JP2001087275A - サイドバルーンを備えた回転式アテレクトミーシステム - Google Patents

サイドバルーンを備えた回転式アテレクトミーシステム

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JP2001087275A
JP2001087275A JP34919599A JP34919599A JP2001087275A JP 2001087275 A JP2001087275 A JP 2001087275A JP 34919599 A JP34919599 A JP 34919599A JP 34919599 A JP34919599 A JP 34919599A JP 2001087275 A JP2001087275 A JP 2001087275A
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John S Honeycutt
エス.ハニーカット ジョン
Paul Taylor
テイラー ポール
Bradley S Culbert
エス.クルベルト ブラッドリー
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    • A61B17/3205Excision instruments
    • A61B17/3207Atherectomy devices working by cutting or abrading; Similar devices specially adapted for non-vascular obstructions
    • A61B17/320758Atherectomy devices working by cutting or abrading; Similar devices specially adapted for non-vascular obstructions with a rotating cutting instrument, e.g. motor driven

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Abstract

(57)【要約】 【課題】周囲の血管壁に与える影響が小さいアテレクト
ミー用の回転式医療器具を提供する。 【解決手段】横方向に偏向可能な回転式医療器具は、基
端と第1及び第2の側面を有する末端とを備える可撓性
の管状体(12)と、該管状体を通じて延びる回転可能
な駆動シャフト(24)と、管状体(12)の末端に配
置されるとともに駆動シャフト(24)に連結される回
転可能なカッター(22)と、管状体(12)の末端近
傍において第1の側面に配置される膨張可能なバルーン
(150)であって、血管内において膨らまされること
により管状体(12)の前記第2の側面を血管壁に向け
て動かすバルーン(150)とを備える。本発明により
非対称なアテローム硬化性病変の除去において病変の反
対側の血管壁への影響が最小に抑えられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は医療器具に一般的に
関し、より詳細にはアテレクトミーカテーテル器具に関
する。
【0002】
【従来の技術】動脈や他の身体の管路の閉塞物を除去し
たり、動脈や他の管路を修復するために様々な技術や器
具が開発されてきた。こうした技術及び器具では患者の
動脈内のアテローム硬化性プラークの除去をしばしばそ
の目的としている。アテローム硬化症は血管内膜(患者
の血管内皮の下にある)への脂質沈着(アテローム)に
よって特徴付けられる。時間の経過につれ、初期には比
較的軟らかく、コレステロールに富んだアテローム状物
質だったものが硬化して、石灰化したアテローム硬化性
プラークを形成する。アテロームは狭窄病変または狭窄
症とも呼ばれ、管路を閉塞させる物質は狭窄物質と呼ば
れる場合がある。適切な処置が行われない場合、こうし
た狭窄により組織への血流が著しく阻害され、アンギ
ナ、高血圧症、心筋梗塞、心臓発作などが引き起こされ
る。
【0003】こうした狭窄物質の一部または全てを除去
することを目的として幾つものアテレクトミー器具が開
発されてきた。米国特許出願第5,092,873号
(シンプソン)(Simpson)に開示されるものの
ようなある種の器具は、カテーテルの末端部にて担持さ
れる円柱状ハウジングの側壁の一部が切り抜かれて窓を
形成し、器具がプラークに接して置かれる際にこの窓を
通じてアテローム硬化性プラークが突出する構成となっ
ている。ハウジング内に配置されるアテレクトミーブレ
ードがハウジングの全長に沿って進められてアテローム
硬化性プラークのハウジング空間内に延出した部分を切
除する。こうした器具では、切除すべき組織の選択にお
いて方向の制御が可能であるが、アテレクトミーブレー
ドの1回の通過によって切除される部分の長さは器具内
部の空間の長さに限られる。この構成ではハウジングの
長さ及び比較的高い剛性のために操作性が制限され、し
たがって冠状動脈のような狭くて曲がりくねった動脈内
における器具の使用が制限される。またこうした器具は
一般的に、器具の長手方向の軸に対して横方向の切開に
しか用いられない。
【0004】狭くて曲がりくねった管路内のアテローム
硬化性プラークの除去に関する問題の幾つかを解決し得
た別の解決策として、可撓性の駆動シャフトの末端部に
担持される剥離要素を使用したものがある。こうした器
具の例は、米国特許出願第4,990,134号(オー
ス)(Auth)及び米国特許出願第5,314,43
8号(シュターマン)(Shturman)に示され
る。オース(Auth)特許に基づく器具は、可撓性の
駆動シャフトの末端部に担持される回転バーにダイアモ
ンドグリット(ダイアモンド粒子または屑)などの剥離
材料が付着させられた構成となっている。シュターマン
(Shturman)特許に基づく器具は、駆動シャフ
トの大径部分の回転ワイアに剥離粒子の薄層が直接付着
させられた構成を有する。こうしたシステムで用いられ
る剥離要素は200,000rpm以上の速度で回転
し、用いられる剥離要素の径に応じて剥離粒子の表面速
度は約1200cm/秒(40ft/秒)に達する。オ
ース(Auth)特許によれば、1200cm/秒(4
0ft/秒)以下の表面速度では、剥離バーは硬化した
アテローム硬化性物質を除去する一方で血管壁の柔らか
い正常な組織は傷付けない(参照 米国特許出願第4,
990,134号、第3コラム、20〜23行)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら全てのア
テローム硬化性プラークが硬化かつ石灰化したアテロー
ム硬化性プラークであるわけではない。更に、柔らかい
プラークの機械的性質は血管壁の柔らかい組織の機械的
性質に極めて近い場合がしばしばである。したがって、
アテローム硬化性物質を動脈壁から除去する際、特にア
テローム硬化性物質の全てかほとんど全てを除去しよう
とする際にはこうした剥離要素の除去効率の差のみに常
に頼れるわけではない。
【0006】更に、アテローム硬化性病変の大半は非対
称である(アテローム硬化性プラークが動脈の一側面に
おいて他方の側面よりも大きな厚さを有する)。これか
ら分かるように、狭窄物質は偏心した病変部の厚さの大
きい側から除去される前に厚さの小さい側において完全
に除去されてしまう。したがって、アテローム硬化性プ
ラークの厚さの大きい部分の残りを除去する際、オース
(Auth)特許に基づく器具の剥離バーまたはシュタ
ーマン(Shturman)特許に基づく器具の駆動シ
ャフトの剥離粒子にてコーティングされた大径部は、既
にプラークが取り除かれた健康な組織に必然的に接触す
る。実際問題として、こうした健康な組織により剥離要
素に対して横方向の圧力が作用せられることは管路の反
対側の側面に残った狭窄物質と剥離要素とを接触状態に
保持するうえで必要なことである。全体が動脈の一方の
側面にある狭窄病変(比較的頻繁に見られる)では、狭
窄病変の反対側の健康な組織は術式のほぼ全体を通じて
剥離要素に対して接触することになる。更に、この健康
な組織によって剥離要素に作用せられる圧力はアテロー
ム硬化性プラークに対して剥離要素を押圧する唯一の圧
力である。こうした条件の下では健康な組織に対するあ
る程度の損傷は、好ましくないことではあるが避けられ
ないものであり、穿孔や増殖性の治癒応答のリスクを伴
う。狭窄病変の反対側の「健康な組織」がこうした作用
によって幾分硬化する場合もある(可撓性が小さくな
る)。こうした状況ではオース(Auth)特許に述べ
られる除去効率の差の効果は小さくなり、この「健康
な」組織が除去されてしまう可能性があり、穿孔を伴う
場合もある。
【0007】したがって、回転式アテレクトミー器具を
開発するための上記及び他の努力にも関わらず、周囲の
血管壁に与える影響が最小であり、柔らかいアテローム
を通じて進めることが可能な器具が求められている。こ
うした器具は、塞栓の除去のリスクが最小であり、術式
の進行状況に関してリアルタイムのフィードバックを術
者に与えるものであることが好ましい。本発明はこうし
た要求に応えたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の一態様では横方向に偏向可能な回転式医療
器具を提供する。回転式医療器具は、基端と第1及び第
2の側面を有する末端とを備える可撓性の管状体と、該
管状体を通じて延びる回転可能な駆動シャフトと、管状
体の末端に配置されるとともに駆動シャフトに連結され
る回転可能なカッターと、管状体の末端近傍において第
1の側面に配置される膨張可能なバルーンであって、血
管内において膨らまされることにより管状体の前記第2
の側面を血管壁に向けて動かすバルーンとを備える。
【0009】このカッターは外壁を有する円筒状本体と
該外壁に沿って螺旋状に延びるカッティングスレッドと
を有するように構成することも可能である。更に、カッ
ティングスレッドはカッターの周囲に少なくとも1つの
螺旋状通路を形成することが好ましい。
【0010】更に回転式医療器具は、管状体を通じて延
びるとともに螺旋状通路に連通する吸引管腔を備えるよ
うに構成することも可能である。また、上記のカッティ
ングスレッドは少なくとも一部分において鋸刃状に形成
することが可能である。
【0011】回転式医療器具においてはカッターは管状
体の内部に配置されることが好ましい。更に回転式医療
器具においてはカッターの少なくとも一部分が管状体の
末端を越えて延びるように構成することも可能である。
【0012】更に回転式医療器具においてはバルーンは
柔軟な材料にて形成されることが好ましい。この場合バ
ルーンをポリウレタンにて形成されることが可能であ
る。
【0013】またバルーンをラテックスにて形成するこ
とも可能である。回転式医療器具においてバルーンが約
2mm〜約8mmの長さの膨張可能な部分を有するよう
に構成することも可能である。
【0014】バルーンは207kPa(30psi)の
圧力にて膨らまされた状態で約2.5mmを越えない径
を有することが好ましい。また、バルーンは偏心して配
置される尾部を有するように構成することも可能であ
る。
【0015】本発明の別の一態様に基づけば、基端及び
末端を有する長尺状の可撓性環状体と、該管状体を通じ
て延びる回転可能な駆動シャフトと、管状体の末端に配
置されるとともに駆動シャフトに連結される回転可能な
カッターと、管状体を通じて長手方向に延びる吸引通路
であって、該カッターにより遊離させられた物質を吸引
するための吸引通路と、管状体の一側面上に配置される
膨張可能なバルーンと、管状体を通じて延びるとともに
バルーンに連通する膨張管腔とを備える回転式医療器具
が提供される。この回転式医療器具は、脈管内において
バルーンを膨らませることにより管状体の末端が横方向
に変位することをその特徴とする。
【0016】この場合、回転式医療器具は、吸引通路に
よって吸引を行う間においてのみ駆動シャフトの回転を
可能とするためのレギュレータを制御部に有するように
構成することが可能である。
【0017】また、バルーンは偏心して配置された尾部
を有するように構成してもよい。その場合、バルーンは
ペレタンにて形成されることが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明を付属の図面に基づいて以
下に詳細に説明する。図1を参照すると、本発明に基づ
いた特徴及び利点を有する手術器具が参照符合10にて
一般的に示されている。手術器具10は、基端14及び
末端16を有する長尺の可撓性管状体12を備える。制
御部18は好ましくは管状体12の基端14もしくはそ
の近傍に配置され、器具10の操作を可能とする。制御
部18には電子制御部、指示計器部、及び真空制御部が
含まれるがこれらについては後述する。
【0019】図2の部分断面図を参照すると、管状体1
2は好ましくは長尺の中央管腔20を有する。管状体1
2はカッター22を受承するカッターハウジング21を
有し、カッターハウジング21の内部でカッター22は
回転することが可能である。カッター22は制御部18
に作動連結され、長尺かつ可撓性の駆動シャフト24に
よって回転させられる。これについては後述する。当業
者によれば理解されるように、こうした実施形態では、
駆動シャフト24はガイドワイア28を摺動可能に受け
るための長手方向に延びる第2の中央管腔26を有する
場合もある。更にこうした構成ではカッター22が中央
管腔を有する場合もある。
【0020】ガイドワイア28の直径は好ましくは約
0.025cm(0.010インチ)〜約0.050c
m(0.020インチ)の範囲である。ガイドワイア2
8及び管状体12の長さは経皮的アクセス部位と処置を
行う病変部との間の距離に応じて変わる。例として、ガ
イドワイア28及び管状体12は、本発明の手術器具1
0がガイドワイア28を辿って標的閉塞部に到達させら
れた時点で、術者(図に示されていない)による操作が
可能である程度にガイドワイア28の基端部が患者の体
外に残されるような充分な長さでなければならない。大
腿動脈からアクセスして冠状動脈のアテロームを除去す
る応用例では、当業者によれば認識されるように約12
0cm〜約160cmの長さを有するガイドワイアが使
用され、管状体12の長さは約50cm〜約150cm
の範囲である。血管移植片の再疎通を含む末梢血管の手
術などの他の応用では、ガイドワイア28及び管状体1
2の長さは、経皮的、外科的アクセス部位に対する移植
片や他の治療部位の位置に応じて変わる。冠状動脈での
用途に適当なガイドワイアとしてはガイダント(Gui
dant)社やコルディス(Cordis)社により製
造されるものがある。
【0021】図3及び図4を参照すると、カッター22
は、ほぼ円筒状のスリーブとして形成されるとともに中
央管腔32(図4)を有する円筒状本体30を備える。
カッター22の円筒状本体30は一般的に約0.090
cm(0.035インチ)〜約0.234cm(0.0
92インチ)の外径を有する。一実施形態においては、
この外径は約0.107cm(0.042インチ)であ
る。円筒状本体30は約0.008cm(0.003イ
ンチ)〜約0.025cm(0.010インチ)の壁厚
を有する。一実施形態においてはこの壁厚は約0.02
2cm(0.009インチ)である。一実施形態におい
て、基端34から末端36までのカッター22の長さは
約0.244cm(0.096インチ)であるが、この
長さは目的に応じて約0.102cm(0.040イン
チ)〜約0.304cm(0.120インチ)の値をと
りうる。通常、この先端部(カッター)の長さは約0.
254cm(0.100インチ)を越えないことが好ま
しい。先端部が短いほど横方向の柔軟性が大きくなり、
より遠隔点へのアクセスが可能となるが、このことは当
業者には自明であろう。
【0022】引き続き図3を参照すると、先端部として
のカッター22の末端36にはエンドキャップ38が形
成されている。エンドキャップ38は円筒状本体30を
加工して一体形成することが可能である。エンドキャッ
プ38は約0.018cm(0.007インチ)の厚さ
を有するが、エンドキャップの厚さは約0.008cm
(0.003インチ)〜約0.051cm(0.020
インチ)の範囲の値をとることが可能である。更に、別
に加工されたエンドキャップ38を取り付けることも可
能である。例として、エンドキャップ38はガイドワイ
ア28とエンドキャップ38との間の摩擦を低減させる
ためにより滑らかな材料にて形成することが可能であ
る。こうしたエンドキャップは任意の適当な方法で取り
付けることが可能である。エンドキャップ38の外径は
好ましくはカッター22の末端26の外径にほぼ等し
い。しかし、実施形態によってはエンドキャップの外径
を円筒状本体の内径に等しくなるように構成することも
可能である。
【0023】エンドキャップ38は中央部において小孔
39を有することが可能である。小孔39が形成されて
いる場合、好ましくは約0.033cm(0.013イ
ンチ)〜約0.064cm(0.025インチ)の直径
を有する。一実施形態においては、小孔39は約0.0
56cm(0.022インチ)の直径を有する。小孔3
9はガイドワイア28を収容するとともにこれを通じて
流体が流れることが可能である。カッターハウジング2
1には径方向内側に延びる環状フランジ41(図6参
照)が一体形成される。本発明はエンドキャップ38や
内側に延びる環状フランジ41を用いずに実施すること
も可能であることは認識されよう。こうした構成では、
フランジ41はカッターハウジング21の全周にわたっ
て延設されるか、または、一部を切り欠き形成して、内
側に突出した一連の突起として形成することが可能であ
る。更に、エンドキャップ38または環状フランジ41
の末端部の外側の縁は面取りや丸みをつけて加工の際に
生じる尖った縁を取り除き、エンドキャップにより組織
が傷付けられることがないように形成されている。
【0024】図2乃至図4を参照すると、カッター22
の基端34またはその近傍にはカッターハウジング21
内においてカッター22を固定するための連結部40が
設けられ、カッターハウジング21内でカッター22が
回転することが可能となっている。更に連結部40にお
いて機械的なセルフロック機構を用いてカッターハウジ
ング21内で回転するカッター22の位置を固定してハ
ウジング21に対するカッター22の好ましくない長手
方向の動きを防止することが可能である。実施形態によ
ってはハウジング21内において、更には管状体12内
において長手方向のカッターの運動が可能となっている
場合が考えられるがこれについては後に詳述する。
【0025】当業者によれば認識されるように、カテー
テルのカッターの誤作動防止手段として、安全ストラッ
プ、重複糊接合、圧着、及びスウェージングが一般的に
用いられている。連結部40によりカッター22がカッ
ターハウジング21内に保持されるためこうした多重の
安全手段を講じる必要は小さくなる。後述するように連
結部40は様々な形態をとることが可能である。
【0026】図2乃至図4に示される構成に類似した実
施形態では、一般的に連結部40は、径方向外側に延び
る支持部として2個の楔形フランジ42を備える。フラ
ンジ42はカッター22の基端34の環状をなすととも
に全周にわたったフランジの一部の材料を取り除くこと
で形成することが可能である。フランジ42は図に示さ
れるような楔形に形成してもよいが、他の形状に形成す
ることも可能である。フランジ42は円筒状本体30の
壁の基端側の延長部を折曲して形成するか、あるいはカ
ッター22の基端34に接着などにより取り付けること
が可能である。更に当業者によれば認識されるように、
カッター22及びフランジ42は選択される材料に応じ
て適当な方法を用いて鋳造または型成形することが可能
である。当業者によれば認識されるようにフランジ42
はカッターの基端34と末端36との間において円筒状
本体30に取り付けることも可能である。
【0027】図2乃至4には互いに反対の位置に形成さ
れた2個のフランジ42が示されているが、当業者にと
って自明であるように3個以上のフランジ42を形成す
ることも可能である。一般的にフランジ42は、カッタ
ー22が回転する際のバランスを向上させるためカッタ
ー22の全周にわたって均一に分布するように形成され
なくてはならない。例として、3個のフランジ42をそ
れぞれが互いに約120度の中心角を隔てて円筒状本体
30の壁から径方向外側に延出するように形成すること
が可能である。同様に径方向外側に延出する4個のフラ
ンジ42を互いに約90度の中心角を隔てて形成するこ
とが可能である。
【0028】図8乃至図10を参照すると、連結部40
の別の構成が示されている。図に示された構成では、径
方向外側に延出する支持部42がやはりカッター22の
基端の環状かつ全周にわたったフランジから材料を除去
することにより形成されている。支持部42は支持部4
2が形成される際にカッター22から削り出されるタン
グ43においてカッター22の残りの部分に連結され
る。この構成によりタング43は上述のアームを形成す
るスロットを必要としない。無論スロットとアームの組
合わせ、及びスロットの形成されていないタングを用い
てフランジ42をカッター22に取り付けることも可能
である。図に示した実施形態では、タング43は好まし
くは約0.025cm(0.010インチ)〜約0.1
27cm(0.050インチ)の長さを有する。より好
ましくは、タング43の長さは約0.038cm(0.
015インチ)である。一実施形態においては、タング
は約0.635cm(0.25インチ)の長さを有す
る。タングはまた約0.025cm(0.010イン
チ)〜約0.127cm(0.050インチ)の幅を有
する。本発明の好ましい一実施形態においては、タング
の幅は約0.051cm(0.020インチ)である。
【0029】図に示した連結部40の互いに対向する2
個のフランジ42における外径は約0.180cm
(0.071インチ)である。一般的に冠状動脈での使
用を目的とした器具ではこの外径は、約0.145cm
(0.057インチ)〜約0.244(0.096イン
チ)の範囲である。長手方向におけるフランジ42の厚
さ(フランジに基づく大径部の径方向に対して垂直な長
さ)は約0.025cm(0.010インチ)である
が、約0.010cm(0.004インチ)〜約0.0
64cm(0.025インチ)の範囲の値をとりうる。
フランジ42における外径がハウジング21の環状保持
溝54の内径と協働するように選択されることにより、
カッター22はハウジング21に対して回転することが
可能であるが長手方向の動きは規制される。これについ
ては後述する。フランジ42の厚さ及び保持溝54の幅
は、ハウジング21内におけるカッター22の長手方向
の動きを可能とするか、あるいはハウジング21内にお
けるカッター22の長手方向の動きを制限または防止す
るように選択することが可能である。
【0030】引き続き図3を参照すると、各フランジ4
2は好ましくはバネアーム43によりカッター22に取
り付けられる。アーム43はそれぞれ、円筒状本体30
の、各フランジ42に隣接した部分の壁に形成される2
本の長手方向のスロット44によって定義される。スロ
ット44は好ましくは約0.013cm(0.005イ
ンチ)の幅を有するが、この幅は約0.0025cm
(0.001インチ)〜約0.064cm(0.025
インチ)の範囲の値をとりうる。円筒状本体30の長手
方向に沿ったカッター22のスロット44の長さは少な
くとも約0.064cm(0.025インチ)である。
カッター22に形成されたスロット44の長手方向の長
さを変えることにより、フランジ42をカッター22に
連結するための片持ち梁状部分としてのアーム43の長
さを変えることが可能であることは当業者によれば直ち
に認識されよう。2本のスロット44、スロット44に
よって定義されるアーム43、及びタングにより、フラ
ンジ42及びバネアーム43またはタングを径方向内側
に押し込むことが可能であるためカッター22のアッセ
ンブリをカッターハウジング21内において緩めること
が可能である。これについては後述する。
【0031】当業者によれば認識されるように、カッタ
ー22は特にスロット44を含む部分において適当なバ
ネ定数を有する材料にて形成されることが望ましい。一
実施形態では、カッター22は医療用途水準のステンレ
ス鋼合金にて形成される。使用される材料は、片持ち梁
状のバネアーム43が材料の弾性限界を越えない範囲で
アーム43の全長にわたって適当な距離だけ径方向内側
に屈折することを可能とするような性質を有することが
好ましい(この屈折は弾性変形である)。知られるよう
に弾性変形により、構造体は屈折される際に元の形状ま
たは位置にほぼ復帰する。例として、選択される材料の
弾性を特別な硬化法を用いて特定の用途に求められる屈
折範囲に維持することが可能である。
【0032】図2を参照すると、カッター22がカッタ
ーハウジング21内に挿入されている。アーム43が径
方向内側に屈折可能であることにより、カッターハウジ
ング21の保持溝54の内径よりも小さい内径を有する
開口または管腔を通じてカッター22をカッターハウジ
ング21内に挿入することが可能である。カッター22
は好ましくはハウジング21の末端側から挿入され、フ
ランジ42が溝54に嵌まる位置まで基端側に向けて押
し込まれる。これによりカッター22は駆動要素24か
ら外れた場合にもハウジング内に保持される。アーム4
3はカッター22が所定位置に設置された時点でカッタ
ーハウジング21の保持溝54内において元の非緊張状
態の形状に復帰することが望ましい。必要に応じてアー
ム43を若干の屈折応力の下に保持することも可能であ
ることは認識されるであろう(溝54の内径が非緊張状
態のフランジ42の外径よりも小さくてもよい)。
【0033】図2乃至図7を参照すると、血栓などの閉
塞に対して切除などの操作を行うための外部要素の詳細
が示されている。要素はカッター22の円筒状本体30
の外表面の一部に沿って延びるスレッド46を有する。
スレッド46は好ましくは円筒状本体30の連結部40
の末端側にあたる位置から末端方向に向けて延設され
る。スレッド46は当業者には周知の適当な技術のいず
れかを用いて形成することが可能である。
【0034】内径が約0.1740cm(0.0685
インチ)であるカッターハウジング21を有する一実施
形態においては、スレッド46の大径は約0.1730
cm(0.0681インチ)であるが、スレッド46の
大径はカッターハウジングの内径及び目的とする臨床学
的用途に応じて、約0.127cm(0.050イン
チ)〜約0.330cm(0.130インチ)の範囲の
値をとることが可能である。前述の実施形態のスレッド
46は約0.0772cm(0.0304インチ)のピ
ッチを有し、望ましくは螺旋状に形成される。このピッ
チは約0.013cm(0.005インチ)〜約0.1
52cm(0.060インチ)の範囲の値をとることが
可能であり、カッター22の長手方向に沿って一定であ
っても変化してもよい。本実施形態におけるスレッド4
6の長手方向の厚さは約0.020cm(0.008イ
ンチ)であるが、この厚さは約0.007cm(0.0
03インチ)〜約0.127cm(0.05インチ)の
範囲の値をとることが可能であり、またスレッド46の
全長に沿って一定であっても変化してもよい。したがっ
てカッター22はほぼ螺旋状のスレッドを有することも
考えられる。
【0035】図に示された実施形態のあるものにおいて
は、スレッド46は円筒状本体30をほぼ2周して延び
る。図に示されるように、スレッド46は径方向外側に
延びる連続したリッジとして形成することが可能であ
り、また、径方向に突設されるとともに螺旋状に好まし
くは配置される複数のブレードまたは突起として形成す
ることも可能である。スレッド46は円筒状本体30を
最小で約1/2〜1周、また最大で約2.5周または3
周またはそれ以上にわたって巻回するように形成するこ
とが可能であり、これについては以下に詳述する。スレ
ッド46の長さは、所望の操作性(曲がりくねった解剖
学的構造内への挿通可能性)、カッター22の長さ、及
びカッター22によって行われる切除動作や吸引動作の
性質といった所望の臨床学的目的を考慮した一般的な実
験を通じて最適化することが可能である。更に、本実施
形態のカッター22は単一のブレードを有するものとし
て説明されているが、当業者であればカッター22は複
数のスレッドまたは不連続なスレッドを有することも可
能であり、またスレッドを有さない構成も可能であるこ
とは認識されよう。
【0036】図6及び図7を参照すると、スレッド46
は一定のピッチにて形成され、その断面はスレッドの全
長に沿ってカッター22の末端36における比較的高さ
の小さい断面からカッター22の基端34における比較
的高さの大きい断面へと変化している。このように傾斜
したスレッド46により、カテーテルがより密度が高い
閉塞物に用いられる際の性能が向上する。こうした実施
形態においては、スレッド46の末端部47の大径は、
円筒状本体30のより基端に近い部分におけるスレッド
の大径よりも小さくなっている。スレッド46のピッチ
をスレッド46の断面とともに変化させてスレッドに基
づく臨床学的効果を変えることが可能である。
【0037】直前に述べたようにスレッド46のピッチ
を円筒状本体30の長手方向に沿って変化させることが
可能である。カッター22の末端36ではスレッドの長
手方向の間隔を比較的大きくして対象となる物質に接触
させ、カッター22の基端34ではスレッドの長手方向
の間隔を比較的小さくしてその物質を処理するといった
要領でピッチを変化させることによりカッター22の長
手方向に沿った異なる点において機能の改変を図ること
が可能である。一般にピッチは末端における約0.02
5cm(0.010インチ)〜基端における約0.20
3cm(0.080インチ)の範囲の値をとりうる。一
実施形態においては、ピッチは末端36において約0.
086cm(0.034インチ)であり、基端34にお
いて約0.137cm(0.054インチ)であり、末
端36と基端34との間で連続的に変化している。ピッ
チの最大値、最小値、及び基端34と末端36との間に
おけるピッチの変化率は本開示を考慮した一般的な実験
により当業者によって最適化することが可能である。
【0038】図6を参照すると、スレッドが傾斜してい
ることによりカッターハウジング21を越えて末端方向
に延出するカッター22の末端部36と、カッターハウ
ジング21の内部に保持されるカッター22の基端部3
4とが区分される。これはカッターハウジング21の内
ボアの径と比較した場合にカッターハウジング21の末
端52の開口39の径を小さくする径方向内側に突出し
た保持フランジ41によるものである。図3に示される
ように、スレッド46は末端部45においてその縁に面
取りや丸みがつけられることによって鋭い角が取り除か
れている。このように鋭い角あるいは縁を取り除くこと
により患者に不用意に損傷を与えるリスクが低減され
る。円筒状本体30の末端縁やフランジ42にもこうし
た面取りや丸みをつけて鋭い縁を取り除くことが可能で
ある。
【0039】図2を参照すると、本実施形態におけるス
レッド46の外縁はカッターハウジング21の内径すな
わち内壁に対して摺動可能に接触する部分を有する。こ
の構成では、アテローム性物質はスレッド46によって
捻除された後、フランジ42に向けてハウジング21の
奥へと送られてフランジ42によって細片化されるかも
しくは擂り潰される。フランジ42によるこうした細片
化または擂り潰し動作の効果を上げるため、1個もしく
は1組の固定部材(図に示されていない)を配設して、
回転するフランジ42と固定部材(図に示されていな
い)とがせん断動作を行うように構成することも可能で
ある。このせん断動作により物質片は後述するように、
より短い部分に砕かれ、器具を詰まらせる可能性が小さ
くなる。更に、必要に応じてフランジ42に尖鋭な面取
りを施した縁を形成して異なる切断動作を行うように構
成することも可能である。
【0040】実施形態によってはスレッド46の外径と
カッターハウジング21との間に環状の空間を設けるこ
とが望ましい場合もある。中央管腔20とスレッド46
との間に間隙を設けることによりカッター22のスレッ
ド46によって物質が切断されることなくカッターハウ
ジング21を通過するための環状空間が与えられる。後
述するように、この構成において吸引を行って物質をス
レッド46やフランジ42によって完全に切断すること
なくアテレクトミー器具内に吸引することが可能であ
る。これは吸引による物質の除去速度がスレッド46の
作用による物質の除去速度よりも大きい場合に有利であ
る。更に、回転式アテレクトミー器具において、スレッ
ド46により狭窄物質の全体を通じて切り進む必要がな
いことにより、カルシウム沈着プラークなどの特定の病
変をより速やかに吸引することが可能である。一般にス
レッド46とカッターハウジング21との間の径方向の
距離は、こうした特定の実施形態における所望の効果を
得るうえで、約0.00025cm(0.0001イン
チ)〜約0.0203cm(0.008インチ)の値で
あることが望ましい。柔らかいアテロームの吸引のみを
目的とした実施形態においては、スレッド46による切
断機能をなくすかもしくはスレッド46自体を省略して
吸引要素によって吸引を行い、切断動作はフランジすな
わちカッターブロック42または固定部材(図に示され
ていない)によって行われるように構成することが可能
である。
【0041】組織を傷付けない末端部が用いられること
が望ましいインターベンションの例として、これに限定
されるものではないが、伏在静脈グラフがある。図7に
示されるようなこうした実施形態においては組織を傷付
けないような先端部を有するカッター22が用いられ
る。カッター22は末端において球状すなわち丸みが付
けられた先端部23を有する。先端部23は長手方向の
中心軸線に対して線対称であることが好ましく、カッタ
ー22の回転の際に組織を傷付けない滑らかな組織接触
面を与える。例として図7の側面図に示されるように、
先端部23の末端面は、曲面または先端を切り落とした
(平面)形状に形成され、その側面はほぼ半球状、長円
形、楕円形、非球面状または他の滑らかな曲面として形
成される。当業者によれば認識されることであるが、先
端部23の形状を変えることによりカテーテルの通過面
積や柔らかいアテロームなどに対する所望の効果を得る
ことが可能である。一般に先端部23により正常な血管
壁とスレッド46や他の切除要素とが接触することによ
って組織が傷付けられる可能性が低減される。
【0042】先端部23の外径は、円筒状本体30の外
径とカッターハウジング21の外径との間の範囲の値を
とることが可能である。カッターハウジング21の外径
よりも大きな径を用いることも可能であるが、カッター
ハウジング21の外径よりも小さな径を用いることによ
りアテレクトミー器具10の通過面積を小さくすること
が容易となる。先端部23の長手方向の長さは目的とす
る用途に合わせて変えることが可能であるが、冠状動脈
において用いられる場合には一般に約0.127cm
(0.050インチ)〜約0.254cm(0.100
インチ)の値をとる。
【0043】先端部23の外表面には適当なテクスチャ
を与えるなどの処理を適宜施すことが可能である。当業
者によれば認識されるように、表面のテクスチャは、剥
離用コーティング(先端部をダイアモンド粒子にてコー
ティングする)、酸によるエッチング、または他の任意
の適当な方法によって形成することが可能である。こう
したテクスチャまたは表面処理を先端部23の末端面及
び側面の少なくともいずれか一方に施すことにより、接
触する物質に対して2段階の作用を与えることが可能で
ある。すなわち、先端部を用いて接触する物質を粉砕も
しくは再形成することが可能である。例として、剥離用
末端面を用いてカルシウム沈着プラークを通じて切り進
む一方で、滑らかな側面によって柔らかい組織を血管壁
に対して押し付けてカッター22の螺旋状スレッド46
内へのプラークの導入を促すことが可能である。スレッ
ド46の末端47と先端部23の基端との間の距離、及
び当該部分の形状を変えることによりカッターの侵襲性
を調整することが可能である。例として、スレッド46
を先端部23の基端縁にまで至るように延設することに
より、先端部23の基端縁とスレッド46の末端47と
の間にスレッドが形成されていない所定の長さのシャフ
ト部を有するカッター22と比較して、カッターに接触
した物質がより速やかにスレッド内に送り込まれる。
【0044】先端部23は当業者には周知の加工技術を
用いてカッター22と一体形成することが可能である。
また、先端部23は、ハンダ付け、接着剤、機械的組み
付け手段、ネジ機構などを用いて別々に形成してカッタ
ー22に取り付けることも可能である。先端部23は、
適当な金属から削り出すか金型成形するかもしくはポリ
エチレン、ナイロン、PTFEや当業者には周知の他の
材料などの適当な高分子材料にて形成することが可能で
ある。
【0045】更に、カッター22自体をその末端面にお
いて鋸刃状または不連続な形状を有するように加工する
ことも可能である。不連続な形状を有するように形成さ
れたスレッドが末端側に向かった多数の歯をなす多数の
傾斜面を有するように構成することも可能である。こう
した構成では、カッターの前方に向かった侵襲性がより
大きくなる。図8乃至図10を参照すると、このような
構成を有するカッター22が示されている。カッター2
2にはスレッド46の末端部47に沿って多数の鋸刃5
7が形成されている。カッターを尖端(図に示されてい
ない)を有するように延長してそこに鋸刃を形成するこ
とも可能である。鋸刃57はカッター22の中心軸から
径方向外側に延びるように形成されることが好ましい。
図に示した鋸刃57は直線にて形成されているが、鋸刃
57は湾曲した鎌状の面を有するように形成することも
可能である。図に示された鋸刃57は好ましくは約0.
0013cm(0.0005インチ)〜約0.0102
cm(0.0040インチ)の深さを有する。より好ま
しくは鋸刃57は約0.0051cm(0.0020イ
ンチ)の深さを有する。鋸刃57は回転軸を含む長手方
向の平面に対して約45°〜約85°の角度をとる傾斜
面59を有することが好ましい。本発明の好ましい一構
成においては、斜面は該平面に対して約60°の角度を
とって延びる。更に、斜面59の長さ(ラン)は好まし
くは約0.0051cm(0.0020インチ)〜約
0.0127cm(0.0050インチ)である。好ま
しい実施形態においては、ランは約0.0089cm
(0.0035インチ)である。図に示されたカッター
の鋸刃は、カッター22の末端36の前方に対向する部
分45のみにわたって形成されるが、カッター22にお
いてスレッド46の全長にわたって鋸刃を形成すること
も可能であることは認識されよう。
【0046】多くのインターベンションにおいて、カッ
ター22はカッターハウジング21内において長手方向
に動くことが可能な状態となっていることが望ましい。
こうした構成ではカッター22はアンチロック式のスレ
ッドを有することが好ましい。例としてスレッド46は
軸方向への変位が最大または最小となる位置においてカ
ッターハウジング21内でつかえることがないように構
成することが可能である。こうした構成では、アテレク
トミー器具10の末端の開口径よりもスレッドの大径の
最小値を大きくするか、カッターハウジング21の末端
に形成される環状フランジ41の厚さよりもピッチの大
きさを小さくする。当業者によれば他の構成も直ちに明
らかとなろう。柔らかい物質片を破砕する際にカッター
22の自動調整を可能とするうえで軸方向の変位とスレ
ッドの形状とが協働することが望ましい。
【0047】カッターハウジング21は内部にカッター
22を収容するために2個の部分から構成されることが
望ましい。これら2個の部分をレーザ溶接などにより互
いに固着する。一実施形態においては、ハウジング21
は長手方向に2個の部分に分割することが可能であり、
カッター22を挿入した後に2個の部分を互いに固着す
る。別の一実施形態においては、ハウジング21は末端
側の部分と基端側の部分との2個の部分に分割すること
が可能である(図6)。カッター22が内部に収容され
るようにこれら2個の部分を組み合わせ、レーザ溶接な
どにより互いに固着する。こうしたアッセンブリによ
り、カッター22をカッターハウジング21内に収容す
ることが可能であり、更にカッター22及びカッターハ
ウジング21の製造交差を比較的大きくとることが可能
であるため、製造コストの低減につながる。更にこうし
たアッセンブリではフランジ42の変位が小さくなるた
め(ハウジング21内に挿入する際にフランジ42を屈
折させる必要がない)、より緊密な嵌合が可能である。
【0048】カッター22は回転運動を行うために上述
したようにカッターハウジング21内に能動的に保持さ
れることが望ましい。再び図2を参照すると、カッター
ハウジング21は基端側部分50及び末端側部分52を
有するとともに段差が形成された円筒として構成されて
いる。カッターハウジング21または管状体12に対し
てカッター22が長手方向に動くことが可能な実施形態
では、環状支持面48(図6参照)によってカッター2
2上のフランジ42の運動範囲の基端側限界が規定され
る。環状支持面48は、カッターハウジング21(図6
参照)または管状体12(図に示されていない)内に形
成することが可能である。
【0049】冠状動脈に用いられる特定の実施形態にお
いては、カッターハウジング21の末端側部分52の内
径は約0.1750cm(0.0689インチ)であ
り、約0.127cm(0.050インチ)〜約0.3
81cm(0.150インチ)の範囲の値をとることが
可能である。カッターハウジング21の基端側部分50
は約0.1417cm(0.0558インチ)の内径を
有することが好ましい。カッターハウジング21の基端
側部分50の内径は、約0.0889cm(0.035
インチ)〜約0.3302cm(0.130インチ)の
範囲の値をとることが可能である。カッターハウジング
21は、末端側部分52において図6の環状フランジ4
1のような径方向内側に延びる保持リップを有する。保
持リップはカッター22がカッターハウジング21内に
収容され、かつカッター22がカッターハウジング21
内の収容位置から回転運動によって脱出することのない
ように構成されている。
【0050】カッターハウジング21の末端側部分52
の外径は、一実施形態においては約0.2001cm
(0.0790インチ)であるが、カッターの形状及び
目的とする臨床学的用途に応じて約0.0991cm
(0.039インチ)〜約0.381cm(0.150
インチ)の範囲の値をとることが可能である。図に示さ
れた実施形態におけるカッターハウジング21の末端側
部分52は、約0.2972cm(0.117インチ)
の長さを有するが、約0.0508cm(0.020イ
ンチ)〜約1.27cm(0.50インチ)の長さを有
することも可能である。図2に示される実施形態におい
て、カッターハウジング21の基端側部分50の外径を
末端側部分52の径よりも小さくして環状肩部51を設
けることにより、管状体12内において基端側部分50
が基端方向へ移動することを防止することが可能であ
る。カッターハウジング21の基端側部分50の長手方
向の長さは約0.2286cm(0.09インチ)であ
るが、この長さは異なる値をとり得ることは当業者には
認識されよう。
【0051】一般にカッターハウジング21は、当業者
には周知の任意の異なる技術を用いて管状体12の末端
部16に対して一体形成されるか、あるいは末端部16
とは別々に形成された後に取り付けられる。図2に示さ
れた同心状に重なり合う接合部は、ハンダ付け、接着
剤、溶剤接着、圧着、据え込み、または熱接着などの各
種の2次的な保持技術とともに用いることが可能であ
る。また、上記構成に代えるかこれと併用して、環状の
外側スリーブ(図に示されていない)をカッターハウジ
ング21と管状体12との間の接合部に熱収縮によって
取り付けることが可能である。図に示されてはいない
が、カッターハウジング21の基端側部分50を管状体
12の末端部16内に挿入し、カッターハウジング21
の最も基端側に近い部分の周囲に接着剤を使用して2個
の部分を固着することが好ましい。こうした構成では、
カッターハウジング21の基端側部分50によって駆動
要素24の外側表面と中央管腔20の内面との間に形成
される環状空間が塞がれないことが望ましい。こうした
連結手段をここで述べられるカッターハウジング21の
任意の構成において用いてカッターハウジング21の内
部に係止部を設けることにより、管状体12の末端部1
6に対するカッターハウジング21の長手方向の変位を
規制することが可能であることは容易に認識されよう。
【0052】再び図2を参照すると、カッターハウジン
グ21の末端側部分52の基端側の内部には、上述した
ように浅い保持溝54が径方向外側に向けて形成されて
いる。一実施形態においては保持溝54の深さは末端側
部分52の内面からみて約0.0038cm(0.00
15インチ)であるが、この深さは約0.0013cm
(0.0005インチ)〜約0.051cm(0.02
0インチ)の範囲の値をとることが可能である。図に示
された実施形態における保持溝54の長手方向の幅は約
0.034cm(0.0135インチ)であるが、当業
者であれば直ちに認識されるように、溝の幅は異なる値
をとることが可能であり、その場合においてなお後述す
る保持機能を維持することが可能である。更に、保持溝
54は、カッター22を管状体12内に引き込むことが
可能であるようにカッターハウジング21の基端側に向
けて延設することも可能である。
【0053】保持溝54はカッター22のフランジ42
と協働し、上記に詳述したようにカッターハウジング2
1内にカッター22を保持する。フランジ42によって
カッター22の保持面が与えられ、カッターハウジング
21に対するカッター22の回転運動を助ける。更に、
フランジ42と保持溝54の長手方向の寸法がほぼ等し
い部分において、カッターハウジング21内におけるカ
ッター22の長手方向の運動がほぼ防止される。当業者
によれば容易に認識されるように、保持溝54の長手方
向の幅はフランジ42の厚さと比較して大きく形成する
ことが可能であり、これにより上述したようにカッター
ハウジング21内におけるカッター22の長手方向の運
動が可能であり、更にはカッター22を管状体12内に
引き込むことが可能である。
【0054】引き続き図2を参照すると、カッター22
の最も末端側に近い部分はカッターハウジング21の最
も末端側に近い部分に対してほぼ揃っている。この場
合、カッターハウジング21の、保持溝54から見て末
端側に位置する部分の長さは、カッター22の、フラン
ジ42の末端側の面から見て末端側に位置する部分の長
さにほぼ等しい。カッターハウジング21の末端側部分
52とカッター22とが互いにほぼ面一となるように配
置されることにより、カッター22によって血管内部が
誤って傷付けられる可能性が減少する。しかし、当業者
であれば直ちに認識されるように、カッター22の末端
36が、カッターハウジング21の末端側部分52の末
端を越えて延出するか(図7の実施形態)、またはカッ
ターハウジング21の内側に位置するように構成するこ
とも可能である。更に、カッターハウジング21からカ
ッター22を繰り出す動作、及びハウジング内にカッタ
ー22を引き込む動作を選択的に行うことが可能である
ようにカッター22を構成することも可能である。この
構成の利点については後述する。
【0055】カッター60及びこれとともに用いられる
カッターハウジング70の別の一実施形態が図5(a)
及び図5(b)に示されている。カッター60はカッタ
ー22と同様の特徴を多く兼ね備えているが説明を容易
とするために類似の要素にも新たな参照符合を付した。
しかし、上述の特徴や利点を有するカッター22は以下
に述べるカッター60に容易に置換可能であることは当
業者によれば直ちに認識されるであろう。回転軸に対し
て線対称であるカッター60は本体61を備える。本体
61の基端64付近には保持溝62などの環状保持構造
が形成される。図に示された実施形態の保持溝62すな
わち連結部は、約0.0179cm(0.007イン
チ)の深さと約0.0203cm(0.008インチ)
の幅を有するが、これらの寸法は必要に応じて変えるこ
とが可能であり、その場合においてなお所望の保持機能
を維持し得ることは当業者によれば直ちに認識されるで
あろう。保持溝62の基端側にあたる本体61の外周に
は、約0.102cm(0.04インチ)〜約0.09
1cm(0.036インチ)の範囲で丸みまたはテーパ
が付けられている。この場合、全ての縁に面取りまたは
丸みをつけてガタツキをなくすとともに角をとり除き、
組み立てを容易とすることが好ましい。カッター60は
上述したものと同様のスレッド66を有することも可能
である。
【0056】カッター60は、カッターハウジング70
の末端74からカッター60を挿入することによりカッ
ターハウジング70内に嵌着されることが好ましい。カ
ッターハウジング70は、保持溝54の代りに複数の径
方向内側に延びる保持部材72が用いられている点を除
いて上述のカッターハウジング21と同様のものである
ことが好ましい。図5(b)を参照すると、カッターハ
ウジング70は好ましくはハウジングの中心軸に対して
対称に配置された(互いに約120度の中心角を隔てて
配置された)3個の保持部材72を有する。保持部材の
数、大きさ、及び形状は変更可能であることは当業者に
よれば直ちに認識されるであろう。2個の保持部材が互
いに反対側に位置する構成や、3以上の保持部材を有す
る構成を実施することは容易に可能である。しかし、実
施形態によっては1個のみの保持部材を、必要に応じて
複数のカッターブロック(上記実施形態において参照符
合42にて示される)とともに用いて固定カッター部材
として機能させることが可能である。
【0057】上述のアーム43と同様、保持部材72は
弾性範囲内で屈折させることが可能な大きさ及び形状に
構成され、後述するように屈折させて保持溝62に嵌め
ることが可能である。ここでもやはり嵌着可能な構成に
より、カッター60が駆動要素(図に示されていない)
から離脱した場合においてもカッター60はカッターハ
ウジング70内に保持されるために有利である。
【0058】直前に述べたように、保持部材72は固定
カッター要素としての更なる機能を有する。この場合、
保持部材72の大きさは適宜調整される。図に示された
保持部材72の長手方向の厚さは約0.018cm
(0.007インチ)であるが、この厚さは約0.00
8cm(0.003インチ)〜約0.076cm(0.
030インチ)の範囲の値か、または選択される材料や
長手方向の運動の所望の規制度に応じて異なる値をとる
ことが可能である。保持部材72は、円筒状をなすカッ
ターハウジング70の内面から約0.018cm(0.
007インチ)内側に延びるが、保持部材72の長さは
カッターハウジング70及びカッター60の所望の寸法
に応じて変えることが可能である。図5(b)に示され
るように、保持部材72の側縁73は径方向内側及び径
方向外側において中央部よりも幅が広くなるような径を
有することが可能である。更に、保持部材72は凹面を
有する径方向部材として示されているが、凸面を有する
径方向部材として形成して断面が滑らかに変化するよう
に構成することも可能である。
【0059】当業者によれば直ちに認識されるように、
保持部材72はカッター60の保持溝62に係合するよ
うに形成されている。保持部材72及び保持溝62は、
カッターハウジング70に対するカッター60の長手方
向の運動を規制するか、あるいはカッターハウジング7
0とカッター60との間で長手方向の運動がある程度可
能であるような大きさ及び形状に形成されている。保持
部材72はまた、カッターハウジング70に対するカッ
ター60の回転運動を助けるための支持面を与える。例
として、カッター60の保持溝62が保持部材72の端
部に係合することにより、保持部材72の最も内側の縁
によって支持面が与えられ、カッターハウジング70に
対するカッター60の回転運動を可能にする。上述のア
ッセンブリと同様、カッター60の末端65はカッター
ハウジング70の末端74に対してほぼ面一となってい
る。また、カッター60の末端65は、図5(a)に示
される構成と同程度またはそれ以上の距離だけカッター
ハウジング70の末端74から延出するか、またはカッ
ターハウジング70の末端からみて内側に位置するよう
に構成することが可能である。更に、特定の用途におい
てカッターハウジング70からカッター60を繰り出す
動作、及びハウジング内にカッター60を引き込む動作
を選択的に行うことが可能であるように構成することも
可能である。この構成の利点については後述する。
【0060】再び図2を参照すると、可撓性の駆動シャ
フト24の末端はカッター22に形成された長手方向の
管腔32内に固定されている。カッター22は、圧着、
据え込み、ハンダ付け、締まりばめ機構、またはネジ機
構などの任意の方法を用いて可撓性駆動シャフト24に
取り付けることが可能であるが、このことは当業者にと
っては自明である。また、可撓性駆動シャフト24を長
手方向にカッター22に挿通し、カッター22の末端3
6において固定することも可能である。
【0061】ここに述べられる実施形態の全てにおい
て、カッターハウジング21に対するカッター22の長
手方向の運動が可能であるようにカッターハウジング2
1内にカッター22が収納されるよう、カッター22及
びカッターハウジング21を構成することが可能であ
る。例として、図2及び図5(a)に示される実施形態
のいずれにおいても、フランジ42または保持部材72
の長手方向の寸法に対する環状保持溝54,62の長手
方向の寸法を大きくすることにより、若干の長手方向の
運動が可能となる。環状の基端側係止部48(図2)を
管状体12に沿って、例えば末端側部分52より約5c
m〜約10cmまたは20cmの範囲にある特定の位置
にまで基端側に動かすことが可能である。これにより管
状体12の末端側の約10cmまたは20cmまたはそ
れ以上の長さの部分の横方向の可撓性を大きくすること
が可能である。また、基端側係止部48を完全に省略す
ることにより、管状体12全体の内径が、実施形態に応
じて、フランジ42またはその構造的均等物、またはス
レッド46の外径を受け容れることが可能であるように
構成することが可能である。当業者によれば直ちに認識
されるように、図6及び図7の構成に示されるような制
限された長手方向の運動を可能とすることも考えられ
る。
【0062】一般に、器具の閉塞や、器具の先端が血管
壁に押し付けられることによって血管壁が傷付けられる
可能性を減らすうえで、約1〜2mm程度またはそれ以
下の比較的に小さな長手方向の運動が可能であることが
望ましい。若干の長手方向の運動が可能であることによ
り、管状体12と駆動シャフト24との間の膨張率また
は収縮率の差が補償される。
【0063】例として、硬い閉塞物質に対する接触性を
向上させる目的でハウジング21を部分的に越えてカッ
ター22を延出させることが可能であるような実施形態
においては、より大きな長手方向の運動が可能であるこ
とが好ましい。器具10の挿入時において、血管壁に与
える損傷を最小限に抑えるためにカッターハウジング2
1内にカッター22を引き込むことが可能であることが
望ましい場合もある。器具10の挿入完了後、カッター
ハウジング21の末端側部分52を約1mm〜約3また
は5mmだけ越えるようにカッター22を末端側に前進
させ、カッターハウジング21内に取り込まれるべき閉
塞物質に接触させる。
【0064】アテレクトミーカテーテルの位置決めを行
う際には、ハウジング21内にカッター22をより大き
な距離、例えば末端側部分52から約5cm〜約20c
mの距離だけ基端方向に引き込むことが有利な場合もあ
る。当業者によれば認識されるように、殊に心臓や頭蓋
内空間において見られるような曲がりくねった脈管構造
内において経管的医療器具の位置決めを行う際の制約の
一つとして、器具の末端部の横方向の可撓性がある。器
具の外径または断面積が病変部に到達し得る程度に小さ
い場合でも、曲がりくねった構造内に器具を的確に誘導
するためには器具は充分な可推進性及び横方向の可撓性
を有さなければならない。
【0065】回転式アテレクトミーカテーテル10で
は、回転可能な駆動軸24及びカッター22によってカ
テーテルの剛性が大幅に大きくなるが、本発明に基づけ
ば、駆動軸24及びカッター22は管状ハウジング12
内に基端方向に引き込むことが可能であり、曲がりくね
った脈管構造を通じてガイドワイア28を辿って進める
ことが可能な比較的に大きな可撓性を有するカテーテル
の末端部が与えられる。アテレクトミーカテーテルの管
状ハウジング12が処置を行う部位にまで進められた時
点で、カッター22及び駆動シャフト24を管状体12
を通じて末端方向に進め、末端部16において適当に配
置することが可能である。この構成により、管状体12
の末端部16の駆動シャフト28とハウジング21とが
1個のユニットとして進められる場合には到達不可能な
解剖学的位置に回転式アテレクトミーカテーテルを配置
することが可能である。
【0066】一般に、カッター22は、管状体12及び
カッターハウジング21を所望の処置部位に配置するこ
とが可能となる充分な距離だけ、カッターハウジング2
1の末端側部分52から基端方向に引き込むことが可能
であることが好ましい。冠状動脈の疾患においては、カ
ッターハウジング21の末端側部分52と引き込まれた
状態のカッター22との間の距離は約5cm〜約30c
mの範囲であり、好ましくは少なくとも約10cmであ
る。ほとんどの冠状動脈における用途においては、こう
した距離だけカッター22を基端方向に引き込むことが
可能であれば充分である。
【0067】可撓性の駆動シャフト24は好ましくは中
空かつラミネートされた可撓性「トルク伝達管」であ
り、例として、内側に配置される肉厚の薄い高分子材料
にて形成された管、編み目状に形成されたワイアの中間
層、及び外側の高分子材料層から構成することが可能で
ある。一実施形態においては、このトルク伝達管は、内
部に編み目状に形成された0.0038cm(0.00
15インチ)のステンレス鋼線の層が埋設された約0.
010cm(0.004インチ)の肉厚を有するポリイ
ミド製の管として構成される。このラミネート加工され
た構成により、ねじり硬さが非常に大きくかつ充分な引
張り強さを有するが、横方向には可撓性を有する管が与
えられる。しかし、所望のトルク伝達度、径、及び可撓
性に応じて他の材料または構造を用いることも可能であ
る。一般に駆動シャフト24は相応に予測可能な閉塞物
を通じてカッター22を駆動するだけの充分なねじりこ
わさを有さなければならない。用途によっては駆動シャ
フト24として管腔26を有さないワイアや他の中実の
構造体を用いることも可能であることは認識されよう。
【0068】中空の可撓性駆動シャフト24の一実施形
態の外径は約0.081cm(0.032インチ)であ
るが、約0.051cm(0.020インチ)〜約0.
086cm(0.034インチ)の範囲の値をとること
も可能である。可撓性駆動シャフト24の径の値は、ね
じり強さの最小値及びガイドワイアが存在する場合には
ガイドワイアの径によってその下限が制限され、カテー
テルの外径の許容可能な最大値によってその上限が制限
されることは当業者であれば直ちに認識されるであろ
う。
【0069】中空の駆動シャフト24の選択により、器
具10をバネ様先端を有する従来のガイドワイア28上
に進めることが可能である。その場合、駆動シャフト2
4の管腔26を通じてカッター22の末端開口39から
外部へと生理食塩水、薬剤や造影剤を流すための空間が
残されていることが好ましい。したがって中空の可撓性
駆動シャフト24の内径は可撓性駆動シャフト24が辿
るガイドワイア28の径に部分的に依存する。例とし
て、0.046cm(0.018インチ)の直径を有す
るガイドワイアとともに用いられることを想定した中空
の可撓性駆動シャフト24の一実施形態におけるガイド
ワイア管腔26の内径は、約0.061cm(0.02
4インチ)である。可撓性駆動シャフト24は制御部1
8とカッター22との間に延びるため、可撓性駆動シャ
フト24は、術者が器具10を操作するために適当な長
さの部分が患者の体外に残ると同時にカッターアッセン
ブリが標的部位に到達できるような充分な長さを有さな
ければならない。
【0070】再び図2を参照すると、回転式アテレクト
ミー器具10の管腔20は可撓性管状体12の内壁と可
撓性駆動シャフト24の外表面との間に形成される環状
空間である。この管腔20はカッターからの流体及び物
質を吸引するために用いることが可能である。処置部位
から吸引される物質によって結合や詰まりが生じる可能
性を小さくするために管状体12と駆動シャフト24と
の間には充分な間隙が保たれることが好ましい。
【0071】一般に、管状体12の断面積に占める管腔
20の断面積の比率は最大化されることが好ましい。こ
れにより管状体12の外径が最小に維持されるように管
腔20の断面積を最適化するのと同時に管腔20を通じ
た物質の流速を許容可能な程度に維持することが可能で
あり、術式を妨げる詰まりや結合が生じる可能性が小さ
くなる。したがって吸引を行うための管腔20の断面積
は、上述の構成におけるように壁の単位厚さ当たりのト
ルク伝達性が比較的高くなるように駆動シャフト24が
構成されている場合に最適化することが可能である。冠
状動脈における用途を目的とした本発明の一実施形態に
おいては、管状体12の外径は約0.203cm(0.
080インチ)であり、管状体12の壁厚は約0.02
0cm(0.008インチ)であり、駆動シャフト24
の外径は約0.079cm(0.031インチ)であ
る。この構成においては、吸引を行うために利用可能な
中央管腔20の部分の断面積は、約0.01581cm
2(0.00245平方インチ)となる。これは管状体
12の全断面積の約50%である。管腔20の断面積は
管状体12の全断面積の少なくとも約25%であり、よ
り好ましくは少なくとも約40%であり、最も好ましく
は約60%以上である。
【0072】管状体12としては多層トルク管などの任
意の様々な構成を用いることが可能である。また、ステ
ンレス鋼、あるいは、ポリエチレン、ポリエチレンテレ
フタレート、ナイロンや他の当業者には周知の材料を用
いた単層高分子の押し出し加工品などの様々な従来のカ
テーテルシャフト材料を使用することが可能である。一
実施形態においては、例として、管状体12は約0.2
29cm(0.090インチ)の外径を有するPEBA
X製押し出し加工品を用いている。しかし、この外径
は、冠状動脈での用途における約0.142cm(0.
056インチ)〜末梢血管での用途における約0.38
1cm(0.150インチ)の範囲の異なる値をとるこ
とが可能である。更に、管状体12は相応に予想される
陰圧の作用下において圧潰しないことが求められるた
め、上記の管状体12では約0.013cm(0.00
5インチ)以上の壁厚を有することが望ましいが、この
壁厚は材料及び形状に応じて異なる値をとることが可能
である。
【0073】図2に示され、また上記に説明したように
管状体12の末端はカッターハウジング21の基端側部
分50に固定される。管状体12の基端は後述するよう
に制御部18に取り付けられる。
【0074】図11を参照すると、制御部18に可撓性
駆動シャフト24が連結される位置では器具を曲げる力
が作用するために壊れやすい。したがってこの部位には
曲げ力による故障の可能性を小さくするために強化チュ
ーブ80が配設されている。強化チューブ80は制御部
18から管状体12の基端部に沿って延びる。強化チュ
ーブ80は管状体12上を末端側に向けて、好ましくは
約3cm、より好ましくは約6cmにわたって延び、シ
リコーンまたは他の従来の生体適合性高分子材料にて形
成される。図に示された強化チューブ80により駆動シ
ャフト24の基端における過度の折曲または捻れを防止
するための支持が与えられる。引き続き図11を参照す
ると、強化チューブ80はスナップ端機構82上に締ま
りばめを行うことなどによって制御部18に対して固定
されている。可撓性駆動シャフト24及び管状体12は
スナップ端機構82を通じて制御部に入る。
【0075】可撓性駆動シャフト24及び管状体12は
カッター22及びカッターハウジング21を制御部18
に対してそれぞれ作動連結する。図11を引き続き参照
すると、管状体12及び駆動シャフト24はスナップ端
機構82を通って制御部18に入る。スナップ端機構8
2は、真空マニホルド86に連通する中央管腔を有する
ハブ84などのコネクタを有する。管状体12はハブ8
4に連結される。詳細には、ハブ84は真空マニホルド
86に嵌め付けられ真空マニホルド86をハブ84に、
ひいては管状体12に対してシールする。したがってハ
ブの材料は、ハブ部分をスナップ端機構82の残りの部
分に対して取り付けるための嵌め付け突起に対する長期
記憶を与えるようなものであることが望ましい。本実施
形態においてはハブ84はデルリン(Delrin)な
どの白色アセチルを用いて射出成形されている。ハブ8
4は回転可能であり、術者が制御部18に対して管状体
12を回転させることにより、管状体12とともに制御
部18を動かすことなく管状体12を操舵することが可
能である。図の実施形態においてハブ84に対して押圧
されるブッシュ87によりこの回転を制限する摩擦が与
えられる。
【0076】管状体12は、ハブ84に挿通される部分
において、ハブ84に固着されるとともにハブ84を通
じて延びる肉厚の小さいステンレス鋼管(図に示されて
いない)などにより内側から強化することが可能であ
る。一般に、管状体12とハブ84とは互いに回転可能
に連結されることが好ましい。一実施形態においては、
ハブに形成されるボアはその一部において、ハブのボア
とチューブ(図に示されていない)との回転可能な連結
関係の効果を高めるためにチューブの相補的な形状に対
応した六角形状または他の円形以外の任意の形状に形成
することが可能である。エポキシや他の接着剤(図に示
されていない)をステンレス鋼管の周囲の空間に注入す
ることによりハブ84に対してステンレス鋼管(図に示
されていない)が回転することを防止することも可能で
ある。接着剤によりチューブ(図に示されていない)と
ハブ84の2つの要素は、チューブがハブ84から長手
方向に抜脱しにくくなるように有利に固定される。
【0077】図11を引き続き参照すると、真空マニホ
ルド86は第1の出口において真空ホース88に取り付
けられ、第2の出口においてモータ90に取り付けられ
ている。真空マニホルド86のハブ側の端部は、マニホ
ルド86とハブ84を通じて延びる鋼管(図に示されて
いない)との間の動的(回転可能な)シールとして機能
する2個のシリコーンゴム製O−リング85を収容して
いる。真空マニホルド86の、駆動シャフト24の基端
に近い反対側の端部は1対のブチルゴム製流体シール9
4を収容している。これらの動的流体シール94はシリ
コーングリースにて潤滑することが可能である。2個の
流体シール94は互いに背中合わせに装着され、それぞ
れのリップは互いから遠ざかる向きを向いている。この
構成においては、末端側のシール(カッター22に近い
方)により血圧などの陽圧に基づく漏れが防止され、基
端側のシール(モータ90に近い方)によりシステムが
減圧されて器具10の外側の圧力が器具10の内側の圧
力よりも高くなる際の空気の侵入が防止される。
【0078】真空マニホルド86は螺刻されたモータ面
板100を利用してモータ90に連結することが可能で
ある。真空マニホルド86は面板100に対して螺着さ
れることが好ましいが、任意の適当な方法で連結するこ
とが可能である。面板100は螺刻を有するファスナ1
02によりモータ90の出力側の端部に取り付けること
が可能である。本実施形態において好ましく用いられて
いるモータ90は、マイクロモー(MicroMo)社
により製造される改良6V直流中空シャフト型の外径が
22mmのモータである。
【0079】図に示された実施形態においては、動力は
可撓性駆動シャフト24に接着された中程度の肉厚を有
する所定の長さのステンレス鋼管によってモータ90か
ら駆動シャフト24に伝達される。この鋼管は伝達シャ
フト107を形成し、その外表面は約0.003cm
(0.001インチ)の厚さでS型テフロン(Tefl
on)にてコーティングされることが好ましい。テフロ
ンコーティングされた剛性駆動シャフトすなわち伝達シ
ャフト107の両端を露出させることにより上述した動
的流体シールのための滑らかな摩耗表面が与えられる。
伝達シャフトは約0.091cm(0.036インチ)
の内径及び約0.135cm(0.053インチ)のコ
ーティング前の外径を有する皮下注射針を用いることが
可能である。伝達シャフト107は約0.147cm
(0.058インチ)の内径を有する中空のモータシャ
フトを通じて滑合され、モータシャフトの両方向に延び
る。この滑合により伝達シャフト107はモータ90に
対して長手方向に摺動することが可能であり、器具10
のバランスが良くなる。こうした構成により長手方向の
可動性が与えられる。
【0080】駆動シャフト24は上述したようにモータ
90に対して長手方向に動くことが可能である。駆動シ
ャフト24、ひいてはカッター22及びカッター22に
連結された構成要素の長手方向の動きは、こうした動き
を可能とする機械的な連結の種類とは無関係に制御可能
であることが望ましい。この動きによってカッター22
また実施形態によっては駆動シャフト24を脈管内にカ
テーテルのシースすなわち管状体12を配置する際に基
端側に引くことが可能であり、位置決めが完了した後に
カッター22を動作位置に進めることが可能である。こ
うした構成により位置決めを行う際の操作性及び柔軟性
が向上し、脈管を辿ることが容易となる。この構成によ
り更に小型の螺管状パッケージ内において管状体12を
滅菌することが容易となる。しかし、当業者によれば直
ちに認識されるように、カッター22及び管状体12の
こうした相対的な長手方向の運動は本発明の異なる特徴
及び利点を利用するうえで必ずしも必要なものではな
い。
【0081】伝達シャフト107の後端に取り付けられ
た小型の駆動板103は、モータシャフト92の約0.
198cm(0.078インチ)外側に取り付けられる
駆動スリーブ105に連動する。駆動板103はどのよ
うな幾何的構成のものでもよい。駆動板103は中央に
孔が形成された回転対称形状のものが用いられることが
好ましいが他の形状を用いることも可能である。この対
称性により回転の際のバランスが良くなる。一実施形態
においては、駆動板103としては中央孔を有する方形
のもの、中央孔を有する三角形のもの、または中央孔を
有する円形のものが用いられ、駆動板を駆動スリーブに
対して滑らないように連結するための連結部材を備え
る。駆動板103と駆動スリーブ105とは共に、モー
タシャフト92と伝達シャフト107との間のスプライ
ン連結に似た同心状の駆動連結部を構成する。
【0082】一方、伝達シャフト107は可撓性駆動シ
ャフト24に連結される。上記の同心状駆動連結部の構
成により、駆動板103と駆動スリーブ105との間に
おいて約0.635cm(0.25インチ)の長手方向
の相対運動が可能であり、これは管状体12と駆動シャ
フト24との間における熱や機械的な要因に基づいた相
対的な長さの変化を補償するうえで充分である。駆動板
103または駆動スリーブ105に一体形成されたフラ
ンジは、流体シールにおいて漏れが生じた場合に後方の
モータベアリングに流体が達することを防止するための
シールドとして機能する。すなわち、駆動スリーブ10
5は当業者によれば理解されるように環状シールド要素
として機能する中実の壁を有する環状フランジである。
【0083】駆動スリーブ105及び駆動板103は、
ロームアンドハース(RohmandHaas)社によ
り製造される医療用水準の強化アクリル樹脂であるプレ
キシグラス−DR(Plexiglas−DR)から好
ましくは金型成形される。これらの部品は器具のアッセ
ンブリ内において用いられる化学物質の存在下において
割れを生じにくい。こうした化学物質としては、シアノ
アクリレート系接着剤、促進剤、モータベアリング潤滑
剤、アルコール、エポキシなどがある。駆動スリーブ1
05及び駆動板103はそれぞれ対応するシャフト9
2,107に圧着され、接合部の外側に接着剤を用いて
固定されることが好ましい。
【0084】引き続き図11を参照すると、制御部18
の基端において輸液マニホルド108が配設されてい
る。輸液マニホルド108は供給回路として構成されて
おり、拡張期血圧を上回る圧力にて動脈または静脈内に
注入することが可能な任意の液体を供給することが可能
であるが、生理食塩水、治療薬剤、レントゲン造影剤が
最も多く用いられる。例として、術式を行う前に生理食
塩水を用いて管状体12及び駆動シャフト24から空気
を追い出すことにより、空気塞栓症を防止することが可
能である。生理食塩水はまた、アテレクトミー手術にお
いて用いることにより、切除を行う際に還流回路を通じ
て破片を運ぶための(血液以外の)液体の連続的な流れ
を与える。当業者によれば認識されるように、一般に術
式を行う前には器具10から空気を追い出す。こうした
場合、輸液ポンプまたは高い位置に置いた輸液バッグを
用いることにより、用途及び手術の種類に応じてシステ
ムを通じた連続的かつ低圧の生理食塩水の流れを得るこ
とが可能である。
【0085】術中の異なる時点において、術者にとっ
て、ガイドワイア28の位置決めを行うため、あるいは
閉塞部の位置を特定するため、あるいは狭窄が実際に解
消されたかを確認するために大量の造影剤を器具10に
注入して動脈や静脈のX線像を得ることが必要となる場
合がある。造影剤は比較的大きな密度を有する物質であ
り、管状の駆動シャフト24の長尺状の狭い管腔26に
造影剤を速やかに通すためには高い圧力が必要とされる
(大気圧の数倍)。こうした媒体は例えば輸液ポンプを
用いて輸液することが可能である。
【0086】図に示された外科用器具10の場合、輸液
マニホルド108は複数の要素にて構成することが可能
である。第1の要素は、ハルキーロバーツ(Halke
y−RobertsCorp)社によって供給されるも
ののような、医療用輸液バルブ109を有する輸液ポー
トである。シリコーンゴム製のチェックバルブアッセン
ブリである輸液バルブ109は、オス側のルアーテーパ
(Luer−taper)(またはロック)状嵌合要素
の挿入によって開放されるように構成されていることが
好ましい。バルブ109はテーパ状嵌合要素が所定の位
置にある間において開放状態に保たれることがより好ま
しいが、テーパ状嵌合要素が引き抜かれれば直ちに閉鎖
することが好ましい。この動作により必要な場合に容易
に病変部にアクセスすることが可能であり、また逆流が
防止されるためにこの径路を通じた血液の損失は最小と
なる。
【0087】輸液バルブ109は、射出成形された透明
アクリル製嵌合部であるフラッシュポートマニホルド1
11の側腕の内部に恒久的に固定されることが好まし
い。フラッシュポートマニホルド111は制御部18の
基端側から突出するとともに螺刻された延長部を有す
る。螺刻された延長部はシリコーン製ガイドワイアシー
ル113及びアセチル(デルリン)製ガイドワイアクラ
ンプナット112を備え、これらは互いに止血バルブ圧
縮嵌合部として機能する。デルリン(Delrin)を
クランプナット112に用いることにより使用時の螺刻
部におけるかじりや固着を最小に抑えることが可能であ
る。当業者によれば認識されるように圧縮嵌合部には異
なる材料を使用することが可能である。クランプナット
112内の肩部は係止要素として機能し、過度の締め付
けによってシール113が押し出されることを防止す
る。ガイドワイア28はシール113及びクランプナッ
ト112を通じて延びることが望ましい。
【0088】クランプナット112が締め付けられると
ガイドワイアシール113はガイドワイア28に対して
押圧されてガイドワイアを固定し、血液や空気がシール
113を通じて漏れることを防止する。ガイドワイア2
8を摺動させる必要がある場合、あるいは外科用器具1
0をガイドワイア28に沿って動かす必要がある場合、
まずクランプナット112を緩めて締め付けを若干緩和
し、次にガイドワイア28と外科用器具10とを相対的
に動かす。ガイドワイア28が用いられていない場合、
シール113はそれ自体圧縮されて通路を閉鎖し、漏出
を低減または防止する。
【0089】流体通路がフラッシュポートマニホルド1
11及び管状の駆動シャフト24の管腔を通じてカッタ
ー22の末端に形成される末端開口39にまで延びる
が、ガイドワイア28はこれと同じ径路を辿ることが好
ましい。したがってフラッシュポートマニホルド111
と駆動シャフト24との連結部において流体の漏出が防
止されていることが望ましい。
【0090】したがって、フラッシュポートフランジ1
06をフラッシュポートマニホルド111のモータ側の
端部に取り付けることにより低デュロメータブチルゴム
製リップシール114を収容する空間が形成される。フ
ランジ106はアクリル材料を金型成形するなどして形
成することが可能である。リップシール114により伝
達シャフト107の一端に対して効果的な動的シールが
与えられる。リップシールは圧力が0であるか若しくは
低圧下において弾性によって軽くシャフトに対して押し
付けられることにより動的用途における摩擦要素を低減
する圧力補償機構である。シールに作用する圧力が大き
くなると、リップはシャフトに対して更に押し付けら
れ、密封効果及び動摩擦力が大きくなる。しかし、本発
明の用途においては、高圧密封条件は造影剤の注入時に
おいてのみ、通常はカッター22が回転していない場合
において生じることが好ましい。低圧動的シールは生理
食塩水の輸液時に必要とされるが、本発明においては上
記のような圧力補償リップシールが好ましく用いられ
る。
【0091】リップシール114はブチルゴムをトラン
スファー成形して形成されることが好ましく、約0.1
40cm(0.055インチ)の外径を有する伝達シャ
フト107に、内径が約0.120cm(0.047イ
ンチ)(通常約0.089cm〜0.127cm)(約
0.035インチ〜約0.050インチ)のリップが装
着される。医療水準のシリコーングリースを使用してリ
ップシール114と伝達シャフト107との境界面を潤
滑することが可能であるが、長期にわたる使用ではグリ
ースがリップから押し出されてしまう。この場合、伝達
シャフト107に施されたテフロンコーティングが、グ
リースが無くなった場合のシールの損傷を防止または低
減するための補助潤滑剤として機能する。
【0092】再び図11に示された真空マニホルド86
に戻ると、Y字形の真空マニホルド86の残りのポート
に真空ホース88が取り付けられている。真空ホース8
8は当業者には周知の適当な方法により取り付けること
が可能である。真空ホース88は制御部18の真空マニ
ホルド86と、病院のカテーテル施設において用いられ
る屋内真空装置や真空ビンなどの真空源(図1)との間
に延びる。
【0093】真空ホース88は以下に述べるスイッチ機
構120を通じて延びることが望ましい。図に示された
実施形態においては、真空ホース88は更に制御部18
の底部に延びる。括れ防止スリーブ116を設けること
により、真空ホース88が制御部18から外部に延びる
部分において括れることが防止される。更に、括れ防止
スリーブ116によって術中に制御部18に液体が侵入
する可能性が更に低減される。
【0094】本発明の外科用器具10が特に有用なイン
ターベンションにおいては、充分な吸引の下においての
み切除が行われるように構成することが好ましいことが
見出された。したがって、本発明の一実施態様では、充
分な吸引が行われない限り物質の切除が行われないよう
にするためのカッターロック機構が用いられる。吸引速
度は直接(流速監視)または間接的(真空監視)に検出
することが可能である。例として、一般に真空度が吸引
度の一つの決定因子であることにより、真空度を監視す
ることによって新たな真空ビンが必要となる時点を決定
することが可能である。こうした状況では、検出される
真空度が約51kPa(15インチHg)を下回る場
合、真空度が充分でないために器具10内で閉塞が生じ
る可能性が高くなる。したがって、真空度が充分な値と
なるまで切除動作を防止するためのカッターロック機構
を用いる必要がある。具体的には、図に示された実施形
態においては約45.8kPa(13.5インチHg)
〜約47.4kPa(14インチHg)の真空度におい
て閉塞が生じる。
【0095】カッターロック機構は通常2つの要素から
なり、これらの要素は個別に、または組み合わせとして
有用である。要素の一つは真空モニタである。真空モニ
タ(図に示されていない)は適当な吸引力の作用を検出
する線形圧力トランスデューサであることが望ましい。
トランスデューサからの信号は、モータの自動的なオー
バーライドを可能とし、真空度が閾値(例51kPa)
(15インチHg)を下回る場合にモータがカッター2
2を回転させることを防止するうえで利用される。一般
に真空モニタは更に、真空検出器、適当な種類のコンパ
レータ、アラームまたはカットアウト回路を有する。真
空検出器は真空要素の動作状態に関するデータを得るた
めのものであり、コンパレータは異なる動作条件を決定
するためのものである。吸引力が所定の閾値を下回った
り、何らかの理由により突然閾値を上回ったような場合
にはアラームが術者にこれを是正するように警告を発す
るか、カットアウト回路が自動的にカッターの回転を停
止させる。
【0096】カッターロック機構は更に流速モニタ(図
に示されていない)を有する場合もある。流速モニタは
適当な種類のものを用いることが可能であり、吸引通路
における流速または吸引速度を監視する。流速モニタは
回路またはアラームに接続して、吸引速度が低下した場
合(閉塞が生じたことを示す条件である)にユーザに対
して警告を発したり、吸引速度の低下が検知された場合
に器具10がこれを自動的に補正するように構成するこ
とが可能である。例として、器具10においては切除動
作(カッター22の回転)を停止させたり、吸引速度を
増加させたり、あるいは、上述のような特定の条件を自
動補正することが可能である。更に、視覚、触覚、また
は聴覚に訴える異なるアラームを利用して術者に警戒状
況の発生を報せることが可能である。
【0097】カッターロック機構の別の構成要素は、以
下に述べるようにモータの状態及び真空度を適宜制御す
るためのスイッチ機構である。当業者によれば認識され
るようにこうしたスイッチとしては、機械的、電気的な
スイッチ、またはソフトウェア制御されるスイッチを用
いることが可能である。図12(a)乃至(c)を参照
すると、スイッチ機構120が概略的に示されている。
モータ90が回転可能な駆動シャフト24を駆動するこ
とにより、駆動シャフト24がカッター22を駆動する
が、スイッチ機構120では、吸引が行われない限りモ
ータ90は作動しない構成となっている。ピンチ弁スイ
ッチ120は一般に、図12(a)に示されるZ軸の方
向に沿って配置される押しボタンを備える。このスイッ
チ押しボタン124はユーザによって押されることによ
りZ軸方向に変位する。押しボタン124の下部にはX
軸に沿ったトンネルを形成するU字形状のカットアウト
部が設けられている。カットアウト部はこれを通じて延
びる圧縮バネ126に対応する大きさに形成されている
ことが望ましい。本実施形態の圧縮バネ126は正確な
長さを有するとともに積層巻回されたバネであり、0.
069cm(0.027インチ)の径を有するステンレ
ス鋼線にて形成され、かつ一端において閉鎖保持ループ
を有することが好ましい。押しボタン124は圧縮バネ
126上に置かれ、上側位置に保持されるように圧縮バ
ネ126の一部に沿って配置される。スイッチ押しボタ
ン124は術者によって押し込まれることにより図12
(b)に示されるような下側位置にまで移動する。圧縮
バネ126は押しボタン124が開放された際に上側位
置に復帰するような付勢力を与える。無論、他の適当な
付勢手段を用いることも可能である。
【0098】スイッチ押しボタン124は更に押しボタ
ン124の移動方向に対して直交する方向に延びる長手
方向アーム128を備えることも可能である。実施形態
によってはアーム128はL字形状をとる場合もある。
異なるアーム形状を用いることが可能である点は理解さ
れるはずである。
【0099】スイッチ押しボタン124の長手方向アー
ム128の下方には電気的スイッチ130が配置され
る。すなわち、押しボタン124が図12(b)に示さ
れる位置を越えて図12(c)に示される位置に更に押
し込まれるのにしたがって、アームは電気的スイッチ1
30に接触する。電気的スイッチ130が閉じている場
合、電源122からモータ90に電流が流れる。すなわ
ち押しボタン124を押し込むことによりモータ90を
駆動する電流が生じる。上述したようにモータ90は本
発明の外科用器具10の駆動シャフト24及びカッター
22を駆動する。
【0100】圧縮バネ126はまたスイッチ機構120
の挟扼部材132に取り付けられる。押しボタン124
が押し込まれる際に圧縮バネ126は折曲されるが、圧
縮バネ126がこのように折曲されることにより挟扼部
材132は後退する。すなわち押しボタン124が押し
込まれると挟扼部材132は後退する。挟扼部材132
が後退するのにしたがって、ピンチ弁120を通じて吸
引流が流れることになる。有利な点として、ピンチ弁を
通過する流量は押しボタン124がどの程度押し込まれ
ているかに応じて異なるために必要に応じて吸入量(物
質の吸引度)を制御することが可能である点がある。こ
の後退位置を越えて押しボタン124を更に押し込むこ
とにより電気的スイッチ130において接触が生じるた
め、モータ90は吸引流が生じた後にのみ駆動される。
【0101】図12(a)に示された押しボタン124
が押し込まれていない状態では真空ホース88は挟扼部
材132及びバネ126によって閉鎖されており、モー
タ90への電力供給を制御する電気的スイッチ130は
開いている。図12(b)を参照すると、押しボタン1
24は部分的に押し込まれ、真空ホース88が開いてい
るのと同時に電気的スイッチ130も開いている。図1
2(c)に示されるように押しボタン124を更に押し
込むと、電気的スイッチ130は閉じられ真空ホース8
8は開放状態となる。すなわち押しボタン124を始め
の所定量だけ押し込むことによって先ず吸引が始まり、
ボタン124を更に押し込むことにより切除動作が開始
される。こうしたタイミングの取り方により、吸引を伴
わずに切除が行われる可能性が低減される。ピンチ弁1
20の開閉動作の繰り返しによって真空ホース88の位
置が変化する場合があるため、制御部18内に内部リブ
(図に示されていない)を設けてホース88を適当な位
置に保持することが好ましい。
【0102】図に示された器具10において、吸引など
を行うための還流はカッター22を始点とし、カッター
22の螺旋状スレッド46及びカッターブロック42
(カッターハウジングの固定ブロックが用いられている
場合にはこれも含む)を通り、管状体12の外側管腔2
0を通って真空マニホルド86に流れ、更に真空ホース
88を通って真空ビンなどの組織回収/液体分離用容器
に流入する。当業者には周知の真空ビンや屋内真空装置
などにより吸引を行ってこの還流を促すことが可能であ
る。例として回収容器を真空回収キャニスタに接続し、
このキャニスタを調節可能な中央真空源、吸引回収ポン
プまたは真空容器などにつなぐことが可能である。
【0103】ピンチ弁機構は、真空ホース88は挟扼さ
れておらずスイッチ130は開いた状態にある、部分的
に押し込まれた位置にボタン124を保持するための固
定要素を備えることが好ましい。この構成により真空チ
ューブの弾性記憶が保存され、保管時などにおける器具
の誤作動が防止される。本実施形態においては、識別タ
グを有する薄くて柔軟なロックワイア(図に示されてい
ない)を器具の製造の最終工程において、ボタン(図に
示されていない)に形成された孔を通じ、制御部18の
側壁に形成される切り欠きを通じて挿入することが可能
である。この構成では、非常に目立つタグが制御部18
の側壁から突出することにより、ワイアが引き抜かれる
時点まで器具の使用が防止される。ロックワイアを抜脱
することによりボタン124が開放され、制御部18は
動作可能な状態に戻る。ロックワイア(図に示されてい
ない)は一旦ロック位置から外された場合、制御部18
を分解しなければ再び挿入できないように構成されるこ
とが好ましい。
【0104】再び図11を参照すると、器具10は例と
してプリント回路基板上に配設することが可能な電子回
路によって制御されることが好ましい。モータ90に電
力を供給する回路はモータの負荷を調べるための回路を
有することも可能である。図14及び図15を(図13
に示されるように)含む回路図にはモータ制御部及びフ
ィードバック回路の一実施例が示されているが、当業者
によれば直ちに認識されるように他のモータ制御回路を
実施することも可能である。知られているように、本発
明において用いられる直流モータの回転に抵抗が生じる
場合、電源122にかかる負荷は増大する。したがって
後述するように、この回路では、モータの速さまたはト
ルクを特定、指示、または記録し、ひいては速さやトル
クを先に記録された値と比較することが可能であること
が望ましい。具体的には、モータに供給される電流の大
きさによって示される速さまたはトルクはコンパレータ
を用いて経時的に比較することが可能である。更に、反
転スイッチを用いてモータが引っ掛かって停止した場合
に逆回転させてこれを解消することが可能である。この
反転スイッチとしては瞬間スイッチや当業者には周知の
他の適当なスイッチを用いることが可能である。
【0105】以下に詳述するように、モータコントロー
ラ134により、欠失パルスとパルス幅変調とを組み合
わせてモータ90に充分なエネルギーを供給することが
可能である。例として、モータの速さは、速さに比例し
た逆起電力(EMF)の大きさを測定することにより検
出することが可能である。この逆起電力の一部をコント
ローラ134に与えてモータ90への駆動力を変化させ
ることにより速さを一定に保つことが可能である。コン
トローラ134の回路値によりモータの速さを約100
0RPM〜約8000RPMの範囲に設定することが可
能である。一実施形態においては負荷のない動作を行う
ために選択される速さは約1500RPM〜約5000
RPMの範囲である。本実施形態においては負荷を生じ
ないモータの速さは約2000RPMである。本発明に
基づくモータの速さは、当業者によれば認識されるよう
に剥離型の器具や乱流に基づいた器具におけるモータの
速さと比較して小さい。実施形態によってはモータ制御
回路によりモータに流れる電流を検出し、モータの駆動
力を適当な大きさに設定してモータのトルクを約0.0
7×10-2N・m(0.10オンス・インチ)〜約0.
32×10-2N・m(0.45オンス・インチ)の範囲
に制限することが可能である。したがって以下の2つの
理由によりスイッチングコントローラを使用することが
可能である。すなわち、(a)スイッチングコントロー
ラは非常に効率的であり、消費電流は0.015Aより
小さい(モータ電流は0.05A〜0.4A、あるいは
これ以上の値をとりうる)。(b)スイッチングコント
ローラはモータが低速である場合においても、瞬時に、
あるいは必要に応じて適当なトルクを与えることが可能
であり、モータが停止してしまう可能性が低減する。
【0106】電源122は好ましくは9V電池であり、
上述したように押しボタン124が押し込まれるまでコ
ントローラ134に対して電気的に接続されないため、
待機電力による電力損失が防止または低減される。図に
示された実施形態においては、モータが正常な負荷にて
動作している場合(検出される電流の大きさが、所定の
電流の大きさを下回っている場合)に発光ダイオード
(LED)が点灯することが望ましい。このLEDは実
施形態によっては緑色のものが用いられる(以下緑色L
EDと呼ぶ)。モータ電流が約0.25Aとなった時
点、もしくはモータの「過負荷」状態を示す別の閾値に
達した時点で別のLEDが点灯する。このLEDは実施
形態によっては赤色のものが用いられる(以下赤色LE
Dと呼ぶ)。例として赤色LEDにより電流が所定の最
大安全値に近いか、この値に達したことを示すことが可
能である。予め設定される最大安全値は、過負荷条件を
示す電流の上限値であり、器具10の特定の構成によっ
て決定される。すなわち、本発明の別の一特徴としてモ
ータの負荷に基づいたフィードバックを術者に与える点
がある。これにより器具に固着が生じるような場合に術
者に警告がなされ、適当な対応をすることが可能となる
ために有利である。例として、反転スイッチを用いて、
器具の進入速度を小さくしたり、または器具の進入を停
止させたり、または障碍となっている位置から後退させ
ることが可能である。また、図14及び図15に示され
た回路図に関する説明に基づけば、当業者には自明の方
法を利用して検出された負荷に対してモータの速さが自
動的に調整されるように器具を構成することも可能であ
る。
【0107】LEDに加えるか、あるいはLEDに代え
て、触覚的、聴覚的、または視覚的なアラーム手段を個
々にあるいは組み合わせて用いることが可能である。例
として、本発明の外科用器具は過負荷条件が発生した場
合に振動したり、音声を発したりするように構成するこ
とも可能である。こうしたパルスやトーンは回転の妨害
に関する変数に応じて変えることが可能である。例とし
て、回転に対する抵抗に伴って音のピッチを上げたり、
音声パルスの繰り返す速さを大きくしたりすることが可
能である。更に、陰極線管モニタを用いて術式を可視化
するような場合、モニタに視覚信号を送って外科用器具
の動作を表示することが可能である。当業者によれば更
に認識されるように、術者に対して本発明の器具の動作
に関する警告を発するための他の構成を用いることも可
能である。
【0108】すなわち、本発明は回転式アテレクトミー
器具を用いた術式を行う際にリアルタイムで術者にフィ
ードバックを与えるものである。リアルタイムのフィー
ドバックがなされることにより、術者がその時々に異な
る状況に応じて術式を調整することが可能である。これ
により術式の全体の効率が向上し、塞栓の形成といった
更なるリスクが低減される。病変部へカッター22を進
める際の力が強すぎると負荷が増大する場合がある。こ
れは回路131によって検出され、ここまでに述べられ
たような異なる方法を用いて術者に伝えられる。こうし
た構成により術者は、許容可能な範囲にまで負荷が減少
するまで器具を進める力を小さくし、かつカッター22
の回転に対する抵抗を小さくするなどして、再び器具を
進める力に頼るとともに真空度やカッター22の回転数
を調整することが可能であり、術式を続行することが可
能である。当業者によれば認識されるように、多量の物
質の吸引によって吸引性能が低下する場合、負荷が増大
していることが考えられる。したがって、こうした負荷
の増大に対して術者に警告が発せられ、適当な修正が行
われる。実施形態によっては、負荷を許容可能なレベル
にまで低下させることにより吸引速度も許容可能なレベ
ルに戻る。当業者によれば認識されるように、閉塞のた
めに負荷が増大して吸引速度が低下するが、閉塞が除去
されると吸引速度は所望のレベルに戻り、モータにかか
る負荷も減少する。
【0109】更に、器具の全長に沿った任意の位置にお
いて捻れが形成されることにより負荷が増大し、モータ
の速さが低下することが考えられる。捻れによる負荷は
フィードバック機構により術者に伝えられ、術者はこれ
を是正すべく適宜対応することが可能である。
【0110】本発明の別の一態様は選択的に逆転可能な
先端部の回転に関するものである。例として、制御部1
8の取っ手上に設けられる逆転制御スイッチ(図に示さ
れていない)の操作などにより駆動モータの回転を逆転
させることが可能である。可変速度制御部を備えた、ま
たは備えないモータ逆転回路は当業者の間ではよく知ら
れたものである。多くの場合比較的小さい回転速度にて
行われる末端部の回転方向の瞬時の逆転はカッターに詰
まった物質を除去するうえで望ましい。この構成により
術者は、カテーテルを患者の身体から一旦抜去し、時間
及び労力を費やしてカッターに詰まった物質を除去した
後に再び体内に挿入することなくカッターの詰まりを取
り除くことが可能である。こうした低速回転時のカッタ
ーの逆転は比較的高い真空度と組み合わせて行われるた
めに塞栓物が血流に入る可能性が低減される。所定の時
間にわたって逆回転を行った後、再びカッターを順方向
に回転させる。閉塞物がカッターから取り除かれたこと
は上述のフィードバック機構により術者に知らされる。
更に、順方向及び逆方向の両方向のカッターの回転にお
いて、トルク、回転速度、吸引力、及び警戒閾値をほぼ
同じとすることが考えられるが、本実施形態においては
順方向及び逆方向の回転の両方において同じ回転速度を
利用することが好ましい。
【0111】図14及び図15の回路図に示される本発
明に基づいた制御及び電力供給回路の一実施形態におい
ては、モータコントローラはU1として示されるLM35
78Aスイッチングレギュレータを有する。実施形態に
よってはスイッチングレギュレータとしてLM3578
Aスイッチングレギュレータを用いているが、他の要素
や回路を用いて基本的に同じ動作を行い得ることは当業
者であれば直ちに認識されるであろう。このスイッチン
グレギュレータは通常電力供給レギュレータとして用い
られ、負荷に関係なくほぼ一定の電圧を与える。陰極の
入力ジャック(ピン1)をエラー入力用に用いることが
可能である。例として、ピン1における電圧が1Vを下
回る場合、モータの速度が遅すぎるとの推論がなされ、
これに応じて出力ジャック(ピン6)の電圧が低下す
る。ピン6における出力が低下すると、Q1のゲート
(ピンG)は0Vに近くなる。これにより図に示された
実施形態において約1.3Ωの抵抗を有するQ1がオン
する。最終的にはモータQ1、D1及びR4が電池を挟
んで直列に接続される。モータ電流は大きな値となるた
めモータの速度は大きくなる。この「オン」状態は、周
波数(約500Hz)がC4により設定されるU1の発
振器にて制御することが可能な所定の時間にわたって持
続する。更にスイッチングレギュレータU1によりこの
2ミリ秒の周期(1/周波数=周期)の始めの10%の
部分はエラー信号を基準値と比較するためだけに用いら
れるため出力は周期の約90%に制限される。この比較
は周期の90%にわたって継続し、出力のオン、オフは
エラー信号によって決定される。モータ速度が周期の約
90%の部分において適当なレベルにまで増大させられ
る場合、出力は直ちにシャットオフされ、幅の狭いパル
スを生じる。このようにしてパルス幅の変調が行われ
る。
【0112】スイッチングレギュレータU1の出力のみ
が低下するため、スイッチングレギュレータU1がオフ
である場合、R1が出力を引き上げる。R13がQ1の
ゲートキャパシタンスからスイッチングレギュレータU
1を隔離することにより、電力が与えられる際にスイッ
チングレギュレータU1をより確実に起動することが可
能である。D1により接地電位以下のスイッチング過渡
現象がトランジスタQ1に及ぶことが防止される。図に
示された実施形態においては、VP2204は40Vの
定格を有し、電圧過渡現象に耐えるだけの充分な余裕を
与える。当業者によれば直ちに認識されるように、他の
適当な制御回路を利用することも可能である。電力供給
フィルタC5は、特に電力がほぼ枯渇した場合にコント
ローラによって必要とされる時間の短い大きな電流の発
生を助ける。
【0113】図に示された実施形態においては、参照符
合Q2にて示されるNチャンネルFET(電界効果トラ
ンジスタ)により、制御サイクルの、モータに電力が供
給されていない部分においてモータの逆起電力がコンデ
ンサ2に切り換えられる(Q1がオンの場合Q2はオフ
であり、Q2がオンの場合Q1はオフである)。抵抗R
2は、電界効果トランジスタQ2のゲートキャパシタン
スとともに遅延ネットワークを形成し、電界効果トラン
ジスタQ1がオフされた後に電界効果トランジスタQ2
がオンされる。この構成によりオフ動作に伴う過渡現象
が遮断され、逆起電力をより正確に反映した電圧がC2
に印加される。電界効果トランジスタQ2のオフは遅延
させる必要はなく、D2は負の方向に流れる信号によっ
てオンされ、インピーダンスが小さくなるように抵抗R
2と並列に接続されることにより若干の遅延のみを与え
る。逆起電力は抵抗R5及び抵抗R6に分けられ、エラ
ー電圧(約1V)がスイッチングレギュレータU1のピ
ン1に印加される。抵抗R5の値によって逆起電力のレ
ベル、ひいてはスイッチングレギュレータU1のピン1
において約1Vの電圧を得るために必要とされるモータ
速度が決定される。
【0114】抵抗R4はモータに直列に接続してモータ
電流を検出し、これに基づいてモータのトルクを制限す
るために使用することが可能である。例として、抵抗R
4に流れる電流パルスにより電圧パルスが生じ、電圧パ
ルスは抵抗R3及びコンデンサC1によって積分(平均
化)されてスイッチングレギュレータU1のピン7に供
給される。スイッチングレギュレータのピン7は電流制
限入力ジャックである。このピンにおける電圧が約0.
110V以上である場合、エラー電圧とは関係なくスイ
ッチングレギュレータU1は出力を増大させない。示さ
れた回路値により約0.45Aの平均が与えられ、約
0.32×10-2N・m(0.45オンス・インチ)〜
約0.35×10-2N・m(0.5オンス・インチ)の
モータの失速トルクが与えられる。
【0115】コンデンサC2に保存された逆起電力は更
に抵抗R7及びコンデンサC3によって濾過され、比較
的にノイズの無い信号として増幅器(U2)の出力(ピ
ン7)に現れるが、この信号は時間的に若干遅れてモー
タの速さに追従する。図に示された実施形態における増
幅器はLM358バッファ増幅器である。電圧は抵抗R
8、R9、及びR10に分けられ、増幅器U2のコンパ
レータ部分の陽極入力部(ピン3)に現れる。負の入力
部はスイッチングレギュレータU1のピン2に接続され
るために約1Vに固定されている。ピン3における電圧
がピン2における電圧を上回る場合、出力(ピン1)は
高くなり、図に示された実施形態の緑色(切除)LED
が点灯する。ピン3における電圧がピン2における電圧
を下回る場合、出力は低くなり図に示された実施形態の
赤色(過負荷)LEDが点灯する。本実施形態における
「過負荷」とはモータ電流が失速電流の約70%に達す
る点として定義したが、失速電流の任意の所望の比率を
用いて過負荷条件を定義することが可能である。抵抗R
9の値により、約0.35Aのモータ電流を与える動的
モータ負荷に対して赤色LEDと緑色LEDの強度がほ
ぼ等しくなる。
【0116】引き続き図14及び図15に示される回路
図を参照する。テストコネクタP2はコントローラボー
ドの製造テストのための信号及び電圧を与える。コント
ローラボードは設置に先立ったサブアッセンブリの状態
でテストされる。テストコネクタP2は、組み立てが進
んだ段階においてテストする場合などにはハウジングの
上半分を外してアクセスすることも可能である。当業者
であればテストコネクタ及びこれに関連した回路を改変
してテストコネクタがデータバスとして機能するように
構成し、制御部からレコーダやディスプレイなどにデー
タを伝送することが可能であることは認識されるであろ
う。
【0117】本発明の好ましい一使用法においては、先
ずガイドワイア28を公知の技術に基づいて皮下に導入
し、除去すべき閉塞にまで経管的に進める。次にガイド
ワイア28に可撓性管状体12の末端16を取り付け、
ガイドワイア28に沿って処置部位にまで血管を通じて
可撓性管状体12を進めることにより、外科用器具10
を導入する。可撓性管状体12の末端16を除去すべき
物質の基端側近傍の適当な位置にまで進めた時点で、駆
動シャフト24を管状体12に対して回転させ、スレッ
ド46の末端部分47によって閉塞物質がハウジング2
1内に引き込まれるような方向にカッター22を回転さ
せる。スレッド46の外側カッティングエッジとカッタ
ーハウジング21のリップ39及びカッターハウジング
21の内周壁との協働により切除動作としての回転が行
われる。更に、カッターハウジング21とフランジ42
及び他の固定部材との協働によりカッターハウジング2
1内に引き込まれた物質片は効果的に切断または擂り潰
される。切除された物質は吸引力の作用により可撓性駆
動シャフト24と管状体12との間の環状通路を通じて
基端側に運ばれる。負荷の増大または回転数(RPM)
の低下が検知された場合、術者は上述したように適当な
対応をとることが可能である。切除された物質は吸引に
よって管腔20及び真空ホース88の全長を通じて運ば
れ、適当な廃物容器に送られる。手動または自動レギュ
レータにより真空源を調節することにより、真空ホース
88を通過する物質の粘度に関係なく、流速を一定に維
持したり、詰まりを解消することが可能である。
【0118】図16を参照すると、本発明の回転式アテ
レクトミー器具の更なる一態様の詳細が示されている。
好ましくは図に示されるように長尺の可撓性部材12は
末端16の近傍において膨張要素150を有する。より
好ましくは膨張要素150はカッターハウジング21の
末端に隣接する位置に配置される。実施形態によっては
膨張要素150がハウジング21上に直接配設される場
合もある。
【0119】膨張要素150は好ましくは可撓性管状体
12の全周の一部分のみにわたって延びる。この構成で
は、膨張要素150はカッター22の位置をずらすため
に用いられる。この場合、カッターの回転軸は器具が置
かれた動脈の中心軸に対してほぼ平行な第2の軸の近く
に位置するが、カッターの中心軸は動脈の中心軸から横
に変位している。詳細には、膨張要素150が膨張また
は拡張させられると膨張要素150が動脈の側面の一つ
に接触することにより可撓性管状体12及びカッター2
2は動脈の中心から遠ざかるように径方向に変位する。
図に示された実施形態においては膨張部材150は可撓
性管状体12の周囲に約75°の角度にわたって延びて
いる。他の実施形態においては膨張部材は約45°〜約
270°の範囲の角度にわたって延設することが可能で
ある。
【0120】膨張部材は多くの要素のいずれを含むこと
も可能である。例として図に示された膨張部材は偏心尾
部152を有するペレタン製バルーンである。本実施形
態における好ましい材料であるペレタンは膨張圧の増大
とともにその径が大きくなる柔軟なバルーンを形成す
る。本実施形態において好ましく用いられるペレタンは
2363−90AEであり、その作動圧は約69kPa
(10psi)〜約410kPa(60psi)であっ
て、約1.5mm〜約2.0mmの径の増加を伴う。無
論、用途に応じて他の材料を選択することも可能であ
る。他の実施形態においては、約34kPa(5ps
i)〜約340kPa(50psi)の作動圧が用いら
れ約0.8mm〜約3.0mmの径の増加を伴う。バル
ーンの膨張部分の長手方向の長さは約8mm〜約2mm
であり、より好ましい長さは約5mmである。膨張部分
の長さが約5mmである構成では、カッター22が置か
れた管腔の中心軸に対してカッター22を偏倚させるう
えで、バルーンの約3mmの長さの部分が機能する。
【0121】バルーンの偏心尾部152はまた本実施形
態の構成の一部を構成する。偏心尾部152は偏心尾部
が取り付けられた可撓性管状体12にほぼ沿うように膨
らんでいない状態で配置される。こうした構成により膨
らんでいない状態における器具10の断面積が減少し、
膨張部材150と可撓性管状体12との間の固着が解消
される。膨張要素150としては同心尾部を有するバル
ーンも適当に機能するが、本実施形態においては偏心尾
部を有するバルーンが好ましく用いられている。尾部は
エポキシ樹脂や紫外線接着剤を用いて可撓性管状体に対
して接着される。構成によっては尾部152はリング、
ハウジングまたはチューブに用いて固定される。
【0122】膨張管腔154が膨張部材150と膨張管
腔154の患者の体外に置かれる部分との間に延びる。
膨張管腔154は可撓性管状体12の内部に形成する
か、あるいは可撓性管状体12の外側に配設することが
可能である。膨張管腔154の配置は器具10が使用さ
れる用途に応じて選択することが可能である。
【0123】実際の使用に際してはバルーンを備えた器
具10は上述した器具10と同様に動作する。詳細に
は、上述したように公知の技術により先ずガイドワイア
28を皮下に導入し、除去すべき塞栓にまで経管的に進
める。次にガイドワイア28に可撓性管状体12の末端
16を取り付け、ガイドワイア28に沿って処置部位に
まで血管を通じて可撓性管状体12を進めることによ
り、外科用器具10を導入する。可撓性管状体12の末
端16を除去すべき物質の基端側近傍の適当な位置にま
で進めた時点で、公知の方法により膨張要素を流体にて
膨らませる。膨張要素150は動脈の中心線からカッタ
ー22を偏倚させるための偏向機構として機能する。
【0124】この時点で少なくとも2つの動作態様の内
のいずれを用いることも可能である。図17に概略的に
示された第1の態様においては、駆動シャフト24を管
状体12に対して回転させ、スレッド46の末端部分4
7によって閉塞物質がハウジング21内に引き込まれる
ような方向にカッター22を回転させる。ハウジング2
1内に物質を吸引することも可能である。スレッド46
の外側カッティングエッジとカッターハウジング21の
リップ39及びカッターハウジング21の内周壁との協
働により切除動作としての回転が行われる。更に、カッ
ターハウジング21とフランジ42及び他の固定部材と
の協働によりカッターハウジング21内に引き込まれた
物質片は効果的に切断または擂り潰される。
【0125】カッター22はカッターハウジング21内
で回転しているが、可撓性管状体12を円運動させるこ
とによりこれを偏心回転させる。一構成においては、カ
ッターは約360度の角度にわたって偏心回転させられ
るが、任意の異なる要素に応じてカッターの運動範囲は
変わる。可撓性管状体12は手動回転させることも可能
である。可撓性管状体12が1回転させられた後、除去
すべき物質の別の部分にカッター22を前進させる。切
除された物質は吸引力の作用により可撓性駆動シャフト
24と管状体12との間の環状通路を通じて基端側に運
ばれる。負荷の増大または回転数(RPM)の低下が検
知された場合、術者は上述したように適当な措置をとる
ことが可能である。切除された物質は吸引によって管腔
20及び真空ホース88の全長を通じて運ばれ、適当な
廃物容器に送られる。手動または自動レギュレータによ
り真空源を調節することにより、真空ホース88を通過
する物質の粘度に関係なく、流速を一定に維持したり、
詰まりを解消することが可能である。
【0126】図18に概略的に示された別の動作態様に
おいては、偏向膨張要素150を膨張させた後に除去す
べき物質を通じてカッター22を進める。スレッド46
の外側カッティングエッジとカッターハウジング21の
リップ39及びカッターハウジング21の内周壁との協
働により切除動作としての回転が行われる。更に、カッ
ターハウジング21とフランジ42及び他の固定部材と
の協働によりカッターハウジング21内に引き込まれた
物質片は効果的に切断または擂り潰される。切除された
物質は吸引力の作用により可撓性駆動シャフト24と管
状体12との間の環状通路を通じて基端側に運ばれる。
負荷の増大または回転数(RPM)の低下が検知された
場合、術者は上述したように適当な対応をとることが可
能である。切除された物質は吸引によって管腔20及び
真空ホース88の全長を通じて運ばれ、適当な廃物容器
に送られる。手動または自動レギュレータにより真空源
を調節することにより、真空ホース88を通過する物質
の粘度に関係なく、流速を一定に維持したり、詰まりを
解消することが可能である。
【0127】除去すべき物質の全長にわたってカッター
22を動かした後、物質を通じた長手方向の前進径路を
ほぼ辿るようにしてカッター22を引き戻す。この後、
膨張要素150を収縮させ、再度物質を通じて動かすた
めに可撓性管状体12の向きを再調整する。構成によっ
ては、方向の再調整を行う間に膨張要素150は膨張状
態に保たれるか、あるいは部分的に収縮させられる。可
撓性管状体12は術者の所望する任意の角度にわたって
回転させることが可能である。一構成においては、可撓
性管状体12は1回目の通過姿勢から約60度回転させ
られる。この構成を図18に概略的に示した。次に膨張
要素150を膨らませてカッター22を除去すべき物質
を通じて再び前進させる。この行程を特定の用途に応じ
て繰返す。図に示された構成においては、カッター22
が脈管のほぼ中央を通過するように前進させることも可
能である。各通過径路が重なる合う程度は術者により異
なり得ることは当業者によれば直ちに認識されるであろ
う。重なり合いがそれほど大きくない場合、1回毎の通
過によって形成された通路は1つの管腔として連結され
る。
【0128】当業者によれば認識されるように、上述の
動作態様のいずれを用いた場合にも器具の外径と比較し
て拡張された有効流路が形成される。上述の偏向膨張要
素の使用態様の任意の組み合わせを用いることが可能で
あることは認識されよう。本発明に基づいた偏心動作が
行われる構成により、器具10を用いた術式において、
カッターを収容するカテーテルの外径よりも大きい径の
範囲で物質が取り除かれる。
【0129】以上本発明を特定の好ましい実施形態に基
づいて説明してきたが、当業者には明らかな他の実施形
態も本発明の範囲に含まれるものである。したがって本
発明の範囲は請求項の記載によってのみ定義されるもの
とする。 (付記)次に前記各実施形態から把握できる請求項に記
載した発明以外の技術的思想について以下に記載する。
【0130】長尺状の可撓性管状体を有する回転式医療
器具。管状体は基端及び末端を有する。管状体のほぼ全
長を通じて回転可能な部材が延びる。この回転可能な要
素の末端には回転可能なカッターが連結される。管状体
の基端にはカッターまたは回転要素の回転に対する抵抗
を示すための指示計器を備えた制御部を設けることが可
能である。管状体はカッターによって遊離させられた物
質を吸引するための吸引手段を備えることが好ましい。
指示計器は吸引通路内の閉塞物または吸引通路内の流れ
に対して不都合に大きい抵抗が存在することを示すため
のものである。
【0131】血管から物質を取り除くための方法。この
方法の第1の工程は、長尺状の可撓性管状体であって、
その基端において制御部に取り付けられるとともにその
末端において回転可能なカッターを有する管状体を提供
することである。次に管状体の末端を除去されるべき物
質にまで血管を通じて経管的に進める。カッターを回転
させ、物質の除去すべき部分を吸引手段による吸引また
はカッターをカッターハウジングから管状体の内部に基
端側に引き込む動作によって引き込む。吸引流、真空
度、またはカッターにかかる負荷における変化に応じて
術者にフィードバックがなされる。
【0132】長尺状可撓性カテーテルにおいて使用され
る回転可能なカッターであって、血管から物質を除去す
るためのカッター。カッターは基端及び末端を有するカ
ッターシャフトを備え、基端と末端との間に延びる長手
方向の回転軸を有する。カッターシャフトの少なくとも
末端部にはほぼ螺旋状のスレッドが形成される。更にカ
ッターシャフトの基端部には少なくとも1個の径方向外
側に延びるせん断フランジが設けられる。
【0133】長尺状の可撓性管状体を有するカテーテル
などの回転式医療器具。管状体は基端及び末端を有す
る。可撓性管状体の内部には回転可能な要素が管状体に
対して摺動可能に接触するかもしくは管状体に対して径
方向内側に間隔をおいて収容される。管状体の内面と回
転要素の外表面との間の空間によって吸引管腔が形成さ
れることが好ましい。管状体の末端において回転要素に
は回転可能なカッターが取り付けられる。本発明に基づ
けば管状体の基端において制御部が設けられる。管状体
は第1の断面積を有し、吸引管腔は第2の断面積を有す
るが、第2の面積は第1の面積の少なくとも約30%で
あり、好ましくは50%以上である。ガイドワイア管腔
が管状体の全長もしくは管状体の少なくとも末端部を通
じて延びる。このカテーテルにおいては従来の閉鎖端型
ガイドワイア、または治療用薬剤、造影剤や他の注入可
能な物質を注入するための末端開口を有する中空のガイ
ドワイアのいずれを使用することも可能である。
【0134】患者の身体から物質を取り除くための方
法。基端及び末端を有する長尺状の可撓性管状体が与え
られる。管状体の末端には回転可能な先端部が取り付け
られ、管状体の基端には制御部が取り付けられる。管状
体の末端は除去されるべき物質の位置にまで進められ
る。管状体を通じた吸引を制御部を通じて制御する。制
御部を通じて患者の身体から物質を取り除くためのカッ
ターの回転を制御することも可能である。
【0135】
【発明の効果】本発明に基づく回転式アテレクトミー器
具により、非対称なアテローム硬化性病変の除去におい
て病変の反対側の血管壁への影響を最小に抑えることが
可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を具体化した器具を示す概略図。
【図2】 カッターアッセンブリの一実施形態を示す、
図1の器具の末端部の部分側断面図。
【図3】 図2のカッターの側面図。
【図4】 図3のカッターの4−4線から見た端面図。
【図5】(a)カッター及びハウジングの別の一実施形
態を示す部分側断面図。(b)図5(a)のカッター及
びハウジングの5b−5b線に沿った断面図。
【図6】 カッター及びハウジングの更なる別の一実施
形態を示す部分側断面図。
【図7】 カッター及びハウジングの更なる別の一実施
形態を示す部分側断面図。
【図8】 本発明に基づいて構成された鋸刃状カッター
を示す斜視図。
【図9】 図8の鋸刃状カッターの側面図。
【図10】図8の鋸刃状カッターの頂面図。
【図11】本発明に基づいて構成された制御部の側断面
図。
【図12】(a)吸引が防止され、駆動モータへの電力
供給が遮断される配置にあるピンチ弁スイッチを示す概
略図。(b)吸引が行われ、駆動モータへの電力供給が
遮断される配置にあるピンチ弁スイッチを示す概略図。
(c)吸引が行われ、駆動モータに電力が供給される配
置にあるピンチ弁スイッチを示す概略図。
【図13】図14及び図15を一枚の図としてみる場合
の配置を示すレイアウト。
【図14】本発明に基づいたモータ制御回路の一部を示
す回路図。
【図15】本発明に基づいたモータ制御回路の一部を示
す回路図。
【図16】本発明に基づいて構成されたカッター、ハウ
ジング、およびカテーテルを備えるアッセンブリの拡大
部分側断面図。
【図17】偏心運動の第1の態様に基づいた処置動作を
示す概略図。
【図18】偏心運動の第2の態様に基づいた処置動作を
示す概略図。
【符号の説明】
10…回転式医療器具、12…管状体、18…制御部、
22…カッター、24…駆動シャフト(回転要素)、4
6…スレッド、57…鋸刃状スレッド、150…バルー
ン(膨張要素)、152…バルーンの偏心尾部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジョン エス.ハニーカット アメリカ合衆国 92028 カリフォルニア 州 フォルブルック ウィンターウォーム ロード 1625 (72)発明者 ポール テイラー アメリカ合衆国 92064 カリフォルニア 州 ポーウェイ コロニー ウェイ 14609 (72)発明者 ブラッドリー エス.クルベルト アメリカ合衆国 92688 カリフォルニア 州 ランチョ サンタ マルガリータ バ ラントゥリー 18 Fターム(参考) 4C060 FF21 MM25

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 横方向に偏向可能な回転式医療器具であ
    って、基端と第1及び第2の側面を有する末端とを備え
    る長尺状かつ可撓性の管状体と、該管状体を通じて延び
    る回転可能な駆動シャフトと、管状体の前記末端に配置
    されるとともに前記駆動シャフトに連結される回転可能
    なカッターと、管状体の末端近傍において前記第1の側
    面に配置される膨張可能なバルーンであって、血管内に
    おいて膨らまされることにより管状体の前記第2の側面
    を血管壁に向けて動かすバルーンとを備える回転式医療
    器具。
  2. 【請求項2】 前記カッターは外壁を有する円筒状本体
    と該外壁に沿って螺旋状に延びるカッティングスレッド
    とを有する請求項1に記載の回転式医療器具。
  3. 【請求項3】 前記カッティングスレッドはカッターの
    周囲に少なくとも1つの螺旋状通路を形成する請求項2
    に記載の回転式医療器具。
  4. 【請求項4】 前記管状体を通じて延びるとともに前記
    螺旋状通路に連通する吸引管腔を更に備える請求項3に
    記載の回転式医療器具。
  5. 【請求項5】 前記カッティングスレッドは少なくとも
    一部分において鋸刃状に形成されている請求項3に記載
    の回転式医療器具。
  6. 【請求項6】 カッターは管状体の内部に配置される請
    求項1に記載の回転式医療器具。
  7. 【請求項7】 カッターの少なくとも一部分は管状体の
    前記末端を越えて延びる請求項1に記載の回転式医療器
    具。
  8. 【請求項8】バルーンは柔軟な材料にて形成される請求
    項1に記載の回転式医療器具。
  9. 【請求項9】バルーンはポリウレタンにて形成される請
    求項1に記載の回転式医療器具。
  10. 【請求項10】バルーンはラテックスにて形成される請
    求項1に記載の回転式医療器具。
  11. 【請求項11】バルーンは約2mm〜約8mmの長さの
    膨張可能な部分を有する請求項1に記載の回転式医療器
    具。
  12. 【請求項12】バルーンは207kPa(30psi)
    の圧力にて膨らまされた状態で約2.5mmを越えない
    径を有する請求項1に記載の回転式医療器具。
  13. 【請求項13】バルーンは偏心して配置される尾部を有
    する請求項1に記載の回転式医療器具。
  14. 【請求項14】基端及び末端を有する長尺状の可撓性環
    状体と、該管状体を通じて延びる回転可能な駆動シャフ
    トと、管状体の前記末端に配置されるとともに前記駆動
    シャフトに連結される回転可能なカッターと、管状体を
    通じて長手方向に延びる吸引通路であって、該カッター
    により遊離させられた物質を吸引するための吸引通路
    と、管状体の一側面上に配置される膨張可能なバルーン
    と、管状体を通じて延びるとともに前記バルーンに連通
    する膨張管腔とを備え、脈管内においてバルーンを膨ら
    ませることにより管状体の末端が横方向に変位すること
    を特徴とする回転式医療器具。
  15. 【請求項15】前記吸引通路によって吸引を行う間にお
    いてのみ前記駆動シャフトの回転を可能とするためのレ
    ギュレータを制御部に有する請求項14に記載の回転式
    医療器具。
  16. 【請求項16】バルーンは偏心して配置された尾部を有
    する請求項14に記載の回転式医療器具。
  17. 【請求項17】バルーンはペレタンにて形成される請求
    項16に記載の回転式医療器具。
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