JP2001062952A - 制電性透明樹脂板 - Google Patents

制電性透明樹脂板

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JP2001062952A
JP2001062952A JP24595599A JP24595599A JP2001062952A JP 2001062952 A JP2001062952 A JP 2001062952A JP 24595599 A JP24595599 A JP 24595599A JP 24595599 A JP24595599 A JP 24595599A JP 2001062952 A JP2001062952 A JP 2001062952A
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Hiroshi Takahashi
浩 高橋
Masahito Sakai
将人 坂井
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Takiron Co Ltd
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Takiron Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プレスにより透明性や透視性を向上させてい
るにも拘らず、表面抵抗率のバラツキが少なく優れた制
電性を発現できる制電性透明樹脂板を提供する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂の透明な基板1の表面に、
曲がりくねって絡み合う極細の長炭素繊維を2〜8重量
%含んだ厚さ0.05〜0.50μmの熱可塑性樹脂の
透明な制電層2を有する、プレスされた透明な制電性透
明樹脂板Pであって、その全光線透過率が75%以上、
ヘーズが5%以下、表面抵抗率が1010Ω未満である樹
脂板Pとなす。3.5〜100nmの線径と5以上のア
スペクト比を有する曲がりくねった長炭素繊維を使用す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、良好な透明性と制
電性を兼ね備えた制電性透明樹脂板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、クリーンルームのパーテーシ
ョンや試験装置の覗き窓のように透視が可能で塵埃を嫌
う用途には、静電気を逃がして塵埃の付着を防止する透
明な制電性樹脂板が使用されている。
【0003】かかる制電性樹脂板の代表例は、透明な樹
脂基板の表面に酸化錫等の金属酸化物の粉末を多量に含
む薄い制電層を形成したものであり、このものは金属酸
化物の粉末の相互接触により制電性が発現されるように
なっている。
【0004】また、最近では、0.01〜1重量%の中
空炭素マイクロファイバーと、1〜40重量%の金属酸
化物の粉末とを含む透明な制電層を少なくとも片面に形
成した透明なパネルも提案されている(特開平9−11
5334号)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の透明な制電性樹
脂板やパネルは、種々ある手段の中の一つである比較的
簡易なプレスにより制電層の表面平滑度を上げると、光
の散乱が減少してヘーズが下がり、透明性や透視性を向
上させることができる。
【0006】しかしながら、プレスを行うと、多量の金
属酸化物の粉末を含んだ制電層が流動し、特に、制電層
の端部の流動が大きく、粉末の粒子間の間隔が広がり、
また金属酸化物の粉末の含有分散状態が不均一になりや
すいため、制電層の中央部と端部、或は、端部の各部分
での表面抵抗率のバラツキが大きくなるという問題があ
った。
【0007】本発明は上記の問題に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、プレスにより透明性や透
視性を向上させている場合にあって、表面抵抗率のバラ
ツキが少なく優れた制電性を発現できる制電性透明樹脂
板を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に係る発明は、熱可塑性樹脂の透明な基板
の表面に、曲がりくねって絡み合う極細の長炭素繊維を
2〜8重量%含んだ厚さ0.05〜0.50μmの熱可
塑性樹脂の透明な制電層を有する、プレスされた制電性
透明樹脂板であって、その全光線透過率が75%以上、
ヘーズが5%以下、表面抵抗率が1010Ω未満であるこ
とを特徴とするものである。
【0009】そして、請求項2に係る発明は、上記請求
項1の制電性透明樹脂板において、その長炭素繊維が
3.5〜100nmの線径と5以上のアスペクト比を有
する曲がりくねった繊維であり、絡み合って制電層中に
分散していることを特徴とするものである。
【0010】請求項1の制電性透明樹脂板は、その制電
層が0.05〜0.50μmの非常に薄い層であって、
極細の長炭素繊維の含有量が2〜8重量%と少ないた
め、全光線透過率は75%以上と高く、しかも、プレス
により表面平滑度が高められて光の散乱が減少している
ため、ヘーズが5%以下と小さい。従って、この制電性
透明樹脂板は、制電層中に極細の長炭素繊維が含まれて
いるにも拘らず、透明性や透視性が良好である。
【0011】そして、この制電層に含まれる極細の長炭
素繊維は、曲がりくねって絡み合いながら互いに接触し
たり導通可能な微小間隔を保って分散しているだけでな
く、プレスによって長炭素繊維の間隔が上下方向(制電
層の厚み方向)に圧縮され、繊維の接触頻度や導通可能
な微小間隔部分が増加しているため、長炭素繊維の含有
量が2〜8重量%と少なくても、制電層の表面抵抗率は
1010Ω未満と低く、充分な制電性能を発揮する。
【0012】しかも、長炭素繊維を含んだ制電層は、プ
レスの際に流動しても、従来の金属酸化物の粉末を含ん
だ制電層ほどには粒子間が広がって互いの粒子間での導
通可能な微小間隔を保てなくなる傾向はなく、また、長
炭素繊維が絡み合っているため、金属酸化物に比べる
と、長炭素繊維の分散状態は不均一になりにくい。その
ため、この制電性透明樹脂板は、プレスにより透明性や
透視性を向上させている場合であっても、表面抵抗率の
バラツキが少なく、制電層の中央部と端部は勿論、端部
の各部分でも表面抵抗率に大きいバラツキを生じること
はない。
【0013】また、曲がりくねって絡み合う極細の長炭
素繊維を含んだ制電層であるので、プレスされた際の流
動により表面抵抗率が高くなって制電性能に悪い影響を
与えるようなことが少ないため、プレスに際して加熱温
度の広い選択幅が可能であり、それゆえ制電性透明樹脂
板の成形過程での温度調整選択の自由度が大きくなるの
で、この制電性透明樹脂板の仕上がり、強度等にも良好
な結果をもたらすことができる。
【0014】極細の長炭素繊維としては、請求項2に記
載されているように3.5〜100nmの線径と5以上
のアスペクト比を有する曲がりくねった繊維であって、
絡み合って集合体ないしは凝集体となっているものが好
ましく使用される。また、この集合体ないしは凝集体を
装置を用いて微細化し、上記同様の線径とアスペクト比
を有する曲がりくねって絡み合った極細の長炭素繊維と
して制電層中に分散させてもよい。線径が上記より太
く、アスペクト比が上記より小さい炭素繊維は、曲がり
くねりや絡み合いが不足するので、表面抵抗率が増加し
て制電性の低下を招く恐れがあり、また、制電層が黒ず
んで透明性の低下を招く恐れもある。尚、長炭素繊維の
アスペクト比の上限は特に限定されないが、3000以
下のものが好適に使用される。
【0015】
【発明の実施の形態】図1は本発明の制電性透明樹脂板
の一実施形態を示す断面図である。
【0016】この制電性透明樹脂板Pは、熱可塑性樹脂
の透明な基板1の表面に透明な制電層2を設けてプレス
したものである。
【0017】基板1は、透明な熱可塑性樹脂、例えばポ
リエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポ
リ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレ
ン等のビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレン
テレフタレート、ポリジメチルシクロヘキサンテレフタ
レート、芳香族ポリエステル等のエステル系樹脂、AB
S樹脂、これら樹脂それぞれの共重合体樹脂などから成
るもので、好ましくは85%以上の全光線透過率と、5
%以下のヘーズを有する基板が使用される。この基板1
には、可塑剤、安定剤、紫外線吸収剤等が適宜配合さ
れ、成形性、熱安定性、耐候性などが高められる。
【0018】この基板1の形成過程や厚さについては特
に制限はない。即ち、制電性透明樹脂板の基板1として
形成されればよく、形成過程は手段も手順も制限がな
く、また、厚さについても用途に応じた実用強度が得ら
れる厚さとすればよいが、通常は1〜10mm程度の厚
さの基板が使用される。
【0019】この基板1の表面に形成される制電層2
は、曲がりくねって絡み合う極細の長炭素繊維(不図
示)を含んだ熱可塑性樹脂の透明な層であって、長炭素
繊維が絡み合いながら互いに接触し、或は、導通可能な
微小間隔を保って分散しているため、静電気を逃がして
塵埃の付着を防止する働きを有するものである。この制
電層2は、図1に示すように基板1の片面に形成しても
よいし、両面に形成してもよい。
【0020】制電層2の熱可塑性樹脂としては、前述し
た基板1の熱可塑性樹脂と同種の熱可塑性樹脂、又は、
相溶性のある異種の熱可塑性樹脂が使用される。制電層
2は基板1の表面に形成されるものであるから、特に、
耐候性、表面硬度、耐摩耗性などに優れた熱可塑性樹脂
を選択使用することが望ましい。
【0021】この制電層2に含有させる長炭素繊維は、
アスペクト比が大きく線径が小さい極細の曲がりくねっ
た長繊維であって、絡み合いながら制電層2中に分散し
ているものであり、不定形炭素質繊維でもグラファイト
質繊維でもよく、また、素繊維に不定形炭素とグラファ
イトとが共存するような炭素繊維であってもよい。
【0022】特に好ましい長炭素繊維は、構造上はグラ
ファイト質繊維であって、繊維軸に同軸状にグラファイ
ト層が積層形成された断面円形のグラファイト質の極細
の長繊維であり、その線径が3.5〜100nm、アス
ペクト比が5以上のものである。アスペクト比の上限は
特に限定されないが、3000以下のものが好適に使用
される。このようなグラファイト質繊維は、特公平3−
64606号公報明細書中にその製法が開示されてお
り、芳香族又は非芳香族炭化水素と水素との混合気流中
で鉄族金属又はその酸化物の接触反応により繊維軸に同
軸状のグラファイト層を析出させて形成した極細の繊維
である。この繊維はグラファイトの層状結晶のC軸が繊
維軸と直交する構造であり、不定形炭素の析出の少ない
ものが好ましい。
【0023】線径が100nmより太く、アスペクト比
(線径に対する長さの比)が5より小さい炭素繊維は、
曲がりくねりや絡み合いが不足して繊維相互の接触頻度
が低下するため、制電層2の表面抵抗値が増加して制電
性の低下を招く恐れがあり、また、制電層2が黒ずんで
透明性の低下を招く恐れも生じる。一方、線径が3.5
nmより細くなると、長炭素繊維が切断しやすくなるた
め、やはり制電性の低下を招く恐れが生じる。
【0024】制電層2中の長炭素繊維の含有量は2〜8
重量%とする必要があり、また、制電層2の厚さは0.
05〜0.50μmとする必要がある。長炭素繊維の含
有量が2重量%より少なく、且つ、制電層の厚さが0.
05μmより薄くなると、表面抵抗率が1010Ωを越え
て制電性の低下を招くようになり、一方、長炭素繊維の
含有量が8重量%より多く、且つ、制電層の厚さが0.
50μmより厚くなると、透明性の低下を招く恐れが生
じる。長炭素繊維のより好ましい含有量は2〜5重量%
の範囲であり、制電層2のより好ましい厚さは0.1〜
0.5μmの範囲である。
【0025】制電層2を形成する手段としては、例え
ば、前記の熱可塑性樹脂を揮発性溶剤に溶解した溶液に
上記の長炭素繊維を均一に分散させて塗液を調製し、こ
の塗液を基板1の表面に塗布して硬化させる塗工手段が
好ましく採用される。その場合、制電性に優れた制電層
2を形成するには長炭素繊維を非常に細かく均一に分散
させた塗液を調製する必要があるので、高速インぺラ
ー、サンドミル、アトライター、三本ロールなどの混合
装置で充分に混合、分散させることが大切である。
【0026】塗液の基板1表面への塗布は、ナイフエッ
ジコーティング、ロールコーティング、スプレーコーテ
ィング等が利用可能であるが、その中でもロールコーテ
ィングによるグラビア印刷法は、下記の熱可塑性樹脂フ
ィルムへの塗工手段の場合に好ましく採用される。この
ようなグラビア印刷法で塗液を塗布すると、塗布厚みを
一定に調整しやすいという利点がある。
【0027】また、上記の塗工手段に代えて、基板1と
同種の熱可塑性樹脂フィルム又は相溶性のある熱可塑性
樹脂フィルムの表面に、前述の長炭素繊維を含む制電層
の塗膜を形成した制電性フィルムを作製し、この制電性
フィルムを基板1の表面に加熱プレスやロールプレスで
熱圧着する方法を採用してもよい。
【0028】なお、上記の制電層2には、長炭素繊維の
他に、透明な導電性金属酸化物の粉末を含有させること
を除外するものではなく、例えば該粉末を30〜50重
量%程度含有させてもよい。このように導電性金属酸化
物の粉末を含有させると、制電層2の表面抵抗率が低下
して制電性が向上する利点がある。また、界面活性剤や
カップリング剤などの分散剤、紫外線吸収剤、表面改質
剤、安定剤などの添加剤を上記の制電層2に適宜加え
て、長炭素繊維の分散性を高めたり、制電層2の耐候性
その他の物性を向上させてもよい。
【0029】この制電性透明樹脂板Pは、基板1の表面
に制電層2を形成して更にプレスを施したものであり、
このプレスによって透明性、透視性、制電性等の更なる
向上を図ったものである。即ち、艶板を用いて加熱下に
プレスを施すと、表面平滑度が高められて光の散乱が減
少するため透明性や透視性が向上し、制電層が0.05
〜0.50μmの薄い層であること、及び、極細の長炭
素繊維の含有量が2〜8重量%と少ないことと相まっ
て、75%以上の全光線透過率と5%以下のヘーズを有
する透明性及び透視性の良好な樹脂板Pを得ることが可
能となる。そして制電層2に含まれる極細の長炭素繊維
は、プレスにより上下方向(制電層の厚み方向)に繊維
間隔が圧縮されて、繊維の接触頻度や導通可能な微小間
隔部分が増加するため、長炭素繊維の含有量が2〜8重
量%と少なくても、制電層2の表面抵抗率は1010Ω未
満と低くなり、充分な制電性能が発揮される。
【0030】このようにプレスを施すと、従来の金属酸
化物の粉末を含む制電層を形成した樹脂板では、プレス
の際に特に制電層の流動が大きい端部において粉末の粒
子間が広がり、互いの粒子間での導通可能な微小間隔を
保つ確率が低くなると共に、粉末の含有分散状態が不均
一になりやすいので、表面抵抗率が高くなり、しかも制
電層の中央部と端部、或は、端部の各部分での表面抵抗
率のバラツキが大きくなるが、この制電性透明樹脂板P
のように曲がりくねって絡み合った長炭素繊維を含む制
電層2を形成していると、この曲がりくねって絡み合っ
ている長炭素繊維がプレスの際の流動に対して伸張しつ
つ追従するため、たとえ制電層2の端部の流動性が大き
くても、導通可能な長炭素繊維同士の接触もしくは微小
間隔が保たれる。従って、この制電性透明樹脂板Pは、
プレスにより透明性や透視性を向上させていても、表面
抵抗率のバラツキが少なくなり、制電層の中央部と端部
は勿論、端部の各部分でも表面抵抗率に大きいバラツキ
を生じることがなく、しかも、上述の如く制電層2の表
面抵抗率が1010Ω未満と低く充分な制電性能が得られ
る。
【0031】プレスの温度条件や圧力条件は特に制限が
なく、制電層の熱可塑性樹脂の軟化温度等を考慮して適
宜条件を設定すればよいが、一般的には140〜190
℃程度の温度条件と30〜120kg/cm2 程度の圧
力条件を採用してプレスすることが好ましい。
【0032】なお、前述の制電性フィルムを作製して基
板1の表面に加熱プレスやロールプレスで熱圧着する方
法を採用する場合は、熱圧着の段階で既にプレスされ、
透明性、透視性、制電性等が向上しているので、上記の
プレスは不要である。また、基板1の表面が加熱状態に
ある場合は、プレスの際に必ずしも加熱を必要としない
こともある。
【0033】この制電性透明樹脂板Pは、熱可塑性樹脂
の透明な基板1の片面に透明な制電層2を設けたもので
あるが、この基板1の反対面に所望の色に着色したシー
トもしくは板材を接合すると、制電層2側から上記シー
トもしくは板材の実際に着色された色と殆ど同じ深みの
ある色が透視できる積層板を形成することができる。
【0034】次に、本発明の更に具体的な実施例と比較
例を説明する。
【0035】[実施例1〜6]溶媒としてのシクロヘキ
サノンに、熱可塑性樹脂として塩化ビニル樹脂の粉末を
添加して溶解し、この溶液中に長炭素繊維としてグラフ
ァイト質繊維[ハイピリオンカタリシスインターナショ
ナル社製の品名「グラファイトフィブリルズ」(下記の
表1ではGFと記す)、平均線径10nm、平均長さ1
0μm、アスペクト比1000]を種々濃度を変えて添
加し、均一に混合、分散して塗液を形成した。
【0036】基板として、厚さ3mm、全光線透過率8
6%、ヘーズ1.5%の塩化ビニル樹脂基板を用いて、
その表面に上記の塗液を種々異なる膜厚に塗布し、乾燥
硬化後、更に温度160℃、圧力30kg/cm2 でプ
レスすることによって、下記の表1に示す長炭素繊維の
含有量と厚さを有する制電層を表面に形成した実施例1
〜6の制電性透明塩化ビニル樹脂板を作製した。
【0037】これら実施例1〜6の制電性透明塩化ビニ
ル樹脂板について、全光線透過率とヘーズと表面抵抗率
(樹脂板端部における表面抵抗率)を測定したところ、
下記の表1に示す通りの結果が得られた。尚、全光線透
過率及びヘーズはASTMD1003に準拠して測定し
たものであり、また、表面抵抗率はASTM D257
に準拠して測定したものである。
【0038】[比較例1〜6]比較のために、塩化ビニ
ル樹脂に酸化錫(SnO2 )の粉末を表1に示す割合で
含む表1に示す厚さの制電層を、厚さ3mm、全光線透
過率86%、ヘーズ1.5%の塩化ビニル樹脂基板の表
面に形成して更にプレスすることにより、比較例1〜6
の制電性透明塩化ビニル樹脂板を作製した。そして、そ
れぞれの全光線透過率、ヘーズ、表面抵抗率(樹脂板端
部における表面抵抗率)を測定したところ、下記の表1
に示す通りの結果が得られた。
【0039】
【表1】
【0040】この表1を見ると、グラファイト質繊維を
2.0〜8.0重量%の範囲で含む厚さ0.05〜0.
50μmの範囲の制電層を表面に形成した実施例1〜6
の制電性透明塩化ビニル樹脂板は、端部における表面抵
抗率の平均値がいずれも1×105 〜6×108 Ωの範
囲にあり、良好な制電性を有することが判る。これは、
制電層内でグラファイト質繊維が曲がりくねって絡み合
い、更にプレスにより繊維相互の接触頻度や導通可能な
微小間隔部分が増加しているためである。しかも、実施
例1〜6の制電性透明塩化ビニル樹脂板は、表面抵抗率
のX−3σとX+3σ(Xは表面抵抗率の得られたデー
タの平均に相当し、σはその標準偏差に相当する)にお
けるバラツキが最大でも数値的に二桁の違いの範囲内で
あり、バラツキが少ないことが判る。これは、プレス時
の制電層の流動に対して、曲がりくねって絡み合ってい
るグラフファイト質繊維が伸長しつつ追従するため、導
電可能なグラファイト質繊維同士間の接触もくしは微小
間隔が得られるためであり、また、グラファイト質繊維
の分散状態が不均一になりにくいためである。
【0041】これに対し、酸化錫の粉末を含む制電層を
形成した比較例1〜6の制電性透明塩化ビニル樹脂板
は、酸化錫の含有量が40〜70重量%と多く、且つ、
制電層が0.4〜2.4μmと厚く形成されているにも
拘らず、その樹脂板端部における表面抵抗率の平均値が
4×108 〜2×1010Ωと高く、実施例1〜6の制電
性透明塩化ビニル樹脂板よりも制電性に劣っていること
が判る。これは、導電材が酸化錫の粉末であるため、か
なり多量に含有させても導通接触の頻度が少ないからで
ある。しかも、比較例1〜6の制電性透明塩化ビニル樹
脂板は、表面抵抗率のX−3σとX+3σにおけるバラ
ツキが最大で数値的に四桁の違いに達し、バラツキが大
きいことが判る。これは、プレス時に制電層が流動して
酸化錫の粉末の粒子間が広がり、互いの粒子間の導通可
能な微小間隔を保つ確率が低くなり、また、酸化錫の分
散状態が不均一になりやすいためである。
【0042】また、プレスされた実施例1〜6の制電性
透明塩化ビニル樹脂板は、プレスされた比較例1〜6の
制電性透明塩化ビニル樹脂板に比し、全光線透過率にお
いてはやや低めのものもあるが、透明性、透視性におい
て重要視されるヘーズ値においてはいずれも比較例1〜
6のものより優れた値を示している。また、良好な透明
性、透視性とみなせる全光線透過率75%以上、ヘーズ
値が5%以下という数値をいずれも満足しており、従っ
て、総合的な透明性及び透視性において比較例1〜6に
優るとも劣らない優れたものであることが判る。
【0043】
【発明の効果】以上の説明から理解できるように、本発
明の制電性透明樹脂板は、プレスしていても良好な制電
性を有し、表面抵抗率のバラツキが少なく、且つ、良好
な透明性及び透視性を兼ね備えるといった顕著な効果を
奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る制電性透明樹脂板の
断面図である。
【符号の説明】
1 基板 2 制電層 P 制電性透明樹脂板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AD11B AK01A AK01B AK15 BA02 DE01 DG04B EC09B EH46 EJ20 JB16A JB16B JG03B JG04 JN01A JN01B YY00B

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂の透明な基板の表面に、曲が
    りくねって絡み合う極細の長炭素繊維を2〜8重量%含
    んだ厚さ0.05〜0.50μmの熱可塑性樹脂の透明
    な制電層を有する、プレスされた制電性透明樹脂板であ
    って、その全光線透過率が75%以上、ヘーズが5%以
    下、表面抵抗率が1010Ω未満であることを特徴とする
    制電性透明樹脂板。
  2. 【請求項2】長炭素繊維が、3.5〜100nmの線径
    と5以上のアスペクト比を有する曲がりくねった繊維で
    あり、絡み合って制電層中に分散していることを特徴と
    する請求項1に記載の制電性透明樹脂板。
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