JP2001110415A - リチウムイオン二次電池の負極用黒鉛材、その製造方法、その黒鉛材を用いたリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池の負極用黒鉛材、その製造方法、その黒鉛材を用いたリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池

Info

Publication number
JP2001110415A
JP2001110415A JP28410499A JP28410499A JP2001110415A JP 2001110415 A JP2001110415 A JP 2001110415A JP 28410499 A JP28410499 A JP 28410499A JP 28410499 A JP28410499 A JP 28410499A JP 2001110415 A JP2001110415 A JP 2001110415A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
negative electrode
graphite material
lithium ion
secondary battery
ion secondary
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP28410499A
Other languages
English (en)
Inventor
Norimune Yamazaki
崎 典 宗 山
Hisafumi Kawamura
村 寿 文 河
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Petoca Ltd
Original Assignee
Petoca Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Petoca Ltd filed Critical Petoca Ltd
Priority to JP28410499A priority Critical patent/JP2001110415A/ja
Publication of JP2001110415A publication Critical patent/JP2001110415A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 X線回折測定における101面と100
面の強度比I101/I100が1.2以上であり、電解液に
浸漬し、25℃にて充電した場合の初期充放電効率およ
び初期放電容量に比べ、30〜50℃にて充電した場合
の初期充放電効率および初期放電容量の方が高いリチウ
ムイオン二次電池の負極用黒鉛材。 【効果】 このような負極用黒鉛材によれば、高黒鉛化
度であり、かつ特異な高温での充放電特性を有している
ため、特に高温での充電または充放電後の充放電効率お
よび放電容量が大きなリチウムイオン二次電池を提供で
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、非水系リチウムイオン二
次電池に使用される負極の材料として好適な黒鉛材、そ
の黒鉛材の製造方法、およびそれを用いたリチウムイオ
ン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池に関す
る。
【0002】
【発明の技術的背景】一般にアルカリ金属を負極活物質
に用いた電池は、高エネルギー密度、高起電力、非水電
解液を用いるため作動温度範囲が広い、長期保存性に優
れる、さらには軽量小型である等、多くの特長を持って
いるため携帯用電子機器電源をはじめとして、電気自動
車や電力貯蔵用などの高性能電池としての実用化が期待
されている。
【0003】しかし、現状の試作電池はリチウム二次電
池が本来有する特性を充分に発現しておらず、サイクル
寿命、充放電容量、エネルギー密度とも不完全なもので
ある。その大きな理由の一つは、用いられる負極にあ
る。例えば、金属リチウムを負極に用いた場合、充電時
に析出するリチウムが針状のデンドライトを形成し、正
・負極間の短絡を起こし易くなり、サイクル寿命、安全
性の観点で問題がある。
【0004】また、リチウムの反応性が非常に高いため
に、負極表面が電解液の分解反応により変成されるた
め、反復使用によって電池容量の低下が起こる問題もあ
る。これらリチウムの二次電池における問題点を解決す
るために、種々の負極材の検討がなされている。例え
ば、リチウムを含む合金として、リチウム−アルミ、ウ
ッド合金等を負極に用いることが検討されている。しか
し、作動温度や充放電条件の違いにより結晶構造が変化
するなど問題点を有していた。
【0005】最近の開発動向は、専ら炭素系材料(黒鉛
化の度合いで、炭素材と黒鉛材と区別される)を負極活
物質に用いる検討が主流である。すなわち、充電時に生
成するリチウムイオンを黒鉛層間に取り込み(インター
カレーション)いわゆる層間化合物を形成することによ
りデンドライトの生成を阻止しようとする試みである。
【0006】炭素材としては、比較的に低温(一般的に
2000℃以下)で熱処理された、石炭、コークス、P
AN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等が検討されてい
る。ところが、これら炭素材は黒鉛結晶子の大きさが小
さく結晶の配列も乱れているため、充放電容量が不十分
であり、充放電時の電流密度を高く設定すると電解液の
分解を生じ、サイクル寿命が低下するなど多くの問題点
を有していた。
【0007】一方、現在、天然黒鉛、人造黒鉛などの黒
鉛材がリチウムイオン二次電池負極用の炭素系材料の一
つとして最も注目され、検討されている。天然黒鉛にあ
っては、黒鉛化度が高い場合に、単位重量あたりの充放
電可能容量は相当に大きいが、無理なく取り出せる電流
密度が小さく、また高電流密度での充放電を行うと充放
電効率が低下するという問題があった。
【0008】この黒鉛材としての人造黒鉛は、比較的に
高温(一般的に2000℃以上)で熱処理されたもの
で、なかでも、特開平6−168725号公報では、メ
ソフェーズピッチを紡糸して得たピッチ繊維を不融化
し、更に炭化および黒鉛化して得たメソフェーズピッチ
系黒鉛繊維が、諸電池特性の測定結果からリチウムイオ
ン二次電池用の負極材料として優れていることが指摘さ
れている。
【0009】ところで、黒鉛材の黒鉛化度が、これを負
極材に用いたリチウムイオン二次電池の充放電容量と密
接な関係があることが知られている。したがって、如何
に黒鉛化度を高めるかは、負極用黒鉛材を製造する上で
重要な課題となっている。メソフェーズピッチ系黒鉛繊
維では、例えばピッチ繊維の不融化の程度を低くし、次
いで得られた不融化繊維を炭化および黒鉛化して、得ら
れる黒鉛材の黒鉛化度を向上させる方法が知られてい
る。
【0010】しかしながら、このようにして得た黒鉛繊
維では、これを負極材として用いたリチウムイオン二次
電池の充放電容量が、黒鉛化度から期待されるほど大き
くなく、初期充放電効率も低いという問題があった。ま
た、ホウ素は黒鉛化を促進する元素として古くから知ら
れており、特開平8−31422号公報および特開平8
−306359号公報には、炭素粉末あるいはピッチ系
炭素繊維粉末にホウ素を添加して2500℃以上で黒鉛
化処理することにより黒鉛化度を高め、充放電容量を改
善する方法が開示されている。
【0011】しかしながら、このような方法において
は、窒化ホウ素等のホウ素化合物が黒鉛材の表面に生成
し、これらの化合物が、リチウムイオンのインターカレ
ーションを阻害し、しかも導電性に劣るため、やはり期
待するほど充放電容量の改善がなされないという問題を
有していた。本発明者等は、このような高黒鉛化度の黒
鉛材に伴う従来技術の問題点を解決すべく種々研究・検
討した結果、特定の不融化の程度の不融化ピッチ繊維、
特に特定のIR分析特性および特定の酸素/炭素原子数比
を有する不融化ピッチ繊維を用いて得た黒鉛繊維は、高
黒鉛化度を有し、かつこれを電解液に浸漬して、30〜
50℃で充電または充放電すると、25℃で充電または
充放電したときより初期充放電効率および充放電容量が
高いという新規かつ特異な特性を有し、さらには一度こ
のような高温で充電または充放電させれば、その後は通
常の温度条件、例えば20〜25℃程度で充放電を行っ
てもその高い充放電容量を維持できることを見出し、本
発明を完成させた。
【0012】
【発明の目的】本発明は、前記のような従来技術に伴う
問題点を解決するためになされたものであり、リチウム
イオン二次電池の負極材料として用いた場合に、初期充
放電効率が高く、放電容量が大きな二次電池を提供でき
る、高黒鉛化度の負極用黒鉛材、その黒鉛材の製造方
法、およびそれを用いたリチウムイオン二次電池用負極
およびリチウムイオン二次電池を提供することを目的と
している。
【0013】
【発明の概要】本発明に係るリチウムイオン二次電池の
負極用黒鉛材は、X線回折測定における101面と10
0面の強度比I101/I100が1.2以上であり、電解液
に浸漬し、25℃にて充電した場合の初期充放電効率お
よび初期放電容量に比べ、30〜50℃にて充電した場
合の初期充放電効率および初期放電容量の方が高いこと
を特徴としている。
【0014】また、本発明に係るリチウムイオン二次電
池の負極用黒鉛材は、25℃で充電および放電した場合
の初期充放電効率および初期放電容量に比べ、30〜5
0℃にて充電および放電した場合の初期充放電効率およ
び初期放電容量の方が高い。本発明に係るリチウムイオ
ン二次電池の負極用黒鉛材の製造方法は、FT−IR
(フーリエ変換赤外)分光測定において、1670cm
-1以上1830cm-1以下に現れるカルボニル基につい
てのピーク面積:S(CO)の、1530cm-1以上167
0cm-1未満に現れるエチレン結合についてのピーク面
積:S(C=C)に対する比S(CO)/S(C=C)が0.40〜0.5
8であり、元素分析において酸素の炭素に対する原子数
比O/Cが0.045〜0.060であるメソフェーズピ
ッチ系不融化繊維を炭化し、次いで黒鉛化することを特
徴としている。
【0015】本発明に係る負極用黒鉛材の製造方法で
は、前記炭化工程で得られた炭素繊維をミルド化し、次
いで黒鉛化することが望ましい。また、ミルド化で得ら
れたミルド化炭素繊維を、ホウ素化合物と混合した後、
黒鉛化して黒鉛化度を向上させてもよい。このようにし
て得られた高黒鉛化度の黒鉛材は、上記のX線回折特性
を有するとともに、上記高温での充放電特性を有してい
る。
【0016】さらに、本発明に係る負極用黒鉛材の製造
方法では、前記黒鉛化工程で得られた黒鉛材に、電解液
中、30〜50℃にて充電または充放電させる処理を施
してもよい。このような高温での処理を施すことによ
り、その後は通常の温度条件、例えば25℃程度で充放電
を行っても高い充放電容量を維持できる。本発明に係る
リチウムイオン二次電池用負極は、上記黒鉛材または上
記負極用黒鉛材の製造方法で得られた黒鉛材を含むこと
を特徴としている。
【0017】本発明に係るリチウムイオン二次電池は、
このような負極を備えることを特徴としている。
【0018】
【発明の具体的説明】本発明に係るリチウムイオン二次
電池の負極用黒鉛材は、高黒鉛化度であり、特に、X線
回折における101面回折ピークと100面回折ピーク
の強度比I10 1/I100が1.2以上、好ましくは1.2
〜3.0、更に好ましくは1.5〜2.5である。
【0019】ピーク強度比I101/I100は、黒鉛材の黒
鉛化の度合いを表す指標であり、このような範囲のピー
ク強度比I101/I100を有する黒鉛材を用いることによ
り、高い初期充放電効率および充放電容量、特に高温で
の高効率および高容量を実現できる負極材を得ることが
できる。また、本発明の負極用黒鉛材は、X線回折から
測定される黒鉛層間距離(d00 2)が0.3380nm以
下、好ましくは0.3360nm以下、C軸方向の結晶
子の大きさ(Lc)が35nm以上、好ましくは48n
m以上、a軸方向の結晶子の大きさ(La)が50nm
以上、好ましくは60nm以上であることが望ましい。
【0020】これらも黒鉛材の黒鉛化の度合いを表す指
標であり、黒鉛材は、これら指標をも満足させることが
電池の性能を向上させる上で望ましい。ここで、本明細
書において黒鉛材の構造を規定するのに用いる種々のX
線パラメータを簡単に説明する。X線回折法とは、Cu
kαをX線源、標準物質に高純度シリコンを使用し、炭
素繊維等に対し回折パターンを測定するものである。そ
して、その002面回折パターンのピーク位置、半値幅
から、黒鉛層間距離d(002)、c軸方向の結晶子の大き
さLc(002)を、及び110面回折パターンの半値幅か
らa軸方向の結晶子の大きさLa(110)をそれぞれ算出
する。算出方法は学振法に基づいている。ピーク強度比
101/I100の測定は、得られた回折線図にベースライ
ンを引き、このベースラインから101面(2θ≒4
4.5)および100面(2θ≒42.5)の各ピークの
高さを測定し、101の回折ピーク高さを100回折ピ
ーク高さで除して求める。
【0021】本発明に係るリチウムイオン二次電池の負
極用黒鉛材は、このようなX線回折における特性を有す
るとともに、電解液に浸漬し、充電または充放電した場
合に、高温で優れた充放電特性を発現するという新規か
つ特異な特性を有している。なお、本明細書において、
初期充放電効率とは、初回の充放電における充電容量に
対する放電容量の比であり、初期放電容量とは、初回の
充放電における放電容量を言う。これら充放電特性は、
例えば黒鉛材をそのまま、または人造・天然黒鉛などの
助材を加え、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)のN-メ
チルピロリドン溶液に混練した後銅箔に塗工して負極と
し、対極及び参照極には金属リチウム薄を用いた三極セ
ルで評価することができる。
【0022】このような三極セルに用いる電解液として
は、有機溶媒、特に好ましくはエチレンカーボネート、
ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジ
エチルカーボネート等を単独あるいは適宜混合したもの
に、ホウフッ化リチウム、六フッ化リン酸リチウム、過
塩素酸リチウム等の電解質を溶解した有機系電解液を用
いることが望ましい。
【0023】上記充放電特性の測定は、例えば、三極セ
ルの電解液を所定の温度に設定し、先ず、定電流密度、
具体的には100〜600mA/gの範囲内、特に10
0mA/gの定電流密度および定電圧、具体的には0.
02〜0.001Vの範囲内、特に0.01Vの定電圧
で充電し、次いで必要に応じて電解液の温度を変更し、
定電流密度、具体的には100〜600mA/gの範囲
内、特に100mA/gの定電流密度で1.5V(v
s.Li/Li+)まで放電することにより行うことが
できる。
【0024】そして、本発明に係る負極用黒鉛材は、こ
のような充放電特性試験において、25℃の常温にて充
電した場合の初期充放電効率および初期放電容量に比
べ、30〜50℃の任意の温度、特に40℃の高温にて
充電した場合の初期充放電効率および初期放電容量の方
が高い。より具体的には、本発明に係る負極用黒鉛材
は、常温での初期充放電効率を100として、これに対
する高温で充電したときの初期充放電効率の比が、例え
ば102/100〜130/100、特に103/10
0〜120/100と高い。また、本発明に係る負極用
黒鉛材では、常温での初期放電容量を100として、こ
れに対する高温での充電後における放電容量の比が、例
えば101/100〜125/100、特に102/1
00〜120/100と高い。
【0025】なお、このような本発明に係る負極用黒鉛
材の充放電特性の測定において、放電時の温度条件は、
常温充電の場合および高温充電の場合で相互に同一であ
ればよく、特に限定されない。例えば、特に本発明に係
る負極用黒鉛材は、25℃の常温で充電および放電を行
ったときの初期充放電効率および初期放電容量と、30
〜50℃の任意の温度、特に40℃の高温で充電および
放電を行ったときの初期充放電効率および初期放電容量
とを比較した場合も、上述した場合と同様に後者の方が
高くなる。
【0026】そして、このような本発明に係る負極用黒
鉛材では、上述したような条件での高温充電または充放
電後に、常温での充放電を繰り返しても、高い充放電効
率および放電容量が維持される。より具体的には、本発
明に係る負極用黒鉛材は、初回に常温充放電を行った後
の常温充放電での初期充放電効率を100として、これ
に対する初回に高温で充電または充放電を行った後の常
温充放電での初期充放電効率の比が、例えば102/1
00〜130/100、特に103/100〜120/
100と高くなる。また、本発明に係る負極用黒鉛材で
は、初回に常温で充放電を行った後の常温充放電での放
電容量を100として、これに対する初回に高温で充電
または充放電を行った後の常温充放電での放電容量の比
が、例えば101/100〜125/100、特に10
2/100〜120/100と高くなる。
【0027】本発明に係る負極用黒鉛材のこのような特
異な充放電特性は、明確ではないが、初回充電時に負極
となる黒鉛材の表面(もしくは黒鉛材・電解液界面)に
電解液の分解に伴って形成される保護被膜が関与してい
ると考えられる。すなわち、黒鉛材をリチウムイオン二
次電池の負極とし、プロピオンカーボネート(PC)系
電解液を用いて充電を行うと、黒鉛材表面でPCの分解
が起こりリチウムイオンの黒鉛材へのインターカレーシ
ョンを阻害することが知られている。そこで、このよう
な黒鉛材表面での分解が起こりにくい電解液、例えばエ
チレンカーボネート(EC)系電解液が開発された。
【0028】しかしながら、EC系電解液を用いた場合
でも、初回の充放電では、充電時に電気化学的にインタ
ーカレーションしたリチウムイオン量の方が、放電時に
取り出せたリチウムイオン量より多くなることが観察さ
れている。これは、リチウムインターカレーションの際
に、電解液中のリチウムイオンと電解液の溶媒成分が還
元分解された化合物が被膜として黒鉛材料表面に析出
し、この反応が非可逆反応であるためである。この保護
被膜は、SEM観察でも確認されており、SEI(Soli
d Electrolyte Interphase)被膜と呼ばれている。
【0029】SEI被膜は、数回の充放電サイクル、特
に初回の充放電で形成され、リチウムイオン透過性であ
り、溶媒成分の更なる還元分解を阻害する。したがっ
て、SEI皮膜形成後は、この皮膜を介して安定したリ
チウムインターカレーションおよびデインターカレーシ
ョンが行われるようになり、充電容量と放電容量とが等
しくなる。
【0030】従来の負極用黒鉛材では、高黒鉛化度であ
っても、充電時に安定したSEI皮膜を形成することが
できず、したがって期待するほど初期充放電効率および
初期放電容量が上がらないと考えられている。これに反
し、本発明に係る負極用黒鉛材では、常温での充放電に
おける初期充放電効率および初期放電容量は従来の黒鉛
材と同様に低いが、30〜50℃の高温での充電におけ
るSEI被膜の形成が良好であり、従って初期充放電効
率および初期放電容量は高いという特異な充放電特性を
有するものと考えられている。
【0031】また、本発明の負極用黒鉛材が、高温での
充電の後には、常温での充放電を行っても高い充放電効
率および放電容量を維持することは、一旦SEI被膜が
形成された後は、安定したリチウムイオンインターカレ
ーションおよびデインターカレーションが行い得るとい
うことから説明できる。このような充放電特性、あるい
はSEI被膜形成特性を有する高黒鉛化度の負極用黒鉛
材は今だ発表されていない。
【0032】本発明に係る負極用黒鉛材は、例えば以下
に説明する方法、即ち本発明に係るリチウムイオン二次
電池の負極用黒鉛材の製造方法によって製造することが
可能である。本発明に係る負極用黒鉛材の製造方法は、
特定の赤外線分光特性および酸素/炭素原子数比を有す
るメソフェーズピッチ系不融化繊維を炭化し、次いで黒
鉛化することで製造することができる。
【0033】本発明の方法で用いられるメソフェーズピ
ッチ系不融化繊維は、メソフェーズピッチ原料を紡糸
し、次いで得られたピッチ繊維を不融化することで製造
することができる。紡糸に用いられるメソフェーズピッ
チ原料は、石油系、石炭系および合成系ピッチのいずれ
であってもよいが、メソフェーズ含有量100%のピッ
チが好ましい。
【0034】また、メソフェーズピッチ原料は、紡糸可
能であれば特にその粘度を限定されないが、軟化点が低
いものが、製造コスト及び安定性の面で有利であり、例
えば230℃〜350℃、好ましくは250℃〜310
℃の軟化点を有することが望ましい。このようなピッチ
原料を紡糸する方法は、特に限定されないが、例えばメ
ルトスピニング法、メルトブロー法、遠心紡糸法、渦流
紡糸法等種々の方法を適用することができる。この内、
特にメルトブロー法が好ましい。
【0035】メルトブロー法によれば、ピッチ原料が、
数十ポイズ以下の低粘度で高速で吹き切りながら紡糸さ
れかつ高速冷却されるため、ピッチ繊維の生産性が高い
他、ピッチ繊維に、特に所望のアスペクト比を有するミ
ルド化繊維が得られる繊維形状を与える。また、メルト
ブロー法でメソフェーズピッチを紡糸すると、黒鉛化処
理によって、黒鉛層面が繊維軸に平行に配列し、リチウ
ムイオンが吸蔵されやすい表面を形成できるという点で
も有利である。
【0036】このようなメルトブロー法において、紡糸
孔は、通常0.1mmФ〜0.5mmФ、好ましくは0.
15mmФ〜0.3mmФである。紡糸速度は、毎分5
00m以上、好ましくは毎分1500m以上、さらに好
ましくは毎分2000m以上であることが望ましい。ま
た、紡糸温度は、原料ピッチにより幾分変化するが、通
常300℃〜400℃、好ましくは300℃〜380℃
である。
【0037】本発明に係る負極用黒鉛材の製造方法で
は、このようにして得られたピッチ繊維を不融化して得
た特定の赤外線分光特性および酸素/炭素原子数比を有
するメソフェーズピッチ系不融化繊維を用いている。即
ち、本発明の製造方法で用いる不融化繊維は、FT−I
R(フーリエ解析赤外線吸収)測定において、1670
cm-1以上1830cm-1以下に現れるピークの面積:
S(CO)の、1530cm-1以上1670cm-1未満に現
れるピークの面積:S(C=C)に対する比(以下カルボニル
強度比と略記することがある)S(CO)/S(C=C)が0.40
〜0.58、好ましくは0.42〜0.56である。
【0038】このカルボニル強度比S(CO)/S(C=C)が0.
40未満であると、不融化が不十分なため、後の炭化時
に繊維同士の融着等の不具合が発生する。また、0.5
8を超えると、黒鉛化処理後に所望の黒鉛化度が得られ
ない。また、本発明に係る負極用黒鉛材の製造方法に用
いるメソフェーズピッチ系不融化繊維は、元素分析にお
いて酸素の炭素に対する原子数比O/Cが、0.045〜
0.060、好ましくは0.047〜0.057であ
る。
【0039】この酸素・炭素原子数比O/Cが0.045
未満であると、不融化が不十分なため、後の炭化時に、
繊維同士の融着等の不具合が発生する。また、0.06
0を超えると、黒鉛化処理後に所望の黒鉛化度が得られ
ない。本発明に係る製造方法では、このような不融化繊
維の製造方法は特に限定されない。ピッチ繊維の不融化
は、例えば、二酸化窒素や酸素等の酸化性ガス雰囲気中
で加熱処理する方法や、硝酸やクロム酸等の酸化性水溶
液中で処理する方法等によって行うことができる。
【0040】より簡便な不融化方法としては、空気中で
加熱処理する方法であり、特に昇温速度を2段階に分割
することが好ましい。即ち、ピッチ繊維の不融化は、原
料により若干異なるが、空気中、平均昇温速度4〜12
℃/分、好ましくは5〜10℃/分で、190〜260
℃、特に200〜250℃まで昇温させ、次いで平均昇
温速度10〜22℃/分、好ましくは15〜20℃/分
で、280〜350℃、特に300〜330℃まで昇温
させて行うことが、上述の物性の不融化繊維を得る上で
望ましい。
【0041】本発明では、このような不融化ピッチ繊維
を、炭化した後に黒鉛化している。不融化ピッチ繊維の
炭化は、例えば、不活性ガス雰囲気下、400℃〜15
00℃、好ましくは500℃〜1000℃の温度で行う
ことが望ましい。なお、ピッチ系炭素繊維をミルド化す
る場合には、炭化処理温度を、500℃〜900℃とす
ると、ミルド化後の繊維の縦割れ防止により有利であ
る。
【0042】このようにして得られたピッチ系炭素繊維
は、これをそのまま後述の黒鉛化処理に用いてもよい
が、この処理に先立ってミルド化することが好ましい。
本発明に適したミルド化炭素繊維を効率良く生産するた
めには、例えばプレートを取り付けたローターを高速に
回転させ、これで繊維軸に対し直角方向に繊維を寸断す
る装置、例えばビクトリーミル、クロスフローミル等の
高速回転ミルやジェットミルを使用することが有効であ
る。
【0043】ミルド化された繊維の繊維長は、ローター
の回転数、プレートの角度及びローターの周辺に取り付
けられたフィルターの目の大きさ等を調整することによ
りコントロールすることが可能である。ピッチ系炭素繊
維のミルド化には、ヘンシェルミキサーやボールミル、
磨潰機等による方法もあるが、これらの方法によると繊
維の直角方向への加圧力が働き、繊維軸方向への縦割れ
の発生が多くなり好ましくない。また、この方法はミル
ド化に長時間を要し、適切なミルド化方法とは言い難
い。
【0044】このようにして得られたミルド化ピッチ系
炭素繊維は、平均粒径が10〜50μm、アスペクト比
が1〜30、特に1〜20以下であることが望ましい。
これら平均粒径およびアスベクト比は、最終製品である
黒鉛繊維となっても有意な変化がない。本発明の製造方
法では、以上説明したピッチ系炭素繊維を、黒鉛化して
いる。この黒鉛化処理は、例えば、好ましくは2200
℃以上、さらに好ましくは2500℃以上、特に280
0℃以上3300℃以下の温度で行うことができる。
【0045】本発明の黒鉛材の製造方法では、このよう
な黒鉛化処理時に、ホウ素化合物を共存させてもよい。
このようなホウ素化合物としては、ホウ素単体の他に、
炭化ホウ素(B4C)、塩化ホウ素、ホウ酸、酸化ホウ
素、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸銅、ホ
ウ酸ニッケル等が挙げられる。このようなホウ素化合物
の添加は、通常、固形のホウ素化合物を直接添加し必要
に応じ均一に混合する方法及びホウ素化合物を溶液と
し、これに原料を浸漬する方法等が取られるが特に制限
されるものではない。
【0046】ホウ素化合物を固体として使用する際は、
ミルド化炭素繊維と均一に混合するために、平均粒径5
00μm以下、好ましくは200μm以下に粉砕して使
用することが望ましい。ホウ素化合物溶液を調製するた
めの溶媒としては、例えば水、メタノール、グリセリ
ン、アセトン等が挙げられ、使用するホウ素化合物の種
類に合わせ適宜選択すればよい。また原料ピッチの段階
でホウ素化合物を添加することも十分可能である。
【0047】このようなホウ素化合物は、上記材料に、
得られる炭素材のホウ素含有量が1000ppm以上30
000ppm以下となる量で添加される。このようなホウ
素化合物を共存させた場合には、黒鉛化処理は、比較的
低い温度、例えば、好ましくは2,200℃以上、さら
に好ましくは2,400℃以上、特に2,400℃以上
3,100℃以下の温度で行なうことができる。
【0048】このような黒鉛化処理は、酸素の不存在
下、例えば窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うこと
が好ましい。これは、酸素が炭素材中の炭素と反応し、
二酸化炭素ガス等を生成し、炭素材の収率を低下させる
傾向があることによる。このような黒鉛化処理におい
て、炭素材原料中に含まれる窒素、酸素、硫黄、金属分
等の不純物は、大部分が黒鉛化処理時に系外に排出され
る。しかしながら、さらに純度の高い炭素材を得るため
には、炭素化或いは黒鉛化処理時に塩素等ハロゲン元素
(ガス)を導入して炭素材中の不純物と反応させ、不純
物をハロゲン化物として系外に取り除く方法、即ち高純
度化処理を行ってもよい。
【0049】本発明に係る負極は、以上説明した本発明
に係る負極用黒鉛材または以上説明した方法で調製され
た負極用黒鉛材を用い、通常の手法により製造すること
が可能である。また、本発明に係る負極は、銅、ニッケ
ル等の金属板または金属箔からなる集電体を有していて
もよい。
【0050】このような負極は、例えば、以下の方法で
製造することができる。 (1) 黒鉛材をポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレ
ンおよびポリフッ化ビニリデン、SBR(スチレンブタ
ジエンラバー)等の適量のバインダーと混合し、プレス
ローラーにより厚さ10〜100μm程度のシートと
し、次いで厚さ10〜50μm程度の銅、ニッケル等か
らなる金属箔上の片面または両面に圧着し、厚さ50〜
200μm程度のシート状物とする。 (2) 黒鉛材をポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレ
ンおよびポリフッ化ビニリデン等の適量のバインダーと
混合し、有機溶媒あるいは水性溶媒を用いてスラリーと
し、上記金属箔の片面または両面に塗布・乾燥し、厚さ
50〜200μm程度のシート状物とする。
【0051】本発明に係るリチウムイオン二次電池は、
以上説明した負極を備えており、この負極と、公知の固
体電解質または電解液、および正極と組み合わせて製造
できる。この内、電解質を非プロトン性の誘電率が高い
有機溶媒に溶解した有機電解液が特に好ましい。このよ
うな有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネー
ト、エチレンカーボネート、テトラヒドロフラン、2-メ
チルテトラヒドロフラン、ジオキソラン、4-メチル-ジ
オキソラン、アセトニトリル、ジメチルカーボネート、
メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート等を
挙げることができる。これらの溶媒は単独で用いても適
宜混合して用いてもよい。
【0052】また、電解質としては、安定なアニオンを
生成するリチウム塩、例えば、過塩素酸リチウム、ホウ
フッ化リチウム、六塩化アンチモン酸リチウム、六フッ
化アンチモン酸リチウム、六フッ化リン酸リチウム等が
好適であり、これらの電解質は単独で用いても、適宜混
合して用いてもよい。正極材としては例えば、酸化クロ
ム、酸化チタン、酸化コバルト、五酸化バナジウム等の
金属酸化物や、リチウムマンガン酸化物(LiMn
24)、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)、リ
チウムニッケル酸化物(LiNiO2)等のリチウム金
属酸化物等が挙げられる。
【0053】これらの負極と正極の間にはセパレーター
として、合成繊維製またはガラス繊維製の不織布、織布
やポリオレフィン系多孔質膜、ポリテトラフルオロエチ
レンの不織布等を設ける。前記正極、電解液、セパレー
ター、集電体、ガスケット、封口板、ケース等の構成要
素と本発明により得た負極とを用い、通常の方法に従っ
て円筒形、角形或いはボタン型等の形態のリチウムイオ
ン二次電池に組み立てることができる。
【0054】
【発明の効果】本発明に係るリチウムイオン二次電池の
負極用黒鉛材によれば、高黒鉛化度であり、かつ特異な
高温での充放電特性を有しているため、特に高温での充
電後の充放電効率および放電容量が大きな二次電池を提
供できる。本発明に係るリチウムイオン二次電池の負極
用黒鉛材の製造方法では、高黒鉛化度であり、かつ特異
な高温での充放電特性を有する負極用黒鉛材を効率よく
製造することができる。
【0055】また、本発明に係るリチウムイオン二次電
池用負極およびリチウムイオン二次電池によれば、上記
負極用黒鉛材を用いているため、特に高温での充電また
は充放電後の充放電効率および放電容量が大きな二次電
池を提供できる。
【0056】
【実施例】以下実施例及び比較例に基づいて、本発明を
更に具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定
するものではない。
【0057】
【実施例1】(イ)紡糸 光学的に異方性で比重1.25の石油系メソフェーズピ
ッチ(メソフェーズ100%)を原料として、幅3mmの
スリットの中に直径0.2mmφの紡糸孔を一列に500
個有する口金を用い、スリットから加熱空気を噴出させ
て、溶融ピッチを牽引・紡糸して平均直径13μmのピ
ッチ繊維を製造した。この時、紡糸温度は360℃、吐
出量は0.8g/H・分であった。
【0058】得られたピッチ繊維を、捕集部分が20メ
ッシュのステンレス製金網からなるベルト上に、このベ
ルトの背面から吸引しながら捕集した。 (ロ)不融化 このようにベルト上に捕集され、マット状となったピッ
チ繊維を、空気中、室温から240℃まで平均昇温速度
8℃/分で昇温し、続いて320℃まで平均昇温速度1
7℃/分で昇温して不融化処理を行った。
【0059】得られた不融化繊維を用い、FT−IR測
定でのカルボニル強度比S(CO)/S(C=C)および元素分析に
よる酸素・炭素原子数比O/Cを求めたところ、各々0.
54および0.052であった。 (ハ)炭化・黒鉛化 この不融化繊維を、窒素雰囲気下、650℃で炭化処理
した後、クロスフローミルで粉砕し平均粒径18μmの
ミルド化炭素繊維を得た。
【0060】得られたミルド化炭素繊維を、窒素雰囲気
下、3000℃まで3℃/分の速度で昇温し、さらに同
温度で1時間保持して黒鉛化した。得られた黒鉛繊維を
用い、X線回折法によって、結晶パラメータを測定した
ところ、101面回折ピークと100面回折ピークの強
度比I101/I100が1.9であり、黒鉛層間距離(d
002)が0.3357nmであり、C軸方向の結晶子の大
きさ(Lc)が100nmであった。 (ニ)電極シート 得られたミルド化黒鉛繊維51.9gを、ポリフッ化ビ
ニリデン4.1gのN-メチルピロリドン45.0g溶液
(バインダー溶液)に加えて混練し、塗液とした。次い
でこの塗液を厚さ18μmの銅箔に電極目付100g/
2となるように塗工し、乾燥後ロールプレスして電極
密度1.4g/cm3の電極シートを作製した。 (ホ)充放電試験 前記電極シートから試験極(縦20mm、横20mm)を打
ち抜き作用極とし、金属リチウムを対極、参照極とした
三極セルを組み、これを充放電試験機に接続し、試験を
行った。なお、電解液はエチレンカーボネート(EC)
およびジメチルカーボネート(DMC)を体積比1/1
で混合した炭酸エステル溶媒に過塩素酸リチウム(Li
ClO4)を1モル濃度で加えたものを使用した。
【0061】充放電試験では(a)25℃および(b)
40℃での充放電における初回の充放電効率、放電容量
および10サイクル目の放電容量、また(c)初回に4
0℃で充電後、25℃で放電し、以後25℃で充放電を
繰り返した10サイクル目の放電容量を測定し、結果を
表1に示す。この際の充放電条件は(a)と(b)で
は、定電流−定電圧充電(100mA/g−10mV)
8時間、休止10分、定電流放電(100mA/g)で
カットオフ電圧1.5V(vs.Li/Li+)にて行
った。また、(b)では休止120分とした以外は
(a)と同様にして行った。
【0062】得られた結果を表1に示す。
【0063】
【実施例2】マット状ピッチ繊維を、空気中、室温から
220℃まで平均昇温速度6℃/分で昇温し、その温度
で5分間保持後、320℃まで平均昇温速度17℃/分
で昇温して不融化処理を行った以外は、実施例1と同様
にして、不融化ピッチ繊維を製造した。
【0064】得られた不融化繊維を用い、FT−IR測
定でのカルボニル強度比S(CO)/S(C=C)および元素分析に
よる酸素・炭素原子数比O/Cを求めたところ、各々、
0.55および0.055であった。この不融化繊維を
用いて、実施例1と同様にして黒鉛繊維を製造した。得
られた黒鉛繊維を用い、X線回折法によって、結晶パラ
メータを測定したところ、101面回折ピークと100
面回折ピークの強度比I101/I100が1.7であり、黒
鉛層間距離(d002)が0.3358nmであり、C軸方
向の結晶子の大きさ(Lc)が90nmであった。
【0065】この黒鉛繊維を用い、実施例1と同様にし
て、負極を製造しかつこれを用いて充放電試験を行っ
た。得られた結果を表1に示す。
【0066】
【実施例3】マット状ピッチ繊維を、空気中、室温から
240℃まで平均昇温速度6℃/分で昇温し、続いて3
20℃まで平均昇温速度15℃/分で昇温して不融化処
理を行った以外は、実施例1と同様にして、不融化ピッ
チ繊維を製造した。得られた不融化繊維を用い、FT−
IR測定でのカルボニル強度比S(CO)/S(C=C)および元素
分析による酸素・炭素原子数比O/Cを求めたところ、各
々、0.57および0.058であった。
【0067】この不融化繊維を用いて、実施例1と同様
にして黒鉛繊維を製造した。得られた黒鉛繊維を用い、
X線回折法によって、結晶パラメータを測定したとこ
ろ、101面回折ピークと100面回折ピークの強度比
101/I100が1.6であり、黒鉛層間距離(d002
が0.3358nmであり、C軸方向の結晶子の大きさ
(Lc)が90nmであった。
【0068】この黒鉛繊維を用い、実施例1と同様にし
て、負極を製造しかつこれを用いて充放電試験を行っ
た。得られた結果を表1に示す。
【0069】
【実施例4】ミルド化炭素繊維に2重量%の平均粒径1
0μmの炭化ホウ素を加えて均一に混合した後黒鉛化す
る以外は、実施例1と同様にして黒鉛繊維を製造した。
得られた黒鉛繊維を用い、X線回折法によって結晶パラ
メータを測定したところ101面回折ピークと100面
回折ピークの強度比I101/I100が2.1であり、黒鉛
層間距離(d002)が0.3355nmであり、C軸方向
の結晶子の大きさ(Lc)が100nmであった。
【0070】この黒鉛繊維を用い、実施例1と同様にし
て、負極を製造しかつこれを用いて充放電試験を行っ
た。得られた結果を表1に示す。
【0071】
【比較例1】マット状ピッチ繊維を、空気中、室温から
300℃まで平均昇温速度6℃/分で昇温しして不融化
処理を行った以外は、実施例1と同様にして、不融化ピ
ッチ繊維を製造した。得られた不融化繊維を用い、FT
−IR測定でのカルボニル強度比S(CO)/S(C=C)および元
素分析による酸素・炭素原子数比O/Cを求めたところ、
各々、0.63および0.073であった。
【0072】この不融化繊維を用いて、実施例1と同様
にして黒鉛繊維を製造した。得られた黒鉛繊維を用い、
X線回折法によって、結晶パラメータを測定したとこ
ろ、101面回折ピークと100面回折ピークの強度比
101/I100が1.1であり、黒鉛層間距離(d002
が0.3365nmであり、C軸方向の結晶子の大きさ
(Lc)が40nmであった。
【0073】この黒鉛繊維を用い、実施例1と同様にし
て、負極を製造しかつこれを用いて充放電試験を行っ
た。得られた結果を表1に示す。
【0074】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G046 CA00 CA07 CB01 CB09 5H003 AA02 BA01 BA03 BA04 BB02 BC02 BC05 BD01 BD03 BD05 5H014 AA02 BB01 BB04 BB06 BB11 EE08 HH01 HH04 HH06 HH08 5H029 AJ02 AJ03 AJ05 AJ12 AK03 AL06 AM02 AM03 AM04 AM05 AM07 AM16 BJ04 BJ12 CJ01 CJ04 CJ08 CJ16 DJ17 EJ04 HJ00 HJ01 HJ04 HJ07 HJ13 HJ14 HJ16 HJ19

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 X線回折測定における101面と100
    面の強度比I101/I100が1.2以上であり、電解液に
    浸漬し、25℃にて充電した場合の初期充放電効率およ
    び初期放電容量に比べ、30〜50℃にて充電した場合
    の初期充放電効率および初期放電容量の方が高いことを
    特徴とするリチウムイオン二次電池の負極用黒鉛材。
  2. 【請求項2】 25℃において充放電した場合の初期充
    放電効率および初期放電容量に比べ、30〜50℃にて
    充放電した場合の初期充放電効率および初期放電容量の
    方が高い請求項1記載のリチウムイオン二次電池の負極
    用黒鉛材。
  3. 【請求項3】 FT−IR分光測定において、1670
    cm-1以上1830cm-1以下に現れるカルボニル基に
    ついてのピーク面積:S(CO)の、1530cm-1以上1
    670cm-1未満に現れるエチレン結合についてのピー
    ク面積:S(C=C)に対する比S(CO)/S(C=C)が0.40〜
    0.58であり、元素分析において酸素の炭素に対する
    原子数比O/Cが0.045〜0.060であるメソフェ
    ーズピッチ系不融化繊維を炭化し、次いで黒鉛化するこ
    とを特徴とするリチウムイオン二次電池の負極用黒鉛材
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記炭化工程で得られた炭素繊維をミル
    ド化し、次いで黒鉛化する請求項3記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記炭化工程で得られた炭素繊維をミル
    ド化し、得られたミルド化炭素繊維を、ホウ素化合物と
    混合した後、黒鉛化する請求項3記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記黒鉛化工程で得られた黒鉛材に、電
    解液中、30〜50℃にて充電または充放電させる処理
    を施す請求項3〜5の何れか1項に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1または2記載の黒鉛材、または
    請求項3〜6の何れか1項に記載の製造方法で得られた
    黒鉛材を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池
    用負極。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の負極を備えたリチウムイ
    オン二次電池。
JP28410499A 1999-10-05 1999-10-05 リチウムイオン二次電池の負極用黒鉛材、その製造方法、その黒鉛材を用いたリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池 Pending JP2001110415A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28410499A JP2001110415A (ja) 1999-10-05 1999-10-05 リチウムイオン二次電池の負極用黒鉛材、その製造方法、その黒鉛材を用いたリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28410499A JP2001110415A (ja) 1999-10-05 1999-10-05 リチウムイオン二次電池の負極用黒鉛材、その製造方法、その黒鉛材を用いたリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001110415A true JP2001110415A (ja) 2001-04-20

Family

ID=17674264

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28410499A Pending JP2001110415A (ja) 1999-10-05 1999-10-05 リチウムイオン二次電池の負極用黒鉛材、その製造方法、その黒鉛材を用いたリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001110415A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003022804A (ja) * 2001-07-06 2003-01-24 Kansai Research Institute 非水系二次電池及びその製造方法
JP2008159277A (ja) * 2006-12-20 2008-07-10 Hitachi Chem Co Ltd リチウムイオン二次電池用負極材料及びリチウムイオン二次電池
CN102593446A (zh) * 2012-02-22 2012-07-18 清华大学 一种锂离子电池活性电极材料的制备方法
KR101501435B1 (ko) * 2012-05-31 2015-03-11 주식회사 엘지화학 우수한 고온 성능의 중대형 전지팩
WO2023184080A1 (zh) * 2022-03-28 2023-10-05 宁德新能源科技有限公司 电化学装置和电子装置

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003022804A (ja) * 2001-07-06 2003-01-24 Kansai Research Institute 非水系二次電池及びその製造方法
JP2008159277A (ja) * 2006-12-20 2008-07-10 Hitachi Chem Co Ltd リチウムイオン二次電池用負極材料及びリチウムイオン二次電池
CN102593446A (zh) * 2012-02-22 2012-07-18 清华大学 一种锂离子电池活性电极材料的制备方法
KR101501435B1 (ko) * 2012-05-31 2015-03-11 주식회사 엘지화학 우수한 고온 성능의 중대형 전지팩
WO2023184080A1 (zh) * 2022-03-28 2023-10-05 宁德新能源科技有限公司 电化学装置和电子装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5698341A (en) Carbon material for lithium secondary battery and process for producing the same
JP3540478B2 (ja) リチウムイオン二次電池用負極材
JPH08315820A (ja) 二次電池負極材用炭素繊維及びその製造方法
US5556723A (en) Negative electrode for use in a secondary battery
JPH10326611A (ja) リチウム二次電池負極用炭素材料
EP0675555B1 (en) Negative electrode for use in lithium secondary battery and process for producing the same
JPH0831422A (ja) リチウム二次電池負極用炭素材料とその製造方法
JP2002329494A (ja) リチウムイオン二次電池負極用黒鉛材およびその製造方法
JP3617550B2 (ja) リチウム二次電池用負極、該負極を含むリチウム二次電池及び該リチウム二次電池用負極の製造方法
JPH10289718A (ja) 高容量リチウムイオン二次電池負極用黒鉛材の製造方法
JP4470467B2 (ja) 粒子状人造黒鉛負極材料及びその製造方法、並びにそれを用いたリチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池
JPH10152311A (ja) 表面黒鉛化炭素材、その製造方法、およびそれを用いたリチウムイオン二次電池用負極
JPH0963584A (ja) リチウム二次電池用炭素材及びその製造方法
JP2001110415A (ja) リチウムイオン二次電池の負極用黒鉛材、その製造方法、その黒鉛材を用いたリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池
JP2000203817A (ja) 複合炭素粒子、その製造法、負極材料、リチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池
JP2002146635A (ja) 高黒鉛化炭素材、その製造方法及びその用途
JPH0963585A (ja) リチウム系二次電池用炭素材及びその製造法
JP4224731B2 (ja) 黒鉛粒子、その製造法、リチウム二次電池及びその負極
JP2003077473A (ja) リチウムイオン二次電池負極用黒鉛材料
JP2000012034A (ja) リチウム二次電池用黒鉛材及びその製造方法
JP2003077472A (ja) リチウムイオン二次電池負極用黒鉛材料の製法
JP2004063456A (ja) 電極用炭素材料の製造方法
JPH09283145A (ja) リチウム系二次電池用炭素材及びその製造方法
JP2002063902A (ja) 炭素材料の製造方法およびリチウムイオン二次電池
JP2000251889A (ja) 高容量リチウムイオン二次電池負極用黒鉛材の製造方法