JP2001107759A - 内燃機関のバルブ特性制御方法及び制御装置 - Google Patents

内燃機関のバルブ特性制御方法及び制御装置

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JP2001107759A JP28811999A JP28811999A JP2001107759A JP 2001107759 A JP2001107759 A JP 2001107759A JP 28811999 A JP28811999 A JP 28811999A JP 28811999 A JP28811999 A JP 28811999A JP 2001107759 A JP2001107759 A JP 2001107759A
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徳久 中川
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茂樹 宮下
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Abstract

(57)【要約】 【課題】機関の内部EGR量について、高精度な制御と
高ダイナミックレンジでの制御との好適な両立を図るこ
とのできる内燃機関のバルブ特性制御方法及び制御装置
を提供する。 【解決手段】吸気カムには、機関の出力性能などを決定
する主カム山と、排気行程中に補助的に吸気バルブを開
弁する補助カム山が備えられ、同補助カム山は、吸気側
カムシャフトの軸方向に連続的にその高さが変化するよ
うに形成される。機関出力軸から動力を得る吸気側カム
シャフトには、同カムシャフトを軸方向に変位させるリ
フト量可変アクチュエータ及び、同機関出力軸との回転
位相を変更する回転位相差可変アクチュエータ(バルブ
タイミング可変機構)が設けられている。排気行程中に
おける吸気バルブの補助的な開弁時期は、排気圧力の考
慮のもとに、要求されるEGR量に応じて最適な時期に
決定される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関のバルブ
特性制御方法及び制御装置に係り、詳しくは当該機関の
出力特性等を決定する主たる吸排気バルブの開閉とは別
途に吸気バルブ及び排気バルブの少なくとも一方を補助
的に開弁することによって同機関の燃焼室内部のEGR
(排気還流)量等を制御する制御方法及び制御装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】周知のように、排気中の窒素酸化物(N
Ox)を低減する方法として、排気の一部を吸気に戻す
EGR(排気還流)制御がある。そして、この排気の一
部を吸気に戻す方法の一つとして、吸気行程において排
気バルブを、又は排気行程において吸気バルブを補助的
に開弁させる方法が従来より知られている。
【0003】この方法に基づいたいわゆる内部EGR制
御を行う装置として、例えば特開平10−89033号
公報には、排気カムの主体部を構成する主カム山の回転
後方等に補助カム山を設けるとともに、この補助カム山
の高さがカムシャフトの一端から他端に向かうにつれて
連続的に変化するように形成し、吸気行程において排気
バルブを補助的に開弁させつつ、機関の運転状態に応じ
てカムシャフトを軸方向に変位させることにより、その
リフト量を併せて調整可能としたものが記載されてい
る。この構成によれば、吸気行程における排気バルブの
補助的な開弁等に際し、そのリフト量が連続的に可変と
されることで、EGRの確保のみならず、そのEGR量
の調整も可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、排気は、そ
の圧力が絶えず一定というわけではなく脈動しているた
めに、吸気行程における上記排気バルブのリフト量の変
化とEGR量の変化との間には線形的な対応があるわけ
ではない。したがって、上記リフト量を増加させた割に
はEGR量が増加しなかったり、また逆に、同リフト量
の増加に伴いEGR量が急激に増加したりするといった
ことも生じうる。
【0005】このため、例えばEGR制御のダイナミッ
クレンジ(制御幅)を高める目的で、排気圧力の高い領
域において上記排気バルブの補助的な開弁を行う場合に
は、EGR量そのものの制御精度の低下が懸念されるよ
うになる。一方、EGR量を高精度に制御する目的で、
排気圧力の低い領域において同排気バルブの補助的な開
弁を行う場合には、その制御幅すなわちダイナミックレ
ンジの低下が懸念される。したがって、上記従来の装置
のように、単にEGR量の調整が可能であるからといっ
て、機関の全運転領域にわたってEGR量を高精度に制
御することと高ダイナミックレンジで制御することとの
両立は極めて困難なものとなっている。
【0006】本発明は、上記実情に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、機関の内部EGR量について、高
精度な制御と高ダイナミックレンジでの制御との好適な
両立を図ることのできる内燃機関のバルブ特性制御方法
及び制御装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】以下、上記目的を達成す
るための手段及びその作用効果について記載する。請求
項1記載の発明は、内燃機関の出力特性を決定する主た
る吸排気バルブの開閉とは別途に吸気バルブ及び排気バ
ルブの少なくとも一方の補助的な開弁に基づきそれら吸
気バルブと排気バルブとが同時に開弁される期間を生じ
させることで同機関の燃焼室内部の排気還流量を制御す
る内燃機関のバルブ特性制御方法において、前記吸気バ
ルブ及び排気バルブの少なくとも一方による補助的な開
弁の開弁時期を当該機関の排気圧力に応じて可変とする
ことをその要旨とする。
【0008】前述したように、排気圧力は絶えず一定と
いうわけではなく、脈動している。しかも、この排気圧
力の変化態様は機関の運転状態に依存しており、例えば
機関の各行程やそれら行程での機関出力軸の回転角度等
から同排気圧力を推定することは可能である。このた
め、上記制御方法によるように、排気圧力の脈動に応じ
て、例えば排気圧力が高くなるタイミングに上記補助的
な開弁の開弁時期を設定することとすれば、高いダイナ
ミックレンジをもって機関燃焼室内部の排気還流量を制
御することができるようになり、逆に排気圧力が低くな
るタイミングに同補助的な開弁の開弁時期を設定するこ
ととすれば、高い精度をもって同機関燃焼室内部の排気
還流量を制御することができるようになる。したがっ
て、当該機関のその都度の運転領域において要求される
排気還流量、並びにその制御要求(ダイナミックレンジ
か精度か)に応じて、上記排気圧力の脈動を考慮しつ
つ、上記補助的な開弁の開始時期を可変設定することと
すれば、それら制御要求についての両立を図ることがで
きるようになる。そしてこの場合には、(イ)要求され
る排気還流量が大きいときには上記補助的な開弁の開始
時期を排気圧力の高いタイミングに設定し、要求される
排気還流量が小さいときには同補助的な開弁の開始時期
を排気圧力の低いタイミングに設定することで、機関の
全運転領域にわたって排気還流量についての要求量を満
たす制御、あるいは(ロ)高地走行時等、車両環境に応
じて排気還流量を増減補正する必要がある場合の上記排
気圧力の脈動に応じた微調整制御、等々の実現も容易で
ある。
【0009】請求項2に記載の発明は、吸気バルブ及び
排気バルブの少なくとも一方を駆動するカムが当該バル
ブの主たる開弁を行う主カム山に加えて同主カム山によ
る開弁期間以外の期間中に同バルブの補助的な開弁を行
うことで吸気バルブと排気バルブとが同時に開弁される
期間を生じさせる補助カム山を有するとともに、該補助
カム山はその高さがカムの軸方向に連続的に変化する3
次元カムとして形成された動弁手段と、前記カムが設け
られたカムシャフトをその軸方向に変位させて前記補助
カム山によるバルブリフト量を調量するバルブリフト可
変機構と、機関運転状態に応じて前記補助カム山による
開閉対象バルブの開弁時期を可変とする開弁時期可変手
段とを備えることをその要旨とする。
【0010】上記構成によれば、主カム山とは独立に設
けられる補助カム山のバルブ特性を可変とするといっ
た、動弁手段を構成するカムの形状及び機関運転状態に
応じて前記補助カム山による開閉対象バルブの開弁時期
を可変とする開弁時期可変手段を通じて請求項1記載の
発明の方法を的確に実現する装置を容易に構成すること
ができる。
【0011】請求項3に記載の発明は、請求項2に記載
の発明において、前記開弁時期可変手段は、当該機関の
出力軸と前記動弁手段の設けられたカムシャフトとの相
対回転位相を可変とするバルブタイミング可変機構から
なることをその要旨とする。
【0012】上記構成によれば、請求項2に記載の装置
にあって、その開弁開始時期可変手段をバルブタイミン
グ可変手段といった既成の手段を用いて容易に実現する
ことができる。
【0013】請求項4記載の発明は、前記バルブタイミ
ング可変機構は、当該機関の排気圧力に応じてその進角
量が操作されることをその要旨とする。上記構成によれ
ば、請求項2に記載した装置において請求項1に記載の
方法を的確に実現することができる。
【0014】請求項5記載の発明は、請求項2記載の発
明において、前記開弁時期可変手段は、前記補助カム山
の前記カム軸方向に連続的に高さの異なる頂点が同カム
軸と差交する方向に連続的に偏倚された同補助カム山の
3次元偏倚カムプロフィールからなることをその要旨と
する。
【0015】上記構成によれば、上述した排気圧力の脈
動を考慮した補助カム山による補助的な開弁の開弁時期
を同補助カム山の上記3次元偏倚カムプロフィールを通
じて実現することができるようになる。したがって、バ
ルブタイミング可変機構を用いずとも上記開弁時期可変
手段を構成することが可能となり、請求項2に記載の装
置の簡素化を図ることができるようになる。更に、この
構成によれば、主カム山による主たるバルブ特性が変更
されることもない。
【0016】請求項6記載の発明は、請求項5記載の発
明において、前記補助カム山の前記カム軸方向に連続的
に高さの異なる頂点が同カムの回転方向後方に徐々に高
くなる方向に偏倚されてなることをその要旨とする。
【0017】上記構成によれば、補助カム山の頂点が高
くなるほど、補助カム山による当該バルブの開弁時期が
遅角側に移行される。したがって、例えば排気圧力が次
第に高くなる期間に対応してこの補助カム山の上記偏倚
態様を設定することとすれば、補助カム山による開弁量
が小さいときには、排気圧力の小さいタイミングで開弁
させることができ、高精度での排気還流量の制御が可能
となる。また、補助カム山による開弁量が大きいときに
は、排気圧力の大きいタイミングで開弁させることがで
き、高いダイナミックレンジを得ることができる。一
方、排気圧力が次第に小さくなる期間に対応してこの補
助カム山の上記偏倚態様を設定することとすれば、補助
カム山による開弁量が小さいときには、排気圧力の大き
いタイミングで開弁させることができ、排気還流量の制
御の開始に際し迅速に排気還流量を増加させることがで
きる。また、補助カム山による開弁量が大きいときに
は、排気圧力の小さいタイミングで開弁させることがで
き、高精度の制御で排気還流量を制御することができ
る。したがって、要求される排気還流量が大きいときに
精度を維持しつつ、排気還流制御の開始に迅速に対応す
ることができる。
【0018】請求項7記載の発明は、請求項5記載の発
明において、前記補助カム山の前記カム軸方向に連続的
に高さの異なる頂点が同カムの回転方向前方に徐々に高
くなる方向に偏倚されてなることをその要旨とする。
【0019】上記構成によれば、補助カム山の頂点が高
くなるほど、補助カム山による開弁時期を進角側に移行
させることができる。したがって、例えば排気圧力が次
第に小さくなる期間に対応してこの補助カム山の上記偏
倚態様を設定することとすれば、補助カム山による開弁
量が小さいときには、排気圧力の小さいタイミングで開
弁させることができ、高精度での排気還流量の制御が可
能となる。また、補助カム山による開弁量が大きいとき
には、排気圧力の大きいタイミングで開弁させることが
でき、高いダイナミックレンジを得ることができる。一
方、排気圧力が次第に大きくなる期間に対応してこの補
助カム山の上記偏倚態様を設定することとすれば、補助
カム山による開弁量が小さいときには、排気圧力の大き
いタイミングで開弁させることができ、排気還流量の制
御の開始に際し迅速に排気還流量を増加させることがで
きる。また、補助カム山による開弁量が大きいときに
は、排気圧力の小さいタイミングで開弁させることがで
き、高精度の制御で排気還流量を制御することができ
る。したがって、要求される排気還流量が大きいときに
精度を維持しつつ、排気還流制御の開始に迅速に対応す
ることができる。
【0020】請求項8記載の発明は、請求項2記載の発
明において、当該機関はその燃焼室に直接燃料が噴射供
給される筒内直接噴射式の内燃機関であるとともに、前
記補助カム山は排気バルブを駆動するカムに対し設けら
れたものであり、前記開弁時期可変手段は、機関の吸気
行程中に前記補助カム山を通じて排気バルブを開弁する
開弁時期を、同吸気行程での燃料噴射時期に応じて可変
とするものであることをことをその要旨とする。
【0021】混合気の形成の自由度を高めて燃費の向上
を図るべく燃焼室に直接燃料を噴射する筒内噴射式内燃
機関が従来より知られている。しかしながら、上記筒内
噴射式内燃機関においては、燃焼室内で燃料が十分に気
化せず燃焼性が阻害されやすいという問題がある。この
点、上記構成によれば、燃焼室内へ排気を取り込む時期
を燃料噴射時期に基づいて可変制御することが可能とな
り、高温の排気により燃焼室に噴射された燃料の気化を
促進させることができるようになる。
【0022】
【発明の実施の形態】(第1の実施形態)図1〜図8を
参照して、内燃機関(エンジン)の吸気側カムシャフト
に対して設けられたこの発明に係るバルブ特性制御装置
の第1の実施形態について説明する。
【0023】図1に、内燃機関として直列4気筒の車載
用ガソリンエンジン11における動弁系を中心とする概
略構成を示す。このエンジン11においては、バルブ特
性制御装置10が吸気側カムシャフト22に設けられて
いる。
【0024】エンジン11は、往復移動するピストン1
2が設けられたシリンダブロック13と、シリンダブロ
ック13の下側に設けられたオイルパン13aと、シリ
ンダブロック13の上側に設けられたシリンダヘッド1
4とを備えている。
【0025】このエンジン11の下部には出力軸である
クランクシャフト15が回転可能に支持され、同クラン
クシャフト15にはコンロッド16を介してピストン1
2が連結されている。そして、ピストン12の往復移動
は、コンロッド16によってクランクシャフト15の回
転へと変換される。また、ピストン12の上側には燃焼
室17が設けられ、この燃焼室17には吸気ポート18
および排気ポート19が接続されている。そして、吸気
ポート18と燃焼室17とは吸気バルブ20により連通
・遮断され、排気ポート19と燃焼室17とは排気バル
ブ21により連通・遮断されるようになっている。
【0026】一方、シリンダヘッド14には、吸気側カ
ムシャフト22および排気側カムシャフト23が平行に
設けられている。吸気側カムシャフト22は回転可能か
つ軸方向へ移動可能にシリンダヘッド14上に支持され
ており、排気側カムシャフト23は回転可能であるが軸
方向には移動不可能にシリンダヘッド14上に支持され
ている。
【0027】吸気側カムシャフト22の一端部には、タ
イミングスプロケット24aを備えクランクシャフト1
5と吸気側カムシャフト22との回転位相差を変更する
ための回転位相差可変アクチュエータ24(バルブタイ
ミング可変機構に相当)が設けられている。また、吸気
側カムシャフト22の他端部には吸気側カムシャフト2
2を回転軸方向へ移動させるためのリフト量可変アクチ
ュエータ22a(バルブリフト可変機構に相当)が設け
られている。また、排気側カムシャフト23の一端部に
はタイミングスプロケット25が取り付けられている。
このタイミングスプロケット25および回転位相差可変
アクチュエータ24のタイミングスプロケット24a
は、タイミングチェーン15bを介して、クランクシャ
フト15に取り付けられたタイミングスプロケット15
aに連結されている。そして、駆動側回転軸としてのク
ランクシャフト15の回転がタイミングチェーン15b
を介して、従動側回転軸としての吸気側カムシャフト2
2および排気側カムシャフト23に伝達される。このこ
とによって、吸気側カムシャフト22および排気側カム
シャフト23はクランクシャフト15の回転に同期して
回転する。なお、図1の例では、クランクシャフト1
5、吸気側カムシャフト22および排気側カムシャフト
23は、タイミングスプロケット15a,24a,25
側から見て、右回り(時計回り)に回転する。
【0028】吸気側カムシャフト22には、吸気バルブ
20の上端に取り付けられたバルブリフタ20aに当接
する吸気カム27が設けられ、排気側カムシャフト23
には、排気バルブ21の上端に取り付けられたバルブリ
フタ21aに当接する排気カム28が設けられている。
そして、吸気側カムシャフト22が回転すると、吸気カ
ム27により吸気バルブ20が開閉駆動され、排気側カ
ムシャフト23が回転すると、排気カム28により排気
バルブ21が開閉駆動される。
【0029】ここで、排気カム28は、エンジン11の
出力特性などを決定する主カム山を有し、同主カム山
は、排気側カムシャフト23の軸方向に対して一定とな
っている。一方、吸気カム27は、図2に示すように、
エンジン11の出力特性などを決定する主カム山27a
と、同主カム山27aとは独立に補助的に吸気バルブ2
0を開弁するための補助カム山27bとを有する。そし
て、この補助カム山27bの頂点は、吸気側カムシャフ
ト22の軸方向に連続的変化している。これにより、リ
フト量可変アクチュエータ22aにより、吸気側カムシ
ャフト22を軸方向に変位させることで、吸気バルブ2
0の補助的な開弁におけるリフト量を調整することがで
きる。
【0030】上述した回転位相差可変アクチュエータ2
4及びリフト量可変アクチュエータ22aは、電子制御
装置(以下「ECU」という)120により制御されて
いる。なお、ECU120は、吸気管内の圧力を測定す
る吸気圧センサ121、及びエンジン11の回転数を測
定するクランクセンサ122等からの検出結果が電気信
号として供給され、これらに基づいて制御を行ってい
る。
【0031】次に、吸気側カムシャフト22をその軸方
向へ移動させるためのリフト量可変アクチュエータ22
a、および、そのリフト量可変アクチュエータ22aを
油圧により駆動するための給油構造について図3に基づ
き説明する。
【0032】図3に示すように、リフト量可変アクチュ
エータ22aは、筒状をなすシリンダチューブ31と、
シリンダチューブ31内に設けられたピストン32と、
シリンダチューブ31の両端開口部を塞ぐように設けら
れた一対のエンドカバー33とから構成されている。こ
のシリンダチューブ31はシリンダヘッド14に固定さ
れている。
【0033】ピストン32には一方のエンドカバー33
を貫通した補助シャフト33aを介して吸気側カムシャ
フト22が連結されている。なお補助シャフト33aと
吸気側カムシャフト22との間は転がり軸受33bが介
在し、リフト量可変アクチュエータ22aは、回転する
吸気側カムシャフト22を補助シャフト33aと転がり
軸受33bとを介して回転軸方向に円滑に駆動できるよ
うにしている。
【0034】シリンダチューブ31内は、ピストン32
により第1圧力室31aおよび第2圧力室31bに区画
されている。第1圧力室31aには、一方のエンドカバ
ー33に形成された第1給排通路34が接続され、第2
圧力室31bには、他方のエンドカバー33に形成され
た第2給排通路35が接続されている。
【0035】第1給排通路34または第2給排通路35
を介して、第1圧力室31aと第2圧力室31bとに対
し選択的に作動油を供給すると、ピストン32は吸気側
カムシャフト22の回転軸方向に移動する。このピスト
ン32の移動に伴い、吸気側カムシャフト22も回転軸
方向へ移動する。
【0036】第1給排通路34および第2給排通路35
は、第1オイルコントロールバルブ36に接続されてい
る。この第1オイルコントロールバルブ36には供給通
路37および排出通路38が接続されている。そして、
供給通路37はクランクシャフト15の回転に伴って駆
動されるオイルポンプPを介してオイルパン13aに接
続されており、排出通路38はオイルパン13aに直接
接続されている。
【0037】第1オイルコントロールバルブ36はケー
シング39を備え、ケーシング39には、第1給排ポー
ト40、第2給排ポート41、第1排出ポート42、第
2排出ポート43、および供給ポート44が設けられて
いる。第1給排ポート40には第1給排通路34が接続
され、第2給排ポート41には第2給排通路35が接続
されている。更に、供給ポート44には供給通路37が
接続され、第1排出ポート42および第2排出ポート4
3には排出通路38が接続されている。また、ケーシン
グ39内には、4つの弁部45を有してコイルスプリン
グ46および電磁ソレノイド47によりそれぞれ逆の方
向に付勢されるスプール48が設けられている。
【0038】電磁ソレノイド47の消磁状態において
は、スプール48がコイルスプリング46の弾性力によ
りケーシング39の一端側(図3における右側)に配置
されて、第1給排ポート40と第1排出ポート42とが
連通し、第2給排ポート41と供給ポート44とが連通
する。この状態では、オイルパン13a内の作動油が供
給通路37、第1オイルコントロールバルブ36および
第1給排通路34を介して、第1圧力室31aへ供給さ
れる。また、第2圧力室31b内にあった作動油が第2
給排通路35、第1オイルコントロールバルブ36およ
び排出通路38を介してオイルパン13a内へ戻され
る。その結果、ピストン32が図示右側へ移動し、ピス
トン32に連動して吸気側カムシャフト22が矢印Sに
示す方向の内、方向Rへ移動する。
【0039】一方、電磁ソレノイド47が励磁されたと
きには、スプール48がコイルスプリング46の弾性力
に抗してケーシング39の他端側(図3において左側)
に配置されて、第2給排ポート41が第2排出ポート4
3と連通し、第1給排ポート40が供給ポート44と連
通する。この状態では、オイルパン13a内の作動油が
供給通路37、第1オイルコントロールバルブ36およ
び第2給排通路35を介して第2圧力室31bへ供給さ
れる。また、第1圧力室31a内にあった作動油が第1
給排通路34、第1オイルコントロールバルブ36およ
び排出通路38を介してオイルパン13a内に戻され
る。その結果、ピストン32が図示左側へ移動し、ピス
トン32に連動して吸気側カムシャフト22が矢印Sに
示す方向の内、方向Fへ移動する。
【0040】更に、電磁ソレノイド47への給電を制御
し、スプール48をケーシング39の中間に位置させる
と、第1給排ポート40および第2給排ポート41が閉
塞され、それら給排ポート40,41を通じての作動油
の移動が禁止される。この状態では、第1圧力室31a
および第2圧力室31bに対して作動油の給排が行われ
ず、第1圧力室31aおよび第2圧力室31b内に作動
油が充填保持される。このことにより、ピストン32お
よび吸気側カムシャフト22の回転軸方向での位置が固
定される。図6に示す状態はこの位置固定の状態を表し
ている。
【0041】また、電磁ソレノイド47への給電をデュ
ーティ制御することで、第1給排ポート40における開
度あるいは第2給排ポート41における開度を調整し
て、供給ポート44から第1圧力室31aまたは第2圧
力室31bへの作動油の供給速度を制御できる。
【0042】次に、吸気側カムシャフト22の回転位相
差を調整するための回転位相差可変アクチュエータ(可
変バルブタイミング機構に相当)24について図4に基
づき詳しく説明する。
【0043】図4に示すように、回転位相差可変アクチ
ュエータ24はタイミングスプロケット24aを備え
る。このタイミングスプロケット24aは吸気側カムシ
ャフト22が貫通する筒部51と、筒部51の外周面か
ら突出する円板部52と、円板部52の外周面に設けら
れた複数の外歯53とを備えている。タイミングスプロ
ケット24aの筒部51は、シリンダヘッド14のジャ
ーナル軸受14aとカムシャフトベアリングキャップ1
4bとに挟持されて回転可能に支持されている。そし
て、吸気側カムシャフト22は、筒部51内を回転軸方
向へ摺動して移動できるように筒部51を貫通してい
る。
【0044】更に、吸気側カムシャフト22の先端部を
覆うように設けられたインナギヤ54が、ボルト55に
より固定されている。このインナギヤ54は図8に示す
ごとく、平歯の大径ギヤ部54aと、斜歯の小径ギヤ部
54bとが2段に形成された構成をなしている。
【0045】更に、インナギヤ54の小径ギヤ部54b
には、図5に示す平歯の外歯56aと斜歯の内歯56b
とを備えたサブギヤ56が、その内歯56bにて、図4
に示すごとく噛み合わされている。この噛み合せの際に
は、インナギヤ54とサブギヤ56との間にリング状の
スプリングワッシャ57が配置され、サブギヤ56をイ
ンナギヤ54から離すように軸方向に付勢している。な
お、インナギヤ54とサブギヤ56との外径は同一であ
る。
【0046】タイミングスプロケット24aの円板部5
2には、複数のボルト58(ここでは4本のボルト)に
より、ハウジング59と、ハウジング59の内部の内、
後述する第1圧力室70および第2圧力室71とを密閉
するカバー60とが取り付けられている。なお、カバー
60の中心には、後述する円筒状空間61cを開放して
吸気側カムシャフト22の軸方向への摺動を円滑に行う
ための穴部60aが設けられている。
【0047】図6に、上記ボルト58、カバー60およ
びボルト55を取り外してハウジング59の内部を図4
において左から見た状態を示す。なお、図4の回転位相
差可変アクチュエータ24は、図6におけるB−B線で
の断面状態を示している。
【0048】同図6に示されるように、ハウジング59
は、内周面59aから中心方向に向かって突出する複数
の壁部62,63,64,65(ここでは4つ)を備え
ている。そして、その壁部62,63,64,65の先
端面に対して、外周面61aにて接する円盤状のベーン
ロータ61が回動可能に配置されている。
【0049】円盤状のベーンロータ61の中心部には円
筒状空間61c(図4)が形成されており、特に本実施
形態にあって、その内周面全体には吸気側カムシャフト
22の軸方向に沿って直線状に延びるスプライン部61
bが形成されている。前述したインナギヤ54の大径ギ
ヤ部54aとサブギヤ56の外歯56aとは共にこのス
プライン部61bに噛み合わされている。
【0050】斜歯の内歯56bと斜歯の小径ギヤ部54
bとの噛み合わせと、スプリングワッシャ57との作用
により、インナギヤ54の大径ギヤ部54aとサブギヤ
56の外歯56aとは相対的に逆方向に回動する付勢力
を生じるようになる。このため、スプライン部61bと
ギヤ54,56との間のバックラッシュが吸収され、ベ
ーンロータ61に対してインナギヤ54を高精度に配置
することができるとともに、その打音も抑制されるよう
になる。
【0051】また、円盤状のベーンロータ61は、その
外周面61aに、壁部62,63,64,65の間の空
間に突出して、先端をハウジング59の内周面59aに
接しているベーン66,67,68,69を備えてい
る。これらのベーン66,67,68,69が壁部6
2,63,64,65間の空間を区画することにより、
第1圧力室70と第2圧力室71とを形成している。
【0052】上述した構成において、エンジン11の駆
動によりクランクシャフト15が回転すると、その回転
がタイミングチェーン15bを介してタイミングスプロ
ケット24aに伝達される。このとき、タイミングスプ
ロケット24aおよび吸気側カムシャフト22が、調整
されている回転位相差状態で一体に回転する。この吸気
側カムシャフト22の回転に伴なって吸気バルブ20
(図1)が開閉駆動される。
【0053】そして、エンジン11の駆動時に、第1圧
力室70および第2圧力室71に対する油圧制御によ
り、ハウジング59に対してベーンロータ61を回転方
向に相対的に回動させる。すなわち吸気側カムシャフト
22をクランクシャフト15に対し進角する側に回転位
相差の調整制御を行うと、吸気バルブ20の作用角全体
が進角して吸気バルブ20の開閉タイミングは早くな
る。
【0054】逆に、ハウジング59に対してベーンロー
タ61を回転方向とは逆方向に相対的に回動させる。す
なわち吸気側カムシャフト22をクランクシャフト15
に対し遅角する側に回転位相差の調整制御を行うと、吸
気バルブ20の作用角全体が遅角して吸気バルブ20の
開閉タイミングは遅くなる。
【0055】次に、回転位相差可変アクチュエータ24
にあって、吸気側カムシャフト22の回転位相差を調整
するために、ハウジング59とベーンロータ61間の回
転位相差を油圧制御する構成について説明する。
【0056】図4及び図6に示したごとく、ハウジング
59の内部に突出する各壁部62〜65の第1圧力室7
0側には、それぞれ進角用油路開口部80が開口し、各
壁部62〜65の第2圧力室71側には、それぞれ遅角
用油路開口部81が開口している。また、進角用油路開
口部80に接する各壁部62〜65の内で円板部52側
には、ベーン66〜69が進角用油路開口部80を塞い
でいても、ベーンロータ61が進角方向に回動する油圧
を与えることができるように、凹部62a〜65aが設
けられている。同様に、遅角用油路開口部81に接する
各壁部62〜65の内で円板部52側には、ベーン66
〜69が遅角用油路開口部81を塞いでいても、ベーン
ロータ61が遅角方向に回動する油圧を与えることがで
きるように、凹部62b〜65bが設けられている。
【0057】一方、図4に示されるように、各進角用油
路開口部80は、円板部52内の進角制御油路84、筒
部51内の進角制御油路86,88により、筒部51の
一方の外周溝51aに接続されている。また、各遅角用
油路開口部81は、円板部52内の遅角制御油路85、
筒部51内の遅角制御油路87,89により、筒部51
の他方の外周溝51bに接続されている。
【0058】また、筒部51内の遅角制御油路87から
分岐した潤滑油路90は筒部51の内周面51cに設け
られた幅広の内周溝91に接続している。このことによ
り、遅角制御油路87内を流れる作動油を、筒部51の
内周面51cと吸気側カムシャフト22の端部外周面2
2bに潤滑油として導く。
【0059】筒部51の一方の外周溝51aは、シリン
ダヘッド14内の進角制御油路92を介して第2オイル
コントロールバルブ94に接続され、筒部51の他方の
外周溝51bはシリンダヘッド14内の遅角制御油路9
3を介して第2オイルコントロールバルブ94に接続さ
れている。
【0060】第2オイルコントロールバルブ94には、
供給通路95および排出通路96が接続されている。そ
して、供給通路95は第1オイルコントロールバルブ3
6にて用いたと同一のオイルポンプPを介してオイルパ
ン13aに接続しており、排出通路96はオイルパン1
3aに直接接続している。したがって、オイルポンプP
は、オイルパン13aから二つの供給通路37,95へ
作動油を送り出すようになっている。
【0061】第2オイルコントロールバルブ94は第1
オイルコントロールバルブ36と同様に構成されてい
る。すなわち、第2オイルコントロールバルブ94は、
ケーシング102、第1給排ポート104、第2給排ポ
ート106、弁部107、第1排出ポート108、第2
排出ポート110、供給ポート112、コイルスプリン
グ114、電磁ソレノイド116、およびスプール11
8を備えている。そして、第1給排ポート104にはシ
リンダヘッド14内の進角制御油路92が接続され、第
2給排ポート106にはシリンダヘッド14内の遅角制
御油路93が接続されている。また、供給ポート112
には供給通路95が接続され、第1排出ポート108お
よび第2排出ポート110には排出通路96が接続され
ている。
【0062】したがって、電磁ソレノイド116の消磁
状態においては、スプール118がコイルスプリング1
14の弾性力によりケーシング102の一端側(図4に
おいて右側)に配置される。このことにより、第1給排
ポート104と第1排出ポート108とが連通し、第2
給排ポート106が供給ポート112と連通する。この
状態では、オイルパン13a内の作動油が、供給通路9
5、第2オイルコントロールバルブ94、遅角制御油路
93、外周溝51b、遅角制御油路89、遅角制御油路
87、遅角制御油路85、遅角用油路開口部81、およ
び凹部62b,63b,64b,65bを介して回転位
相差可変アクチュエータ24の第2圧力室71へ供給さ
れる。また、回転位相差可変アクチュエータ24の第1
圧力室70内にあった作動油は、凹部62a,63a,
64a,65a、進角用油路開口部80、進角制御油路
84、進角制御油路86、進角制御油路88、外周溝5
1a、進角制御油路92、第2オイルコントロールバル
ブ94、および排出通路96を介してオイルパン13a
内へ戻される。その結果、ベーンロータ61がハウジン
グ59に対して遅角方向へ相対回動し、前述したように
吸気側カムシャフト22はクランクシャフト15に対し
遅角する方向に相対回転する。
【0063】一方、電磁ソレノイド116が励磁された
ときには、スプール118がコイルスプリング114の
弾性力に抗してケーシング102の他端側(図4におい
て左側)に配置される。このことにより、第2給排ポー
ト106が第2排出ポート110と連通し、第1給排ポ
ート104が供給ポート112と連通する。この状態で
は、オイルパン13a内の作動油が、供給通路95、第
2オイルコントロールバルブ94、進角制御油路92、
外周溝51a、進角制御油路88、進角制御油路86、
進角制御油路84、進角用油路開口部80、および凹部
62a,63a,64a,65aを介して、回転位相差
可変アクチュエータ24の第1圧力室70へ供給され
る。また、回転位相差可変アクチュエータ24の第2圧
力室71内にあった作動油は、凹部62b,63b,6
4b,65b、遅角用油路開口部81、遅角制御油路8
5、遅角制御油路87、遅角制御油路89、外周溝51
b、遅角制御油路93、第2オイルコントロールバルブ
94、および排出通路96を介してオイルパン13a内
へ戻される。その結果、ベーンロータ61がハウジング
59に対して進角方向へ相対回動し、前述したように吸
気側カムシャフト22はクランクシャフト15に対し進
角する方向に相対回転する。
【0064】更に、電磁ソレノイド116への給電を制
御し、スプール118をケーシング102の中間に位置
させると、第1給排ポート104および第2給排ポート
106が閉塞され、それら給排ポート104,106を
通じての作動油の移動が禁止される。この状態では、回
転位相差可変アクチュエータ24の第1圧力室70およ
び第2圧力室71に対して作動油の給排が行われない。
この結果、第1圧力室70および第2圧力室71内には
作動油が充填保持されて、ベーンロータ61はハウジン
グ59に対する相対回動は停止する。したがって、吸気
側カムシャフト22とクランクシャフト15との回転位
相差は、ベーンロータ61が固定されたときの状態に保
持される。
【0065】また、電磁ソレノイド116への給電をデ
ューティ制御することで、第1給排ポート104におけ
る開度あるいは第2給排ポート106における開度を調
整して、供給ポート112から第1圧力室70あるいは
第2圧力室71への作動油の供給速度を制御できる。
【0066】次に、本実施形態に係るバルブ特性制御方
法について、図1、図7及び図8を用いて詳細に説明す
る。本実施形態において、ECU120内のメモリに
は、吸気圧センサ121の検出結果(吸気管圧力)とク
ランクセンサ122により求められた回転数との値から
上述したリフト量可変アクチュエータ22a及び回転位
相差可変アクチュエータ24の制御量を定めた2次元マ
ップが収納されている。この2次元マップの値がエンジ
ン11のその都度の運転状態に応じた動作指令としてE
CU120からリフト量可変アクチュエータ22a及び
回転位相差可変アクチュエータ24に供給されて、主に
前述したEGR(排気還流)制御が行われる。すなわ
ち、図2に示す吸気カム27の補助カム山27bによ
り、排気バルブ21の開弁期間に、補助的に吸気バルブ
20を開弁することにより、排気の一部を吸気に戻す制
御が行われる。
【0067】ところで、図7に示すように、排気の圧力
は一定ではなく、エンジン11の運転状態に応じて絶え
ず脈動している。すなわち、排気行程中では、領域aに
おいて排気圧がほぼ最大の圧力値に達するまで上昇して
いき、領域aと領域bとの間では、その圧力値でほぼ一
定に保たれている。そして、領域bにおいては排気圧力
が低下していく。したがって、補助カム山27bによる
開弁のリフト量が同じであっても、補助カム山27bに
よる吸気バルブ20の開弁時期によって、取り込まれる
EGR量、したがってEGR率も変化する。
【0068】図8に、補助カム山27bによる吸気バル
ブ20の開弁の中心(吸気2段リフト中心)と燃焼室1
7に取り込まれるEGR率との関係を示す。同図8に示
すように、領域a内に吸気バルブ20の開弁の中心があ
る場合には、その中心位置が遅角側にシフトしていくほ
ど同じリフト量でも取り込まれるEGR率が増加する。
しかしながら、領域aと領域bとの間の領域内に吸気バ
ルブ20の開弁の中心がある場合には、上述した排気圧
力脈動から予想されるように、その中心位置を移動させ
ても取り込まれるEGR率は略一定に保たれる。
【0069】したがって、エンジン11が要求するEG
R率が大きな運転領域においては、図7及び図8に示す
高EGR量要求域側へ補助カム山27bによる吸気バル
ブ20の開弁時期を設定する制御を行うことが好まし
い。一方、エンジン11が要求するEGR率が小さな運
転領域において、図8に示す高EGR量要求域側で補助
カム山27bの開弁を行うと、僅かなリフト量の増加が
大きなEGR量の増加を引き起こすことになり、EGR
量を高精度に制御することが困難になるおそれがある。
したがって、エンジン11が要求するEGR量が小さな
運転領域では、補助カム山27bによる吸気バルブ20
の開弁時期を図7及び図8に示す低EGR量要求域側に
設定する制御を行うことが好ましい。
【0070】なお、図8のリフト中心、及びリフト量に
対するEGR量の増減態様によれば、同図8の特に高E
GR量要求域において、リフト量変化に対するEGR量
(率)の変化は、リフト量が大きくなるときの方が、リ
フト量が小さくなるときよりも小さいという特性を有す
ることがわかる。したがって、高EGR量要求域におい
てリフト量を大きくした制御をおこなった場合は、同領
域においてリフト量を小さくした制御をおこなった場合
よりも、取り込まれるEGR率の誤差は小さくなる。
【0071】本実施形態においては、これらの特性に鑑
みて、エンジン11が要求するEGR率が大きい運転領
域に移行していくほど、補助カム山27bの開弁の開始
時期を図7及び図8に示す高EGR量要求域側へ移行さ
せるべく上述した回転位相差可変アクチュエータ24の
制御進角値を定めている。
【0072】すなわち、要求されるEGR率が小さいと
きには、図7及び図8の低EGR量要求域において、補
助カム山27bによる吸気バルブ20の開弁時期を設定
し、同領域内でリフト量可変アクチュエータ22aによ
るリフト量の調整を行うことで、EGR量を高精度に制
御する。一方、要求されるEGR率が大きいときには、
図7及び図8の高EGR量要求域において、補助カム山
27bによる吸気バルブ20の開弁時期を設定し、同領
域内でリフト量可変アクチュエータ22aによるリフト
量の調整を行うことで、EGR量を高いダイナミックレ
ンジをもって制御する。
【0073】以上説明したように、本実施形態によれば
以下の効果が得られるようになる。 (1)出力特性等を決定する主たるバルブ特性と別途
に、補助的に吸気バルブ20を開弁することで、燃焼室
17内にEGRガスを取り込むEGR量の制御に際し、
同吸気バルブ20の補助的な開弁時期を排気圧力に基づ
いて設定することとしたことで、要求されるEGR量に
応じた最適な制御を行うことができる。
【0074】(2)エンジン11が要求するEGR量が
大きい運転領域において、補助カム山27bによる吸気
バルブ20の開弁時期を排気圧力が高い領域に設定した
ことにより、要求されるEGR量を確実に確保すること
ができる。一方、エンジン11が要求するEGR量が小
さい運転領域において、補助カム山27bによる吸気バ
ルブ20の開弁時期を排気圧力が低い領域に設定したこ
とにより、EGR量を高精度に制御することができる。
また、高EGR量要求域においてリフト量が大きくなる
制御を行った場合には、相対的に誤差が小さくなる傾向
があるため、高精度且つ高ダイナミックレンジでのEG
R制御が可能ともなる。
【0075】(3)主カム山27aとは独立に設けられ
る補助カム山27b、補助カム山27bによる吸気バル
ブ20のリフト量を可変とするリフト量可変アクチュエ
ータ22a及び補助カム山による吸気バルブ20の開弁
時期を可変とする回転位相差可変アクチュエータ24を
用いてバルブ特性制御装置を構成したことで、上記
(1)及び(2)の効果を的確に得ることのできる装置
を比較的容易に構成することができる。
【0076】なお、上記第1の実施形態のバルブ特性制
御装置は、以下のように変更して実施してもよい。 ・上記実施形態においては、エンジン11が高EGR量
が要求される運転領域へ移行するにつれて、補助カム山
27bの開弁時期を排気圧力が高い方へ移行させていく
ように設定したが、例えば高地走行等、車両環境等に応
じてEGR量の増減補正を行う場合には更に、減量側は
排気圧力が低い方へ増量側は排気圧力が高い側へ補助カ
ム山27bの開弁時期を変位させるようにしてもよい。
この制御をリフト量の制御と組み合わせる等することに
より、更に高精度なEGR制御を行うことができる。
【0077】・上記実施形態においては、吸気カム27
に補助カム山27bを設け、これにより補助的な開弁を
行うことでEGR制御を行ったが、図9に示すように排
気カム28に補助カム山を設け、領域cにおいて排気バ
ルブ21を開弁させるようにしてもよい。また、吸気カ
ム27及び排気カム28の両方に補助カム山を設けても
よい。
【0078】・上記実施形態においては、回転位相差可
変アクチュエータ24として、ベーン式のものを用いた
が、ヘリカルスプライン式の油圧ピストン(リングギ
ヤ)を用いたものなど任意のものでよい。またクランク
シャフト15から駆動力を受け取る方式として、スプロ
ケット式のものを用いたが、タイミングプーリを用いた
ものなどでもよい。
【0079】・上記実施形態においては、リフト量可変
アクチュエータ22a及び回転位相差可変アクチュエー
タ24をEGR制御のために用いたが、例えば排気系に
両アクチュエータ22a、24をEGR制御のために設
け、吸気系に両アクチュエータ22a、24を出力特性
等を決定するいわゆるメインバルブ特性の制御のために
用いる等してもよい。
【0080】・上記実施形態においては、補助カム山2
7bの開弁時期の変更を回転位相差可変アクチュエータ
24を用いて行ったが、必ずしもこの方式を用いる必要
はなく、例えば、カムが1回転する間のカムの回転速度
を可変とする可変バルブ作動角制御方式等を用いてもよ
い。
【0081】(第2の実施形態)次に、本発明に係る第
2の実施形態について、主として第1の実施形態との相
違点を中心に図10〜図12に基づいて説明する。
【0082】本実施形態においては、吸気系にリフト量
可変アクチュエータ22aのみを設け、回転位相差可変
アクチュエータ24を設けない。その代わりに、排気圧
力脈動を考慮して、吸気カム27に設ける補助カム山2
7b’の形状を、図10に示すような形状とする。
【0083】図10に示すように、吸気カム27の補助
カム山27b’は、カム軸方向に連続的に高さの異なる
頂点が同カムの回転方向後方に徐々に高くなる方向に偏
倚されるように形成されている。これは、リフト量が増
加するにつれて開弁期間の中心(リフト中心)が連続的
に遅角側に移行することを狙ったものである。更に補助
カム山27b’の頂点の高さが最大となる位置は、排気
圧力が最も高まる時期、すなわち図11に示す領域aの
最遅角側に設定されている。このような形状をもって吸
気カム27の補助カム山27b’を形成することによ
り、図11に示すように、補助カム山27b’の開弁の
開始時期を略一定に保ちながら、そのリフト量の増加と
共に、リフト中心を排気圧力の高い方へと移行させるこ
とができるようになる。更にこの場合、出力特性などを
決定するいわゆるメインバルブ特性(EXメイン、IN
メイン)に影響を与えることなく、補助カム27b’に
よるいわば補助バルブ特性の変更(EGR制御)を行う
ことができるようにもなる。
【0084】こうした補助カム山27b’のリフト中
心、リフト量、及び確保することのできるEGR率との
関係を、図12に太線の特性として示す。本実施形態に
あっては、同図12に示すように、補助カム山27b’
による吸気バルブ20のリフト量が小さいときには、リ
フト中心が低EGR量要求域側に設定される。したがっ
て、エンジン11が要求するEGR率が小さい運転領域
においては、高精度にEGR量を制御することができ
る。また、補助カム山27b’による吸気バルブ20の
リフト量が大きくなるにつれて、リフト中心が高EGR
量要求域側にシフトしていく。したがって、エンジン1
1が要求するEGR率が大きな運転領域においては、そ
の供給量を確実に確保することができる。これにより、
EGR制御を高いダイナミックレンジで行うことを可能
にしている。
【0085】以上説明したように、本実施形態によれば
以下の効果が得られるようになる。 (1)補助カム27b’による吸気バルブ20の開弁時
期を、排気圧力脈動を考慮して設定したことにより、E
GR量の要求量に応じた最適な制御を行うことができ
る。
【0086】(2)エンジン11が要求するEGR率が
小さい運転領域においては、高精度のEGR制御を行
い、エンジン11が要求するEGR率が大きい運転領域
においては、その要求量を十分に確保する制御を行うこ
とができる。
【0087】(3)回転位相差可変アクチュエータ24
を用いないために、エンジン11の出力特性等を決定す
るいわゆるメインバルブ特性を変更することなく、EG
R量の制御を行うことができる。
【0088】なお、上記第2の実施形態のバルブ特性制
御装置は、以下のように変更して実施してもよい。 ・上記実施形態においては、リフト中心がクランク角度
で230°ほどのところで、リフト量が最大となるよう
に設定したが、リフト中心の変化態様は、必ずしもこれ
に限られない。例えば、リフト中心がクランク角度で2
50°ほどのところで、リフト量が最大となるように設
定してもよい。図12に示されるように、リフト中心が
クランク角度で240°より遅角側では、リフトが高く
なるほどリフト変化の割に取り込まれるEGR率が増加
しない傾向があるため、上述の設定によれば、エンジン
11の要求するEGR率が大きな運転領域における精度
を上げることができる。また、これらリフト中心の変化
態様は、各エンジンの特性に基づいた排気圧力脈動に応
じて任意に定めることができる。
【0089】・上記実施形態においては、吸気カム27
の補助的な開弁時期を図11の領域aに設定したが、同
開弁時期についてはこれを領域bとしてもよい。ただ
し、領域bにて上記実施形態と同様な作用効果を得るた
めには、補助カム山27b’の代わりに、図13に示す
補助カム山27b”を用いる必要がある。同図13に示
す補助カム山27b”においては、そのカム軸方向に連
続的に高さの異なる頂点が、同カムの回転方向前方に徐
々に高くなる方向に偏倚されるように形成されている。
更に、補助カム山27b”の頂点の高さが最大となる位
置は、図11に示す領域bにおいて排気圧力が最も高ま
る時期、すなわち同領域bの最進角側に設定されてい
る。これによっても、排気圧力の高い時期には大きなリ
フト量をもって吸気バルブ20が開弁されるようにな
り、要求されるEGR量を十分に確保することができる
ようになる。一方、排気圧力が低くなるにつれて同吸気
バルブ20のリフト量(開弁量)も徐々に小さくなるた
め、高い精度でのEGR制御が可能となる。
【0090】・図13に示した上記補助カム山27b”
による吸気バルブ20の開弁が、図11の領域a内で行
われるようにしてもよい。この場合のリフト中心、リフ
ト量、及び取り込まれるEGR率との関係を図14に太
線の特性として示す。同図14から明らかなように、吸
気バルブ20の補助的な開弁特性をこのような設定とす
ることにより、リフト量の大きな領域でのEGR制御精
度を高めることができるようになり、しかもリフト量可
変アクチュエータ22aの作動に伴う早急なEGR量の
確保が可能ともなる。
【0091】(第3の実施形態)次に、本発明に係る内
燃機関のバルブ特性制御装置の第3の実施形態につい
て、図15〜図17を参照して説明する。
【0092】本実施形態において対象とするエンジン
は、その各気筒内に直接燃料を噴射する周知の筒内直接
噴射式のエンジンである。すなわち、先の実施形態にお
いて対象としたエンジンと各対応する部材には便宜上同
一の符号を付して図15に示すように、本実施形態にお
いて対象とするエンジンには、シリンダブロック13及
びピストン12により区画形成される燃焼室17に燃料
を直接噴射すべく、インジェクタ130が設けられてい
る。また、本実施形態に係るバルブ特性制御装置は、排
気側カムシャフト23に対して設けられており、その構
成は、先の第1の実施形態と同様、排気カム28に設け
られた補助カム山、この補助カム山の3次元カム形状を
通じて排気バルブ21の補助的な開弁量(リフト量)を
可変とするリフト量可変アクチュエータ(バルブリフト
可変機構)、そして排気カムシャフト23とクランクシ
ャフト15との相対回転位相を可変とする回転位相差可
変アクチュエータ(バルブタイミング機構)からなる。
またこの場合、上記補助カム山は、排気カム28の主カ
ム山の回転方向後方に設けられ、吸気行程中に補助的に
排気バルブ21を開弁する。
【0093】ところで、上述のような筒内直接噴射式の
エンジンにおいては、燃料噴射時期を可変とすること
で、混合気の形成の自由度を高めることができ、燃費を
向上するためのきめ細かな制御が可能となる反面、燃焼
室17内で燃料が十分に気化せず、燃焼性が阻害されや
すいといった懸念がある。そこで本実施形態では、吸気
行程において燃料噴射が行われている間の排気バルブ2
1の補助的な開弁時期を、それら燃料噴射が行われるタ
イミングよりも少し前、すなわち同燃料噴射タイミング
よりもやや進角側に設定している。これによって、図1
5に示す如く、吸気行程中に燃焼室17内に取り込まれ
た高温のEGRガスにインジェクタ130から噴射され
た燃料が当たり、同燃料の気化が促進されるようにな
る。
【0094】以下、本実施形態において補助的に排気バ
ルブ21の開弁時期を制御する過程について、図16及
び図17を併せ参照して説明する。ここで、図16は、
上記制御に係る制御手順を示すフローチャートである。
この制御ルーチンは、例えば、所定のクランク角周期の
割り込み処理としてECU120により繰り返し実行さ
れる。また、図17は、吸気行程中での燃料噴射時期に
応じた排気バルブ21の補助的な開弁の開弁時期につい
てその一例を示すタイミングチャートである。
【0095】筒内直接噴射式のエンジンの制御において
は、運転状態に見合った最適な燃料噴射タイミングで燃
料を噴射すべく、同噴射タイミングが可変となってい
る。この燃料噴射タイミングは、成層燃焼を目的として
圧縮行程中に設定するか、又は均質燃焼を目的として吸
気行程中に設定するかに大別される。また、これら各行
程中における噴射タイミングも、更に運転状態に応じて
可変とされる。本実施形態にあっては、特に吸気行程中
のこうして可変とされる燃料噴射タイミングに対して排
気バルブ21の補助的な開弁時期を制御する。
【0096】さて、同制御の実行に際してはまず、ステ
ップ100において、エンジン11の噴射時期が吸気行
程中に行われているか否かが判断される。その結果、吸
気行程噴射が実行されていると判断されると、ステップ
101に移行する。ステップ101においては、図17
に示すように、燃料噴射タイミングよりも所定の値だけ
進角側に補助カム山27bによる排気バルブ21の補助
的な開弁(EX2段)の開弁時期を設定し、ステップ1
02へ移行する。一方、吸気行程噴射が実行されていな
いと判断されると、ステップ103へ移行し、補助カム
山27bによる排気バルブ21の補助的な開弁の開弁時
期を、予め設定された通常の開弁時期(基本値)に設定
し、ステップ102へ移行する。
【0097】ステップ102においては、EGR実行条
件が成立しているか否かが判断される。その結果、成立
していないと判断されると、ステップ104へ移行し、
補助カム山27bによる補助的な排気バルブ21の開弁
量である補助リフト量を「0」と設定する。一方、ステ
ップ102において、EGR実行条件が成立していると
判断されると、ステップ105へ移行する。ステップ1
05においては、要求されるEGR量を確保すべく、上
述した補助リフト量を算出する。本実施形態において、
この算出にはまず、吸気圧センサ121の検出結果に基
づく負荷、及びクランクセンサ122の検出結果に基づ
く回転数に基づいて要求されるEGR量を算出する。次
いで、ステップ101又はステップ103により設定さ
れた補助リフト開弁開始時期から、その開弁時期におけ
る排気圧力に基づいて、要求されるEGR量に見合った
補助リフト量が算出される。
【0098】ステップ104又はステップ105の処理
が終了すると、このルーチンは一旦終了され、別途の図
示しないアクチュエータ駆動ルーチンを通じて、上記設
定若しくは算出された値に基づく補助リフトのための開
弁時期制御及びリフト量制御が実行される。
【0099】本実施形態おいては、このように、吸気行
程噴射が実行されているときの燃料噴射タイミングに応
じて、回転位相差可変アクチュエータが制御され、図1
7に示すように、当該噴射タイミングに応じた排気バル
ブ21の補助的な開弁の開弁時期が設定される。これに
より、排気バルブ21の開弁によって導入される高温の
EGRガスにその都度噴射される燃料が当たることとな
り、同燃料の気化が促進されるようになる。しかも、こ
のEGR量は、上記設定された開弁時期における排気圧
力に基づいて、その正確な要求量が求められており、こ
の求められたEGR要求量に基づいて上記リフト量可変
アクチュエータの制御態様が決定される。
【0100】以上説明したように、本実施形態によれば
以下の効果が得られるようになる。 (1)吸気行程において燃料噴射が行われている間の排
気バルブ21の補助的な開弁時期を、同燃料噴射タイミ
ングよりもやや進角側に設定することで、吸気行程中に
燃焼室17内に取り込まれた高温のEGRガスにインジ
ェクタ130から噴射された燃料が当たり、同燃料の気
化が促進されるようになる。したがって、良好な燃焼を
得ることができる。
【0101】(2)排気バルブ21の補助的な開弁時期
に併せてそのリフト量も可変としたことで導入するEG
R量を好適に調整することができる。 (3)燃料噴射タイミングに応じて設定された補助的な
開弁時期における排気圧力に基づいて、上記リフト量を
算出することで、要求される量のEGRガスを正確に導
入することができる。
【0102】なお、上記第3の実施形態のバルブ特性制
御装置は、以下のように変更して実施してもよい。 ・上記実施形態においては、排気バルブ21の補助的な
開弁の開弁時期を、燃料噴射タイミングから所定値だけ
進角側に設定したが、この進角側への移行値を排気圧力
に基づいて微調整する構成としてもよい。これにより、
燃焼室17に噴射される燃焼の気化の促進を図りなが
ら、要求されるEGR量を導入することにより最適な開
弁時期を設定することができる。
【0103】・上記実施形態においては、排気バルブ2
1の補助的な開弁の開始時期による排気圧力の変化を加
味してリフト量の制御を行うこととしたが、この排気圧
力脈動によるリフト量の補正を必ずしも行わなくとも、
燃焼室17に噴射される燃料の気化を促すことはでき
る。
【0104】・上記実施形態においては、排気バルブ2
1の補助的な開弁時期に併せてそのリフト量も可変とし
たが、リフト量については固定とすることでも燃焼室1
7に噴射される燃料の気化を促すことはできる。
【0105】その他、上記各実施形態のバルブ特性制御
装置に共通して変更可能な要素としては以下のものがあ
る。 ・上記各実施形態においては、吸気バルブ20及び排気
バルブ21を機関駆動式としたが、それら吸排気バルブ
として電磁開閉弁やロータリーバルブ等を採用した場合
においても、それら各実施形態に準じたかたちで本発明
を適用することができる。要は、エンジンの出力特性を
決定する主たる吸排気バルブの開閉とは別途に、吸気バ
ルブ及び排気バルブの少なくとも一方の補助的な開弁に
基づき、それら吸気バルブと排気バルブとが同時に開弁
される期間を生じさせることで燃焼室17内部の排気還
流量を制御するバルブ特性制御に際し、吸気バルブ及び
排気バルブの少なくとも一方による補助的な開弁の開弁
時期をエンジンの運転状態、詳しくは排気圧力に応じて
可変とするものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態のバルブ特性制御装置が適用さ
れるエンジンの概略構成図。
【図2】同実施形態のバルブ特性制御装置を構成する吸
気カムの構造を示す斜視図。
【図3】同実施形態のバルブ特性制御装置を構成するリ
フト量可変アクチュエータの構成を示す部分断面図。
【図4】同実施形態のバルブ特性制御装置を構成する回
転位相差可変アクチュエータの構成を示す部分断面図。
【図5】同回転位相差可変アクチュエータに用いられる
インナギヤ及びサブギヤの形状を示す斜視図。
【図6】同回転位相差可変アクチュエータの内部構成を
示す正面図。
【図7】同実施形態におけるバルブ特性制御態様を示す
タイミングチャート。
【図8】同実施形態による吸気バルブの補助的な開弁時
期とEGR量との関係を示すグラフ。
【図9】第1の実施形態の変形例におけるバルブ特性制
御態様を示すタイミングチャート。
【図10】第2の実施形態において用いられる吸気カム
の形状を示す三面図。
【図11】同第2の実施形態におけるバルブ特性制御態
様を示すタイミングチャート。
【図12】同第2の実施形態における吸気バルブの補助
的なリフト量、開弁時期及びEGR量の関係を示すグラ
フ。
【図13】第2の実施形態の変形例において用いられる
吸気カムの形状を示す三面図。
【図14】同変形例における吸気バルブの補助的なリフ
ト量、開弁時期及びEGR量の関係を示すグラフ。
【図15】第3の実施形態のバルブ特性制御装置が適用
される筒内直接噴射式のエンジンの一部断面図。
【図16】同第3の実施形態における排気バルブの補助
的な開弁開始時期を算出する手順を示すフローチャー
ト。
【図17】同第3の実施形態におけるバルブ特性制御態
様を示すタイミングチャート。
【符号の説明】
10…バルブ特性制御装置、11…エンジン、12…ピ
ストン、13…シリンダブロック、13a…オイルパ
ン、14…シリンダヘッド、14a…ジャーナル軸受、
14b…カムシャフトベアリングキャップ、15…クラ
ンクシャフト、15a…タイミングスプロケット、15
b…タイミングチェーン、16…コンロッド、17…燃
焼室、18…吸気ポート、19…排気ポート、20…吸
気バルブ、20a…バルブリフタ、21…排気バルブ、
21a…バルブリフタ、22…吸気側カムシャフト、2
2a…リフト量可変アクチュエータ、22b…端部外周
面、23…排気側カムシャフト、24…回転位相差可変
アクチュエータ、24a…タイミングスプロケット、2
5…タイミングスプロケット、27…吸気カム、27a
…主カム山、27b…補助カム山、28…排気カム、3
1…シリンダチューブ、31a…第1圧力室、31b…
第2圧力室、32…ピストン、33…エンドカバー、3
3a…補助シャフト、33b…転がり軸受、34…第1
給排通路、35…第2給排通路、36…第1オイルコン
トロールバルブ、37…供給通路、38…排出通路、3
9…ケーシング、40…第1給排ポート、41…第2給
排ポート、42…第1排出ポート、43…第2排出ポー
ト、44…供給ポート、45…弁部、46…コイルスプ
リング、47…電磁ソレノイド、48…スプール、51
…筒部、51a,51b…外周溝、51c…内周面、5
2…円板部、53…外歯、54…インナギヤ、54a…
大径ギヤ部、54b…小径ギヤ部、55…ボルト、56
…サブギヤ、56a…外歯、56b…内歯、57…スプ
リングワッシャ、58…ボルト、59…ハウジング、5
9a…内周面、60…カバー、60a…穴部、61…ベ
ーンロータ、61a…外周面、61b…スプライン部、
61c…円筒状空間、62,63,64,65…壁部、
62a,63a,64a,65a,62b,63b,6
4b,65b…凹部、66,67,68,69…ベー
ン、70…第1圧力室、71…第2圧力室、80…進角
用油路開口部、81…遅角用油路開口部、84…進角制
御油路、85…遅角制御油路、86…進角制御油路、8
7…遅角制御油路、88…進角制御油路、89…遅角制
御油路、90…潤滑油路、91…内周溝、92…進角制
御油路、93…遅角制御油路、94…第2オイルコント
ロールバルブ、95…供給通路、96…排出通路、10
2…ケーシング、104…第1給排ポート、106…第
2給排ポート、107…弁部、108…第1排出ポー
ト、110…第2排出ポート、112…供給ポート、1
14…コイルスプリング、116…電磁ソレノイド、1
18…スプール、120…ECU、121…吸気圧セン
サ、122…クランクセンサ、130…インジェクタ。
フロントページの続き (72)発明者 入澤 泰之 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車 株式会社内 Fターム(参考) 3G016 AA08 AA19 BA28 BA36 BA40 BA43 BB04 CA24 CA26 DA06 DA22 DA23 GA00 3G092 AA01 AA06 DA01 DA04 DA09 DF04 DF06 DG02 DG06 DG09 EA22 EA28 EA29 EC08 FA06 FA21 GB06 HA05Z HA13X HA13Z HB02Z HD07X HD08Z HE01Z

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内燃機関の出力特性を決定する主たる吸排
    気バルブの開閉とは別途に吸気バルブ及び排気バルブの
    少なくとも一方の補助的な開弁に基づきそれら吸気バル
    ブと排気バルブとが同時に開弁される期間を生じさせる
    ことで同機関の燃焼室内部の排気還流量を制御する内燃
    機関のバルブ特性制御方法において、 前記吸気バルブ及び排気バルブの少なくとも一方による
    補助的な開弁の開弁時期を当該機関の排気圧力に応じて
    可変とすることを特徴とする内燃機関のバルブ特性制御
    方法。
  2. 【請求項2】吸気バルブ及び排気バルブの少なくとも一
    方を駆動するカムが当該バルブの主たる開弁を行う主カ
    ム山に加えて同主カム山による開弁期間以外の期間中に
    同バルブの補助的な開弁を行うことで吸気バルブと排気
    バルブとが同時に開弁される期間を生じさせる補助カム
    山を有するとともに、該補助カム山はその高さがカムの
    軸方向に連続的に変化する3次元カムとして形成された
    動弁手段と、 前記カムが設けられたカムシャフトをその軸方向に変位
    させて前記補助カム山によるバルブリフト量を調量する
    バルブリフト可変機構と、 機関運転状態に応じて前記補助カム山による開閉対象バ
    ルブの開弁時期を可変とする開弁時期可変手段と、 を備える内燃機関のバルブ特性制御装置。
  3. 【請求項3】前記開弁時期可変手段は、当該機関の出力
    軸と前記動弁手段の設けられたカムシャフトとの相対回
    転位相を可変とするバルブタイミング可変機構からなる
    請求項2記載の内燃機関のバルブ特性制御装置。
  4. 【請求項4】前記バルブタイミング可変機構は、当該機
    関の排気圧力に応じてその進角量が操作される請求項3
    記載の内燃機関のバルブ特性制御装置。
  5. 【請求項5】前記開弁時期可変手段は、前記補助カム山
    の前記カム軸方向に連続的に高さの異なる頂点が同カム
    軸と差交する方向に連続的に偏倚された同補助カム山の
    3次元偏倚カムプロフィールからなる請求項2記載の内
    燃機関のバルブ特性制御装置。
  6. 【請求項6】前記補助カム山の前記カム軸方向に連続的
    に高さの異なる頂点が同カムの回転方向後方に徐々に高
    くなる方向に偏倚されてなる請求項5記載の内燃機関の
    バルブ特性制御装置。
  7. 【請求項7】前記補助カム山の前記カム軸方向に連続的
    に高さの異なる頂点が同カムの回転方向前方に徐々に高
    くなる方向に偏倚されてなる請求項5記載の内燃機関の
    バルブ特性制御装置。
  8. 【請求項8】請求項2記載の内燃機関のバルブ特性制御
    装置において、 当該機関はその燃焼室に直接燃料が噴射供給される筒内
    直接噴射式の内燃機関であるとともに、前記補助カム山
    は排気バルブを駆動するカムに対し設けられたものであ
    り、 前記開弁時期可変手段は、機関の吸気行程中に前記補助
    カム山を通じて排気バルブを開弁する開弁時期を、同吸
    気行程での燃料噴射時期に応じて可変とするものである
    ことを特徴とする内燃機関のバルブ特性制御装置。
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