JP2001038288A - 非粘着性、塗膜密着性に優れた塗装ステンレス鋼板及びその製造方法 - Google Patents

非粘着性、塗膜密着性に優れた塗装ステンレス鋼板及びその製造方法

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JP2001038288A
JP2001038288A JP21860899A JP21860899A JP2001038288A JP 2001038288 A JP2001038288 A JP 2001038288A JP 21860899 A JP21860899 A JP 21860899A JP 21860899 A JP21860899 A JP 21860899A JP 2001038288 A JP2001038288 A JP 2001038288A
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Katsumasa Anami
克全 阿波
Tomonori Makino
智訓 牧野
Yasuharu Maeda
靖治 前田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】アルカリ珪酸系無機被覆材の高硬度、耐傷付き
性、耐熱性を維持し、非粘着性、塗膜密着性を付与した
塗装ステンレス鋼板を得る。 【解決手段】電解粗面化処理したステンレス鋼板に、ア
ルカリ珪酸系ガラス水溶液の固形分100重量部に対し
て、平均粒径0.05〜5.0μmの粒子状充填剤を1
0〜60重量部、四フッ化系フッ素樹脂を10〜70重
量部配合した複合塗膜を、7〜20μm被覆した。な
お、前記複合塗料をステンレス鋼板に塗布し、350〜
400℃の雰囲気温度で焼付ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非粘着性、塗膜密
着性に優れた塗装ステンレス鋼板及びその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】非粘着性や耐熱性を有する有機系被覆材
として、ポリエーテルサルホン樹脂(以下、PESとい
う)に四フッ化エチレン樹脂(以下、PTFEという)
と着色顔料からなるものが使用されている。しかし、耐
熱性塗料樹脂のPESは、軟化点が200℃程度である
ため、その温度以上で加熱されると硬度が得られない。
また、非粘着性付与を目的として、PES中に添加され
るPTFEは、食品汚染物等が付着し難く、付着しても
簡単に拭き取れる特性があるので、ガスレンジや電子レ
ンジ天板等の部材に使用されている。基材としてステン
レス鋼板を用いると、フッ素系有機塗料では十分な密着
性が得られないのでサンドブラスト等の物理的粗面化処
理を施して塗膜密着性の向上を図っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、有機系被覆材
のため、被覆層自体が柔らかく、塗膜硬度が鉛筆硬度で
F〜H程度であり、耐傷付き性、耐摩耗性を満足できな
い。塗膜密着性を向上させる手段としてサンドブラスト
やショットブラストによる粗面化処理があるものの、前
者では塗膜密着性を満足する微細な粗面が得られず、後
者では薄ゲージの場合に機械的衝撃により鋼板が反る等
の問題がある。また、フッ硝酸等の化学的エッチング処
理による方法もあるが、局所的に大きなピットが発生す
るなど、ステンレス鋼板表面に均一にピットを形成させ
ることは難しく、処理時間も長いので連続的生産に向か
ない。本発明は、これらの問題を解決し非粘着性、塗膜
密着性に優れた塗装ステンレス鋼板を得ることを目的と
する。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような問
題を解消すべく案出されたものであり、ピットの開口部
の平均径D(μm)とピットの平均深さH(μm)が下
記(1)式及び(2)式の関係を満足する電解粗面化形
状をもつステンレス鋼板上に、アルカリ珪酸系ガラス水
溶液と、充填剤及び四フッ化フッ素樹脂を配合した複合
塗膜を形成する。 1≦D≦5 ・・・・・・ (1) D/3≦H≦D/2 ・・・ (2) なお、複合塗料として、アルカリ珪酸系ガラス水溶液の
固形分100重量部に対して、平均粒径0.05〜5.
0μmの粒子状充填剤を10〜60重量部、四フッ化系
フッ素樹脂を10〜70重量部配合したものを、電解粗
面化形状をもつステンレス鋼板に、乾燥膜厚が7〜20
μmになるように塗布し、350〜400℃の雰囲気温
度で焼付ける。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明者等は、アルカリ珪酸系無
機被覆材のもつ高硬度、耐傷付き性、耐熱性等の特性を
損なうことなく、非粘着性を付与する方法を検討した。
その結果、四フッ化系フッ素樹脂をアルカリ珪酸系ガラ
ス水溶液に複合添加することで前記特性が得られること
を見出した。さらに、基材のステンレス鋼板の表面を電
解粗面化処理することにより、優れた塗膜密着性を得る
ことができた。以下、本発明を詳細に説明する。電解粗
面化処理したステンレス鋼板の表面形態は、ピットの開
口部の平均径Dが1〜5μmであり、しかも平均深さH
がD/3〜D/2の範囲にあるとき、このステンレス鋼
板は加工にも耐える優れた塗膜密着力を発揮することが
判った。ピット開口部の平均径が1μm未満であると、
ピット境界部の深さが浅いため塗膜のアンカー効果が薄
れて複合塗膜を強固に固着させることができない。逆に
ピット開口部の平均径が5μmを越えると、加工部の密
着性が低下する。これは、開口部の径が大きくなるに従
い加工時にピットの広がりが助長され、塗膜とのアンカ
ー効果がなくなるためと考える。
【0006】ピットの平均深さHがD/3未満であると
アンカー効果が発揮されず、前記塗膜との密着力が低下
する。逆に平均深さHがD/2を越えることは特性上何
ら妨げにならないがコストメリットもなく理論的に生じ
難い。本発明はこのような理由から、塗装前のステンレ
ス鋼板の表面形態を前記(1)式及び(2)式のように
規定した。図1は本発明に従った塗装前の電解粗面化ス
テンレス鋼板を電子顕微鏡(SEM)で観察した外観を
示すものである。(a)はステンレス鋼板の表面形態を
示し、(b)はステンレス鋼板の断面の状態を示す。図
1(a)及び(b)から、ステンレス鋼板表面に微細な
ピットが連続的に形成されており、隣り合うピット同士
の境界は鋭く切り立つ状態であることが判る。なお、ピ
ット開口部の平均径Dは(a)から求めることができ、
ピットの深さHは(b)から求めることができる。次
に、(1)式と(2)式を満足させるピットを形成する
ための交番電解処理条件について説明する。
【0007】(電解液)本発明では、Fe3+イオンを含
む塩化第二鉄水溶液が使用される。ピット内でFe3+
-→Fe(OH)3の反応によりピット内壁をFe(O
H) 3で保護し、フラットな部分に新たなピットを形成
させるメカニズムを利用するためである。フェライト系
ステンレス鋼板では、電解液中に含まれるFe3+イオン
濃度は1〜50g/Lとなるように塩化第二鉄濃度を調
整することが好ましい。Fe3+イオン濃度が1g/L未
満ではエッチング力が低下し、ステンレス鋼板表面に理
想的な半円球に近い形状のピットを形成できず、十分な
アンカー効果が得られない。逆にFe3+イオン濃度が5
0g/Lを越えるとエッチング力が過剰になり、ステン
レス表面が全面溶解型で浸食されるのでピットは形成さ
れない。
【0008】オーステナイト系ステンレス鋼板では、電
解液中に含まれるFe3+イオン濃度は30〜120g/
Lとなるように塩化第二鉄濃度を調整することが好まし
い。Fe3+イオン濃度が30g/L未満ではエッチング
力が低下し、ステンレス鋼板表面に理想的な半円球に近
い形状のピットを形成できず、十分なアンカー効果が得
られない。逆にFe3+イオン濃度が120g/Lを越え
るとエッチング力が過剰になり、ステンレス表面が全面
溶解型で浸食されるのでピットは形成されない。
【0009】(アノード電解)アノード電解の目的は、
ステンレス鋼板表面にピットを形成させることにある。
アノード電解時の電流密度は1.0〜10.0KA/m
2の範囲とすることが好ましい。アノード電流密度が
1.0KA/m2未満では活性溶解するだけでステンレ
ス鋼板表面にピットを形成することができない。逆にア
ノード電流密度が10.0KA/m2を越えるとCl-
オンに分解反応が顕著となり作業効率と環境が悪化す
る。 (カソード電解)カソード電解の目的は、ステンレス鋼
板表面でH2を発生し、ピット内壁にFe(OH)3の保
護皮膜を形成させること、ピット未発生部を活性化させ
ることにある。フェライト系ステンレス鋼板では、カソ
ード電解時の電流密度は0.1〜3.0KA/m2の範
囲とすることが好ましい。カソード電流密度が0.1K
A/m2未満では電解液中のFe3+の還元反応の限界電
流密度より低いためH2発生領域の値に達しない。逆に
カソード電流密度が3.0KA/m2を越えると過剰な
2を発生し、ピット内壁に形成したFe(OH)3の保
護皮膜を取り去る恐れがある。オーステナイト系ステン
レス鋼板では、同様の理由でカソード電解時の電流密度
は0.5〜3.0KA/m2の範囲にすることが好まし
い。
【0010】次に、複合塗料組成及び製造条件について
説明する。アルカリ珪酸系ガラス水溶液は、SiO2
23〜37重量%、Na2O:6〜18重量%を主成分
とするものである。粒子状充填剤は、焼付け後の発泡や
ピンホール状欠陥を防止するために添加されるものであ
る。焼付け工程で塗膜は表面側から乾燥するが、水を溶
媒として用いた塗膜では、塗膜内部に水蒸気が残存し易
い。この残存水蒸気が気泡となり、発泡やピンホール状
欠陥を引き起こす。塗膜中に粒子状充填剤が分散・混在
すると、塗膜内部に残存する水蒸気は、充填剤の粒子に
沿って塗膜外部に容易に放散されるので、発泡やピンホ
ール状欠陥を防止できる。本発明で使用できる粒子状充
填剤は、アルカリ珪酸系ガラス水溶液に常温で不溶性で
あり、塗布後の焼付け温度で溶融や灰化等の形態変化を
せず、粒子状態を維持できればとくに制限されない。
【0011】例えば、コロイダルアルミナ、ガラス粉末
粒子、金属を含む酸化物(酸化チタン等)、硼化物質等
が使用できる。これらの粒子状充填剤は、単独又は2種
以上の混合物として使用することもでき、粒子状充填剤
の平均粒径は0.05〜5.0μmの範囲が好ましい。
粒子状充填剤の平均粒径が0.05μm未満では、粒子
の添加効果が認められず、5.0μmを越えると、二次
凝集物ができ易くなり、例えば、スプレー塗装時の塗布
作業性やロール塗装時の金属板への転写性が悪くなる。
粒子状充填剤の配合量は、アルカリ珪酸系ガラス水溶液
の固形分100重量部に対して、10〜60重量部、好
ましくは20〜50重量部の範囲である。10重量部未
満では発泡やピンホール状欠陥の防止効果が乏しく、6
0重量部を越えると塗料の分散性が悪くなり塗装作業性
に影響を及ぼす。また、複合皮膜を形成するアルカリ珪
酸系ガラス量が不足し皮膜強度や耐久性が低下する。
【0012】四フッ化系フッ素樹脂としては、PTF
E、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹脂
(以下、FEPという)、四フッ化エチレン−パーフロ
ロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(以下、PFAと
いう)、エチレン−四フッ化エチレン共重合樹脂(以
下、ETFEという)等がある。四フッ化系フッ素樹脂
の配合量は、アルカリ珪酸系ガラス水溶液の固形分10
0重量部に対して10〜70重量部、好ましくは20〜
60重量部の割合とする。10重量部未満では非粘着性
の改善が認められず、70重量部を越えると塗料の分散
性が悪くなり塗装し難くなる。また、塗膜の硬度と耐熱
性が低下する。以上のように調合した複合塗料は、スプ
レー、ロールコート、グラビアコート等の公知方法で乾
燥膜厚が7〜20μmになるように金属板に塗布され
る。複合塗膜の乾燥膜厚が7μm未満では隠蔽性がな
く、また、PTFE等の層が十分に形成されないので非
粘着性が劣る。塗膜厚が20μmを越えると1回塗りで
塗装し難いばかりでなく、密着性や加工性が低下する。
本発明では1回塗りで製造できるので低コスト化が図れ
る。
【0013】塗布後の焼付け温度は、四フッ化系フッ素
樹脂の融点よりも高い温度とする。例えば、PTFEの
融点が327℃であり、その他の四フッ化系フッ素樹脂
の融点も近似しているので350〜400℃の雰囲気温
度で焼付ける。複合塗料には着色顔料も添加されるが高
温でも変色しない顔料、例えば、Cu−Fe−Mn系の
複合酸化物顔料などを使用することができる。
【0014】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。 実施例1;板厚0.5mmのSUS430の2B仕上げ
材に通常の電解脱脂・酸洗を施し、種々の条件で電解粗
面化処理した後、アルカリ珪酸系ガラス水溶液の固形分
100重量部に対して平均粒径3μmの粒子状充填剤
(コロイダルアルミナ)を40重量部、PTFE樹脂を
50重量部配合した複合塗料を、乾燥膜厚が15μmに
なるようにスプレー塗装し、400℃で焼付けた。得ら
れた試験片について塗膜密着性を調査した。塗膜密着性
の評価方法は、試験片と同じ板厚の板を挟み込み、塗装
面が凸部になるように180度折り曲げ加工を施し、加
工凸部の塗膜剥離状態を10倍顕微鏡で観察し、塗膜剥
離のないものを○印、塗膜剥離の著しいものを×印で評
価した。なお、比較例として2B仕上げ材、サンドブラ
スト処理材に通常の電解脱脂・酸洗処理後、交番電解に
よる粗面化処理せずに本発明で用いる複合塗料を塗装し
た場合の試験片について同様の調査を行った。
【0015】電解粗面化処理条件や評価結果を表1に示
す。表中に記載したアノード電流密度及びカソード電流
密度は、台形波又は正弦波(交流波)を交番電源として
用いた場合、その最大電流密度の値を示す。電解液は、
液温30℃、Fe3+イオン濃度30g/L含む塩化第二
鉄水溶液を使用した。本発明例(No.1〜10)のピ
ットの形態はD値、H値から判るように開口部の平均径
Dと平均深さHの間にD/3≦H≦D/2の関係が成立
する半円球状を示し、良好な密着性を呈することが確認
できた。これに対し、規定外の電解条件で粗面化処理し
た比較例(No.11〜16)や電解粗面化処理を施さ
ない比較例(No.17〜18)は、塗膜密着性が不十
分であった。
【0016】
【表1】
【0017】実施例2;板厚0.6mmのSUS304
の2B仕上げ材に通常の電解脱脂・酸洗を施し、種々の
条件で電解粗面化処理した後、実施例1と同じ塗料を塗
装して同様の特性評価を行った。なお、電解液は液温5
0℃、Fe3+イオン濃度75g/L含む塩化第二鉄水溶
液を使用した。電解粗面化条件や評価結果を表2に示
す。本発明例(No.19〜28)のピットの形態はD
値、H値から判るように開口部の平均径Dと平均深さH
の間にD/3≦H≦D/2の関係が成立する半円球状を
示し、良好な密着性を呈することが確認できた。これに
対し、規定外の電解粗面化条件で処理した比較例(N
o.29〜34)は、塗膜密着性が不十分であった。
【0018】
【表2】
【0019】実施例3;ステンレス鋼種別に電解粗面化
条件を変化させ、同一鋼種間では一定条件下の電解粗面
化処理を施した。 SUS430(板厚0.5mm、2B仕上げ材)には通
常の電解脱脂・酸洗を施し、本発明例No.2の電解粗
面化条件で処理した。すなわち、液温が30℃、Fe3+
イオン濃度30g/L含む塩化第二鉄水溶液を用い、ア
ノード電流密度3.0KA/m2、カソード電流密度
1.5KA/m2、交番電解サイクル2.5Hz、処理
時間30秒とした。 SUS304(板厚0.6mm、2B仕上げ材)には通
常の電解脱脂・酸洗を施し、本発明例No.20の電解
粗面化条件で処理した。すなわち、液温が50℃、Fe
3+イオン濃度75g/L含む塩化第二鉄水溶液を用い、
アノード電流密度3.0KA/m2、カソード電流密度
1.5KA/m2、交番電解サイクル2.5Hz、処理
時間30秒とした。
【0020】電解粗面化処理したSUS430及びSU
S304に、表3に示す複合塗料をスプレー塗装し、4
00℃で焼付けた。得られた塗装ステンレス鋼板の特性
評価を次の方法で行った。 (1)接触角(濡れ性) 20℃の恒温室でFACE自動接触角計CA−Z型(協
和界面科学社製)を用い、滴下された純水の接触角θを
測定した。測定は1つの試験片で7回行い、最大値、最
小値を除く5つの値の平均値を表示した。 (2)非粘着性 汚染液(砂糖:卵:醤油=重量比で1:1:1)を0.
5ml滴下した試験片を260℃のオーブンに投入し1
5分間加熱後、試験片を取出して汚染液の拭取り易さを
次の基準で観察及び評価した。 5:こびり付きなし 4:軽く擦れば取れる 3:強く擦れば取れる 2:殆ど取れない 1:全く取れない
【0021】(3)鉛筆硬度(塗膜硬さ) 「JIS K5400 8.4.2 鉛筆引っかき値
手かき法」に準拠し、各種硬度の鉛筆で塗膜表面を引っ
かき、塗膜に擦り傷が付かない限界の鉛筆硬度を求め
た。 (4)耐熱性 400℃で3時間加熱した試験片について、表面状態の
変化を目視で観察し、変化のないものを○印、やや変色
が認められたものを△印、変色が著しいものを×印で評
価した。各特性評価結果をまとめて表3に示す。
【0022】
【表3】
【0023】表3から明らかなように、アルカリ珪酸系
ガラス水溶液に粒子状充填剤及びPTFE樹脂を複合添
加した本発明例No.35〜44は、いずれも水の接触
角が115〜128度と高く、撥水性を有しており良好
な非粘着性を示した。また、塗膜硬度も鉛筆硬度で7H
〜8Hと高く、耐熱性も良好で塗膜物性に優れているこ
とが判った。これに対して、PTFEを配合していない
比較例No.45とPTFEの配合量が少ない比較例N
o.46では、鉛筆硬度、耐熱性は良好な成績を示した
が、非粘着性が劣った。逆に、PTFEを過剰配合した
比較例No.48では、良好な非粘着性を示したが、鉛
筆硬度、耐熱性がやや劣った。さらに、PTFEの配合
量が本発明の範囲内であっても乾燥塗膜厚が5μmと薄
い比較例No.47では非粘着性が劣った。また、市販
品の有機系非粘着性塗装鋼板(比較例No.51)は、
特に、鉛筆硬度がF〜Hと劣り、耐熱性についても表面
の変色が目立つものであった。なお、粒子状充填剤を配
合していない比較例No.49では、焼き付け後に発泡
やピンホール状欠陥による外観不良が発生しており、ま
た、粒子状充填剤の配合量が本発明の範囲内であっても
平均粒子径が8μmと大きい比較例No.50では、複
合塗料の凝集により塗装不可であった。
【0024】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の塗装ス
テンレス鋼板は、従来の有機樹脂系の非粘着性被覆材に
比べ、アルカリ珪酸系無機被覆材のもつ高硬度、耐傷付
き性、耐摩耗性、耐熱性等の特性を維持しながら、優れ
た非粘着性を有するものであり、レンジ天板等の高温環
境で使用される製品用途に好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従った塗装前の電解粗面化処理ステン
レス鋼板の外観である[電子顕微鏡(SEM)写真]。 (a)電解粗面化処理ステンレス鋼板の表面形態 (b)電解粗面化処理ステンレス鋼板の断面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B05D 7/24 302 B05D 7/24 302L B32B 15/08 102 B32B 15/08 102B 17/06 17/06 27/20 27/20 Z C09D 7/12 C09D 7/12 Z 127/12 127/12 C25F 3/06 C25F 3/06 // C09D 1/04 C09D 1/04 (72)発明者 前田 靖治 千葉県市川市高谷新町7番地の1日新製鋼 株式会社技術研究所塗装・複合材料研究部 内 Fターム(参考) 4D075 BB26Z BB63X BB93Z CA02 CA06 CA13 DA04 DB04 DC10 EB02 EB05 EB16 EC13 EC54 4F100 AA40B AB04A AK17B BA02 BA07 CA23B EH46 GB48 GB90 JJ03 JK12 JL11 YY00B 4J038 CD121 HA456 KA08 KA20 NA10 PC02

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ピットの開口部の平均径D(μm)とピッ
    トの平均深さH(μm)が下記(1)式及び(2)式の
    関係を満足する電解粗面化形状をもつステンレス鋼板上
    に、アルカリ珪酸系ガラス水溶液と、充填剤及び四フッ
    化フッ素樹脂を配合した複合塗膜を形成してなる非粘着
    性、塗膜密着性に優れた塗装ステンレス鋼板。 1≦D≦5 ・・・・・・ (1) D/3≦H≦D/2 ・・・ (2)
  2. 【請求項2】アルカリ珪酸系ガラス水溶液の固形分10
    0重量部に対して、平均粒径0.05〜5.0μmの粒
    子状充填剤を10〜60重量部、四フッ化系フッ素樹脂
    を10〜70重量部配合した複合塗料を、請求項1記載
    の電解粗面化形状をもつステンレス鋼板に、乾燥膜厚が
    7〜20μmになるように塗布し、350〜400℃の
    雰囲気温度で焼付けることを特徴とする非粘着性、塗膜
    密着性に優れた塗装ステンレス鋼板の製造方法。
JP21860899A 1999-08-02 1999-08-02 非粘着性、塗膜密着性に優れた塗装ステンレス鋼板及びその製造方法 Withdrawn JP2001038288A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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