JP2001070107A

JP2001070107A - パッド付ベビーキャリア

Info

Publication number: JP2001070107A
Application number: JP24708899A
Authority: JP
Inventors: Junichi Higuchi; 順一樋口
Original assignee: Lucky Industry Co Ltd
Current assignee: Lucky Industry Co Ltd
Priority date: 1999-09-01
Filing date: 1999-09-01
Publication date: 2001-03-21
Also published as: JP3856625B2; KR100386652B1; US6443339B1; KR100386650B1; JP2001137082A; TW474800B; TW474799B; KR20010049470A; KR20010049469A; US6415969B1

Abstract

(57)【要約】【課題】対面または前向きのどちらの方向でも幼児を
安全快適にだっこ、さらに横抱きやおんぶもできるベビ
ーキャリアの提供を目的とする。【解決手段】この発明のパッド付ベビーキャリアは、
少なくとも背当て部11を有し、前記背当て部11を幼児の
背面に当てて保持する対面だっこ、および前記背当て部
11を幼児の胸腹部に当てて保持する前向きだっこのいず
れの状態にも幼児を収容保持しうるキャリア本体10と、
前記キャリア本体10に取り付けられて左右の肩に掛ける
ショルダーベルト30、30とを備え、さらに、前記キャリ
ア本体10の内側に着脱自在に装着され、前記背当て部11
を覆い、かつその下部両側間が、前記背当て部11の前向
きだっこにおける股当て相当位置よりも幅広に形成され
ているパッド40を備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、幼児を保持して
移動する際に使用されるベビーキャリア、特に対面だっ
こおよび前向きだっこの両方に適したパッド付ベビーキ
ャリアに関する。

【０００２】

【従来の技術】乳幼児を保持して移動する際に使用され
るベビーキャリアの使用形態の一つとして、幼児を使用
者の身体の前側で保持する、所謂「だっこ」がある。だ
っこは、図６に示すように幼児と使用者とが向き合う対
面だっこが一般的である。対面だっこでは、使用者は常
に幼児の様子を確認することができ、かつ幼児も使用者
に見守られているため双方に強い安心感が得られる。ま
た、幼児は眠くなったら使用者にもたれて楽な姿勢で眠
ることができ、使用者が補助的に手で支える場合にも安
定感がある。従って、一般的なベビーキャリアは幼児の
背中から臀部をすっぽりと包むような対面だっこに適し
た構造を採用している。

【０００３】ところで、本来幼児は好奇心の強いもので
あり、周囲の風景に興味を示すものである。しかし、対
面だっこでは、視野が使用者に遮られて十分に好奇心を
満たすことはできない。また、長時間同じ姿勢でだっこ
されていると飽きてくることもある。そのため、最近で
は幼児を使用者と同方向を向かせ、視野の拡がる「前向
きだっこ」をする使用者が増えつつある。無論、だっこ
の心理的、身体的な安定感のみについていえば対面だっ
こが勝るため、前向きだっこのみを行うのではなく、幼
児の状態に合わせて対面だっこと前向きだっことが使い
分けられている。

【０００４】このため、従前より対面だっこに使用して
いたベビーキャリアをそのまま使用し、キャリア本体へ
の幼児の収容方向を転換して、対面だっこおよび前向き
だっこの両方に対応していた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
対面だっこ用のベビーキャリアで前向きだっこを行う
と、次のような問題点があった。

【０００６】即ち、人間の上半身や上下肢は前方向（胸
腹部方向）に曲がるものであり、曲げ方向の外側寸法は
内側よりも長い。このような人体をキャリア本体内で安
定した状態に保持するために、幼児の背中から臀部を支
える背当て部は幅広に形成される一方で、下腹部から両
脚の鼠蹊部間を支える股当て部はやや狭い幅に形成され
ている。このようなベビーキャリアを対面だっこに用い
ると、幼児の背中から臀部までをすっぽり包んで安定し
た保持状態が得られる。しかし、幼児を逆向きに収容し
て前向きだっこに使用すると、両脚は背当て部の下方両
側縁から背当て部の背面方向にやや曲がった状態で出る
から、幅の広い背当て部の下方部で幼児の下腹部から鼠
蹊部を保持することになる。しかも、キャリア本体は吊
り下げられているため、背当て部の下方部に幼児の体重
が集中し、背当て部の下方両側縁が幼児の鼠蹊部を圧迫
したり食い込んだりする。その上、前向きだっこでは、
対面だっこより手足の動きが自由になるために幼児の運
動量が大きくなる傾向があり、ますます鼠蹊部への圧迫
が強くなる。

【０００７】またさらに、１つのベビーキャリアを、上
述した２種類のだっこ以外に生後すぐから横抱きで使用
し、やや成長してからはおんぶでも使用したいという要
望がある。

【０００８】この発明は、上述の技術背景に鑑み、対面
または前向きのどちらの方向でも幼児を安全快適にだっ
こでき、さらには横抱きやおんぶでも安全快適に使用で
きるパッド付ベビーキャリアの提供を目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、この発明のパッド付ベビーキャリアは、少なくとも
背当て部（11）を有し、前記背当て部（11）を幼児の背
面に当てて保持する対面だっこ、および前記背当て部
（11）を幼児の胸腹部に当てて保持する前向きだっこの
いずれの状態にも幼児を収容保持しうるキャリア本体
（10）と、前記キャリア本体（10）に取り付けられて左
右の肩に掛けるショルダーベルト（30）（30）とを備
え、さらに、前記キャリア本体（10）の内側に着脱自在
に装着され、前記背当て部（11）を覆い、かつその下部
両側間が、前記背当て部（11）の前向きだっこにおける
股当て相当位置よりも幅広に形成されているパッド（4
0）を備えることを基本要旨とする。

【００１０】また、前記キャリア本体（10）の背当て部
（11）は、背当て幅の拡縮する背幅調節具（16）を有す
ることが好ましい。

【００１１】また、前記キャリア本体（10）の背当て部
（11）の上部に、幼児の頭部安定用の頭当て部材（13）
が上方突出状にかつ着脱自在に設けられてことが好まし
く、さらに、前記パッド（40）と頭当て部材（13）と
は、共通の止着具（17ａ）（17ｂ）によりキャリア本体
（10）の背当て部（11）に装着されることが好ましい。

【００１２】また、前記キャリア本体（10）は、背当て
部（11）の下端に側面視Ｕ字状をなす股当て部（12）が
連続形成され、さらに下端縁を前記股当て部（12）の前
端縁に連結され、上部両側縁を背当て部（11）の両側耳
部（11a ）（11a ）に分離可能に連結された前当て片
（14）を有することが好ましく、さらに前記股当て部
（12）の前端縁から引出され、前記前当て片（14）の分
離状態においてその先端部が前記背当て部（11）の左右
両側部に分離可能に止着される足ぐりベルト（25）（2
5）を有することが好ましい。

【００１３】また、前記ショルダーベルト（30）（30）
は、縦抱きで両肩掛け使用時と横抱きで左右一括たすき
掛け使用時とで長さ調節可能となされていることが好ま
しい。

【００１４】

【発明の実施の形態】この発明の好適な１つの実施形態
を、図示例に基づいて以下に説明する。

【００１５】図１〜図３に示すベビーキャリア（１）
は、キャリア本体（10）、ショルダーベルト（30）およ
びパッド（40）から構成され、対面だっこおよび前向き
だっこに加えて、おんぶ、横抱きの４通りに転換して使
用することができる。

【００１６】前記キャリア本体（10）は、背当て部（1
1）と、該背当て部（11）の下端に連続形成された側面
略Ｕ字状を呈する広幅帯状の股当て部（12）と、前記股
当て部（12）に着脱自在に取付けられた正面視略逆凸状
の前当て片（14）とを有する。

【００１７】前記背当て部（11）の外面側には、小物を
収納するポケット（15）が縫着されているとともに、ポ
ケット（15）の両脇に背当て部（11）の背当て幅を拡縮
する背幅調節具（16）が縫着されている。本実施形態で
は、２個のＤ鐶とこれらのＤ鐶に通して留める調整ベル
トとにより構成された調節具(16)を例示している。その
他の調節具としてスナップ、ラダー部材等を例示でき、
この発明は調節具の種類を限定するものではない。

【００１８】前記股当て部（12）は前端縁に面ファスナ
ー（23）によって開閉される開口部を有する袋状に形成
されており、内部に前記前当て片（14）を連結するファ
スナー（19）および左右一対の足ぐりベルト（25）（2
5）を有する。

【００１９】前記前当て片（14）は、正面視略逆凸状で
下端縁にファスナー（19）を有し、該ファスナー（19）
により股当て部（12）の袋状内の前端縁近くに分離可能
に連結される一方、上部両側縁が上下各１対のホックに
よる止着具（20）（20）を有して、背当て部（11）の両
側耳部（11a ）（11a ）の先端部に分離可能に連結され
たものとなされている。さらに、前記ファスナー（19）
の上方表裏両面に前記股当て部（12）開閉用の面ファス
ナー（23）に対応する面ファスナー（24）が縫着され、
これら（23）（24）を係合させることにより前当て片
（14）の使用時においても股当て部（12）の開口部を閉
じることができる。また、前記前当て片(14 ）を使用し
ない時は、ファスナー（19）を分離してキャリア本体
（10）から取り外すこともできるし、股当て部(12 ）の
袋状内に収納することもできる。

【００２０】また、前記前当て片（14）の上部外面に
は、横向きに１本の安全補助ベルト（21）が中間部を縫
い付けて取付けられている。この補助ベルト（21）は、
前当て片（14）の上部の止着具（20）が万一外れたとき
の安全対策として付設されたものであり、両端の第１バ
ックル（22a ）（22a ）を背当て部（11）の両側耳部
（11a ）（11a ）の外面に取付けられた第２バックル
（22b ）（22b ）に止着連結しうるものとなされてい
る。

【００２１】従って、前記キャリア本体（10）は、前記
前当て片（14）を股当て部（12）および背当て部（11）
に連結することにより、その内側に幼児をすっぽりと収
めて保持する袋状タイプとしても、また前記前当て片
（14）を分離することにより、幼児の前側の拘束を弛め
て保持するオープンタイプの両用タイプに転換可能であ
る。なお、袋状タイプは未だ十分に成長していない幼児
をも安全にかつ安定よく保持できる利点があり、オープ
ンタイプはやや身体の大きくなった幼児や着ぶくれによ
り嵩高状態になった幼児をゆったり保持できるという利
点がある。なお、この実施形態では、前当て片（14）を
ファスナー（19）により股当て部（12）から分離すると
ともに、止着具（20）により背当て部（11）から分離す
ることにより袋状タイプ−オープンタイプの転換を図っ
ているが、前当て片（14）を股当て部（12）に対して縫
着等により固定的に連結する一方で、背当て部（11）か
ら分離可能に連結することによっても両タイプの転換を
行うことができる。この場合、背当て部（11）から外し
た前当て片（14）を袋状に形成した股当て部（12）内に
連結したまま収納する構成にすれば良い。本実施形態の
ように前当て片を股当て部から分離させる構成では、オ
ープンタイプ使用時に股当て部（12）が嵩張らず邪魔に
ならない点が有利であり、後者の構成では前当て片（1
4）を紛失するおそれがない点が有利である。

【００２２】また図２に示すように、前記足ぐりベルト
（25）（25）は、左右一対あって、ゴムテープを布で包
んだ伸縮自在の細幅のベルトであり、基端部が前記股当
て部（12）の袋状内の左右両端にそれぞれ縫着されて該
股当て部（12）の前端縁から引き出される一方、先端部
に設けられたバックル（22c ）（22c ）により前記背当
て部（11）の両側耳部（11a ）（11a ）の第２バックル
（22b ）（22b ）に止着連結しうるものとなされてい
る。即ち、前記第２バックル（22b ）（22b ）は、前当
て片（14）の補助ベルト（21）両端の第１バックル（22
a ）（22a ）と足ぐりベルト（25）（25）のバックル
（22c ）（22c ）とのいずれに対しても連結可能となさ
れている。また、前記足ぐりベルト（25）（25）を使用
しない時は、股当て部(12）の袋状内に収納される。

【００２３】前記頭当て部材（13）は、乳幼児の首から
頭部を支持して安定させるための板状体であり、背当て
部（11）に上方突出状に着脱可能に取付けられている。
着脱方法は、頭当て部材（13）に設けたホックによる止
着具（17ａ）と背当て部（11）に設けた相手方止着具
（17ｂ）との係合と、抑さえ帯（18）との併用による。

【００２４】また、図３および図４に示すように、前記
パッド（40）は、キャリア本体（10）の背当て部（11）
乃至股当て部（12）に相当する長さに形成され概略長方
形の本体部（41）と、この本体部（41）の下部左右両側
に突出する耳部（42）（42）とを有するマット状のクッ
ション材である。前記パッド（40）は、裏面上端部に設
けられた掛け留め片（43）を背当て部（11）の抑さえ帯
（18）に掛けるとともに、ホックによる止着具（17ａ）
を背当て部（11）に設けた相手方止着具（17ｂ）に係合
させることによりキャリア本体（10）に着脱自在に装着
され、さらに裏面に縫着されたベルト（44）をキャリア
本体（10）に回して面ファスナー（45）（45）で留める
ことにより、使用中のずれを防ぐようになされている。
そして、パッド（40）の装着状態において、本体部（4
1）が背当て部（11）を覆うとともに、背当て部（11）
よりも幅広に形成された両耳部（42）（42）が背当て部
（11）からはみ出して下方両側縁部、即ち前向きだっこ
における股当て相当位置を覆った状態となる。このた
め、前向きだっこした幼児の胸部の圧迫を緩和するとと
もに鼠蹊部への食い込みや圧迫を緩和することができ
る。また、キャリア本体（10）に装着するための止着具
（17ａ）（17ｂ）は、前記頭当て部材（13）を装着する
ための止着具（17ａ）（17ｂ）と共通のものであり、同
じ相手方止着具（17ｂ）を用いてキャリア本体（10）に
頭当て部材（13）またはパッド（40）のいずれか一方を
装着するようになされている。また、前記パッド（40）
の材質は、圧迫や衝撃を緩和するクッション性があるこ
とはもとより、さらに衛生上通気性のあるものが好まし
い。これらの条件を満たすものとして、コットン、ウー
ル、合成繊維等の各種綿、発泡ウレタン等の発泡性樹
脂、フェルト、あるいはこれらを布で包んだものを例示
できる。

【００２５】前記ショルダーベルト（30）（30）は左右
一対あり、その基部が背当て部（11）の背面に、背面視
略Ｖ字状をなす態様に重ね合わされて縫着一体化され、
背当て部（11）の上端面側縁部から上方に引き出されて
いる。使用者の肩に掛かる部分は、太い帯状のものに形
成される一方、先端側はそれより細い帯紐部（31）（3
1）によって形成され、全長としてはだっこまたはおん
ぶの縦抱き使用時よりも長さい寸法を必要とする横抱き
使用に適するような十分な長さを有するものに形成され
ている。

【００２６】また、前記ショルダーベルト（30）（30）
の先端側の前記帯紐部（31）（31）には、その中間部に
第１バックル（32a ）（32a ）が、摺動による取付位置
変更自在に取付けられている。これらの第１バックル
（32a ）（32a ）は、キャリア本体（10）における股当
て部（12）の前端部外面両側縁部に取付けられた相手方
の第２バックル（32b ）（32b ）と対をなすもので、そ
れらに分離自在に止着連結しうるものである。さらに、
前記ショルダーベルト（30）（30）の帯紐部（31）（3
1）の各先端には、互いに対をなす第１および第２のバ
ックル（33a ）（33b ）が取付けられ、相互を止着連結
しうるものとなされている。

【００２７】この発明のパッド付ベビーキャリアの各部
の詳細な構成は、図示とともに前述した態様に限定する
ものではない。

【００２８】即ち、キャリア本体（10）は、幼児を対面
だっこおよび前向きだっこの状態を安定して保持できる
ものであれば良い。前記実施態様では分離可能な前当て
片（14）の着脱によりにより袋状−オープンタイプ転換
可能なキャリア本体（10）を例示したが、袋状専用タイ
プまたはオープン専用タイプのキャリア本体、さらには
キャリア本体が背当て部のみからなるベビーキャリアも
対面だっこおよび前向きだっこ兼用として用いることが
できる。また、ショルダーベルト（30）（30）は、前記
態様に示すように左右で各１本のものの他、連続した１
本のベルトで左右の肩に掛けるように形成したものも含
まれる。

【００２９】次に、前記ベビーキャリア（１）を対面だ
っこ、前向きだっこ、おんぶおよび横抱きの４つ形態で
の使用する方法について説明する。

【００３０】（対面だっこ）まず、キャリア本体（10）
の背当て部（11）に頭当て部材（13）を装着するととも
に、両ショルダーベルト（30）（30）の中間部に取付け
られている第１バックル（32a ）（32a ）の位置を両肩
掛け用に対応する長さに適当な取付位置にスライド調整
しておく。

【００３１】そして、キャリア本体（10）を袋状タイプ
で使用する場合は前当て片（14）を股当て部（12）に結
合させた状態に準備し、背当て部（11）に幼児の背中が
接する方向に幼児を載せた後、前記前当て片（14）を背
当て部（11）に結合させて、キャリア本体（10）を袋状
に形成するとともに、袋状部内に幼児を収容する。ま
た、図５に示すように、オープンタイプで使用する場合
は、前当て片（14）を外しておく一方で、足ぐりベルト
（25）（25）を股当て部（12）の左右端から引き出し、
股当て部（12）の開口部は面ファスナー（23）により閉
じておく。そして、背当て部（11）に幼児を載せた後、
前記足ぐりベルト（25）（25）の先端部のバックル（22
c ）（22c ）を背当て部（11）の両側耳部（11a ）（11
a ）の第２バックル（22b ）（22b ）に連結して止着
し、背当て部（11）および股当て部（12）の周縁と足ぐ
りベルト（25）（25）により形成された左右の足入れ孔
（26）（26）内に足を入れるようにしてキャリア本体
（10）内に幼児を収容する。

【００３２】この状態でキャリア本体（10）を使用者の
胸側に位置させ、ショルダーベルト（30）（30）を両肩
に掛けるとともに背中側でクロスさせて、第１バックル
（32a ）（32a ）を対応位置の第２バックル（32b ）
（32b ）に止着連結する。第１バックル（32a ）（32a
）より先端側に生じた帯紐部（31）（31）の余剰部が
十分に長い場合は使用者の腰まわりに回し、その先端の
第１および第２バックル（33a ）（33b ）を相互に止着
連結する。図６は、対面だっこの状態を示している。こ
のように余剰部を腰ベルトとして使用することにより、
装着安定感が増し、余剰部も邪魔にならない。なお、だ
っこまたはおんぶの縦抱き両肩掛けに必要とするショル
ダーベルト（30）（30）の長さは横抱きよりも短くて済
むので、第１バックル（32a ）（32a ）の先端に余剰部
が生じるが、この余剰部の長さは、おんぶまたはだっ
こ、あるいは使用者や幼児の体格によって大きく変化す
る。一般に、余剰部はおんぶよりもショルダーベルトを
背中でクロスさせるだっこの方が短くなるため、だっこ
では腰まわりに回すための長さが不足することもある。
しかし、背中でクロスさせることによって既に安定した
装着状態を得ているため、腰に回し留めなくても安全性
に支障はないし、余剰部が短かければ邪魔にもならな
い。

【００３３】また、オープンタイプでの使用に際し、キ
ャリア本体（10）を持ち上げる動作において、足ぐりベ
ルト（25）（25）が足をゆるく拘束するとともに股当て
部（12）が持ち上がって乳幼児の下半身を支えるから、
幼児の転落を防ぎ、袋状タイプでの使用と同様にショル
ダーベルト（30）（30）の装着動作を安全に行うことが
できる。

【００３４】（前向きだっこ）まず、図４に示すよう
に、前記頭当て部材（13）に代えて、キャリア本体（1
0）の背当て部（11）に、止着具（17ａ）（17ｂ）およ
びベルト（44）を用いてパッド（40）を装着する。前記
パッド（40）の装着によりキャリア本体（10）内が狭く
なり、かつ前向きだっこでは幼児の運動量が大きくなる
ので、背当て部（11）背面の背幅調節具（16）により背
当て幅を拡大しておく。なお、前記背幅調節具（16）
は、前向きだっこ時にキャリア本体（10）内の空間を拡
大するだけでなく、幼児の身体成長に伴ってキャリア本
体内の拡大させる場合にも用いることができ、ベビーキ
ャリア（１）を対面だっこ、おんぶ、横抱きで使用する
場合にも有効である。

【００３５】そして、上述の対面だっこと同様に、袋状
タイプの場合は前当て片（14）を装着し、オープンタイ
プの場合は足ぐりベルト（25）（25）を使用して、背当
て部（11）に幼児の胸腹部が接する方向に幼児を収容す
る。キャリア本体内に幼児を収容した後、対面だっこの
場合と同じようにして使用者の身体にショルダーベルト
（30）（30）を装着する。

【００３６】図７に示す前向きだっこでは、幼児の胸腹
部が背当て部（11）により支えられるが、パッド（40）
により胸腹部への圧迫が緩和され、縫製による凹凸も解
消されて幼児の身体は保護される。また、幼児の足が背
当て部（11）の下方両側縁部から出るが、パッド（40）
の両耳部（42）（42）に覆われているため鼠蹊部への圧
迫も緩和される。

【００３７】（おんぶ）両ショルダーベルト（30）（3
0）の中間部に取付けられている第１バックル（32a ）
（32a ）の位置をおんぶに適した取付位置にスライド調
整した上で、幼児を収容した袋状タイプまたはオープン
タイプに調整したキャリア本体（10）内に幼児を収容す
る。そして、図８に示すように、キャリア本体（10）を
使用者の背中側に位置させ、ショルダーベルト（30）
（30）を両肩に掛け背負い、帯紐部（31）（31）の前記
余剰部を使用者の腰まわりに回し、その先端の第１およ
び第２バックル（33a ）（33b ）を相互に止着連結す
る。

【００３８】（横抱き）まず、キャリア本体（10）に頭
当て部材（13）を装着するとともに、両ショルダーベル
ト（30）（30）の中間部に取付けられている第１バック
ル（32a ）（32a ）の位置をたすき掛け用に対応する長
さに適当な取付位置にスライド調整したのち、該第１バ
ックル（32a ）（32a ）を対応位置の第２バックル（32
b ）（32b ）に止着連結する。横抱きに必要とするショ
ルダーベルト（30）（30）の長さは縦抱きよりも長く必
要となるから、第１バックル（32a ）（32a ）より先端
側の帯紐部（31）（31）の余剰部は縦抱き使用時に比べ
て極めて短いものとなる。

【００３９】次に、幼児を収容した袋状タイプまたはオ
ープンタイプに調整したキャリア本体（10）内に前記パ
ッド（40）を敷いて幼児を収容する。前記パッド（40）
は頭当て部材（13）から背当て部（11）にまたがるよう
に敷き、幼児の頭部から臀部を保護できるようにする。
そして、図９に示すように、左右のショルダーベルト
（30）（30）を束ねて１本にまとめて手に持ち、キャリ
ア本体（10）を使用者の正面側に位置させるとともに、
２本のショルダーベルト（30）（30）を一括して片方の
肩にたすき掛けにする。

【００４０】このように、キャリア本体（10）内にパッ
ド（40）を敷くことにより、キャリア本体（10）の内面
の凹凸を解消するとともに揺れ等による外部からの衝撃
を緩和して、保持状態の安全性や安定性、あるいは快適
性を高めることができる。

【００４１】なお、キャリア本体（10）の背当て部（1
1）には頭当て部材（13）を装着しているため、前記パ
ッド（40）はベルト（44）をキャリア本体（10）に回し
留めただけで装着しているが、横抱きはおんぶやだっこ
よりも月齢が小さく運動量も少ない乳幼児を対象として
いるため、ベルト（44）のみで簡単に留めたり、あるい
は単に敷いただけでも、使用中にパッド（40）がずれた
り外れたりすることはない。また、前記パッド（40）は
背当て部（11）乃至股当て部（12）に相当する長さに形
成されており、これを頭当て部材（13）の位置まで引き
上げて使用すると、股当て部（12）を覆うには長さが若
干不足する。しかし、横抱きは身長の小さい乳幼児を対
象とした保持形態であり、パッド（40）が背当て部（1
1）の下端までまで達していれば仰向きに寝かせた乳幼
児の臀部までを十分に覆うことができるから、前向きだ
っこに適した寸法のパッド（40）は、何ら支障なく横抱
き用の敷材として使用することができる。

【００４２】

【発明の効果】以上の次第で、この発明のパッド付ベビ
ーキャリアは、少なくとも背当て部を有し、前記背当て
部を幼児の背面に当てて保持する対面だっこ、および前
記背当て部を幼児の胸腹部に当てて保持する前向きだっ
このいずれの状態にも幼児を収容保持しうるキャリア本
体と、前記キャリア本体に取り付けられて、左右の肩に
掛けるショルダーベルトとを備え、さらに、前記キャリ
ア本体の内側に着脱自在に装着され、前記背当て部を覆
い、かつその下部両側間が、前記背当て部の前向きだっ
こにおける股当て相当位置よりも幅広に形成されている
パッドを備えるを備えるものであるから、対面だっこに
も前向きだっこにもにも安全快適に幼児を保持できる。
即ち、パッドを外して幼児の背面が背当て部に当たるよ
うに幼児を収容すれば、背当て部が幼児をすっぽり包む
ようにして対面だっこに使用でき、パッドを装着して幼
児を逆向きに収容すれば、パッドによって胸腹部の圧迫
が緩和され、また背当て部の股当て相当位置よりも幅広
に形成されたパッドが背当て部の両側縁部を覆って幼児
の鼠蹊部への食い込みや圧迫を緩和されて、安全快適に
前向きだっこができる。従って、この発明のパッド付ベ
ビーキャリアは、対面だっこおよび前向きだっこの両方
で幼児を安全快適に保持することができる。また、キャ
リア本体内に対面だっこと同じ方向に幼児を収容し、キ
ャリア本体を使用者の背中側に配置すれば、おんぶに使
用できる。

【００４３】また、前記キャリア本体の背当て部におい
て背当て幅を拡縮する背幅調節具を有する場合は、キャ
リア本体内の空間を調節することができ、幼児の身体成
長に合わせることはもとより、前記パッドの装着により
狭くなったキャリア本体を拡大し、運動量の多い前向き
だっこで幼児を快適に保持することができる。

【００４４】また、前記キャリア本体の背当て部の上部
に、幼児の頭部安定用の頭当て部材が上方突出状にかつ
着脱自在に設けられている場合は、対面だっこおよびお
んぶ、さらには後述の横抱きの保持状態の安全性を高め
ることができる。さらに、前記パッドと頭当て部材と
を、共通の止着具によりキャリア本体の背当て部に装着
するようになされている場合は、前向きだっこではパッ
ドを装着し、対面だっこ等では頭当て部材を装着すると
いう、パッドと頭当て部材の使い分けを少ない部品点数
で実現できるから、コスト面で有利である。また、共通
部品の使用により、キャリア本体内の凹凸を少なくする
ことができて保持快適性も良い。

【００４５】また、前記キャリア本体は、背当て部の下
端に側面視Ｕ字状をなす股当て部が連続形成され、さら
に下端縁を前記股当て部の前端縁に連結され、上部両側
縁を背当て部の両側耳部に分離可能に連結された前当て
片を有する場合は、キャリア本体を前当て片を使用する
袋状タイプと使用しないオープンタイプに容易に転換で
き、幼児の成長に合わせて長期間使用することができ
る。

【００４６】また、前記股当て部の前端縁から引出さ
れ、前記前当て片の分離状態においてその先端部が前記
背当て部の左右両側部に分離可能に止着される足ぐりベ
ルトを有する場合は、オープンタイプでの使用に際し、
キャリア本体を持ち上げる動作において、足ぐりベルト
が足をゆるく拘束するとともに股当て部が持ち上がって
乳幼児の下半身を支えるから、幼児の転落を防ぎ、袋状
タイプでの使用と同様にショルダーベルトの装着動作を
安全に行うことができる。

【００４７】さらに、前記ショルダーベルトが、縦抱き
で両肩掛け使用時と横抱きで左右一括たすき掛け使用時
とで長さ調節可能である場合は、長いショルダーベルト
が必要となる横抱きにも対応でき、上述の対面だっこ、
前向きだっこ、おんぶに加えて横抱きの４つの保持形態
が可能となる。従って、生後すぐから横抱きで使用し、
幼児の成長に合わせて端面または前向きの２種類のだっ
こ、おんぶと保持形態を変化させて使用でき、１つのベ
ビーキャリアを長期間することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明のパッド付ベビーキャリアの一実施例
の全体斜視図である。

【図２】図１の部分拡大図である。

【図３】パッドの裏面の斜視図である。

【図４】パッドの装着方法を示す斜視図である。

【図５】オープンタイプで足ぐりベルトの使用方法を示
す斜視図である。

【図６】ベビーキャリアを対面だっこで使用した状態を
示す斜視図である。

【図７】ベビーキャリアを前向きだっこで使用した状態
を示す斜視図である。

【図８】ベビーキャリアをおんぶで使用した状態を示す
斜視視図である。

【図９】ベビーキャリアを横抱きで使用した状態を示す
斜視視図である。

【符号の説明】

１…パッド付ベビーキャリア 10…キャリア本体 11…背当て部 12…股当て部 13…頭当て部材 14…前当て片 16…背幅調節具 25…足ぐりベルト 30…ショルダーベルト 40…パッド 41…本体部 42…耳部

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】少なくとも背当て部（11）を有し、前記
背当て部（11）を幼児の背面に当てて保持する対面だっ
こ、および前記背当て部（11）を幼児の胸腹部に当てて
保持する前向きだっこのいずれの状態にも幼児を収容保
持しうるキャリア本体（10）と、前記キャリア本体（10）に取り付けられて、左右の肩に
掛けるショルダーベルト（30）（30）とを備え、さらに、前記キャリア本体（10）の内側に着脱自在に装
着され、前記背当て部（11）を覆い、かつその下部両側
間が、前記背当て部（11）の前向きだっこにおける股当
て相当位置よりも幅広に形成されているパッド（40）を
備えることを特徴とするパッド付ベビーキャリア。
【請求項２】前記キャリア本体（10）の背当て部（1
1）は、背当て幅を拡縮する背幅調節具（16）を有する
請求項１に記載のパッド付ベビーキャリア。
【請求項３】前記キャリア本体（10）の背当て部（1
1）の上部に、幼児の頭部安定用の頭当て部材（13）が
上方突出状にかつ着脱自在に設けられている請求項１ま
たは２に記載のパッド付ベビーキャリア。
【請求項４】前記パッド（40）と頭当て部材（13）と
は、共通の止着具（17ａ）（17ｂ）によりキャリア本体
（10）の背当て部（11）に装着される請求項３に記載の
パッド付ベビーキャリア。
【請求項５】前記キャリア本体（10）は、背当て部
（11）の下端に側面視Ｕ字状をなす股当て部（12）が連
続形成され、さらに下端縁を前記股当て部（12）の前端
縁に連結され、上部両側縁を背当て部（11）の両側耳部
（11a ）（11a）に分離可能に連結された前当て片（1
4）を有する請求項１〜４のいずれかに記載のパッド付
ベビーキャリア。
【請求項６】前記股当て部（12）の前端縁から引出さ
れ、前記前当て片（14）の分離状態においてその先端部
が前記背当て部（11）の左右両側部に分離可能に止着さ
れる足ぐりベルト（25）（25）を有する請求項５に記載
のパッド付ベビーキャリア。
【請求項７】前記ショルダーベルト（30）（30）は、
縦抱きで両肩掛け使用時と横抱きで左右一括たすき掛け
使用時とで長さ調節可能となされている請求項１〜６の
いずれかに記載のパッド付ベビーキャリア。