JP2001250691A - 無機el素子 - Google Patents

無機el素子

Info

Publication number
JP2001250691A
JP2001250691A JP2000059519A JP2000059519A JP2001250691A JP 2001250691 A JP2001250691 A JP 2001250691A JP 2000059519 A JP2000059519 A JP 2000059519A JP 2000059519 A JP2000059519 A JP 2000059519A JP 2001250691 A JP2001250691 A JP 2001250691A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
insulating layer
film
layer
thick
thin film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000059519A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsuto Nagano
克人 長野
Yoshihiko Yano
義彦 矢野
Masato Usuda
真人 薄田
Masami Mori
匡見 森
Masaru Takayama
勝 高山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP2000059519A priority Critical patent/JP2001250691A/ja
Publication of JP2001250691A publication Critical patent/JP2001250691A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 厚膜絶縁層を用いた無機EL素子において、
さらに高輝度化を可能とする構造をもった無機EL素子
を提供する。 【解決手段】 第一の絶縁層と第二の絶縁層の間に発光
層を有する二重絶縁層型の無機EL素子であって、前記
第一の絶縁層の誘電率が500以上であり、第一の絶縁
層のキャパシター容量C1と、第二の絶縁層のキャパシタ
ー容量C2の関係が1.5>C1/C2>0.5である構
成の無機EL素子とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二重絶縁層型の無
機EL素子に関するものであり、第一の絶縁層に厚膜誘
電体を用い、第二の絶縁層を改良することにより、高輝
度でかつが安定した発光素子として機能することが可能
な無機EL素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、小型または、大型軽量のフラット
ディスプレイとして、薄膜EL素子が盛んに研究されて
いる。黄橙色発光のマンガン添加硫化亜鉛からなる蛍光
体薄膜を用いたモノクロ薄膜ELディスプレイは図7に
示すような薄膜の絶縁層2a,4を用いた2重絶縁型構
造で既に実用化されている。図7において、基板1上に
は所定パターンの下部電極5が形成されていて、この下
部電極5上に第1の絶縁層2aが形成されている。ま
た、この第1の絶縁層2a上には、発光層3、第2の絶
縁層4が順次形成されるとともに、第2の絶縁層4上に
前記下部電極5とマトリクス回路を構成するように上部
電極6が所定パターンで形成されている。
【0003】さらに、ディスプレイとしてパソコン用、
TV用、その他表示用に対応するためにはカラー化が必
要不可欠である。硫化物蛍光体薄膜を用いた薄膜ELデ
ィスプレイは、信頼性、耐環境性に優れているが、現在
のところ、赤色、緑色、青色の3原色に発光するEL用
蛍光体の特性が十分でないため、カラー用には不適当と
されている。青色発光蛍光体は、母体材料としてSr
S、発光中心としてCeを用いたSrS:CeやZn
S:Tm、赤色発光蛍光体としてはZnS:Sm、Ca
S:Eu、緑色発光蛍光体としてはZnS:Tb、Ca
S:Ceなどが候補であり研究が続けられている。
【0004】これらの赤色、緑色、青色の3原色に発光
する蛍光体薄膜は発光輝度、効率、色純度に問題があ
り、現在、カラーELパネルの実用化には至っていな
い。
【0005】これらの課題を解決するための、高純度、
高品質の硫化物蛍光体薄膜の製造方法の1つとして、形
成しようとする組成の硫化物蛍光体を600℃以上の高
い温度で形成する方法や600℃以上の高い温度でアニ
ールする方法がある。
【0006】しかしこのような方法で硫化物蛍光体薄膜
を製造した場合、基板としては高温に耐える基板である
必要がある。したがって、液晶ディスプレー、PDPな
どで用いられている青板ガラスを用いることができな
い。そこで、基板として石英を用いて青色の発光素子が
研究されている。しかし、石英基板は高価でありディス
プレーなど大面積で用いる用途には適さない。
【0007】また、特開平7−50197号公報には、
セラミックス基板を用いることが記されている。さらに
絶縁層に厚膜を用いると通常の薄膜2重絶縁構造より格
段に安定性が増し、高輝度化、低電圧化が図れることが
記されている。厚膜絶縁層を用いて、無機ELを発光さ
せるためには、誘電率の大きな材料を用いる必要があ
る。厚膜では10μm から50μm 程度と薄膜の絶縁膜
より100倍から5000倍の膜厚で用いるため、誘電
率の高い厚膜材料を用いる必要がある。EL素子は通常
200V程度の交流駆動を行い発光を得ている。薄膜絶
縁層に比べ厚膜絶縁層は、膜厚が厚いため、高電圧での
絶縁耐圧が非常に高いことが、最大のメリットである。
【0008】厚膜誘電体を用いた無機EL構造を図8お
よび図9に示す。図8は、特公平7−44072号公報
で述べれれている構造で、基板1上に、下部電極5と、
厚膜絶縁層(第1の絶縁層)2と、発光層3と、薄膜絶
縁層(第2の絶縁層)4と、上部電極6とが順次形成さ
れた構造を有する。ここで、第一の絶縁層として、Pb
系複合ペロブスカイト材料を40μm形成し、第二の絶
縁層としては、窒化シリコンと酸化タンタルの混合絶縁
層(TaAlO)を3000A形成して用いる。
【0009】図9は、特開平7−50197号公報で述
べれれている構造で、第二の絶縁層は用いずにEL発光
を得るタイプである。厚膜を用いない二重絶縁層型薄膜
ELすなわち、第一、第二ともに薄膜の絶縁体を用いた
ELに比べ、図9のタイプは、第二の絶縁層を用いてい
ないのにかかわらず、薄膜タイプより高輝度に発光し、
かつ発光中の絶縁破壊にも強く安定したEL素子が得ら
れる。この構造では、図8の構造とほぼ同等な発光特性
が得られる。
【0010】図8および図9の構造のいずれを用いて
も、厚膜絶縁層を用いたEL素子では、厚膜絶縁層を設
けない図7の薄膜タイプより高輝度に発光し、かつ発光
中の絶縁破壊にも強く安定したEL素子が得られる。こ
の構造において、絶縁破壊に優れる理由は、厚膜絶縁層
は膜厚が厚いため、絶縁破壊に強いことが容易に類推で
きる。しかしながら、発光輝度については、なぜ高輝度
化が図れるかは不明であり、現在も各研究者により活発
な議論がなされている。
【0011】このような厚膜を用いたEL素子では、Z
nS:Mn発光層を用いて、3000cd/m2 (1kHz)
のものが容易に得られるが、青色材であるSrS:Ce
発光層では、厚膜構造を用いても、300cd/m2 程度
のものしか得られず、フルカラーパネル用途には、さら
に高輝度化が望まれる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、厚膜
絶縁層を用いた無機EL素子において、さらに高輝度化
を可能とする構造をもった無機EL素子を提供すること
である。
【0013】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(4)のいずれかの構成により達成される。 (1) 第一の絶縁層と第二の絶縁層の間に発光層を有
する二重絶縁層型の無機EL素子であって、前記第一の
絶縁層の誘電率が500以上であり、第一の絶縁層のキ
ャパシター容量C1と、第二の絶縁層のキャパシター容量
C2の関係が1.5>C1/C2>0.5である無機EL
素子。 (2) 前記第一の絶縁層は、厚膜誘電体により形成さ
れている上記(1)の無機EL素子。 (3) 前記第二の絶縁層は、(BaxSr1-x )Ti
3 を主成分とする薄膜である上記(1)の無機EL素
子。 (4) 前記第二の絶縁層は、Ta25 またはAl2
3 を主成分とする薄膜である上記(1)の無機EL素
子。
【0014】
【作用】発明者らは、厚膜を用いた二重絶縁層型の無機
EL素子において、第一の厚膜による絶縁層のキャパシ
ター容量C1と、第二の薄膜による絶縁層のキャパシター
容量C2の関係が1.5>C1/C2>0.5になるよう
に第二の絶縁層薄膜を形成すると、高輝度化を実現でき
ることを見いだし本発明に至った。以下このメカニズム
について説明する。
【0015】はじめに、厚膜絶縁層を用いたEL素子の
発光輝度対時間特性を調べた。発光評価のための印加電
源には、図3に示すように1kHz、パルス幅40μsの
波形を用いた。図4に厚膜を用いずに、Si34 を3
00nm形成した薄膜二重絶縁層型の無機EL素子の発光
強度−時間特性を、図5に図9の構造すなわち、厚膜絶
縁層を用いて、第二絶縁層のない厚膜タイプ二重絶縁層
型の無機EL素子の発光強度−時間特性を、図6に図8
の構造で厚膜絶縁層を用い、かつ第二絶縁層として、窒
化シリコンを300nm形成した二重絶縁層型の無機EL
素子の発光強度−時間特性を示す。ここで、図4から図
6の縦軸は同じスケールである。
【0016】この実験結果をみると、厚膜絶縁層を用い
たタイプのEL素子は薄膜タイプの素子より発光輝度に
優れることがわかる。さらに、よく見ると、厚膜タイプ
では、プラスパルスとマイナスパルスでの発光輝度が異
なり、概ねプラス2に対しマイナス1の強度で発光が見
られた。最高輝度は、2000cd/m2 であった。
【0017】この実験より、マイナス側の発光輝度が低
いことが分かる。発明者らは、発光強度がプラス:マイ
ナス=2:1であるものに対し、2:2で極性により対
称に発光させれば、高輝度化が図れると考た。しかし、
極性による非対称性の原因は不明であった。
【0018】そこで、この理由が、第一および第二の絶
縁層の誘電率の差によるものと仮定し、図4から6の素
子それぞれに用いている絶縁層の等価キャパシター容量
を調べた。窒化シリコンを300nm形成した薄膜は、
0.5nF、厚膜絶縁層は、誘電率は2000でありキャ
パシター容量は1.2nFであった。図4の特性で、輝度
は低いが、極性によらず対称であるのは、第一、第二の
絶縁層ともにキャパシター容量0.5nFの薄膜Si34
を用いているためと考えられる。これに対し、厚膜絶
縁層を用いたものは、第二の厚膜絶縁層のキャパシター
容量が極めて大きく、第一と第二の絶縁層のキャパシタ
ー容量差により非対称特性になったと考えた。
【0019】厚膜タイプで対称性を持たせ、高輝度化を
図るため、第二の絶縁層に誘電率120のBa0.8Sr
0.2TiO3 薄膜(BST薄膜)を1.8μm 形成し
た。この構造では、厚膜絶縁層のキャパシター容量1.
2nFに対し、BST薄膜絶縁層も1.2nFと第一、第二
の絶縁層のキャパシター容量を等しくした。図6と同様
に素子の発光強度−時間特性を評価した結果、プラスマ
イナス対称特性が得られ、最高輝度は4500cd/m2
に達した。
【0020】このように、厚膜絶縁層を用いた場合、厚
膜層のキャパシター容量が大きくなるため、それにあわ
せて、第二絶縁層のキャパシター容量も大きくすること
により、輝度の増加を実現できることが判明した。これ
は、特にマトリクス駆動を行う場合に効果的である。
【0021】従来例、特公平7−44072号公報で述
べれれている構造では、第一の厚膜絶縁層はPb(Fe
2/31/3)0.3(Fe1/2Nb1/2)0.73 からなり、この
材料はセラミックスコンデンサ材料であって、誘電率3
000から20000と大きなものを使用している。膜
厚36μm すなわち、電極面積2mm2 で等価容量1.5
nFから9.8nFに対し、第二の薄膜絶縁層は誘電率12
程度であり膜厚0.3μm すなわち、電極面積2mm2
等価容量0.70nFと推定される。第一、第二の絶縁層
の等価キャパシター容量が大きく異なっている。そのた
め、高輝度化は期待できない。
【0022】厚膜を用いた二重絶縁層構造で厚膜による
第一の絶縁層の大きなキャパシター容量に、第二の絶縁
層キャパシター容量を等しくすると、発光層の両面に発
生する電荷を等しくすることができる。発光層両面の電
荷を等しくすると、発光層−絶縁層界面の準位および界
面近傍の発光層内の準位にトラップする電子を発光層の
両面で等しくすることができる。したがって、交流電界
を印加しても片側に電荷の偏りが発生しない。すまわ
ち、両極性で、有効に発光層内に電子を注入できるよう
になり、輝度の電界極性による非対称性が無くなり高輝
度に発光するものと考えられる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施形態について詳
細に説明する。本発明のEL構造は、厚膜を用いた2重
絶縁層型EL素子であって、第二の絶縁層薄膜のキャパ
シター容量を第一の絶縁層厚膜のキャパシター容量と一
致ないしほぼ等しくさせることを特徴とする。
【0024】ここで、第一、第二の絶縁層厚膜のキャパ
シター容量とは、第一、第二の絶縁層厚膜の有する容量
成分をいい、具体的には二重絶縁層型ELの発光部にお
ける等価回路でのそれぞれの容量成分であり、それぞれ
の絶縁層単体を発光部の電極面積と同面積の電極間でキ
ャパシタンスとして測定された容量である。
【0025】厚膜を用いた2重絶縁層型EL素子は、少
なくとも、基板上に電極パターンを形成し、その上に厚
膜を形成した構造、一例として図1に示すような構造、
または、基板上に内部に電極を有した厚膜を形成した構
造、一例として図2に示すような構造である。図1の構
造は、基板1上に下部電極5と、第一の絶縁層(厚膜誘
電体層)2と、発光層3と、第二の絶縁層(薄膜絶縁
層)4と、上部電極6とが順次形成された構造を有す
る。また、図2の構造は、第一の絶縁層(厚膜誘電体
層)2中に下部電極5を有する構造であり、その他の構
成は図1と同様である。基板、電極、厚膜のそれぞれの
間には、密着を上げるための層、応力を緩和するための
層、反応を防止する層、など第二の中間層を設けてもよ
い。また厚膜表面は研磨したり、平坦化層を用いてして
平坦性を向上させてもよいが、第一の絶縁層のキャパシ
ター容量は、これらの処理を含んだ、等価容量とする。
【0026】厚膜を用いた二重絶縁層型の無機EL素子
において、第一の厚膜による絶縁層のキャパシター容量
C1と、第二の薄膜による絶縁層のキャパシター容量C2の
関係が1.5>C1/C2>0.5になるように第二の
絶縁層薄膜を形成することが好ましい。さらに好ましく
は、1.2>C1/C2>0.8、特に好ましくは、
1.1>C1/C2>0.9がよい。後述の実施例に示
されるようにC1/C2=1に近いほど高輝度特性が得
られるが、薄膜設計や膜厚の製造ばらつきを10%と考
えると、1.22>C1/C2>0.81である。
【0027】図1、図2は本発明の無機EL素子の構造
を示す一部断面斜視図である。図1において、基板1上
には所定パターンの下部電極5が形成されていて、この
下部電極5上に厚膜の第1の絶縁層(誘電体層)2が形
成されている。また、この第1の絶縁層2上には、発光
層3、第2の絶縁層(誘電体層)4が順次形成されると
ともに、第2の絶縁層4上に前記下部電極5とマトリク
ス回路を構成するように上部電極6が所定パターンで形
成されている。
【0028】図2は、図1における下部電極5を第1の
絶縁層中に形成した例を示した図である。その他の構成
は図1と同様であり、同一構成要素には同一符号を付し
て説明を省略する。図1の構成とするか、図2の構成と
するかは、構成膜の形成プロセスや、要求される特性な
どに応じて適宜決めればよい。
【0029】基板として用いる材料は、厚膜形成温度、
およびEL蛍光層の形成温度、EL素子のアニール温度
に耐えうる耐熱温度ないし融点が600℃以上、好まし
くは700℃以上、特に800℃以上の基板を用い、そ
の上にEL素子が形成でき、所定の強度を維持できるも
のであれば特に限定されるものではない。具体的には、
アルミナ(Al23 )、フォルステライト(2MgO
・SiO2 )、ステアタイト(MgO・SiO2 )、ム
ライト(3Al23 ・2SiO2 )、ベリリア(Be
O)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化シリコン(S
iN)、炭化シリコン(SiC+BeO)等のセラミッ
ク基板、結晶化ガラスなど耐熱性ガラス基板を挙げるこ
とができる。また、厚膜絶縁層と同組成のものを基板と
して用いても良い。この場合、チップコンデンサのよう
に、基板、下部電極、厚膜絶縁層をグリーンシートで形
成し、同時に焼成すれば、製造工程上有利である。これ
らの耐熱温度はいずれも1000℃程度以上である。こ
れらのなかでも特にアルミナ基板、結晶化ガラスが好ま
しく、熱伝導性が必要な場合にはベリリア、窒化アルミ
ニウム、炭化シリコン等が好ましい。
【0030】また、このほかに、石英、熱酸化シリコン
ウエハー等、チタン、ステンレス、インコネル、鉄系な
どの金属基板を用いることもできる。金属等の導電性基
板を用いる場合には、基板上に内部に電極を有した厚膜
を形成した構造が好ましい
【0031】下部電極層は、少なくとも絶縁処理された
基板側に形成されるか、絶縁層内に形成される。絶縁層
形成時、さらに発光層と共に熱処理の高温下にさらされ
る電極層は、主成分としてパラジウム、ロジウム、イリ
ジウム、レニウム、ルテニウム、白金、タンタル、ニッ
ケル、クロム、チタン等の通常用いられている金属電極
を用いればよい。
【0032】また、他の電極となる上部電極層は、所定
の発光波長域で透光性を有する透明な電極が良い。透明
電極は、基板が金属で不透明であれば、発光光を基板と
反対側から取り出すことが可能なため好ましい。この場
合、ZnO、ITOなどの透明電極を用いることが特に
好ましい。ITOは、通常In23 とSnOとを化学
量論組成で含有するが、O量は多少これから偏倚してい
てもよい。In23に対するSnO2 の混合比は、1
〜20wt%、さらには5〜12wt%が好ましい。また、
IZOでのIn23 に対するZnOの混合比は、通
常、12〜32wt%程度である。
【0033】また、電極層は、シリコンを有するもので
も良い。このシリコン電極層は、多結晶シリコン(p−
Si)であっても、アモルファス(a−Si)であって
もよく、必要により単結晶シリコンであってもよい。
【0034】電極層は、主成分のシリコンに加え、導電
性を確保するため不純物をドーピングする。不純物とし
て用いられるドーパントは、所定の導電性を確保しうる
ものであればよく、シリコン半導体に用いられている通
常のドーパントを用いることができる。具体的には、
B、P、As、Sb、Al等が挙げられ、これらのなか
でも、特にB、P、As、SbおよびAlが好ましい。
ドーパントの濃度としては0.001〜5at%程度が好
ましい。
【0035】これらの材料で電極層を形成する方法とし
ては、蒸着法、スパッタ法、CVD法、ゾルゲル法、印
刷焼成法など既存の方法を用いればよいが、特に、基板
上に内部に電極を有した厚膜を形成した構造を作製する
場合、誘電体厚膜と同じ方法が好ましい。
【0036】電極層の好ましい抵抗率としては、発光層
に効率よく電界を付与するため、1Ω・cm以下、特に
0.003〜0.1Ω・cmである。電極層の膜厚として
は、形成する材料にもよるが、好ましくは50〜200
0nm、特に100〜1000nm程度である。
【0037】誘電体厚膜材料(第1の絶縁層)として
は、公知の誘電体厚膜材料を用いることができ、比較的
誘電率の大きな材料、具体的には誘電率500以上のも
のさらに好ましくは2000以上が好ましい。誘電率が
大きいと厚膜の膜厚を大きくして、EL素子に用いるこ
とができ、絶縁破壊に対し、耐性をもつ素子とすること
ができる。
【0038】例えばチタン酸鉛系、ニオブ酸鉛系、チタ
ン酸バリウム系等のコンデンサ材料を用いることができ
る。
【0039】また、これ以外に以下の材料および以下の
材料の2種類以上の混合物などが好適である。
【0040】(A) ペロブスカイト型材料:PbTiO
3 、希土類元素含有チタン酸鉛、PZT(ジルコンチタ
ン酸鉛)、PLZT(ジルコンチタン酸ランタン鉛)等
のPb系ペロブスカイト化合物、NaNbO3 、KNb
3 、NaTaO3 、KTaO 3 、CaTiO3 、Sr
TiO3 、BaTiO3 ,BaZrO3 、CaZr
3、SrZrO3 、CdZrO3 、CdHfO3 、S
rSnO3 、LaAlO3 、BiFeO3 、Bi系ペロ
ブスカイト化合物など。以上のような単純、さらには金
属元素を3種以上含有する複合ペロブスカイト化合物、
複合、層状の各種ペロブスカイト化合物。
【0041】(B) タングステンブロンズ型材料: ニオ
ブ酸鉛、SBN(ニオブ酸ストロンチウムバリウム)、
PBN(ニオブ酸鉛バリウム)、PbNb26 、Pb
Ta26 、PbNb411 、Ba2KNb515 、Ba
2LiNb515 、Ba2AgNb515 、Ba2RbN
515 、SrNb26 、Sr2NaNb515 、Sr
2LiNb515 、Sr2KNb515 、Sr2RbNb5
15 、Ba3Nb10 28 、Bi3Nd1747 、K3Li
2Nb515 、K2RNb515 (R:Y、La、Ce、
Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho)、
2BiNb5 15 、Sr2TlNb515 、Ba2Na
Nb515 、Ba2KNb515 等のタングステンブロ
ンズ型酸化物など。
【0042】(C) YMnO3 系材料:希土類元素(Sc
およびYを含む)とMnとOとを含み、六方晶系YMn
3 構造をもつ酸化物など。例えば、YMnO3 、Ho
MnO3等。
【0043】これらの多くは、相転移点を室温以上に持
ち、強誘電体である。以下、これらの材料について説明
する。
【0044】(A) ペロブスカイト型材料のうち、BaT
iO3 やSr系ペロブスカイト化合物などは、一般に化
学式ABO3 で表される。ここで、AおよびBは各々陽
イオンを表す。AはCa、Ba、Sr、Pb、K、N
a、Li、LaおよびCdから選ばれた1種以上である
ことが好ましく、BはTi、Zr、TaおよびNbから
選ばれた1種以上であることが好ましい。
【0045】こうしたペロブスカイト型化合物における
比率A/Bは、好ましくは0.8〜1.3であり、より
好ましくは0.9〜1.2である。
【0046】A/Bをこのような範囲にすることによっ
て、誘電体の絶縁性を確保することができ、また結晶性
を改善することが可能になるため、誘電体特性または強
誘電特性を改善することができる。これに対し、A/B
が0.8未満では結晶性の改善効果が望めなくなり、ま
たA/Bが1.3を超えると均質な薄膜の形成が困難に
なってしまう。
【0047】このようなA/Bは、成膜条件を制御する
ことによって実現する。また、ABO3 におけるOの比
率は、3に限定されるものではない。ペロブスカイト材
料によっては、酸素欠陥または酸素過剰で安定したペロ
ブスカイト構造を組むものがあるので、ABOX におい
て、xの値は、通常、2.7〜3.3程度である。な
お、A/Bは、蛍光X線分析法から求めることができ
る。
【0048】本発明で用いるABO3 型のペロブスカイ
ト化合物としては、A1+5+3 、A2+4+3 、A3+
3+3 、AX BO3 、A(B′0.67B″0.33)O3
A(B′0.33B″0.67)O3 、A(B0.5 +30.5 +5
3 、A(B0.5 2+0.5 6+)O3 、A(B0.5 1+
0.5 7+ )O3 、A3+(B0.5 2+0.5 4+ )O3 、A(B
0.25 1+0.75 5+)O3 、A(B0.5 3+0.5 4+
2.75、A(B0.5 2+0.5 5 + )O2.75等のいずれであ
ってもよい。
【0049】具体的には、PZT、PLZT等のPb系
ペロブスカイト化合物、NaNbO 3 、KNbO3 、N
aTaO3 、KTaO3 ,CaTiO3 、SrTiO
3 、BaTiO3 ,BaZrO3 、CaZrO3 、Sr
ZrO3 、CdHfO3 、CdZrO3 、SrSnO
3 、LaAlO3 、BiFeO3 、Bi系ペロブスカイ
ト化合物などおよびこれらの固溶体等である。
【0050】なお、上記PZTは、PbZrO3 −Pb
TiO3 系の固溶体である。また、上記PLZTは、P
ZTにLaがドープされた化合物であり、ABO3 の表
記に従えば、(Pb0.890.91La0.110.09)(Zr
0.65Ti0.35)O3 で示される。
【0051】また、層状ペロブスカイト化合物のうちB
i系層状化合物は、一般に 式 Bi2m-1m3m+3 で表わされる。上記式において、mは1〜5の整数、A
は、Bi、Ca、Sr、Ba、Pb、Na、Kおよび希
土類元素(ScおよびYを含む)のいずれかであり、B
は、Ti、TaおよびNbのいずれかである。具体的に
は、Bi4 Ti312、SrBi2 Ta29 、SrB
2 Nb29 などが挙げられる。本発明では、これら
の化合物のいずれを用いてもよく、これらの固溶体を用
いてもよい。
【0052】本発明に用いることが好ましいペロブスカ
イト型化合物は、相転移温度が200℃以上でかつ誘電
率が高いものが好ましくNaNbO3 、KNbO3 、K
TaO3 、CdHfO3 、CdZrO3 、BiFeO
3 、Bi系ペロブスカイト化合物などであり、より好ま
しいものはCdHfO3 である。
【0053】(B) タングステンブロンズ型材料として
は、強誘電体材料集のLandoit-Borenstein Vol. 16記載
のタングステンブロンズ型材料が好ましい。タングステ
ンブロンズ型材料は、一般に化学式Ay515 で表さ
れる。ここで、AおよびBは各々陽イオンを表す。Aは
Mg、Ca、Ba、Sr、Pb、K、Na、Li、R
b、Tl、Bi、希土類およびCdから選ばれた1種以
上であることが好ましく、BはTi、Zr、Ta、N
b、Mo、W、FeおよびNiから選ばれた1種以上で
あることが好ましい。
【0054】こうしたタングステンブロンズ型化合物に
おける比率O/Bは、15/5に限定されるものではな
い。タングステンブロンズ材料によっては、酸素欠陥ま
たは酸素過剰で安定したタングステンブロンズ構造を組
むものがあるので、比率O/Bにおいては、通常、2.
6〜3.4程度である。
【0055】具体的には、(Ba,Pb)Nb26
PbNb26 、PbTa26 、PbNb411、Pb
Nb26 (ニオブ酸鉛)、SBN(ニオブ酸ストロン
チウムバリウム)、Ba2KNb515 、Ba2LiNb
515 、Ba2AgNb515、Ba2RbNb515
SrNb26 、BaNb26 、Sr2NaNb515
Sr2LiNb515 、Sr2KNb515 、Sr2Rb
Nb515 、Ba3Nb 1028 、Bi3Nd1747 、K
3Li2Nb515 、K2RNb515 (R:Y、La、
Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、H
o)、K2BiNb515 、Sr2TlNb515 、Ba
2NaNb515 、Ba2KNb515 等のタングステン
ブロンズ型酸化物などおよびこれらの固溶体等が好まし
く、特に、SBN〔(Ba,Sr)Nb26 〕やBa
2KNb515 、Ba2LiNb515 、Ba2AgNb5
15 、Sr2NaNb515 、Sr2LiNb515
Sr2KNb515 が好ましい。
【0056】(C) YMnO3 系材料は、化学式RMnO
3 で表せる。Rは希土類元素(ScおよびYを含む)か
ら選ばれた1種以上であることが好ましい。YMnO3
系材料における比率R/Mnは、好ましくは0.8〜
1.2であり、より好ましくは0.9〜1.1である。
このような範囲にすることにより、絶縁性を確保するこ
とができ、また結晶性を改善することが可能になるた
め、強誘電特性を改善することができる。これに対し、
比率R/Mnが0.8未満、1.2をこえる範囲では、
結晶性が低下する傾向がある。また特に、比率R/Mn
が1.2をこえる範囲では、強誘電性が得られず、常誘
電的特性になる傾向があり、分極を利用した素子への応
用が不可能になってくることがある。このようなR/M
nは、成膜条件を制御することによって実現する。な
お、R/Mnは、蛍光X線分析法から求めることができ
る。
【0057】本発明に用いることが好ましいYMnO3
系材料は、結晶構造が六方晶系のものである。YMnO
3 系材料は、六方晶系の結晶構造を持つものと斜方晶系
の結晶構造を持つものとが存在する。相転移の効果を得
るためには、六方晶系の結晶材料が好ましい。具体的に
は、組成が実質的にYMnO3 、HoMnO3 、ErM
nO3 、YbMnO3 、TmMnO3 、LuMnO3
あるものか、これらの固溶体などである。
【0058】誘電体厚膜の抵抗率としては、108 Ω・
cm以上、特に1010〜1018 Ω・cm程度である。また
比較的高い誘電率を有する物質であることが好ましく、
その誘電率εとしては、好ましくはε=100〜200
00、特に500〜1000程度である。膜厚として
は、5〜50μm が好ましく、10〜30μm が特に好
ましい。
【0059】絶縁層厚膜の形成方法は、特に限定され
ず、5〜50μm 厚の膜が比較的容易に得られる方法が
良いが、ゾルゲル法、印刷焼成法などが好ましい。
【0060】印刷焼成法による場合には、材料の粒度を
適当に揃え、バインダーと混合し、適当な粘度のペース
トとする。このペーストを基板上にスクリーン印刷法に
より形成し、乾燥させる。このグリーンシートを適当な
温度で焼成し、厚膜を得る。
【0061】得られた厚膜表面は、凹凸や穴が1μm 以
上と大きい場合、必要に応じ、研磨または、平坦化層を
その上に形成して、平坦性を向上させることが好まし
い。
【0062】無機EL(エレクトロルミネッセンス)素
子の発光層に用いられる材料としては、赤色発光を得る
材料として、ZnS、Mn/CdSSe等、緑色発光を
得る材料として、ZnS:TbOF、ZnS:Tb等、
青色発光を得るための材料として、SrS:Ce、(S
rS:Ce/ZnS)n、CaCa24:Ce、SrG
24:Ce等を挙げることができる。また、白色発光
を得るものとして、SrS:Ce/ZnS:Mn等が知
られている。
【0063】本発明では、このようなEL素子の蛍光薄
膜に用いれる材料として、II族−硫黄化合物、II族−II
I族−硫黄化合物または希土類硫化物とは、主にSrS
に代表されるII−S系化合物または、主にSrGa24
に代表されるII−III2−S4系化合物(II=Zn、Cd、C
a、Mg、Be、Sr、Ba、希土類、III=B、Al、Ga、In、T
l)または、Y23などの希土類硫化物、およびこれら
の化合物を用いた複数成分の組み合わせの混晶または混
合化合物が好ましい。
【0064】これらの化合物の組成比は厳密に上記した
値をとるのではなく、それぞれの元素に関してある程度
の固溶限を有している。従って、その範囲の組成比であ
ればよい。
【0065】通常、EL蛍光体薄膜は、母体材料に発光
中心を添加する。発光中心は、既存の遷移金属、希土類
を既存の量、添加すればよい。例えば、Ce,Euなど
の希土類、Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Bi,Ag
などを金属または硫化物の形で原料に添加する。添加量
は、原料と形成される薄膜で異なるので、薄膜が既存の
添加量となるように原料の組成を調整する。
【0066】これらの材料でEL蛍光体薄膜を形成する
方法としては、蒸着法、スパッタ法、CVD法、ゾルゲ
ル法、印刷焼成法など既存の方法を用いればよい。
【0067】発光層の膜厚としては、特に制限されるも
のではないが、厚すぎると駆動電圧が上昇し、薄すぎる
と発光効率が低下する。具体的には、蛍光材料にもよる
が、好ましくは100〜1000nm、特に150〜70
0nm程度である。
【0068】高輝度の硫化物蛍光体薄膜を得るために、
必要に応じて、形成しようとする組成の硫化物蛍光体を
600℃以上の高い温度で形成したり、600℃以上の
高い温度でアニールすることが好ましい。特に高輝度の
青色蛍光体を得るためには、高温プロセスが有効であ
る。本発明の無機EL用誘電体厚膜はこのような高温プ
ロセスに耐えることができる。
【0069】本発明のEL素子は、上記電極層と蛍光薄
膜(発光層)との間に、第二の絶縁層を有し、前述した
ように、第一の厚膜による絶縁層のキャパシター容量C1
と、第二の薄膜による絶縁層のキャパシター容量C2の関
係が1.5>C1/C2>0.5になるように第二の絶
縁層薄膜を形成する。
【0070】第二の薄膜絶縁層の構成材料としては、例
えば酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(Si
N)、酸化タンタル(Ta25)、チタン酸ストロンチ
ウム(SrTiO3)、酸化イットリウム(Y23)、
チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸鉛(Pb
TiO3)、ジルコニア(Zr23 )、シリコンオキシ
ナイトライド(SiON)、アルミナ(Al23 )、
ニオブ酸鉛(PbNbO3)等およびこれらの多層また
は混合薄膜を挙げることができるが、第一の厚膜絶縁層
のキャパシター容量が大きいため、それに合わせるため
には、誘電率の大きな材料を用いることが好ましい。ま
た、絶縁耐圧に優れる薄膜を薄くして用いることによっ
て大きなキャパシター容量を得ても良い。第二の薄膜絶
縁層の誘電率としては、好ましくはε=15〜1000
程度である。
【0071】このうち、チタン酸バリウム(BaTiO
3 )、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3 )、チタ
ン酸ストロンチウムバリウム(Ba1-xSrxTiO3
(BST)、チタン酸鉛(PbTiO3 )、ニオブ酸鉛
(PbNbO3 )などが誘電率が大きく好ましい。特に
誘電率の大きい材料は、強誘電体相転移を持つことが多
く、そのため、BaTiO3 単体、SrTiO3 単体で
は、誘電率の温度特性が悪い。実験の結果、チタン酸ス
トロンチウムバリウム(Ba1-xSrxTiO3)を用い
るとは、EL発光の温度特性を改善することが明らかと
なった。xの組成により、第二絶縁層のキャパシター容
量の温度特性を調整できるためと考えられる。xの値
は、0.5から0.8の範囲が好ましい。ELパネルに
おいて絶縁膜の誘電率の温度特性が大きいと輝度コント
ロール、カラー調整が難しくなる。
【0072】また、Ta25 は耐圧に優れているた
め、比較的薄い膜厚で用いることができ、誘電率が25
程度と比較的大きいため、厚膜絶縁層のキャパシター容
量にあわせ易く、また室温付近で温度特性が小さいた
め、好ましい。Ta25 を用いた場合の膜厚は、従来
の200nmから300nmで用いられていたが、本発明で
は、100nm程度以下の膜厚で用いることが好ましい。
【0073】さらにアルミナ(Al23 )は、誘電率
が8程度と低いが、他の材料に比べると絶縁耐圧に優
れ、薄い膜厚で大きなキャパシター容量が得られること
から好ましい。
【0074】これらの材料で絶縁層を形成する方法とし
ては、蒸着法、スパッタ法、CVD法、ゾルゲル法、印
刷焼成法など既存の方法を用いればよい。この場合の材
料の誘電率により、絶縁層の膜厚は適宜設定するが、薄
膜の絶縁耐圧、形成可能範囲から、50〜5000nm、
好ましくは、100〜2000nm程度が良い。薄膜は結
晶化膜、アモルファス膜、配向膜、エピタキシャル膜の
いずれであっても良い。
【0075】また、必要により絶縁層を形成した後、さ
らに他の材料を用いて絶縁層を2重に形成してもよい。
この場合も2重薄膜の合計キャパシター容量が第一の厚
膜のキャパシター容量と等しくする。
【0076】さらにこの絶縁層上には、電極層が形成さ
れる。電極層材料はすでに述べた電極材料が好ましい。
発光光を取り出すには、所定の発光波長域で透光性を有
する透明電極であることが好ましい。この場合、Zn
O、ITOなどの透明電極を用いることが特に好まし
い。
【0077】このような方法により、本発明のEL素子
を構成すると従来に比べ輝度を大きく向上させることが
できる。特に、従来輝度が不足していた青色蛍光体の特
性を大幅に向上できるため、フルカラーのELディスプ
レーが実現可能となる。
【0078】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。 <実施例1>図1に本発明のEL素子の実施例を説明す
るための素子構造を示す。基板1、厚膜絶縁層2とも同
じ材料、すなわち、チップコンデンサ材料であるBaT
iO 3 系の誘電体材料誘電率5000のものまたは誘電
率2000を用い、下部電極5としてPd電極を用い
た。作製は、基板1のシートを作製し、この上に下部電
極5、厚膜絶縁層2をスクリーン印刷してグリーンシー
トとし、同時に焼成した。表面は、研磨し、30μm 厚
の厚膜第一絶縁層付き基板を得た。EL素子としたとき
の電極面積換算で、厚膜絶縁層のみのキャパシター容量
は誘電率5000のもので、3nF、誘電率2000のも
ので、1.2nFであった。
【0079】この上に、基板温度を200℃とし、EB
蒸着法によりZnS:Mn蛍光体薄膜(発光層)3を
0.6μm 形成した、600℃、真空中で10分間アニ
ールした。
【0080】さらに、第二絶縁層薄膜4を蛍光体薄膜上
に形成した。第二絶縁層薄膜4には、SiO2 、Si3
4 、Al23 、ZrO2 、Ta25 、BaTiO
3 、BSTを用い、膜厚を変化させて、第二絶縁層薄膜
のキャパシター容量の異なるEL素子を作製した。第二
絶縁層薄膜4の上にITO酸化物ターゲットを用いRF
マグネトロンスパッタリング法により、基板温度250
℃で、膜厚200nmのITO透明電極6を形成し、EL
素子を完成した。得られた構造のPd電極、ITO透明
電極から電極を引き出し、1KHzのパルス幅40μsの
電界を印加することにより、発光特性を評価した。
【0081】図10に第一の厚膜絶縁層として上記1.
2nFの容量C1を有するものを用い、第二絶縁層薄膜の
材料としてTa25 を用い、膜厚を変化させて、第二
絶縁層のキャパシター容量C2を変えた場合のC1/C
2値と輝度を示す。
【0082】このグラフから明らかなように、C1/C
2値が1で輝度のピークが見られる。さらに、表1に第
二絶縁層薄膜の材料、膜厚、キャパシターと輝度を示
す。
【0083】
【表1】
【0084】この表からも明らかなように、C1/C2
を1制御すなわち、第一の厚膜絶縁層と第二の薄膜絶縁
層とのキャパシター容量を一致させることにより、高輝
度化することが分かる。
【0085】<実施例2>実施例1と同様にして、青色
蛍光体、すなわち、SrS:Ce膜を用いたEL素子を
作製した。SrS:Ceの形成、アニールはH2S雰囲
気中で行った。この場合第一の厚膜絶縁層に誘電率50
00のものを用い、第二の薄膜絶縁層にBST系の誘電
体材料(Ba0.3Sr0.7TiO3 )を用い、第二絶縁層
の等価容量が3nFになるように形成し、EL輝度特性を
調べた。両極性の電源パルスに対し、対称な輝度−時間
特性が得られ、最高輝度は、800cd/m2 が得られ
た。また、0から80℃における発光しきい電圧の変化
は、10%であった。比較例として、第二の薄膜絶縁層
にBaTiO3 単体を用いたときは、最高輝度300cd
/m2 、温度特性は30%であった。比較例ではC1/
C2値が3であり、第一と第二の絶縁層容量が大きく異
なるため高輝度化しない。また、温度特性もBaTiO
3 単体を用いているため、30%と悪い。
【0086】
【発明の効果】以上から明らかなように、厚膜を用いた
EL素子において、第二の薄膜絶縁層は重要であり、発
光特性に優れ、特に、多色EL素子やフルカラーEL素
子を形成する際には、C1/C2値を1とすることによ
り、高輝度で、絶縁破壊が全くなく、再現性の良いEL
素子が得られる。また、第二絶縁層にBST薄膜を用い
ると、温度特性に優れるEL素子が得られ実用的価値が
大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の厚膜タイプ2重絶縁層型EL素子構造
の概略断面図である。
【図2】本発明の他の厚膜タイプ2重絶縁層型EL素子
構造の概略断面図である。
【図3】印加したパルスを示す波形図である。
【図4】印加したパルスに対する無機ELの発光輝度を
示すグラフである。
【図5】印加したパルスに対する無機ELの発光輝度を
示すグラフである。
【図6】印加したパルスに対する無機ELの発光輝度を
示すグラフである。
【図7】従来の薄膜タイプ2重絶縁層型EL素子構造の
概略断面図である。
【図8】従来の厚膜タイプ2重絶縁層型EL素子構造の
概略断面図である。
【図9】従来の厚膜タイプ2重絶縁層型EL素子構造の
概略断面図である。
【図10】膜厚を変化させて、第二絶縁層のキャパシタ
ー容量を変えた場合のC1/C2値と輝度との関係を示
したグラフである。
【符号の説明】
1 基板 2 第1の絶縁層(誘電体層) 3 蛍光体薄膜(発光層) 4 第2の絶縁層(誘電体層) 5 下部電極 6 上部電極(透明電極)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C23C 14/30 C23C 14/30 B 14/35 14/35 Z (72)発明者 薄田 真人 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 森 匡見 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 高山 勝 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 Fターム(参考) 3K007 AB02 AB04 AB11 BA06 CA02 CB01 DA05 DB01 DB02 DC01 DC02 EA02 EC01 EC03 4K029 AA04 AA24 BA43 BA44 BA50 BB02 BC07 BC09 CA01 CA05 DB21 DC39

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第一の絶縁層と第二の絶縁層の間に発光
    層を有する二重絶縁層型の無機EL素子であって、 前記第一の絶縁層の誘電率が500以上であり、第一の
    絶縁層のキャパシター容量C1と、第二の絶縁層のキャパ
    シター容量C2の関係が1.5>C1/C2>0.5であ
    る無機EL素子。
  2. 【請求項2】 前記第一の絶縁層は、厚膜誘電体により
    形成されている請求項1の無機EL素子。
  3. 【請求項3】 前記第二の絶縁層は、(BaxSr
    1-x )TiO3 を主成分とする薄膜である請求項1の無
    機EL素子。
  4. 【請求項4】 前記第二の絶縁層は、Ta25 または
    Al23 を主成分とする薄膜である請求項1の無機E
    L素子。
JP2000059519A 2000-03-03 2000-03-03 無機el素子 Pending JP2001250691A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000059519A JP2001250691A (ja) 2000-03-03 2000-03-03 無機el素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000059519A JP2001250691A (ja) 2000-03-03 2000-03-03 無機el素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001250691A true JP2001250691A (ja) 2001-09-14

Family

ID=18579957

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000059519A Pending JP2001250691A (ja) 2000-03-03 2000-03-03 無機el素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001250691A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6952080B2 (en) * 2001-12-20 2005-10-04 Ifire Technology Inc. Stabilized electrodes in electroluminescent displays
EP1821578A2 (en) * 2006-02-21 2007-08-22 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Light emitting device
US7560749B2 (en) 2006-01-27 2009-07-14 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Light emitting material, light emitting device, and electronic device
US7622744B2 (en) 2006-03-03 2009-11-24 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Light emitting material, light emitting element, light emitting device and electronic device
US7629608B2 (en) 2006-03-21 2009-12-08 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Light-emitting element, display device, and electronic appliance
KR20110031146A (ko) * 2009-09-18 2011-03-24 롬 앤드 하스 일렉트로닉 머트어리얼즈, 엘.엘.씨. 내구성 물품 제조 방법

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6952080B2 (en) * 2001-12-20 2005-10-04 Ifire Technology Inc. Stabilized electrodes in electroluminescent displays
US7560749B2 (en) 2006-01-27 2009-07-14 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Light emitting material, light emitting device, and electronic device
EP1821578A2 (en) * 2006-02-21 2007-08-22 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Light emitting device
EP1821578A3 (en) * 2006-02-21 2010-07-07 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Light emitting device
US8008670B2 (en) 2006-02-21 2011-08-30 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Light emitting device
US7622744B2 (en) 2006-03-03 2009-11-24 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Light emitting material, light emitting element, light emitting device and electronic device
US7629608B2 (en) 2006-03-21 2009-12-08 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Light-emitting element, display device, and electronic appliance
KR20110031146A (ko) * 2009-09-18 2011-03-24 롬 앤드 하스 일렉트로닉 머트어리얼즈, 엘.엘.씨. 내구성 물품 제조 방법
KR101703014B1 (ko) 2009-09-18 2017-02-06 롬 앤드 하스 일렉트로닉 머트어리얼즈 엘엘씨 내구성 물품 제조 방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100443276B1 (ko) 복합기판 및 이를 사용한 el소자
JP3704068B2 (ja) Elパネル
JP2002180038A (ja) 蛍光体薄膜その製造方法、およびelパネル
US8466615B2 (en) EL functional film and EL element
JP2003301171A (ja) 蛍光体薄膜、その製造方法およびelパネル
KR100466428B1 (ko) 전계발광형광체 적층박막 및 전계발광소자
JP4230363B2 (ja) 蛍光体薄膜およびその製造方法ならびにelパネル
JP2002110344A (ja) 薄膜el素子及びその製造方法
JP2001250691A (ja) 無機el素子
JP4563539B2 (ja) 複合基板およびこれを用いたel素子
JP4263001B2 (ja) スパッタリングターゲット
JP4530459B2 (ja) 無機el用構造体および無機el素子
JP2001220217A (ja) 複合基板およびこれを用いたel素子
JP4646347B2 (ja) 複合基板およびこれを用いたel素子
JP4494568B2 (ja) 無機el用誘電体厚膜、無機el素子および誘電体厚膜
JP4440403B2 (ja) 無機el用基板および無機el素子
JP3822815B2 (ja) El蛍光体積層薄膜およびel素子
JP4831939B2 (ja) 発光体薄膜及び発光素子
JP2001223088A (ja) El素子
JP2001196185A (ja) 無機el用誘電体厚膜および無機el素子
JP3958960B2 (ja) El素子
JP2001223089A (ja) 複合基板およびel素子
JP2002158094A (ja) 薄膜el素子及びその製造方法
JP2003229281A (ja) El素子およびその製造方法
JP2001223085A (ja) El素子およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20040601

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20050117

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20050117

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050520

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070208

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20080417

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090825

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091111

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20091111

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20091208