JP2001129684A - パルスco2溶接用鋼ワイヤ - Google Patents

パルスco2溶接用鋼ワイヤ

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JP2001129684A
JP2001129684A JP31182199A JP31182199A JP2001129684A JP 2001129684 A JP2001129684 A JP 2001129684A JP 31182199 A JP31182199 A JP 31182199A JP 31182199 A JP31182199 A JP 31182199A JP 2001129684 A JP2001129684 A JP 2001129684A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 CO2溶接において、アークの安定化およびス
パッタ量の低減はいうまでもなく、優れたビー形状を確
保できる溶接用鋼ワイヤを提供する。 【解決手段】 1溶滴移行当たり7以上のパルスを付与
するパルス CO2溶接用のワイヤとして、その組成を C:0.15mass%以下、 Si:0.3 〜2.0 mass%、 Mn:0.5 〜2.5 mass%、 Ti:0.15〜0.30mass% を含み、かつ S:0.030 mass%以下、 Ca:0.0015mass%以下 に制限し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ガスシールドア
ーク溶接用鋼ワイヤに関し、特にパルス CO2溶接におい
てスパッタ発生量の有利な低減を図ろうとするものであ
る。
【0002】
【従来の技術】Ar−(5〜25%)CO2 混合ガスをシール
ドガスとする溶接法(以下、MAG溶接法という)は、
ビード形状に優れ、スパッタの発生が少ないことから、
高品質な溶接を必要とする分野で広く使用されている。
しかしながら、Arガスは CO2ガスに比べると、その価格
が約5倍と高価であることから、通常の溶接施工に際し
ては、安価な CO2ガスを主成分(40%以上)とする溶接
法(以下、CO2 溶接法という)が使用されている(例え
ば特開平10−272591号公報)。
【0003】ところで、CO2 溶接法では、粗大な溶滴
が、ワイヤ先端に懸垂し、アーク力によって揺れ動くた
め、母材(鋼板)との短絡、再アークによりスパッタが
多発するという問題がある。
【0004】これに対し、カリウムの付与によってスパ
ッタ発生量を低減する方法が、特開平6−218574号公報
に開示されているが、この方法では、満足いくほど十分
な効果を得ることができなかった。
【0005】また、特開平7−47473 号公報および特開
平7−290241号公報には、1パルス1溶滴移行によって
スパッタの発生量を低減する方法が提案されている。こ
の方法は、1溶滴の形成に1〜2msの時間しか要せず、
しかも安定な移行が可能なMAG溶接においては、優れ
た効果が得られる。しかしながら、MAG溶接に対して
10〜20倍の溶滴を形成し、溶滴が不安定な挙動を呈する
CO2溶接においては、1パルス当たり1溶滴の移行は困
難である。また、ピーク時間と共にベース時間も長くな
るため、1パルスで移行しきれなかった溶滴がベース期
間中に短絡して、スパッタの発生を増大させる結果とな
っていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、パル
ス CO2溶接法では、粗大な溶滴がワイヤ先端に懸垂し、
アーク力によって揺れ動くため、母材(鋼板)との短
絡、再アークにより、スパッタが多発するという問題が
あった。この発明は、上記の現状に鑑み開発されたもの
で、いわゆるパルス CO2溶接において、アークの安定化
およびスパッタ量の低減はいうまでもなく、優れたビー
形状を確保することができる溶接用鋼ワイヤを提案する
ことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】さて、発明者らは、上記
の目的を達成すべく、電源特性と組み合わせて、ワイヤ
組成について鋭意検討した結果、以下に述べる知見を得
た。すなわち、アークの安定化と共にスパッタ量を低減
するには、(1) 1溶滴移行当たりのパルス数を7以上と
し、かつ(2) ワイヤ成分として適正量のTiを含有させる
と共に、SおよびCa量を所定の範囲に制限することが極
めて重要であることの知見を得た。この発明は、上記の
知見に立脚するものである。
【0008】すなわち、この発明の要旨構成は次のとお
りである。 1.1溶滴移行当たり7以上のパルスを付与するパルス
CO2溶接用のワイヤであって、 C:0.15mass%以下、 Si:0.3 〜2.0 mass%、 Mn:0.5 〜2.5 mass%、 Ti:0.15〜0.30mass% を含み、かつ S:0.030 mass%以下、 Ca:0.0015mass%以下 に制限し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる
ことを特徴とするパルスCO2 溶接用鋼ワイヤ。
【0009】2.1溶滴移行当たり7以上のパルスを付
与するパルス CO2溶接用のワイヤであって、mass%で C:0.15mass%以下、 Si:0.3 〜2.0 mass%、 Mn:0.5 〜2.5 mass%、 Ti:0.15〜0.30mass% を含み、かつ K:0.0001〜0.0030mass%および B:0.0003〜0.0030mass% のうちから選んだ一種または二種を含有し、さらに S:0.030 mass%以下、 Ca:0.0015mass%以下 に制限し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる
ことを特徴とするパルスCO2 溶接用鋼ワイヤ。
【0010】3.上記1または2において、鋼ワイヤ
が、さらに Al:0.50mass%以下 を含有する組成になることを特徴とするパルスCO2 溶接
用鋼ワイヤ。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、この発明を具体的に説明す
る。この発明で対象とする溶接方法は、1溶滴の形成か
ら移行に合わせて平均7以上のパルスを付与し、溶滴に
振動を与えると共に、平均電流よりも高いピーク電流を
使って溶滴をスムーズに移行させる溶接方法である。従
来、1溶滴移行当たり1パルスないしは2パルスによっ
て低スパッタ化が図られてきた。しかしながら、溶滴の
形成にMAG溶接の10〜20倍の時間を要し、粗大な溶滴
を形成するCO2 溶接では、ベース期間中の短絡によって
スパッタ発生量の増加を招いてしまう。そこで、ベース
期間を短く制御する必要があるが、そのためにはピーク
電流を低くするか、ピーク時間を短くする必要がある。
一方、溶滴を離脱させるピンチ力は、電流の2乗に比例
して大きくなるため、溶滴の大きさは、電流と共に小さ
くなる。従って、ピーク電流を低く抑えてしまうと、溶
滴の微細化効果が得られない。
【0012】よって、高パルス化によって、ベース期間
を短縮し、短絡を抑制すると共に、溶滴を微細化し、ス
パッタの発生を抑制するためには、ピーク時間を短くす
ることが有効となる。そのためには、1溶滴の形成から
移行に合わせて付与するパルス数を多くする必要があ
る。ここに、1溶滴移行当たりのパルス数が7未満で
は、ベース期間中の短絡防止と溶滴の微細化効果の両立
が図れない。そこで、この発明で対象とする溶接方法で
は、1溶滴移行当たりに付与するパルス数を7以上にし
たのである。とはいえ、1溶滴移行当たりパルス数が30
を超えると、安定なパルスを付与することが困難となる
ので、付与パルス数の上限は30程度とすることが好まし
い。
【0013】なお、移行する溶滴の大きさ(重さ)は、
平均電流、ピーク電流、電流波形、突き出し長さおよび
ワイヤ径などに左右される。例えば、平均溶接電流:30
0 A、ピーク電流:500 A、ベース電流:80A、突き出
し長さ:20mmおよびワイヤ径:1.2 mmの場合には、移行
する溶滴の平均重さは 38 mg、1分間のワイヤ溶融量は
125 g/minであり、従ってこの溶接法におけるパルス周
波数範囲は384 Hz以上となる。また、平均溶接電流が通
常の使用限界である 450Aでは、ピーク電流:600 A、
ベース電流:50A、突き出し長さ:25mmおよびワイヤ
径:1.2 mmにおいて、1分間のワイヤ溶融量は 265 g/m
inであり、移行する溶滴の平均重さは 32 mgに微細化
し、この溶接法におけるパルス周波数範囲は966 Hz以上
となる。
【0014】また、ベース期間が長いと短絡が発生し、
スパッタの発生が増すため平均ベース時間(Tb :図1
参照のこと)は1.0 ms以下とすることが好ましい。とは
いえ、平均ベース期間が0.15ms未満では溶滴に振動が与
えられず。スムーズな溶滴移行が得られない。従って、
平均ベース時間(Tb )は0.15ms以上、1.0 ms以下程度
とすることが望ましい。より好適には 0.3〜0.5 msであ
る。
【0015】また、平均電流に対するパルス条件として
は、ピーク電流を(平均電流×1.3)A以上、ベース電
流を 150A以下とすることによって、より効果的に溶滴
の微細化ならびにベース期間中の短絡防止を図ることが
でき、その結果、ピーク期間中に安定した溶滴の移行が
可能になる。
【0016】次に、上記した理想的な溶滴移行を実現さ
せるために必要な、この発明に従うワイヤ組成につい
て、その限定理由を説明する。 C:0.15mass%以下 Cは、溶接金属の強度を確保するために重要な添加元素
であるが、一方で溶鋼の粘性を低下させ流動性を向上さ
せる。含有量が0.15mass%を超えると CO2パルス溶接時
の溶滴および溶融プールの挙動が不安定となり、スパッ
タが多発するようになるので、C量は0.15mass%以下と
した。
【0017】Si:0.3 〜2.0 mass%以下 Siは、脱酸剤として、また高強度、高靱性を得るため
に、さらには作業性確保のために少なくとも 0.3mass%
を必要とする。また、Siの増加と共にパルス溶接におけ
るスパッタ量は僅かに減少する傾向を有する。しかしな
がら、2.0 mass%を超えて多量に含有すると、スラグ量
が多くなり、溶接金属の靱性が低下するので、Si量の上
限は 2.0mass%とした。
【0018】Mn:0.50〜2.5 mass%以下 Mnは、脱酸剤として、また高強度、高靱性を得るために
有用な元素であり、0.50mass%以上の含有によってその
効果が得られる。また、Mnの増加と共にパルス溶接にお
けるスパッタ量は僅かに減少する傾向を持つ。しかしな
がら、2.5 mass%を超えて多量に含有するとスラグの剥
離性が悪化し、溶接金属の靱性が低下するので、Mn量の
上限は 2.5mass%とした。
【0019】Ti:0.15〜0.30mass% Tiは、脱酸素材として、また溶接金属の強度および耐侯
性を確保する上で有用な元素である。さらに、溶滴の移
行に関しては、溶滴の粘性を上げ不安定な挙動を抑える
働きがある。図2に、ワイヤ中のTi量とパルス溶接にお
ける溶滴の移行回数およびその移行回数とワイヤの溶融
速度から算出した平均溶滴重量との関係について調べた
結果を示す。通常のパルスレス溶接では、平均電流:30
0 Aにおける溶滴重量は、ワイヤ組成に関係なく58〜62
mgであるのに対し、Tiを添加することによって溶滴を微
細化できることが分かる。しかしながら、ワイヤ中のTi
量が0.15mass%に満たないと、溶滴の挙動を安定かつ微
細化してスパッタを抑制する効果に乏しく、一方0.30ma
ss%を超えて添加すると、凸状のビードを形成するだけ
でなく、スラグ剥離性や溶接金属の靱性を劣化させるの
で、Ti量は0.15〜0.30mass%の範囲に限定した。
【0020】S:0.030 mass%以下 Sは、溶融金属の粘性を低下させ、ワイヤ先端に懸垂し
た溶滴の離脱を助ける働きがある。しかしながら、0.03
0 mass%を超えて添加すると、パルス溶接時の溶滴およ
び溶融プールの挙動が不安定となり、小粒のスパッタが
増すだけでなく、溶接金属の靱性が低下する。従って、
S量は 0.030mass%以下に制限した。
【0021】Ca:0.0015mass%以下 Caは、アークを緊縮させ溶滴移行のスプレー化を阻害す
る作用があるが、含有量が0.0015mass%を超えると、パ
ルス溶接時の溶滴および溶融プールの挙動が不安定とな
って、大粒のスパッタが増大する。従って、Ca量は0.00
15mass%以下に制限した。
【0022】K:0.0001〜0.0030wtmass% Kは、微量でスパッタを激減させる効果がある。特にパ
ルス CO2溶接時の溶滴および溶融プールの挙動の安定化
に効果がある。しかしながら、含有量が0.0001mass%未
満ではスパッタの低減効果に乏しく、一方0.0030mass%
を超えるとアーク長が長くなり、ワイヤ先端に懸垂した
溶滴が不安定となってビード近傍への大粒のスパッタを
増大する。従って、K量は0.0001〜0.0030mass%の範囲
で含有させるものとした。なお、Kは沸点が約 760℃と
低く溶鋼段階での歩留りが著しく低いため、Kをワイヤ
中に存在させることは極めて困難であるが、後述する製
造工程中の熱拡散を利用することによって有利に付与す
ることができる。
【0023】B:0.0003〜0.0030mass% Bは、Kと同様に、微量でスパッタを激減させる効果が
ある。特にパルスCO2溶接時の溶滴および溶融プールの
挙動の安定化に効果がある。しかしながら、含有量が0.
0003mass%未満ではスパッタの低減効果に乏しく、一方
0.0030mass%を超えて添加すると溶接金属の靱性を低下
させるので、Bは0.0003〜0.0030mass%の範囲で含有さ
せるものとした。
【0024】以上、基本成分について説明したが、この
発明ではその他にも以下の元素を必要に応じて適宜添加
することができる。 Al:0.50mass% Alは、脱酸素材として、また溶接金属の強度確保、耐候
性の確保を目的として必要に応じて添加される。また、
溶滴の移行に関しては、Tiと同様に、アークを広げ、高
パルス電流付与による溶滴の不安定な挙動を抑え、小粒
のスパッタを抑制する効果ある。しかしながら、含有量
が0.50mass%を超えると溶接金属の靱性を低下させるだ
けでなく、スラグ剥離性を低下させるので、Al量は0.50
mass%以下とした。
【0025】Cr:0.60mass%以下、Ni:3.0 mass%以
下、Cu:3.0 mass%以下、Mo:0.50mass%以下 Cr, Ni, CuおよびMoはいずれも、溶接金属の強度および
耐侯性の向上に有用な元素であり、必要に応じて適宜添
加することができる。しかしながら、過剰な添加はむし
ろ靱性の低下を招くので、単独添加または複合添加いず
れの場合にも上記の範囲で含有させるものとした。
【0026】Nb, ZrおよびVのうちから選んだ少なくと
も1種:0.25mass%以下 Nb, ZrおよびVにいずれも、溶接金属の強度確保、耐侯
性の確保を目的として必要に応じて添加することができ
る。しかしながら、過剰な添加は靱性の低下を招くの
で、これらは合計量で0.25mass%以下の範囲で含有させ
るものとした。
【0027】その他、不可避的不純物については次のと
おりである。Oは、製鋼および製造工程中の内部酸化に
よってワイヤ中に不可避的に混入する元素であるが、過
剰な添加は溶接金属の靱性を低下させるので、0.0025ma
ss%以下に抑制することが好ましい。また、PやNも不
可避混入不純物であり、過剰の混入は溶接金属の靱性低
下を招くので、これらの元素は極力低減することが好ま
しい。
【0028】さて、上記の好適成分組成に調整した溶鋼
は、好ましくは連続鋳造によりビレットとし、その後熱
間圧延により鋼素線とする。ついで、乾式による冷間伸
線、焼鈍後、酸洗、銅めっきおよび伸線加工を施して製
品とする。この発明では、上記の伸線工程中の焼鈍を利
用して、ワイヤ表層に内部酸化層を形成すると共に、こ
の内部酸化層中にKを保持させることが、Kの添加方法
としては最も安定である。というのは、前述したとお
り、Kは沸点が約 760℃と低く溶鋼段階での歩留りが著
しく低いため、Kをワイヤ中に存在させることは極めて
難しいのではあるが、伸線工程中の熱拡散を利用すれ
ば、効果的にKを添加することができるからである。な
お、他の、表面塗布あるいはめっきによって保持させる
方法では、めっきの変色等による問題が発生し易く、ま
た熱的に不安定であるため、Kによる低スパッタ化の効
果も小さい。
【0029】また、ワイヤ送給性や給電の安定性、アー
ク安定性、溶接作業性等に影響を及ぼす要因としては、
上記したもの以外に、銅めっき厚、ワイヤ表面に付着し
ている銅粉等不純物、ワイヤ金属表面と銅めっき層との
間に介在する伸線潤滑剤残留物(Ca, Na)、ワイヤの比
表面積およびワイヤの偏芯度等が考えられる。ここに、
比表面積は、例えばSEM画像処理によりワイヤ表面の
微小な凹凸(高さ方向の変動)を含めて測定した実表面
積と前記凹凸がないものとして幾何学的関係(例えばワ
イヤ断面外周長さ×ワイヤ長手方向長さ)にて導出した
理論表面積の比であり、また、ワイヤの偏芯度は、ワイ
ヤ直径の最大値dmax 、最小値dmin 、10点平均値d
ave から、(dmax −dmin )/dave で算出する。
【0030】これら要因については、銅めっき厚は 1.5
μm 以下、銅粉等不純物はワイヤ10kg当たり 0.2g以
下、伸線潤滑剤残留物(Ca、Na)は5ppm 以下、ワイヤ
の比表面積は1.02以下、ワイヤの偏芯度は 0.008以下と
することが好ましい。
【0031】
【実施例】実施例1 連続鋳造製鋼素材(ビレット)を、熱間圧延して5.5 mm
φの素線としたのち、炭酸カルシウムとCaOを主成分と
する伸線潤滑剤を用いた冷間伸線によって線径を 2.8mm
φとし、ついで5〜15%のクエン酸3カリウム水溶液を
塗布してから、露点:−5℃以下、酸素:100ppm以下、
二酸化炭素:0.05%以下のN2雰囲気中で750〜850 ℃に
加熱した。この時のカリウム塩濃度、加熱温度および加
熱時間の調整により、ワイヤの内部酸化による酸素量と
カリウム量を調整した。ついで、鋼素線を、35℃の15%H
Cl水溶液中に20秒間侵漬後、水洗、Cuめっき、冷間伸線
によって1.2 mmφとし、表面にワイヤ10kg当たり 0.2〜
0.8 gの潤滑油を塗布したワイヤを溶接試験に供した。
ワイヤの引張り強さは 850〜980 MPa 、Cuめっき厚は0.
20〜0.75μm 、ワイヤ表面に付着した銅粉等の不純物は
ワイヤ10kg当たり0.05g以下、伸線潤滑剤の残留物はC
a:1ppm 以下、Na:1ppm 以下、そして非表面積は 1.
005以下、偏芯度は 0.003以下であった。表1,2に、
試作した鋼ワイヤの成分組成を示す。なお、組成中のCu
はめっきを含んだ値である。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】表1,2に示した鋼ワイヤを用いて、ビー
ドオン溶接を行い、その際のスパッタ発生量について調
査した。溶接条件は、次のとおりである。100%CO2
毎分:20 Lシールドガスとして流し、パルス電源によ
り、溶接電流:300 A、電圧:34V、溶接速度:40 cm/
min の条件で、板厚:19mmの鋼板に対してビードオン溶
接を行った。この時のパルス条件は、1溶滴移行当たり
のパルス数:8〜15、ピーク電流:500 A、ベース電
流:80Aとし、また平均ベース期間は0.4 msとした(周
波数:467 Hz)。これらの溶接条件をまとめて表3に示
す。
【0035】
【表3】
【0036】また、スパッタ発生量の目標値は 1.2 g/m
in以下に設定した。そして、とくに1.0 g/min 以下を良
(○)、1.0 g/min 超え 1.2 g/min以下を可(△)、1.
2 g/min 超えを不可(×)とした。得られた調査結果を
表4に示す。また、図3には、Ti含有量とスパッタ発生
量との関係を整理して示す。
【0037】
【表4】
【0038】表4および図3から明らかなように、鋼ワ
イヤとして、成分組成がこの発明の適正範囲を満足する
ものを用いた場合には、スパッタの発生量を格段に低減
することができた。特に、Kを1〜30 ppm含有させる
か、あるいはBを3〜30 ppm含有させた場合には、一層
の低スパッタ化が達成されている。これに対し、C、
S、Ca、Ti含有量のいずれかがこの発明の適正範囲を外
れた比較例(No.31 〜36)はいずれも、スパッタ発生量
が 1.2 g/minを超えて多量に発明した。
【0039】実施例2 この実験は、溶接条件を次のように変えた場合である。 ・溶接条件 シールドガス:100 %CO2 (毎分 25L) ・パルス電源 溶接電流:400 A 電圧:37V 溶接速度:50 cm/min ・鋼板板厚:22mm ・パルス条件 1溶滴移行当たりのパルス数:7〜13 ピーク電流:550 A ベース電流:150 A 平均ベース期間:0.35ms ・周波数:885 Hz これらの溶接条件をまとめて表5に示す。
【0040】
【表5】
【0041】なお、この例では、スパッタ発生量の目標
値は 1.0 g/min以下に設定した。そして、特に 0.8 g/m
in以下を良(○)、0.80 g/min超え 1.0 g/min以下を可
(△)、1.0 g/min 超えを不可(×)とした。得られた
調査結果を表6に示す。また、図4には、Ti含有量とス
パッタ発生量との関係を整理して示す。
【0042】
【表6】
【0043】表6および図4から明らかなように、鋼ワ
イヤとして、成分組成がこの発明の適正範囲を満足する
ものを用いた場合には、スパッタの発生量を格段に低減
することができた。特に、Kを1〜30 ppm含有させる
か、あるいはBを3〜30 ppm含有させた場合には、一層
の低スパッタ化が達成されている。これに対し、成分組
成がこの発明の適正範囲を外れた比較例(No.31〜36)を
用いた場合はいずれも、スパッタが 1.0 g/minを超えて
多量に発生した。
【0044】
【発明の効果】かくして、この発明によれば、パルス C
O2溶接において、アーク安定性を向上させるだけでな
く、スパッタ発生量を格段に低減することができ、その
結果、高品質の溶接が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 パルスの出力状態を示す図である。
【図2】 ワイヤ中のTi量とパルス溶接における溶滴の
移行回数および溶融の平均重量との関係を示すグラフで
ある。
【図3】 実施例1における、ワイヤ中のTi量とスパッ
タ発生量との関係を示すグラフである。
【図4】 実施例2における、ワイヤ中のTi量とスパッ
タ発生量との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 38/14 C22C 38/14 (72)発明者 安田 功一 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4E001 AA03 BB09 DD04 EA05 4E082 AA03 AB02 BA04 DA01 EA02 EA06 EA11

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1溶滴移行当たり7以上のパルスを付与
    するパルス CO2溶接用のワイヤであって、 C:0.15mass%以下、 Si:0.3 〜2.0 mass%、 Mn:0.5 〜2.5 mass%、 Ti:0.15〜0.30mass% を含み、かつ S:0.030 mass%以下、 Ca:0.0015mass%以下 に制限し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる
    ことを特徴とするパルスCO2 溶接用鋼ワイヤ。
  2. 【請求項2】 1溶滴移行当たり7以上のパルスを付与
    するパルス CO2溶接用のワイヤであって、mass%で C:0.15mass%以下、 Si:0.3 〜2.0 mass%、 Mn:0.5 〜2.5 mass%、 Ti:0.15〜0.30mass% を含み、かつ K:0.0001〜0.0030mass%および B:0.0003〜0.0030mass% のうちから選んだ一種または二種を含有し、さらに S:0.030 mass%以下、 Ca:0.0015mass%以下 に制限し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる
    ことを特徴とするパルスCO2 溶接用鋼ワイヤ。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、鋼ワイヤ
    が、さらに Al:0.50mass%以下 を含有する組成になることを特徴とするパルスCO2 溶接
    用鋼ワイヤ。
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