JP2001047071A - 廃水の処理方法および処理装置 - Google Patents

廃水の処理方法および処理装置

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JP2001047071A
JP2001047071A JP2000151720A JP2000151720A JP2001047071A JP 2001047071 A JP2001047071 A JP 2001047071A JP 2000151720 A JP2000151720 A JP 2000151720A JP 2000151720 A JP2000151720 A JP 2000151720A JP 2001047071 A JP2001047071 A JP 2001047071A
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Japan
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organic
tank
reaction
sludge
treatment
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JP2000151720A
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Toshiaki Tsubone
俊明 局
Jun Miyata
純 宮田
Kenichiro Mizuno
健一郎 水野
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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    • Y02W10/00Technologies for wastewater treatment
    • Y02W10/10Biological treatment of water, waste water, or sewage

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  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
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  • Activated Sludge Processes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 窒素除去やリン除去を促進するとともにメタ
ノールの使用量を低減し、かつ余剰汚泥の脱水性の改
善、汚泥の分離・凝縮性の改善や脱水用の凝集剤の使用
量の削減を図り、増殖速度の小さい有用微生物を高濃度
で反応タンク内に保持して廃水の処理を行なうための処
理装置を提供する。 【解決手段】 有機系繊維質を含む物質に分解処理を施
して得られた分解生成物の導入手段を具備する廃水の処
理装置である。または、有機系繊維質を含む物質を分解
処理する繊維質分解設備を具備する廃水の処理設備であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、下水や工場廃水等
の水処理に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、下水や工場廃水等の水処理には活
性汚泥法に代表される微生物を利用した生物処理方法が
用いられてきた。この生物処理においては、廃水中の窒
素成分を除去するに際して、まず、硝化細菌の作用によ
りアンモニア性窒素をNO2 −NやNO3−Nに酸化し
た後、NO2−NやNO3−NをN2ガスに還元処理する
方法が一般的にとられてきている。また、リンの生物処
理方法は、微生物にリンを摂取させることにより廃水中
のリンを除去する方法であり、具体的には嫌気状態と好
気状態とに交互に微生物を曝すことによって行われる。
この場合、微生物は嫌気状態では有機物を利用してリン
を吐き出し、一方、好気状態では微生物は有機物を利用
して体内にリンを過剰摂取する。微生物のこうした性質
を利用して、リンを生物処理する方法が開発されてい
る。リンの生物処理においては、流入水の有機物/リン
比が大きい方がリン除去率が高くなる。
【0003】このように、有機物は脱窒反応の還元反応
を起こすための還元剤として、またリン除去効率向上の
ために有用である。こうした還元剤として作用する有機
物として、排水中に含まれている有機物やメタノールが
用いられてきた。また、汚泥を嫌気状態で分解処理して
有機酸を発生させ、この有機酸を還元剤として利用する
方法(以下、従来技術1と称する)も提案されている。
【0004】また、活性汚泥法においては、最終沈殿池
で微生物(活性汚泥)と処理水とが分離され、沈降分離
された汚泥の一部は濃縮後、脱水処理が行われる。近
年、食生活の変化などにより汚泥の脱水性が低下する傾
向があるが、汚泥の脱水性を向上させ、脱水ケーキの含
水率を低下させる方法としては、脱水前に被脱水汚泥に
古紙を添加して脱水性を向上させる方法(特開平9−2
16000号公報:以下、従来技術2と称する)が提案
されており、一部で実用化されつつある。また、反応タ
ンクに古紙や木材のチップ等の粒状担体を投入する方法
(特開平11−010182号公報:以下、従来技術3
と称する)も提案されている。
【0005】また、セルロース等の有機系繊維質に対し
て嫌気状態で生物処理を施して、アルコールやメタンを
発生させる方法(以下、従来技術4と称する)も提案さ
れている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように従来の
微生物を用いた廃水中の窒素の除去法は、廃水中の窒素
成分を除去するに際して、NO2 −NやNO3 −NをN
2 ガスに還元処理する方法である。この還元反応を起こ
すためには還元剤が必要とされるものの、一般的に廃水
中に含まれる有機物のみでは還元剤として不充分であ
る。一方、還元剤としてメタノールを利用(添加)する
場合にはメタノールの費用が必要となるので、処理費用
が増大するという問題点が生じる。
【0007】また、従来技術1に示されるような汚泥を
嫌気分解する技術では、汚泥の分解に伴ってアンモニア
性窒素やリン酸が有機酸と同時に発生してしまう。生物
反応で発生する有機物の大部分は発生したアンモニア性
窒素の処理に用いられるので、窒素除去についての有機
物のメリットは相殺され、さらに発生したリンの除去も
必要となるという問題が生じる。
【0008】従来技術2に示された技術では、脱水ケー
キの含水率は低下して脱水に要する凝集剤の使用量も低
下するものの、古紙の添加に際して古紙の微細化が必要
であり、そのために古紙溶解槽を設けなければならな
い。また、この方法は汚泥処理系等に適用される技術で
あり、脱水ケーキの含水率の低下および脱水に用いる凝
集剤の使用量の低下には効果があるが、廃水処理におけ
る窒素除去やリン除去に対する効果はない。
【0009】従来技術3に示された技術では、脱水性の
改善と反応タンク内の汚泥濃度の向上というメリットが
得られるが、担体は最終沈殿池に持ち込まれた際に、嫌
気状態あるいは無酸素状態となってしまう。このような
状態は、好気性の微生物にとって好ましくないために、
担体に付着、固定化された好気性の微生物、例えば硝化
細菌は大きなダメージを受けてしまう。したがって、従
来技術3の方法では、担体を用いる大きなメリットであ
る硝化細菌の高濃度保持は達成されない。また、この方
法では、投入された古紙や木質チップは余剰汚泥として
引き抜かれて脱水処理がなされ、この際に、担体に固定
化された有用微生物も同時に反応タンク外に流出してし
まうことになる。
【0010】なお、微生物を固定化するために担体を利
用するメリットは、増殖速度の小さい有用微生物を担体
に保持することにあり、このメリットは微生物(あるい
は反応タンク内の固形物)の滞留時間(一般にはSR
T:Solid Retention Time)を大きくとることによって
得られるものである。従来技術3に記載された技術で
は、上述したように担体と浮遊汚泥とは、ほぼ同じ割合
で最終沈殿池にいたって、ほぼ同じ割合で引き抜かれて
しまう。さらに、従来技術3で述べられているような脱
水ケーキ含有率の低下というメリットを得るためには、
比較的大量の繊維質を投入しなければならない。具体的
には、投入しない場合の発生汚泥固形分量の10%程度
以上の繊維質が必要とされるのでSRTが短縮されてし
まう。したがって、担体を使用することによって得られ
るメリットは、従来技術3の場合には打ち消される。
【0011】SRTを大とするために反応タンクの汚泥
濃度(MLSS)を高めに設定する方法も提案されてい
る。実際、これまでに開発された微生物固定化担体を用
いた方法は、担体が反応タンク外に流出しないように、
スクリーン等の担体分離手段を用いてSRTを大として
きた。しかしながら従来技術3では、最終沈殿池に担体
が流出し、その分だけ最終沈殿池の固形物負荷が増大す
るため、MLSSの増大によるSRTの延長効果はほと
んどないか、極僅かである。なお、一般的な下水処理に
おいては、水温にもよるがSRTは2日から5日程度に
設定され、硝化細菌を保持するためには3日以上に設定
される。従来技術3では担体の反応タンク内滞留時間は
浮遊汚泥とほぼ同程度の2日から5日程度またはそれ以
下となり、有機系繊維質が分解反応を受ける反応時間が
短いため、反応が起こらないうちに有機系繊維質は外部
に持ち出されてしまう。さらに、有機系繊維質の分解能
力を有する微生物が大量に保持されるようなプロセスに
なっていない。すなわち、有機系繊維質の分解能力を有
する微生物は、一般に増殖速度の小さい嫌気性微生物で
あるにもかかわらず、好気性の反応タンクを有する方式
では、好気状態で大きな増殖速度を有する好気性細菌が
大量に増殖する。したがって、好気性の反応タンクを有
する好気状態では、有機系繊維質の分解能力を有する微
生物は優先種となり得ない。このため、有機性繊維質の
分解はほとんど起こらないので有機物の生成は起こら
ず、窒素除去、リン除去の促進効果やメタノール使用量
の削減効果は得られない。
【0012】上述したように、窒素除去やリン除去を促
進するとともにメタノールの使用量を低減した廃水の処
理方法は、未だ得られていない。さらに、余剰汚泥の脱
水性の改善、汚泥の分離・凝縮性の改善や脱水用の凝集
剤の使用量の削減は、充分に達成されておらず、増殖速
度の小さい有用微生物を反応タンク内に高濃度で保持す
ることも、未だ達成されていないのが現状である。
【0013】そこで本発明は、窒素除去やリン除去を促
進するとともにメタノールの使用量を低減し、かつ余剰
汚泥の脱水性の改善、汚泥の分離・凝縮性の改善や脱水
用の凝集剤の使用量の削減を図り、増殖速度の小さい有
用微生物を反応タンク内に高濃度で保持し得る廃水の処
理方法を提供することを目的とする。
【0014】また本発明は、窒素除去やリン除去を促進
するとともにメタノールの使用量を低減し、かつ余剰汚
泥の脱水性の改善、汚泥の分離・凝縮性の改善や脱水用
の凝集剤の使用量の削減を図り、増殖速度の小さい有用
微生物を高濃度で反応タンク内に保持して廃水の処理を
行なうための処理装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、有機系繊維質を含む物質に分解処理を施
して得られた分解生成物を用いて廃水の処理を行なうこ
とを特徴とする廃水の処理方法を提供する。
【0016】また本発明は、有機系繊維質を含む物質に
分解処理を施して得られた分解生成物の導入手段を具備
する廃水の処理装置を提供する。
【0017】さらに本発明は、有機系繊維質を含む物質
を分解処理する繊維質分解設備を具備する廃水の処理装
置を提供する。
【0018】以下、本発明を詳細に説明する。
【0019】本発明の廃水の処理方法は、有機系繊維質
を含む物質に分解処理を施して得られた分解生成物を用
いることを特徴とするものである。本発明において用い
られる分解生成物は、別個の設備等で得たものとするこ
とができ、あるいは分解生成物は、有機系繊維質を含む
物質を分解処理する工程により得ることもできる。
【0020】すなわち、本発明の廃水の処理装置は、有
機系繊維質を含む物質に分解処理を施して得られた分解
生成物の導入手段、または有機系繊維質を含む物質を分
解処理する繊維質分解設備を具備する。
【0021】本発明において有機系繊維質を含む物質を
分解処理するために採用される手法は特に限定されず、
例えば、生物的作用、化学的作用、および物理的作用の
いずれか、あるいはこれらのうちの2者あるいは3者を
利用して、有機系物質を含む物質を処理することができ
る。こうした処理は、前述の繊維質分解設備において、
または別個の設備を設けて行なうことができる。このよ
うな処理を施すことによって、有機系繊維質の主成分で
あるセルロースの少なくとも一部が分解されて低分子化
した有機物が得られ、この分解生成物である有機物を用
いて廃水の処理を行なう。
【0022】有機系繊維質の分解・低分子化により得ら
れた分解生成物は、廃水処理における脱窒反応や脱リン
反応に利用され、窒素除去の促進、窒素除去率の向上、
メタノール削減効果、リン除去率の向上効果が得られ
る。
【0023】さらに、有機系繊維質の一部(一部のセル
ロースやリグニン等)は、未分解のまま汚泥処理工程に
いたって脱水されるので、脱水の効率化、安定化、脱水
ケーキの含水率低下効果、脱水用の凝集剤の低減効果が
得られる。
【0024】本発明において、有機系繊維質(原料)と
しては、古紙、木片(建設廃材を含む)、おがくず、も
み殻、厨芥等、およびこれらのうちの2種以上の混合物
を利用することができる。ただし、厨芥類については、
窒素、りん成分濃度が高いものは本発明の効果を減ずる
ので好ましくない。また、有機系繊維質濃度や有機物濃
度が高く、かつ窒素、りん成分濃度が低いものであれ
ば、工場や事業所等から発生する廃棄物や廃水を原料と
して利用することも可能である。
【0025】特に本発明においては、有機繊維質を主成
分とする廃材、例えば古紙等を、有機系繊維質として用
いることが好ましい。このことは、廃材の処理費用を削
減するという効果があり、さらに、現在の社会的要望で
あるリサイクル、ゼロエミッションの面からみても有効
である。なお、古紙を用いた場合には、数センチ角の粒
状で投入した場合であっても反応タンク内で、ほとんど
原型を残さない程度にこなごなな状態となることが確認
されているので、有機系繊維質の投入形態は、何等限定
されない。しかしながら、反応速度の面からは事前に微
細化しておくことが好ましい。微細化処理を施すかどう
かについては、得られる効果と微細化処理のためのコス
トとを総合的に判断して、適宜決定すればよい。
【0026】有機系繊維質を含む物質を処理するための
化学的作用としては、オゾン処理を用いることが好まし
い。化学的処理の中でも、オゾン処理は特に効率的であ
るという結果が得られているからである。
【0027】また、有機系繊維質を含む物質を処理する
ための生物的作用としては、微生物処理あるいは酵素処
理を行なうことが好ましい。セルロース分解能を有する
微生物あるいは酵素を利用することによって、セルロー
スを効率的に分解することができるためである。
【0028】有機系繊維質を含む物質の処理は、この処
理が行われる反応タンクの嫌気度をコントロールつつ行
なうことが好ましい。反応タンク内の嫌気度が高すぎる
と有機物がメタンまで分解して、気散してしまうおそれ
があるので、こうした不都合を防ぐためである。
【0029】なお、有機系繊維質分解タンク内の水温
は、15℃から65℃の範囲とすることによって、比較
的大きい速度で有機系繊維質の分解を行なうことが可能
であるが、好ましくは25℃から60℃の範囲で、より
高い反応速度が得られる。加温を行なうことのメリット
(反応速度の上昇とそれに伴なう反応タンクの小型化、
反応タンクの小型化に伴なう攪拌エネルギーや敷地面積
の低減等)とデメリット(加温用エネルギーの消費)と
を、ケースバイケースで比較検討して、加温するかどう
かを決めればよい。
【0030】前述の嫌気度のコントロールは、溶存酸素
濃度および/または酸化還元電位に基づいて行なうこと
が好ましい。これらは嫌気度の指標として有用であり、
有機物のメタンへの分解を防ぐことができる。
【0031】嫌気度のコントロールは、有機系繊維質を
含む物質を処理する工程への有機系繊維質の投入量と、
有機系繊維質を含む物質を処理する工程からの汚泥の引
き抜き量とをコントロールすることにより行なうことが
できる。これによって、有機系繊維質が分解される有機
系繊維質反応タンク内の固形物量、微生物や酸素の量を
制御して、嫌気度をコントロールすることができる。
【0032】あるいは嫌気度のコントロールは、有機系
繊維質を含む物質を処理する工程に酸素含有気体、オゾ
ン、および過酸化物からなる群から選択された少なくと
も1種を導入することによって行ってもよい。これによ
って、嫌気度が高くなりすぎるのを防止することがで
き、特にオゾンや過酸化物は有機系繊維質の分解を促進
するという効果もある。
【0033】古紙等の有機性固形廃棄物の嫌気分解に当
たって、メタン菌による有機物の分解を防ぐ方法として
は、嫌気度のコントロールが挙げられる。
【0034】また、間欠的に、短時間好気的雰囲気とす
ることは、メタン菌による有機物の分解を防ぐために効
果がある。これは、メタン菌は絶対嫌気性であり、酸素
に非常に弱いのに対して、セルロース分解菌は、嫌気性
菌ではあっても、メタン菌よりは酸素に対する耐性を有
しているためである。したがって、間欠的に短時間好気
的雰囲気とするような操作を行なうことによって、メタ
ン菌のみに大きなダメージを与えることが可能となる。
この考え方は、漬け物のぬか味噌を1日1回切り返すの
と同様の考え方であり、ぬか味噌の場合は、このように
して酸素を送り込むことによって嫌気性の雑菌の繁殖を
抑制している。ただし、好気状態に保つ時間が長すぎる
場合には、メタン菌のみならずセルロース分解菌もダメ
ージを受けるおそれがある。さらに、この場合には種々
の好気性の従属栄養細菌が出現して、セルロースの分解
産物をさらに分解してしまう。したがって、好気状態が
長すぎても問題があり、適切に選択することが望まれ
る。好気条件に保つ時間、および好気状態とする頻度
は、反応タンクの運転条件(例えば、温度、固形物滞留
時間、固形物濃度等)によって異なるが、一般的には4
日に1回から1日8回程度、1回当たり1分以上、溶存
酸素濃度が0.05mg/L以上となる時間帯を設けれ
ばよい。
【0035】また、メタン菌の活性を低下させる方法と
しては、pHを5程度以下まで低下させるという手法も
ある。
【0036】廃水を処理する工程は、嫌気状態および/
または無酸素状態の反応容器で行なうことができ、分解
生成物を含有する有機系繊維質を含む物質は、分離工程
を経ずに嫌気状態および/または無酸素状態の反応容器
に導入することができる。これによって、有機系繊維質
の分解生成物を、脱窒反応やリン除去反応に効果的に利
用することができる。有機系繊維質の分解生成物を好気
状態の反応タンクに投入した場合には、好気タンクにお
いて分解生成物は好気的分解を受け、その多くが二酸化
炭素と水まで分解されてしまうために、脱窒反応やリン
除去反応のリンの吐き出し反応には利用されなくなると
いう不都合が生じるが、これを防ぐことができる。ま
た、有機繊維質の主成分はセルロースであり、セルロー
スは炭素と水素と酸素とからなる分子であるために分解
物質には窒素やリンはほとんど含まれないので、有機系
繊維質の分解によって生じた有機物によって廃水処理に
おける窒素負荷やリン負荷が増大するという従来技術1
の問題もクリアできる。
【0037】あるいは、廃水を処理する工程は好気状態
の反応容器内で行なうことができ、分解生成物を含有す
る有機系繊維質を含む物質は、分離工程を経ずに好気状
態の反応容器に導入してもよい。好気状態の反応容器内
には、リンの好気的過剰摂取のためには有機物が必要で
あり、流入水質によっては好気状態の反応容器へも分解
生成物を投入することによって、リン除去効率をさらに
向上させることができる場合もある。
【0038】廃水を処理する工程を好気状態の反応容器
内で行なう場合には、この好気状態の反応容器は微生物
固定化担体を収容していることが好ましい。これによっ
て、増殖速度が小さく、高濃度に維持することが困難な
硝化細菌、例えばアンモニア酸化細菌や亜硝酸酸化細菌
を、反応容器内に高濃度で維持することができるので、
よりいっそうの窒素成分処理の効率化が達成される。す
なわち、窒素除去率の向上、窒素除去の安定化、反応タ
ンクの小型化が達成される。この場合には、有機繊維質
の投入に相当する分だけ(より正確には、投入した有機
質のうち分解・低分子化された後、微生物に再合成され
固形化される部分と未分解のまま流出する部分)、汚泥
固形物の発生量が増大し、有機系繊維質を含む物質の分
解生成物および未分解部分の投入を行なわない場合と比
べてSRTは若干短縮される。このため、硝化細菌を反
応タンクに高濃度に維持するという面では若干不利にな
る面がある。しかしながら、硝化細菌を反応タンクに投
入することによって担体に硝化細菌が高濃度に保持され
るので、前述したような窒素除去の効率化が達成でき
る。
【0039】好気状態の反応容器に収容された微生物固
定化担体は、中空円筒状とすることが好ましく、この好
気状態の反応容器は目開きが2.0mm以上の微生物固
定化担体流出防止スクリーンを流出側に具備することが
好ましい。中空円筒状の微生物固定化担体を使用するこ
とによって微生物固定化担体の単位容積当たりの表面積
を大とすることができるので、大量の硝化細菌を担体表
面に保持することができ、また担体の形状係数が小さく
流動性も高くなる。ここで、好気状態の反応容器に有機
系繊維質を投入した場合には、有機系繊維質の分解(化
学的、生物学的、物理的)に伴って、微細化された繊維
質が発生し、この微細化された繊維質がスクリーンの閉
塞を引き起こすおそれがあるため、スクリーンの目幅は
できるだけ大とすることが望ましい。実用的には、スク
リーンの目幅は2mm以上、さらには2.5mm以上と
することが好ましいが、スクリーンの目幅を大とする
と、担体の大きさも大とせざるを得ない。この際には担
体の比表面積も減少してしまうため、比表面積を大とで
きる中空形状の担体を採用することが望まれる。
【0040】前記有機系繊維質を含む物質を処理する工
程においては、1)廃水処理の工程で発生する液状物質
の一部または全部、あるいは水道水、工業用水、雑用
水、井水を有機系繊維質の分解を行なう反応タンクに導
入することが好ましい。廃水処理工程で発生する液状物
質としては、例えば、流入水、返送汚泥、余剰汚泥、循
環水、濃縮汚泥、濃縮工程脱離液、脱水工程脱離液、汚
泥処理工程返流水、濾過洗浄廃水等が挙げられる。有機
系繊維質の分解は、水中あるいは湿潤状態で行われるの
で、このための水分の補給が必要となる。特に廃水処理
プロセスの返送汚泥や余剰汚泥、循環水の一部または全
部、廃水処理プロセスの流入水の一部または全部、廃水
処理プロセスの処理水の一部または全部を用いた場合に
は、有機系繊維質の分解を行なう反応タンクに外部より
微生物、酵素などが供給されることになる。これらの性
状は、地域性や工場廃水の流入の有無等によって異な
り、これらの性状によって、有機系繊維質の分解に効果
が期待できる場合にはこれらの供給を行い、逆にデメリ
ットがある場合には水道水や工業用水、雑用水、井水等
を用いればよい。
【0041】あるいは、前記有機系繊維質を含む物質を
処理する工程には、有機系繊維質分解酵素および有機系
繊維質の分解能力を有する微生物の少なくとも1種を導
入してもよい。
【0042】有機系繊維質を含む物質の分解を行なう反
応タンクには有機系繊維質の分解能力を有する微生物や
酵素が必要であり、反応開始時点においてこれらが供給
されていることが好ましい。前述のように有機系繊維質
の分解を行なう反応タンクに返送汚泥等の一部を導入す
る場合には、これらの中に有機系繊維質の分解能力を有
する微生物が含まれていれば、特に上述の酵素や微生物
を導入する必要がない場合もある。しかしながら、反応
の立ち上がりを迅速に行なうためにも、反応開始時点で
のこれらの添加は有効である。反応開始時点のみ添加す
るか、添加を継続するか、あるいは添加量については前
述のように地域性や工場廃水の流入の有無等によって異
なるため、そのケースごとに反応の安定性や得られる反
応速度等から経済性も考慮したうえで、決めればよい。
また、牛のと殺場から牛の胃を含む畜産廃棄物を採取
し、これを投入してセルロース分解菌を導入してもよ
く、この場合には、畜産廃棄物の処理を兼ねることがで
きる。
【0043】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明を詳
細に説明する。
【0044】図1は、本発明の廃水処理装置の一例の構
成を表す概略図である。図示する廃水の処理装置におい
ては、まず、有機系繊維質反応タンク流入液12および
有機系繊維質を含む物質10が有機系繊維質反応タンク
11に導入される。この有機系繊維質反応タンク11内
では、生物的処理、化学的処理および物理的処理の少な
くとも1種により、有機系繊維質を含む物質10が分解
処理される。また、本発明において有機系繊維質として
は、古紙等の有機繊維質を主成分とする廃材を用いるこ
とができる。
【0045】有機系繊維質反応タンク11における古紙
の分解は、反応生成物の抜き出しを行なうことによって
促進させることができる。反応生成物が高濃度に存在す
る場合には、この反応生成物が分解を阻害する要因とな
る。特に、水素が有機系繊維質反応タンク11内に高濃
度に蓄積することは避けることが望ましく、減圧処理や
ストリッピング処理による水素ガスの脱気を行なうこと
によって水素を除去することができる。これらの処理
は、必ずしも常時連続的に行なう必要はなく、多くの場
合、間欠的に行なえば十分である。
【0046】これらの処理を行なうことによって、有機
系繊維質反応タンク11内で生成した揮発性有機酸の一
部も抜き出されるが、量的には大きな問題とはならない
場合がほとんどである。問題となる場合には、アルカリ
等で揮発性有機酸を回収してもよい。
【0047】メタン菌の活性を低下させるために酸素含
有気体を有機系繊維質反応タンク11に吹き込む場合
も、上述したような水素除去の効果を得ることができ
る。さらには、減圧処理で発生する水素含有気体を、水
処理系の嫌気タンクおよび/または無酸素タンクに吹き
込んでもよい。こうした操作によって、減圧処理で発生
したガス中の水素および揮発性有機酸の類は、水処理系
における還元剤として利用される。また、要求される量
のセルロース分解物が得られる範囲内で、有機系繊維質
反応タンクにおけるSRTおよび/またはHRT(液側
の滞留時間)を短くして、反応物質を積極的に抜き出す
ことも効果的である。
【0048】この有機系繊維質反応タンク11には、微
生物固定化担体が収容されていてもよい。こうした担体
を収容した場合には、増殖速度の小さい“有機系繊維質
分解能力を有する微生物”を高濃度で有機系繊維質反応
タンクに保持することができる。これによって、有機系
繊維質反応タンクの小型化、有機系繊維質反応タンク内
の反応の安定化といったメリットが得られる。
【0049】固定化担体を用いた場合には、特に担体と
有機性繊維質との接触効率を高めることが効果的であ
り、有機系繊維質を微細化、粉砕処理することが好まし
い。例えば有機系繊維質として古紙を用いる場合、その
微細化、分散装置としてバルパーを用いることができ
る。
【0050】担体の形状としては、中空円筒状が好まし
いが、他の形状でも効果を得ることができる。中空円筒
状の担体を用いることによって、微生物固定化担体の単
位容積当たりの表面積を大とすることができ、また担体
の形状係数が小さく流動性も高くなるというメリットが
得られる。
【0051】担体の材質としては、高分子系および無機
素材のいずれを用いることもできる。高分子系として
は、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリ
コール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミ
ド、ポリビニルフェルマール、ポリプロピレン、ポリエ
チレン、塩化ビニリデン、ナイロン、ポリ塩化ビニルお
よびこれらの混合物が挙げられ、無機素材としては、セ
ラミック系、砂、活性炭、およびアンスラサイトやゼオ
ライト等の鉱物などが挙げられる。さらに木材チップ等
を用いてもよい。
【0052】こうした担体には、微生物のみならず酵素
を固定化してもよい。その際、ポリビニルアルコール、
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、
およびポリアクリルアミド等のゲルの内部に酵素を固定
化することができる。
【0053】有機系繊維質反応タンク11の下流側に
は、嫌気タンク9、無酸素タンク2、好気タンク4、お
よび沈殿池7、濃縮装置15および脱水装置18が設け
られており、これらによって廃水処理プロセスが構成さ
れる。なお、こうしたタンク等の配置の順番は、図示す
る例に限定されるものではない。
【0054】有機系繊維質反応タンク11からの有機系
繊維質反応タンク流出水は、嫌気タンク9および無酸素
タンク2に導入され、嫌気タンク9には、処理される対
象である流入水(廃水)1および沈殿池7からの汚泥の
一部が返送汚泥13として導入される。さらに、図示す
るように、濃縮装置15からの濃縮分離液17および脱
水装置18からの脱水装置脱離液20も嫌気タンク9に
返送してもよいが、これらの返送は必ずしも必要ではな
い。濃縮分離液17および脱水装置脱離液20は、場合
によっては専用の処理工程に導入され、あるいは最初沈
殿池や沈砂池に投入される場合もある。
【0055】嫌気タンク9内では嫌気条件下で反応が進
行し、嫌気タンク9の流出液は、好気タンク4からの流
出液の一部である循環液3とともに無酸素タンク2に導
入される。この無酸素タンク2内では無酸素条件下で反
応が進行し、無酸素タンク2の流出液は好気タンク4に
導入される。
【0056】好気タンク4には微生物固定化担体5が収
容されており、このタンクの流出側には担体流出防止
(担体分離)装置6が設置されているので、担体は好気
タンク4内に常に保持される。好気タンク4の流出液の
一部は、上述したように循環液3として無酸素タンク2
に循環され、残りは沈殿池7に導入される。好気タンク
4内に収容される微生物固定化担体5としては、すでに
説明したようなものを用いることができる。すなわち、
有機系繊維質反応タンク11内に収容するものと同様の
微生物固定化担体を、好気タンク4内に収容することが
できる。担体分離装置6としてはスクリーンを用いるの
が一般的であるが、担体と好気タンク4の流出液とを分
離できるものであれば方式は特に限定されず、任意のも
のを用いることができる。すでに説明したような理由か
ら、スクリーン目幅は、実用的には2mm以上であり、
2.5mm以上が好ましい。
【0057】なお、処理場の敷地に充分な余裕があり、
大型の好気タンクを設けて硝化細菌を高濃度に保持でき
る場合には、必ずしも好気タンク4内に担体5を用いる
必要はない。
【0058】沈殿池7では、好気タンク4から導入され
た流出液が沈降分離されて汚泥が得られ、その一部は、
余剰汚泥14として濃縮装置15に導入され、汚泥の残
りの部分は返送汚泥13として嫌気タンク9に導入され
る。一方、沈殿池7で固液分離された上澄み液は、処理
水8として排出される。なお、沈殿池7は、汚泥と処理
水とを分離するためのものであり、汚泥と処理水との分
離が可能であれば、他の方式(浮上分離、膜分離、濾
過、遠心分離等)を使用しても構わない。
【0059】余剰汚泥14が導入された濃縮装置15で
は、この汚泥が濃縮されて濃縮汚泥16として脱水装置
18に導入された後、脱水処理を受けて脱水ケーキ19
として排出される。また、脱水工程18で発生する脱離
液20は、濃縮工程で発生する分離液17とともに嫌気
タンク9に返送・処理される。
【0060】なお、濃縮設備15および脱水設備18と
しては、種々の方式のものを用いることができ、例え
ば、遠心濃縮装置、濾過式濃縮装置、浮上式濃縮装置
や、ベルトプレス式脱水機、遠心脱水機、フィルタープ
レス式脱水機、およびロータリープレス式脱水機等を用
いてもよい。また、処理施設によっては、汚泥処理設備
を保有せず、汚泥の集約処理や移動式汚泥処理設備によ
る処理等が行われる場合もあるが、その場合も本発明の
効果は何等変わらず維持される。
【0061】上述のプロセスにおける主な反応は、有機
系繊維質反応タンク11内での有機系繊維質の分解・低
分子化反応;嫌気タンク9内でのリンの吐き出し反応;
無酸素タンク2内での脱窒反応;および好気タンク4内
での有機物分解反応、硝化反応、リン吸収反応である。
【0062】廃水中の窒素成分は、好気タンク4内での
硝化細菌の作用によって、アンモニア性窒素や有機性窒
素からNO2−NやNO3−Nに変換される。ここでの硝
化細菌とは、浮遊しているものと担体5に固定化されて
いるものとの両方をさす。その後、好気タンク4からの
流出液の一部は、循環水3として無酸素タンク2に循環
され、無酸素タンク2内でNO2−NやNO3−NがN2
ガスに還元される。こうして得られたN2ガスが大気放
散されることによって、廃水中の窒素成分が除去され
る。
【0063】この還元反応における還元剤としては、流
入水1に含まれる有機物が用いられる。さらに、有機系
繊維質反応タンク11で生成し、無酸素タンク2に導入
された有機物もまた、還元剤として作用する。廃水中の
リンは、微生物の次のような作用によって除去される。
まず、微生物は嫌気タンク9で有機物を利用して体内の
リンを吐き出し、その後、リンを吐き出した微生物が主
に好気タンク4において吐き出した量以上のリンを体内
に吸収する。こうして、廃水中のリンが微生物の体内に
吸収されることによって、廃水中のリンが除去される。
【0064】嫌気タンク9内において有機物を利用して
微生物が体内のリンの吐き出す反応が生じる際には、有
機物がエネルギー源として必要とされる。この有機物と
して、有機系酸素質反応タンク11で生成し、嫌気タン
ク9に導入された有機物が用いられる。
【0065】また、リンを吐き出した微生物が好気タン
ク4においてリンを吸収する反応の際にも、有機物をエ
ネルギー源として必要とする。このエネルギー源として
の有機物が不足する場合には、有機系繊維質反応タンク
11で生成した分解生成物である有機物の一部を好気タ
ンク4に導入することによって、エネルギー源としての
効果を得ることができる。
【0066】本発明においては、上述したような酸化還
元反応により廃水中の窒素が除去され、リンの過剰摂取
により廃水中のリンが除去される。さらに本発明におい
ては、有機系繊維質の分解によって生じた物質を利用し
た生物反応にともなって生物が増殖し、その際に水中の
リン化合物および窒素化合物を微生物が生体内に摂取す
る。こうして、処理水中のリン濃度および窒素濃度はさ
らに低減される。
【0067】なお、有機系繊維質反応タンク11内では
有機系繊維質の少なくとも一部が分解されるので、未分
解の有機系繊維質が残留する可能性もある。本発明にお
いては、有機系繊維質反応タンク11で生成した有機系
繊維質の分解生成物と未分解物質とを分離、精製するこ
となく水処理工程に導入することができ、これは本発明
の一つの特徴である。これによって、メタノールを添加
する場合や、有用有機物を分離、精製しなければならな
い場合に比べて大きなコストメリットが生まれる。
【0068】未分解の有機系繊維質は、汚泥の沈降分離
性を向上させるので、沈殿池7から得られる処理水8中
の固形物濃度は小さくなり、処理水質はいっそう優れた
ものとなる。
【0069】さらに、未分解の有機系繊維質は、汚泥の
脱水性を向上させるので、脱水装置18からの脱水ケー
キ19の含水率が低下し、脱水ケーキを焼却する際の補
助燃料のコストを大幅に削減できるという利点もある。
加えて、脱水性の向上にともなって脱水用の凝集剤の使
用量を低減できるというメリットも発生する。
【0070】また、脱水性が向上して脱水ケーキの含水
率が低下することは、下水汚泥ケーキの容積を減少させ
ることにつながるので、運搬費用等の取り扱いの面でメ
リットがあり、かつ、後段において焼却処理する場合に
おいても補助燃料の削減あるいはエネルギー回収量の増
大といったメリットが生ずる。
【0071】本発明において、有機系繊維質反応タンク
11に導入される有機系繊維質10の形状は特に限定さ
れるものではなく、粒状、粉状、糸状、および紙片状の
いずれとしてもよい。反応効率や反応速度の観点から
は、有機系繊維質は微細であるほど有利であるものの、
この場合には費用、処理のための維持管理等が必要とさ
れる。したがって、その必要性や効果等を総合して、有
機系繊維質の投入形態を適宜決定すればよい。
【0072】例えば、粉状の有機系繊維質を含む物質を
用いる場合には、有機系繊維質分解タンクに投入する前
に、これを予め液体に分散しておくことが好ましい。投
入する有機系繊維質の種類や状態(乾燥度、静電気を帯
びているかどうか等)によっては、有機系繊維質分解タ
ンクに導入した時点で塊を形成するおそれがある。この
塊は溶けないココアのイメージであり、投入した有機系
繊維質と微生物や酵素との良好な接触状態を得ることが
困難となって、有機系繊維質の分解反応の反応効率が低
下する場合がある。分散のためには、パルパーを利用す
ることもできる。
【0073】粉状の有機系繊維質を含む物質を予め分散
させる液体としては、廃水処理の工程で発生する液状物
質の一部または全部、あるいは水道水、工業用水、雑用
水、井水等を用いることができる。廃水処理工程で発生
する液状物質としては、例えば、流入水、返送汚泥、余
剰汚泥、循環水、濃縮汚泥、濃縮工程脱離液、脱水工程
脱離液、汚泥処理工程返流水、ろ過洗浄廃水等が挙げら
れる。さらに、必要に応じて分散剤を添加してもよく、
超音波などを利用して分散させることも可能である。
【0074】また、有機系繊維質反応タンク11内で分
解・低分子化される前の有機系繊維質に、前処理を予め
施すことによって、反応効率および反応速度を向上させ
ることができる。前処理としては、例えば、酸処理、ア
ルカリ処理、オゾン処理、過酸化物処理、温度処理、超
音波処理、加圧処理およびこれらの組み合わせなどが挙
げられる。これらの処理を施すかどうかについても処理
費用、処理のための維持管理の必要性、効果等を総合的
に判断して適宜決定することができる。
【0075】有機系繊維質反応タンク11における有機
系繊維質10の平均滞留時間は1日以上、望ましくは5
日以上とする。これは、有機系繊維質を分解することの
できる微生物の増殖速度が小さく、このような微生物を
高濃度に反応タンク内に保持するためにはこの程度の滞
留時間が必要であるため、および有機系繊維質の分解速
度が小さく、長い反応時間が必要とされるためである。
【0076】ただし、投入される有機系繊維質が分解性
に富む場合には、平均滞留時間を短縮して、1日以内と
することもできる。
【0077】有機系繊維質10の有機系繊維質反応タン
ク11における滞留時間を大とするには、次のような方
法を採用することができる。1)有機系繊維質反応タン
ク11を穏やかに撹拌して、有機系繊維質反応タンク1
1からの分解生成物および未分解有機系繊維質の流出量
を低減する、2)有機系繊維質反応タンク11の流出口
に有機系繊維質の流出防止装置を設ける、3)有機系繊
維質反応タンク11への有機系繊維質反応タンク流入液
12の投入量を調節(低減)したり、汚泥の引き抜き量
を調節(低減)する、4)有機系繊維質反応タンク11
を回分操作として、有機系繊維質を沈殿あるいは浮上さ
せた後、未分解の有機系繊維質をより少なく含む側から
抜き出しを行なって、未分解の有機系繊維質をより多く
含む側からは抜き出しを行なわないか、あるいは抜き出
し量を低減するといった方法である。未分解の有機系繊
維質をより少なく含む側から抜き出しを行なうことは、
水素や溶解性の分解生成物を抜き出すことであり、化学
反応や生物反応の一般的な原則である。このように反応
生成物を抜き出すことによって反応の促進効果を得るこ
とができる。
【0078】また、滞留時間を大とする方法には、遠心
分離やろ過等の固液分離操作を行ない、固形物を多く含
む部分を有機系繊維質反応タンクに戻す方法もある。
【0079】1)の有機系繊維質反応タンク11を穏や
かに撹拌する方法としては、機械的撹拌装置を用いるこ
とが一般的であるが、気体を吹き込んで撹拌してもよ
い。一般には、有機系繊維質の生物学的分解速度は、嫌
気反応(酸素のない状態での反応)や無酸素反応(溶存
している酸素のない状態での反応)の方が、好気反応
(酸素のある状態での反応)の場合より大となる。した
がって、気体を吹き込んで撹拌する場合には、酸素濃度
の低い気体を吹き込む;気体の吹き込み量を撹拌可能な
最低限に抑える;気体の吹き込みを間欠的に行なう;散
気装置として酸素溶解効率の低い装置(例えば、粗大気
泡を発生させる装置)などによって、有機系繊維質反応
タンク11内を嫌気状態に維持することが望まれる。
【0080】2)の有機系繊維質反応タンク11の流出
口に有機系繊維質の流出防止装置を設ける方法として
は、有機系繊維質が粒状等の塊状である場合にはスクリ
ーンを用いることができる。また、比重差を利用して沈
殿あるいは浮上設備を設けることもできる。
【0081】3)の有機系繊維質反応タンク11への流
入水12の投入量の調節(低減)や、有機系繊維質反応
タンク11からの低分子化された有機系繊維質および未
分解分の引き抜き量の調節(低減)には、汚泥が有機系
繊維質反応タンクにある程度蓄積された段階での引き抜
き操作が必要となる。これは、一般的に有機系繊維質反
応タンク11には未分解の有機系繊維質が蓄積してくる
ためである。なお、流入水12の投入量を低減したり、
汚泥の引き抜き量を低めに設定することによっても有機
系繊維質反応タンク11内における有機系繊維質の滞留
時間を大とすることができる。
【0082】有機系繊維質反応タンク11に難分解性の
有機質が蓄積した場合には、これらを引き抜くことが必
要となる。未分解の有機系繊維質を含む汚泥の引き抜き
操作としては、例えば、有機系繊維質反応タンク11か
ら難分解性の有機質を直接引き抜く方法を採用すること
ができ、具体的には、配管を設けるあるいはバキューム
カー等により引き抜くことができる。引き抜いた汚泥は
沈殿池7、あるいは濃縮装置15に導入される。さら
に、図示してはいないが、引き抜いた汚泥を最初沈殿池
に導入することもできる。
【0083】ここで引き抜かれた汚泥に特に粒子状のも
のがない場合には、嫌気タンク9や無酸素タンク2、好
気タンク4にこれを導入してもよい。場合によっては、
有機系繊維質反応タンク11に投入される有機系繊維質
量と、有機系繊維質反応タンク11から流出する有機系
繊維質を含む固形物量とのバランスがとれて、汚泥の引
き抜きを行なう必要がないこともある。また、有機系繊
維質反応タンク11の撹拌強度を調節することによって
有機系繊維質反応タンク11から有機系繊維質を含む固
形物を流出させることができ、これによって有機系繊維
質反応タンク11からの引き抜き汚泥量や、有機系繊維
質の有機系繊維質反応タンク11内の滞留時間を調整す
ることが可能である。
【0084】有機系繊維質反応タンク11に導入される
有機系繊維質10の量は、流入水1の水質、要求される
処理水8の水質によって変化する。一般的には、所望さ
れる処理水の窒素濃度やリン濃度が低い値の場合;流入
水のBOD/窒素比やBOD/リン比が小さい場合;脱
水ケーキの含水率を低下させたい場合;あるいは沈殿池
における固液分離性を高めたい場合には、導入する有機
系繊維質10の量を大とする必要がある。一般的な下水
を処理する場合には、投入量は流入下水1m3当たり1
0gから500g程度となる。投入する有機系繊維質1
0の容積は、投入する有機系繊維質10の量、分解率、
および平均滞留時間から決定することができる。
【0085】特に、有機系繊維質の種類や、反応条件、
あるいは流入水質と要求処理水質から計算される有機系
繊維質投入量と、要求脱水ケーキ含水率から計算される
有機系繊維質投入量とを一致させることが好ましい。す
なわち、有機系固形廃棄物の分解率が高い場合にはメタ
ノール代替有機物の量は増大するが、脱水ケーキの含水
率の低減効果は薄れることになり、その一方、有機系固
形廃棄物の分解率が低ければその逆のパターンとなる。
ここで、メタノール代替有機物合成に必要とされる有機
系繊維質分解物量と、脱水性改善のために必要とされる
有機系繊維質残存量との整合性をとる必要が生じるが、
このことは、結局、有機系繊維質の分解率を所定の値に
制御することに他ならない。有機系繊維質の分解率を所
定の値に制御するための操作因子、影響因子としては、
温度、原料の分解性、微生物の種類と濃度、および反応
時間が挙げられる。温度は一定条件とし、原料も一定で
あるとすれば、最も容易に制御できる項目は反応時間で
ある。反応時間は、反応速度、反応タンク容積、反応タ
ンクへの原料(有機系繊維質および水)の投入速度の関
数であるので、要求される分解率と、メタノール代替有
機物の発生量(速度)および未分解有機系繊維質の発生
量(速度)から、反応タンク容積と反応タンクへの原料
(有機系繊維質および水)の投入速度を決めればよい。
なお、温度や原料の組成を変化させることができる場合
には、これらも制御因子に加えることができる。
【0086】また、すでに説明したような1)有機系繊
維質反応タンク11を穏やかに撹拌して、有機系繊維質
反応タンク11からの分解生成物および未分解有機系繊
維質の流出量を低減する、2)有機系繊維質反応タンク
11の流出口に有機系繊維質の流出防止装置を設ける、
3)有機系繊維質反応タンク11への有機系繊維質反応
タンク流入液12の投入量を調節(低減)したり、汚泥
の引き抜き量を調節(低減)する、4)有機系繊維質反
応タンク11を回分操作として、有機系繊維質を沈殿あ
るいは浮上させた後、未分解の有機系繊維質をより少な
く含む側から抜き出しを行なって、未分解の有機系繊維
質をより多く含む側からは抜き出しを行なわないか、あ
るいは抜き出し量を低減するといった手法を用いてもよ
い。このようにして有機系繊維質の有機系繊維質分解タ
ンクにおける滞留時間を調節することによっても、メタ
ノール代替有機物合成に必要とされる有機系繊維質分解
量と、脱水性改善のために必要とされる有機系繊維質残
存量とのバランスをとることができる。
【0087】なお、有機系繊維質反応タンク11内で微
生物反応や酵素反応等の生物学的手法によって有機系繊
維質の分解・低分子化を行って、主に糖類や有機酸の
類、あるいはアルコール等を生成する際、条件によって
は有機系繊維質の分解、低分子化が進みすぎてメタンガ
スが発生する場合がある。メタンガスが発生して気散す
るような条件では、せっかく生成した糖類や有機酸の
類、あるいはアルコール等が無駄になってしまうので、
有機系繊維質反応タンク11内はメタンガス生成反応が
起こらない条件とすることが求められる。そのために
は、有機系繊維質反応タンク11における固形物の滞留
時間を調整、具体的には短縮して、メタン生成菌がタン
ク内に高濃度に蓄積しないようにする方法が挙げられ
る。
【0088】さらに、メタン生成菌は、一般に酸素の存
在によって大きなダメージを受ける細菌、すなわち絶対
嫌気性菌であるため、有機系繊維質反応タンク11に酸
素含有ガスを吹き込んだり、過酸化物やオゾン等を導入
することによってメタン菌の増殖、活動を抑えることが
できる。嫌気度の指標としてはDO(溶存酸素濃度)や
ORP(酸化還元電位)を用いることができる。特に、
酸化還元電位による制御は有効であり、有機系繊維質の
低分子化が起こり、メタン化が進行しにくい範囲である
+50mVから−250mVの範囲になるように制御す
ることが有効である。
【0089】上述したように、間欠的に、短時間好気的
雰囲気とすることは、メタン菌による有機物の分解を防
ぐために効果がある。これは、メタン菌は絶対嫌気性で
あり、酸素に非常に弱いのに対して、セルロース分解菌
は、嫌気性菌ではあっても、メタン菌よりは酸素に対す
る耐性を有しているためである。したがって、間欠的に
短時間好気的雰囲気とするような操作を行なうことによ
って、メタン菌のみに大きなダメージを与えることが可
能となる。この考え方は、漬け物のぬか味噌を1日1回
切り返すのと同様の考え方であり、ぬか味噌の場合は、
このようにして酸素を送り込むことによって嫌気性の雑
菌の繁殖を抑制している。ただし、好気状態に保つ時間
が長すぎる場合には、メタン菌のみならずセルロース分
解菌もダメージを受けるおそれがある。さらに、この場
合には種々の好気性の従属栄養細菌が出現して、セルロ
ースの分解産物をさらに分解してしまう。したがって、
好気状態が長すぎても問題があり、適切に選択すること
が望まれる。好気条件に保つ時間、および好気状態とす
る頻度は、反応タンクの運転条件(例えば、温度、固形
物滞留時間、固形物濃度等)によって異なるが、一般的
には4日に1回から1日8回程度、1回当たり1分以
上、溶存酸素濃度が0.05mg/L以上となる時間帯
を設ければよい。
【0090】また、メタン菌の活性を低下させる方法と
しては、pHを5程度以下まで低下させるという手法も
ある。
【0091】なお、有機系繊維質の分解には、有機系繊
維質の分解能力を有する微生物や酵素(セルラーゼ等)
が存在していることが好ましく、反応開始時点において
これらを反応タンクに供給することが望まれる。前述の
ように返送汚泥等の一部を有機系繊維質の分解を行なう
反応タンク11に導入する場合には、これらの中に有機
系繊維質の分解能力を有する微生物が含まれていれば、
酵素や微生物の反応タンクへの導入は特に必要ない場合
もある。しかしながら、反応の立ち上がりを迅速に行な
うためにも、反応開始時点においてこれらを添加するこ
とは有効である。反応開始時点のみ添加するか、常に添
加を継続するか、添加は行わないか、あるいは添加量を
どの程度にするかについては、前述のように地域性や工
場廃水に流入の有無等によって異なる。また、要求され
る有機物の低分子化の程度および脱水ケーキの含水率な
どに応じて、酵素や微生物の添加の条件は異なる。した
がって、反応の安定性や得られる反応速度等と経済性も
考慮したうえで、酵素や微生物の添加に関しては適宜決
定することができる。
【0092】また、有機系繊維質反応タンク11に有機
系繊維質分解能力を有する微生物や酵素、酵母の類を固
定化した担体を投入してもよい。これらによって、シス
テムの立ち上げ期間の短縮効果、システムの反応の安定
化効果、反応タンクの小型化効果などが得られる。
【0093】さらに、有機系繊維質分解能力を有する微
生物の増殖のために必要となる栄養分(窒素成分、リン
成分)や微量元素を有機系繊維質反応タンク11に添加
することによって、効率の更なる向上が認められる場合
もある。
【0094】なお、図1のフローは本発明の廃水処理装
置の一例を示したものであり、本発明はこのフローに限
定されるものではない。図1における嫌気タンク9、無
酸素タンク2、好気タンク4、好気タンク循環液3、沈
殿池7、および返送汚泥13によって水処理工程が構成
されており、この工程は嫌気無酸素好気法と呼ばれる代
表的な下水高度処理フローである。水処理工程を、嫌気
無酸素好気法以外の処理方法に置き換えても、本発明の
効果はほとんど変わらず得ることができる。例えば、水
処理工程を標準活性汚泥法のフローとした場合には、標
準活性汚泥法自体が窒素除去やリンの過剰摂取によるリ
ン除去を想定したフローとはなっていないため、窒素除
去やリン除去に関する促進効果という効果は薄れる。し
かしながら、この場合でも、有機系繊維質の分解によっ
て生じた物質を利用した生物反応が起こり、これにとも
なって生物が増殖し、その際に水中のリン化合物および
窒素化合物を微生物が生体内に摂取する。こうして、処
理水のリン濃度および窒素濃度は低減される。さらに、
メタノール使用量の低減、余剰汚泥の脱水性の改善、脱
水用の凝集剤の使用量削減、および汚泥の分離・濃縮性
の向上といった全ての効果は、何等変わらず維持され
る。
【0095】また、図1に示した装置における水処理工
程を、循環式硝化脱窒法、嫌気−好気法、バーデンホ
法、修正バーデンホ法、ステップ流入式硝化脱窒法、硝
化−内生脱窒法、嫌気−硝化−内生脱窒法等のほとんど
全ての生物処理フローおよびこれらの担体投入法フロー
に置き換えることもできる。いずれの場合も、本発明の
効果はほとんど維持される。これらの方法を採用した場
合、有機系繊維質反応タンク流出液は、フロー中の嫌気
タンクや無酸素タンク等の酸素を吹き込まないタンク
や、微好気タンクのような溶存酸素濃度の低いタンクの
少なくとも一つに導入することができる。また、前述し
たようにリンの吸収の促進のために好気タンクに有機系
繊維質反応タンク流出液の一部を導入してもよい。ま
た、水処理工程が回分操作されている場合には、溶存酸
素濃度の低い時間帯に有機系繊維質反応タンク流出液を
導入するのが好ましいが、必ずしもこの時間帯だけに限
る必要はない。
【0096】さらに、有機系繊維質分解タンク11の設
置位置に関しても、図1に限定されるものではない。有
機系繊維質分解タンク11は、返送された濃縮分離液1
7および脱水装置脱離液20と流入水1との合流箇所の
前段あるいは後段に設置してもよい。これによって、流
入水が全量通過するようにすることができる。
【0097】前述したような手段で固形物のSRTを大
として、流入水を流すことによりHRTを小とすること
によって、水素を含む反応生成物を積極的に水処理系に
導入することになり、有機系繊維質の分解が促進され
る。
【0098】本発明は、基本的に有機系繊維質反応タン
ク11において有機系繊維質を分解し、その分解生成物
を生物反応に利用することによって窒素除去やリン除去
の促進を行なうとともに、有機系繊維質の未分解物質を
利用して、汚泥の分離・濃縮・脱水性の改善を図るもの
であり、このような考え方に基づく処理フローは全て本
発明の範囲に含まれる。
【0099】以上、有機系繊維質反応タンク11におい
て微生物や酵素・酵母を用いた生物的作用により有機系
繊維質10を分解する手法を例に挙げて説明したが、有
機系繊維質を分解する手法は、これに限定されるもので
はない。有機系繊維質反応タンク11は、有機系繊維質
の分解・低分子化を行なうためのものであるので、生物
学的な手法以外でもこの目的を達成するものであれば用
いることができ、例えば化学的処理および物理的処理と
いった手法が挙げられる。
【0100】より具体的には、化学的処理としては、酸
処理、アルカリ処理、オゾン処理、過酸化物処理、温度
処理、加圧処理およびこれらの組み合わせによる処理が
挙げられ、物理的処理としては、超音波処理;グライン
ダーやミルにより有機系繊維質を破砕する手法が挙げら
れる。
【0101】有機系繊維質の分解・低分子化の手法は、
流入水質や要求される処理水質、コスト、敷地面積、要
求される脱水ケーキ含水率などを総合的に判断して適宜
選択することができる。上述した手法のなかでも、オゾ
ン処理を採用した場合には、低コストかつ小型の反応タ
ンクで有機系繊維質の分解・低分子化が可能であるの
で、本発明の目的を達成する手段として特に好適であ
る。オゾンの添加量は、有機系繊維質の種類、要求され
る分解率、およびオゾン溶解効率等によって異なるた
め、実際に添加と分析を行って添加量を決定することが
好ましい。オゾン処理によって有機系繊維質は低分子化
はされるものの、糖類や有機酸等までの分解にはいたら
ない場合、すなわち分解生成物が低分子のセルロースで
ある場合には、オゾン処理の後段に生物学的手法による
有機系繊維質反応タンク11を設置してもよい。また、
分解される有機系繊維質の種類によっては生物学的手法
を前段に配置し、オゾン吹き込みを後段に配置してもよ
い。このように、有機系繊維質の分解・低分子化を行な
う有機系繊維質反応タンク11を複数設けることもまた
可能である。
【0102】さらに、各タンクに導入する配管は、各タ
ンクに直接導入する必要はなく、タンクに導入される配
管と結合して、その液と混合してからタンクに投入して
も、得られる効果は変わらない。
【0103】
【実施例】以下、具体例および比較例を示して本発明を
さらに詳細に説明する。
【0104】まず、図1に示したフローにおいて、有機
系繊維質反応タンク11からの流出液を嫌気タンク9と
無酸素タンク2とに半分ずつ導入する装置を構成し、こ
れを用いて廃水の処理を行い、実施例1とした。なお、
この実施例1においては、好気タンク4に比重1.0
1、長さ5mm、外径4mm、内径3mmの発泡ポリプ
ロピレン製中空円筒状担体5を真容積基準で7%収容
し、担体流出防止装置6として目幅2.5mmのウェッ
ジワイヤースクリーンを好気タンク4の出口に設置し
た。
【0105】また、好気タンク4中から微生物固定化担
体5を取り除いた以外は、前述の実施例1の場合と同様
の装置を構成し、これを用いて廃水の処理を行い、実施
例2とした。
【0106】これらの実施例1および2においては、有
機系繊維質反応タンク11の容積は20リットルとし
た。
【0107】さらに、窒素・リン除去の促進、汚泥の分
離・濃縮・脱水性に関する比較を行なうために、比較例
1〜4として次のような手法により廃水の処理を行っ
た。
【0108】嫌気無酸素好気法により廃水を処理して、
比較例1とした。この方法は、図1に示した処理装置に
おいて有機系繊維質反応タンク11を設置しない場合に
相当する。
【0109】嫌気無酸素好気法において、脱水前に微細
化した古紙を混入させる方法により廃水を処理して比較
例2とした。この方法は、嫌気無酸素好気法である比較
例1の手法に、従来技術2をさらに適用したフローに相
当する。
【0110】最初沈殿池汚泥と余剰汚泥との混合汚泥を
酸発酵した後、嫌気タンクと無酸素タンクに半分ずつ投
入する方法により廃水を処理して比較例3とした。この
方法は、従来技術1を嫌気無酸素好気法に適用したフロ
ーである。ここでは、酸発酵タンクの容積は300リッ
トルとした。
【0111】反応タンクに粒状の古紙を投入した従来技
術の3の技術において、反応タンクに嫌気無酸素好気法
を採用した方法により廃水を処理して、比較例4とし
た。
【0112】上述の実施例1,2および比較例1〜4に
用いた原水は、生活排水処理場の最初沈殿池流出水であ
り、以下に示す測定値は、10ヶ月間での10回の測定
の平均値である。各処理において共通する事項として
は、流入水質、水温、流入水流量(100L/hr)、
無酸素タンク2の容積(300L)、好気タンク4の容
積(200L)、最終沈殿池水面積負荷(100m/
日)、循環水量比(200%)、返送汚泥比(50%)
である。また、汚泥の引き抜き量は、比較例4のみ、好
気タンク4の汚泥濃度が3000mg/Lとなるように
し、それ以外(実施例1,2、比較例1〜3)において
は、好気タンク4の汚泥濃度が2000mg/Lとなる
ように実施した。
【0113】有機系繊維質10としては古紙を用い、具
体的には事務系オフィスのシュレッダーダストを2mm
角に裁断したものを用いた。実施例1,2および比較例
4においては3.6g/hrの古紙を有機系繊維質反応
タンク11に添加し、比較例2においては1.8g/h
r相当分の古紙を脱水前に添加した。
【0114】各実施例および比較例においては、全長2
8cm、高さ8cmの長方形の撹拌翼を反応タンク11
底部より5cmのクリアランスとなるように上部から設
置し、ほぼ反応タンク内が均一な撹拌状態となる35r
pmで撹拌した。
【0115】上述の実施例1,2および比較例1〜4に
より廃水を処理した後、処理水の水質、汚泥の沈降分離
性、および脱水ケーキ含水率を調べ、得られた結果を下
記表1にまとめる。
【0116】なお、汚泥の沈降性、濃縮性は1リットル
のメスシリンダーでの汚泥の沈降曲線を測定することに
より調べ、投入汚泥濃度と30分沈殿後の汚泥界面とか
ら、SVIおよび濃縮汚泥濃度を測定することにより評
価した。
【0117】また、汚泥の脱水性は、ジャーテストによ
り高分子凝集剤の適性添加量を決定した後、凝集、重力
脱水後の汚泥を加圧試験機によりベルトプレス脱水機の
ろ布間で2分間、1.5kg/cm2で加圧脱水して脱
水ケーキの含水率を測定して評価した。
【0118】
【表1】
【0119】表1に示されるように、実施例1,2で
は、処理水質は、T−N、T−Pともに明らかに優れて
おり、汚泥の沈降分離性の指標でもあるSSやSVIも
優れた値であり、脱水ケーキの含水率も低い値である。
これらの効果は、有機物の導入によって脱窒反応、脱リ
ン反応が促進されたこと、有機物のみが添加され窒素成
分リン成分は添加されないこと、および未分解の有機質
が汚泥の沈降分離性や脱水性に好影響を与えることとい
った本発明の特徴によってもたらされたものである。
【0120】特に、好気タンク4に微生物固定化担体5
を収容した実施例1の結果に示されているように、この
場合のみNH4−Nが完全に除去されている。NH4−N
の酸化により生じたNOx−Nも低い値を示しており、
これは、微生物固定化担体5の投入により硝化細菌が高
濃度に維持されたこと、さらに、有機系繊維質の分解に
よって生じた有機物の添加によって脱窒反応も促進され
たことによるものである。
【0121】実施例2では、NH4−Nの除去は完全で
はないものの、有機系繊維質の分解によって生じた有機
物を添加したことに起因して、生成したNOx−Nの除
去反応(脱窒反応)が促進されている。このため、処理
水中のNOx−Nが小さい値となり、結果としてT−N
が実施例1についで小さな値となったものである。
【0122】これに対して、比較例1〜4のいずれも、
本発明のような効果は得られていない。比較例1では、
処理水中のT−NおよびT−Pのいずれも高く、脱水ケ
ーキ含水率も高い。比較例2では、脱水ケーキ含水率に
多少の改善がみられているものの、処理水の水質は比較
例1と大きな変化はない。
【0123】比較例3では、有機物が投入された分の効
果は、処理水のNO3−Nがほとんどないことに現れて
いるが、T−NやT−Pの値が低いわけではない。これ
は、汚泥の分解により生成した窒素成分、リン成分が有
機物とともに処理系に流入しているためである。
【0124】比較例4では、脱水ケーキの含水率の低減
に多少の効果が得られているのみであり、処理水質は比
較例1と同程度であり大きな変化はない。
【0125】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、窒
素除去やリン除去を促進するとともにメタノールの使用
量を低減し、かつ余剰汚泥の脱水性の改善、汚泥の分離
・凝縮性の改善や脱水用の凝集剤の使用量の削減を図
り、増殖速度の小さい有用微生物を反応タンク内に高濃
度で保持し得る廃水の処理方法が提供される。また、本
発明によれば、窒素除去やリン除去を促進するとともに
メタノールの使用量を低減し、かつ余剰汚泥の脱水性の
改善、汚泥の分離・凝縮性の改善や脱水用の凝集剤の使
用量を削減を図り、増殖速度の小さい有用微生物を高濃
度で反応タンク内に保持して廃水の処理を行なうための
処理装置装置が提供される。
【0126】本発明においては、窒素やリン等の成分を
ほとんど含まない古紙等の有機系繊維の一部を分解し
て、発生した分解生成物である有機物を廃水処理におけ
る窒素除去、リン除去に利用できるので、廃水の高度処
理(窒素リン除去)が達成され、未分解の有機系繊維質
が汚泥の分離性、濃縮性、脱水性を向上させる。また、
メタノールを添加する方法に比較して、処理費用の低減
が可能という利点が得られる。さらに、好気タンクに微
生物固定化担体を収容した場合には、高度処理の処理効
率の向上(除去率の向上や反応タンク容積の縮減)と処
理の安定化がなされる。加えて、廃棄物である古紙等を
利用することにより、資源の有効活用、廃棄物処理の面
でも効果があり、その工業的価値は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の廃水処理装置の一例の構成を表す概略
図。
【符号の説明】
1…流入水 2…無酸素タンク 3…好気タンク循環液 4…好気タンク 5…担体 6…担体流出防止装置 7…沈殿池 8…処理水 9…嫌気タンク 10…投入有機系繊維質 11…有機系繊維質反応タンク 12…有機系繊維質反応タンク流入液 13…返送汚泥 14…余剰汚泥 15…濃縮装置 16…濃縮汚泥 17…濃縮装置脱離液 18…脱水装置 19…脱水ケーキ 20…脱水装置分離液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B09B 3/00 304H (72)発明者 水野 健一郎 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4D004 AA03 AA12 BA10 CA04 CA18 CA20 CA22 CA36 CC01 CC07 CC12 CC20 4D027 BA06 4D028 AA08 AB00 AC06 4D040 AA23 BB02 BB23 BB32 BB93

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機系繊維質を含む物質に分解処理を施
    して得られた分解生成物を用いて廃水の処理を行なうこ
    とを特徴とする廃水の処理方法。
  2. 【請求項2】 前記有機系繊維質を含む物質を分解処理
    する工程を具備することを特徴とする請求項1に記載の
    廃水の処理方法。
  3. 【請求項3】 前記有機系繊維質を含む物質が、古紙で
    あることを特徴とする請求項1または2に記載の廃水の
    処理方法。
  4. 【請求項4】 有機系繊維質を含む物質に分解処理を施
    して得られた分解生成物の導入手段を具備する廃水の処
    理装置。
  5. 【請求項5】 有機系繊維質を含む物質を分解処理する
    繊維質分解設備を具備する廃水の処理装置。
  6. 【請求項6】 前記繊維質分解設備が、オゾンを使用す
    る設備であることを特徴とする請求項5に記載の廃水の
    処理装置。
  7. 【請求項7】 前記繊維質分解設備が、微生物または酵
    素を使用する設備であることを特徴とする請求項5に記
    載の廃水の処理装置。
  8. 【請求項8】 前記廃水の処理装置が、好気性処理設
    備、嫌気性処理設備、および無酸素性処理設備からなる
    群から選択される少なくとも1つの処理設備を具備し、
    かつ、前記処理設備の少なくとも1つは、有機系繊維質
    を含む物質に分解処理を施して得られた分解生成物の導
    入手段を具備することを特徴とする請求項4ないし7の
    いずれか1項に記載の廃水の処理装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1342698A1 (de) * 2002-03-05 2003-09-10 Norbert Univ. Prof. Dipl.-Ing. Dr. Matsché Verfahren und Anlage zum Klären von Industrieabwässern
JP2004283758A (ja) * 2003-03-24 2004-10-14 Kurita Water Ind Ltd 生物脱窒方法
JP2009285554A (ja) * 2008-05-28 2009-12-10 Delica Chef:Kk 固形食品有機廃棄物処理方法

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