JP2001098417A - 柔軟性を有するポリ乳酸系繊維及びその製造方法 - Google Patents

柔軟性を有するポリ乳酸系繊維及びその製造方法

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JP2001098417A
JP2001098417A JP27216599A JP27216599A JP2001098417A JP 2001098417 A JP2001098417 A JP 2001098417A JP 27216599 A JP27216599 A JP 27216599A JP 27216599 A JP27216599 A JP 27216599A JP 2001098417 A JP2001098417 A JP 2001098417A
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fiber
polylactic acid
flexibility
temperature
dtex
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Fumio Matsuoka
文夫 松岡
Shuji Miyazaki
修二 宮崎
Naohiro Matsuo
直弘 松尾
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 異成分を共重合させる必要がなく、実用的な
強度と柔軟性を有するポリ乳酸系繊維とその製造方法を
提供する。 【解決手段】 光学純度が95%以上であるポリ乳酸系
重合体からなる繊維であって、強度が3g/d(2.6
5CN/dtex)以上、熱水収縮率が10%以下であ
り、かつ純曲げ値が下式(1)を満足する。 MB≦ 0.00130lnD−0.0002 (1) (MB≦ 0.00130lnDT−0.000337) ただし、 MB:総繊度1500デニール(1667dtex)糸
条当たりの純曲げ値(g・cm2 ) ln :自然対数 D :単糸繊度(デニール)、DT:単糸繊度(dte
x)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生分解性があり、
かつ柔軟性に優れ、機械的性能にも優れたポリ乳酸系繊
維及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】生分解性又は自然環境下で分解するポリ
マーが、環境保護の観点から注目されている。このポリ
マーとしては、脂肪族ポリエステルが一般的に知られて
いる。その中でも、特にポリ乳酸は、農産物を原料とす
るため資源的に有利であり、また、溶融成形性や耐熱性
に優れており、かつ力学特性も有しているため最も期待
されている。
【0003】しかし、ポリ乳酸系ポリマーは結晶性で、
かつ硬くて比較的脆い性質があり、柔軟性を要求される
繊維分野への展開が難しいという問題があった。その改
善のためには、異成分を共重合させて柔軟性を向上させ
ることが一般的に知られているが、異成分の安全性に問
題があったり、耐熱性が低下するという問題が生じてい
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
を解決し、異成分を共重合させる必要がなく、実用的な
強度と柔軟性を有するポリ乳酸系繊維とその製造方法を
提供することを技術的な課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、自然環境下で分
解するポリ乳酸系ポリマーを用いた場合の繊維形成時の
内部構造に着目し、その構造を規制することで、柔軟性
を付与ことができることを知見して本発明に到達した。
【0006】すなわち、本発明は、次の構成を有するも
のである。 (1) 光学純度が95%以上であるポリ乳酸系重合体から
なる繊維であって、強度が3g/d(2.65CN/d
tex)以上、熱水収縮率が10%以下であり、かつ純
曲げ値が下式(1)を満足することを特徴とする柔軟性
を有するポリ乳酸系繊維。 MB≦ 0.00130lnD−0.0002 (1) (MB≦ 0.00130lnDT−0.000337) ただし、 MB:総繊度1500デニール(1667dtex)糸
条当たりの純曲げ値(g・cm2 ) ln :自然対数 D :単糸繊度(デニール)、DT:単糸繊度(dte
x) (2) 光学純度が95%以上であるポリ乳酸系重合体を溶
融紡糸して得られた繊維に、ガラス転移温度(Tg)以
上、(Tg+40)℃以下の温度を付与し、引き続き重
合体の(融点−60)℃〜(融点−15)℃で、かつ
0.5秒以上の熱延伸処理を行うことを特徴とする柔軟
性を有するポリ乳酸系繊維の製造方法。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0008】まず、本発明のポリ乳酸系繊維における主
体成分である重合体について説明する。ポリ乳酸は、L
−乳酸とD−乳酸又はそれらのブレンドによる光学異性
体の重合体を主成分としたものである。このように、異
成分を共重合するものではなく同一の素材であるため、
極めて製糸特性が優れている。L−乳酸の光学純度が0
〜100%存在する中で、このL体に対するD体の比率
は、耐熱性や生分解性に影響する要因であり、L体純度
はD体によって低くなると共に結晶性が低下し、融点降
下が大きくなり、熱接着性が向上する傾向を示す。ま
た、弾性回復性の改良、熱収縮性増加、分解性やガラス
転移温度の制御などができる。
【0009】一方、D−乳酸の光学純度が0〜100%
存在する中で、このD体に対するL体の比率は、同様に
耐熱性や生分解性に影響する要因であり、D体の純度が
L体によって低くなると結晶性が低下し、融点降下が大
きくなり、さらにまた熱収縮性増加、分解性やガラス転
移温度の制御などができる。
【0010】しかし、光学純度が劣ると、前記したよう
にガラス転移温度や融点の低下が生じ、また熱収縮特性
が大きくなり過ぎて、汎用的な使用に適さないものとな
る。したがって、本発明では、光学純度を95%以上と
することが必要である。
【0011】ポリ乳酸の溶融粘度は、ASTM D−1
238の方法に準じた温度210℃、2160g下の値
が5〜60g/10分が好ましい。この値が5g/10
分よりも小さいと、繊維形成の際の曳糸性が低下し、か
つ繊維に柔軟性を付与することが難しくなるため好まし
くない。一方、60g/10分を超えると繊維強度が低
下し、汎用素材としての展開が難しくなるため好ましく
ない。したがって、ポリ乳酸の溶融粘度は、より好まし
くは10〜40g/10分、最も好ましくは15〜30
g/10分である。
【0012】本発明のポリ乳酸系繊維の強度としては、
3g/d(2.65CN/dtex)以上が必要であ
る。強度は高い程、実用範囲が広がり、汎用的な用途に
展開が可能であり、3g/d未満では、編み立て時や製
織時に糸切れが生じたり、編み段、織り段が出やすく、
製品の品位上問題が発生しやすくなる。一方、繊維強度
の上限においては、現状では7g/d程度である。した
がって、本発明では強度が3.0g/d以上が必要であ
り、好ましくは3.3g/d以上、さらに好ましくは
3.8g/d以上、最も好ましくは4.0g/d以上で
ある。
【0013】繊維の伸度は、特に限定されるものではな
いが、25〜40%が好ましい。伸度が25%未満にな
ると、糸切れが生じたり、製糸操業性が低下する問題が
生じることがある。さらに、伸度を低くし過ぎると、繊
維中にミクロボイドが発生しやすくなり、繊維の長さ方
向で染色斑などの問題が発生することがある。一方、伸
度が40%を超えると、布帛を形成した後の寸法安定性
が低下することがあるので一般的には使用し難くなる。
【0014】次に、本発明のポリ乳酸系繊維は、熱水収
縮率が10%以下であることが必要である。熱水収縮率
を規制する必要性は、この繊維を用いた製品が熱水等の
影響で収縮や変質を起こさせない、すなわち寸法安定性
を持ち、実用的に問題がないようにするためである。熱
水収縮率が10%を超えると、収縮が大きくなり過ぎて
寸法安定性に欠けたり、粗硬感が生じて柔軟性が低下す
る。一方、熱水収縮率の下限は、低いほど寸法安定性が
よいので、特に限定されるものではないが、現状では、
下限は1%程度である。このことから本発明では、熱水
収縮率が10%以下とするが、好ましくは8%以下、よ
り好ましくは7%以下、最も好ましくは5%以下であ
る。
【0015】さらに、本発明のポリ乳酸系繊維は、純曲
げ値が前記(1)式を満足することが必要である。ここ
で言う純曲げ値は、カトーテック製の純曲げ試験機モデ
ルKES−F−M2を用いて、1500デニール(16
67dtex)糸条当たりの純曲げ値を求めるものであ
る。この純曲げ値は、値が小さいほど柔軟性を示すもの
である。
【0016】この純曲げ値の指標は、従来用いられてい
る芳香族ポリエステルよりも低い指標であり、従来のポ
リ乳酸系繊維から見れば極めて柔軟性に富んだ素材とい
うことができる。本発明のポリ乳酸系繊維が、純曲げ値
が小さくて柔軟性を有する理由は、前記したように熱水
収縮率を低くしたことが最大の要因であるが、構造物性
的には、微結晶を最大限に成長させ、非晶領域の緊張状
態を取り除いたことに起因するものと推定される。
【0017】本発明のポリ乳酸系繊維の単繊維繊度とし
ては、0.1〜30デニ−ル(0.11〜33dte
x)から選ぶことが好ましい。柔軟性は単繊維繊度が小
さい程増すので好ましいが、0.1デニ−ル未満になる
と、繊維を形成する際の固化点の制御、口金孔の精度ア
ップ、吐出量の低減に伴う生産性の低下、糸切れの発生
がしやすくなる等の問題が生じるので好ましくない。ま
た、30デニールを超えると、繊維や布帛(織編物、不
織布)の柔軟性が低下する問題が生じたり、通常の繊維
を生産する工程では冷却固化の観点から紡糸や延伸が困
難で、別途特殊生産設備が必要となり、高コストとなる
ので好ましくない。したがって、より好ましくは0.3
デニール〜25デニール、最も好ましくは0.5〜20
デニールである。
【0018】本発明のポリ乳酸系繊維は、長繊維だけで
なく、延伸トウとし、クリンパーにて捲縮を付与した
後、任意に切断して短繊維としての展開も可能である。
また、繊維の断面は、丸断面、異形断面、中空断面等の
各種断面の同種あるいは異種の組み合わせも可能であ
る。
【0019】なお、本発明においては、前述したポリ乳
酸を主成分とする重合体又は副成分中に、必要に応じて
例えば熱安定剤、結晶核剤、艶消し剤、顔料、耐光剤、
耐候剤、酸化防止剤、抗菌剤、香料、可塑剤、染料、界
面活性剤、表面改質剤、各種無機及び有機電解質、微粉
体、難燃剤等の各種添加剤を本発明の効果を損なわない
範囲内で添加することができる。
【0020】本発明のポリ乳酸系繊維は、単独で、又は
他の繊維との混用し、それらを用いた編物、織物や不織
布、さらには複合材料その他の構造物の製造に用いるこ
とができる。混用する他の繊維としては、ポリエステル
繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維、ポ
リプロピレン繊維、ポリエチレン繊維等の繊維形成性重
合体からなる合成繊維やレーヨン等の再生繊維、アセテ
ート等の半合成繊維、また、羊毛、絹、木綿、麻等の天
然繊維が採用される。そしてその中でも、前記再生繊
維、半合成繊維や天然繊維及び脂肪族ポリエステルから
なる繊維等の生分解性繊維と混用すれば、完全生分解性
の製品が得られるので好ましい。
【0021】次に、本発明のポリ乳酸系繊維の製造方法
について説明する。本発明のポリ乳酸系繊維を製造する
ためには、基本的には一般公知の溶融紡糸装置による紡
糸方法を適用することができる。
【0022】まず、繊維を形成するための重合体として
は、前記した光学純度が95%以上のポリ乳酸から選択
すればよい。次に、この重合体を溶融計量し、一般的な
紡糸口金の装置から繊維を紡出し、冷却固化した後、油
剤を付与し、巻き取った後に熱延伸するか、又は引き続
き巻き取ることなく熱延伸して目的とする柔軟性を有す
るポリ乳酸系繊維を得ることができる。
【0023】本発明の繊維を製造するに際しては、ま
ず、このポリ乳酸系重合体を溶融紡糸して得られた繊維
にガラス転移温度(Tg)以上、(Tg+40)℃以下
の温度を付与し、熱延伸することが延伸を操業性よくす
るために重要である。すなわち、熱処理温度をTg以上
とし、延伸時の繊維間の応力を均一化することで、スム
ーズな延伸を行うことができる。
【0024】Tg温度未満の温度を付与して延伸する
と、延伸点の固定がスムーズでなくなり、延伸張力も増
大し過ぎて繊維が白化したり、繊維の長さ方向で斑が生
じやすくなる。一方、(Tg+40)℃を超えると、延
伸張力が低くなり過ぎて延伸斑を生じたり、延伸時に密
着を起こし、延伸性が低下する。したがって、本発明で
は、Tg以上、(Tg+40)℃以下の温度を付与する
ことが必要である。
【0025】引き続き、重合体の(融点−60)℃〜
(融点−15)℃で、かつ0.5秒以上で熱延伸するこ
とが次に重要なことである。これは繊維の柔軟化を促進
させるためであり、(融点−60)℃未満では、繊維の
熱収縮性低下に寄与できず、ポリ乳酸系繊維の粗硬性を
改良することができない。一方、(融点−15)℃を超
えると、繊維が密着しやすくなるため、延伸の操業性が
低下する。また、前記温度で熱延伸する時間を0.5秒
以上とする理由は、0.5秒未満では、熱処理効果が少
なく、熱収縮率を低下させるだけの効果がないためであ
る。0.5秒以上で熱延伸すると、繊維の結晶部の配向
が増大し、非晶部の緊張が取り除かれて柔軟性が向上す
る。熱処理時間は長いほどよいが、長過ぎると無駄に熱
処理することにもなり、コスト的に不利である。
【0026】これらのことから、本発明では、重合体の
(融点−60)℃〜(融点−15)℃で、かつ0.5秒
以上で熱延伸するが、より好ましくは(融点−50)℃
〜(融点−17)℃で、かつ0.7秒以上、最も好まし
くは(融点−40)℃〜(融点−20)℃で、かつ0.
9秒以上である。
【0027】また、熱延伸する際の熱処理方法として、
ヒータープレートの長さ方向に温度勾配をつけたり、ヒ
ータープレートとローラ温度に差をつけると、繊維の結
晶配向度に合わせて高温熱処理することが可能となり、
繊維強度の向上と柔軟性の付与が可能となり、特に好ま
しい方法である。一般的な芳香族系のポリエステルで
は、熱処理するほど繊維自体が硬くなる傾向を示すが、
ポリ乳酸系繊維ではその傾向はなく、繊維強度の向上と
柔軟性の付与効果は顕著である。
【0028】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説
明する。なお、実施例における各種特性の測定及び評価
は、次の方法により実施した。 (1) 重合体のガラス転移温度(℃)と融点(℃) パ−キンエルマ社製示差走査型熱量計DSC−2型を用
い、昇温速度20℃/分で測定した融解吸収曲線の初期
極値と極値を与える温度をガラス転移温度(Tg)と融
点(Tm)とした。 (2) 溶融粘度(MFR値:g/10分) ASTM−D−1238に記載の方法に準じて温度21
0℃、荷重2160gで測定した。 (3) 柔軟性 前記したようにKES法による純曲げ値を適用した。 (4) 強伸度 JIS L−1013に準じ、島津製オートグラフS−
100を用い、掴み間隔25cm、引張速度30cm/
分の条件で測定した。 (5) 熱水収縮率 JIS L−1013 熱水収縮率A法に準じ、沸騰水
下で15分間処理時の収縮率を測定した。
【0029】実施例1 光学純度が98.8%で、Tgが71℃、Tmが170
℃、MFRが25g/10分のポリL−乳酸樹脂を溶融
し、紡糸温度220℃、単孔出量1.58g/分で丸型
孔の紡糸口金より溶融紡糸した。次に、紡出糸条を冷却
装置にて冷却し、紡糸油剤を適量付与した後、引取速度
1200m/分で巻き取った。
【0030】引き続き、通常用いられている熱延伸機を
用いて、第1ローラ温度100℃、第2ローラー温度1
40℃、ヒータープレート温度130℃、延伸倍率3.
8、延伸速度500m/分で巻き取って、150デニー
ル(167dtex)/48フィラメントの繊維を得
た。その際、ヒータープレート温度と第2ローラでの熱
接触時間は0.8秒であった。
【0031】得られたポリ乳酸系長繊維は、強度4.6
g/d(4.06CN/dtex)、伸度32%であ
り、熱水収縮率は5.6%であった。また、繊維の柔軟
性を示す曲げ剛性(MB)は、0.0008g・cm2
であり、優れた機械的特性を持ち、柔軟性にも優れた繊
維であった。
【0032】実施例2 単孔出量0.89g/分で、延伸倍率を3.2とし、1
00d(111dtex)/48フィラメントとした以
外は、実施例1と同じ方法で繊維を得た。得られたポリ
乳酸系長繊維は、強度4.25g/d(3.75CN/
dtex)、伸度31%であり、熱水収縮率は5.1%
であった。また、繊維の柔軟性を示す曲げ剛性(MB)
は、0.0004g・cm2 であり、優れた機械的特性
を持ち、柔軟性にも優れた繊維であった。
【0033】実施例3 単孔出量6.13g/分で、紡糸口金の孔数を変更し
て、延伸倍率を4.6とし、150d(167dte
x)/15フィラメントとした以外は、実施例1と同じ
方法で繊維を得た。得られたポリ乳酸系長繊維は、強度
5.14g/d(4.54CN/dtex)、伸度33
%であり、熱水収縮率は5.5%であった。また、繊維
の柔軟性を示す曲げ剛性(MB)は、0.0025g・
cm2 であり、優れた機械的特性を持ち、柔軟性にも優
れた繊維であった。
【0034】実施例4 ヒータープレートの長さを長くして熱接触時間を1.2
秒とした以外は、実施例1と同じ方法で熱延伸を行っ
た。得られたポリ乳酸系長繊維は、強度4.55g/d
(4.02CN/dtex)、伸度36%であり、熱水
収縮率は4.8%であった。また、繊維の柔軟性を示す
曲げ剛性(MB)は、0.0005g・cm2 であり、
優れた機械的特性を持ち、柔軟性にも優れた繊維であっ
た。
【0035】実施例5 ヒータープレートの長さを短くして熱接触時間を0.5
秒とした以外は、実施例1と同じ方法で熱延伸を行っ
た。得られたポリ乳酸系長繊維は、強度4.32g/d
(3.81CN/dtex)、伸度30%であり、熱水
収縮率は8.3%であった。また、繊維の柔軟性を示す
曲げ剛性(MB)は、0.0010g・cm2 であり、
優れた機械的特性を持ち、柔軟性にも優れた繊維であっ
た。
【0036】実施例6 光学純度が96%で、Tgが63℃、Tmが160℃、
MFRが20g/10分のポリL−乳酸樹脂を溶融し、
紡糸温度220℃、単孔出量1.58g/分で丸型孔の
紡糸口金より溶融紡糸した。次に、紡出糸条を冷却装置
にて冷却し、紡糸油剤を適量付与した後、引取速度12
00m/分で巻き取った。
【0037】引き続き、通常用いられている熱延伸機を
用いて、第1ローラ温度90℃、第2ローラ温度130
℃、ヒータープレート温度120℃、延伸倍率3.8、
延伸速度500m/分で巻き取って、150デニール
(167dtex)/48フィラメントの繊維を得た。
その際、ヒータープレート温度と第2ローラでの熱接触
時間は0.8秒であった。
【0038】得られたポリ乳酸系長繊維は、強度4.7
2g/d(4.17CN/dtex)、伸度33%であ
り、熱水収縮率は8.8%であった。また、繊維の柔軟
性を示す曲げ剛性(MB)は、0.0011g・cm2
であり、優れた機械的特性を持ち、柔軟性にも優れた繊
維であった。
【0039】実施例7 光学純度が98.4%で、Tgが69℃、Tmが165
℃、MFRが22g/10分のポリL−乳酸樹脂を溶融
し、紡糸温度220℃、単孔出量1.58g/分で丸型
孔の紡糸口金より溶融紡糸した。
【0040】次に、紡出糸条を冷却装置にて冷却し、紡
糸油剤を適量付与した後、第1ローラ温度110℃、速
度400m/分で、第二ローラ、第三ローラが共にネル
ソンタイプで6回巻き、温度は130℃、150℃と
し、速度は1550m/分、2030m/分で、ワイン
ダー速度が2000m/分で巻き取って、150デニー
ル(167dtex)/48フィラメントの繊維を得
た。この場合、第2ローラ以降での熱接触時間は2.1
秒であった。
【0041】得られたポリ乳酸系長繊維は、強度5.8
g/d(5.12CN/dtex)、伸度33%であ
り、熱水収縮率は4.7%であった。また、繊維の柔軟
性を示す曲げ剛性(MB)は、0.0004g・cm2
であり、機械的特性と柔軟性に優れた繊維であった。
【0042】比較例1 光学純度が98.8%で、Tgが71℃、Tmが170
℃、MFRが25g/10分のポリL−乳酸樹脂を溶融
し、紡糸温度220℃、単孔出量1.25g/分で丸型
孔の紡糸口金より溶融紡糸した。次に、紡出糸条を冷却
装置にて冷却し、紡糸油剤を適量付与した後、引取速度
1200m/分で巻き取った。
【0043】引き続き、通常用いられている熱延伸機を
用いて第1ローラ温度75℃、第2ローラ温度が室温、
ヒータープレート温度105℃、延伸倍率3.0、延伸
速度500m/分で巻き取って、150デニール(16
7dtex)/48フィラメントの繊維を得た。この場
合、ヒータープレートと第2ローラでの熱接触時間は
0.4秒であった。
【0044】得られたポリ乳酸系長繊維は、強度3.8
g/d(3.35CN/dtex)、伸度31%であ
り、熱水収縮率は11.5%であった。しかし、繊維の
柔軟性を示す曲げ剛性(MB)は、0.0046g・c
2 であり、機械的特性は優れているものの、柔軟性に
欠けた繊維であった。
【0045】比較例2 光学純度が94.9%で、Tgが61℃、Tmが155
℃、MFRが25g/10分のポリL−乳酸樹脂を溶融
し、紡糸温度220℃、単孔出量1.58g/分で丸型
孔の紡糸口金より溶融紡糸した。次に、紡出糸条を冷却
装置にて冷却し、紡糸油剤を適量付与した後、引取速度
1200m/分で巻き取った。
【0046】引き続き、通常用いられている熱延伸機を
用い、第1ローラ温度90℃、第2ローラ温度130
℃、ヒータープレート温度120℃、延伸倍率3.8、
延伸速度500m/分で巻き取って、150デニール
(167dtex)/48フィラメントの繊維を得た。
この場合、ヒータープレートと第2ローラでの熱接触時
間は0.8秒であった。
【0047】得られたポリ乳酸系長繊維は、強度4.6
g/d(4.06CN/dtex)、伸度32%であ
り、熱水収縮率は58%であった。しかし、繊維の柔軟
性を示す曲げ剛性(MB)は、0.0035g・cm2
であり、機械的特性には優れているものの、柔軟性に劣
る繊維であった。
【0048】比較例3 固有粘度が0.64で、Tgが75℃、Tmが256℃
であるポリエチレンテレフタレート樹脂を溶融し、紡糸
温度290℃、単孔出量1.87g/分で、丸型孔の紡
糸口金より溶融紡糸した。次に、紡出糸条を冷却装置に
て冷却し、紡糸油剤を適量付与した後、引取速度120
0m/分で巻き取った。
【0049】引き続き、通常用いられている熱延伸機を
用いて、第1ローラ温度85℃、第2ローラ温度は室
温、ヒータープレート温度160℃、延伸倍率4.5、
延伸速度500m/分で巻き取って、150デニール
(167dtex)/48フィラメントの繊維を得た。
この場合、ヒータープレートでの熱接触時間は0.4秒
であった。
【0050】得られたポリエステル長繊維は、強度5.
1g/d(4.50CN/dtex)、伸度33%であ
り、熱水収縮率は8.6%であった。そして、繊維の柔
軟性を示す曲げ剛性(MB)は、0.0025g・cm
2 であり、機械的特性には優れているものの、柔軟性に
劣る繊維であった。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、従来のポリ乳酸系重合
体からなる繊維に比べ、優れた柔軟性を有し、かつ、強
度が3g/d(2.65CN/dtex)以上、熱収縮
率が10%以下と機械的特性にも優れたポリ乳酸系繊維
が提供される。
【0052】本発明のポリ乳酸系繊維は、強度が実用的
であり、かつ、極めて柔軟であるため、おむつや生理用
品等の衛生材料用素材、使い捨てお絞りやワイピングク
ロス、パップ材の基布、家庭用又は業務用の生塵捕集
袋、その他廃棄物処理材等の生活関連用素材として好適
であるばかりでなく、法面補強材や防護材などの産業資
材用途、医療用素材、衣料用素材など各種用途に展開す
ることが可能となる。
【0053】しかも、この繊維は、使用後に微生物が多
数存在する環境、例えば土中に放置すると最終的には完
全に分解消失するため自然環境保護の観点からも有益で
あり、あるいは、例えば堆肥化して肥料とする等、再利
用を図ることもできるため、資源の再利用の観点からも
有益である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学純度が95%以上であるポリ乳酸系
    重合体からなる繊維であって、強度が3g/d(2.6
    5CN/dtex)以上、熱水収縮率が10%以下であ
    り、かつ純曲げ値が下式(1)を満足することを特徴と
    する柔軟性を有するポリ乳酸系繊維。 MB≦ 0.00130lnD−0.0002 (1) (MB≦ 0.00130lnDT−0.000337) ただし、 MB:総繊度1500デニール(1667dtex)糸
    条当たりの純曲げ値(g・cm2 ) ln :自然対数 D :単糸繊度(デニール)、DT:単糸繊度(dte
    x)
  2. 【請求項2】 光学純度が95%以上であるポリ乳酸系
    重合体を溶融紡糸して得られた繊維に、ガラス転移温度
    (Tg)以上、(Tg+40)℃以下の温度を付与し、
    引き続き重合体の(融点−60)℃〜(融点−15)℃
    で、かつ0.5秒以上の熱延伸処理を行うことを特徴と
    する柔軟性を有するポリ乳酸系繊維の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003041433A (ja) * 2001-07-30 2003-02-13 Toray Ind Inc 高温力学特性に優れたポリ乳酸繊維

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003041433A (ja) * 2001-07-30 2003-02-13 Toray Ind Inc 高温力学特性に優れたポリ乳酸繊維
JP4729819B2 (ja) * 2001-07-30 2011-07-20 東レ株式会社 高温力学特性に優れたポリ乳酸繊維

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