JP2001122663A - 放熱性成形体 - Google Patents

放熱性成形体

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JP2001122663A
JP2001122663A JP30480999A JP30480999A JP2001122663A JP 2001122663 A JP2001122663 A JP 2001122663A JP 30480999 A JP30480999 A JP 30480999A JP 30480999 A JP30480999 A JP 30480999A JP 2001122663 A JP2001122663 A JP 2001122663A
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resin
heat
molded article
expanded graphite
radiating
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JP30480999A
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English (en)
Inventor
Tomonori Seki
智憲 関
Akitsugu Tashiro
了嗣 田代
Harufumi Hasuda
春文 蓮田
Atsushi Fujita
藤田  淳
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Showa Denko Materials Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価で、かつ放熱性、機械的強度等に優れた
放熱性成形体を提供する。 【解決手段】 樹脂及び膨張黒鉛粉を含む成形体中の樹
脂分を炭化して得られる放熱性成形体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パソコンなどに装
着される放熱性成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、パソコンなどに代表される電子機
器は、著しい勢いで高性能化を達成している。しかし、
その反面、使用中に発生する装置内の発熱量も急激に増
加し、強力な放熱(冷却)システムで対応しなければ安
定した操作の確保と誤動作を防ぐことができない。この
ような問題は、特に小型軽量化が進行するノート型パソ
コンを設計する上で特に重要なポイントとなっている。
【0003】現在の放熱システムは、ヒートシンクと呼
ばれる放熱性の成形体(ハウジング)に冷却ファンなど
を取り付けた装置を使用し、発熱した空気を速やかに装
置外に外す送風方式が一般的である。
【0004】しかしながら、従来のヒートシンクの材料
は、汎用タイプの熱可塑性樹脂、黒鉛等を混合し、これ
を押し出し成形したものが中心であったが、この成形体
は耐熱性が低い為変形などのトラブルを招き安定した放
熱効果を生み出すことができなく、また黒鉛を放熱材と
して使用した成形品を用いた場合、強度が低い為パソコ
ンの移動時に受ける衝撃によって破損する可能性も高
い。
【0005】また、耐熱性を考慮した特殊な樹脂の使用
も試みられているが、樹脂自身のコストが高いばかりで
なく、成形する際に剛直な分子構造から汎用の成形装置
は使用できず、黒鉛などの放熱材料との混合及び成形時
に高温高圧力を必要とする為、高価で特殊な混合装置と
成形機が必要になり、得られた成形品も当然コスト高と
なる。
【0006】上記の改善策として本発明者らは、汎用型
タイプの放熱性材料として、樹脂及び膨張黒鉛粉に必要
に応じて金属粉を添加した成形体を提案した。しかしな
がら、このような成形体では樹脂分が樹脂構造を残した
ままバインダーとして働くため、放熱性を若干損なうと
いう問題を有していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】請求項1、2、3、4
及び5記載の発明は、安価で、かつ放熱性、機械的強度
等に優れた放熱性成形体を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、樹脂及び膨張
黒鉛粉を含む成形体中の樹脂分を炭化して得られる放熱
性成形体に関する。また、本発明は、樹脂が、開環重合
により硬化反応するフェノール樹脂である前記の放熱性
成形体に関する。また、本発明は、膨張黒鉛粉が、平均
粒径5μm〜1000μmである前記の放熱性成形体に
関する。また、本発明は、樹脂の炭化温度が、200℃
以上である前記の放熱性成形体に関する。さらに、本発
明は、樹脂の炭化雰囲気が、不活性ガスである前記の放
熱性成形体に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明において、前記膨張黒鉛粉
と共に用いられる樹脂(熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹
脂)としては、粉末状の熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂
を用いることが好ましい。その構造、官能基数、反応式
等については特に制限はなく、例えば、固形エポキシ樹
脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、レゾールタイプ、ノ
ボラックタイプ等の各種フェノール樹脂、粉末状ポリア
ミド樹脂、粉末状ポリアミドイミド樹脂、フェノール樹
脂等が使用される。これらの樹脂は必要に応じて、硬化
剤、硬化促進剤、硬化触媒等を併用することができる。
例えば、エポキシ樹脂は、硬化剤と硬化促進剤が併用し
て使用される。これらの樹脂の中で、優れた特性バラン
スを示し、コスト、耐熱性、膨張黒鉛粉との混合性等に
も優れることから、フェノール樹脂が好ましい。
【0010】フェノール樹脂としては、硬化反応時に発
生ガスが少なく内部欠陥が生じにくく、成形性が良くま
た良好な諸特性を有する開環重合により硬化反応するフ
ェノール樹脂が特に好ましいものとして用いられる。開
環重合により硬化反応するフェノール樹脂としては、粉
末状の樹脂が好ましく、一般式(a)
【化1】 に示されるジヒドロベンゾオキサジン環を含む樹脂が成
形性、耐熱性等に優れ、好ましい。この樹脂は、加熱に
より開環重合反応を起こし、触媒や硬化剤を用いること
なく、揮発分を発生させることなく優れた特性を持つ架
橋構造を形成することができる。
【0011】前記ジヒドロベンゾオキサジン環を含む樹
脂としては、一般式(b)
【化2】 (式中、芳香環に結合する水素はヒドロキシル基のオル
ト位の1つを除き、置換基で置換されていてもよい)に
示す化学構造単位と一般式(c)
【化3】 (式中、R1は炭化水素基であり、芳香環に結合する水
素は、置換基で置換されていてもよい)に示す化学構造
単位を含むものが揮発性ガスの発生を抑制する効果が高
いので好ましく、一般式(b)/一般式(c)のモル比
が4/1〜1/9で含むものが耐熱性等が点でより好ま
しい。なお、この比は、用いる材料の比率等により調整
できる。
【0012】前記一般式(b)及び一般式(c)で示さ
れる化学構造単位において、芳香環に結合する水素の代
わりに置換されていてもよい置換基としては特に制限は
ないが、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル
基などの炭素原子数1〜10のアルキル基が好ましいも
のとして挙げられる。また、一般式(b)において、ヒ
ドロキシル基のオルト位の1つは硬化反応のために水素
を持つ。また、一般式(c)において、R1で示される
炭化水素基としては、メチル基、エチル基、シクロヘキ
シル基、フェニル基、置換フェニル基等の炭素原子数1
〜10のものが挙げられる。
【0013】前記各化学構造単位の数は、1分子中に含
まれる一般式(b)の数をm、一般式(c)の数をnと
するときに、mが1以上、nが1以上であればよいが、
数平均でm+nが3〜10であることが、硬化物の特
性、例えば耐熱性等の点で好ましい。
【0014】前記各化学構造単位は、互いに直接結合し
ていてもよく、各種の基を介して結合していてもよい。
このような基としては、有機基として、アルキレン基、
キシリレン基等の炭化水素基などが好ましいものとして
挙げられ、具体的には、
【化4】 で示される基(但し、R2は、水素原子又はメチル基、
エチル基、プロピル基、イソプロピル基、フェニル基、
置換フェニル基等の炭素原子数1〜20の炭化水素基を
示す)、炭素原子数5〜20の鎖状アルキレン基等が挙
げられる。これは、原料として用いるフェノール性水酸
基を有する化合物の種類などにより選択できる。
【0015】前記ジヒドロベンゾオキサジン環を含む樹
脂は、例えば、フェノール性水酸基を有する化合物、ホ
ルムアルデヒド類及び第1級アミンから合成することが
できる。これらの材料からジヒドロベンゾオキサジン環
を含む樹脂を合成する方法としては、フェノール性水酸
基を有する化合物と第1級アミンとの混合物を好ましく
は70℃以上に加熱したホルムアルデヒド類中に添加し
て、好ましくは70℃〜110℃、より好ましくは90
℃〜100℃で、好ましくは20分〜120分反応さ
せ、その後好ましくは120℃以下の温度で減圧乾燥す
る方法が挙げられる。
【0016】前記フェノール性水酸基を有する化合物と
しては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビフェ
ノール等のビスフェノール化合物、トリスフェノール化
合物、テトラフェノール化合物等の低分子フェノール化
合物やフェノール樹脂を挙げることができる。フェノー
ル樹脂としては、フェノール若しくはキシレノール、t
−ブチルフェノール、オクチルフェノール等のアルキル
フェノールなどの1価のフェノール化合物、レゾルシノ
ール、ビスフェノールA等の多価フェノール化合物とホ
ルムアルデヒド類を反応させて得られるノボラック樹脂
若しくはレゾール樹脂、フェノール変性キシレン樹脂、
メラミン変性フェノール樹脂、ポリブタジエン変性フェ
ノール樹脂等が挙げられる。
【0017】前記ホルムアルデヒド類としては、ホルム
アルデヒドの他、ホルマリン、パラホルムアルデヒドや
ヘキサメチレンテトラミンのようなホルムアルデヒドを
発生するものを用いることもできる。第1級アミンとし
ては、メチルアミン、シクロヘキシルアミン等の脂肪族
アミン、アニリン、置換アニリン等の芳香族アミンが挙
げられる。耐熱性の面からは、芳香族アミンが好まし
い。
【0018】これらの配合比に特に制限はないが、例え
ば、フェノール性水酸基を有する化合物のヒドロキシル
基(そのオルト位の少なくとも1つが水素であるもの)
1モルに対し、第1級アミンを0.2〜0.9モル、ホ
ルムアルデヒド類を第1級アミンの2倍モル量以上の比
で反応させることが好ましい。
【0019】粉末状のフェノール樹脂を用いる場合、そ
の粒度分布に特に制限はないが、膨張黒鉛粉等の炭素材
料との混合性(特に乾式混合法の場合)、成形時に於け
る樹脂の流れ性を考慮すると、数平均粒径で1μm〜1
00μmが好ましく、5μm〜50μmがさらに好まし
い。数平均粒径が1μm未満の場合、粒子同士が凝集
(ブロッキング)を起こし、作業性が悪いばかりでなく
膨張黒鉛粉との均一混合が難しくなり、得られる放熱性
成形体の機械物性が低下する傾向があり、一方、100
0μmを越える場合、前記と同様に膨張黒鉛粉との均一
混合が難しくなり、得られる放熱性成形体の機械物性が
低下する傾向がある。
【0020】本発明に用いられる膨張黒鉛粉は、例えば
原料黒鉛を、酸性物質及び酸化剤を含む溶液中に浸漬し
て黒鉛層間化合物を生成させる工程、前記黒鉛層間化合
物を加熱して黒鉛結晶のC軸方向を膨張させて膨張黒鉛
とする工程、前記膨張黒鉛を圧縮成形した後粉砕する工
程、また必要に応じて行う前記粉砕粉の水洗、乾燥工程
を含むことにより得ることができる。
【0021】前記の原料黒鉛としては特に制限はない
が、天然黒鉛、キッシュ黒鉛、熱分解黒鉛等の高度に結
晶が発達した黒鉛が好ましいものとして挙げられる。得
られる特性の経済性のバランスを考慮すると天然黒鉛が
好ましい。用いる天然黒鉛としては、特に制限はなく、
F48C(日本黒鉛(株)製、商品名)、H−50(中越
黒鉛(株)製、商品名)等の市販品を用いることができ
る。
【0022】原料黒鉛の処理に用いられる酸性物質は、
一般に硫酸又は硫酸と硝酸との混液が使用される。酸の
濃度は、95重量%以上であることが好ましい。酸性物
質の使用量については特に制限はなく、目的とする膨張
倍率で決定され、例えば、黒鉛100重量部に対して1
00〜1000重量部使用することが好ましい。
【0023】また、酸性物質と共に用いられる酸化剤と
しては、過酸化水素、塩酸を用いることが、良好な膨張
黒鉛粉が得られるので好ましい。酸化剤として過酸化水
素を用いる場合、過酸化水素の濃度については特に制限
はないが、20〜40重量%が好ましい。その量につい
ても特に制限はないが、黒鉛100重量部に対して過酸
化水素水として5〜60重量部配合することが好まし
い。
【0024】前記黒鉛を膨張黒鉛にする方法に特に制限
はなく、公知の方法としては、前記黒鉛を硫酸又は硫酸
と硝酸との混液である酸性物質に浸漬し、さらに過酸化
水素、塩酸等の酸化剤を添加して処理することにより黒
鉛層間化合物を生成させ、次いで水洗してから急速加熱
して、黒鉛結晶のC軸方向を膨張処理する方法が挙げら
れる。これにより、膨張した黒鉛が虫状形となり方向性
のない複雑に絡み合った形態となる。
【0025】前記に示すような方法で得られた膨張黒鉛
粉は、密度が0.5g/cm3〜1.8g/cm3であることが好
ましく、0.7g/cm3〜1.7g/cm3であることがさらに
好ましい。前記のような密度の膨張黒鉛粉を得るには、
前記膨張黒鉛を、ロール、プレス等で加圧して、膨張黒
鉛同士の接触を大きくして、密度が0.5g/cm3〜1.
8g/cm3の、例えばシート状の成形体に成形する。次い
でこれを粉砕し、必要に応じて分級することにより得る
ことができる。
【0026】ここで、密度が0.5g/cm3未満のシート
を使用した場合、熱伝導性の向上があまり認められず、
一方、1.8g/cm3を越えるシートを使用した場合、成
形体の製造時に大きな圧力が必要となり、作業性及び生
産性が低下する傾向にある。最適密度に調整したシート
状の成形体は、各種粉砕装置を用いて粉砕し、良好な膨
張黒鉛粉を得ることができる。粉砕した膨張黒鉛粉は、
硫酸イオンを低減するため必要に応じて水洗、乾燥して
使用される。
【0027】また、膨張黒鉛粉の平均粒径に特に制限は
ないが、粉末状の樹脂との乾式混合などを考慮すると、
5μm〜1000μmの範囲が好ましく、25μm〜5
00μmの範囲がさらに好ましい。ここで、平均粒径が
5μm未満の膨張黒鉛粉を使用した場合、得られる成形
体の機械強度が低下する傾向にあり、一方、1000μ
mを越える膨張黒鉛粉を使用した場合、粉末状の樹脂と
の混合性が低下し均一な成形体が得られなくなる傾向に
ある。
【0028】本発明においては上記材料の他に必要に応
じて金属粉が添加される。必要に応じて添加される金属
粉の種類については特に制限はないが、酸化され難く放
熱性の高い金属粉を用いることが好ましい。金属粉の平
均粒径は、1μm〜200μmの範囲が好ましく、5μ
m〜100μmの範囲がさらに好ましい。平均粒径が1
μm未満の金属粉を使用した場合、放熱性の効果が薄く
なる傾向にあり、一方、200μmを越える金属粉を使
用した場合、膨張黒鉛粉との混合性が低下し、放熱性の
効果が低下する傾向にある。
【0029】上記材料の混合方法については特に制限は
なく、コスト、安全性及び作業性を考慮すると、有機溶
剤などを一切使用しない乾式法で混合することが好まし
い。混合に使用する装置としては、シェイカー、ミキサ
ー等が挙げられる。
【0030】上記材料の混合比率は、コスト、放熱性、
機械強度等を考慮すると、膨張黒鉛粉/樹脂=90/1
0〜50/50(重量比)の範囲が好ましく、80/2
0〜40/60(重量比)の範囲がさらに好ましい。こ
こで混合する膨張黒鉛粉の量が90/10を越える場
合、機械強度が急激に低下する傾向があり、一方、50
/50未満の場合は、放熱性が低下する傾向がある。ま
た、必要に応じて添加する金属粉の配合量は、膨張黒鉛
粉100重量部に対して1〜20重量部の範囲で使用す
ることが好ましい。
【0031】放熱性成形体の成形法についても特に制限
はなく、例えば圧縮成形法で成形する場合、前記した混
合粉又はタブレット(作業効率を計るため混合粉を予備
成形し、推積を減少させたブロック形状にする)化した
ものを、成形用金型に充填し、加熱加圧成形することが
好ましい。本発明になる放熱性成形体は、前記で得られ
た使用樹脂がほぼ完全に硬化した成形体を、さらに20
0℃以上の不活性ガス中で熱処理し、成形体中の樹脂分
を炭化することで達成される。
【0032】前記の熱処理に使用する炉については特に
制限はないが、バッチ炉又は連続炉が使用される。ま
た、熱処理時間についても特に制限はなく、炉の体積、
昇温速度、使用温度範囲、処理枚数等により任意に設定
される。さらに、最適な熱処理条件(温度、時間)の設
定方法として、得られた熱処理成形品の機械強度、熱伝
導性及び寸法の測定は有効である。熱処理に使用する不
活性ガスには特に制限はないが、経済性を考慮すると窒
素ガスが好ましい。
【0033】本発明になる放熱性成形体の大きさ、厚
さ、形状等に特に制限はない。図1に本発明の放熱性成
形体の一例を示す。一般に放熱性成形体1は、放熱面積
を確保するためフィンが設けられている。図1の(a)
は両面にフィンを設けたもの及び(b)は片面にフィン
を設けたものである。なお図1において、2はフィン部
及び3は基板部である。
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。
【0035】実施例1 (1)膨張黒鉛粉の製造 硫酸(濃度99重量%)600gと硝酸(濃度99重量
%)200gを3リットルのガラスビーカに入れた。こ
のものに黒鉛F48C(固定炭素99重量%以上、日本
黒鉛(株)製、商品名)400gを配合し、ガラスはねを
取り付けた撹拌モータ(60min-1)で6分間撹拌し、
その後、過酸化水素(濃度35重量%)32gを配合
し、15分間撹拌した。撹拌終了後、減圧濾過で酸化黒
鉛と酸成分を分離し、得られた酸化黒鉛を別容器に移
し、5リットルの水を加え、10分間撹拌し、減圧濾過
で洗浄酸化黒鉛と洗浄水を分離した。
【0036】得られた洗浄酸化黒鉛をホーロー製のバッ
トに移し平らに均し、120℃に昇温した乾燥器で1時
間熱処理して水分を乾燥させた。このものを更に850
℃に昇温した加熱炉に5分間入れ、密度が0.015g/
cm3の膨張黒鉛を得た。冷却後、この膨張黒鉛をロール
で圧延して密度が1.0g/cm3のシートに加工し、得ら
れたシートを粗粉砕機(ホソカワミクロン(株)製、ロー
トプレックス(商品名))で粉砕後、微粉砕機(奈良機
械製作所(株)製、自由粉砕機M−3(商品名))で粉砕
し、平均粒径が130μmの膨張黒鉛粉を得た。
【0037】(2)開環重合するフェノール樹脂(ジヒ
ドロベンゾオキサジン環を含む樹脂)の製造 フェノール1.9kg、ホルマリン(37重量%水溶液)
1.0kg及びしゅう酸4gを5リットルのフラスコに仕
込み、環流温度で6時間反応させた。引き続き、内部を
6666.1Pa(50mmHg)以下に減圧して未反応のフ
ェノール及び水を除去し、フェノールノボラック樹脂を
合成した。得られた樹脂は、軟化点84℃(環球法)、
3核体〜多核体/2核体比92/18(ゲルパーミエー
ションクロマトグラフィー法によるピーク面積比)であ
った。
【0038】次に合成したフェノールノボラック樹脂
1.7kg(ヒドロキシル基16モルに相当)をアニリン
0.93kg(10モルに相当)と混合し、80℃で5時
間撹拌し、均一な混合溶液を調整した。次いで5リット
ルフラスコ中に、ホルマリン1.62kgを仕込み90℃
に加熱し、さらに前記のノボラック/アニリン混合溶液
を30分かけて少しずつ添加した。添加終了後、30分
間、環流温度に保ち、しかる後に100℃で2時間66
66.1Pa(50mmHg)以下に減圧して縮合水を除去
し、反応し得るヒドロキシル基の71モル%がジヒドロ
ベンゾオキサジン化されたジヒドロベンゾオキサジン環
を含む樹脂を得た。すなわち、上記ジヒドロベンゾオキ
サジン環を含む樹脂は、前記一般式(b)と一般式
(c)のモル比を前者/後者で1/2.45で含むもの
である。この後前記の樹脂を粉砕機で微粉化し、反応時
発生するガスの少ない平均粒径が5μmの粉末状のフェ
ノール樹脂を得た。
【0039】なお、前記フェノールノボラック樹脂にお
いて反応し得るヒドロキシル基の量は、下記のようにし
て算出したものである。すなわち、前記フェノールノボ
ラック樹脂1.7kg(ヒドロキシル基16モルに相当)
をアニリン1.4(16モルに相当)、ホルマリン2.
59kgと反応させ、反応し得るヒドロキシル基のすべて
にジヒドロベンゾオキサジン環が導入された樹脂を合成
した。過剰のアニリン及びホルマリンは乾燥中にのぞか
れ、収量は3.34kgであった。このことから、前記フ
ェノールノボラック樹脂において、反応し得るヒドロキ
シル基の量は14モル反応し、ジヒドロベンゾオキサジ
ン環化したことを示している。
【0040】(3)放熱性成形体の製造 実施例1(1)で得た膨張黒鉛粉80g及び(2)で得
た粉末状のフェノール樹脂20g(膨張黒鉛粉/フェノ
ール=80/20(重量比))を、ビニール袋に計り取
り空気を入れて袋を膨らませた状態で1分間乾式混合を
行って放熱性成形材料を得た。得られた混合粉(放熱性
成形材料)は材料同士が均一に混合されていた。
【0041】前記混合粉20gを分取し、180℃に昇
温した成形金型に均一に充填し、温度180℃に昇温し
た70トン圧縮成形機で、ゲージ圧力3.92MPa(4
0kgf/cm2)及び成形時間10分の条件で成形した。得
られた成形品は、基板部の厚さが10mmで、その片面に
高さが20mm及び直径が5mmのフィンを形成した縦14
0mm、横180mm及び密度が1.3g/cm3の外観が良好
なものであった。
【0042】次に上記で得た成形品を、厚さが3mmの鉄
板2枚で挟み、200℃に昇温した乾燥器に入れ1時間
熱処理し、該成形品に配合された樹脂をほぼ完全に反応
させた。次いで該成形品を変形防止治具で固定し、25
0℃に昇温した工業用窒素雰囲気を用いたマッフル炉に
入れ2時間で400℃まで昇温し、500℃の状態で1
0時間熱処理し、樹脂分の炭化(炭素化)を行った。炭
化後の放熱性成形体は、膨れ、クラック等がなく外観が
良好なものであった。
【0043】実施例2 マッフル炉での熱処理条件を、3時間で800℃まで昇
温し、800℃の状態で10時間熱処理した以外は、実
施例1と同様の材料を使用し、かつ実施例1と同様の工
程を経て、実施例1と同形状、同寸法の放熱性成形体を
得た。得られた放熱性成形体は、実施例1と同様に外観
は良好であり、特に問題はなかった。
【0044】実施例3 実施例1(3)の材料の他に、平均粒径が50μmのア
ルミニウム粉を8g(膨張黒鉛粉量の10重量%)を加
え、その他は実施例1と同様の材料を使用し、かつ実施
例1と同様の工程を経て、実施例1と同形状、同寸法の
放熱性成形体を得た。得られた放熱性成形体は、実施例
1と同様に外観は良好であり、特に問題はなかった。
【0045】比較例1 実施例1(1)で得た膨張黒鉛に代えて、平均粒径が4
0μmの黒鉛KS75(ロンザ社製、商品名)を用いた
以外は実施例1と同様の材料を使用し、かつ実施例1と
同様の工程を経て、実施例1と同形状、同寸法の放熱性
成形体を得た。得られた放熱性成形体は、外観は良好で
あり、特に問題はなかった。
【0046】次に、実施例1、2、3及び比較例1で得
られた放熱性成形体の熱伝導率及び機械強度について比
較試験を行った。その結果を表1に示す。なお試験は下
記に示す方法で行った。 熱伝導率:コールラウシュ法(成形体を棒状に加工し、
C軸方向を測定した。) 曲げ強度:JIS R 7202に準じて測定した。
【0047】
【表1】
【0048】表1に示すように、本発明の実施例になる
放熱性成形体は、比較例の放熱性成形体に比較して熱伝
導率が高く、曲げ強度に優れることが明らかである。
【0049】
【発明の効果】請求項1、2、3、4及び5記載の放熱
性成形材料は、安価で、かつ放熱性、機械的強度等に優
れた放熱性成形体を得ることができ、工業的に極めて好
適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる放熱性成形体の一例を示す斜視図
であり、(a)は両面にフィンを設けたもの及び(b)
は片面にフィンを設けたものである。
【符号の説明】
1 放熱性成形体 2 フィン部 3 基板部
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 61/34 C08L 101/00 101/00 C04B 35/52 A (72)発明者 蓮田 春文 茨城県日立市鮎川町三丁目3番1号 日立 化成工業株式会社山崎事業所内 (72)発明者 藤田 淳 茨城県日立市鮎川町三丁目3番1号 日立 化成工業株式会社山崎事業所内 Fターム(参考) 4F071 AA41 AB03 AF44 AH12 4F073 AA32 BA21 4G032 AA05 AA14 BA00 GA11 GA12 4J002 CC031 CC281 DA026

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂及び膨張黒鉛粉を含む成形体中の樹
    脂分を炭化して得られる放熱性成形体。
  2. 【請求項2】 樹脂が、開環重合により硬化反応するフ
    ェノール樹脂である請求項1記載の放熱性成形体。
  3. 【請求項3】 膨張黒鉛粉が、平均粒径5μm〜100
    0μmである請求項1又は2記載の放熱性成形体。
  4. 【請求項4】 樹脂の炭化温度が、200℃以上である
    請求項1、2、又は3記載の放熱性成形体。
  5. 【請求項5】 樹脂の炭化雰囲気が、不活性ガスである
    請求項1、2、3又は4記載の放熱性成形体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101939561B1 (ko) 2018-09-11 2019-01-18 한서대학교 산학협력단 열전도성을 가진 팽창 흑연을 이용한 온도조절형 데코레이티브 바닥재 제조 공법 및 이를 이용하여 제조된 열전도성을 가진 팽창 흑연을 이용한 온도조절형 데코레이티브 바닥재

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