JP2001234302A - 機械強度特性および磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板 - Google Patents
機械強度特性および磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板Info
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Abstract
れる、高磁束密度、低鉄損および高強度を高い次元で兼
ね備えた機械強度特性および磁気特性に優れた無方向性
電磁鋼板を提供する。 【解決手段】 質量百分率で、C:0.005 〜0.030 %、
Siおよび/またはAl:0.03〜0.5 %、Mn:0.5 %以下、
Sbおよび/またはSn:0.01〜0.40%、P:0.40%以下
を、0.005 %以下に抑制したSおよび 0.005%以下に抑
制したNと共に含み、かつV:0.0010〜0.015 %を、0.
0030%以下に抑制したTiおよび0.0050%以下に抑制した
Nbと共に含有し、残部は鉄および不可避的不純物の組成
とする。
Description
料として用いられる無方向性電磁鋼板、中でもリラクタ
ンスモータなどの高速で運転するモータの鉄心素材とし
て好適な、機械的強度が高く、かつ磁気特性に優れた無
方向性電磁鋼板に関するものである。
るに伴って、電気機器類の高効率化指向が高まってきて
いる。電動モータの分野でも効率アップのために、モー
タの鉄心素材である電磁鋼板について、その磁気特性の
改善すなわち低鉄損、高磁束密度化が進められてきた。
タに対し、より高効率なDCブラシレスモータやリラク
タンスモータといった新しい構造のモータ開発が進めら
れ、高特性化される趨勢にある。特にリラクタンスモー
タは、固定子だけでなく回転子にも電磁鋼板を用い、固
定子との間に発生するリラクタンストルクを利用するタ
イプのモータで、DCブラシレスモータと比較すると効
率は若干及ばないものの、高速回転時には極めて高い効
率を有し、構造が簡単で組み立ても容易であるため安価
でリサイクル性にも優れることから、現在注目を浴びて
いる。リラクタンスモータの高効率化には、その構造
上、低鉄損であることに加えて、特に磁束密度が高いこ
とが求められる。また、回転子となる電磁鋼板には、上
記のような優れた磁気特性に加えて、高速回転時の遠心
力に耐え得る強度が必要とされる。
および鉄損等の諸特性に関し、個々の特性を改善するこ
とについては、種々の努力が払われてきた。例えば、無
方向性電磁鋼板の高強度化に関しては、高合金化が主体
に検討されてきた。例えば、特開昭60−238421号公報で
は、Siを 3.5〜7.0 %と高め、さらにMn:0.1 〜11.5
%、Ni:0.1 〜20.0%、Co:0.1 〜20.0%、Ti:0.05〜
3.0 %、W:0.05〜3.0 %、Mo:0.05〜3.0 %、Al:0.
5 〜13.0%のうちから選んだ1種または2種以上を 1.0
〜20.0%含有した素材を提案している。また、特開昭61
−84360 号公報では、Ni:8〜20%、Mo:0.2 〜5.0
%、Al:0.1 〜2.0 %、Ti:0.1 〜1.0 %、Cr:1.0 〜
10.0%と、NiとCrを多量に含有する溶鋼を急冷凝固法に
より製造することを提案している。しかしながら、これ
らの鋼板はいずれも、合金元素を多量に添加するもので
あるため、飽和磁束密度の低下を招き、ひいては磁束密
度の低下を余儀なくされていた。
は、従来から介在物の低減や焼鈍温度の高温化などによ
り、製品板の結晶粒を成長させ、磁壁の数を減らすこと
によって、履歴損を低減することが行われている。しか
しながら、材料の強度σと結晶粒径dとの間には、Hall
−Petch の式 σ=σ0 +kd-1/2 (σ0 、k:定数) として知られる関係があるため、このような結晶粒を大
きくする方法では、低鉄損化は達成されるにしても、強
度が低下するため、リラクタンスモータのような強度が
要求される部材には適用できない。
渦電流損を低減する目的でSi, Al,Mnなどの含有量を高
め、鋼板の比抵抗を上げることも一般に行われてきた。
しかしながら、これらの元素の添加により、鋼板の飽和
磁束密度が低下するため、磁束密度の低下が避けられな
い。とはいえ、これらの元素の含有量が低い鋼板は、比
較的高い磁束密度を有するものの、鉄損特性は劣化す
る。
ては、熱延板の結晶粒径を粗大化する方法や、特公昭57
−59293 号公報に開示されているような、SbやSnといっ
た元素を微量添加して、集合組織を改善する方法などが
知られているが、これらの技術を併用しても、強度、鉄
損、磁束密度の全てを満たすことはできなかった。ま
た、特表平6−507617号公報には、最大で 3.5%までの
Si、 0.7%までのAl、1%より少ないMnを含む鋼に、N
i,Cu, Sb, Sn等を添加した、磁束密度の高い無方向性
電磁鋼板が開示されている。しかしながら、この鋼は、
製造段階では脱炭効率を考慮して、最大で0.06%までの
Cを含有することができると記載されているが、時効に
よる磁気劣化を防止するためには望ましくは 0.003%以
下まで脱炭処理を行う必要があった。また、この鋼によ
っても、リラクタンスモータに必要な強度および磁気特
性を兼備させることはできなかった。
に鑑み開発されたもので、リラクタンスモータ等の鉄心
素材に必要とされる、高磁束密度、低鉄損および高強度
を高い次元で兼ね備えた機械強度特性および磁気特性に
優れた無方向性電磁鋼板を提案することを目的とする。
向性電磁鋼板の磁気特性および機械的特性に及ぼす合金
元素および製造条件の影響、特に時効に起因した強度、
磁気特性に及ぼす微量不純物元素の影響に着目して、詳
細な検討を行った結果、(1) 適量のCを含有した素材
に、Sb, Snの1種または2種を添加することによって、
磁束密度を著しく改善できる、(2) また、この適量のC
を含有した素材に、適量のVを含有させると共に、不純
物として混入するTi, Nb量をそれぞれ0.0030%以下、0.
0050%以下に抑制することによって、時効処理後の磁気
特性を劣化させずに、強度の向上が図れることを見出
し、固溶強化により強度を上昇させる反面、飽和磁束密
度を大きく低下させてしまうSiやMn,Al等の合金元素を
多量に添加することなしに、優れた磁気特性と機械強度
特性を兼ね備えた無方向性電磁鋼板が得られることの知
見を得た。
ることにより、上記(1) および (2)の素材あるいは適量
のCを含有しない素材にNiを添加した場合と比較して、
格段に優れた磁束密度の改善効果が得られる、(4) ま
た、適量のNiを複合添加することにより、固溶強化効果
は高いものの、素材を脆化させ、鋼板の製造あるいは加
工が困難となるため多量添加が難しいとされたPの添加
限界を拡張できることを見出し、かくして、時効後であ
っても優れた磁気特性(高磁束密度、低鉄損)と機械強
度を高い次元で兼ね備えた無方向性電磁鋼板が、良好な
製造性の下に得られることが究明されたのである。本発
明は上記の知見に立脚するものである。
である。 1.質量百分率でC:0.005 〜0.030 %、Siおよび/ま
たはAl:0.03〜0.5 %、Mn:0.5 %以下、Sbおよび/ま
たはSn:0.01〜0.40%、P:0.40%以下を、次の範囲に
抑制したS, NS:0.005 %以下、N:0.005 %以下と
共に含み、かつV:0.0010〜0.015 %を、次の範囲に抑
制したTi, NbTi:0.0030%以下、Nb:0.0050%以下と共
に含有し、残部は鉄および不可避的不純物の組成になる
ことを特徴とする、機械強度特性および磁気特性に優れ
た無方向性電磁鋼板。
Siおよび/またはAl:0.03〜0.5 %、Mn:0.5 %以下、
Sbおよび/またはSn:0.01〜0.40%、Ni:0.3 〜3.0
%、P:0.80%以下を、次の範囲に抑制したS, NS:
0.005 %以下、N:0.005 %以下と共に含み、かつV:
0.0010〜0.015 %を、次の範囲に抑制したTi, NbTi:0.
0030%以下、Nb:0.0050%以下と共に含有し、残部は鉄
および不可避的不純物の組成になることを特徴とする、
機械強度特性および磁気特性に優れた無方向性電磁鋼
板。
る。まず、本発明において、鋼材の成分組成を上記の範
囲に限定した理由について説明する。なお、以下に示す
化学組成の%表示は全て質量百分率である。 C:0.005 〜0.030 % Cは、本発明の構成上重要な要素である。従来、Cは時
効効果を有し、鋼板製造後、時間の経過と共に磁気特性
(鉄損)を劣化させる元素であるので、無方向性電磁鋼
板においては少ない方がよいとされてきた。しかしなが
ら、発明者らの検討の結果、以下に述べるように、不純
物として混入するTiとNbを極力抑制し、適量のVと共存
させることによって時効磁気特性の劣化を回避でき、し
かも時効による強度上昇を有効に利用できることが見出
された。それと同時に、Cは、以下に示すSbやSnと共存
した場合に、鋼板の集合組織を改善し、磁束密度を高め
る効果が大きいことも併せて見出された。鋼の製造過程
において、鋼中に固溶しているCは圧延時に粒内歪みを
蓄積させ、粒内変形帯の生成を促進するため、再結晶焼
鈍時に粒内変形帯からの{100}近傍の再結晶を促進
するものと考えられる。この効果は、後述するように、
鋼の圧延−再結晶において磁化困難軸を有する{11
1}集合組織の発達を抑制する働きがあるSbやSnとの共
存下で、とりわけ顕著となる。
0.005%が必要である。そして、C量は、必要とされる
強度、磁性レベルに応じて適宜選択することができる。
しかしながら、C量が 0.030%を超えると鋼板製造時の
焼鈍冷却工程においてセメンタイト (Fe3C) として析出
する量が増加し、時効効果が得られなくなるばかりか、
鉄損も劣化させるので、その上限を 0.030%に規制し
た。
るので脱酸剤として単独または複合して使用される。そ
の効果を得るには、単独添加または複合添加いずれの場
合においても0.03%以上が必要である。一方、Si,Alは
比抵抗を増加させ鉄損を改善する作用もあるが、同時に
磁束密度を低下させるため、その上限を0.5 %に規制し
た。
SとしてSを固定し、FeSに起因する熱間圧延中の脆化
を抑制する効果がある。また、比抵抗を増大させ鉄損を
改善する効果もある。よって、0.5 %以下で含有させる
ものとした。
して結晶粒界からの{111}方位の再結晶核の生成を
抑制することにより、磁束密度および鉄損を改善する効
果がある。また、前述したように適量のCと共存するこ
とにより、圧延中の粒内変形帯からの{100}近傍の
再結晶を促進する効果があり、磁束密度の一層の向上に
有効に寄与する。この効果を得るためには、最低でもSb
とSnのうちの1種または2種合計で0.01%の含有が必要
である。一方、過剰に含有してもその効果は飽和すると
共に、単独添加または複合添加いずれにおいても 0.4%
を超えると脆化し、冷間圧延の際に割れを生じるように
なるため、その上限を0.4%に限定した。
に対する固溶強化能が高く、強度を上昇させるのに有効
である。また、集合組織を改善し磁束密度を上昇させる
効果、および電気抵抗を増加し鉄損を改善する効果も有
するので、必要とする強度、磁気特性レベルに応じて適
正量に調整して含有することができる。ここで、Pを0.
02%未満に抑制することは脱燐処理時間の増大を招くな
どコスト的に不利となるので、下限は0.02%とすること
が好ましい。一方、Niを含有しない場合、0.4 %を超え
ると鋼板が脆化し圧延が困難になるので、0.4 %以下に
規制した。また、後述するように、0.3 %以上のNiとの
複合添加により脆化が抑制され、0.8 %の添加までは問
題なく製造することが可能となる。従って、Niと複合添
加する場合には、その添加上限を 0.8%とした。
析出した場合には熱間脆性の原因となったり、MnSとし
て微細に析出した場合には粒成長性を劣化させ鉄損を低
下させるので、その混入は極力低減することが望ましい
が、0.005 %以下で許容できる。
た場合、粒成長を阻害し鉄損を劣化させるので、0.005
%以下に規制した。
く少なく、Cは鋼中に固溶した状態で存在するため、圧
延時の粒内歪み蓄積による集合組織改善に有効に寄与す
ることができる。この固溶Cは、鋼板製造後の時間の経
過とともに時効析出し、強度の上昇、磁気特性(鉄損)
の劣化といった時効現象をもたらすが、0.001 %以上の
Vが存在している条件下では、強度の上昇現象は示すも
のの、磁性(鉄損)の劣化は抑制される。この理由は、
明らかではないが、鋼板製造中に僅かに析出するV炭化
物の析出形態や鋼中に固溶したV原子がCの時効析出状
態を変化させる効果を有するものと推測される。この効
果を得るには、Vは0.001 %以上必要であり、一方、0.
015 %を超えると鋼板製造中のV炭化物の析出が増加し
鉄損を劣化させるので、V量は0.0010〜0.015 %の範囲
に限定した。
元素であり、例えば鋼中における 900℃での炭化物の溶
解度積(平衡濃度積)はそれぞれ 8.1×10-5、8.5 ×10
-4であり、Vの 4.2×10-2に比較して著しく大きい。従
って、これらの元素は熱延、焼鈍中に炭化物を生成し易
いため、粒成長性を阻害して鉄損を低下させる要因とな
る。これを抑制するには、Ti,Nbの含有量をそれぞれ0.
0030%以下、0.0050%以下(0を含む)に制限する必要
がある。
30%以下、0.0050%以下に抑制すると共に、Vを0.0010
〜0.015 %の範囲で添加することにより、時効による磁
気特性の劣化を抑制しつつ、時効による強度上昇を図る
ことができるのである。
ある。その効果は、C量が 0.005%未満の極低炭素鋼に
Niを添加した場合よりも、0.0050〜0.030 %の適量のC
と複合添加した場合の方が大きい。この理由は、結晶粒
内に固溶したCおよびNiの相乗効果により、磁気特性に
良好な{100}近傍の再結晶核の生成基点となる剪断
変形帯が冷間圧延中に一層形成し易くなるためであると
考えられる。また、Niは、鋼の電気抵抗を増加して鉄損
を低下させると共に、固溶強化により鋼の強度を高める
点でも有効である。さらに、鋼の高強度化に有効である
が脆化し易くなるため添加量が最大 0.4%に制限される
Pに、Niを複合添加することによって脆化が抑制され、
P添加量を最大 0.8%にまで拡大できる効果もある。
強度、高磁束密度、低鉄損)に非常に有用な元素であ
り、積極的に添加することができる。しかしながら、含
有量が0.3 %に満たないとその添加効果に乏しく、一方
Niは高価な元素であるだけでなくオーステナイト生成元
素として作用するため、あまりに多量添加するとコスト
アップ要因となるだけでなく、α/γ変態温度が低下し
熱延板および冷延板の粒成長性が低下するので、Ni量は
0.3〜3.0 %の範囲に限定した。
する。本発明の電磁鋼板は、一般的な無方向性電磁鋼板
の製造方法で製造することができる。例えば、次のよう
な製造方法である。素材のスラブを所定温度に加熱後、
熱間圧延により熱延板とする。ここでスラブ加熱温度は
1050〜1250℃、熱延仕上げ温度は 700℃以上のα相領域
とすることが望ましい。熱間圧延後のコイル巻き取り温
度を 600℃以上として、自己焼鈍することによって熱延
板焼鈍を省略することもできる。得られた熱延コイル
は、磁気特性の改善のために熱延板焼鈍を施してから圧
延に供することもできる。この場合、熱延板の焼鈍温度
は連続焼鈍で行う場合には800 〜1100℃、箱焼鈍で行う
場合にはA1 点〜900 ℃程度が適当である。
1回圧延あるいは中間焼鈍を挟む2回の圧延を行う。圧
延後は再結晶と結晶粒の成長のための仕上げ焼鈍および
絶縁被膜のコーティングを行う。その後、得られたコイ
ルは、必要な幅、寸法にスリット加工された後、ユーザ
ーにてモータ固定子、回転子形状に打ち抜き加工、製品
化され、使用に供される。強度を得るために必要な時効
時間は、仕上げ焼鈍後、製品として実使用に供されるま
での期間として、夏季で10日間程度、冬季でも1ケ月程
度あれば十分であり、格段特別な処理は必要としない
が、 100〜200 ℃で数〜数十時間程度の時効促進処理を
実施しても良い。
の添加量を変化させた)を、溶製、鋳造し、これらのス
ラブを1100℃に加熱した後、仕上げ温度:800〜850 ℃
で 2.3mm厚まで熱間圧延した。ついで、これらの熱延板
を 900℃, 1分均熱の連続焼鈍後、酸洗し、 0.5mm厚ま
で冷延したのち、 800〜900 ℃で仕上げ焼鈍して結晶粒
径をほぼ30μm に揃えた。その後、エプスタイン試験片
および引張試験片を切り出し、時効のため10日間の室温
放置後、磁気測定および引張試験を行った。なお、引張
試験においてYSは 0.2%耐力を用いた。かくして得ら
れた結果を表2に示す。また、この結果を、C量と磁束
密度B50(T)との関係として、Sb,Sn添加の有無(発
明例、比較例)で区別して図1に示す。
添加により磁束密度は大きく向上することが分かる。ま
た、C含有量の増加に伴い磁束密度は向上するが、Sbや
Snを添加していない比較例の向上代は小さい。これに対
し、SbやSnを添加した場合は、C量が0.0018%と少ない
No.2(比較例)に対し、C量が0.0050%以上のNo.4,
6,8,10(発明例)では磁束密度が著しく向上してお
り、CとSbおよびSnの複合添加による相乗効果により磁
束密度が大きく改善されることが分かる。
これらのスラブを1100℃に加熱した後、仕上げ温度:80
0 〜850 ℃で 2.3mm厚まで熱間圧延した。ついで、これ
らの熱延板を 900℃, 1分均熱の連続焼鈍後、酸洗し、
0.5mm厚まで冷延したのち、 800〜900 ℃で仕上げ焼鈍
して結晶粒径をはぼ30μm に揃えた。その後、エプスタ
イン試験片および引張試験片を切り出し、時効のため10
日間の室温放置後、磁気測定および引張試験を行った。
なお、引張試験においてYSは 0.2%耐力を用いた。か
くして得られた結果を表5に示す。また、図2,3,4
には、表3,4に示した試験例のうち本発明の範囲内の
Sb,Snを含有している鋼について、含有C量と磁束密度
B50、鉄損W15/50 およびYS(0.2%耐力)との関係に
ついて調べた結果を示す。
有量が本発明範囲を満足しないものであり、本発明の範
囲内のSb,Snを含有した鋼と比較すると、磁束密度が著
しく劣っている。また、磁束密度は、時効による磁性劣
化を避けるために従来より推奨されてきた極低C(0.00
5 %以下)材(No.12, 14)よりも、Sb,Snと 0.005〜0.
030 %のCとが共存する本発明範囲の素材の方が優れ
る。さらに、Ti,Nbの含有量が本発明の範囲を外れる鋼
(No.21, 30, 33)は、Cの増加により、強度が上昇する
ものの、同時に鉄損も劣化してしまう。0.029 %までTi
量を高めた No.22(比較例)は、時効効果は起きないも
のの、磁束密度、鉄損とも発明例より劣っており、強度
も低い。Ti,Nb量が本発明範囲内でも、V量が0.0010%
未満である No.23, 29(比較例)は、磁束密度、強度は
比較的良好なものの鉄損が劣っており、またV量が0.01
5 %を超える No.20, 31(比較例)は、磁束密度、鉄損
ともに劣る。これに対し、本発明の成分組成範囲を満足
する鋼はいずれも、Cの増加と共に強度が上昇するが、
鉄損の劣化は抑制されており、C添加による時効効果が
有効に活用できることが明らかである。なお、C量が本
発明の上限を外れた No.35,36(比較例)は、製造中に
Fe3C(セメンタイト)として多量に析出するため、磁束
密度と鉄損は大幅に劣化し、時効による炭化物の微細析
出が減少する結果、強度も低下する。
を変化させた)を、溶製、鋳造し、これらのスラブを11
00℃に加熱した後、仕上げ温度:800 〜850 ℃で 2.3mm
厚まで熱間圧延した。ついで、これらの熱延板を 900
℃, 1分均熱の連続焼鈍後、酸洗し、0.5mm 厚まで冷延
したのち、 800〜900 ℃で仕上げ焼鈍して結晶粒径をほ
ぼ30μm に揃えた。その後、エプスタイン試験片および
引張試験片を切り出し、時効のため10日間の室温放置
後、磁気測定および引張試験を行った。なお、引張試験
においてYSは 0.2%耐力を用いた。かくして得られた
結果を表7に示す。また、図5,6,7には、Ni添加鋼
と無添加鋼における、P含有量と磁束密度B50、鉄損W
15/50 およびYSとの関係について調べた結果を示す。
は、磁束密度をほとんど劣化させずに鉄損と強度を大き
く向上させる元素であり、本発明の目的を達成する上で
非常に有効の元素であることが分かる。また、本発明の
鋼にNiを添加すると(No.43〜48)、磁束密度、鉄損、強
度がさらに向上することが分かる。さらに、Ni無添加で
は、P量が本発明範囲の0.40%を超えてた場合(No.41,
42) には、熱間圧延までは問題なく製造できたものの、
冷間圧延中に激しい耳割れを生じ、製品化することがで
きなかったのに対し、Niを同時に添加した場合(No.47,
48)には、冷延性が改善され、良好な特性の製品が得ら
れており、Niの添加はP添加鋼の製造性を改善する効果
があることが明らかである。
ために積極的に利用できなかったCによる時効効果現象
を、鉄損劣化を抑制しつつ、強度向上に利用することを
可能ならしめたもので、本発明によれば、リラクタンス
モータの鉄心素材に求められるような、高磁束密度、低
鉄損および高強度を高い次元で兼ね備える、特に高磁束
密度と高強度を同時に満足する無方向性電磁鋼板を提供
することができる。また、本発明は、従来技術では難圧
延材とされた高濃度のP含有鋼の圧延性を改善し、かつ
磁気特性、機械特性の向上を達成することができる。
の有無をパラメータとして示す図である。
る。
る。
である。
無をパラメータとして示す図である。
無をパラメータとして示す図である。
加の有無をパラメータとして示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 質量百分率で C:0.005 〜0.030 %、 Siおよび/またはAl:0.03〜0.5 %、 Mn:0.5 %以下、 Sbおよび/またはSn:0.01〜0.40%、 P:0.40%以下を、次の範囲に抑制したS, N S:0.005 %以下、 N:0.005 %以下 と共に含み、かつ V:0.0010〜0.015 % を、次の範囲に抑制したTi, Nb Ti:0.0030%以下、 Nb:0.0050%以下と共に含有し、残部は鉄および不可避
的不純物の組成になることを特徴とする、機械強度特性
および磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板。 - 【請求項2】 質量百分率で C:0.005 〜0.030 %、 Siおよび/またはAl:0.03〜0.5 %、 Mn:0.5 %以下、 Sbおよび/またはSn:0.01〜0.40%、 Ni:0.3 〜3.0 %、 P:0.80%以下 を、次の範囲に抑制したS, N S:0.005 %以下、 N:0.005 %以下 と共に含み、かつ V:0.0010〜0.015 % を、次の範囲に抑制したTi, Nb Ti:0.0030%以下、 Nb:0.0050%以下と共に含有し、残部は鉄および不可避
的不純物の組成になることを特徴とする、機械強度特性
および磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US7922834B2 (en) | 2005-07-07 | 2011-04-12 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Non-oriented electrical steel sheet and production process thereof |
CN105506465A (zh) * | 2015-12-14 | 2016-04-20 | 武汉钢铁(集团)公司 | 屈服强度≥750MPa级高强度高韧性热轧磁轭钢及生产方法 |
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CN105506465A (zh) * | 2015-12-14 | 2016-04-20 | 武汉钢铁(集团)公司 | 屈服强度≥750MPa级高强度高韧性热轧磁轭钢及生产方法 |
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