JP2001079977A - 複合体及びその製造方法 - Google Patents

複合体及びその製造方法

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JP2001079977A
JP2001079977A JP26016399A JP26016399A JP2001079977A JP 2001079977 A JP2001079977 A JP 2001079977A JP 26016399 A JP26016399 A JP 26016399A JP 26016399 A JP26016399 A JP 26016399A JP 2001079977 A JP2001079977 A JP 2001079977A
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composite
sheet
thermal conductivity
graphite
graphite material
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JP26016399A
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Tsutomu Kawashima
川島  勉
Naomi Nishiki
直巳 西木
Wataru Okada
彌 岡田
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Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 迅速な熱伝導を目的として使用している材料
と比較して、熱伝導性、熱応答性が改善され、しかも軽
量である複合体を提供する 【解決手段】 厚さが0.01mm〜0.3mmであ
り、面方向の熱伝導率が500W/m・K〜1000W
/m・Kであり、密度が0.5g/cm3〜1.5g/
cm3である熱伝導異方性を有する少なくとも1つのシ
ート状グラファイト材料およびそれと複合化された少な
くとも1つの他の材料を有して成る熱伝導性に優れた複
合体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軽量かつ高熱伝導
性を有する複合体(または複合材料)およびそのような
複合体の製造方法に関する。そのような複合体は、例え
ば、金型の成型ピン、航空宇宙用の構造材、各種冷却部
材等に使用できる。
【0002】
【従来の技術】高熱伝導性を有する材料として、例えば
ダイヤモンド、グラファイト等の炭素系材料、銀、銅等
の金属材料を挙げることができる。このような高熱伝導
性の材料の中で、最も大きい熱伝導性を有するものはダ
イヤモンドである。ダイヤモンドの熱伝導率は約240
0W/m・Kと非常に大きいが、大きな結晶を得ること
ができず、また、高価であるため、各種構造材、熱伝導
材料等として使用されていない。
【0003】グラファイトに関しても、単結晶では熱伝
導率が1000W/m・K以上と大きいが、ダイヤモン
ドと同様に大きな結晶が得られない。そのため、グラフ
ァイトまたはカーボン粉末をバインダーで固めたもの
(膨張黒鉛シートとも呼ばれる)が用いられている。し
かし、カーボン粉末をバインダーで固めたものは、熱伝
導率が最大でも200W/m・Kとグラファイトの単結
晶と比べて相当小さい。カーボン粉末をバインダーで固
めたものは、90°折曲試験においても100回以下で
破断し、柔軟性に欠けるという問題がある。
【0004】また、熱伝導性という性質に着目されてい
ないが、強度という観点から炭素繊維を樹脂、金属、炭
素等のマトリックスと複合化させた炭素繊維強化複合体
が用いられている。このような炭素繊維強化複合体の熱
伝導率は、約150W/m・K以下である。
【0005】銀、銅等の金属に関しては、比重が例えば
銀で10.50、銅で8.96と大きいため、航空宇宙
用構造材等のように軽量化が必要な用途には適さない。
更に、金属は、比熱が大きいため、金型の成型ピンなど
加熱・冷却を繰り返す部分では、加熱・冷却に要する時
間が長くなり、その結果、成型タクトが長くなるという
問題もある。
【0006】詳細には、例えば樹脂成形に用いる金型に
ついて考えると、金型本体は、その内部に熱媒体を流す
ことができる構造に形成でき、加熱媒体または冷却媒体
を流すことにより迅速に加熱・冷却を実施できる。しか
しながら、金型に形成されるボス部(例えば直径が8m
m以下のもの)などは、そのように熱媒体を流す構造に
することができず、そのため、銅等の熱伝導性の大きい
材料のピンを成型ピンとして使用してボス部を冷却して
いる。しかしながら、金型本体と比べると、加熱・冷却
に時間を要することとなり、結果的に成形サイクルが長
くなってしまう。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、現在、迅速
な熱伝導を目的として使用している材料と比較して、熱
伝導性、熱応答性が改善され、しかも軽量である複合体
を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題に鑑み、種々
の検討を重ねた結果、厚さが0.01mm〜0.3mm
であり、面方向の熱伝導率が500W/m・K〜100
0W/m・Kであり、密度が0.5g/cm3〜1.5
g/cm3である熱伝導異方性を有するシート状グラフ
ァイト材料を、それ以外の他の材料、即ち、異種材料と
複合化することにより得られる複合体が、軽量であり、
熱伝導性および熱応答性に優れた複合体であることを見
出し、本発明を完成するに至った。
【0009】従って、本発明は、第1の要旨において、
厚さが0.01mm〜0.3mmであり、面方向の熱伝
導率が500W/m・K〜1000W/m・Kであり、
密度が0.5g/cm3〜1.5g/cm3である熱伝導
異方性を有する少なくとも1つのシート状グラファイト
材料およびそれと複合化された少なくとも1つの他の材
料を有して成る熱伝導性に優れた複合体を提供する。
【0010】本発明において、熱伝導性に優れたとは、
当該他の材料(または異種材料)が固有的に有する熱伝
導率より本発明の複合体の熱伝導率が大きい、即ち、よ
り多くの熱が伝導される(従って、熱がより早く伝達さ
れる)、あるいは、同等の熱伝導率であっても当該他の
材料の密度より本発明の複合体の密度が軽量であること
を意味する。このような複合体は、ある熱源から熱を他
の場所により迅速に伝導する(例えば熱を移動させる、
熱を拡散させる、あるいは熱を消散させる)ために使用
できる。
【0011】従って、1つの態様において、本発明は、
異種材料中に熱伝導異方性を有するシート状グラファイ
ト材料が複合化されていることを特徴とする熱伝導用複
合体を提供する。即ち、熱源からの熱を他の場所に迅速
に移すことにより熱源の温度上昇を抑制する、あるいは
熱源の温度を下げる複合体を提供する。
【0012】本発明は、第2の要旨において、熱伝導性
に優れた複合体の製造方法であって、厚さが0.01m
m〜0.3mmであり、面方向の熱伝導率が500W/
m・K〜1000W/m・Kであり、密度が0.5g/
cm3〜1.5g/cm3である熱伝導異方性を有する少
なくとも1つのシート状グラファイト材料を少なくとも
1つの他の材料と複合化することを特徴とする製造方法
を提供する。
【0013】尚、本明細書において、「複合化」とは、
2種以上の異なる材料(シート状グラファイト材料およ
び他の材料)を組み合わせてこれらの材料が一体となっ
て1つの機能(例えば、熱伝導)を果たすようにした実
質的に単一の部材または材料として扱えるようにするこ
とを意味する。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明において、上述のように特
定の性質を有するシート状グラファイト材料は、グラフ
ァイトと実質的に同等の性質を有するとみなし得る材料
であって、厚さ方向と比較して面方向の熱伝導率が大き
い熱異方性を有する。面方向の熱伝導率が厚さ方向の熱
伝導率の50〜500倍であるのが好ましく、100〜
300倍であるのがより好ましい。従って、本発明の複
合体において、熱の伝導方向は、主としてシート状グラ
ファイト材料の面に沿った方向である。尚、「シート
状」なる用語は、面方向のディメンションに対して厚さ
方向のディメンションが相対的に小さいことを意味す
る。
【0015】そのようなグラファイト材料は、例えば特
開平3−75211号公報に記載された方法によって製
造することができる。例えば、ポリイミド、ポリオキサ
ジアゾールなどの高分子フィルムを2400℃以上の温
度(例えば2700℃)で熱処理して得ることができ
る。このシート状グラファイト材料は、面方向の熱伝導
率が500〜1000W/m・Kと大きく、この方法で
製造されるグラファイト材料は、ラマン分光でグラファ
イト構造しか存在しないことがわかった。また、不純物
分が1%以下であり、それ故、グラファイトと実質的に
同等の性質を有する。この方法で製造されるシート状グ
ラファイト材料は、90°折曲試験または耐揉疲労試験
(JIS P 8115 MIT形自動折曲試験機(但
し、折り曲げ角度は90°)を使用)においても100
0回以上折り曲げても破断しない柔軟性を有する。
【0016】シート状グラファイト材料の厚さは、より
好ましくは、0.05mm〜0.15mmである。ま
た、面方向の熱伝導率は、より好ましくは500W/m
・K〜800W/m・Kである。更に、密度は、より好
ましくは、0.8g/cm3〜1.1g/cm3である。
【0017】勿論、入手可能であり、上述の特定の性質
を有するのであれば、シート状グラファイト材料は、他
の方法で製造されたもの、天然産のものであってもよ
い。
【0018】本発明の複合体において、シート状グラフ
ァイト材料は複数枚数存在してもよく、その場合が好ま
しい場合が多い。例えば、シート状グラファイト材料は
コアとして存在する他の材料の周囲に少なくとも1周巻
回された状態であってよく、更に、巻回されたシート状
グラファイト材料の周囲に他の材料(コアと同じ材料で
あっても、別の種類の材料であってよい)が存在してよ
い。
【0019】このように複数枚数のシート状グラファイ
ト材料が存在する場合、シート状グラファイト材料が相
互に隣接(または接触)して存在しても、シート状グラ
ファイト材料同士の間に空間が存在しても、またはシー
ト状グラファイト材料同士が他の材料を介して隣接して
も、あるいはこのような種々の状態がいずれかの組み合
わせで混在してもよい。
【0020】本発明の複合体において上述のようなシー
ト状グラファイト材料が複合化される他の材料または異
種材料は、特に限定されるものではないが、例えば、金
属材料(例えば銅、ニッケル、アルミニウム、金)、プ
ラスチック材料(例えばフェノール樹脂、エポキシ樹
脂、フラン樹脂、ポリイミド樹脂)または無機材料(例
えば炭素(グラファイト化炭素、ガラス化炭素、熱分解
炭素、先のプラスチック材料を炭素化したものを含
む)、ケイ素、ホウ素)であってよく、また、これらが
予め複合化されたものであってもよい。
【0021】これらの他の材料の形態は特に限定される
ものではなく、複合化方法に応じて、例えばシート状、
膜状、薄膜状であってもよい。勿論、他の材料が通常入
手される形態(例えば円柱状、円筒状等)であってもよ
い。
【0022】本発明の複合体の形態は、グラファイト材
料がシート状で存在しさえすれば、特に限定されるもの
ではなく、複合体の使用目的および/または複合化方法
に応じて、例えばシート状、円筒状、円柱状、板状等の
形態であってよい。本発明の複合体の1つの好ましい態
様では、シート状グラファイト材料は、他の材料の内部
に存在する。具体的には、シート状グラファイト材料
は、例えば、他の材料中に埋設されている、他の材料に
より包囲されている、あるいは他の材料により被覆され
ている。勿論、シート状グラファイト材料が露出してい
てもよいが、シート状グラファイト材料は機械的強度、
特に磨耗強度が小さいので他の材料によって露出しない
ように保護されているのが好ましい。
【0023】例えば、異種材料をコアまたは軸として、
その回りにシート状グラファイト材料を円筒状にして配
置した円柱形状の複合体としてよく、別法では、軸を中
空にして(即ち、環状にして)円筒形状の複合体として
よい。後者の場合は、軽量化が可能となる。更に、円筒
状のシート状グラファイト材料の周囲に他の材料(内側
の他の材料と同じ材料であっても、更に別の材料であっ
てもよい)を配置してよい。例えばそのような他の材料
を被覆してよい、あるいはそのような他の材料のシート
を巻き付けてもよい。
【0024】本発明の複合体を製造するための複合化方
法は、上述のシート状グラファイト材料と複合化できる
のであれば、特に限定されるものではない。具体的な複
合化方法は、シート状グラファイト材料および他の材料
である、異なる材料の上述の「複合化」を達成できるの
であれば、いずれの方法であってもよい。
【0025】例えば以下の方法を複合化方法として使用
できる: (1)付着(異なる材料同士が物理的および/または化
学的な何らかの力により結合する、例えば他の材料とし
てのプラスチック材料またはその前駆体(硬化前のプラ
スチック材料)(必要に応じて、溶融または溶媒に溶解
もしくは分散させたものであってよい)を塗工(または
塗布)する); (2)接着(異なる材料間に接着剤を介在させる)、 (3)機械的締結(機械的手段(例えば、ステープル、
ネジ)により異なる材料を一体に保持する); (4)圧着(異なる材料を一体に押し付けて、必要に応
じて熱を加えながら、結合させる); (5)メッキ(グラファイト材料に金属材料をメッキす
る);
【0026】(6)蒸着(CVD、PVD、グラファイ
ト材料に他の材料の分子を化学的または物理的に付着さ
せる); (7)溶着(グラファイト材料に溶融した他の材料を適
用する、あるいはグラファイト材料上で他の材料を溶融
させる); (8)変性(グラファイト材料と他の材料を接触させた
状態で、例えば上述の(1)〜(7)の方法でグラファ
イト材料に他の材料を複合化させた後、他の材料を化学
的および/または熱変性して別の材料に転換することに
より、別の材料と複合化する)。
【0027】例えば、シート状グラファイト材料に金属
材料をメッキすることにより金属材料と複合化を実施す
る方法、シート状グラファイト材料にプラスチック材料
を塗工することによりプラスチック材料と複合化を実施
する方法、またシート状グラファイト材料にプラスチッ
ク材料を塗工し、その後、プラスチック材料を熱処理し
て炭化することにより炭素と複合化を実施する方法が好
ましい。
【0028】本発明の複合体において、使用するシート
状グラファイト材料の厚さは、0.01mmより薄くな
ると強度的に弱くなり、一般的には、本発明の複合体を
製造することが困難となる。逆に、厚さが0.3mmよ
り厚くなると柔軟性が減少して、自由な形状で他の材料
と複合化することができない場合がある。また、面方向
の熱伝導率が500W/m・Kより小さい場合には、他
の材料が銅などの熱伝導性の良い金属と複合化する場
合、銅とシート状グラファイト材料を複合化しても熱伝
導性がそれほど向上しない(勿論、軽量になるという利
点はある)。一方、熱伝導率が1000W/m・Kより
大きいシート状グラファイト材料は現在入手できない。
【0029】更に、シート状グラファイト材料の密度が
0.5g/cm3より小さい場合、シート状グラファイ
ト材料は空隙が多く、強度的に非常に脆いものとなり、
複合化に適さない。逆に、シート状グラファイト材料の
密度が1.5g/cm3より大きい場合、柔軟性が無く
なり、この場合も複合化に適さないし、複合化して得ら
れた複合体は機械的な力によってシート状グラファイト
材料が破断して所期の熱伝導を達成できない場合があ
る。
【0030】更に、第3の要旨において、本発明は、上
述の複合体を用いて製造される熱拡散用部材、例えば成
型ピン、放熱フィンを提供する。このピンは、その長手
方向はシート状グラファイト材料の面方向に対応する。
更に、別の態様では、本発明は、上述の複合体により形
成される構造材、例えば核融合炉の隔壁、人工衛星用構
造材を提供する。
【0031】
【実施例】(実施例1)金属材料の熱伝導性、熱応答性
を向上させ、更に軽量化を図るため、金属材料中にシー
ト状グラファイト材料を複合化した複合体を作製する。
金属材料として、高い熱伝導性をもつ銅を用いて、複合
体を作製し、銅単体と密度、熱伝導率を比較する。
【0032】特開平3−75211号公報に記載された
方法に基づいて、厚さ75μmのポリイミドフィルムを
2700℃でグラファイト化することにより、厚さ10
0μm、密度1.0g/cm3、面方向の熱伝導率が8
00W/m・Kのシート状グラファイト材料を作製し
た。
【0033】このシート状グラファイト材料をφ2.0
mm、長さ50mmのコアとしての銅の周囲に5周巻き
付けてカーボン系接着剤により留めてシート状グラファ
イト材料部分の厚さを0.5mmとした後、硫酸銅を用
いて外周部を1mmの厚さで銅をメッキすることにより
複合化して、φ5.0mm、長さ50mmの高熱伝導性
を有する円柱形の複合体を作製した。
【0034】この複合体の全体としての密度を測定した
ところ、6.8g/cm3であった。これは、銅の密度
8.9g/cm3と比較して20%以上小さい値であ
る。また、この複合体の熱伝導率は550W/m・Kで
あり、銅の熱伝導率約400W/m・Kよりも高い。
尚、熱伝導率は、レーザフラッシュ法により測定した。
【0035】次に、この複合体の熱伝導性を評価するた
めに、複合体(A)と同じ形状の円柱状の銅のコア
(B)を作製し、一端を熱源(100℃)に接触させ、
他端の温度の時間変化を熱電対で測定した(接触させた
時が時刻ゼロである)。また、130秒後に、熱源を離
した。その結果を図1に示す。この図からわかるよう
に、銅のコアと比べて、実施例1の複合体は熱伝導率が
高いので熱伝導性に優れ、また、熱容量が小さいので熱
応答性に優れていることがわかる。
【0036】更に、この複合体の2点支持の場合の曲げ
強度を測定した。試験条件として、支点間距離を40m
m、ヘッド速度を10mm/minで行った。その結
果、複合体の強度は74kgf、銅のコアの曲げ強度は
86kgfあった。実施例1の複合体は、強度的には銅
単体より若干弱くなるものの、軽量かつ熱伝導性の良さ
を考慮すると、総括的には熱伝導材料として好ましいこ
とが分かる。
【0037】(実施例2)樹脂材料の熱伝導性、熱応答
性を向上させ、更に軽量化を図るため、樹脂材料中にシ
ート状グラファイト材料を複合化した複合体を作製す
る。最初に、実施例1で作製したシート状グラファイト
材料を用い、そのシート状グラファイト材料をφ2.0
mmのコアとしての樹脂系材料(エポキシ樹脂製)の周
囲に5周巻き付けてエポキシ樹脂により留めてシート状
グラファイト材料部分の厚さを0.5mmとした後、外
周部にエポキシ樹脂を塗布した。その後、樹脂を加熱、
硬化させてφ5.0mmの円柱状の複合体を作製した。
【0038】得られた複合体の密度を測定した結果、
1.6g/cm3であった。これは、エポキシ樹脂の密
度と同等である。しかし、熱伝導率を測定すると、20
W/m・Kであり、エポキシ樹脂の熱伝導率が注型用ア
ルミ粉充填タイプ0.5〜1W/m・Kであることか
ら、この複合体は高い熱伝導率を持っていることがわか
る。従って、この複合体は、樹脂材料と同等の重量であ
って、樹脂材料よりも高い熱伝導性が求められている用
途には、適している。
【0039】この態様では、他の材料がエポキシ樹脂で
あり、これとシート状グラファイト材料との複合化方法
は、接着剤としても機能するエポキシ樹脂による接着、
あるいはエポキシ樹脂の単なる付着であると言える。
【0040】(実施例3)炭素材料の熱伝導性、熱応答
性を向上させるため、炭素材料中にシート状グラファイ
ト材料を複合した複合体を作製する。
【0041】実施例1で作製したシート状グラファイト
材料をφ2.0mmのコアとしての炭素系材料(カーボ
ン粉末およびバインダーから成る)の周囲に5周巻き付
けてカーボン系接着剤により留めてシート状グラファイ
ト材料部分の厚さを0.5mmとした後、外周部にフェ
ノール樹脂を塗布した。この際、樹脂の粘度を下げるた
めに、メタノール、キシレン等の溶剤と混合しても良
い。その後、不活性雰囲気中で、1000℃以上の温度
で焼成して樹脂を炭化させた。この後、樹脂の塗布およ
び炭化を繰り返して(合わせてそれぞれ3回)、最終的
に直径5.5mmの複合体を得た。尚、樹脂は焼成によ
り熱分解され、空隙を生じるため、樹脂の塗布および焼
成を繰り返す必要があった。
【0042】得られた複合体の密度は、1.4g/cm
3であった。これは、炭素繊維/炭素複合体等の炭素系
複合体と比較して同等である。しかし、熱伝導率は、2
50W/m・Kであり、従来の炭素繊維/炭素複合体の
熱伝導率100W/m・K、特開平8−81261に記
載されている高熱伝導炭素繊維/炭化硼素複合体の熱伝
導率150W/m・Kと比較して、高い熱伝導率である
ことがわかる。従って、本実施例で得られた複合体は、
耐熱性が必要であり、かつ、高い熱伝導性が求められて
いる用途、例えば核融合炉炉壁などには適している。
【0043】この態様では、他の材料が炭化したフェノ
ール樹脂、即ち、炭素であり、この場合の複合化方法
は、変性であると言える。
【0044】
【発明の効果】従来使用してきた金属、樹脂、炭素材料
にシート状グラファイト材料を複合することにより、熱
伝導性、熱応答性に優れた複合体を得ることができる。
そのため、例えば金型の成型ピンに使用した場合、加
熱、冷却を繰り返すため、成型ピンの熱応答性が高く、
成形タクトを早くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の複合体の伝熱性能を銅と比較した
グラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡田 彌 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 4F100 AA00B AA37A AB01B AK01B AT00B BA02 BA10A BA10B CC00B DD31 EH71B GB90 JA13A JA20A JJ01A YY00A 4G032 AA04 AA12 AA41 BA00 4G046 EA05 EB06 EC01 EC05

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 厚さが0.01mm〜0.3mmであ
    り、面方向の熱伝導率が500W/m・K〜1000W
    /m・Kであり、密度が0.5g/cm3〜1.5g/
    cm3である熱伝導異方性を有する少なくとも1つのシ
    ート状グラファイト材料およびそれと複合化された少な
    くとも1つの他の材料を有して成る複合体。
  2. 【請求項2】 グラファイト材料であるシートの厚さは
    0.05mm〜0.15mmであり、面方向の熱伝導率
    は500W/m・K〜800W/m・Kであり、密度は
    0.8g/cm3〜1.1g/cm3である請求項1に記
    載の複合体。
  3. 【請求項3】 円柱状の他の材料の周囲にシート状グラ
    ファイト材料が少なくとも1周巻きつけられている請求
    項1または2に記載の複合体。
  4. 【請求項4】 円筒状の他の材料の周囲にシート状グラ
    ファイト材料が少なくとも1周巻きつけられている請求
    項1または2に記載の複合体。
  5. 【請求項5】 シート状グラファイト材料の周囲に他の
    材料が更に配置されている請求項3または4に記載の複
    合体。
  6. 【請求項6】 他の材料は、金属材料、プラスチック材
    料または無機材料である請求項1〜5のいずれかに記載
    の複合体。
  7. 【請求項7】 複合体の製造方法であって、厚さが0.
    01mm〜0.3mmであり、面方向の熱伝導率が50
    0W/m・K〜1000W/m・Kであり、密度が0.
    5g/cm3〜1.5g/cm3である熱伝導異方性を有
    する少なくとも1つのシート状グラファイト材料を少な
    くとも1つの他の材料と複合化することを特徴とする製
    造方法。
  8. 【請求項8】 複合化は、シート状グラファイト材料に
    金属材料をメッキすることにより実施する請求項7に記
    載の複合体の製造方法。
  9. 【請求項9】 複合化は、シート状グラファイト材料に
    プラスチック材料を塗工することにより実施する請求項
    7に記載の複合体の製造方法。
  10. 【請求項10】 複合化は、シート状グラファイト材料
    にプラスチック材料を塗工し、その後、プラスチック材
    料を熱処理して炭化することにより実施する請求項7に
    記載の複合体の製造方法。
  11. 【請求項11】 コアとして存在する他の材料の周囲に
    シート状グラファイト材料を少なくとも1周巻回するこ
    とにより複合化する工程、および巻回したシート状グラ
    ファイト材料の周囲のコアと同じまたは異なる他の材料
    を複合化する工程を含む請求項7に記載の複合体の製造
    方法。
  12. 【請求項12】 他の材料と複合化して熱伝導性に優れ
    た複合体を製造する場合に使用するシート状グラファイ
    ト材料であって、厚さが0.01mm〜0.3mmであ
    り、面方向の熱伝導率が500W/m・K〜1000W
    /m・Kであり、密度が0.5g/cm3〜1.5g/
    cm3であるグラファイト材料。
  13. 【請求項13】 請求項1〜6のいずれかに記載の複合
    体を用いて製造される熱拡散用部材。
  14. 【請求項14】 成型ピンである請求項13に記載の熱
    拡散用部材。
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