JP2001089505A - 無機分散剤、懸濁重合用安定剤、重合体粒子、及び不飽和ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

無機分散剤、懸濁重合用安定剤、重合体粒子、及び不飽和ポリエステル樹脂組成物

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JP2001089505A
JP2001089505A JP26671599A JP26671599A JP2001089505A JP 2001089505 A JP2001089505 A JP 2001089505A JP 26671599 A JP26671599 A JP 26671599A JP 26671599 A JP26671599 A JP 26671599A JP 2001089505 A JP2001089505 A JP 2001089505A
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inorganic dispersant
particle size
calcium carbonate
weight
suspension
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JP26671599A
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English (en)
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Hiroshi Shibata
洋志 柴田
Yusuke Hayashi
林  祐輔
Hidehiko Nishioka
英彦 西岡
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Maruo Calcium Co Ltd
Original Assignee
Maruo Calcium Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面活性が大きく、脱アグロメレーションが
容易で、懸濁重合用安定剤として有用な無機分散剤を提
供する。 【解決手段】 粒子成長抑制剤を添加して合成した炭酸
カルシウムからなり、下記の(a)〜(c)を満足する
ことを特徴とする。 (a)0.002≦dx1≦0.1(μm) (b)0.005≦α≦0.5 (c)20≦Sw1≦200(m2/g) 但し、 dx1:電子顕微鏡写真による平均粒子径(μm)。 α :50%平均粒子径(μm)。 Sw1:BET比表面積(m2/g)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は無機分散剤、それか
らなる懸濁重合用安定剤、該分散剤を用いた重合体粒
子、不飽和ポリエステル樹脂組成物に関し、更に詳しく
は、表面活性が大きく、脱アグロメレーションの容易な
無機分散剤、それからなる懸濁重合用安定剤、及び該分
散剤を用いた、均一でシャープな粒度分布の重合体粒
子、該粒子用いた不飽和ポリエステル樹脂組成物に関す
る。本発明に係る均一でシャープな粒度分布の重合体粒
子は、特に微細な重合体粒子を必要とするLCDスペー
サー及びフィルムのブロッキング防止剤、塗料・インキ
の流動粘性調整剤、塗料の艶消し剤、感熱紙の滑り性付
与剤、化粧品等の用途に有用である。
【0002】
【従来の技術】従来、球状重合体の製造方法として、懸
濁重合する方法及び、重合体を溶剤に溶解し、水中に分
散・懸濁した懸濁液から溶剤を除去する方法が知られて
いる。一方、無機分散剤としては、懸濁重合用難水溶性
リン酸塩の効果が古くから知られており、特にヒドロキ
シアパタイト系の懸濁重合剤について、水溶液中重合性
単量体の分散性が高くなるように開発されてきた。その
改良については特公昭54−44313号、特開平5−
222103号、特開平06−220108号、特開平
7−102005号及び特開平7−102006号が知
られ、沈降半減期と電気伝導度がその改善の指標とされ
ている。この指標において、沈降半減期は長いほど、電
気伝導度は低いほど分散剤として適している。
【0003】懸濁重合用難水溶性リン酸塩を応用した用
途としては、例えばポリスチレンの重合においては、一
般的な発泡ポリスチレンの重合や、不飽和ポリエステル
樹脂組成物の低収縮剤としての三次元重合体微粒子の重
合(特開平7−82305号)がある。また、重合体粒
子の応用としては、LCD用スペーサー、LCD拡散
板、フィルムのブロッキング防止剤、塗料・インキの流
動粘性調整剤、感熱紙の滑り性付与剤、及び化粧品の用
途と多用途に及んでいる。
【0004】一般の汎用スチレン系単量体の懸濁重合に
おいては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリド
ン等の有機系の界面活性剤からなる分散剤系、あるいは
第3リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、ピロリ
ン酸塩等の難水溶性無機塩とドデシルベンゼンスルホン
酸ソーダ、α−オレフィンスルホン酸ソーダ、ラウリン
硫酸エステルナトリウム塩等のアニオン系界面活性剤を
併用する分散剤系等が知られている。しかしながら、有
機系の界面活性剤を分散剤と使用した場合は、分散剤が
重合体粒子に混入して熱安定性の低下、透明性の悪化、
あるいは機械的強度の低下を起こしたり、また重合廃液
のCODが高くなるので廃水処理の面からも好ましくな
い。
【0005】一方、難水溶性無機塩にアニオン系界面活
性剤を併用する分散系では、少ない難水溶性無機塩の量
で高い懸濁安定性が得られるが、この分散系でスチレン
系単量体を懸濁重合すると、得られる重合体粒子の粒度
分布が比較的広いものになる。
【0006】懸濁重合で得られるポリスチレンを主体と
する重合体粒子は、一般的には、押出成形あるいは射出
成形によって各種成形品とされるが、粒度分布が広い重
合体粒子を使用すると成形機への原料供給が変動し、成
形品の不良率が高まるという問題が生じる。また、不飽
和ポリエステルの低収縮剤としての三次元重合体微粒子
は、不飽和ポリエステルの成形品において、均一な分散
性、光沢性、低収縮性及び透明性が劣るという問題が生
じる。
【0007】懸濁重合で得られるポリスチレンを主体と
する重合体粒子の用途は、例えば下記の如く汎用的な
(1)〜(3)の用途、不飽和ポリエステルの成形品に
おいて、均一な分散性、光沢性、低収縮性及び透明性を
付与する用途(4)、及び液晶表示板用スペーサーの用
途(5)等があり、要求される重合体粒子の粒子径は決
まっている。また、フィルムのブロッキング防止剤、塗
料・インキの流動粘性調整剤、感熱紙の滑り性付与剤、
及び化粧品の用途に関しては、サブμmから数100μ
mの粒子径の重合体粒子が使い分けられている。
【0008】(1)約0.4〜0.7mmの粒子径のも
の:インスタント食品等のカップ (2)約0.7〜1.8mmの粒子径のもの:各種梱包
材 (3)約1.8〜3.0mmの粒子径のもの:建材用ボ
ード (4)約30〜80μmの粒子径のもの:不飽和ポリエ
ステルの低収縮剤 (5)3〜50μmの粒子径のもの:液晶表示板用スペ
ーサー
【0009】重合体粒子は大別すれば、上記(1)〜
(3)のmm単位の比較的大きな粒子と、上記(4)〜
(5)のサブμmから数十μmの細かい粒子に分けら
れ、上述の如く球状重合体粒子の用途によって、要求さ
れる粒子径が異なる。即ち、一定の粒度内容に納まって
いないと用途物性が満足できない。従って、重合体粒子
の粒度分布が広い場合は、収率が大幅に低下することに
なる。
【0010】一方、無機分散剤については、球状重合体
の要求物性に適応できる無機分散剤が求められている。
無機分散剤の代表とされる無機系重合分散剤としては、
ヒドロキシアパタイトが従来から使用され、改良研究も
行われている。ヒドロキシアパタイト安定効果は従来か
ら微細であればあるほど、界面活性エネルギーが大きく
好ましいとされている。しかしながら、通常アパタイト
の製造工程から得られるスラリー中の粒子は微細な粒径
をしているため、容易に凝集し、これが原因で重合体の
粒子径を不均一化する結果を招く。すなわち、アパタイ
ト粒子は微細であること、及び粒子の分散性が良好であ
ることが重要である。これらを改良するために、アパタ
イトスラリーに強力剪断分散処理を施して、脱アグロメ
ーションを行う方法が一般的であるが、アパタイトの微
細結晶の凝集物を均一に分散させることは困難である。
このように、無機系分散剤の検討は、ヒドロキシアパタ
イトを含むリン酸カルシウム系化合物の検討が主に行わ
れ、炭酸カルシウムの検討は殆ど行われていない。
【0011】また、近年、タッチパネルのスペーサー用
重合体粒子を初め、重合体粒子の小粒径化が進んでお
り、該方法では、微小粒子が発生したり、無機分散剤の
使用量が多くなってしまうため、重合工程後の酸洗浄、
水洗工程が複雑になるとともに、酸洗浄で除去出来ない
無機分散剤が残存し用途に悪影響を及ぼすことがある。
更に、近年の環境問題からも、少量の添加で十分な効果
の得られる無機分散剤が求められている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑み、従来技術における上記のような問題点を解消し、
特に懸濁重合法や溶解重合体懸濁法により重合体粒子を
得る際に、所望の粒子径並びに分散性を得るために有用
な無機分散剤を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するべく、特願平10−96714において、炭
酸カルシウム無機分散剤の粒子径と分散性を改良するこ
とにより、粒度分布がシャープであり、収率が改良でき
る球状重合体粒子を製造し得ることを開示したが、タッ
チパネルのスペーサーの用途や、フィルムのブロッキン
グ防止剤、塗料・インキの流動粘性調整剤、感熱紙の滑
り性付与剤、及び化粧品の用途では、重合体粒子はより
微細でシャープ性が望まれており、未だ満足するものは
得られていない。そこで、本発明者らは更に鋭意研究の
結果、炭酸カルシウムの粒子成長を抑制するとともに、
炭酸カルシウムの粒子分散性、粒度を規定することによ
り優れた無機分散剤を提供でき、この無機分散剤を使用
することにより、所望の粒径で狭い粒度分布を有すると
共に品質の優れた重合体粒子をえることができることを
見いだし本発明に至った。本発明によれば、今までヒド
ロキシアパタイトでしか使用することが出来なかった分
野においても、炭酸カルシウムを使用することが可能と
なり、無機分散剤としての機能を向上させ、品質の向上
した重合体粒子を得るとともに、無機分散剤の使用量の
低減が可能となり、後の酸洗浄工程での省力化を可能と
し、コスト面でも有利な無機分散剤及び重合体粒子の提
供を可能とするものである。
【0014】本発明の第1は、炭酸カルシウムの粒子成
長抑制剤を添加して合成され、下記の式(a)〜(c)
を満足する炭酸カルシウムからなることを特徴とする無
機分散剤。 (a)0.002≦dx1≦0.1(μm) (b)0.005≦α≦0.5 (c)20≦Sw1≦200(m2/g) 但し、 dx1:電子顕微鏡写真により測定した粒子の平均粒子
径(μm)。 α :d50の粒子径:島津式粒度分布計CP−4Lに
より測定した粒子の50%平均粒子径(μm)。 Sw1:窒素吸着法によるBET比表面積(m2/g)
【0015】本発明の第2は、更に下記の式(d)及び
(e)を満足する無機分散剤を内容とする。 (d)β≦25(重量%) (e)γ≦40(重量%) β:島津式粒度分布計CP−4Lにより測定した1μ以
上の積算重量% γ:島津式粒度分布計CP−4Lにより測定した0.5
μ以上の積算重量%
【0016】本発明の第3は、上記無機分散剤からなる
ことを特徴とする懸濁重合用安定剤を内容とする。
【0017】本発明の第4は、重合開始剤、分散媒及び
上記無機分散剤の混合系で懸濁重合可能なビニル系モノ
マーを懸濁重合して得られる重合体粒子を内容とする。
【0018】本発明の第5は、上記無機分散剤を安定剤
として、重合体を溶剤に溶解し、水中に分散・懸濁した
懸濁液から溶剤を除去して得られる重合体粒子を内容と
する。
【0019】本発明の第6は、上記第4又は第5発明の
重合体粒子を低収縮剤として含有することを特徴とする
不飽和ポリエステル樹脂組成物を内容とする。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の無機分散剤の重要な特徴
は、炭酸カルシウムの粒子サイズ、分散性、及び表面の
活性及び粗粒子の頻度である。通常のアパタイト粒子
は、例えば小判状の粒径をした0.1μm程度の極めて
微細な粒子であるが、表面活性が強いため凝集が激し
く、実際には2次粒子としての効果である。また、脱ア
グロメーションを行っても2次粒子を分散することは難
しく、非常に微細な粒子と大きな2次粒子となり、非常
に粒度分布の広いものとなっているため、無機分散剤の
効果は満足することはできなかった。
【0021】本発明の粒子成長を抑制した炭酸カルシウ
ム無機分散剤は、脱アグロメレーションが容易であり、
表面活性を強くすることが容易であるため、結果的に通
常のアパタイト粒子よりも重合分散剤の効果として優れ
ている。すなわち、無機分散剤の特性である表面活性と
分散性の相反する作用効果を同時に発揮することが可能
となった。
【0022】また、炭酸カルシウムは水に難溶性である
が、微量の溶解が粒子成長を起こす。特に、重合中は反
応温度が高いため、粒子成長を起こすことがあるが、粒
子成長を抑制する添加剤を添加することによって、安定
した無機分散剤の効果を発揮することができる。
【0023】本発明は上記の知見に基づいて完成された
もので、その目的は、常にシャープな粒度分布の重合体
粒子を生成させることができ、例えば、タッチパネルの
スペーサーフィルムのブロッキング防止剤、塗料・イン
キの流動粘性調整剤、感熱紙の滑り性付与剤、及び化粧
品等の如く、細かな粒子を求められる用途での重合体粒
子を与えることのできる、分散性の良好な炭酸カルシウ
ムからなる無機分散剤を提供することにある。
【0024】本発明の無機分散剤を構成する炭酸カルシ
ウムは、軽質炭酸カルシウム、コロイド炭酸カルシウム
に大別することができるが、一次粒子径の調整が容易で
あり、分散性の良好なコロイド炭酸カルシウムが好まし
い。また、炭酸カルシウムは、粒子成長抑制剤を添加し
て合成されるとともに、上述の式(a)〜(c)を満足
しなければならない。
【0025】すなわち、式(a)は本発明の無機分散剤
の一次粒子径であり、一次粒子径dx1は0.002≦
dx1≦0.1(μm)、好ましくは0.005≦dx
1≦0.07(μm)、より好ましくは0.01≦dx
1≦0.05(μm)である。一次粒子dx1が0.0
02μmより小さい場合は、脱アグロメレーションが出
来ず、分散剤としての効果が低下し、重合体粒子の粒度
分布が不均一になる。また、一次粒子dx1が0.1μ
mより大きい場合は、分散剤の活性が低下し重合体粒子
が不均一になるとともに壁面に付着する。また、無機分
散剤の効果を一層発揮させるため添加量を多くした場合
に、酸洗浄の工程で無機分散剤が除去できない場合があ
る。
【0026】次ぎに、式(b)は本発明の無機分散剤の
二次粒子径であり、該分散剤の水スラリー中での挙動を
示すものである。通常のヒドロキシアパタイト無機分散
剤の指標としては、沈降半減期として用いられている
が、沈降半減期は目視判定及び濁部の判定が曖昧である
ため、数値的に明確である粒度分布の指標が取り入れら
れている。二次粒子径αは0.005≦α≦0.5(μ
m)、好ましくは0.01≦α≦0.3(μm)、より
好ましくは0.02≦α≦0.2(μm)である。αが
0.5μmより大きい場合は、分散剤の活性が低下し、
重合体粒子の粒度が不均一になるとともに、重合体粒子
重合体粒子が付着する。また、αが0.005μmより
小さい場合、脱アグロメレーションにコストがかかると
ともに重合中に増粘することがある。
【0027】次ぎに、式(c)は本発明の無機分散剤の
窒素吸着法によるBET比表面積であり、Sw1は20
≦Sw1≦200(m2/g)、好ましくは50≦Sw1
≦150(m2/g)であり、より好ましくは80≦Sw
1≦120(m2/g)である。Sw1が20m2/g未満
の場合は、重合体粒子の粒度が不均一になるとともに、
重合体粒子が壁面に付着する。また、Sw1が200m2
/gより大きい場合は、脱アグロメーションにコストが
かかるとともに、重合中に増粘することがある。
【0028】本発明における炭酸カルシウムの粒子成長
抑制剤としては、Caキレート化剤、リン含有物質、硫
酸系化合物等が挙げられる。これらの粒子成長抑制剤
は、無機分散剤を構成する炭酸カルシウムを製造するに
あたり、水酸化カルシウムの水性懸濁液(石灰乳)また
は一次炭酸化石灰乳の段階で添加することが好ましい。
より好ましくは、石灰乳の段階で添加する。粒子成長抑
制剤により炭酸化カルシウムの結晶成長を抑えることに
よって、より微細な炭酸カルシウムを得ることができ、
また、炭酸カルシウムの分散工程においても粒子成長が
抑えられ、微細でより分散性の良好な無機分散剤が得ら
れる。
【0029】Caキレート化剤としては、Caイオンを
キレート化するものであればよく、例えば、クエン酸、
シュウ酸、リンゴ酸等のヒドロキシカルボン酸とそのア
ルカリ塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩;グ
ルコン酸、酒石酸等のポリヒドロキシカルボン酸とその
アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩;イミノジ酢酸、
エチレンジアミン4酢酸、ニトリロトリ酢酸等のアミノ
カルボン酸とそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属
塩、及びアンモニウム塩;グルタミン酸、アスパラギン
酸等のアミノ酸とその金属塩、アルカリ土類金属塩、及
びアンモニウム塩;アセチルアセトン、アセト酢酸メチ
ル、アセト酢酸アリル等のケトン類が挙げられる。
【0030】リン含有化合物としては、オルト又は縮合
リン酸及びリン酸のNa塩、Ka塩、NH4 塩等の炭酸
カルシウム無機分散剤と反応するものであれば良く、具
体的にはオルトリン酸、リン酸ナトリウム、リン酸カリ
ウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素ナトリウム、リ
ン酸水素カリウム、リン酸水素アンモニウム等のオルト
リン酸及びその塩;ヘキサメタリン酸、ピロリン酸、ヘ
キサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸カリウ
ム、ヘキサメタリン酸アンモニウム、ピロリン酸ナトリ
ウム、ピロリン酸カリウム、ピロリン酸アンモニウム等
が挙げられる。
【0031】硫酸化合物としては、硫酸及び硫酸のN
a、K等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、Mg、C
a等のアルカリ土類金属塩、Al、Zn,Fe等の遷移
金属塩等が挙げられる。
【0032】これらの中で特にCaキレート化剤が好ま
しく、特にクエン酸系のキレート化剤が好ましい。Ca
キレート化剤を添加することにより、懸濁重合中、また
は重合体を懸濁した懸濁液から溶剤を除去する方法にお
いて、炭酸カルシウムの粒子の溶出と凝集とが防止でき
るものと考えられる。
【0033】上記Caキレート化剤、リン含有化合物、
硫酸化合物は単独で又は2種以上組み合わせて用いられ
る。これら粒子成長抑制剤の添加量は本発明の無機分散
剤100重量%に対して0.01〜15重量%、好まし
くは0.05〜10重量%、より好ましくは0.2〜3
重量%である。粒子成長抑制剤の無機分散剤に対する添
加量が0.01重量%未満の場合は、重合体粒子の粒度
が不均一になるとともに、重合体粒子が付着することが
ある。また、15重量%より多い場合は添加量の増加に
応じた効果はあまり認められず、却って不経済となる。
【0034】本発明の無機分散剤は粗粒子の頻度が少な
いことが好ましく、積算重量%において、島津式粒度分
布計CP−4Lにより測定した1μ以上の積算重量%で
ある。βが25重量%以下であることが好ましく、より
好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%
以下である。βが25重量%より多い場合は、サブμm
〜数10μmの微粒子の重合体粒子に利用した場合に重
合体粒子を均一に覆う効果が少なくなり、重合体粒子と
複合物を作り、酸洗浄を行っても除去できず、サブμm
〜数10μmの微粒子の重合体粒子の物性低下を招くこ
とがある。無機分散剤の効果の面からは、5重量%以下
にすることが好ましい。
【0035】同様に積算重量%において、島津式粒度分
布計CP−4Lにより測定した0.5μ以上の積算重量
%であるγが40重量%以下であることが好ましく、よ
り好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重
量%以下である。40重量%より多い場合は、サブμm
〜数10μmの微粒子の重合体粒子に利用した場合に重
合体粒子を均一に覆う効果が少なくなり、重合体粒子と
複合物を作り、酸洗浄を行っても除去できず、重合体粒
子の物性低下を招くことがある。無機分散剤の効果の面
からは、10重量%以下にすることが好ましい。
【0036】本発明の無機分散剤は脱アグロメレーショ
ンすることが好ましい。水酸化カルシウムと炭酸ガスか
ら得られる炭酸カルシウムを熟成により脱アグロメレー
トするか、または強力な剪断分散機、超音波分散、水洗
によるアルカリ除去しながら脱水、洗浄を繰り返す方法
等で脱アグロメレートすることが好ましい。強力な剪断
分散機としては、コロイドミル、ホモジナイザー、ホモ
ゲナイザー、媒体ミル等の分散機が挙げられる。脱アグ
ロメレーションの方法は、一次粉砕(水酸化カルシウム
と炭酸ガスから得られる炭酸カルシウムを脱アグロメレ
ートする方法)と二次粉砕(水酸化カルシウムと炭酸ガ
スから得られる炭酸カルシウムを脱水後、有機系の界面
活性剤を用いて脱アグロメレートする方法)を採用する
ことが可能である。好ましくは、一次粉砕と二次粉砕を
併用することが好ましい。一次粉砕では炭酸カルシウム
無機分散剤の水スラリー固形分濃度は、好ましくは5重
量%以上、より好ましくは10重量%以上である。所定
の粒度になるように粉砕効率を上げたり、何度も強力な
剪断分散機で処理することが好ましい。また、一次粉砕
後、粉砕によるアルカリを炭酸ガスによるpH調整で除
去することが好ましい。
【0037】有機系の界面活性剤としては下記に示す界
面活性剤が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み
合わせて用いられる。一つのタイプは、ビニル基を有す
るモノマーの重合物及びそのアルカリ金属塩、アンモニ
ウム、及びアミンによる部分もしくは完全中和物よりな
るグループであり、例えば単量体としては、α、β不飽
和モノカルボン酸、α、β不飽和ジカルボン酸、メタア
クリル酸アルキルエステル、、アルコキシ基を有する
(メタ)アクリルエーテル、シクロヘキシル基を有する
(メタ)アクリレート、α、βモノエチレン性不飽和ヒ
ドロキシエステル、ポリアルキレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート、ビニルエステル、ビニル系芳香族、
不飽和ニトリル、不飽和ジカルボン酸エステル、ビニル
エーテル、共役ジエン、鎖状オレフィン、環状オレフィ
ン、スルホ基含有単量体等が挙げられる。
【0038】他のタイプは、アルキルエーテル硫酸、ア
ルキルエーテルリン酸、アルキルアリールエーテル硫
酸、アルキルアリールエーテルリン酸、アルキル硫酸エ
ステル、アルキルリン酸エステル、アルキルアリール硫
酸、アルキルアリールリン酸、アルキルアミド硫酸エス
テル、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン
酸、アルキルナフタレンスルホン酸、スルホコハク酸、
スルホコハク酸エステル、α−オレフィンスルホン酸、
N−アシルスルホン酸、N−アシルアミノ酸、アルキル
エーテルカルボン酸、アシル化ペプチド、脂肪族アミ
ン、脂肪族第4級アミン、芳香族4級アンモニウム、ベ
タイン、アミノカルボン酸、イミダゾリン誘導体、アル
キルエーテル、アルキルアリルエーテル、アルキルエス
テル、アルキルアミン、ソルビタン誘導体、多環フェニ
ルエーテル、脂肪酸エステル、フルオロアルキルカルボ
ン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロ
アルキルスルホン酸、アセチレンアルコール、アセチレ
ングリコール等が挙げられる。更に、アラビアガム、デ
ンプン、ゼラチン、カゼイン、キチン、ヒドロキシセル
ロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニールア
ルコール等の水溶性高分子も使用することが可能であ
る。有機界面活性剤の使用量は、炭酸カルシウム100
重量部に対して0.01〜30重量部が適当である。
0.01重量部未満では十分な表面処理効果が得られ
ず、一方、30重量部を越えると越えた分の吸着率が低
下するとともに、更なる効果が期待できず不経済となる
ことが多い。以上の有機系の界面活性剤を使用すること
により、無機分散剤の脱アグロメレートを容易にし、ま
た再凝集(再アグロメレート)を抑え、重合体粒子の分
散を向上させる場合がある。
【0039】本発明の無機分散剤に使用する沈降製炭酸
カルシウムの製造は、例えば水酸化カルシウム水懸濁液
(以下、石灰乳という)に炭酸ガス含有ガス(以下、炭
酸ガスという)を導通する方法、あるいは炭酸ガス中に
石灰乳または水酸化カルシウムと沈降製炭酸カルシウム
の混合液を噴霧する方法等の公知の方法で行えばよい。
好ましくは、炭酸カルシウム粒子はできるだけ分散させ
ておくのがよいが、その方法としては、例えば、炭酸化
反応を反応系のpHを7.5〜10.0で停止し、撹拌
を行い炭酸カルシウム中に残存するアルカリ分を溶出
し、石灰乳と炭酸ガスを必要に応じて系内に添加または
導通し系のpHを9.0〜12.0で5時間以上コント
ロールするか、または、炭酸化中または炭酸化終了後の
沈降製炭酸カルシウムを強力な剪断機にとおす方法が挙
げられる。炭酸カルシウム無機分散剤は水スラリーで製
造するため、水スラリーのままで使用することが可能で
ある。また、常法により脱水、乾燥、粉砕することによ
り粉末化した無機分散剤も使用することもできる。
【0040】本発明の第3は本発明の上記無機分散剤か
らなる懸濁重合安定剤に関し、更に本発明の第4は上記
無機分散剤と懸濁重合可能なビニル系単量体と重合開始
剤、及び分散媒の混合系で懸濁重合した重合体粒子に関
するものである。すなわち、本発明の無機分散剤を用い
た場合、均一でシャープな粒度分布の重合体粒子の生成
が可能であり、また、重合体の粒子径制御も可能であ
る。
【0041】懸濁重合方法は、従来の懸濁重合の操作を
何ら変えることなく、上記無機分散剤を重合安定剤とし
て用いることができる。ビニル系単量体としては、例え
ば置換又は非置換のスチレン、(メタ)アクリル酸エス
テル類、アクリルニトリル、ビニルエステル、オレフィ
ン類等から選ばれた1種又は2種以上の懸濁重合可能な
単量体が挙げられるが、特に制限はない。なお、必要に
応じて他の有機系安定剤、例えばポリビニールアルコー
ル、CMC、ゼラチンなどの水溶性高分子化合物、ドデ
シルベンゼンスルホン酸ソーダの如き界面活性剤、pH
調整剤、比重調整剤又は粘度調整剤、着色剤などを適宜
併用することも何ら差し支えない。
【0042】本発明における懸濁重合用の上記無機分散
剤の使用量は、その物性や懸濁重合の条件によって様々
であるが、多くの場合単量体に対し固形分として0.1
〜10.0%重量%、好ましくは0.15〜5.0重量
%の範囲で使用され、懸濁重合開始前に一括投入する
か、重合率によって分割投入することも可能である。ま
た、市販のヒドロキシアパタイト無機分散剤と併用して
も何ら差し支えない。
【0043】本発明の第5は、本発明の無機分散剤を安
定剤として用い、重合体を溶剤に溶解し、水中に分散・
懸濁した懸濁液から溶剤を除去して得られる重合体粒子
に関するものである。
【0044】具体的には、重合体及び有機溶媒を含む母
液に、界面活性剤及び無機分散剤を含む水溶液を混合し
た後、有機溶媒、水を除去して、重合体粒子が製造され
る。このようにして得られる重合体粒子としては、例え
ば、ポリエステル樹脂、重合性ビニル重合体を重合して
得られるビニル系重合体などが挙げられる。
【0045】ポリエステル樹脂は、アルコール成分と酸
成分を原料として公知の方法で製造することができる。
ビニル系重合体としては、各種特性のバランスの点から
スチレンを全単量体に対して50重量%以上用い、アク
リル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステ
ルのいずれか又はこれらの混合物を、総量で残りの単量
体に対し50重量%以上用いて得られる重合体が好まし
い。
【0046】有機溶媒としては、重合体を溶解させるこ
とができるものであれば特に限定されないが、例えば、
炭化水素(トルエン、キシレン、ヘキサン等)ハロゲン
化炭化水素、アルコールまたはエーテル、エステル、ケ
トンまたは、アセタールなどが挙げられる。なお、必要
に応じて、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダの如き界
面活性剤、磁性又は磁化性材料、オフセット防止剤、正
電荷又は負電荷性の荷電制御剤、シリカ粉末の1種又は
2種以上を適宜併用することも何ら差し支えない。
【0047】本発明の無機分散剤の使用量は、その物性
や製造条件によって様々であるが、多くの場合樹脂に対
し本発明の無機分散剤の添加量が0.1〜100重量
%、好ましくは0.15〜50重量%の範囲で使用する
ことが好ましく。溶媒除去開始前に一括投入するか、溶
媒の除去率によって、分割投入することも可能である。
【0048】本発明の第6は、本発明の無機分散剤と懸
濁重合可能なビニル系単量体と重合開始剤、分散媒の混
合系で懸濁重合した重合体粒子を低収縮剤として含有す
ることを特徴とする不飽和ポリエステル樹脂組成物に関
するものである。ジビニルベンゼン等の架橋剤を添加す
ることによって製造した3次元重合体粒子を使用するこ
とが好ましい。また不飽和ポリエステル樹脂組成物の成
分として、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトル
エン、ジビニルベンゼン等のスチレン系単量体、アクリ
ル酸又はメタクリル酸の低級アルキルエステル、ジアリ
ルフタレート、ジアリルイソフタレートなどの重合性単
量体を通常用いられる量で使用することができる。その
他、必要に応じて、炭酸カルシウム、アルミナ等の充填
剤、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カル
シウム等の増粘剤、各種有機過酸化物等の硬化触媒、各
種染料、顔料等の着色剤などの各種添加剤を用いること
ができる。得られたポリエステル樹脂組成物は、SM
C、BMC、TMC、RIM法等により各種成形品に利
用される。本発明の無機分散剤を使用し懸濁重合するこ
とにより、シャープな粒度分布を有する30〜80μm
の重合体粒子を生成することが可能となり、この重合体
微粒子を不飽和ポリエステルに配合することによっての
低収縮率性、均一な分散性、光沢性、透明性に優れた成
形品を得ることが可能である。
【0049】
【実施例】以下に本発明を実施例を挙げてさらに詳しく
説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるもので
はない。
【0050】実施例1 比重1.07の石灰乳を13℃に調整し、10重量%の
クエン酸三アンモニウムを水酸化カルシウムに対し25
重量%添加し、このスラリーに水酸化カルシウム1kg
あたり30リットル/分の炭酸ガス(内27%がC
2 )を導通し炭酸化反応を行い、系のPHが8.0と
なったときに炭酸化反応を停止し、その後pHが10.
0に達した時点に、一次粉砕として該炭酸カルシウム水
懸濁液を湿式粉砕機(ダイノミル)を用いて湿式粉砕し
炭酸カルシウムの水懸濁液を得た。得られた炭酸カルシ
ウムのpHは11.0と高いため、再び炭酸ガスでpH
を7.0とし、同様の操作を繰り返し合計3パスとし無
機分散剤aを得た。該無機分散剤を構成する炭酸カルシ
ウムの電子顕微鏡写真より測定した平均粒子径、BET
比表面積、島津式粒度分布計CP−4Lにより測定した
d50粒子径を表1に示す。
【0051】実施例2 クエン酸の添加量を50重量%にする以外は実施例1と
同じ方法で作製し、無機分散剤bを得た。該無機分散剤
を構成する炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真より測定し
た平均粒子径、BET比表面積、島津式粒度分布計CP
−4Lにより測定したd50粒子径を表1に示す。
【0052】実施例3 クエン酸の代わりに10重量%のリン酸30重量%を添
加する以外は実施例1と同じ方法で作製し、無機分散剤
cを得た。該無機分散剤を構成する炭酸カルシウムの電
子顕微鏡写真より測定した平均粒子径、BET比表面
積、島津式粒度分布計CP−4Lにより測定したd50
粒子径を表1に示す。
【0053】実施例4 クエン酸の代わりに10重量%の硫酸30重量%を添加
する以外は実施例1と同じ方法で作製し、無機分散剤d
を得た。該無機分散剤を構成する炭酸カルシウムの電子
顕微鏡写真より測定した平均粒子径、BET比表面積、
島津式粒度分布計CP−4Lにより測定したd50粒子
径を表1に示す。
【0054】実施例5 比重1.06の石灰乳を13℃に調整し、このスラリー
に水酸化カルシウム1kgあたり30リットル/分の炭
酸ガス(内27%がCO2 )を導通しゲル状物を作製
後、10重量%のクエン酸三アンモニウムを水酸化カル
シウムに対し30重量%添加し炭酸化反応を行い、系の
PHが8.0となったときに炭酸化反応を停止し、その
後pHが10.0に達した時点に、一次粉砕として該炭
酸カルシウム水懸濁液を湿式粉砕機(ダイノミル)を用
いて湿式粉砕し炭酸カルシウムの水懸濁液を得た。得ら
れた炭酸カルシウムのpHは11.0と高いため、再び
炭酸ガスでpHを7.0とし得られた炭酸カルシウム水
懸濁液、同様の操作を2回繰り返し、合計3パスとし無
機分散剤eを得た。該無機分散剤を構成する炭酸カルシ
ウムの電子顕微鏡写真より測定した平均粒子径、BET
比表面積、島津式粒度分布計CP−4Lにより測定した
d50粒子径を表1に示す。
【0055】実施例6 比重1.07の石灰乳を13℃に調整し、10重量%の
クエン酸三アンモニウムを水酸化カルシウムに対し25
重量%添加し、このスラリーに水酸化カルシウム1kg
あたり30リットル/分の炭酸ガス(内27%がC
2 )を導通し炭酸化反応を行い、系のPHが8.0と
なったときに炭酸化反応を停止し、その後pHが10.
0に達した時点に、一次粉砕として該炭酸カルシウム水
懸濁液を湿式粉砕機(ダイノミル)を用いて湿式粉砕し
炭酸カルシウムの水懸濁液を得た。得られた炭酸カルシ
ウムのpHは11.0と高いため、再び炭酸ガスでpH
を7.0とし得られた炭酸カルシウム水懸濁液、同様の
操作を3回繰り返し、合計4パスとし無機分散剤fを得
た。該無機分散剤を構成する炭酸カルシウムの電子顕微
鏡写真より測定した平均粒子径、BET比表面積、島津
式粒度分布計CP−4Lにより測定したd50粒子径を
表1に示す。
【0056】実施例7 比重1.07の石灰乳を13℃に調整し、10重量%の
クエン酸三アンモニウムを水酸化カルシウムに対し25
重量%添加し、このスラリーに水酸化カルシウム1kg
あたり30リットル/分の炭酸ガス(内27%がC
2 )を導通し炭酸化反応を行い、系のPHが8.0と
なったときに炭酸化反応を停止し、その後pHが10.
0に達した時点に、該炭酸カルシウム水懸濁液を湿式粉
砕機(ダイノミル)を用いて湿式粉砕し炭酸カルシウム
の水懸濁液を得た。得られた炭酸カルシウムのpHは1
1.0と高いため、再び炭酸ガスでpHを7.0とし得
られた炭酸カルシウム水懸濁液、同様の操作を4回繰り
返し、合計5パスとし無機分散剤gを得た。該無機分散
剤を構成する炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真より測定
した平均粒子径、BET比表面積、島津式粒度分布計C
P−4Lにより測定したd50粒子径を表1に示す。
【0057】比較例1 比重1.07の石灰乳を15℃に調整し、水酸化カルシ
ウム1kgあたり30リットル/分の炭酸ガス(内27
%がCO2 )を導通し炭酸化反応を行い、系のpHが
8.0となったときに炭酸化反応を停止し、50℃PH
10.2で15時間撹拌し、系の粘度が2300cpに
達したとき、再び炭酸ガスを導通して系のpHを6.8
とし無機分散剤hを得た。該無機分散剤を構成する炭酸
カルシウムの電子顕微鏡写真より測定した平均粒子径、
BET比表面積、島津式粒度分布計CP−4Lにより測
定したd50粒子径を表1に示す。
【0058】比較例2 比重1.07の石灰乳を13℃に調整し、10重量%の
クエン酸三アンモニウムを水酸化カルシウムに対し25
重量%添加し、このスラリーに水酸化カルシウム1kg
あたり30リットル/分の炭酸ガス(内27%がC
2 )を導通し炭酸化反応を行い、系のPHが7.0と
なったときに炭酸化反応を停止し、無機分散剤iを得
た。該無機分散剤を構成する炭酸カルシウムの電子顕微
鏡写真より測定した平均粒子径、BET比表面積、島津
式粒度分布計CP−4Lにより測定したd50粒子径を
表1に示す。
【0059】比較例3 比重1.07の石灰乳を15℃に調整し、水酸化カルシ
ウム1kgあたり30リットル/分の炭酸ガス(内27
%がCO2 )を導通し炭酸化反応を行い、系のpHが
8.0となったときに炭酸化反応を停止し、その後pH
が10.0に達した時点に、該炭酸カルシウム水懸濁液
を湿式粉砕機(ダイノミル)を用いて湿式粉砕し無機分
散剤hを得た。該無機分散剤を構成する炭酸カルシウム
の電子顕微鏡写真より測定した平均粒子径、BET比表
面積、島津式粒度分布計CP−4Lにより測定したd5
0粒子径を表1に示す。
【0060】比較例4 市販のヒドロキシアパタイト無機分散剤(固形分10重
量%)kを準備した。
【0061】尚、島津式粒度分布CP−4Lの測定方法
は、該スラリーを0.2重量%ヘキサメタリン酸ソーダ
の水溶液に添加し、超音波で1分間分散後、所定の濃度
に調整した後、測定を行った。
【0062】
【表1】
【0063】実施例8〜14、比較例5〜8 表1に示すa〜kの固形分濃度10重量%の無機分散剤
を用いて、下記の配合でスチレンの懸濁重合を行った。
撹拌翼付ステンレス製オートクレーブに下記の混合物を
入れ、オートクレーブ内を窒素ガスで置換した。次い
で、350rpm の撹拌速度で撹拌しながら90℃におい
て10時間反応を続け懸濁重合を行った。次いで、常法
により重合物を遠心分離機で脱水し、塩酸で無機分散剤
を溶解後、水洗乾燥してスチレン重合体粒子を得た。そ
の結果は表2に示す。 スチレン単量体 100重量部 安定剤(無機分散剤スラリー) 0.15重量部 (固形分換算) ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ 0.01重量部 過酸化ベンゾイル 0.2重量部 水 100重量部
【0064】ポリスチレン重合物粒子の平均粒子径(D
50)と粒度分布・収率(ピーク3ふるい)を表2に示
した。 ピーク3ふるい:JIS標準ふるい目開き2.36mm
(7.5メッシュ)、目開き2.00mm(8.6メッ
シュ)、目開き1.70mm(10メッシュ)、目開き
1.40mm(12メッシュ)、目開き1.18mm
(14メッシュ)、目開き1.18mm(14メッシ
ュ)、目開き1.00mm(16メッシュ)、目開き
0.85mm(18メッシュ)、目開き0.71mm
(22メッシュ)、目開き0.60mm(26メッシ
ュ)、目開き0.50mm(30メッシュ)、目開き
0.425mm(36メッシュ)、目開き0.355m
m(42メッシュ)、目開き0.300mm(50メッ
シュ)、目開き0.250mm(60メッシュ)、目開
き0.121mm(70メッシュ)、目開き0.18m
m(83メッシュ)で分級し、累積粒度分布曲線を基に
して累積重量が50%となる粒径(メディアン径)をD
50とし、D50の粒径が属する範囲から分布割合の多
い3個のふるいの範囲の粒度分布の割合を示したものを
いう。
【0065】
【表2】
【0066】実施例15〜21、比較例9〜12 表3に示すように、固形分濃度10重量%の無機分散剤
a〜kを懸濁安定剤として用い、下記の方法で3次元重
合体微粒子を製造した。スチレン100重量部、ジビニ
ルベンゼン0.4重量部、過酸化ベンゾイル0.6重量
部、水140重量部、a〜kの10重量%の無機分散剤
20重量部(固形分2.0重量部)及びドデシルベンゼ
ンスルホン酸ナトリウム1重量%水溶液1重量部から構
成される3次元重合体微粒子成分をTKホモミキサーH
V−Sv型を装備した内径600mm、液面高さ650
mmの円筒状容器に150リットル分(150kg)仕
込み、3300〜3500rpmで15分間高速剪断撹
拌を行った後、反応釜に仕込んだ後、反応釜の温度を8
0℃に上げて10時間重合を進め、冷却、脱水、乾燥し
て3次元重合体微粒子を得た。
【0067】3次元重合体微粒子のを下記の方法で評価
し、評価結果を表3に示す。 重合体微粒子の粒度分布の測定法:コールターカウンタ
ー(日科機社製ZM型)を使用した。電解液は日科機社
製、アイトンを用いた。粒度分布はマニュアルに従い測
定した。 収率:30〜80μmの粒子径の重合体微粒子の生成率
とした。 容器壁面への重合体粒子の付着:肉眼により観察した。
【0068】
【表3】
【0069】実施例22〜28、比較例13〜17 表3で合成した3次元重合体粒子並びにポリエチレン
(商品名:フローセンUF−20:住友精化株式会社
製)を低収縮剤として用い、下記の方法で不飽和ポリエ
ステル樹脂組成物の製造し、該組成物を用いてBCM成
形品を得、収縮率、着色・光沢むら及び透明性の評価を
行った。評価結果を表4に示す。 (1)不飽和ポリエステル樹脂組成物の製造 撹拌機を備えた容器に不飽和ポリエステル樹脂(ポリセ
ットPS−9126−2、マレイン酸、テレフタル酸、
プロピレングリコールを原料とする不飽和ポリエステル
樹脂とスチレン単量体の混合物、日立化成工業株式会社
製)100重量部、硬化剤(パーブチルZ、日本油脂株
式会社製)1.5重量部、充填剤(ハイジライトH32
0、昭和電工株式会社製)200重量部、増粘剤(酸化
マグネシウム)0.3重量部、表3の3次元重合体微粒
子を15重量部配合し均一になるまで十分に分散し、不
飽和ポリエステル樹脂組成物を得た。 (2)BMC成形品の製造 上記ポリエステル樹脂100重量部に補強剤(ガラスフ
ァイバー、日東紡株式会社製)10重量部を配合し、ニ
ーダで10分間よく混練してコンパウンドを作製した。
つぎにスチレンの飛散を防止するためにポリエチレンテ
レフタレートフィルムで梱包し、40℃で20時間、コ
ンパウンドを熟成させた。熟成させたコンパウンドを7
00gとり、寸法220×220(mm)の金型内にい
れ、成形温度140℃、成形圧力100kg/cm2
成形時間9分の条件で厚さ6mmのBMC成形品を製造
した。 (3)成形品の評価 収縮率:得られたBMCの成形品の金型長さ220mm
に対応する辺の長さを測定し、下記の基準で評価した。 収縮率(%)=〔(220−BMC成形品の実測長さ)
/220〕×100 着色・光沢むら:得られた成形品の着色・光沢むらを目
視判定した。 透明性:日本電色工業製濁度計の可視光を用いて、サン
プルのない状態を透過率100%とし、サンプル部を遮
蔽した状態を透過率0%とした。この補正をした後、B
MC成形品をサンプル部に入れ、その成形品の透過率を
測定した。
【0070】
【表4】
【0071】
【発明の効果】叙上のとおり、本発明の無機分散剤は、
表面活性が大きく、脱アグロメレーションが容易で、例
えば懸濁重合用安定剤として用いた場合には、均一でシ
ャープな粒度分布を有する重合体粒子を提供することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西岡 英彦 兵庫県明石市魚住町西岡1455番地 丸尾カ ルシウム株式会社内 Fターム(参考) 4J002 BB002 BC032 BF012 BG032 BG102 CF211 FD202 GB00 GD00 GS00 4J011 JA04 JA12 JA18 JB26

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭酸カルシウムの粒子成長抑制剤を添加
    して合成され、下記の式(a)〜(c)を満足する炭酸
    カルシウムからなることを特徴とする無機分散剤。 (a)0.002≦dx1≦0.1(μm) (b)0.005≦α≦0.5 (c)20≦Sw1≦200(m2/g) 但し、 dx1:電子顕微鏡写真により測定した粒子の平均粒子
    径(μm)。 α :d50の粒子径:島津式粒度分布計CP−4Lに
    より測定した粒子の50%平均粒子径(μm)。 Sw1:窒素吸着法によるBET比表面積(m2/g)
  2. 【請求項2】 炭酸カルシウムが、更に下記の式(d)
    及び(e)を満足する請求項1記載の無機分散剤。 (d)β≦25(重量%) (e)γ≦40(重量%) β:島津式粒度分布計CP−4Lにより測定した1μ以
    上の積算重量% γ:島津式粒度分布計CP−4Lにより測定した0.5
    μ以上の積算重量%
  3. 【請求項3】 炭酸カルシウムが、炭酸カルシウムの粒
    子成長抑制剤を、水酸化カルシウムの水性懸濁液または
    一次炭酸化した水酸化カルシウムの水性懸濁液に添加し
    て合成することにより得られた炭酸カルシウムを分散処
    理したものである請求項1記載の無機分散剤。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の無
    機分散剤からなることを特徴とする懸濁重合用安定剤。
  5. 【請求項5】 重合開始剤、分散媒及び請求項1〜3の
    いずれか1項に記載の無機分散剤の混合系で懸濁重合可
    能なビニル系単量体を懸濁重合して得られる重合体粒
    子。
  6. 【請求項6】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の無
    機分散剤を安定剤として、重合体を溶剤に溶解し、水中
    に分散・懸濁した懸濁液から溶剤を除去して得られる重
    合体粒子。
  7. 【請求項7】 請求項5又は6記載の重合体粒子を低収
    縮剤として含有することを特徴とする不飽和ポリエステ
    ル樹脂組成物。
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