JP2001200053A - ポリアミドの製造方法 - Google Patents

ポリアミドの製造方法

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JP2001200053A
JP2001200053A JP2000012880A JP2000012880A JP2001200053A JP 2001200053 A JP2001200053 A JP 2001200053A JP 2000012880 A JP2000012880 A JP 2000012880A JP 2000012880 A JP2000012880 A JP 2000012880A JP 2001200053 A JP2001200053 A JP 2001200053A
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diamine component
dicarboxylic acid
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producing
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Kazumi Tanaka
一實 田中
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、ナイロン塩およびその水溶
液を重合器への供給原料として用いることなく、ジアン
成分とジカルボン酸成分の仕込みのモルバランスが確実
に制御できる回分式質量計量法を用いて、モルバランス
が調整されたジアミン成分とジカルボン酸成分の混合物
を重合器に供給し、ポリアミドを好適に製造する方法を
提供することにある。 【解決手段】 キシリレンジアミンとジカルボン酸成分
とを重合してなるポリアミドの製造方法であって、ジア
ミン成分の質量計量後、回分式調整槽に供給し、当該回
分式調整槽中の液状のジアミン成分を攪拌しつつ、所望
のモルバランスが達成される様にジカルボン酸成分の質
量を計量した後添加し、当該スラリー溶液をポリアミド
製造の供給原料とすることを特徴とするポリアミドの製
造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリアミドの製造方法に
関する。更に詳しくは、回分式調整槽でキシリレンジア
ミンを主体とするジアミン成分にジカルボン酸成分を添
加し、実質的にアミド化反応が起っていないスラリー溶
液を調整し、ポリアミドを製造する際の供給原料とする
ポリアミドの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】ジアミン成分とジカルボン酸成分から合
成されるポリアミドの製造において、所定の重合度を達
成するために、ジアミン成分とジカルボン酸成分のモル
バランスの制御が非常に重要である。モルバランスが所
定値のポリアミドを得るためには、当然原料であるジア
ミン成分およびジカルボン酸成分の仕込み精度と、反応
中のジアミン成分の留出防止に注意が払われる。ポリア
ミドを製造する際の一般的な供給原料であるナイロン塩
あるいはその水溶液の場合、ポリアミド構成成分の仕込
み精度はpH調整により保証されるが、ナイロン塩ある
いはその水溶液を供給原料とすることに起因する問題点
がある。
【0003】ナイロン塩の水溶液を供給原料とする場
合、回分式重合では一つの反応槽でナイロン塩水溶液を
加圧下に加熱し、ジアミン成分の留出を抑えながら均一
相で重合を進め、ジアミン成分を固定化したのち系内の
水蒸気を徐々に放圧し、最終的に常圧もしくは減圧とし
重合を完結させる。一方、連続式重合では重合度に応じ
通常2〜3工程から成る。第1工程はナイロン塩水溶液
を供給しプレポリマーまで重合を進める工程であり、第
2工程以降では水とプレポリマーが分離され、かつプレ
ポリマーの重合度が更に高められ所定重合度が達成され
る。連続式重合は回分式重合と比較し工業的に有利な面
が多く、特公昭44−22510公報、特公昭49−2
0640公報、特公昭56−46487公報、特公平5
−52333号公報等に数多くの技術が開示されてい
る。
【0004】回分式および連続式重合ともに約50%の
ナイロン塩の水溶液を供給原料として用いるのが一般的
であるが、重合初期において溶媒である水の留出を防ぐ
ため高度の耐圧容器が必要になり、最終的に溶媒である
多量の水と縮合水を除去しなければならず、このとき発
泡および水の蒸発潜熱によるポリマーの固化等様々な不
都合を回避するための対策が必要である。また、多量の
水を除去するため多くの熱エネルギーを必要とする等、
技術的にも経済的にも課題が多い。一方、ナイロン塩を
供給原料とする場合、多量の水を除去するための熱エネ
ルギーの浪費は避けられるが、ナイロン塩の単離,精製
工程が必要であり、効率の良い方法とは言い難い。
【0005】ナイロン塩およびナイロン塩の水溶液を供
給原料としない重合方法が、特表平10−509760
公報に開示されている。この方法は溶融状態にあるジカ
ルボン酸成分もしくはジカルボン酸過剰成分を多段反応
器に供給し、第2段以降で気体あるいは液体のジアミ成
分を供給し、モルバランスを近赤外分光計を利用したフ
ィードバックシステムで制御するものである。ナイロン
塩およびナイロン塩の水溶液とは異なり、連続的にモノ
マー成分を別々に重合器に供給する場合、仕込み精度が
課題であり、流量ポンプ等ではポリアミドの重合度を制
御するに充分なモルバランスの制御精度を達成すること
は難しい。従って重合工程中でのモルバランスの検出と
修正が必要となる。
【0006】ナイロン塩およびナイロン塩の水溶液以外
に、ポリアミド構成成分の仕込みのモルバランスを制御
する上で最も有利な方法は、ロードセル等の質量計量器
を用いてジアミン成分およびジカルボン酸成分を別々に
回分式にて質量を計量後、反応系に供給する方法であ
る。例えば、溶融状態にあるジカルボン酸成分を質量計
量器を用いて計量し、重合槽に供給した後、ジアミン貯
槽を質量計量器を用いて計量しつつ、ジアミン成分を反
応系に供給し、モルバランスを調整する方法が考えられ
る。この方法は特開昭58−111829公報等に開示
されている様にナイロン塩を用いない常圧下の重合を実
施する上で好適に利用可能である。しかし、ジカルボン
酸の融点以上でジアミン成分を混合する場合アミド化反
応が顕著に進行するため、この方法で調整されたジカル
ボン酸成分とジアミン成分の混合物(反応物)は既に重
合が始まっており、別のポリアミド重合器に供給するた
めの安定な原料とはなり得ない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ナイ
ロン塩およびその水溶液を重合器への供給原料として用
いることなく、ジアン成分とジカルボン酸成分の仕込み
のモルバランス(以下単に「仕込みのモルバランス」と
いうことがある)が確実に制御できる回分式質量計量法
を用いて、モルバランスが調整された、実質的にアミド
化反応が起っていないジアミン成分とジカルボン酸成分
の混合物を重合器に供給し、ポリアミドを好適に製造す
る方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は鋭意検討した
結果、キシリレンジアミンを80モル%以上含むジアミ
ン成分とジカルボン酸成分からなる混合物が、溶媒の非
存在下に特定温度および特定水分濃度において、アミド
化反応が起らない極めて安定した均一な状態にあるスラ
リーとなることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】すなわち本発明は、キシリレンジアミンを
80モル%以上含むジアミン成分とジカルボン酸成分と
を重合してなるポリアミドの製造方法であって、ジアミ
ン成分の質量を計量した後、回分式調整槽に供給し、当
該回分式調整槽中の液状のジアミン成分を攪拌しつつ、
所望のモルバランスが達成される様にジカルボン酸成分
の質量を計量した後添加し、実質的にアミド化反応が起
っていないジアミンとジカルボン酸から成るスラリー溶
液を調整し、当該スラリー溶液をポリアミド製造の供給
原料とすることを特徴とするポリアミドの製造方法に関
する発明である。
【0010】本発明で用いるポリアミド構成成分は、8
0モル%以上がキシリレンジアミンであるジアミン成分
とジカルボン酸成分である。キシリレンジアミンはメ
タ,パラおよびオルソキシリレンジアミンが例示でき、
その混合比は任意に選択される。本発明においてキシリ
レンジアミンが好適に利用できる理由として、沸点がポ
リアミド融点より高いことが上げられる。モルバランス
が所定の値を有するポリアミドを得るためには、当然原
料であるジアミン成分およびジカルボン酸成分の仕込み
精度の向上と、重合中のジアミン成分の固定化が課題で
あり、ジアミンの沸点がポリアミドの融点より高い事
は、ジアミンを固定化しモルバランスを制御する上で極
めて有利に働く。
【0011】キシリレンジアミン以外のジアミン成分と
してはテトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミ
ン、1−3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等が例示
できる。ジカルボン酸成分としては、アジピン酸、琥珀
酸、セバシン酸、ドデカン二酸、イソフタル酸、テレフ
タル酸、2−6−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられ
る。これらのジカルボン酸は単独でも2種以上混合して
も使用可能である。得られるポリアミドの実用的な物性
から考えて、特に50モル%以上がアジピン酸であるジ
カルボン酸成分が好適に使用できる。また、ジアミン成
分およびジカルボン酸成分以外のポリアミド構成成分
は、カプロラクタム,バレロラクタム,ラウロラクタ
ム,ウンデカラクタム等のラクタム、11−アミノウン
デカン酸,12−アミノドデカン酸等のアミノカルボン
酸を例示することが出来き、本発明の最大の特徴である
実質的にアミド化反応が起っていないスラリー溶液を調
整する上で、障害とならない範囲で適時使用可能であ
る。
【0012】重合反応終了後のポリアミドのモルバラン
ス(以下単に「ポリアミドのモルバランス」ということ
がある)は、ジアミン成分過剰、ジカルボン酸成分過剰
および等モルいずれも任意に選択される。一般的には目
的とするポリアミドのモルバランスを達成するため、ポ
リアミド原料の仕込みのモルバランスについては、アミ
ド化反応により生じる縮合水とともに反応系外に留出す
るジアミン成分に見合う分だけジアミン成分を過剰に設
定することが好ましい。本発明においてジアミン成分お
よびジカルボン酸成分の質量を計量する場合、ロードセ
ル、天秤等の質量計量器が好適に利用可能であり、質量
計量器が設置された計量槽にジアミン成分およびジカル
ボン酸成分を貯め込み、計量槽の質量を計量しつつ回分
式調整槽にジアミン成分およびジカルボン酸成分を所定
量供給する方法が例示できる。
【0013】回分式調整槽中の液体状態のジアミン成分
にジカルボン酸成分を添加する際および添加後、ジアミ
ン成分およびスラリー溶液の温度をジアミン成分の凝固
点以上でかつ80℃以下に保つことが好ましい。ジアミ
ン成分の凝固点以下のとき、系内の均一な攪拌混合が困
難であり、またスラリー溶液を重合器に供給する上で好
ましくない。ジアミン成分およびスラリー溶液の温度が
80℃を超えるとき、ナイロン塩の生成反応が顕著とな
り中和熱が蓄積し系内の温度が急激に上昇し、ナイロン
塩の生成反応がより加速される。また、ナイロン塩はス
ラリー溶液ではなく顆粒状であるため、系内の均一な攪
拌混合が阻害される。この様な急激な温度上昇および局
所過熱によりアミド化反応が始まり、縮合水が系内に放
出される。ナイロン塩の生成反応には水が触媒的に働く
ため、結果的にナイロン塩の生成とアミド化反応が止め
ど無く進行する。当然ポリアミドを均一な液相状態とす
るには充分な熱は与えられないため、系内は塊状とな
り、均一な攪拌混合は完全に不可能となる。
【0014】実質的にアミド化反応が起っていないジア
ミン成分とジカルボン酸成分とから成る均一で安定なス
ラリーを得る上で、回分式調整槽中の液体状態のジアミ
ン成分にジカルボン酸成分を添加する際および添加後、
溶媒をあえて添加する必要はなく、本発明は溶媒の非存
在下で実施可能である。回分式調整槽中で調製されるス
ラリー溶液中の水分濃度は、0.7質量%(スラリー溶
液をベースとした水分の質量%である。以下同じ)以下
であることが好ましく、更に好ましくは0.5質量%以
下である。水分濃度が0.7質量%を超えると、ナイロ
ン塩の生成反応には水が触媒的に働くため、ジアミン成
分およびスラリーの温度が80℃以下であっても、ナイ
ロン塩の生成反応が顕著となり中和熱が蓄積し系内の温
度が急激に上昇し、ナイロン塩の生成反応がより加速さ
れる。従って上述の様にアミド化反応が始まり、縮合水
が系内に放出されナイロン塩の生成とアミド化反応が止
めど無く進行する。当然ポリアミドを均一な液相状態と
するには充分な熱は与えられないため、系内は塊状とな
り、均一な攪拌混合は完全に不可能となる。
【0015】回分式調整槽に供給されるジアミン成分は
液体であっても固体であってもかまわないが、取り扱い
上および上記と同様の理由により、ジアミン成分の温度
は凝固点以上でかつ80℃以下の液体が好ましい。また
上記と同様の理由により、水分濃度が低いことが望まし
いが、通常ジアミンは蒸留により精製されているため、
一般工業品であれば本発明において充分使用可能な水分
濃度であり、特段の脱水操作を追加する必要はない。こ
の様なジアミン成分の質量を所定量に質量計量器で計量
し、回分式調整槽に供給するが、この操作は、窒素等不
活性ガス中で実施されることが望ましい。回分式調整槽
に供給されるジカルボン酸成分は液体であっても固体で
あってもかまわないが、上記と同様の理由により、ジカ
ルボン酸成分の温度は80℃以下が好ましい。また上記
と同様の理由により、水分濃度が低いことが望ましい
が、通常の工業品であれば0.1〜0.2重量%の水分
濃度であり、本発明において充分使用可能である。この
様なジカルボン酸成分の質量を所定量に質量計量器で計
量し、回分式調整槽に供給するが、この操作は窒素等不
活性ガス中で実施されることが望ましい。
【0016】本発明で用いられる回分式調整槽は、均一
なスラリー溶液が調整できる攪拌能力および攪拌動力を
有するものであれば良く特に限定されない。またポリア
ミドが酸化されるのを避けるため、スラリー溶液中の酸
素を極力少なくする目的で、窒素等不活性ガスで系内を
置換できる構造であることが望ましい。回分式調整槽で
調整したスラリー溶液を、ポリアミドを製造する際の供
給原料としてポリアミド重合器に供給する場合、回分式
調整槽を2基以上設置し交互に使用することで連続的な
供給が可能となる。つまり、連続式重合器にスラリー溶
液を供給しポリアミドの連続製造方法を実施する場合で
あっても、回分式調整槽内のスラリー溶液は実質的にア
ミド化反応が起っていない均一で安定なスラリー溶液で
あり、滞留時間にともなう性状変化が表れないため、回
分式によるスラリー溶液調整工程つまりモルバランス調
整工程から連続式による重合工程に容易に移行できる。
【0017】本発明で得られたスラリー溶液をポリアミ
ド連続式重合器に供給する場合は、スラリー調整工程で
達成されたモルバランスを維持するため、スラリー溶液
が供給される連続式重合器は外部への気相成分の留出が
なく、かつ気液相の緊密混合が達成される構造であるこ
とが特に重要である。このため、系内は常圧から加圧状
態に保たれ、必要であれば連続式重合器の供給口あるい
は/および排出口にギヤポンプ等の機器を設置し、シー
ル構造とすることが望ましい。更に供給されたスラリー
溶液を、得られるポリアミドの融点以上に流れ方向に順
次昇温可能なことが必要である。この目的から特に横型
の2軸攪拌混合機等が好適に使用可能である。
【0018】また、均一な重合度のポリアミドを得る上
で、連続式重合器における滞留時間を一定にすることが
重要であり、スラリー溶液を供給する重合器はプラグフ
ロー性も有する重合器であることが望ましい。ジアミン
成分がポリアミド中に固定化された後は、ポリアミドの
重合度を所定値まで高める目的から、系内の圧力を徐々
に下げ、縮合水を積極的に系外に留去できる構造を有す
る重合器であることが望ましく、ベント等の排気口を有
する連続式重合器の利用が望ましい。
【0019】本発明で得られたスラリー溶液を回分式重
合器に供給する場合は、スラリー溶液調整工程で達成さ
れたモルバランスを維持するため、常圧から加圧系での
使用が望ましいが、キシリレンジアミンの沸点がポリマ
ー融点より高いため、ナイロン塩水溶液を原料とする場
合と比較し圧力は相当に低く設定できる。回分式ではス
ラリー溶液を速やかにポリアミド融点まで昇温すること
が有利であり、伝熱面積が広い多段攪拌翼を備えたL/
Dの大きな横型反応機の使用が好ましい。反応釜形状の
重合器を用いる場合は、反応系をポリアミドの融点以上
に保ちつつ、スラリ−溶液を反応系に徐々に添加する方
法により好適に実施可能である。
【0020】また、前述の様に水はスラリー溶液中のナ
イロン塩生成反応を触媒するため、多量の中和熱が発生
し、さらにはアミド化反応をも促進するため、重合器に
スラリーとともに、触媒として少量の水を添加すること
も反応を促進する上で極めて有利である。水の添加量は
特に限定されないが、スラリー溶液中で0.3質量%以
上、10質量%以下となるようにするのが望ましい。上
記0.3質量%未満ではその効果はあまり認められず、
上記10質量%を超えると重合器内での気相が多くなり
ジアミンの固定化に不利となるばかりか、ポリアミドと
縮合水を分離する際、ポリアミドの飛散や固化等の原因
となり好ましくない。
【0021】
【発明の効果】本発明に係るポリアミドの製造方法によ
って以下の効果が得られる。 (イ)ナイロン塩の水溶液を重合器への供給原料としな
いため、高度な加圧仕様の重合器を使用する必要がな
い。 (ロ)ナイロン塩の水溶液を原料としないため、多量の
水を除去する際のポリアミドの発泡、固化等が回避で
き、更に溶媒としての水を除去するためのエネルギー損
失がない。 (ハ)原料であるジアミン成分およびジカルボン酸成分
の仕込みが回分式の質量計量法を用いて確実に制御でき
るため、仕込みにおけるモルバランスの制御精度が向上
する。
【0022】
【実施例】以下に実施例および比較例を示し、本発明を
具体的に説明する。なお本発明における評価のための測
定は以下の方法によった。 (イ)末端アミノ基濃度 ポリアミドを精秤し、フェノール/エタノール=4/1
容量溶液に20〜30℃で攪拌溶解した。完全に溶解し
た後、攪拌しつつ0.1モル/リットル(以下リットル
を「L」と記す)塩酸水溶液で中和滴定して求めた。 (ロ)末端カルボキシル基濃度 ポリアミドを精秤し、ベンジルアルコールに窒素気流下
160〜180℃で攪拌溶解した。完全に溶解した後、
窒素気流下80℃以下まで冷却し、攪拌しつつメタノー
ルを10cc加え、0.1モル/L水酸化ナトリウム水
溶液で中和滴定して求めた。
【0023】(ハ)数平均分子量 末端アミノ基濃度および末端カルボキシル基濃度から次
式により求めた。 数平均分子量=2×106 /(〔NH〕+〔COO
H〕) (〔NH2 〕は末端アミノ基濃度(μeq/g)、〔CO
OH〕は末端カルボキシル基濃度(μeq/g)を表
す。) (ニ)水分濃度(質量%) 三菱化学(株)製、カールフィッシャー微量水分測定装
置(CA−05型)を用い、水分濃度を求めた。
【0024】実施例1〜2、比較例1 2Lのステンレス製の容器にメタキシリレンジアミン
(純度:99.70質量%)546.44g(4モル)
を秤量後仕込み、窒素を流通させながら攪拌しオイルバ
ス中で加熱し系内を所定温度に昇温した。アジピン酸
(純度:99.85質量%、水分含有濃度:0.15質
量%)585.44g(4モル)を秤量後、ステンレス
製の容器に3分間で添加し、オイルバスの設定温度を変
更せずステンレス製の容器を浸漬しつつ攪拌し、系内の
状況を観察した。また、アジピン酸添加終了2分後に少
量サンプリングし、スラリー溶液の水分濃度を測定し
た。結果を表1に示す。
【0025】 表1 実施例1 実施例2 比較例1 温度(℃) 22 80 90 水分濃度(質量%) 0.35 0.34 0.34 アジピン酸添加終了2分後の状況 系内温度(℃) 34 75 170 攪拌の状況 良好 良好 不能 系内の状況 スラリー溶液 スラリー溶液 塊状 縮合水の発生 無し 無し 有り アジピン酸添加終了10分後の状況 系内温度(℃) 35 81 − 攪拌の状況 良好 良好 − 系内の状況 スラリー溶液 スラリー溶液 − 縮合水の発生 無し 無し − アジピン酸添加終了30分後の状況 系内温度(℃) 57 80 − 攪拌の状況 良好 良好 − 系内の状況 スラリー溶液 スラリー溶液 − 縮合水の発生 無し 無し − アジピン酸添加終了120分後の状況 系内温度(℃) 42 80 − 攪拌の状況 良好 良好 − 系内の状況 スラリー溶液 スラリー溶液 − 縮合水の発生 無し 無し −
【0026】表1から明らかな様にメタキシリレンジア
ミンとアジピン酸を80℃を超える温度で混合すると、
ナイロン塩生成反応に伴う中和熱による系内温度の急激
な上昇が認められ、それに伴いアミド化反応が進行し縮
合水が発生する。また、攪拌も著しく困難となり、系内
は塊状となり均一相を保てなくなる。一方メタキシリレ
ンジアミンとアジピン酸を80℃以下で混合すると、系
内の温度は80℃以下に保たれ、縮合水の発生もなく攪
拌状態は良好であり均一なスラリー溶液が得られた。
【0027】実施例3〜4、比較例2〜3 2Lのステンレス製の容器にメタキシリレンジアミン
(純度:99.70質量%)546.44g(4モル)
を秤量後、所定量の水と共に仕込み、窒素を流通させな
がら攪拌しオイルバス中で加熱し系内を所定温度に昇温
した。アジピン酸(純度:99.85質量%、水分含有
濃度:0.15質量%)585.44g(4モル)を秤
量後、ステンレス製の容器に3分間で添加し、オイルバ
スの設定温度を変更せずに容器を浸漬しつつ攪拌し、系
内の状況を観察した。また、アジピン酸添加終了後2分
後に少量サンプリングし、スラリー溶液の水分濃度を測
定した。結果を表2に示す。
【0028】 表2 実施例3 比較例2 実施例4 比較例3 温度(℃) 40 40 80 80 水分濃度(質量%) 0.63 0.74 0.51 0.72 アジピン酸添加終了後2分後の状況 系内温度(℃) 66 68 75 179 攪拌の状況 良好 良好 良好 不能 系内の状況 スラリー溶液 スラリー溶液 スラリー溶液 塊状 縮合水の発生 無し 無し 無し 有り アジピン酸添加終了10分後の状況 系内温度(℃) 66 168 80 − 攪拌の状況 良好 不能 良好 − 系内の状況 スラリー溶液 塊状 スラリー溶液 − 縮合水の発生 無し 有り 無し − アジピン酸添加終了30分後の状況 系内温度(℃) 64 80 − 攪拌の状況 良好 良好 − 系内の状況 スラリー溶液 スラリー溶液 − 縮合水の発生 無し 無し −
【0029】表2から明らかな様にメタキシリレンジア
ミンとアジピン酸を混合するとき、80℃以下であって
も系内の水分が0.7質量%を超えると、系内温度の急
激な上昇および縮合水の発生が認められる。また、攪拌
も著しく困難となり、系内は塊状となり均一相を保てな
くなる。
【0030】実施例5 本発明により得られたメタキシリレンジアミンとアジピ
ン酸から成るスラリー溶液200gを5g/min.の速度
で、250℃に保った攪拌翼、分縮器を備えた2Lのス
テンレス製重合槽に常圧下供給した。供給終了後260
℃まで30分かけて昇温し、さらに260℃で80KP
aまで減圧し20分間保った。得られたポリアミドの末
端基濃度から求めたモルバランスおよび数平均分子量を
表3に示す。
【0031】実施例6 本発明により得られたメタキシリレンジアミン/パラキ
シリレンジアミン/アジピン酸/テレフタル酸=55/
45/85/15(モル%)から成るスラリー溶液20
0gを5g/min.の速度で、270℃に保った実施例5
で用いた重合槽に常圧下供給した。供給終了後270℃
で30保持し、さらに270℃で80KPaまで減圧し
20分保った。得られたポリアミドの末端基濃度から求
めたモルバランスおよび数平均分子量を表3に示す。本
発明により得られたスラリー溶液を供給原料とした反応
物は、重合が進んでいる事が確認され、仕込んだスラリ
ー溶液のモルバランス(ジアミン成分/ジカルボン酸成
分のモル比:1.000)をほぼ達成した。
【0032】 表3 実施例5 実施例6 モルバランス* 0.992 0.990数平均分子量 14210 13550 *1:ジアミン成分/ジカルボン酸成分

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キシリレンジアミンを80モル%以上含
    むジアミン成分とジカルボン酸成分とを重合してなるポ
    リアミドの製造方法であって、ジアミン成分の質量を計
    量した後、回分式調整槽に供給し、当該回分式調整槽中
    の液状のジアミン成分を攪拌しつつ、所望のモルバラン
    スが達成される様にジカルボン酸成分の質量を計量した
    後添加し、実質的にアミド化反応が起っていないジアミ
    ンとジカルボン酸から成るスラリー溶液を調整し、当該
    スラリー溶液をポリアミド製造の供給原料とすることを
    特徴とするポリアミドの製造方法。
  2. 【請求項2】 質量計量器が設置された計量槽を用い
    て、ジアミン成分およびジカルボン酸成分の質量を計量
    することを特徴とする請求項1に記載のポリアミドの製
    造方法。
  3. 【請求項3】 回分式調整槽中の液状のジアミン成分に
    ジカルボン酸成分を添加する際および添加後、ジアミン
    成分およびスラリー溶液の温度をジアミン成分の凝固点
    以上でかつ80℃以下の温度に保つことを特徴とする請
    求項1又は2に記載のポリアミドの製造方法。
  4. 【請求項4】 回分式調整槽中で調製されるスラリー溶
    液中の水分濃度が0.7質量%以下であることを特徴と
    する請求項1又は2に記載のポリアミドの製造方法。
  5. 【請求項5】 回分式調整槽中の液状のジアミン成分に
    ジカルボン酸成分を添加する際および添加後、ジアミン
    成分およびスラリー溶液をジアミン成分の凝固点以上で
    かつ80℃以下の温度に保ち、更にスラリー溶液中の水
    分濃度を0.7質量%以下に保つことを特徴とする請求
    項1又は2に記載のポリアミドの製造方法。
  6. 【請求項6】 回分式調整槽に供給されるジアミン成分
    とジカルボン酸成分のモルバランスを設定するに際し、
    アミド化反応により生ずる縮合水とともに反応系外に留
    出するジアミン成分に見合う分だけジアミン成分を過剰
    に供給することを特徴とする請求項1〜5に記載のポリ
    アミドの製造方法。
  7. 【請求項7】 キシリレンジアミンの50モル%以上が
    メタキシリレンジアミンであり、ジカルボン酸の50モ
    ル%以上がアジピン酸であることを特徴とする請求項1
    〜6に記載のポリアミドの製造方法。
  8. 【請求項8】 回分式調整槽を2基以上交互に使用し、
    ジアミン成分とジカルボン酸成分から成るスラリー溶液
    を、ポリアミドを製造する際の供給原料として重合器に
    連続的に供給することを特徴とする請求項1〜7に記載
    のポリアミドの製造方法。
  9. 【請求項9】 ジアミン成分とジカルボン酸成分から成
    るスラリー溶液を、ポリアミドを製造する際の供給原料
    として、連続式重合器に供給することを特徴とする請求
    項1〜8に記載のポリアミドの製造方法。
  10. 【請求項10】 ジアミン成分とジカルボン酸成分から
    成るスラリー溶液を、ポリアミドを製造する際の供給原
    料として、回分式重合器に供給することを特徴とする請
    求項1〜8記載のポリアミドの製造方法。
  11. 【請求項11】 ジアミン成分とジカルボン酸成分から
    成るスラリー溶液とともに0.3重量%以上、10重量
    %以下の水をポリアミド重合器に供給することを特徴と
    する請求項9および10に記載のポリアミドの製造方
    法。
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