JP2001233681A - 多孔質セラミックス膜を用いた高度選択性バイオリアクター - Google Patents

多孔質セラミックス膜を用いた高度選択性バイオリアクター

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JP2001233681A
JP2001233681A JP2000044802A JP2000044802A JP2001233681A JP 2001233681 A JP2001233681 A JP 2001233681A JP 2000044802 A JP2000044802 A JP 2000044802A JP 2000044802 A JP2000044802 A JP 2000044802A JP 2001233681 A JP2001233681 A JP 2001233681A
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Kentaro Oshima
賢太郎 大島
Katsutoshi Okubo
捷敏 大久保
Tetsuo Yazawa
哲夫 矢澤
Yutaka Nakazono
豊 中薗
Naoya Ichimura
直也 市村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】リアクターに供されるセラミックス膜に要求さ
れる理想的機能である、原料物質の濃縮機能、原料物質
の化学変換機能、及び生成物質の原料系からの分離機能
をそれぞれ高レベルで保持する複合機能を有するセラミ
ックス膜、並びにそのセラミックス膜を用いた高度選択
性バイオリアクターを開発すること。 【解決手段】細孔径が0.001 〜10μm、比表面積が1〜
100 m2 / g、膜厚が0.1 〜10mmであるセラミックス
支持膜上に、細孔径が0.005 μm以下、比表面積が100
〜1000m2 / g、膜厚が0.01mm以下であるセラミック
ス薄膜が形成された構造を有することを特徴とする多孔
質セラミックス膜、並びに前記多孔質セラミックス膜を
化学変換部とし、原料液を該化学変換部に供給するため
の原料液供給部、及び該化学変換部からの生成物質を回
収するための生成物質回収部からなる高度選択性バイオ
リアクター。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミックス支持
膜上にセラミックス薄膜が形成された構造を有する多孔
質セラミックス膜、及び該多孔質セラミックス膜が用い
られた高度選択性バイオリアクターに関する。更に詳し
くは、高耐久性・高度選択性分離膜や化学変換器などに
好適に使用しうる高度選択性バイオリアクター及びそれ
に用いられる多孔質セラミックス膜に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、多孔質セラミックス膜は、その構
造的特徴を活かして、ガス状及び液状物質の分離機能、
触媒、酵素などの担体機能を主目的として開発されてお
り、耐久性・選択性分離膜や化学反応器などへの応用が
研究されている。
【0003】分離膜への応用として、例えば、特開平6-
239674号公報では、圧力損失が小さく、かつ目詰まりが
少ないガス分離膜として有用な多孔質セラミックス膜が
提供されている。しかし、この緻密なセラミックス膜
は、膜内の細孔の大きさによりガスを分離する機能を追
求したものであり、化学反応器への応用には適していな
い。
【0004】また、分離機能を有する化学反応器への応
用として、例えば、特開平9-301789号公報では、高気孔
率で比表面積が大きく、ガス透過性能に優れるととも
に、タンパク質やCO2 ガスなどの吸着特性にも優れ、
フィルターやガス分離膜及びバイオリアクターなどの触
媒担体として有用なセラミックス膜が提供されている。
しかし、このセラミックス膜は、ガス分離機能及び触媒
担体機能を有しているのみで、該セラミックス膜をリア
クターに用いた場合、原料系からの原料物質の濃縮がで
きず、触媒による化学反応で生じた生成物質を原料系か
ら分離できないという問題がある。したがって、原料物
質の濃縮部及び生成物質分離回収部をリアクターの設計
とは別に設計する必要がある。
【0005】化学反応による製造プロセスは、大きくは
上流プロセス、化学反応プロセス(リアクター)及び下
流プロセスに分類され、上流プロセスでは主に原料、触
媒などの調整が行われ、化学反応プロセスでは最適な反
応条件や装置操作条件の設定が行われ、下流プロセスで
は分離精製及び品質調整が行われている。従って、これ
らプロセス全体の最適化設計が極めて重要であり、それ
には相当の時間及び労力が必要となる。しかし、化学反
応プロセスを担うリアクターが同時に上流及び下流プロ
セスの機能を有するなら、化学反応プロセスのシステム
を設計する上で非常に有用なものとなる。したがって、
近年、それらの複合機能を有する理想的な高度選択性リ
アクターの開発が待ち望まれている。
【0006】以上説明したように、リアクターに供され
るセラミックス膜に要求される理想的な機能には、原料
物質の濃縮機能、原料物質の化学変換機能、及び生成物
質の原料系からの分離機能をそれぞれ高レベルで保持す
る複合機能が有用であると考えられている。しかしなが
ら、この複合機能を有するセラミックス膜、すなわちい
わゆる高度選択性セラミックス膜の開発が難しく、該高
度選択性セラミックス膜がほとんど開発されていないの
が現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、リアクター
に供されるセラミックス膜に要求される理想的機能であ
る、原料物質の濃縮機能、原料物質の化学変換機能、及
び生成物質の原料系からの分離機能をそれぞれ高レベル
で保持する複合機能を有するセラミックス膜、並びにそ
のセラミックス膜を用いた高度選択性バイオリアクター
の開発を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するべく鋭意研究を重ねた結果、特定の細孔径、
比表面積及び膜厚を有するセラミックス支持膜上に、特
定の細孔径、比表面積及び膜厚を有するセラミックス薄
膜が形成された構造を有する多孔質セラミックス膜を開
発し、そのセラミックス支持膜の表面及び/又は細孔内
表面に酵素を担持させ、さらに必要に応じてセラミック
ス薄膜の表面及び/又は細孔内表面を親水化又は疎水化
処理した場合には、複合機能を有するセラミックス膜が
得られ、該セラミックス膜は、原料物質の濃縮機能、原
料物質の化学変換機能、及び生成物質の原料系からの分
離機能を各々高レベルで保持する複合機能を有するとい
うまったく新しい事実が見出された。さらに、このセラ
ミックス膜を用いた場合には、高度選択性バイオリアク
ターが得られることも見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0009】すなわち、本発明は (1)細孔径が0.001 〜10μm、比表面積が1〜100 m
2 / g、膜厚が0.1 〜10mmであるセラミックス支持膜
上に、細孔径が0.005 μm以下、比表面積が100〜1000
2 / g、膜厚が0.01mm以下であるセラミックス薄膜
が形成された構造を有することを特徴とする多孔質セラ
ミックス膜、(2)セラミックス支持膜の表面及び/又
は細孔内表面に酵素が担持されており、該酵素が酸化還
元酵素、転移酵素、加水分解酵素、除去付加酵素、異性
化酵素及び合成酵素からなる群より選ばれた1種以上で
ある前記(1)記載の多孔質セラミックス膜、(3)セ
ラミックス支持膜が、原料物質を含む液中から原料物質
を濃縮する機能、並びに表面及び/又は該細孔内表面に
担持している酵素により原料物質を化学変換させる機能
からなる群より選ばれた1種以上の機能を有する前記
(1)又は(2)記載の多孔質セラミックス膜、(4)
セラミックス薄膜が、原料物質の化学変換後の生成物質
を原料物質を含む液から濃縮分離させる機能を有する前
記(1)〜(3)いずれか記載の多孔質セラミックス
膜、(5)セラミックス薄膜の表面及び/又は細孔内表
面が疎水性又は親水性である前記(1)〜(4)いずれ
か記載の多孔質セラミックス膜、(6)セラミックス支
持膜が、ガラス、アルミナ、シリカ、ジルコニア、ゼオ
ライト、チタニア、セリア及びジンカからなる群より選
ばれた1種以上からなる前記(1)〜(5)記載の多孔
質セラミックス膜、(7)セラミックス薄膜が、ガラ
ス、アルミナ、シリカ、ジルコニア、ゼオライト、チタ
ニア、セリア、ジンカ及びそれらのキセロゲルからなる
群より選ばれた1種以上からなる前記(1)〜(6)い
ずれか記載の多孔質セラミックス膜、並びに(8)前記
(1)〜(7)いずれか記載の多孔質セラミックス膜を
化学変換部とし、原料液を該化学変換部に供給するため
の原料液供給部、及び該化学変換部からの生成物質を回
収するための生成物質回収部からなる高度選択性バイオ
リアクターに関する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の多孔質セラミックス膜
は、セラミックス支持膜及びセラミックス薄膜より構成
される。その膜断面の構造を表す概略説明図を図1に示
す。
【0011】図1に示されるように、セラミックス薄膜
2は、セラミックス支持膜1上に形成されている。セラ
ミックス薄膜2とセラミックス支持膜1との界面付近
は、両者の複合系又は混合系となっており、これにより
多孔質セラミックス膜の強度が保持される。
【0012】なお、図1に示された多孔質セラミックス
膜において、3は担持酵素を示しているが、その担持位
置及び担持量は、その図示された状態に限定されるもの
ではない。
【0013】セラミックス支持膜1の材質は、特に限定
されないが、その代表例として、粘土(ケイ酸塩)系、
酸化物鉱物系、酸化物系、炭化物系、窒化物系、ホウ化
物系、ケイ化物系などが挙げられる。それらの中では、
例えば、ガラス、アルミナ、シリカ、ジルコニア、ゼオ
ライト、チタニア、セリア及びジンカからなる群より選
ばれた1種以上が好ましい。これらは、混合物であって
もよく、あるいは複合物であってもよい。
【0014】セラミックス支持膜1の細孔径は、酵素の
担持制御及びセラミックス支持膜1の強度確保の観点か
ら、0.001 〜10μm、好ましくは0.005 〜10μmとされ
る。
【0015】セラミックス支持膜1の比表面積は、酵素
の担持制御及びセラミックス支持膜1の強度確保の観点
から、1〜100 m2 / g、好ましくは5〜100 m2 / g
とされる。
【0016】また、セラミックス支持膜1の膜厚は、セ
ラミックス支持膜1の強度確保の観点から、0.1 〜10m
m、好ましくは0.2 〜10mmとされる。
【0017】セラミックス支持膜1の形状は、特に限定
がなく、任意である。その形状としては、例えば、管
状、板状、ロッド状、ファイバー状などが挙げられる。
【0018】セラミックス支持膜1は、例えば、固相
法、液相法、気相法などの通常のセラミックスの製法に
よって容易に製造することができるものであり、本発明
は、かかる製法によって限定されるものではない。
【0019】セラミックス支持膜1は、コスト、使用し
やすさ、製造しやすさ、化学変換効率などを考慮すれ
ば、例えば、ガラス、アルミナ、シリカ、ジルコニアな
どの材質からなるセラミックス製の管、板、ロッド、フ
ァイバーなどであることが好ましい。
【0020】セラミックス支持膜1は、原料物質を含む
液中から原料物質を濃縮する機能、並びに表面及び/又
は該細孔内表面に担持している酵素により原料物質を化
学変換させる機能からなる群より選ばれた1種以上の機
能を有することが好ましい。これらの機能は、セラミッ
クス支持膜1において表面及び/又は細孔内表面に、原
料基質となじみやすい状態に化学制御したり、酵素を担
持することにより、セラミックス支持膜1に容易に付与
することができる。
【0021】セラミックス支持膜1の表面及び/又は細
孔内表面には酵素が担持されていてもよい。その酵素の
担持方法には特に限定がない。その代表例としては、
(1)酵素を分散させた液中に多孔質セラミックス膜を
浸漬させ、セラミックス薄膜2側から液を吸引すること
により、セラミックス支持膜1へ酵素を担持させる方
法、(2)酵素を分散させた液中に多孔質セラミックス
膜を浸漬させ、セラミックス支持膜1に付けたクロスリ
ンカー剤などの化学修飾基を利用して、セラミックス支
持膜1へ酵素を担持させ方法などが挙げられる。
【0022】酵素の種類には特に限定がない。その中で
は、酸化還元酵素、転移酵素、加水分解酵素、除去付加
酵素、異性化酵素及び合成酵素からなる群より選ばれた
1種以上が好ましい。なお、酵素は、その補酵素と適宜
併用してもよい。
【0023】セラミックス支持膜1の表面及び/又は細
孔内表面に担持される酵素の量は、化学変換制御の観点
から適宜決定すればよい。
【0024】セラミックス薄膜2は、原料物質の化学変
換後の生成物質を原料物質を含む液から濃縮分離させる
機能を有することが生成物質の濃度調整における濃縮コ
ストの低減化の観点から好ましい。
【0025】セラミックス薄膜2の材質は、特に限定さ
れないが、その代表例として、粘土(ケイ酸塩)系、酸
化物鉱物系、酸化物系、炭化物系、窒化物系、ホウ化物
系、ケイ化物系などが挙げられる。それらの中では、ガ
ラス、アルミナ、シリカ、ジルコニア、ゼオライト、チ
タニア、セリア、ジンカ及びそれらのキセロゲルからな
る群より選ばれた1種以上が好ましく、ガラス、アルミ
ナ、シリカ、ジルコニア、ゼオライト及びそれらのキセ
ロゲルからなる群より選ばれた1種以上は、コスト、使
用しやすさ、製造のしやすさ、反応効率などの観点か
ら、より好ましい。これらは、混合物であってもよく、
あるいは複合物であってもよい。
【0026】セラミックス薄膜2の細孔径は、化学変換
後の生成物質の分子の大きさ及び原料基質の分子の大き
さの関係から、0.005 μm以下であることが好ましい。
特に、分子量の小さい酸やアルカリの生成物質を考慮す
れば、セラミックス薄膜2の細孔径は、0.002 μm以下
であることが好ましい。
【0027】セラミックス薄膜2の比表面積は、生成物
質及び原料液媒分子の透過制御の観点から、100 〜1000
2 / g、好ましくは150 〜1000m2 / gとされる。
【0028】また、セラミックス薄膜2の膜厚は、生成
物質及び原料液媒分子の透過制御の観点から、0.01mm
以下であることが好ましい。
【0029】セラミックス薄膜2は、例えば、セラミッ
クス薄膜2は、例えば、固相法、液相法、気相法等の通
常のセラミックスの製法によって容易に製造することが
できるものであり、本発明は、かかる製法によって限定
されるものではない。
【0030】セラミックス薄膜2による分離能の決定因
子は、主としてその表面、その細孔径や細孔内表面の状
態に依存する。したがって、酵素による化学変換後の生
成物質の分子が通り抜ける程度の大きさに合わせてその
細孔径を制御することが望ましい。
【0031】また、セラミックス薄膜2の表面及び/又
は細孔内表面は、特に限定されないが、疎水性又は親水
性であることが好ましい。
【0032】疎水基としては、例えば、鎖状及び環状炭
化水素基、芳香族炭化水素基、ハロゲン化アルキル基、
オルガノシリコン基(-Si(R)3 基、R:アルキル基)、フ
ッ化炭素基等が挙げられる。
【0033】親水基としては、例えば、-COOH 基、-OH
基、-NH2基、-NHCONH2基、-(OCH2CH 2)n - 基(n は整
数、n ≧1)、-SO3H 基、-SO3M 基(M はアルカリ金属
又はアンモニウム基)、-OSO3H基、-OSO3M基(M は前記
と同じ)、-COOM 基(M は前記と同じ)、-N(R)3X 基
(R はアルキル基、X はハロゲン)等が挙げられる。
【0034】セラミックス薄膜2の表面及び/又は細孔
内表面を疎水性とする場合には、有機ケイ素化合物など
の疎水基を有する化合物を用いて表面処理を施す方法を
採用することが好ましく、また親水性とする場合には、
親水基を有する化合物を用いて通常の化学的表面処理を
施す方法を採用することが好ましい。
【0035】本発明の多孔質セラミックス膜に適用しう
る原料物質の種類には特に限定がなく、種々の合成化学
物質、天然化学物質などが挙げられる。これらの原料物
質は、それらが水、有機溶媒、オイルなどに分散あるい
は溶解していればよい。なお、原料物質は、溶液や分散
液などの原料液で使用することが好適である。
【0036】原料物質を原料液として使用した場合、原
料基質の化学変換後の生成物質は、セラミックス薄膜2
で原料液と濃縮分離され、セラミックス薄膜2を通過し
た後、原料液に含まれていた液媒体とともに得られる。
【0037】本発明の多孔質セラミックス膜を用いた高
度選択性バイオリアクターの構成の一実施態様を表す概
略説明図を図2に示すが、本発明は、かかる態様のみに
限定されるものではない。
【0038】図2に示されるように、本発明の高度選択
性バイオリアクターは、多孔質セラミックス膜を化学変
換部6とし、それを主要部とするバイオリアクター主要
部7、原料液を化学変換部6に供給するための原料液供
給部4、及び化学変換部6からの生成物質を回収するた
めの生成物質回収部9からなる。
【0039】原料液供給部4は、安定に原料液をバイオ
リアクター主要部7へ供給するものであり、原料液貯槽
機能、液送機能を有しているものであればよく、特に限
定がない。その代表例として、チューブポンプ、ライン
ポンプなどが挙げられる。原料液供給部4には、定流量
制御機能、攪拌機能、液温調節機能、pH調節機能、循
環液受槽機能などが付加されていることが好ましい。
【0040】原料液供給部4は、原料液供給ライン5を
介して多孔質セラミックス膜を主要部とする化学変換部
6と接続されている。
【0041】原料液供給ライン5は、安定に原料液を移
送することができるものであればよく、特に限定がな
い。なお、原料液供給ライン5には、液温保持機能、液
温・流量モニター機能などが付加されていてもよい。
【0042】化学変換部6は、前記多孔質セラミックス
膜と同様であればよいが、必要に応じて、多孔質セラミ
ックス膜を複数個、多段あるいは多重形式にして使用す
ることが好ましい。
【0043】バイオリアクター主要部7の種類には、特
に限定がない。バイオリアクター主要部7は、化学変換
部6を内蔵し、原料液、原料循環液、生成物質回収液の
液温、流量、pH、攪拌などのモニター及び制御機能を
有していることが好ましい。
【0044】バイオリアクター主要部7は、連続式、回
分式又は半回分式で運転することができるものであるこ
とから、それらの運転制御機能を有していることが好ま
しい。
【0045】バイオリアクター主要部7で得られた回収
液は、生成物質回収ライン8を介して生成物質回収部9
に移送される。
【0046】生成物質回収ライン8は、安定に回収液を
移送することができるものであればよく、特に限定がな
い。生成物質回収ライン8は、液温保持機能、液温・流
量モニター機能などが付加されていてもよい。
【0047】生成物質回収部9は、安定に回収液を貯槽
することができるものであり、回収液貯槽機能及び液受
送機能を有しているものであればよく、特に限定がな
い。その代表例としては、チューブポンプ、ラインポン
プなどが挙げられる。生成物質回収部9は、更に、定流
量制御機能、攪拌機能、液温調節機能、pH調節機能な
どが付加されていることが好ましい。
【0048】また、バイオリアクター主要部7からの回
収液は、原料液循環ライン10を介して原料液供給部4
に移送される。
【0049】原料液循環ライン10は、原料供給後の回
収液を安定に原料液供給部4に移送することができるも
のであればよく、特に限定がない。なお、原料液循環ラ
イン10には、液温保持機能、液温・流量モニター機能
などが付加されていてもよい。
【0050】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細
に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定される
ものではない。
【0051】製造例1〔多孔質セラミックス膜の製造〕 テトラエチルシリケート1モルに対し、エタノール20モ
ル、塩酸0.01モル、及び水2モルを加えて調製した溶液
100 mLを室温で8時間攪拌して、均一な溶液を得た。
【0052】得られた溶液に、一端を封止した多孔質ガ
ラス管(外径5mm、内径4mm、長さ100 mm、厚さ
0.5 mm、平均細孔径4nm、比表面積95m2 / g)を
引き上げ速度2mm/sにてディップコーティングし、
1時間室温で乾燥した後、得られた塗膜を熟成させるた
め、昇温速度0.5 ℃/min、150 ℃で2時間乾燥し
た。これと同様の操作を3回繰り返して、多孔質ガラス
管の外側表面に厚さ約1μmのキセロゲル薄膜を形成さ
せた。
【0053】なお、このキセロゲル薄膜の物性をBET
比表面積測定装置(窒素吸着法)を用いて調べた結果、
平均細孔径が約1nm、比表面積が500 m2 / g、膜厚
が1.1 μmであることがわかった。
【0054】次に、このキセロゲル薄膜に分離能を付与
するために、この薄膜の表面及び細孔内表面に、ジメチ
ルオクチルクロロシランを用い、ピリジンをアクセプタ
ーとしてトルエン中で還元する方法にて疎水化処理を施
した。
【0055】次に、この多孔質ガラス支持膜に、酵素固
定化反応を目的としたN−ヒドロキシスクシンイミド
(NHS)活性エステル基をクロスリンカー剤として導
入した。更に、酵母から抽出し、精製された酵素で、比
活性が約20U/mg酵素タンパク質であるアルデヒドデ
ヒドロゲナーゼ(EC1.2.1.5 )10mgを1mLリン酸
緩衝液(pH6.5 )に懸濁させた懸濁液をこの多孔質ガ
ラス支持膜に加え、室温で30分間インキュベートした。
【0056】反応終了後、リン酸緩衝液で洗浄し、この
多孔質セラミックス膜をアルデヒド変換用化学変換部と
した。
【0057】製造例2〔高度選択性バイオリアクターの
製作〕 製造例2で得られた多孔質セラミックス膜を化学変換部
として用いた。原料液供給部として、1Lフラスコ(恒
温槽内に固定)にチューブポンプ及び流量計を組み合わ
せたものを用いた。バイオリアクターとして、前記化学
変換部(恒温槽内に固定)に温度計、pHメーター及び
流量計を組み合わせたものを用いた。また、恒温の生成
物質回収部として、500 mLフラスコ(恒温槽内に固
定)にチューブポンプを組み合わせたものを用いた。
【0058】原料液供給ライン、生成物質回収ライン及
び原料液循環ラインにシリコンチューブ(外径6mm、
内径4mm)を用い、各構成要素を図2に示す構成とな
るように接続し、高度選択性バイオリアクターを製作し
た。
【0059】実施例1〔酢酸水溶液の製造〕 原料液として、アセトアルデヒドを100 mMを含むリン
酸緩衝水溶液(pH8.0 、補酵素として100 mMNAD
含有)500 mLを用い、液温25℃、液流量1.25mL/m
in、pH8.0 (水酸化ナトリウムにて調整)の条件下
で、製造例2で製作したバイオリアクターを用いて連続
定常運転を行った。
【0060】連続定常運転を6時間行った結果、無色透
明な液体が得られ、それを約100 mL分取し、これにつ
いてガスクロマトグラフィー分析をした結果、約300 m
Mの酢酸水溶液が検出された。
【0061】このことから、製造例2で得られた高度選
択性バイオリアクターにより、アセトアルデヒド水溶液
から酢酸水溶液を容易に製造することができることがわ
かる。
【0062】実施例2〔プロピオン酸水溶液の製造〕 製造例1において、高度選択性バイオリアクターの化学
変換部である多孔質セラミックス膜を製造する際に、キ
セロゲル薄膜に分離能を付与するために、キセロゲル薄
膜の表面及び細孔内表面をジメチルドデシルクロロシラ
ンを用いてピリジンをアクセプターとしてトルエン中で
還元する方法にて疎水化処理を施した以外は、製造例1
と同様にして酵素担持の多孔質セラミックス膜を作製し
た。
【0063】得られた多孔質セラミックス膜を化学変換
部として用い、製造例2と同様にして高度選択性バイオ
リアクターを製作した。
【0064】原料液として、プロピオンアルデヒドを10
0 mM含むリン酸緩衝水溶液(pH8.0 、補酵素として
100 mMNAD含有)500 mLを用い、液温25℃、液流
量1.25mL/min、pH8.0(水酸化ナトリウムにて調
整)の条件下で、前記高度選択性バイオリアクターを用
いて連続定常運転を行った。
【0065】連続定常運転を6時間行った結果、無色透
明な液体が得られ、それを約100 mL分取し、これにつ
いてガスクロマトグラフィー分析をした結果、約280 m
Mのプロピオン酸水溶液が検出された。
【0066】このことから、この高度選択性バイオリア
クターにより、アセトアルデヒド水溶液からプロピオン
酸水溶液を容易に製造することができることがわかる。
【0067】実施例3〔酪酸水溶液の製造〕 製造例1において、高度選択性バイオリアクターの化学
変換部である多孔質セラミックス膜を製造する際に、キ
セロゲル薄膜に分離能を付与するために、キセロゲル薄
膜の表面及び細孔内表面をジメチルペンタデシルクロロ
シランを用いてピリジンをアクセプターとしてトルエン
中で還元する方法にて疎水化処理を施した以外は、製造
例1と同様にして酵素担持の多孔質セラミックス膜を作
製した。
【0068】得られた多孔質セラミックス膜を化学変換
部として用い、製造例2と同様にして高度選択性バイオ
リアクター装置を製作した。
【0069】原料液として、ブチリックアルデヒドを10
0 mM含むリン酸緩衝水溶液(pH8.0 、補酵素として
100 mMNAD含有)500 mLを用い、液温25℃、液流
量1.25mL/min、pH8.0 (NaOHにて調整)の
条件下で、前記高度選択性バイオリアクターを用いて連
続定常運転を行った。
【0070】連続定常運転を6時間行った結果、無色透
明な液体が得られ、それを約100 mL分取し、これにつ
いてガスクロマトグラフィー分析をした結果、約280 m
Mの酪酸水溶液が検出された。
【0071】このことから、この高度選択性バイオリア
クターにより、ブチリックアルデヒド水溶液から酪酸水
溶液を容易に製造することができることがわかる。
【0072】
【発明の効果】本発明の多孔質セラミックス膜が用いら
れた高度選択性バイオリアクターを用いれば、原料物質
を濃縮する機能、該原料物質を種々の担持酵素により化
学変換させる機能及び生成物質を該原料物質を含む液か
ら分離させる機能により、原料物質を含む液中から有用
な化学物質を広範囲に、簡便に、効率よく製造すること
ができるので、実験室規模から工業規模に至るまでの広
範囲にわたって柔軟に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多孔質セラミックス膜断面の構造を示
す概略説明図である。
【図2】本発明の多孔質セラミックス膜を用いた高度選
択性バイオリアクターの構成を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1 セラミックス支持膜 2 セラミックス薄膜 3 担持酵素 4 原料液供給部 5 原料液供給ライン 6 化学変換部 7 バイオリアクター主要部 8 生成物質回収ライン 9 生成物質回収部 10 原料液循環ライン
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年3月3日(2000.3.3)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の名称
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の名称】 多孔質セラミックス膜を用いた高度選
択性バイオリクター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中薗 豊 京都市下京区中堂寺南町17番地 株式会社 関西新技術研究所内 (72)発明者 市村 直也 京都市下京区中堂寺南町17番地 株式会社 関西新技術研究所内 Fターム(参考) 4B033 NA01 NA23 NA25 NA26 NA34 NA35 NA37 NB04 NB15 NB22 NB24 NB25 NB26 NB27 NB64 NB68 NC03 NC12 ND02 NE05 4D006 GA02 HA21 JA02C JA53A KE02Q KE15Q KE16Q MA02 MA03 MA06 MA22 MA31 MA40 MB09 MB10 MB20 MC03 MC03X NA13 NA46 NA59 NA64 PC67 4D019 AA01 AA03 BA05 BB07 BB10 BC13 BC20 CA03 CB04 4G019 FA11 FA13 4G075 AA24 AA30 BD14 BD16 CA57 FA12 FA14 FB04 FC02

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 細孔径が0.001 〜10μm、比表面積が1
    〜100 m2 / g、膜厚が0.1 〜10mmであるセラミック
    ス支持膜上に、細孔径が0.005 μm以下、比表面積が10
    0 〜1000m2 / g、膜厚が0.01mm以下であるセラミッ
    クス薄膜が形成された構造を有することを特徴とする多
    孔質セラミックス膜。
  2. 【請求項2】 セラミックス支持膜の表面及び/又は細
    孔内表面に酵素が担持されており、該酵素が酸化還元酵
    素、転移酵素、加水分解酵素、除去付加酵素、異性化酵
    素及び合成酵素からなる群より選ばれた1種以上である
    請求項1記載の多孔質セラミックス膜。
  3. 【請求項3】 セラミックス支持膜が、原料物質を含む
    液中から原料物質を濃縮する機能、並びに該表面及び/
    又は該細孔内表面に担持している酵素により原料物質を
    化学変換させる機能からなる群より選ばれた1種以上の
    機能を有する請求項1又は2記載の多孔質セラミックス
    膜。
  4. 【請求項4】 セラミックス薄膜が、原料物質の化学変
    換後の生成物質を原料物質を含む液から濃縮分離させる
    機能を有する請求項1〜3いずれか記載の多孔質セラミ
    ックス膜。
  5. 【請求項5】 セラミックス薄膜の表面及び/又は細孔
    内表面が疎水性又は親水性である請求項1〜4いずれか
    記載の多孔質セラミックス膜。
  6. 【請求項6】 セラミックス支持膜が、ガラス、アルミ
    ナ、シリカ、ジルコニア、ゼオライト、チタニア、セリ
    ア及びジンカからなる群より選ばれた1種以上からなる
    請求項1〜5記載の多孔質セラミックス膜。
  7. 【請求項7】 セラミックス薄膜が、ガラス、アルミ
    ナ、シリカ、ジルコニア、ゼオライト、チタニア、セリ
    ア、ジンカ及びそれらのキセロゲルからなる群より選ば
    れた1種以上からなる請求項1〜6いずれか記載の多孔
    質セラミックス膜。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7いずれか記載の多孔質セラ
    ミックス膜を化学変換部とし、原料液を該化学変換部に
    供給するための原料液供給部、及び該化学変換部からの
    生成物質を回収するための生成物質回収部からなる高度
    選択性バイオリアクター。
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