JP2001199715A - フラーレン重合体及びその生成方法、並びに、フラーレン重合体を用いた機能素子及びその製造方法 - Google Patents

フラーレン重合体及びその生成方法、並びに、フラーレン重合体を用いた機能素子及びその製造方法

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JP2001199715A
JP2001199715A JP2000005116A JP2000005116A JP2001199715A JP 2001199715 A JP2001199715 A JP 2001199715A JP 2000005116 A JP2000005116 A JP 2000005116A JP 2000005116 A JP2000005116 A JP 2000005116A JP 2001199715 A JP2001199715 A JP 2001199715A
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マティアス ラム
Masafumi Ata
誠文 阿多
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    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/549Organic PV cells

Abstract

(57)【要約】 【課題】 太陽電池等の機能素子において、膜厚の制御
を可能とし、常に所望の膜厚のフラーレン重合体を生成
すると共に、フラーレン分子の構造を保持した良質の重
合体を下地のダメージも少なくして生成すること。 【解決手段】 フラーレン分子を蒸着した後、この蒸着
膜4Aに、RFプラズマ等の電磁波10を照射すること
によって、前記フラーレン分子を重合体化してフラーレ
ン重合体膜4を生成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば太陽電池や
発光ダイオード等に用いられるフラーレン重合体及びそ
の生成方法、並びに、フラーレン重合体を構成材料の一
部とする電荷移動型ヘテロ接合構造体、炭素系複合構造
体及び光触媒などの機能素子及びその製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば太陽電池の構成材料とし
て、シリコンpn接合半導体等が広く用いられ、昨今で
はそのエネルギー変換効率が開発当初に比べてかなり向
上している。
【0003】太陽電池の素材としては上記シリコン以外
にチタニアなどがあるが、最近では炭素化合物の一つで
あるフラーレンが注目されるようになった。以下、その
発見ならびに開発の歴史を振り返りつつ、フラーレンの
特徴について述べる。
【0004】フラーレンはダイヤモンドや黒鉛と同様に
炭素原子のみからなる一連の炭素化合物のことである。
その存在が確かめられたのは20世紀末に大分近づいて
きた頃で、1985年に炭素のレーザアブレーションに
よるクラスタービームの質量分析スペクトル中に発見さ
れた。しかし実際に製造法が確立されるにはさらに5年
の歳月を待たねばならず、1990年に至って初めて炭
素電極のアーク放電によるフラーレン(C60)の製造法
が見い出され、それ以来、フラーレンは炭素系半導体材
料等として注目される存在となっている。(Kratschme
r, W.; Fostiropoulos, K.; Huffman, D.R. Chem. Phy
s. Lett. 1990, 170, 167. Kratschmer. W.;Lamb. L.
D.; Fostiropoulos, K.; Huffman, D. R. Nature 1990,
347, 354.)
【0005】フラーレンは、60個以上の偶数個の炭素
原子が球状に結合して分子集合体を構成した球状炭素C
n(n=60、70、76、78、80、82、84・
・・など)である。中でも特に代表的なのは、初めに挙
げた炭素数が60のC60と70のC70である。このうち
60フラーレンは正二十面体の頂点を全て切り落として
正五角形を出した切頭二十面体と呼ばれる多面体構造を
有し、図5(A)に示すようにその60個の頂点が全て
炭素原子で占められた言わばサッカーボール型の分子構
造を有する。それに対して、C70は図5(B)に示すよ
うにラグビーボール型の分子構造を有する。
【0006】C60の結晶はC60分子が面心立方構造に配
置され、バンドギャップが約1.6eVであって半導体
とみなせる。純粋な状態では約1014Ω/cmの電気抵
抗を有する。そして、500℃で約1mmTorrの蒸
気圧があり、昇華によって薄膜を蒸着することができ
る。C60に限らず、フラーレン分子は真空又は減圧下に
おいて容易に気化できることから、蒸着膜を形成し易い
素材である。
【0007】しかしながら、最も量産性に富むC60やC
70等のフラーレン分子は双極子モーメントがゼロである
ことから、それから得られる蒸着膜は、分子間にファン
・デル・ワールス力しか働かず、強度的に脆弱である。
そのため、この蒸着膜を空気中にさらすと、フラーレン
分子間の隙間に酸素や水分子等が拡散進入し易く(図1
0参照)、その結果、構造的に劣化するだけでなく、そ
の電子物性に悪影響を及ぼすことがある。このようなフ
ラーレン蒸着薄膜の脆弱さは、フラーレンを薄膜電子デ
バイスの製作に適用するときに、デバイスの安定性の面
で問題となる。さらにフラーレン分子間へ拡散進入した
酸素分子により常磁性中心が発現するので、その薄膜特
性の安定性の面からも問題があった。
【0008】このような問題点を克服するため、近年、
フラーレン分子同士を重合させる、いわゆるフラーレン
重合体膜の製造方法が提唱されている。その代表例とし
て光誘起によるフラーレン重合体の製膜方法を挙げるこ
とができる。〔(a) Rao,A.M.; Zhou,P.; Wang,K.-A; Ha
ger,G.T.; Holden,J.M.; Wang,Y.; Lee,W.-T.; Bi,X.-
X.; Eklund,P.C.; Cornett,D.S.; Duncan,M.A.; Amste
r,I.J. Science 1993, 256,955. (b) Cornett,D.C.; Am
ster,I.J.; Duncan,M.A.; Rao,A.M.; Eklund.P.C. J.Ph
ys.Chem.1993, 97,5036. (c) Li,J.; Ozawa,M.; Kino,
N.; Yoshizawa,T.;Mitsuki,T.; Horiuchi,H.; Tachikaw
a,O.; Kishio,K.; Kitazawa,K. Chem.Phys.Lett.1994,
227,572.〕
【0009】この方法はあらかじめ製膜したフラーレン
蒸着膜に対し、蒸着後に光照射を行うものであるが、重
合時に生じる体積収縮のため膜の表面に無数のヒビがは
いり易く、強度の面で問題がある。しかもこの方法で
は、面積の広い均一な薄膜を成膜することは極めて困難
である。
【0010】その外にも、フラーレン分子に圧力や熱を
加えるか、あるいはフラーレン分子同士を衝突させるこ
とによってフラーレン重合体膜を製膜できることが知ら
れているが、これらの方法では製膜はできても薄膜を得
ることは困難である。〔分子衝突法 (a)Yeretzian,C.;
Hansen,K.; Diederich,F.; Whetten,R.L. Nature 1992,
359,44. (b)Whetten,R.L.; Yeretzian,C. Int.J.Mod.P
hys.1992, B6,3801.(c)Hansen,K.; Yeretzian,C.; Whet
ten,R.L. Chem.Phys.Lett.1994, 218,462. (d)Seifert,
G.; Schmidt,R. Int.J.Mod.Phys.1992,B6,3845. イオン
ビーム法 (a)Seraphin,S.; Zhou,D.; Jiao,J. J.Mater.
Res.1993, 8,1995. (b)Gaber,H.; Busmann,H.-G.; His
s,R.; Hertel,I.V.; Romberg,H.; Fink,J.; Bruder,F.;
Brenn,R.J.Phys.Chem,1993,97,8244. 圧力法 (a)Duclo
s,S.J.; Brister,K.; Haddon,R.C.; Kortan,A.R.; Thie
l,F.A. Nature 1991,351,380. (b)Snoke,D.W.; Raptis,
Y.S.; Syassen,K. 1 Phys.Rev.1992,B45,14419. (c)Yam
awaki,H.; Yoshida,M.; Kakudate,Y.; Usuda,S.; Yoko
i,H.; Fujiwara,S.; Aoki,K.; Ruoff,R.; Malhotra,R.;
Lorents,D.J.Phys.Chem. 1993,97,11161. (d)Rao,C.N.
R.; Govindaraj,A.; Aiyer,H.N.; Seshadri,R.J.Phys.C
hem. 1995,99,16814. 〕
【0011】一方、これら従来法に替るフラーレン重合
法(又は製膜方法)として注目に値いするのが、本発明
者が先に提唱したプラズマ重合法やマイクロ波(プラズ
マ)重合法である。(たとえばTakahashi, N.; Dock,
H.; Matsuzawa, N.; Ata,M.J.Appl.Phys. 1993,74,579
0.) 。このような方法で得られるフラーレン重合体(図
9及び図11)の膜は、フラーレン分子が電子励起状態
を経て重合してできた薄膜であり、フラーレン蒸着薄膜
に比較して強度が格段に増加し、緻密にしてかつ柔軟性
に富む。そして真空中でも大気中でもその電子物性がほ
とんど変化しないことから、その緻密な薄膜構造が酸素
分子等による膜内部への拡散進入を効果的に抑制してい
るのだと考えられる。事実、このような方法で薄膜を構
成するフラーレンの多量体が生成されることは、レーザ
アブレーション法による飛行時間型質量分析によって知
ることができる。
【0012】プラズマ法の種類を問わず、フラーレン重
合体膜の電子物性はその重合形態に大きく依存するもの
と思われる。実際にマイクロ波プラズマ法により得られ
たC 60の重合体膜の質量分析結果は、以前発明者らが報
告したC60のアルゴンプラズマ重合体薄膜のそれと、酷
似している〔Ata,M.; Takahashi,N.; Nojima,K.J.Phys.
Chem.1994,98,9960.Ata,M.; Kurihara,K.; Takahashi,
J.Phys.Chem.B 1996,101,5.参照〕。
【0013】フラーレン重合体の微細構造については、
パルスレーザ励起の飛行時間型質量分析(TOF−M
S)によって推定することができる。一般に高分子量の
ポリマーを非破壊的に測定する方法として、マトリック
スアシスト法が知られている。しかし、フラーレン重合
体を溶解する溶媒が存在しないことから、重合体の実際
の分子量分布を直接評価することは困難である。LDI
TOF−MS(Laser Desorption Ionization Time-of-
Flight Mass Spectroscopy) による質量評価も、適当な
溶媒が無いことと、C60とマトリックス分子とが反応し
てしまうためマトリックスアシスト法が適用できない等
の理由により、実際のフラーレン重合体の質量分布を正
確に評価することは困難である。
【0014】C60重合体の構造は、C60が重合を起こさ
ない程度のレーザパワーのアブレーションで観測したL
DITOF−MSの多量体のピーク位置や2量体のプロ
フィールから、推定することができる。たとえば50W
のプラズマパワーで得られたC60重合膜のLDITOF
−MSは、C60分子間の重合が4個の炭素のロスを伴う
過程が最も確率的に高いことを示している。すなわち2
量体の質量領域においてC120はマイナープロダクトで
あり、最も高い確率で生成するのはC116である。
【0015】また半経験的レベルのC60の2量体の計算
によると、このC116は図6に示すようなD2h対称C116
であると考えられる。これはC58の再結合によって得ら
れるが、このC58はC60のイオン化状態を含む高い電子
励起状態からC2が脱離して生成されることが報告され
ている〔(a)Fieber-Erdmann,M.et al,Z.Phys.D1993,26,
308.(b)Petrie,S.et al,Nature 1993,356,426.(c)Eckho
ff,W.C.;Scuseria,G.E.; Chem.Phys.Lett.1993,216,39
9.〕。
【0016】この開殻C58分子が5員環2個が隣接する
構造へ転位する以前に2分子で結合すれば、図6(B)
に示されるC116 が得られる。しかし本発明者は、C60
のプラズマ重合の初期の過程ではあくまでも励起三重項
メカニズムによる[2+2]環状付加反応(反応生成物は
図6(A)に示す)が生じると考えている。また、前記
のように最も高い確率でC116が生成するのは、C60
電子励起三重項状態から図6(A)のように[2+2]環
状付加反応により生成した(C602のシクロブタンを
形成する4個のSP3炭素の脱離と、2個のC58開殻分
子の再結合とによるためと考えられる。
【0017】例えば、TOF−MSのイオン化ターゲッ
ト上のC60微結晶に強いパルスレーザ光を照射すると、
マイクロ波プラズマ重合法と同様にフラーレン分子が電
子励起状態を経て重合が起こるが、C60光重合体のピー
クとともにC58、C56等のイオンも観測される。
【0018】しかし、C58 2+あるいはC2 + 等のフラグ
メントイオンは観測されないことから、前記Fieber-Erd
mannらの文献に述べられているようなC60 3+から直接C
58 2+とC2 +へフラグメンテーションすることは、この場
合には考えられない。また、C24ガスプラズマ中でC
60を気化させて製膜した場合、そのLDITOF−MS
にはC60のFあるいはC24のフラグメントイオンの付
加体のみが観測され、C60重合体は観測されない。この
ようにC60重合体の観測されないLDITOF−MSに
は、C58、C56等のイオンも観測されないという特徴が
ある。これらの観測結果もまた、C2の損失がC60重合
体を経てから起こることを支持している。
【0019】では、そのC2損失が、プラズマ重合にお
いて果して図6(A)に示す[2+2]環状付加反応によ
る1,2−(C602から直接起こるのかどうかという
ことが、次に問題となる。それを、ムーリーや大澤らは
1,2−(C602の構造緩和のプロセスを提唱して以
下のように説明している〔(a)Murry,R.L.et al,Nature1
993,366,665.(b)Strout,D.L.et al,Chem.Phys.Lett. 19
93,214,576.Osawa,E.私信〕。
【0020】両者とも図6(A)に示す1,2−
(C602の構造緩和の初期過程では、クロスリンク部
位の最も歪みの大きい1,2−C−C結合の開裂したC
120(b)を経て、Stone-Wales 転位(Stone,A.J.; Wal
es,D.J.Chem.Phys.Lett. 1986,128,501. (b)Satio,
R.Chem.Phys.Lett.1992,195,537.)によるはしご型のク
ロスリンクを有するC120(c)から、目的のC
120(d)が生成されるとしている。図6(A)の1,
2−(C602 からC120(b)へ転位するとエネルギ
ー的に不安定化するが、さらに転位するにつれて再度安
定化する。
【0021】このようにプラズマ誘起によるC60の重合
において観測されるnC2の損失が、その初期過程と考
えられる図6(A)の1,2−(C60)から直接起こる
のか、あるいはこれがある程度構造緩和した後で起こる
のか明確な知見は得られていないが、観測されるC118
はC120(d)からのC2の脱離とダングリングの再結合
によって図7の様な構造をとるものと考えられる。ま
た、図7のC118 の梯子型クロスリンクの2個の炭素が
脱離しダングリングが再結合することによって、C116
が得られる。2量体のTOF−MSに奇数個のクラスタ
ーがほとんど観測されないことや構造の安定さからする
と、C2の損失が1,2−(C602から直接起こるより
も、C120(d)を経て起こると考えた方が、理にかな
っているように思われる。
【0022】また、大澤らは前記文献にC120(a)か
ら多段階のStone-Wales 転位による構造緩和を経て、D
5d対称C120構造が得られることを記述している。この
120の構造はC70分子のグラファイト構造がC120
で延びたもので、C60重合体からナノチューブが得られ
ることを示唆する点で興味深い。しかし、プラズマ照射
による重合体の形成に際しては、C60重合体のTOF−
MSを見るかぎり、このような多段階の転位反応による
構造緩和よりもC2 の損失を伴う構造緩和の過程が優先
すると考えられる。
【0023】一般にπ軌道とσ軌道が直交する平面共役
化合物では1(π−π*)−3(π−π*)間のスピン遷移
は禁制であり、振電相互作用によりσ軌道が混ざる場合
に許容となる。C60の場合にはπ共役系の非平面性によ
りπ軌道とσ軌道がミキシングすることから1(π−
π*)−3(π−π*)間のスピン−軌道相互作用による
項間交叉が可能となり、C60の高い光化学反応性がもた
らされる。C60分子の切頭20面体という高い対称性は
電子励起状態間や振動準位間の遷移に厳しい禁制則をも
たらす反面、平面分子では禁制であるスピン多重度の異
なる(π−π*)性の状態間の遷移を許容する点が、フ
ラーレン、特にC60の電子励起状態の挙動の特徴であ
る。
【0024】プラズマ重合法はC70分子の重合にも適用
可能である。しかし、C70分子間の重合となると、その
メカニズムを理解することはC60の場合より容易でな
い。図8(A)に示した構造の緩和過程で生成する、よ
り安定なC136の分子構造を図8(B)に示す。
【0025】このようなプラズマ等の電磁波誘起の重合
法で得られるC60の重合体膜の導電性は半導体的であ
り、暗電流の温度依存性から評価したバンドギャップは
1.5〜2eV程度である。大気中の酸素拡散の影響が
蒸着膜に比べて著しく少ないこともまた重合膜の特徴で
ある。マイクロ波パワー200Wで得られるC60重合膜
の暗電流は10-7〜10-8S/cm程度であるのに対
し、同じマイクロ波パワーで得られるC70重合膜では1
-13 S/cm以下とほぼ絶縁体である。このような重
合膜の電気電導性の違いはその重合膜の構造に起因する
と考えられる。C60重合膜の場合、図6(A)の[2+
2]環状付加反応による1,2−(C602の2量体のク
ロスリンクは、2分子のC60が開殻ビラジカル状態とな
る1本のクロスリンクボンド同様に、導電性の向上には
寄与しないと考えられる。これに対し、C116の様な分
子間クロスリンクはπ共役系を形成することから、導電
性の向上に寄与すると考えられる。C118,C114,C
112等のクロスリンク構造についても現在検討中である
が、1,2−(C602のクロスリンク部位の炭素の脱
離と再結合からなる、導電性に寄与するπ共役したクロ
スリンクであると考えられる。
【0026】通常、導電性はフラーレン分子間の導電性
のクロスリンクの数に対してリニアーに増加するのでは
なく、ある一定の数で浸透限界を超えて大きく変化する
はずである。前述したように、C70の場合にはC60に比
べ[2+2]環状付加応の確率が低いのみならず、C140
からC136の様な導電性のクロスリンク構造への構造緩
和も特定の部位のみでしか起こりえないと考えられる。
従ってC60の重合体膜には導電性に寄与するクロスリン
クの数が多く浸透限界を越えているが、C70の場合には
低い重合の確率と導電性のクロスリンクの形成の制限か
ら浸透限界を越えていないことが、両者の大きな導電性
の違いの原因と考えられる。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】以上、フラーレン分子
の発見からその蒸着膜及び重合体膜、更には重合のメカ
ニズムについて説明してきたが、上述した例えば太陽電
池について再び述べることにする。
【0028】フラーレンという素材は、経済的にも物性
的にも改良された太陽電池が得られる可能性を秘めてお
り、事実これ迄にもフラーレンを構成材料とする太陽電
池が幾つか提案されている(特許第9656473号、
同95230248号、同99325116号、USP
第5171373号、WO第9405045号等)。
【0029】しかし、提案されたどの太陽電池も、フラ
ーレン蒸着膜を使用する点では共通しており、したがっ
て既述した蒸着膜の脆弱さに由来する問題点、とりわけ
耐久性や電子物性に関する問題が、未解決のままであ
る。
【0030】ところで、上記蒸着膜と同じフラーレン系
に属するフラーレン重合体膜は、ポリマーバルクへの酸
素拡散が生じない等の優れた物性により、十分な耐久性
を示すものであるが、実際にこれを例えば太陽電池製作
のための構成材料に用いる場合、そのフラーレン重合体
膜を種々の方法で成膜している。
【0031】例えば、フラーレンC60は、光重合、プラ
ズマ重合、アルカリ金属ドーパントからC60分子への電
荷移動、電気化学プロセス等の種々の方法で重合でき
る。この場合、上述したように、電子的に励起された三
重項状態を経由した[2+2]環状付加は、最も起こり
得る重合の経路であり、結果としてシクロブタン環が形
成される。これには、分子間のC−C結合を形成するC
60の6−6の二重結合でsp2−sp3の混成が必要で
ある。
【0032】そこで、本発明者は、例えばプラズマ成膜
プロセスを用いてC60を重合したところ、フラーレン重
合体(ポリマー)膜がArプラズマ雰囲気中でのC60
昇華によって生成されるため、このプロセスには次の2
つの大きな不利な点があることが判明した。
【0033】(1)成膜中は膜の厚さを制御できない。
これは、高いプラズマ密度や電子密度などの雰囲気によ
って膜厚計(crystal monitor)の性能が制約を受ける
(”Handbook of Thin Film Process Technology”,19
95 IOP Publishing Ltd,Do:4−5参照)ことによ
り、成膜中の膜厚測定を行えず、従って成膜中に膜厚情
報に基づくプラズマ発生条件のコントロールを行えな
い。
【0034】(2)C60重合のために励起されたプラズ
マによって、複数の構造を成膜する間に、既に成膜され
た層の構造変化が起こる。例えば、既に形成されたC60
重合体のC60分子骨格がプラズマによって構造変化した
り、また下地の有機膜などがプラズマでダメージを受け
てしまう。
【0035】本発明の目的は、太陽電池等の機能素子に
おいて、膜厚の制御を可能とし、常に所望の膜厚のフラ
ーレン重合体を生成すると共に、フラーレン分子の構造
を保持した良質の重合体を下地のダメージも少なくして
生成するフラーレン重合体及びその生成方法、並びに、
フラーレン重合体を用いた機能素子及びその製造方法を
提供することにある。
【0036】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、フラー
レン分子の蒸着膜がRFプラズマ等の電磁波の照射によ
って重合体化されてなる、フラーレン重合体、及びその
フラーレン重合体膜を有する太陽電池等の機能素子に係
るものである。
【0037】また、本発明は、フラーレン分子を蒸着し
た後、これに、RFプラズマ等の電磁波を照射すること
によって、前記フラーレン分子を重合体化する、フラー
レン重合体の生成方法、及びそのフラーレン重合体膜を
機能素子構成層として用いる機能素子の製造方法も提供
するものである。
【0038】本発明のフラーレン重合体及び機能素子、
並びにこれらの生成方法又は製造方法によれば、フラー
レン分子の蒸着膜をまず成膜した後に、この蒸着膜を電
磁波の照射によって重合体化しているので、膜厚計によ
って蒸着膜厚を測定し、この測定情報に基づいて蒸着条
件(蒸着温度等)をコントロールすることによって、常
に所望の蒸着膜を形成でき、従って電磁波照射によるフ
ラーレン重合体膜の膜厚も効果的に容易かつ正確にコン
トロールして常に所望の膜厚を得ることができる。
【0039】しかも、フラーレン蒸着膜は、電磁波照射
によって、蒸着膜を構成するフラーレン分子の構造を保
持したまま重合するため、フラーレン分子骨格を保持し
たきれいな構造のフラーレン重合体膜を形成でき、しか
もその下地に有機膜などが存在していても、その上に成
膜される蒸着膜は下地にダメージを与えることはなく、
また蒸着膜の存在によって電磁波照射からも上記の下地
を保護することができる。
【0040】
【発明の実施の形態】本発明においては、例えば、図1
(A)のように基板1上にフラーレン分子(例えば
60)の蒸着膜4Aを形成し、この蒸着中に蒸着膜4A
の膜厚を測定し、これによって前記膜厚を例えば10Å
(単分子層厚)〜200nmに制御して蒸着を行い、所
定厚の蒸着膜を形成した後、図1(B)のように、RF
プラズマなどの電磁波10の照射によって蒸着膜4Aを
重合体化してフラーレン重合体膜4を形成することがで
きる。この場合、図2に示すように、前記膜厚を真空室
13内に配した膜厚計11によって測定することができ
る。
【0041】図2は蒸着装置を示すものであって、真空
容器13内にサセプタ12を配し、この上にフラーレン
蒸着膜を付着させるための基板(すなわち、例えば導電
性高分子膜を光透過性電極上に形成した基板1)がセッ
トされる。
【0042】また、この真空容器13内には、原料のフ
ラーレン分子を収納するモリブデンボート等の容器17
が配設され、これは外部の抵抗加熱用電源18に接続さ
れている。
【0043】このような構造の蒸着装置において、脱気
した真空容器13内において容器17に通電してこれを
加熱し、その中のフラーレン分子を気化させ、フラーレ
ン蒸着膜4Aを基板1上に形成する。
【0044】図3は高周波プラズマ重合装置を示すもの
で、真空容器23内に1対の電極14a、14bが対向
配置され、これらは外部の高周波電源15に接続されて
おり、一方の電極14b上にはフラーレン蒸着膜4Aを
形成した基板1がセットされる。
【0045】このような構造の重合装置において、まず
排気口20より脱気した真空容器23内にたとえば低圧
の不活性ガス(アルゴンその他)を導入口19から供給
し、器内を同ガスで満たしてから、高周波電源15から
高周波電圧を印加して電極14a−14b間に高周波プ
ラズマを発生させるとともに前記フラーレン蒸着膜4A
に照射すると、このフラーレン蒸着膜4Aは重合体化
し、π電子骨格を保持したフラーレン重合体膜4を形成
することができる。
【0046】なお、高周波電源15は直流電源に替えて
もよいし(直流プラズマ法)、また図2と図3の装置を
図4のように複合化し、電源15を駆動せずに(従って
プラズマは発生しない)容器17を加熱した場合は、フ
ラーレンの蒸着膜4Aが基板1上に形成される。そし
て、同じ装置内で電源15を駆動して上記と同様に重合
体化を行わせることができる。
【0047】前記フラーレン分子としてはC60、C70
のフラーレン単体又はその混合物を使用し、前記電磁波
として、RFプラズマ、紫外線又は電子線を照射するこ
とができる。
【0048】また、本発明に基づく機能素子、例えば電
荷移動型ヘテロ接合構造体は、光透過性電極とその対向
電極との間に、導電性有機膜と前記フラーレン重合体膜
とが積層されているものである。
【0049】この電荷移動型ヘテロ接合構造体の製造方
法は、前記光透過性電極を形成する工程と、前記導電性
有機膜を形成する工程と、前記フラーレン蒸着膜を形成
してこれを前記フラーレン重合体膜に重合体化する工程
と、前記対向電極を形成する工程とを具備するものであ
る。
【0050】このヘテロ接合構造体は、少なくとも一方
を光透過性とする一対の電極間に、電子供与性である導
電性有機膜と電子受容性であるフラーレン重合体膜とが
積層されているので、光誘起による電荷移動が可能であ
り、太陽電池や発光ダイオードなどに好適な用途を有す
る。そして、構成材料の一部にフラーレン重合体膜が用
いられているので、フラーレン蒸着膜を用いる場合に比
較して、耐久性と電子物性とにおいて一段と優れてい
る。蒸着膜の場合には、大気中での評価中、約1日で特
性は完全に失なわれ易いが、重合体化すれば、1ケ月後
でも特性はほとんど変化しない。
【0051】また、特に太陽電池に適用した場合は、従
来のシリコンpn接合型太陽電池とは比べて、著しく低
コストで軽量であり、柔軟性に優れた薄膜が可能とな
り、かつ、エネルギー変換効率に遜色がなく、更にチタ
ニア系太陽電池のように増感剤を用いずとも優れた光電
変換効率を達成できる。
【0052】この電荷移動型へテロ接合構造体は、前記
光透過性電極とその対向電極との間に、前記導電性有機
膜と前記フラーレン重合体膜とが積層されていてよく、
またこの積層構造において、フラーレン重合体膜が対向
電極に接していることが好ましい。
【0053】また、このような場合も含めて、フラーレ
ン重合体膜と導電性有機膜との間に活性層がキャリア発
生層として介在していることが好ましい。
【0054】また、各電極の外面側(大気に露出する
面)に基板を適宜、設けることができる。
【0055】代表的なヘテロ接合構造体としては、図1
9(A)に示すように、シリコンやガラス等でできた透
明基板1の上にITO(Indium tin oxide: インジウム
酸化物にスズをドープしたもの)などの光透過性電極2
と、ポリチオフェンなどの導電性高分子膜3と、この導
電性高分子膜とヘテロ接合を形成するフラーレン重合体
膜4と、アルミニウムなどからなる対向電極5とが、こ
の順に積層されていることが望ましい。さらに、図19
(B)に示すように、導電性高分子膜3とフラーレン重
合体膜4との間に、キャリア発生層としてたとえばカー
ボンナノチューブやフタロシアニン等の活性層6が介在
していることが好ましい。ここで、導電性高分子膜3、
活性層6、フラーレン重合体膜4の各厚みはそれぞれ
0.1〜50nm(好ましくは5〜20nm)(以下、
同様)であってよい。
【0056】ただし、図20(A)及び(B)に示すご
とく、導電性高分子膜3とフラーレン重合体膜4とが互
いに入れ替わったヘテロ接合構造体も電荷移動が可能で
ある。
【0057】前記導電性有機膜は電子供与性を有してお
り、さらには共役π電子系を含むP型の導電性高分子か
ら形成されていることが望ましい。その好ましい具体例
を幾つか挙げると、ポリビニルカルバゾール、ポリ(p
−フェニレン)−ビニレン、ポリアニリン、ポリエチレ
ンオキサイド、ポリビニルピリジン、ポリビニルアルコ
ール、ポリチオフェン、ポリフルオレン及びポリパラフ
ェニレンなどから選ばれた少なくとも1種、或いはこれ
らの少なくとも1種の構成モノマーの誘導体からなるポ
リマーがある。
【0058】なお、この導電性有機膜には、その導電性
を制御するために、硫酸根等をはじめ公知のドーパント
が添加されていてもよい。
【0059】前記フラーレン重合体膜は電子受容性の薄
膜として機能し、好ましくはC60の重合体及び/又はC
70の重合体から構成され、例えば上述した各種のものが
例示される。このフラーレン重合体膜は、図10に示す
フラーレン蒸着膜に比べ、フラーレン分子間が共有結合
によって密に結合していることが特徴的である。
【0060】また、好ましく設けられる前記活性層はキ
ャリアの発生層であり、その材料としては、π電子系を
有する色素、金属錯体、導電性高分子、フラーレン分
子、及びその化学修飾された誘導体、単層や多層のカー
ボンナノチューブ等の単体もしくは複合体、などが挙げ
られる。上記色素としてはシアニン色素、フタロシアニ
ン及びその金属錯体、あるいはポルフィリンやその金属
錯体などがある。
【0061】前記光透過性電極及び対向電極の材料は金
属酸化物又は金属の薄膜からなっていてよい。光透過性
電極の材料としては、一般的に前記したITO(インジ
ウム酸化物にスズをドープしたもの)が好ましいが、こ
れ以外にも、金、銀、白金、ニッケルなどの薄膜も使用
できる。また、前記対向電極の材料としては、アルミニ
ウム、マグネシウム、インジウムなどの金属の1種又は
その合金、あるいはITOなどがある。
【0062】一方、前記電荷移動型ヘテロ接合構造体の
製造方法は、基本的に光透過性電極の形成工程、導電性
有機膜の形成工程、フラーレン重合体膜の形成工程及び
対向電極の形成工程からなるが、必ずしもこれらの工程
の順序にとらわれない。さらに、上記光透過性電極や対
向電極に基板を取付ける工程とか、あるいは活性層を介
在させる工程等が、必要に応じて付加される。
【0063】前記光透過性電極の形成工程では、同電極
を単独に形成するよりも、それを基板上に形成するのが
一般的であり、前述したITOなどの電極材料を基板上
に蒸着やスパッタリング等の手法を用いて製膜する。
【0064】ITOに替えて他の材料、たとえば金など
の安定な金属材料の薄膜を用いるときは、これを基板上
により薄く製膜して、光透過性を確保することが重要と
なる。なお、光透過性電極の形状やパターンは、マスク
その他の公知の手段により自由に工夫できる。
【0065】前記導電性有機膜(又はフラーレン重合体
膜)は、光透過性電極の上に形成される(なお、フラー
レン重合体膜を光透過性電極上に形成する場合は、導電
性有機膜を用いる場合と逆にすればよいので、以下、説
明を割愛する)。
【0066】この形成工程では、前記光透過性電極上
に、電子供与性を有する有機低分子化合物の蒸着膜やプ
ラズマ重合体膜を形成する。
【0067】すなわち、高分子物質の単量体やπ電子を
含む有機低分子化合物を気化させ、この気体に比較的低
エネルギーの高周波プラズマ、紫外線、電子線を照射す
ると、前記光透過性電極上に導電性有機膜を形成するこ
とができる。
【0068】こうしたπ共役有機低分子の蒸着膜やフラ
ーレンプラズマ重合体膜は少なくとも10-9S/cm程
度以上の導電性を有する。また、フラーレン重合体膜は
電子受容性の薄膜として機能することから、ここに言う
有機低分子の蒸着膜やプラズマ重合体膜は、電子供与性
薄膜として機能する必要がある。
【0069】前記低分子有機化合物としては、具体的に
はエチレンやアセチレン等のπ共役低分子やベンゼン、
ナフタレン、アントラセンのようなカタ縮合有機化合
物、ペリレン、コロネンのようなペリ縮合芳香族化合
物、あるいはこれら化合物の窒素や酸素、硫黄のような
ヘテロ原子誘導体等が含まれる。また、例えば酸素、硫
黄、セレン、テルル等は有機骨格系の中にヘテロ原子と
して組み込むことができるが、これらの元素は通常2電
子をπ共役系に供給することから、例えばベンゼンと等
π電子系となる酸素や硫黄のヘテロ環化合物としてはフ
ランやチオフェンなどがある。さらにこれら元素の一個
が6員環に組み込まれたり、2個が5員環に組み込まれ
た場合には、π電子系が4n+2則に照して過剰に存在
するために、強い電子供与性化合物となる。たとえばテ
トラチアフルバレンが、そのような強い電子供与性化合
物の典型例である。このような電子供与性の強い有機化
合物の蒸着薄膜やプラズマ重合体膜は、後述する電子受
容性フラーレン重合体膜とヘテロ接合を形成して、より
効果的に光誘起による電荷移動をおこすことができる。
【0070】前記導電性有機膜の形成材料を、ポリマー
の具体例で説明すると、先に挙げたポリビニルカルバゾ
ールやポリチオフェンなどの外に、下記のような高分子
物質もしくはその誘導体が使用でき、これらは2種以上
を混合して用いることもできる。
【0071】即ち、ポリ(3−アルキルチオフェン)、
ポリ〔2−メトキシ−5−(2’−エチルヘクソキシ)
−p−フェニレン〕−ビニレン、ポリ〔2−メトキシ−
5−(2’−エチルヘクソキシ)−1,4−パラフェニ
レンビニレン、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリ
(9,9−ジアルキルフルオレン)、ポリパラフェニレ
ン、ポリ(2,5−ジヘプチロキシ−1,4−フェニレ
ン)、ポリフェニレン、ポリアニリン、ポリ(p−フェ
ニレン)、ポリエチレンオキシド、ポリ(2−ビニルピ
リジン)、ポリ(ビニルアルコール)などである。ま
た、これら高分子化合物のモノマーやπ電子系を含む有
機化合物のガス雰囲気において、比較的低エネルギーの
高周波プラズマや紫外線、X線、電子線等の照射による
重合を行って、高導電性有機薄膜を形成することも可能
である。
【0072】次に、前述のように形成した導電性有機膜
上にフラーレン重合体膜を上述したようにして形成す
る。
【0073】なお、前記各工程を経て得られた光透過性
電極−導電性高分子膜−フラーレン重合体膜(あるいは
光透過性電極−フラーレン重合体膜−導電性高分子膜)
とからなる積層体に対し、更なる工程として、対向電極
を形成することが必要である。
【0074】この対向電極は、たとえばITOなどの酸
化物の外に、アルミニウム、マグネシウム、インジウム
などの金属、またはこれらの2種以上の金属からなる合
金で構成され、蒸着やスパッタリング、電子銃、電解メ
ッキなどの手法を用いて前記フラーレン重合体膜上に薄
膜として形成することができる。
【0075】このようにして得られるヘテロ接合構造体
は、電極間に電子供与性の導電性高分子と、電子受容性
のフラーレン重合体膜とが積層されているので、光誘起
による電荷移動が可能である。更に言うと、ヘテロ接合
薄膜の両側において導電性電極との接合がオーミック接
合であり、しかもヘテロ接合においてエネルギーバンド
にステップが存在しない場合は電子とホールの移動がス
ムーズとなり、太陽電池として機能するのに対し、エネ
ルギーバンドにステップが存在する場合は、そこで電子
とホールが再結合して光を発生するので、発光ダイオー
ドとして機能する。ステップの有無は前述した電極間の
積層体の材料を工夫することにより、調整することがで
きる。
【0076】本発明の機能素子は、炭素系複合構造体と
して、基体と炭素系薄膜と前記フラーレン重合体膜との
積層体からなっていてよい。
【0077】この炭素系複合構造体の製造方法は、基体
上に、炭素系薄膜を有機化合物の熱分解により形成する
工程と、前記フラーレン蒸着膜を形成してこれを前記フ
ラーレン重合体膜に重合体化する工程とからなる。
【0078】この炭素系複合構造体は、基体上に積層さ
れる炭素系薄膜とフラーレン重合体膜とが、ともに殆ど
炭素から構成されているので、互いに親和性が良好であ
り、そのため両膜間の密着性は高い。
【0079】また、炭素系薄膜は、基体の表面が平滑で
あればあるほど基体と強く密着でき、緻密で力学的強度
の大きな膜に形成され、しかもその表面は基体表面に倣
って(又は追随して)平滑面に形成されるので、更にそ
の上に積層され得るフラーレン重合体膜とも、強く密着
できる。
【0080】一方、この炭素系複合構造体は、炭素系薄
膜が良好な導電性を有し(導電率は例えば約10-2S/
cm)、この上にフラーレン重合体膜が積層される場合
は、このフラーレン重合体膜は炭素系薄膜の価電子帯よ
りさらに2.0eV程度低いエネルギー価電子帯のエッ
ジを有し、ドナーアクセプターとして機能するので、光
誘起により電荷移動が可能であり、太陽電池として好適
な用途を有するほか、基質に対して導電性が明瞭に変化
するので、ガスや圧力に対する耐久性の優れたセンサー
デバイスとして、重要な用途が開ける。
【0081】このような優れた効果を有する炭素系複合
構造体は、前記製造方法によって製造することができ
る。
【0082】即ち、この製造方法は、基体上に、炭素系
薄膜を形成する工程と、上述したようにフラーレン重合
体膜を形成する工程とを行うものであって、工程数の少
ない実施の容易な方法であり、前記炭素系複合構造体を
効率よく製造することが可能である。
【0083】この炭素系複合構造体は、図24(A)に
示すように、石英ガラス等の基板1の上に、炭素系薄膜
22と、フラーレン重合体膜4とが積層された構造が好
ましい。このような構造とすると、フラーレン重合体膜
4中で発生したキャリアや基板1(実際には電極から注
入される)キャリアが炭素系薄膜22へ移動し易くな
り、電荷移動性が向上する。
【0084】また、特に太陽電池の用途に用いるとき
は、図24(B)に示す如く、基板1上に炭素系薄膜2
と接する金属などの対向電極24を設け、且つフラーレ
ン重合体膜4上にITO(インジウム酸化物にスズをド
ープしたもの)などの光透過性電極2を設けることが好
ましい。このような構造とすると、光誘起による電荷移
動が可能となり、太陽電池や発光ダイオードなどに好適
な用途が開ける。
【0085】また、特にガスや圧力のセンサーの用途に
供するときは、図24(C)に示すように、炭素系薄膜
2の上に一対の電極25a、25b(櫛形電極など)を
取付け、さらにこれら電極25a、25bの間にフラー
レン重合体膜4を形成することが好ましい(なお、フラ
ーレン重合体膜4上に電極25a、25bを設けてもよ
い)。このフラーレン重合体膜4は基質を吸着すると、
室温でも導電性が高くなり、従って電気抵抗の測定によ
り基質温度のセンサーとして用いることができる。
【0086】なお、光透過性電極2や電極25a、25
bの材料としては、一般的に前記したITO(インジウ
ム酸化物にスズをドープしたもの)が好ましいが、これ
以外にも、金、銀、白金、ニッケルなどの薄膜も使用で
きる。
【0087】また、対向電極24の材料としては、アル
ミニウム、マグネシウム、インジウムなどの金属の1種
又はその合金、あるいはITOなどがある。
【0088】これらの電極は、蒸着、スパッタリング、
電子銃、電解メッキなどの手法により、形成することが
できる。なお、光透過性電極にITO以外の材料を用い
るときは、層厚をより薄くして、光透過性を確保するこ
とが重要である。
【0089】本発明者の検討によると、炭素系薄膜2と
接する基板1の表面は平滑度の高いものほど好ましく、
具体的にはラフネス:平均表面粗さ(Ra)が1μm以
下であることが好ましい。この条件を外れると、炭素系
薄膜2は基板1との密着性が不十分になり、機械的強度
が小さくなり易い。
【0090】基板1としては、石英ガラスやシリコンな
どからなる単体基板だけでなく、この単体基板上に金属
等の導電性層を形成した複合基板も用いることができ
る。
【0091】これら基板の表面を平滑にする手段として
は、公知の機械的研磨加工、化学的表面加工、物理的表
面加工などが挙げられる。
【0092】上記の炭素系薄膜を形成するのに、炭素を
含有する有機化合物の熱分解(熱CVD法)を適用す
る。或いは、無機物でも、気化できるものであれば、気
化させて薄膜状に炭素系薄膜として堆積可能であり、本
発明に使用できる。
【0093】この方法は、電気炉、高周波炉、あるいは
その他の加熱装置を用いて有機化合物を気相で加熱分解
するものであり、基板を収納した加熱装置内にガス状有
機化合物をキャリアガスに随伴させて導入し、基板を通
常600〜2000℃、好ましくは700〜1200℃
に加熱する。このようにすると、有機化合物は熱分解し
て、基板上に殆ど炭素からなる炭素系薄膜を形成するこ
とができる。
【0094】前記有機化合物の主な例を挙げると、トル
エン、アニリンなどの芳香族炭化水素又はその誘導体、
メタン、エタン、プロパンなどのアルカン類、アセチレ
ン等のアルキン類、ヘキサン、オキサン等の脂肪族炭化
水素、フラン、ジオキサン、チオフェン、ピリジンなど
の複素環式化合物、それにフラーレン分子などの炭素化
合物があり、これらは2種以上を混合して用いることも
できる。ただし、これらの有機化合物を使用するにあた
って特に取扱時の安全性が問題になる場合は、できるだ
け毒性の低い有機化合物を選ぶに越したことはない。
【0095】なお、前記キャリアガスとしては、窒素や
アルゴンを始めとする不活性なガス、あるいはこの不活
性なガスと水素ガスとの混合ガスが適当である。
【0096】こうして形成される炭素系薄膜は、平滑な
基板表面と同様、その表面が著しく細かい平滑面とな
り、銀白色の鏡面を呈する。言い換えれば、炭素系薄膜
の密着性(さらには成膜性)は、基板の表面性に著しく
左右される。
【0097】それに、この炭素系薄膜は緻密で硬くて弾
性を有する膜であり、ビッカース硬度は500以上で、
そのヤング率の特性から、スピーカー等の振動板にさえ
使用できるほどである。
【0098】さらに、この炭素系薄膜は、金属的挙動を
示すグラファイトと、半導体的導電性を示すアモルファ
スカーボンとの、言わば中間的な特性を有しており、導
電性の温度依存性はきわめて小さい。しかも、膜のバン
ドギャップが小さいことと、膜がグラファイト様の小片
を含むことから、その導電性は良好である(炭素系薄膜
の導電率は10-2S/cm程度)。これに比べ、他の有
機膜は単なる抵抗体としてのIV特性しか得られない。
【0099】次に、前記炭素系薄膜に接して形成される
フラーレン重合体膜は、膜の強度や耐久性等に優れてい
ると共に、フラーレン蒸着膜の導電率は約10-13 S/
cm(価電子帯のレベルは炭素系薄膜より2.0eV程
度低い。)であるのに比べて、フラーレン重合体膜の導
電率は約10-11 〜10-7S/cm(価電子帯のレベル
はフラーレンより0.7eV程度高い。)である。但
し、蒸着膜の場合には、大気中での評価中、約1日で特
性は完全に失なわれ易いが、重合体化すれば、1ケ月後
でも特性はほとんど変化しない。
【0100】本発明の機能素子はまた、光触媒として、
フラーレン重合体(薄)膜を有していてよい。
【0101】この光触媒の製造方法は、前記フラーレン
蒸着膜を形成してこれを前記フラーレン重合体膜に重合
体化し、次にこのフラーレン重合体膜の表面に金属微粒
子をスパッタ、蒸着又は塗布により担持させることを特
徴とするものである。
【0102】この光触媒を用いたガス分解装置は、光源
と、被分解ガスに接触するフラーレン重合体膜とを有す
るものである。
【0103】ガスの分解に際しては、被分解ガスを光照
射の下にフラーレン重合体膜に接触させて分解する。
【0104】図27に示すように、フラーレンは光照射
により電子励起されると、基底状態から励起一重項状態
に励起されたのち、容易に電子励起三重項状態へ項間交
差するということである。フラーレンの低エネルギーの
電子励起状態は一重項(π−π* )状態とみなす事が出
来るが、一般に平面π共役系の分子では、σとπの分子
軌道の直交性から一重項(π−π* )状態と三重項(π
−π* )状態との項間交差は禁制であるのに対し、フラ
ーレン分子はその分子の曲率から本来σとπの軌道の直
交性が崩れている。言い換えれば、σとπの軌道がミキ
シングしており、このことが、スピン軌道相互作用によ
る異なるスピン多重度間の項間交差に寄与するのであ
る。とりわけ、フラーレン分子の中でもC60は項間交差
の確率の高いことで知られている。
【0105】フラーレンに酸素が接触すると、それに向
かって励起三重項状態のフラーレンからエネルギーが移
行し、このエネルギーを受取った酸素は基底三重項の状
態を経たのち励起一重項状態に移る。この不安定な状態
の酸素が、いわゆる活性酸素と呼ばれるものである。
【0106】フラーレン重合体を用いた光触媒は、フラ
ーレン重合体膜を有するので、その表面を空気中の有害
成分などを含む被処理ガスに接触させると、膜の表面に
おいて上記した光照射による触媒作用が生じ、前記活性
酸素によって被処理ガス中の有害成分を分解することが
できる。それに対して、前記蒸着膜では、その分子間隙
に拡散侵入した酸素分子が活性化され、膜の内部で酸化
現象(有害成分の分解)が生じるため、生成ガス成分に
より蒸着膜の触媒活性が低下し、またその耐久性が劣化
するという問題がある。
【0107】光触媒としてフラーレン重合体膜の表面
に、白金やパラジウムなどの金属微粒子を担持させたも
のが好ましい。このようにすると、金属微粒子を担持さ
せない場合に比べ、より高い触媒効果を奏することがで
きる。
【0108】このような金属微粒子をフラーレン重合体
膜上に担持させる手法としては、スパッタ、蒸着、塗布
などの方法を挙げることができる。
【0109】なお、この光触媒は一般に基体上に積層さ
れて用いられ、その基体としてはたとえば板状、メッシ
ュ状など特に構造や形状に限定されない。
【0110】この光触媒を用いたガス分解装置は、少な
くとも光源と、フラーレン重合体膜とを備えたものであ
り、光照射の下に被処理ガスをフラーレン重合体膜に接
触させることによって、有害成分などを含む被処理ガス
を分解処理することができる。
【0111】この光触媒は、図28(A)に示すように
基板等の基体1上にフラーレン重合体膜4が積層された
構造が好ましい。このフラーレン重合体は、前述したよ
うにして成膜することができる。
【0112】好ましい光触媒としては、図28(B)に
示すように前記フラーレン重合体膜4上に白金やパラジ
ウムなどの金属微粒子23が担持されたものが好まし
い。このような構造とすると、金属微粒子23はフラー
レン重合体膜4上で、活性点及び局部反応電池として機
能するので、フラーレン重合体膜単独の場合に比べ、よ
り高い触媒効果を奏することができる。
【0113】前記金属微粒子としては、とくに限定され
るものではなく、前記白金やパラジウムの他に、金やア
ルカリ金属などを挙げることができる。しかし、好まし
いのは適度の活性を有する金属微粒子であって(活性が
高過ぎても低過ぎても好ましくない)この点からする
と、前記した白金とパラジウムが特に望ましい。
【0114】前記金属微粒子をフラーレン重合体膜上に
担持させるには、スパッタ、蒸着又は塗布などの手法に
より行うのがよい。
【0115】金属微粒子のフラーレン重合体膜表面にお
ける分布状態については、特に限定されるものではない
が、個々の微粒子が離れているよりは、一般にそれらが
膜状に集合した分布状態が望ましい。金属微粒子の面積
比率としては、粒径0.5nm〜100μmの金属微粒
子が、フラーレン重合体膜上に1000000個/m2
以下の比率で分布しているのが好ましい。
【0116】この光触媒を被分解ガスの処理に用いると
きは、フラーレン重合体膜を被処理ガスに接触させると
ともに、この膜に光を照射することが必要である。した
がって、ガス分解装置としては、基本的に、被処理ガス
の供給部及び排気部を備えた反応部と、この反応部に設
けたフラーレン重合体膜と、この膜に光を照射する光源
とが必要である。
【0117】以下、本発明を具体的な実施の形態に基づ
いてさらに詳細に説明する。ただし、本発明は以下の例
に限定されるものではない。
【0118】例1(C60蒸着膜のプラズマ重合) この例では、C60の重合に、成膜済みのフラーレンC60
の蒸着膜をArプラズマ中で処理してC60ポリマー化し
た。
【0119】<フラーレン重合体膜の成膜>まず、原料
としてのフラーレンC60分子は市販のものを用いた。こ
のC60は、次のようにして作成可能である。公知の装置
において、直径10mm、長さ35cmのグラファイト
ロッドを正極とし、ヘリウム100Torr、の雰囲気
下に150アンペアの直流電流によるアーク放電を行
い、グラファイトロッドがほとんど気化してフラーレン
を含むススが得られた後、2つの電極の極性を逆にし
て、本来の負極上に堆積したカーボンナノチューブ等の
堆積物をさらに気化させ、煤(スス)とした。
【0120】水冷反応容器内に堆積したススを回収し、
トルエンで抽出して粗製のフラーレンを得た。この粗製
フラーレンをヘキサンで洗浄乾燥したのち、真空昇華に
より精製した。このようにして得られたフラーレン分子
を飛行時間型質量分析(TOF−MS)にかけたとこ
ろ、C60とC70が約9:1の割合で含まれていた。
【0121】次に、図2又は図4に示した装置を用い、
膜厚計で蒸着膜厚を測定しながら、4×10-6Torr
でシリコン基板上に、上記のC60の粉末を昇華して蒸着
することにより、膜厚20Åに制御されたC60薄膜を形
成した。この場合、モリブデンボートに載せられたC60
粉末は、ガス抜きのために約600℃までゆっくりと加
熱し、それ以上の温度で蒸着した。
【0122】その後に13.56MHzで起動させた平
行平板のRF反応機中において、蒸着膜を0.1Tor
rのArプラズマに曝した。C60薄膜は50℃に保た
れ、各々30Wでは4時間、50Wでは30分それぞれ
プラズマ処理され、C60重合体膜を得た。
【0123】<ラマン分光>C60分子はラマンスペクト
ルに10の活性モードがある。最も強いラインは、図1
2に示すように1469cm-1に見られる。Ag(2)
の5員環のねじれモード(C−C単結合伸縮)は、重合
状態を調べるのに最も敏感である。重合によって、図1
2に示すようにこのモードが低波数側へシフトするのが
観察され、いくつかのラマンのラインが分子の対称性の
消失によって活性化されると共に、C 60がその構造を保
持したまま重合化されることが分かる。このシフトは、
重合の定性的および定量的な測定に用いられる。10c
-1の下方シフトは、C60の二量体や三量体によるもの
と理論的に予測された。本例におけるC60薄膜のラマン
スペクトルを示す図12のデータによれば、Ag(2)
の5員環のねじれモードはC60と比較してそれぞれ4か
ら5cm-1シフトする。
【0124】<XPS>図13に、標準化したXPSの
C 1sのスペクトルを示す。蒸着したC60薄膜とプラ
ズマ処理された薄膜のC 1sの結合エネルギーは、2
84.9、284.8(30W)、284.7eV(5
0W)であった。プラズマ処理された薄膜のC 1sの
半値全幅は、蒸着した薄膜の半値全幅0.8eVと比較
して0.2eVから1.0eV増加した。さらに、C
1sピークの形は高結合エネルギー側へと非対称化し
た。C60ポリマーにおける四員環毎のC 1s結合エネ
ルギーの計算した化学シフト+0.3eVは、遊離のC
60分子と比べてスペクトルにおける違いを部分的にしか
説明できない。一方、13at%(30W)及び15a
t%(50W)の酸素がXPSによって見られた。O
1sピークに観察されたかなりの広い範囲にわたる半値
全幅(2.7および2.5eV)は、異なる分子または
原子の酸素種が付加されていることを示している。
【0125】図14は、プラズマ処理された薄膜のC
1sのピーク分析を示す。ピークは284.8(28
4.7)、286.2(286.1)、288.7(2
88.6)eVに形成されている。サブピークは構造変
化により付加されたC−O、C−O−O、C=Oと関係
している。
【0126】図15は、C 1sのシェイクアップサテ
ライト(電子の励起)をカバーする拡張された領域を示
している。C60に対して高分解能光電子スペクトルで、
メインピーク(約285eV)から1.8、2.9、
3.7、4.8、5.9eVずれた位置に5つのバンド
が分離された。これらのピークのうち3つは蒸着したC
60薄膜に帰着されるが、2.9eVと4.8eVのピー
クは表わしていない。プラズマ処理された薄膜でシェイ
クアップサテライトが見られたことはやや問題が残る
が、その理由は、それらのピークは酸化された炭素種か
らの放出によって付加されたものであるからである。
【0127】図16は、蒸着されたC60薄膜とプラズマ
処理された薄膜の価電子結合XPSスペクトルを示して
いる。ピークはプラズマ処理されて広くなり(スペクト
ルがよりフラットとなり)、強度変化は低減した。炭素
の状態に加えて、O 2sのピークが27eV付近に現
れる。
【0128】<TOF−MS>図17及び図18に、3
0W、50Wでそれぞれプラズマ処理された膜のTOF
−MSスペクトルを示す。スペクトルには1440付近
の質量範囲にピークが発生するが、これはフラーレンポ
リマーによるものである。また、C60の構造が保持され
ている。
【0129】以上のラマン、XPS、TOF−MSの結
果によって、プラズマ処理された蒸着C60薄膜は、C60
の重合体となっていることが確かめられた。上記の手法
は、プラズマによってC60重合する新たな道を開くもの
である。
【0130】例2(ヘテロ接合構造体の作製とその物
性) 次に、図19(A)に示したようにITO電極上にポリ
チオフェン膜とC60重合体膜とを形成した前記積層体に
対し、さらに対向電極としてアルミニウム電極を次のよ
うにして形成した。まず、蒸着機をターボポンプにより
10-8Torrまで真空に引き、その後、高純度水素ガ
スをバックファイルした。10-5Torrの水素雰囲気
下にアルミニウムを上記積層体のC60重合体膜上に成膜
し、ヘテロ接合構造体を得た。
【0131】光電子放出法によるフラーレン重合体膜の
光電子放出特性を蒸着膜のものと比較して図21に示
し、またこのヘテロ接合構造体のVI特性を図22に示
す。また、500WのXeランプを用いてフォトセルと
しての特性を有するかどうかの確認を行った。その結
果、ITO側から光照射を行った場合に、図示のとお
り、フォトセルとしての顕著な機能が確認された。
【0132】例3(他のヘテロ接合構造体の作製とその
物性) 例2において製作したITO電極、ポリチオフェン膜、
C60重合体膜及びアルミニウム電極(対向電極)からな
るヘテロ接合構造体において、ポリチオフェン膜とC60
重合体膜との間にフタロシアニン膜(活性層)を介在さ
せ、対向電極として金を用いたヘテロ接合構造体を例2
に準じて製作した。
【0133】そのVI特性を図23に示すが、良好なフ
ォトセル特性を示すことが分かる。
【0134】例4(太陽電池の作製とその物性) 図24に示した構造を作製するため、まず炭素系薄膜を
形成するのに、図25に示すような成膜装置を組立て
た。この成膜装置は、簡易型の有機溶剤ガスバブラ50
と、これにキャリアガスを供給するガスボンベ51と、
有機溶剤ガスを熱分解する簡易型の電気炉52とから構
成され、ガスボンベ51と有機溶剤ガスバブラ50との
間の流路、及びガスボンベ51と電気炉52との間の流
路には、流量調節用のニードルバルブ53が取付けられ
てある。
【0135】電気炉52は炉心の直径が30mmで、電
熱器52aの中に石英管52bが挿入され、この石英管
52bの内部には、外部の電熱器温度コントローラ52
cと接続する熱電対52dと、この直上に位置する石英
(ガラス製)基板52e(上述の基板1に相当)とがセ
ットされ、石英基板50eの成膜温度が正確にモニター
できるようにしてある。なお、石英基板50eの温度制
御には、PID制御のリレー回路を連動させるようにし
た。このように構成された成膜装置は、1℃以内の温度
誤差内で炭素系薄膜の成膜が可能である。
【0136】まず、電気炉52の温度を800℃に設定
し、石英基板52eを石英管52bに挿入したのち、こ
の石英管52b内にガスボンベ51からアルゴンガスを
導入して、同管内をアルゴンガスで満たした。このアル
ゴンガスの純度は99.999%である。
【0137】石英管52b内部が完全にアルゴンガスの
雰囲気となり、温度が800℃となった時点で、有機溶
剤ガスバブラー50を通して、石英管52b内部に向か
ってトルエンガスの流入を開始した。なお、有機溶剤ガ
スバブラー50に導入するアルゴンガスの流速は、50
ml/分に保った。
【0138】トルエンのバブリングを30分行ってか
ら、再度アルゴンガスだけを石英管52b内へ流入さ
せ、電気炉52を徐冷し、4時間後にほぼ室温に冷却さ
れたことを確認したのち、石英基板52eを石英管52
bから取り出した。この石英基板52eの表面には鏡面
を呈する炭素薄膜が形成されていた。
【0139】次いで、この炭素薄膜上に、例1で述べた
と同様にC60重合体膜を成膜した。こうして作製された
炭素薄膜とフラーレン重合体膜の接合構造は、光照射等
により発生したキャリアーの分離に有用な構造であり、
たとえばガラス基板−ITO電極−炭素薄膜−フラーレ
ン系薄膜−アルミニウム電極のような複合構造体とする
と、とくに太陽電池向けに好適である。図26にはこの
構造体の光照射時のVI特性を示すが、適度な性能を有
していることが分る。
【0140】ただ、この場合に問題となるのは、ITO
など光透過性電極上に炭素薄膜を形成する際に、光透過
性電極の導電性が損なわれることである。
【0141】こうした問題を避けるためには、ガラス基
板−薄い金電極−炭素薄膜−フラーレン重合体膜−アル
ミニウム電極のような複合構造体とするのが好ましい。
このような複合構造体が太陽電池セルとして機能するこ
とは、光照射前後のI−V特性から分かるが、この種の
用途に最適な複合構造体とするためには、炭素薄膜のバ
ンドギャップ、フラーレン系薄膜の厚み、電極材料のフ
ェルミ表面準位など、種々のファクターの吟味が必要で
ある。
【0142】例5(ガスセンサーの作製とその性能) 例4と同様にして製作した基板−炭素薄膜−フラーレン
重合体膜からなる複合構造体の上に、さらに金の櫛形電
極を形成し、ガスセンサーとしての機能をチェックし
た。
【0143】その結果、水、アセトアルデヒド、ホルム
アルデヒド、アンモニア、ギ酸等に対して、導電性が明
瞭に変化(例えば増大)することが観測できた。これら
の現象は表面平滑性炭素薄膜に直接櫛形電極を設置した
場合でも同じように観測され、炭素薄膜のない電極だけ
を設置したものをレファレンスとした場合、明瞭な差異
が認められた。
【0144】例6(光触媒の作製とその性能) 図28(A)に示した構造において、上述した方法で、ポ
リエチレンテレフタレートフィルム上にフラーレン重合
体膜を成膜した積層体につき、触媒としての機能を、図
29に示すような評価装置を使用して評価した。この評
価装置は、長さ30cmのアルミ製の筒体60内に電源
と接続した40Wの紫外線ランプ61が取付けられ、そ
の一端は筒体60の出口に設けたテフロン製キャップ6
2に連結し、筒体60の入口は、試料ガスのポンプ63
とフィルタ(水分除去用)64を介して管65で連結さ
れ、この筒体60の内壁に前記積層体66が接着剤で貼
着されている。
【0145】この評価装置の筒体60内に、500pp
mのホルムアルデヒドを含む乾燥空気を、フィルタ64
を通さずにポンプ63から送り込むとともに、紫外線ラ
ンプ61を点灯した。なお、上記乾燥空気の流量は、筒
体60の入口から出口に向かって約1秒の通過時間とし
た。
【0146】紫外線ランプ61を点灯したのち、出口ガ
スに含まれるホルムアルデヒドの濃度をガスクロマトグ
ラフィで測定した。その結果、ガス中のホルムアルデヒ
ドの濃度は280ppmに減少した。
【0147】例7(他の光触媒の作製とその性能) 例6と同様にしてフラーレン重合体膜をポリエチレンテ
レフタレートフィルム上に製膜し、次にこのフラーレン
重合体膜の表面に電子銃を用いて少量の白金微粒子を蒸
着した。なお、この蒸着は10〜9Torrの真空下で
行った。
【0148】次に、こうして得られたポリエチレンテレ
フタレートフィルムとフラーレン重合体膜(表面に白金
微粒子が担持されている)との積層体につき、触媒とし
ての機能を次のような測定装置を用いて評価した。この
測定装置は、図29に示すような評価装置からポンプ6
3とフィルタ64の設置を省き、替わりに、500pp
mのホルムアルデヒドを含む乾燥空気を充填したガスボ
ンベを用いるもので、例6と同様に前記積層体がこの評
価装置の筒体内壁に貼着されている。
【0149】この評価装置の筒体内にガスボンベからホ
ルムアルデヒド500ppmを含む乾燥ガスを送り込む
とともに紫外線ランプを点灯した。なお、乾燥ガスの流
量は、筒体入口から出口に向かって約1秒の通過時間と
した。
【0150】紫外線ランプを照射したのち、出口ガスに
含まれるホルムアルデヒドの濃度をガスクロマトグラフ
ィにより測定した。その結果、出口ガス中のホルムアル
デヒドの濃度は140ppmに減少した。
【0151】
【発明の作用効果】本発明は、上述した如く、フラーレ
ン分子の蒸着膜をまず成膜した後に、これを電磁波の照
射によって重合体化しているので、膜厚計によって蒸着
膜厚を測定し、この測定情報に基づいて蒸着条件(蒸着
温度等)をコントロールすることによって、常に所望の
蒸着膜を形成でき、従って電磁波照射によるフラーレン
重合体膜の膜厚も結果的に容易かつ正確にコントロール
して常に所望の膜厚を得ることができる。
【0152】しかも、フラーレン蒸着膜は、電磁波照射
によって、フラーレン分子の構造を保持したまま重合す
るため、フラーレン分子骨格を保持したきれいな構造の
フラーレン重合体膜を形成でき、しかも下地に有機膜な
どが存在していても、その上に成膜される蒸着膜は下地
にダメージを与えることはなく、また蒸着膜の存在によ
って電磁波照射からも上記の下地を保護することもでき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づくフラーレン重合体膜の成膜プロ
セスを示す概略断面図である。
【図2】同、フラーレン蒸着装置の概略断面図である。
【図3】同、フラーレン蒸着膜の重合体化用のプラズマ
重合装置の概略断面図である。
【図4】同、フラーレン蒸着・プラズマ重合装置の概略
断面図である。
【図5】(A)はC60の分子構造を示す模式図、(B)
はC70の分子構造を示す模式図である。
【図6】フラーレン重合体の生成過程で生じるものと考
えられるC60分子の2量体構造(A)、C60分子の他の
2量体構造(B)を示す図である。
【図7】同、フラーレン重合体の生成過程で生じるもの
と考えられるC118分子の構図を示す図である。
【図8】同、フラーレン重合体の過程で生じるものと考
えられるC70分子の2量体構造(A)、C70分子の他の
2量体構造(B)を示す図である。
【図9】同、C60重合体の構造の一例を示す図である。
【図10】C60蒸着膜の構造の一例を示す図である。
【図11】C60重合体膜の構造の一例を示す図である。
【図12】本発明に基づくフラーレン重合体膜のラマン
スペクトル図である。
【図13】同、フラーレン重合体膜のXPSのC 1s
スペクトル図である。
【図14】同、フラーレン重合体膜のXPSのC 1s
スペクトルのピーク分析図である。
【図15】同、フラーレン重合体膜のXPSのシェイク
アップサテライト領域を示すスペクトル図である。
【図16】同、フラーレン重合体膜の価電子結合XPS
スペクトル図である。
【図17】同、プラズマ処理で得られたフラーレン重合
体膜のTOF−MSスペクトル図である。
【図18】同、プラズマ処理で得られたフラーレン重合
体膜のTOF−MSスペクトル図である。
【図19】本発明に基づくヘテロ接合構造体を例示する
ものであって、(A)は単純ヘテロ構造体、(B)はダ
ブルへテロ構造体の各概略断面図である。
【図20】同、他のヘテロ接合構造体を例示するもので
あって、(A)は単純ヘテロ構造体、(B)はダブルへ
テロ構造体の概略断面図である。
【図21】同、フラーレン重合体膜の光電子放出測定結
果を示す図である。
【図22】同、ヘテロ接合構造体のVI特性等を示す図
である。
【図23】同、他のヘテロ接合構造体のVI特性等を示
す図である。
【図24】本発明に基づく炭素系複合構造体の断面構造
を例示するものであって、(A)は3層構造体、(B)
は5層構造体、(C)は光透過性電極を取付けた4層構
造体を示す。
【図25】同、炭素薄膜の製膜装置の概略構成図であ
る。
【図26】同、炭素系複合構造体の光照射時のVI特性
図である。
【図27】同、フラーレンのエネルギーバンドを示す模
式図である。
【図28】本発明に基づく光触媒の断面構造を例示する
ものであって、(A)はフラーレン重合体膜と基体から
なる積層体、(B)はそのフラーレン重合体膜上に金属
微粒子が担持された積層体を示す。
【図29】同、触媒能を評価するための評価装置の一例
を示す模式図である。
【符号の説明】
1…基板、2…透明電極、3…導電性高分子膜、4…フ
ラーレン重合体膜、4A…フラーレン蒸着膜、10…電
磁波、11…膜厚計、14a、14b…電極、17…蒸
着用の容器、15…高周波電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 16/26 C23C 16/26 5F051 H01B 5/14 H01B 5/14 A 5G307 H01L 31/04 H01L 31/04 V Fターム(参考) 4F100 AA17D AA17E AA33D AA37E AB01D AB01E AB24D AB25D AG00B AK01C AK02C AK21C AK35C AK54C AK80A AS00D AS00E AT00B BA02 BA03 BA05 BA07 BA10B BA10E CA30C DE01E EH462 EH66A EH662 EJ532 EJ542 GB41 JG01C JM02A JM02C JM02D JM02E JN01B JN01D 4G046 CB03 CB09 CC06 4G069 AA03 AA08 BA22A BA22B BA48A BC72A BC75A BC75B DA05 EA08 FA06 FB03 FB34 4G075 AA23 AA27 AA62 BA05 BA10 BC01 BC02 BD14 BD26 CA24 CA25 CA33 CA39 CA54 EC21 FB11 FC11 4K030 BA27 CA06 DA08 JA01 LA16 5F051 AA11 CB11 CB25 5G307 FA01 FB01 FB02

Claims (60)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フラーレン分子の蒸着膜が電磁波の照射
    によって重合体化されてなる、フラーレン重合体。
  2. 【請求項2】 所定厚に蒸着された前記蒸着膜が重合体
    化されたものである、請求項1に記載したフラーレン重
    合体。
  3. 【請求項3】 前記フラーレン分子として、C60、C70
    等のフラーレン単体又はその混合物が使用され、前記電
    磁波として、RFプラズマ、紫外線又は電子線が照射さ
    れる、請求項1に記載したフラーレン重合体。
  4. 【請求項4】 フラーレン分子を蒸着した後、これに電
    磁波を照射することによって、前記フラーレン分子を重
    合体化する、フラーレン重合体の生成方法。
  5. 【請求項5】 前記フラーレン分子の蒸着膜の膜厚を測
    定し、これによって前記膜厚を制御して前記蒸着を行
    い、所定厚の蒸着膜を形成した後、前記電磁波の照射に
    よって前記蒸着膜を重合体化する、請求項4に記載した
    フラーレン重合体の生成方法。
  6. 【請求項6】 前記膜厚を真空室内に配した膜厚計によ
    って測定する、請求項5に記載したフラーレン重合体の
    生成方法。
  7. 【請求項7】 前記フラーレン分子として、C60、C70
    等のフラーレン単体又はその混合物を使用し、前記電磁
    波として、RFプラズマ、紫外線又は電子線を照射す
    る、請求項4に記載したフラーレン重合体の生成方法。
  8. 【請求項8】 フラーレン分子の蒸着膜が電磁波の照射
    によって重合体化されてなるフラーレン重合体膜を有す
    る機能素子。
  9. 【請求項9】 前記フラーレン重合体膜が、所定厚に蒸
    着された前記蒸着膜が重合体化されたものである、請求
    項8に記載した機能素子。
  10. 【請求項10】 前記フラーレン分子として、C60、C
    70等のフラーレン単体又はその混合物が使用され、前記
    電磁波として、RFプラズマ、紫外線又は電子線が照射
    される、請求項8に記載した機能素子。
  11. 【請求項11】 光透過性電極とその対向電極との間
    に、導電性有機膜と前記フラーレン重合体膜とが積層さ
    れ、電荷移動型ヘテロ接合構造体として構成されてい
    る、請求項8に記載した機能素子。
  12. 【請求項12】 前記フラーレン重合体膜が前記対向電
    極に接している、請求項11に記載した機能素子。
  13. 【請求項13】 前記フラーレン重合体膜と前記導電性
    有機膜との間に活性層が介在されている、請求項11に
    記載した機能素子。
  14. 【請求項14】 前記導電性有機膜が共役π電子系を有
    する、請求項11に記載した機能素子。
  15. 【請求項15】 基板上に、前記光透過性電極と前記導
    電性有機膜と前記フラーレン重合体膜と前記対向電極と
    がこの順に積層されている、請求項11に記載した機能
    素子。
  16. 【請求項16】 基板上に、前記光透過性電極と前記フ
    ラーレン重合体膜と前記導電性有機膜と前記対向電極と
    がこの順に積層されている、請求項11に記載した機能
    素子。
  17. 【請求項17】 前記導電性有機膜が、ポリビニルカル
    バゾール、ポリ(p−フェニレン)−ビニレン、ポリア
    ニリン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピリジ
    ン、ポリビニルアルコール、ポリチオフェン、ポリフル
    オレン、ポリパラフェニレンからなる群より選ばれた少
    なくとも1種の高分子膜、またはこれら高分子の少なく
    とも1種の原料モノマーの誘導体を重合した高分子膜で
    ある、請求項14に記載した機能素子。
  18. 【請求項18】 前記導電性有機膜に導電性制御用のド
    ーパントが添加されている、請求項11に記載した機能
    素子。
  19. 【請求項19】 前記光透過性電極及び前記対向電極
    が、金属酸化物又は金属の薄膜からなる、請求項11に
    記載した機能素子。
  20. 【請求項20】 前記光透過性電極が、インジウム酸化
    物にスズをドープした金属酸化物、又は金、銀、白金、
    ニッケルの薄膜からなり、前記対向電極が前記金属酸化
    物又はアルミニウム、マグネシウム、インジウムの薄膜
    からなる、請求項19に記載した機能素子。
  21. 【請求項21】 基体と炭素系薄膜と前記フラーレン重
    合体膜との積層体からなる、請求項8に記載した機能素
    子。
  22. 【請求項22】 前記基体の平滑面上に前記炭素系薄膜
    と前記フラーレン重合体膜とがこの順に積層されてい
    る、請求項21に記載した機能素子。
  23. 【請求項23】 前記基体の前記平滑面のラフネス(R
    a)が1μm以下である、請求項22に記載した機能素
    子。
  24. 【請求項24】 前記基体上に、第1電極と前記炭素系
    薄膜と前記フラーレン重合体膜と第2電極とがこの順に
    積層されている、請求項21に記載した機能素子。
  25. 【請求項25】 前記基体及び前記第1電極が透明であ
    る、請求項24に記載した機能素子。
  26. 【請求項26】 前記基体上に、前記炭素系薄膜と一対
    の電極とがこの順に積層され、少なくとも前記一対の電
    極間に前記フラーレン重合体膜が形成されている、請求
    項21に記載した機能素子。
  27. 【請求項27】 前記炭素系薄膜が有機化合物の熱分解
    法により形成された膜である、請求項21に記載した機
    能素子。
  28. 【請求項28】 前記フラーレン重合体膜を有し、光触
    媒として機能する、請求項8に記載した機能素子。
  29. 【請求項29】 基体上に前記フラーレン重合体膜が積
    層されている、請求項28に記載した機能素子。
  30. 【請求項30】 前記フラーレン重合体膜の表面に金属
    微粒子が担持されている、請求項28に記載した機能素
    子。
  31. 【請求項31】 前記金属微粒子が、スパッタ、蒸着又
    は塗布により前記フラーレン重合体膜上に担持されてい
    る、請求項30に記載した機能素子。
  32. 【請求項32】 粒径0.5nm〜100μmの前記金
    属微粒子が前記フラーレン重合体膜上に1000000
    個/m2以下の面積比率で分布している、請求項30に
    記載した機能素子。
  33. 【請求項33】 前記金属微粒子が、白金又はパラジウ
    ムの微粒子である、請求項30に記載した機能素子。
  34. 【請求項34】 フラーレン分子を蒸着した後、この蒸
    着膜に電磁波を照射することによって、前記フラーレン
    分子を重合体化し、得られたフラーレン重合体膜を機能
    素子構成層として用いる、機能素子の製造方法。
  35. 【請求項35】 前記フラーレン分子の蒸着膜の膜厚を
    測定し、これによって前記膜厚を制御して前記蒸着を行
    い、所定厚の蒸着膜を形成した後、前記電磁波の照射に
    よって前記蒸着膜を重合体化する、請求項34に記載し
    た機能素子の製造方法。
  36. 【請求項36】 前記膜厚を真空室内に配した膜厚計に
    よって測定する、請求項35に記載した機能素子の製造
    方法。
  37. 【請求項37】 前記フラーレン分子として、C60、C
    70等のフラーレン単体又はその混合物を使用し、前記電
    磁波として、RFプラズマ、紫外線又は電子線を照射す
    る、請求項34に記載した機能素子の製造方法。
  38. 【請求項38】 光透過性電極とその対向電極との間
    に、導電性有機膜と前記フラーレン重合体膜とを積層
    し、電荷移動型ヘテロ接合構造体を構成する、請求項3
    4に記載した機能素子の製造方法。
  39. 【請求項39】 前記フラーレン重合体膜を前記対向電
    極に接して形成する、請求項38に記載した機能素子の
    製造方法。
  40. 【請求項40】 前記フラーレン重合体膜と前記導電性
    有機膜との間に活性層を介在させる、請求項38に記載
    した機能素子の製造方法。
  41. 【請求項41】 前記導電性有機膜として共役π電子系
    を有するものを形成する、請求項38に記載した機能素
    子の製造方法。
  42. 【請求項42】 基板上に、前記光透過性電極と前記導
    電性有機膜と前記フラーレン重合体膜と前記対向電極と
    をこの順に積層する、請求項38に記載した機能素子の
    製造方法。
  43. 【請求項43】 基板上に、前記光透過性電極と前記フ
    ラーレン重合体膜と前記導電性有機膜と前記対向電極と
    をこの順に積層する、請求項38に記載した機能素子の
    製造方法。
  44. 【請求項44】 前記導電性有機膜として、ポリビニル
    カルバゾール、ポリ(p−フェニレン)−ビニレン、ポ
    リアニリン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピリ
    ジン、ポリビニルアルコール、ポリチオフェン、ポリフ
    ルオレン、ポリパラフェニレンからなる群より選ばれた
    少なくとも1種の高分子膜、またはこれら高分子の少な
    くとも1種の原料モノマーの誘導体を重合した高分子膜
    を形成する、請求項41に記載した機能素子の製造方
    法。
  45. 【請求項45】 前記導電性有機膜に導電性制御用のド
    ーパントを添加する、請求項38に記載した機能素子の
    製造方法。
  46. 【請求項46】 前記光透過性電極及び前記対向電極
    を、金属酸化物又は金属の薄膜で形成する、請求項38
    に記載した機能素子の製造方法。
  47. 【請求項47】 前記光透過性電極を、インジウム酸化
    物にスズをドープした金属酸化物、又は金、銀、白金、
    ニッケルの薄膜からなり、前記対向電極が前記金属酸化
    物又はアルミニウム、マグネシウム、インジウムの薄膜
    で形成する、請求項46に記載した機能素子の製造方
    法。
  48. 【請求項48】 基体と炭素系薄膜と前記フラーレン重
    合体膜との積層体を構成する、請求項34に記載した機
    能素子の製造方法。
  49. 【請求項49】 前記基体の平滑面上に前記炭素系薄膜
    と前記フラーレン重合体膜とをこの順に積層する、請求
    項48に記載した機能素子の製造方法。
  50. 【請求項50】 前記基体の前記平滑面のラフネス(R
    a)を1μm以下とする、請求項49に記載した機能素
    子の製造方法。
  51. 【請求項51】 前記基体上に、第1電極と前記炭素系
    薄膜と前記フラーレン重合体膜と第2電極とをこの順に
    積層する、請求項48に記載した機能素子の製造方法。
  52. 【請求項52】 前記基体及び前記第1電極を透明とす
    る、請求項51に記載した機能素子の製造方法。
  53. 【請求項53】 前記基体上に、前記炭素系薄膜と一対
    の電極とをこの順に積層し、少なくとも前記一対の電極
    間に前記フラーレン重合体膜を形成する、請求項48に
    記載した機能素子の製造方法。
  54. 【請求項54】 前記炭素系薄膜を有機化合物の熱分解
    法により形成する、請求項48に記載した機能素子の製
    造方法。
  55. 【請求項55】 前記フラーレン重合体膜を有し、光触
    媒として機能する素子を得る、請求項34に記載した機
    能素子の製造方法。
  56. 【請求項56】 基体上に前記フラーレン重合体膜を積
    層する、請求項55に記載した機能素子の製造方法。
  57. 【請求項57】 前記フラーレン重合体膜の表面に金属
    微粒子を担持させる、請求項55に記載した機能素子の
    製造方法。
  58. 【請求項58】 前記金属微粒子を、スパッタ、蒸着又
    は塗布により前記フラーレン重合体膜上に担持させる、
    請求項57に記載した機能素子の製造方法。
  59. 【請求項59】 粒径0.5nm〜100μmの前記金
    属微粒子を前記フラーレン重合体膜上に1000000
    個/m2以下の面積比率で分布させる、請求項57に記
    載した機能素子の製造方法。
  60. 【請求項60】 前記金属微粒子として、白金又はパラ
    ジウムの微粒子を用いる、請求項57に記載した機能素
    子の製造方法。
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