JP2001262292A - 非晶質軟磁性合金 - Google Patents

非晶質軟磁性合金

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JP2001262292A JP2000079055A JP2000079055A JP2001262292A JP 2001262292 A JP2001262292 A JP 2001262292A JP 2000079055 A JP2000079055 A JP 2000079055A JP 2000079055 A JP2000079055 A JP 2000079055A JP 2001262292 A JP2001262292 A JP 2001262292A
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Hidetaka Kenmotsu
英貴 剱物
Kazusato Igarashi
一聡 五十嵐
Takao Mizushima
隆夫 水嶋
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    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
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    • H01F1/12Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた軟磁気特性を示し、特に透磁率と飽和
磁化が従来のものよりも高く、非晶質形成能に優れた非
晶質軟磁性合金を提供する。 【解決手段】 本発明の非晶質軟磁性合金は、非晶質相
を主相とする組織からなり、下記の組成式で表されるこ
とを特徴とする非晶質軟磁性合金を採用する。ただし、
組成式は(Fe1-aa100-x-v-z-wAlx(P1-b
bvzwであり、TはCo、Niのいずれか一方ま
たは両方であり、組成比を示すa、b、x、v、z、w
は、0≦a≦0.15、0<b≦0.8、0原子%<x
≦20原子%、0原子%<v≦22原子%、0原子%<
z≦12原子%、0原子%<w≦16原子%である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非晶質軟磁性合金
に関するものであり、特に、過冷却液体の温度間隔を有
し、従来よりも透磁率及び飽和磁化が高く、非晶質形成
能に優れた非晶質軟磁性合金に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から多元素系合金のある種のもの
は、合金溶湯を急冷することにより非晶質相を形成し、
これらは非晶質合金を形成するものとして知られてい
る。また、この種の非晶質軟磁性合金のうち、特定の合
金組成のものは、結晶化の前の過冷却液体の状態におい
てある広い温度領域を有し、これらはいわゆる金属ガラ
ス合金(glassy alloy)を構成するものとして知られて
いる。
【0003】非晶質合金の中には軟磁気特性を示すもの
があるが、特に金属ガラス合金は優れた軟磁気特性を示
すとともに、液体急冷法で製造した非晶質合金の薄帯に
比べてはるかに厚いバルク状の合金を形成できることも
知られている。このような金属ガラス合金としては、例
えば従来、TM-Al-Ga-P-C-B-Si系等(TMは
Fe、Co、Ni等の遷移金属元素)の組成であって過
冷却液体の温度間隔を有するものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来知られて
いる金属ガラス合金については、透磁率及び飽和磁化に
おいて満足する特性が得られていないため、各種の磁気
素子等に適用する場合に制約があった。そこで従来か
ら、高い透磁率と飽和磁化を有する非晶質軟磁性合金の
研究開発が進められていた。
【0005】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あって、優れた軟磁気特性を示し、特に透磁率と飽和磁
化が従来のものよりも高く、非晶質形成能に優れた非晶
質軟磁性合金を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は以下の構成を採用した。本発明の非晶質
軟磁性合金は、非晶質相を主相とする組織からなり、下
記の組成式で表されることを特徴とする。 (Fe1-aa100-x-v-z-wAlx(P1-bSibvzw ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
り、組成比を示すa、b、x、v、z、wは、0≦a≦
0.15、0<b≦0.8、0原子%<x≦20原子
%、0原子%<v≦22原子%、0原子%<z≦12原
子%、0原子%<w≦16原子%である。
【0007】係る非晶質軟磁性合金によれば、磁性を示
すFeと、非晶質形成能を有するP、Si、C、Bとい
った半金属元素とを具備しているので、非晶質相を主相
とするとともに優れた軟磁気特性を示す非晶質軟磁性合
金を構成することが可能となり、またAlは非晶質形成
能を高める作用があるので、組織全体が完全に非晶質相
である非晶質軟磁性合金を構成することが可能になる。
【0008】また、前記組成比を示すa、b、x、v、
z、wが、0≦a≦0.15、0.1≦b≦0.35、
0原子%<x≦15原子%、8原子%≦v≦18原子
%、0.5原子%≦z≦7.4原子%、3原子%≦w≦
14原子%であることがより好ましい。更に、前記組成
比を示すa、b、x、v、z、wが、0≦a≦0.1
5、0.1≦b≦0.28、0原子%<x≦10原子
%、11.3原子%≦v≦14原子%、1.8原子%≦
z≦4.6原子%、5.3原子%≦w≦8.6原子%で
あることが最も好ましい。
【0009】かかる非晶質軟磁性合金によれば、Feと
元素TとAlとP、Si、C、Bが上記の組成範囲であ
るので、優れた軟磁気特性と各種磁気特性の熱的安定性
を発現することが可能になる。
【0010】また本発明の非晶質軟磁性合金は、先に記
載の非晶質軟磁性合金であって、ΔTx=Tx−Tg(た
だしTxは結晶化開始温度、Tgはガラス遷移温度を示
す。)の式で表される過冷却液体の温度間隔ΔTxが2
0K以上であることを特徴とする。
【0011】また、前記の過冷却液体の温度間隔ΔTx
は、40K以上であることがより好ましく、60K以上
であることが最も好ましい。
【0012】係る非晶質軟磁性合金は、20K以上の過
冷却液体の温度間隔ΔTxを有する金属ガラス合金であ
るので、溶湯を冷却して非晶質相を形成させる際に、比
較的遅い冷却速度でも非晶質相を形成させることがで
き、薄帯よりも肉厚なバルク状の合金とすることが可能
になる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。本発明の非晶質軟磁性合金は、F
eと、Alと、P、C、Si、Bとを具備してなり、非
晶質相を主相とする組織からなるものである。また本発
明の非晶質軟磁性合金は、ΔTx=Tx−Tg(ただしTx
は結晶化開始温度、Tgはガラス遷移温度を示す。)の
式で表される過冷却液体の温度間隔ΔTxが20K以上
を示すものである。
【0014】本発明の非晶質軟磁性合金は、磁性を示す
Feと、Alと、非晶質形成能を有するP、C、Si、
Bを具備しているので、非晶質相を主相とするとともに
優れた軟磁気特性を示すものである。またこの非晶質軟
磁性合金の中には、20K以上の過冷却液体の温度間隔
ΔTxを示すものがあり、これはいわゆる金属ガラス合
金とよばれるもので、組成によってはΔTxが40K以
上、さらには60K以上という顕著な温度間隔を有し、
これまでの知見から知られる他の合金からは全く予期さ
れないものであり、軟磁性についても室温で優れた特性
を有しており、これまでの知見に見られない全く新規な
ものである。
【0015】本発明の非晶質軟磁性合金は、非晶質相を
主相とする組織からなるので、保磁力が小さくなって優
れた軟磁気特性を示す。また本発明の非晶質軟磁性合金
は、過冷却液体の温度間隔ΔTxが大きいために、溶融
状態から冷却するとき、結晶化開始温度Txの低温側に
広い過冷却液体領域を有し、結晶化することなく温度の
低下に伴ってこの過冷却液体領域の温度間隔ΔTxを経
過したときに、ガラス遷移温度Tgに至って非晶質相を
容易に形成する。従って、冷却速度が比較的遅くても充
分に非晶質相を形成することが可能であり、例えば鋳造
法や射出成形法によって非晶質相組織を主体として形状
が比較的大きなバルク状の成形体を得ることができ、遥
かに実用性に優れたものとなる。更に本発明の非晶質軟
磁性合金は、大きなキュリー温度を示し、優れた熱的安
定性を有するものである。
【0016】上記の非晶質軟磁性合金の一例として、下
記の組成式で表せるものを挙げることができる。 (Fe1-aa100-x-v-z-wAlx(P1-bSibvzw ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
り、組成比を示すa、b、x、v、z、wは、0≦a≦
0.15、0<b≦0.8、0原子%<x≦20原子
%、0原子%<v≦22原子%、0原子%<z≦12原
子%、0原子%<w≦16原子%である。本発明の非晶
質軟磁性合金が上記の組成である場合には、20K以上
の過冷却液体の温度間隔ΔTxを示す。
【0017】前記組成比を示すa、b、x、v、z、w
は、0≦a≦0.15、0.1≦b≦0.35、0原子
%<x≦15原子%、8原子%≦v≦18原子%、0.
5原子%≦z≦7.4原子%、3原子%≦w≦14原子
%であることがより好ましい。本発明の非晶質軟磁性合
金が上記の組成である場合には、40K以上の過冷却液
体の温度間隔ΔTxを示す。
【0018】また、前記組成比を示すa、b、x、v、
z、wは、0≦a≦0.15、0.1≦b≦0.28、
0原子%<x≦10原子%、11.3原子%≦v≦14
原子%、1.8原子%≦z≦4.6原子%、5.3原子
%≦w≦8.6原子%であることが最も好ましい。本発
明の非晶質軟磁性合金が上記の組成である場合には、6
0K以上の過冷却液体の温度間隔ΔTxを示す。
【0019】従来から非晶質軟磁性合金の1種として、
Fe-Al-Ga-C-P-Si-B系の金属ガラス合金が知
られている。この従来の組成系の金属ガラス合金は、F
eに非晶質形成能を有するAl、Ga、C、P、Si及
びBを添加したものである。この従来の非晶質軟磁性合
金に対して本発明の非晶質軟磁性合金は、FeとAl
と、C、P、Si及びBとを含有したもので、従来の組
成系からGaを除去し、Fe量を増量させることなくこ
のGaの代わりにAlを増量させたものであり、従来に
おいては必須元素であると考えられてきたGaを除去し
ても非晶質相を形成することが確認され、更には過冷却
液体の温度間隔ΔTxをも発現することが見出された。
【0020】特に非晶質形成能に関しては、本発明の上
記組成の非晶質軟磁性合金の非晶質形成能が、従来のF
e-Al-Ga-C-P-Si-B系合金よりも優れているこ
とが見出された。このように本発明の非晶質軟磁性合金
は非晶質形成能が高く、この性質によって冷却速度が遅
くなっても完全な非晶質相が形成されるので、鋳造法に
よって非晶質相を有する比較的大きな形状のバルク体を
製造することができる。
【0021】また、本発明の上記組成の非晶質軟磁性合
金は、従来のFe-Al-Ga-C-P-Si-B系合金より
も非晶質形成能が高いことから、組織全体を完全な非晶
質相とすることができる。これにより本発明の非晶質軟
磁性合金は、従来の金属ガラス合金よりも透磁率及び飽
和磁化が格段に向上し、優れた軟磁気特性を示すことが
できる。また組織全体が完全な非晶質相であることか
ら、適度な条件で熱処理した場合に結晶質相が析出させ
ることなく内部応力を緩和でき、軟磁気特性をより向上
させることができる。
【0022】Alは、本発明の非晶質軟磁性合金に必須
の元素であり、特にAlの組成比xを20原子%以下と
することにより、合金の非晶質形成能を格段に向上させ
て組織全体を完全な非晶質相とすることができ、また非
晶質軟磁性合金の過冷却液体の温度間隔ΔTxを20K
以上にすることができる。またAlは、Feとの間での
混合エンタルピーが負であり、Feよりも原子半径が大
きく、更にFeよりも原子半径が小さいP、B、Siと
ともに用いることにより、結晶化し難く、非晶質構造が
熱的に安定化した状態となる。更にAlは非晶質軟磁性
合金のキュリー温度を高め、各種磁気特性の熱安定性を
向上させることができる。Alの組成比xは、20原子
%以下であることが好ましく、0原子%を越えて15原
子%以下であることがさらに好ましく、0原子%を越え
て10原子%以下であることが最も好ましい。組成比x
が20原子%を越えると、Fe量が相対的に低下して飽
和磁化が低下し、また過冷却液体の温度間隔ΔTxが消
失するので好ましくない。
【0023】Feは磁性を担う元素であって、Alと同
様に本発明の非晶質軟磁性合金に必須の元素である。ま
た、Feの一部をCo、Niのいずれか一方または両方
の元素Tで置換しても良い。磁性を担う元素であるFe
の組成比が向上すると、非晶質軟磁性合金の飽和磁化を
向上させることができる。
【0024】C、P、Si及びBは、非晶質形成能を有
する元素であり、FeとAlにこれらの元素を添加して
多元系とすることにより、FeとAlのみの2元系の場
合と異なり安定して非晶質相が形成される。特にPは非
晶質形成能が高いので、組織の全体が非晶質相になると
ともに過冷却液体の温度間隔ΔTxが発現しやすくな
る。またPとSiを同時に添加すると、過冷却液体の温
度間隔ΔTxをより向上させて非晶質単相となるバルク
の大きさを増大できる。
【0025】PとSiを同時に添加する場合は、PとS
iの合計量を示す組成比vを0原子%を越えて22原子
%以下とすることが好ましく、8原子%以上18原子%
以下とすることがより好ましく、11.3原子%以上1
4原子%以下とすることが最も好ましい。PとSiの合
計量を示す組成比vが上記の範囲であれば、過冷却液体
の温度間隔ΔTxを向上させ、非晶質単相となるバルク
の大きさを増大できる。
【0026】PとSiを同時に添加した場合のSiとP
との比を表す組成比bは、組成比vが0原子%を越えて
22原子%以下のときに0<b≦0.8とすることが好
ましく、組成比vが8原子%以上18原子%以下のとき
に0.1≦b≦0.35とすることが好ましく、組成比
vが11.3原子%以上14原子%以下のときに0.1
≦b≦0.28とすることが好ましい。組成比bが0.
8を越えるとSiの量が過剰になり、過冷却液体領域Δ
Txが消滅するおそれがあるので好ましくない。なお、
このときの非晶質軟磁性合金におけるSiの濃度を示す
と、好ましい場合に17.6原子%以下、より好ましい
場合に0.8原子%以上6.3原子%以下、最も好まし
い場合に1.13原子%以上3.92原子%以下とな
る。
【0027】PとSiの組成比を示すb、vを上記の範
囲とすれば、過冷却液体の温度間隔ΔTxを向上させ、
非晶質単相となるバルクの大きさを増大させることがで
きる。
【0028】またCの組成比zは、0原子%を越えて1
2原子%以下であることが好ましく、0.5原子%以上
7.4原子%以下であることがより好ましく、1.8原
子%以上4.6原子%以下であることが最も好ましい。
更にBの組成比wは、0原子%を越えて16原子%以下
であることが好ましく、3原子%以上14原子%以下で
あることがより好ましく、5.3原子%以上8.6原子
%以下であることが最も好ましい。
【0029】また、上記の組成に、Geが4原子%以下
含有されていてもよく、Nb、Mo、Hf、Ta、W、
Zr及びCrのうち少なくとも1種以上が0〜7原子%
含有されていてもよい。これらのいずれの場合の組成に
おいても、本発明においては、過冷却液体の温度間隔Δ
Txは、35K以上、組成によっては50K以上が得ら
れる。また上記の組成で示される元素の他に不可避的不
純物が含まれていても良い。
【0030】本発明に係る非晶質軟磁性合金は、溶製し
てから鋳造法により、あるいは単ロールもしくは双ロー
ルによる急冷法によって、さらには液中紡糸法や溶液抽
出法によって、あるいは高圧ガス噴霧法によって、もし
くは射出成形法によって、バルク状、リボン状、線状
体、粉末等の種々の形状として製造される。特に、単ロ
ール法等の急冷法や、鋳造法あるいは射出成形法によっ
て、従来公知の非晶質軟磁性合金の場合に比べて10倍
以上の厚さと径の大きさの非晶質軟磁性合金を得ること
ができる。
【0031】これらの方法により得られた前記の組成の
非晶質軟磁性合金は、室温において磁性を有し、また熱
処理により、より良好な磁性を示す。このため優れたSo
ft magnetic特性(軟磁気特性)を有する材料として各
種の応用に有用なものとなる。なお、製造方法について
付言すると、合金の組成、そして製造のための手段と製
品の大きさ、形状等によって、好適な冷却速度が決まる
が、通常は1〜104K/s程度の範囲を目安とするこ
とができる。そして実際には、ガラス相(glassy phas
e)に結晶相としてのFe3B、Fe2B、Fe3P等の相
が析出するかどうかを確認することで決めることができ
る。
【0032】上記の非晶質軟磁性合金の製造方法の一例
として、成形金型を用いた射出成形法について説明す
る。この射出成形法は、上述の組成からなる非晶質軟磁
性合金の溶湯を、溶湯ノズルから成形金型の円環状のキ
ャビティに射出し、キャビティ内で溶湯を冷却固化して
円環状の射出成形体を製造するというもので、溶湯をキ
ャビティの外周型面の接線方向から射出するというもの
である。
【0033】図1及び図2に本発明に係る成形金型の一
例を示す。この成形金型21は、シート40を管状に丸
めてなる円管体41と上型25と下型26とからなる。
上型25が下型26の分割面29に接すると共に、上型
25の凸部27が下型26の切欠部28に嵌合して、上
型25と下型26の相対位置がずれないように固定さ
れ、円管体41が上型25を貫通する孔20に挿入され
ている。
【0034】下型26の分割面29のほぼ中央には凹部
22が設けられている。凹部22は浅い丸穴とされてい
る。また、分割面29には、スプルー23及び湯口24
が設けられている。スプルー23は、図1及び図2に示
すように、凹部22に連通すると共に、凹部22の周壁
面22aの接線方向に向けて延在している。また、凹部
22とスプルー23の深さはほぼ同一とされている。湯
口24はスプルー23と連通し、下型26の側壁面に開
口している。また、円管体41が孔20に挿入されて、
円管体41の先端41aが凹部22の底面22bのほぼ
中央に当接し、これにより円管体41の周面41bと凹
部22の周壁面22aが同心円を構成する関係となっ
て、図2に示す略円環状のキャビティAが形成される。
従って、凹部22の周壁面22aがキャビティAの外径
を決める外周型面を構成し、円管体41の周面41bが
キャビティAの内径を決める内周壁面を構成する関係と
なる。尚、外周型面(周壁面22a)が円環状の射出成
形体の外周面を成形し、内周型面(周面20b)が射出
成形体の内周面を成形する。
【0035】円管体41は図1に示すように、例えば略
矩形のシート40を管状に丸めたもので、シート40の
両端42、43が重なるように丸められてなるものであ
る。シート40は、丸められた状態で上型25の孔20
に挿入され、孔20の内面20aにより管状に支持され
て円管体41とされる。従ってこの円管体41は、シー
ト40の両端42、43を互いに接合させて固定するこ
となく管状に維持されるため、両端42、43が互いに
摺動自在とされており、円管体41の径が縮小自在とさ
れている。このようにして、キャビティAの内径が縮小
するように構成されている。
【0036】シート40は、非晶質軟磁性合金の溶湯と
反応することがなく、溶湯の温度(1000〜1400
℃)より融点が高く、かつ熱伝導率が高いものであれば
どのようなものでも良く、例えば、Cu(銅)、Al
(アルミニウム)、Au(金)、Ag(銀)、Pt(白
金)等からなる金属箔や、カーボンシート等であっても
良いが、特に銅箔からなることが好ましい。また、熱膨
張係数が非晶質軟磁性合金と同等であれば、成形金型内
に流入する非晶質軟磁性合金溶湯の熱により同じように
膨張、収縮するのでより好ましい。
【0037】また図2に示すように、キャビティAの周
壁面22a(外周型面)の一部が切り欠けられてスプル
ー23が連結されている。スプルー23は、その一方の
側面が凹部22の周壁面22a(外周型面)に接続さ
れ、この接続部分における周壁面22aの接線方向に向
けてこの側面が延在している。また周壁面22aは、ス
プルー23の他方の側面とも接続しており、この他方の
側面は一方の側面と離間かつ平行になるように形成され
ている。そしてこの他方の側面の延長線が、円管体41
の周面41bの接線となるように構成されている。この
ようにしてスプルー23がキャビティAの接線方向に延
在している。なお、スプルー23の延在方向は、キャビ
ティAの接線方向に完全に一致させることが好ましい
が、接線方向から多少ずれた方向に延在していてもよ
い。
【0038】上述の成形金型21を用いて射出成形体を
製造するには、まず図1及び図2に示すように、上型2
5を下型26に嵌合し、上型25の孔20に円管体41
を挿入してキャビティAを形成した後、上記組成の非晶
質軟磁性合金の溶湯が充填された溶湯ノズル31を湯口
24に当接させる。次に、図示しないガス供給源から不
活性ガスを供給して溶湯を溶湯ノズル31から射出す
る。射出された溶湯は、湯口24及びスプルー23を通
過してキャビティAに侵入する。スプルー23がキャビ
ティAの周壁面22aの接線方向に延在しているので、
射出された溶湯は、周壁面22aの接線方向からキャビ
ティAに侵入し、分流することなく図示矢印Z方向に向
けて移動してキャビティA内に充填される。
【0039】そして溶湯は、キャビティA内及びスプル
ー23内で冷却固化されて円環状に成形される。ここで
図2に示すように、溶湯の射出前における円管体41の
径はr1とされているが、溶湯が冷却固化された際に起
きる体積収縮によって、円管体41を構成するシート4
0の両端42、43が互いに摺動するか、あるいは円管
体41が中心方向に圧縮応力を受けて潰されながら変形
することにより、その径が縮小してr2(r1>r2)と
なる。このようにして図3に示すような、非晶質相を主
体とする射出成形前駆体51が形成される。
【0040】射出成形前駆体51は、キャビティAによ
り成形された円環状のキャビティ成形部52と、スプル
ー23により成形されたスプルー成形部53とからな
り、このスプルー成形部53を除去することにより、円
環状の非晶質軟磁性合金からなる射出成形体11が得ら
れる。
【0041】溶湯の酸化による溶湯ノズル31の溶湯詰
まりの発生を防止するためには、成形金型21への溶湯
の射出を低酸素濃度の雰囲気で行うことが好ましく、不
活性ガス雰囲気または真空雰囲気にて行うことがより好
ましい。また、溶湯の温度は、非晶質軟磁性合金の融点
をTmとしたときに、(Tm−100)K〜(Tm+30
0)Kの範囲とすることが好ましく、Tm K〜(Tm+
100)Kの範囲とすることがより好ましい。溶湯の温
度が(Tm−100)K未満であると溶湯ノズル31内
で溶湯が詰まるおそれがある上、液体状態の不安定な過
冷却液体状態で成形金型内に流入することにより結晶化
するおそれがあり、また(Tm+300)K以上にして
もそれに見合う効果が得られないからである。なお、非
晶質軟磁性合金の融点Tmは、例えばFe70Al79.65
3.456.9Si3の組成の場合に1317Kであること
から、この組成の場合には、溶湯の温度を1217〜1
617Kとすることが好ましく、1317〜1417K
とすることがより好ましい。
【0042】更に、溶湯の射出圧力は、29〜490k
Paであることが好ましく、98〜294kPaである
ことがより好ましい。射出圧力が29kPa未満である
とキャビティA全体に溶湯を充填することができなくな
るので好ましくなく、射出圧力が490kPaを越える
と成形金型21の上型25と下型26の接合部分から溶
湯が漏出するおそれがあり、また射出成形体に応力が残
留するおそれがあって好ましくないためである。
【0043】上記の非晶質軟磁性合金は、磁性を示すF
eと、Alと、非晶質形成能を有するP、C、B及びS
iを具備しているので、非晶質相を主相とするとともに
軟磁気特性を示す非晶質軟磁性合金を構成することがで
き、またAlは非晶質形成能を高める作用があるので、
組織全体が完全に非晶質相である非晶質軟磁性合金を構
成することができる。
【0044】また上記の非晶質軟磁性合金は、20K以
上の過冷却液体の温度間隔ΔTxを有する金属ガラス合
金であるので、溶湯を冷却して非晶質相を形成させる際
に、比較的遅い冷却速度でも非晶質相を形成させること
ができ、薄帯よりも肉厚なバルク状の合金とすることが
できる。特に合金の溶湯を用いて鋳造法や射出成形法を
適用することにより、バルク状の鋳造体や射出成形体を
構成できる。
【0045】また、上記の非晶質軟磁性合金の非晶質形
成能は、従来のFe-Al-Ga-C-P-Si-B系合金の
非晶質形成能よりも優れているので、冷却速度が遅くな
っても完全な非晶質相が形成されるので、鋳造法によっ
て非晶質相を有する比較的大きな形状のバルク体を製造
することができる。
【0046】また、組織全体を完全な非晶質相とするこ
とができるので、透磁率及び飽和磁化が格段に向上し、
優れた軟磁気特性を示すことができる。また組織全体が
完全な非晶質相であることから、適度な条件で熱処理し
た場合に結晶質相が析出させることなく内部応力を緩和
でき、軟磁気特性をより向上させることができる。
【0047】
【実施例】(実験例1:物性及び磁気特性のP、Si、
C、Bの組成依存性調査)Fe及びAlと、Fe-C合
金、Fe-P合金、B及びSiを原料としてそれぞれ所
定量秤量し、減圧Ar雰囲気下においてこれらの原料を
高周波誘導加熱装置で溶解し、種々の組成のインゴット
を作製した。このインゴットをるつぼ内に入れて溶解
し、減圧Ar雰囲気下でるつぼのノズルから回転してい
るロールに溶湯を吹き出して急冷する単ロール法によ
り、幅1mm、厚さ20μmの実施例1〜実施例14の
非晶質軟磁性合金の薄帯を得た。また、比較例1とし
て、Fe70Al5Ga29.655.754.6Si3なる組成
であってGaが添加された非晶質軟磁性合金の薄帯を製
造した。
【0048】得られた軟磁性非晶質軟磁性合金の薄帯の
組成を表1に示す。非晶質軟磁性合金薄帯の組成は、F
70Al7(P0.76Si0.24vzw(但し、vは1
0.35〜14.95原子%、zは1.15〜8.05
原子%、wは2.3〜9.2原子%である)のものであ
った。また、実施例1〜14の非晶質軟磁性合金につい
て、X線回折法により結晶構造の解析を行った。結果を
図4に示す。更に、実施例4、実施例14及び比較例1
の非晶質軟磁性合金について、DSC測定(Differenti
al scanning caloriemetry:示差走査熱量測定)を行っ
た。なお、DSC測定の際の昇温速度は0.67K/秒
であった。結果を図5及び表2に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】図4から明らかなように、実施例1〜14
の非晶質軟磁性合金薄帯のX線回折パターンはブロード
なパターンを示しており、非晶質相を主体とする組織を
有していることがわかる。
【0052】また、図5及び表2から明らかなように、
実施例4の非晶質軟磁性合金のDSC曲線には、758
Kにガラス遷移温度Tgが認められ、821Kに結晶化
開始温度Txが観察され、ΔTx=Tx−Tgで示される過
冷却液体の温度間隔ΔTxは63Kであった。また、実
施例14の非晶質軟磁性合金のDSC曲線には、760
Kにガラス遷移温度Tgが認められ、821Kに結晶化
開始温度Txが観察され、過冷却液体の温度間隔ΔTxは
61Kであった。また、比較例1の非晶質軟磁性合金の
DSC曲線おいても、740Kにガラス遷移温度Tgが
認められ、800Kに結晶化開始温度Txが観察され、
過冷却液体の温度間隔ΔTxは60Kであった。
【0053】以上のことから、実施例4及び実施例14
の非晶質軟磁性合金は、Gaが添加されていないにもか
かわらず、結晶化温度Tx以下の広い温度領域で過冷却
液体域が存在し、ΔTx=Tx−Tgで示される値が大き
く、金属ガラス合金であることが分かる。従ってFe、
Ga、P、C、BおよびSiからなる合金であっても、
20K以上の広い過冷却液体の温度間隔ΔTxを示すこ
とがわかる。
【0054】次に、実施例1〜14の非晶質軟磁性合金
薄帯について、DSC測定(Differential scanning ca
loriemetry:示差走査熱量測定)を行い、ガラス遷移温
度Tg、結晶化開始温度Tx、キュリー温度Tc及び融点
Tmを測定するとともに、過冷却液体の温度間隔ΔTx、
Tg/Tmを求めた。なお、DSC測定の際の昇温速度は
0.67K/秒であった。図6にガラス遷移温度Tgの
組成依存性、図7に結晶化開始温度Txの組成依存性、
図8に過冷却液体の温度間隔ΔTxの組成依存性、図9
に融点Tmの組成依存性、図10にTg/Tmの組成依存
性、図11にキュリー温度Tcの組成依存性をそれぞれ
示す。
【0055】また実施例1〜14の非晶質軟磁性合金薄
帯について、VSMにより飽和磁化(σs)を測定し、
BHループトレーサにより透磁率(μe)及び保磁力
(Hc)を測定した。図12に飽和磁化(σs)の組成
依存性を示し、図13に透磁率(μe)の組成依存性を
示し、図14に保磁力(Hc)の組成依存性を示す。
【0056】なお、図6〜図14の三角組成図中のプロ
ットの添え数字は、ガラス遷移温度Tg、結晶化開始温
度Tx、過冷却液体の温度間隔ΔTx、融点Tm、Tg/T
m、キュリー温度Tc、飽和磁化(σs)、透磁率(μ
e)、保磁力(Hc)の値をそれぞれ示すものである。
また、図6〜図14の三角組成図には、等温線若しくは
等値線を記入しており、これらの線の近傍に付した数字
はこれらの等温線若しくは等値線の値を示すものであ
る。
【0057】図6よりガラス遷移温度Tgは、B量の増
加及びC量の減少伴って上昇しており、Tgの760K
の等温線がBの組成比wの4.1〜8.05原子%の範
囲、かつCの組成比zの2.3〜5.1原子%の範囲に
ある。また図7より結晶化開始温度Txは、Tgの場合と
同様にB量の増加及びC量の減少に伴って上昇し、Tx
の815Kの等温線がBの組成比wの4〜8.4原子%
の範囲、かつCの組成比zの0.3〜5原子%の範囲に
ある。そして図8に示すように、図6に示すTgの76
0Kの等温線と、図7に示すTxの815Kの等温線と
に囲まれた範囲が、ΔTxの60Kの等温線の範囲に相
当し、この範囲内で過冷却液体の温度間隔ΔTxが60
Kを越えており、特にFe70Al7(P0.76Si0.24
12.653.456.9なる組成の実施例4の非晶質軟磁性合
金のΔTxが63Kを示していることがわかる。
【0058】次に図9より、1290Kの等温線を境に
B量の高い側でTmが最大で1361Kを示し、129
0Kの等温線よりB量が低い側でTmが最小で1226
Kを示している。このように、図9に示した三角組成図
の範囲内の組成でTmに135K程度の差があることか
ら、この系の非晶質軟磁性合金では特にBの組成比wに
対して融点Tmが敏感であることがわかる。
【0059】次に図10に示すTg/Tmの組成依存性
は、Tmの組成に対する鋭敏性を反映したものとなって
おり、Bが5.75原子%以下の範囲であるTg/Tm=
0.60の等値線の範囲内でTg/Tmがやや大きくなっ
ている。Tg/Tmが大きくなるということは、融点Tm
とガラス遷移温度Tgの温度差が小さくなることになる
ので、この範囲の組成の合金では、冷却速度を低くして
も非晶質相が形成されやすく、いわゆる臨界冷却速度が
小さくなる。すなわち、Tg/Tmが大きいほど非晶質形
成能に優れていることになる。
【0060】ここで図10と図8を比較すると、Tg/
Tm=0.60以下の領域が、図8に示したΔTxの60
K以上の領域に重複しており、Tg/Tmが高い領域とΔ
Txが高い領域は必ずしも重複していないことが分か
る。しかし、ΔTxが60K以上の領域であっても、Tg
/Tmが0.57〜0.58と比較的高い値を示してい
ることから、比較的高い非晶質形成能を有していること
が分かる。
【0061】次に図11に示すようにキュリー温度Tc
は、(P+Si)量が小さくなるにつれて上昇してい
る。また図12に示すように飽和磁化(σs)は、図1
1のキュリー温度Tcと同様に(P+Si)量が小さく
なるにつれて高くなっていることがわかる。特に(P+
Si)量が12.65原子%以下で飽和磁化(σs)が
180×10-6(Wb・m・kg-1)以上となり、更に
(P+Si)量が11.5原子%以下で飽和磁化(σ
s)が190×10-6(Wb・m・kg-1)以上となり、
高い飽和磁化(σs)を示すことが分かる。
【0062】このように、キュリー温度Tcと飽和磁化
(σs)は高い相関関係を有していることがわかる。即
ち組成比を最適化することによってキュリー温度Tcが
上昇するともに飽和磁化(σs)も向上し、またキュリ
ー温度Tcの上昇により非晶質軟磁性合金の磁気特性の
熱安定性が向上する結果となる。
【0063】また図13に示すように透磁率(μe)
は、最大で28300を示しているものの、図13の三
角組成図からは組成比と透磁率(μe)の明確な傾向が
みられない。従って透磁率(μe)のP、C、B、Si
の各組成比に対する依存性は小さいものと考えられる。
また図14に示すように保磁力(Hc)は、飽和磁化
(σs)やその他の熱特性のようにP、C、B、Siの
各組成比に対する依存性は高くない。
【0064】以上のことから、Tg、Tx、ΔTx、Tm、
Tg/Tm、Tcといった熱特性及び飽和磁化(σs)につ
いては、P、C、B、Siの組成比に対する依存性が極
めて高いことが分かる。
【0065】(実験例2:物性及び磁気特性のFe、A
lの組成依存性調査)実験例1と同様にして、種々の組
成のインゴットを溶解して溶湯とし、減圧Ar雰囲気下
で回転しているロールにこの溶湯を吹き出して急冷する
ことにより、幅1mm、厚さ20μmの実施例15〜実
施例18の非晶質軟磁性合金の薄帯を得た。
【0066】得られた非晶質軟磁性合金の薄帯の組成を
表3に示す。この非晶質軟磁性合金薄帯は、Fe
100-x-yAlx(P0.420.10.35Si0.13y(但し、
xは1〜5原子%であり、yは18〜22原子%であ
る)の組成のものであった。得られた非晶質軟磁性合金
についてX線回折測定を行った。結果を図15に示す。
【0067】
【表3】
【0068】図15から明らかなように、実施例15〜
18の非晶質軟磁性合金の薄帯のX線回折パターンはい
ずれもブロードなパターンを示しており、非晶質相を主
体とする組織を有していることがわかる。
【0069】次に、実施例15〜18の非晶質軟磁性合
金薄帯について、DSC測定(Differential scanning
caloriemetry:示差走査熱量測定)を行い、ガラス遷移
温度Tg、結晶化開始温度Tx、キュリー温度Tc及び融
点Tmを測定するとともに、過冷却液体の温度間隔ΔT
x、Tg/Tmを求めた。なお、DSC測定の際の昇温速
度は0.67K/秒であった。図16にガラス遷移温度
Tgの組成依存性、図17に結晶化開始温度Txの組成依
存性、図18に過冷却液体の温度間隔ΔTxの組成依存
性、図19に融点Tmの組成依存性、図20にTg/Tm
の組成依存性、図21にキュリー温度Tcの組成依存性
をそれぞれ示す。
【0070】また実施例15〜18の非晶質軟磁性合金
薄帯について、VSMにより飽和磁化(σs)を測定
し、BHループトレーサにより透磁率(μe)及び保磁
力(Hc)を測定した。図22に飽和磁化(σs)の組
成依存性を示し、図23に透磁率(μe)の組成依存性
を示し、図24に保磁力(Hc)の組成依存性を示す。
【0071】なお、図16〜図24の三角組成図中のプ
ロットの添え数字は、ガラス遷移温度Tg、結晶化開始
温度Tx、過冷却液体の温度間隔ΔTx、融点Tm、Tg/
Tm、キュリー温度Tc、飽和磁化(σs)、透磁率(μ
e)、保磁力(Hc)の値をそれぞれ示すものである。
また、図16〜図24の三角組成図には、等温線若しく
は等値線を記入しており、これらの線の近傍に付した数
字はこれらの等温線若しくは等値線の値を示すものであ
る。
【0072】図16よりガラス遷移温度Tgは、(PC
BSi)量の増加、並びにFe量及びAl量の減少に伴
って上昇しており、Tgの760Kの等温線が(PCB
Si)量の組成比yの21原子%付近にある。また図1
7より結晶化開始温度Txは、Tgの場合と同様に(PC
BSi)量の増加、並びにFe量及びAl量の減少に伴
って上昇しており、Txの800Kの等温線が(PCB
Si)の組成比yの21原子%の付近にある。
【0073】ΔTxについては図18に示すように、
(PCBSi)の増加及びFe量及びAl量の減少に伴
って上昇しており、ΔTxの35Kの等温線が(PCB
Si)の組成比yの20〜22原子%及びFeの組成比
の75〜78原子%の付近にある。従って組成比yが2
0原子%以上かつFeが78原子%以下の範囲であれ
ば、過冷却液体の温度間隔ΔTxが35Kを越え、特に
Fe77Al1(P0.420.10.35Si0.1322なる組成
の実施例17の非晶質軟磁性合金のΔTxが37Kを示
していることがわかる。
【0074】ここで、図18で示したΔTxと、先に図
8にて示したΔTxとを比較すると、図8に示したΔTx
の方が高い値を示している。これは、非晶質軟磁性合金
の組成が図8(実験例1)と図18(実験例2)とで異
なっているためと考えられる。即ち、図8で示した非晶
質軟磁性合金のAlの組成比は7原子%であって、図1
8で示した非晶質軟磁性合金のAlの組成比1〜5原子
%よりも高く、また図8で示した非晶質軟磁性合金のF
eの組成比は70原子%であって、図18で示した非晶
質軟磁性合金のFe組成比77〜79原子%より低くな
っており、この組成比の差がΔTxの値に影響している
ものと考えられる。従って、ΔTxは、Al量が高くF
e量が低いほど高くなる傾向にあると考えられる。
【0075】次に融点Tmは図19より、1300Kの
等温線を境にFe量の高い側でTmが最大で1339K
を示し、1300Kの等温線よりFe量の低い側でTm
が最小で1282Kを示している。このように、図19
に示した三角組成図の範囲内の組成でTmに57K程度
の差があることがわかるが、この融点差は先に図9にて
示した最大融点差135Kよりも小さくなっている。従
って、融点Tmは、Fe量に対してはB量の場合よりも
組成依存性が低いことがわかる。
【0076】次に図20に示すTg/Tmの組成依存性
は、Tmの組成に対する依存性を一応反映したものとな
っており、Fe量が76〜78原子%以下の範囲である
Tg/Tm=0.58の等値線の範囲内でTg/Tmがやや
大きくなっている。Tg/Tmが大きくなるということ
は、融点Tmとガラス遷移温度Tgの温度差が小さくなる
ことになるので、この範囲の組成の合金では、冷却速度
を低くしても非晶質相が形成されやすく、臨界冷却速度
が小さくなる。すなわち、Tg/Tmが大きいほど非晶質
形成能に優れていることになる。
【0077】ここで図20と図18を比較すると、Tg
/Tm=0.58の等値線の領域が、図18に示したΔ
Txの35Kの等温線の範囲に重複しており、Tg/Tm
が高い領域とΔTxが高い領域が一致している。従っ
て、Fe量を減少することにより、ΔTxが35K以上
であって、非晶質形成能に優れた非晶質軟磁性合金が得
られることが分かる。
【0078】次に図21に示すようにキュリー温度Tc
は、(PCBSi)量の増加、並びにAl量の減少にと
もなって上昇している。また図22に示すように飽和磁
化(σs)は、図21のキュリー温度Tcと同様に(PC
BSi)量の増加並びにAl量の減少にともなって高く
なっていることがわかる。
【0079】このように、キュリー温度Tcと飽和磁化
(σs)は高い相関関係を有していることがわかる。即
ち(PCBSi)量を増加させるとともにAl量を減少
させることによってキュリー温度Tcが上昇し、また飽
和磁化(σs)も向上し、更にはキュリー温度Tcの上昇
により非晶質軟磁性合金の磁気特性の熱安定性が向上す
る結果となる。
【0080】また図23に示すように透磁率(μe)
は、Fe量及びAl量の減少とともに高くなる傾向にあ
り、Feが77原子%、Alが3原子%の合金の場合に
27000の高い透磁率(μe)を示している。透磁率
(μe)の(PCBSi)量に対する依存性について
は、例えば(PCBSi)量が20原子%の合金が2種
類(実施例16、実施例18)について検討すると、
(PCBSi)量が同じでありながらそれぞれ2700
0、19000の透磁率(μe)を示し、透磁率(μe)
の差が大きくなっている。従って、透磁率(μe)の
(PCBSi)量に対する依存性は、実験例1の図13
で示した場合と同様に小さいものと考えられる。
【0081】また図24に示すように保磁力(Hc)
は、Fe量が低く(PCBSi)量が高くなる低くなる
傾向にあるがその差は小さく、熱特性のように各組成比
に対する依存性は高くないものと考えられる。
【0082】以上のことから、Tg、Tx、ΔTx、Tm、
Tg/Tmといった熱特性については、Fe及びAlの組
成比に対する依存性が高いが、飽和磁化(σs)等の磁
気特性は依存性は高くない。
【0083】(実験例3:射出成形体の製造)Fe及び
Alと、Fe-C合金、Fe-P合金、B、Siを原料と
してそれぞれ所定量秤量して混合し、混合した原料を溶
解して溶湯とし、この溶湯を図1に示す成形金型のキャ
ビティに射出成形して冷却することにより、図3に示す
ような円環状の非晶質軟磁性合金の射出成形体(実施例
19)を製造した。得られた射出成形体の大きさは、外
径6mm、内径4mm、厚さ1mmであった。また、得
られた射出成形体の組成は、Fe70Al79.653.45
6.9Si3であった。なお、これは実施例4の非晶質軟
磁性合金薄帯と同一組成である。
【0084】また実施例19の射出成形体の製造と同様
にして、外径6mm、内径4mm、厚さ1mmであっ
て、Fe70Al5Ga29.655.754.6Si3なる組成
の比較例2の射出成形体を製造した。なお、これは比較
例1の非晶質軟磁性合金薄帯と同一組成である。
【0085】実施例19の射出成形体について、X線回
折及びDSC測定を行った。DSC測定時の昇温速度は
0.67K/秒であった。結果を図25及び図26に示
す。
【0086】図25から明らかなように、実施例19の
射出成形体のX線回折パターンはブロードなパターンを
示しており、非晶質相を主体とする組織を有しているこ
とがわかる。また、図26から明らかなように、実施例
19の射出成形体のDSC曲線には、760Kにガラス
遷移温度Tgが認められ、822Kに結晶化開始温度Tx
が観察され、過冷却液体の温度間隔ΔTxは62Kであ
った。
【0087】以上のことから、実施例19の射出成形体
は、Gaが添加されていないにもかかわらず、結晶化温
度Tx以下の広い温度領域で過冷却液体域が存在し、Δ
Tx=Tx−Tgで示される値が大きく、金属ガラス合金
であることが分かる。
【0088】次に、実施例19及び比較例2の射出成形
体について、698Kで30分間の熱処理を行った。そ
して、熱処理前と熱処理後のそれそれの射出成形体につ
いて、B−H曲線を測定した。結果を図27〜図30に
示す。また表4に、それぞれの射出成形体の磁気特性を
示す。なお、表4に示す磁化B800は、外部磁界800
A/mにおける磁化である。
【0089】
【表4】
【0090】図27に実施例19の熱処理前のB−H曲
線を示し、図28に熱処理後のB−H曲線を示す。図2
7、図28及び表4から明らかなように、実施例19の
射出成形体は、熱処理によって残留磁化(Br)、磁化
(B800)がそれぞれ上昇し、保磁力(Hc)が低くな
っており、熱処理によって軟磁気特性が改善されている
ことが分かる。このように軟磁気特性が改善したのは、
熱処理によって結晶質相が析出することなく射出成形体
の内部応力を緩和できたためと考えられる。
【0091】また、図29に比較例2の熱処理前のB−
H曲線を示し、図30に熱処理後のB−H曲線を示す。
図29、図30及び表4から明らかなように、比較例2
の射出成形体は、熱処理によって磁化(B800)が向上
するものの、残留磁化(Br)が著しく減少し、また保
磁力(Hc)も増大しており、熱処理によって軟磁気特
性が劣化していることが分かる。これは、熱処理によっ
て結晶質相が析出し、この結晶質相の析出が原因となっ
て射出成形体の内部応力が却って増大し、軟磁気特性が
劣化したものと考えられる。なお、熱処理後の比較例2
の射出成形体をX線回折により分析を試みたが、結晶質
相の存在を示す回折パターンは観察されなかった。
【0092】X線回折により結晶質相の析出を確認でき
なかったにもかかわらず、熱処理によって比較例2の射
出成形体に結晶質相が析出したと推定する理由は、次の
理由によるものである。まず第一に、比較例2の射出成
形体を構成する非晶質軟磁性合金の非晶質形成能が、実
施例21の非晶質軟磁性合金の非晶質形成能よりも低
く、比較例2の射出成形体の組織の原子配列の規則性が
実施例21の場合よりも高い状態であり、熱処理により
結晶質相が析出しやすい状態であったこと、また第二
に、比較例2の非晶質軟磁性合金の非晶質形成能が低い
ため、射出成型時に、ごく僅かに結晶質相が析出した
か、あるいは結晶質相の成長の核となるようなものが析
出したため、熱処理によりこれらを核として結晶化が進
行し結晶質相が析出したものと考えられること、であ
る。
【0093】また、比較例2の射出成形体について、X
線回折により結晶質相が確認できなかった理由として
は、結晶質相が組織の一部に析出していると考えられ、
そのためX線回折では検出感度が不足して結晶質相を検
出できなかったためと考えられる。
【0094】以上のことから、本発明に係る非晶質軟磁
性合金は、非晶質質形成能が高いため、合金溶湯の急冷
等により完全な非晶質相を得ることができるので、熱処
理しても結晶質相が析出することなく急冷の際に発生し
た内部応力を緩和でき、軟磁気特性を向上させることが
できるという従来の金属ガラス合金にはない格別な効果
を有する。
【0095】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
非晶質軟磁性合金は、磁性を示すFeと、Alと、非晶
質形成能を有するP、C、B及びSiを具備しているの
で、非晶質相を主相とするとともに軟磁気特性を示す非
晶質軟磁性合金を構成することができ、またAlは非晶
質形成能を高める作用があるので、組織全体が完全に非
晶質相である非晶質軟磁性合金を構成することができ
る。
【0096】また上記の非晶質軟磁性合金は、20K以
上の過冷却液体の温度間隔ΔTxを有する金属ガラス合
金であるので、溶湯を冷却して非晶質相を形成させる際
に、比較的遅い冷却速度でも非晶質相を形成させること
ができ、薄帯よりも肉厚なバルク状の合金とすることが
できる。特に合金の溶湯を用いて鋳造法や射出成形法を
適用することにより、バルク状の鋳造体や射出成形体を
構成できる。
【0097】また、上記の非晶質軟磁性合金の非晶質形
成能は、従来のFe-Al-Ga-C-P-Si-B系合金の
非晶質形成能よりも優れているので、冷却速度が遅くな
っても完全な非晶質相が形成されるので、鋳造法によっ
て非晶質相を有する比較的大きな形状のバルク体を製造
することができる。
【0098】また、組織全体を完全な非晶質相とするこ
とができるので、透磁率及び飽和磁化が格段に向上し、
優れた軟磁気特性を示すことができる。また組織全体が
完全な非晶質相であることから、適度な条件で熱処理し
た場合に結晶質相が析出させることなく内部応力を緩和
でき、軟磁気特性をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の非晶質軟磁性合金の射出成形体を
製造する際に用いる成形金型の一例を示す斜視図であ
る。
【図2】 図1に示す成形金型を用いた本発明の非晶
質軟磁性合金の射出成形体の製造方法を説明するための
模式図である。
【図3】 図1に示す成形金型を用いて得られた本発
明の非晶質軟磁性合金の射出成形体及び射出成形前駆体
を示す説明する斜視図である。
【図4】 実施例1〜実施例14の非晶質軟磁性合金
の薄帯のX線回折パターンを示す図である。
【図5】 実施例4、実施例14及び比較例1の非晶
質軟磁性合金の薄帯のDSC曲線を示す図である。
【図6】 Fe70Al7(P0.76Si0.24)vzwなる
組成の非晶質軟磁性合金薄帯のガラス遷移温度Tgの
P、C、B組成依存性を示す三角組成図である。
【図7】 Fe70Al7(P0.76Si0.24)vzwなる
組成の非晶質軟磁性合金薄帯の結晶化開始温度Txの
P、C、B組成依存性を示す三角組成図である。
【図8】 Fe70Al7(P0.76Si0.24)vzwなる
組成の非晶質軟磁性合金薄帯の過冷却液体の温度間隔Δ
TxのP、C、B組成依存性を示す三角組成図である。
【図9】 Fe70Al7(P0.76Si0.24)vzwなる
組成の非晶質軟磁性合金薄帯の融点TmのP、C、B組
成依存性を示す三角組成図である。
【図10】 Fe70Al7(P0.76Si0.24)vzw
る組成の非晶質軟磁性合金薄帯のTg/TmのP、C、B
組成依存性を示す三角組成図である。
【図11】 Fe70Al7(P0.76Si0.24)vzw
る組成の非晶質軟磁性合金薄帯のキュリー温度Tcの
P、C、B組成依存性を示す三角組成図である。
【図12】 Fe70Al7(P0.76Si0.24)vzw
る組成の非晶質軟磁性合金薄帯の飽和磁化(σs)の
P、C、B組成依存性を示す三角組成図である。
【図13】 Fe70Al7(P0.76Si0.24)vzw
る組成の非晶質軟磁性合金薄帯の透磁率(μe)のP、
C、B組成依存性を示す三角組成図である。
【図14】 Fe70Al7(P0.76Si0.24)vzw
る組成の非晶質軟磁性合金薄帯の保磁力(Hc)のP、
C、B組成依存性を示す三角組成図である。
【図15】 実施例15〜実施例18の非晶質軟磁性
合金の薄帯のX線回折パターンを示す図である。
【図16】 Fe100-x-yAlx(P0.420.10.35
0.13)yなる組成の非晶質軟磁性合金薄帯のガラス遷移
温度TgのFe、Al組成依存性を示す三角組成図であ
る。
【図17】 Fe100-x-yAlx(P0.420.10.35
0.13)yなる組成の非晶質軟磁性合金薄帯の結晶化開始
温度TxのFe、Al組成依存性を示す三角組成図であ
る。
【図18】 Fe100-x-yAlx(P0.420.10.35
0.13)yなる組成の非晶質軟磁性合金薄帯の過冷却液体
の温度間隔ΔTxのFe、Al組成依存性を示す三角組
成図である。
【図19】 Fe100-x-yAlx(P0.420.10.35
0.13)yなる組成の非晶質軟磁性合金薄帯の融点Tmの
Fe、Al組成依存性を示す三角組成図である。
【図20】 Fe100-x-yAlx(P0.420.10.35
0.13)yなる組成の非晶質軟磁性合金薄帯のTg/Tmの
Fe、Al組成依存性を示す三角組成図である。
【図21】 Fe100-x-yAlx(P0.420.10.35
0.13)yなる組成の非晶質軟磁性合金薄帯のキュリー温
度TcのFe、Al組成依存性を示す三角組成図であ
る。
【図22】 Fe100-x-yAlx(P0.420.10.35
0.13)yなる組成の非晶質軟磁性合金薄帯の飽和磁化
(σs)のFe、Al組成依存性を示す三角組成図であ
る。
【図23】 Fe100-x-yAlx(P0.420.10.35
0.13)yなる組成の非晶質軟磁性合金薄帯の透磁率(μ
e)のFe、Al組成依存性を示す三角組成図である。
【図24】 Fe100-x-yAlx(P0.420.10.35
0.13)yなる組成の非晶質軟磁性合金薄帯の保磁力(H
c)のFe、Al組成依存性を示す三角組成図である。
【図25】 実施例19の射出成形体のX線回折パタ
ーンを示す図である。
【図26】 実施例19の射出成形体のDSC曲線を
示す図である。
【図27】 実施例19の熱処理前の射出成形体のB
−H曲線を示す図である。
【図28】 実施例19の熱処理後の射出成形体のB
−H曲線を示す図である。
【図29】 比較例2の熱処理前の射出成形体のB−
H曲線を示す図である。
【図30】 比較例2の熱処理後の射出成形体のB−
H曲線を示す図である。
【符号の説明】
11 射出成形体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 水嶋 隆夫 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 Fターム(参考) 5E041 AA11 AA19 BD03 CA01 NN01 NN18

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非晶質相を主相とする組織からなり、
    下記の組成式で表されることを特徴とする非晶質軟磁性
    合金。 (Fe1-aa100-x-v-z-wAlx(P1-bSibvzw ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
    り、組成比を示すa、b、x、v、z、wは、0≦a≦
    0.15、0<b≦0.8、0原子%<x≦20原子
    %、0原子%<v≦22原子%、0原子%<z≦12原
    子%、0原子%<w≦16原子%である。
  2. 【請求項2】 前記組成比を示すa、b、x、v、
    z、wが、0≦a≦0.15、0.1≦b≦0.35、
    0原子%<x≦15原子%、8原子%≦v≦18原子
    %、0.5原子%≦z≦7.4原子%、3原子%≦w≦
    14原子%であることを特徴とする請求項1に記載の非
    晶質軟磁性合金。
  3. 【請求項3】 前記組成比を示すa、b、x、v、
    z、wが、0≦a≦0.15、0.1≦b≦0.28、
    0原子%<x≦10原子%、11.3原子%≦v≦14
    原子%、1.8原子%≦z≦4.6原子%、5.3原子
    %≦w≦8.6原子%であることを特徴とする請求項1
    に記載の非晶質軟磁性合金。
  4. 【請求項4】 ΔTx=Tx−Tg(ただしTxは結晶化
    開始温度、Tgはガラス遷移温度を示す。)の式で表さ
    れる過冷却液体の温度間隔ΔTxが20K以上であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の非晶質軟磁性合金。
  5. 【請求項5】 ΔTx=Tx−Tg(ただしTxは結晶化
    開始温度、Tgはガラス遷移温度を示す。)の式で表さ
    れる過冷却液体の温度間隔ΔTxが40K以上であるこ
    とを特徴とする請求項2に記載の非晶質軟磁性合金。
  6. 【請求項6】 ΔTx=Tx−Tg(ただしTxは結晶化
    開始温度、Tgはガラス遷移温度を示す。)の式で表さ
    れる過冷却液体の温度間隔ΔTxが60K以上であるこ
    とを特徴とする請求項3に記載の非晶質軟磁性合金。
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