JP2001026746A - 粉体塗料用樹脂組成物、中塗り塗料、下塗り塗料および複層塗膜形成方法 - Google Patents

粉体塗料用樹脂組成物、中塗り塗料、下塗り塗料および複層塗膜形成方法

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JP2001026746A
JP2001026746A JP11202943A JP20294399A JP2001026746A JP 2001026746 A JP2001026746 A JP 2001026746A JP 11202943 A JP11202943 A JP 11202943A JP 20294399 A JP20294399 A JP 20294399A JP 2001026746 A JP2001026746 A JP 2001026746A
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coating
resin composition
coating film
polyester resin
powder coating
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JP11202943A
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Akira Matsumoto
明 松本
Tetsuro Agawa
哲朗 阿河
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DIC Corp
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課 題】 高度な塗膜平滑性と優れた塗料の貯蔵安定
性(耐ブロッキング性)を有する極めて実用性の高い粉
体塗料用樹脂組成物、この粉体塗料用樹脂組成物からな
る中塗り塗料もしくは下塗り塗料、および、この中塗り
塗料もしくは下塗り塗料を用いた複層塗膜形成方法を提
供すること。 【解決手段】 イソシアヌレート構造単位を有する多官
能アルコール類を必須のアルコール成分とし、しかも、
酸成分として、イソフタル酸および/またはイソフタル
酸誘導体が全酸成分の50モル%以上を占める水酸基含
有ポリエステル樹脂[A]と、ブロック・ポリイソシア
ネート化合物からなる硬化剤[B]とを含有する粉体塗
料用樹脂組成物、この組成物からなる中塗り塗料、下塗
り塗料、および、中塗り塗料または下塗り塗料を用いた
塗膜を形成した後、その上に更に塗膜を形成する複層塗
膜形成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規にして有用な
る粉体塗料用樹脂組成物、中塗り塗料および複層塗膜形
成方法に関し、より詳細には、イソシアヌレート構造単
位という特定の構造単位を有し、しかも、イソフタル酸
および/またはイソフタル酸誘導体が全酸成分の50モ
ル%以上を占める水酸基含有ポリエステル樹脂と、ブロ
ック・ポリイソシアネート化合物からなる硬化剤、好ま
しくはウレトジオン結合を構造単位として有する、いわ
ゆるセルフ・ブロック・ポリイソシアネート化合物を含
有してなる硬化剤とを、必須の皮膜形成成分として含有
することから成る、とりわけ、塗膜の平滑性、耐候性、
および、塗料の貯蔵安定性(耐ブロッキング性)などに
優れた粉体塗料を与えるという、極めて実用性の高い粉
体塗料用樹脂組成物、この粉体塗料用樹脂組成物からな
る中塗り塗料もしくは下塗り塗料、および、この中塗り
塗料もしくは下塗り塗料を用いた複層塗膜形成方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】有機溶剤を含有しない塗料の一形態とし
て粉体塗料があるが、近年、大気汚染などの環境問題の
観点より、その低公害性が注目され、使用量も、年々、
増加している。かかる粉体塗料の用途としては、家電・
建材用などのような金属製品の塗装用をはじめ、その用
途は多岐に亘るが、塗装時に揮発する溶剤が実質的に無
いという粉体塗料の特徴から、自動車用塗装剤としても
適用の検討が進んでいる。
【0003】現在、実用に供されている粉体塗料用樹脂
組成物には、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系のものが
主に知られている。特に、水酸基を主として有するポリ
エステル樹脂と、ブロック・ポリイソシアネート化合物
とを組み合わせて得られる組成物は、バランスのとれた
塗膜性能を有しており、塗膜の美粧性や、可撓性などの
要求されるような用途、たとえば、家電製品用や、建材
用などの用途に、広く利用されている。
【0004】ところが、上掲したような、ブロック・ポ
リイソシアネート化合物を、硬化剤として含有するとい
う形の粉体塗料用樹脂組成物(以下、ポリエステル系粉
体塗料という。)は、その分子量が比較的高く、溶融時
の粘度も高いため、得られる塗膜の平滑性は、平滑性が
高度に要求されるような用途、たとえば、自動車上塗り
塗料用や、自動車中塗り塗料用などの用途での利用に耐
え得るようなレベルではなかった。
【0005】従来、ポリエステル粉体塗料の塗膜表面の
平滑性を改良する方法としては、塗料の主成分であるポ
リエステル樹脂の平均分子量を小さくして溶融時の粘度
を下げたり、柔軟性を付与する成分を共重合することに
よってポリエステル成分のガラス転移温度を下げたりす
る方法が採られてきた。しかし、これらの方法は、いず
れもポリエステル樹脂の軟化点やガラス転移温度を低下
させることになり、塗膜表面の平滑性が改善されるもの
の、塗料の貯蔵安定性(耐ブロッキング性)を悪くする
という問題があった。
【0006】即ち、機械的物性ならびにコストなどの観
点からは、上掲したポリエステル系粉体塗料を、中塗り
塗料として利用することが望ましいけれども、そうした
場合において、従来の技術では、上述したような塗膜平
滑性および塗料の貯蔵安定性(耐ブロッキング性)の問
題を解決するには到っていないというのが実状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来型の
技術に従う限りは、高度な塗膜平滑性と、優れた塗料の
貯蔵安定性(耐ブロッキング性)という、極めて実用性
の高い性能を成立させる粉体塗料と、そのための粉体塗
料用樹脂組成物を提供するということは、頗る、困難で
あった。
【0008】そのために、本発明者は、こうした従来型
の技術における諸々の欠点を解消するべく、鋭意、研究
を開始した。したがって、本発明が解決しようとする課
題は、一にかかって、高度な塗膜平滑性と優れた塗料の
貯蔵安定性(耐ブロッキング性)を有する極めて実用性
の高い粉体塗料用樹脂組成物、この粉体塗料用樹脂組成
物からなる中塗り塗料もしくは下塗り塗料、および、こ
の中塗り塗料もしくは下塗り塗料を用いた複層塗膜形成
方法を提供するということにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者は、上
述したような従来型技術における種々の欠点・問題点を
解消するべく、加えて、上述したような発明が解決しよ
うとする課題に照準を合わせて、鋭意、検討を重ねた結
果、イソシアヌレート構造単位を有する多官能アルコー
ル類(a−1)を必須のアルコール成分とし、しかも、
酸成分として、イソフタル酸および/またはイソフタル
酸誘導体が全酸成分の50モル%以上を占める水酸基含
有ポリエステル樹脂[A]と、ブロック・ポリイソシア
ネート化合物からなる硬化剤[B]とを含有する粉体塗
料用樹脂組成物を用いると、塗膜の平滑性と耐候性およ
び塗料の貯蔵安定性(耐ブロッキング性)に非常に優れ
る粉体塗料が得られること、この粉体塗料を中塗り塗料
または下塗り塗料として利用して、いわゆる複層塗膜を
形成させた場合には、従来の塗料に利用した場合に比し
て塗膜外観、層間密着性、耐候性、耐チッピング性等が
格段に向上した複層塗膜が容易に形成できること、
【0010】なかでも、ポリエステル樹脂[A]として
は、下記一般式(1)で示されるイソシアヌレート構造
単位を有する多官能アルコール類(a−1)を必須のア
ルコール成分とし、しかも、酸成分として、イソフタル
酸および/またはイソフタル酸誘導体が全酸成分の50
モル%以上を占め、水酸基価が10〜200(mgKO
H/g)で、かつ、環球法による軟化点が80〜130
℃で、かつ、180℃での溶融粘度が10.0(Pa・
s)以下なるポリエステル樹脂が好ましいこと、
【0011】更に、ポリエステル樹脂[A]としては、
下記一般式(1)で示されるイソシアヌレート構造単位
を有する多官能アルコール類(a−1)を必須のアルコ
ール成分とし、しかも、酸成分として、イソフタル酸お
よび/またはイソフタル酸誘導体が全酸成分の70モル
%以上を占め、水酸基価が50〜150(mgKOH/
g)で、かつ、環球法による軟化点が90〜120℃
で、かつ、180℃での溶融粘度が0.1〜10.0
(Pa・s)なるポリエステル樹脂が特に好ましいこ
と、
【0012】硬化剤[B]としては、下記構造式(2)
で示されるウレトジオン結合を構造単位として有するブ
ロック・ポリイソシアネート化合物を含有してなる硬化
剤が好ましいこと等を見い出し、本発明を完成させるに
至った。
【0013】すなわち、本発明は、 1. イソシアヌレート構造単位を有する多官能アルコ
ール類を必須のアルコール成分とし、しかも、酸成分と
して、イソフタル酸および/またはイソフタル酸誘導体
が全酸成分の50モル%以上を占める水酸基含有ポリエ
ステル樹脂[A]と、ブロック・ポリイソシアネート化
合物からなる硬化剤[B]とを含有することを特徴とす
る、粉体塗料用樹脂組成物、
【0014】2. ポリエステル樹脂[A]が、下記一
般式(1)
【0015】
【化3】
【0016】[ただし、式中のRは炭素数1〜4の2価
の脂肪族炭化水素基を表わす。]で示されるイソシアヌ
レート構造単位を有する多官能アルコール類(a−1)
を必須のアルコール成分とし、しかも、酸成分として、
イソフタル酸および/またはイソフタル酸誘導体が全酸
成分の50モル%以上を占め、水酸基価が10〜200
(mgKOH/g)で、かつ、環球法による軟化点が8
0〜130℃で、かつ、180℃での溶融粘度が10.
0(Pa・s)以下なるポリエステル樹脂である、上記
1記載の粉体塗料用樹脂組成物、
【0017】3. ポリエステル樹脂[A]が、前記一
般式(1)で示されるイソシアヌレート構造単位を有す
る多官能アルコール類(a−1)を必須のアルコール成
分とし、しかも、酸成分として、イソフタル酸および/
またはイソフタル酸誘導体が全酸成分の70モル%以上
を占め、水酸基価が50〜150(mgKOH/g)
で、かつ、環球法による軟化点が90〜120℃で、か
つ、180℃での溶融粘度が0.1〜10.0(Pa・
s)以下なるポリエステル樹脂である、上記2記載の粉
体塗料用樹脂組成物、
【0018】4. 硬化剤[B]が、下記構造式(2)
【0019】
【化4】
【0020】で示されるウレトジオン結合を構造単位と
して有するブロック・ポリイソシアネート化合物を含有
してなる硬化剤である、上記1、2または3記載の粉体
塗料用樹脂組成物、
【0021】5. 上記1〜4のいずれか1項に記載の
粉体塗料用樹脂組成物からなることを特徴とする中塗り
塗料、
【0022】6. 上記1〜4のいずれか1項に記載の
粉体塗料用樹脂組成物からなることを特徴とする下塗り
塗料、および、
【0023】7. 上記5記載の中塗り塗料または上記
6記載の下塗り塗料を用いて中塗り塗膜または下塗り塗
膜を形成した後、その上に更に塗膜を形成することを特
徴とする複層塗膜形成方法、を提供するものである。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明で用いるポリエステル樹脂
[A]は、公知慣用の種々の方法で調製することが出来
る。一般的には、グリコール類と、多塩基酸類とを、脱
水縮合せしめるという方法が、最も簡便であるので、特
に推奨される。
【0025】当該ポリエステル樹脂[A]は、イソシア
ヌレート構造単位を有する多官能アルコール類を必須の
アルコール成分と、イソフタル酸および/またはイソフ
タル酸誘導体が全酸成分の50モル%以上を占める酸成
分とを必須の原料成分として得られるポリエステル樹脂
を指称するものである。
【0026】ここで用いるイソシアヌレート構造単位を
有する多官能アルコール類としては、たとえば、下記一
般式(1)
【0027】
【化5】
【0028】[ただし、式中のRは炭素数1〜4の2価
の脂肪族炭化水素基を表わす。]で示されるイソシアヌ
レート構造単位を有する多官能アルコール類(a−1)
が挙げられ、特に代表的なるもののみを例示するにとど
めれば、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレ
ート、トリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレ
ートなどがある。
【0029】また、必須原料成分として使用するイソフ
タル酸および/またはイソフタル酸誘導体として特に代
表的なるもののみを例示するにとどめれば、イソフタル
酸、4−ターシャリーブチルイソフタル酸などがある。
【0030】また、当該ポリエステル樹脂[A]は、こ
れらの必須原料諸成分に加えて、各種のグリコール類や
多塩基酸類をも使用することが出来る。
【0031】それらのうちでも特に代表的なもののみを
例示するにとどめれ、エチレングリコール、プロピレン
グリコール、1,3−ブチレングリコール、1,6−ヘ
キサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレン
グリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレング
リコール、ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチ
レンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレン
オキサイド付加物、シクロヘキサンジメタノール、水添
ビスフェノールA、水添ビスフェノールAのエチレンオ
キサイド付加物、水添ビスフェノールAのプロピレンオ
キサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパ
ン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、ペンタエリ
スリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトールな
どがある。
【0032】また、多塩基酸類として特に代表的なもの
のみを挙げるにとどめれば、無水フタル酸、テレフタル
酸、無水琥珀酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン
酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シ
クロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロ無水フタル
酸、テトラヒドロ無水フタル酸、テトラブロム無水フタ
ル酸、テトラクロル無水フタル酸、無水ヘット酸、無水
ハイミック酸〔「ハイミック酸」は、日立化成工業
(株)の登録商標である。〕、無水マレイン酸、フマル
酸、イタコン酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘ
キセントリカルボン酸無水物、無水ピロメリット酸など
がある。
【0033】さらに、これらの多価アルコールおよび多
塩基酸以外にも、メタノール、プロパノール、ブタノー
ル、ベンジルアルコールなどのような種々の1価アルコ
ールや、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸など
のような種々の一塩基酸であるとか、ひまし油脂肪酸、
ヤシ油脂肪酸または大豆油脂肪酸などのような種々の脂
肪酸類、ジメチロールプロピオン酸、ヒドロキシピバリ
ルピバレートなどのような、一分子中に水酸基とカルボ
キシル基との両方を有する種々の化合物、さらには、エ
ポキシ樹脂、「カーデュラE10」(オランダ国、シェ
ル社製の、分岐脂肪酸のグリシジルエステルの商品名)
などのような種々のエポキシ基を有する化合物をも使用
することが出来る。
【0034】当該ポリエステル樹脂[A]の調製に使用
するイソシアヌレート構造単位を有する多官能アルコー
ル類の使用量としては、耐ブロッキング性に優れる塗膜
が得られることから、使用する全アルコール中、3重量
%以上、なかでも10〜50重量%であることが望まし
い。
【0035】また、当該ポリエステル樹脂[A]を構成
する酸成分は、イソフタル酸および/またはイソフタル
酸誘導体が50モル%以上を占めることが必要であり、
なかでも70モル%以上を占めることが好ましい。この
イソフタル酸および/またはイソフタル酸誘導体が50
モル%未満であると、得られる塗膜の平滑性、耐候性が
低下するため好ましくない。
【0036】当該ポリエステル樹脂[A]の水酸基価と
しては、塗膜の耐溶剤性の不足による塗膜外観低下、塗
膜の平滑性などを考慮すると、10〜200(mgKO
H/g)なる範囲内が好ましく、なかでも50〜150
(mgKOH/g)なる範囲内が特に好ましい。
【0037】さらに、当該ポリエステル樹脂[A]の環
球法による軟化点としては、塗膜の耐ブロッキング性、
平滑性を考慮すると、80〜130℃の範囲内が適切で
あり、なかでも90〜120℃の範囲内が特に好まし
い。
【0038】当該ポリエステル樹脂[A]の180℃で
の溶融粘度としては、塗膜の平滑性を考慮すると、1
0.0(Pa・s)以下が適切であり、なかでも0.1
〜10.0(Pa・s)が好ましく、0.1〜7.0
(Pa・s)が特に好ましい。
【0039】一方、本発明における必須構成成分である
硬化剤[B]としては、ブロック・ポリイソシアネート
化合物からなるものであればよく、特に代表的なものの
みを例示するにとどめれば、種々のポリイソシアネート
化合物を、ε−カプロラクタム、メチルエチルケトンオ
キシム、一価アルコールなどのような公知慣用の種々の
ブロック化剤で、ブロック化せしめて得られるような形
の化合物などがあり、例えば、ヘキサメチレンジイソシ
アネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート
の如き、種々の脂肪族ジイソシアネート類;キシリレン
ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートの如
き、種々の環状脂肪族ジイソシアネート類;トリレンジ
イソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシ
アネートの如き、種々の芳香族ジイソシアネート類など
で代表されるような有機ジイソシアネート化合物;此等
の有機ジイソシアネート化合物と、多価アルコール、低
分子量ポリエステル樹脂(ポリエステルポリオール)、
水などとの付加物;上掲したような有機ジイソシアネー
ト同志の重合体(イソシアヌレート型ポリイソシアネー
ト化合物をも含む。);イソシアネート・ビウレット体
などが挙げられる。
【0040】こうした形の化合物として特に代表的なる
市販品のみを例示するならば、「VESTANAT B
1358/100」、「VESTAGON B1065
もしくはB1530」(いずれも、ドイツ国ヒュルス社
製の、ブロック・ポリイソシアネート化合物)や、「ク
レラン UIもしくはTPLS2151」[住友バイエ
ルウレタン(株)製の、ブロック・ポリイソシアネート
化合物]などがある。
【0041】さらに、硬化剤[B]に用いることのでき
るブロック・ポリイソシアネート化合物としては、たと
えば、下記構造式(2)
【0042】
【化6】
【0043】で示されるウレトジオン結合を構造単位と
して有するセルフ・ブロック・タイプのブロック・ポリ
イソシアネート化合物が挙げられ、硬化剤[B]として
特に好ましい。上記のようなセルフ・ブロック・タイプ
のブロック・ポリイソシアネート化合物は、硬化剤
[B]の一部乃至全部として使用されるが、得られる粉
体塗料組成物の用途や性能を考慮すると、硬化剤[B]
中での含有率が30重量%以上となる範囲で使用するこ
とが好ましい。
【0044】上記したようなセルフ・ブロック・タイプ
のブロック・ポリイソシアネート化合物として特に代表
的なもののみを例示するにとどめれば、「VESTAG
ONBF1540もしくはEP−BF1300」(いず
れも、前出社製の、ウレトジオン結合を有するセルフ・
ブロック・タイプのブロック・ポリイソシアネート化合
物)、「クレラン TPLS2147」(前出社製の、
ウレトジオン結合を有するセルフ・ブロック・タイプの
ブロック・ポリイソシアネート化合物)などが挙げられ
る。
【0045】硬化剤[B]の配合量は、ポリエステル樹
脂[A]の水酸基量にほぼ対応する官能基量となるよう
に、すなわち、水酸基と官能基との当量比が1.0/
0.5〜0.5/1.0の範囲となるようにすることが
好ましく、なかでも1.0/0.8〜0.8/1.0の
範囲となるようにすることが特に好ましい。
【0046】ポリエステル樹脂[A]および硬化剤
[B]から構成される、本発明の粉体塗料用樹脂組成物
を用いて、目的とする粉体塗料を調製するには、公知慣
用の種々の方法が、そのまま、利用し適用できる。
【0047】すなわち、一般的には、ポリエステル樹脂
[A]および硬化剤[B]を、さらに必要に応じて、エ
ポキシ樹脂、顔料、硬化促進剤、表面調整剤などのよう
な、種々の添加剤成分を混合し、溶融混練せしめたのち
に、さらに、微粉砕せしめるという、いわゆる機械粉砕
方式によるのが、特に簡便であるので、推奨される。
【0048】かくして得られる本発明に係る粉体塗料用
樹脂組成物、そして該粉体塗料用樹脂組成物から得られ
る粉体塗料は、公知慣用の種々の方法によって、被塗物
基材上に、塗装され、しかるのち、焼き付けされるとい
うことにより、目的とする硬化塗膜が、この被塗物基材
上に形成されるということになる。
【0049】ここにおいて、上記した被塗物基材として
特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、アルミ
ニウム、ステンレス・スチール、クロム・メッキ、トタ
ン板またはブリキ板の如き、各種の金属素材または金属
製品類;瓦類;ガラス類;各種の無機質建材類;耐熱性
のあるプラスチックなどであり、具体的には、自動車車
体または自動車(用)部品類、二輪車または二輪車
(用)部品類などをはじめ、さらには、門扉またはフェ
ンス類の如き、各種の建材類;アルミサッシ類の如き、
各種の建築内外装用資材類;アルミホイールなどのよう
な種々の鉄ないしは非鉄金属類の諸素材ないしは諸製品
類などがある。また、それらに化成処理、リン酸亜鉛処
理、クロメート処理などの表面処理したものや、電着塗
装を施されたものも含まれる。
【0050】本発明の粉体塗料用樹脂組成物を中塗り塗
料または下塗り塗料として使用した複層塗膜は、従来の
粉体塗料用組成物を使用した場合に比較して、塗膜外
観、層間密着性、耐候性、耐チッピング性等が格段に向
上する。本発明の複層塗膜形成方法について以下に述べ
る。
【0051】複層塗膜形成方法としては大別して2種の
方法を開示するものである。第一の方法は、被塗物基材
に本発明の粉体塗料樹脂組成物からなる粉体塗料を塗装
し、焼き付け硬化させて得られた粉体塗膜層上に、着色
ベースコート塗膜層と透明トップクリアー塗膜層を順次
形成する方法であり、第2の方法としては、上記粉体塗
膜層上にトップコート塗膜層のみを形成する方法であ
る。
【0052】次に本発明に係る複層塗膜の構成要素であ
る着色ベ−スコ−ト塗膜層について説明する。
【0053】当該塗膜層を形成するために使用する着色
ベ−スコ−ト塗料とは、主として水または有機溶剤を媒
体としてなる塗料をいう。水を媒体とするものの代表的
なものを例示すると、(1)水性樹脂をバインダ−とす
るもの、(2)ディスパ−ジョン(水分散)タイプの樹
脂をバインダ−とするもの、(3)エマルジョン重合体
をバインダ−とするもの、などがある。(1)のタイプ
には、カルボキシル基を含有するビニル単量体を共重合
することにより酸基を含有せしめたアクリル樹脂を、さ
らにアミン中和することにより完全水溶化せしめたもの
などが、(2)のタイプにはアニオン形成性基を有する
水分散性ポリウレタン樹脂(特公平3−45755号公
報に開示されている。)などが、また、(3)のタイプ
には、架橋性重合体微粒子を含むエマルジョン重合体
(特開昭56−157358号公報に開示されてい
る。)水溶液からなるものなどがある。
【0054】有機溶剤を媒体とする塗料の代表的なもの
を例示すると、トルエン、キシレン等の有機溶剤に可溶
な高分子、たとえば、水酸基を有するビニル樹脂の有機
溶剤溶液と、このビニル共重合体中の水酸基と反応する
アミノプラスト、ポリイソシアネート類、ブロックポリ
イソシアネート類等とを組み合わせてなる塗料が挙げら
れる。
【0055】これら着色ベ−スコ−ト塗料の中でも、主
として水または有機溶剤を媒体とし、水酸基を有するビ
ニル共重合体と、このビニル共重合体中の水酸基と反応
するアミノプラスト、ポリイソシアネート類、ブロック
ポリイソシアネート類とを組み合わせてなる塗料が好ま
しく、粉体塗料からなる硬化塗膜との付着性の改良効果
が著しいことから、水酸基を有するビニル共重合体とア
ミノプラストとを組み合わせてなる塗料が特に好まし
い。
【0056】これらの水または有機溶剤を媒体としてな
る着色ベ−スコ−ト塗料は、これらの樹脂成分以外に酸
化チタン等の無機顔料や体質顔料、さらに有機顔料ある
いはアルミフレ−ク、マイカフレ−ク等の光輝性(メタ
リック調)顔料、硬化促進剤、レベリング剤等の添加剤
を含有することができる。
【0057】次に本発明に係る複層塗膜の構成要素であ
る透明トップコ−ト塗膜層について説明する。
【0058】本発明の複層塗膜形成方法の構成要素であ
る塗膜層を形成するために使用される透明トップコ−ト
塗料には、着色ベ−スコ−ト塗料の説明で前述した水ま
たは有機溶剤を媒体とする樹脂組成物を使用することも
できるし、水や有機溶剤を実質的に含有しない粉体塗料
用樹脂組成物をも使用することができる。
【0059】その際使用するトップコ−ト塗料は透明塗
膜を形成するものであり、透明であれば着色されていて
もよい。着色ベースコート塗膜層および透明トップコー
ト塗膜層は、この順序で前記被塗物基材に塗装され、そ
の後同時に焼き付け乾燥され、その結果、粉体塗膜層上
に、各層が積層された複層塗膜が形成されることにな
る。ただし、着色ベースコート塗膜層が塗装された後で
あって透明トップコート塗膜層が塗装される前に、着色
ベースコート塗膜層を焼き付け乾燥する工程をとるいわ
ゆる2C2B(2コ−ト2ベ−ク)方式をとることもで
きるし、そのような焼き付け工程をとらないいわゆる2
C1B(2コ−ト1ベ−ク)方式をとることもできる
し、さらには着色ベースコート塗膜層を予備的に室温か
ら100℃程度の温度範囲で乾燥させる工程をとること
もできる。
【0060】次に本発明の複層塗膜形成方法のうち前述
した第2の複層塗膜形成方法について説明する。本発明
の第2の複層塗膜形成方法は、被塗物基材に、本発明に
係る粉体塗料用樹脂組成物からなる粉体塗料を塗装し焼
き付け硬化させて得られる粉体塗膜層、トップコ−ト塗
膜層からなり、被塗物基材および粉体塗膜層について
は、前記した第1の複層塗膜形成方法の場合と構成要素
および使用態様は同じである。トップコート塗膜層は粉
体塗膜層が焼き付け硬化反応により形成された後、その
上に塗装され形成される塗膜層であり、その際使用され
るトップコ−ト塗料としては、前記の透明トップコート
塗膜層を形成する際に使用される透明トップコート塗料
も使用することができるが、第2の複層塗膜形成方法に
おいては、前記の場合と異なり、当該塗膜層は透明であ
っても、不透明であっても良い。
【0061】トップコ−ト塗料として使用できる樹脂組
成物の代表例をあげると、前記した、トルエン、キシレ
ン等の有機溶剤に可溶な高分子、たとえば、水酸基を有
するアルキド樹脂やポリエステル樹脂、水酸基を有する
ビニル共重合体の有機溶剤溶液と、これらの高分子の有
する水酸基と反応するアミノプラスト、ポリイソシアネ
ート類、ブロックポリイソシアネート類とを組み合わせ
てなる組成物、カルボン酸基を有するビニル共重合体の
有機溶剤溶液と、当該高分子の有するカルボン酸基と反
応するエポキシ基含有化合物などを組み合わせてなる組
成物等が挙げられる。また、前述した水を媒体とする樹
脂組成物を使用することもできるし、水や有機溶剤を実
質的に含有しない粉体塗料用樹脂組成物をも例示するこ
とができ、これらの樹脂組成物には、酸化チタン、カ−
ボンブラック等の隠ぺい性のある顔料類を含有させるこ
ともできる。
【0062】これらトップコ−ト塗料の中でも、主とし
て水または有機溶剤を媒体とし、それぞれ水酸基を有す
るアルキド樹脂、ポリエステル樹脂またはビニル共重合
体と、これらの樹脂中の水酸基と反応するアミノプラス
ト、ポリイソシアネート類、ブロックポリイソシアネー
ト類とを組み合わせてなる塗料が好ましく、本発明の粉
体塗料用組成物からなる硬化塗膜との付着性の改良効果
が著しいことから、それぞれ水酸基を有するアルキド樹
脂、ポリエステル樹脂、ビニル共重合体とアミノプラス
トとを組み合わせてなる塗料が特に好ましい。
【0063】
【実施例】次に、本発明を、参考例、実施例および比較
例により、一層、具体的に説明することにするが、本発
明は、決して、これらの例示例のみに限定されるもので
はない。なお、以下において、部および%は、特に断り
の無い限り、すべて、重量基準であるものとする。ま
た、参考例の特性値は、以下の方法により測定または評
価した。
【0064】(a)水酸基価:無水酢酸とピリジンとの
混合溶液にポリエステル樹脂試料を溶解して、100℃
で一時間加熱環流し、水酸基をアセチル化する。その
後、イオン交換水を加えてさらに加熱環流後、冷却し、
水酸化カリウムのトルエン/メタノール溶液で逆滴定し
て求めた(単位:mgKOH/g)。
【0065】(b)軟化点:環球式自動軟化点試験機
〔明峰社製作所(製)〕を用い、グリセリンの加熱浴で
3℃/分の昇温速度で昇温し、試料が軟化し始め、球が
落下したときの温度を測定した(単位:℃)。
【0066】(c)溶融粘度:コーンプレート型粘度計
CV−1S〔東亜工業株式会社(製)〕を用い、コーン
CP−5で回転数750rpmに設定して、プレート温
度180℃での溶融粘度を測定した(単位:Pa・
s)。
【0067】参考例1〜6(ポリエステル樹脂の調製) 第1表に示した原料化合物中のアルコール成分を第1表
に示した量で、撹拌機、温度計、精留塔および窒素ガス
導入口を備えた反応容器に仕込んで、窒素雰囲気中で撹
拌を続けながら、150℃にまで昇温した。
【0068】ここへ、第1表に示した原料化合物中の酸
成分の第1表に示した量、およびジブチル錫オキサイド
0.5部を加えて、240℃にまで昇温し、同温度で脱
水縮合反応を続行せしめることによって、ポリエステル
樹脂を得た。以下、これらをポリエステル樹脂[A−
1]〜[A−5]、[a−1]〜[a−2]と略記す
る。
【0069】
【表1】第1表
【0070】《第1表の脚註》 1)NPG :ネオペンチルグリコール 2)CHMD :1,4−シクロヘキサンジメタノール 3)THEIC:トリス(2−ヒドロキシ)イソシアヌ
レート 4)TMP :トリメチロールプロパン
【0071】実施例1〜5および比較例1〜2 (粉体塗料組成物および粉体塗料の調製)それぞれ、第
2表および第3表に示すような割合で、各別に、粉体塗
料用樹脂組成物を配合せしめ、かくして得られる、それ
ぞれの組成物を、「コ・ニーダーPR−46型」(スイ
ス国ブス社製の一軸混練機)を使用して、90℃で溶融
混練せしめたのちに、微粉砕し、さらに、200メッシ
ュの金網で分級せしめることによって、平均粒径が30
〜40μmなる、各種の粉体塗料を調製した。これらの
各粉体塗料を[P−1]〜[P−5]、[p−1]〜
[p−2]と略記する。
【0072】
【表2】第2表
【0073】
【表3】第3表
【0074】《第2表、第3表の脚註》 1)B1530 :ドイツ国ヒュルス社製「VESTA
GON B1530」で、イソホロンジイソシアネート
のヌレート体をε−カプロラクタムでブロック化せしめ
た形のブロック・ポリイソシアネート化合物。 2)BF1540:同上社製「VESTAGON BF
1540」で、イソホロンジイソシアネートをウレトジ
オン結合で以てセルフ・ブロック化せしめた形のブロッ
ク・ポリイソシアネート化合物。 3)エヒ゜クロン 4050 :大日本インキ化学工業(株)製ビス
フェノールAのポリグリシジルエーテル・タイプのエポ
キシ樹脂。 4)アクロナール 4F :ドイツ国BASF社製表面調整剤。 5)CR−90 :石原産業(株)製ルチル型酸化チタ
ン「タイペーク CR−90」。
【0075】参考例7(着色ベ−スコ−ト塗料の調製) 〔水性樹脂[D]の調製〕撹拌機、温度計、コンデンサ
−および窒素ガス導入口を備えた反応容器に、脱イオン
水680部、過硫酸アンモニウム2部およびTrito
n X−20015部を加え、95℃に加熱した。下記
アクリル単量体成分の水性乳化液をこの95℃の反応系
に4時間かけて滴下し、その滴下終了後もさらに3時間
保持した。その後、反応液を冷却し、ジメチルエタノー
ルアミン5部と脱イオン水40部を添加した。かくして
安定な固形分45%の水性アクリル樹脂の乳白色の分散
液を得た。これを水性樹脂[D]と略記する。
【0076】 アクリル単量体成分: メチルメタクリレート 450 部 エチルアクリレート 350 部 2−ヒドロキシエチルメタクリレート 150 部 アクリル酸 20 部 エチレングリコ−ルジ−メタクリレート 30 部 n−オクチルメルカプタン 5 部 過硫酸アンモニウム 4 部 Triton X−200 15 部 (Rohm&Haas社製 アニオン性界面活性剤) エマルゲン840s 10 部 (花王アトラス社製 ノニオン性界面活性剤) 脱イオン水 530 部
【0077】(増粘剤の調製)「アクリゾールASE−
60」(米国ローム・アンド・ハース社製の増粘剤:固
形分28%)64部に、ジメチルエタノールアミン6部
および脱イオン水530部を添加して、固形分が3%な
る目的物を得た。この増粘剤を[AD]と略記する。
【0078】〔着色ベ−スコ−ト塗料[E]の調製〕水
性樹脂[D]100部に、増粘剤[AD]10部、サイ
メル300(三井サイアナミド社製のヘキサメトキシメ
チル化メラミン)5部、パラトルエンスルフォン酸1
部、アルミペースト分散液#4919〔東洋アルミニウ
ム(株)製品アルミペースト〕3部、アルミペースト分
散液#55−519(同社製)1.5部にイソプロパノ
ール12部を混合し、脱イオン水で粘度16秒(フォー
ドカップNo4/20℃)に調製した。これを着色ベ−
スコ−ト塗料[E]と略記する。
【0079】参考例8〔透明トップコ−ト塗料[F]
の調製〕 参考例7で使用したものと同様の反応装置を使用し、反
応容器にキシレン500部を仕込み、120℃まで昇温
した。次いで、スチレン150部、メチルメタクリレー
ト150部、n−ブチルアクリレ−ト75部、2−ヒド
ロキシエチルメタクリレ−ト125部、アゾビスイソブ
チロニトリル3部およびt−ブチルパ−オクトエ−ト
(以下TBPOと略記する。)3部からなる混合物を4
時間に亘って滴下し、滴下終了後も、同温度に10時間
のあいだ保持し、不揮発分が50.5%で、水酸基価が
溶液基準で53(mgKOH/g)であるトップコ−ト
塗料[F] に使用する樹脂溶液を得た。この樹脂溶液
をトップコ−ト塗料用樹脂[T−1]と略記する。
【0080】次いで、このトップコ−ト塗料用樹脂[T
−1]100部にス−パ−ベッカミン L−117−6
0〔大日本インキ化学工業(株)製ブチルエ−テル化メ
ラミンホルムアルデヒド樹脂〕35.7部を加え、ソル
ベッソ100(エクソン社製の芳香族炭化水素系有機溶
剤)を用いて粘度が24秒(フォードカップNo4/2
0℃)に調製した。これを透明トップコ−ト塗料[F−
1]と略記する。
【0081】参考例9(同上) 参考例7で使用したものと同様の反応容器にキシレン4
00部を仕込み、135℃まで昇温した。次いで、スチ
レン90部、メチルメタクリレ−ト240部、2−エチ
ルヘキシルアクリレ−ト30部、グリシジルメタクリレ
−ト240部、およびTBPO24部からなる混合物を
同温度で6時間を要して滴下した。滴下終了後も同温度
でさらに8時間反応を続けた。重合反応終了後、この樹
脂溶液を30Torrの減圧下に保持し、キシレンを留
去させて、不揮発分が99.5%で、環球法による軟化
点が117℃で、エポキシ当量が380で、かつ数平均
分子量が4,700なる共重合体の固形物を得た。以
下、これをトップコ−ト塗料用樹脂[T−2]と略記す
る。
【0082】このトップコ−ト塗料用樹脂[T−2]7
6部に対して、ドデカン二酸(以下DDAと略記す
る。)24部を加え、さらにKP322(東芝シリコン
社製流動調整剤)0.2部を加えた後、実施例1〜5と同
様にして、透明トップコ−ト塗料[F] として使用で
きる粉体トップコ−トクリア−塗料を得た。これを透明
トップコ−ト塗料[F−2]と略記する。
【0083】参考例10(着色トップコート塗料の調製
例) 「スーパーベッコゾール ER−3060」[大日本イ
ンキ化学工業(株)製アルキッド樹脂]と、「スーパー
ベッカミン L−117−60」[大日本インキ化学工
業(株)製ブチルエーテル化メラミン・ホルムアルデヒ
ド樹脂]と、「タイペークCR−90」[石原産業
(株)製ルチル型酸化チタン]とを、下記のような組成
割合で配合し、1mm径のガラスビースが充填されたサ
ンドミルを用いて1時間顔料分散を行い、400メッシ
ュの金網を濾過させた後、「ソルベッソ100」[エク
ソン化学(株)製芳香族炭化水素系溶剤]/イソブタノ
ールの重量比率が70/30なる混合溶剤により、20
℃におけるフォード・カップNo.4での粘度が25秒
となるよう粘度を調整して、上塗り用ソリッドカラー塗
料を得た。以下、これを着色トップコート塗料[X]と
略記する。 スーパーベッコゾール ER−3060 100.0部 スーパーベッカミン L−117−60 35.7部 タイペーク CR−90 100.0部
【0084】実施例6〜10および比較例3〜4 次に示すような塗膜形成方法に従って、第4表に示すよ
うな各種の塗膜を作製し、次いで、かくして得られたそ
れぞれの塗膜について塗膜性能試験を行なった。
【0085】すなわち、粉体塗料[P−1]〜[P−
5]、[p−1]〜[p−2]、着色ベースコート塗料
[E]、および、透明トップコート塗料[F−1]、
[F−2]を使用して、次に示すような塗膜形成方法に
従って、各種の塗膜を作製した。
【0086】被塗物として使用する基材としては、「ボ
ンデライト#3030」[日本パーカライジング(株)
製の燐酸亜鉛系処理剤で以て処理された軟鋼板]に、エ
ポキシ樹脂系カチオン電着塗料を電着塗装せしめたもの
を用いた。
【0087】粉体塗料[P−1]〜[P−5]、[p−
1]〜[p−2]を、それぞれ上記の基材に焼き付け後
の膜厚が50μmとなるようにして静電粉体塗装せしめ
たのち、180℃/20分間なる条件下に焼き付けを行
ない、粉体塗料からなる塗膜(以下、粉体塗膜と略記す
る。)を有する被塗物を得た。しかるのち、この粉体塗
膜の上に、着色ベ−スコ−ト塗料[E]を温度が25℃
で、かつ相対湿度が65〜70%なる塗装雰囲気下で乾
燥膜厚が20μmになるように、それぞれ2回にわけて
塗装し、焼き付けを行って、複層塗膜を有する被塗物を
得た。こうした2回の塗装の間に2分間のセッティング
を行った。1回目の塗装時のスプレーガンのエアー圧は
5(Kg/cm2 )、塗料の流速は400(m/分)と
し、2回目の塗装時には、塗料の流速は200(m/
分)とし、被塗物とスプレーガンとの距離は40cmと
した。尚、基材上における塗布面が、常に吐出方向に対
し垂直となるように、この基材は保持されていた。
【0088】かかる2回の塗装の後、被塗物を30℃の
温度で5分間風乾せしめ、さらに室温まで冷却せしめて
から、透明トップコ−ト塗料[F−1]、[F−2]を
塗装した。この場合、透明トップコ−ト塗料が[F−
1]の場合は、エアースプレ−塗装法により乾燥膜厚が
30μmとなるように塗装し、焼き付け温度は140℃
/20分とした。また、透明トップコ−ト塗料が[F−
2]の場合は、静電粉体塗装により乾燥膜厚が60μm
となるように塗布し、150℃/20分間の焼き付けを
行った。
【0089】かくして得られた、被塗物上の粉体塗膜に
ついては耐溶剤性、平滑性、光沢、耐候性の評価を、ま
た、被塗物上の複層塗膜については平滑性、層間付着
性、耐チッピング性の評価を行った。それらの結果をま
とめて第4表に示した。
【0090】実施例11〜15および比較例5〜6 粉体塗料[P−1]〜[P−5]、[p−1]〜[p−
2]および着色トップコート塗料[X]を使用して、次
に示すような塗膜形成方法に従って、各種の塗膜を作製
した。
【0091】被塗物として使用する基材としては、「ボ
ンデライト#3030」に、エポキシ樹脂系カチオン電
着塗料を電着塗装せしめたものを用いた。
【0092】粉体塗料[P−1]〜[P−5]、[p−
1]〜[p−2]を、それぞれ上記の基材に焼き付け後
の膜厚が50μmとなるようにして静電粉体塗装せしめ
たのち、180℃/20分間なる条件下に焼き付けを行
ない、粉体塗膜を有する被塗物を得た。しかるのち、こ
の粉体塗膜の上に、透明トップコ−ト塗料[F−1]を
エアースプレ−塗装法により乾燥膜厚が30μmとなる
ように塗装し、140℃/20分間の焼き付けを行っ
て、複層塗膜を有する被塗物を得た。
【0093】かくして得られた、被塗物上の粉体塗膜に
ついては耐溶剤性、平滑性、光沢、耐候性の評価を、ま
た、被塗物上の複層塗膜については平滑性、層間付着
性、耐チッピング性の評価を行った。それらの結果をま
とめて第5表に示した。
【0094】
【表4】第4表
【0095】
【表5】第5表
【0096】なお、評価判定の要領は、次の通りであ
る。 ・耐ブロッキング性:140メッシュのふるいを通過し
た粉体塗料を直径7cm、長さ10cmの有底ガラス管
に高さ4cmまで充填し、40℃の恒温器中に1週間放
置後、ガラス管を逆さにして粉体塗料を出し、塗料の状
態により、次の2段階で判定した。 ○:塗料に塊がない。 ×:塗料が凝集して固化した大きな塊がある。
【0097】・耐溶剤性 :キシレンを含ませた
ガーゼで塗膜表面を50回擦り、塗膜のツヤ引け程度に
より目視評価判定した。 ○:良好。 ×:不良。
【0098】・平滑性 :目視により評価判定
した。評価判定の基準は次の通りである。 ○:非常にスムーズなる平滑な塗面。 ×:細かいチリ肌が認められる塗面。
【0099】・60度光沢 :光沢計による60度
鏡面反射率(%)
【0100】・促進耐候性 :サンシャインカーボ
ンアーク試験機(スガ試験機社製品)による1,000
時間に及ぶ促進耐候性試験後の光沢保持率(%)で表示
した。この値が高いほど、耐候性が良好である。
【0101】・複層塗膜平滑性 :目視により評価判定
した。評価判定の基準は次の通りである。 ○:非常にスムーズなる平滑な塗面。 ×:細かいチリ肌が認められる塗面。
【0102】・複層塗膜層間付着性:カッターナイフで
2mm間隔/50個の碁盤目に切り目を作り、セロテー
プ剥離した。 ○:複層塗膜間にはがれがまったく認められない。 ×:複層塗膜間にはがれが認められたもの。
【0103】・複層塗膜耐チッピング性:−20℃で7
号砕石100gを5kg/cm2 の圧力で7x15cm
の大きさの塗装板に45度の角度でぶつけ、塗膜のハガ
レ具合を目視判定した。 ○:素地に達するハガレが1点以下。 △:素地に達するハガレが2点以上10点以下。 ×:素地に達するハガレが11点以上。
【0104】実施例16 粉体塗料[P−1]および着色トップコート塗料[X]
を使用して、次に示すような塗膜形成方法に従って、各
種の塗膜を作製した。
【0105】被塗物として使用する基材として、「ボン
デライト#3030」を電着塗装せずにそのまま用いた
以外は、実施例10と同様にして、粉体塗膜を有する被
塗物を得、次いで同様にして、複層塗膜を有する被塗物
を得た。
【0106】かくして得られた、被塗物上の粉体塗膜に
ついては耐溶剤性、平滑性、光沢、耐候性の評価を、ま
た、被塗物上の複層塗膜については平滑性、層間付着
性、耐チッピング性の評価を行ったところ、粉体塗膜に
ついては耐溶剤性:○、平滑性:○、光沢:94%、耐
候性:94%であり、また、複層塗膜の平滑性:○、層
間付着性:○、耐チッピング性:○であった。
【0107】
【発明の効果】本発明に係る粉体塗料用樹脂組成物は、
塗膜の表面平滑性と耐候性および粉体塗料の貯蔵安定性
(耐ブロッキング性)等に優れ、中塗り塗料もしくは下
塗り塗料として利用して、いわゆる複層塗膜を形成させ
た場合には、従来の粉体塗料樹脂組成物に比して塗膜外
観、層間付着性、耐チッピング性等が格段に向上する。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イソシアヌレート構造単位を有する多官
    能アルコール類を必須のアルコール成分とし、しかも、
    酸成分として、イソフタル酸および/またはイソフタル
    酸誘導体が全酸成分の50モル%以上を占める水酸基含
    有ポリエステル樹脂[A]と、ブロック・ポリイソシア
    ネート化合物からなる硬化剤[B]とを含有することを
    特徴とする、粉体塗料用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ポリエステル樹脂[A]が、下記一般式
    (1) 【化1】 [ただし、式中のRは炭素数1〜4の2価の脂肪族炭化
    水素基を表わす。]で示されるイソシアヌレート構造単
    位を有する多官能アルコール類(a−1)を必須のアル
    コール成分とし、しかも、酸成分として、イソフタル酸
    および/またはイソフタル酸誘導体が全酸成分の50モ
    ル%以上を占め、水酸基価が10〜200(mgKOH
    /g)で、かつ、環球法による軟化点が80〜130℃
    で、かつ、180℃での溶融粘度が10.0(Pa・
    s)以下なるポリエステル樹脂である、請求項1記載の
    粉体塗料用樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 ポリエステル樹脂[A]が、前記一般式
    (1)で示されるイソシアヌレート構造単位を有する多
    官能アルコール類(a−1)を必須のアルコール成分と
    し、しかも、酸成分として、イソフタル酸および/また
    はイソフタル酸誘導体が全酸成分の70モル%以上を占
    め、水酸基価が50〜150(mgKOH/g)で、か
    つ、環球法による軟化点が90〜120℃で、かつ、1
    80℃での溶融粘度が0.1〜10.0(Pa・s)な
    るポリエステル樹脂である、請求項2記載の粉体塗料用
    樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 硬化剤[B]が、下記構造式(2) 【化2】 で示されるウレトジオン結合を構造単位として有するブ
    ロック・ポリイソシアネート化合物を含有してなる硬化
    剤である、請求項1、2または3記載の粉体塗料用樹脂
    組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉
    体塗料用樹脂組成物からなることを特徴とする中塗り塗
    料。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉
    体塗料用樹脂組成物からなることを特徴とする下塗り塗
    料。
  7. 【請求項7】 請求項5記載の中塗り塗料または請求項
    6記載の下塗り塗料を用いて中塗り塗膜または下塗り塗
    膜を形成した後、その上に更に塗膜を形成することを特
    徴とする複層塗膜形成方法。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003105269A (ja) * 2001-09-27 2003-04-09 Asahi Glass Co Ltd 含フッ素粉体塗料組成物
KR100750129B1 (ko) 2005-09-06 2007-08-21 삼성전자주식회사 잉크 조성물, 이를 포함한 잉크 카트리지 및 잉크젯 기록장치
JP2014049230A (ja) * 2012-08-30 2014-03-17 Hitachi Metals Ltd 絶縁電線及びそれを用いたコイル

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003105269A (ja) * 2001-09-27 2003-04-09 Asahi Glass Co Ltd 含フッ素粉体塗料組成物
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