカチオン性基体樹脂、製造例2〜5で得
た第2のブロックポリイソシアネート化合物(イ)〜
(ニ)および表2に示す金属触媒を表2の組成および配
合量に従って混合し、1時間撹拌して氷酢酸で中和した
のち、脱イオン水を用いて希釈し、不揮発分約40質量
%の樹脂組成物を得た。次に、製造例6または7で得た
顔料ペースト(A)または(B)275質量部および脱
イオン水を表2に示す量を常温で撹拌しながら徐々に加
えてカチオン電着塗料1〜16を調製した。
【0061】
【表2】
【0062】実施例1〜14及び比較例1〜7 厚さ0.8mmの冷延鋼板を燐酸亜鉛処理剤(「サーフ
ダインSD2000」、日本ペイント社製)を使用して
化成処理した後、鋼板表面の一部にコロナ帯電型塗装ガ
ン(「PG−1」、GEMA社製)を用いて、ポリエス
テル樹脂・ブロックポリイソシアネート系粉体塗料A
(「パウダックスP−100」、日本ペイント社製)ま
たはアクリルポリエステル樹脂・ブロックポリイソシア
ネート系粉体塗料B(「パウダックスP−300」、日
本ペイント社製)を、硬化膜厚50μmとなるよう塗装
し、粉体塗膜を形成した。ここで適用した静電粉体塗装
条件は、塗装ガン先端と被塗物距離:20cm、塗装電
圧:−80KV、吐出量:100g/分、吐出圧:0.
1MPaであった。このようにして得られたスプレーダ
スト部分を有する粉体塗料による塗膜が形成された被塗
物を、80℃で10分間プレヒートを行った。次にこの
被塗基材を電着塗料浴に浸漬することによって、粉体塗
膜が形成されていない領域に対し、表5に示すカチオン
電着塗料を用いて、浴温30℃、電着単独部位の乾燥膜
厚が25μmとなるように3分間電着塗装し、電着塗膜
を形成した。次いで、イオン交換水による洗浄工程を経
て、表5に示す温度で20分間焼付乾燥した。次いでア
クリル・メラミン樹脂系上塗りベース塗料(「スーパー
ラックMシルバーメタリック」、日本ペイント社製)を
乾燥膜厚が15μmとなるように塗装し、セッティング
後にアクリル・メラミン樹脂系上塗りクリヤー塗料
(「スーパーラックOクリヤー」、日本ペイント社製)
を乾燥膜厚が35μmとなるように塗装し、セッティン
グ後に140℃で30分間焼付乾燥することにより塗装
物を得た。この塗装物について、粉体塗膜と電着塗膜と
が、ほぼ同膜厚で重なっている粉体塗膜と電着塗膜との
塗り際部付近の耐食性および密着性を評価し、その結果
を表5に示した。
【0063】評価方法 (1)耐食性 粉体塗膜と電着塗膜との塗り際部付近に、素地に達する
線状のカットを入れた被塗物を55℃の5%食塩水に2
40時間浸漬後の、カット部における両側剥離幅を測定
した。以下の基準により評価した。
【0064】
【表3】 ○…両側剥離幅が5mm以内 ×…両側剥離幅が5mm超
【0065】(2)密着性 40℃のイオン交換水に240時間浸漬後に、碁盤目テ
ープ法(1mm碁盤目)によりセロファン粘着テープに
付着した塗膜の状態を、以下の基準により目視で評価し
た。
【0066】
【表4】 ○…テープに付着した塗膜なし △…テープに付着した塗膜が碁盤目に1〜49%付着 ×…テープに付着した塗膜が碁盤目に50%以上付着
【0067】
【表5】
【0068】表5の結果から明らかのように、本実施例
1〜14の方法で得た塗装物は、耐食性および密着性が
良好であった。一方、比較例1、3、4および7は、耐
食性が、また比較例2、5および6は、密着性が満足で
きないものであった。
【0069】
【発明の効果】本発明は、粉体塗料による塗膜を形成し
た後に、電着塗膜を形成するリバース塗装において、ブ
ロックポリイソシアネート硬化系の粉体塗料により粉体
塗膜を形成し、特定の金属触媒を含み、特定温度範囲の
硬化開始温度を有するカチオン電着塗料を用いて、電着
塗膜を形成することにより、トータル膜厚の確保が困難
な塗り際部において、粉体塗膜中に残存するイソシアネ
ート基が電着塗膜中の金属触媒によって反応が適度に進
行するよう制御されるため、導電性プライマーを塗装す
ることなく、耐食性および密着性を改善した塗膜形成方
法および塗装物を提供可能にした。
【0070】なお、本発明によれば、耐食性および密着
性が良好な塗膜を得ることが可能なため、本発明で得ら
れる塗装物は、自動車、二輪車等の乗物外板、家電業界
等の塗膜耐食性および密着性が要求される用途において
好ましく使用される。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 5/03 C09D 5/03 5/44 5/44 A 7/12 7/12 Z 175/04 175/04 201/00 201/00 (72)発明者 山口 賢之 埼玉県狭山市新狭山1丁目10番地1 ホン ダエンジニアリング株式会社内 (72)発明者 石渡 賢 東京都品川区南品川4丁目1番15号 日本 ペイント株式会社内 (72)発明者 岩本 宏一 東京都品川区南品川4丁目1番15号 日本 ペイント株式会社内 (72)発明者 浮田 恒夫 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内 Fターム(参考) 4D075 AE03 BB26Z BB29Y BB65Z BB89Y DB02 DC12 EA02 EA19 EB38 EC10 EC37 4J038 DB062 DB072 DB382 DB392 DG111 DG161 DG191 DG301 GA09 HA126 HA216 HA296 HA336 HA376 HA456 JA47 JB18 JC41 KA03 KA04 NA03 NA12 NA27 PA02 PA04 PA14 PA19 PC02 PC08

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(1)〜(5)の工程を包含する、
    導電性被塗物の表面に塗膜を形成する方法: (1)第1のブロックポリイソシアネート化合物と熱硬
    化性樹脂とを含有する熱硬化性粉体塗料を、導電性被塗
    物表面に塗布して粉体塗膜を形成する工程、 (2)熱硬化性粉体塗料が熱溶融するが熱架橋反応を生
    じない条件にて、該粉体塗膜を加熱する工程、 (3)第2のブロックポリイソシアネート化合物と、カ
    チオン性基体樹脂と、該熱硬化性粉体塗料の硬化を促進
    する金属触媒とを含有し、この金属触媒中の金属量が塗
    料固形分100質量部に対して0.1〜0.5質量部で
    あり、硬化開始温度が100〜150℃であり、塗装時
    の電着塗料液のpHが5.7〜6.7であるカチオン電
    着塗料を用いて電着塗装を行って、導電性被塗物表面の
    未塗装部分に電着塗膜を形成する工程、 (4)導電性被塗物表面上に形成された塗膜を水洗する
    工程、及び (5)該塗膜を温度160〜200℃に加熱することに
    より硬化させる工程。
  2. 【請求項2】 前記金属触媒中の金属が、錫、鉛、ビス
    マス、銅、亜鉛からなる群から選択される1種または2
    種以上である請求項1記載の塗膜形成方法。
JP2000091150A 2000-03-29 2000-03-29 塗膜形成方法 Expired - Fee Related JP4309017B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000091150A JP4309017B2 (ja) 2000-03-29 2000-03-29 塗膜形成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000091150A JP4309017B2 (ja) 2000-03-29 2000-03-29 塗膜形成方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001276722A true JP2001276722A (ja) 2001-10-09
JP4309017B2 JP4309017B2 (ja) 2009-08-05

Family

ID=18606648

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000091150A Expired - Fee Related JP4309017B2 (ja) 2000-03-29 2000-03-29 塗膜形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4309017B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004107654A (ja) * 2002-08-22 2004-04-08 Nippon Paint Co Ltd 亜鉛めっき鋼板用カチオン電着塗料組成物
WO2004098794A1 (en) * 2003-05-12 2004-11-18 Nippon Paint Co., Ltd. Insulating method and insulated metal product
JP2007182540A (ja) * 2005-12-30 2007-07-19 Dpi Holdings Co Ltd カチオン電着塗料組成物及びその製造方法
JP2016176092A (ja) * 2015-03-18 2016-10-06 伸和コントロールズ株式会社 熱交換器の電着塗装方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004107654A (ja) * 2002-08-22 2004-04-08 Nippon Paint Co Ltd 亜鉛めっき鋼板用カチオン電着塗料組成物
WO2004098794A1 (en) * 2003-05-12 2004-11-18 Nippon Paint Co., Ltd. Insulating method and insulated metal product
JP2007182540A (ja) * 2005-12-30 2007-07-19 Dpi Holdings Co Ltd カチオン電着塗料組成物及びその製造方法
JP2016176092A (ja) * 2015-03-18 2016-10-06 伸和コントロールズ株式会社 熱交換器の電着塗装方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4309017B2 (ja) 2009-08-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4761212A (en) Multiple coating method
JP2003532778A (ja) 導電性有機塗料
US8354471B2 (en) Acrylic electrocoat composition and process replacing phosphate pretreatment
US11905610B2 (en) Method of improving the corrosion resistance of a metal substrate
JPS61176676A (ja) 陰極型電着プロセス用樹脂組成物及びその製造方法
CN112771127A (zh) 可电沉积涂料组合物
GB2129807A (en) Cationic electrocoating paint compositions
JP5761912B2 (ja) 水性塗料用の樹脂と架橋剤との固体混合物
US20050181139A1 (en) Process for applying a multi-layer coating to ferrous substrates
JP4309017B2 (ja) 塗膜形成方法
US6531043B1 (en) Methods for electrocoating a metallic substrate with a primer-surfacer and articles produced thereby
JP2007514019A (ja) 固体架橋剤を含む水性塗料の製造方法
JP5631333B2 (ja) スルホ基又はスルファミル基を有するカソード電着樹脂
JP2000191958A (ja) カチオン電着塗料組成物、複層塗膜形成方法および複層塗膜
JP2000189891A (ja) 複層塗膜形成方法、多層塗膜形成方法およびそれによって得られた多層塗膜
JP4817506B2 (ja) 複層塗膜形成方法および複層塗膜
JP2001096221A (ja) 複合塗膜形成方法および塗装物
GB2074578A (en) Cathodic electro-deposition coating composition and process
JP4414013B2 (ja) 耐チッピング性を有する積層塗膜形成方法
JP2002285388A (ja) 複層塗膜形成方法
JP2001252613A (ja) 複層塗膜の形成方法
JPH03281672A (ja) 腐食抑制剤として水不溶性有機鉛化合物を含有する陰極電着プライマー
JP2003320303A (ja) 複層塗膜形成方法
JPH05331690A (ja) 塗装方法
JPH0693216A (ja) 電着塗料組成物および塗膜形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060627

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081215

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090106

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090309

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090407

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090507

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120515

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees