JP2001268686A - 電気音響変換器用振動板およびその製造方法 - Google Patents

電気音響変換器用振動板およびその製造方法

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JP2001268686A
JP2001268686A JP2000082025A JP2000082025A JP2001268686A JP 2001268686 A JP2001268686 A JP 2001268686A JP 2000082025 A JP2000082025 A JP 2000082025A JP 2000082025 A JP2000082025 A JP 2000082025A JP 2001268686 A JP2001268686 A JP 2001268686A
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resin
glass fiber
electroacoustic transducer
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Manabu Nomura
学 野村
Hiroshi Sato
浩 佐藤
Kaoru Wada
薫 和田
Yasuji Hashimoto
保治 橋本
Hiroshi Tonegawa
寛 利根川
Akihiro Nonogaki
昭浩 野々垣
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Foster Electric Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Foster Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 独立した空間をできるだけなくし、紙製振動
板に近い構造を射出圧縮後にキャビティ容積を拡大する
成形法を用いて合成樹脂製振動板で実現することによ
り、軽量、高剛性で適度な内部損失を有し、防水性に優
れ、音質も良好で、かつ、生産性にも優れた電気音響変
換器用振動板を提供する。 【解決手段】 合成樹脂とガラス繊維を混合した樹脂材
料を射出圧縮後にキャビティ容積を拡大して成形してな
る電気音響変換器用振動板において、前記樹脂材料内部
には、樹脂材料の膨張時に、前記ガラス繊維の反力を利
用して形成された連続する空隙13を備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気音響変換器用
振動板およびその製造方法に関する。詳しくは、射出圧
縮後にキャビティ容積を拡大する成形法を用いて製造し
た合成樹脂製の電気音響変換器用振動板およびその製造
方法に関する。
【0002】
【背景技術】スピーカなどの電気音響変換器用振動板
(単に振動板という場合もある)、とくに、低〜中音域
や全帯域用の振動板に要望される物性は、比弾性率(E
/ρ)、比曲げ剛性率(E/ρ3)が大きく(つまり、
高弾性率、低密度で)、適度な内部損失を有し、機械的
疲労に強く、耐候性がよいことである。さらに近年で
は、車載用を中心に防水性も重要な特性の一つになって
きている。このような要望に応えるべく、従来より、種
々の金属、セラミックス、合成樹脂、合成繊維、天然繊
維などの素材が提案され、種々の加工方法を用いて加工
され、かつ、使用されてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来より用いられてき
た素材の中で、金属やセラミックスは、弾性率は大きい
ものの密度が高く、内部損失が小さいため、高域再生用
としては比較的優れているが、軽量高剛性が求められる
低〜中音域や全帯域用には不適当であった。また、主原
料に木材パルプなどのセルロース繊維を用いた、いわゆ
る、紙製振動板は、比較的密度が低く、一般性能上十分
な弾性率と適度な内部損失を有しているため、バランス
の取れた振動板として、古くから多くのものに使用され
てきた。しかし、この紙製振動板にも、防水性が乏しい
こと、主原料が天然繊維であり、かつ、製造条件の変化
に対する物性変化が大きいため、製品の性能が安定しな
いなどの問題があった。
【0004】一方、合成樹脂製振動板は、主にポリプロ
ピレンなどのオレフィン系樹脂をベースにマイカやカー
ボン繊維などのフィラーを混合し、主に射出成形法を用
いて成形されている。この射出成形による合成樹脂製振
動板は、優れた防水性を有し、比較的弾性率も高く、ば
らつきも少なく生産できるため、これらの点では紙製振
動板より優れた振動板と言えるが、紙製振動板と比較し
て密度が高いため、紙製振動板と同程度まで軽量化を行
うと、振動板が薄くなりすぎ、曲げ剛性率が十分に得ら
れないという欠点があった。
【0005】以上の点から、防水性の要求される車載用
などにも使用できる低〜中音域や全帯域用の優れた振動
板を得るためには、紙製振動板に防水加工を施すか、射
出成形による合成樹脂製振動板を低密度化することが必
要となる。紙製振動板の防水加工に関しては、シリコー
ン系やフッ素系などの樹脂を充填したり、合成樹脂の皮
膜を振動板表面に形成する方法が種々提案されている
が、防水性が十分でなかったり、質量増加を招いたり、
製品のばらつきが大きかったり、コストが高かったり、
とどれも完全なものではなかった。
【0006】また、射出成形による合成樹脂製振動板の
低密度化としては、発泡剤を使用してセルを形成し、振
動板中に空隙を設ける方法が特開平8−340594号
公報で提案されている。この方法による振動板は、構造
体(板)として物性(比曲げ剛性など)を評価した場合
は優れたものであるが、電気音響変換器用振動板として
は、セルによる独立した空間が存在し、さらにその膜が
薄く、また、セル系が比較的大きくなってしまうため、
そのセルが共振を起こし、結果的にスピーカの音質を劣
化させてしまう欠点がある。また、振動板ほどの薄肉成
形になると、微妙な成形条件のばらつきにより、そのセ
ル径がばらついてしまうため、音響性能のばらつきが大
きくなってしまうという欠点もある。
【0007】本発明の目的は、上述した点に鑑みなされ
たもので、独立した空間をできるだけなくし、紙製振動
板に近い構造(繊維による3次元構造)を射出圧縮後に
キャビティ容積を拡大する成形法を用いて合成樹脂製振
動板で実現することにより、軽量、高剛性で適度な内部
損失を有し、防水性に優れ、音質も良好で、かつ、生産
性にも優れた電気音響変換器用振動板およびその製造方
法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の電気音響変換器
用振動板は、上記目的を達成するため、合成樹脂とガラ
ス繊維を混合した樹脂材料を射出圧縮後、キャビティ容
積を拡大して成形してなる電気音響変換器用振動板にお
いて、前記樹脂材料内部には、樹脂材料の膨張時に、前
記ガラス繊維の反力を利用して形成された連続する空隙
を備えていることを特徴とする。
【0009】この構成による電気音響変換器用振動板に
よれば、内部にガラス繊維と樹脂で構成された連続する
空隙を有しているため、通常の合成樹脂製振動板に比べ
低密度となり、さらに、ガラス繊維と樹脂が強固に結着
されているため、軽量、高剛性となる。また、通常の発
泡構造では発泡したことによる内部損失の向上は望めな
いが、本発明の電気音響変換器用振動板によれば、ガラ
ス繊維の運動によるエネルギの熱的変換率が大きいた
め、未膨張のものに比べ、内部損失を向上させることが
できる。さらに、射出圧縮成形法により振動板表面には
スキン層が形成されるため、つまり、厚み方向におい
て、スキン層/膨張層/スキン層が順に形成されるた
め、防水性に優れ、かつ、生産安定性に優れた電気音響
変換器用振動板を得ることができ、しかも、発泡品に起
こりがちなセルの共振もないため、歪み感の少ない良質
な音質が得られる。
【0010】以上において、樹脂材料の膨張時におけ
る、振動板全体の平均膨張倍率は、1.1〜4.0倍、
好ましくは1.5〜3.0倍である。膨張倍率が1.1
倍未満では、比弾性率がより向上するが、比曲げ剛性率
が十分に得られなくなる。また、膨張倍率が4.0倍を
超えると、比曲げ剛性率がより向上するが、比弾性率が
十分に得られなくなり、さらに、良好な外観も得られな
くなる。
【0011】また、ガラス繊維の含有量は、15〜70
重量%、好ましくは20〜50重量%である。ガラス繊
維の含有量が15重量%未満では、膨張性、強度、剛
性、耐熱性が十分でなく、また、ガラス繊維の含有量が
70重量%を超えると、溶融時の流動性が低下し、膨張
性、成形性が低下し、良好な外観が得られない。
【0012】また、本発明の振動板にあっては、重量平
均繊維長が0.5〜4mmの繊維を15〜70重量%含
有する熱可塑性樹脂からなり、主要部の厚みが1.2m
m未満、空隙率が10〜75%が好ましい。
【0013】振動板の軽量化は、含有する繊維の種類や
含有量、目的とする成形品の要求特性によっても異なる
が、空隙率(平均)として、10〜75%、好ましくは
20〜60%の範囲で選択される。空隙率が10%未満
では軽量化の効果が小さく、75%を超えると表面の平
滑性が低下し、表面の緻密なスキン層が薄くなり、強度
的にも弱くなる。なお、空隙率(%)とは、 [(成形品の容積−空隙を有さない場合の容積)/成形
品の容積]×100 として示すことができる。
【0014】また、成形後の成形品中の重量平均ガラス
繊維長としては、0.5〜10mmの範囲、好ましくは
0.5〜4mmである。ガラス繊維長は、できるだけ長
く保つ方が強度面、スプリングバック性の面で有利であ
るが、たとえば、後述する実施例の振動板のように薄い
振動板の場合は膨張前で0.3mm、膨張後でも0.6
mmと薄いため、10mm以上にガラス繊維を保持する
ことが難しく、外観も多少悪くなる。強度、スプリング
バック性、外観を考慮すると、4mm以下に保持するこ
とが好ましい。0.5mm未満になると、膨張し難くな
る。
【0015】本発明の電気音響変換器用振動板の製造方
法は、上記目的を達成するため、ガラス繊維含有量が1
5〜70重量%で、ガラス繊維が互いに平行に並列して
おり、長さが2〜100mmのガラス繊維含有熱可塑性
樹脂ペレット、あるいは、ガラス繊維含有量が15〜9
0重量%で、ガラス繊維が互いに平行に並列しており、
長さが2〜100mmのガラス繊維含有熱可塑性樹脂ペ
レットとこれ以外の熱可塑性樹脂を含み前記ガラス繊維
含有熱可塑性樹脂ペレット中のガラス繊維含有量が全体
の15〜70重量%となるような混合物を、溶融混練
し、最終の成形品に相当する金型キャビティ容積よりも
大きくなるように開いた金型に溶融樹脂を射出し、溶融
樹脂の射出完了直前、直後もしくは完了時に、金型キャ
ビティ容積が最終成形品の容積より小さくなる位置まで
可動金型を前進させることで溶融樹脂を金型キャビティ
に充満させたのち、最終成形品の容積に相当する位置ま
で可動金型を後退させることを特徴とする。
【0016】この構成による電気音響変換器用振動板の
製造方法によれば、ガラス繊維含有熱可塑性樹脂ペレッ
ト、あるいは、ガラス繊維含有熱可塑性樹脂ペレットを
含む混合物を、溶融混練し、大きく開いた金型キャビテ
ィ中に溶融樹脂を射出し、ついで、溶融樹脂の射出完了
直前、直後もしくは完了時に、金型キャビティ容積が最
終成形品の容積より小さくなる位置まで可動金型を前進
させる。これにより、溶融樹脂を金型キャビティに充満
させたのち、可動金型を後退させて金型キャビティの容
積を最終成形品の容積に相当する位置まで拡大させる。
すると、溶融熱可塑性樹脂は含有するガラス繊維の絡み
合いによるスプリングバック現象により拡大された容積
に膨張するため、内部に連続する空隙を有する振動板が
得られる。
【0017】ここで、成形材料として、ガラス繊維の平
均繊維長が2〜100mm、好ましくは4〜50mm、
より好ましくは5〜20mmであり、この全長と等しい
長さを有し、互いに平行に配列された状態にある15〜
90重量%、好ましくは20〜80重量%のガラス繊維
を含有する繊維強化熱可塑性樹脂ペレットを含み、ガラ
ス繊維が成形材料全体の15〜70重量%、好ましくは
20〜50重量%とされた成形材料を用いる。すなわ
ち、繊維強化熱可塑性樹脂ペレットは、単独で用いるこ
ともできるが、他の熱可塑性樹脂との混合物とすること
もできる。
【0018】この繊維強化熱可塑性樹脂ペレットを用い
れば、射出装置のスクリュで可塑化・混練を行っても、
繊維の破断が起こりにくく、また、分散性も良好とな
る。さらに、キャビティ中の溶融樹脂のスプリングバッ
ク現象が良好となるとともに、最終成形品中で残存する
繊維長が長くなり、物性の向上、表面外観が向上する。
なお、射出成形機の可塑化スクリュとしては、圧縮比が
2.3以下、特に2以下である比較的低いタイプの使用
が、繊維の破断を抑制する点で好ましい。
【0019】また、成形型としては、たとえば、金型キ
ャビティの容積(金型間隔)を縮小、拡大できる成形金
型を用いる。この場合、キャビティの全面を圧縮、拡大
する構造に限らず、成形品の形状によっては主要部のみ
進退する構造であってもよい。金型キャビティの容積を
縮小、拡大して振動板を製造する際、樹脂充填開始時
の金型の主要部の金型キャビティの間隔が、0.2〜1
0mm、好ましくは3〜5mmであり、樹脂充満時には
0.1〜1.1mmまで狭くなる成形金型キャビティを
用いることが望ましい。ここで、振動板は、必ずしも均
一の板状の成形品でない場合もあり、主要部の間隔を前
記の範囲内とする。また、この金型キャビティ間隔は、
目的とする振動板の肉厚、見掛け密度から逆算すること
により、適宜決定することができる。
【0020】また、前記条件に、金型温度が結晶性樹
脂の場合に結晶化温度(Tc)を基準に、(Tc−50
℃)〜(Tc)、または、非晶性樹脂の場合にガラス転
移温度(Tg)を基準に、(Tg−50℃)〜(Tg)
の温度範囲、さらに、射出充填時間が1秒以下の範囲
である成形条件により成形を行うことが望ましい。すな
わち、金型温度としては、一般の成形の場合よりも、比
較的高めの温度に設定するものである。この金型温度は
賦形後の冷却効率、成形サイクルの点からは、通常の成
形品の場合には、低い方が望ましいのであるが、本発明
の振動板の成形では、比較的高い金型温度に設定するの
が膨張性を高める上から望ましい。
【0021】なお、結晶性熱可塑性樹脂の結晶化温度
は、JIS K7121に準じて測定することができ
る。具体的には、Perkin−Elmer社製DSC
−7用い、結晶性熱可塑性樹脂を、10℃/分の昇温速
度で加熱し、230℃に3分間保持した後、10℃/分
の降温速度で冷却したときのピーク温度として求められ
る。また、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、公
知の方法である、たとえば、比容と温度との関係の測定
における勾配、すなわち比容の温度係数の変化点として
求められる。
【0022】この金型温度は、当然ながら、成形材料の
種類、繊維の含有量、溶融流動性、射出充填時のキャビ
ティ間隔、軽量化の程度などの他の製造条件を考慮して
適宜決定される。たとえば、熱可塑性樹脂としてポリプ
ロピレン系樹脂が用いられる場合は、75℃〜結晶化温
度(Tc)、好ましくは80℃〜120℃である。
【0023】次に、ガラス繊維を含有する溶融樹脂の金
型キャビティへの射出充填時間は、特に限定されない
が、1秒以下、好ましくは0.5秒以下、より好ましく
は0.1秒以下である。この射出充填時間は、金型キャ
ビティへの溶融樹脂の射出が開始されてから、金型キャ
ビティ内に溶融樹脂が完全に充填されるまでの時間であ
る。この時間は、前記の金型温度の場合と同様に、他の
各種成形条件などの要因により、適宜選択できる。しか
し、1秒を超える場合には、成形金型温度を高めに設定
したとしても、樹脂量が少なく冷却しやすく、成形金型
キャビティの間隔が非常に狭いことにより、次工程であ
る可動金型の後退による、金型キャビティの拡大に伴
う、膨張性が十分でなく、好ましい振動板の製造が困難
になる場合がある。
【0024】熱可塑性樹脂の流動性に関しては、従来の
射出成形用材料の中で、超良流動性グレード以上のメル
トインデックス(MI)を有する樹脂を用いることが好
ましい。特に、それ自体では強度が低く、射出成形用に
は用いることができない、低分子量、超高流動性である
樹脂を本発明では用いることが可能である。このMI
は、各熱可塑性樹脂により、測定条件が異なるが、各々
の熱可塑性樹脂の一般的な測定条件において、MIが8
0〜800g/10分、好ましくは100〜600g/
10分である。このMIは、繊維強化熱可塑性樹脂ペレ
ット中の樹脂あるいは原料樹脂、他のペレットのMIか
ら求めることができる。
【0025】本発明が好ましく適用できるポリプロピレ
ン系樹脂の場合、MIは、具体的には80〜800g/
10分、好ましくは100〜600g/10分、より好
ましくは200〜500g/10分である。MIが80
g/10分未満では、流動性が低下し振動板の成形が困
難になる場合があり、また、MIが800g/10分を
超えると、振動板の強度が不足する場合がある。なお、
ポリプロピレン系樹脂のMIの測定は、JIS K72
10(230℃、2.16Kg荷重)に準じて測定され
た値(以下、同じ)である。
【0026】ここにおいて、本発明で用いられる超高流
動性のポリプロピレン系樹脂は、含有する繊維の種類、
長さ、含有量、成形金型の温度、射出、または射出圧縮
時のキャビティ間隔、キャビティ形状、ノズル(ゲー
ト)からの流動長さ(面積)、他の成形条件などにより
MIを適宜選定することができる。この場合に、MIの
異なる樹脂を混合して用いることもできる。しかし、M
Iは、成形性が満足されるのであれば、極端に大きいも
のを用いる必要性はない。
【0027】本発明に用いられる合成樹脂としては、特
に制限はないが、たとえば、ポリプロピレン、プロピレ
ン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレン
ランダム共重合体、ポリエチレンなどのポリオレフィン
系樹脂、ポリスチレン、ゴム変性耐衝撃性ポリスチレ
ン、シンジオタクチック構造を含むポリスチレンなどの
ポリスチレン系樹脂、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル系樹
脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアセ
タール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ芳香族エ
ーテルまたはチオエーテル系樹脂、ポリ芳香族エステル
系樹脂、ポリスルホン系樹脂およびアクリレート系樹脂
などの熱可塑性樹脂が採用できる。ここで、上記熱可塑
性樹脂は、単独で用いることもできるが、二種類以上を
組み合わせて用いてもよい。
【0028】このような熱可塑性樹脂のうち、ポリプロ
ピレン、プロピレンと他のオレフィンとのブロック共重
合体、ランダム共重合体、あるいは、これらの混合物な
どのポリプロピレン系樹脂が好ましい。なお、ポリプロ
ピレン系樹脂には、無水マレイン酸、フマル酸などの不
飽和カルボン酸、または、その誘導体で変性された酸変
性ポリオレフィン系樹脂を含有するポリプロピレン系樹
脂が好適である。また、ポリプロピレン系樹脂には、高
密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン−α
−オレフィン共重合体樹脂、ポリアミド樹脂などの他の
熱可塑性樹脂、エチレン−α−オレフィン共重合体エラ
ストマーなどの衝撃強度改良のためのエラストマーを配
合することもできる。
【0029】また、フェノール系、リン系、硫黄系など
の酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、耐候剤、架橋
剤、核剤、着色剤、短繊維、タルク、炭酸カルシウムな
どの充填剤を加えることもできる。これらの添加剤は、
一般的には、前記の繊維強化熱可塑性樹脂ペレットとは
別に、他の熱可塑性樹脂あるいはさらに別の添加剤マス
ターバッチとして添加される。
【0030】ガラス繊維としては、E−ガラスまたはS
−ガラスのガラス繊維であって、その平均繊維径が25
μm以下のもの、好ましくは3〜20μmの範囲のもの
が好ましく採用できる。ガラス繊維の径が3μm未満で
あると、ガラス繊維強化ペレットの製造時にガラス繊維
が樹脂になじまず、樹脂の含浸が困難となる一方、20
μmを超えると、溶融混練時に切断、欠損が起こりやす
くなる。これらの熱可塑性樹脂およびガラス繊維を用
い、引き抜き成形法などでペレットを製造するにあた
り、ガラス繊維は、カップリング剤で表面処理した後、
収束剤により、100〜10000本、好ましくは15
0〜5000本の範囲で束ねておくことが望ましい。
【0031】カップリング剤としては、いわゆる、シラ
ン系カップリング剤、チタン系カップリング剤として従
来からあるものの中から適宜選択することができる。特
に、アミノ系シラン化合物を採用するのが好ましい。
【0032】収束剤としては、たとえば、ウレタン系お
よびオレフィン系を採用できる。ウレタン系収束剤は、
通常、ジイソシアネート化合物と多価アルコールとの重
付加反応により得られるポリイソシアネート50重量%
以上の割合に含有するものが好ましい。一方、オレフィ
ン系収束剤としては、不飽和カルボン酸またはその誘導
体で変性された変性ポリオレフィン系樹脂が採用でき
る。
【0033】上述のような収束剤で収束したガラス繊維
に熱可塑性樹脂を付着・含浸させることにより、ガラス
繊維強化ペレットが製造される。ガラス繊維に熱可塑性
樹脂を付着・含浸させる方法としては、たとえば、溶融
樹脂の中に繊維束を通し、繊維に樹脂を含浸させる方
法、コーティング用ダイに繊維束を通して含浸させる方
法、あるいは、ダイで繊維の周りに付着した溶融樹脂を
押し広げて繊維束に含浸させる方法などが採用できる。
ここで、繊維束と樹脂とをよくなじませる、すなわち濡
れ性を向上するために、内周に凹凸部が設けられたダイ
の内部に、張力が加えられた繊維束を通して引き抜くこ
とで、溶融樹脂を繊維束に含浸させた後、さらに、この
繊維束を加圧ローラでプレスする工程が組み込まれた引
抜成形法も採用できる。なお、ガラス繊維と溶融樹脂と
が互いによくなじむ、濡れ性のよいものであれば、溶融
樹脂がガラス繊維に容易に含浸され、ペレットの製造が
容易となるので、前述の収束剤で繊維を収束する工程
は、省略できる場合がある。ここで、互いによくなじま
せる方法としては、樹脂に極性を付与したり、ガラス繊
維の表面にカップリング剤と反応する官能基をグラフト
したり、繊維束を流動パラフィンなどの溶融樹脂の溶融
温度以上の沸点を有する液状物で事前処理する方法が有
効である。
【0034】以上のような方法で、樹脂が含浸された長
尺繊維束(ストランド等)を、繊維の長手方向に沿って
切断すれば、ペレットの全長と同じ長さの長繊維を含ん
だ繊維強化樹脂ペレットを得ることかできる。この際、
樹脂ペレットとしては、繊維束がストランドにされ、そ
の断面形状が略円形となった樹脂含有長尺繊維束を切断
したものに限らず、繊維を平たく配列することにより、
シート状、テープ状またはバンド状になった樹脂含有長
尺繊維束を所定の長さに切断したものでもよい。このよ
うにして、繊維強化樹脂ペレットが得られる。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る振動板の実施
の形態を図面に基づいて説明する。 (振動板について)図1は、本実施形態の振動板を示す
部分断面図である。図2は、図1の一部拡大断面図であ
る。本実施形態の振動板10は、合成樹脂製のコーン状
振動板本体11と、この振動板本体11の外周に取り付
けられたゴム製のエッジ12とを備える。
【0036】コーン状振動板本体11は、合成樹脂とガ
ラス繊維とを混合した樹脂材料を射出圧縮後にキャビテ
ィ容積を拡大して、つまり、可動金型を後退させて形成
されたもので、内部には、樹脂材料の膨張時に、ガラス
繊維の反力を利用して形成された連続する空隙13が形
成され、表面にはスキン層(未膨張層)14が形成さ
れ、かつ、主要部の厚みが1.2mm未満に形成されて
いる。ここで、空隙率(空隙13の率)は10〜75%
に調整されている。また、射出圧縮後に可動金型を後退
させた時の樹脂材料の平均膨張率は、1.1〜4.0倍
である。
【0037】合成樹脂としては、前述した種々の材料を
使用することができるが、MIが80〜800g/10
分の不飽和カルボン酸類変成ポリオレフィン含有α−オ
レフィン系樹脂が好適である。ガラス繊維についても、
前述した材料を用いることができるが、成形後の重量
均ガラス繊維長が0.5〜4mmである。また、ガラス
繊維の含有量は、成形材料全体の15〜70重量%、好
ましくは20〜50重量%とされている。
【0038】このような振動板によれば、内部にガラス
繊維と樹脂で構成された連続する空隙13を有している
ため、通常の合成樹脂製振動板に比べ低密度となり、さ
らに、ガラス繊維と樹脂が強固に結着されているため、
軽量、高剛性となる。また、通常の発泡構造では発泡し
たことによる内部損失の向上は望めないが、本実施形態
の振動板では、ガラス繊維の運動によるエネルギの熱的
変換率が大きいため、未膨張のものに比べ、内部損失を
向上させることができる。さらに、射出圧縮成形法によ
り振動板表面にはスキン層が形成されるため、防水性に
優れ、かつ、生産安定性に優れた振動板を得ることがで
き、しかも、発泡品に起こりがちなセルの共振もないた
め、歪み感の少ない良質な音質が得られる。
【0039】(振動板の製造方法について)図3は、本
実施形態の振動板の製造方法の実施態様例を概念的に示
した金型の断面図で、金型キャビティへの溶融樹脂の射
出充填開始直後の状態を示している。図4は、金型キャ
ビティが縮小され、溶融樹脂が圧縮されて充満された射
出充填完了直後の状態を示している。図5は、金型キャ
ビティが拡大され、溶融樹脂が膨張して成形品が形成さ
れた状態を示している。これら図3、図4および図5に
おいて、1は固定金型、2は可動金型、3は金型キャビ
ティ、4はスプルー、7は射出ノズル、8は射出溶融樹
脂、9は振動板である。
【0040】本実施形態の振動板の製造にあっては、図
3〜図5に示すように、固定金型1に対して、可動金型
2を進退させて、金型キャビティの間隔(容積)を可変
とすることができるものである。図3〜図5に示すもの
は、可動金型2でキャビティの全面を圧縮、拡大するも
のを示したが、成形品の形状によっては、主要部のみを
進退させるものであってもよい。可動金型の進退は、直
圧式の金型開閉機構、射出成形機とは独立して可動盤と
可動金型の間、あるいは、可動金型の内部に設けられた
摺動金型を進退可能にする金型移動装置を組み込むこと
によって実施可能である。
【0041】次に、製造方法について金型の動きをもと
に説明する。射出圧縮により溶融樹脂を充填する場合
は、図3のように、固定金型1と可動金型2とを、キャ
ビティ間隔D1となるような状態としておき、この状態
でガラス繊維を含有する溶融樹脂の射出を開始する。そ
の後、図4に示すように、射出開始と同時に/もしくは
それ以降において可動金型2を、前進させ溶融樹脂を圧
縮して、キャビティ3に充填する。この場合の溶融樹脂
の射出量は、キャビティ間隔D2(D1>D2)に相当
する容積である。
【0042】成形金型には、金型キャビティの金型面の
金型温度を制御する装置(図示せず)が組み込まれる。
成形金型は、前記したように、熱可塑性樹脂の結晶化温
度(Tc)またはガラス転移温度(Tg)を基準にし
て、それぞれの温度を上限とし、それぞれの温度より5
0℃低い温度を下限とする温度範囲である比較的高い温
度に調整されている。本実施形態の振動板の製造方法に
あっては、金型キャビティの厚みが薄いことから、金型
温度は比較的高く設定されている。
【0043】金型温度は、ポリプロピレン系樹脂を用い
る場合には、70〜120℃、好ましくは80〜115
℃である。金型温度が70℃未満であると、溶融樹脂の
未充填部分が生じたり、膨張が均一にできない場合があ
る。また、金型温度が高すぎると冷却、成形品の脱型が
困難になる場合がある。しかし、本実施形態では、金型
温度が比較的高くても、成形品の剛性が高く一般の成形
品と同等に成形できる。
【0044】この金型キャビティに対して、図示しない
可塑化装置によって、溶融・混練・可塑化・計量された
ガラス繊維を含有する溶融熱可塑性樹脂は、射出ノズル
7からスプルー4を介して射出されて溶融樹脂8とな
る。ついで、射出された溶融樹脂は、通常、射出の完了
前から可動金型2をキャビティ間隔がD2の位置になる
ように前進させて溶融樹脂を圧縮し金型キャビティ3に
充填、充満させる。
【0045】このためには、キャビティ間隔がD2に相
当する容積の溶融樹脂を可塑化溶融計量したものを射出
することになる。この場合の可動金型2の前進は、位置
制御で行ってもよく、圧力で制御してもよい。圧力制御
する場合には、可動金型2の前進、樹脂の圧縮完了時に
クリアランスを残しておくことが好ましい。これによ
り、射出樹脂の容積が微妙に変動して不足した場合で
も、可動金型の圧縮力が作用して、キャビティ全体に確
実に充満させることができる。
【0046】本実施形態では、この射出充填時間を、前
述の通り、1秒以下、好ましくは0.5秒以下、より好
ましくは0.1秒以下と比較的早い速度で射出充填する
ことが必要である。金型キャビティに射出充填、可動金
型による圧縮により、溶融樹脂は金型形状、金型表面の
シボなどの微細凹凸などを確実に転写する。溶融樹脂は
金型との接触部分から冷却が始まる。本実施形態では、
溶融樹脂の充填完了後、同時あるいは早い時期に、図5
のように、金型キャビティ間隔がD3(D3>D2)で
ある最終成形品の厚みとなる位置まで可動金型2を後退
させる。この可動金型2の後退によって、溶融状態のガ
ラス繊維含有熱可塑性樹脂は、含まれるガラス繊維の絡
み合いによる、スプリングバック現象により膨張して最
終の成形品の形状になり、この膨張力によって金型壁面
に押しつけられ賦形される。つまり、内部に、ガラス繊
維の反力によって形成された連続する空隙を備えた振動
板が得られる。
【0047】ここで、可動金型の後退は、成形条件、成
形原料、金型形状によっても異なるが、溶融樹脂の充満
工程が完了し表面層の形成後に速やかに行うことが好ま
しい。すなわち、冷却が進行し、溶融樹脂の粘度が高く
なると、可動金型の後退に溶融樹脂の膨張が追随困難と
なり、最終成形品の容積まで確実に賦形することができ
なくなる恐れがあるためである。
【0048】
【実施例】(1)材料の作製 引き抜き成形し、所定の長さ(この例では8mm)に切
断したガラス繊維強化ポリプロピレンペレット(モスト
ロンL)と薄肉成形用に流動性を改善したポリプロピレ
ン(MI=500)とをガラス繊維が原材料全体の30
重量%となるように、ドライブレンドした。本方法を用
いることにより、繊維破断の少ない成形が可能となるた
め、スキン層においては、ガラス繊維の補強効果が増加
し、コア部分では著しいスプリングバック現象により、
高倍率な膨張現象が発生するため、高弾性率、低密度の
電気音響変換器用振動板が得られる。
【0049】(2)成形 前記(1)で作製した樹脂を射出圧縮成形機に投入し、
次の手順で振動板を成形した。樹脂温度は200℃、金
型温度は80℃とした。 射出前、可動金型を通常の型締め位置より所定量だけ
開き(この例では、1mm開き)、その位置で射出待機
させた。 所定量開いた金型位置を維持しながら、樹脂を約30
0mm/秒の速度で射出し、射出終了と略同時(約0.
01秒後)に可動金型を通常の型締め位置まですばやく
動かし(約0.06秒)、50t(490kN)の圧力
でプレスした。プレス完了時の金型ギャップは0.3m
mとした。また、射出実績は、射出圧力480kg/c
2(4704×100000Pa)、充填時間0.0
4秒であった。 プレスをした直後に、成形品の内部が固化しないうち
にすばやく可動金型を所定量開き、ガラス繊維の反力で
成形品を膨張させた。開く時間は約0.05秒、開き量
は0.36mmとした(製品厚みは0.6mm)。 約8秒冷却した後、金型から振動板を取り出した。成
形品は、内部にガラス繊維の膨張により得られた連続し
た空隙があり、両側表面は未膨張の層となっていた(図
2参考)。
【0050】(3)スピーカへの組み込みと性能評価 前記(2)で製造した振動板(振動板本体)にゴム製の
エッジを取り付け、スピーカに組み込み、周波数−音圧
特性と音質を評価した。比較用には、有機系発泡剤(A
DCA)を使用して約2倍に発泡させた振動板を用い
た。もちろん、ベースの樹脂、振動板形状およびスピー
カの仕様は、本発明品と同様とした。 [物性]この2つの樹脂を厚さ0.6mmの平らな板に
成形し、物性を測定した。性能評価結果は次の表1の通
りである。表1から、本発明品は全ての項目について、
従来品より優れた物性を示した。
【0051】
【表1】
【0052】[音圧−周波数特性と音質]本発明品と従
来品とについて、音圧−周波数特性と音質を測定した結
果を図6および図7に示す。本発明品は、従来品(有機
発泡剤による発泡したもの)に比べ、比弾性率(音
速)、比曲げ剛性率、内部損失の全てが大きいため、高
域再生限界が延び、更に、音圧の山谷も少なくなってい
る(図6および図7参照)。また、実際の聴感結果も良
好で、従来品に比べ歪み感の少ないナチュラルな音質が
得られた。
【0053】
【発明の効果】本発明の電気音響変換器用振動板によれ
ば、内部にガラス繊維と樹脂で構成された連続する空隙
を有しているため、通常の合成樹脂製振動板に比べ低密
度となり、さらに、ガラス繊維と樹脂が強固に結着され
ているため、軽量、高剛性となる。また、通常の発泡構
造では発泡したことによる内部損失の向上は望めない
が、本発明の電気音響変換器用振動板によれば、ガラス
繊維の運動によるエネルギの熱的変換率が大きいため、
未膨張のものに比べ、内部損失を向上させることができ
る。さらに、射出圧縮時に振動板表面にはスキン層が形
成されるため、防水性に優れ、かつ、生産安定性に優れ
た電気音響変換器用振動板を得ることができ、しかも、
発泡品に起こりがちなセルの共振もないため、歪み感の
少ない良質な音質が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の振動板の一部破断側面図である。
【図2】図1の部分拡大図である。
【図3】本発明の振動板の製造方法の実施態様例を概念
的に示した金型の断面図(成形金型のキャビティへの溶
融樹脂の射出状態を示す)である。
【図4】図3の金型キャビティが縮小され、溶融樹脂が
圧縮されてキャビティ内に充満された状態を示す図であ
る。
【図5】図4の金型キャビティが拡大され、溶融樹脂が
膨張して成形品が形成された状態を示す図である。
【図6】本発明品について、音圧−周波数特性と音質を
測定した結果を示す図である。
【図7】従来品について、音圧−周波数特性と音質を測
定した結果を示す図である。
【符号の説明】
11 振動板本体 12 エッジ 13 空隙
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 31:38 B29L 31:38 (72)発明者 和田 薫 千葉県市原市姉崎海岸1番地1 (72)発明者 橋本 保治 東京都昭島市宮沢町512 フォスター電機 株式会社内 (72)発明者 利根川 寛 東京都昭島市宮沢町512 フォスター電機 株式会社内 (72)発明者 野々垣 昭浩 東京都昭島市宮沢町512 フォスター電機 株式会社内 Fターム(参考) 4F206 AA03C AA03J AB25 AH39 JA07 JN33 JQ81 5D016 CA05 EA08 EC02 EC03 HA02 HA06 HA07 JA08

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成樹脂とガラス繊維とを混合した樹脂
    材料を射出圧縮後、キャビティ容積を拡大して成形して
    なる電気音響変換器用振動板において、 前記樹脂材料内部には、樹脂材料の膨張時に、前記ガラ
    ス繊維の反力を利用して形成された連続する空隙を備え
    ていることを特徴とする電気音響変換器用振動板。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の電気音響変換器用振動
    板において、 振動板全体の平均膨張倍率が1.1〜4.0倍であるこ
    とを特徴とする電気音響変換器用振動板。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の電気音
    響変換器用振動板において、 前記ガラス繊維の含有量が15〜70重量%であること
    を特徴とする電気音響変換器用振動板。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれかに記
    載の電気音響変換器用振動板において、 前記合成樹脂が不飽和カルボン酸類変成ポリオレフィン
    含有α−オレフィン系樹脂であることを特徴とする電気
    音響変換器用振動板。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の電気音響変換器用振動
    板において、 前記不飽和カルボン酸類変成ポリオレフィン含有α−オ
    レフィン系樹脂の流動性がメルトインデックス80〜8
    00g/10分であることを特徴とする電気音響変換器
    用振動板。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし請求項5のいずれかに記
    載の電気音響変換器用振動板において、 前記空隙率が10〜75%であることを特徴とする電気
    音響変換器用振動板。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし請求項6のいずれかに記
    載の電気音響変換器用振動板において、 主要部の厚みが1.2mm未満であることを特徴とする
    電気音響変換器用振動板。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし請求項7のいずれかに記
    載の電気音響変換器用振動板において、 成形後の重量平均ガラス繊維長が0.5〜4mmである
    ことを特徴とする電気音響変換器用振動板。
  9. 【請求項9】 ガラス繊維含有量が15〜70重量%
    で、ガラス繊維が互いに平行に並列しており、長さが2
    〜100mmのガラス繊維含有熱可塑性樹脂ペレット、
    あるいは、ガラス繊維含有量が15〜90重量%で、ガ
    ラス繊維が互いに平行に並列しており、長さが2〜10
    0mmのガラス繊維含有熱可塑性樹脂ペレットとこれ以
    外の熱可塑性樹脂を含み前記ガラス繊維含有熱可塑性樹
    脂ペレット中のガラス繊維含有量が全体の15〜70重
    量%となるような混合物を、溶融混練し、最終の成形品
    に相当する金型キャビティ容積よりも大きくなるように
    開いた金型に溶融樹脂を射出し、溶融樹脂の射出完了直
    前、直後もしくは完了時に、金型キャビティ容積が最終
    成形品の容積より小さくなる位置まで可動金型を前進さ
    せることで溶融樹脂を金型キャビティに充満させたの
    ち、最終成形品の容積に相当する位置まで可動金型を後
    退させることを特徴とする電気音響変換器用振動板の製
    造方法。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の電気音響変換器用振
    動板の製造方法において、 前記ガラス繊維含有熱可塑性樹脂ペレット、あるいは、
    前記混合物が金型キャビティ中に射出されてから金型キ
    ャビティに溶融樹脂が充満されるまでの時間が1秒以内
    で、溶融樹脂充満時の金型キャビティの間隔が0.1〜
    1.1mmであり、かつ、金型温度が、溶融樹脂が結晶
    性樹脂の場合には、結晶化温度Tcを基準に(Tc−5
    0℃)−(Tc)の温度範囲に、また、溶融樹脂が非晶
    性樹脂の場合には、ガラス転移温度Tgを基準に(Tg
    −50℃)−(Tg)の温度範囲に設定されていること
    を特徴とする電気音響変換器用振動板の製造方法。
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