JP2001157543A - 土壌燻蒸剤の処理方法 - Google Patents

土壌燻蒸剤の処理方法

Info

Publication number
JP2001157543A
JP2001157543A JP2000284916A JP2000284916A JP2001157543A JP 2001157543 A JP2001157543 A JP 2001157543A JP 2000284916 A JP2000284916 A JP 2000284916A JP 2000284916 A JP2000284916 A JP 2000284916A JP 2001157543 A JP2001157543 A JP 2001157543A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
soil
tube
treating
film
air
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000284916A
Other languages
English (en)
Inventor
Mikio Sekiguchi
幹夫 関口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Kayaku Co Ltd
Original Assignee
Nippon Kayaku Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Kayaku Co Ltd filed Critical Nippon Kayaku Co Ltd
Priority to JP2000284916A priority Critical patent/JP2001157543A/ja
Publication of JP2001157543A publication Critical patent/JP2001157543A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Catching Or Destruction (AREA)
  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】土壌燻蒸用の農薬活性成分を簡便にかつ効率的
に土壌燻蒸する方法を開発すること 【解決手段】側面に穴を有するチューブを土壌表面又は
土壌中に敷設後、ガスバリア性フィルムで土壌表面およ
び前記チューブを覆い、常圧で沸点が40℃以上でかつ
蒸気圧が0.5mmHg/20℃以上である農薬活性成
分を、ガス状及び/又は霧状にして前記チューブ内に送
風することを特徴とする土壌燻蒸剤の処理方法

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チューブの側面に
穴を有するチューブ(以下、該チューブと記す)を土壌
表面または土壌中に敷設し、ガスバリア性フィルムで土
壌表面および該チューブを覆い、常圧で沸点が40℃以
上でかつ蒸気圧が0.5mmHg/20℃以上である土
壌燻蒸用の農薬活性成分(以下、農薬成分と記す場合が
ある)を、ガス状及び/又は霧状にして該チューブ内に
送風して土壌表面とフィルムの間及び/又は土壌中に拡
散させ、土壌中の有害生物を安全かつ簡便に、更に効率
的に防除するようにしたものであり、農業での土壌燻蒸
に適用される。
【0002】
【従来の技術】農作物に被害を及ぼす有害生物を防除す
るために従来から土壌燻蒸用に使用される農薬成分、例
えばクロルピクリン、D−D(1,3−ジクロロプロペ
ン)、エチレンジブロマイド、二硫化炭素、メチルイソ
チオシアネート等の1種または2種以上を含有する混合
物、及び/又は溶剤や安定剤等の補助剤を含む組成物
(以下、総称して薬剤と記す)は、畑を耕起し整地する
際、土壌に潅注して使用されるが、一般的に効力を高め
たり刺激臭を抑えたりするために土壌表面に散水して水
封したり、農業用フィルム、例えば、ポリエチレンフィ
ルム、ポリ塩化ビニルフィルムなどで被覆して、大気中
に農薬活性成分が逃げるのを抑制する。しかし、土壌に
薬剤を処理する際に特殊な処理専用機を準備しなければ
ならないなど煩雑であり、又温室内のような空気がこも
る条件では使用しにくい面があり、農薬成分の揮散やフ
ィルムのガス透過のために有害生物の防除効率も低減す
ることになる。又、農薬成分を取り扱いやすくするため
に、ゲル化剤や吸着剤を用いて固形化し水溶性フィルム
で包装する方法や水で崩壊する容器に薬剤を封入する方
法が、特公昭47−1799号、特公昭47−1800
号、特開昭62−192301号、特開昭62−192
301号、特開昭63−230602号、特開平6−3
45605号特開平7−112905号、特開平7−3
24002号、特開平7−330522号、特開平7−
330523号、特開平8−59405号、特開平10
−1406号、特開平10−120505号等に開示さ
れている。これらの包装製剤は刺激臭が少なく手で持つ
ことが出来る等の利点はあるが、土壌への薬剤の処理方
法が土壌中に一個一個埋め込むか、あるいは特殊な処理
専用機械を使用しなければならない。更に農薬成分の中
で多量に使用されているクロルピクリンやD−Dは土壌
中での拡散性からその液剤や錠剤を30cm間隔で10
アールに1万ヵ所以上埋めこまなければならず、煩雑さ
があったためにさらに簡便で安全な薬剤の処理方法が求
められていた。一方、薬剤を土壌表面に処理し、ガスバ
リア性フィルムで覆う土壌消毒方法としては特開昭56
−96648号、特開昭59−216534号等が開示
されており、クロルピクリンのような常温でガス状でな
い農薬成分については土壌中に潅注した後、土壌をガス
バリア性フィルムで覆うことによって農薬成分が大気中
に逃げるのを抑え、土壌中に効率的に行き渡らせること
ができるとしているが、薬剤を土壌中に潅注する方法は
土壌が拡散を阻害し、農薬成分が広く拡散しないため、
クロルピクリンやD−Dは約30cm間隔で10アール
に1万ヵ所以上潅注しなければならず、使用薬量を減少
できても処理作業に煩雑さがあったため簡便で安全な薬
剤の処理方法が求められていた。それらを解決するため
に特開平8−59405号や特開平8−238049号
が開示されているが、これらの方法はコストが高い等の
問題点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】薬剤を使用して土壌中
の有害生物を簡便かつ効率よく防除する方法を開発する
ことが本発明の課題である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記したよ
うな課題を満足させられる技術を鋭意研究した結果、本
発明に至ったものである。即ち、本発明は、(1)側面
に穴を有するチューブを土壌表面又は土壌中に敷設後、
ガスバリア性フィルムで土壌表面および前記チューブを
覆い、常圧で沸点が40℃以上でかつ蒸気圧が0.5m
mHg/20℃以上である農薬活性成分を、ガス状及び
/又は霧状にして前記チューブ内に送風し土壌表面又は
土壌中に散布することを特徴とする土壌燻蒸剤の処理方
法、(2)前記チューブの穴の大きさが直径0.1μm
〜30mmであることを特徴とする(1)記載の土壌燻
蒸剤の処理方法、(3)前記チューブの太さが直径1m
m〜300mmであることを特徴とする(1)又は
(2)に記載の土壌燻蒸剤の処理方法、(4)前記ガス
バリア性フィルムの酸素ガス透過度が8000cc/平
方メートル・hr・atm(25℃、50%RH)以下
である(1)〜(3)のいずれか1項に記載の土壌燻蒸
剤の処理方法、(5)前記ガスバリア性フィルムの酸素
ガス透過度が4000cc/平方メートル・hr・at
m(25℃、50%RH)以下である(1)〜(3)の
いずれか1項に記載の土壌燻蒸剤の処理方法、(6)前
記農薬活性成分がクロルピクリン及び/又はD−Dであ
る(1)〜(5)のいずれか1項に記載の土壌燻蒸剤の
処理方法、(7)燻蒸面積1アール当り1.25kg/
hr以上の速度で行うことを特徴とする(6)に記載の
土壌燻蒸剤の処理方法、(8)前記チューブの全体が加
圧状態になるように送風することを特徴とする(1)〜
(7)のいずれか1項に記載の土壌燻蒸剤の処理方法、
に関する。本発明によれば薬剤を短時間にガス状及び/
又は霧状にして送風機で該チューブに送風して拡散させ
ることにより、効力の安定化や薬量の低減化が可能とな
る。これによって農作業の手間や薬剤コストが大幅に減
少できることになり、特に大型機械が入りにくく、ガス
のこもりやすい温室などの施設内圃場では極めて効率的
な土壌燻蒸法となる。
【0005】
【発明の実施の形態】以下に本発明を具体的に説明す
る。本発明に使用できる農薬成分は常圧で沸点が40℃
以上でかつ蒸気圧が0.5mmHg/20℃以上の揮散
性を有するもので、ガス状で土壌中に拡散し、土壌中で
その一生あるいは一時期を生息し、農作物等の有用植物
や人間に害を及ぼす昆虫、雑草、病害等を防除する活性
を有するものである。尚、農薬成分が使用時または薬剤
処理後に分解して生物活性を示すものも本発明の農薬成
分として使用することができる。具体的にはD−D
(1,3−ジクロロプロペン)、DBCP(1,2−ジ
ブロモ−3−3クロロプロパン)、DCIP(ジクロロ
ジイソプロピルエーテル)、MITC(メチルイソチオ
シアネート)、クロルピクリン(トリクロロニトロメタ
ン)、エチレンジブロマイド、ジメチルジクロルビニル
ホスフェート、二硫化炭素、ヨウ化メチルなどが挙げら
れる。また、農薬成分がカーバム(アンモニウムメチル
ジチオカーバメート)、ベーパム(ソジウムメチルジチ
オカーバメート)、ダゾメット(テトラヒドロ−3、5
−ジメチル−1、3、5−チアジアジン−2−チオン)
のように水や土壌で分解してMITCを生成して効力を
示す化合物も例示することができる。本発明において好
ましい農薬成分はクロルピクリン及び/又はD−Dであ
り、さらに好ましくはクロルピクリンである。農薬成分
は上記に限定されるものではなく、また、1種類または
2種類以上を併用してもよい。
【0006】本発明での農薬成分はそのまま使用しても
よいが、必要に応じて固体の担体、溶剤、水、界面活性
剤および安定剤などを添加した乳剤、水和剤、粉剤、粒
剤などの薬剤としてもよい。農薬成分は薬剤中に均一に
溶解させる必要はなく、フロアブル剤やEW剤のように
農薬成分が溶剤または水の中に分散させたものでもよ
い。
【0007】本発明で使用する固体の担体は農薬活性成
分を適度の濃度に稀釈するための増量剤、固体の原体の
粉砕補助剤、液体原体の吸着剤などとして使用される。
使用しうる固体の担体の具体例としては例えばクレー、
タルク、ホワイトカーボン、珪藻土、塩化カリウム、尿
素、硫安、可溶化澱粉、バーミキュライト、軽石、アタ
バルジャイトクレー、澱粉、澱粉発泡体、コルク、木
粉、コーンコブ、発泡パーライト、発泡シラス、高分子
発泡体などの固体状の担体で、粒子径は特に限定されな
いが好ましくは0.01μm〜50mmである。これら
の固体状の担体を1種または2種類以上を併用して使用
してもよい、またこれらに限定されるものではない。こ
れらの担体の該製剤に対する使用量は特に限定されない
が、製剤全体に対し、1〜90%好ましくは10〜60
%である。
【0008】本発明で使用する溶剤は農薬活性成分等を
混合・溶解したとき油状溶液の粘度を低下させたり、固
体の活性成分を溶解或いは分散させたりするために用い
る。本発明で使用しうる溶剤の具体例としては、例えば
メチルアルコール、エチルアルコール、キシレン、N−
メチルピロリドン、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸
ジイソデシル、アジピン酸ジイソノニル、フタル酸ジイ
ソデシル、フタル酸ジラウリル、フタル酸ジイソノニ
ル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシ
ル、ハイゾールSAS−296(日本石油化学社製)、
二塩基酸エステル(デュポン社製)としてのコハク酸ジ
メチル、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチルなど
混合溶液、脂肪族あるいは芳香族の石油系溶剤、アルキ
ルベンゼン、メチルナフタレン等の合成化合物溶剤、動
植物油等が挙げられ、これらを1種又は2種以上使用す
るがこれらに限定されるものではなく、使用量も活性成
分の物理性、防除効力等を考慮して任意の割合で使用す
ることができる。
【0009】本発明で使用する界面活性剤は農薬活性成
分を乳化や分散させるために使用される、本発明で使用
しうる界面活性剤の具体例として例えば、ポリオキシエ
チレンとポリオキシエチレンのブロックポリマー、ポリ
オキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレン
ドデシルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエステ
ル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリ
オキシエチレンソルビタンモノオレート、等の非イオン
界面活性剤、ドデシルベンゼンスルフォン酸金属塩(以
下、金属塩とはNa塩、Ca塩等のアルカリ金属塩、アルカ
リ土類金属を示す)、オレイン酸ナトリウム等の脂肪酸
の金属塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル、ナフタ
レンスルホン酸重縮合物の金属塩、アルキルナフタレン
スルホン酸金属塩、ポリカルボン酸金属塩、ポリオキシ
エチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート金属
塩、等の陰イオン界面活性剤などが挙げられる。これら
は1種あるいは2種以上を使用する活性成分や溶剤に合
わせて使用できるが、これらに限定されるものではな
い。
【0010】本発明で使用する安定剤は主に農薬活性成
分の分解を防止するために使用される。本発明で使用し
うる安定剤の具体例としては例えば、ブチルハイドロキ
シトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、エポキシ
グリセライド、ジイソプロピルホスフェート、メチルア
ルコール、エチルアルコールなどが挙げられ、これらを
1種又は2種以上を使用できるが、これらに限定される
ものではない。
【0011】本発明では農薬活性成分又は薬剤を取り扱
い易いように水溶性フィルムで包装して、包装体にして
から用いてもよい。本発明で使用できる水溶性フィルム
は水に溶解し、一定の強度を持ち、使用する農薬組成物
を透過したり、使用する農薬組成物に溶けたりしないフ
ィルムなら何でもよく、適用する農薬組成物の性質に合
わせて選択すれば良い。通常、ポリビニルアルコール、
カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロ
ース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびそ
の塩、デンプン、ゼラチン等の1種または2種以上から
なるフィルムから選択される。さらに、フィルムの厚さ
も農薬組成物の種類やフィルムの材質によって実用に供
し得る範囲で選択され、特に限定されないが、例えば耐
薬品性、強度、経済性等のよいポリビニルアルコールを
使用する場合、5μm以上がよく、経済性や強度から特
に好ましくは10μm〜80μm程度がよい。また、包
装体の重量は1個当り50g〜10kgで好ましくは1
00g〜5kg程度がよい。又、同時に加工時の経済性
も重視する必要があり、円筒、球形、角袋状等が好まし
い。但し、これらの形状に限定されるわけではない。
尚、水溶性フィルムは湿気や強度に弱いのでこのような
包装体は1個ずつあるいは数個まとめて更に防湿性と強
度が高い包材で包装したほうがよい。防湿包装剤として
はポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、ナ
イロン、アルミニウム箔等のフィルムの他に、アルミニ
ウムやシリカを蒸着したフィルムなどもよくこれらを1
種又は2種以上の共重合物および混合物或いは貼り合わ
せなどが挙げられる。又、水溶性フィルムと防湿性や強
度を高めたフィルムを弱接着(疑似はりあわせた)のフ
ィルムとしてエコピール(共同紙工製)などを用いても
よい。
【0012】本発明に使用できる側面に穴を有するチュ
ーブ(該チューブ)とは、チューブの側面(周面)に穴
があけられているものであり、例えば、散水チューブ
(灌水チューブ)や粉剤、粒剤、肥料などの散布に用い
られる多口ホースなどが挙げられるが、これらに限定さ
れない。また穴があいていないチューブ、例えば水道の
ホース、塩化ビニルの水道パイプ、雨樋のパイプなどに
穴を開けて用いることもできるがこれらに限定されな
い。灌水チューブとしては例えばエバフローA、スーパ
ーエバフローA−100、エバフローM(噴霧型)、エ
バフローD(点滴型)、エバフローS(散水型)、エバ
フローKW(片側散水型)、KIRICO BIG HOLE SIDE SPR
AAY、キリコA、キリコ(マルチ)、KIRIKO H(ハウス
用)、片側散水型、キリコ=R=KIRIKO(以上、三井東
圧化学(株)製の散水チューブ)、スミサンスイマルチ
100−3(住友化学工業(株)製)などが使用できる
がこれらには限定されない。多口ホースとしては例えば
ナイアガラホース、粒剤ホース、散粒ホース(以上、有
光工業(株)製)、カーペット噴頭、粒剤用多口ホース
噴頭NまたはS((株)丸山製作所製)などが挙げられ
るがこれらに限定されない。
【0013】該チューブの材質としては、例えばポリエ
チレンテレフタレート、ポリアミド樹脂、ナイロン、塩
化ビニリデン、塩化ビニル(硬質)、ポリアクリロニト
リル、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコー
ル共重合物、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの1種
または2種類以上の共重合物および混合物或いは貼り合
わせなどが挙げられる。
【0014】該チューブの太さは特に限定されないが直
径1mm〜300mm程度がよい。
【0015】該チューブ側面の穴の大きさは、燻蒸面積
にもよるが大きすぎると空気の量が多く必要になるの
で、穴の大きさは直径が好ましくは30mm以下、より
好ましくは10mm以下がよく、また、小さすぎると薬
剤を処理するのに時間がかかるため、穴の大きさは直径
が好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1μm以
上がよい。穴はチューブの側面に10〜200cmの等
間隔またはランダムに一列または二列あるいは全面に開
いていれば良いが、これらに限定されるものではない。
【0016】本発明で使用できる被覆フィルムはガスバ
リア性があれば特に限定されない。ガスバリア性はフィ
ルム自体の性質によって異なり、その厚さによってもま
た数種類の張り合わせなどでも異なる。土壌を被覆する
ための強度、経済性などを考慮するのは当然であるが、
ガスバリア性は高いほど良く、酸素ガス透過度(ガス透
過度の測定条件および測定方法は25℃、相対湿度50
%でASTMD1434−66に準じ、フィルム厚につ
いては測定したフィルムの厚さを基準に反比例するとし
て補正計算する)が8000cc/平方メートル・hr
・atm以下、好ましくは4000cc/平方メートル
・hr・atm以下がよい。具体例としてはポリエチレ
ンテレフタレート、ポリアミド樹脂、ナイロン、塩化ビ
ニリデン、塩化ビニル(硬質)、ポリアクリロニトリ
ル、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール
共重合物、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの1種ま
たは2種類以上の共重合物および混合物或いは貼り合わ
せなどからなるフィルムが挙げられるが、これらに限定
されるものではない。
【0017】フィルムの厚さは、酸素透過度とも関連
し、ポリエチレンや軟質塩化ビニルなどの単層フィルム
の様なガスバリア性があまり高くないフィルムは、ガス
透過性がほぼ厚さに反比例することを目安に厚くするこ
とによってガスバリア性を高めることができる。また、
使用する農薬成分又は薬剤や土壌水分などとの接触によ
って変質しガスバリア性が失われたりしにくく、取り扱
いやすいフィルム、経済的にも優れているフィルム等を
用いることが好ましく、厚さは素材にもよるが10μm
〜500μm、好ましくは10μm〜200μm程度が
適している。
【0018】ガスバリア性のあまり高くない軟質ポリ塩
化ビニルやポリエチレンなど厚さ20μm以下の被覆フ
ィルムを用いた場合では、農薬成分又は薬剤が上方に透
過してしまい、農薬成分による燻蒸効率が悪くなるばか
りか、温室などの施設園芸や住宅地近郊の圃場では作業
者や住民に影響を与えかねない。
【0019】農薬成分又は薬剤をガス化及び/又は霧状
にする方法は、農薬成分又は薬剤を自然熱または加温し
て蒸散化させガス化させるか、農薬成分又は薬剤を洗気
瓶のような容器に入れてエアーを通してガス化させる
か、農薬成分又は薬剤を直接ポンプで加圧してノズルの
先から噴霧するか、空気ボンベ、炭酸ガスボンベ、コン
プレッサーなどで圧縮された気体で農薬成分又は薬剤を
噴霧するか、農薬成分又は薬剤に超音波の振動を与えて
噴霧するか、遠心力を利用したロータリーノズルで空気
中に噴霧して微粒子を拡散させたるか、農薬成分又は薬
剤を固体担体に含浸させた薬剤にホットエアー又はエア
ーを通するかして、農薬成分又は薬剤を所望に応じて水
に希釈した後、ガス状及び/又は霧状にして送風機で該
チューブに送り出すなどの方法があるが、これらの方法
に限定されるものではない。また、エアーを通す代わり
に又はエアーとともに水蒸気を用いてもよい。また、農
薬成分又は薬剤を水溶性フィルムで包装した包装体を用
いる場合、包装体は使用に際して水に投入・希釈する
か、破袋するなどしてから前記のようにガス化及び/又
は霧状にすることができる。農薬成分又は薬剤を霧状に
噴霧する場合の噴霧粒子は細かい方が望ましく、具体的
には2000μm以下、好ましくは100〜0.01μ
m程度が良い。噴霧粒子は該チューブの穴の大きさより
細かいものに調製しておくことも好ましいといえるが、
穴の大きさよりも大きな噴霧粒子であっても、該チュー
ブ内で気化しチューブの側面の穴から放散される。この
ため、全ての粒子がエアロゾルとなる必要は必ずしもな
く、一部がチューブ内に付着してもチューブ内に送り込
まれる気体によってやがて蒸発し本発明の効果を十分に
奏することができる。
【0020】本発明で使用できる蒸散機あるいはミスト
機は、薬液蒸散部、加熱部分、ノズル、送風部分、薬液
タンク、ポンプ、加圧空気などからなり、これらの中で
必要な部分を集め一つのユニットにまとめても、それぞ
れの必要な部分を単独ユニットにして組み合わせて使用
してもよく、そのユニットに該チューブを取り付けて使
用する。要するに薬剤の自己拡散力だけに頼らないで、
農薬成分又は薬剤を蒸散機またはミスト機でガス状及び
/又は霧状にし送風機で強制的に土壌表面とガスバリア
性フィルムの間又は土壌中に敷設した該チューブに農薬
成分または薬剤を送風・拡散させる装置であればよい。
薬液タンクは蒸散機本体に取り付けたり、取扱いやすい
ようにカートリッジ方式にしても良い、また薬剤のボト
ルやドラムを蒸散機に直接取り付けたり或いは蒸散機本
体より離れた場所に置いて落下またはポンプで蒸散機に
供給してもよい。
【0021】薬剤処理時の気温が低いときには、農薬成
分又は薬剤及び被覆内の空気を暖めるために蒸散機又は
ミスト機の薬液蒸散部や送風機にヒーターを取付け、農
薬成分又は薬剤や空気を加温し蒸散を加速させることも
可能である。加温の熱源としては無機物等の発熱反応、
ガス、蒸気および電気等が使用されうるが、温度や時間
などをコントロールしやすい点では電気を用いるのがよ
い。電気を熱源とする電気ヒーターは温度調節のできる
ものが良く、例えば加温温度は50〜250℃位の範囲
で調節できるものが好ましい。蒸散機又はミスト機には
始動時間や稼動時間を調節するためにタイマーを取付け
ることも可能である。これらの蒸散機又はミスト機は被
覆フィルムの中に入れて農薬成分又は薬剤をガス状及び
/又は霧状にして該チューブに送風して被覆内に拡散さ
せてもよいし、大きな面積の畑などを効率的に燻蒸消毒
する場合には、被覆フィルム外に蒸散機又はミスト機を
置き、蒸散機/ミスト機の空気吹き出し口に該チューブ
を取り付け、該チューブを被覆フィルム内に空気の流れ
を良くするように設置して農薬成分又は薬剤を円滑に拡
散させることもできる。例えば、ミスト機としては動力
散布機、手動式噴霧機、背負動力散布機、常温煙霧機な
どを使用してもよい。
【0022】土壌の燻蒸を効果的に行う本発明の処理方
法の具体的方法としては、耕運機やトレンチャーなどに
よって5〜100cmに耕起後1ヶ月以内好ましくは7
日以内に土壌表面または地表面土壌中に、先端部の切り
口が必要に応じて閉じられた該チューブを敷設し、土壌
表面および該チューブをガスバリア性フィルムで覆い、
該チューブの中に農薬成分又は薬剤をガス状及び/又は
霧状にして送風機で該チューブに送り出すなどの方法が
あるが、これらの方法には限定されない。この他に、ガ
スバリア性フィルムで土壌を覆う方法としては、トンネ
ル支柱を弓形にしてフィルムを被覆してトンネルにした
り、ビニールハウス等でもよい。
【0023】農薬成分又は薬剤をガス状及び/又は霧状
にして該チューブに送風する場合は、該チューブの一端
から送風するだけでなく、該チューブの両端や中央部な
どの中間から送風しても良い。送風圧力は該チューブ全
体から農薬成分又は薬剤が拡散できれば特に限定されな
いが、好ましくは該チューブが全体的に膨らむ程度の加
圧状態が好ましい。そのため、該チューブに設けられる
穴は、該チューブが加圧程度になるように、送風速度と
の関係から、その大きさ、数などが調整されていること
が好ましい。例えば、送風圧力が0.001〜100k
gf/cm、好ましくは0.01〜10kgf/cm
になるような風量にするとよい。また、蒸散機又はミ
スト機が取付けられていない該チューブの端は、塞がれ
ていることが好ましい。
【0024】本発明において使用される該チューブの敷
設方法は、燻蒸する面積と形状、ガスバリア性フィルム
のガスバリア性能、対象病害虫、土壌中の水分、地温・
気温、農薬成分の該チューブからの有効蒸散距離、薬剤
の使用量、農薬成分の拡散速度、処理時間、送風速度な
どを考量して該チューブを敷設するのが好ましい。該チ
ューブの配置方式としては、直列方式あるいは分岐管を
用いた並列方式等を例示することができる。また複数の
該チューブを略平行に敷設する場合における該チューブ
同士の敷設間隔は、土壌表面に敷設する場合は50〜1
000cm、好ましくは100〜300cmであり、土
壌中に敷設する場合は30〜300cm、好ましくは3
0〜100cmである。また、土壌中に該チューブを敷
設する場合、その深さは1〜100cm、好ましくは5
〜60cmであり、また深さの異なる数層に敷設しても
よい。
【0025】本発明の処理方法において農薬成分又は薬
剤による処理を行う処理時間は特に限定されないが、面
積に関係なくできるだけ短時間に燻蒸することが望まし
く、具体的には農薬成分又は薬剤を処理開始から48時
間以内で、好ましくは4時間以内に所定量の薬剤の処理
が終了するようにすると、農薬成分または薬剤による防
除効果も良く、農薬成分又は薬剤の使用量の低減化につ
ながる。所定量とは農薬成分ごとに定められるものであ
り、従って薬剤においては薬剤中の農薬成分の含有量を
基に所定量が算出される。例えば、農薬成分がクロルピ
クリンである場合、その所定量は1アール当り2〜3リ
ットル(約3.3〜5kg)であり、1アールの面積に
5kgを48時間以内に処理を終えるためには0.10
5kg/hrの処理速度(単位時間当りに送り込む農薬
成分の量)で、さらに4時間以内に処理を終えるために
は1.25kg/hrの速度で処理を行うことが好まし
い。
【0026】農薬成分または薬剤はガス状及び/又は霧
状にされ該チューブから土壌表面とフィルムの間に送り
込まれることにより気中に水平方向に拡散しながら、同
時に下方にも拡散して土壌全体が有効に燻蒸消毒され
る。一方、土壌中に該チューブを敷設した場合は、土壌
中の該チューブから強制的に農薬成分又は薬剤が吹き出
され、土壌中に拡散するため、広範囲に速やかに拡がり
土壌全体が有効に燻蒸消毒される。この時、一部が土壌
表面に達するがガスバリア性フィルムによって揮散する
ことが抑えられる。この他に揮散を抑制する方法として
は、土壌表面を鎮圧または水で水封してもよい。なお、
本発明の処理方法における処理時後も、農薬成分を土壌
全体に拡散させるために、ガスバリア性フィルムをその
まま放置し置くのが好ましい。燻蒸時間は、用いる農薬
成分にもよるが、通常10日ほどである。
【0027】また、従来のクロルピクリン点注等で行わ
れる土壌深度15〜20cmの処理では、農薬成分の土
壌中での自然拡散は水平方向拡散が少なく、約30cm
間隔で処理する必要があるが、本発明の方法では農薬成
分又は薬剤を霧状及び/又はガス状で送風機で強制的に
該チューブを通じて被覆フィルム内および土壌中に拡散
させるだけで有効に土壌燻蒸ができるため、非常に簡便
で省力的になり、大型機械が入りにくく、人手作業に頼
る温室などの施設園芸に適している。更に、農薬成分を
強制的に拡散させるためロスが少ないため従来の方法よ
り薬量も少なくてすみ、経済性、環境への影響など種々
の点でメリットは大きい。また、以上は作物の作付け前
における土壌燻蒸を説明したが、これ以外のタイミング
でも本発明の処理方法を実施することもできる。例え
ば、除草効果を併せ持つクロルピクリンを農薬活性成分
として用い、作物の収穫後に処理すれば、収穫済みの植
物体(実などを収穫し終えたが、まだ生きており、通
常、抜き取りや個別に除草剤を散布するなどする必要が
ある植物本体)を極めて簡便に除草/処分することがで
きる。
【0028】
【実施例】次に、実施例と試験例を示すが、本発明はこ
れらのみに限定されるものではない。
【0029】実施例1 0.9m×10mの圃場の土壌表面中央部に、スミサン
スイマルチ100−3(住友化学工社製の散水チュー
ブ)の先端部を閉じたチューブを10m敷設した。土壌
ふすま培地で60日間培養したトマト萎凋病菌汚染土壌
を乾土で10g相当量をガーゼで包んで試料とし、長尺
部10mの送風側から1mと9mの位置に土壌深度30
cmで埋め込んだ。次に、圃場全体をポリエチレンフィ
ルム(厚み;20μm、酸素ガス透過度;9875cc
/平方メートル・hr・atm)で全体を被覆した。耐
圧性のある洗気瓶にクロルピクリン270ml(30リ
ットル/10a)を入れ、洗気瓶の短口側に前記チュー
ブを取り付け、洗気瓶の長管の口から送風機で空気を送
り込み24時間以内にクロルピクリンがなくなるように
土壌燻蒸を行った。2週間後に被覆フィルムを剥いで土
壌深度20、30cmに埋め込んだ試料を取り、希釈平
板法にて7日間25℃で培養し、培地上に形成されたコ
ロニー数を数え、乾土1g当たりのトマト萎凋病菌数を
算出した。その結果を表1に示す。
【0030】実施例2 圃場の被覆にポリエチレンフィルム(厚み;40μm、
酸素ガス透過度;4940cc/平方メートル・hr・
atm)を用いた点を除き、実施例1と同様にクロルピ
クリン270mlで土壌燻蒸を行った。その結果を表1
に示す。
【0031】実施例3 圃場の被覆にポリエチレンフィルム(厚み;50μm、
酸素ガス透過度;3950cc/平方メートル・hr・
atm)を用いた点を除き、実施例1と同様にクロルピ
クリン270mlで土壌燻蒸を行った。その結果を表1
に示す。
【0032】実施例4 圃場の被覆にポリエチレンでエチレンビニルアルコール
共重合物をサンドイッチ状に共押し出ししたフィルム
(厚み;60μm、酸素ガス透過度;5cc以下/平方
メートル・hr・atm)を用い、クロルピクリン90
ml(10リットル/10a)を用い3時間でなくなる
ようにした点を除き、実施例1と同様に土壌燻蒸を行っ
た。その結果を表1に示す。
【0033】実施例5 圃場の被覆にポリエチレンフィルム(厚み;50μm、
酸素ガス透過度;3950cc/平方メートル・hr・
atm)で全体を被覆しクロルピクリン180ml(2
0リットル/10a)を用い4時間でなくなるようにし
た点を除き、実施例1と同様に土壌燻蒸を行った。その
結果を表1に示す。
【0034】実施例6 圃場の被覆にポリエチレンフィルム(厚み;50μm、
酸素ガス透過度;3950cc/平方メートル・hr・
atm)を用い、クロルピクリン180ml(20リッ
トル/10a)を洗気瓶ごとウォーターバスで約50℃
に加温し、更に洗気瓶の長管の口から送風機で約60℃
に加温した空気を送り込み、2時間でなくなるようにし
た点を除き、実施例1と同様に土壌燻蒸を行った。その
結果を表1に示す。
【0035】実施例7 圃場の被覆に敷設しポリエチレンフィルム(厚み;50
μm、酸素ガス透過度;3950cc/平方メートル・
hr・atm)を用い、チューブに送風機とポンプに接
続したノズルを取り付けクロルピクリン270ml(3
0リットル/10a)をスプレーしながら送風機で空気
を送り込んだ点を除き、実施例1と同様に土壌燻蒸を行
った。その結果を表1に示す。
【0036】実施例8 クロルピクリン135ml(15リットル/10a)を
用い1時間以内になくなるようにした点を除き実施例1
と同様に土壌燻蒸を行った。その結果を表1に示す。
【0037】対照例1 4m×5mの圃場に土壌ふすま培地で60日間培養した
トマト萎凋病菌汚染土壌を乾土で10g相当量をガーゼ
で包んで試料とし、土壌深度30cmで埋め込んだ。次
に、クロルピクリンを約2.7mlずつ30cm間隔に
深さ15cmの深度で合計600ml土壌潅注し(30
リットル<11,000箇所>/10aに相当)、ポリ
エチレンフィルム(厚み;50μm、酸素ガス透過度;
3950cc/平方メートル・hr・atm)で全面を
被覆した。なお、クロルピクリンは試料から最も離れる
ように潅注位置を決定した。2週間後に被覆フィルムを
剥いで土壌深度20、30cmに埋め込んだ試料を取
り、希釈平板法にて7日間25℃で培養し、培地上に形
成されたコロニー数を数え、乾土1g当たりのトマト萎
凋病菌数を算出した。その結果を表1に示す。
【0038】
【0039】以上のように無処理に比較して、実施例は
いずれもトマト萎凋病菌をむらなく効率的に防除した。
また、実施例4のように薬量を1/3にしても防除効果
は良好であった。また、対照例1では薬剤の処理時に目
や鼻に刺激があり、防毒マスクや保護めがねを必要と
し、薬剤処理箇所数が多いので作業に手間が掛かった
が、実施例はいずれも簡便に作業ができた。
【0040】実施例9 1.8m×2.5mの圃場の土壌表面(気温:−1〜1
0℃)に、先端部を閉じた灌水チューブ(片面×穴灌水
チューブ、日新化学工業(株)製)2本を長尺部の端か
ら45cmと135cmの位置に敷設した。土壌ふすま
培地で60日間培養したトマト萎凋病菌汚染土壌を乾土
で10g相当量をガーゼで包んで試料とし、圃場の中央
部に試料を埋め込んだ。次に、圃場全体をポリエチレン
フィルム(厚み;20μm、酸素ガス透過度;9875
cc/平方メートル・hr・atm)で全体を被覆した
後、耐圧性のある洗気瓶にクロルピクリン22.5ml
(5リットル/10a)を入れ、洗気瓶の短口側に前記
チューブを取り付け、洗気瓶の長管の口からコンプレッ
サーで空気を送り込みながら、洗気瓶を80℃の温水に
入れ30分以内にクロルピクリンがなくなるように土壌
燻蒸を行った。土壌燻蒸処理後1日後、4日後、7日後
に試料を採取し、希釈平板法にて7日間25℃で培養
し、培地上に形成されたコロニー数を数え、乾土1g当
たりのトマト萎凋病菌数を算出した。その結果を表2に
示す。
【0041】実施例10 圃場の被覆にポリエチレンフィルム(厚み;50μm、
酸素ガス透過度;3950cc/平方メートル・hr・
atm)を用い、洗気瓶を80℃の温水に入れ1時間以
内にクロルピクリンがなくなるようにした点を除き、実
施例9と同様に土壌燻蒸を行った。その結果を表2に示
す。
【0042】実施例11 3m×2.5mの圃場の土壌表面(気温:−1〜10
℃)に、先端部を閉じた灌水チューブ(片面×穴灌水チ
ューブ、日新化学工業(株)製)2本を長尺部の端から
75cmと225cmの位置に敷設した。土壌ふすま培
地で60日間培養したトマト萎凋病菌汚染土壌を乾土で
10g相当量をガーゼで包んで試料とし、圃場の中央部
に試料を埋め込んだ。次に、圃場全体をポリエチレンフ
ィルム(厚み;50μm、酸素ガス透過度;3950c
c/平方メートル・hr・atm)で全体を被覆した
後、耐圧性のある洗気瓶にクロルピクリン75ml(1
0リットル/10a)を入れ、洗気瓶の短口側に前記チ
ューブを取り付け、洗気瓶の長管の口からコンプレッサ
ーで空気を送り込みながら、洗気瓶を80℃の温水に入
れ1時間以内にクロルピクリンがなくなるように土壌燻
蒸を行った。土壌燻蒸処理後1日後、4日後、7日後に
試料を採取し、希釈平板法にて7日間25℃で培養し、
培地上に形成されたコロニー数を数え、乾土1g当たり
のトマト萎凋病菌数を算出した。その結果を表2に示
す。
【0043】実施例12 クロルピクリン37.5ml(5リットル/10a)を
用いた点を除き、実施例11と同様に土壌燻蒸を行っ
た。その結果を表2に示す。
【0044】対照例2 1.5m×1.8mの圃場(気温:−1〜10℃)に土
壌ふすま培地で60日間培養したトマト萎凋病菌汚染土
壌を乾土で10g相当量をガーゼで包んで試料とし、土
壌深度30cmで埋め込んだ。次に、クロルピクリンを
約1.8mlずつ30cm間隔に深さ15cmの深度で
合計54ml(20リットル/10a)土壌に潅注し、
ポリエチレンフィルム(厚み;50μm、酸素ガス透過
度;3950cc/平方メートル・hr・atm)で全
面を被覆した。なお、クロルピクリンは試料から最も離
れるように潅注位置を決定した。土壌燻蒸処理後1日
後、4日後、7日後に試料を採取し、希釈平板法にて7
日間25℃で培養し、培地上に形成されたコロニー数を
数え、乾土1g当たりのトマト萎凋病菌数を算出した。
その結果を表2に示す。
【0045】 表2 実施例 トマト萎凋病菌密度 1日後 4日後 7日後 実施例9 1.2×10 0 0 実施例10 0 0 0 実施例11 0 0 0 実施例12 0 0 0 対照例2 1.1×10 2×10 0 無処理 5.3×10 (4、7日後も1日後と同数)
【0046】以上のように無処理に比較して、実施例は
いずれもトマト萎凋病菌をむらなく効率的に防除した。
また、気温が低い条件下でも実施例は薬剤処理後1〜4
日後で良好な効果があった。実施例9、10、12は対
照例に比べ薬量を一般的なクロルピクリンの散布量であ
る対照例2(20リットル/10a)の1/4(5リッ
トル/10a)にしても防除効果は良好であった。ま
た、対照例2では薬剤の処理時に目や鼻に刺激があり、
防毒マスクや保護めがねを必要とし、薬剤処理箇所数が
多いので作業に手間が掛かったが、実施例はいずれも作
業性が良好で省力的かつ簡便で短時間に薬剤処理でき
た。
【0047】実施例13 サツマイモネコブセンチュウに汚染された1.8m×
2.5mの圃場の土壌表面に、先端部を閉じた灌水チュ
ーブ(片面×穴灌水チューブ、日新化学工業(株)製)
2本を長尺部の端から45cmと135cmの位置に敷
設しポリエチレンフィルム(厚み;50μm、酸素ガス
透過度;3950cc/平方メートル・hr・atm)
で全体を被覆した後、耐圧性のある洗気瓶にクロルピク
リン50重量部、D−D(DC油剤)25重量部を混合
した油剤135ml(30リットル/10a)を入れ、
洗気瓶の短口側に前記チューブを取り付け、洗気瓶の長
管の口からコンプレッサーで空気を送り込みながら、洗
気瓶を80℃の温水に入れ1時間以内にクロルピクリン
とD−Dがなくなるまで蒸散させて土壌燻蒸を行った。
10日後被覆を取り除き、5日間ガス抜きのために放置
した後、トマト(品種:シュガーレディー)を移植し1
日1回表面潅水を行い27日後の根りゅう程度を調査し
た。その結果を表3に示す。
【0048】実施例14 サツマイモネコブセンチュウに汚染された1.8m×
2.5mの圃場の土壌表面に、先端部を閉じた灌水チュ
ーブ(片面×穴灌水チューブ、日新化学工業(株)製)
2本を長尺部の端から45cmと135cmの位置に敷
設しポリエチレンフィルム(厚み;50μm、酸素ガス
透過度;3950cc/平方メートル・hr・atm)
で全体を被覆した後、耐圧性のある洗気瓶にD−D(D
C油剤)135ml(30リットル/10a)を入れ、
洗気瓶の短口側に前記チューブを取り付け、洗気瓶の長
管の口からコンプレッサーで空気を送り込みながら、洗
気瓶を80℃の温水に入れ1時間以内にD−Dがなくな
るまで蒸散させて土壌燻蒸を行った。10日後被覆を取
り除き、5日間ガス抜きのために放置した後、トマト
(品種:シュガーレディー)を移植し1日1回表面潅水
を行い27日後の根りゅう程度を調査した。その結果を
表3に示す。
【0049】対照例3 サツマイモネコブセンチュウに汚染された1.5m×
1.8mの圃場にD−D(DC油剤)を約2.7mlず
つ30cm間隔に深さ15cmの深度で合計54ml
(30リットル/10a)土壌に潅注し、ポリエチレン
フィルム(厚み;50μm、酸素ガス透過度;3950
cc/平方メートル・hr・atm)で全面を被覆し
た。10日後被覆を取り除き、5日間ガス抜きのために
放置した後、トマト(品種:シュガーレディー)を移植
し1日1回表面潅水を行い27日後の根りゅう程度を調
査した。その結果を表3に示す。
【0050】対照例4 サツマイモネコブセンチュウに汚染された1.5m×
1.8mの圃場にクロルピクリン50重量部、D−D
(DC油剤)25重量部を混合した油剤を3mlずつ約
30cm間隔に深さ15cmの深度で合計51ml(3
0リットル/10a)土壌に潅注し(10,000箇所
/10アールに相当)、ポリエチレンフィルム(厚み;
50μm、酸素ガス透過度;3950cc/平方メート
ル・hr・atm)で全面を被覆した。10日後被覆を
取り除き、5日間ガス抜きのために放置した後、トマト
(品種:シュガーレディー)を移植し1日1回表面潅水
を行い27日後の根りゅう程度を調査した。その結果を
表3に示す。
【0051】 表3 根りゅう指数(4連制で試験したものの平均値) 実施例13 0.75 実施例14 1.0 対照例3 0.75 対照例4 1.0 無処理 3.25 根りゅう指数: 根りゅう形成状態 指数 根りゅう形成全く認められない 0 僅かに根りゅう形成を認める 1 中程度に根りゅう形成を認める 2 多数に根りゅう形成を認める 3 連続して根りゅう形成を認める 4
【0052】以上のように無処理に比較して、実施例は
いずれも効率的に防除し、極めて実用的であることがわ
かった。また、実施例13,14は刺激性などは特に感
じず作業できたが、対照例は潅注器への薬液の投入や土
壌潅注時に目や鼻に刺激があり、防毒マスクや保護めが
ねを必要とした。
【0053】
【発明の効果】本発明の処理方法は、従来の燻蒸法と同
等の効果を得ると共に農薬成分の刺激などを感ずること
なく安全にかつ簡便に薬剤を処理できる。また、薬剤ロ
スが少ないために使用する薬量が少なくて済み、有害生
物を効率的に防除することが可能となった。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A01N 29/02 A01N 29/02 33/18 33/18 A

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】側面に穴を有するチューブを土壌表面又は
    土壌中に敷設後、ガスバリア性フィルムで土壌表面およ
    び前記チューブを覆い、常圧で沸点が40℃以上でかつ
    蒸気圧が0.5mmHg/20℃以上である農薬活性成
    分を、ガス状及び/又は霧状にして前記チューブ内に送
    風し土壌表面又は土壌中に散布することを特徴とする土
    壌燻蒸剤の処理方法。
  2. 【請求項2】前記チューブの穴の大きさが直径0.1μ
    m〜30mmであることを特徴とする請求項1記載の土
    壌燻蒸剤の処理方法。
  3. 【請求項3】前記チューブの太さが直径1mm〜300
    mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の土
    壌燻蒸剤の処理方法。
  4. 【請求項4】前記ガスバリア性フィルムの酸素ガス透過
    度が8000cc/平方メートル・hr・atm(25
    ℃、50%RH)以下である請求項1〜3のいずれか1
    項に記載の土壌燻蒸剤の処理方法。
  5. 【請求項5】前記ガスバリア性フィルムの酸素ガス透過
    度が4000cc/平方メートル・hr・atm(25
    ℃、50%RH)以下である請求項1〜3のいずれか1
    項に記載の土壌燻蒸剤の処理方法。
  6. 【請求項6】前記農薬活性成分がクロルピクリン及び/
    又はD−Dである請求項1〜5のいずれか1項に記載の
    土壌燻蒸剤の処理方法。
  7. 【請求項7】燻蒸面積1アール当り1.25kg/hr
    以上の速度で行うことを特徴とする請求項6に記載の土
    壌燻蒸剤の処理方法。
  8. 【請求項8】前記チューブの全体が加圧状態になるよう
    に送風することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1
    項に記載の土壌燻蒸剤の処理方法。
JP2000284916A 1999-09-20 2000-09-20 土壌燻蒸剤の処理方法 Pending JP2001157543A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000284916A JP2001157543A (ja) 1999-09-20 2000-09-20 土壌燻蒸剤の処理方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11-265912 1999-09-20
JP26591299 1999-09-20
JP2000284916A JP2001157543A (ja) 1999-09-20 2000-09-20 土壌燻蒸剤の処理方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001157543A true JP2001157543A (ja) 2001-06-12

Family

ID=26547217

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000284916A Pending JP2001157543A (ja) 1999-09-20 2000-09-20 土壌燻蒸剤の処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001157543A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008531020A (ja) * 2005-03-01 2008-08-14 アジアワールド シッピング サービシーズ ピーティーワイ エルティーディー ポータル装置およびその使用法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008531020A (ja) * 2005-03-01 2008-08-14 アジアワールド シッピング サービシーズ ピーティーワイ エルティーディー ポータル装置およびその使用法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Matthews A history of pesticides
US20120126024A1 (en) Methods and systems to deliver volatile compounds
US9185897B2 (en) Methods to deliver and maintain volatile compounds
US9173389B2 (en) Systems and methods to deliver and maintain volatile compounds
JP2811512B2 (ja) 樹木の病害虫駆除方法
JP2001157543A (ja) 土壌燻蒸剤の処理方法
JP4703172B2 (ja) 屋外用一液性水性エアゾール剤
JPH08238049A (ja) 土壌燻蒸方法
JP2000336003A (ja) 土壌中の有害生物防除用エアゾールと土壌燻蒸方法
JP2013135693A (ja) クロルピクリン乳剤
JP2000026207A (ja) 土壌燻蒸剤の燻蒸方法
JPH1029901A (ja) 土壌燻蒸剤及び土壌燻蒸方法
JP4526054B2 (ja) 農薬の散布方法
JP2002338419A (ja) 害虫防除製剤およびそれを用いた害虫防除方法
JP2000336002A (ja) 農薬組成物の散布方法
CN110833007A (zh) 一种农作物病虫害杀虫预防方法
JP4297985B2 (ja) 土壌燻蒸方法
JP7194577B2 (ja) コバエ防除用スプレー製品、及びコバエの発生を予防する方法
KR101029544B1 (ko) 운반체 및 시너지제인 액화탄산가스를 이용한 작물 방제용 약제, 이의 살포방법 및 살포장치
JP2002165547A (ja) 農薬の散布方法
JPH08325108A (ja) 土壌燻蒸剤の燻蒸方法
JP2002029902A (ja) 土壌燻蒸剤組成物
CN102239886A (zh) 一种硫酰氟复配剂
Dugje et al. Guide to safe and effective use of pesticides for crop production
JP6777981B2 (ja) セアカゴケグモ用駆除スプレー剤