JP2001226716A - 高周波焼入方法および装置 - Google Patents

高周波焼入方法および装置

Info

Publication number
JP2001226716A
JP2001226716A JP2000034863A JP2000034863A JP2001226716A JP 2001226716 A JP2001226716 A JP 2001226716A JP 2000034863 A JP2000034863 A JP 2000034863A JP 2000034863 A JP2000034863 A JP 2000034863A JP 2001226716 A JP2001226716 A JP 2001226716A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
peripheral surface
work
outer peripheral
cooling liquid
quenching
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000034863A
Other languages
English (en)
Inventor
Tomohiro Takao
朋宏 高尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2000034863A priority Critical patent/JP2001226716A/ja
Publication of JP2001226716A publication Critical patent/JP2001226716A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16DCOUPLINGS FOR TRANSMITTING ROTATION; CLUTCHES; BRAKES
    • F16D3/00Yielding couplings, i.e. with means permitting movement between the connected parts during the drive
    • F16D3/16Universal joints in which flexibility is produced by means of pivots or sliding or rolling connecting parts
    • F16D3/20Universal joints in which flexibility is produced by means of pivots or sliding or rolling connecting parts one coupling part entering a sleeve of the other coupling part and connected thereto by sliding or rolling members
    • F16D3/22Universal joints in which flexibility is produced by means of pivots or sliding or rolling connecting parts one coupling part entering a sleeve of the other coupling part and connected thereto by sliding or rolling members the rolling members being balls, rollers, or the like, guided in grooves or sockets in both coupling parts
    • F16D3/223Universal joints in which flexibility is produced by means of pivots or sliding or rolling connecting parts one coupling part entering a sleeve of the other coupling part and connected thereto by sliding or rolling members the rolling members being balls, rollers, or the like, guided in grooves or sockets in both coupling parts the rolling members being guided in grooves in both coupling parts

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Heat Treatment Of Articles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ワークの部位による肉厚の変化によらずほぼ
均等な焼入深さを確保して、焼入ひずみの大幅な低減を
達成する。 【解決手段】 ボール溝3と内球面4とを有する等速ジ
ョイントアウタレース1を対象に、その外周面に冷却ジ
ャケット12から冷却液を噴射しながら、その内周面に
高周波焼入する方法において、冷却ジャケット12の内
部を仕切板23により円周方向に複数の室24A、24
Bに仕切り、アウタレース1のボール溝3に対応する室
24Aと内球面4に対応する室24Bとをそれぞれ集約
して、流量制御弁27A、27Bを介して冷却液供給源
13に配管接続し、ボール溝3に対応するワーク外周面
に対する冷却液の噴射量を、内球面4に対応するワーク
外周面に対する冷却液の噴射量よりも少なくして、アウ
タレース1の肉厚方向の温度勾配を制御し、ボール溝3
と内球面4とで焼入深さを均等にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不等肉厚を有する
筒状ワークの内周面または外周面を高周波焼入れする方
法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種のワークとしては、例えば、図7
および図8に示すような等速ジョイントを構成するアウ
タレース1がある。このアウタレース1は、軸2の一端
にカップ状に設けられており、その内周面には周方向に
等配して軸方向に延びる複数のボール溝3が形成されて
いる。このようなアウタレース1においては、通常、ボ
ール溝3の転動疲労寿命の延長を図るため、ボール溝3
の表面を高周波焼入れするようにしているが、このボー
ル溝3の相互間に配置される内球面4についても耐摩耗
性が要求され、従来は、これらボール溝3の表面および
内球面4を含めたアウタレース1の内周面全域を高周波
焼入れするようにしている。
【0003】上記したアウタレース1の内周面全域を高
周波焼入れするには、一般には前出図7に示したよう
に、アウタレース1内に、加熱コイルと冷却ジャケット
とを一体的に備えた焼入手段5を挿入し、前記加熱コイ
ルによりボール溝3の表面および内球面4を所定の温度
に加熱した後、前記冷却ジャケットから焼入液を噴射し
て前記加熱面を冷却するようにしている。
【0004】ところで、上記した等速ジョイントのアウ
タレース1においては、その先端側外周面にブーツ装着
用の溝(ブーツ溝)6が予め形成されており、このよう
なアウタレース1を、単に加熱コイルにより内部から加
熱すると、ボール溝3の底に対応する薄肉部Aでは、前
記ブーツ溝6の底部まで焼入層が達し、ブーツ溝6内の
隅角に応力が集中して焼割れが発生し易くなる。
【0005】そこで従来は、前出図7に示したように、
ワークとしてのアウタレース1の周りを環状の冷却ジャ
ケット(外周冷却ジャケット)7で囲み、焼入手段5に
よる加熱中および冷却中を通じて、外周冷却ジャケット
7の内周壁に形成された噴射口8から冷却液を噴射させ
て、アウタレース1の外周面を一様に冷却しながら高周
波焼入れを行うようにしていた。このような高周波焼入
方法によれば、焼入深さが浅くなって、上記したブーツ
溝6の底部まで焼入層が達せず、これにより上記した焼
割れの発生も未然に防止されるようになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たような不等肉厚部を有するワーク(アウタレース)1
の外周面を一様に冷却しながら高周波焼入れする方法に
よれば、図9に示すように、ワーク1の外周面温度T0
が一定となるため、この外周面温度T0 とワーク1の内
周面における最高加熱温度T1とを結ぶ肉厚方向の温度
勾配は、ボール溝3の底部に対応する薄肉部Aの方が内
球面4に対応する厚肉部B側よりもかなり急激となる。
すなわち、ワーク1の内周面から焼入限界温度T2 に到
達するまでの深さ、いわゆる焼入深さは、薄肉部Aにお
ける焼入深さdA が厚肉部Bにおける焼入深さdB より
もかなり薄くなり、図8に点を付したように焼入層Sの
深さがワーク1の円周方向で不均一となる。この結果、
ワーク1にひずみが生じて、ボール溝3の精度悪化が避
けられず、研削によるボール溝3の修正加工が不可欠と
なって、コスト負担が上昇するという問題があった。
【0007】なお、一部では、アウタレースの薄肉部に
対応する外周面のみを冷却しながら内周面を高周波焼入
する方法が提案されているが(例えば、特開昭58−1
97220号公報)、このような方法では、薄肉部の温
度勾配と厚肉部の温度勾配との差がさらに拡大し、円周
方向での焼入深さのバラツキがさらに拡大して、焼入ひ
ずみがより一層大きくなる。
【0008】本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑
みてなされたもので、その目的とするところは、ワーク
の部位による肉厚の変化によらずほぼ均等な焼入深さを
確保して、焼入ひずみの大幅な低減を達成し、もって製
造コストの低減に大きく寄与する高周波焼入方法および
装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を解決するため
の本発明に係る高周波焼入方法は、不等肉厚部を有する
筒状ワークの外周面または内周面を冷却液で冷却しつ
つ、前記冷却している面と反対側の面を高周波焼入れす
る方法において、前記高周波焼入れによる焼入深さがワ
ークの内周面または外周面でほぼ一定となるように、前
記冷却液の流量をワークの部位に応じて変化させるよう
にすることを特徴とする。
【0010】このように行う高周波焼入方法において
は、例えば、ワークの薄肉部に対する冷却液の流量を減
らす一方で、ワークの厚肉部に対する冷却液の流量を増
すことで、冷却液で冷却するワークの外周面または内周
面にワークの肉厚に応じた温度差が生じ、この温度差に
よりワークの肉厚方向の温度勾配がワークの肉厚によら
ずほぼ一定となり、結果として焼入深さもほぼ一定とな
る。この場合、冷却液で冷却するワークの外周面または
内周面の温度を検出し、前記検出温度に基いて、該検出
個所が予め設定した温度となるように冷却液の流量を制
御するようにしてもよく、これにより、ワークの肉厚方
向における温度勾配をより理想的な状態に制御すること
ができる。
【0011】上記目的を達成するための本発明に係る高
周波焼入装置は、不等肉厚部を有する筒状ワークの内周
面または外周面を高周波焼入れする焼入手段と、該焼入
手段による焼入面と反対側の面に冷却液を噴射する環状
の冷却ジャケットと該冷却ジャケットに冷却液を圧送す
る冷却液供給源とを備えた高周波焼入装置において、前
記冷却ジャケットの内部を周方向に複数の室に仕切ると
共に、前記複数の室をワークの肉厚に応じてグループ分
けし、各グループは、流量制御弁を介して前記冷却液供
給源に配管接続し、さらに前記冷却ジャケットと筒状ワ
ークとの間に、冷却ジャケットの各室から噴出する冷却
液をワークに向けて誘導する液誘導手段を配設する構成
としたことを特徴とする。このように構成した高周波焼
入装置においては、冷却ジャケットと筒状ワークとの間
に配設した液誘導手段により、ワークの外周面または内
周面の対応個所に所望の流量の冷却液を集中的に噴射す
ることができ、ワークの肉厚方向の温度勾配がより理想
の状態に制御可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面に基いて説明する。
【0013】図1および図2は、本発明に係る高周波焼
入装置の一つの実施の形態を示したものである。なお、
本実施の形態で焼入れ対象とするワークは、前記した等
速ジョイントを構成するアウタレース1であるので、こ
のアウタレース1については、前出図7および図8に示
した部分と同一部分に同一符号を付すこととする。本高
周波焼入装置は、前記アウタレース(ワーク)1を下向
きに直立に支持するワーク受台10と、ボール溝3の表
面および内球面4を含めたワーク1の内周面全域を高周
波焼入れする焼入手段11と、ワーク1の外周面に冷却
液を噴射する環状の外周冷却ジャケット12と、この外
周冷却ジャケット12に冷却液を圧送する冷却液供給源
13と、外周冷却ジャケット12の内周面の噴射口14
から噴射された冷却液をワーク1の外周面に誘導する液
誘導手段15とから概略構成されている。
【0014】上記ワーク受台10は、その中心部に焼入
手段11を挿通させるための貫通孔16を有すると共
に、この貫通孔16の周りにワーク1の先端部を嵌合支
持する環状凹部17を設けている。このワーク受台10
はまた、前記環状凹部17の周りの位置に、外周冷却ジ
ャケット12からワーク1に噴射した冷却液を排出する
ための複数の排液口18を設けている。
【0015】上記焼入手段11は、ここでは、外周側の
中空の加熱コイル19と中心側の冷却ジャケット20と
の間に珪素鋼板等の磁気遮蔽部材21を配した三重構造
となっており、その加熱コイル19には図示を略す高周
波電源から高周波電流が、その冷却ジャケット20には
図示を略す液供給手段から焼入液がそれぞれ供給される
ようになっている。冷却ジャケット20は、その上部側
に軸線方向および軸線に傾斜する方向へ指向する複数の
噴射口22を備えており、この噴射口22を通じてワー
ク1の内周面に焼入液が噴射されるようになる。なお、
加熱コイル19内には冷却水が循環している。
【0016】一方、上記外周冷却ジャケット12は、そ
の内部が仕切板23により円周方向に複数の室に仕切ら
れている。より詳しくは、仕切板23は、ワーク1のボ
ール溝3に対応する位置に第1の室24Aを、ワーク1
の内球面4に対応する位置に第2の室24Bをそれぞれ
配するように位置決めされており、これにより、外周冷
却ジャケット12の内部は、複数(ここでは、6つ)の
第1の室24Aとこれと同数の第2の室24Bとにより
円周方向に複数分割(ここでは、12分割)されてい
る。なお、外周冷却ジャケット12の内周面に設けられ
た複数の噴射口14は、前記した第1の室24Aに連通
するものと第2の室24Bに連通するものとにグループ
分けされることになる。
【0017】上記した外周冷却ジャケット12内の第1
の室24Aおよび第2の室24Bには、それぞれ冷却液
供給源13に接続する主配管25A、25Bから分岐し
た枝管26A、26Bが接続されている。各主配管26
A、26Bには流量制御弁27A,27Bが介装されて
おり、これにより、複数の第1の室24Aおよび複数の
第2の室24Bには、それぞれ流量制御弁27A,27
Bにより設定された所定流量の冷却液が各独立に供給さ
れるようになっている。
【0018】さらに、上記液誘導手段15は、放射状に
配列した複数の遮蔽板28とこれら遮蔽板29の上端を
相互に連結する連結リング29とからなる一体構造とな
っている。この液誘導手段15は、ワーク1の外周面と
外周冷却ジャケット12の内周面との間の環状空間内に
配置され、その遮蔽板28を前記ワーク受台10に載置
させかつ該遮蔽板28の下端の一側縁部の突起28aを
ワーク受台10の外側に係合させることで、位置固定さ
れている。遮蔽板28は、前記外周冷却ジャケット12
内の仕切板23と同列となるように配列され、これによ
り、ワーク1の外周面と外周冷却ジャケット12の内周
面との間の環状空間には、前記外周冷却ジャケット12
内の第1、第2の室24A、24Bと整合する配置で第
1の誘導路30Aと第2の誘導路30Bとが区画形成さ
れるようになる。なお、遮蔽板28は、ワーク1の外周
面および外周冷却ジャケット12の内周面との間にわず
かのクリアランス(0.1〜3.0mm)を形成するように、そ
の幅が設定されている。また、前記ワーク受台10に設
けた複数の排水口18は、前記第1の誘導路29Aおよ
び第2の誘導路29B内に位置決めされている。
【0019】しかして、ワーク1の外周面には、ワーク
1のボール溝3の底部に対応する薄肉部Aのほぼ中心位
置と、ワーク1の内球面4に対応する厚肉部Bのほぼ中
心位置との温度を検出する温度センサ(熱電対)31
A、31Bが接合されている。各熱電対31A、31B
の信号は、別途設置した制御装置(図示略)に送出され
るようになっており、該制御装置は、各熱電対31A、
31Bからの信号に基いて前記流量制御弁27A,27
Bを制御する信号を出力するようになっている。
【0020】以下、上記のように構成した高周波焼入装
置による焼入方法について説明する。焼入れに際して
は、予め液誘導手段15を上方に持上げた状態として、
ワーク受台10上にワーク1をセットし、続いて、液誘
導手段15を上方から下降させてこれをワーク受台10
上に載置固定する。その後、ワーク受台10の貫通孔1
6を通して下方からワーク1内に焼入手段11を挿入
し、この挿入完了と同時に外周冷却ジャケット12に冷
却液供給源13から冷却液を供給する。この冷却液は、
外周冷却ジャケット12内の第1、第2の室24A、2
4Bに臨む噴射口14から、液誘導手段15により画成
される第1、第2の誘導路29A、29Bを経てワーク
1の外周面に噴射される。この時、一方の主配管25A
には比較的小流量の冷却液が、他方の主配管25Bには
比較的大流量の冷却液がそれぞれ供給されるように流量
制御弁27A,27Bが調整されており、これにより、
ワーク1のボール溝3に対応する薄肉部A(図3)に対
しては比較的小流量の冷却液が、ワーク1の内球面4に
対応する厚肉部B(図3)に対しては比較的大流量の冷
却液がそれぞれ噴射される。
【0021】次に、加熱手段11の加熱コイル19に図
示を略す高周波電源から高周波電流が供給され、ワーク
1のボール溝3の内面と内球面4とが急速加熱される。
そして、前記した各面が所定温度まで加熱されると同時
に加熱コイル19への電流供給が遮断され、これと同時
に、加熱手段11内の冷却ジャケット20の噴射口22
から焼入液が噴射され、これにより、ワーク1の内周面
が急速冷却される。しかして、この間、ワーク1の外周
面は、外周冷却ジャケット12から噴射される冷却液に
より冷却されているが、上記したようにワーク1のボー
ル溝3に対応する薄肉部Aに対しては比較的小流量の冷
却液が、ワーク1の内球面4に対応する厚肉部Bに対し
ては比較的大流量の冷却液がそれぞれ噴射されているの
で、薄肉部Aの外周面温度は比較的高温に、厚肉部Bの
外周面温度は比較的高温にそれぞれ維持される。
【0022】すなわち、ワーク1の外周面温度は、図4
に示すように、ボール溝3に対応する薄肉部Aの部位
(熱電対30Aを設置した部位)では比較的高温T0A
内球面4に対応する厚肉部Bの部位(熱電対30Bを設
置した部位)では比較的低温T 0Bとなり、この結果、各
外周面温度T0A、T0Bとワーク1の内周面における最高
加熱温度T1 とを結ぶ肉厚方向の温度勾配が、ワーク1
の薄肉部Aと厚肉部Bとでそれほどの差がなくなる。こ
れにより、ワーク1の内周面から焼入限界温度T 2 に到
達するまでの深さ、いわゆる焼入深さは、薄肉部Aにお
ける焼入深さdAと厚肉部Bにおける焼入深さdB とで
ほぼ同一となり、図3に点を付したように焼入層Sの深
さがワーク1の円周方向でほぼ均等となる。したがっ
て、ワーク1には焼入ひずみが生じ難くなり、ボール溝
3は、そのまま焼入肌の状態で使用できることなり、研
削仕上げを必要としても、わずかの研削で済む。
【0023】ここで、本実施の形態においては、上記焼
入れの間、ワーク1の外周面温度が熱電対31A、31
Bにより測定されており、これらの信号に基いて、図示
を略す制御装置は、ワーク1の外周面の所定の部位の温
度が設定温度になっているか否かを判断し、設定温度に
なっていない場合には、流量制御弁27A,27Bに制
御信号を送出して、外周冷却ジャケット12内の第1お
よび第2の室24A、24Bに対する冷却液の供給量を
調整する。すなわち、制御装置は、上記した薄肉部Aの
部位(熱電対30Aを設置した部位)の外周面温度T0A
と厚肉部Bの部位(熱電対30Bを設置した部位)の外
周面温度T0Bとが設定温度となるようにフィードバック
制御し、これによりワーク1の肉厚方向の温度勾配はよ
り理想の状態に制御可能となる。
【0024】なお、上記実施の形態において、液誘導手
段15を遮蔽板28とこれら遮蔽板29の上端を相互に
連結する連結リング29とからなる一体構造とした、そ
の構造は任意であり、遮蔽板28を個別に有する構造と
してもよい。また、上記実施の形態においては、ワーク
1と外周冷却ジャケット12との間に液誘導手段15を
配置するようにしたが、この液誘導手段15は、ワーク
1と外周冷却ジャケット12との間隔を適当に設定した
場合には省略することも可能である。また、上記実施の
形態においては、円周方向に不等肉厚部を有するワーク
1を対象にしたが、本発明は、軸方向に不等肉厚部を有
するワークを対象にしても適用可能であり、この場合
は、外周冷却ジャケット12内を高さ方向に分割し、軸
方向で異なる冷却液量を噴射するようにすればよい。
【0025】さらに、上記実施の形態においては、ワー
ク1の内周面に高周波焼入する場合を例に採って説明し
たが、本発明は、筒状ワークの外周面に高周波焼入する
ことにも適用できることはもちろんで、この場合は、上
記焼入手段11がワークの外側に,外周冷却ジャケット
12と液誘導手段15とがワークの内側に配設されるこ
とになる。
【0026】
【実施例】外径82.5mm、薄肉部Aの最小肉厚 6mm、厚肉
部Bの肉厚12mmの大きさの等速ジョイントのアウタレー
ス1を対象に、上記した薄肉部Aの部位(熱電対31A
を設置した部位)の外周面温度T0Aを350℃、内球面4
に対応する厚肉部Bの部位(熱電対31Bを設置した部
位)の外周面温度T0Bを150 ℃、内周面側の最高加熱温
度T1 を1000℃、焼入限界温度T2 を850 ℃にそれぞれ
設定し、さらに上記外周冷却ジャケット12の第1の室
24Aに供給する冷却水量を約10 l/min、同第2の室
24Bに供給する冷却水量を約3 l/minにそれぞれ設定
し、上記実施の形態と同様の態様で高周波焼入を行っ
た。そして、焼入後、図3に示したように、アウタレー
ス1の薄肉部Aの最小厚さ部位、薄肉部Aと厚肉部B
との境界部位、厚肉部Bの部位の三箇所について焼
入層Sの深さを測定した。なお、図5は、外周冷却ジャ
ケット12の第1の室24Aと第2の室24Bとに対す
る冷却液供給量の制御曲線の一例を示したもので、アウ
タレース1の外周面の設定温度T0A、T0Bに対する実際
の温度の偏差に応じて、この制御曲線に沿って上記流量
制御弁27A,27Bを制御して冷却液供給量を調整す
る。
【0027】また、比較のため、上記と同じ等速ジョイ
ントのアウタレース1を対象に、その外周面温度T0を2
50℃に、内周面側の最高加熱温度T1 と焼入限界温度T
2 とは上記と同じ1000℃、850 ℃にそれぞれ設定すると
共に、図7に示した従来と同じ態様で外周冷却ジャケッ
ト7から噴射する冷却液の流量を40 l/minに設定して高
周波焼入を行い、上記したと同様にアウタレース1の薄
肉部Aの最小厚さ部位、薄肉部Aと厚肉部Bとの境界
部位、厚肉部Bの部位の三箇所について焼入層Sの
深さを測定した。
【0028】図6は、本実施例および比較例の焼入層S
の測定結果を示したものである。同図に示す結果より、
本実施例によるものは、部位、、によらず焼入深
さはほぼ均等となっているのに対し、比較例によるもの
は、薄肉部A()と厚肉部B()との間に焼入深さ
に大きな差が認められ、アウタレース1の内周面におけ
る焼入深さが円周方向で大きくばらついていることが明
らかである。
【0029】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明に係る高
周波焼入方法によれば、冷却液の流量をワークの部位に
応じて変化させることで、ワークの肉厚の変化によらず
ほぼ均等な焼入深さを確保できるようになり、焼入ひず
みの大幅な低減を達成できて、研削仕上げ不要ないしわ
ずかに抑えることが可能となり、製造コストの低減に大
きく寄与する効果を奏する。また、本発明に係る高周波
焼入装置によれば、ワークの外周面または内周面の対応
個所に所望の流量の冷却液を集中的に噴射することがで
き、ワークの肉厚方向の温度勾配をより理想の状態に制
御制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1つの実施の形態としての高周波焼入
装置の構造を示す平面図である。
【図2】本高周波焼入装置の構造を示す断面図である。
【図3】本高周波焼入方法の実施対象である等速ジョイ
ントのアウタレースの形状と、これに対する焼入層の形
成状態、並びに実施例における焼入深さの測定部位とを
模式的に示す平面図である。
【図4】本高周波焼入装置によって高周波焼入を行った
際のワークの肉厚方向の温度分布を示す模式図である。
【図5】本実施例で用いた冷却液流量の制御曲線を示す
グラフである。
【図6】本発明の実施例における焼入深さの測定結果を
比較例と対比して示すグラフである。
【図7】等速ジョイントのアウタレースを対象にした従
来の高周波焼入方法を示す断面図である。
【図8】等速ジョイントのアウタレースの形状とこれに
対する焼入層の形成状態を模式的に示す平面図である。
【図9】従来の高周波焼入によるワークの肉厚方向の温
度分布を示す模式図である。
【符号の説明】
1 ワーク(等速ジョイントのアウタレース) 3 ボール溝 4 内球面 10 ワーク受台 11 焼入手段 12 外周冷却ジャケット 13 冷却液供給源 15 液誘導手段 18 排水口 23 外周冷却ジャケットの仕切板 24A、24B 外周冷却ジャケット内の室 27A、27B 流量制御弁 28 液誘導手段の遮蔽板 30A、30B 誘導路

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不等肉厚部を有する筒状ワークの外周面
    または内周面を冷却液で冷却しつつ、前記冷却している
    面と反対側の面を高周波焼入れする方法において、前記
    高周波焼入れによる焼入深さがワークの内周面または外
    周面でほぼ一定となるように、前記冷却液の流量をワー
    クの部位に応じて変化させることを特徴とする高周波焼
    入方法。
  2. 【請求項2】 冷却液で冷却するワークの外周面または
    内周面の温度を検出し、前記検出温度に基いて、該検出
    個所が予め設定した温度となるように冷却液の流量を制
    御することを特徴とする請求項1に記載の高周波焼入方
    法。
  3. 【請求項3】 不等肉厚部を有する筒状ワークの内周面
    または外周面を高周波焼入れする焼入手段と、該焼入手
    段による焼入面と反対側の面に冷却液を噴射する環状の
    冷却ジャケットと該冷却ジャケットに冷却液を圧送する
    冷却液供給源とを備えた高周波焼入装置において、前記
    冷却ジャケットの内部を周方向に複数の室に仕切ると共
    に、前記複数の室をワークの肉厚に応じてグループ分け
    し、各グループは、流量制御弁を介して前記冷却液供給
    源に配管接続し、さらに前記冷却ジャケットと筒状ワー
    クとの間に、冷却ジャケットの各室から噴出する冷却液
    をワークに向けて誘導する液誘導手段を配設したことを
    特徴とする高周波焼入装置。
JP2000034863A 2000-02-14 2000-02-14 高周波焼入方法および装置 Withdrawn JP2001226716A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000034863A JP2001226716A (ja) 2000-02-14 2000-02-14 高周波焼入方法および装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000034863A JP2001226716A (ja) 2000-02-14 2000-02-14 高周波焼入方法および装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001226716A true JP2001226716A (ja) 2001-08-21

Family

ID=18559134

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000034863A Withdrawn JP2001226716A (ja) 2000-02-14 2000-02-14 高周波焼入方法および装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001226716A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003025233A1 (de) * 2001-09-15 2003-03-27 GKN Löbro GmbH Bauteile aus stahl und verfahren zur wärmebehandlung von bauteilen aus stahl
JP2007056296A (ja) * 2005-08-23 2007-03-08 Ntn Corp 等速ジョイント用浸炭部品の製造方法
CN115350577A (zh) * 2022-07-29 2022-11-18 北京京仪自动化装备技术股份有限公司 废气处理反应装置及半导体废气处理***
CN116219144A (zh) * 2023-03-14 2023-06-06 江苏富捷刀业有限公司 一种增加耙片刃口硬度的设备

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003025233A1 (de) * 2001-09-15 2003-03-27 GKN Löbro GmbH Bauteile aus stahl und verfahren zur wärmebehandlung von bauteilen aus stahl
US6982120B2 (en) 2001-09-15 2006-01-03 Gkn Driveline Duetschland Gmbh Hardened steel components and process of treating the same
JP2007056296A (ja) * 2005-08-23 2007-03-08 Ntn Corp 等速ジョイント用浸炭部品の製造方法
CN115350577A (zh) * 2022-07-29 2022-11-18 北京京仪自动化装备技术股份有限公司 废气处理反应装置及半导体废气处理***
CN115350577B (zh) * 2022-07-29 2024-02-02 北京京仪自动化装备技术股份有限公司 废气处理反应装置及半导体废气处理***
CN116219144A (zh) * 2023-03-14 2023-06-06 江苏富捷刀业有限公司 一种增加耙片刃口硬度的设备
CN116219144B (zh) * 2023-03-14 2023-10-31 江苏富捷刀业有限公司 一种增加耙片刃口硬度的设备

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101062595B1 (ko) 축대칭이며 균일한 열 프로파일의 진공 처킹 히터
US11319605B2 (en) Heat treatment apparatus and heat treatment method
US11136640B2 (en) Heat treatment method and heat treatment device
JP2009203498A (ja) 高周波誘導加熱方法、加熱装置、及び軸受
JPH07224327A (ja) ほぼ筒状ワークの高周波焼入方法および高周波焼入装置
JP2001226716A (ja) 高周波焼入方法および装置
JP6634937B2 (ja) ころ軸受用軌道輪、ころ軸受用軌道輪の製造方法及びころ軸受
US20160108961A1 (en) Bearing ring and rolling bearing
CN109578442B (zh) 滚子轴承用滚道圈及其制造方法以及滚针轴承
JP2007327110A (ja) 転がり軸受軌道輪の製造方法
JP5274762B2 (ja) 熱処理方法
US8845831B2 (en) Heat treatment method
JP5446002B2 (ja) 高周波焼入装置
JP3733578B2 (ja) 高周波焼入方法およびその装置
KR101736363B1 (ko) 기판 지지 장치 및 이를 포함하는 기판 처리 장치
JP4322741B2 (ja) 誘導加熱による針状ころ軸受外輪の軌道面の表面焼入方法及び焼入装置
JP2004315851A (ja) ラックバーの高周波焼入方法及び装置
JP6630577B2 (ja) 焼入方法
JP2582246B2 (ja) 回転体の焼入れ冷却方法
JPH0144770B2 (ja)
JP3733614B2 (ja) 高周波焼入方法およびその装置
US10602571B2 (en) Heat treatment method for cam piece
CN218893717U (zh) 大型薄壁齿圈淬火变形控制工装
JP2005330520A (ja) 高周波焼入方法および装置
JP2009263734A (ja) 車輪用転がり軸受装置の熱処理方法と内軸の冷却装置

Legal Events

Date Code Title Description
A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20040210