JP2001049354A

JP2001049354A - 熱処理装置における鋼帯の冷却装置および冷却方法

Info

Publication number: JP2001049354A
Application number: JP11230165A
Authority: JP
Inventors: Masaharu Ikeda; 雅晴池田; Yasuhiro Yamaguchi; 裕弘山口; Toshiya Hagiwara; 俊哉萩原; Mitsuhiko Nagahara; 光彦永原; Hiroyuki Takahashi; 弘之高橋
Original assignee: Kawasaki Steel Corp
Current assignee: JFE Steel Corp
Priority date: 1999-08-17
Filing date: 1999-08-17
Publication date: 2001-02-20

Abstract

(57)【要約】【課題】熱処理装置の冷却帯においてカヌーイング
を抑制する鋼帯の冷却装置および冷却方法を提供する。【解決手段】鋼帯の幅方向に複数個のヘッダを配設
し、カヌーイングによって変形した鋼帯の形状に合わせ
て各ヘッダの位置を個別に調整してカヌーイングを抑制
する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、熱処理装置の冷却
帯において鋼帯を冷却する際に発生するカヌーイングを
抑制する冷却装置および冷却方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に用いられている縦型連続熱処理装
置の例を図２に示す。高さ30〜40ｍの縦型の通路内を鋼
帯２が通過する間に、加熱と冷却が連続的に実施され
る。この冷却過程において、張力や熱応力に起因する鋼
帯２の平面座屈現象が生じることがある。すなわち、均
熱状態または徐冷状態から急冷状態に変化する時に、張
力や熱応力によって鋼帯２の幅方向に圧縮応力が生じ、
この圧縮応力がその点における鋼帯２の座屈強度を超え
ると、鋼帯２は幅方向に座屈する。その結果、鋼帯２の
幅方向の断面がＣ字形状あるいはＷ字形状に湾曲（以
下、カヌーイングという）する。

【０００３】カヌーイングが著しくなると、鋼帯２の端
部が冷却帯の炉壁１に接触し、鋼帯２に疵が入る。さら
にカヌーイングが大きくなると、永久変形として鋼帯２
に残り、熱処理装置の後工程の搬送ロールによって鋼帯
２が折れるなどして、製品の歩留りの低下、設備の故障
等の原因になっていた。近年、鋼板の薄肉化のニーズが
高まるにつれて、カヌーイングの発生を抑える技術の必
要性が増大している。

【０００４】従来からカヌーイングを抑制するために種
々の冷却技術が提案されている。たとえば特開平9-8775
2 号公報には、図３に示すように、冷却ガスジェット３
を吹き付けるためのヘッダ４を鋼帯２の幅方向に複数の
小室に分割して、各小室毎に冷却ガスジェット３の流量
を調整する技術が開示されている。ここでさらに、ヘッ
ダ４は一体で鋼帯２との距離を調整できるように構成さ
れている。いま、カヌーイングが発生したとすると、鋼
帯２がヘッダ４に接触して疵が入るのを防止するため、
ヘッダ４を鋼帯２から離隔するように制御することにな
る。図３はその状態を示したものであり、例えば鋼帯２
の幅中央部についてみると、表面と裏面では、ヘッダ４
と鋼帯２との距離が大きく異なる。また他方、鋼帯２の
表面または裏面の片側についてみると、幅端部と中央部
ではヘッダ４と鋼帯２との距離が異なる。ヘッダ４と鋼
帯２との距離が大きい箇所では、鋼帯２の受ける風圧は
小さく、逆に距離が小さい箇所では風圧は大きい。よっ
て、鋼帯２が座屈しようとする力と風圧の差がバランス
した状態でつりあうことになる。この状態でさらにカヌ
ーイングを修正して平坦な状態に戻そうとして、発生し
たカヌーイング量が大きいほどヘッダ４を大きく離隔す
る一方で、冷却ガスジェット３の流速を鋼帯２の幅端部
と中央部で大きく相違させるように制御する結果、流速
が速い側の流速が大きくなり過ぎて、鋼帯２のばたつき
が生じる場合があり、かえってカヌーイングを助長する
という問題があった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような
問題を解決するべく、熱処理装置の冷却帯においてカヌ
ーイングを抑制する鋼帯の冷却装置および冷却方法を提
供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、熱処理装置の
冷却帯で鋼帯を冷却する冷却装置であって、冷却帯の入
口近傍に設置され鋼帯のカヌーイングを検出するカヌー
イング検出装置と、冷却帯の内部のガスを吸引するブロ
ワと、そのガスを冷却ガスジェットとして鋼帯に吹き付
ける鋼帯の幅方向に複数個配設されたヘッダと、各ヘッ
ダの位置を個別に検出する位置検出装置と、位置検出装
置によって検出したデータおよびカヌーイング検出装置
によって検出したデータを入力信号として演算処理する
演算装置と、演算装置からの出力信号に基づいて各ヘッ
ダの位置を個別に調整する位置調整装置と、出力信号に
基づいて開閉して各ヘッダに供給するガスの流量を調整
する調整弁とを配設されてなる熱処理装置における鋼帯
の冷却装置である。

【０００７】また本発明は、熱処理装置の冷却帯の内部
のガスを吸引し、そのガスを冷却ガスジェットとして鋼
帯に吹き付けるヘッダを鋼帯の幅方向に複数個配設した
装置を用いて鋼帯を冷却する冷却方法において、冷却帯
の入口近傍で鋼帯のカヌーイングを検出し、各ヘッダの
位置を個別に検出し、次いでカヌーイングの検出データ
および各ヘッダの位置の検出データに基づいて各ヘッダ
に供給するガスの流量および／または各ヘッダの位置を
個別に調整して鋼帯を冷却する熱処理装置における鋼帯
の冷却方法である。

【０００８】

【発明の実施の形態】図１は、本発明の冷却装置の例を
模式的に示す断面図であり、(a) は横断面図、(b) は縦
断面図である。あわせてヘッダ部の制御系統をブロック
図で示す。鋼帯２は熱処理装置の冷却帯内を、図１(a)
中の手前から奥へ、図１(b) 中の上方から下方へ通過す
る。鋼帯２の両面に冷却ガスジェット３を吹き付けるヘ
ッダ４が、鋼帯２の幅方向に複数個配設されている。

【０００９】各ヘッダ４には、冷却ガスジェット３を鋼
帯２に吹き付けるためのノズル、冷却ガスジェット３用
のガスの流量を調整する調整弁５、ヘッダ４の位置を検
出する位置検出装置８およびヘッダ４の位置を調整する
位置調整装置９が、それぞれ配設されている。冷却ガス
ジェット３用のガスは、ブロワ７によって炉内から吸引
され、循環して使用される。

【００１０】熱処理装置の冷却帯の入口近傍に、鋼帯２
のカヌーイングの形状および変形量を検出するカヌーイ
ング検出装置６が配設されている。カヌーイング検出装
置６で検出したカヌーイングの形状や変形量のデータお
よび位置検出装置８で検出したヘッダ４の位置のデータ
を入力信号として演算装置10で処理して、得られた出力
信号を調整弁５と位置調整装置９へ伝送する。

【００１１】こうして鋼帯２に対するヘッダ４の位置
（すなわち鋼帯２とヘッダ４との距離）および冷却ガス
ジェット３の流速を調整することによって、鋼帯２を均
一に冷却するとともに、鋼帯２にかかる風圧を適正な状
態に維持してカヌーイングを抑制する。カヌーイングを
抑制するために鋼帯２の幅方向に複数個のヘッダ４を配
設し、各ヘッダ４から噴射される冷却ガスジェット３の
流速を個別に調整する。ここではＣ字形状のカヌーイン
グを抑制するための冷却ガスジェット３により鋼帯２が
受ける風圧の分布をどのように制御するかの例について
説明する。

【００１２】鋼帯２の凸側に配設される複数個のヘッダ
４の内の、鋼帯２の中央部のヘッダ４を、鋼帯２の両端
部のヘッダ４に比べ、相対的に鋼帯２に近づける。逆
に、鋼帯２の凹側に配設される複数個のヘッダ４の内
の、鋼帯２の中央部のヘッダ４を、鋼帯２の両端部のヘ
ッダ４に比べ、相対的に鋼帯２から遠ざける。因みに冷
却ガスジェット３の流速は、鋼帯２の材質に応じ、カヌ
ーイングしやすさ、ばたつきやすさを考慮して一定値に
決め、調整弁５にて調整される。

【００１３】さらに鋼帯２の幅方向に配設された複数個
のヘッダ４の位置（すなわち鋼帯２とヘッダ４との距
離）を個別に調整することによって、カヌーイングを抑
制する効果が著しく改善される。このように、ヘッダ４
の位置および冷却ガスジェット３の流速を適正な状態に
維持しながら鋼帯２の両面に冷却ガスジェット３を吹き
付けることによって、鋼帯２を冷却するとともに、鋼帯
２にかける風圧を、鋼帯２の幅方向に分布をもたせるこ
とによってカヌーイングを抑制する。あるいは従来技術
のように、ヘッダ４の位置を固定し、冷却ガスジェット
３の流速だけを調整するという方法も実施可能である
し、両方法を併用してももちろん良い。

【００１４】鋼帯２の幅方向に複数個配設されるヘッダ
４が多いほど、カヌーイングの形状に合わせてヘッダ４
の位置を細かく調整できる。しかしヘッダ４の個数が増
加すると、各ヘッダ４の位置を検出する位置検出装置８
や位置を調整する位置調整装置９も多数必要になり、そ
れにともなって冷却ガスジェット３用のガスの配管等が
複雑になるため、冷却装置の製作コストが上昇する。し
たがってヘッダ４の個数は、鋼帯２の両側に合計６〜10
個（つまり片側に３〜５個）が望ましい。またヘッダ４
は必要に応じて鋼帯２の長手方向（すなわち鋼帯２の進
行方向）に複数段配設しても良い。

【００１５】冷却ガスジェット３を噴射するノズルの形
状は、孔あるいはスリットいずれでも良く、特に限定し
ない。ヘッダ４の位置を調整する位置調整装置９は、シ
リンダーあるいは歯車等を使用して任意の位置に調整で
きる構成であれば良く、特定の形態に限定しない。ヘッ
ダ４の位置を検出する位置検出装置８は特定の形態に限
定しないが、レーザー距離計等の非接触式の装置を使用
するのが望ましい。

【００１６】

【実施例】図２に示す縦型の光輝焼鈍装置を用いて、ス
テンレス鋼帯（ＪＩＳ規格のSUS304材、板厚1.0mm 、板
幅1025mm）の光輝焼鈍を行なった。ヘッダ４は、図１に
示すように鋼帯２の片側に３個ずつ（つまり合計６個）
配設した。雰囲気ガスは、アンモニア分解ガス（いわゆ
るＡＸガス、Ｈ₂：75 vol％，Ｎ₂：25 vol％）を使用
した。

【００１７】カヌーイングによるＣ字形状の湾曲部の深
さは最大50mmであり、従来の１／５〜１／２に抑えられ
た。その結果、炉壁との接触による疵の発生や永久変形
による折れの発生は皆無となり、製品の歩留りが向上し
た。

【００１８】

【発明の効果】本発明では、カヌーイングの形状に合わ
せてヘッダの位置および冷却ガスジェットの流速を適正
な状態に調整できるので、カヌーイングを抑制して、疵
の発生や永久変形による折れの発生を防止して、製品の
歩留りが向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の冷却装置の例を模式的に示す断面図で
あり、(a) は横断面図、(b) は縦断面図であり、ヘッダ
部の制御系統のブロック図とともに示す。

【図２】縦型連続熱処理装置の要部を示す縦断面図であ
る。

【図３】従来の冷却ガスジェットのヘッダの例を示す模
式図である。

【符号の説明】

１炉壁２鋼帯３冷却ガスジェット４ヘッダ５調整弁６カヌーイング検出装置７ブロワ８位置検出装置９位置調整装置 10 演算装置

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者萩原俊哉千葉県千葉市中央区川崎町１番地川崎製鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者永原光彦千葉県千葉市中央区川崎町１番地川崎製鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者高橋弘之千葉県千葉市中央区川崎町１番地川崎製鉄株式会社千葉製鉄所内Ｆターム(参考） 4K043 AA01 CB03 EA05 FA02 FA06 FA13 GA03 GA06 GA10

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】熱処理装置の冷却帯で鋼帯を冷却する冷
却装置であって、前記冷却帯の入口近傍に設置され前記
鋼帯のカヌーイングを検出するカヌーイング検出装置
と、前記冷却帯の内部のガスを吸引するブロワと、前記
ガスを冷却ガスジェットとして前記鋼帯に吹き付けるノ
ズルを有する前記鋼帯の幅方向に複数個配設されたヘッ
ダと、前記各ヘッダの位置を個別に検出する位置検出装
置と、前記位置検出装置によって検出したデータおよび
前記カヌーイング検出装置によって検出したデータを入
力信号として演算処理する演算装置と、前記演算装置か
らの出力信号に基づいて前記各ヘッダの位置を個別に調
整する位置調整装置と、前記出力信号に基づいて前記各
ヘッダに供給する前記ガスの流量を調整する調整弁とを
配設されてなることを特徴とする熱処理装置における鋼
帯の冷却装置。
【請求項２】熱処理装置の冷却帯の内部のガスを吸引
し、前記ガスを冷却ガスジェットとして前記鋼帯に吹き
付けるヘッダを前記鋼帯の幅方向に複数個配設した装置
を用いて鋼帯を冷却する冷却方法において、前記冷却帯
の入口近傍で前記鋼帯のカヌーイングを検出し、前記各
ヘッダの位置を個別に検出し、次いで前記カヌーイング
の検出データおよび前記各ヘッダの位置の検出データに
基づいて前記各ヘッダに供給する前記ガスの流量および
／または前記各ヘッダの位置を個別に調整して前記鋼帯
を冷却することを特徴とする熱処理装置における鋼帯の
冷却方法。