JP2001229983A - 光電変換素子及び光電池 - Google Patents

光電変換素子及び光電池

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JP2001229983A
JP2001229983A JP2000037290A JP2000037290A JP2001229983A JP 2001229983 A JP2001229983 A JP 2001229983A JP 2000037290 A JP2000037290 A JP 2000037290A JP 2000037290 A JP2000037290 A JP 2000037290A JP 2001229983 A JP2001229983 A JP 2001229983A
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JP2000037290A
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Hiroo Takizawa
裕雄 滝沢
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 半導体微粒子を効率良く増感し得る長波長域
対応の金属錯体色素、及び金属錯体色素を用いることに
より高い光電変換効率を有する光電変換素子ならびにそ
れからなる光電池を提供する。 【解決手段】 一般式(I): M(NR1R2R3)m1(LL)m2・CI ・・・(I) (ただし、Mは金属原子を表し、R1、R2、R3はそれぞれ
独立に水素原子、アルキル基等、を表し、LLは一般式(I
I): 〔ただし、Za、Zbはそれぞれ独立に5または6員環を形
成しうる非金属原子群を、a、cは0又は1を表す。〕に
より表される1〜3座の配位子を表し、m1は1〜5の整
数を示し、m1が2以上のときNR1R2R3は同じでも異なっ
ていても互いに連結しても良く、m2は1または2の整数
を示し、m2が2のときLLは同じでも異なっても良く、CI
は電荷を中和させるのに必要な対イオンを表す)により
表される金属錯体色素により増感された半導体微粒子を
含む光電変換素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は長波長域にも高い光
吸収能を有する金属錯体色素、かかる金属錯体色素によ
り増感された半導体微粒子を用いた光電変換素子、なら
びにそれからなる光電池に関する。
【0002】
【従来の技術】太陽光発電に使用する太陽電池として単
結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコ
ン、またはテルル化カドミウム、セレン化インジウム銅
等の化合物からなる太陽電池が実用化もしくは主な研究
開発の対象となっているが、家庭用電源等に広く普及さ
せる上では、製造コストが高いこと、原材料の確保が困
難であること、エネルギーペイバックタイムが長いこと
等の問題点があり、これらを克服する必要がある。一
方、大面積化や低価格化を目的として、有機材料を用い
た太陽電池も多く提案されてきたが、一般に変換効率が
低く、耐久性も悪いという問題があった。
【0003】このような状況下で、Nature(第353巻,
第737〜740頁,1991年)、及び米国特許4927721号、WO
94/04497号等に、ルテニウム錯体色素により分光増感さ
れた二酸化チタン多孔質薄膜を作用電極とする湿式光電
変換素子及び太陽電池、ならびにこれを作製するための
材料及び製造技術が提案された。この湿式光電変換素子
の第一の利点は二酸化チタン等の安価な酸化物半導体を
高純度に精製することなく用いることができるため、安
価な光電変換素子を提供できる点であり、第二の利点は
用いる色素の吸収がブロードなため、可視光線のほぼ全
ての波長領域の光を電気に変換できることである。
【0004】しかしながら公知のルテニウム錯体色素は
可視光を吸収するものの、700nmより長波長の赤外光は
ほとんど吸収しないため、赤外域での光電変換能が低い
という問題がある。したがってさらに変換効率を上げる
ためには、可視光〜赤外域にわたる広い波長領域で吸収
能を有し、高い光電変換能を示す色素の開発が望まれて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、可視
光域のみならず赤外域にも高い光吸収能を有し、かつ半
導体微粒子を効率良く増感し得る長波長域対応の金属錯
体色素、及びかかる金属錯体色素を用いることにより高
い光電変換効率を有する光電変換素子ならびにそれから
なる光電池を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者は、金属錯体色素の配位子として、ア
ンモニア等のアミンからなる配位子と、含窒素複素環か
らなる1〜3座配位子とを組み合わせて用いることによ
り、長波長域にも優れた光吸収能を有する金属錯体色素
が得られること、及びかかる金属錯体色素を用いた色素
増感型光電変換素子は優れた光電変換効率を示し、良好
な光電池となることを発見し、本発明に想到した。
【0007】すなわち、本発明の光電変換素子は、下記
一般式(I): M(NR1R2R3)m1(LL)m2・CI ・・・(I) (ただし、Mは金属原子を表し、R1、R2、R3はそれぞれ
独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアリー
ル基を表し、LLは下記一般式(II):
【化4】 (ただし、Za、Zbはそれぞれ独立に5または6員環を形
成しうる非金属原子群を表し、a、cは0又は1を表
す。)により表される1〜3座の配位子を表し、m1は1
〜5の整数を示し、m1が2以上のときNR1R2R3は同じで
も異なっていても良く、互いに連結しても良く、m2は1
または2の整数を示し、m2が2のときLLは同じでも異な
っても良く、CIは電荷を中和させるのに対イオンが必要
な場合の対イオンを表す)により表される金属錯体色素
により、半導体電極を構成する半導体微粒子を色素増感
したことを特徴とする。
【0008】また本発明の光電池は、上記光電変換素子
を用いることを特徴とする。
【0009】本発明はまた下記条件を満たすことによ
り、一層優れた光電変換素子及び光電池が得られる。
【0010】(1)一般式(I)中のMはRu、Fe、Os、C
u、W、Cr、Mo、Ni、Pd、Pt、Co、Ir、Rh、Re、Mnまたは
Znであるの好ましく、Ru、Fe、OsまたはCuであるのがよ
り好ましく、Ruが特に好ましい。
【0011】(2)一般式(I)中のR1、R2、R3はそれ
ぞれ独立に水素原子またはアルキル基であることが好ま
しく、特にR1、R2、R3はすべて水素原子であること、す
なわち、NR1R2R3がアンモニアであることが好ましい。
【0012】(3)一般式(II)中のZa、Zbによって形成
される5または6員環は、それぞれ独立にピリジン環ま
たはイミダゾール環であるのが好ましい。なお、これら
の環は単環でも縮環していても、無置換でも置換してい
ても良い。
【0013】(4)LLは1座または2座配位子であるこ
とが好ましく、特に1座配位子であることが好ましい。
【0014】(5)一般式(I)中のLLが下記一般式(III
-1)〜(III-11):
【化5】
【化6】 (ただし、R11〜R21はそれぞれ独立にカルボキシル基、
スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基、ホ
スホリル基またはホスホニル基を表し、R22〜R32はそれ
ぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、 アルキニル
基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アル
コキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル
基、アミノ基、アシル基、スルホンアミド基、アシルオ
キシ基、カルバモイル基、アシルアミノ基、シアノ基、
またはハロゲン原子を表し、R33〜 R37 及びR39は水素
原子、アルキル基、アルケニル基またはアリール基を表
し、R38はアルキル基またはアリール基を表し、R11〜R
32は環上のどの位置に結合していても良く、d1〜d10、d
16、d17、及びd19〜d21はそれぞれ独立に0〜4の整数
を表し、d11及びd22はそれぞれ独立に0〜2の整数を表
し、d12〜d15及びd18はそれぞれ独立に0〜6の整数を
表し、d1〜d11が2以上のときR11〜R21は同じでも異な
っていても良く、d12〜d22が2以上のときR22〜R32は同
じでも異なっていても良く、互いに連結して環を形成し
ていても良い)のいずれかにより表されることが好まし
い。
【0015】(6)一般式(III-1)〜(III-11)中のR11
〜R21は、それぞれ独立にカルボキシル基またはホスホ
ニル基であるのが好ましい。
【0016】(7)一般式(III-9)中のR38は、カル
ボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキ
サム酸基、ホスホリル基もしくはホスホニル基のいずれ
かが少なくとも1個以上置換したアルキル基もしくはア
リール基であり、特にカルボキシル基もしくはホスホニ
ル基のいずれかが少なくとも1個以上置換したアルキル
基もしくはアリール基であることが好ましい。また、d9
及びd20は0であることが好ましい。
【0017】(8)一般式(III-1)〜(III-11)のうち、
一般式(III-1)、(III-2)、(III-3)、(III-6)また
は(III-9)が好ましく、一般式(III-1)、(III-2)、
(III-9)がより好ましく、特に一般式(III-9)が好
ましい。
【0018】(9)一般式(I)中のLLがカルボキシル
基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸
基、ホスホリル基またはホスホニル基のいずれかを少な
くとも1個以上含むことが好ましい。
【0019】(10)一般式(I)中のm1は4または5で
あることが好ましい。
【0020】(11)半導体微粒子は酸化チタン微粒子
であるのが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】〔1〕金属錯体色素 本発明の光電変換素子に使用する金属錯体色素は、下記
一般式(I): M(NR1R2R3)m1(LL)m2・CI ・・・(I) により表される。一般式(I)において、Mは金属原子
を、NR1R2R3はアミンからなる1又は2座配位子を、LL
は含窒素複素環からなる1〜3座配位子を、CIは電荷を
中和させるのに必要な対イオンを、m1は配位子NR1R2R3
の数を、m2は配位子LLの数を表す。上記金属錯体色素
は、配位子NR1R2R3と、配位子LLとを組み合わせて用い
たことを特徴とする。以下、一般式(I)の金属錯体色
素について詳述する。
【0022】(A)金属原子M Mは金属原子を表す。Mは好ましくは4配位または6配位
が可能な金属であり、より好ましくはRu、Fe、Os、Cu、
W、Cr、Mo、Ni、Pd、Pt、Co、Ir、Rh、Re、MnまたはZn
であり、特に好ましくはRu、Fe、OsまたはCuであり、最
も好ましくはRuである。
【0023】(B)配位子NR1R2R3 配位子NR1R2R3は配位子を表し、その数を表すm1は1〜
5の整数を表し、好ましくは2〜5の整数を表し、より
好ましくは4または5を表す。
【0024】R1、R2、R3はそれぞれ独立に水素原子、ア
ルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20、例えばメチル
基、エチル基、イソプロピル基、t-ブチル基、ペンチル
基、ヘプチル基、1-エチルペンチル基、ベンジル基、2-
エトキシエチル基、1-カルボキシメチル基等)、アルケ
ニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、例えばビニル
基、アリル基、オレイル基等)、又はアリール基(好ま
しくは炭素原子数6〜26、例えばフェニル基、1-ナフチ
ル基、4-メトキシフェニル基、2-クロロフェニル基、3-
メチルフェニル基等)を表す。これらのうち好ましいも
のは、水素原子及びアルキル基であり、特にR1、R2、R3
のすべてが水素原子であること、すなわち、NR1R2R3
アンモニアであることが好ましい。
【0025】m1が2以上のときNR1R2R3は同じでも異な
っていても良く、互いに連結しても良い。m1が2以上で
互いに連結している場合は、NR1R2R3は2座以上の配位
子を形成しても構わない。
【0026】なお、R1、R2、R3がアルキル基、アルケニ
ル基等を含むとき、それらは直鎖状でも分岐状でも良
く、置換されていても無置換でも良い。また、R1、R2
R3がアリール基等を含むとき、それらは単環でも縮環で
も良く、置換されていても無置換でも良い。
【0027】本発明の一般式(I)中のNR1R2R3の具体例
を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。
【0028】
【化7】
【0029】(C)配位子LL LLは1〜3座の配位子を表す。LLの数を表すm2は1また
は2であり、1であるのが好ましい。
【0030】配位子LLは、下記一般式(II):
【化8】 により表される。
【0031】一般式(II)中のZa及びZbはそれぞれ独立に
5または6員環を形成しうる非金属原子群を表し、形成
される5または6員環は置換されていても無置換でも良
く、単環でも縮環していても良い。Za及びZbは炭素原
子、水素原子原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リ
ン原子及び/またはハロゲン原子で構成されることが好
ましく、芳香族環を形成するのが好ましい。5員環の場
合はイミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環ま
たはトリアゾール環を形成するのが好ましく、6員環の
場合はピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環または
ピラジン環等を形成するのが好ましい。なかでもイミダ
ゾール環またはピリジン環がより好ましい。
【0032】一般式(II)中のa、cは0又は1を表す。
a、cのうち少なくとも1つは1であるのが好ましく、a
及びcが共に1であることがより好ましい。すなわちLL
は1座または2座配位子であるのが好ましく、1座配位
子であるのがより好ましい。
【0033】配位子LLは、半導体微粒子の表面に対する
適当な結合基(interlocking group)を有することが好
ましく、このような結合基としては、カルボキシル基、
スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基、ホ
スホリル基、ホスホニル基、等の酸性基(解離性のプロ
トンを有する置換基)が好ましい。一般式(I)の金属
錯体色素は、このような結合基を分子内に1〜6個有す
ることが好ましく、1〜4個有することがより好まし
い。
【0034】配位子LLは、下記一般式(III-1)〜(III-1
1):
【化9】
【化10】 のいずれかにより表されるのが好ましい。
【0035】一般式(III-1)〜(III-11)中、R11〜R
21は、半導体微粒子の表面に対する結合基としての役割
を果たし、それぞれ独立にカルボキシル基、スルホン酸
基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基(好ましくは炭
素原子数1〜20、例えば−CONHOH、−CONCH3OH等)、ホ
スホリル基(例えば−OP(O)(OH)2等)及びホスホニル基
(例えば−P(O)(OH) 2等)のいずれかを表し、好ましく
はカルボキシル基、ホスホリル基またはホスホニル基で
あり、より好ましくはカルボキシル基またはホスホニル
基であり、最も好ましくはカルボキシル基である。
【0036】一般式(III-1)〜(III-11)中、R22〜R32
それぞれ独立に置換基を表し、好ましくは、アルキル基
(好ましくは炭素原子数1〜20、例えばメチル基、エチ
ル基、イソプロピル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘプ
チル基、1-エチルペンチル基、ベンジル基、2-エトキシ
エチル基、1-カルボキシメチル基等)、アルケニル基
(好ましくは炭素原子数2〜20、例えばビニル基、アリ
ル基、オレイル基等)、アルキニル基(好ましくは炭素
原子数2〜20、例えばエチニル基、ブタジイニル基、フ
ェニルエチニル基等)、シクロアルキル基(好ましくは
炭素原子数3〜20、例えばシクロプロピル基、シクロペ
ンチル基、シクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル
基等)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜26、例
えばフェニル基、1-ナフチル基、4-メトキシフェニル
基、2-クロロフェニル基、3-メチルフェニル基等)、ヘ
テロ環基(好ましくは炭素原子数2〜20、例えば4-ピリ
ジル基、1-イミダゾリル基、2-ベンゾイミダゾリル基、
2-チアゾリル基、2-オキサゾリル基等)、アルコキシ基
(好ましくは炭素原子数1〜20、例えばメトキシ基、エ
トキシ基、イソプロピルオキシ基、ベンジルオキシ基
等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜2
6、例えばフェノキシ基、1-ナフチルオキシ基、3-メチ
ルフェノキシ基、4-メトキシフェノキシ基等)、アルコ
キシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、例え
ばエトキシカルボニル基、2-エチルヘキシルオキシカル
ボニル基等)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜2
0、例えばアミノ基、N,N-ジメチルアミノ基、N,N-ジエ
チルアミノ基、N−エチルアミノ基、アニリノ基等)、
アシル基(好ましくは炭素原子数1〜20、例えばアセチ
ル基、ベンゾイル基等)、スルホンアミド基(好ましく
は炭素原子数0〜20、例えばN,N-ジメチルスルホンアミ
ド基、N-フェニルスルホンアミド基等)、アシルオキシ
基(好ましくは炭素原子数1〜20、例えばアセチルオキ
シ基、ベンゾイルオキシ基等)、カルバモイル基(好ま
しくは炭素原子数1〜20、例えばN,N-ジメチルカルバモ
イル基、N-フェニルカルバモイル基等)、アシルアミノ
基(好ましくは炭素原子数1〜20、例えばアセチルアミ
ノ基、ベンゾイルアミノ基等)、シアノ基、またはハロ
ゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨ
ウ素原子等)である。
【0037】一般式(III-1)〜(III-11)中、R22〜R32
より好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール
基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル
基、アミノ基、アシルアミノ基またはハロゲン原子であ
り、特に好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルコ
キシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルア
ミノ基である。
【0038】なお、LLがアルキル基、アルケニル基等を
含むとき、それらは直鎖状でも分岐状でも良く、置換さ
れていても無置換でも良い。また、LLがアリール基、ヘ
テロ環基等を含むとき、それらは単環でも縮環でも良
く、置換されていても無置換でも良い。
【0039】R33〜 R37 及びR39はそれぞれ独立に水素
原子、アルキル基、アルケニル基またはアリール基(好
ましい例はR22〜R32と同じ)を表し、アルキル基、また
はカルボキシル基が置換したアルキル基が好ましい。
【0040】一般式(III-9)中、R38はアルキル基
(好ましくは炭素原子数1〜20)またはアリール基
(好ましくは炭素原子数6〜26)を表し、より好まし
くはカルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、
ヒドロキサム酸基、ホスホリル基もしくはホスホニル基
のいずれかが少なくとも1個以上置換したアルキル基も
しくはアリール基であり、特に好ましくはカルボキシル
基もしくはホスホニル基のいずれかが少なくとも1個以
上置換したアルキル基もしくはアリール基である。また
その際、d9、d20は共に0であることが好ましい。
【0041】一般式(III-1)〜(III-11)中のR11〜R32
環上のどの炭素に結合していても良く、d1〜d6及びd9、
d10はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、好ましくは
0〜2の整数を表し、d7及びd8はそれぞれ独立に0〜4
の整数を表し、好ましくは0〜3の整数を表す。d12〜d
15及びd18はそれぞれ独立に0〜6の整数を表し、d16、
d17、d19〜d21はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、d
12〜d21は好ましくは0〜3の整数を表す。d11及びd22
はそれぞれ独立に0〜2の整数を表す。
【0042】d1〜d11が2以上のときR11〜R21は同じで
も異なっていても良く、d12〜d22が2以上のときR22〜R
32は同じでも異なっていても良く、互いに連結して環を
形成していても良い。形成する環としては好ましくはベ
ンゼン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環、ピリ
ジン環、イミダゾール環である。特にd13が2以上のと
きはR23同士がピリジン環上で連結してさらにピリジン
環を形成することが好ましい。
【0043】一般式(III-1)〜(III-11)のうち、一般式
(III-1)、(III-2)、(III-3)、(III-6)または(III
-9)が好ましく、一般式(III-1)、(III-2)、(III-
9)がより好ましく、特に一般式(III-9)が好まし
い。
【0044】配位子LLにはカルボキシル基、スルホン酸
基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基、ホスホリル基
またはホスホニル基のいずれかが少なくとも1個以上含
まれることが好ましい。
【0045】本発明の一般式(I)中のLLの具体例を以下
に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0046】
【化11】
【0047】
【化12】
【0048】
【化13】
【0049】
【化14】
【0050】
【化15】
【0051】
【化16】
【0052】
【化17】
【0053】
【化18】
【0054】
【化19】
【0055】
【化20】
【0056】
【化21】
【0057】
【化22】
【0058】
【化23】
【0059】
【化24】
【0060】
【化25】
【0061】
【化26】
【0062】
【化27】
【0063】
【化28】
【0064】
【化29】
【0065】
【化30】
【0066】
【化31】
【0067】(D)配位子の数m1、m2 一般式(I)において、m1は配位子NR1R2R3の数を、m2は
配位子LLの数を表す。一般式(I)中のMがCu、Pd、Pt
等、4配位を好む金属の場合はm2は1であることが好ま
しい。その際m1は1〜3の整数であることが好ましく、
LLが一座配位子でm1が3であることが好ましい。
【0068】6配位を好む金属の場合でm2が2のとき
は、m1が2または4であることが好ましく、LLが2座配
位子であるときはm1は2が好ましく、1座配位子である
ときはm1は4が好ましい。
【0069】6配位を好む金属の場合でm2が1のとき
は、m1が4または5であることが好ましく、LLが2座配
位子であるときはm1は4が好ましく、1座配位子である
ときはm1は5が好ましい。
【0070】(E)対イオンCI 一般式(I)中のCIは電荷を中和させるのに対イオンが必
要な場合の対イオンを表す。色素が陽イオンまたは陰イ
オンであるか、あるいは正味のイオン電荷を有するかど
うかは、色素中の金属、配位子及び置換基に依存する。
置換基が解離性基を有する場合、解離して負電荷を持っ
ても良く、この場合にも分子全体の電荷はCIにより中和
される。
【0071】典型的な正の対イオンは無機または有機の
アンモニウムイオン(例えばテトラアルキルアンモニウ
ムイオン、ピリジニウムイオン等)、アルカリ金属イオ
ン及びプロトンである。一方、負の対イオンは無機また
は有機の陰イオンのいずれでもよく、例えばハロゲン陰
イオン、(例えばフッ化物イオン、塩化物イオン、臭化
物イオン、ヨウ化物イオン等)、置換アリールスルホン
酸イオン(例えばp-トルエンスルホン酸イオン、p-クロ
ロベンゼンスルホン酸イオン等)、アリールジスルホン
酸イオン(例えば1,3-ベンゼンジスルホン酸イオン、1,
5-ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6-ナフタレンジス
ルホン酸イオン等)、アルキル硫酸イオン(例えばメチ
ル硫酸イオン等)、硫酸イオン、硝酸イオン、チオシア
ン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イ
オン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ピクリン酸
イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イ
オン等が挙げられる。さらに電荷均衡対イオンとして、
イオン性ポリマーあるいは色素と逆電荷を有する他の色
素を用いてもよいし、金属錯イオン(例えばビスベンゼ
ン-1,2-ジチオラトニッケル(III)等)も使用可能であ
る。
【0072】(F) 金属錯体色素の具体例 本発明の金属錯体色素の具体例を以下に示すが、本発明
はこれに限定されるものではない。
【0073】
【化32】
【0074】
【化33】
【0075】
【化34】
【0076】
【化35】
【0077】本発明の一般式(I)で表される金属錯体色
素の合成は、Angew.Chem.,Int.Ed. Engl.,38,366,(199
9)、Inorg.Chem.,37,3391,(1998)、Inorg.Chem.,22,22
4,(1983)、等の文献及び文献中に引用された文献の方法
を参考にして行うことができる。
【0078】〔2〕光電変換素子 本発明の光電変換素子は、感光層に上記金属錯体色素に
よって増感された半導体微粒子を有するものである。好
ましくは図1に示すように、導電層10、感光層20、電荷
移動層30、対極導電層40の順に積層し、前記感光層20を
本発明の金属錯体色素22によって増感された半導体微粒
子21と当該半導体微粒子21の間の空隙に充填された電荷
輸送材料23とから構成する。電荷輸送材料23は、電荷移
動層30に用いる材料と同じ成分からなる。また光電変換
素子に強度を付与するため、導電層10側および/または
対極導電層40側に、基板50を設けてもよい。以下本発明
では、導電層10および任意で設ける基板50からなる層を
「導電性支持体」、対極導電層40および任意で設ける基
板50からなる層を「対極」と呼ぶ。この光電変換素子を
外部回路に接続して仕事をさせるようにしたものが光電
気化学電池である。なお、図1中の導電層10、対極導電
層40、基板50は、それぞれ透明導電層10a、透明対極導
電層40a、透明基板50aであってもよい。
【0079】図1に示す本発明の光電変換素子におい
て、金属錯体色素22により増感された半導体微粒子21を
含む感光層20に入射した光は色素22等を励起し、励起さ
れた色素22等中の高エネルギーの電子が半導体微粒子21
の伝導帯に渡され、さらに拡散により導電層10に到達す
る。このとき色素22等の分子は酸化体となっている。光
電気化学電池においては、導電層10中の電子が外部回路
で仕事をしながら対極導電層40および電荷移動層30を経
て色素22等の酸化体に戻り、色素22が再生する。感光層
20は負極として働く。それぞれの層の境界(例えば導電
層10と感光層20との境界、感光層20と電荷移動層30との
境界、電荷移動層30と対極導電層40との境界等)では、
各層の構成成分同士が相互に拡散混合していてもよい。
以下各層について詳細に説明する。
【0080】(A)導電性支持体 導電性支持体は、(1)導電層の単層、または(2)導
電層および基板の2層からなる。強度や密封性が十分に
保たれるような導電層を使用すれば、基板は必ずしも必
要でない。
【0081】(1)の場合、導電層として金属のように
十分な強度が得られ、かつ導電性があるものを用いる。
【0082】(2)の場合、感光層側に導電剤を含む、
導電層を有する基板を使用することができる。好ましい
導電剤としては金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミ
ニウム、ロジウム、インジウム等)、炭素、または導電
性金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズ
にフッ素をドープしたもの等)が挙げられる。導電層の
厚さは0.02〜10μm程度が好ましい。
【0083】導電性支持体は表面抵抗が低い程よい。好
ましい表面抵抗の範囲は100Ω/□以下であり、さらに
好ましくは40Ω/□以下である。表面抵抗の下限には特
に制限はないが、通常0.1Ω/□程度である。
【0084】導電性支持体側から光を照射する場合に
は、導電性支持体は実質的に透明であるのが好ましい。
実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であるこ
とを意味し、50%以上であるのが好ましく、70%以上が
特に好ましい。
【0085】透明導電性支持体としては、ガラスまたは
プラスチック等の透明基板の表面に導電性金属酸化物か
らなる透明導電層を塗布または蒸着等により形成したも
のが好ましい。なかでもフッ素をドーピングした二酸化
スズからなる導電層を低コストのソーダ石灰フロートガ
ラスでできた透明基板上に堆積した導電性ガラスが好ま
しい。また低コストでフレキシブルな光電変換素子また
は太陽電池とするには、透明ポリマーフィルムに導電層
を設けたものを用いるのがよい。透明ポリマーフィルム
の材料としては、テトラアセチルセルロース(TAC)、
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナ
フタレート(PEN)、シンジオクタチックポリスチレン
(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカー
ボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルフ
ォン(PSF)、ポリエステルスルフォン(PES)、ポリエ
ーテルイミド(PEI)、環状ポリオレフィン、ブロム化
フェノキシ等がある。十分な透明性を確保するために、
導電性金属酸化物の塗布量はガラスまたはプラスチック
の支持体1m2当たり0.01〜100gとするのが好ましい。
【0086】透明導電性支持体の抵抗を下げる目的で金
属リードを用いるのが好ましい。金属リードの材質はア
ルミニウム、銅、銀、金、白金、ニッケル等の金属が好
ましく、特にアルミニウムおよび銀が好ましい。金属リ
ードは透明基板に蒸着、スパッタリング等で設置し、そ
の上にフッ素をドープした酸化スズ、またはITO膜から
なる透明導電層を設けるのが好ましい。また透明導電層
を透明基板に設けた後、透明導電層上に金属リードを設
置するのも好ましい。金属リード設置による入射光量の
低下は好ましくは10%以内、より好ましくは1〜5%と
する。
【0087】(B)感光層 本発明の金属錯体色素により増感された半導体微粒子を
含む感光層において、半導体微粒子はいわゆる感光体と
して作用し、光を吸収して電荷分離を行い、電子と正孔
を生ずる。色素増感された半導体微粒子では、光吸収お
よびこれによる電子および正孔の発生は主として色素に
おいて起こり、半導体微粒子はこの電子を受け取り、伝
達する役割を担う。
【0088】(1)半導体微粒子 半導体微粒子としては、シリコン、ゲルマニウムのよう
な単体半導体、III-V系化合物半導体、金属のカルコゲ
ニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)、または
ペロブスカイト構造を有する化合物(例えばチタン酸ス
トロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウ
ム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等)等を使用
することができる。
【0089】好ましい金属のカルコゲニドとして、チタ
ン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハ
フニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イ
ットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブまたはタン
タルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン
またはビスマスの硫化物、カドミウムまたは鉛のセレン
化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。他の化
合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カド
ミウム等のリン化物、ガリウム−ヒ素または銅−インジ
ウムのセレン化物、銅−インジウムの硫化物等が挙げら
れる。
【0090】本発明に用いる半導体の好ましい具体例
は、Si、TiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO、Nb2O5、CdS、Z
nS、PbS、Bi2S3、CdSe、CdTe、GaP、InP、GaAs、CuIn
S2、CuInSe2等であり、さらに好ましくはTiO2、ZnO、Sn
O2、Fe2O3、WO3、Nb2O5、CdS、PbS、CdSe、InP、GaAs、
CuInS2またはCuInSe2であり、特に好ましくは、TiO2
たはNb2O5であり、最も好ましくはTiO2である。
【0091】本発明に用いる半導体は単結晶でも多結晶
でもよい。変換効率の観点からは単結晶が好ましいが、
製造コスト、原材料確保、エネルギーペイバックタイム
等の観点からは多結晶が好ましい。
【0092】半導体微粒子の粒径は一般にnm〜μmのオ
ーダーであるが、投影面積を円に換算したときの直径か
ら求めた一次粒子の平均粒径は5〜200nmであるのが好
ましく、8〜100nmがより好ましい。また分散液中の半
導体微粒子(二次粒子)の平均粒径は0.01〜100μmが好
ましい。
【0093】粒径分布の異なる2種類以上の微粒子を混
合してもよく、この場合小さい粒子の平均サイズは5nm
以下であるのが好ましい。入射光を散乱させて光捕獲率
を向上させる目的で、粒径の大きな、例えば300nm程度
の半導体粒子を混合してもよい。
【0094】半導体微粒子の作製法としては、作花済夫
の「ゾル−ゲル法の科学」アグネ承風社(1998年)、技
術情報協会の「ゾル−ゲル法による薄膜コーティング技
術」(1995年)等に記載のゾル−ゲル法、杉本忠夫の
「新合成法ゲル−ゾル法による単分散粒子の合成とサイ
ズ形態制御」、まてりあ,第35巻,第9号,1012〜1018
頁(1996年)等に記載のゲル−ゾル法が好ましい。また
Degussa社が開発した塩化物を酸水素塩中で高温加水分
解により酸化物を作製する方法も好ましい。
【0095】半導体微粒子が酸化チタンの場合、上記ゾ
ル−ゲル法、ゲル−ゾル法、塩化物の酸水素塩中での高
温加水分解法はいずれも好ましいが、さらに清野学の
「酸化チタン 物性と応用技術」技報堂出版(1997年)
に記載の硫酸法および塩素法を用いることもできる。さ
らにゾル−ゲル法として、バーブらのジャーナル・オブ
・アメリカン・セラミック・ソサエティー,第80巻、第
12号、3157〜3171頁(1997年)に記載の方法や、バーン
サイドらのケミカル・マテリアルズ,第10巻,第9号,
2419〜2425頁に記載の方法も好ましい。
【0096】(2)半導体微粒子層 半導体微粒子を導電性支持体上に塗布するには、半導体
微粒子の分散液またはコロイド溶液を導電性支持体上に
塗布する方法の他に、前述のゾル−ゲル法等を使用する
こともできる。光電変換素子の量産化、半導体微粒子液
の物性、導電性支持体の融通性等を考慮した場合、湿式
の製膜方法が比較的有利である。湿式の製膜方法として
は、塗布法、印刷法が代表的である。
【0097】半導体微粒子の分散液を作製する方法とし
ては、前述のゾル−ゲル法の他に、乳鉢ですり潰す方
法、ミルを使って粉砕しながら分散する方法、あるいは
半導体を合成する際に溶媒中で微粒子として析出させそ
のまま使用する方法等が挙げられる。
【0098】分散媒としては、水または各種の有機溶媒
(例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコ
ール、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、酢
酸エチル等)が挙げられる。分散の際、必要に応じてポ
リマー、界面活性剤、酸、またはキレート剤等を分散助
剤として用いてもよい。
【0099】塗布方法としては、アプリケーション系と
してローラ法、ディップ法、メータリング系としてエア
ーナイフ法、ブレード法等、またアプリケーションとメ
ータリングを同一部分にできるものとして、特公昭58-4
589号に開示されているワイヤーバー法、米国特許26812
94号、同2761419号、同2761791号等に記載のスライドホ
ッパー法、エクストルージョン法、カーテン法等が好ま
しい。また汎用機としてスピン法やスプレー法も好まし
い。湿式印刷方法としては、凸版、オフセットおよびグ
ラビアの3大印刷法をはじめ、凹版、ゴム版、スクリー
ン印刷等が好ましい。これらの中から、液粘度やウェッ
ト厚さに応じて、好ましい製膜方法を選択する。
【0100】半導体微粒子の分散液の粘度は半導体微粒
子の種類や分散性、使用溶媒種、界面活性剤やバインダ
ー等の添加剤により大きく左右される。高粘度液(例え
ば0.01〜500Poise)ではエクストルージョン法、キャス
ト法、スクリーン印刷法等が好ましい。また低粘度液
(例えば0.1Poise以下)ではスライドホッパー法、ワイ
ヤーバー法またはスピン法が好ましく、均一な膜にする
ことが可能である。なおある程度の塗布量があれば低粘
度液の場合でもエクストルージョン法による塗布は可能
である。このように塗布液の粘度、塗布量、支持体、塗
布速度等に応じて、適宜湿式製膜方法を選択すればよ
い。
【0101】半導体微粒子の層は単層に限らず、粒径の
違った半導体微粒子の分散液を多層塗布したり、種類が
異なる半導体微粒子(あるいは異なるバインダー、添加
剤)を含有する塗布層を多層塗布したりすることもでき
る。一度の塗布で膜厚が不足の場合にも多層塗布は有効
である。多層塗布には、エクストルージョン法またはス
ライドホッパー法が適している。また多層塗布をする場
合は同時に多層を塗布してもよく、数回から十数回順次
重ね塗りしてもよい。さらに順次重ね塗りであればスク
リーン印刷法も好ましく使用できる。
【0102】一般に半導体微粒子層の厚さ(感光層の厚
さと同じ)が厚くなるほど単位投影面積当たりの担持色
素量が増えるため、光の捕獲率が高くなるが、生成した
電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大き
くなる。したがって、半導体微粒子層の好ましい厚さは
0.1〜100μmである。光電気化学電池に用いる場合、半
導体微粒子層の厚さは1〜30μmが好ましく、2〜25μm
がより好ましい。半導体微粒子の支持体1m2当たり塗布
量は0.5〜400gが好ましく、5〜100gがより好ましい。
【0103】半導体微粒子を導電性支持体上に塗布した
後で半導体微粒子同士を電子的に接触させるとともに、
塗膜強度の向上や支持体との密着性を向上させるため
に、加熱処理するのが好ましい。好ましい加熱温度の範
囲は40℃以上700℃未満であり、より好ましくは100℃以
上600℃以下である。また加熱時間は10分〜10時間程度
である。ポリマーフィルムのように融点や軟化点の低い
支持体を用いる場合、高温処理は支持体の劣化を招くた
め、好ましくない。またコストの観点からもできる限り
低温であるのが好ましい。低温化は、先に述べた5nm以
下の小さい半導体微粒子の併用や鉱酸の存在下での加熱
処理等により可能となる。
【0104】加熱処理後半導体微粒子の表面積を増大さ
せたり、半導体微粒子近傍の純度を高め、色素から半導
体粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば四塩化
チタン水溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液
を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
【0105】半導体微粒子は多くの色素を吸着すること
ができるように表面積の大きいものが好ましい。このた
め半導体微粒子の層を支持体上に塗布した状態での表面
積は、投影面積に対して10倍以上であるのが好ましく、
さらに100倍以上であるのが好ましい。この上限は特に
制限はないが、通常1000倍程度である。
【0106】(3)半導体微粒子への金属錯体色素の吸
着 半導体微粒子に金属錯体色素を吸着させるには、金属錯
体色素の溶液中によく乾燥した半導体微粒子層を有する
導電性支持体を浸漬するか、金属錯体色素の溶液を半導
体微粒子層に塗布する方法を用いることができる。前者
の場合、浸漬法、ディップ法、ローラ法、エアーナイフ
法等が使用可能である。なお浸漬法の場合、金属錯体色
素の吸着は室温で行ってもよいし、特開平7-249790号に
記載されているように加熱還流して行ってもよい。また
後者の塗布方法としては、ワイヤーバー法、スライドホ
ッパー法、エクストルージョン法、カーテン法、スピン
法、スプレー法等があり、印刷方法としては、凸版、オ
フセット、グラビア、スクリーン印刷等がある。溶媒
は、金属錯体色素の溶解性に応じて適宜選択できる。例
えば、アルコール類(メタノール、エタノール、t-ブタ
ノール、ベンジルアルコール等)、ニトリル類(アセト
ニトリル、プロピオニトリル、3-メトキシプロピオニト
リル等)、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素(ジクロ
ロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベン
ゼン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒド
ロフラン等)、ジメチルスルホキシド、アミド類(N,N-
ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセタミド等)、
N-メチルピロリドン、1,3-ジメチルイミダゾリジノン、
3-メチルオキサゾリジノン、エステル類(酢酸エチル、
酢酸ブチル等)、炭酸エステル類(炭酸ジエチル、炭酸
エチレン、炭酸プロピレン等)、ケトン類(アセトン、
2-ブタノン、シクロヘキサノン等)、炭化水素(へキサ
ン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン等)、水やこれ
らの混合溶媒等が挙げられる。
【0107】金属錯体色素の溶液の粘度についても、半
導体微粒子層の形成時と同様に、高粘度液(例えば0.01
〜500Poise)ではエクストルージョン法の他に各種印刷
法が適当であり、また低粘度液(例えば0.1Poise以下)
ではスライドホッパー法、ワイヤーバー法またはスピン
法が適当であり、いずれも均一な膜にすることが可能で
ある。
【0108】このように金属錯体色素の塗布液の粘度、
塗布量、導電性支持体、塗布速度等に応じて、適宜色素
の吸着方法を選択すればよい。塗布後の色素吸着に要す
る時間は、量産化を考えた場合、なるべく短い方がよ
い。
【0109】未吸着の金属錯体色素の存在は素子性能の
外乱になるため、吸着後速やかに洗浄により除去するの
が好ましい。湿式洗浄槽を使い、アセトニトリル等の極
性溶剤、アルコール系溶剤のような有機溶媒で洗浄を行
うのが好ましい。また色素の吸着量を増大させるため、
吸着前に加熱処理を行うのが好ましい。加熱処理後、半
導体微粒子表面に水が吸着するのを避けるため、常温に
戻さずに40〜80℃の間で素早く色素を吸着させるのが好
ましい。
【0110】金属錯体色素の全使用量は、導電性支持体
の単位表面積(1m2)当たり0.01〜100mmolが好まし
い。また色素の半導体微粒子に対する吸着量は、半導体
微粒子1g当たり0.01〜1mmolであるのが好ましい。こ
のような金属錯体色素の吸着量とすることにより、半導
体における増感効果が十分に得られる。これに対し、色
素が少なすぎると増感効果が不十分となり、また色素が
多すぎると、半導体に付着していない色素が浮遊し、増
感効果を低減させる原因となる。
【0111】光電変換の波長域をできるだけ広くすると
ともに変換効率を上げるため、二種類以上の色素を混合
することもできる。この場合、光源の波長域と強度分布
に合わせるように、混合する色素およびその割合を選ぶ
のが好ましい。具体的には、本発明の金属錯体色素を2
種以上併用したり、本発明の金属錯体色素と従来の金属
錯体色素および/またはポリメチン色素とを併用するこ
とが可能である。
【0112】会合のような金属錯体色素同士の相互作用
を低減する目的で、無色の化合物を半導体微粒子に共吸
着させてもよい。共吸着させる疎水性化合物としてはカ
ルボキシル基を有するステロイド化合物(例えばケノデ
オキシコール酸)等が挙げられる。また紫外線吸収剤を
併用することもできる。
【0113】余分な金属錯体色素の除去を促進する目的
で、金属錯体色素を吸着した後にアミン類を用いて半導
体微粒子の表面を処理してもよい。好ましいアミン類と
してはピリジン、4-t-ブチルピリジン、ポリビニルピリ
ジン等が挙げられる。これらが液体の場合はそのまま用
いてもよいし、有機溶媒に溶解して用いてもよい。
【0114】(C)電荷移動層 電荷移動層は金属錯体色素の酸化体に電子を補充する機
能を有する層である。電荷移動層に用いることのできる
代表的な材料として、酸化還元対を有機溶媒に溶解した
液体(電解液)、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体
をポリマーマトリクスに含浸したいわゆるゲル電解質、
酸化還元対を含有する溶融塩等が挙げられる。さらに固
体電解質や正孔(ホール)輸送材料を用いることもでき
る。
【0115】本発明で使用する電解液は電解質、溶媒お
よび添加物からなるのが好ましい。電解質としては、
(a)I2とヨウ化物(LiI、NaI、KI、CsI、CaI2等の金属
ヨウ化物、またはテトラアルキルアンモニウムヨーダイ
ド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイ
ド等の4級アンモニウム化合物のヨウ素塩等)との組み
合わせ、(b)Br2と臭化物(LiBr、NaBr、KBr、CsBr、C
aBr2等の金属臭化物、またはテトラアルキルアンモニウ
ムブロマイド、ピリジニウムブロマイド等の4級アンモ
ニウム化合物の臭素塩等)との組み合わせ、(c)フェ
ロシアン酸塩−フェリシアン酸塩やフェロセン−フェリ
シニウムイオン等の金属錯体、(d)ポリ硫化ナトリウ
ム、アルキルチオール−アルキルジスルフィド等の硫黄
化合物、(e)ビオロゲン色素、ヒドロキノン−キノン
等を用いることができる。なかでも、I2とLiIやピリジ
ニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド等の4級
アンモニウム化合物のヨウ素塩とを組み合わせた電解質
が好ましい。上記電解質は混合して用いてもよい。また
電解質はEP718288、WO95/18456、J. Electrochem. So
c., Vol.143, No.10, 3099 (1996)、Inorg. Chem., 35,
1168〜1178 (1996) 等に記載された室温で溶融状態の
塩(溶融塩)を使用することもできる。溶融塩を電解質
として使用する場合、溶媒は使用しなくても構わない。
【0116】好ましい電解質濃度は0.1〜15Mであり、さ
らに好ましくは0.2〜10Mである。また電解質にヨウ素を
添加する場合の好ましいヨウ素の添加濃度は0.01〜0.5M
である。
【0117】電解質用溶媒としては、低粘度でイオン移
動度が高いか、高誘電率で有効キャリアー濃度を高める
か、あるいはその両方であるために、優れたイオン伝導
性を発現できる化合物を使用するのが望ましい。このよ
うな溶媒の例として、例えば下記のものが挙げられる。
【0118】(a)炭酸エステル類 例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネー
ト、ビニレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジ
メチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエ
チルカーボネート、ジプロピルカーボネート等が好まし
い。
【0119】(b)ラクトン類 例えばγ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-カ
プリロラクトン、クロトラクトン、γ-カプロラクト
ン、δ-バレロラクトン等が好ましい。
【0120】(c)エーテル類 例えばエチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、ジエト
キシエタン、トリメトキシメタン、エチレングリコール
ジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエ
ーテル、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキサン等が好まし
い。
【0121】(d)アルコール類 例えばメタノール、エタノール、エチレングリコールモ
ノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエ
ーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテ
ル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等
が好ましい。
【0122】(e)グリコール類 例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ポ
リエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グ
リセリン等が好ましい。
【0123】(f)グリコールエーテル類 例えばエチレングリコールジアルキルエーテル、プロピ
レングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリ
コールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコール
ジアルキルエーテル等が好ましい。
【0124】(g)テトラヒドロフラン類 例えばテトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラ
ン等が好ましい。
【0125】(h)ニトリル類 例えばアセトニトリル、グルタロジニトリル、プロピオ
ニトリル、メトキシアセトニトリル、ベンゾニトリル等
が好ましい。
【0126】(i)カルボン酸エステル類 例えばギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオ
ン酸メチル等が好ましい。
【0127】(j)リン酸トリエステル類 例えばリン酸トリメチル、リン酸トリエチル等が好まし
い。
【0128】(k)複素環化合物類 例えばN-メチルピロリドン、4-メチル-1,3-ジオキサ
ン、2-メチル-1,3-ジオキソラン、3-メチル-2-オキサゾ
リジノン、1,3-プロパンサルトン、スルホラン等が好ま
しい。
【0129】(l)その他 ジメチルスルホキシド、ホルムアミド、N,N-ジメチルホ
ルムアミド、ニトロメタン等の非プロトン性有機溶媒、
水等が好ましい。
【0130】これらの中では、炭酸エステル系、ニトリ
ル系、複素環化合物系の溶媒が好ましい。これらの溶媒
は必要に応じて二種以上を混合して用いてもよい。
【0131】また本発明では、J. Am. Ceram. Soc., 80
(12), 3157〜3171 (1997) に記載されているようなt-
ブチルピリジンや、2-ピコリン、2,6-ルチジン等の塩基
性化合物を添加することもできる。塩基性化合物を添加
する場合の好ましい濃度範囲は0.05〜2Mである。
【0132】電解質はポリマーやオイルゲル化剤の添
加、共存する多官能モノマー類の重合、ポリマーとの架
橋反応等の方法により、ゲル化(固体化)させて使用す
ることもできる。ポリマーの添加によりゲル化させる場
合は、"Polymer Electrolyte Reviews-1,2"(J. R. Mac
CaLLumとC. A. Vincentの共編、ELSEIVER APPLIED SCIE
NCE)に記載された化合物を使用することができるが、
特にポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデンを使
用するのが好ましい。オイルゲル化剤の添加によりゲル
化させる場合は、J. Chem. Soc. Japan, Ind. Chem. Se
c., 46, 779 (1943)、J. Am. Chem. Soc., 111, 5542
(1989)、J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1993, 390、A
ngew. Chem. Int. Ed. Engl., 35, 1949 (1996)、Chem.
Lett., 1996, 885、J. Chem. Soc., Chem. Commun., 5
45 (1997) 等に記載されている化合物を使用することが
できる。なかでも好ましい化合物は分子構造中にアミド
構造を有する化合物である。
【0133】電解質に共存させた多官能モノマー類の重
合によりゲル電解質を形成する場合、多官能モノマー
類、重合開始剤、電解質および溶媒から溶液を調製し、
キャスト法、塗布法、浸漬法、含浸法等の方法により色
素増感半導体微粒子層(感光層20)上に塗布する。図1
に示すように、色素増感半導体微粒子21間の空隙にゾル
状電解質を充填するとともに、感光層20上にゾル状電解
質層を形成し、その後ラジカル重合することによりゲル
化させる方法が好ましい。
【0134】多官能性モノマーはエチレン性不飽和基を
2個以上有する化合物であるのが好ましく、例えばジビ
ニルベンゼン、エチレングリコールジアクリレート、エ
チレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコ
ールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリ
レート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリ
エチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリ
トールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリ
アクリレート等が好ましい。
【0135】ゲル電解質は、上記多官能性モノマー以外
に単官能モノマーを含んでいてもよい。単官能モノマー
としては、アクリル酸またはα-アルキルアクリル酸
(例えばメタクリル酸等)類から誘導されるエステル類
またはアミド類(例えばN-イソプロピルアクリルアミ
ド、アクリルアミド、2-アクリルアミド-2-メチルプロ
パンスルホン酸、アクリルアミドプロピルトリメチルア
ンモニウムクロライド、メチルアクリレート、ヒドロキ
シエチルアクリレート、N-プロピルアクリレート、N-ブ
チルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、シ
クロヘキシルアクリレート等)、ビニルエステル類(例
えば酢酸ビニル)、マレイン酸またはフマル酸から誘導
されるエステル類(例えばマレイン酸ジメチル、マレイ
ン酸ジブチル、フマル酸ジエチル等)、有機酸塩類(例
えばマレイン酸、フマル酸またはp-スチレンスルホン酸
のナトリウム塩等)、ニトリル類(アクリロニトリル、
メタクリロニトリル等)、ジエン類(例えばブタジエ
ン、シクロペンタジエン、イソプレン等)、芳香族ビニ
ル化合物類(例えばスチレン、p-クロルスチレン、スチ
レンスルホン酸ナトリウム等)、含窒素複素環を有する
ビニル化合物類、4級アンモニウム塩を有するビニル化
合物類、N-ビニルホルムアミド、N-ビニル-N-メチルホ
ルムアミド、ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸ナト
リウム、ビニリデンフルオライド、ビニリデンクロライ
ド、ビニルアルキルエーテル類(例えばメチルビニルエ
ーテル等)、オレフィン類(エチレン、プロピレン、1-
ブテン、イソブテン等)、N-フェニルマレイミド等が好
ましい。モノマー全量に対する多官能性モノマーの割合
は0.5〜70重量%であるのが好ましく、さらに好ましくは
1.0〜50重量%である。
【0136】上記ゲル電解質用モノマーは、大津隆行・
木下雅悦共著の「高分子合成の実験法」(化学同人)
や、大津隆行著の「講座重合反応論1ラジカル重合
(I)」(化学同人)等に記載された一般的な高分子合
成法であるラジカル重合法により重合することができ
る。ゲル電解質用モノマーのラジカル重合は加熱、光、
紫外線、電子線等により、または電気化学的に行うこと
ができるが、特に加熱によりラジカル重合させるのが好
ましい。
【0137】加熱により架橋高分子を形成する場合、好
ましい重合開始剤は、例えば2,2'-アゾビス(イソブチ
ロニトリル)、2,2'-アゾビス(ジメチルバレロニトリ
ル)、ジメチル2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオネー
ト)等のアゾ系開始剤、ベンゾイルパーオキシド等の過
酸化物系開始剤等である。重合開始剤の好ましい添加量
は、モノマー総量に対して0.01〜20重量%であり、さら
に好ましくは0.1〜10重量%である。
【0138】ゲル電解質に占めるモノマー類の重量組成
範囲は0.5〜70重量%であるのが好ましく、さらに好ま
しくは1.0〜50重量%である。
【0139】ポリマーの架橋反応により電解質をゲル化
させる場合、架橋性反応基を有するポリマーおよび架橋
剤を併用するのが望ましい。好ましい架橋性反応基は、
含窒素複素環(例えばピリジン環、イミダゾール環、チ
アゾール環、オキサゾール環、トリアゾール環、モルホ
リン環、ピペリジン環、ピペラジン環等)であり、また
好ましい架橋剤は、窒素原子に対して求電子反応可能な
2官能性以上の試薬(例えばハロゲン化アルキル、ハロ
ゲン化アラルキル、スルホン酸エステル、酸無水物、酸
クロライド、イソシアネート等)である。
【0140】電解質の代りに有機および/または無機の
正孔輸送材料を使用することもできる。本発明に好まし
く用いることのできる有機正孔輸送材料としては、以下
のものが挙げられる。
【0141】(a)芳香族アミン類 N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(4-メトキシフェニル)-(1,
1'-ビフェニル)-4,4'-ジアミン(J. Hagen et al., Syn
thetic Metal, 89, 2153〜220, (1997) )、2,2',7,7'-
テトラキス(N,N-ジ-p-メトキシフェニルアミン)9,9'-ス
ピロビフルオレン(Nature, Vol.395, 8 Oct. 1998, p
p.583-585およびWO97/10617)、1,1-ビス[4-(ジ-p-トリ
ルアミノ)フェニル]シクロヘキサンの3級芳香族アミン
ユニットを連結した芳香族ジアミン化合物(特開昭59-1
94393号)、4,4'-ビス[(N-1-ナフチル)-N-フェニルアミ
ノ]ビフェニルのように、2個以上の3級アミンを含
み、2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に結合した芳香
族アミン(特開平5-234681号)、トリフェニルベンゼン
の誘導体でスターバースト構造を有する芳香族トリアミ
ン(米国特許第4923774号、特開平4-308688号)、N,N'-
ジフェニル-N,N'-ビス(3-メチルフェニル)-(1,1'-ビフ
ェニル)-4,4'-ジアミン等の芳香族ジアミン(米国特許
第4764625号)、α,α,α',α'-テトラメチル-α,α'-
ビス[4-(ジ-p-トリルアミノ)フェニル]-p-キシレン(特
開平3-269084号)、p-フェニレンジアミン誘導体、分子
全体が立体的に非対称なトリフェニルアミン誘導体(特
開平4-129271号)、ピレニル基に芳香族ジアミノ基が複
数個置換した化合物(特開平4-175395号)、エチレン基
で3級芳香族アミン単位を連結した芳香族ジアミン(特
開平4-264189号)、スチリル構造を有する芳香族ジアミ
ン(特開平4-290851号)、ベンジルフェニル化合物(特
開平4-364153号)、フルオレン基で3級アミンを連結し
たもの(特開平5-25473号)、トリアミン化合物(特開
平5-239455号)、ビス(ジピリジルアミノ)ビフェニル
(特開平5-320634号)、N,N,N-トリフェニルアミン誘導
体(特開平6-1972号)、フェノキザジン構造を有する芳
香族ジアミン(特開平7-138562号)、ジアミノフェニル
フェナントリジン誘導体(特開平7-252474号)等。
【0142】(b)オリゴチオフェン化合物 α-オクチルチオフェンおよびα,ω-ジヘキシル-α-オ
クチルチオフェン(Adv. Mater., Vol.9, No.7, 5578
(1997))、ヘキサドデシルドデシチオフェン(Angew. C
hem. Int. Ed. Engl., 34, No.3, 303-307 (1995))、
2,8-ジヘキシルアンスラ[2,3-b:6,7-b']ジチオフェン
(JACS, Vol.120, No.4, 664〜672 (1998))等。
【0143】(c)導電性高分子 ポリピロール(K. Murakoshi et al., Chem. Lett., 19
97, p.471)、ポリアセチレンおよびその誘導体、ポリ
(p-フェニレン)およびその誘導体、ポリ(p-フェニレン
ビニレン)およびその誘導体、ポリチエニレンビニレン
およびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、
ポリアニリンおよびその誘導体、ポリトルイジンおよび
その誘導体等(それぞれ「Handbook of Organic Conduc
tive Molecules and Polymers」, Vol.1〜4(NALWA
著、WILEY出版)に記載されている)。
【0144】有機正孔(ホール)輸送材料に、Nature,
Vol.395, 8 Oct. 583〜585 (1998)に記載されているよ
うに、ドーパントレベルをコントロールするためにトリ
ス(4-ブロモフェニル)アミニウムヘキサクロロアンチモ
ネートのようなカチオンラジカルを含有する化合物を添
加したり、酸化物半導体表面のポテンシャル制御(空間
電荷層の補償)を行うためにLi[(CF3SO2)2N]のような塩
を添加してもよい。
【0145】有機正孔輸送材料は真空蒸着法、キャスト
法、塗布法、スピンコート法、浸漬法、電解重合法、光
電解重合法等の手法により電極内部に導入することがで
きる。また正孔輸送材料を電解液の替わりに使用すると
きは、短絡防止のためElectorochim. Acta, 40, 643〜6
52 (1995) に記載されているスプレーパイロリシス等の
手法を用いて、二酸化チタン薄層を下塗り層として塗設
するのが好ましい。
【0146】無機固体化合物を電解質の代わりに使用す
る場合、ヨウ化銅(p-CuI)(J. Phys. D:Appl. Phys.,
31, 1492〜1496 (1998))、チオシアン化銅(Thin Sol
id Films, 261 (1995), 307〜310、J. Appl. Phys., 80
(8), 15 October 1996, 4749〜4754、Chem. Mater., 19
98, 10, 1501〜1509、SemiCond. Sci. Technol., 10,16
89〜1693)等を、キャスト法、塗布法、スピンコート
法、浸漬法、電解メッキ法等の手法により電極内部に導
入することができる。
【0147】電荷移動層を形成するには以下の2通りの
方法を利用できる。1つは、色素増感した半導体微粒子
層の上にスペーサーを介して対極を貼り合わせておき、
両者の開放端を電解質溶液に浸漬することにより、半導
体微粒子層内および半導体微粒子層と対極との空隙に電
解質溶液を浸透させる方法である。もう1つは、半導体
微粒子層に電解質溶液を塗布することにより、半導体微
粒子層内に電解質溶液を浸透させるとともに、半導体微
粒子層上に電荷移動層を形成し、最後に対極を設ける方
法である。
【0148】前者の場合、半導体微粒子層と対極との空
隙に電解質溶液を浸透させる方法として、毛管現象を利
用する常圧法と、半導体微粒子層と対極との上部開放端
(電解質溶液に浸漬していない方の開放端)から吸い上
げる減圧法がある。
【0149】後者の場合、湿式の電荷移動層のときには
未乾燥のまま対極を付与し、エッジ部の液漏洩防止措置
を施す。またゲル電解質の場合には、湿式で塗布して重
合等の方法により固体化した後に対極を設けてもよい
し、対極を設けた後に固体化してもよい。電解液の他に
湿式有機正孔輸送材料やゲル電解質の層を形成する方法
としては、半導体微粒子層の形成や色素吸着の場合と同
様に、浸漬法、ローラ法、ディップ法、エアーナイフ
法、エクストルージョン法、スライドホッパー法、ワイ
ヤーバー法、スピン法、スプレー法、キャスト法、各種
印刷法等を利用できる。固体電解質や固体の正孔(ホー
ル)輸送材料の場合には、真空蒸着法やCVD法等のドラ
イ成膜処理で電荷移動層を形成し、その後対極を設けて
もよい。
【0150】固体化できない電解液や湿式の正孔輸送材
料の場合には塗布後速やかにエッジ部分を封止するのが
好ましく、また固体化可能な正孔輸送材料の場合には湿
式付与により正孔輸送層を膜形成した後、例えば光重合
や熱ラジカル重合等の方法により固体化するのが好まし
い。このように膜付与方式は電解液物性や工程条件によ
り適宜選択すればよい。
【0151】なお、電荷移動層中の水分量は10,000ppm
以下が好ましく、さらに好ましくは2,000ppm以下であ
り、特に好ましくは100ppm以下である。
【0152】(D)対極 対極は、光電変換素子を光電気化学電池としたとき、光
電気化学電池の正極として作用するものである。対極は
前記の導電性支持体と同様に、導電性材料からなる対極
導電層の単層構造でもよいし、対極導電層と支持基板か
ら構成されていてもよい。対極導電層に用いる導電材と
しては、金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウ
ム、ロジウム、インジウム等)、炭素、導電性金属酸化
物(インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素を
ドープしたもの等)等が挙げられる。対極の好ましい支
持基板の例は、ガラスおよびプラスチックであり、これ
に上記の導電材を塗布または蒸着して用いる。対極導電
層の厚さは特に制限されないが、3nm〜10μmが好まし
い。対極導電層が金属製である場合は、その厚さは好ま
しくは5μm以下であり、さらに好ましくは5nm〜3μm
の範囲である。
【0153】導電性支持体と対極のいずれか一方または
両方から光を照射してよいので、感光層に光が到達する
ためには、導電性支持体と対極の少なくとも一方が実質
的に透明であればよい。発電効率の向上の観点からは、
導電性支持体を透明にして、光を導電性支持体側から入
射させるのが好ましい。この場合対極は光を反射する性
質を有するのが好ましい。このような対極としては、金
属または導電性の酸化物を蒸着したガラスまたはプラス
チック、あるいは金属薄膜を使用できる。
【0154】対極支持体を設ける手順としては、(イ)
電荷移動層を形成した後でその上に設ける場合と、
(ロ)色素増感半導体微粒子の層の上にスペーサーを介
して対極を配置した後でその空隙に電解質溶液を充填す
る場合の2通りある。(イ)の場合、電荷移動層上に直
接導電材を塗布、メッキまたは蒸着(PVD、CVD)する
か、導電層を有する基板の導電層側を貼り付ける。また
(ロ)の場合、色素増感半導体微粒子層の上にスペーサ
ーを介して対極を組み立てて固定し、得られた組立体の
開放端を電解質溶液に浸漬し、毛細管現象または減圧を
利用して色素増感半導体微粒子層と対極との空隙に電解
質溶液を浸透させる。なお、このとき電解質が高分子電
解質の場合等は必要に応じて加熱等により架橋させる。
また、導電性支持体の場合と同様に、特に対極が透明の
場合には、対極の抵抗を下げる目的で金属リードを用い
るのが好ましい。なお、好ましい金属リードの材質およ
び設置方法、金属リード設置による入射光量の低下等は
導電性支持体の場合と同じである。
【0155】(E)その他の層 電極として作用する導電性支持体および対極の一方また
は両方に、保護層、反射防止層等の機能性層を設けても
よい。このような機能性層を多層に形成する場合、同時
多層塗布法や逐次塗布法を利用できるが、生産性の観点
からは同時多層塗布法が好ましい。同時多層塗布法で
は、生産性および塗膜の均一性を考えた場合、スライド
ホッパー法やエクストルージョン法が適している。これ
らの機能性層の形成には、その材質に応じて蒸着法や貼
り付け法等を用いることができる。
【0156】(F)光電変換素子の内部構造の具体例 上述のように、光電変換素子の内部構造は目的に合わせ
様々な形態が可能である。大きく2つに分ければ、両面
から光の入射が可能な構造と、片面からのみ可能な構造
が可能である。図2〜図9に本発明に好ましく適用でき
る光電変換素子の内部構造を例示する。
【0157】図2は、透明導電層10aと透明対極導電層4
0aとの間に、感光層20と、電荷移動層30とを介在させた
ものであり、両面から光が入射する構造となっている。
図3は、透明基板50a上に一部金属リード11を設け、さ
らに透明導電層10aを設け、下塗り層60、感光層20、電
荷移動層30および対極導電層40をこの順で設け、さらに
支持基板50を配置したものであり、導電層側から光が入
射する構造となっている。図4は、支持基板50上に導電
層10を有し、下塗り層60を介して感光層20を設け、さら
に電荷移動層30と透明対極導電層40aとを設け、一部に
金属リード11を設けた透明基板50aを、金属リード11側
を内側にして配置したものであり、対極側から光が入射
する構造である。図5は、2つの透明基板50a上にそれ
ぞれ金属リード11を設け、各々透明導電層10aまたは透
明対極導電層40aを設けたものの間に下塗り層60と感光
層20と電荷移動層30とを介在させたものであり、両面か
ら光が入射する構造である。図6は、透明基板50a上に
透明導電層10aを有し、下塗り層60を介して感光層20を
設け、さらに電荷移動層30および対極導電層40を設け、
この上に支持基板50を配置したものであり導電層側から
光が入射する構造である。図7は、支持基板50上に導電
層10を有し、下塗り層60を介して感光層20を設け、さら
に電荷移動層30および透明対極導電層40aを設け、この
上に透明基板50aを配置したものであり、対極側から光
が入射する構造である。図8は、透明基板50a上に透明
導電層10aを有し、下塗り層60を介して感光層20を設
け、さらに電荷移動層30および透明対極導電層40aを設
け、この上に透明基板50aを配置したものであり、両面
から光が入射する構造となっている。図9は、支持基板
50上に導電層10を設け、下塗り層60を介して感光層20を
設け、さらに固体の電荷移動層30を設け、この上に一部
対極導電層40または金属リード11を有するものであり、
対極側から光が入射する構造となっている。
【0158】〔3〕光電池 本発明の光電池は、上記光電変換素子を外部回路で仕事
をさせるようにしたものである。電荷移動層がイオン伝
導性電解質の場合は光電気化学電池(photoelectrochemi
cal cell)の1種として特徴づけられる。光電池は構成
物の劣化や内容物の揮散を防止するために、側面をポリ
マーや接着剤等で密封するのが好ましい。導電性支持体
および対極にリードを介して接続される外部回路自体は
公知のものでよい。
【0159】〔4〕色素増感型太陽電池 本発明の光電変換素子をいわゆる太陽電池に適用する場
合、そのセル内部の構造は基本的に上述した光電変換素
子の構造と同じである。以下、本発明の光電変換素子を
用いた太陽電池のモジュール構造について説明する。
【0160】本発明の色素増感型太陽電池は、従来の太
陽電池モジュールと基本的には同様のモジュール構造を
とりうる。太陽電池モジュールは、一般的には金属、セ
ラミック等の支持基板の上にセルが構成され、その上を
充填樹脂や保護ガラス等で覆い、支持基板の反対側から
光を取り込む構造をとるが、支持基板に強化ガラス等の
透明材料を用い、その上にセルを構成してその透明の支
持基板側から光を取り込む構造とすることも可能であ
る。具体的には、スーパーストレートタイプ、サブスト
レートタイプ、ポッティングタイプと呼ばれるモジュー
ル構造、アモルファスシリコン太陽電池などで用いられ
る基板一体型モジュール構造等が知られている。本発明
の色素増感型太陽電池も使用目的や使用場所および環境
により、適宜これらのモジュール構造を選択できる。
【0161】代表的なスーパーストレートタイプあるい
はサブストレートタイプのモジュールは、片側または両
側が透明で反射防止処理を施された支持基板の間に一定
間隔にセルが配置され、隣り合うセル同士が金属リード
またはフレキシブル配線等によって接続され、外縁部に
集電電極が配置されており、発生した電力を外部に取り
出される構造となっている。基板とセルの間には、セル
の保護や集電効率向上のため、目的に応じエチレンビニ
ルアセテート(EVA)等様々な種類のプラスチック材料
をフィルムまたは充填樹脂の形で用いてもよい。また、
外部からの衝撃が少ないところなど表面を硬い素材で覆
う必要のない場所において使用する場合には、表面保護
層を透明プラスチックフィルムで構成し、または上記充
填樹脂を硬化させることによって保護機能を付与し、片
側の支持基板をなくすことが可能である。支持基板の周
囲は、内部の密封およびモジュールの剛性を確保するた
め金属製のフレームでサンドイッチ状に固定し、支持基
板とフレームの間は封止材料で密封シールする。また、
セルそのものや支持基板、充填材料および封止材料に可
撓性の素材を用いれば、曲面の上に太陽電池を構成する
こともできる。
【0162】スーパーストレートタイプの太陽電池モジ
ュールは、例えば、基板供給装置から送り出されたフロ
ント基板をベルトコンベヤ等で搬送しながら、その上に
セルを封止材料−セル間接続用リード線、背面封止材料
等と共に順次積層した後、背面基板または背面カバーを
乗せ、外縁部にフレームをセットして作製することがで
きる。
【0163】一方、サブストレートタイプの場合、基板
供給装置から送り出された支持基板をベルトコンベヤ等
で搬送しながら、その上にセルをセル間接続用リード
線、封止材料等と共に順次積層した後、フロントカバー
を乗せ、周縁部にフレームをセットして作製することが
できる。
【0164】本発明の光電変換素子を基板一体型モジュ
ール化した構造の一例を図10に示す。図10は、透明な基
板50aの一方の面上に透明な導電層10aを有し、この上に
さらに色素吸着TiO2を含有した感光層20、固体の電荷移
動層30および金属対極導電層40を設けたセルがモジュー
ル化されており、基板50aの他方の面には反射防止層70
が設けられている構造を表す。このような構造とする場
合、入射光の利用効率を高めるために、感光層20の面積
比率(光の入射面である基板50a側から見たときの面積
比率)を大きくした方が好ましい。
【0165】図10に示した構造のモジュールの場合、基
板上に透明導電層、感光層、電荷移動層、対極等が立体
的かつ一定間隔で配列されるように、選択メッキ、選択
エッチング、CVD、PVD等の半導体プロセス技術、あるい
はパターン塗布または広幅塗布後のレーザースクライビ
ング、プラズマCVM(Solar Energy Materials and Sola
r Cells, 48, p373-381等に記載)、研削等の機械的手
法等によりパターニングすることで所望のモジュール構
造を得ることができる。
【0166】以下にその他の部材や工程について詳述す
る。
【0167】封止材料としては、耐候性付与、電気絶縁
性付与、集光効率向上、セル保護性(耐衝撃性)向上等
の目的に応じ液状EVA(エチレンビニルアセテート)、
フィルム状EVA、フッ化ビニリデン共重合体とアクリル
樹脂の混合物等、様々な材料が使用可能である。モジュ
ール外縁と周縁を囲むフレームとの間は、耐候性および
防湿性が高い封止材料を用いるのが好ましい。また、透
明フィラーを封止材料に混入して強度や光透過率を上げ
ることができる。
【0168】封止材料をセル上に固定するときは、材料
の物性に合った方法を用いる。フィルム状の材料の場合
はロール加圧後加熱密着、真空加圧後加熱密着等、液ま
たはペースト状の材料の場合はロールコート、バーコー
ト、スプレーコート、スクリーン印刷等の様々な方法が
可能である。
【0169】支持基板としてPET、PEN等の可撓性素材を
用いる場合は、ロール状の支持体を繰り出してその上に
セルを構成した後、上記の方法で連続して封止層を積層
することができ、生産性が高い。
【0170】発電効率を上げるために、モジュールの光
取り込み側の基板(一般的には強化ガラス)の表面に反
射防止処理を施してもよい。反射防止処理方法として
は、反射防止膜をラミネートする方法、反射防止層をコ
ーティングする方法等がある。
【0171】また、セルの表面をグルービング、テクス
チャリング等の方法で処理することによって、入射した
光の利用効率を高めることが可能である。
【0172】発電効率を上げるためには、光を損失なく
モジュール内に取り込むことが最重要であるが、光電変
換層を透過してその内側まで到達した光を反射させて光
電変換層側に効率良く戻すことも重要である。光の反射
率を高める方法としては、支持基板面を鏡面研磨した
後、AgやAl等を蒸着またはメッキする方法、セルの最下
層にAl-Mg、Al-Ti等の合金層を反射層として設ける方
法、アニール処理によって最下層にテクスチャー構造を
作る方法等がある。
【0173】また、発電効率を上げるためにはセル間接
続抵抗を小さくすることが、内部電圧降下を抑える意味
で重要である。セル同士を接続する方法としては、ワイ
ヤーボンディング、導電性フレキシブルシートによる接
続が一般的であるが、導電性粘着テープや導電性接着剤
を用いてセルを固定すると同時に電気的に接続する方
法、導電性ホットメルトを所望の位置にパターン塗布す
る方法等もある。
【0174】ポリマーフィルム等のフレキシブル支持体
を用いた太陽電池の場合、ロール状の支持体を送り出し
ながら前述の方法によって順次セルを形成し、所望のサ
イズに切断した後、周縁部をフレキシブルで防湿性のあ
る素材でシールすることにより電池本体を作製できる。
また、Solar Energy Materials and Solar Cells, 48,
p383-391記載の「SCAF」とよばれるモジュール構造とす
ることもできる。更に、フレキシブル支持体を用いた太
陽電池は曲面ガラス等に接着固定して使用することもで
きる。
【0175】以上詳述したように、使用目的や使用環境
に合わせて様々な形状・機能を持つ太陽電池を製作する
ことができる。
【0176】
【実施例】本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0177】(A)金属錯体色素D-22の合成 金属錯体色素D-22の合成方法は下記の通りである。
【0178】
【化36】
【0179】1.D-22の合成 Inorg.Chem.,37,3391,(1998)記載の方法を参考にして合
成した配位子1:0.178g(0.5mmol)及びRu錯体2:0.2
5g(0.5mmol)をアセトン5mlに溶解し室温にて2時間攪
拌した。濃縮後希硝酸を加え、結晶をろ別し水洗した。
セファデックスLH-20カラム(展開溶媒メタノール)に
て精製し、目的の錯体色素D-22: 0.2gを得た。なお、
構造はNMRスペクトル、元素分析にて確認した。
【0180】2.他の色素の合成 以下の実施例に用いた他の金属錯体色素も、各配位子の
具体例を適宜組み合わせることにより、上記合成例と同
様に合成することができる。なお、各配位子は、市販品
を容易に入手可能であるか、またはAngew.Chem.,Int.E
d.Engl.,38,366,(1999)、Inorg.Chem.,37,3391, (199
8)、Inorg.Chem.,22,224,(1983)、等の文献及び文献中
に引用された文献の方法を参考にして行うことができ
る。
【0181】(B) 二酸化チタン分散液の調製 内側をテフロンコーティングした内容積200mlのステン
レス製容器に二酸化チタン(日本アエロジル(株)製、
Degussa P-25)15g、水45g、分散剤(アルドリッチ社
製、Triton X-100)1g、直径0.5mmのジルコニアビーズ
(ニッカトー社製)30gを入れ、サンドグラインダーミ
ル(アイメックス社製)を用いて1500rpmで2時間分散
処理した。得られた分散液からジルコニアビーズをろ過
により除去した。得られた分散液中の二酸化チタン微粒
子の平均粒径は2.5 μmであった。なお粒径はMALVERN社
製のマスターサイザーにて測定した。
【0182】(C) 色素を吸着したTiO2電極の作製 フッ素をドープした酸化スズ層を有する導電性ガラス
(旭硝子(株)製TCOガラス-Uを20mm×20mmの大きさに
切断加工したもの、表面抵抗約30Ω/□)の導電面側に
ガラス棒を用いて上記分散液を塗布した(半導体微粒子
の塗布量20g/m2)。その際、導電面側の一部(端から3
mm)に粘着テープを張ってスペーサーとし、粘着テープ
が両端に来るようにガラスを並べて一度に8枚ずつ塗布
した。塗布後、粘着テープを剥離し、室温で1日間風乾
した。次にこのガラスを電気炉(ヤマト科学(株)製マ
ッフル炉FP-32型)に入れ、450℃にて30分間焼成し、Ti
O2電極を得た。この電極を取り出し冷却した後、本発明
の金属錯体色素、比較色素1のメタノール溶液(いずれ
も3×10-4mol/l)に15時間浸漬した。色素の染着したT
iO2電極を4-t-ブチルピリジンに15分間浸漬した後、エ
タノールで洗浄し自然乾燥した。得られた感光層の厚さ
は10μmであった。
【0183】
【化37】
【0184】(D) 光電池の作製 上述のようにして作製した色素増感TiO2電極基板(20mm
×20mm)をこれと同じ大きさの白金蒸着ガラスと重ね合
わせた。次に、両ガラスの隙間に毛細管現象を利用して
電解液(3-メトキシプロピオニトリルに電解質として1-
メチル-3-ヘキシルイミダゾリウムのヨウ素塩(0.65mol
/l)及びヨウ素(0.05mol/l)を加えたもの)をしみこ
ませ、TiO2電極中に導入し、光電池を得た。本実施例に
より、図1に示す、導電性ガラスからなる導電性支持体
層(ガラスの透明基板50a上に導電層10aが設層されたも
の)、色素増感TiO2の感光層20、上記電解液からなる電
荷移動層30、白金からなる対極導電層40及びガラスの透
明基板50aを順に積層しエポキシ系封止剤で封止された
光電池が作製された。
【0185】(E) 光電変換波長と光電変換効率の測定 得られた光電変換素子の800nmにおける光電変換効率を
オプテル社製のIPCE(Incident Photon to Current Con
version Efficiency)測定装置によって測定した。表1
にそれぞれの金属錯体色素を用いた光電池の光電変換効
率をまとめて示す。
【0186】
【表1】
【0187】表1より、800nmの光に対して比較色素は
吸収能を有さないために光電変換能を示さないのに対
し、本発明の金属錯体色素は可視光のみならず赤外域に
おいても良好な光電変換能を示すことがわかる。
【0188】
【発明の効果】以上詳述したように、一般式(I)により
表される金属錯体色素は、可視光のみならず赤外域にお
いても高い光電変換能を有するために、かかる金属錯体
色素を吸着した半導体微粒子を含む光電変換素子は、可
視光〜赤外域にわたる広い波長域において高い光電変換
特性を示す。かかる光電変換素子からなる光電池は太陽
電池として極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図2】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図3】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図4】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図5】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図6】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図7】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図8】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図9】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図10】 本発明の金属錯体色素を用いた基板一体型太
陽電池モジュールの構造の一例を示す部分断面図であ
る。
【符号の説明】
10・・・導電層 10a ・・・透明導電層 11・・・金属リード 20・・・感光層 21・・・半導体微粒子 22・・・金属錯体色素 23・・・電荷輸送材料 30・・・電荷移動層 40・・・対極導電層 40a ・・・透明対極導電層 50・・・基板 50a ・・・透明基板 60・・・下塗り層 70・・・反射防止層

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I): M(NR1R2R3)m1(LL)m2・CI ・・・(I) (ただし、Mは金属原子を表し、R1、R2、R3はそれぞれ
    独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアリー
    ル基を表し、LLは下記一般式(II): 【化1】 (ただし、Za、Zbはそれぞれ独立に5または6員環を形
    成しうる非金属原子群を表し、a、cは0又は1を表
    す。)により表される1〜3座の配位子を表し、 m1は1〜5の整数を示し、m1が2以上のときNR1R2R3
    同じでも異なっていても良く、互いに連結しても良く、 m2は1または2の整数を示し、m2が2のときLLは同じで
    も異なっても良く、CIは電荷を中和させるのに対イオン
    が必要な場合の対イオンを表す)により表される金属錯
    体色素により増感された半導体微粒子を含むことを特徴
    とする光電変換素子。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の光電変換素子におい
    て、一般式(I)中のMが、Ru、Fe、OsまたはCuであるこ
    とを特徴とする光電変換素子。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の光電変換素子におい
    て、一般式(I)中のMが、Ruであることを特徴とする光
    電変換素子。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の光電変
    換素子において、一般式(I)中のR1、R2、R3がいずれも
    水素原子であることを特徴とする光電変換素子。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の光電変
    換素子において、一般式(I)中のLLが下記一般式(III-
    1)〜(III-11): 【化2】 【化3】 (ただし、R11〜R21はそれぞれ独立にカルボキシル基、
    スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基、ホ
    スホリル基またはホスホニル基を表し、R22〜R32はそれ
    ぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、 アルキニル
    基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アル
    コキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル
    基、アミノ基、アシル基、スルホンアミド基、アシルオ
    キシ基、カルバモイル基、アシルアミノ基、シアノ基、
    またはハロゲン原子を表し、R33〜 R37 及びR39は水素
    原子、アルキル基、アルケニル基またはアリール基を表
    し、R38はアルキル基またはアリール基を表し、R11〜R
    32は環上のどの位置に結合していても良く、d1〜d10、d
    16、d17、及びd19〜d21はそれぞれ独立に0〜4の整数
    を表し、d11及びd22はそれぞれ独立に0〜2の整数を表
    し、d12〜d15及びd18はそれぞれ独立に0〜6の整数を
    表し、d1〜d11が2以上のときR11〜R21は同じでも異な
    っていても良く、d12〜d22が2以上のときR22〜R32は同
    じでも異なっていても良く、互いに連結して環を形成し
    ていても良い)のいずれかにより表されることを特徴と
    する光電変換素子。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の光電変
    換素子において、一般式(I)中のLLがカルボキシル
    基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸
    基、ホスホリル基またはホスホニル基のいずれかを少な
    くとも1個以上有することを特徴とする光電変換素子。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の光電変
    換素子において、前記半導体微粒子が酸化チタン微粒子
    であることを特徴とする光電変換素子。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の光電変
    換素子を用いることを特徴とする光電池。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005047857A (ja) * 2003-07-29 2005-02-24 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 増感剤として有用なルテニウム錯体
WO2006051644A1 (ja) * 2004-11-09 2006-05-18 Nippon Oil Corporation 色素増感型太陽電池
WO2006126557A1 (ja) * 2005-05-23 2006-11-30 Credia Japan Co., Ltd. 光増感作用を有する化合物、光電極、及び光増感型太陽電池
WO2008004580A1 (fr) 2006-07-05 2008-01-10 Nippon Kayaku Kabushiki Kaisha Cellule solaire sensible à la coloration
JP2010090209A (ja) * 2008-10-06 2010-04-22 Nippon Oil Corp 新規光増感剤および光起電力素子

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