JP2001170046A - 生体組織性状診断装置 - Google Patents

生体組織性状診断装置

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JP2001170046A
JP2001170046A JP35954999A JP35954999A JP2001170046A JP 2001170046 A JP2001170046 A JP 2001170046A JP 35954999 A JP35954999 A JP 35954999A JP 35954999 A JP35954999 A JP 35954999A JP 2001170046 A JP2001170046 A JP 2001170046A
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ultrasonic
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Hideo Adachi
日出夫 安達
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、測定対象によることなく、正確な診
断をなし得るようにした生体組織性状診断装置を提供す
る。 【解決手段】本発明によると、生体内で反射または透過
した超音波パルスを受信して電気信号に変換し、この電
気信号の持つ特徴量から生体の組織性状を診断する信号
解析手段を備えた生体組織性状診断装置において、前記
信号解析手段は、前記電気信号の信号パルス幅を設定す
るパルス幅設定手段と、該設定された信号パルス幅内か
ら、少なくとも領域の一部が異なる複数の信号領域を抽
出する領域抽出手段と、該抽出領域のそれぞれにおい
て、所定の波形特徴値を計算する波形特徴値計算手段
と、該計算された波形特徴値間の差異を演算する差異演
算手段と該差異演算の結果とその超音波パルスの受信時
刻とを関連付けることで、前記差異演算の結果と前記受
信超音波パルスを発生させた生体組織の位置を対応させ
る対応時刻決定手段とを含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は生体組織性状診断装
置に係り、特に、生体組織構造体の組織性状値の診断結
果を表示する生体組織性状診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、超音波診断技術は、デジタル化技
術の進展により、ダイナミックレンジの改善、信号処理
の多様化、ビームフォームの高精度化、超音波画像の3
次元表示が可能になり、感度、空間分解能、コントラス
ト分解能が飛躍的に向上していると共に、更に、ハーモ
ニックイメージング等の新技術によって従来よく見えな
かった組織構造の様子が見えるようになり、医療におけ
る診断精度が大きく改善されつつある。
【0003】しかし、これらの技術は、いずれも組織構
造診断には大きな光明をもたらしているが、組織性状診
断技術、即ち、組織の音速、減衰、音響インーダンス等
の組織構造体の物性量を断層像表示する技術は医療から
のニーズは大きいものの、現時点では実用化に至ってお
らず、超音波診断技術に関する残された重要技術課題と
なっている。
【0004】これに対し、エラストグラフィー或いはエ
ラスティックイメージングと呼ばれる技術が注目を浴び
つつある(K.I.Parkr 、L.Gao 、R.M.Lerner and S.
F.Levinson:「Techniques for Elastic Imaging 、
A Review」、IEEE Engineering in Medicine an
d Biology pp52(1996))。
【0005】この技術は生体組織に外部から応力を作用
させ、応力印加前後の微小散乱エコー発生時刻の相対的
変化を計算し、この計算結果即ち歪みをBモード表示と
するという方法である。
【0006】この場合、印加応力の部位による分布が無
いとすれば、該歪みの逆数が弾性定数に比例することに
なる。
【0007】しかしながら、上記の技術は、計算が複雑
で演算時間がかかりすぎたり、対象物に対し静的加圧或
いは加振させる必要があり、実用化は簡単ではない。
【0008】これに対し、本出願人は従来の超音波エコ
ー信号を用い、加圧や加振の必要のない組織物性の深部
診断が可能な新しい方法を提案している(特願平10−
178861号)。
【0009】この方法は、従来例として、図9に示すよ
うに、圧電振動子を含む超音波トランスデューサ101
にパルサ回路102からダイオード103を介して高電
圧広帯域のパルス信号を与えることによって、超音波ト
ランスデューサ101より対象物に超音波を照射する。
【0010】これによって得られる対象物からの超音波
エコー信号をタイミングゲートパルス発生器107によ
って制御されるゲーテドアッテネータ104及びゲーテ
ドアンプ105を介して高速フーリェ変換器(FFT)
としての周波数特性変換器106によって周波数信号に
変換する。
【0011】そして、この方法の特徴は、その周波数特
性信号の波形特徴を示す値を波形特徴抽出手段108に
よって抽出したのち、波形特徴一時記憶手段109に記
憶させると共に、該抽出値を、予め、音響インピーダン
ス算出部110の表面層音響インピーダンス算出回路1
11、及び深部音響インピーダンス算出回路112にそ
れぞれ格納された表面層音響インピーダンス及び深部音
響インピーダンス算出のための検量線式、即ち音響イン
ピーダンスが既知の複数の高分子樹脂サンプルについ
て、音響インピーダンスを通常の方法で測定しておき、
深部位置算出手段113との協働によって、Aモード信
号表示手段114に表示させるために、その値を横軸
に、また同時にそれらのサンプルの表面または境界面反
射エコー信号の波形特徴値を測定し、これを縦軸にプロ
ットし、両者の相関を直線回帰した式に代入し、音響イ
ンピーダンスの深さ方向プロファイルを得る点にある。
【0012】この方法の原理は、まず、対象物の表面反
射エコー信号の波形特徴値の値と、完全反射物体で得ら
れた表面反射エコー信号の波形特徴値の値とから、前記
した検量線に基づいて表面層の音響インピーダンスを計
算し、次の表面層と2層目との界面からの反射エコー信
号と表面層の音響インピーダンスから、2層目の音響イ
ンピーダンスを求める。
【0013】以下、同様にしてi−1層目の音響インピ
ーダンスとi−1層目とi層目の境界面からの反射エコ
ー信号の波形特徴値とからi層目の音響インピーダンス
を求めてゆくというものである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記し
た本出願人による従来技術は、i−1層とi層の音響イ
ンピーダンスに比較的大きな差がある場合には各層の音
響インピーダンスを精度良く求められるが、その差が比
較的小さい場合には音響インピーダンスを求める精度が
低下する可能性があることがその後の検討でわかってき
た。
【0015】すなわち、生体組織は一部の組織を除い
て、異常組織を含まない一つの連続した組織であって
も、その内部に超音波散乱中心を有していて、その散乱
中心からの微小エコー信号は、互いに干渉しあい、その
振幅を弱めあったり強めあったりする。
【0016】そして、観測され得るまでに強めあった干
渉超音波信号は組織内の斑点(スペックル)信号として
観測される。
【0017】この信号はi−1層とi層の音響インピー
ダンスの差が小さい場合には、両層の境界面からの反射
エコー信号の振幅と同程度かそれ以上の大きさになる可
能性があり、これらのスペックル信号と両層の境界面か
らの反射エコー信号とを精度良く分離特定出来なくなっ
てしまう可能性がある。
【0018】また、従来から超音波が対象物に垂直に入
射しないと、その角度に応じて、境界面からの反射エコ
ー信号の最大振幅が変化することは知られているが、波
形特徴値も同様に変化することが確認されている。
【0019】生体組織は各層が平行平面に層状に積層さ
れているのは希で、特定の界面に垂直に入射していて
も、他の界面では傾いて入射するのが一般的である。
【0020】この場合、二つの界面からのエコー信号の
波形特徴値に差異が認められた場合、その差異の原因が
対象物物性の差によるものか、入射角度の差異によるも
のかの判別が難しくなる可能性がある。
【0021】以上のように上述した先行技術に記載した
ような境界面からの反射エコー信号を捕らえて、その波
形特徴値から検量線に基づいて生体組織の音響インピー
ダンス等の組織性状を診断する方法は、測定対象によっ
ては診断の精確さという点で課題を残していると言え
る。
【0022】これは、同じ時間軸上の異なる時刻に発生
するそれぞれのエコー信号の波形特徴値間の差異データ
を用いて、対象物の物性を診断するために起こる不具合
であると言える。
【0023】本発明は、上記のような先行技術の有する
不具合を解決するためになされたもので、境界面からの
反射エコー信号を捕らえて、その波形特徴値から検量線
に基づいて生体組織の音響インピーダンス等の組織性状
を診断する際に、測定対象によることなく、正確な診断
をなし得るようにした生体組織性状診断装置を提供する
ことを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明によると、上記課
題を解決するために、(1) 超音波パルスを生体に送
信する送信手段と、生体内で反射または透過した前記超
音波パルスを受信する受信手段と、前記受信した超音波
パルスを電気信号に変換し、この電気信号の持つ特徴量
から生体の組織性状を診断する信号解析手段と、この信
号解析手段による診断出力を表示する表示手段とを備え
た生体組織性状診断装置において、前記信号解析手段
は、前記電気信号の信号パルス幅を設定するパルス幅設
定手段と、該設定された信号パルス幅内から、少なくと
も領域の一部が異なる複数の信号領域を抽出する領域抽
出手段と、該抽出領域のそれぞれにおいて、所定の波形
特徴値を計算する波形特徴値計算手段と、該計算された
波形特徴値間の差異を演算する差異演算手段と該差異演
算の結果とその超音波パルスの受信時刻とを関連付ける
ことで、前記差異演算の結果と前記受信超音波パルスを
発生させた生体組織の位置を対応させる対応時刻決定手
段と、を含むことを特徴とした生体組織性状診断装置が
提供される。
【0025】(作用効果)生体組織性状診断装置を構成
する送信手段によって、電気信号が超音波パルス信号に
変換され、該超音波パルスは生体組織内に送信される。
【0026】この送信超音波は音響インピーダンスの異
なる組織境界部で、その差異に応じた反射超音波パルス
信号を発生し、超音波パルスエコー信号となって受信手
段に帰還し、受信され、電気信号に変換される。
【0027】この電気信号は、パルス幅設定手段、領域
抽出手段、波形特徴値計算手段、差異演算手段、対応時
刻決定手段からなる信号解析手段によって解析される。
【0028】先ず、パルス幅設定手段によって、特定の
振幅以上のパルス信号を選択し、同時にそのパルス信号
のパルス幅が計算される。
【0029】次いで、領域抽出手段によって、前記設定
された信号パルス幅内から、少なくとも領域の一部が異
なる少なくとも2つの信号領域が抽出される。
【0030】更に、波形特徴値計算手段によって、前記
抽出された2つの信号領域のそれぞれにおいて波形特徴
値が計算される。
【0031】次いで、前記計算された2組の波形特徴値
は差異演算手段によって、両者の差異が計算される。
【0032】この差異値は対応時刻決定手段によって、
対象としているパルスの発生時刻と関係付けられ、該関
係付けられたデータは表示手段によって表示される。
【0033】以上に示すような手段により、複数の超音
波パルス間の波形特徴値を用いて組織性状診断するとい
う先行技術が有していた欠点を排し、信頼性の高い生体
組織性状診断が可能となる。
【0034】また、本発明によると、上記課題を解決す
るために、(2) 超音波パルスを生体に送信する送信
手段と、生体内で反射または透過した前記超音波パルス
を受信する受信手段と、前記受信した超音波パルスを電
気信号に変換し、この電気信号の持つ特徴量から生体の
組織性状を診断する信号解析手段と、この信号解析手段
による診断出力を表示する表示手段とを備えた生体組織
性状診断装置において、前記信号解析手段は、前記電気
信号の信号パルス幅を設定するパルス幅設定手段と、該
設定された信号パルス幅内から、少なくとも領域の一部
が異なる複数の信号領域を抽出する領域抽出手段と、該
抽出領域のそれぞれにおいて、複数の波形特徴値を計算
する波形特徴値計算手段と、該複数の波形特徴値を、該
抽出領域毎に結合演算する結合演算手段と、該結合演算
された波形特徴値間の差異を演算する差異演算手段と、
該差異演算の結果とその超音波パルスの受信時刻とを関
連付けることで、前記差異演算の結果と前記受信超音波
パルスを発生させた生体組織の位置を対応させる対応時
刻決定手段と、を含むことを特徴とした生体組織性状診
断装置が提供される。
【0035】(作用効果)生体組織性状診断装置を構成
する送信手段によって、電気信号が超音波パルス信号に
変換され、該超音波パルスは生体組織内に送信される。
【0036】この送信超音波は音響インピーダンスの異
なる組織境界部で、その差異に応じた反射超音波パルス
信号を発生し、超音波パルスエコー信号となって受信手
段に帰還し、受信され、電気信号に変換される。
【0037】この電気信号は、パルス幅設定手段、領域
抽出手段、波形特徴値計算手段、結合演算手段、差異演
算手段、対応時刻決定手段からなる信号解析手段によっ
て解析される。
【0038】先ず、パルス幅設定手段によって、特定の
振幅以上のパルス信号を選択し、同時にそのパルス信号
のパルス幅が計算される。
【0039】次いで、領域抽出手段によって、前記設定
された信号パルス幅内から、少なくとも領域の一部が異
なる少なくとも2つの信号領域が抽出される。
【0040】更に、波形特徴値計算手段によって、前記
抽出された2つの信号領域のそれぞれにおいて、複数の
波形特徴値が計算される。
【0041】次いで、前記複数の波形特徴値は結合演算
手段によって複数の波形特徴値が結合計算され、新たな
波形特徴値がそれぞれの領域において設定される。
【0042】そして、新たに設定された2組の波形特徴
値は差異演算手段によって両者の差異が計算される。
【0043】この差異値は対応時刻決定手段によって、
対象としているパルスの発生時刻と関係付けられ、該関
係付けられたデータは表示手段によって表示される。
【0044】また、本発明によると、上記課題を解決す
るために、(3) 前記超音波パルスを生体に送信する
送信手段を構成する超音波トランスデューサが圧電振動
子を1次元または2次元に配列した配列形超音波トラン
スデューサであり、請求項1または2に記載した全ての
手段からなる回路群を1チャンネルとしたとき、複数の
チャンネルからなり、チャンネル間切り替えを機械的ま
たは電子的に行う手段を有することを特徴とした(1)
または(2)に記載の生体組織性状診断装置が提供され
る。
【0045】(作用効果)機械的超音波ビーム走査手段
または電子式チャンネル間切り替え手段によって、超音
波ビームを超音波ビーム放射方向と直交した面内で走査
することができるようになるので、生体組織性状のBモ
ード像が得られるようになる。
【0046】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の実施
の形態について説明する。
【0047】(本発明の第1の実施の形態)まず、本発
明の概要について説明する。
【0048】一般に、生体を透過した超音波の周波数成
分は、高周波数成分ほど減衰し、また、中心周波数が低
下することが知られている。
【0049】また、一つのエコーパルス信号に着目する
と、図1に示したように、パルスの末尾(ゲート位置が
大きい数で表される)に行くほど中心周波数が高くなる
ことを本発明者は確認している。
【0050】この理由は具体的に解明されている訳では
ないが、一つの超音波パルスの中の初期の振動によって
対象物の粘性抵抗が減少し、後続して同じ経路を伝播す
るパルス振動が振動しやすくなり、比較的周波数成分の
低下が小さくなり、その結果、一つのエコーパルスの時
間領域における相対的な周波数成分の分布が観察される
ことになるものと、本発明者は考えている。
【0051】この粘性抵抗は一般的な物性値で表現する
と、生体組織の減衰特性や音速に関係するので、パルス
の初期の周波数成分と末尾の周波数成分を比較演算し、
演算結果とパルス発生時刻との相関をとることにより、
そのパルス発生時刻に対応する位置における減衰や音
速、更には、観測されるパルス列内の全てのパルスにつ
いて同様の処理を行うことによって組織性状特性の深さ
分布を診断できることになる。
【0052】本実施の形態に関わる具体的な構成につい
て記述する前に、本出願人による先行技術(特願平10
−178861号)と本発明の相違について図2及び図
3を対比的に用いて具体的に説明する。
【0053】図2が本出願人による先行技術、図3が本
実施の形態の概念を説明するための図である。
【0054】先ず、先行技術に関して説明する。
【0055】図2の(a)に示すように、参照符号10
01は、パルスエコー信号列の一つの時間領域に捕らえ
た超音波パルス列を示し、この超音波パルス列1001
には、それぞれ、時間特性1002,1003を有した
超音波パルスAと超音波パルスBとが含まれている。
【0056】この超音波パルス列1001は異なる音響
インピーダンスを有する組織境界部から反射したエコー
信号なので、超音波パルスBは超音波パルスAに対し、
一つ隣の(深い)位置にある組織境界部から反射したエ
コー信号と言える。
【0057】この両者の波形の差は、その間に超音波が
伝播したときに受ける変化なので、この変化は前記両境
界面に挟まれた組織の有する組織性状特性に起因するこ
とは容易に推測できることである。
【0058】超音波パルスAと超音波パルスBとは、そ
れぞれ第1のゲート1004、第2のゲート1005に
よりゲーテングがかけられた後、高速フーリェ変換(F
FT)処理することにより、それぞれ、図2の(b)に
示すような周波数特性1007,1008が得られる。
【0059】この周波数特性1007,1008の差異
を評価することは、超音波パルスAと超音波パルスBと
の波形の変化を評価すると言うことと等価となる。
【0060】これら超音波パルスAと超音波パルスBと
の時間特性1002,1003は、縦軸の時間軸に対す
る変化が急峻で、最大振幅やゼロクロス点周期以外の波
形特徴を評価することが難しい。
【0061】一方、最大値で規格化した周波数特性は縦
軸の変化は比較的小さく、周波数に関する波形の特徴を
評価しやすい。
【0062】従って、このような評価しやすい周波数特
性上の波形特徴値(波形特徴パラメータ)、例えば、ピ
ーク周波数、中心周波数、比帯域幅、6dB低下周波
数、1次モーメント、2次モーメント、等の波形特徴値
(波形特徴パラメータ)に関し、周波数特性1007,
1008間の差異ΔFPを評価する。
【0063】これをΔFPi(iは波形特徴値の種類を
表す添え字)とし、添え字の異なるΔFPをそれぞれ定
数a,b…を乗じ、重み付けをした結果を次の(1),
(2)式のように合計する。
【0064】 組織性状1=aΔFP1+bΔFP2+… …(1) 組織性状2=cΔFP1+dΔFP2+… …(2) この合計した結果を組織性状値として、エコー信号の発
生時期と対応付けることによって、組織性状特性分布が
得られる。
【0065】図2の(c)に示すように、この分布特性
は、参照符号1010として示すように隣合わせたパル
スエコー信号1009,1011が発生する間は一定の
値を示す表示となる。
【0066】そして、重み付けの方法を式(1),
(2)のように変えることにより、組織性状1、組織性
状2、・・・・、と多くの組織性状が得られる。
【0067】これは多様な診断モードが可能なことを意
味し、従来の診断方法では得られない新しい生体組織性
状診断に結びつく可能性がある。
【0068】以上が本出願人による先行技術の内容であ
る。
【0069】しかし、このように一対のエコー信号の相
対的関係を求めるとき、境界面の相対的な傾きが問題に
なることが分かってきた。
【0070】即ち、相対的な傾きがある場合は、無い場
合に比べ、波形特徴値の差異ΔFPiが異なる値を示
す。
【0071】この異なる値は、組織性状の本質的な差で
はなく、構造的な差と言え、組織性状診断に誤差を与え
ることになる。
【0072】次に、以上のような組織性状診断に誤差を
与える可能性があるという本出願人による先行技術の問
題を解消することを主眼とした本発明の概念を説明す
る。
【0073】図3の(a)に示すように、波形1012
は図2の(a)の波形1001のAの部分1002を単
独で表したものである。
【0074】このエコーパルス波形は音響インピーダン
ス境界面での反射なので、反射信号Prefはこの境界
面に入射する超音波Poに対し、
【0075】
【数1】
【0076】で表される。
【0077】Z1,Z2は、境界面を挟む両組織のそれ
ぞれの音響インピーダンスで、Z1を境界面の手前、Z
2を境界面の後方の組織の音響インピーダンスとする。
【0078】この式(3)から分かるように、Pre
f,P0,Z1とが分かっていれば、Z2はその境界面
に接した後方の組織の音響インピーダンスであり、組織
性状特性である。
【0079】生体組織は、一般に、複素音響インピーダ
ンスで表され、音響インピーダンスの虚数成分を有する
ことになり、これによってPrefはP0に対し、振幅
だけでなく、位相変化も受けることによって、周波数に
関連する波形特徴値も変化を受けることになる。
【0080】図3の(a)に示したパルスエコー信号1
012は、上式(3)で表されるPrefに相当する
が、これを詳しく観測すると図1に示したようにパルス
内で時間経過と共に周波数が上昇することを観測するこ
とができる。
【0081】この理由の詳細は分からないが、先述した
理由と考えると、図3の(b)に示すように、第1のゲ
ート1015で抽出された部分1013と第2のゲート
1016で抽出された部分1014の時間軸波形をそれ
ぞれFFT変換した周波数特性1017と1018との
波形の差は複素音響インピーダンスZ2によって引き起
こされたことになる。
【0082】従って、それぞれの波形の波形特徴値FP
1,FP2の差異ΔFPiを用いて、下式(4),
(5)で表した組織性状1、組織性状2という種々の組
織性状を求めることができるようになる。
【0083】 組織性状1=aΔFP1+bΔFP2+… …(4) 組織性状2=cΔFP1+dΔFP2+… …(5) 上述のように、新たな波形特徴値を二つの領域に関しそ
れぞれ計算しその差異を求め、式(4),(5)のよう
に計算し、図3の(c)に示すように、その結果とパル
ス幅設定したパルス信号のパルス発生時刻とを関係付け
ることによって、その位置における組織性状が診断でき
ることになる。
【0084】また、図3の(c)に示すように、特定の
深さにわたって観測されたエコーパルス列信号101
9,1020,1021…から、それぞれのエコーパル
スの発生時刻とそのエコーパルスから得られる組織性状
値との関係をプロットすることにより組織性状値の深さ
方向分布が分かることになる(Aモード表示)。
【0085】更には、一本の超音波ビームのみで得られ
る前述のAモード表示を、超音波ビームの走査によって
断面情報(Bモード表示)に展開することも可能であ
る。
【0086】この組織性状値は、具体的に弾性定数等の
一般的な材料定数と直接関係しているとは言えないが、
従来のBモード表示で得られなかった新しい診断情報が
得られる可能性がある。
【0087】本発明による手法では、一つの境界面から
の反射信号のみを用いているので、先行技術のように二
つの境界面の平行度を問題にする必要がなくなるので、
診断の精度が向上するばかりでなく、観測にかかる時間
が短くなるというメリットも有している。
【0088】次に、上記概念に基づいた本発明の生体組
織性状診断装置に関する第1の実施の形態について以下
に詳述する。
【0089】[構成]図4は、本発明の第1の実施の形
態による生体組織性状診断装置を構成する超音波パルス
送受信部及び信号処理部までの構成を示すブロック図で
ある。
【0090】即ち、図4に示すように、送受信用超音波
トランスデューサ1からの受信出力をパルサレシーバ2
の受信部で受信し、その出力から超音波パルス抽出回路
3で閾値設定回路4によって設定された閾値以上の振幅
を有する超音波パルスのみを抽出し、パルス幅を決定す
るパルス幅設定回路5に導く。
【0091】ここで、閾値設定回路4による閾値設定
は、パルスエコー列信号であるAモード信号の表示装置
(図示しないモニタなど)による表示像を参照しながら
比帯域幅やパルス波形の波数に対応させて決定する。
【0092】更に、超音波パルス抽出回路3の出力はパ
ルス幅設定回路5に導かれた後、超音波パルス抽出回路
3によって抽出された全ての超音波パルス波形が対数増
幅器6によって飽和しない最大の振幅に増幅される。
【0093】尚、対数増幅器6の増幅度設定は、パルス
エコー列信号の時間経過とともに単調に増加させ、距離
による減衰を補償する。
【0094】ついで対数増幅器6からの出力はA/D変
換器7に入力されてデジタル信号に変換される。
【0095】次に、該デジタル信号は、予め、パルス波
形の波形抽出領域が設定されている先行領域抽出回路8
と後続領域抽出回路9とに順に入力される。
【0096】ここで、先行領域抽出回路8での波形抽出
が完了したら即座にスイッチ回路10がスイッチされ、
後続領域抽出回路9での波形抽出が行われる。
【0097】両領域での抽出波形は、スイッチ回路10
を介して、高速フーリェ変換器(FFT)12で演算処
理されてから波形特徴値を抽出するチャンネルと、ゼロ
クロス点周期から周波数に関係した波形特徴値を抽出す
るチャンネルのいずれかにスイッチ回路11によって選
択される。
【0098】このスイッチ回路11による選択の基準
は、波数が少く比較的パルス振幅がそろっているパルス
列信号の場合にはFFT12で周波数特性に変換するチ
ャンネル、エコー信号の振幅のダイナミックレンジが大
きすぎ、微小振幅信号を大きく増幅した結果、オーバー
スケールとなるパルス信号が含まれるときには、ゼロク
ロス点周期計算のチャンネルを選ぶものとするが、その
設定は実際の診断画像に応じて選ばれる。
【0099】前者のチャンネルは、FFT12、波形特
徴値抽出回路14、スイッチ回路17、一時記憶回路1
9からなる。
【0100】また、後者のチャンネルは、ゼロクロス点
周期検出回路13、ゼロクロス点周期の平均値、最大
値、最小値、分散値を演算するゼロクロス点特徴値抽出
回路15、スイッチ回路18、一時記憶回路20からな
る。
【0101】ここで、波形特徴値抽出回路14の出力を
スイッチするスイッチ回路17とスイッチ回路10、及
びゼロクロス点特徴値抽出回路15の出力をスイッチす
るスイッチ回路18とスイッチ回路10とは、それぞれ
連動して動作する。
【0102】これらのスイッチ回路17、スイッチ回路
18によって、それぞれ、先行領域での波形特徴値が一
時記憶回路19、20に一時記憶される。
【0103】次に、後続領域の波形特徴値が抽出された
段階で、一時記憶された先行領域の波形特徴値が呼び出
され、それぞれ差異演算回路21、22によって差異演
算が行われる。
【0104】ついで、差異演算回路21、22の出力
は、スイッチ回路11と連動してスイッチ動作するスイ
ッチ回路23によって二者択一され、その結果がAモー
ド対応回路24に送られて、前記超音波パルス抽出回路
3の時刻(タイミング)出力の関係との対応を決定した
のち、図示しない表示装置(モニタなど)に送られて、
横軸を時間又は深さ距離、縦軸にスイッチ回路23から
の出力(組織性状値)をとった表示(Aモード表示)が
なされる。
【0105】そして、スイッチ回路11、23及びスイ
ッチ回路10、17或いはスイッチ回路10、18は、
それぞれ連動して動作するように、図示していないスイ
ッチタイミング設定手段によって指示されるものとす
る。
【0106】尚、ここで言うAモード表示はグラフ表示
や色階調表示に限定せず、パルス発生時刻、即ち、生体
組織測定部位と、前記した差異計算値との関係を表で表
す形式、あるいはそれらを組み合わせて表示する形式も
含んでいるものとする。
【0107】[作用効果]以下に、本実施の形態の作用
効果について詳述する。
【0108】まず、パルサレシーバ2のパルサ部から台
形波形、又はダブル矩形のパルスが、送受信用超音波ト
ランスデューサ1に印加される。
【0109】送受信用超音波トランスデューサ1は、こ
の駆動電圧印加によって大きな振幅の超音波振動が、も
しくは従来程度の振幅を低電圧印加で励起できる。
【0110】また、前記した波形による駆動(これを便
宜的に、ダイナミック・ダンピングと呼び、以降DD駆
動と略称する)により、前述した先行技術としての特願
平10−178861号に示した原理に基づいて超音波
パルス数の少ない広帯域の送信超音波パルスが得られ
る。
【0111】送受信用超音波トランスデューサ1からの
該送信超音波は生体組織に入射し、音響インピーダンス
に差異のある境界面で反射、透過を繰り返し、Aモード
超音波パルス列信号が得られる。
【0112】尚、このような駆動、即ち、DD駆動は高
感度と高い分解能を特に求めるときには有効であるが、
そうでない場合には、通常のパルス駆動方式でも良いこ
とは言うまでもないことである。
【0113】微小散乱エコー中心からの微小エコーの干
渉エコー波形、いわゆるスペックル信号を含めると大小
種々の振幅のパルスエコー信号列が送受信用超音波トラ
ンスデューサ1を経てパルサレシーバ2の受信部で観測
される。
【0114】通常なら大きく減衰する超音波エコー信号
も、前記DD駆動を用いることによって、比較的大きな
振幅を有するAモード超音波パルス列信号が得られる。
【0115】しかし、このAモード超音波パルス列信号
には、種々のベースラインノイズが重畳しているので、
予め、これらのノイズを抽出しないように設定されてい
る閾値以上の振幅を有するパルスのみが超音波パルス抽
出回路3によって選択的に抽出される。
【0116】このようにして抽出されたパルス波形は、
先行する波形特徴値と後続する波形特徴値の抽出時間領
域を明確かつ一義的に定義するために、パルス幅設定回
路5によってパルス幅が定義される。
【0117】ついで、抽出されたパルス波形は対数増幅
器6により、対数増幅され、いずれのエコー信号の振幅
も同程度の振幅のエコー信号に変換される。
【0118】このようにして変換されたパルスエコー波
形は、波形特徴値の演算が高精度で短時間に行えるよう
に、信号処理によるS/N低下を防ぐために、A/D変
換器7でデジタル信号に変換される。
【0119】このようにして変換されたデジタル超音波
パルス信号は、パルス幅検出回路5で検出されたパルス
幅に対して、例えば、パルス幅の最初から10%から4
0%の領域が先行パルス領域として先行領域抽出回路8
によって抽出される。
【0120】次に、同様にパルス幅の60%から90%
の領域が後続パルス領域として後続領域抽出回路9によ
って抽出される。
【0121】このようにして抽出される領域は、例え
ば、先行領域が10%から60%、後続領域が40%か
ら90%というように重なり合う領域があっても良い。
【0122】そして、スイッチ回路10の制御によっ
て、まず、先行領域データが、スイッチ回路11を経
て、周波数特性に変換後波形特徴値を抽出するチャンネ
ル(Fチャンネルと呼ぶ)とするか、ゼロクロス点周期
から波形特徴値を抽出するチャンネル(Zチャンネルと
呼ぶ)とするかのいずれかに伝達される。
【0123】ここで、Fチャンネルに伝達されたデータ
はFFT12によって、時間軸データから周波数軸デー
タに変換され、波形特徴値抽出回路14によって以下に
示すような波形特徴値のうちの一つまたは複数が演算さ
れる。
【0124】尚、FFT12によって時間軸データを周
波数軸データに変換するにあたっては、変換前にハニン
グ関数、ハミング関数、矩形関数、ブラックマン関数等
の関数を乗じておいてもよい。
【0125】そして、上記関数を乗じてからフーリェ変
換することにより、抽出信号領域の両端をスムーズにゼ
ロにすることができ、ゼロにならないような場合に生じ
る、異常な周波数特性の発生を抑制することができ、さ
らに精度の高い波形特徴値の算出が可能となる。
【0126】その演算結果は、一時記憶回路19に一時
的に記憶される。
【0127】次に、スイッチ回路10、17がスイッチ
されることにより、後続領域データが同様の処理をされ
る。
【0128】そして、以下に示すような波形特徴値のう
ちの一つまたは複数が同様に演算されると、これら後続
領域データに対応する波形特徴値は、先に、一時記憶回
路19に一時記憶されていた先行領域データに対応した
波形特徴値と比較演算、例えば、除算処理が差異演算回
路21によって実行される。
【0129】一方、ゼロクロス点周期から波形特徴値を
抽出するチャンネル(Zチャンネル)によって抽出する
場合は、スイッチ回路11によってデータはゼロクロス
点周期検出回路13に伝達される。
【0130】そして、このゼロクロス点周期検出回路1
3によって検出された複数のゼロクロス点周期の平均
値、最大値、最小値、分散値のいずれか一つ又はいくつ
かを結合したゼロクロス点周期平均値、最大値、最小
値、分散値が計算され、スイッチ回路18に信号伝達さ
れる。
【0131】[波形特徴値]ここで、波形特徴値につい
て説明するが、まず、採用される波形特徴値の定義につ
いて説明する。
【0132】PV:周波数特性の最大値(時間軸特性の
最大振幅に等しい)、 Lo−p:周波数特性の最大値からp(dB)低下した
点の低域側周波数、 Hi−p:周波数特性の最大値からp(dB)低下した
点の高域側周波数、 CF:中心周波数(={(Lo−p)+(Hi−p)}
/2)、 PF:振幅が最大値を示す周波数、 BW−6:周波数特性の最大値からp(dB)低下した
点のバンド幅(={(Hi−p)−(Lo−p)})、 rBW−6:周波数特性の最大値からp(dB)低下し
た点の比帯域幅{(BW−6)/CF} Bjn:周波数特性全帯域をn等分した時のj番目の帯
域の振幅積分値、 1stM:一次モーメント:周波数に振幅を積算したも
のを全帯域にわたって積分し、振幅を全帯域にわたって
積分した値で除算した値、 2ndM:二次モーメント:(周波数−1stM)の2
乗に振幅を積算したものを全帯域にわたって積分し、振
幅を全帯域にわたって積分した値で除算した値である。
【0133】これらの波形特徴値の物理的意味は、ま
だ、十分に解明されているとは言えないが、以下に示す
ような本発明者らによる実験的検討によれば、これらの
波形特徴値はそれぞれ異なる対象物の物理的状況を示す
ことが分かる。
【0134】まず、シリコーン樹脂中にクリップを埋め
込んで硬化させたサンプルに10MHzの超音波パルス
を照射し、トランスデューサを面内走査し、表面反射パ
ルスエコー信号における波形特徴値の面内分布像を描出
すると、クリップの硬さが表面に反映されるので、表面
反射パルスエコー信号の波形特徴値の面内分布像はクリ
ップ像を描き出す。
【0135】しかし、この描出像は波形特徴値の種類に
よって少しづつ異なっていて、表現している対象物の物
理特性が少しづつ異なることを意味している。
【0136】また、前述した先行技術としての特願平1
0−178861号にも記述されているように、組織の
物性値は単一の波形特徴値だけと強い相関を持つのでは
なくて、複数の波形特徴値と強い相関を持つ場合があ
る。
【0137】このような例を表1に示す。
【0138】
【表1】
【0139】また、本発明者らは複数の波形特徴値をい
ずれか一つ、または複数を重み付けした結果の和を計算
し、その結果と別途測定した対象物の弾性率との相関を
とると強い相関が得られる場合があることを実験的に確
認している。
【0140】以上の考え方に基づいて、演算された先行
領域と後続領域のそれぞれにおける新たな波形特徴値は
差異演算回路21,22によって差異演算され、これに
よって得られた組織性状値、即ち、差異演算回路21ま
たは22の出力は、スイッチ回路23によって、そのい
ずれかが選択され、その結果と、先記した超音波パルス
抽出回路3で抽出するのに設定したゲート設定時刻との
対応つけをAモード対応回路24で行うものである。
【0141】このような装置によって得られる先行領域
と後続領域のそれぞれの波形特徴値を単独同士、または
複数種の波形特徴値を結合させた結果を比較演算した結
果、即ち、組織性状値のAモード表示は生体組織対象物
面内の特定の点の一つの超音波ビームに沿っての組織性
状深さプロファイルを表していて、Bモード超音波診断
の基礎となる。
【0142】また、検出値が従来のような振幅ではない
ので、新しい生体組織診断につながる可能性がある。
【0143】更に、先行技術が超音波エコー信号間演算
をして生体対象物の組織性状を診断するのに対し、本発
明では、同一超音波エコー信号内演算によって生体対象
物の組織性状を診断するので、超音波入射角度の影響や
ノイズの影響を低減することができることにより、精度
の高い診断が可能となる。
【0144】以上の手法は、本実施の形態で述べたよう
な従来構造の超音波トランスデューサ、即ち、送受信兼
用タイプであっても、また、後述する図6及び図7に示
すように送受信を一対の別々の超音波トランスデューサ
であっても効果がある。
【0145】尚、ここで言うAモード表示は、グラフ表
示や色階調表示に限定せず、パルス発生時刻、即ち、生
体組織測定部位と、前記した差異計算値との関係を表で
表す形式、或いはそれらを組み合わせて表示する形式も
含んでいる。
【0146】また、本実施の形態では、波形抽出領域を
二つとしているが、検出したい信号の性質に応じて、二
つ以上としたり、差ではなく除算することにより、差異
を求めるようにしてもよい。
【0147】(第2の実施の形態) [構成]前述した第1の実施の形態は最終的にAモード
表示とする例であったが、利用性から言うと、従来の生
体組織性状診断装置と同様、Bモード表示とすることが
できることが望ましい。
【0148】この第2の実施の形態は、第1の実施の形
態に示したAモードデータを一つのチャンネルとして、
多数のチャンネルから構成される装置である。
【0149】図5は、この第2の実施の形態による生体
組織性状診断装置の構成を示すブロック図である。
【0150】即ち、この第2の実施の形態による生体組
織性状診断装置では、図4に示した第1の実施の形態に
よる生体組織性状診断装置の構成に加えて、超音波ビー
ムを機械的に走査する手段としての機械式超音波ビーム
走査回路81を新たに設けると共に、Aモード対応回路
24の代わりに、Bモード表示のためのスキャンコンバ
ータ80と、Bモード像表示制御回路82を用いるよう
にした以外は第1の実施の形態と同じなので、それらの
構成についての詳細な説明は省略する。
【0151】[作用効果]例えば、機械走査式単板超音
波トランスデューサを、高精度エンコーダとしての回転
角度検出センサつき機械式超音波ビーム走査回路81に
よって機械的にラジアル走査して一定の時間間隔で超音
波を送信し、同じ期間内で受信したパルスエコー信号列
をAモード信号とする。
【0152】そして、例えば、機械式超音波ビーム走査
回路81の高精度エンコーダで検出した複数の回転角度
情報と、各々の角度で得られたAモード信号と超音波パ
ルス抽出回路3で抽出するのに設定したゲート設定時刻
とを、超音波ビームの走査角度とパルス発生時刻及び最
大振幅との関係を対応付ける機能を有するスキャンコン
バータ80に入力して、超音波ビームの走査角度とパル
ス発生時刻及び組織性状値の対応付けを行い、該角度情
報と超音波パルス発生時刻情報を2軸とした平面座標上
に超音波パルス最大振幅をグレースケール化してマップ
化することによりBモード像が得られる。
【0153】即ち、スキャンコンバータ80の出力をB
モード像表示制御回路(スキャンコンバータ80の出力
を例えば深さ方向及び走査方向などの2次元像に変換す
る機能を有する回路)82にてBモード断層像に変換
し、Bモード像を図示しない表示装置に表示する。
【0154】本発明による生体組織性状診断装置では、
検出値が従来のような振幅だけではなく、前述した種々
の波形特徴値を用いることができるので、新しい生体組
織診断につながる可能性がある。
【0155】更に、前述した先行技術としての特願平1
0−178861号が超音波エコー信号間演算をして生
体対象物の組織性状を診断するのに対し、本発明では、
同一超音波エコー信号内演算によって生体対象物の組織
性状を診断するので、超音波入射角度の影響やノイズの
影響を低減することができることにより、精度の高い診
断が可能となる。
【0156】(第3の実施の形態)前述した二つの実施
の形態では、いずれも単一の超音波トランスデューサを
用いて、生体組織からの反射波について、その波形特徴
値を用いて生体組織の組織性状を診断するものであっ
た。
【0157】これに対し、この第3の実施の形態による
生体組織性状診断装置では、図6に示すように、一対の
超音波トランスデューサを用いるもので、そのうちの一
方を送信用、他方を受信用とすることにより、受信超音
波のパルス波形を解析する装置となっている。
【0158】図6は、一対の超音波トランスデューサと
生体組織対象物との配置の関係を示している。
【0159】即ち、図6では、生体組織対象物30を挟
むようにして送信用トランスデューサ25と受信用トラ
ンスデューサ26とが、それらの超音波ビーム軸が一致
するように、透過法形態で配置されている。
【0160】尚、参照符号27は、送信用トランスデュ
ーサ25に駆動信号を供給する信号線であり、参照符号
28は、受信用トランスデューサ26を駆動し、且つ受
信信号を伝達する信号線であり、参照符号29は、超音
波ビームである。
【0161】図8は、この第3の実施の形態による生体
組織性状診断装置の構成を示すブロック図である。
【0162】以下に図8を参照しながら、本実施の形態
について詳述する。
【0163】[構成]図8を用いて本実施の形態による
構成及びその制御方法について、以下に記述する。
【0164】図8に示すように、送信用トランスデュー
サ25がxyzθ走査手段85にマウントされていると
共に、受信用トランスデューサ26がxyzθ走査手段
86にマウントされている。
【0165】そして、これらのxyzθ走査手段85,
86に対し、後述するように制御用コンピュータ84に
よって制御されるマニピュレータ駆動電源83から供給
される駆動信号により、両トランスデューサ25,26
の相対位置や向きを独立に変更することができるように
接続されている。
【0166】これと、同時に、xyzθ走査手段85,
86に付属されている相対位置検出手段88や向き検出
手段87,89の出力信号が空間位置算出回路789に
入力される。
【0167】この空間位置算出回路789の出力(**
2) はスイッチ回路23の出力と共にスキャンコンバー
タ80に接続される。
【0168】本実施の形態に用いる送信用トランスデュ
ーサ25はダンピングを抑え、比較的Qmの大きな構造
にして前述したようなDD駆動することにより、振幅が
大きく、パルス幅が小さい超音波を生体組織に送信する
ことができるようになっている。
【0169】また、受信用トランスデューサ26は、逆
に、圧電振動子全面に大きなダンピングを与えるか、も
ともとQmの小さな圧電材料を用いた構造になされてい
るものとする。
【0170】そして、パルサレシーバ2の出力(**1)
は超音波パルス抽出回路3に接続され、以降の信号処理
は第1の実施の形態に示したと同様の信号処理回路を経
て、スイッチ回路23からスキャンコンバータ80に接
続されている。
【0171】このスキャンコンバータ80からの出力が
Bモード像表示制御回路82に接続されている。
【0172】尚、パルサレシーバ2への送信パルス発生
タイミング制御信号90、マニピュレータ駆動電源83
への制御信号96、閾値設定回路4への制御信号91、
先行領域抽出回路8への制御信号92、後続領域抽出回
路9への制御信号93、スイッチ回路10,17,18
への同時切り替え用制御信号94及びスイッチ回路1
1,23への同時切り替え用制御信号95は全て制御用
コンピュータ84から供給されるようになされている。
【0173】このうち、先行領域抽出回路8への制御信
号92及び後続領域抽出回路9への制御信号93は、パ
ルス幅検出回路5からの出力97が制御用コンピュータ
84に導かれることによって出力されるようになされて
いる。
【0174】[作用効果]このような第3の実施の形態
による生体組織性状診断装置の構成は、例えば、骨粗鬆
症に関連して、骨の密度を診断するときに有効である。
【0175】この場合、骨の密度の劣化、即ち骨粗鬆症
の進行具合を定量評価することは、治療の対策を明確に
するために、極めて重要であり、そのためには検出のダ
イナミックレンジが大きいことが必要である。
【0176】この検出のダイナミックレンジを大きくす
るためには、受信用トランスデューサ26の感度をS/
Nを低下させずに向上させるか、送信超音波パワーを増
加させる技術が必要である。
【0177】本実施の形態に用いる送信用トランスデュ
ーサ25は、前述したように、ダンピングを抑え、比較
的Qmの大きな構造にしてDD駆動することにより、振
幅が大きく、パルス幅が小さい超音波を生体組織に送信
することができるようになっている。
【0178】また、受信用トランスデューサ26は、逆
に、大きなダンピングを与えるか、もともとQmの小さ
な圧電材料を用いた構造になされているものとする。
【0179】例えば、ポリ弗化ビニリデンPVDF、シ
アン化ビニリデンPVCNはQmが小さく、音響インピ
ーダンスが生体組織の音響インピーダンスに近いため、
受信用トランスデューサ26の圧電材料として好まし
い。
【0180】以上の構成により、この第3の実施の形態
による生体組織性状診断装置は、ダイナミックレンジの
大きなセンシングを実現することができるので、減衰が
大きな骨粗鬆症患者の骨密度という生体組織性状を高い
精度で定量的に診断することが可能となる。
【0181】また、本実施の形態に示した走査装置を用
いて、生体対象物30と一対の超音波トランスデューサ
25,26の相対位置を走査することにより、超音波ビ
ームと垂直方向の骨密度等の組織性状の面内分布像を高
分解能で描出することができるようになる。
【0182】(第4の実施の形態) [構成]本実施の形態は、前述したような第3の実施の
形態と同様に一対の超音波トランスデューサを用いる構
成であるが、透過法ではなく、図7に示すような反射法
を用いる装置になっているのが、第3の実施の形態とは
異なる。
【0183】即ち、図7に示すように、送信用超音波ト
ランスデューサ31は、第3の実施の形態に用いられる
Qmの大きなトランスデューサ25と同じ構造をしてい
ているが、焦点深度が長くなるような音響レンズ構造と
なされていると共に、その駆動は前述したようなDD駆
動を用いて、振幅が大きくパルス幅の短い超音波パルス
37を生体組織に送信し、音響インピーダンス境界、例
えば、境界33で反射したエコー超音波信号38を受信
用超音波トランスデューサ32で受信するようになされ
ている。
【0184】尚、参照符号35は、送信用超音波トラン
スデューサ31に駆動信号を供給する信号線である。
【0185】そして、この受信用超音波トランスデュー
サ32によって変換された電気信号が配線36を経て、
図8に示したパルサレシーバ2のレシーバ入力部へ伝送
される。
【0186】このレシーバ入力部以降の信号処理は図8
(図4)に示した装置構成による信号処理と同じであ
る。
【0187】本実施の形態に用いる送信用超音波トラン
スデューサ31は、ダンピングを抑え、比較的Qmの大
きな構造にして前述したようなDD駆動することによ
り、振幅が大きく、パルス幅が小さい超音波を生体組織
に送信することができるようになっている。
【0188】また、受信用超音波トランスデューサ32
は、逆に大きなダンピングを与えるか、もともとQmの
小さな圧電材料を用いた構造になされているものとす
る。
【0189】尚、これら一対の超音波トランスデューサ
31,32は、目標とする深さ位置で超音波ビームの軸
が交叉するようにマニピュレータ駆動電源83の出力で
制御される。
【0190】同時に、それぞれの角度α、β、超音波ト
ランスデューサ31,32の間隔dを常にモニタ可能な
センサ、例えば、相対位置検出手段88としてのリニア
エンコーダや向き検出手段87,89としての回転角セ
ンサを備えた構成になっている。
【0191】これらのセンサの出力から空間位置算出回
路789によって交叉部の空間位置を求める。
【0192】そして、受信用超音波トランスデューサ3
2によって検出されたAモード信号に対して、深さ位置
に対応する時刻にゲートをかけて波形特徴値を抽出する
ためのパルス信号を採取する。
【0193】以降の信号処理手段の構成は、図8に示し
た構成の対数増幅器6以降と同じである。
【0194】[作用効果]以上の構成により、生体対象
物の組織性状を生体組織の片側から高精度、高分解能で
診断することができるようになる。
【0195】そして、上述したような実施の形態で示し
た本明細書には、特許請求の範囲に示した請求項1乃至
3以外にも、以下に付記1乃至付記11として示すよう
な発明が含まれている。
【0196】(付記1) 前記波形特徴値が、時間軸領
域における複数のゼロクロス点周期の、平均値、最大
値、最小値、分散値の少なくともいずれか一つであるこ
とを特徴とする請求項1または2に記載の生体組織性状
診断装置。
【0197】[作用効果]超音波エコー信号のゼロクロ
ス点は、信号を増幅させても、減衰させても変化するこ
とはない。
【0198】従って、ゼロクロス点周期も変化すること
は無い。
【0199】一つのパルスエコー信号に含まれる複数の
ゼロクロス点周期は、特定の分布を有している。
【0200】n個のうちのi番目のゼロクロス点周期を
Tiとすると1/2Tiは周波数に対応するので、
【0201】
【数2】
【0202】は中心周波数f0 に対応する波形特徴値と
なり、1つの超音波パルス波形の前記2つの領域におけ
るそれぞれの中心周波数f01、f02の差異を計算するこ
とによって、そのパルス発生時刻、即ち、深部位置にお
ける組織性状を診断することができるようになる。
【0203】また、n個のうちのi番目のゼロクロス点
周期をTiとすると1/2Tiは周波数に対応するの
で、Tiの最大値の逆数は周波数特性という観点では6
dB低下低域側周波数に対応する。
【0204】同様に、Tiの最小値の逆数は周波数特性
という観点では6dB低下高域側周波数に、ゼロクロス
点周期の分散は周波数の帯域に対応する。
【0205】このように、ゼロクロス点周期を用いれ
ば、微弱信号の増幅に伴って、他のパルス信号がオーバ
ースケールしても、そのオーバースケールしたパルス信
号の波形特徴を定義することができるので、正確な生体
組織性状診断が可能となる。
【0206】(付記2) 前記結合演算手段は、該抽出
領域毎にえられた該複数の波形特徴値に、それぞれ適当
な重み付け係数を掛け合わせた上で加算することで結合
演算結果を求めることを特徴とする請求項2に記載の生
体組織性状診断装置。
【0207】[作用効果]本構成を式で表現すると下式
の様になる。
【0208】波形特徴値k=aFP1 +bFP2 +……
+xFPN ここで、波形特徴値k:受信パルス信号のk番目の領域
の新たに設定した波形特徴値、例えば、k=1、2はそ
れぞれ二つの領域すなわち先行する領域と後続する領域
を示す。
【0209】a,b,…,x:重み付け係数、 FP1 ,FP2 ,…,FPN :付記4に記載するような
異なる種類の波形特徴値、 即ち、重み付け係数a,b,…,xを元の波形特徴値F
P1 ,FP2 ,…,FPN に独立に掛け合わせ、それぞ
れの項を加算して得られる新しい波形特徴値kを設定
し、この手順で複数の例えば二つの領域それぞれで新し
い波形特徴値kを求め、これらの領域における波形特徴
値k間の差異をとり、この差異計算結果をパルス発生時
刻と対応付けて表示する。
【0210】異なる波形特徴値はそれぞれ異なる物性量
を表しているが、このように波形特徴値に検出したい情
報に応じた適当な重み付けをして線形結合させた結果を
新たな波形特徴値とすることによって、生体組織性状診
断において、波形特徴値を単独で用いる場合には得られ
ない新しい情報が得られる。
【0211】(付記3) 前記差異演算手段は、前記そ
れぞれの抽出領域において求められた波形特徴値を除算
または減算することで差異を求めることを特徴とする請
求項1乃至2に記載の生体組織性状診断装置。
【0212】[作用効果]前記異なる抽出領域におけ
る、波形特徴値間で除算または減算を行い、その演算結
果を生体組織の組織性状情報を得るためのデータとす
る。
【0213】前記波形特徴値を単独で用いる場合に比較
し、感度が向上するだけでなく、共通に含まれるノイズ
成分やドリフト成分を除去することができるので、高精
度の生体組織性状の診断が可能になる。
【0214】(付記4) 前記波形特徴値が、前記領域
抽出手段で抽出された複数の信号領域に、それぞれ関数
を乗じた上で個々に高速フーリエ変換(FFT)して得
られる周波数特性から算出されることを特徴とした請求
項1乃至2に記載の生体組織性状診断装置。
【0215】尚、ここで言う波形特徴値は以下に定義す
るものである。
【0216】PV:周波数特性の最大値(時間軸特性の最
大振幅に等しい)、 Lo−p:周波数特性の最大値からpdB低下した点の低域
側周波数、 Hi−p:周波数特性の最大値からpdB低下した点の高域
側周波数、 CF:中心周波数(={(Lo−p)+(Hi−p)}/
2)、 PF:振幅が最大値を示す周波数、 BW−6:周波数特性の最大値からpdB低下した点のバン
ド幅(=(Hi−p)−(Lo−p))、 rBW−6:周波数特性の最大値からpdB低下した点の比
帯域幅(BW−p/CF)、 Bjn:周波数特性全帯域をn個に分割した時のj番目
の帯域の振幅積分値
【0217】
【数3】
【0218】1stM:一次モーメント:周波数に振幅
を積算したものを全帯域にわたって積分し、振幅を全帯
域にわたって積分した値で除算した値
【0219】
【数4】
【0220】2ndM:二次モーメント:(周波数−1
stM)の2乗に振幅を積算したものを全帯域にわたっ
て積分し、振幅を全帯域にわたって積分した値で除算し
た値
【0221】
【数5】
【0222】ここで、Ampi:周波数fiにおけるスペク
トル強度 fi:スペクトル内でのi番目のサンプリング周波数 fmin :スペクトルの最低周波数 fmax :スペクトルの最高周波数 [作用効果]ゼロクロス点間隔から求める波形特徴値は
周波数特性における中心周波数、6dB低下低域、高域
側周波数、バンド幅に対応するが、波数の少ないパルス
エコー信号ではゼロクロス点周期の数が少なく、平均値
や分散値の計算の意味がなくなってしまう。
【0223】これに対し、特定の関数を乗じた後、高速
フーリエ変換(FFT)によって得られる周波数特性か
らは精度の高い波形特徴値が得られる。
【0224】そこで、同一のパルスエコー信号に含まれ
る複数の異なる時間軸領域におけるそれぞれの波形を個
々に周波数特性に変換し、該周波数特性における波形特
徴値の値を用い、これらの値に関して、複数の異なる時
間軸領域の波形特徴値間差異を演算することにより精度
の高い生体組織性状の診断ができるようになる。
【0225】(付記5) 前記関数が、ハニング関数、
ハミング関数、矩形関数、ブラックマン関数のいずれか
であることを特徴とした付記4に記載の生体組織性状診
断装置。
【0226】上記関数の定義は以下の通りである。
【0227】
【数6】
【0228】[作用効果]前記した領域抽出手段によっ
て複数の信号領域を抽出する際に、信号領域の両端がス
ムーズに0になるような関数を乗じてFFT演算するこ
とにより、信号領域の両端がスムーズに0にならない場
合に起りうる、異常高周波信号成分の発生を抑制するこ
とができ、精度の高い波形特徴値の計算が可能となる。
【0229】(付記6) 前記超音波送信手段は超音波
振動子に台形の印加電圧波形を印加し、超音波パルスを
送信することを特徴とする請求項1または2に記載の生
体組織性状診断装置。
【0230】[作用効果]超音波パルスを生体に送信す
る送信手段にて、送信制御信号が台形波形なので、送信
時パルス幅が短く、振幅の大きな送信超音波を得ること
が可能となる。
【0231】(付記7) 前記台形印加電圧波形が、そ
の電圧上昇部分の傾きに対し、その電圧下降部分の傾き
が小さい波形であることを特徴とする付記6に記載の生
体組織性状診断装置。
【0232】[作用効果]電気信号を超音波信号に変換
する手段に印加する印加電圧波形が台形波形で、しかも
電圧上昇部分の傾きに対し、その電圧下降部分の傾きが
小さい波形であるため、電圧上昇部によって励起された
超音波波形の尾曳き部に、電圧下降部によって励起され
た振幅の小さい超音波波形が重なり、重なった部分が相
殺しあい尾曳き部の振幅が抑圧され、振幅が大きく、パ
ルス幅が短い超音波送信信号が得られる。
【0233】この手段により、生体組織性状診断の感度
が向上する。
【0234】(付記8) 前記超音波送信手段は超音波
振動子に一対の矩形の印加電圧波形を印加することで超
音波パルスに変換して送信することを特徴とする請求項
1または2に記載の生体組織性状診断装置。
【0235】[作用効果]電気信号を超音波信号に変換
する手段に印加する印加電圧波形が一対の矩形波からな
るので、送信時バルス幅が短く、振幅の大きな送信超音
波を得ることが可能となる。
【0236】(付記9) 前記一対の矩形印加電圧波形
が、互いに逆極性で、かつ、後続する矩形波の振幅が先
行する矩形波の振幅より小さいことを特徴とする付記7
に記載の生体組織性状診断装置。
【0237】[作用効果]先行する矩形波駆動による超
音波波形の尾曳き部に、後続する矩形波駆動によって励
起される振幅が小さく逆位相の超音波波形が作用しあ
い、尾曳き部の振幅が抑圧され、送信パルス幅が小さ
く、振幅の大きな超音波波形が得られ、感度が大きく高
い分解能の組織性状診断が可能となる。
【0238】(付記10) 前記信号解析手段が超音波
受信手段の出力信号をデジタル信号に変換するA/D変
換手段を有し、該A/D変換手段の出力から、パルス幅
を設定する前記パルス幅設定手段以降、前記対応時刻決
定手段までの解析過程をデジタル的に処理することを特
徴とする請求項1または2に記載の生体組織性状診断装
置。
【0239】[作用効果]超音波受信手段によって電気
信号に変換後、A/D変換手段によってデジタル信号に
変換し、信号解析をデジタル演算処理が可能になるよう
にすることによって、ノイズが少なく、ダイナミックレ
ンジの大きな信号解析が可能になり、感度が大きく高い
分解能の組織性状診断が可能となる。
【0240】(付記11) 超音波パルスを生体に送信
する工程と生体内で反射または透過した前記超音波パル
スを受信する工程と前記受信した超音波パルスを電気信
号に変換し、この電気信号の持つ特徴量から生体の組織
性状を診断する信号解析工程と、該信号解析工程による
診断出力を表示する表示工程と、を備えた生体組織性状
診断方法において、前記信号解析工程は、前記電気信号
の信号パルス幅を設定するパルス幅設定工程と、該設定
された信号パルス幅内から、少なくとも領域の一部が異
なる少なくとも二つの信号領域を抽出する領域抽出工程
と、該抽出領域のそれぞれにおいて波形特徴値を計算す
る波形特徴値計算工程と、該計算された波形特徴値間の
差異を演算する差異演算工程と、該差異演算の結果とそ
の超音波パルスの受信時刻とを関連付けることで、前記
差異演算の結果と前記受信超音波パルスを発生させた生
体組織の位置を対応させる対応時刻決定工程と、を含む
ことを特徴とした生体組織性状診断方法。
【0241】[作用効果]生体組織性状診断方法を構成
する送信工程によって、電気信号が超音波パルス信号に
変換され、該超音波パルスは生体組織内に送信される。
【0242】この送信超音波は音響インピーダンスの異
なる組織境界部で、その差異に応じた反射超音波パルス
信号を発生し、超音波パルスエコー信号となって帰還
し、受信工程によって電気信号に変換される。
【0243】この電気信号は、パルス幅設定工程、領域
抽出工程、波形特徴値計算工程、差異演算工程、対応時
刻決定工程からなる信号解析工程によって解析される。
【0244】まず、パルス幅設定工程によって、特定の
振幅以上のパルス信号を選択し、同時にそのパルス信号
のパルス幅が計算される。
【0245】次に、領域抽出工程によって、前記設定さ
れた信号パルス幅内から、少なくとも領域の一部が異な
る少なくとも二つの信号領域が抽出される。
【0246】更に、波形特徴値計算工程によって、前記
抽出された二つの信号領域のそれぞれにおいて波形特徴
値が計算される。
【0247】次に、前記計算された2組の波形特徴値は
差異演算工程によって両者の差異が計算される。
【0248】この差異値は対応時刻決定工程によって、
対象としているパルスの発生時刻と関係付けられ、該関
係付けられたデータは表示工程によって表示される。
【0249】以上に示す本方法により、複数の超音波パ
ルス間の波形特徴値を用いて組織性状診断するという先
行技術が有していた欠点を排し、信頼性の高い生体組織
性状診断が可能となる。
【0250】
【発明の効果】従って、以上説明したように、本発明に
よれば、先行技術の有する不具合を解決すべく、境界面
からの反射エコー信号を捕らえて、その波形特徴値から
検量線に基づいて生体組織の音響インピーダンス等の組
織性状を診断する際に、測定対象によることなく、正確
な診断をなし得るようにした生体組織性状診断装置を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の概要について説明するため
に、一つのエコーパルス信号に着目した場合において、
パルスの末尾に行くほど中心周波数が高くなることを示
す図である。
【図2】図2は、本出願人による先行技術(特願平10
−178861号)と本発明との相違を対比的に説明す
るために、本出願人による先行技術の概念を示す図であ
る。
【図3】図3は、本出願人による先行技術(特願平10
−178861号)と本発明との相違を対比的に説明す
るために、本発明の概念を示す図である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施の形態による生体
組織性状診断装置を構成する超音波パルス送受信部から
信号解析部までの構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、本発明の第2の実施の形態による生体
組織性状診断装置を構成する超音波パルス送受信部から
信号解析部までの構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、本発明の第3の実施の形態による生体
組織性状診断装置で用いる送受信を透過型とした一対の
超音波トランスデューサを示す図である。
【図7】図7は、本発明の第4の実施の形態による生体
組織性状診断装置で用いる送受信を反射型とした一対の
超音波トランスデューサを示す図である。
【図8】図8は、本発明の第3の実施の形態による生体
組織性状診断装置を構成する超音波パルス送受信部から
信号解析部までの構成を示すブロック図である。
【図9】図9は、生体組織性状診断装置の従来例として
本出願人によって提案されている先行技術(特願平10
−178861号)の問題点を説明するためのブロック
図である。
【符号の説明】
1…送受信用超音波トランスデューサ、 2…パルサレシーバ、 3…超音波パルス抽出回路、 4…閾値設定回路、 5…パルス幅設定回路、 6…対数増幅器、 7…A/D変換器、 8…先行領域抽出回路、 9…後続領域抽出回路、 10,11,17,18,23…スイッチ回路、 12…高速フーリェ変換回路(FFT処理部)、 13…ゼロクロス点周期検出回路、 14…波形特徴値抽出回路、 15…ゼロクロス点特徴値抽出回路、 19,20…一時記憶回路、 21、22…差異演算回路、 24…Aモード対応回路、 80…スキャンコンバータ、 81…機械式超音波ビーム走査回路、 82…Bモード像表示制御回路、 25…送信用トランスデューサ、 26…受信用トランスデューサ、 30…生体組織対象物、 83…マニピュレータ駆動電源、 84…制御用コンピュータ、 85,86…xyzθ走査手段、 87,89…向き検出手段、 88…相対位置検出手段、 789…空間位置算出回路、 31…送信用超音波トランスデューサ、 32…受信用超音波トランスデューサ。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超音波パルスを生体に送信する送信手段
    と、生体内で反射または透過した前記超音波パルスを受
    信する受信手段と、前記受信した超音波パルスを電気信
    号に変換し、この電気信号の持つ特徴量から生体の組織
    性状を診断する信号解析手段と、この信号解析手段によ
    る診断出力を表示する表示手段とを備えた生体組織性状
    診断装置において、 前記信号解析手段は、 前記電気信号の信号パルス幅を設定するパルス幅設定手
    段と、 該設定された信号パルス幅内から、少なくとも領域の一
    部が異なる複数の信号領域を抽出する領域抽出手段と、 該抽出領域のそれぞれにおいて、所定の波形特徴値を計
    算する波形特徴値計算手段と、 該計算された波形特徴値間の差異を演算する差異演算手
    段と該差異演算の結果とその超音波パルスの受信時刻と
    を関連付けることで、前記差異演算の結果と前記受信超
    音波パルスを発生させた生体組織の位置を対応させる対
    応時刻決定手段と、 を含むことを特徴とした生体組織性状診断装置。
  2. 【請求項2】 超音波パルスを生体に送信する送信手段
    と、生体内で反射または透過した前記超音波パルスを受
    信する受信手段と、前記受信した超音波パルスを電気信
    号に変換し、この電気信号の持つ特徴量から生体の組織
    性状を診断する信号解析手段と、この信号解析手段によ
    る診断出力を表示する表示手段とを備えた生体組織性状
    診断装置において、 前記信号解析手段は、 前記電気信号の信号パルス幅を設定するパルス幅設定手
    段と、 該設定された信号パルス幅内から、少なくとも領域の一
    部が異なる複数の信号領域を抽出する領域抽出手段と、 該抽出領域のそれぞれにおいて、複数の波形特徴値を計
    算する波形特徴値計算手段と、 該複数の波形特徴値を、該抽出領域毎に結合演算する結
    合演算手段と、 該結合演算された波形特徴値間の差異を演算する差異演
    算手段と、 該差異演算の結果とその超音波パルスの受信時刻とを関
    連付けることで、前記差異演算の結果と前記受信超音波
    パルスを発生させた生体組織の位置を対応させる対応時
    刻決定手段と、 を含むことを特徴とした生体組織性状診断装置。
  3. 【請求項3】 前記超音波パルスを生体に送信する送信
    手段を構成する超音波トランスデューサが圧電振動子を
    1次元または2次元に配列した配列形超音波トランスデ
    ューサであり、請求項1または2に記載した全ての手段
    からなる回路群を1チャンネルとしたとき、複数のチャ
    ンネルからなり、チャンネル間切り替えを機械的または
    電子的に行う手段を有することを特徴とした請求項1ま
    たは2に記載の生体組織性状診断装置。
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