JP2001087223A - 歯肉観察方法及び装置 - Google Patents

歯肉観察方法及び装置

Info

Publication number
JP2001087223A
JP2001087223A JP26464499A JP26464499A JP2001087223A JP 2001087223 A JP2001087223 A JP 2001087223A JP 26464499 A JP26464499 A JP 26464499A JP 26464499 A JP26464499 A JP 26464499A JP 2001087223 A JP2001087223 A JP 2001087223A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reflected light
gingival
light
polarized
component
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP26464499A
Other languages
English (en)
Inventor
Morihide Itano
守秀 板野
Nobutoshi Kojima
伸俊 小島
Akitsugu Maeda
晃嗣 前田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP26464499A priority Critical patent/JP2001087223A/ja
Publication of JP2001087223A publication Critical patent/JP2001087223A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Endoscopes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋭敏な感度で歯肉の炎症状態を定量的に把握
できるようにする。 【解決手段】 歯肉の表面にS偏光とP偏光の少なくと
も一方を入射させ、S偏光を入射させた場合の反射光の
S偏光成分又はP偏光成分、あるいはP偏光を入射させ
た場合の反射光のS偏光成分又はP偏光成分を独立的に
受光し、それらの受光強度に基づいて、歯肉に自然光を
入射させた場合の表面反射光成分又は内部反射光成分を
独立的に求め、表面反射光画像又は内部反射光画像を得
ることにより歯肉観察を観察する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光の偏光特性を利
用して歯肉の表面反射光又は内部反射光を抽出し、歯肉
の測色解析を行う歯肉の観察方法、及びこの方法を用い
た歯肉観察装置に関する。
【0002】
【従来の技術】歯科医や歯科衛生士が、歯肉炎や歯周炎
等の歯周疾患の状態を把握する方法として、目視や触診
による主観評価指数(gingival index(GI)、papillar
y gingivitis-marginal gingivitis-attached gingivit
is (PMA-index)、periodontal score(PS)等)が知
られており、それぞれ発赤や腫脹の有無、出血の有無、
潰瘍の有無、知覚過敏や痛痒感などの主訴の有無などを
基にして指数を与えている。
【0003】歯肉状態の客観的把握方法としては、一般
的にポケット深度の測定、アタッチメントレベルの測
定、レントゲンによる歯槽骨吸収度合いの測定、細菌検
査、単位時間当たりの歯肉溝滲出液量の定量、歯肉溝滲
出液中に存在する細菌由来の特定組織破壊酵素活性の定
量等が知られている。一方、歯肉の色の変化は、歯周疾
患を取り扱うにあたり診断・治療・経過・予後の判定な
どに役立つため重要視されており、歯肉の色を定量化す
ることにより歯肉状態を客観的に把握するという試みも
研究的になされている。
【0004】歯肉の色を客観的に評価する方法は、視感
比色法と光電比色法とに大別される。視感比色法とは、
歯肉の色に対して肉眼で標準色票の中から最も近似した
ものを選択し、歯肉測定領域の色の表示を定量化する方
法である(指宿真澄、“視感比色法による歯肉色につい
て”口病誌、42、55(1975))。
【0005】光電比色法は、更に刺激値直読方式と分光
測定方式に大別できる。それぞれに直接歯肉を対象とし
て定量化する直接的定量方法と、写真やスライドフィル
ム、デジタル画像等から間接的に定量化する間接的定量
方法等が提唱されている(深井浩一 “歯肉色に関する
研究”日歯周誌、30、428(1988))。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】元来、目視や触診によ
る主観評価指数の判定基準も、歯肉の発赤の程度を基調
としているが、歯科医や歯科衛生士の主観的判断に依存
しているため、熟練度等により術者間に評価のバラツキ
が生じる。さらに、判定結果が大まかであるため、再現
性を持って、きめ細かく状態を表現するには不十分であ
る。
【0007】また、歯肉の色を定量化する試みのうち視
感比色法は、色票数の多さから肉眼による判別が困難な
ため、術者の充分な色記憶訓練が必要であり、再現性に
も難がある。光電比色法に関しても様々な報告がなされ
ているが、歯肉色の直接的定量方法においては、プロー
ブの測定面積に限界があり、狭小な口腔内、特に歯肉部
での測定が困難である。さらに、プローブによる密着測
定では粘膜下結合組織が薄い歯肉においては貧血帯を生
ずるため、本来の歯肉色を測定し難いという問題も生ず
る。写真やデジタル画像からの間接的定量方法において
も、写真には現像の際のブレが含まれ、デジタル画像に
は観察されるべき歯肉組織内部の色調情報に表面の凹凸
等に由来する質感情報が混在しているため、定量的な解
釈が困難である。
【0008】一方、歯肉の色の他に歯肉の腫脹等炎症に
伴う歯周組織の形状変化も、歯周組織の炎症状態を判定
するための重要な判断基準であるが、通常主観評価指数
に依存しており、客観的な評価方法は未だ実用化に至っ
ていない。
【0009】そこで、本発明は、歯肉の色及び形状変化
に基づいて炎症状態を判定するにあたり、術者の熟練度
によらず再現性が良好であり、かつ鋭敏な感度で歯肉の
状態を定量化できるようにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の目
的に対し、歯肉表面反射光及び内部反射光をそれぞれ解
析することにより、鋭敏な感度で歯肉の色及び腫脹等の
度合いを定量化できることを見出し、本発明を完成する
に至った。
【0011】即ち、本発明は、歯肉表面にS偏光又はP
偏光の少なくとも一方を入射させ、S偏光を入射させた
場合の反射光のS偏光成分又はP偏光成分、あるいはP
偏光を入射させた場合の反射光のS偏光成分又はP偏光
成分を独立的に受光し、それらの受光強度に基づいて、
歯肉に自然光を入射させた場合の表面反射光成分又は内
部反射光成分を独立的に求め、表面反射光画像又は内部
反射光画像を得ることを特徴とする歯肉観察方法を提供
する。
【0012】また、歯肉の表面状態の解析、評価に適し
た表面反射光画像を形成する方法として、歯肉の表面反
射光成分のうち、人の視覚系の等価視覚帯域に属する空
間周波数の成分に基づいて表面反射光画像を形成する方
法を提供する。
【0013】さらに、歯肉の表面状態の観察結果を定量
化し、その定量化した数値に基づいて歯肉の表面状態を
解析、評価する方法として、歯肉の表面反射光成分のう
ち、人の視覚系の等価視覚帯域に属する空間周波数の成
分のパワーを積算し、この値に基づいて歯肉の表面状態
を評価する方法を提供する。
【0014】また、本発明は、照射光源と偏光フィルタ
ーからなり、歯肉表面にS偏光又はP偏光を独立的に入
射させることのできる照射手段、該照射手段から歯肉に
入射させたS偏光又はP偏光による反射光のS偏光成分
又はP偏光成分を透過させる偏光フィルター、該偏光フ
ィルターを透過したS偏光成分又はP偏光成分を受光す
る撮像装置、撮像装置からの信号に基づき表面反射光画
像又は内部反射光画像をモニターに出力させる制御演算
装置、及びモニターを有することを特徴とする歯肉観察
装置を提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面を参照しつつ
詳細に説明する。なお、各図中、同一符号は同一又は同
等の構成要素を表している。また、以下の説明におい
て、符号中の大文字の添字D,S はそれぞれ内部反射光、
表面反射光を表し、小文字のp,s はそれぞれ入射光ある
いは反射光のP偏光成分、S偏光成分を表している。
【0016】本発明は歯肉にS偏光とP偏光とを入射さ
せた場合の次のような原理に基づいている。
【0017】図1に示したように、例えば歯肉Gに、光
源1から光源側P偏光用偏光フィルター2p を通してP
偏光Lpを入射させた場合、反射光は表面反射光LSpと
内部反射光LDpとを含むこととなるが、一般に表面反射
光では入射光の偏光性が維持されるので、表面反射光L
SpはP偏光成分LSpp を有し、S偏光成分は含まれない
と考えられる。一方、内部反射光LDpでは偏光性が消失
するため、そこに含まれるP偏光成分LDppとS偏光成
分LDpsとの強度は等しいと考えられる。
【0018】したがって、P偏光Lpの歯肉Gからの反
射光を受光側P偏光用偏光フィルター3pを通して撮像
装置4で観察すると、同図(a)に示したように、撮像
装置4には表面反射光を構成するP偏光成分LSppと内
部反射光のP偏光成分LDppとが観察されることとな
る。
【0019】ここで、受光側偏光フィルターとして、P
偏光用偏光フィルター3pに代えてS偏光用偏光フィル
ター3sを使用すると、同図(b)に示したように、撮
像装置4には、内部反射光のS偏光成分LDpsのみが観
察されることとなる。
【0020】このように歯肉GへP偏光を入射させた場
合に撮像装置4で観察される反射光の成分が、受光側偏
光フィルターの種類に応じて異なる現象は、歯肉GへS
偏光を入射させた場合にも同様に生じる。
【0021】このことから、歯肉Gに自然光を入射させ
た場合の表面反射光の強度I(S)及び内部反射光の強度
I(D)は、歯肉にP偏光を入射させた場合の反射光のP
偏光成分の強度I(pp)とS偏光成分の強度I(ps)、及び
歯肉にS偏光を入射させた場合の反射光のP偏光成分の
強度I(sp)とS偏光成分の強度I(ss)とをそれぞれ測定
することにより、それぞれ次式(1)、(2)にしたが
って算出することができる(特開平7−75629号公
報参照)。
【0022】
【数1】 I(S)=(I(pp)−I(ps))+(I(ss)−I(sp)) 式(1) I(D)=2・I(ps)+2・I(sp) 式(2) また、より簡便には、次式(3)、(4)あるいは
(5)、(6)にて代用することも可能である。
【0023】
【数2】 I(S)=I(pp)−I(ps) 式(3) I(D)=2・I(ps) 式(4)
【0024】
【数3】 I(S)=I(ss)−I(sp) 式(5) I(D)=2・I(sp) 式(6)
【0025】そこで、本発明の歯肉観察方法において
は、歯肉表面にS偏光又はP偏光の少なくとも一方、よ
り好ましくはS偏光とP偏光とをそれぞれ入射させ、そ
れぞれの場合における反射光のS偏光成分とP偏光成分
を受光し、上述の式(1)〜(6)、より好ましくは式
(1)、(2)にしたがって、歯肉に自然光を入射させ
た場合の表面反射光強度と内部反射光強度を独立的に
得、それらに基づいて表面反射光画像と内部反射光画像
を形成する。こうして得られる表面反射光画像は、歯肉
表面の凹凸等の質感の情報を有するものとなり、内部反
射光画像は歯肉組織内部の色調の情報を有するものとな
る。
【0026】さらに、本発明においては、表面反射光又
は内部反射光を色調解析することが好ましい。これによ
り、例えば歯肉内部反射光から歯肉の発赤等の炎症状態
を詳細な定量値として算出することが可能となり、ま
た、歯肉表面反射光から歯肉の浮腫や腫脹等の炎症状態
を定量化することが可能となる。したがって、歯肉の炎
症の度合いを歯肉の色調及び形状変化という2つのパラ
メータを用いて、より正確に定量化すること可能とな
る。
【0027】色調解析は次のように行うことができる。
まず、表面反射光又は内部反射光からカラーデジタル画
像を形成し、次に、その画像中の観察すべき対象領域を
R、G、Bの3成分に分光し、各分光成分の強度を測定
し、必要に応じてそれらの測定値を平均し、各分光成分
の反射光強度を算出する。ところで、一般に、撮像装置
の分光感度と視覚系の等色関数とは異なるため、撮像装
置特有の出力(R、G、B)と分光測色器により求めた
三刺激値(X、Y、Z)明度指数および知覚色度指数
(U***、L***、L***)とは異なるの
で、撮像装置の出力値は三刺激値もしくは明度指数およ
び知覚色度指数へ精度よくデーター変換することが望ま
しい。そこで、上述の各分光成分の反射光強度について
もこのような変換を行う。変換単位としては、対象領域
の平均値を以て変換しても良いし、画素単位で変換して
も良いが、微細な領域を精度良く色再現するためには画
素単位で変換することが望ましい。変換方法としては、
標準色票を撮像した時のRGB出力値と分光測色器の測
色値との間の変換係数を求めることにより可能である
が、用いる標準色票としては歯肉領域の標準色票を用い
ることが望ましい。
【0028】一方、歯肉の観察においては、歯肉の表面
反射光画像の鮮鋭度を向上させ、歯肉の表面状態をより
的確に解析評価できるようにするため表面反射光成分の
うち、人の視覚系の等価視覚帯域に属する空間周波数の
表面反射光成分を使用して表面反射光画像を形成するこ
とが有効である。
【0029】即ち、Grangerらは視覚系が網膜上
で10〜40本/mm(3.5〜13CPD)の空間周
波数帯域にのみ感度をもつものとして等価視覚帯域(E
quivalent Eye Bandpass)を規
定している(E.M.Granger,K.N.Cup
ery,“An Optical Merit Fun
ction(SQF),which correlat
es with subjective Image
Judgements”, Photogr.Sci.
Eng.,16,221(1972))。
【0030】そこで本発明においても歯肉の表面反射光
成分、好ましくは上記の本発明の歯肉観察方法にしたが
って得られる歯肉の表面反射光成分のうち、その空間周
波数が等価視覚帯域の範囲に属するものを抽出し、表面
反射光画像を形成する。これにより、形成された画像は
人の視覚系に鮮明に高感度に認識されるものとなる。さ
らに、歯肉の表面反射光成分のうち、その空間周波数が
等価視覚帯域の範囲に属するもののパワーを積算し、そ
の積算値を指標とすることにより歯肉の表面状態をより
適確に評価することが可能となる。
【0031】本発明の歯肉観察方法を実施する装置とし
ては、図2に示したブロック説明図のように、歯肉Gに
P偏光とS偏光をそれぞれ入射させられるようにする照
射手段として、照射光源1と光源側偏光フィルター2を
有するものを使用する。この場合、光源側偏光フィルタ
ー2としては、P偏光用フィルター2pとS偏光用フィ
ルター2sとを別個に設けてもよく、偏光フィルターの
設置角度を適宜変更できるようにしてP偏光用フィルタ
ーとS偏光用フィルターの双方の機能をはたすようにし
た一つの偏光フィルターを設けてもよい。
【0032】また、本発明の装置には、歯肉Gからの反
射光の受光手段として、反射光のS偏光成分とP偏光成
分とを独立的に受光できるようにする受光側偏光フィル
ター3を有するものを使用する。この受光側偏光フィル
ター3としても、P偏光用フィルター3pとS偏光用フ
ィルター3sとを別個に設けてもよく、偏光フィルター
の設置角度を適宜変更できるようにしてP偏光用フィル
ターとS偏光用フィルターの双方の機能をはたすように
した一つの偏光フィルターを設けてもよい。
【0033】受光側偏光フィルター3の後段には、受光
側偏光フィルター3を通して得られた反射光のS偏光成
分とP偏光成分を受光する撮像装置4、及び制御演算装
置5を順次設け、撮像装置4からの信号(I(pp)、I(p
s)、I(sp)、I(ss))をデジタル信号に変換して制御演
算装置5に入力する。制御演算装置5では、デジタル化
された撮像装置4からの信号に基づき、前述の本発明の
原理にしたがって表面反射光画像XS 及び内部反射光画
像XD を算出してデジタル画像を形成し、また、色調解
析を行い、これらの結果をモニター6に出力する。この
場合、デジタル画像をモニター6上で肉眼観察すること
により、観察したい歯肉対象領域を画面上で指定し、指
定領域のカラー画像信号を解析できるようにすることが
好ましい。
【0034】なお、照射光源1、光源側あるいは受光側
の偏光フィルター2、3、撮像装置4、モニター6自体
は種々の表面観察装置に使用されているものを使用する
ことができる。また、制御演算装置5もその制御内容と
して、前述の本発明の原理に従った演算を組み込んでい
る限り、一般的なコンピュータ等を使用することができ
る。
【0035】また、この装置の具体的態様としては、照
射手段と受光手段の少なくとも一部を一つのハンディタ
イプのコンパクトな観察装置内に一体化し、その他の装
置要素を他の装置として接続してもよく、あるいは個々
の装置要素を別個に設置するようにしてもよい。
【0036】
【実施例】実施例1(歯肉観察装置の構成例) 図3は、本実施例の歯肉観察装置の模式図である。
【0037】この装置では被験者の上顎歯肉部位G1
所定の偏光を照射できるように、光源1とその前面に偏
光板2Aを有している。この光源1としては150Wの
キセノン光源(ケンコー社製、スーパーブライト152
S)2灯を20cmの間隔で並べて使用し、偏光板2A
としてはポラロイド社製のHN32を使用した。光源1
と上顎歯肉部位G1との距離は20cmとした。被験者
は、椅子付きの顎固定器で上顎歯肉部位G1が動かない
ように固定し、光源1は上顎歯肉部位G1と水平になる
ように設置した。
【0038】また、上顎歯肉部位G1からの反射光の受
光系として、偏光板3Bを前面に設置した静止画用ハイ
ビジョンカラーカメラ(Nikon社製、HQ−130
C)(撮像装置)4を使用した。このカメラ4と上顎歯
肉部位G1との距離は30cmとした。
【0039】制御演算装置5としては、汎用パーソナル
コンピュータを使用し、画像情報をデジタル画像として
保存し、解析処理を行った。
【0040】表面反射光画像あるいは内部反射光画像の
色調解析おいては、カメラ輝度や外部の環境条件を補正
するため、歯肉色に近いJIS Z 8721に準拠し
た標準色票のうち、歯肉色分布を包含する領域(1.5
R、5R、10RP)中の39枚を用いて補正した。こ
れら標準色票を用いて本実施例の歯肉観察装置と色差計
(日本電色工業社製、OFC−1000DP)との値か
ら、デジタル画像のRGB値を三刺激値XYZに変換し
た。この場合、上顎歯肉部位G1の表面反射光LSppは光
源1と同じ分光成分からなるので無彩色となり、デジタ
ル画像を構成するR成分、G成分及びB成分は同一強度
を有する。そこで、表面反射光の色調解析にあたって
は、G成分のみを使用した。また、内部反射光の色調解
析においては、P偏光入射時の内部反射光のS偏光成分
LDpsのR成分、G成分及びB成分を用いた。
【0041】実施例2(歯周の観察例) 28歳男性を被験者とした。この被験者の主訴は歯の動
揺であり、歯肉にはほぼ全部位にわたり赤発が認めら
れ、乳頭部は浮腫化していた。X線写真において歯槽骨
の吸収が認められ、歯周炎と判定された。歯科医による
スケーリングとルートプレーニングを施し、同時にブラ
ッシング指導が行われた。なお、この被験者の全身的な
既往歴には特記すべき事項はない。
【0042】被験者の治療期間中に、GI(gingival i
ndex)、PD(pocket depth)、BOP(bleeding on
probing)を測定し、同時に上述の本実施例の歯肉観察
装置を使用して歯肉の色調解析を行った。この場合、内
部反射光についてはデジタル画像のRGB値を三刺激値
XYZに変換した後のY値を記録し、表面反射光につい
てはデジタル画像のG成分に基づいて算出したY値を記
録した。
【0043】結果を表1に示す。
【0044】
【表1】 診断時 治療開始1ヶ月 治療開始3ヶ月 治療開始6ヶ月 内部反射光Y値 26.6 21.2 16.2 13.4 表面反射光Y値 8.3 9.6 11.4 11.3 GI 3 2 1 0 PD(mm) 7-8 4 2 2 BOP 2 1 0 0
【0045】表1からわかるように、本実施例の歯肉観
察装置による内部反射光のY値及び表面反射光のY値
は、従来の評価方法(GI、PD、BOP)における評
価値と同様の挙動を示した。特に、内部反射光の色調解
析に基づくY値は、炎症部位の発赤の改善に伴って低下
し、表面反射光の色調解析に基づくY値は腫脹の解消に
伴って上昇した。また、表面反射光のY値は、腫脹が解
消した治療3ヶ月以降は略一定の値を示した。
【0046】この結果から、本発明によれば、歯肉状態
を客観的な数値として表すことができ、歯肉画像が質感
を伴って表示できることがわかる。
【0047】実施例3 25歳男性を被験者とした。この被験者は、歯科検診に
おいて、上顎1⊥1部の歯肉乳頭部に軽い発赤が認めら
れ、GI=1の軽度の歯肉炎と判定されたが、主訴は特
になく、健常であり、全身的な既往歴には特記すべき事
項はない。
【0048】この被験者には、歯肉炎の治療として、歯
科医によりブラッシング指導が行われた。
【0049】治療中の主観評価として3人の歯科医が各
々GIを評価し、同時に実施例1の歯肉観察装置を使用
して歯肉の色調解析を行った。この色調解析では、内部
反射光について、デジタル画像のRGB値を三刺激値X
YZに変換した後のY値を記録した。
【0050】結果を表2に示す。
【0051】
【表2】 診断時 治療開始2週間 治療開始1ヶ月 治療開始2ヶ月 内部反射光Y値 15.3 13.8 11.6 11.2 GI(歯科医A) 1 1 1 0 GI(歯科医B) 1 0 0 0 GI(歯科医C) 1 0 0 0
【0052】本実施例においては、被験者の歯肉炎が極
軽度であったため、治療過程中の歯科医によるGI判定
が微妙であり、完治か否かの判断に歯科医の個人差があ
った。これに対し、本実施例の歯肉観察装置によるY値
は、治療開始1ヶ月と2ヶ月で数値が安定しているた
め、治療開始1ヶ月の時点でほぼ完治していることがわ
かる。このことから、本発明によれば、炎症の微小な差
異を鋭敏に識別できることがわかる。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、歯肉の状態を、表面反
射光と内部反射光の各々から把握するので、歯肉組織内
部の色調と表面凹凸等の質感に関わる情報を分離し、そ
れぞれの情報を定量的に得ることができる。したがっ
て、歯科医や歯科衛生士といった専門家でなくでなくて
も、鋭敏な感度で歯肉の炎症状態を定量的に把握するこ
とができる。よって、患者が、歯周炎治療時にブラッシ
ング等のセルフケアに対する動機付けを高いレベルで維
持することが可能となる。また、状態の差異を鋭敏に識
別できるので、専門家にとっても有用な歯肉情報を得る
ことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の歯肉観察方法の原理の説明図であ
る。
【図2】 本発明の歯肉観察装置のブロック説明図であ
る。
【図3】 実施例の歯肉観察装置の模式図である。
【符号の説明】
1 光源 2 光源側偏光フィルター 2p 光源側P偏光用偏光フィルター 2s 光源側S偏光用偏光フィルター 3 受光側偏光フィルター 3p 受光側P偏光用偏光フィルター 3s 受光側S偏光用偏光フィルター 4 撮像装置 5 制御演算装置 6 モニター G 歯肉 I(pp) 歯肉にP偏光を入射させた場合の反射光のP偏
光成分の強度 I(ps) 歯肉にP偏光を入射させた場合の反射光のS偏
光成分の強度 I(sp) 歯肉にS偏光を入射させた場合の反射光のP偏
光成分の強度 I(ss) 歯肉にS偏光を入射させた場合の反射光のS偏
光成分の強度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 前田 晃嗣 東京都墨田区文花2−1−3 花王株式会 社研究所内 Fターム(参考) 4C061 AA08 BB02 CC06 DD00 FF40 LL08 NN01 NN05 QQ09 RR13 WW20 XX02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 歯肉表面にS偏光又はP偏光の少なくと
    も一方を入射させ、S偏光を入射させた場合の反射光の
    S偏光成分又はP偏光成分、あるいはP偏光を入射させ
    た場合の反射光のS偏光成分又はP偏光成分を独立的に
    受光し、それらの受光強度に基づいて、歯肉に自然光を
    入射させた場合の表面反射光成分又は内部反射光成分を
    独立的に求め、表面反射光画像又は内部反射光画像を得
    ることを特徴とする歯肉観察方法。
  2. 【請求項2】 表面反射光画像又は内部反射光画像を色
    調解析する請求項1記載の歯肉観察方法。
  3. 【請求項3】 歯肉の表面反射光成分のうち、人の視覚
    系の等価視覚帯域に属する空間周波数の成分に基づいて
    表面反射光画像を形成することを特徴とする歯肉観察方
    法。
  4. 【請求項4】 歯肉の表面反射光成分のうち、人の視覚
    系の等価視覚帯域に属する空間周波数の成分のパワーを
    積算し、この値に基づいて歯肉の表面状態を評価するこ
    とを特徴とする歯肉評価方法。
  5. 【請求項5】 照射光源と偏光フィルターからなり、歯
    肉表面にS偏光又はP偏光を独立的に入射させることの
    できる照射手段、該照射手段から歯肉に入射させたS偏
    光又はP偏光による反射光のS偏光成分又はP偏光成分
    を透過させる偏光フィルター、該偏光フィルターを透過
    したS偏光成分又はP偏光成分を受光する撮像装置、撮
    像装置からの信号に基づき表面反射光画像又は内部反射
    光画像をモニターに出力させる制御演算装置、及びモニ
    ターを有することを特徴とする歯肉観察装置。
  6. 【請求項6】 表面反射光画像又は内部反射光画像を色
    調解析する色調解析演算手段を有する請求項5記載の歯
    肉観察装置。
JP26464499A 1999-09-17 1999-09-17 歯肉観察方法及び装置 Pending JP2001087223A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26464499A JP2001087223A (ja) 1999-09-17 1999-09-17 歯肉観察方法及び装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26464499A JP2001087223A (ja) 1999-09-17 1999-09-17 歯肉観察方法及び装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001087223A true JP2001087223A (ja) 2001-04-03

Family

ID=17406228

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26464499A Pending JP2001087223A (ja) 1999-09-17 1999-09-17 歯肉観察方法及び装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001087223A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003047588A (ja) * 2001-08-03 2003-02-18 Olympus Optical Co Ltd 内視鏡装置
WO2004004554A1 (ja) * 2002-07-03 2004-01-15 Kabushiki Kaisha Shofu 歯面情報システム
WO2008013181A1 (fr) * 2006-07-24 2008-01-31 Satoru Shinpo Dispositif d'inspection d'une maladie périodontale
WO2008136218A1 (ja) * 2007-04-27 2008-11-13 Mutsumi Chemical Industries Co., Ltd. 歯科用ベースプレートワックス
EP2043509B2 (en) 2006-07-25 2016-05-25 The Procter and Gamble Company Methods and products for analyzing gingival tissues
US9526598B2 (en) 2012-12-21 2016-12-27 Koninklijke Philips N.V. Gum detection in a dental hygiene detection apparatus by stream probe blocking

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003047588A (ja) * 2001-08-03 2003-02-18 Olympus Optical Co Ltd 内視鏡装置
WO2004004554A1 (ja) * 2002-07-03 2004-01-15 Kabushiki Kaisha Shofu 歯面情報システム
WO2008013181A1 (fr) * 2006-07-24 2008-01-31 Satoru Shinpo Dispositif d'inspection d'une maladie périodontale
JP5059764B2 (ja) * 2006-07-24 2012-10-31 悟 新保 歯周疾患検査装置
EP2043509B2 (en) 2006-07-25 2016-05-25 The Procter and Gamble Company Methods and products for analyzing gingival tissues
WO2008136218A1 (ja) * 2007-04-27 2008-11-13 Mutsumi Chemical Industries Co., Ltd. 歯科用ベースプレートワックス
US9526598B2 (en) 2012-12-21 2016-12-27 Koninklijke Philips N.V. Gum detection in a dental hygiene detection apparatus by stream probe blocking

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8075308B2 (en) Intra-oral camera for diagnostic and cosmetic imaging
Hama et al. Reliability and validity of a quantitative color scale to evaluate masticatory performance using color-changeable chewing gum
US8467583B2 (en) Medical imaging method and system
Khurana et al. A clinical evaluation of the individual repeatability of three commercially available colour measuring devices
Pretty et al. The caries continuum: opportunities to detect, treat and monitor the re-mineralization of early caries lesions
Sagel et al. Objective quantification of plaque using digital image analysis
JP2016535654A (ja) 歯周病検出システムおよび方法
ATE304318T1 (de) System und verfahren zur prüfung, aufnahme und analyse dermatologischer zustände
US20100128959A1 (en) Method for detection of caries
JP2012245356A (ja) 皮膚又は外皮の色調を特徴付けるための方法
US20040202356A1 (en) Optical detection of dental caries
Ando et al. Evaluation of several techniques for the detection of secondary caries adjacent to amalgam restorations
MX2009000814A (es) Metodos y productos para analizar tejidos gingivales.
EP2010045A1 (en) Optical detection of dental caries
Benson et al. Enamel demineralisation assessed by computerised image analysis of clinical photographs
Klaus et al. Comparison of Quantitative light-induced fluorescence-digital (QLF-D) images and images of disclosed plaque for planimetric quantification of dental plaque in multibracket appliance patients
Adeyemi et al. Comparison of quantitative light-induced fluorescence (QLF) and digital imaging applied for the detection and quantification of staining and stain removal on teeth
Hassel et al. Predicting tooth color from facial features and gender: results from a white elderly cohort
Balas An imaging colorimeter for noncontact tissue color mapping
He et al. Smartphone-enabled snapshot multispectral autofluorescence imaging and its application for bacteria assessments in skin and oral cavity
JP2001087223A (ja) 歯肉観察方法及び装置
JP2004089237A (ja) 歯観察装置
JP3734741B2 (ja) しみ・そばかす評価方法
Wang et al. Fluorescence spectrometry based chromaticity mapping, characterization, and quantitative assessment of dental caries
Ginesin et al. Digital photometric analysis of gingival response to periodontal treatment

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20050117

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050801

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080905

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080930

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081201

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090127