JP2001026668A

JP2001026668A - 生分解性澱粉樹脂成形品

Info

Publication number: JP2001026668A
Application number: JP11199262A
Authority: JP
Inventors: Shigeo Iwai; 成夫岩井
Original assignee: WONDER KK; Wonder Co Ltd
Current assignee: WONDER KK; Wonder Co Ltd
Priority date: 1999-07-13
Filing date: 1999-07-13
Publication date: 2001-01-30

Abstract

(57)【要約】【課題】生分解性に優れるとともに、燃やしてもダイ
オキシンなどの有害物質を発生しないものを安価にし
て、かつ、強度が高くても十分に分解できるものを提供
できるように、更に、良好な芳香機能を備えられるよう
にする。【解決手段】澱粉５５重量％、脂肪１５重量％、グリ
セリン３重量％、蛋白質８重量％、水分２重量％、エチ
レン５重量％、アクリル酸７重量％、ポリエチレン５重
量％を配合して混練し、押出成形機により押し出し、冷
却処理した後に切断し、粒状の生分解性澱粉樹脂を得
た。この生分解性澱粉樹脂に、その生分解性澱粉樹脂と
の合計重量に対して芳香剤としての楠の粉末３重量％
と、生分解性澱粉樹脂との合計重量に対してポリエチレ
ン３０重量％を加えて、１４０℃で加熱溶融し、その混
合溶融物を押出成形機により押し出し、高強度の硬い道
路杭を作製する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、燃やしてもダイオ
キシンや有害化学物質を発生せず、かつ、微生物（バク
テリア）によって水と炭酸ガスに容易に分解可能な生分
解性澱粉樹脂成形品に関する。

【０００２】

【従来の技術】プラスチックを材料とする成形品は、種
々の形状等に容易に加工できて便利であるとともに安価
に製作できるため、従来、飲料水のペットボトル、日用
品や食料品を収納するボトル、ゴミ袋、買い物袋や小
袋、透明なまたは発泡製の食品バックやカップ、透明な
または発泡製の食品トレイ、野外で使用するプラスチッ
クコップや皿や匙、ゴルフティーなどのゴルフ用品、プ
ラスチックシート、緩衝材、包装用テープ、ロープ、
縄、紐、糸、玩具、日曜雑貨品、テーブルクロス、建
材、道路杭、室内壁シート、クロスタイルなど、多種に
わたっている。

【０００３】上述のようなプラスチック成形品は、使い
捨てタイプのものはもちろんのこと、それ以外のもので
も、不要になると、ゴミとして廃棄され、土中に埋める
とか焼却するなどによって処分している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、プラス
チック成形品は、土中に埋めて放置しても、いつまでも
分解しないために腐らず、一方、焼却処理すると、燃焼
に伴ってダイオキシンなどの有害物質を発生しやすく、
近年の環境問題を引き起こす最大の要因になっている。

【０００５】そこで、分解性に優れるとともに、燃やし
てもダイオキシンなどの有害物質を発生しない生分解性
樹脂の研究が続けられてきたが、製造コストが高くつく
欠点があり、また、強度の割に分解が不十分になる問題
があり、未だ改善の余地があった。

【０００６】本発明は、生分解性に優れるとともに、燃
やしてもダイオキシンなどの有害物質を発生しないもの
を安価にして、かつ、強度が高くても十分に分解できる
ものを提供できるように、更に、良好な芳香機能を備え
られるようにすることを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】請求項１に係る発明の生
分解性澱粉樹脂成形品は、上述のような目的を達成する
ために、澱粉５５〜８０重量％、脂肪５〜１５重量％、
グリセリン１〜３重量％、蛋白質３〜８重量％、エチレ
ン３〜１０重量％、アクリル酸３〜１５重量％、ポリエ
チレン３〜８重量％を成分として構成した生分解性澱粉
樹脂に、前記生分解性澱粉樹脂との合計重量に対して芳
香剤３〜７重量％を加えるとともに、前記生分解性澱粉
樹脂との合計重量に対して、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリスチレンのうちの少なくともいずれかの樹脂
３０重量％以下を加えて１００℃〜１４０℃以下の温度
で成形してあることを特徴としている。

【０００８】澱粉としては、コーンスターチやポテトス
ターチなどが用いられ、生分解性澱粉樹脂に５５〜８０
重量％配合される。５５重量％未満では、成形品中に含
まれる高分子系化合物であるポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリスチレンの量が多くなったときに、生分解性
が低下して生分解可能な有機物に変化できなくなり、一
方、８０重量％を越えると、所望の強度を得にくく、高
強度の製品の材料として使用できなくなるからである。

【０００９】脂肪は、高分子系化合物であるポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリスチレンを生分解可能な有機
物に変化するための触媒として作用するもので、生分解
性澱粉樹脂に５〜１５重量％配合される。５重量％未満
では、触媒としての機能を発揮できなくなり、一方、１
５重量％を越えると、所望の強度を得にくく、高強度の
製品の材料として使用できなくなるからである。

【００１０】グリセリンも、高分子系化合物であるポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンを生分解可能
な有機物に変化するための触媒として作用するもので、
生分解性澱粉樹脂に１〜３重量％配合される。１重量％
未満では、触媒としての機能を発揮できなくなり、一
方、３重量％を越えると、所望の強度を得にくく、高強
度の製品の材料として使用できなくなるからである。

【００１１】蛋白質は、生分解性澱粉樹脂を作成すると
きの硬化剤として作用するもので、例えば、もち米など
が用いられ、生分解性澱粉樹脂に３〜８重量％配合され
る。３重量％未満では、硬化剤としての機能を発揮でき
なくなり、一方、８重量％を越えると、所望の強度を得
にくく、高強度の製品の材料として使用できなくなるか
らである。

【００１２】エチレンは、生分解性澱粉樹脂を作成する
ときの強度向上剤として作用するもので、生分解性澱粉
樹脂に３〜１０重量％配合される。３重量％未満では、
強度向上剤としての機能を発揮できなくなり、一方、１
０重量％を越えると、軟質製品が得られず、用途的に制
約を受けて汎用性が低下するからである。

【００１３】アクリル酸も、生分解性澱粉樹脂を作成す
るときの強度向上剤として作用するもので、生分解性澱
粉樹脂に３〜１５重量％配合される。３重量％未満で
は、強度向上剤としての機能を発揮できなくなり、一
方、１５重量％を越えると、軟質製品が得られず、用途
的に制約を受けて汎用性が低下するからである。

【００１４】また、ポリエチレンも、生分解性澱粉樹脂
を作成するときの強度向上剤として作用するもので、生
分解性澱粉樹脂に３〜８重量％配合される。３重量％未
満では、強度向上剤としての機能を発揮できなくなり、
一方、８重量％を越えると、軟質製品が得られず、用途
的に制約を受けて汎用性が低下するからである。

【００１５】芳香剤としては、楠、青竹、蓬、バラやス
ミレなど各種の花などの粉末、レモンやリンゴなどの果
汁粉末、その他生薬や植物の粉末などの各種の香料粉末
が用いられ、匂いや香りや臭いを放散する。芳香剤の種
類によっては、精神安定効果、鎮静効果、防虫効果など
も併せて発揮させることができる。芳香剤は、生分解性
澱粉樹脂との合計重量に対して３〜７重量％の範囲内で
加えられる。３重量％未満では、芳香機能が発揮でき
ず、一方、７重量％を越えると、所望の強度を得にく
く、高強度の製品の材料として使用できなくなるからで
ある。

【００１６】高強度の製品を得る場合には、生分解性澱
粉樹脂との合計重量に対して３０重量％を越えない範囲
内で、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンの
うちの少なくともいずれかの樹脂を加えて成形すれば良
い。３０重量％を越えると、生分解性が低下するからで
ある。

【００１７】成形時の温度は、１００℃〜１４０℃であ
る。１００℃未満では、流動性が低下して成形しづら
く、一方、１４０℃を越えると、生分解性澱粉樹脂の気
孔率が減少し、気孔内に芳香剤を捕捉しづらくなるとと
もに芳香剤自体を高温で揮発しやすくなって芳香効果が
低下するからである。

【００１８】

【作用】本発明の生分解性澱粉樹脂製品の構成によれ
ば、澱粉を主成分とし、得ようとする製品に応じて強度
などを確保するために、高分子系化合物であるポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリスチレンのうちのいずれか
を加えても、その配合量が所定範囲内であれば、脂肪や
グリセリンが触媒となって高分子系化合物を生分解可能
な有機物に変化させる。生分解性澱粉樹脂にはミクロな
気孔が存在し、その気孔内に芳香剤を捕捉し、１００℃
〜１４０℃の温度で成形することにより、気孔を破壊せ
ず、しかも、芳香剤を揮発せず、芳香効果を長期間発揮
できる。

【００１９】

【発明の実施の形態】以下本発明の実施例について説明
する。（第１実施例）澱粉５５重量％、脂肪５重量％、グリセ
リン３重量％、蛋白質８重量％、水分２重量％、エチレ
ン１０重量％、アクリル酸１２重量％、ポリエチレン５
重量％を配合して混練し、押出成形機により押し出し、
冷却処理した後に切断し、粒状の生分解性澱粉樹脂を得
た。

【００２０】上記生分解性澱粉樹脂に、その生分解性澱
粉樹脂との合計重量に対して芳香剤としてのバラの粉末
５重量％を加えて、１１５℃で加熱溶融し、その混合溶
融物を押出成形機により押し出し、軟質軽量で薄いシー
トを作製した。

【００２１】得られたシートによって、おむつを縫製加
工した。そのおむつからは、バラの香りが漂い、汚物を
付着させても、その汚物の匂いを消す効果があった。汚
物の付着したおむつは焼却処理してもダイオキシンを発
生せず、そのままゴミとして廃棄できるものであった。

【００２２】（第２実施例）澱粉５５重量％、脂肪１５
重量％、グリセリン３重量％、蛋白質８重量％、水分２
重量％、エチレン５重量％、アクリル酸７重量％、ポリ
エチレン５重量％を配合して混練し、押出成形機により
押し出し、冷却処理した後に切断し、粒状の生分解性澱
粉樹脂を得た。

【００２３】上記生分解性澱粉樹脂に、その生分解性澱
粉樹脂との合計重量に対して芳香剤としての楠の粉末３
重量％と、生分解性澱粉樹脂との合計重量に対してポリ
エチレン３０重量％を加えて、１４０℃で加熱溶融し、
その混合溶融物を押出成形機により押し出し、高強度の
硬い道路杭を作製した。

【００２４】上記道路杭は、地中に打ち込んだ状態で、
芳香剤によって防虫効果を有し、澱粉が主成分であって
も、虫によって損傷すること無く、１年以上など長期に
わたって使用可能である。そして、そのまま放置して
も、自然の微生物（バクテリア）により生分解されて水
と炭酸ガスに分解され、安全に土中などに還元できるも
のである。

【００２５】上記生分解性澱粉樹脂を作製する際の各成
分の配合比率は、高強度が要求される場合には、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリスチレンといった高分子
系化合物の配合量が増えるため、生分解可能な有機物に
変化させる触媒として作用する脂肪やグリセリンの配合
量を増加させるなど、得ようとする製品に応じて、前述
した所定の範囲内で適宜変更されるものである。

【００２６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の生分解性
澱粉樹脂製品によれば、澱粉を主成分とするから安価で
あり、その澱粉に、脂肪やグリセリンなどを合理的に配
合することによって、強度を高くするために、高分子系
化合物であるポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチ
レンのうちのいずれかを加えても、高分子系化合物を生
分解可能な有機物に変化させるから、燃やしてもダイオ
キシンなどの有害物質を発生せず、また、自然に放置し
ても、微生物（バクテリア）によって水と炭酸ガスに容
易に分解され、自然環境を破壊しない安全な製品を提供
できるようになった。

【００２７】しかも、１００℃〜１４０℃の温度で成形
するから、生分解性澱粉樹脂に存在するミクロな気孔を
破壊せず、その気孔内に芳香剤を捕捉し、長期間にわた
って匂いや香りや臭いなどといった芳香効果を良好に発
揮でき、高品質の製品を提供できるようになった。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続きＦターム(参考） 4F071 AA08 AA15 AA20 AA22 AA70 AA71 AC02 AC05 AC09 AE22 AF52 AH04 AH05 BA01 BB06 BC01 4J002 AB041 AD002 BB033 BB034 BB124 BC034 EA017 EC056 EF048 FD209

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】澱粉５５〜８０重量％、脂肪５〜１５重量
％、グリセリン１〜３重量％、蛋白質３〜８重量％、エ
チレン３〜１０重量％、アクリル酸３〜１５重量％、ポ
リエチレン３〜８重量％を成分として構成した生分解性
澱粉樹脂に、前記生分解性澱粉樹脂との合計重量に対し
て芳香剤３〜７重量％を加えるとともに、前記生分解性
澱粉樹脂との合計重量に対して、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリスチレンのうちの少なくともいずれかの
樹脂３０重量％以下を加えて１００℃〜１４０℃以下の
温度で成形してあることを特徴とする生分解性澱粉樹脂
成形品。