JP2001025692A - ウェットスクラバおよびこれを装備した塗料スプレーブース - Google Patents

ウェットスクラバおよびこれを装備した塗料スプレーブース

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JP2001025692A
JP2001025692A JP11197604A JP19760499A JP2001025692A JP 2001025692 A JP2001025692 A JP 2001025692A JP 11197604 A JP11197604 A JP 11197604A JP 19760499 A JP19760499 A JP 19760499A JP 2001025692 A JP2001025692 A JP 2001025692A
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gutter
venturi
wet scrubber
wall
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JP11197604A
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English (en)
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Makoto Yamazaki
誠 山崎
Hidetoshi Omori
英俊 大森
Hitoshi Yano
仁士 矢野
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Trinity Industrial Corp
Original Assignee
Trinity Industrial Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】排気流fがその中を通過して加速されるベンチ
ュリ形構造部2を備え、水wが構造部2の内壁8a、8
b上に供給され流下するウェットスクラバにおいて、排
気流f中に含まれる塗料粒子の捕捉性能を従来に比して
より改良し、しかも、その改良を既設のウェットスクラ
バに対して簡単な改造を為すだけで十分に達成でき、従
って既稼動の塗料スプレーブース20への適用を容易に
する。 【解決手段】上記構造のウェットスクラバ1においてベ
ンチュリ形構造部のうちベンチュリ喉部位6またはその
近傍部位に、好ましくは横断面がV字形の断面をなす散
水樋10、10(または水案内樋)を、構造部の内壁8
bより流路中央域にまで延設し、そして内壁8bより流
路中央域に導かれた散水樋10内の水が、その側縁13
より外に散って排気流fと混合されうる構造とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、気流中に含まれる
液体または固体の粒子を、粒子捕捉のための液体(通
常、水)の中に取り込ませて取り除くことができるウェ
ットスクラバ、並びに、該ウェットスクラバを装備し、
スプレー室からの排出空気の流れの中に含まれる塗料粒
子など(塗料ミスト)を捕捉して取り除くことができる
塗料スプレーブースに関する。なお、本発明のウェット
スクラバおよび塗料スプレーブースは、典型的には、自
動車組立て工場において自動車ボディおよび自動車部品
の塗装のために利用される。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車ボディ等を塗装する塗料ス
プレーブースにおいては、排気流の中に含まれた塗料粒
子を排気流より取り除くために、通常、湿式法、つまり
汚染された排気流を液体(普通、水)と接触させて混合
することによって、その中に含まれる塗料粒子を液体の
中に取り込んで捕捉する方法が採用され、そのための設
備としてウェットスクラバが備えられている。そして、
かかる湿式法のうち、典型的には、排気流をベンチュリ
と呼ばれる絞り構造部の中に通過させて加速するととも
に、塗料粒子の捕捉のための水を該構造部の内壁に供給
して流下させ、そしてその流下水を加速された排気流に
よって小滴に微粒化し、排気流と攪拌混合することによ
り、気流中の塗料粒子を水中に捕捉して取り除くという
方法が利用されている。この典型的なウェットスクラバ
は、気流の円滑な流れを確実にするという観点より、ベ
ンチュリ形構造内には、付加的な部材または要素が通常
設けられていないが、排気流との混合効率をより高める
べく、水シャワ孔をベンチュリ構造部の内壁に最細径の
喉部に向けて配備するという方法も提案されている。し
かし、この提案は、排気流中の塗料粒子などによって水
シャワ孔の目詰まりが経時的に生じるので、実用上好ま
しく採用できる案ではない。また、米国特許第 5,074,2
38号および同4,664,060号などは、この種の技術の改良
を提案するものである。ところで、本出願人は、ベンチ
ュリ形構造部を備えたウェットスクラバの改良として、
最近、渦流型ウェットスクラバを提案している(特願平
11-040105号など)。これは、ベンチュリ構造部に相当
する加速コーンと、混合チャンバ、渦流チャンバおよび
渦巻き体などが一体に結合され、まず、加速コーンの中
を通り抜けて加速された排気流と加速コーンの内壁上を
流れ落ちた水とを衝突混合させ、次いでこれを周回させ
て渦流を形成することにより、気流中の粒子を水内に取
りこみ、その後これらを減速させてから外に放出すると
いう構成のものであり、運転の間の圧力損失をより最少
にし、かつ、粒子の捕捉効率をも向上させることができ
る等の利点を有する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の技術
は、上述のように多くのウェットスクラバを開示するけ
れども、なお改良の余地が残されていた。確かに、上記
の渦流型ウェットスクラバは、圧力損失、エネルギー消
費および騒音等の面で改良されたものであるが、相対的
に大型の設備であるため、これを現在稼動している既設
の塗料スプレーブースに、既に取付けられたウェットス
クラバと交換して据え付ける場合、スクラバ室の内部構
造および余地空間の大きさなどにより、据え付けること
が困難な場合が結構ある。従って、既設の塗料スプレー
ブースにおいて、特に渦流型ウェットスクラバの据付け
が困難であるような塗料スプレーブースにおいて、排気
流中に含まれる塗料粒子の捕捉性能をより高く、しかも
エネルギー浪費少なく、改良することができるところの
他の手段および方法の開発が望まれていた。
【0004】そこで、本発明者は、既存のウェットスク
ラバ、とりわけベンチュリ形構造部を備えたウェットス
クラバについて、排気流中の塗料粒子の捕捉性能を改良
すべく、鋭意研究を重ねてきたところ、まったく驚くべ
きことに、ベンチュリ形構造部において、横断面がV字
形、半円弧形などの凹形状の断面をなす散水樋を、最細
径のベンチュリ喉部位またはその付近にて、構造部の内
壁より気流の流路中央域にまで延設すると、ウェットス
クラバの運転時において、ベンチュリ形構造部の内壁上
を流下する水が、散水樋に沿って気流の流路中央域に導
かれ、そして流路中央域を通過する気流によって散水樋
の側縁より微小滴もしくは霧となって外方に散り、この
結果、水と排気流との混合が一層促進され、排気流中に
含まれる塗料粒子の捕捉性能が格段に向上することを見
出した。また、本発明者は、別の態様として、ベンチュ
リ形構造部のうちベンチュリ喉部位またはその付近にお
いて、水案内樋を構造部の内壁より気流の流路中央域に
まで延設しかつこれに連なって散水樋を気流の流路中央
域に設けた構成としたときも、上記の場合と同様の作用
効果、つまりウェットスクラバの運転時、ベンチュリ形
構造部の内壁上を流下する水が、水案内樋に沿って気流
の流路中央域にまで導かれ、そして流路中央域を通過す
る気流によって散水樋の側縁より微小滴もしくは霧とな
って外方に散り、この結果水と排気流との混合が促進さ
れて、排気流中の塗料粒子の捕捉性能が著しく向上する
という驚くべき効果を奏することを見出し、そして、こ
こに本発明を完成するに至った。
【0005】従って、本発明の目的とするところは、ベ
ンチュリ形構造部を備えたウェットスクラバにおいて、
気流中に含まれる粒子の捕捉性能が従来に比して格段に
改良され、しかも運転時における圧力損失の上昇が小さ
い構成のものであって、特に既設のウェットスクラバに
対しては、簡単な改造を為すだけで十分な改良が達成さ
れるため、既稼動の塗料スプレーブースへの適用がいた
って容易であるという利点をも有するところのウェット
スクラバを提供することにある。本発明のもう一つの目
的は、上記のウェットスクラバの装備により、排気流中
に含まれる塗料粒子の捕捉性能が飛躍的に、しかもエネ
ルギー浪費少なく、改良された塗料スプレーブースを提
供することにある。なお、本発明のその他の目的は、以
下の記載より、または、その記載から自明な事項に基づ
いて、容易に理解されうる。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、より明確に
は、気流がその中を通過して加速されるベンチュリ形構
造部を備え、そして該気流に含まれる粒子の捕捉のため
の水が該構造部の内壁上に供給されて流下するウェット
スクラバであって、前記ベンチュリ形構造部のうち最細
径のベンチュリ喉部位またはその上流側もしくは下流側
の近傍部位において、散水樋を該構造部の内壁より気流
の流路中央域にまで延設し、そして該流路中央域に導か
れた前記構造部の内壁上の水が、該散水樋の側縁より外
に散って気流と混合されうる構造となっていることを特
徴とする、ウェットスクラバに関する。また、本発明
は、他の態様として、気流がその中を通過して加速され
るベンチュリ形構造部を備え、そして該気流に含まれる
粒子の捕捉のための水が該構造部の内壁上に供給されて
流下するウェットスクラバであって、前記ベンチュリ形
構造部のうち最細径のベンチュリ喉部位またはその上流
側もしくは下流側の近傍部位において、水案内樋を該構
造部の内壁より気流の流路中央域にまで延設し、かつ散
水樋を気流の流路中央域にて該水案内樋に連なって設
け、そして該水案内樋を経て該流路中央域に案内された
前記構造部の内壁上の水が、該散水樋の側縁より外に散
って気流と混合されうる構造となっていることを特徴と
する、ウェットスクラバに関する。これら本発明のより
好ましい態様にあっては、上記の散水樋は、横断面がV
字形、半円弧形またはこれらに近い形状の断面をなす樋
である。また、本発明は,他の側面において、 a)対象物の噴霧塗装が為されるスプレー室と、 b)該スプレー室の下方に配置し、そして、開口部を有
するフロープレートがその上部に備えられたスクラバ室
と、 c)該スクラバ室のフロープレートの下側に、ベンチュ
リ形構造部の上部が該開口部に適合するように装備され
た上記のウェットスクラバと、 d) 塗料粒子の捕捉のための水を前記フロープレート上
に供給しそして該ウェットスクラバのベンチュリ形構造
部の内壁上に流入させる水供給手段と、および e)取り除くべき塗料粒子を含む前記スプレー室からの
排出空気を、前記ウェットスクラバに通して引き出す排
気機構とを備えて成る、塗料スプレーブースに関する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明は、ベンチュリ形構造部
(ベンチュリと呼ばれる絞り構造部分)を備えたウェッ
トスクラバに関する。気流(塗料スプレーブースにあっ
ては、スプレー室からの排気流)がベンチュリ形構造部
の中を通過して加速されるとともに、水(塗料スプレー
ブースにあっては、フロープレートより流入する水)が
ベンチュリ形構造部の内壁上に供給されて流下し、そし
て、最細径のベンチュリ喉部位およびその付近におい
て、加速された気流によって流下水が小滴に微粒化し、
加速気流と攪拌混合され、気流中の粒子は流下水の中に
取り込まれて除去される構造となっている。塗料スプレ
ーブースの運転時において、水はウェットスクラバの内
壁に連続供給されるので、ベンチュリ形構造部の中にお
いて流下水と加速気流との混合が連続して為され、気流
中の粒子の流下水への除去が連続して行なわれる。塗料
スプレーブースに装備されるウェットスクラバにおい
て、ベンチュリ形構造部の喉部位は、通常、縦横がそれ
ぞれ約30cmないし約80cmの長さを有する矩形の
開口となっている。幅が約20cmであって長さが15
0cmぐらいまでの細長い矩形開口のベンチュリ喉部位
を備えたウェットスクラバも実用されている。また、ベ
ンチュリ形構造部の喉部位は、例えば半径(長径、短
径)がそれぞれ約30cmないし約80cmの長さを有
する円形もしくは楕円形の開口であってもよい。
【0008】本発明のウェットスクラバは、かような大
きさの開口であるベンチュリ喉部位またはその上流側も
しくは下流側の近傍部位において、一の態様において、
散水樋をベンチュリ形構造部の内壁より気流の流路中央
域にまで延設してなり、他の態様において、水案内樋を
ベンチュリ形構造部の内壁より気流の流路中央域にまで
延設しかつ散水樋を気流の流路中央域において水案内樋
に連なって設けてなる。従って、ウェットスクラバの運
転時において、ベンチュリ形構造部の内壁上を流下する
水の一部は、散水樋の中に浸入しそしてその樋に沿って
気流の流路中央域にまで導かれるか、または、水案内樋
の中に浸入しそしてその樋に案内されて気流の流路中央
域における散水樋に導かれる構成となっている。一般
に、ベンチュリ喉部位は最細径の部位であるため、気流
は、その喉部位を通過する時点で、最も高速度に加速さ
れる。しかも、一般に、ポアズイユの流れのごとく、ベ
ンチュリ形構造部内の流路の中で、内壁の表面上および
内壁に近い周縁域を通過する気流の速度は最も低く、そ
して通過気流の速度は内壁表面より離れるに従い、より
増大していき、中央域を通過する気流の速度は最も高く
なる。したがって、本発明では、ベンチュリ形構造部の
内壁より気流流路の中央域にまで導かれた散水樋内の水
には、より高速ないし最も高速度の気流が吹き当てられ
る構成となっている。言い換えると、気流流路の中央域
において、散水樋内の水は、樋の側縁より単に溢れて流
れ落ちるのではなく、吹き当てられた高速度気流の圧力
によって押されて、樋の側縁より外に向かって微小滴と
なって散り、通過する気流と混合されうる構成となって
いる。この場合、流体力学の原理に従い、散水樋の側縁
の近傍を通過する気流の速度は、散水樋の凹部中央に吹
き当たる気流の速度よりも、最大限2倍近くまで、より
速くなる。従って、本発明にあっては、散水樋の側縁よ
り外に溢れ出た水は、著しく速い高速度気流との接触に
より、細かな微小滴となって勢いよく外方へ散り、通過
する気流と激しく混合されうる。従来のベンチュリ形構
造部を備えたウェットスクラバにあっては、ベンチュリ
喉部位およびその付近において、該構造部の内壁上を流
下する水は、該内壁の表面上およびこれに近い周縁域を
流れる気流と主に接触して、気液混合される構成となっ
ていた。ベンチュリ形構造部の中を通過する気流はポア
ズイユの流れに類するものと考えられ、よって、内壁寄
りの周縁域を通過する気流の速度は、流路の中央域を通
過する気流の速度と比較して、相当により低いものとな
る。従って、この種の従来のウェットスクラバにあって
は、通過する気流のうち主により低速度の気流の部分と
水との混合が為されていたため、気液混合の効率がより
低いものであった。また、上記のことを別の観点より言
い換えると、従来構造のウェットスクラバにあっては、
ベンチュリ形構造部の中を通過する気流のうち、流路中
央域を通過する気流部分は、該構造部の内壁上を流れる
水と殆ど接触せず、つまり十分な気液混合が為されない
ままに、ベンチュリ形構造部を通過してしまうという構
成となっていた。とりわけベンチュリ喉部位が広口の開
口部となっている従来型ウェットスクラバにあっては、
気流が内壁上の水と混合しないまま通り抜ける傾向がよ
り強くなる。従来型ウェットスクラバを備えた自動車工
場の塗料スプレーブースにあっては、従来、気流中の粒
子の捕捉性能を向上させるために、ウェットスクラバに
対する空気の吸引力を増加するかまたはベンチュリ形構
造部の内部形状を通過気流全体の平均流速が上昇するよ
うな形状に変更するなどの方法が採られることがあった
が、圧力損失が格段に増加し、塗料粒子の除去のために
必要とされるエネルギーの消費量が著しく増大するとい
う問題をひきおこしていた。これに対して、本発明のウ
ェットスクラバにあっては、ベンチュリ喉部位およびそ
の付近において、該構造部の内壁上を流下する水は、該
内壁に近い周縁域を通過する気流と接触するだけでな
く、その一部は散水樋もしくは水案内樋の中に流れ込
み、気流の流路の中央域において、散水樋の側縁より溢
れ出る水が著しい高速度の気流と接触して気液混合され
る構成となっている。したがって、本発明のウェットス
クラバにあっては、通過する気流のうち、より低速度の
気流の部分と水との混合に加え、著しく高速度の気流部
分と水との混合が為され、従って、気液混合の効率が非
常に高いものになる。また、これを別の観点より言い換
えると、本発明のウェットスクラバにあっては、散水樋
の設置により、ベンチュリ形構造部の中を通過する気流
のうち、構造部内壁に近い周縁域を通過する気流部分に
加え、流路中央域を通過する気流部分も、効率よく水と
接触し、微小滴となった水との混合が十分に為される。
従って、とりわけベンチュリ喉部位が広口の開口部とな
っているウェットスクラバにあっても、気流が水と未接
触、未混合のままベンチュリ形構造部を通り抜けるとい
う事態の発生がより有効に防止される。したがって、本
発明のウェットスクラバは、上述のように気流全体と水
との十分な混合が為されうる構造となっているため、気
流中の粒子の捕捉性能が著しく向上する。本発明者は、
実際、ベンチュリ形構造部を備えた実用ウェットスクラ
バにおいて、ベンチュリ喉部位における通過気流の速度
がおよそ25〜27m/s以上となるように設定したと
き、散水樋の無い従来ウェットスクラバにあっては、排
気流中の塗料粒子の捕捉効率がおよそ85〜88%であ
ったところ、散水樋を気流の流路中央域に設けることに
よって、そのウェットスクラバは、排気流中の塗料粒子
の捕捉効率がおよそ96〜98%にまで向上するという
事実を確認している。また、ここで注目すべきことは、
本発明にあっては、下記するように、水と気流との高効
率混合を達成するために、散水樋(または、水案内樋お
よび散水樋)は例えば幅5cm未満、通常1〜2cmの
細長い構造材で足りるので、これら樋の装備によってひ
きおこされる圧力損失の増大量が実際上問題とならない
程度に大変低いものであるという点である。また、従来
のウェットスクラバには、上述したように、ベンチュリ
構造部の内壁に、水シャワ装置がベンチュリ喉部位に向
けて配備されたものも提案されている。しかし、この改
良ウェットスクラバは、水の噴霧によって、ただ単に小
滴の水を排気流の流路に供給するだけのものであり、高
速度気流との接触による水の微粒子化により水と気流と
の混合効率を飛躍的に上昇させうる装置ではない。従っ
て、上記の改良ウェットスクラバにおいても、排気流に
含まれる塗料粒子の捕捉性能の著しい向上は、期待でき
ない。その上、その改良ウェットスクラバにあっては、
水噴霧のためのエネルギーが新たに必要とされ、結果と
してエネルギー消費量が増大する。反対に、本発明のウ
ェットスクラバは、これらの欠点が無く、気流中の粒子
の捕捉性能の向上に加え、新たなエネルギーの追加が不
要であるという利点を有する。
【0009】本発明のウェットスクラバにおいては、水
の微粒子化のために、散水樋が、それ単独でまたは水案
内樋と連接されて、ベンチュリ形構造部内に備えられ
る。散水樋としては、ベンチュリ形構造部内の気流流路
の中央域に置かれたとき、樋内の水を樋の側縁より溢れ
させ、そしてその溢れ水を気流との接触により微小滴化
する機能を果たすことができる構造材であれば、本発明
に適用することができる。また、水案内樋としては、ベ
ンチュリ形構造部の内壁上の水を気流の流路の中央域に
まで案内しうる構造材であれば、本発明に適用すること
ができる。水案内樋を用いず、単独で使用される態様の
散水樋にあっては、この機能をも併せて有する。単独で
使用される態様の散水樋としては、例えば、ベンチュリ
形構造部の内壁より気流流路の中央域にまで延設されそ
して先端が閉じられた構造の樋部材でよく、また、内壁
のある部位より流路中央域にまで延設されさらに内壁の
対向する部位にまで延設された樋部材でもよい。また、
この種の散水樋としては、直線状に伸びた樋に限られ
ず、S字形等の曲線形状に彎曲した樋も、またジグザグ
形状に屈曲した樋、環状の樋なども本発明に適用するこ
とができる。また、水案内樋を設ける態様にあっては、
水案内樋としては、ベンチュリ形構造部の内壁より気流
流路の中央域にまで延設されそして先端が散水樋に連接
されている構造の樋部材であればよく、そして散水樋と
しては、気流流路の中央域において、水案内樋に連なっ
て例えば環形状にまたはS字形等の彎曲形状に形成され
た構造の樋部材であればよい。また、本発明における散
水樋は、実質平行に並び配置された複数の樋の組でもよ
く、また、樋部材と樋部材とが互いに交差して格子形状
をなす一体型の樋でもよい。散水樋のサイズ(特に幅寸
法)および配置数は、ベンチュリ喉部位の開口の大き
さ、通過する気流の流量、並びに、ベンチュリ形構造部
の内壁への水の供給量などに基いて、適宜決定される。
例えば、散水樋の幅寸法については、所望量の水を気流
の流路中央域に安定に供給するべく、通常、幅約1cm
ないし数cmの散水樋、好ましくは幅2、3cmの樋が
散水樋として適用される。また、一つの散水樋と隣の散
水樋との間隔は、効率的な気液混合を達成するという観
点より、通常、およそ5〜30cmの間隔に、より好ま
しくは約10〜約20cmの間隔に設定される。また、
本発明にあっては、基本的には、凹形状の横断面を有す
る構造材であれば、散水樋に適用することができる。例
えばコ字形、U字形、半円弧形またはV字形の横断面を
有する樋部材などは、本発明の散水樋に適用することが
できる。ただし、横断面がコ字形、U字形またはこれら
に近い形状の断面をなす散水樋にあっては、樋の側縁よ
り実質垂直に伸びる外側表面を有するものであるため、
樋の側縁より溢れ出た水の一部は、高速度気流の吹き当
てによって微小滴となって外方へ飛び散るが、残りの部
分の水は、小滴化せずにそのまま、樋の外側表面を伝っ
て下方へと流れ落ちる。即ち、散水樋からの溢れ水の中
の相当量は、気流との混合に利用されない。また、横断
面が半円弧形またはこれに近い形状の断面をなす散水樋
にあっては、樋の側縁より緩やかに内方へ彎曲しながら
下へ伸びる外側表面を有するものであるため、横断面が
U字形の断面をなす散水樋と比較して、散水樋からの溢
れ水のうち、微小滴となって高速度気流との混合に利用
される水の割合がより増大し、樋の外側表面を伝って下
方へと流れ落ちる水の割合がより減少する。そして、横
断面がV字形またはこれに近い形状の断面をなす散水樋
にあっては、樋の側縁より内方へ鋭く下へ伸びる外側表
面を有するものであるため、樋の外側表面を伝って下方
へと流れ落ちる水の量は殆ど少なく、散水樋からの溢れ
水のうち、高速度気流との接触で微小滴となって気流と
の混合に利用される水の割合は、最も高いものとなる。
したがって、本発明のより好ましい態様は、上記のウェ
ットスクラバにおいて、横断面がV字形、半円弧形また
はこれらに近い形状の断面をなす散水樋を備えたもので
ある。最も好ましい態様は、上記のウェットスクラバに
おいて、横断面がV字形またはこれに近い形状の断面を
なす散水樋を備えたものである。
【0010】自動車ボディ等の自動塗装に使用される塗
料スプレーブースは、一般に、頂部の給気室、中央のス
プレー室、および底部のスクラバ室より構成される。ス
クラバ室には、フロ−プレ−トが張設され、また、その
上面には、粒子捕捉のための水がフロ−プレ−ト中央の
開口部に向けて連続供給される構成となっている。そし
て、フロ−プレ−トの開口部には、ウェットスクラバが
それぞれ装備されている。ウェットスクラバは、通常、
塗料スプレーブースの長手方向に直線状に並び配置され
る。スクラバ室は、排気ダクトと結合され、そしてこれ
を介して排気機構のファン設備と連通している。従っ
て、排気機構の運転により、塗料スプレーブース内の空
気は排気ファンへと吸引され、スプレー室からの排気流
はウェットスクラバの中を通ってスクラバ室に放出さ
れ、そして排気ファンへと導かれる。一方、排気流中の
塗料粒子を捕捉するための水は、フロ−プレ−トよりウ
ェットスクラバ内へ流入し、その中で気流と気液混合さ
れ、スクラバ室に放出される。しかして、排気流中の塗
料粒子は、かかる過程を経て水の中に取りこまれて除去
される。このように、本発明のウェットスクラバは、か
ような一般的な構成の塗料スプレーブースに適用するこ
とができる。したがって、本発明は,他の側面におい
て、 a)対象物の噴霧塗装が為されるスプレー室と、 b)該スプレー室の下方に配置し、そして、開口部を有
するフロープレートがその上部に備えられたスクラバ室
と、 c)該スクラバ室のフロープレートの下側に、ベンチュ
リ形構造部の上部が該開口部に適合するように装備され
た上記のウェットスクラバと、 d) 塗料粒子の捕捉のための水を前記フロープレート上
に供給しそして該ウェットスクラバのベンチュリ形構造
部の内壁上に流入させる水供給手段と、および e)取り除くべき塗料粒子を含む前記スプレー室からの
排出空気を、前記ウェットスクラバに通して引き出す排
気機構とを備えて成る、塗料スプレーブースにも関す
る。
【0011】
【実施例】以下、本発明の最良の実施形態として、図面
により具体化された実施例を説明することにより、本発
明をより明らかにする。
【0012】実施例1 図4は、自動車工場において自動車ボディを噴霧塗装す
るのに使用される塗料スプレーブース20の内部を図示
する。ブース20は、3つのより小さい区分室、即ち、
頂部の給気室21、中央のスプレー室22、および底部
のスクラバ室23に分かれている。ブース20は、排気
ダクト24と接続され、これは、排気ファン機構(図示
せず)に導かれている。給気室21には、フィルタ25
が、この区分室とスプレー室22との境に張設固定され
ている。また給気室21には、バグフィルタ26も装備
されている。従って、空気中の塵埃がバグフィルタ26
およびフィルタ25によって除去された後、調温・調湿
された空気がスプレー室22に、垂直に下降する気流と
なって供給される。スプレー室22には、自動車ボディ
27に対する自動噴霧塗装をなすための塗装ロボット2
9または他の塗装装置が、通常、自動車ボディ27が台
車28上にて搬送される路の左右両側にそれぞれ配備さ
れている。従って、塗装の間に、自動車ボディ27に付
着しなかった余剰の塗料は、塗料ミストとして、空気中
に浮遊する。スクラバ室23には、図5に拡大して示す
ように、その上部において、フロープレート30が張設
されており、このフロープレート30の中央には、開口
部31・・が形成されている。本実施例のウェットスク
ラバ1は、その入り口5部分がこれら開口部31・・に
固着されることで、フロープレート30に装着されてい
る。従って、スプレー室22内の空気(塗料ミストを含
む)は、排気ファン機構の運転により吸引され、下降す
る排気流として、ウェットスクラバ1の中に導入され、
そして、ウェットスクラバ1の中を通過して、出口19
よりスクラバ室23の下部空間に放出される。他方、フ
ロープレート30の左右両側には、桶32、32がそれ
ぞれ備えられ、そして、それら桶32、32には、給水
管33、33が各々導入されている。従って、図示しな
いポンプの運転によって、水が左右の桶32、32にそ
れぞれ供給される。そして、水は、左右の桶32、32
より溢れ出、フロープレート30上を流れて、浅い水溜
り(図中、W)を形成し、次いで、その中央付近におい
て、ウェットスクラバ1の入り口5の周縁9を乗り越え
て、その中に流入する。この水Wは、排気流の中に含ま
れる塗料粒子を捕捉するための液体である。なお、フロ
ープレート30には、例えば約20〜約30孔の開口部
31・・が、塗料スプレーブース20の長手方向(図示
せず)に例えば0.5m〜1.5mの等間隔にて一列に
形成され、そしてそれら開口部31・・には、本実施例
のウェットスクラバ1・・がそれぞれ装着されている。
従って、本実施例のウェットスクラバ1・・は、塗料ス
プレーブース20において、その長手方向に一列に並ん
で配備されている。また、スクラバ室23は、排気ダク
ト24と結合され、これを介して排気ファン機構と連通
している。スクラバ室23には、ウェットスクラバ1・
・の出口19より下方の底部に、ドレイン34が設けら
れており、そこには、ウェットスクラバ1より放出され
た、塗料を含む水が落下して集まる。また、排気ファン
機構に連通する気流の流路には、いくつかのミストセパ
レータ35・・が取り付けられている。
【0013】次に、スプレー室22からの排気流の中に
含まれる塗料粒子を捕捉して取り除くのに使用されると
ころの本実施例のウェットスクラバ1の詳細を説明す
る。ウェットスクラバ1は、図1に示すように、ベンチ
ュリ形構造部2、該構造部2の下側に連結された混合部
3、および、該混合部3の側方に水平に連結された減速
部4より構成されている。ベンチュリ形構造部2は、ス
プレー室22からの排気流fがその中を通過して加速さ
れるベンチュリと呼ばれる絞り構造部分よりなり、図2
に示すように、上端に、大きな丸穴の入り口5と、下端
に、最細径のベンチュリ喉部位6とを有する。入り口5
は、その周壁が外方に折り返されて開口部31に係止さ
れることで、フロープレート30に固着されている。ベ
ンチュリ形構造部2は、これら図に示されるように、入
り口5より下方に連なる上部2aと、さらに下方に喉部
位6まで連なる下部2bとに分れている。上部2aと下
部2bの境における開口7aは、円形の開口となってお
り,またベンチュリ喉部位6における開口7bは、縦横
が約45cmおよび約55cmの長さを有する矩形の開
口となっている。従って、上部2aは、円筒内面に近い
形状であって開口断面積が下方に進むに従い縮小する構
成の内壁8aを有し、また下部2bは、四角筒内面に近
い形状であって開口断面積が下方に進むに従い縮小する
構成の内壁8bを有する。したがって、ベンチュリ形構
造部2は、排気ファン機構の吸引によりスプレー室22
からの排気流fがその中を通り抜けるとき、加速され、
排気流fの速度は最細径のベンチュリ喉部位6を通過す
るとき、最も速くなり、一方、フロープレート30上の
水Wが入り口5の周縁9を乗り越えて(図1中、pはそ
の水の流れを表わす。)、ベンチュリ形構造部2内に供
給され、内壁8a上をそして内壁8b上を流下し(図1
中、wは、構造部2の内壁8a上および内壁8b上を流
下する流下水の膜を表わす。)、そして、ベンチュリ喉
部位6付近において、流下水膜wが高速度の排気流fの
吹き当てによって小滴化し、混合部3へと落下する構成
となっている。混合部3は、その底にプール11を形成
するチャンバであって、プール11には、喉部位6付近
にて小滴化して落下してきた水が溜まる構成となってい
る。混合部3内において、ベンチュリ喉部位6を通過し
た排気流fは、プール11に溜まった水と衝突して、気
液混合がなされる。その後、排気流fと小滴の水との混
合体は、流れの向きを変えて減速部4へと導かれるが、
その際、ベンチュリ形構造部2より落下した水の幕cを
通り抜ける。こうして、排気流fと水との気液混合が効
率よく進行し、排気流fに含まれる塗料粒子などは、小
滴状の水の中に取り込まれる構成となっている。なお、
混合部3は、調節板12、12をベンチュリ喉部位6よ
り、対向するように吊設してなる。調節板12、12
は、内方へまたは外方へ傾動可能であり、この傾動によ
って喉部位6より下流の流路の断面積を自在に変えるこ
とができる。従って、調節板12、12の傾動によって
流路の断面積を拡大または縮小することにより、プール
11に向かう排気流fの速度は、制御されうる構成とな
っている。また、減速部4は、混合部3の側方に連結さ
れた筒状のダクトであって、開口の断面積が混合部3と
の連結部位より出口19に向かって増加する構造となっ
ている。混合部3より導かれた排気流fと水との混合体
は、減速部4の中を流通しながら減速され、そして小滴
状の水と混合された排気流fは、十分低速度になった
後、出口19よりスクラバ室23内に放出され、また、
混合部3において排気流fと十分混和されなかった水並
びに減速部4において排気流fの減速によって減速部4
内で落下した水は、減速部4の内壁表面を伝って出口1
9より流出される。しかして、ウェットスクラバ1の出
口19より放出された排気流fは、その中に含まれてい
た塗料粒子などが既に除去されたものであるが、スクラ
バ室23の中を廻って流れ、そして排気ダクト24を経
て外気に放出される。他方、ウェットスクラバ1の出口
19より流出した水は、排気流f中の塗料粒子などを取
り込んで含むものであるが、ドレイン34へと落下し
(図4、図5)、その後回収される。
【0014】そして、本実施例においては、図1、図2
そして、図3に詳細に示すように、ベンチュリ喉部位6
において、二本の散水樋10、10がそれぞれ、ベンチ
ュリ形構造部2の一方側の内壁8bより気流の流路中央
域15(図6)を経て反対側の内壁8bにまで延設され
ている。二本の散水樋10、10は、各々、V字形の横
断面を有する幅約2.5cmの樋部材であって、約20
cmの間隔をあけて平行に並設されている。従って、ウ
ェットスクラバの運転時において、ベンチュリ形構造部
2の内壁8b上を流下する水wの一部は、散水樋10、
10の中に浸入し(図3中、qは樋10の中へ流入する
水の流れを表わす。)、そして、樋10、10に沿って
気流の流路中央域にまで導かれ、そして樋の左右の側縁
13,13より溢れ出る構成となっている。一般に、ベ
ンチュリ喉部位6は最細径の部位であるため、そこを通
過するとき、排気流fは最も高速度に加速される。また
一般に、図6に示すように、気流の速度は、ベンチュリ
形構造部2内の流路の中で、一様でなく、放物線状の速
度分布をなし、中央域14を通過する気流の速度va
は、内壁に近い周縁域15を通過する気流の速度vbよ
りも、格段により速いものになる。従って、ベンチュリ
形構造部2の内壁8b上より流路中央域14にまで導か
れた散水樋10、10内の水には、より高速ないし最も
高速度の気流が吹き当てられる。よって、図7に示すよ
うに、散水樋10内の水は、吹き当てられた高速度気流
の圧力によって押されて、樋の左右の側縁13、13よ
り外に向かって微小滴となって散り、通過する気流と混
合されうる。この場合、散水樋10の側縁13の近傍を
通過する気流の速度vc(図8(a))は、散水樋10のV
字形凹部の中央に吹き当たる気流fの速度のおよそ1.
5倍にまでより速くなる。従って、散水樋10の側縁1
3、13より外に溢れ出た水は、著しく高い速度の排気
流fとの接触により、細かな微小滴となって勢いよく散
り、通過する排気流fと激しく混合されうる。したがっ
て、本実施例にあっては、ベンチュリ喉部位6およびそ
の付近において、ベンチュリ形構造部2の内壁8b上を
流下する水は、内壁8bに近い周縁域15を通過する排
気流fと接触するだけでなく、その一部は散水樋10,
10の中に流れ込み、そして流路の中央域14におい
て、樋10の側縁13より溢れ出る際、溢れ水は著しい
高速度の排気流fと接触して微小滴となって攪拌混合さ
れる。すなわち、本ウェットスクラバにあっては、通過
する排気流fのうち、より低速度の気流部分は内壁8b
上の流下水と混合され、著しく高い速度の気流部分は散
水樋10からの溢れ水と混合され、従って、気液混合の
効率が非常に高いものになる。また、本ウェットスクラ
バ1にあっては、流路中央域14を通過する高速度の気
流部分についても、微小滴状の水との混合が為されるの
で、排気流fが水と未接触、未混合のままベンチュリ形
構造部2を通り抜けるという事態の発生がより有効に防
止される。以上より、本例のウェットスクラバ1は、排
気流f中の塗料粒子の捕捉性能が著しく向上する。しか
も、この捕捉性能の向上効果は、ベンチュリ形構造部2
を備えた既設のウェットスクラバに対して、散水樋10
の装備だけで得ることができるので、有利である。な
お、上記の実施例にあっては、散水樋10は、V字形の
横断面を有する樋部材であるが、図8(b) に示すような
横断面が半円弧形の断面をなす散水樋16、並びに、図
8(c)に示すような横断面がコ字形の断面をなす散水樋
17も、同様に適用することができる。ただし、微小滴
となって排気流fとの混合に利用される溢れ水の割合
が、散水樋の断面形状によって異なる。図8(a)に示す
ような横断面がV字形の断面をなす散水樋10にあって
は、その外側表面18が樋の側縁13より内方へ鋭く下
へ伸びる構造であるため、樋の外側表面18を伝って下
方へと流れ落ちる水の量は殆ど少なく、散水樋10から
の溢れ水のうちで、高速度排気流fとの混合に利用され
る微小滴状の水の割合は、最も高いものになる。しか
し、図8(b) に示すような横断面が半円弧形の断面をな
す散水樋16にあっては、外側表面18が樋の側縁13
より緩やかに内方へ彎曲しながら下へ伸びる構造である
ため、散水樋16からの溢れ水のうち、ある程度の量の
水は、樋の外側表面18を伝って下方へと流れ落ち、微
小滴状となって排気流fとの混合に利用される水の割合
は、V字形の横断面を有する散水樋10と比較して、よ
り減少する。さらに、図8(c)に示すような横断面がコ
字形の断面をなす散水樋17にあっては、外側表面18
が樋17の側縁13より実質垂直に下方へ伸びる構造で
あるため、樋の側縁13より溢れ出た水のうち、多くの
部分は、小滴化せずにそのまま、樋17の外側表面18
を伝って下方へと流れ落ち、従って、微小滴状となって
排気流fとの混合に利用される水の割合は、最も少ない
ものとなる。
【0015】以上のように、本実施例のウェットスクラ
バ1においては、塗料スプレーブース20のスプレー室
22からの排気流f中に含まれる塗料粒子の捕捉性能が
従来に比してより格段に改良され、しかも、既設のウェ
ットスクラバに対して散水樋の装備という簡単な改造を
為すだけで、十分な改良を達成することができ、従っ
て、既稼動の塗料スプレーブースへの適用がいたって容
易であるという利点を有する。この改良効果は、既設の
ウェットスクラバに対して散水樋を装備した実施例の場
合と散水樋を装備する前の従来例の場合とについて、次
に示される対比実験の結果からも、確認される。
【0016】実施例2 この実施例は、実施例1の塗料スプレーブースにおい
て、ウェットスクラバ1の代わりに、図9ないし図11
に示されるウェットスクラバ41を適用した例である。
この実施例2のウェットスクラバ41の構成は、以下に
おいて特に言及しない限り、実施例1と同様である。ウ
ェットスクラバ41は、図9に示すように、スプレー室
22からの排気流fがその中を通過して加速されるベン
チュリ形構造部2a、該構造部2aの下側に連結された
混合部3、および、該混合部3の側方に水平に連結され
た減速部4より構成されている。本例のベンチュリ形構
造部2aは、ベンチュリ喉部位6aが円形の開口となっ
ている。排気ファン機構の吸引により、スプレー室22
からの排気流fが、ベンチュリ形構造部2aの中を通り
抜けるとき加速される一方、フロープレート30上の水
Wが入り口5の周縁9を乗り越えて構造部2a内に供給
され、内壁8上を流下し(図10中、wは内壁8上を流
下する水の膜を表わす。)、そして喉部位6a付近にお
いて、流下水膜wが高速度の排気流fの吹き当てによっ
て小滴化し、混合部3へと落下する構成となっている。
本実施例においては、図10および図11に詳細に示す
ように、ベンチュリ喉部位6aにおいて、四本の水案内
樋42・・がそれぞれ、ベンチュリ形構造部2aの内壁
8より気流の流路中央域にまで延設され、かつ、気流の
流路中央域において、環形状の散水樋43が四本の水案
内樋42・・に連なって設けられている。水案内樋42
・・は、四方よりそれぞれ、内壁8から流路の中心に向
けて少し下がる姿勢にて対称的に配置されている。水案
内樋42はV字形の横断面を有し、散水樋43はコの字
形の横断面を有し、これらはともに幅約2.5cmの樋
部材である。従って、ウェットスクラバ41の運転時に
おいて、ベンチュリ形構造部2aの内壁8上を流下する
水wの一部は、水案内樋42の中に浸入し、次いでこの
樋42内を下り流れて気流の流路中央域にまで案内さ
れ、そして散水樋43内に流入し、続いて樋43の環状
の側縁13より全周にわたって、外方へそして内方へ溢
れ出る構成となっている。なお、これら樋42、43の
下側には、広口の円筒で底に向かって縮径する形状の調
節筒44が固定され、また、その内側には、図中、矢印
tで示される範囲で上下動可能な裾広がり形状の調節体
45が、その頭部が環形の散水樋43の中に収まるよう
に備えられている。調節筒44は、開口の丸底46を有
する部材であって、その外周面に形成されたリブ47を
構造部2aの内壁8上の支持鍔48の上に係止すること
によって、ベンチュリ形構造部2a内に配置されてい
る。従って、調節体45の昇降により丸底46における
流路の断面積を自在に変えることができ、よって、その
断面積の拡大または縮小により、混合部3に向かう排気
流fの速度を制御しうる構成となっている。
【0017】しかして、本実施例にあっては、ベンチュ
リ喉部位6a付近において、ベンチュリ形構造部2aの
内壁8上を流下する水は、内壁8に近い周縁域を通過す
る排気流fと接触するだけでなく、その一部は、水案内
樋42の中に流れ込み、樋42内を下り流れて流路の中
央域に案内され、そして環形状の散水樋43の中に流入
し、続いてそれが樋43の側縁13より溢れ出る際、溢
れ水は、大変高い速度の排気流fと接触して微小滴とな
って激しく気液混合される。すなわち、ウェットスクラ
バ41にあっては、通過する排気流fのうち、より低速
度の気流部分は内壁8上の流下水と混合され、著しく高
い速度の気流部分は散水樋43からの溢れ水と混合さ
れ、従って、気液混合の効率が非常に高いものになる。
また、ウェットスクラバ41にあっては、流路中央域を
通過する高速度の気流部分についても、微小滴状の水と
の混合が為されるので、排気流fが水と未接触、未混合
のままベンチュリ形構造部2aを通り抜けるという事態
の発生がより有効に防止される。以上より、本例のウェ
ットスクラバ41もまた、排気流f中の塗料粒子の捕捉
性能が従来に比して著しく向上する。しかも、この捕捉
性能の向上効果は、ベンチュリ形構造部を備えた既設の
ウェットスクラバに対して、水案内樋42・・および散
水樋43の装備だけで得ることができ、既稼動の塗料ス
プレーブースへの適用が容易であるので、大変有利であ
る。
【0018】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ベンチュリ形構造部を備えたウェットスクラバにおい
て、気流中に含まれる粒子、とりわけ塗料スプレーブー
スのスプレー室からの排気流中に含まれる塗料粒子の捕
捉性能が従来に比してより格段に改良され、しかも、ウ
ェットスクラバの運転時における圧力損失の上昇が問題
とならない程に小さくて済み、エネルギー浪費の面でも
優れているという効果が得られる。特に、本発明によれ
ば、既設のウェットスクラバに対しては、簡単な改造を
為すだけで十分な改良を達成することができ、従って、
既稼動の塗料スプレーブースへの適用がいたって容易で
あるという利点をも有する。また、本発明の塗料スプレ
ーブースによれば、本発明のウェットスクラバの装備に
より、塗料スプレーブースのスプレー室からの排気流中
に含まれる塗料粒子の捕捉性能が飛躍的に、しかもエネ
ルギー浪費少なく、改良されるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施例1のウェットスクラバ
を示す概略図である。
【図2】図2は、図1に示された実施例1のウェットス
クラバを上方より見た平面図である。
【図3】図3は、図1に示された実施例1のウェットス
クラバのベンチュリ喉部位を斜め上方より見た拡大斜視
図である。
【図4】図4は、図1に示された実施例1のウェットス
クラバが装備された塗料スプレーブースを示す概略図で
ある。
【図5】図5は、図4に示された塗料スプレーブースの
スクラバ室の内部を拡大して示す図である。
【図6】図6は、図1に示された実施例1のウェットス
クラバにおいて、ベンチュリ形構造部における気流の通
過並びに水の流下の様子を示す図である。
【図7】図7は、図1ないし図3に示された実施例1の
ウェットスクラバにおいて、ベンチュリ喉部位付近にお
ける気液混合の様子を示す図である。
【図8】図8(a)ないし図8(c)は、実施例1のウェット
スクラバにおいて、散水樋より、水が微小滴化して外へ
散る様子を示す図であって、図8(a) は横断面がV字形
の断面をなす散水樋である場合、図8(b)は横断面が半
円弧形の断面をなす散水樋である場合、図8(c)は横断
面がコ字形の断面をなす散水樋である場合をそれぞれ表
わす。
【図9】図9は、本発明の実施例2のウェットスクラバ
を示す概略図である。
【図10】図10は、図9に示された実施例2のウェッ
トスクラバのベンチュリ形構造部を拡大して示す図であ
る。
【図11】図11は、実施例2のウェットスクラバにお
いて図10に示されたベンチュリ形構造部を上方より見
た拡大図である。
【符号の説明】
1 ウェットスクラバ 2、2aベンチュリ形構造部 3 混合部 5 入り口 6、6a ベンチュリ喉部位 7a、7b 開口 8、8a、8b 内壁 10 散水樋 13 側縁 14 流路中央域 15 流路周縁域 17 散水樋 18 散水樋 20 塗料スプレーブース 21 給気室 22 スプレー室 23 スクラバ室 24 排気ダクト 30 フロープレート 41 ウェットスクラバ 42 水案内樋 43 散水樋 f ベンチュリ形構造部内を通過する排気流 W 粒子捕捉のための水 p ベンチュリ形構造部の入り口より、その中に流入
する水の流れ w ベンチュリ形構造部の内壁上を流下する水 q ベンチュリ形構造部の内壁より散水樋の中に浸入
する水の流れ va 流路中央域における排気流の速度 vb 流路周縁域における排気流の速度 vc 散水樋の側縁を通過するときの排気流の速度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 矢野 仁士 愛知県豊田市柿本町1丁目9番地 トリニ ティ工業株式会社内 Fターム(参考) 4D073 AA01 BB03 DC02 DC12 4F042 AA09 CC01 CC14 CC21

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気流がその中を通過して加速されるベン
    チュリ形構造部を備え、そして該気流に含まれる粒子の
    捕捉のための水が該構造部の内壁上に供給されて流下す
    るウェットスクラバであって、 前記ベンチュリ形構造部のうち最細径のベンチュリ喉部
    位またはその上流側もしくは下流側の近傍部位におい
    て、散水樋を該構造部の内壁より気流の流路中央域にま
    で延設し、そして該流路中央域に導かれた前記構造部の
    内壁上の水が、該散水樋の側縁より外に散って気流と混
    合されうる構造となっていることを特徴とする、ウェッ
    トスクラバ。
  2. 【請求項2】 前記散水樋は、横断面がV字形、半円弧
    形またはこれらに近い形状の断面をなす樋であることを
    特徴とする、請求項1に記載のウェットスクラバ。
  3. 【請求項3】 気流がその中を通過して加速されるベン
    チュリ形構造部を備え、そして該気流に含まれる粒子の
    捕捉のための水が該構造部の内壁上に供給されて流下す
    るウェットスクラバであって、 前記ベンチュリ形構造部のうち最細径のベンチュリ喉部
    位またはその上流側もしくは下流側の近傍部位におい
    て、水案内樋を該構造部の内壁より気流の流路中央域に
    まで延設し、かつ散水樋を気流の流路中央域にて該水案
    内樋に連なって設け、そして該水案内樋を経て該流路中
    央域に案内された前記構造部の内壁上の水が、該散水樋
    の側縁より外に散って気流と混合されうる構造となって
    いることを特徴とする、ウェットスクラバ。
  4. 【請求項4】 前記散水樋は、横断面がV字形、半円弧
    形またはこれらに近い形状の断面をなす樋であることを
    特徴とする、請求項3に記載のウェットスクラバ。
  5. 【請求項5】a)対象物の噴霧塗装が為されるスプレー
    室と、 b)該スプレー室の下方に配置し、そして、開口部を有
    するフロープレートがその上部に備えられたスクラバ室
    と、 c)該スクラバ室のフロープレートの下側に、ベンチュ
    リ形構造部の上部が該開口部に適合するように装備され
    た請求項1ないし請求項4のうちいずれか一項に記載の
    ウェットスクラバと、 d) 塗料粒子の捕捉のための水を前記フロープレート上
    に供給しそして該ウェットスクラバのベンチュリ形構造
    部の内壁上に流入させる水供給手段と、および e)取り除くべき塗料粒子を含む前記スプレー室からの
    排出空気を、前記ウェットスクラバに通して引き出す排
    気機構とを備えて成る、塗料スプレーブース。
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