JP2001254030A - 超撥水性を有する被覆物及びその製造方法 - Google Patents

超撥水性を有する被覆物及びその製造方法

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JP2001254030A
JP2001254030A JP2000068286A JP2000068286A JP2001254030A JP 2001254030 A JP2001254030 A JP 2001254030A JP 2000068286 A JP2000068286 A JP 2000068286A JP 2000068286 A JP2000068286 A JP 2000068286A JP 2001254030 A JP2001254030 A JP 2001254030A
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JP2000068286A
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Tsutomu Minami
努 南
Seiji Tadanaga
清治 忠永
Atsunori Matsuda
厚範 松田
Katsumi Yasui
勝美 安井
Shintaro Itakura
信太郎 板倉
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Sekisui Jushi Corp
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Sekisui Jushi Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】超撥水性性能のみならず超滑水性能をも備えた
超撥水性を有する被覆物及びその製造方法を提供する。 【解決手段】撥水膜の下地材として基体上に、花弁状の
微細な凹凸形状を表面に有する透明アルミナ膜を形成す
る。さらにその花弁状の透明アルミナ膜にコロナ放電処
理あるいはプラズマ処理を行い、表面に吸着された吸着
水分や不純物を除去すると共に表面を活性化状態にさ
せ、しかる後に、その上に撥水膜を形成する。花弁状の
微細な凹凸形状からなる特異な形状によって、その上に
形成される撥水膜の含浸性、担持性を高めることができ
ると共に、前記特異な形状と、撥水膜の含浸性、担持性
との相乗作用によって、優れた超撥水性が発現され、且
つコロナ放電処理あるいはプラズマ処理により、超滑水
性も発現される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超撥水性のみなら
ず超滑水性をも備えた超撥水性被覆物及びその製造方法
に関し、例えば建築用、構築用材料に広く適用されるも
のである。
【0002】
【従来の技術】各種の分野において、水滴の付着や着
雪、着氷、汚染等を防止するために表面を撥水化するこ
とが求められている。そして、従来、撥水性を付与する
には、基材の表面にフッ素系やシリコーン系等の撥水被
膜を直接形成する方法が提案されている。しかしなが
ら、基材の表面に単に撥水被膜を形成しただけのもの
は、得られる撥水性能に限度があり、いわゆる超撥水性
と称される水との接触角が150度以上のものは得難
く、せいぜい初期の接触角は120度以下であり、又基
材と撥水被膜との付着性にも問題がある。
【0003】他方、撥水性は表面状態によっても大きく
影響され、表面を微細な凹凸形状にして実際の表面積を
見かけの表面積より大きくし、その上に撥水被膜を形成
すれば、撥水性を一層向上させることができることが知
られている。そこで、この凹凸の形成として、例えば基
材が金属の場合は浸漬法や電解法によるエッチング等を
利用したり、又ガラスの場合は、フォトリソグラフィー
等を利用することができるが、これらは類雑で大がかり
な装置を必要とし、コスト高になるのを避け得なかっ
た。
【0004】又、表面を微細な凹凸形状としたものとし
て特開平9−202650公報に記載される如く、基体
上に花弁状の透明アルミナ膜を形成し、その花弁状の透
明アルミナ膜上に撥水膜を形成したものがある。この被
覆物は透明アルミナ膜の表面が、花弁状の微細な凸部
と、そうでない部分の孔状の微細な凹部とがランダムに
集合体化した、特異な形状となされているので、その上
に形成される撥水膜の含浸性、担持性を高めることがで
きると共に、この花弁状透明アルミナ膜の特異な形状
と、撥水膜の含浸性、担持性との相乗作用によって、水
の接触角が140度以上の優れた超撥水性が発現され、
しかも花弁状透明アルミナ膜はゾルゲル法により容易に
形成することができ、又透明アルミナ膜であるので、こ
のアルミナ膜によって透明性が損なわれることのない等
の特長を有しているものである。
【0005】ところが、花弁状透明アルミナ膜の表層は
結晶性ベーマイト(AlOOH)であるため、末端のO
H基が空気中に配向している。そのため空気中の水分や
不純物を必然的に吸着してしまい、撥水膜用の撥水剤を
被覆する際に、その部分に撥水剤が被覆されずにミクロ
的に未撥水部分が残存してしまい、滑水性(表面に付着
した水滴が僅かな傾斜によって滑り落ちる性質)に大き
く影響を及ぼすことがある。
【0006】すなわち、一般的には、撥水性能が良好で
あれば水滴もその性能と同様にすぐに滑落すると、同一
的な性能で考えられているが、撥水性と滑水性は、異な
る性能であると考えられる。撥水のメカニズムとして
は、水分子と物体表面に位置する原子との水素結合や、
ファンデルワールス力、及び水分子と接する物体表面に
よる水分子の構造変化等が考えられるが、水滴が対象と
なるマクロ的な効果である撥水性能では、接する物体表
面と接する水滴の界面の水滴外周部分が重要であり、例
えばミクロ的に未撥水部分が点在していても水の表面張
力により殆ど撥水性能には影響がない。しかし静的な性
能である撥水性に対して、滑水性は静から動に移行する
性能であり、その性能発現は水滴と接する物体表面全体
に関係する。したがってミクロ的に未撥水部分が点在し
ていると、撥水部分と水分子と物体表面に位置する原子
との水素結合や、ファンデルワールス力、及び水分子と
接する物体表面による水分子の構造変化等が異なるた
め、付着性に差異が発生し、滑水性が低下する。そし
て、この滑水性を向上させるためには、撥水膜の含浸
性、担持性、そして特に単位面積あたりの撥水物質の高
密度化および均一性が重要である。
【0007】そこで本発明は、花弁状透明アルミナ膜に
よって得られる超撥水性能に加えて超滑水性能をも具備
した超撥水性を有する被覆物、及びこの超撥水性を有す
る被覆物の製造方法を提供せんとするものである。
【0008】本発明者は、上記課題を解決するために鋭
意研究した結果、超撥水性能に加えて超滑水性能をも発
現させるために、特異な凹凸形状を有する花弁状透明ア
ルミナ膜にコロナ放電処理あるいはプラズマ処理を行
い、花弁状透明アルミナ膜に付着されている水分或いは
不純物の除去を行い、且つ花弁状透明アルミナ膜の表面
を十分に活性化させ、しかる後、その花弁状透明アルミ
ナ膜上に撥水膜を形成すれば、前記特異な凹凸形状との
相乗効果により、花弁状透明アルミナ膜上に被覆される
撥水膜の含浸性、担持性、そして特に滑水性に最も寄与
する単位面積あたりの撥水物質の高密度化および均一性
の格段の向上を同時に図ることができ、滑水性を極めて
向上させることができること等を知得し、本発明を完成
するに至った。
【0009】すなわち本発明に係る超撥水性を有する被
覆物は、基体上に、花弁状透明アルミナ膜が形成され、
その花弁状の透明アルミナ膜にコロナ放電処理あるいは
プラズマ処理を行い、表面に吸着された吸着水分や不純
物を除去すると共に表面を活性化状態にさせ、しかる後
に、その上に撥水膜が形成されたことを特徴とするもの
である。
【0010】本発明によれば、撥水膜の下地材として基
体上に、花弁状の微細な凹凸形状を表面に有する透明ア
ルミナ膜が形成されているので、その上に形成される撥
水膜の含浸性、担持性を高めることができると共に、こ
れら花弁状透明アルミナ膜の特異な形状と、撥水膜の含
浸性、担持性との相乗作用によって、水の接触角が14
0度以上、好ましくは150度以上、さらに好ましくは
160度以上の優れた超撥水性が発現されると共に、透
明アルミナ膜であるので、このアルミナ膜によって透明
性が損なわれることがない。
【0011】又、特異な凹凸形状を有する花弁状透明ア
ルミナ膜は、予めコロナ放電処理あるいはプラズマ処理
が行われ、花弁状透明アルミナ膜に付着されている水分
或いは不純物は除去され、且つ花弁状透明アルミナ膜の
表面は十分に活性化され、しかる後、その花弁状透明ア
ルミナ膜上に撥水膜が形成されているので、その特異な
凹凸形状との相乗効果により、花弁状透明アルミナ膜上
に被覆される撥水膜の含浸性、担持性、そして特に滑水
性に最も寄与する単位面積あたりの撥水物質の高密度化
および均一性の格段の向上を同時に図ることができ、滑
水性を極めて向上させることができる。
【0012】本発明における花弁状透明アルミナ膜は、
透明アルミナ膜の表面が、花弁状の微細な凸部と、そう
でない部分の孔状の微細な凹部とがランダムに集合体化
した、特異な形状となされているものであって、その形
成方法は、特に限定されるものではないが、アルミニウ
ムアルコキシドと安定化剤とを含む塗布液によるゾルゲ
ル法により、例えば高分子基体であっても、破壊や強度
低下等の悪影響を与えることなく容易に形成することが
できる。
【0013】尚、塗布液の塗布方法としては、例えば、
ディッピング法、スピンコート法、ノズルフローコート
法、スプレー法、フローコート法、ならびにこれらの併
用法等、適宜公知の塗布方法が採用できる。なおこれら
塗布方法の中でも、ディッピング法は、膜の均一性、膜
厚の制御等が容易であり、透明な本発明の塗布液を塗布
する場合は適切である。
【0014】前記アルミニウムアルコキシドとしては、
例えば、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプ
ロポキシド、アルミニウム−n−ブトキシド、アルミニ
ウム−sec−ブトキシド、アルミニウム−tert−
ブトキシド、アルミニウムアセチルアセテート等が用い
られる。
【0015】また安定剤としては、例えば、アセチルア
セトンやアセト酢酸エチル等のβ―ジケトン類、モノエ
タノールアミンやジエタノールアミンやトリエタノール
アミン等のアルカノールアミン類、さらに一般的な金属
アルコキシドの安定化剤等が用いられる。
【0016】また希釈溶媒としては、例えばメチルアル
コール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチ
ルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、
さらに一般的なゾルゲル法に用いられる希釈溶媒などが
用いられる。
【0017】前記花弁状透明アルミナ膜上に形成される
撥水膜は、任意の撥水剤により形成されるが、基体が高
分子からなる場合は、高分子基体に悪影響を与えない1
00℃以下の低温下で成膜できる撥水剤を用いるのが好
ましい。
【0018】例えば、撥水剤として、フッ化ピッチ、或
いはフッ素樹脂、具体的にはポリテトラフルオロエチレ
ン、テトラエチレン- ヘキサフルオロプロピレン共重合
体、エチレン- テトラフルオロエチレン共重合体、テト
ラフルオロエチレン- パーフルオロアルキルビニルエー
テル共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリフッ
化ビニル等、それらをベースとしたフッ素樹脂コーティ
ング剤などが、フルオロカーボン基を有するフッ素含有
化合物、またはそれらをベースとしたフッ素樹脂コーテ
イング剤を用いることができる。
【0019】また例えば、フルオロカーボン基を有する
フッ素含有シラン化合物を用いることができる。さらに
例えば、メチル基を有するフッ素非含有シラン化合物を
用いることができる。
【0020】前記の如き撥水剤からなる塗布液の塗布方
法としては、例えば、ディッピング法、スピンコート
法、ノズルフローコート法、スプレー法、フローコート
法、ならびにそれらの併用法、既知の塗布手段により被
覆し、超撥水性超滑水性膜被覆物を得ることができる。
【0021】基体の材質は特に限定されるものではな
い。基体が高分子基体である場合は、例えばポリカーボ
ネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリレ
ート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂等
の有機樹脂を用いることができる。これらの高分子基体
に花弁状透明アルミナ膜を直接形成してもよいが、予め
高分子基体の表面にシリコーン系ベース膜を形成し、そ
の表面をコロナ放電処理やプラズマ処理等を行い、高分
子基体に付着されている水分や不純物の除去、及び高分
子基体の表面に水酸基等を発現させることにより充分に
活性化させ、しかる後、その上に花弁状透明アルミナ膜
を形成すれば、その花弁状透明アルミナ膜の付着性を高
めることができるので好ましい。
【0022】なお、本発明においては、花弁状透明アル
ミナ膜に対してコロナ放電処理あるいはプラズマ処理が
行われ、その上に撥水膜が形成される。このコロナ放電
処理あるいはプラズマ処理は、プラスチック、金属又は
それらの複合材等に汎用的に使用されているものと同様
であって、コロナ放電処理あるいはプラズマ処理とも大
気中で行い、花弁状透明アルミナ膜表層の結晶性ベーマ
イトに吸着している水分あるいは不純物を除去し、且つ
花弁状透明アルミナ膜表面の結合を切断し、反応性の高
い遊離ラジカルとなり、空気中の酸素により酸化され、
高密度に極性基(−C=O、−COOH、−OH等)を
生成させ、ミクロ的に臨界表面張力を向上させること
で、その上に被覆する撥水膜のミクロ的な高密度化と、
ミクロ的な密着性を向上させるものである。なお、コロ
ナ放電処理あるいはプラズマ処理の処理時間は、花弁状
透明アルミナ膜の表面状態及びその後に被覆する撥水剤
にもよるが、例えばコロナ放電処理では、出力20K
W、ギャップが10mm、発振周波数30KHzで、処
理時間が約0.1〜5秒、好ましくは約0.5〜2秒、
また花弁状透明アルミナ膜表面の水に対する濡れ性が約
10度以下前後になる程度で良く、好ましくは約5度以
下前後である。
【0023】得られた花弁状透明アルミナ膜の評価法と
しては、走査型電子顕微鏡(SEM)による5万倍での
表層観察と、5万倍での断面観察、ならびに原子間力顕
微鏡により中心線平均粗さRaを面拡張した平均面粗さ
Ra′値と比表面積SRによって行うことができる。
【0024】本発明においては、例えば、空隙の大きさ
が約50〜100nm程度で花弁状物が約20〜50n
m程度が好ましく、又平均面粗さRa′値が約17nm
程度以上、且つ比表面積SRが1.5程度以上で良好で
あり、好ましくは、Ra′値が約20nm程度以上、表
面積SRを1.7程度以上が良く、両者の値が極端に大
きいと濁度、透過率等が問題となることは当然である。
【0025】また、撥水膜における撥水性能の評価法と
しては、接触角計を用いて、該膜の大気中での水滴に対
する接触角を測定することで行うことができる。本発明
においては、接触角は約140度以上、好ましくは15
0度以上、さらに好ましくは160度以上の超撥水性能
を具備することができる。
【0026】また、撥水膜における滑水性能の評価法と
して、得られた被覆物上に水滴を落とし、水滴を静止さ
せた後に被覆物を徐々に傾斜させ、水滴が滑落する被覆
物の傾斜角度により滑水性を測定することができる。本
発明においては、滑水性は約10度以下、好ましくは約
1〜5度程度の超滑水性能を具備させることができる。
【0027】かようにして、高分子基体上に花弁状透明
アルミナ膜を形成し、さらにこの花弁状透明アルミナ膜
にコロナ放電処理あるいはプラズマ処理を行った後、撥
水膜を形成することにより、前記花弁状透明アルミナ膜
の特異な凹凸形状により超撥水性が具備され、また前記
特異な凹凸形状とコロナ放電処理あるいはプラズマ処理
とが相まって、超撥水性のみならず超滑水性をも具備さ
れると共に、光学特性を損なうことがなく、且つ高分子
基体であっても基体の性状も損なうことなく、耐候性に
も優れたものとなり、高分子や金属、ガラス等からなる
各種の建築物、構築物等の資材全般、例えば建材、建築
外装材、窓ガラス、看板、交通標識、道路用や鉄道用の
透光性遮音板、防音板、ガードレール、照明カバー、橋
梁、柵、高欄、視線誘導標やそれらに用いられる反射
板、カーブミラー、浴室用ミラー等、撥水性が要求され
るあらゆる用途に有用な超撥水超滑水被覆物を得ること
ができる。
【0028】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て、以下の実施例により具体的に説明する。但し、本発
明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0029】
【実施例】(実施例1)先ず、ポリカーボネート基板上
に、シリコーン系ベース膜を形成し、そのシリコーン系
ベース膜にコロナ放電処理あるいはプラズマ処理を行
い、表面に吸着された吸着水分や不純物を除去すると共
に表面に水酸基を発現せしめ、その上にアルミナゾル液
であるアルミナ膜形成用の塗布液を塗布し、花弁状透明
アルミナ薄膜付きポリカーボネート板を得た。
【0030】そして、前記花弁状透明アルミナ薄膜付き
ポリカーボネート板を十分に表面が活性化するまでコロ
ナ放電処理を行った。次に、この花弁状透明アルミナ薄
膜付きポリカーボネート板を、フッ素シリコーンコーテ
ィング剤を主成分とする撥水膜用塗布液に浸漬し、乾燥
後、熱処理することにより、花弁状透明アルミナ膜上に
撥水膜を形成し、実施例1の本発明に係る被覆物を得
た。
【0031】(実施例2)実施例1と異なり、撥水膜用
塗布液として、ペプタデカフロロデシルトリクロロシラ
ンを主成分とする塗布液を用いて花弁状透明アルミナ膜
上に撥水膜を形成した以外は、実施例1と同様にして、
実施例2の本発明に係る被覆物を得た。
【0032】(実施例3)次に前記と異なり、撥水膜用
塗布液として、オクタデシルトリエトキシシランを主成
分とする塗布液を用いて花弁状透明アルミナ膜上に撥水
膜を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例3
の本発明に係る被覆物を得た。
【0033】(実施例4)さらに前記と異なり、撥水膜
用塗布液として、フッ化ピッチに、1,1,2−トリク
ロロ−1,1,2−トリフルオロエタンを加えたものを
主成分とする塗布液を用いて花弁状透明アルミナ膜上に
撥水膜を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施
例4の本発明に係る被覆物を得た。
【0034】(比較例1〜4)前記実施例1〜4につい
ては、花弁状透明アルミナ薄膜付きポリカーボネート板
を十分に表面が活性化するまでコロナ放電処理を行い、
しかる後に撥水膜用塗布液内に浸漬して撥水膜を形成し
たのに対して、コロナ放電処理をせずに、花弁状透明ア
ルミナ薄膜付きポリカーボネート板を撥水膜用塗布液内
に浸漬して撥水膜を形成した以外は、前記実施例1〜4
とそれぞれ同様にして、花弁状透明アルミナ膜上に撥水
膜を形成した、比較例1〜4の被覆物を得た。
【0035】前記にて得られた実施例1〜4及び比較例
1〜4のそれぞれについて、撥水性、滑水性を測定し
た。撥水性は、接触角計を用いて、各被覆物の大気中で
の水滴に対する接触角θを測定することで行った。また
撥水膜における滑水性の測定は、各被覆物に水滴を落と
し、水滴を静止させた後に該被覆物を徐々に傾斜させ、
その被覆物の傾斜角度より滑落角θを測定することで行
った。
【0036】その結果、実施例1〜4及び比較例1〜4
のいずれも、水に対する接触角θは160〜165度で
あった。この結果より、花弁状アルミナ膜上に撥水膜を
形成したものは、極めて高い撥水性を有していることが
判る。
【0037】しかしながら、滑落角については顕著な違
いがあり、比較例1〜4が20〜40度であったのに対
して、実施例1〜4は1〜4度であった。この結果よ
り、実施例1〜4の如く、花弁状透明アルミナ薄膜付き
ポリカーボネート板を十分に表面が活性化するまでコロ
ナ放電処理を行った後に撥水膜を形成することにより、
滑水性が極めて向上することが判る。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、撥水膜の下地材として
基体上に、花弁状の微細な凹凸形状を表面に有する透明
アルミナ膜が形成されているので、その上に形成される
撥水膜の含浸性、担持性を高めることができると共に、
これら花弁状透明アルミナ膜の特異な形状と、撥水膜の
含浸性、担持性との相乗作用によって、水の接触角が1
40度以上、好ましくは150度以上、さらに好ましく
は160度以上の優れた超撥水性が発現されると共に、
透明アルミナ膜であるので、このアルミナ膜によって透
明性が損なわれることがない。
【0039】又、特異な凹凸形状を有する花弁状透明ア
ルミナ膜は、予めコロナ放電処理あるいはプラズマ処理
が行われ、花弁状透明アルミナ膜に付着されている水分
或いは不純物は除去され、且つ花弁状透明アルミナ膜の
表面は十分に活性化され、しかる後、その花弁状透明ア
ルミナ膜上に撥水膜が形成されているので、その特異な
凹凸形状との相乗効果により、花弁状透明アルミナ膜上
に被覆される撥水膜の含浸性、担持性、そして特に滑水
性に最も寄与する単位面積あたりの撥水物質の高密度化
および均一性の格段の向上を同時に図ることができ、滑
水性を極めて向上させることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08J 7/04 C08J 7/04 Z C09D 1/00 C09D 1/00 C09K 3/18 104 C09K 3/18 104 (72)発明者 松田 厚範 大阪府河内長野市緑ケ丘中町12−5 (72)発明者 安井 勝美 滋賀県蒲生郡竜王町大字鏡字谷田731−1 積水樹脂株式会社内 (72)発明者 板倉 信太郎 滋賀県蒲生郡竜王町大字鏡字谷田731−1 積水樹脂株式会社内 Fターム(参考) 4D075 BB49Y CA36 DB36 DB37 DB38 DB43 DB48 DB49 EB42 4F006 AA04 AA12 AA15 AA17 AA22 AA35 AA36 AA42 AB02 AB67 AB74 BA11 DA04 EA03 4F100 AA19B AK07A AK15A AK17C AK25A AK42A AK45A AK52C AK52D AK74A AR00C AT00A BA03 BA04 BA07 BA10A BA10C CC00C EH462 EJ55B EJ55D EJ552 EJ61B EJ61D EJ612 GB07 GB90 JB06 JB06C JN01B 4H020 BA36 4J038 AA011 HA061 HA441 NA07 PA17 PB02 PB05 PC08

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体上に、花弁状透明アルミナ膜が形成
    され、その花弁状の透明アルミナ膜にコロナ放電処理あ
    るいはプラズマ処理を行い、表面に吸着された吸着水分
    や不純物を除去すると共に表面を活性化状態にさせ、し
    かる後に、その上に撥水膜が形成されたことを特徴とす
    る超撥水性を有する被覆物。
  2. 【請求項2】 基体は、ポリカーボネート、ポリエチレ
    ンテレフタレート、ポリメタクリレート、ポリプロピレ
    ン、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂等の有機樹脂からなる
    高分子基体であることを特徴とする請求項1に記載の超
    撥水性を有する被覆物。
  3. 【請求項3】 高分子基体上に、シリコーン系ベース膜
    が形成されると共にシリコーン系ベース膜にコロナ放電
    処理あるいはプラズマ処理を行い、しかる後に、その上
    に花弁状透明アルミナ膜が形成されたことを特徴とする
    請求項2に記載の超撥水性を有する被覆物。
  4. 【請求項4】 基体上に、花弁状透明アルミナ膜を形成
    し、その花弁状の透明アルミナ膜にコロナ放電処理ある
    いはプラズマ処理を行い、表面に吸着された吸着水分や
    不純物を除去すると共に表面を活性化状態にさせ、しか
    る後に、その上に撥水膜を形成することを特徴とする超
    撥水性を有する被覆物の製造方法。
  5. 【請求項5】 基体は、ポリカーボネート、ポリエチレ
    ンテレフタレート、ポリメタクリレート、ポリプロピレ
    ン、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂等の有機樹脂からなる
    高分子基体であることを特徴とする請求項4に記載の超
    撥水性を有する被覆物の製造方法。
  6. 【請求項6】 高分子基体上に、シリコーン系ベース膜
    を形成すると共にシリコーン系ベース膜にコロナ放電処
    理あるいはプラズマ処理を行い、しかる後に、その上に
    花弁状透明アルミナ膜を形成することを特徴とする請求
    項5に記載の超撥水性を有する被覆物の製造方法。
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