JP2001040110A - シート又はフィルム及びその製造方法 - Google Patents

シート又はフィルム及びその製造方法

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JP2001040110A
JP2001040110A JP11218899A JP21889999A JP2001040110A JP 2001040110 A JP2001040110 A JP 2001040110A JP 11218899 A JP11218899 A JP 11218899A JP 21889999 A JP21889999 A JP 21889999A JP 2001040110 A JP2001040110 A JP 2001040110A
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sheet
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resin
temperature
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JP11218899A
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Shigeru Fujita
茂 藤田
Kazunari Yamamoto
一成 山本
Toshisuke Nomi
俊祐 能見
Hideyuki Emori
秀之 江守
Yoshihiro Uetani
慶裕 植谷
Takashi Yamamura
隆 山村
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Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐熱性に優れた非多孔質のシート又はフィル
ム、及びその製造方法を提供すること。 【解決手段】(a)主鎖にC=C二重結合及び炭素数5
〜10の脂肪族環を有する重合体と、(b)その他の樹
脂、とを含有する潜在的硬化性シート又はフィルムを硬
化処理して得られうるシート又はフィルム、並びに
(a)主鎖にC=C二重結合及び炭素数5〜10の脂肪
族環を有する重合体と、(b)の樹脂とを含有する重合
体組成物を成膜して潜在的硬化性シート又はフィルムを
成形し、硬化処理することを特徴とするシート又はフィ
ルムの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シート又はフィル
ム、及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、耐熱
性に優れた非多孔質のシート又はフィルム及びその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】耐熱性粘着テープ用基材、コンデンサー
用フィルム等、優れた耐熱性を有するシートやフィルム
が必要とされる用途は多い。
【0003】従来では、そのために、シートやフィルム
の素材として、耐熱性の素材をそのまま加工して利用し
たり、また、官能基、架橋剤を使用した架橋、三次元化
といった手段を利用することで、耐熱性の向上が図られ
てきた。
【0004】しかし、耐熱性の素材は、シートやフィル
ムに加工する際に高い温度を必要とする難点がある。ま
た、もともと耐熱性の低い材料を架橋すれば、確かにあ
る程度の耐熱性の改善は見られるものの実用的に決して
十分とはいえない。
【0005】また、シートやフィルムの成分として、ゴ
ムを含有するものも検討されているが、その目的は、柔
軟性あるいはゴム弾性の付与であることが多い。また、
架橋のための官能基として利用する目的で、二重結合を
有するゴムを含有させる場合もあるが、例えば、イソプ
レン等を用いると、空気中、高温で使用すると、劣化等
の問題が生ずる。ブタジエン等では、劣化の問題は少な
いが、熱変形の温度はさほど変化せず、耐熱性の改善は
必ずしも十分なものとはいえない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐熱
性に優れた非多孔質のシート又はフィルム、及びその製
造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために、鋭意研究した結果、(a)主鎖にC
=C二重結合及び脂肪族環を有する重合体と(b)その
他の樹脂とを含有するシート又はフィルムが優れた潜在
的硬化性を有し、それらを硬化処理することにより、特
に耐熱性に優れた非多孔質のシート又はフィルムが得ら
れることを見いだし、本発明に到ったものである。
【0008】即ち、本発明は、(1)(a)主鎖にC=
C二重結合及び炭素数5〜10の脂肪族環を有する重合
体と、(b)その他の樹脂、とを含有する潜在的硬化性
シート又はフィルムを硬化処理して得られうるシート又
はフィルム、および(2)(a)の重合体と(b)の樹
脂とを含有する重合体組成物を成膜して潜在的硬化性シ
ート又はフィルムを成形し、硬化処理することを特徴と
するシート又はフィルムの製造方法、に関する。ここで
「潜在的硬化性」とは、硬化処理を行うことによって、
優れた耐熱性を示す性質をいう。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明において用いられる(a)
主鎖にC=C二重結合及び炭素数5〜10の脂肪族環を
有する重合体において、C=C二重結合は、炭素原子間
の二重結合を意味する。脂肪族環としては、5あるいは
6員環が主鎖に直結されたものが好ましい。
【0010】前記(a)の重合体は、不飽和縮合脂環化
合物を開環重合させて、モノマー化合物に由来する二重
結合及び脂肪族環を繰り返し単位とする開環重合体とし
て得ることができる。また、このようにして得られる開
環重合体は、その二重結合の一部を水素添加してもよ
い。
【0011】前記不飽和縮合脂環化合物は、次の3つの
系列に大別される。第一の系列としては、狭義の縮合脂
環化合物として分類されるもののうちで、開環重合後、
主鎖に組み込まれるC=C二重結合を環の1つに有する
不飽和化合物が挙げられる。また、それらの不飽和化合
物の水素原子の幾つかが他の置換基に置き換わった誘導
体も含めて、不飽和縮合脂環化合物として使用できる。
この具体例として、ビシクロ〔3.2.0〕ヘプト−6
−エン、ビシクロ〔4.2.0〕オクト−7−エン及び
それらの誘導体等が挙げられる。
【0012】第二の系列としては、有橋環化合物として
分類されるもののうちで、開環重合後、主鎖に組み込ま
れるC=C二重結合を環の1つに有する不飽和化合物が
挙げられる。また、それらの不飽和化合物の水素原子の
幾つかが他の置換基に置き換わった誘導体も含めて、不
飽和縮合脂環化合物として使用できる。この具体例とし
て、ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−5−エン(本明細
書においてはノルボルネンともいう)、ビシクロ〔2.
2.1〕ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシメチ
ルエステル等のノルボルネン誘導体、ビシクロ〔2.
2.2〕オクト−2−エン及びその誘導体等が挙げられ
る。
【0013】第三の系列としては、有橋環でかつ縮合脂
環を有し、開環重合後、主鎖に脂肪族環及びC=C二重
結合とを有する化合物が挙げられる。この具体例として
は、トリシクロ〔5.2.1.02,6 〕デカ−3,8−
ジエン(ジシクロペンタジエン)、テトラシクロドデセ
ン及びその誘導体が挙げられる。
【0014】これらの不飽和縮合脂環化合物の中では、
原料供給等の観点から、ノルボルネン及びノルボルネン
誘導体が好ましい。また、これらの不飽和縮合脂環化合
物は、単独で又は2種以上を混合して又は順次開環重合
することができる。
【0015】(b)の樹脂としては、ポリオレフィン系
樹脂が好適に用いられる。その例として、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、エチレン
−アクリルモノマー共重合体、エチレン−酢酸ビニル共
重合体等の変性ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。ま
た、前記不飽和縮合脂環化合物の開環重合体の完全水素
添加物、あるいは前記不飽和縮合脂環化合物とエチレン
等の他の不飽和化合物との付加共重合体も使用できる。
また、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ブタジエ
ンゴム、スチレンブタジエンゴム、スチレンイソプレン
ブロック共重合体、それらの水素添加物等のオレフィン
単位を含有するエラストマー類、各種アクリルモノマー
単位を含むアクリルゴム等のアクリル系重合体、ポリエ
ーテル、ポリエステル単位をソフトセグメントとするポ
リエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポ
リウレタンエラストマー等の熱可塑性エラストマー類等
も好適に用いることができる。これらの中でも、ポリオ
レフィン系樹脂、特にシート又はフィルムの強度を高く
できる観点から、重量平均分子量50万以上の超高分子
量ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂が好ましい。こ
れらの(b)の樹脂は、単独で又は2種以上を混合して
使用してもよい。
【0016】本発明のシート又はフィルム中における
(a)の重合体及び(b)の樹脂の含有比率について
は、特に限定はないが、(a)の重合体は0.5〜70
重量%が好ましく、2〜50重量%がより好ましい。ま
た、(b)の樹脂は30〜99.5重量%が好ましく、
50〜98重量%がより好ましい。
【0017】本発明のシート又はフィルムを製造するに
は、まず、前記(a)の重合体と(b)の樹脂とを含有
する重合体組成物を成膜して、潜在的硬化性を有するシ
ート又はフィルム(以下、潜在的硬化性シート又はフィ
ルムという)に成形する。そして、この潜在的硬化性シ
ート又はフィルムを硬化処理することにより本発明のシ
ート又はフィルムを製造することができる。
【0018】前記重合体組成物を調製するには、(a)
の重合体の含有量は、特に制限はないが、例えば、十分
な耐熱性を有するフィルムやシートを得る観点から、
0.5〜70重量%が好ましく、2〜50重量%がより
好ましい。
【0019】また、重合体組成物中における(b)の樹
脂の含有量は、特に制限はないが、30〜99.5重量
%が好ましく、50〜98重量%がより好ましい。
【0020】また、重合体組成物中には潤滑剤、酸化防
止剤等の添加剤がさらに添加されてもよく、その配合量
は、前記(a)の重合体と(b)の樹脂の総量100重
量部に対して0.01〜30重量部が好ましい。
【0021】得られた重合体組成物を成膜する方法とし
ては、乾式成膜法、湿式成膜法、流延法等の公知の方法
が挙げられ、その成膜を行う際に、延伸等の処理を行っ
てもよい。これらの成膜の方法により、得られる潜在的
硬化性シート又はフィルムは、その条件によって、多孔
質又は非多孔質のものとして得られる。
【0022】即ち、本発明のシート又はフィルムの製造
方法は、得られる潜在的硬化性シート又はフィルムの形
態の観点から、2つの方法に大別される。1つは、多孔
質のシートやフィルムを経ない方法であり、単純な溶融
押し出しによる乾式成膜法等が利用できる。この方法で
は、非多孔質のシートやフィルムを硬化処理する際に、
シートやフィルムの内部までは反応に十分な酸素が透過
しにくいので、熱処理だけでなく、過酸化物等のラジカ
ル発生能のある化合物を利用する方法を併用することが
望ましい。
【0023】もう1つは、製造途中で多孔質のシートや
フィルムを経る方法であり、湿式延伸による成膜法等が
利用できる。また、この方法では、多孔質のシートやフ
ィルムを硬化処理する際に、孔を塞いで非多孔質のシー
トやフィルムとする態様であり、孔を塞ぐまでは多孔質
のシートやフィルム全体に十分な酸素を供給することが
できるため、酸素存在下での熱処理による架橋に有利で
あり、硬化反応の途中で多孔質のシート又はフィルムを
十分な高温で処理し、孔を閉塞させてから反応を完了さ
せれば、本発明の非多孔質の耐熱性シートやフィルムを
得ることができる。この際、必要に応じて、熱プレス等
の補助的手段を用いてもよい。
【0024】多孔質フィルムは、例えば、(a)の重合
体と(b)の樹脂を含有する重合体原料組成物を溶媒と
混合し、混練・加熱溶融しながらシート状に成形した
後、圧延し、一軸方向以上に延伸し、溶媒を抽出除去す
る方法により得ることができる。
【0025】該溶媒としては、例えば、ノナン、デカ
ン、ウンデカン、ドデカン、デカリン、流動パラフィン
等の脂肪族又は環式の炭化水素、沸点がこれらに対応す
る鉱油留分等が挙げられ、流動パラフィン等の脂環式炭
化水素を多く含む不揮発性溶媒が好ましい。また、溶媒
の使用量としては、原料組成物と溶媒の混合物の60〜
95重量%であることが好ましい。原料組成物と溶媒の
混合物を混練りし、シート状に成形する工程は、公知の
方法により行うことができ、バンバリーミキサー、ニー
ダー等を用いてバッチ式で混練りし、次いで、冷却され
た金属版に挟み込み急冷して急冷結晶化によりシート状
成形物にしてもよく、Tダイ等を取り付けた押出機等を
用いてシート状成形物を得てもよい。なお、混練りは、
適当な温度条件下であればよく、特に限定されないが、
好ましくは100〜200℃である。
【0026】このようにして得られるシート状成形物の
厚みとしては、特に限定されないが、3〜20mmが好
ましく、ヒートプレス等の圧延処理により0.5〜2m
mの厚みにしてもよい。また、圧延処理の温度は、10
0〜140℃が好ましい。
【0027】前記シート状成形物の延伸処理の方式とし
ては、特に限定されるものではなく、通常のテンター
法、ロール法、インフレーション法又はこれらの方法の
組合せであってもよく、また、一軸延伸、二軸延伸等の
いずれの方式をも適用することができる。また、二軸延
伸の場合は、縦横同時延伸又は逐次延伸のいずれでもよ
い。延伸処理の温度は、100〜140℃であることが
好ましい。
【0028】脱溶媒処理は、シート状成形物から溶媒を
除去して微多孔質構造を形成させる工程であり、例え
ば、シート状成形物を溶剤で洗浄して残留する溶媒を除
去することにより行うことができる。溶剤としては、ペ
ンタン、ヘキサン、ヘプタン、デカン等の炭化水素、塩
化メチレン、四塩化炭素等の塩素炭化水素、三フッ化エ
タン等のフッ化炭化水素、ジエチルエーテル、ジオキサ
ン等のエーテル類等の易揮発性溶剤が挙げられ、これら
は単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
かかる溶剤を用いた洗浄方法は、特に限定されず、例え
ば、シート状成形物を溶剤中に浸漬して溶媒を抽出する
方法、溶媒をシート状成形物にシャワーする方法等が挙
げられる。
【0029】前記の方法により得られるシート又はフィ
ルムは、硬化処理により機械的強度が高まり、優れた耐
熱性を示すという潜在的硬化性を有している。
【0030】本発明における硬化処理の方法としては、
酸素存在下で熱処理する方法、光、電子線等の放射線の
照射による方法、過酸化物等のラジカル発生能のある化
合物を利用する方法、ラジカル重合性のモノマーをグラ
フトさせる方法等の公知の方法等が挙げられ、これらの
中では、最も簡便かつ有効である観点から、酸素存在下
で熱処理する方法が特に好ましい。
【0031】前記酸素存在下での熱処理する方法は、特
に限定されるものではなく、一回で熱処理する一段式熱
処理法でも、最初に低温でまず熱処理し、その後さらに
高温での熱処理を行う多段式の熱処理法でもよく、ある
いは昇温しながら熱処理する昇温式熱処理法でもよい。
一段式熱処理の場合には、シート又はフィルムの組成に
もよるが、100℃〜200℃が好ましい。熱処理に応
じてシート又はフィルムは次第に硬化し、内部に酸素が
通りにくくなる。そのため、特に潜在的硬化性シートが
厚い多孔質シートである場合、有効に硬化させるために
は、一気に表面を硬化させる一段式熱処理法よりも、多
段式あるいは昇温式熱処理法を用い、反応がある程度進
行してから孔を塞ぐことが好ましい。
【0032】多段式の熱処理法の最初の熱処理温度とし
ては、シート又はフィルムの組成にもよるが、好ましく
は50〜100℃、2段目の熱処理温度としては、シー
ト又はフィルムの組成にもよるが、好ましくは100〜
200℃である。このときに孔を塞いでもよいが、必要
に応じてさらに高温で、さらに短時間の3段目以降の熱
処理を行って孔を塞いでもよい。処理時間は、シート又
はフィルムの組成にもよるが、最初の熱処理には3〜4
8時間程度、2段目のより高温での熱処理には0.5〜
6時間程度が好ましい。シート又はフィルムの組成にも
よるが、上記の温度や時間以下では、耐熱性の大きな向
上がみられず、また、各段階において上記の温度以上で
熱処理して早期に孔を塞いでしまうと、酸素が遮断さ
れ、架橋、硬化が内部まで進行しにくい。昇温式熱処理
法の場合には、前記の多段式熱処理法に準じた条件で行
えばよい。
【0033】また、潜在的硬化性シートが厚手の非多孔
質シート等であり、内部の酸素濃度を確保しにくい場合
には、必要に応じて、過酸化物を併用すれば、有効に硬
化を行うことが可能である。この場合には、過酸化物を
併用しない場合よりも高い温度で短時間で硬化させるこ
とも可能である。過酸化物を添加する手段としては、例
えば、実質的な分解温度が、熱処理温度よりも高い過酸
化物を熱処理時に直接添加すればよい。また、低温で硬
化させたい場合には、分解温度の低い過酸化物を溶媒に
溶かし、成形後のシートに含浸させればよい。なお、過
酸化物としては、ベンゾイルパーオキシド、ビス−(4
−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシ−ジカーボネ
ート等が挙げられる。また溶媒としては、トルエン、キ
シレン、デカリン、テトラリン等が挙げられる。
【0034】上記の過酸化物による硬化処理の他、必要
に応じ、公知の電子線、紫外線、可視光線等の放射線に
よる硬化処理を併用してもよい。
【0035】これらの硬化処理により、該シート又はフ
ィルムを構成する(a)の重合体の有するC=C二重結
合の全部又は一部が消失する。C=C二重結合を消失さ
せる割合は、所望の耐熱性を考慮して適宜選択される
が、80〜100%(IRのピークの大きさに基づき算
出)の消失率が好ましい。
【0036】C=C二重結合の全部又は一部が硬化処理
により消失することは、赤外吸収スペクトルを観察する
ことによって確認することができる。例えば、ノルボル
ネン開環重合体を使用したシート又はフィルムの熱処理
(90℃で2時間、さらに120℃で1時間の加熱)前
後のIRチャートをそれぞれ図1及び図2に示す。ま
た、同時に、C=O、−OHを示すピークの吸収が確認
されることから、水酸基、エステル基、カルボキシル基
等の極性基も前記熱処理により生成するものと思われ
る。
【0037】また、シート又はフィルムの粘弾性を測定
することにより、酸素存在下での熱処理後には、高温で
の流動が抑制されることも判明しており、何らかの架橋
構造の形成が認められることから、硬化反応が生じてい
ることが示される。
【0038】酸素存在下での熱処理による硬化反応の機
構は複雑であり、必ずしも明確ではないが、シート又は
フィルムの耐熱性の向上の理由は以下のように推定され
る。
【0039】第一に、酸素の作用で生じたポリマーラジ
カルがC=C二重結合に付加し、その際に(a)の重合
体同士あるいは、(a)の重合体と(b)の樹脂との間
で架橋反応が起こり、構造が三次元化するためであると
考えられる。
【0040】第二に、(a)の重合体の二重結合が消失
して、飽和C−C結合に転化することにより、(a)の
重合体自体のガラス転移温度が大きく上昇することが考
えられる。例えば、(a)の重合体としてポリノルボル
ネンを使用した場合、そのガラス転移温度は35℃であ
るが、C=C二重結合が水素添加されて飽和C−C結合
に転化されると百数十℃になるとされている。C=C二
重結合が飽和C−C結合に転化されてガラス転移温度が
高くなるのは、その主鎖に脂肪族環を有するためであ
り、本発明における処理後のシート又はフィルムが、通
常の架橋性ゴムの場合(後述の比較例2)よりも有効な
硬化性を示し、高い耐熱性を有するのは、このようなガ
ラス転移温度の上昇も大きな要因であると推測される。
【0041】第三に、酸化作用によって、水酸基、エス
テル基、カルボキシル基等の極性基がシート又はフィル
ム中に生成していることから、これらに基づく擬似的な
架橋もシート又はフィルムの硬化に寄与し、耐熱性が向
上する要因になっているものと思われる。
【0042】本発明のシート又はフィルムは、これらの
作用効果が複雑にからみあって耐熱性が大きく向上する
ものと考えられる。
【0043】このような方法で得られた本発明のシート
又はフィルムの厚みは、1μm〜2mmが好ましく、5
μm〜1mmがより好ましい。また、その耐熱性とし
て、例えば、耐熱破膜温度は、使用目的にもよるが、1
60℃以上が好ましく、180℃以上がより好ましい。
【0044】以上のように、本発明のシート又はフィル
ムは、架橋等の硬化処理をすることにより、優れた機械
的特性と共に優れた耐熱性を示すものであるため、耐熱
性テープ用基材、コンデンサー用フィルム、光学フィル
ム等の用途に有用である。
【0045】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではな
い。なお、以下の実施例や比較例で得られたシート又は
フィルムの特性は、次のようにして評価した。
【0046】(赤外吸収(IR)スペクトル)日本分光
(株)製のフーリエ変換IRスペクトロメーター「FT
/IR−230」を用い、シート又はフィルムをそのま
ま試料として測定を行った。
【0047】(フィルムの厚み)1/1000シックネ
スゲージ及びシート又はノギスにより測定した。
【0048】〔耐熱性(耐熱破膜温度)〕幅10mmの
シート又はフィルムの一方の端を上下の間隔が50mm
のアルミ枠の上部に固定し、もう一方の端に200g/
mm2 換算の荷重をかけて張力を与えた状態でアルミ枠
下部に固定する。こうして作製したサンプルを、あらか
じめ所定の温度に加熱したシリコンオイル(東レ(株)
製、「TORAY SH200 100CS」)に浸漬
して、その状態を目視で観測し、シート又はフィルムが
破断するまでに要する時間を測定した。10分間以上で
も破断しない場合は、10℃刻みで温度を上げて測定
し、10分間たっても破断しなかった最高温度を耐熱破
膜温度とした。
【0049】実施例1 ノルボルネン開環重合体の粉末(日本ゼオン(株)製、
商品名:ノーソレックスNB、重量平均分子量200万
以上、以下同じ)10重量%と、重量平均分子量300
万の超高分子量ポリエチレン樹脂90重量%とから成る
重合体組成物15重量部と流動パラフィン85重量部と
をスラリー状に均一に混合し、これを160℃の温度
で、二軸混練り機を用い、約10分間、溶解混練りし
て、混練り物を得た。この混練り物を急冷しながら、厚
さ2mmのゲル状シートに成形した。
【0050】次いで、このシートを約125℃の温度で
縦横4×4倍に同時二軸延伸した後、n−ヘプタンに浸
漬して脱溶媒し、多孔質フィルムを得た。この多孔質フ
ィルムをまず空気中で90℃で3時間熱処理する。次い
で空気中で150℃で1時間熱処理して、孔を塞ぎ、非
多孔質のフィルムを得た。
【0051】実施例2 ノルボルネン開環重合体の粉末30重量%、低密度ポリ
エチレン樹脂70重量%とから成る重合体組成物15重
量部と流動パラフィン85重量部とをスラリー状に均一
に混合し、これを160℃の温度で、二軸混練り機を用
い、約10分間、溶解混練りして、混練り物を得た。こ
の混練り物を急冷しながら、厚さ1mmのゲル状シート
に成形した。
【0052】次いで、このシートを約120℃の温度で
縦横2×2倍に同時二軸延伸した後、n−ヘプタンに浸
漬して脱溶媒して多孔質フィルムを得た。この多孔質フ
ィルムを、まず空気中で90℃で6時間熱処理し、次い
で、空気中で170℃で2時間熱処理して孔を塞ぎ、非
多孔質のフィルムを得た。
【0053】実施例3 ノルボルネン開環重合体の粉末70重量%、エチレン−
エチルアクリレート共重合樹脂(三井・デュポンポリケ
ミカル(株)製、「エバフレックスEEA A70
2」)30重量%を含有した組成物100重量部とジク
ミルパーオキシド(日本油脂(株)製、「パークミル
D」)0.05重量部とからなる重合体組成物を、10
0℃の温度で、単軸混練り機を用い、混練り押し出しを
行い、厚さ1mmのシートに成形した。
【0054】次いで、このシートをまず空気中で100
℃で5時間熱処理し、次いで、空気中で130℃で2時
間熱処理して、シートを得た。
【0055】比較例1 実施例1において、ノルボルネン開環重合体を用いるこ
となく、重量平均分子量300万の超高分子量ポリエチ
レン樹脂(融点136℃)のみを100重量%用いた以
外は、実施例1と同様にして、フィルムを得た。
【0056】比較例2 実施例1において、ノルボルネン開環重合体のかわり
に、エチレンプロピレンゴム(住友化学(株)製、「エ
スプレンEPDM301」)を用いた以外は、実施例1
と同様にして、フィルムを得た。
【0057】実施例1〜3及び比較例1〜2で得られた
シート及びフィルムの厚み、並びに耐熱破膜温度をそれ
ぞれ表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】表1の結果から、実施例1〜3で得られた
シート又はフィルムは、比較例1〜2で得られたシート
又はフィルムに比べ、いずれも耐熱破膜温度が高いとい
うことがわかる。
【0060】
【発明の効果】本発明により、耐熱性に優れた非多孔質
のシート又はフィルムが提供される。また、該シート又
はフィルムを耐熱性テープ用基材、コンデンサー用フィ
ルム、光学フィルム等の用途に好適に用いることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ノルボルネン開環重合体を使用したフ
ィルムの熱処理前のIRチャートを示す。
【図2】図2は、ノルボルネン開環重合体を使用したフ
ィルムの熱処理後のIRチャートを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 能見 俊祐 大阪府茨木市下穂積1−1−2 日東電工 株式会社内 (72)発明者 江守 秀之 大阪府茨木市下穂積1−1−2 日東電工 株式会社内 (72)発明者 植谷 慶裕 大阪府茨木市下穂積1−1−2 日東電工 株式会社内 (72)発明者 山村 隆 大阪府茨木市下穂積1−1−2 日東電工 株式会社内 Fターム(参考) 4F071 AA14 AA15 AA18 AA69 AA71 AF45 AH12 AH19 BA01 BA09 BB02 BB03 BB06 BB07 BB13 BC01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)主鎖にC=C二重結合及び炭素数
    5〜10の脂肪族環を有する重合体と、(b)その他の
    樹脂、とを含有する潜在的硬化性シート又はフィルムを
    硬化処理して得られうるシート又はフィルム。
  2. 【請求項2】 (a)の重合体が不飽和縮合脂環化合物
    の開環重合体である請求項1記載のシート又はフィル
    ム。
  3. 【請求項3】 不飽和縮合脂環化合物がノルボルネン又
    はノルボルネン誘導体である請求項2記載のシート又は
    フィルム。
  4. 【請求項4】 (b)の樹脂がポリオレフィン系樹脂で
    ある請求項1〜3いずれか記載のシート又はフィルム。
  5. 【請求項5】 ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系
    樹脂である請求項4記載のシート又はフィルム。
  6. 【請求項6】 (a)主鎖にC=C二重結合及び炭素数
    5〜10の脂肪族環を有する重合体と、(b)の樹脂と
    を含有する重合体組成物を成膜して潜在的硬化性シート
    又はフィルムを成形し、硬化処理することを特徴とする
    シート又はフィルムの製造方法。
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