JP2001089487A - ホスファゼニウム塩の製造方法 - Google Patents

ホスファゼニウム塩の製造方法

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JP2001089487A JP26802599A JP26802599A JP2001089487A JP 2001089487 A JP2001089487 A JP 2001089487A JP 26802599 A JP26802599 A JP 26802599A JP 26802599 A JP26802599 A JP 26802599A JP 2001089487 A JP2001089487 A JP 2001089487A
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Tamotsu Kunihiro
保 国広
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Tsukuru Izukawa
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Tadahito Nobori
忠仁 昇
Usaji Takagi
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡便、且つ、効率的な純度の高いホスフ
ァゼニウム塩の製造方法を提供する。 【解決手段】 反応液中の水分を1重量%以下に制御し
て、ホスファゼニウムカチオンと無機アニオンの塩に対
し、塩基性化合物0.5〜2当量を反応させ、次いで、
塩基性化合物と無機アニオンとの塩を分離することを特
徴とする塩基性ホスファゼニウム塩の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ホスファゼニウム
塩の製造方法に関する。詳しくは、無機アニオンからな
る中性のホスファゼニウム塩を塩基性化合物によりアニ
オン交換する塩基性のホスファゼニウム塩の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】塩基性のホスファゼニウム塩は、ポリオ
キシアルキレンポリオールを製造する際、アルキレンオ
キサイドの重合触媒として有用な化合物であることが特
開平10−77289号公報に開示されている。更に、
該公報には、ヒドロキシアニオン、アルコキシアニオン
等のアニオンからなるホスファゼニウム塩の製造方法と
して、クロライドのような無機アニオンからなるホスフ
ァゼニウム塩を、アルカリ金属またはアルカリ土類金属
の水酸化物、アルコキシド等で処理する方法や、イオン
交換樹脂を利用する方法が例示されている(21頁、カ
ラム40、8〜19行)。しかし、該公報には、アルカ
リ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、アルコキシ
ド等で処理する方法において、その詳細な製造条件や得
られたホスファゼニウム塩の組成に関して、何ら記載さ
れていない。
【0003】ホスファゼニウムヒドロキシドの製造方法
として、イオン交換樹脂を使用する方法が例示されてい
る。ホスファゼニウムヒドロキシドの前駆体である、ホ
スファゼニウムクロライド、例えば、テトラキス[トリ
ス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホス
フォニウムクロリド(特開平10−77289号公報、
28頁、カラム53、比較例1に記載)を例にとると、
該化合物は、水に殆ど溶解しないため、水、及び、水に
相溶する有機溶媒との混和溶媒に溶解させた際、溶液中
の該化合物の濃度を希薄にする必要があるため、生成す
るテトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニ
リデンアミノ]ホスフォニウムヒドロキシドの濃度も希
薄となり、濃縮工程が必要になる。その為、生産スケー
ルを上げた場合に、ホスファゼニウム塩の製造時間が長
くなる。更に、イオン交換樹脂をカラムに充填して用い
る場合、イオン交換樹脂中のイオン交換基を水酸基に交
換する操作において、大量の排水の処理が必要であるこ
とから、より簡便、且つ、効率的な、ホスファゼニウム
塩の製造方法が望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、無機
アニオンからなる中性のホスファゼニウム塩から簡便、
且つ、効率的に、純度の高い有機アニオンまたはヒドロ
キシアニオンからなる塩基性のホスファゼニウム塩を製
造する方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討を続けてきた結果、ホスファ
ゼニウムカチオンと無機アニオンからなる塩と有機溶媒
からなる溶液に対し、塩基性化合物を接触させて、ホス
ファゼニウムカチオンと有機アニオンまたはヒドロキシ
アニオンからなる塩基性のホスファゼニウム塩を製造す
るに際し、ホスファゼニウムカチオンと無機アニオンか
らなる塩に対し、特定量の塩基性化合物を用い、接触時
の反応液中の水分を特定量以下に制御して反応させ、次
いで、塩基性化合物と無機アニオンとの塩を分離するこ
とにより、上記課題が解決できることを見い出し、本発
明を完成するに至った。即ち、本発明は、化学式(1)
[化3]
【0006】
【化3】
【0007】(化学式(1)中のa、b、c及びdは、
全てが同時には0とならない0〜3の整数である。Rは
同種または異種の炭素数1〜10個の炭化水素基であ
り、同一窒素原子上の2個のRが結合して環構造を形成
する場合もある。rは、1〜3の整数であって、ホスフ
ァゼニウムカチオンの数を表し、Tr-は価数rの無機ア
ニオンを示す)で表されるホスファゼニウムカチオンと
無機アニオンの塩と有機溶媒からなる溶液に、塩基性化
合物を添加して反応させて、化学式(2)[化4]
【0008】
【化4】
【0009】(化学式(2)中のa、b、c及びdは、
全てが同時には0とならない0〜3の整数である。Rは
同種または異種の炭素数1〜10個の炭化水素基であ
り、同一窒素原子上の2個のRが結合して環構造を形成
する場合もある。Q-は、ヒドロキシアニオン、又は炭
素数1〜4のアルコキシアニオンを示す)で表されるホ
スファゼニウム塩を製造する方法であって、化学式
(1)で表される塩に対し、塩基性化合物0.5〜2当
量を用い、且つ、反応液中の水分を1重量%以下に制御
して反応させ、次いで、塩基性化合物と無機アニオンと
の塩を分離することを特徴とする化学式(2)で表され
るホスファゼニウム塩の製造方法である。
【0010】本発明に係わる好ましい製造方法として、
化学式(1)におけるTr-は、Tがクロライドであり、
rが1である前記製造方法が挙げられる。更に、塩基性
化合物と無機アニオンの塩を分離した溶液にホスファゼ
ニウムカチオンに対し、少なくとも等モルの水を添加す
る前記製造方法が挙げられる。後者の方法は、特に、化
学式(2)におけるQ-が、ヒドロキシアニオンである
ホスファゼニウム塩の製造方法として好ましい。
【0011】本発明により、イオン交換樹脂法等の煩雑
な操作を経由しないで、簡便で、且つ、効率的に、しか
も純度の高い塩基性のホスファゼニウム塩の製造方法が
提供できる。従って、本発明の製造方法により得られる
ホスファゼニウム塩は、有機反応のみならず、高分子反
応にも使用できる極めて有用な化合物である。特に、活
性水素化合物にアルキレンオキサイドを付加重合する際
の触媒として有用である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明は、無機アニオンからなる
中性のホスファゼニウム塩から、ヒドロキシアニオン、
及び炭素数1〜4のアルコキシアニオンから選ばれた少
なくとも1種のアニオンからなる塩基性のホスファゼニ
ウム塩を得る新規な製造方法である。
【0013】先ず、化学式(2)で表されるホスファゼ
ニウム塩について説明する。化学式(2)で表されるホ
スファゼニウム塩は、特開平10−77289号公報記
載(該公報記載の化学式(7)に該当する)の化合物と
同一である。本発明において、化学式(2)中の、a、
b、c、dは、全てが同時には0とならない0〜3の整
数である。好ましくはa、b、c及びdの順序に関わら
ず、(1,1,1,1)、(0,1,1,1)、(0,
0,1,1)、(0,0,0,1)の組み合わせ中の数
であり、最も好ましくは、(1,1,1,1)、(0,
1,1,1)の組み合わせ中の数である。
【0014】Rは、同種または異種の炭素数1〜10個
の炭化水素基であり、同一窒素原子上の2個のRが結合
して環構造を形成する場合もある。Rとして、メチル、
エチル、n−プロピル、イソプロピル、アリル、n−ブ
チル、sec−ブチル、tert−ブチル、2−ブテニ
ル、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−
メチル−1−ブチル、イソペンチル、tert−ペンチ
ル、3−メチル−2−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキ
シル、4−メチル−2−ペンチル、シクロペンチル、シ
クロヘキシル、1−ヘプチル、3−ヘプチル、1−オク
チル、2−オクチル、2−エチル−1−ヘキシル、1,
1−ジメチル−3,3−ジメチルブチル(tert−オ
クチル)、ノニル、デシル、フェニル、4−トルイル、
ベンジル、1−フェニルエチル、又は、2−フェニルエ
チル等の脂肪族、又は、芳香族の炭化水素基が例示でき
る。これらのうち、メチル、エチル、n−プロピル、イ
ソプロピル、tert−ブチル、tert−ペンチル、
tert−オクチル等の炭素数1〜10個の脂肪族炭化
水素基が好ましい。メチル基、又はエチル基が最も好ま
しい。
【0015】更に、Q-はヒドロキシアニオン、炭素数
1〜4のアルコキシアニオン、又はこれらの混在を表
す。炭素数1〜4のアルコキシアニオンは、例えば、メ
タノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパ
ノール、n−ブタノール等の脂肪族アルコール類から導
かれる。アルコキシアニオンとして、好ましくはメトキ
シ、エトキシ、n−プロポキシであり、最も好ましくは
メトキシ、エトキシである。Q-は、ヒドロキシアニオ
ン、及び、炭素数1〜4のアルコキシアニオンから選ば
れる少なくとも1種の形態であり、これらのアニオンの
存在比は、特に限定されるものではない。ホスファゼニ
ウム塩を合成する反応系によりQ-の形態が決定され
る。ホスファゼニウム塩を製造する際に用いる有機溶媒
の組成にもよるが、ヒドロキシアニオンと該アルコキシ
アニオンとのモル比は、99.99/0.01〜0.0
1/99.99である。
【0016】このような化学式(2)で表される化合物
としては、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホス
フォラニリデンアミノ]ホスフォニウムヒドロキシド、
テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリ
デンアミノ]ホスフォニウムメトキシド、テトラキス
[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミ
ノ]ホスフォニウムエトキシド、テトラキス[トリス
(ピロリジン−1−イル)ホスフォラニリデンアミノ]
ホスフォニウム tert−ブトキシド等が例示でき
る。好ましくは、テトラキス[トリス(ジメチルアミ
ノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムヒドロ
キシド、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフ
ォラニリデンアミノ]ホスフォニウムメトキシド、テト
ラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデン
アミノ]ホスフォニウムエトキシドである。
【0017】次に、化学式(2)のホスファゼニウム塩
の前駆体となる化学式(1)で表されるのホスファゼニ
ウム塩について説明する。化学式(1)のホスファゼニ
ウム塩についても、化学式(2)と同様、特開平10−
77289号公報記載(該公報中の化学式(5)に該当
する)の化合物と同一である。また、その製造方法につ
いては、特開平10−77289号公報(第13頁第2
4欄12行〜第14頁第26欄27行)記載の方法と同
じである。更に、化学式(1)中の、a、b、c、d、
及び、Rについては、化学式(2)の説明で述べたもの
と同じである。
【0018】化学式(1)中のrは、1〜3の整数であ
って、ホスファゼニウムカチオンの数を表し、Tr-は、
価数rの無機アニオンを示す。無機アニオンとしては、
例えば、臭素、塩素、フッ素、沃素、ホウ酸、テトラフ
ルオロホウ酸、シアン化水素酸、チオシアン酸、フッ化
水素酸、塩酸、又は、シュウ化水素酸などのハロゲン化
水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、亜リン酸、ヘキサフルオ
ロリン酸、炭酸、ヘキサフルオロアンチモン酸、ヘキサ
フルオロタリウム酸及び過塩素酸などの無機アニオンが
挙げられる。又、無機アニオンとしてHSO4 -、HCO
3 -もある。これら無機アニオンの中で、臭素、塩素、硫
酸、リン酸、亜リン酸、炭酸イオンが好ましく、更に
は、塩素、リン酸、亜リン酸、炭酸イオンが最も好まし
い。
【0019】前記した化学式(2)で表されるホスファ
ゼニウム塩を得るためには、無機アニオンのホスファゼ
ニウム塩を有機溶媒に溶解し、該無機アニオンのホスフ
ァゼニウム塩に対して、必要量の塩基性化合物を加え
る。
【0020】無機アニオンのホスファゼニウム塩を溶解
する有機溶媒としては、該ホスファゼニウム塩、並び
に、塩基性化合物を添加しても化学的変化を起こさず、
該ホスファゼニウム塩の無機アニオンと塩基性化合物の
カチオンとから生成する塩が水分1重量%以下で不溶と
なるものが好ましい。このような有機溶媒としては、例
えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタ
ン、オクタン、ノナン、デカン等の飽和脂肪族炭化水素
類や、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレ
ン、p−キシレン、エチルベンゼン、n−プロピルベン
ゼン、クメン、1,2,3−トリメチルベンゼン、1,
2,4−トリメチルベンゼン、メシチレン、テトラリ
ン、ブチルベンゼン、p−シメン、シクロヘキシルベン
ゼン、1,2−ジエチルベンゼン、1,3−ジエチルベ
ンゼン、1,4−ジエチルベンゼン、1,2−ジイソプ
ロピルペンゼン、1,3−ジイソプロピルベンゼン、
1,4−ジイソプロピルベンゼン、1,2,4−トリエ
チルベンゼン、1,3,5−トリエチルベンゼンまたは
ドデシルベンゼン等のアルキル置換芳香族炭化水素類が
挙げられる。
【0021】また、クロロベンゼン、o−ジクロロベン
ゼン、m−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロ
ベンゼン、ブロモベンゼン、o−ジブロモベンゼン、m
−ジブロモベンゼン、1−ブロモ−2−クロロベンゼ
ン、1−ブロモ−3−クロロベンゼン、1−クロロナフ
タレンまたは1−ブロモナフタレン等のハロゲン化芳香
族炭化水素類や、2−クロロトルエン、3−クロロトル
エン、4−クロロトルエン、2−ブロモトルエン、3−
ブロモトルエン、2,4−ジクロロトルエン、3,4−
ジクロロトルエン、1−クロロ−2−エチルベンゼン、
1−クロロ−4−エチルベンゼン、1−ブロモ−2−エ
チルベンゼン、1−ブロモ−4−エチルベンゼン、1−
クロロ−4−イソプロピルベンゼン、1−ブロモ−4−
イソプロピルベンゼン、メシチルクロリド、2−クロロ
−o−キシレン又は4−クロロ−o−キシレン等のハロ
ゲン化アルキル置換芳香族炭化水素類が挙げられる。
【0022】これらのうち好ましくは、前記した飽和脂
肪族炭化水素類、アルキル置換芳香族炭化水素類、又、
ハロゲン化芳香族炭化水素類である。より好ましくは、
アルキル置換芳香族炭化水素類、ハロゲン化芳香族炭化
水素類の有機溶媒である。これらの無機アニオンのホス
ファゼニウム塩を溶解し得る有機溶媒は、単独、もしく
は併用しても構わない。無機アニオンのホスファゼニウ
ム塩を溶解するための有機溶媒の使用量は、特に限定さ
れないが、通常、該ホスファゼニウム塩1重量部に対し
て、0.5〜500重量部である。好ましくは0.7〜
100重量部であり、より好ましくは1〜20重量部で
ある。
【0023】無機アニオンのホスファゼニウム塩を含む
溶液は、一旦、分離された該ホスファゼニウム塩を、前
記した有機溶媒に溶解させた溶液であり、一部不溶のホ
スファゼニウム塩が共存していても構わない。この溶液
は五塩化リンと式(3)[化5]
【0024】
【化5】
【0025】(化学式(3)中のRは同種又は異種の炭
素数1〜10個の炭化水素基であり、同一炭素原子上の
2個のRが結合して環構造を形成する場合もある)で表
されるイミノ化合物とを反応させて得られる無機アニオ
ンのホスファゼニウム塩を含む反応液から、この反応で
副生する式(4)[化6]
【0026】
【化6】
【0027】(化学式(4)中のRは同種又は異種の炭
素数1〜10個の炭化水素基であり、同一窒素原子上の
2個のRが結合して環構造を形成する場合もある)で表
される、通常は固体のイミノ化合物塩酸塩を固液分離し
て除去した溶液であり、更には必要であれば、このよう
にして得られる溶液の溶媒を留去させる等の方法で除い
た後に、所望の有機溶媒と置き換えた溶液等である。
【0028】これらの溶液のうち、五塩化リンと式
(3)のイミノ化合物を反応させて得られる無機アニオ
ンのホスファゼニウム塩を含む反応液から、この反応で
副生する式(4)の通常は固体のイミノ化合物塩酸塩を
固液分離して除去した溶液を用いることは、ホスファゼ
ニウム塩を純度良く製造するという観点から重要であ
る。更に、そのような溶液としては、五塩化リンと式
(3)のイミノ化合物とを、五塩化リンに対するイミノ
化合物のモル比を7〜12とし、10〜200℃の温度
で反応させた反応液から得られる溶液であることが好ま
しい。五塩化リンに対する式(3)のイミノ化合物のモ
ル比が7未満であると、無機アニオンのホスファゼニウ
ム塩の収率が著しく低下し、該モル比が12を超える
と、余分なイミノ化合物が無駄になるばかりか、得られ
た無機アニオンのホスファゼニウム塩から除去する工程
が長くなる懸念がある。
【0029】本発明において、無機アニオンのホスファ
ゼニウム塩、及び該ホスファゼニウム塩を前記した有機
溶媒で溶解した溶液中に含まれる水溶性の不純物を除去
する目的で、塩基性化合物と接触させる前に、水洗を行
ってもよい。水洗は、該ホスファゼニウム塩を含む溶
液、及び水を充分に接触させる方法であれば、いかなる
方法でもよい。通常、水洗後、静置し、有機相と水相が
分離した後に、水相を取り除く方法が好ましく用いられ
る。又、有機相中に水が混入した場合には、減圧下、又
は大気圧下に水を留去することもできる。
【0030】この水洗における水の使用量は、特に限定
されないが、通常、無機アニオンのホスファゼニウム塩
を含む溶液100重量部に対して、5〜500重量部で
ある。このような水の量により、該溶液を数回に分けて
洗浄することもできる。好ましい方法としては、該溶液
100重量部に対して、毎回、5〜100重量部の水
で、2〜5回洗浄する。この操作時の温度、洗浄時間
は、特に制限されるものではないが、通常、10〜80
℃、好ましくは15〜40℃、より好ましくは17〜3
5℃の温度である。洗浄時間は3時間以内、好ましくは
0.01〜1時間、より好ましくは0.05〜0.5時
間である。水洗操作後の溶液中の水分は、目的とするホ
スファゼニウム塩の純度を向上させるために、可能な限
り低減することが好ましい。
【0031】次に、本発明の方法において、無機アニオ
ンのホスファゼニウム塩を含む溶液に添加して、該ホス
ファゼニウム塩と反応させる塩基性化合物について説明
する。本発明で用いられる塩基性化合物としては、例え
ば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等のアルカリ金
属水酸化物類や、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化
カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム等
のアルカリ土類金属水酸化物類や、水酸化テトラメチル
アンモニウム、水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウ
ム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウム等の第4級
アンモニウム塩類の水酸化物等が挙げられる。また、ア
ルカリ金属、アルカリ土類金属、第4級アンモニウム類
のアルコキシドも使用できる。そのアルコキシドとして
は、炭素数1〜4の脂肪族アルコール類のアルコキシド
が挙げられる。これらのアルコキシアニオンは、例え
ば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ
プロパノール、n−ブタノール等の脂肪族アルコール類
から導かれる。炭素数1〜4のアルコキシアニオンとし
て、好ましくはメトキシ、エトキシ、n−プロポキシで
あり、最も好ましくはメトキシ、エトキシである。
【0032】これらの塩基性化合物の中で、好ましくは
アルカリ金属水酸化物類、アルカリ金属アルコキシド類
である。より好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム、水酸化セシウム、及び、炭素数1〜4の脂肪族
アルコールから導かれるこれらのアルカリ金属のアルコ
キシドである。特に好ましくは、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエト
キシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシドであ
る。これらの塩基性化合物は、単独で用いても併用して
も構わない。
【0033】塩基性化合物の使用量は、目的とする有機
アニオンまたはヒドロキシアニオンのホスファゼニウム
塩の純度の観点から、無機アニオンのホスファゼニウム
塩に対して0.5〜2当量である。好ましくは0.86
〜1.6当量であり、より好ましくは0.91〜1.3
当量、更に好ましくは0.95〜1.2当量である。塩
基性化合物の使用量が、0.5当量未満になると、反応
生成物中の無機アニオンのホスファゼニウム塩の残存量
が多くなる。無機アニオンのホスファゼニウム塩が多く
なると、目的物質であるホスファゼニウム塩を有機反
応、或いは高分子反応の触媒として使用する際、ホスフ
ァゼニウム塩の単位重量当たりの活性が低下する。本発
明における、反応生成物とは、無機アニオンのホスファ
ゼニウム塩と、塩基性化合物とを反応させた後の、反応
系に存在する化合物を指す。ホスファゼニウム塩の単位
重量当たりの活性を維持するために、反応生成物中の無
機アニオンのホスファゼニウム塩は、できる限り低減す
ることが好ましい。
【0034】一方、塩基性化合物の使用量が、無機アニ
オンのホスファゼニウム塩に対して、2当量を超える
と、全反応生成物中に占める塩基性化合物の濃度が高く
なる。反応系に依っては、該塩基性化合物が、ホスファ
ゼニウム塩の触媒効果を低下させるので、塩基性化合物
の使用量は、2当量以下に制御する必要がある。
【0035】無機アニオンのホスファゼニウム塩を含む
溶液と、塩基性化合物を、効率よく接触させるために、
塩基性化合物を溶解する有機溶媒を使用することが好ま
しい。このような有機溶媒としては、例えば、メタノー
ル、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノ
ール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert
−ブタノール、プロピレングリコール、エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、グリセリン等の脂肪族ア
ルコール類、アセトニトリル等のニトリル類、テトラヒ
ドロフラン等のエーテル類等が挙げられる。
【0036】これらの有機溶媒の中で、好ましいのは脂
肪族アルコール類である。特に好ましいのはメタノー
ル、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノ
ール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert
−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコ
ール、ジエチレングリコール、グリセリン等の炭素原子
数1〜4の脂肪族アルコール類である。これらの有機溶
媒は単独で用いても、併用しても構わない。又、これら
の溶媒の量は、塩基性化合物を充分に溶解できれば特に
限定されないが、通常、無機アニオンのホスファゼニウ
ム塩を含む溶液1重量部に対して、0.01〜5重量部
である。好ましくは0.02〜3重量部であり、より好
ましくは、0.03〜2重量部である。
【0037】無機アニオンのホスファゼニウム塩を含む
溶液に、塩基性化合物を加える方法としては、塩基性化
合物、または塩基性化合物を含む溶液を前記ホスファゼ
ニウム塩を含む溶液に、一括で装入する方法、或いは、
塩基性化合物、または塩基性化合物を含む溶液を滴下す
る方法等が挙げられる。
【0038】無機アニオンのホスファゼニウム塩を含む
溶液に、塩基性化合物、または塩基性化合物を含む溶液
を加えた後の反応条件としては、特に限定されるもので
はないが、通常、反応温度は5〜180℃である。好ま
しくは10〜50℃、より好ましくは15〜45℃であ
る。反応圧力は大気圧下、又は加圧下のいずれでも良
い。加圧反応を行う場合には、0.8MPaG以下、好
ましくは0.5MPaG以下、より好ましくは0.4M
PaG以下である。反応時間は0.2〜3時間、好まし
くは0.3〜2.5時間、より好ましくは0.3〜1時
間である。
【0039】このように、無機アニオンのホスファゼニ
ウム塩と塩基性化合物とを接触させることにより、無機
アニオンと炭素数1〜4のアルコキシアニオン、ヒドロ
キシアニオンの1種以上のアニオンが交換し、該アニオ
ンのホスファゼニウム塩、並びに、該塩基性化合物のヒ
ドロキシアニオン、炭素数1〜4のアルコキシアニオン
からなる1種以上のアニオンが無機アニオンに置き換わ
った塩が生成する。同時に、化学式(1)中の無機アニ
オンと塩基性物質との無機塩が副生する。副生する無機
塩は、反応液から分離する。分離する方法としては、濾
過する方法が挙げられる。
【0040】出発物質である無機アニオンのホスファゼ
ニウム塩、並びに、目的物質である、ヒドロキシアニオ
ン、及び炭素数1〜4のアルコキシアニオンから選ばれ
た少なくとも1種のアニオンのホスファゼニウム塩は、
出発物質を溶解した有機溶媒からなる溶液と、塩基性化
合物を溶解する有機溶媒との混合液(以下、反応液と略
する)に可溶である。しかし、反応液中の水分含有量が
1重量%以下である場合には、副生する塩化ナトリウム
等の無機塩は、該反応液に難溶であるため、通常、濾過
操作等によって容易に除去できる。反応液中に存在する
過剰の塩基性化合物も、該塩基性化合物を溶解する有機
溶媒を反応液から留去し、固体として析出させた後、濾
別することができる。
【0041】一方、反応液中に水が1重量%を超えて存
在すると、この水が無機アニオンのホスファゼニウム塩
と、塩基性化合物から副生する無機塩を溶解するため、
反応液からの無機塩の濾別が困難であり、目的のホスフ
ァゼニウム塩の収率低下を招くこととなる。従って、無
機アニオンのホスファゼニウム塩を溶解する溶媒中の水
分、及び塩基性化合物を溶解する溶媒中の水分は、可能
な限り低減することが好ましい。更に、無機アニオンの
ホスファゼニウム塩、及び、塩基性化合物を含む反応液
中の水分に関しても、可能な限り低減することが好まし
い。具体的には、反応液中の水分量は1重量%以下であ
ることが好ましい。より好ましくは7000ppm以
下、更に好ましくは5000ppm以下である。
【0042】また、無機アニオンのホスファゼニウム塩
と塩基性化合物から副生する無機塩を濾別した後の反応
液中のヒドロキシアニオン、及び炭素数1〜4のアルコ
キシアニオンから選ばれた少なくとも1種のアニオンの
ホスファゼニウム塩は、水が存在すると、容易にヒドロ
キシアニオンのホスファゼニウム塩と、アルコキシアニ
オンから導かれるアルコールを生成する。よって、濾別
により不純物である無機塩を除去して純度の向上したホ
スファゼニウム塩は、水を添加することにより、ヒドロ
キシアニオンのホスファゼニウム塩に変換して貯蔵する
こともできる。この際の水の添加量は、ホスファゼニウ
ムカチオンに対し、少なくとも1当量用いることが好ま
しい。より多量に添加することにより、効率よくヒドロ
キシアニオンに変換できる。
【0043】このようにして得られたヒドロキシアニオ
ン、及び炭素数1〜4のアルコキシアニオンから選ばれ
た少なくとも1種のアニオンのホスファゼニウム塩を含
む溶液から、有機溶媒を留去することにより、任意の濃
度の該ホスファゼニウム塩溶液を得ることができる。更
に、必要であれば、その乾固物に対して、再結晶等の精
製操作を行うこともできる。本発明の製造方法により得
られるホスファゼニウム塩は、有機反応のみならず、高
分子反応にも使用できる極めて有用な化合物である。
【0044】
【実施例】以下、本発明の実施例を示し、本発明の態様
を更に詳細に明らかにする。先ず、使用した化合物につ
いて示す。
【0045】(a)無機アニオンのホスファゼニウム塩 化学式(1)において、(a,b,c,d)=(1,
1,1,1)で、Rがメチル基であり、r=1、T=C
lであるCl-(塩素イオン)のホスファゼニウム塩
(テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニ
リデンアミノ]ホスフォニウムクロリド{[(Me
2N)3P=N]4+Cl-}(Fluka社製)、以
下、P5Clと略する)を使用した。
【0046】(b)無機アニオンのホスファゼニウム塩
を溶解する有機溶媒 (b−1):トルエン(和光純薬(株)試薬特級)。反
応前に、モレキュラーシーブ(ユニオン昭和(株)製、
型式;4AXH−5)をトルエンに対して、10重量%
添加し、混合後、一昼夜放置し、水分の除去を行った。
カールフィッシャー測定(測定装置:平沼産業(株)
製、形式:AQUACOUNTER AQV−7)によ
り求めたトルエン中の水分は57ppmであった。 (b−2):オルソジクロルベンゼン〔三井化学
(株)、脱水品。カールフィッシャー測定、(b−1)
と同様の装置〕により求めたオルソジクロルベンゼン中
の水分は44ppmであった。以下、ODCBと略す
る〕。
【0047】(c)塩基性化合物 (c−1):水酸化ナトリウム(和光純薬(株)試薬特
級。以下、NaOHと略する)。 (c−2):水酸化カリウム(和光純薬(株)試薬特
級。以下、KOHと略する)。 (c−3):水酸化バリウム(和光純薬(株)試薬特
級。以下、Ba(OH)2・8H2Oと略する)。 (c−4):ナトリウムメトキシド(和光純薬(株)試
薬特級。以下、NaOMeと略する)。
【0048】(d)塩基性化合物を溶解する有機溶媒 (d−1):メタノール〔片山化学(株)試薬特級、脱
水品。カールフィッシャー測定;((b)と同様の装
置)により求めたメタノール中の水分は138ppmで
あった。以下、MeOHと略する〕。 (d−2):エタノール〔和光純薬(株)試薬特級、脱
水品。カールフィッシャー測定((b)と同様の装置)
により求めたエタノール中の水分は、141ppmであ
った。以下、EtOHと略する〕。 (d−3:イソプロパノール〔和光純薬(株)試薬特
級、脱水品。カールフィッシャー測定((b)と同様の
装置)により求めたイソプロパノール中の水分は、10
5ppmであった。以下IPAと略する〕。 (d−4):n−ブタノール〔和光純薬(株)試薬特
級、脱水品。カールフィッシャー測定((b)と同様の
装置)により求めたn−ブタノール中の水分は、93p
pmであった。以下n−BuOHと略する〕。
【0049】(e)五塩化リンと反応させてP5Clを
製造するイミノ化合物 化学式(3)において、Rがメチル基である、イミノト
リス(ジメチルアミノ)ホスフォラン〔(Me2N)3
=NH(Fluka社製)。以下、P1イミンと略す
る〕を使用した。
【0050】前記した化合物を使用することにより、ヒ
ドロキシアニオンのホスファゼニウム塩である、テトラ
キス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンア
ミノ]ホスフォニウムヒドロキシド{[(Me2N)3
=N]4+OH-、以下、P5OHと略する}、及び、
アルコキシアニオンのホスファゼニウム塩である、例え
ばテトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニ
リデンアミノ]ホスフォニウムメトキシド{[(Me2
N)3P=N]4+OMe-、以下、P5OMeと略す
る}の混合物を得る。分析に際しては、P5Clを溶解
させた有機溶媒、並びに、NaOHを溶解させた有機溶
媒を反応液中から、60℃、665Paの条件で、留去
した試料を用いた。
【0051】以下に、反応生成物中の各成分の分析方法
を示す。 (1)無機アニオンのホスファゼニウム塩(P5Cl)
の濃度(単位:重量%) 反応生成物中の塩素イオン濃度(単位:ppm)を求
め、その値を塩素の原子量(単位:g/mol)で除
し、更に、P5Clの分子量(単位:g/mol)を掛
けることにより、反応生成物中のP5Cl濃度を算出す
る。以下に、反応生成物中の塩素イオン濃度の測定方法
を示す。
【0052】石英ボードに、試料を約60mg秤量後、
電気炉内で、アルゴン/酸素混合ガス中、900℃に加
熱し、混合ガスを1vol%濃度の過酸化水素の水溶液
に吸収させ、超純水(MILLIPORE製、小型純水
製造装置、型式:MILL−Q Laboにて比抵抗値
17MΩ−cmに調製した水)にて10mlに定容した
液を検液とする。次いで、該検液のイオンクロマトグラ
フィー(ダイオネックス社製、型式:DX−300型)
分析を行い、反応生成物中の塩素イオン濃度を求める。
分離カラムは、IonPacAS12A(ダイオネック
ス社製)を使用し、溶離液として、2.7mMの炭酸ナ
トリウム水溶液と0.3mMの炭酸水素ナトリウム水溶
液を使用する。
【0053】(2)ヒドロキシアニオンおよびアルコキ
シアニオンのホスファゼニウム塩の濃度(単位:重量
%) P5OHの標品を合成し、それらを下記に示した分析方
法を用いて測定することにより、反応生成物中のヒドロ
キシアニオンおよびアルコキシアニオンのホスファゼニ
ウム塩の同定、及び、定量を行う。先ず、P5OHの製
造例、並びに、その分析方法を示す。
【0054】P5Cl(Fluka社製)31.02g
(40mmol)を200mlの50重量%のメタノー
ル−水の混合溶媒に溶解させて、0.2mol/lの溶
液を調整した。この溶液を、室温にて、140mlの水
酸基型に交換した陰イオン交換樹脂(バイエル社製、商
品名;レバチットMP500)を充填したカラム(直径
20mm、高さ450mm)に140ml/hの速度で
流通した。次いで、450mlの50重量%のメタノー
ル−水の混合溶媒を同速度で流通した。流出液を濃縮し
た後、80℃、665Paの条件で乾燥し、固形状とし
た。この固形物をテトラヒドロフランとジエチルエーテ
ルの体積比1:15の混合溶媒に溶解後、再結晶するこ
とにより、28.76gの無色の化合物を得た。収率は
95%であった。
【0055】リン酸トリ−n−ブチルを内部標準化合物
とした、該化合物の重水素化ジメチルスルホキシド溶液
中の31P−NMR(日本電子(株)製核磁気共鳴装置)
の化学シフトは、−33.3(5重線、1P)ppm、
7.7(2重線、4P)ppmであり、テトラキス[ト
リス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホ
スフォニウムカチオン中の中心のリン原子、及び、周り
の4つのリン原子として帰属される。又、テトラメチル
シランを内部標準とした1H−NMRの化学シフトは
2.6ppmであり、テトラキス[トリス(ジメチルア
ミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムカチ
オン中のメチル基に帰属され、リン原子とのカップリン
グにより、2重線として観測される。元素分析値(重量
%)はC:38.28、H:9.82、N:29.4
3、P:19.94(理論値 、C:38.09、H:
9.72、N:29.61、P:20.46)であっ
た。以上が、P5OHの分析方法である。
【0056】アルコキシアニオンのホスファゼニウム塩
の、例えばP5OMeの分析方法に関しては、上記、31
P−NMRにより、テトラキス[トリス(ジメチルアミ
ノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムカチオ
ンを測定し、更に、テトラメチルシランを内部標準とし
た、1H−NMRにより、メトキシアニオン基のメチル
基(3.2ppm)の測定を実施する。次いで、P5O
HとP5OMeの混在下におけるP5OMe濃度を測定
するため、以下の分析を実施する。
【0057】反応生成物を予め、金属ナトリウムで脱水
処理を行ったテトラヒドロフランに溶解し、反応生成物
に対して、5重量%の超純水を加えることにより、遊離
するメタノールをガスクロマトグラフィー(島津製作所
(株)製、型式:GC−14A)により定量測定する。
該メタノール濃度(単位:重量%)をその分子量で除
し、次いで、P5OMeの分子量を掛けることにより、
P5OMe濃度(単位:重量%)を算出する。更に、反
応生成物を、リン酸トリ−n−ブチルを内部標準化合物
として、重水素化ジメチルスルホキシドに溶解後、31
−NMR(日本電子(株)製、核磁気共鳴装置)測定を
実施し、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフ
ォラニリデンアミノ]ホスフォニウム構造の濃度(単
位:モル)を求める。次いで、該値から、先に求めた、
P5Cl、P5OMe濃度を各成分の分子量で除したモ
ル数を差し引くことにより、P5OHのモル数を求め、
その値に、P5OHの分子量を掛けることにより、反応
生成物中のP5OHの濃度(単位:重量%)を求める。
【0058】実施例4、12および比較例6以外は、ヒ
ドロキシアニオン、アルコキシアニオンのホスファゼニ
ウム塩を有機アニオンのホスファゼニウム塩と称し、両
者の濃度の総和を示した。以上、詳述した方法により、
反応生成物の組成を求めた。(1)及び(2)以外の成
分は、残存する塩基性化合物、副生する無機塩、添加し
た塩基性化合物由来の化合物であることを、反応生成物
のイオンクロマトグラフィー測定により確認した。
【0059】実施例1 ホスファゼニウム塩A 窒素雰囲気下、温度計、攪拌機、冷却管、及び、滴下ロ
ートを装備した500mlの4つ口フラスコにP5Cl
を16.82g(21.7mmol)、及び、トルエン
81.9gを加え、P5Cl濃度を17重量%に調整し
た。25℃において攪拌しながら、この溶液に水酸化ナ
トリウムの4.8重量%MeOH溶液(NaOH19.
53mmol、P5Clに対して、0.9当量)を15
分間かけて滴下した。25〜27℃で30分間、攪拌
後、80℃まで昇温し、さらに3時間攪拌し、白色懸濁
液を得た。カールフィッシャー測定により求めたこの反
応液中の水分は、0.31重量%であった。この懸濁液
を0.45μmのテフロン製メンブランフィルターを用
いて減圧濾過した。60℃、399Paの条件で、得ら
れた濾液を濃縮し、乾燥することにより白色固体を得
た。前記した方法により白色固体を分析した結果、有機
アニオンのホスファゼニウム塩の濃度は88.3重量%
であり、無機アニオンのホスファゼニウム塩の濃度は1
1.5重量%であった。
【0060】実施例2 ホスファゼニウム塩B P5Clに対するNaOHの使用量を1.0当量に増加
させた以外は、実施例1と同様な方法とした。カールフ
ィッシャー測定により求めた反応液中の水分は、0.3
4重量%であった。濾液から得られた白色固体を分析し
た結果、有機アニオンのホスファゼニウム塩の濃度は9
8.4重量%であり、無機アニオンのホスファゼニウム
塩の濃度は1.52重量%であった。一方、濾さいを減
圧乾燥したところ1.25gの白色固体を得た。KBr
法によるIR測定の結果、500cm-1付近に幅広な吸
収が見られ、含有塩素量分析結果は59.2重量%であ
ることから、濾さいは反応により生成したNaCl(理
論含有塩素量60.7重量%)とわかった。
【0061】実施例3 ホスファゼニウム塩C P5Clに対するNaOHの使用量を1.2当量に増加
させた以外は、実施例1と同様な方法とした。カールフ
ィッシャー測定により求めたこの反応液中の水分は、
0.40重量%であった。濾液から得られた白色固体を
分析した結果、有機アニオンのホスファゼニウム塩の濃
度は97.0重量%であり、無機アニオンのホスファゼ
ニウム塩の濃度は1.51重量%であった。
【0062】実施例4 ホスファゼニウム塩D P5Clに対して、NaOMeの6.5重量%のメタノ
ール溶液として使用した以外は、実施例2と同様な方法
とした。カールフィッシャー測定により求めたこの反応
液中の水分は0.01重量%であった。反応液を濾過し
て得られた濾液中のP5OH/P5OMeの当量比は9
9/1であった。濾液から得られた白色固体を分析した
結果、有機アニオンのホスファゼニウム塩の濃度は9
8.8重量%であり、無機アニオンのホスファゼニウム
塩の濃度は1.13重量%であった。
【0063】実施例5 ホスファゼニウム塩E NaOHのMeOH溶液の替わりにKOHの5.0重量
%MeOH溶液を使用した以外は、実施例2と同様にし
た。カールフィッシャー測定により求めたこの反応液中
の水分は0.32重量%であった。濾液から得られた白
色固体を分析した結果、有機アニオンのホスファゼニウ
ム塩の濃度は98.6重量%であり、無機アニオンのホ
スファゼニウム塩の濃度は1.32重量%であった。
【0064】実施例6 ホスファゼニウム塩F P5Clを溶解した溶媒として、トルエンの替わりにO
DCBを使用し、KOHのMeOH溶液の替わりにKO
Hの4.2重量%EtOH溶液を使用した以外は、実施
例5と同様にした。カールフィッシャー測定により求め
たこの反応液中の水分は、0.31重量%であった。濾
液から得られた白色固体を分析した結果、有機アニオン
のホスファゼニウム塩の濃度は98.2重量%であり、
無機アニオンのホスファゼニウム塩の濃度は1.71重
量%であった。
【0065】実施例7 ホスファゼニウム塩G KOHのMeOH溶液の替わりにKOHの4.0重量%
IPA溶液を使用した以外は、実施例5と同様にした。
カールフィッシャー測定により求めたこの反応液中の水
分は0.31重量%であった。濾液から得られた白色固
体を分析した結果、有機アニオンのホスファゼニウム塩
の濃度は97.1重量%であり、無機アニオンのホスフ
ァゼニウム塩の濃度は2.80重量%であった。
【0066】実施例8 ホスファゼニウム塩H KOHのMeOH溶液の替わりにKOHの3.0%n−
BuOH溶液を使用した以外は、実施例5と同様にし
た。カールフィッシャー測定により求めたこの反応液中
の水分は0.29重量%であった。濾液から得られた白
色固体を分析した結果、有機アニオンのホスファゼニウ
ム塩の濃度は、96.7重量%であり、無機アニオンの
ホスファゼニウム塩の濃度は3.19重量%であった。
【0067】実施例9 ホスファゼニウム塩I KOHのMeOH溶液の替わりにBa(OH)2・8H2
Oの2.2%MeOH溶液を使用した以外は、実施例5
と同様にした。カールフィッシャー測定により求めたこ
の反応液中の水分は0.11重量%であった。濾液から
得られた白色固体を分析した結果、有機アニオンのホス
ファゼニウム塩の濃度は97.4重量%であり、無機ア
ニオンのホスファゼニウム塩の濃度は2.5重量%であ
った。
【0068】実施例10 ホスファゼニウム塩J 1Ltのガラス製反応器に五塩化リン25.44g
(0.122mol)、及び、ODCB251.83g
を仕込んだ。撹拌しながら40℃まで昇温し、その温度
に制御しながらこれに185.03g(1.038mo
l)のP1イミン(五塩化リンに対するP1イミンのモ
ル比は8.51である)を1.0時間かけて滴下した。
滴下終了後さらに40℃に1.0時間保った。その後約
1時間かけて170℃に昇温し、9.0時間反応させ
た。(この時点で反応液の一部を採取し、質量分析を行
ったところ、P5Clのカチオン部の分子量に相当する
740の分子イオンスペクトルが観測された。また、重
水素化ジメチルスルホキシド溶媒を用い、リン酸トリ−
n−ブチルを内部標準化合物とした31P−NMRによる
定量分析から、この反応では0.120モルのP5Cl
が生成していることが判った)。反応液は熱時には均一
な液であったが、室温まで冷却したら白色固体が析出し
ていた。この白色固体を容量1リットルの加圧濾過器を
用いて濾別し、さらにこの固体をODCB104.6g
で洗浄した。この白色固体は、重水素化ジメチルスルホ
キシド溶媒を用い、リン酸トリ−n−ブチルを内部標準
化合物とした 31P−NMRによる定量分析から、P1イ
ミン塩酸塩0.476モルであることがわかった。化学
シフトは、43.4(1重線、1P)ppm、であり、
P1イミンカチオン中のリン原子として帰属される。
【0069】得られた濾洗液を1Ltの分液ロートに移
し、これに水77gを加えた。常温で0.2時間強く振
とうすることにより両相をよく接触させて洗浄し、静置
後有機相と水相とを分離させそれぞれ分取した。再び有
機相を分液ロートに移し、この水洗浄の操作を同様にあ
と2回行った。こうして水洗された有機相の内の10
2.78gを温度計、攪拌機を装備した300mlのナ
スフラスコに装入した。重水素化ジメチルスルホキシド
溶媒を用い、リン酸トリ−n−ブチルを内部標準化合物
とした31P−NMRによる定量分析により確認したP5
Cl濃度は、25.0%(0.0266mol)であっ
た。この溶液を室温で攪拌しながら、滴下ロートから水
酸化ナトリウムの4.5%MeOH溶液(NaOH0.
0279mol、1.12g)を10分かけて滴下し
た。室温で1時間攪拌後、白色懸濁液を得た。カールフ
ィッシャー測定により求めたこの反応液中の水分は、
0.47重量%であった。この懸濁液を0.45μmの
テフロン製フィルターを用いて減圧濾過した。得られた
濾液中の生成物の31P−NMR、1H−NMRの結果
は、前記分析方法(2)の結果と同様であり、電位差滴
定により求めた収率は98%であった。得られた濾液を
濃縮乾固したところ白色固体が19.72g得られた。
得られた白色固体を分析した結果、有機アニオンのホス
ファゼニウム塩の濃度は、98.1重量%であり、無機
アニオンのホスファゼニウム塩の濃度は、1.75重量
%であった。一方、濾さいを減圧乾燥したところ1.5
2gの白色固体を得た。KBr法によるIR測定の結
果、500cm-1付近に幅広な吸収が見られ、含有塩素
量分析結果は59.6重量%であることから、濾さいは
反応により生成したNaCl(理論含有塩素量60.7
重量%)とわかった。
【0070】実施例11 ホスファゼニウム塩K 無機アニオンのホスファゼニウム塩を溶解した溶媒のO
DCBに水を0.8重量%になるよう添加し、KOHの
MeOH溶液の替わりにNaOHの4.8重量%MeO
H溶液を使用した以外は、実施例6と同様にした。カー
ルフィッシャー測定により求めたこの反応液中の水分は
0.90重量%であった。濾液から得られた白色固体を
分析した結果、有機アニオンのホスファゼニウム塩の濃
度は、86.2重量%であり、無機アニオンのホスファ
ゼニウム塩の濃度は12.9重量%であった。
【0071】実施例12 ホスファゼニウム塩L 実施例4で得られた有機アニオンのホスファゼニウム塩
を含む白色懸濁液の濾液30.96g(ホスファゼニウ
ムカチオン23.9重量%、0.0100mol)に、
水0.189g(0.0105mol、ホスファゼニウ
ムカチオンに対し、1.05当量)を添加し、1時間、
室温で攪拌した。遊離したMeOHを分析することによ
り求めたP5OH/P5OMeの当量比は、100/0
であった。
【0072】実施例13 ホスファゼニウム塩M 実施例4で得られた有機アニオンのホスファゼニウム塩
を含む反応液の濾液37.15g(ホスファゼニウムカ
チオン23.9重量%、0.0120mol)に、水
0.198g(0.011mol、0.92当量)を添
加し、24時間、室温で攪拌した。遊離したMeOHを
分析することにより求めたP5OH/P5OMeの当量
比は93/7であった。
【0073】比較例1 ホスファゼニウム塩N P5Clに対するNaOHの使用量を0.4当量に低下
させた以外は、実施例1と同様な方法とした。カールフ
ィッシャー測定により求めた反応液の水分は0.15重
量%であった。濾液から得られた白色固体を分析した結
果、有機アニオンのホスファゼニウム塩の濃度は37.
4重量%であり、無機アニオンのホスファゼニウム塩の
濃度は62.4重量%であった。
【0074】比較例2 ホスファゼニウム塩O P5Clに対するNaOHの使用量を2.1当量に増加
させた以外は、実施例1と同様な方法とした。カールフ
ィッシャー測定により求めた反応液の水分は0.61重
量%であった。濾液から得られた白色固体を分析した結
果、有機アニオンのホスファゼニウム塩の濃度は91.
8重量%であり、無機アニオンのホスファゼニウム塩の
濃度は1.42重量%であった。
【0075】比較例3 ホスファゼニウム塩P 無機アニオンのホスファゼニウム塩を溶解した溶媒のO
DCBに水を1重量%になるよう添加し、KOHのEt
OH溶液の替わりにNaOHの4.8重量%MeOH溶
液を使用した以外は、実施例6と同様にした。カールフ
ィッシャー測定により求めたこの反応液中の水分は1.
04重量%であった。濾液から得られた白色固体を分析
した結果、有機アニオンのホスファゼニウム塩の濃度は
78.9重量%であり、無機アニオンのホスファゼニウ
ム塩の濃度は19.4重量%であった。
【0076】比較例4 ホスファゼニウム塩Q 無機アニオンのホスファゼニウム塩を溶解した溶媒のO
DCBに水を2重量%になるよう添加し、KOHのEt
OH溶液の替わりにNaOHの4.8重量%MeOH溶
液を使用した以外は、実施例6と同様にした。カールフ
ィッシャー測定により求めたこの反応液中の水分は1.
74重量%であった。濾液から得られた白色固体を分析
した結果、有機アニオンのホスファゼニウム塩の濃度は
67.2重量%であり、無機アニオンのホスファゼニウ
ム塩の濃度は32.0重量%であった。
【0077】比較例5 ホスファゼニウム塩R P5Clを溶解する溶媒としてODCBを使用し、Na
OHのMeOH溶液の替わりに5%NaOH水溶液を使
用した以外は、実施例2と同様に実施した。NaOH水
溶液をP5Cl溶液に15分間かけて滴下した。25〜
27℃1時間攪拌した。攪拌しながら反応液を採取し、
カールフィッシャー測定により求めた水分は14.55
重量%であった。攪拌を止めると、有機相と水相に分離
した。200mlの分液ロートで分液した有機相を濃縮
乾固して得られた白色固体を分析した結果、有機アニオ
ンのホスファゼニウム塩の濃度は0.0重量%であり、
無機アニオンのホスファゼニウム塩の濃度は99.9重
量%であった。上記、実施例1〜13、及び比較例1〜
5の結果を[表1]〜〔表3〕にまとめた。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】<実施例の考察>無機アニオンのホスファ
ゼニウム塩(P5Cl)に対する塩基性化合物の使用量
が本発明の範囲内である実施例1〜13では、反応生成
物中のP5Cl濃度は、15重量%以下である。しか
し、塩基性化合物の使用量が本発明の範囲より低い場合
(比較例1)は、P5Cl濃度が62.4重量%とな
り、目的のホスファゼニウム塩の濃度が低下する。一
方、塩基性化合物の使用量が本発明の上限値を超えた場
合(比較例2)、P5Cl濃度は15重量%以下であ
り、有機アニオンのホスファゼニウム塩の濃度も91.
8重量%と高い値を示しているが、ホスファゼニウム化
合物以外の塩基性化合物由来の化合物濃度が6.78重
量%と高くなる。
【0082】実施例1〜13より、P5Clを含む溶液
に、塩基性化合物を加えて接触させることにより、収率
良く、且つ、簡便に目的のホスファゼニウム塩を製造で
きることがわかる。実施例10より、五塩化リンと化学
式(3)で表されるイミノ化合物とを反応させて得られ
る無機アニオンのホスファゼニウム塩の溶液から、化学
式(4)で表される白色固体のイミノ化合物塩酸塩を除
去した溶液を用いると、一旦無機アニオンのホスファゼ
ニウム塩を単離精製しなくとも、有機アニオンのホスフ
ァゼニウム塩を収率良く製造できることがわかる。実施
例1〜13より、反応液中の水分が1重量%以下だと、
塩基性化合物と無機アニオンとの塩が実質的に反応液に
不溶であり、該塩を容易に分離できるため、純度の高い
塩基性のホスファゼニウム塩を得られることがわかる。
実施例4および12より、塩基性化合物と無機アニオン
の塩を分離した反応液の濾液にホスファゼニウムカチオ
ンと等モル以上の水を添加すると、ヒドロキシアニオ
ン、アルコキシアニオンからなるホスファゼニウム塩を
効率よくヒドロキシアニオンのホスファゼニウム塩に変
換できることがわかる。一方、比較例3〜5より、反応
液中の水分が1重量%を超えると、無機アニオンのホス
ファゼニウム塩の残存量が増加し、目的のホスファゼニ
ウム塩の収率と純度が低下することがわかる。
【0083】
【発明の効果】本発明の方法によれば、イオン交換樹脂
法等の煩雑な操作を経由しないで、簡便で、且つ、効率
的に、しかも純度の高いホスファゼニウム塩の製造が可
能である。従って、本発明の製造方法により得られるホ
スファゼニウム塩は、有機反応のみならず、高分子反応
にも使用できる極めて有用な化合物である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山崎 聡 愛知県名古屋市南区丹後通2丁目1番地 三井化学株式会社内 (72)発明者 原 康宣 愛知県東海市大田町東畑134番地 (72)発明者 伊豆川 作 愛知県名古屋市南区丹後通2丁目1番地 三井化学株式会社内 (72)発明者 昇 忠仁 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内 (72)発明者 高木 夘三治 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内 Fターム(参考) 4H050 AA02 BB11 BB12 BC10 BC30 BC31 BE10 BE11 BE14 BE60

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学式(1)[化1] 【化1】 (化学式(1)中のa、b、c及びdは、全てが同時に
    は0とならない0〜3の整数である。Rは同種または異
    種の炭素数1〜10個の炭化水素基であり、同一窒素原
    子上の2個のRが結合して環構造を形成する場合もあ
    る。rは、1〜3の整数であって、ホスファゼニウムカ
    チオンの数を表し、Tr-は価数rの無機アニオンを示
    す)で表されるホスファゼニウムカチオンと無機アニオ
    ンの塩と有機溶媒からなる溶液に、塩基性化合物を添加
    して反応させ、化学式(2)[化2] 【化2】 (化学式(2)中のa、b、c及びdは、全てが同時に
    は0とならない0〜3の整数である。Rは同種または異
    種の炭素数1〜10個の炭化水素基であり、同一窒素原
    子上の2個のRが結合して環構造を形成する場合もあ
    る。Q-は、ヒドロキシアニオン、又は炭素数1〜4の
    アルコキシアニオンを示す)で表されるホスファゼニウ
    ム塩を製造する方法であって、化学式(1)で表される
    塩に対し、塩基性化合物0.5〜2当量を用い、且つ、
    反応液中の水分を1重量%以下に制御して反応させ、次
    いで、塩基性化合物と無機アニオンとの塩を分離するこ
    とを特徴とする化学式(2)で表されるホスファゼニウ
    ム塩の製造方法。
  2. 【請求項2】 化学式(1)中のTr-のTがクロライド
    であり、rが1であることを特徴とする請求項1記載の
    ホスファゼニウム塩の製造方法。
  3. 【請求項3】 塩基性化合物と無機アニオンの塩を分離
    した後、反応溶液にホスファゼニウムカチオンに対し
    て、少なくとも等モルの水を添加することを特徴とする
    請求項1記載のホスファゼニウムヒドロキシドの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 化学式(1)で表される塩と有機溶媒か
    らなる溶液の溶媒が、飽和脂肪族炭化水素類、アルキル
    置換芳香族炭化水素類、ハロゲン化芳香族炭化水素類、
    及びハロゲン化アルキル置換芳香族炭化水素類から選ば
    れた少なくとも1種の有機溶媒であることを特徴とする
    請求項1記載のホスファゼニウム塩の製造方法。
  5. 【請求項5】 塩基性化合物が、アルカリ金属、アルカ
    リ土類金属、又は第4級アンモニウム類の水酸化物、及
    び、それらと炭素数1〜4のアルコキシドから選ばれた
    少なくとも1種の化合物であることを特徴する請求項1
    記載のホスファゼニウム塩の製造方法。
  6. 【請求項6】 塩基性化合物が、アルカリ金属水酸化
    物、及び炭素数1〜4のアルカリ金属アルコキシドから
    選ばれた少なくとも1種の化合物であり、該化合物を炭
    素数1〜4の脂肪族アルコール溶液として用いることを
    特徴とする請求項1記載のホスファゼニウム塩の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 反応温度が5〜180℃であることを特
    徴とする請求項1記載のホスファゼニウムヒドロキシド
    の製造方法。
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