JP2001114070A - 車両用シートベルト装置及び車両衝突時の乗員保護方法 - Google Patents

車両用シートベルト装置及び車両衝突時の乗員保護方法

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JP2001114070A
JP2001114070A JP29674799A JP29674799A JP2001114070A JP 2001114070 A JP2001114070 A JP 2001114070A JP 29674799 A JP29674799 A JP 29674799A JP 29674799 A JP29674799 A JP 29674799A JP 2001114070 A JP2001114070 A JP 2001114070A
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seat belt
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Hiromoto Nakagawa
裕元 中川
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Ashimori Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両の乗員の姿勢に関わらず、車両衝突時に
乗員の頸椎を含む首部や頭部に受ける障害を確実に軽減
するとともに、ウエビングにより乗員を効果的に拘束す
ることができる車両用シートベルト装置及び車両衝突時
の乗員保護方法を提供する。 【解決手段】 シートベルト装置1は、車両の衝突を予
測しその衝突予測から少なくとも車両衝突までの間に、
電動モータ30の駆動により、ウエビングWから乗員の
肩部に50N〜500Nの荷重を付与してウエビングW
を600mm/s〜100mm/sの速度で巻取り、乗員の頭部
をシートバックのヘッドレストに強制的に近づけるよう
に構成し、これにより、特に、車両の後方からの衝突を
確実に予測し、乗員の頭部をシートバックのヘッドレス
トに強制的に確実に近づけて、車両衝突時に乗員の頸椎
を含む首部や頭部に受ける障害を確実に軽減可能にな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は車両用シートベル
ト装置及び車両衝突時の乗員保護方法に関し、特に、車
両の衝突を予測し、その衝突予測から車両衝突までの間
に、乗員の少なくとも肩部を拘束するウエビングを電動
アクチュエータにより巻取り、乗員の頭部をヘッドレス
トに強制的に近づけるようにした技術に関する。
【0002】
【従来の技術】 従来、一般的な車両用シートベルトリ
トラクタは、車体に取付けられるハウジングと、このハ
ウジングに回転可能に支持されウエビング巻取り方向に
常時回動付勢された巻取軸と、この巻取軸に外嵌されて
ウエビングを巻取り可能な巻取ドラムと、緊急ロック機
構を有する。通常時、ウエビングの自由な引出しと巻取
りが可能であり、その状態で、ウエビングが乗員の肩部
と腰部を含む胴部を拘束可能に装着される。車両衝突等
の車両緊急時に緊急ロック機構が作動し、シートバック
から離れようとする乗員をウエビングで拘束できるよう
に、巻取軸の回転をロックして巻取ドラムからのウエビ
ングの引出を阻止する。
【0003】更に、前記ハウジング、巻取軸、巻取ドラ
ム、緊急ロック機構の他に、ウエビング巻取機構等を付
設したシートベルトプリテンショナーが種々実用に供さ
れている。この種のシートベルトプリテンショナーは、
車両衝突時にウエビング巻取機構が作動して、巻取ドラ
ムをウエビング巻取り方向へ急速に回動駆動し、ウエビ
ングがかなり高速(例えば、8000mm/s)で巻取られ、そ
のウエビングにより乗員をより確実に拘束できるように
なっている。但し、ウエビングから乗員にかなり大きな
荷重(例えば、1000N〜1500N)が作用することにな
る。
【0004】一方、特開平9−132113号公報に
は、種々のベルトテンションを設定可能なベルトテンシ
ョン機構と、車両周囲の物体を検出する物体検出器と、
物体検出器からの検出信号に基づいて車両と物体の間の
状況を判断するとともに、その判断結果に基づいてベル
トテンション機構を制御する制御装置等を備えた乗員保
護システムが開示されている。ベルトテンション機構は
電動モータを有し、この電動モータの駆動力がクラッチ
機構を介して巻取軸に伝達され、その駆動力を変更する
ことにより種々のベルトテンションを設定可能になって
いる。
【0005】さて、この乗員保護システムでは、車両と
物体の間の状況に応じた複数のモードと、各モードに対
応するベルトテンションが設定されている。制御装置は
物体検出器からの検出信号に基づいてモード判定を行
い、コンフォートモードの場合には、ベルトテンション
機構によりベルトテンションが除去され、ウエビングか
らの乗員の不快感を最も軽減できるようになる。車両衝
突が回避できない(車両衝突を予測した)緊急モードの
場合に、車両衝突前に、ベルトテンション機構により最
も高いベルトテンションに設定される。
【0006】この乗員保護システムには、巻取軸を一般
的なリトラクタよりも小さな付勢力(例えば、5N)で
ウエビング巻取り方向に常時付勢するバネ部材が設けら
れ、前記コンフォートモードでは、ベルトテンション機
構により、電動モータを前記バネ部材の付勢力と同等の
駆動力で駆動することで、ベルトテンションを除去する
ことができる。前記緊急モードの場合には、一般的なシ
ートベルトリトラクタと略同等の機能が得られるベルト
テンション(例えば、50N)に設定するように、電動
モータが駆動制御される。
【0007】ところで、特に、乗員がシートバックから
離れた姿勢で着座している場合に、車両が衝突したと
き、車体に対して乗員の上半身が後方へ移動すると、胴
部がシートバックに受止められた後、頭部はヘッドレス
トに受止められるまで更に後方へ移動する。そして、乗
員の胴部がシートバックに受止められた直後、乗員の胴
部に対して頭部に大きな負荷が加わる。一般に、車両衝
突時、乗員の頭部とヘッドレスとの距離が長い程、頭部
に加わる荷重が大きくなる傾向があり、車両の後側から
の衝突の場合には、頭部に更に大きな荷重が急激に加わ
る。
【0008】これが頸椎を含む首部や頭部が障害を受け
る(鞭打ち症になる)原因であるが、この障害を軽減す
る為には、車両衝突時に乗員がシートバックに接近して
いればよい。しかし、車両衝突に備えて、乗員の頭部を
ヘッドレストに常時接近した姿勢で運転するのは殆ど困
難であるし、車両衝突前に乗員の頭部を自らヘッドレス
トに接近させることも殆ど困難である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】 一般的なシートベル
トリトラクタでは、車両衝突等の車両緊急時に、緊急ロ
ック機構が作動し、巻取ドラムからのウエビングの引出
しを阻止するだけであるので、乗員がシートバックから
離れた姿勢で着座しているときに、特に、車両の後側か
らの衝突の場合、前述のように、頸椎を含む首部や頭部
に障害を受け易いという問題がある。しかも、車両緊急
時には、巻取ドラムからのウエビングの引出しを阻止す
るだけであることから、ウエビングで乗員をより効果的
に拘束することが難しいという問題もある。
【0010】従来のシートベルトプリテンショナーで
は、乗員がシートバックから離れた姿勢で着座している
ときに、車両の後側からの衝突時に、ウエビング巻取機
構でウエビングをかなり高速(例えば、8000mm/s)で巻
取るため、車体に対して乗員の上半身が後方へ移動する
速度を却って速めるという虞があり、頸椎を含む首部や
頭部に障害を軽減できるものでない。しかも、車両衝突
時にウエビング巻取機構でウエビングを巻取ドラムに巻
取るとき、ウエビングから乗員にかなり高い荷重(例え
ば、1000N〜1500N)が作用するという問題がある。
【0011】特開平9−132113号公報の乗員保護
システムでは、車両の衝突を予測して、車両衝突前に、
ベルトテンション機構により、電動モータを駆動して最
も高いベルトテンション(例えば、50N)に設定す
る。しかし、最も高いベルトテンション(例えば、50
N)に設定しても、一般的なシートベルトリトラクタと
略同等の機能が得られるようにするだけで、車両衝突前
に乗員の頭部をヘッドレストに強制的に近づけるように
したものではない。結局、この乗員保護システムでは、
ベルトテンション機構がシートベルトプリテンショナー
のウエビング巻取機構のようにも作動せず、従来のシー
トベルトリトラクタと同様に、車両衝突時に頸椎を含む
首部や頭部に障害を受けやすく、ウエビングで乗員をよ
り効果的に拘束できるものでもない。
【0012】本発明の目的は、車両の乗員の姿勢に関わ
らず、車両衝突時に乗員の頸椎を含む首部や頭部に受け
る障害を確実に軽減するとともに、ウエビングにより乗
員を効果的に拘束することができる車両用シートベルト
装置及び車両衝突時の乗員保護方法を提供することであ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】 請求項1の車両用シー
トベルト装置は、車体に取付けられるハウジングと、こ
のハウジングに回転可能に支持されウエビング巻取り方
向に常時回動付勢された巻取軸と、この巻取軸に外嵌さ
れてウエビングを巻取り可能な巻取ドラムと、車両緊急
時に巻取軸の回転をロックし巻取ドラムからのウエビン
グの引出しを阻止する緊急ロック機構とを有し、巻取ド
ラムから延びるウエビングで乗員の少なくとも肩部を拘
束するようにした車両用シートベルト装置において、車
両の衝突を予測する為の検出信号を出力する衝突予測セ
ンサと、前記巻取軸をウエビング巻取り方向へ回動駆動
可能な電動アクチュエータと、前記衝突予測センサから
の検出信号に基づいて車両の衝突を予測するとともに、
その衝突予測から少なくとも車両衝突までの間に、電動
アクチュエータを駆動制御して巻取軸をウエビング巻取
り方向へ回動させる制御手段とを備え、前記電動アクチ
ュエータの駆動により、ウエビングから乗員の肩部に5
0N〜500Nの荷重を付与してウエビングを600mm
/s〜100mm/sの速度で巻取り、乗員の頭部をシートバ
ックのヘッドレストに強制的に近づけるように構成した
ことを特徴とするものである。
【0014】巻取軸は車体に取付けられるハウジングに
回転可能に支持されて、ウエビング巻取り方向に常時回
動付勢され、この巻取軸に外嵌された巻取ドラムにウエ
ビングが巻取られる。通常時、ウエビングの自由な引出
しと巻取りが可能であり、その状態で、ウエビングは乗
員の少なくとも肩部を拘束するように装着される。車両
衝突等の車両緊急時に緊急ロック機構が作動し、巻取軸
の回転をロックし巻取ドラムからのウエビングの引出し
を阻止する。
【0015】前記緊急ロック機構の作動とは別に、衝突
予測センサから車両の衝突を予測する為の検出信号が出
力され、制御手段により、前記検出信号に基づいて車両
の衝突が予測されると、その衝突予測から少なくとも車
両衝突までの間に、電動アクチュエータが駆動制御され
て巻取軸とともに巻取ドラムがウエビング巻取り方向へ
回動し、ウエビングが巻取ドラムに巻取られる。する
と、乗員の肩部とともに頭部がシートバックのヘッドレ
ストに強制的に近づけられる。
【0016】さて、この車両用シートベルト装置では、
制御手段による車両の衝突予測精度、その衝突予測から
衝突までの時間(車両と衝突予測体との相対速度)、乗
員の体重、そして、乗員と頭部とヘッドレストとの距離
等々を加味して、電動アクチュエータの駆動により、ウ
エビングから乗員の肩部に50N〜500Nの荷重を付
与してウエビングを600mm/s〜100mm/sの速度で巻
取るように構成した。
【0017】従って、後述する〔発明の実施の形態〕か
ら判るように、車両の衝突を確実に予測し、その衝突予
測から少なくとも車両衝突までの間に、車両の乗員の姿
勢に関わらず、乗員の頭部をシートバックのヘッドレス
トに強制的に確実に近づけて、車両衝突時に乗員の頸椎
を含む首部や頭部に受ける障害を確実に軽減することが
できる。しかも、乗員にウエビングから過大な荷重を作
用させずに、車両衝突前に乗員をシートバックに強制的
に近づけることができ、更に、車両衝突時には緊急ロッ
ク機構も作動していることから、ウエビングで乗員を効
果的に拘束することが可能になる。
【0018】請求項2の車両用シートベルト装置は、請
求項1の発明において、前記衝突予測センサは、車両の
後方からの衝突を予測する為の検出信号を出力すること
を特徴とするものである。制御装置により、車両の後方
からの衝突を予測できるため、車両の後方からの衝突に
より受け易い、頸椎を含む首部や頭部に障害を確実に軽
減することができる。
【0019】請求項3の車両用シートベルト装置は、請
求項1又は2の発明において、前記電動アクチュエータ
の駆動により、ウエビングから乗員の肩部に70N〜2
00Nの荷重を付与してウエビングを500mm/s〜20
0mm/sの速度で巻取ることを特徴とするものである。こ
の数値限定を加えることで、後述する〔発明の実施の形
態〕から判るように、車両衝突時に乗員の頸椎を含む首
部や頭部に受ける障害を確実に軽減するとともに、ウエ
ビングにより乗員を効果的に拘束するために、より効果
的なウエビング巻取り動作を実現することが可能にな
る。
【0020】請求項4の車両用シートベルト装置は、請
求項1〜3の何れかの発明において、前記電動アクチュ
エータの駆動力を巻取軸に伝達するラチェット式クラッ
チ機構を設けたことを特徴とするものである。通常時に
は、電動アクチュエータに拘束されずに巻取軸(巻取ド
ラム)を自由に回動可能にして、ウエビングの自由な引
出しと巻取りを行うことができ、電動アクチュエータの
駆動開始時、ラチェット式クラッチ機構を介して電動ア
クチュエータと巻取軸とを連結し、その後、電動アクチ
ュエータにより巻取軸を確実に回動駆動することが可能
になる。
【0021】請求項5の車両衝突時の乗員保護方法は、
車両の乗員の少なくとも肩部を拘束するウエビングを巻
取る巻取ドラムを有するシートベルト装置を用いて、車
両衝突時に乗員を保護する車両衝突時の乗員保護方法で
あって、衝突予測手段により車両の衝突を予測し、その
衝突予測から少なくとも車両衝突までの間に、電動アク
チュエータにより巻取ドラムをウエビング巻取り方向に
回動駆動してウエビングを所定量以上巻取り、そのウエ
ビングを介して乗員の頭部をシートバックのヘッドレス
トに強制的に近づけることを特徴とするものである。
【0022】この車両衝突時の乗員保護方法において
は、車両の衝突を予測し、その衝突予測から少なくとも
車両衝突までの間に、巻取ドラムをウエビング巻取り方
向に回動駆動してウエビングを所定量以上巻取ることが
できる。それ故、ウエビングを介して乗員の頭部をシー
トバックのヘッドレストに強制的に近づけて、車両衝突
時に乗員の頸椎を含む首部や頭部に受ける障害を確実に
軽減することができる。しかも、車両衝突前に乗員をシ
ートバックに強制的に近づけることができるため、車両
衝突時、巻取軸の回転をロックし巻取ドラムからのウエ
ビングの引出しを阻止することで、ウエビングで乗員を
効果的に拘束することが可能になる。
【0023】請求項6の車両衝突時の乗員保護装置は、
請求項5の発明において、前記衝突予測手段により車両
の後方からの衝突を予測することを特徴とするものであ
る。車両の後方からの衝突を確実に予測できるため、車
両の後方からの衝突により受け易い、頸椎を含む首部や
頭部に障害を確実に軽減することができる。
【0024】請求項7の車両衝突時の乗員保護装置は、
請求項5又は6の発明において、前記衝突予測手段によ
り車両衝突の少なくとも0.4秒前に予測し、その後車
両衝突までの間に、電動アクチュエータによりウエビン
グを100mm以上巻取り可能なことを特徴とするもので
ある。この数値限定を加えることで、後述する〔発明の
実施の形態〕から判るように、車両の衝突を確実に予測
し、車両衝突時に乗員の頸椎を含む首部や頭部に受ける
障害を確実に軽減するとともに、ウエビングにより乗員
を効果的に拘束するために、より効果的なウエビング巻
取り動作を実現することが可能になる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照しながら説明する。本実施形態は、自動車
の運転席と助手席用のシートベルト装置、及び、そのシ
ートベルト装置を用いて車両衝突時に乗員を保護する乗
員保護方法に、本発明を適用した場合の一例である。
【0026】図1に示すように、シートベルト装置1
は、自動車Cの各前座席6(運転席と助手席)のサイド
ドア7側に設けられたシートベルトプリテンショナー2
と、自動車Cの車体後端部に設けられた衝突予測センサ
3と、ダッシュボード8の下側に設けられ各シートベル
トプリテンショナー2の電動モータ30(図2参照)と
衝突予測センサ3が電気的に接続された制御装置4とで
構成されている。尚、衝突予測センサ3と制御装置4と
が衝突予測手段に相当する。
【0027】前記シートベルトプリテンショナー2は、
図2に示すように、車体に取付けられるハウジング10
と、ハウジング10に回転可能に支持され図に矢印で示
すウエビング巻取り方向aに常時回動付勢された巻取軸
15と、巻取軸15に外嵌されてウエビングWを巻取り
可能な巻取ドラム20と、車両緊急時に巻取軸15の回
転をロックし巻取ドラム20からのウエビングWの引出
しを阻止する緊急ロック機構25と、巻取軸15をウエ
ビング巻取り方向aへ回動駆動可能な電動モータ30等
を備え、巻取ドラム20から延びるウエビングWで乗員
の腰部と肩部を含む胴部を拘束可能である。
【0028】ハウジング10は相対向する1対の側壁1
1,12を有し、これら側壁11,12に、巻取軸15
を回転可能に支持する同心状の孔11a,12aが形成
されている。側壁11の外側面にカバー部材13がビス
で固定され、側壁12の外側面に緊急ロック機構25の
ケーシング26がビスで固定されている。
【0029】巻取軸15は軸本体部15aを有し、この
軸本体部15aに巻取ドラム20が外嵌されている。軸
本体部15aの一端側の角軸状の軸端部15bが、巻取
ドラム20から側方へ突出して側壁11の孔11aを挿
通し、カバー部材13の外部へ臨む円筒部13a内まで
延びている。巻取軸15の軸端部15bと反対側の軸端
部は、緊急ロック機構25のケーシング26に形成され
孔26aからその内部まで延び、ロック機構本体部(図
示略)に作動的に連結されている。
【0030】巻取ドラム20は、胴部20aと胴部20
aの両端部の鍔部20bとを有し、ハウジング10の1
対の側壁11,12の間に配設されている。ウエビング
Wは両鍔部20b間の距離よりも僅かに小さな幅のもの
が使用され、そのウエビングWは両鍔部20bでガイド
されて胴部20aに巻取られる。
【0031】緊急ロック機構25は、巻取軸15がウエ
ビング引出し方向に急激に回転した場合(ウエビングW
が急速に引出された場合)や、車両の減速度が大きくな
った場合に作動して、巻取軸15の回転をロックする。
尚、この緊急ロック機構25として種々の機構を適用可
能であるが、例えば、本出願人が出願しているシートベ
ルトリトラクタやシートベルトプリテンショナーに設け
られている緊急ロック機構(例えば、実開平2−422
96号公報等参照)と略同様の機構が採用されている。
【0032】電動モータ30はモータカバー31に収容
され、このモータカバー31を介して、カバー部材13
のうちハウジング10よりも上側部分の外側面部にビス
で固定されている。この電動モータ30の出力軸30a
はカバー部材13を挿通してその内部まで延びている。
カバー部材13はカバープレート14でカバーされてお
り、その内部に収容されたギヤ機構40とラチェット式
クラッチ機構50を介して、電動モータ30の駆動力を
巻取軸15に伝達可能である。
【0033】ギヤ機構40は、電動モータ30の出力軸
30aに固着されたギヤ41と、このギヤ41に噛合す
る大径ギヤ42aを有し且つカバー部材13に固着の軸
部材43に枢支されたギヤ42と、ギヤ42の小径ギヤ
42bに噛合し且つカバー部材13の円筒部13aに外
嵌状に枢支されたギヤ44等で構成されている。
【0034】図2〜図5に示すように、ラチェット式ク
ラッチ機構50は、ギヤ機構40と共通のギヤ44と、
ラチェット51と、ロックアーム60等で構成されてい
る。ラチェット51は、円板部52と、円板部52から
ギヤ44側へ突出する連結軸部53と、円板部52の中
央部付近からギヤ44と反対側へ突出する軸部54と、
円板部52の外周端部からギヤ44側へ突出し内面部に
複数のラチェット歯55aが形成されたリング部55を
有する。
【0035】連結軸部53は、カバー部材13の円筒部
13aに挿通されて回転自在に支持され、連結軸部53
に形成された矩形穴53aに、巻取軸15の軸端部15
bが係合され、これにより、ラチェット51と巻取軸1
5とが一体的に回動する。カバープレート14の側面
に、巻きバネ(図示略)が収容されたバネカバー19が
ビスで固定されている。ラチェット51の軸部54が、
カバープレート14の孔14aを挿通して巻きバネに連
結され、この巻取バネにより、ラチェット51とともに
巻取軸15がウエビング巻取り方向aに常時回動付勢さ
れている。
【0036】ロックアーム60はリング部55の内側に
位置し、ギヤ44にピン61を介して枢支されている。
ロックアーム60は、ラチェット歯55aに係合可能な
爪部60aを一端部に有し、その爪部60aがラチェッ
ト歯55aに係合する係合位置と係合しない非係合位置
とに亙って回動可能である。ロックアーム60の爪部6
0aと反対側端部のバネ受け部60bとギヤ44のバネ
受け部44aとの間に圧縮コイルバネ62が装着され、
このコイルバネ62により、ロックアーム60は非係合
位置に常時回動付勢されている。
【0037】電動モータ30が駆動されない通常時で
は、ロックアーム60は非係合位置に位置しているた
め、巻取軸15とラチェット51は、ギヤ44とは独立
に自由に回動可能になる。一方、電動モータ30が駆動
されると、ギヤ機構40のギヤ44が図5の矢印b方向
に回動する。このとき、ロックアーム60が慣性力を受
けてコイルバネ62の付勢力に抗して係合位置へ回動
し、爪部60aがラチェット歯55aに係合すると、そ
れ以降、電動モータ30の駆動力がギヤ機構40とラチ
ェット式クラッチ機構50を介して巻取軸15に伝達さ
れ巻取軸15がウエビング巻取り方向aに回動する。
尚、電動モータ30が駆動されると、必ずその駆動開始
時に爪部60aがラチェット歯55aに係合するように
構成されている。
【0038】前記衝突予測センサ3は、車両の後方から
の衝突を予測する為の検出信号(例えば、この自動車C
と別の自動車等の衝突体との相対距離に関する信号)を
制御装置4に出力し、制御装置4は、例えば、衝突予測
センサ3からの微小時間毎の検出信号に基づいて、前記
相対距離と相対速度を演算し、車両の後方からの衝突を
予測するとともに、その衝突予測から少なくとも車両衝
突までの間に、電動モータ30を駆動制御して巻取軸1
5をウエビング巻取り方向aへ回動させる。
【0039】さて、本願発明者は、このシートベルト装
置1に適用する電動モータ30として、15Aの電流を
供給して10Kgfの重りを引上げた場合に、図6のウエ
ビング引込み特性が得られる12VDCモータを使用す
ることを決定し、この電動モータ30を有するシートベ
ルト装置1を用いて、条件(モータ駆動電流値、シート
バックのリクライニング角度、ヘッドレストと頭部間の
距離、シートスライド位置、ショルダアジャスタ)の異
なる複数の試験を行い、電動モータ30を駆動させた際
に乗員に作用する荷重とウエビングWの引込み量を測定
した。
【0040】そのうち、本実施形態では、図7の試験I
〜IVの試験結果を開示して説明する。尚、この試験は、
車両用シートに被験者を着座させてウエビングを装着し
て行い、車両衝突までには至っていない。尚、試験Iと
試験IIの被験者は、年齢25歳、男性、伸長171.0cm 、
体重64.5Kg、試験III の被験者は、年齢34歳、男性、
伸長182.0cm 、体重88.0Kgの被験者、試験IVの被験者
は、年齢32歳、女性、伸長156.0cm 、体重43.0Kgであ
る。
【0041】試験Iでは、電動モータ30の駆動によ
り、乗員(被験者)に作用する図8の荷重特性が得ら
れ、特に、乗員の肩部に最高「約155N」の荷重が作
用する。また、電動モータ30の駆動により、図9のシ
ートベルト引込み特性が得られた。この図から、電動モ
ータ30の駆動開始から約0.25秒でウエビングWの巻取
り動作が略終了し、約70mmのウエビングWが引込まれ
る。つまり、ウエビングWは「約280mm/s」の速度で
引込まれる。尚、ここで定義されるウエビングWの巻取
り速度は、電動モータ30が駆動を開始してから、ウエ
ビングWの弛みを除去するまでの速度と、ウエビングW
が乗員に密着し負荷に抗して乗員をシートバック側に接
触させるまで移動させる間の速度の平均速度である。当
然、乗員を移動させる間はその負荷が加わるために、巻
取り速度は初期の速度に比して減速することになる。以
下表現される速度はこのように定義されたものである。
【0042】試験IIでは、電動モータ30の駆動によ
り、乗員に作用する図10の荷重特性が得られ、特に、
乗員の肩部に最高「約160N」の荷重が作用する。ま
た、電動モータ30の駆動により、図11のシートベル
ト引込み特性が得られた。この図から、電動モータ30
の駆動開始から約0.65秒でウエビングWの巻取り動作が
略終了し、約135mmのウエビングWが引込まれる。つ
まり、ウエビングWは「約208mm/s」の速度で引込ま
れる。
【0043】試験III では、電動モータ30の駆動によ
り、乗員に作用する図12の荷重特性が得られ、特に、
乗員の肩部に最高「約160N」の荷重が作用する。ま
た、電動モータ30の駆動により、図13のシートベル
ト引込み特性が得られた。この図から、電動モータ30
の駆動開始から約0.25秒でウエビングWの巻取り動作が
略終了し、約70mmのウエビングWが引込まれる。つま
り、ウエビングWは「約280mm/s」の速度で引込まれ
る。
【0044】試験IVでは、電動モータ30の駆動によ
り、乗員に作用する図14の荷重特性が得られ、特に、
乗員の肩部に最高「約180N」の荷重が作用する。ま
た、電動モータ30の駆動により、図15のシートベル
ト引込み特性が得られた。この図から、電動モータ30
の駆動開始から約0.5 秒でウエビングWの巻取り動作が
略終了し、約180mmのウエビングWが引込まれる。つ
まり、ウエビングWは「約360mm/s」の速度で引込ま
れる。
【0045】そして、このシートベルト装置1では、試
験I〜試験IVの結果と、開示していないがその他複数の
試験結果に基づいて、電動モータ30の駆動により、ウ
エビングWから乗員の肩部に50N〜500Nの荷重を
付与してウエビングWを600mm/s〜100mm/sの速度
で巻取り、乗員の頭部をシートバックのヘッドレストに
強制的に近づけるように構成した。
【0046】つまり、電動モータ30の駆動により乗員
の肩部に作用する荷重について、約50Nよりも小さな
荷重であれば、乗員をシートバックに近づけることが難
しいという虞がある一方、約500Nよりも大きな荷重
であれば、ウエビングWから乗員に作用する負荷が大き
くなる。しかし、電動モータ30の駆動によりウエビン
グWから乗員の肩部に50N〜500Nの荷重を付与す
るようにしたことで、衝突予測から少なくとも車両衝突
までの間に、ウエビングWから乗員に大きな負荷を与え
ずにウエビングWを確実に巻取ることが可能になる。
【0047】一方、電動モータ30の駆動によりウエビ
ングWを巻取る速度について、約600mm/sよりも速い
速度であれば、乗員をシートバックに近づける速度が速
くなりすぎ、これにより、頸椎を含む首部や頭部に損傷
を受け易くなる虞がある一方、約100mm/sよりも遅い
速度であれば、車両衝突の前に、時間的にかなり前から
衝突を予測する必要があるため、衝突予測精度が悪くな
る虞がある。
【0048】しかし、電動モータ30の駆動によりウエ
ビングWを600mm/s〜100mm/sの速度で巻取るよう
にしたことで、車両衝突の前に、時間的にかなり前から
衝突を予測する必要もなくなり、衝突予測精度が高くな
る。そして、衝突予測から少なくとも車両衝突までの間
に、ウエビングWを適度な速度で可能なかぎり十分に巻
取ることが可能になるため、車両衝突時に乗員の頸椎を
含む首部や頭部に受ける障害を確実に軽減することが可
能になる。
【0049】次に、前記シートベルト装置1の作用と、
このシートベルト装置1を用いて車両衝突時に乗員を保
護する乗員保護方法について説明する。巻取軸15は車
体に取付けられるハウジング10に回転可能に支持され
て、ウエビング巻取り方向aに常時回動付勢され、この
巻取軸15に外嵌された巻取ドラム20にウエビングW
が巻取られる。通常時、ウエビングWの自由な引出しと
巻取りが可能であり、その状態で、ウエビングWは乗員
の腰部と肩部を含む胴部を拘束可能に装着される。
【0050】衝突予測センサ3から車両の衝突を予測す
る為の検出信号が出力され、制御装置4により、前記検
出信号に基づいて車両の後方からの衝突が予測される
と、その衝突予測から少なくとも車両衝突までの間に、
電動モータ30が駆動制御されて(電動モータ30に1
5Aの電流が供給され)巻取軸15とともに巻取ドラム
20がウエビング巻取り方向aへ回動し、ウエビングW
が巻取ドラムに巻取られる。すると、乗員の肩部ととも
に頭部がシートバックのヘッドレストに強制的に近づけ
られる。車両衝突時には緊急ロック機構25が作動して
いるため、巻取軸15の回転をロックし巻取ドラム20
からのウエビングWの引出しを阻止する。
【0051】さて、この車両用シートベルト装置では、
上述のように、制御装置4による車両の衝突予測精度、
その衝突予測から衝突までの時間(車両と衝突予測体と
の相対速度)、乗員の体重、そして、乗員と頭部とヘッ
ドレストとの距離等々を加味して、電動モータ30の駆
動により、ウエビングから乗員の肩部に50N〜500
Nの荷重を付与してウエビングを600mm/s〜100mm
/sの速度で巻取り、乗員の頭部をシートバックのヘッド
レストに強制的に近づけることができる。
【0052】つまり、車両の後方からの衝突を確実に予
測し、その衝突予測から少なくとも車両衝突までの間
に、車両の乗員の姿勢に関わらず、乗員の頭部をシート
バックのヘッドレストに強制的に確実に近づけて、車両
衝突時に乗員の頸椎を含む首部や頭部に受ける障害を確
実に軽減することができ、しかも、乗員にウエビングか
ら過大な荷重を作用させずに、車両衝突前に乗員をシー
トバックに強制的に近づけることができ、更に、車両衝
突時には緊急ロック機構も作動していることから、ウエ
ビングで乗員を効果的に拘束することができる。
【0053】電動モータ30の駆動力を巻取軸15に伝
達するラチェット式クラッチ機構50を設けたので、通
常時には、電動モータ30に拘束されずに巻取軸15
(巻取ドラム20)を自由に回動可能にして、ウエビン
グWの自由な引出しと巻取りを行うことができ、電動モ
ータ30の駆動開始時、ラチェット式クラッチ機構50
を介して電動モータ30と巻取軸15とを連結し、その
後、電動モータ30により巻取軸15を確実に回動駆動
することが可能になる。
【0054】尚、ラチェット式クラッチ機構50におい
ては、電動モータ30の駆動が終了した後、ウエビング
Wを僅かに引出すことで、ロックアーム60の係合部6
0aとラチェット51のラチェット歯55aとの係合を
解除することができ、その後、ウエビングWの自由な引
出しと巻取りを行うことができる通常状態に戻る。尚、
電動モータ30の駆動が終了した後、ウエビングWを引
出すことができないときには、電動モータ30を逆回転
駆動して係合解除してもよい。また、従来のシートベル
トプリテンショナーのように、1回作動すると使用不能
になるのではなく、その後も何度も使用することが可能
で経済的である。
【0055】次に、前記シートベルト装置1の変更形態
について説明する。 1〕自動車の車体前端部に衝突予測センサを設け、この
衝突予測センサを制御装置4に電気的に接続するととも
に、これら衝突予測センサと制御装置4により、車両前
方からの衝突を予測するように構成してもよい。 2〕自動車の車体側部に衝突予測センサを設け、この衝
突予測センサを制御装置4に電気的に接続するととも
に、これら衝突予測センサと制御装置4により、車両側
方からの衝突を予測するように構成してもよい。
【0056】3〕前記試験I〜試験IVの結果と、開示し
ていないがその他複数の試験結果に基づいて、電動モー
タ30の駆動により、ウエビングWから乗員の肩部に7
0N〜200Nの荷重を付与してウエビングWを500
mm/s〜200mm/sの速度で巻取るようにしてもよい。こ
れにより、車両衝突時に乗員の頸椎を含む首部や頭部に
受ける障害を確実に軽減するとともに、ウエビングによ
り乗員を効果的に拘束するために、効果的なウエビング
巻取り動作を実現することが可能になる。
【0057】4〕制御装置4により、車両衝突の少なく
とも0.4秒前に予測し、その後車両衝突までの間に、
電動モータ30によりウエビングを100mm以上巻取り
可能に構成してもよい。これにより、車両の衝突を確実
に予測し、車両衝突時に乗員の頸椎を含む首部や頭部に
受ける障害を確実に軽減するとともに、ウエビングWに
より乗員を効果的に拘束するために、効果的なウエビン
グ巻取り動作を実現することが可能になる。
【0058】5〕電動モータ30の代わりに、超音波モ
ータ等種々の電動モータを適用可能である。尚、前記シ
ートベルト装置1及びそのシートベルト装置1を用いた
車両衝突時の乗員保護方法は一例を示すものに過ぎず、
本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形を付
加した形態で実施可能である。
【0059】
【発明の効果】 請求項1の車両用シートベルト装置に
よれば、制御手段による車両の衝突予測精度、その衝突
予測から衝突までの時間、乗員の体重、そして、乗員と
頭部とヘッドレストとの距離等々を加味して、特に、車
両の衝突予測から少なくとも車両衝突までの間に、電動
アクチュエータの駆動により、ウエビングから乗員の肩
部に50N〜500Nの荷重を付与してウエビングを6
00mm/s〜100mm/sの速度で巻取るように構成したの
で、上記のように、車両の衝突を確実に予測し、車両の
乗員の姿勢に関わらず、乗員の頭部をシートバックのヘ
ッドレストに強制的に確実に近づけて、車両衝突時に乗
員の頸椎を含む首部や頭部に受ける障害を確実に軽減で
き、しかも、乗員にウエビングから過大な荷重を作用さ
せずに、乗員を車両衝突前にシートバックに強制的に近
づけることができ、更に、車両衝突時には緊急ロック機
構も作動していることから、ウエビングで乗員を非常に
効果的に拘束することが可能になる。
【0060】請求項2の車両用シートベルト装置によれ
ば、衝突予測センサにより、車両の後方からの衝突を予
測する為の検出信号を出力できるため、制御装置によ
り、車両の後方からの衝突を予測でき、車両の後方から
の衝突により受け易い、頸椎を含む首部や頭部に障害を
確実に軽減することができる。
【0061】請求項3の車両用シートベルト装置によれ
ば、電動アクチュエータの駆動により、ウエビングから
乗員の肩部に70N〜200Nの荷重を付与してウエビ
ングを500mm/s〜200mm/sの速度で巻取るので、上
記のように、車両衝突時に乗員の頸椎を含む首部や頭部
に受ける障害を確実に軽減するとともに、ウエビングに
より乗員を効果的に拘束するために、より効果的なウエ
ビング巻取り動作を得ることが可能になる。
【0062】請求項4の車両用シートベルト装置によれ
ば、電動アクチュエータの駆動力を巻取軸に伝達するラ
チェット式クラッチ機構を設けたので、通常時には、電
動アクチュエータに拘束されずに巻取軸(巻取ドラム)
を自由に回動可能にして、ウエビングの自由な引出しと
巻取りを行うことができ、電動アクチュエータの駆動開
始時、ラチェット式クラッチ機構を介して電動アクチュ
エータと巻取軸とを連結し、その後、電動アクチュエー
タにより巻取軸を確実に回動駆動することが可能にな
る。
【0063】請求項5の車両衝突時の乗員保護方法によ
れば、衝突予測手段により車両の衝突を予測し、その衝
突予測から少なくとも車両衝突までの間に、電動アクチ
ュエータにより巻取ドラムをウエビング巻取り方向に回
動駆動してウエビングを所定量以上巻取るので、ウエビ
ングを介して乗員の頭部をシートバックのヘッドレスト
に強制的に近づけて、車両衝突時に乗員の頸椎を含む首
部や頭部に受ける障害を確実に軽減することができ、し
かも、車両衝突前に乗員をシートバックに強制的に近づ
けることができるため、車両衝突時、巻取軸の回転をロ
ックし巻取ドラムからのウエビングの引出しを阻止する
ことで、ウエビングで乗員を効果的に拘束することが可
能になる。
【0064】請求項6の車両衝突時の乗員保護装置によ
れば、衝突予測手段により車両の後方からの衝突を予測
するので、車両の後方からの衝突を予測でき、車両の後
方からの衝突により受け易い、頸椎を含む首部や頭部に
障害を確実に軽減することができる。
【0065】請求項7の車両衝突時の乗員保護装置によ
れば、衝突予測手段により車両衝突の少なくとも0.4
秒前に予測し、その後車両衝突までの間に、電動アクチ
ュエータによりウエビングを100mm以上巻取り可能で
あるので、上記のように、車両の衝突を確実に予測し、
車両衝突時に乗員の頸椎を含む首部や頭部に受ける障害
を確実に軽減するとともに、ウエビングにより乗員を効
果的に拘束するために、より効果的なウエビング巻取り
動作を実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るシートベルト装置を搭
載した自動車の平面図である。
【図2】シートベルトプリテンショナーの分解斜視図で
ある。
【図3】図2のIII 矢視図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】図2のV 矢視図である。
【図6】使用する電動モータの荷重負荷試験である。
【図7】試験条件を示す図表である。
【図8】試験Iの乗員に作用する荷重特性図である。
【図9】試験Iのウエビング引込み特性図である。
【図10】試験IIの乗員に作用する荷重特性図である。
【図11】試験IIのウエビング引込み特性図である。
【図12】試験III の乗員に作用する荷重特性図であ
る。
【図13】試験III のウエビング引込み特性図である。
【図14】試験IVの乗員に作用する荷重特性図である。
【図15】試験IVのウエビング引込み特性図である。
【符号の説明】
C 自動車 1 シートベルト装置 2 シートベルトプリテンショナー 3 衝突予測センサ 4 制御装置 10 ハウジング 15 巻取軸 20 巻取ドラム 25 緊急ロック機構 30 電動モータ 50 ラチェット式クラッチ機構

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体に取付けられるハウジングと、この
    ハウジングに回転可能に支持されウエビング巻取り方向
    に常時回動付勢された巻取軸と、この巻取軸に外嵌され
    てウエビングを巻取り可能な巻取ドラムと、車両緊急時
    に巻取軸の回転をロックし巻取ドラムからのウエビング
    の引出しを阻止する緊急ロック機構とを有し、巻取ドラ
    ムから延びるウエビングで乗員の少なくとも肩部を拘束
    するようにした車両用シートベルト装置において、 車両の衝突を予測する為の検出信号を出力する衝突予測
    センサと、 前記巻取軸をウエビング巻取り方向へ回動駆動可能な電
    動アクチュエータと、 前記衝突予測センサからの検出信号に基づいて車両の衝
    突を予測するとともに、その衝突予測から少なくとも車
    両衝突までの間に、電動アクチュエータを駆動制御して
    巻取軸をウエビング巻取り方向へ回動させる制御手段と
    を備え、 前記電動アクチュエータの駆動により、ウエビングから
    乗員の肩部に50N〜500Nの荷重を付与してウエビ
    ングを600mm/s〜100mm/sの速度で巻取り、乗員の
    頭部をシートバックのヘッドレストに強制的に近づける
    ように構成したことを特徴とする車両用シートベルト装
    置。
  2. 【請求項2】 前記衝突予測センサは、車両の後方から
    の衝突を予測する為の検出信号を出力することを特徴と
    する請求項1に記載の車両用シートベルト装置。
  3. 【請求項3】 前記電動アクチュエータの駆動により、
    ウエビングから乗員の肩部に70N〜200Nの荷重を
    付与してウエビングを500mm/s〜200mm/sの速度で
    巻取ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の
    車両用シートベルト装置。
  4. 【請求項4】 前記電動アクチュエータの駆動力を巻取
    軸に伝達するラチェット式クラッチ機構を設けたことを
    特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の車両用シート
    ベルト装置。
  5. 【請求項5】 車両の乗員の少なくとも肩部を拘束する
    ウエビングを巻取る巻取ドラムを有するシートベルト装
    置を用いて、車両衝突時に乗員を保護する車両衝突時の
    乗員保護方法であって、 衝突予測手段により車両の衝突を予測し、その衝突予測
    から少なくとも車両衝突までの間に、電動アクチュエー
    タにより巻取ドラムをウエビング巻取り方向に回動駆動
    してウエビングを所定量以上巻取り、そのウエビングを
    介して乗員の頭部をシートバックのヘッドレストに強制
    的に近づけることを特徴とする車両衝突時の乗員保護方
    法。
  6. 【請求項6】 前記衝突予測手段により車両の後方から
    の衝突を予測することを特徴とする請求項5に記載の車
    両用乗員保護方法。
  7. 【請求項7】 前記衝突予測手段により車両衝突の少な
    くとも0.4秒前に予測し、その後車両衝突までの間
    に、電動アクチュエータによりウエビングを100mm以
    上巻取り可能なことを特徴とする請求項5又は6に記載
    の車両用乗員保護方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7278600B2 (en) 2003-07-14 2007-10-09 Takata Corporation Seat belt retractor and seat belt device

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7278600B2 (en) 2003-07-14 2007-10-09 Takata Corporation Seat belt retractor and seat belt device

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