JP2001025511A - 放射エネルギー照射装置 - Google Patents

放射エネルギー照射装置

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JP2001025511A
JP2001025511A JP11232042A JP23204299A JP2001025511A JP 2001025511 A JP2001025511 A JP 2001025511A JP 11232042 A JP11232042 A JP 11232042A JP 23204299 A JP23204299 A JP 23204299A JP 2001025511 A JP2001025511 A JP 2001025511A
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radiant energy
light
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irradiation device
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Shiro Otake
史郎 大竹
Kazuaki Okubo
和明 大久保
Kenjiro Hashimoto
健次郎 橋本
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生体機能を維持・増進させる光(放射エネル
ギー)の照射(特に、赤色〜近赤外の波長域の放射)
を、日常の生活の中で特に意識することなく生体に与え
ることによって、生活環境にかかわらず常により健康な
生体状態を実現することができる、光(放射エネルギ
ー)の照射装置及び照射方法を提供する。 【解決手段】 放射エネルギー照射装置が、可視波長域
の放射と生体内部に浸透して生体機能を維持・増進させ
る所定の波長域の放射とを含む照明用の照明光を照射す
る手段を備えている。例えば、上記の所定の波長域が6
00nm〜1100nmの範囲である。この所定の波長
域の放射によって、生体の免疫力を増強させたり自律神
経を活性化させたりして、生体機能を維持・増進させる
ことができる。可視波長域の放射のための放射手段と所
定の波長域の放射のための放射手段とは、一体化されて
いてもよく、或いは、可視波長域の放射のための放射手
段及び所定の波長域の放射のための放射手段のうちの少
なくとも一方が、独立して設けられていてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、日常生活において
無意識のうちに生活者の生体機能を維持・増進させるこ
とができる光(放射エネルギー)の照射を実現する、光
(放射エネルギー)の照射方法及び照射装置に関する。
【0002】更に、本発明は、上記のような光(放射エ
ネルギー)の照射機能に加えて一般的な照明機能も有す
る照明装置として機能する、光(放射エネルギー)の照
射装置に関する。また、本発明は、上記のような光(放
射エネルギー)照射機能に加えて画像表示機能(ディス
プレイ機能)も有するディスプレイ装置(例えば、テレ
ビ画像表示装置、コンピュータ用表示装置、及びゲーム
用表示装置等に代表されるディスプレイ装置)として機
能する、光(放射エネルギー)の照射装置に関する。
【0003】
【従来の技術】近年、我々をとりまく社会環境は、内分
泌撹乱関連物質の存在をはじめとする住環境の悪化、通
勤距離の増大や市場競争の激化による疲労感、情報の氾
濫など、ストレス要因が増大している。この影響は、人
間のみならず、ペット、家畜など他の生体においても、
免疫力の低下や自律神経の失調など、生体機能における
障害を生じさせている。このため、人間をはじめとする
生体が置かれている環境において、生体機能を維持・増
進させる手段を必要としている。
【0004】生体は、本来、太陽光の下で生体機能を維
持してきた。このため、光の照射によって生体機能の維
持・増進を図ることができるという考え方があり、ま
た、昼光が人間の健康に必要であると古くから言われて
きている。特に、生体に浸透する作用のある近赤外放射
により、自律機能、分泌機能、及び免疫機能に関連する
生体部位を効果的に刺激できれば、生体機能の調節を外
部から促進できることになる。
【0005】しかし、一般家庭の照明やオフィスの照明
としては、その効率の向上のために、蛍光ランプが普及
している。一方、近年の労働者の生活環境は、遠距離通
勤に加えて、地下や高層ビルの上に職場が移動したこと
により、太陽の光を浴びる機会の少ない生活を余儀なく
されている。また、一般の人の生活でも、梅雨の時期
(雨季の期間中)や、冬季における高緯度地方などで
は、太陽の光を浴びる機会が少なくなる場合がある。
【0006】一方、一般に、テレビ画像を観るテレビ鑑
賞や、コンピュータ及び情報機器の表示装置を使用した
業務、表示装置を使用したTVゲームなどを長時間に渡
って行っていると、目の疲労だけでなく、精神的なスト
レスが引き起こされる。このようなストレスは、精神的
な疲労だけでなく、免疫力をはじめとする生体機能の低
下を生じさせることが知られている(文献1:交通・予
防医学研究財団研究報告書、「長距離運転と短距離運転
がα波とNK細胞活性に与える影響」、1995)。
【0007】上記に関連して、近年の研究では、赤色光
が、免疫力であるNK(NaturalKiller)細胞活性を向
上させることが報告されている(文献2:第19回日本
光医学・光生物学会、B7−43、「前頭部への赤色発
光ダイオード光照射がNK細胞活性に及ぼす影響につい
ての検討」、1997、文献3:特開平9−84888
号公報、「非侵襲的免疫監視能増強方法及び前頭部パル
ス光照射用具」)。この現象は、生体深部に到達する赤
色光が、頭部の視床下部などの免疫機能に関連する部位
に刺激を与えたことによる可能性があるとされている。
【0008】NK細胞は、免疫系で重要な役割を持つ細
胞であり、且つ、癌細胞やウイルスを攻撃殺傷する重要
な細胞である。しかし、精神的及び身体的なストレスや
老化によって、NK細胞の量や活性度が低下し、それに
よって、腫瘍の発生やウイルス感染が生ずる。従って、
日常生活において、NK細胞活性の維持・増進は、重要
な課題となっている。
【0009】特に、太陽光のように赤色及び近赤外放射
を多く含む照明光の下のほうが、それらを含まない蛍光
灯照明の下のみの生活環境よりも、より免疫力が向上す
ることが推測できる。逆に、太陽光を浴びることなく、
また赤色及び近赤外放射の少ない蛍光灯照明の下での生
活では、NK細胞活性の長時間の低下が予想される。例
えば、部屋に閉じこもって一日中TVを視る高齢者の生
活、長時間に渡ってコンピュータを使用する屋内での事
務作業、或いはTVゲームなどは、免疫力の低下という
観点からは弊害が多い。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】図1には、一般に使用
されている光源として、(a)三波長域発光型昼光色蛍
光ランプ、(b)白色蛍光ランプ、(c)60Wシリカ
電球、並びに、(d)文献2で使用されたものと同種の
発光ピーク波長660nmの発光ダイオード(LED)
の各々について、分光分布(波長に対する相対分光放射
エネルギーの分布)を示す。また、表1には、被験者の
前額部への635nm以上の放射照度が文献1における
値と同等になるために必要な照度(単位:ルクス)、す
なわち、文献1でLEDによって得られているものと同
等のNK細胞活性を得るために必要な照度(単位:ルク
ス)を、上記の4種類の光源の各々について示す。具体
的には、表1には、波長635nm〜1000nmの範
囲における各光源の放射照度、並びに、発光ピーク波長
660nmのLEDによる照度80lxで30分間の照
射で得られるものと同等のNK細胞活性を30分間の照
射で得るために必要な照度を、各光源に関して示してい
る。なお、635nmという波長は、発光ピーク波長6
60nmのLEDの半値波長である。
【0011】
【表1】
【0012】これより、蛍光ランプは、昼光色タイプ及
び白色タイプの何れでも、図1に示すように波長700
nm以上の放射をほとんど有さず、上述した好ましい効
果をもたらす赤色及び近赤外領域の放射が得られない。
蛍光灯照明によるオフィス照明での作業面(机の上)の
照度は、一般に約1000ルクスであるが、表1からわ
かるように、LEDと同様の赤色及び近赤外領域の照射
の効果(NK細胞の活性化)を蛍光灯照射で得るために
は、上記の一般的なオフィス照明における値の約2倍或
いはそれ以上の照度を必要とする。
【0013】一方、シリカ電球(白熱電球)は、図1に
示されるように、赤色及び近赤外領域における十分な放
射をもたらすので、LED照射よりも少ない照度で、L
EDと同等のNK細胞活性の効果を得ることができる。
しかし、シリカ電球は効率(照度/投入電力)が悪いた
めに省電力の点で不利であり、また、熱放射の点で好ま
しくない効果をもたらす。
【0014】更に文献3では、波長660nmのLED
の光を、α波を誘発する目的で0.5Hz〜13Hzの
パルス光として照射した場合に、NK細胞活性の増強が
より顕著になることが報告されている。文献3に開示さ
れる装置構成は治療器として作用させることを想定して
おり、その場合には、照射対象の人は目を閉じているた
めに、上記のような赤色点滅光を照射しても問題が発生
しない。しかし、その原理(赤色点滅光の照射)を一般
の照明装置に応用すると、その照明下で生活或いは作業
する人にとっては、上記のような赤色域の点滅周波数は
極めて不快であって、てんかんを誘発する恐れもある。
【0015】以上のように、従来の照明技術では、免疫
力の維持・増進に効果的な赤色及び近赤外領域における
放射を十分にもたらすことができる、昼光に代わる光源
を得ることができない。また、赤色及び近赤外領域にお
ける放射を十分に得る目的で、ディスプレイ装置の表示
部(画面)の周囲に光源を配置することも考えられる
が、そのような装置構成(光源配置)は、観察者にまぶ
しさを感じさせて不快感を生じさせる結果となり、更に
作業性も悪化するので、好ましくない。
【0016】上記のように、従来技術では、昼光を十分
に浴びることができず、人工照明の下で長時間に渡って
TVを視たりディスプレイによる作業を行う人に対し
て、NK細胞の活性の維持・向上を図ることができな
い。従って、従来技術では、ストレスの多い社会環境の
中で必要とされる、免疫機能や自律機能などの生体機能
を維持・増進できるような実用的な光(放射エネルギ
ー)の照射方法及び照射装置は、得られない。
【0017】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたものであって、その目的は、(1) 生体機能を
維持・増進させる光(放射エネルギー)の照射(特に、
赤色〜近赤外の波長域の放射)を、日常の生活の中で特
に意識することなく生体に与えることによって、生活環
境に関わらず、常により健康な生体状態を実現すること
ができる、光(放射エネルギー)の照射装置及び照射方
法を提供すること、(2)上記のような光(放射エネル
ギー)の照射機能に加えて一般的な照明機能も有する照
明装置として機能する、光(放射エネルギー)の照射装
置を提供すること、並びに、(3)上記のような光(放
射エネルギー)の照射機能に加えて画像表示機能(ディ
スプレイ機能)も有するディスプレイ装置として機能
し、ディスプレイに長時間に渡って向かう生体の生体機
能の維持・向上を図ることができる、光(放射エネルギ
ー)の照射装置を提供すること、である。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の放射エネルギー
照射装置は、可視波長域の放射と生体内部に浸透して生
体機能を維持・増進させる所定の波長域の放射とを含む
照明用の照明光を照射する手段を備えた放射エネルギー
照射装置であって、そのことによって、上記の目的が達
成される。
【0019】好ましくは、前記所定の波長域が600n
m〜1100nmの範囲である。
【0020】例えば、前記所定の波長域の放射は、生体
の免疫力を増強させて生体機能を維持・増進させ得る。
【0021】また、前記所定の波長域の放射は、自律神
経を活性化させて生体機能を維持・増進させ得る。
【0022】前記可視波長域の放射のための放射手段と
前記所定の波長域の放射のための放射手段とが、一体化
されていてもよい。
【0023】或いは、前記可視波長域の放射のための放
射手段及び前記所定の波長域の放射のための放射手段の
うちの少なくとも一方が、独立して設けられていてもよ
い。
【0024】好ましくは、前記照明光によって照射され
る被照射面において、波長600nm〜1100nmの
範囲の放射照度が0.1W/m2以上である。
【0025】好ましくは、前記所定の波長域の放射が6
00nm〜1100nmの範囲の放射であり、該600
nm〜1100nmの範囲の放射が、0.5〜13Hz
でパルス変調されて照射される。
【0026】好ましくは、前記照明光によって照射され
る被照射面において、波長600nmから1100nm
の範囲の放射の放射エネルギーが、波長380nmから
780nmまでの可視波長域の範囲の放射の放射エネル
ギーの15%以上である。
【0027】好ましくは、波長600nmから1100
nmの範囲の放射の放射効率が0.001W/lm以上
である。
【0028】好ましくは、前記照明光によって照射され
る被照射面において、波長1100nmから2.5μm
の範囲の放射の放射エネルギーが、波長600nmから
1100nmの範囲の放射の放射エネルギーより小さ
い。
【0029】好ましくは、前記照明光が不快感を感じさ
せない光色を有しており、国際照明委員会(CIE)1
960UCS色度図上におけるその可視波長域の色度の
黒体放射軌跡からの外れ(duv)が±0.01以内で
ある。
【0030】上記のような本発明による放射エネルギー
照射装置は、放電ランプ、蛍光放電ランプ、白熱電球、
或いは、固体発光素子を含む光源としての構成を有して
いても良い。
【0031】本発明の他の放射エネルギー照射装置は、
人間による視感度が低く且つ生体内部に深く浸透して生
体機能を維持・増進させる所定の波長域の放射を照射す
る手段を備えた放射エネルギー照射装置であって、その
ことによって、前述の目的が達成される。
【0032】好ましくは、前記所定の波長域が600n
m〜1100nmの範囲である。
【0033】例えば、前記所定の波長域の放射は、生体
の免疫力を増強させて生体機能を維持・増進させ得る。
【0034】また、前記所定の波長域の放射は、自律神
経を活性化させて生体機能を維持・増進させ得る。
【0035】好ましくは、前記放射によって照射される
被照射面において、波長700nm〜1100nmの範
囲の放射照度が0.03W/m2以上である。
【0036】好ましくは、前記所定の波長域の放射が7
00nm〜1100nmの範囲の放射であり、該700
nm〜1100nmの範囲の放射が、0.5〜13Hz
でパルス変調されて照射される。
【0037】好ましくは、前記放射によって照射される
被照射面において、波長1100nmから2.5μmの
範囲の放射の放射エネルギーが、波長700nmから1
100nmの範囲の放射の放射エネルギーより小さい。
【0038】上記のような本発明による放射エネルギー
照射装置は、放電ランプ、蛍光放電ランプ、白熱電球、
或いは、固体発光素子を含む光源としての構成を有して
いても良い。
【0039】上記のような本発明による放射エネルギー
照射装置は、照明用の照明光を供給する照明機能を有し
ていても良い。
【0040】或いは、上記のような本発明による放射エ
ネルギー照射装置は、所定の画像を表示するディスプレ
イ機能を有していても良い。この場合、例えば、前記所
定の波長域の放射を照射する手段によって、前記所定の
画像が表示されても良い。或いは、前記所定の画像を表
示するための表示手段が更に設けられていて、前記所定
の波長域の放射を照射する手段が、該表示手段に取り付
けられていても良い。
【0041】
【発明の実施の形態】本発明を達成するにあたって、発
明者らは、近赤外放射を含む照明光の下と近赤外放射を
含まない照明光の下との間で、生体の自律機能や分泌機
能にどのような差異が生じるかを実験的に調べた。以
下、本発明の具体的な実施形態の説明に先立って、発明
者が行ったその実験結果の内容について、述べる。
【0042】近赤外放射を含む照明光(以下、「照明光
IL+TR」という)は、白熱電球により作成した。但
し、白熱電球に含まれる遠赤外放射による熱的作用が生
体に及ぼす影響を防ぐため、白熱電球照明光(IL)は
熱線吸収フィルタ(TR)を通した。一方、近赤外放射
を含まない照明光(以下、「照明光FL」という)は、
近赤外放射を含む照明光(照明光IL+TR)と同じ光
色の照明光が得られる蛍光ランプによって、作成した。
これらの試験照明光の分光分布(波長に対する相対分光
放射エネルギーの分布)を、図2に示す。
【0043】照度は、照明光FL及び照明光IL+TR
の何れにおいても、被験者に照射したときにその頭部で
ほぼ200ルクスとなるように設定した。この値は、日
本工業規格(JIS)Z9110「照度基準」におい
て、居間において団らん・娯楽という行為を行なうこと
に対しての推奨照度150〜300ルクスの範囲にあ
る。
【0044】照明光IL+TRと照明光FLとの切り替
えは、実験室内に設置した照明器具において、光源を交
換することにより行なった。すなわち、試験する照明光
間で、照度及び光色のみならず周囲の光環境も同一にす
ることにより、近赤外放射の有無による生体機能への影
響を抽出できる設定とした。
【0045】被験者は、20代から50代の男性8名と
した。各被験者は、頭部を露出した衣服を着用し、蛍光
灯(試験する照明光ではないが、光色は照明光FLと同
じで、且つ近赤外放射は含まない)で照明された実験室
に入室し、座位にてしばらく安静にした後に、被験者の
血圧(最高血圧)、心拍数、血中ノルアドレナリン濃
度、血中コルチゾール濃度、及びNK細胞活性度を測定
した。測定後、蛍光灯照明光を消灯し、被験者を何れか
の試験照明光(照明光IL+TR、或いは照明光FL)
に曝露させて、その試験照明光の下で30分間、座位に
て安静状態を保たせた。30分経過後、再び被験者の心
拍数、血圧(最高血圧)、血中ノルアドレナリン濃度、
血中コルチゾール濃度、及びNK細胞活性度を測定し
た。
【0046】以上の手順を、異なる試験照明光に対し
て、また、同一被験者での繰り返し実験を行なって測定
を繰り返し、各々の試験照明光の照射の前後での各測定
値の差が試験照明光によってどのように異なるかについ
て、統計的解析を実施した。その結果を表2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】表2から、照明光FLの下では、心拍数及
び血圧(最高血圧)に、曝露前後で有意な差はない。し
かし、照明光IL+TRの下では、心拍数及び血圧(最
高血圧)は、曝露後に有意に低下した。血中ノルアドレ
ナリン濃度は、照明光IL+TR及び照明光FLの何れ
の曝露後でも低下し、照明光IL+TRの照射後のほう
が、照明光FLの照射後よりも、僅かではあるが、より
大きく低下した。血中コルチゾール濃度は、照明光IL
+TR及び照明光FLの何れの曝露後にも低下したが、
低下の大きさに、照明光の違いによる有意な差はなかっ
た。更に、NK細胞活性度は、照明光IL+TR及び照
明光FLの何れの曝露後にも低下し、照明光IL+TR
の照射後のほうが、照明光FLの照射後よりも、僅かで
はあるが高い値を示した。
【0049】上述のように、照明光IL+TRの曝露後
に血圧及び心拍数が低下したことから、近赤外放射によ
り、副交感神経が活性化されたことが示唆される。ま
た、血中ノルアドレナリンは心拍数を増す作用がある
が、照明光IL+TRの曝露後でのその低下が大きかっ
たことは、照明光IL+TRの照射により心拍数増加が
抑制されていたことに対応する。
【0050】血中コルチゾール濃度は、ストレスが強い
ほど分泌される。両試験照明光の間で曝露後の血中コル
チゾール濃度の差に違いがなかったことから、両試験照
明光間でタスクなどによるストレスの影響がなく、適切
な試験であったことが示唆される。更に、NK細胞活性
度は、照明光IL+TRのほうが、より高い値であった
ことから、近赤外放射が免疫力を向上させる効果を有す
るといえる。
【0051】このように、近赤外放射は、免疫力向上、
自律機能の活性化、分泌機能の調節など、生体機能の維
持・増進に役立ち、生体のNK細胞活性を上昇させる効
果を有する。
【0052】図3に、一般照明用光源としてオフィスや
住宅に広く使用されている光源の例として、三波長域発
光形蛍光ランプ(昼白色)及び白色蛍光ランプの分光分
布の例を示す。何れの蛍光ランプも、図3に示すよう
に、波長635nm以上の放射はほとんどない。
【0053】波長635nm以上の放射照度を、照明光
IL+TRと同等の放射照度とするために必要な照度
は、三波長域発光形蛍光ランプ照明光で3400ルク
ス、白色蛍光ランプ照明光で2700ルクスである。す
なわち、JIS Z 9110におけるオフィス照明で
の作業面照度の推奨値(750〜1500ルクス)の数
倍の照度とする必要がある。しかし、住宅照明では、上
記の照度は高すぎて、グレアなどにより不快感を生じる
などの好ましくない影響をもたらし、容認されるもので
はない。
【0054】一方、白熱電球(シリカ電球)は、先に図
1を参照して説明したように、照明光IL+TRの構成
要素であり赤色〜近赤外域に相当する635nm以上の
放射を、十分に有している。しかし、先にも述べたよう
に、白熱電球では、発光効率(照度/投入電力)が悪い
ことや発熱により冷房負荷が増大することにより、省エ
ネルギーを実現することができない。また、白熱電球で
は、1100nmから2.5μmの範囲の遠赤外放射に
よって生じる熱によって、かえって生体のストレスを増
すことがあり、このために、生体機能の維持・増進にと
ってはマイナスの効果を有することもある。
【0055】このように、発明者の実験によれば、頭部
を照射した波長635nm〜1100nmの範囲の赤色
光及び近赤外放射は、生体を浸透し、頭部の免疫機能や
自律機能に関わる部位に刺激を与える。これにより、生
体機能が維持・増進され、また生体のNK細胞活性が向
上する。
【0056】ここで、生体は、図4に示すような波長に
対する吸収特性をそれぞれ有する水分と血液中のヘモグ
ロビンとによって覆われている。従って、水及びヘモグ
ロビンによる吸収が少ない波長700nmから1100
nmの範囲(「生体の窓」として機能する波長範囲)の
放射は、特に、より効率よく生体内に浸透し、頭部の視
床下部を刺激する。また、上記の生体の窓に相当する赤
外波長域の放射は、目に感ずることがほとんどない。可
視波長域の光を文献3に示された10Hz前後に変調す
ると、テンカンなどを誘発する不快なちらつきを感じる
のに対して、この赤外波長域の光源の出射光を文献3に
示された10Hz前後に変調しても、上記のような不快
なちらつきは生じない。
【0057】従って、本発明においては、従来の放電ラ
ンプ、蛍光ランプ、或いはそれらを光源とする照明装置
(光照射装置)において、光源に、光源自身の本来の発
光スペクトル(可視波長域の放射)に加えて、更に、上
述したような効果をもたらす赤色〜近赤外域の波長成分
の放射を持たせることによって、その照明の下で生活或
いは作業に従事する人が、十分なNK細胞活性を実現す
る放射を十分に浴びることができる。
【0058】また、光源自身に上記の赤色〜近赤外域の
波長成分の放射を持たせる代わりに、本来の発光スペク
トル(可視波長域の放射)のための光源(放射源)に、
上記の赤色〜近赤外域の領域の波長スペクトルを持つ別
個の放射源を付加する構成としてもよい。このとき、可
視波長域の放射のための光源(放射源)と赤色〜近赤外
域の放射のための光源(放射源)とを、例えば部屋のあ
る壁面とそれに対向する壁面とに配置したり、或いは部
屋の天井の一方の壁際とそれに対向する壁際とに配置し
たりしても、同様の効果を得ることができる。
【0059】上記の何れの構成においても、本発明の光
(放射エネルギー)の照射装置及び照射方法を用いれ
ば、生体機能を維持・向上させることができる波長域の
放射を日常の生活の中で生体に与えることができて、免
疫力の向上や自律神経の活性化など生体機能の維持・向
上やNK細胞活性の維持・向上を実現することができ
る。特に、本発明の光(放射エネルギー)照射装置は、
一般的な照明装置として構成することができる。このよ
うにして構成される照明装置を設けることによって、例
えば、人工照明の下での長時間に渡る生活或いは作業を
強いられて十分に昼光を浴びることができない人の生体
機能の維持・向上やNK細胞活性の維持・向上を実現し
たり、或いは、天候、地域性、季節などの影響を受けず
に常に十分な量の照射を与えたりすることが可能にな
る。このように本発明によれば、生活環境にかかわら
ず、常に、日々の日常生活の中で無意識のうちに、光
(放射エネルギー)の照射による生体機能の維持・向上
やNK細胞活性の維持・向上を、実現することができ
る。
【0060】或いは、光(放射エネルギー)照射装置
を、本発明の治療用の装置として機能するように構成す
ることも、もちろん可能である。
【0061】後にあらためて詳しく説明するように、本
発明による光源は、周波数0.5Hz〜13Hzの交流
或いはパルス波を照射するようにしてもよい。
【0062】また、本発明の光(放射エネルギー)照射
装置に更に画像表示機能(ディスプレイ機能)をもたせ
て、ディスプレイ装置として機能するように構成するこ
とも可能である。例えば、従来のTV或いはコンピュー
タ表示装置などのディスプレイ装置の画面(表示部)の
周辺に本発明による光源(光照射装置)を配置すれば、
テレビ鑑賞中或いはディスプレイによる作業中に、鑑賞
者或いは作業者が画面近傍に顔を向ける状態で赤色〜近
赤外域の光を顔面に効率的に照射して、TV鑑賞やOA
(オフィス・オートメーション)作業などでディスプレ
イに長時間に渡って向かう人の体内のNK細胞活性の維
持・向上を図ることが可能になる。なお、ディスプレイ
装置の画面の周辺における本発明の光源(光照射装置)
の配置箇所としては、ディスプレイ装置の表示部(画
面)であっても良く、或いは、それ以外の構成要素、例
えばディスプレイ装置の額縁部や画面(表示部)の周辺
であってもよい。また、例えば、ディスプレイのCRT
画面の蛍光体の一部として、波長700nm以上に発光
スペクトルを持つ蛍光体を塗布して、生体機能を維持・
増進させる光を照射する信号を映像信号に混ぜて、発光
させるなどの手法によって、ディスプレイ画面からの発
光に上記の700nm〜1100nmの波長範囲のスペ
クトルを付加して、照射の制御を行っても良い。
【0063】ここで、放射波長範囲の上限としては、図
4に示した「生体の窓」の上限である1100nm以下
とすることが望ましい。照明光に波長が1100nmを
越える遠赤外放射が含まれていると、遠赤外放射が有す
る熱的作用(体内の水分による光吸収に起因して生じる
熱作用)によって生体のストレスを生じ、そのために生
体機能の維持・増進の効果が減少することがある。これ
に関して、発明者らは、1100nm以上の放射を含ま
ない光源のほうが、波長1100nmから2.5μmの
範囲の放射を含む光源よりも心拍数を低下させる作用が
大きいという現象を、実験的に確認した。このことか
ら、波長1100nmから2.5μmの範囲の放射エネ
ルギーを、少なくとも、効果を有する波長域600nm
から1100nmの範囲の放射エネルギーよりも小さく
することにより、生体機能を維持・増進する効果が確実
になる。
【0064】一方、生体機能の維持・増進に対して好ま
しい効果を示す放射波長範囲の下限は、原理的には60
0nmである。図4に示すように、600nmよりも小
さい波長に対しては、ヘモグロビンによる吸収が大き
く、効果的な照射が期待できない。更に、本発明に従っ
て実用的な光源を構成するためには、照射波長を635
nm以上とすることが好ましい。600〜635nmの
範囲の波長域は、既存の三波長域発光型蛍光ランプにも
多く含まれており、既存の光源とは異なる、より効果的
な光源を本発明に従って構成するためには、放射波長の
下限を635nmとすることが好ましい。また、波長6
60nmの光には免疫力増進の効果があると言われてお
り、この波長の照射を含むようにすることで、そのよう
な効果を期待することができる。但し、図4に示したよ
うに、700nmよりも短い波長に対しては、ヘモグロ
ビンによる吸収係数が、生体の窓の範囲の波長に比べて
依然として高い。従って、700nm以上の波長範囲と
すれば、より効率的に照射されたエネルギーを生体に吸
収させることができる。
【0065】更に、図4より、特に波長800nm〜1
000nmの範囲では、水による光の吸収係数及びヘモ
グロビンによる光の吸収係数の両方が、十分に小さい。
これより、放射の波長をこの800nm〜1000nm
の波長範囲に設定すれば、照射されたエネルギーを特に
効率的に生体に吸収させることができる。
【0066】また、カラー表示装置の場合、色みの強い
赤色として635nm付近の発光を用いることがある。
この635nm付近の赤色光を照射すると、生体機能の
維持・向上の効果は期待できる反面、刺激の強い赤色を
観ることによってストレスを生じて、上記の効果が相殺
されることがある。従って、ディスプレイ装置に本発明
を適用する場合(ディスプレイ機能をもたせる場合)の
ように非可視光による効果を得るためには、可視域の波
長よりも視感度が低いか、或いは光として感じることの
ない波長700nmから1100nmの範囲の波長域の
光を用いることにより、使用者が不自然な色を観測する
ことなく、生体機能の維持・増進を図ることができる。
【0067】生体機能の維持・増進に効果を有する波長
600nmから1100nmの範囲の放射エネルギーを
含み、且つ波長1100nmから2.5μmの範囲の放
射エネルギーが波長600nmから1100nmの範囲
の放射エネルギーよりも小さいような、本発明による光
(放射エネルギー)照射装置を構成する一つの方法は、
光源自身の発光スペクトルにおいて、波長600nmか
ら1100nmの範囲の放射を有させる方法である。
【0068】光源が放電ランプの場合は、プラズマ発光
において前記波長600nmから1100nmの範囲の
放射が得られるような封入物質を選定すればよい。ま
た、プラズマ発光の分光放射エネルギー分布において、
波長1100nmから2.5μmの範囲の放射エネルギ
ーが前記波長600nmから1100nmの範囲の放射
エネルギーより大きい場合であっても、その放電ランプ
を光源とする光照射装置において、熱線吸収フィルタを
照射窓に装着するなどの手法によって、被照射面におけ
る波長1100nmから2.5μmの範囲の放射エネル
ギーが波長600nmから1100nmの範囲の放射エ
ネルギーより小さくなるような構成とすればよい。但
し、放電ランプ自体が、波長600nmから1100n
mの範囲の放射を有し、且つ波長1100nmから2.
5μmの範囲の放射エネルギーが波長600nmから1
100nmの範囲の放射エネルギーより小さいような分
光放射エネルギー分布を有していれば、より放射効率の
良い放電ランプが得られることになる。
【0069】光源が蛍光放電ランプの場合は、波長60
0nmから1100nmの範囲の放射が得られるような
蛍光体を選定すればよい。また、蛍光体発光の分光放射
エネルギー分布において、波長1100nmから2.5
μmの範囲の放射エネルギーが前記波長600nmから
1100nmの範囲の放射エネルギーより大きい場合で
あっても、その蛍光放電ランプを光源とする光照射装置
において、熱線吸収フィルタを照射窓に装着するなどの
手法によって、被照射面における波長1100nmから
2.5μmの範囲の放射エネルギーが波長600nmか
ら1100nmの範囲の放射エネルギーより小さくなる
ような構成とすればよい。但し、蛍光放電ランプ自体
が、波長600nmから1100nmの範囲の放射を有
し、且つ波長1100nmから2.5μmの範囲の放射
エネルギーが波長600nmから1100nmの範囲の
放射エネルギーより小さいような分光放射エネルギー分
布を有していれば、より放射効率の良い蛍光放電ランプ
が得られることになる。
【0070】光源が白熱電球の場合は、先に図1を参照
して説明した分光分布特性から理解できるように、一般
に、波長1100nmから2.5μmの範囲の放射エネ
ルギーのほうが、波長600nmから1100nmの範
囲の放射エネルギーよりも大きい。従って、白熱電球を
光源とした光照射装置においては、被照射面において、
波長1100nmから2.5μmの範囲の放射エネルギ
ーが波長600nmから1100nmの範囲の放射エネ
ルギーより小さくなるような構成を必要とする。例え
ば、波長600nmから1100nmの範囲の放射の透
過量が波長1100nmから2.5μmの範囲の放射の
透過量よりも大きくなるような分光透過特性を有するフ
ィルタを、光照射装置の照射窓(光源である白熱電球か
ら発せられた光が透過して外部に出ていく窓)に装着す
ればよい。或いは、白熱電球自体の分光放射スペクトル
に、波長1100nmから2.5μmの範囲の放射エネ
ルギーが波長600nmから1100nmの範囲の放射
エネルギーより小さくなる特性をもたせるには、例え
ば、白熱電球のバルブを構成するガラスとして波長60
0nmから1100nmの範囲の放射の透過量が波長1
100nmから2.5μmの範囲の放射の透過量よりも
大きくなるような分光透過特性を有する材料を用いた
り、ガラス表面に波長600nmから1100nmの範
囲の放射エネルギーを選択的に透過する多層干渉膜を設
ければよい。
【0071】或いは、放射スペクトルにおいて、主とし
て波長600nmから1100nmの範囲に放射エネル
ギーを有する発光ダイオード、半導体レーザ、エレクト
ロルミネセンス素子などの固体発光素子を光源として用
いて光(放射エネルギー)照射装置を構成しても、同様
の効果が得られる。また、それらの素子が波長1100
nmから2.5μmの範囲の放射を多く含んでいたとし
ても、それらを光源とする光照射装置において、上記で
説明したように熱線吸収フィルタを照射窓に装着するな
どの手法を適用することによって、被照射面において波
長1100nmから2.5μmの範囲の放射エネルギー
が波長600nmから1100nmの範囲の放射エネル
ギーより小さくなるような構成であれば、かまわない。
【0072】前記の発明者の実験において、被照射面に
おける波長635nmから1100nmの範囲の放射照
度は、生体機能の維持・増進に有意な効果のあった照明
光IL+TRでは0.63W/m2であり、有意な効果
がなかった照明光FLでは0.05W/m2であった。
放射照度ムラによる計測誤差は、大きく見積っても2倍
以下であるので、上記の結果より、生体機能の維持・増
進が有意な効果が得られる光(放射エネルギー)照射方
法としては、生体に対する波長600nmから1100
nmの範囲の放射照度を0.1W/m2以上とすればよ
い。このとき、波長1100nmから2.5μmの範囲
の放射エネルギーを、波長600nmから1100nm
の範囲の放射エネルギーよりも小さくすることが、好ま
しい。
【0073】なお、発明者の実験において、特に非可視
光の照射による効果を得ようとする場合の被照射面にお
ける波長700nmから1100nmの範囲の放射照度
は、生体機能の維持・増進に有意な効果のあった照明光
IL+TRでは0.37W/m2であり、有意な効果が
なかった照明光FLでは0.017W/m2であって、
これらの値を考慮すれば、生体機能の維持・増進が有意
な効果が得られる光(放射エネルギー)照射方法として
は、生体に対する波長700nmから1100nmの範
囲の放射照度を0.03W/m2以上とすればよい。こ
のときにも、波長1100nmから2.5μmの範囲の
放射エネルギーを、波長700nmから1100nmの
範囲の放射エネルギーよりも小さくすることが、好まし
い。
【0074】放射照度の上限は、水晶体及び角膜などの
生体組識が損傷しない限界値1×105W/m2とする。
【0075】以上のように、生体機能の維持・増進に対
して有意な効果が得られる光(放射エネルギー)照射装
置を得るには、被照射面における波長600nmから1
100nmの範囲の放射照度が0.1W/m2以上とな
るように(或いは、被照射面における波長700nmか
ら1100nmの範囲の放射照度が0.03W/m2
上となるように)、赤色〜近赤外の放射源の強度や配置
を設定する。このように構成した放射エネルギー照射装
置により、照射された生体における生体機能の維持・増
進を図ることができる。
【0076】更に、上記のように、被照射面における分
光エネルギー分布において、波長600nmから110
0nmの範囲の放射照度が0.1W/m2以上(或い
は、被照射面における波長700nmから1100nm
の範囲の放射照度が0.03W/m2以上)で、且つ波
長1100nmから2.5μmの範囲の放射エネルギー
が波長600nmから1100nmの範囲の放射エネル
ギーより小さい放射に加えて、可視域の波長を付加すれ
ば、生体機能を維持・増進させるとともに、照明光も同
時に供給できる光(放射エネルギー)の照射方法を得る
ことができる。また、そのための光(放射エネルギー)
照射装置としては、分光エネルギー分布において、可視
光、及び波長600nmから1100nmの範囲の赤色
〜近赤外放射を含み、波長1100nmから2.5μm
の範囲の放射エネルギーが波長600nmから1100
nmの範囲の放射エネルギーより小さい放射光を放射す
るように構成するとともに、少なくとも被照射面(例え
ば、生体機能の維持・増進の中枢である頭部)における
波長600nmから1100nmの範囲の放射照度が
0.1W/m2以上(或いは、被照射面における波長7
00nmから1100nmの範囲の放射照度が0.03
W/m2以上)となるように、光源の配置を設定する。
必要に応じて、放射源本数や投入電力を増して放射強度
を高め、少なくとも被照射面における上記の範囲の放射
照度を得る構成としても良い。このように構成した光
(放射エネルギー)照射装置を用いることにより、視対
象物の照明とともに、生体機能の維持・増進をはかるこ
とができる。
【0077】屋内照明の推奨照度は、例えばJISZ9
110において、居間での団らん・娯楽に対しては15
0ルクス以上とされている。保守率を70%と想定し
て、100ルクス以上の照度のもとで波長600nmか
ら1100nmの範囲の放射エネルギーを0.1W/m
2以上とするには、照射する光において、単位測光量あ
たりの波長600nmから1100nmの範囲の放射エ
ネルギー(すなわち、放射効率)が0.001W/lm
以上であればよい。上記のような特性を有する光(放射
エネルギー)照射装置を実現するためには、光源が放電
ランプである場合は、そのプラズマ発光において、可視
光に加えて波長600nmから1100nmの範囲の放
射エネルギーを放射し、単位測光量あたりの波長600
nmから1100nmの範囲の放射エネルギーが0.0
01W/lm以上とするように、封入物質を選定すれば
よい。また、光源が蛍光放電ランプである場合は、可視
光に加えて波長600nmから1100nmの範囲の放
射エネルギーを放射し、単位測光量あたりの波長635
nmから1100nmの範囲の放射エネルギーが0.0
01W/lm以上となるような蛍光体を選定すればよ
い。なお、放電ランプ及び蛍光放電ランプの何れにおい
ても、好ましい分光放射エネルギー分布を得るために、
必要に応じて熱線吸収フィルタなどを使用しても良いこ
とは、先に説明した通りである。
【0078】更に、屋内用照明においては、光色が不快
であれば、それによるストレスを生じ、生体機能にも悪
影響を及ぼす。従って、この作用を避けるには、光(放
射エネルギー)照射方法として、被照射面において、波
長600nmから1100nmの範囲の放射照度が0.
1W/m2以上であり、単位測光量あたりの波長600
nmから1100nmの範囲の放射エネルギーが0.0
01W/lm以上であり、波長1100nmから2.5
μmの範囲の放射エネルギーが波長635nmから11
00nmの範囲の放射エネルギーより小さく、且つ光色
が不快とならない光とする。不快な光色としては、例え
ば極端な赤色或いは青色などの原色などであり、そのよ
うな光色を避けた光とする。光(放射エネルギー)照射
装置において、光色が不快でない構成とするには、使用
している光源の光色を補正する光学的手段を光(放射エ
ネルギー)照射装置に設けるか、或いは光源自体が不快
でない光色を有するように、放電ランプの場合には封入
物質を、蛍光放電ランプの場合には蛍光体を、適切に選
択すればよい。この場合にも、好ましい分光放射エネル
ギー分布を得るために、必要に応じて熱線吸収フィルタ
などを使用しても良いことは、先に説明した通りであ
る。
【0079】例えば、屋内用照明の光色では、白色が受
容されている。少なくともこの光色であれば、在室者が
不快を感じることはない。従って、この場合の光(放射
エネルギー)照射方法としては、被照射面において、波
長600nmから1100nmの範囲の放射照度が0.
1W/m2以上であり、単位測光量あたりの波長600
nmから1100nmの範囲の放射エネルギーが0.0
01W/lm以上であり、波長1100nmから2.5
μmの範囲の放射エネルギーが波長600nmから11
00nmの範囲の放射エネルギーより小さく、更に、国
際照明委員会(CIE)1960UCS色度図における
可視波長域の色度の黒体放射軌跡からの外れ(duv)
が±0.01以内となるように、照射光の特性を設定す
る。光(放射エネルギー)照射装置において、照射光の
色度が上記の範囲である構成を得るには、使用している
光源の光色を補正する光学的手段を光(放射エネルギ
ー)照射装置に設けるか、光源の光色自体がその色度に
なるように、放電ランプの場合には封入物質を、蛍光放
電ランプの場合には蛍光体を、適切に選択すればよい。
この場合にも、好ましい分光放射エネルギー分布を得る
ために、必要に応じて熱線吸収フィルタなどを使用して
も構わないことは、先に説明した通りである。
【0080】一方、光源からの光色の、CIE1960
UCS色度図における可視波長域の色度の黒体放射軌跡
からの外れ(duv)が+0.01〜−0.01の範囲
より外れると、一般照明としての光色の違和感が大きく
なるため、ある生活シーンにおいて或いはある生活者に
とっては不快感が高まることがあり、これに伴うストレ
スが生体のNK細胞活性を低下させることがある。従っ
て、光源からの光色のCIE1960UCS色度図にお
ける可視波長域の色度の黒体放射軌跡からの外れ(du
v)は、上述のように+0.01〜−0.01の範囲内
(±0.01以内)に設定することが好ましい。
【0081】なお、以上の説明では、600nm〜11
00nmの波長範囲についての被照射面における放射照
度及び単位測光量あたりの放射エネルギー(照射効率)
の数値範囲を説明したが、波長範囲700nm〜110
0nmについては、被照射面における放射照度は前述の
ように0.03W/m2以上とすればよく、一方、被照
射面における単位測光量あたりの放射エネルギー(照射
効率)は、0.0003W/lm以上とすればよい。
【0082】上記のように、本発明の光(放射エネルギ
ー)の照射方法及び照射装置によれば、生体機能の維持
・増進、例えば免疫力の向上や自律機能の活性化を図る
ことができる、放射或いは照明光を提供できる。更に、
自律神経のうちで副交換神経制御に関与する脳内の部位
と交換神経制御に関与する脳内の部位とは異なるので、
本発明の好ましい照射条件の範囲内で放射光の分光組
成、強度、照射方向などを変えることによって、副交感
神経及び交換神経の何れか一方を、選択的に優勢にする
ことができる。
【0083】以上のように、本発明の光(放射エネルギ
ー)の照射装置及び照射方法は、光の照射(特に、赤色
〜近赤外の放射)によって人間の生体機能の維持・増進
を図ることにより、より健康な状態を実現することを目
的として使用され得る。また、家畜、ペットをはじめと
する他の動物或いは植物などに対しても、同様に免疫力
向上や自律機能の活性化を図る目的で使用可能である。
【0084】以下に、本発明の幾つかの実施形態を、添
付の図面を参照して説明する。
【0085】(第1の実施形態)図5には、本発明に従
って光照射装置(照明器具)に装着されるべき光源の構
成例として、従来の三波長域発光形蛍光ランプ用の希土
類蛍光体に更にマンガン付活マグネシュウム・フッ化ゲ
ルマニウム酸塩蛍光体(3.5MgO・0.5MgF2
・GeO2:Mn、以下では「MFG」と称する)を混
合し、得られた混合物を塗布することによって構成した
MFG蛍光ランプについて、その発光スペクトルを示
す。なお、本発明によるMFG蛍光ランプは、外見的に
は従来の蛍光ランプと同じであって、得られる発光スペ
クトルが、従来の蛍光ランプとは異なっている。
【0086】本発明によって得られる上記のMFG蛍光
ランプでは、単位測光量あたりの波長600nmから1
100nmの範囲の放射量(放射効率)は、0.002
5W/lmである。また、このMFG蛍光ランプを用い
て、被照射面での波長600nmから1100nmの範
囲の放射照度を0.1W/m2以上とするには、照度を
40ルクス以上にすればよく、250ルクス以上で、先
述の照明光IL+TRと同等の効果が期待できる。ま
た、MFG蛍光ランプは、波長1100nm以上の放射
(遠赤外放射)を持たないので、赤色〜近赤外放射の生
体機能の維持・増進効果に対する、遠赤外放射に起因す
る熱的ストレスによる好ましくない影響を、避けること
ができる。
【0087】但し、上記のMFG蛍光ランプは、波長7
00nm以上の放射も含まないので、被照射面における
波長範囲700〜1100nmの放射効率は、0.00
005W/lmである。
【0088】上記のMFG蛍光ランプの光色の色度は、
(x、y)=(0.4485、0.4172)であり、
CIE1960UCS座標において、黒体輻射軌跡から
±0.01の範囲内にある。従って、その光色は白色で
あり、その照明光に対して不快な印象はなく、赤色〜近
赤外放射の生体機能の維持・増進効果を阻害することは
ない。
【0089】一方、図6には、本発明に従って光照射装
置(照明器具)に装着されるべき光源の構成例として、
従来の三波長域発光形蛍光ランプ用の希土類蛍光体に更
に鉄付活アルミン酸リチウム蛍光体(LiAlO2:F
e、以下では「ALF」と称する)を混合し、得られた
混合物を塗布することによって構成したALF蛍光ラン
プについて、その発光スペクトルを示す。なお、本発明
によるALF蛍光ランプも、外見的には従来の蛍光ラン
プと同じであって、得られる発光スペクトルが、従来の
蛍光ランプとは異なっている。
【0090】本発明によって得られる上記のALF蛍光
ランプでは、単位測光量あたりの波長600nmから1
100nmの範囲の放射量(放射効率)は、0.001
2W/lmである。また、このALF蛍光ランプを用い
て、被照射面での波長600nmから1100nmの範
囲の放射照度を0.1W/m2以上とするには、照度を
80ルクス以上にすればよく、500ルクス以上で、先
述の照明光IL+TRと同等の効果が期待できる。ま
た、ALF蛍光ランプは、波長1100nm以上の放射
を持たないので、赤色〜近赤外放射の生体機能の維持・
増進効果に対する熱的ストレスによる好ましくない影響
を、避けることができる。
【0091】更に、ALF蛍光ランプは、波長範囲70
0〜900nmの範囲に小さな放射のピークがあり、波
長範囲700〜1100nmの放射効率は0.0011
W/lmである。700nm以上の波長の光は、可視域
の波長よりも視感度が低いか、或いは光として感じるこ
とがないことから、ALF蛍光ランプを用いることによ
り、使用者が不自然な色を観測することなく生体機能の
維持・増進を図ることができるという、先述の非可視光
照射による効果を得ることができる。
【0092】上記のALF蛍光ランプの光色の色度は、
(x、y)=(0.4485、0.4172)であり、
CIE1960UCS座標において、黒体輻射軌跡から
±0.01の範囲内にある。従って、その光色は白色で
あり、その照明光に対して不快な印象はなく、赤色〜近
赤外放射の生体機能の維持・増進効果を阻害することは
ない。
【0093】なお、図7として、比較のために、図5及
び図6に示したMFG蛍光ランプ及びALF蛍光ランプ
の相対分光放射エネルギーの分布を、先に図1として示
した発光ピーク波長660nmのLED及び60Wシリ
カ白熱電球の分布とあわせて、示している。
【0094】更に表3には、前述の表1のデータに加え
て、上記のMFG蛍光ランプ及びALF蛍光ランプの各
々について、被験者の前額部への635nm以上の放射
照度が文献1における値と同等になるために必要な照度
(単位:ルクス)、すなわち、文献1でLEDによって
得られているものと同等のNK細胞活性を得るために必
要な照度(単位:ルクス)を、示している。具体的に
は、表3には、表1と同様に、波長635nm〜100
0nmの範囲における各光源の放射照度、並びに、発光
ピーク波長660nmのLEDによる照度80lxで3
0分間の照射で得られるものと同等のNK細胞活性を3
0分間の照射で得るために必要な照度を、各光源に関し
て示している。なお、635nmという波長は、発光ピ
ーク波長660nmのLEDの半値波長である。
【0095】
【表3】
【0096】これより、MFG蛍光ランプでは1000
ルクス程度、ALF蛍光ランプでは500ルクス程度の
照度で、文献1でLEDによって得られているものと同
等のNK細胞活性を得られることがわかる。
【0097】上記のようなMFG蛍光ランプ或いはAL
F蛍光ランプを装着した一般照明器具を、例えば事務所
に設置すれば、その照明下で作業する作業者に対して、
作業に必要な照度を与えるとともに、自律機能の活性化
や免疫力の向上などの生体機能の維持・増進効果をもた
らすことができ、昼光を浴びる機会の少ない作業者の健
康に対する不安を解消することができる。
【0098】(第2の実施形態)次に、本発明の光(放
射エネルギー)照射装置の第2の実施形態として、一般
照明用器具に、従来の蛍光ランプとは別に、放電ランプ
や発光ダイオードなどから構成された赤色〜近赤外放射
のための放射源を付加して得られる構成について、説明
する。
【0099】図8は、本実施形態における光照射装置
(照明器具)1の構成を模式的に示す。図8に示すよう
に本実施形態の照明器具1は、照明用光源としての環形
蛍光ランプ2と、赤色〜近赤外放射のための放射源3
(以下では、「近赤外放射源3」と称する)とを組み合
わせて、構成されている。近赤外放射源3としては、例
えば、赤外発光ダイオード(LED)を用いる。
【0100】近赤外放射源3による赤色〜近赤外放射の
波長範囲としては、前述のように、原理的には600〜
1100nm、より実用的には635〜1100nm、
特に非可視光の照射による効果を追求するには700〜
1100nmとする。
【0101】この場合、先に図4を参照して説明したよ
うに、700nm〜1100nmの波長範囲に「生体の
窓」が存在して、この範囲の波長を有する光は、生体内
に存在する水やヘモグロビンによって吸収されることな
く、効率的に生体内に浸透する。また、生体の窓の範囲
の中でも特に800nm〜1000nmの波長範囲で
は、水及びヘモグロビンによる吸収が特に小さくなり、
より効果的な生体内への光(放射エネルギー)の浸透が
可能になる。
【0102】従って、従来技術の構成(文献1)で使用
されている発光ピーク波長660nmの光の代わりに、
生体への浸透効率のよい範囲の波長、例えばAlGaA
sから構成される発光ダイオードによって得られる発光
ピーク波長880nmの光を使用することにより、視床
下部付近の生体機能制御の中枢を、より効率よく制御で
きる。
【0103】ここで、波長880nmの光は、人間の視
覚の感度から外れる。このため、この波長を有する照明
器具の赤外放射光を生活者が位置する位置へ局所的に集
中させたり、或いはこの光によって作業者を追跡させる
機構を設ける場合に、それによって放射照度のばらつき
が大きく変化したとしても、生活者には照射光自体が認
識されないので、その放射照度のばらつきや変動を感じ
させることはない。従って、可視波長域での照射の場合
には、照射光の照度のばらつきや変動によって生活者や
作業者(照射される生体)に不快感を感じさせることが
あるが、上記の波長の照射光を用いれば、そのような不
快感を与えることはない。
【0104】これより、発光される光の波長が、不可視
光によって生体機能を維持・増進できる波長帯域内にあ
るような光源を付加的に使用することによって、その照
明光によって生じる光環境に悪影響を与えることなく、
視覚的に問題が生じない光照明装置及び光照明方法を得
ることができる。
【0105】ここで、発明者らは、880nmに発光ピ
ーク波長を有する発光ダイオードからの放射を電球色蛍
光灯照明光に加えた照明光のほうが、電球色蛍光灯照明
光のみの照明光よりも、副交感神経をより活性化させる
現象を、実験によって確認した。以下に、その実験結果
について説明する。
【0106】この実験では、40歳代の男子被験者1名
を、机上面照度200ルクスの電球色蛍光灯照明光(以
下、「EX−L照明光」と称する)で照明したブース内
の椅子に座らせて、その中で20分間に渡って読書作業
をさせた。このときの被験者額面照度は、300ルクス
であった。この読書作業における前半の10分間は、E
X−L照明光に順応させるために設定した時間であり、
読書作業の後半の10分間で、被験者の心電図波形を測
定した。
【0107】更に、上記のようなEX−L照明光での2
0分間の読書作業の終了後に、今度は、机上面照度20
0ルクスの電球色蛍光灯照明光に880nmに発光ピー
ク波長を有するAlGaAsから構成された発光ダイオ
ード(LED)からの放射光を加えた照明光(以下、
「+880nm照明光」と称する)で照明したブース内
の椅子に被験者を座らせて、その中で20分間に渡って
読書作業をさせた。このときの被験者の額面照度は30
0ルクスであり、LEDからの放射は、被験者の額面で
1.2W/m2とした。前述のように波長880nmの
放射は、人間の目で感じることができない波長域にある
ために、上記のEX−L照明光と+880照明光との間
には、見かけ上は全く差が存在しない。+880nm照
明光の下での読書作業においても、前半の10分間は+
880nm照明光に順応させるために設定した時間であ
り、読書作業の後半の10分間で、被験者の心電図波形
を測定した。
【0108】このようにして計測した心電図波形に基づ
いて、被験者の心拍変動を周波数解析した。ここで、心
拍変動の周波数成分の内で0.15〜0.40Hzの高
周波域(HF)は、副交感神経の活性度を反映してお
り、0.04〜0.15Hzの低周波域(LF)は、交
感神経及び副交感神経の両者の活性度を反映している
(例えば、林博史編「心拍変動の臨床応用−生理的意
義、病態評価、予後予測−」、医学書院、1999年を
参照)。これより、上記の各周波数帯域における積分値
の比LF/HFの値が大きい場合には、交感神経のほう
が副交感神経よりも活性度が高く、LF/HFの値が小
さい場合には、副交感神経のほうが交感神経よりも活性
度が高いことになる。
【0109】前述の観測手順による心拍の計測を5回繰
り返して得られた結果に基づいて、各々の照明光(EX
−L照明光、及び+880nm照明光)に対してLF/
HFの値の平均値を算出したところ、EX−L照明光で
は1.91となり、+880nm照明光では1.77で
あった。これより、電球色蛍光灯照明光のみのEX−L
照明光よりも、人間の眼には見えない波長880nmの
放射を付加した+880nm照明光のほうが、副交感神
経の活性度を、より高めることができることが確認され
た。
【0110】(第3の実施形態)次に、本発明の第3の
実施形態における光(放射エネルギー)照射装置とし
て、一般照明器具に、照明用蛍光ランプ2とは別にLE
Dなどの赤色或いは近赤外放射のための放射源3を付加
し、その付加された放射源3の点灯制御を照明用蛍光ラ
ンプ2の制御とは独立して行う照明器具1の構成につい
て、説明する。
【0111】本実施形態の照明器具の構成は、図8に示
した第2の実施形態と同様であるが、本実施形態では、
環形蛍光ランプ2と近赤外放射源3との点灯制御は、お
互いに独立して実施できるように構成する。これによ
り、本実施形態の照明器具1による照明の下での生活者
或いは作業者は、自分の生体機能の維持・増進のため
に、放射の点灯状態を制御できる。例えば、作業を停止
して照明用光源(環形蛍光ランプ)2のみを消灯して、
近赤外放射源3からの赤外放射のみを、休息した状態で
浴びることができる。
【0112】この場合、先に図4を参照して説明したよ
うに、700nm〜1100nmの波長範囲に「生体の
窓」が存在して、この範囲の波長を有する光は、生体内
に存在する水やヘモグロビンによって吸収されることな
く、効率的に生体内に浸透する。また、生体の窓の範囲
の中でも特に800nm〜1000nmの波長範囲で
は、水及びヘモグロビンによる吸収が特に小さくなり、
より効果的な生体内への光(放射エネルギー)の浸透が
可能になる。従って、本実施形態の照明器具1における
近赤外放射源3として、従来技術の構成(文献1)で使
用されている発光ピーク波長660nmの光を発するL
EDの代わりに、生体への浸透効率のよい範囲の波長の
光を発することができる光源、例えば、発光ピーク波長
880nmの光を発するAlGaAsから構成される発
光ダイオードを使用することにより、視床下部付近の生
体機能制御の中枢を、より効率よく制御できる。
【0113】ここで、波長880nmの光は、人間の視
覚の感度から外れる。このため、この波長を有する照明
器具の赤外放射光を生活者が位置する位置へ局所的に集
中させたり、或いはこの光によって作業者を追跡させる
機構を設ける場合に、それによって放射照度のばらつき
が大きく変化したとしても、生活者には照射光自体が認
識されないので、その放射照度のばらつきや変動を感じ
させることはない。従って、可視波長域での照射の場合
には、照射光の照度のばらつきや変動によって生活者や
作業者(照射される生体)に不快感を感じさせることが
あるが、上記の波長の照射光を用いれば、そのような不
快感を与えることはない。
【0114】本実施形態においては、可視光源(照明用
光源)2と近赤外放射源3とは、それぞれ独立に制御で
きるものとしているが、これらの制御は、少なくとも一
方を独立して制御できる構成であっても良い。例えば、
可視光源2の出力を調光し、その出力に近赤外放射源3
の出力を連動させることにより、視対象物を視認するた
めの照度と、生体機能を維持・増進するための近赤外放
射照度とが、一つの信号で調光可能になる。或いは、可
視光源2の出力と近赤外放射源3の出力とを相反するよ
うに制御すれば、照度の高いときは、作業などにおける
視対象物の視認に必要な可視光発光に消費エネルギーを
主に費やすことによって省エネルギー化を図り、照度の
低いときは、作業後の鎮静のために、生体機能を維持・
増進に必要な近赤外放射を主として提供することができ
る。
【0115】また、上記のように少なくとも一方が独立
制御可能な可視光源及び近赤外放射源を組み合わせた光
照明装置において、それらの光源の点灯・調光のための
制御信号は、スイッチ、ダイアル、ボタン、キーボード
などの外部情報入力手段からの信号により、直接に或い
は演算部などを経て間接的に、発生させることができ
る。このように構成することにより、使用者或いは操作
者が、照度だけでなく、近赤外放射照度を、その状況に
応じて適切に設定することが可能である。
【0116】或いは、上記のように少なくとも一方が独
立制御可能な可視光源及び近赤外放射源を組み合わせた
光照明装置における、上記の光源の点灯・調光のための
制御信号は、時刻や点灯開始後の経過時間などの照明装
置の内部情報に応じて、あらかじめ決められたプログラ
ムに従って出力させてもよい。このように構成すること
により、例えばオフィスなどにおいて、就業時間中は、
可視光源の出力のみを高めることにより省エネルギー化
を図り、休憩時間中は、可視光源の出力を低くして近赤
外放射源の出力を高めることにより、在室者の生体機能
を維持・増進を図り、より効果的な休息を実現させるこ
とができる。また、住宅照明或いはオフィス照明におい
て、例えば室内においても太陽光の直接・間接光に含ま
れる近赤外放射が届く場所では、昼間は視対象物の視認
に必要な可視光を出力し、夜間のみ、近赤外放射光も出
力するように構成しても良い。
【0117】更に、上記のように少なくとも一方が独立
制御可能な可視光源及び近赤外放射源を組み合わせた光
照明装置において、上記の光源の点灯・調光のための制
御信号を、上述した外部情報及び内部情報の双方を総合
して発生させる必要がある場合には、外部情報入力手段
からの信号或いは内部情報からの信号の何れに基づいて
独立点灯制御信号を発生するかどうかを判断するプログ
ラムをあらかじめ組み込んだ判断部を設ければよい。例
えば、室内においても太陽光の直接・間接光に含まれる
近赤外放射が届く場所であって、本来は内部情報(時
刻)に基づけば、近赤外放射を必要としない場合(例え
ば昼間)であっても、窓面にカーテン等の遮蔽物がある
場合や生体機能の維持・増進効果をより大きく期待した
い場合などには、外部情報(スイッチなどからの信号)
に基づく制御を優先させることにより、近赤外放射を出
力させることができる。
【0118】内部情報或いは外部情報に基づいて点灯・
調光の制御信号を発生させるか否かの閾値は、照明器具
の製造者が、製造時にあらかじめ設定しておけばよい。
更に、閾値を異なる値に再設定できる構成とすることに
よって、必要に応じて閾値を変更することにより、使用
者の都合や状況に対応可能な照明器具を構成することが
できる。また、この場合の閾値の変更を、外部情報及び
内部情報の履歴をもとに、例えばファジイ推論などのア
ルゴリズムを適用した学習により自動的に行われる構成
とすれば、使用者が設定変更の作業に煩わされることの
ない、便利な照明器具となる。
【0119】本発明に従って副交感神経を優勢にするこ
とができる光(放射エネルギー)照射装置の構成は、例
えば寝室の照明において、可視光を含む場合には就寝前
の照明に適用可能であり、近赤外放射のみを含む場合に
は就寝中の照明に適用できる。何れの場合でも、副交感
神経の活性による心拍数低下により、おだやかな眠りを
誘導することができる。
【0120】或いは、本発明に従って副交感神経を優勢
にすることができる光(放射エネルギー)照射装置の構
成を、例えばダイニングの照明に適用すれば、可視光に
より食品を照明するとともに、副交感神経の活性化によ
って消化液の分泌を促進することができる。また、本発
明に従って副交感神経を優勢にすることができる光照射
装置の構成を、例えばトイレの照明に適用すれば、可視
光を提供するとともに、副交感神経の活性化によって腸
の蠕動を促進することができて、速やかな排便が可能と
なる。更に、本発明に従って副交感神経を優勢にするこ
とができる光照射装置の構成を、例えば浴室の照明に適
用すれば、可視光を提供するとともに、副交感神経の活
性化によって心拍数を抑制することができ、入浴による
効果に加えて更に心身をリラックスさせることができ
る。
【0121】一方、本発明に従って交感神経を優勢にす
ることができる光(放射エネルギー)照射装置の構成
を、例えばキッチンの照明に適用すれば、可視光を提供
するとともに、交感神経の活性化によって覚醒度を高め
て、刃物や火などの取扱いにおける安全性を高めること
ができる。或いは、本発明に従って交感神経を優勢にす
ることができる光照射装置の構成を、例えば道路や街路
の照明に適用すれば、可視光を提供するとともに、交感
神経の活性化によって覚醒度を高めて、障害物などに対
する危険回避のための判断をスムーズに行わせることが
可能になる。更に、本発明に従って交感神経を優勢にす
ることができる光照射装置の構成を、例えば自動車運転
席のヘッドレストに組み込んで設置することにより、交
感神経の活性化によって運転者の覚醒度を高めて、障害
物などに対する危険回避の判断をスムーズに行わせるこ
とが可能になる。また、本発明に従って交感神経を優勢
にすることができる光照射装置の構成は、例えば目覚し
装置に適用することも可能であって、その場合には、交
感神経の活性化によって速やかに目覚めさせることがで
きる。
【0122】なお、上記のような本発明による光(放射
エネルギー)照射装置は、好ましい効果をもたらす所定
の波長、例えば600nm(或いは635nm)から1
100nmの範囲の放射エネルギーを持つ放電ランプや
蛍光放電ランプに適用することができ、また、波長60
0nm(或いは635nm)から1100nmの範囲の
放射エネルギーが波長380nmから780nmの範囲
の可視波長域の放射エネルギーの15%以上である放電
ランプや蛍光放電ランプとしてもよい。また、上記の特
徴を有する放電ランプや蛍光放電ランプにおいて更に、
前述したように光色が不快なものにならないようにする
目的で、CIE1960UCS色度図における可視波長
域の色度の黒体放射軌跡からの外れ(duv)が±0.
01以内となるように、照射光の特性を設定してもよ
い。また、発光スペクトルの内で、生体の内部に深く効
率的に浸透して免疫力の向上及び/或いは自律神経の活
性化の効果をもたらす波長700nmから1100nm
の範囲の放射エネルギーが、波長380nmから780
nmの範囲の可視波長域の放射エネルギーの15%以上
であり、且つ、光色が不快なものにならないようにする
目的で、CIE1960UCS色度図における可視波長
域の色度の黒体放射軌跡からの外れ(duv)が±0.
01以内となるように、照射光の特性を設定してもよ
い。
【0123】本発明の光(放射エネルギー)の照射装置
及び照射方法の実現にあたって、これまでの実施形態で
説明した波長範囲の放射エネルギーを、更に周波数0.
5Hz〜13Hzの交流或いはパルス光として照射して
もよい。この場合の光(放射エネルギー)照射装置の構
成は、例えば第3の実施形態で図8を参照して説明した
ものと同様にすることができる。
【0124】また、このように交流或いはパルス光とし
て近赤外域の波長領域の照射を行う場合でも、先に図4
を参照して説明した「生体の窓」の波長域の存在を考慮
して、従来技術の構成(文献1)で使用されている発光
ピーク波長660nmの光の代わりに、生体への浸透効
率のよい範囲の波長、例えばAlGaAsから構成され
る発光ダイオードによって得られる発光ピーク波長88
0nmの光を使用することにより、視床下部付近の生体
機能制御の中枢を、より効率よく制御できる。また、こ
の波長領域は人間の視覚の感度から外れるため、この波
長の赤外照射に対するちらつきや不快感を与えることは
ない。
【0125】更に、上記のように交流或いはパルス光と
して近赤外域の波長領域の照射を行う場合でも、好まし
い効果をもたらす所定の波長、例えば600nm(或い
は635nm)から1100nmの範囲の放射エネルギ
ーが波長380nmから780nmの範囲の可視波長域
の放射エネルギーの15%以上である放電ランプや蛍光
放電ランプとしてもよい。また、上記の特徴を有する放
電ランプや蛍光放電ランプにおいて更に、前述したよう
に光色が不快なものにならないようにする目的で、CI
E1960UCS色度図における可視波長域の色度の黒
体放射軌跡からの外れ(duv)が±0.01以内とな
るように、照射光の特性を設定してもよい。
【0126】また、可視波長領域の光源と赤外領域の光
源とを個別に設けて、各々の点灯制御を独立に行うよう
に構成することによって、所定の或いは所望の時間帯の
みにNK細胞活性や生体機能の維持・向上のための赤外
放射を点灯させることが、容易に実現される。
【0127】なお、以上の本発明の第2及び第3の実施
形態の説明では、可視波長域の放射のための光源(放射
源)2と赤色〜近赤外域の放射のための光源(放射源)
3とが別個に設けられている構成に関して、これらの2
つの光源(放射源)2及び3が同じボディー部に取り付
けられている構成を例示しているが、本発明の構成は、
これに限られるわけではない。例えば、部屋のある壁面
に可視波長域の放射のための光源(放射源)2を設け、
それに対向する壁面に赤色〜近赤外域の放射のための光
源(放射源)3を配置したり、或いは、部屋の天井の一
方の壁際に可視波長域の放射のための光源(放射源)2
を設け、それに対向する壁際に赤色〜近赤外域の放射の
ための光源(放射源)3を配置したりしても、同様の効
果を得ることができる。
【0128】(第4の実施形態)本発明の第4の実施形
態として、これまでの実施形態で説明した本発明の光
(放射エネルギー)照射装置に更に画像表示機能を持た
せる場合、すなわち、本発明の光(放射エネルギー)の
照射機能を適用して得られるディスプレイ装置につい
て、以下に説明する。
【0129】上記のようなディスプレイ装置への本発明
の適用例としては、例えば、コンピュータ用表示装置、
ゲーム用表示装置、或いはテレビ映像表示装置などにお
いて、それらの額縁部分、或いは表示部の周辺に、表示
画面を観察する観察者(例えば、表示画面をみながらコ
ンピュータを用いた作業を行う作業者)に対して先に説
明した波長範囲の赤色〜赤外波長域の光(より広義には
放射エネルギー)を照射する光源(放射エネルギーの照
射源)を設けることによって、観察者が表示画面を見て
いる間に赤色〜赤外照射を浴びて、その生体能力を維持
・向上させることができる構成とすることができる。
【0130】より具体的な構成例を添付の図面を参照し
て更に説明すると、図9に示す本実施形態のディスプイ
レイ装置10では、通常の表示部11の上部に、赤色〜
赤外域の放射源12(近赤外放射源12と称する)、例
えば発光ダイオード(LED)などが装着されている。
この場合にも、従来技術の構成(文献1)で使用されて
いる発光ピーク波長660nmのLEDの代わりに、生
体への浸透効率のよい範囲の波長を発するLED、例え
ばAlGaAsから構成されているLEDを赤外放射源
12として使用することにより、視床下部付近の生体機
能制御の中枢を、より効率よく制御できる。また、この
波長領域は人間の視覚の感度から外れるため、この波長
の近赤外照射は不快なグレア源とはならず、ちらつきや
不快感を与えることはない。
【0131】或いは、第1の実施形態として説明したM
FG蛍光ランプや、第2の実施形態で説明したALF蛍
光ランプを、上記の近赤外放射源12として用いても良
い。この場合、例えばALF蛍光ランプでは、その主発
光波長域が700nm〜800nmであり、上記のAl
GaAs系LEDと置き換えて使用することができる。
【0132】また、表示部11に対して、近赤外放射源
12が独立して点灯できるようにして、利用者が必要に
応じて、近赤外放射源12の点灯を行なうようにしても
よい。
【0133】次に図10は、本実施形態による他の構成
を有するディスプイレイ装置20を示す。このディスプ
イレイ装置20では、通常の表示部21の上部に、LE
Dなどの近赤外放射源22を設けると共に、この近赤外
放射源22からの放射のうちでディスプレイを鑑賞また
は作業する鑑賞者24からの反射を検出する赤外センサ
23を更に設けて、この赤外センサ23の出力から、鑑
賞者24における赤外放射の放射照度を求める。このよ
うにして求めた結果に基づいて近赤外放射源22の放射
出力を調整することによって、図10のディスプレイ装
置20は、鑑賞者24が浴びる赤外照射レベルを一定に
維持する機能を持つ。
【0134】一般に、波長700nm〜1100nmの
赤外放射に対しては、毛髪や衣服で覆われていない顔面
での反射率が比較的高い。このとき、赤外センサ23の
分光感度を、近赤外放射源22の主波長の近傍に限定す
る(例えば、近赤外放射源22としてピーク波長880
nmのAlGaAsLEDを使用する場合には、赤外セ
ンサ23の分光感度を波長880nm付近の波長に限定
する)ことにより、鑑賞者24に照射される赤外放射量
を制御しやすい。
【0135】また、赤外センサ23としてにCCDなど
の2次元撮像素子を使用して、表示部21の前面のある
エリアを撮像し、その中で最も赤外放射の反射輝度の高
いエリアを鑑賞者24の顔面と判定し、その部分の輝度
から鑑賞者24の顔面に到達する赤外放射の放射照度を
求める機能を持たせることにより、より精度良く、鑑賞
者24の顔面に一定量の赤外放射を照射することができ
る。
【0136】また、文献3は、波長660nmの赤色L
EDの光を使用者の前頭部に照射するにあたって、その
光を0.5〜13Hzのパルス光とすることにより、変
調されていない連続の定常光を照射する場合に比べて、
NK細胞活性をより高めることができることを報告して
いる。これに関して、先に図4を参照して説明した「生
体の窓」に相当する波長領域の赤外領域の放射(より効
率よく生体内に浸透して、頭部の視床下部を刺激する)
を、0.5〜13Hzの交流或いはパルス変調すること
により、生体機能を維持・増進する効果が高まることが
期待できる。ここで、10Hz前後の可視光領域の点滅
光は、てんかんを誘発する周波数であるが、上記の生体
の窓に相当するような波長領域は、人間の視覚の感度か
ら外れているために、鑑賞者24の視界の中で点滅させ
ても不快感を発生することもない。
【0137】以下に、様々な具体的なディスプレイ装置
への本発明の光(放射エネルギー)の照射方法及び照射
装置の適用について、説明する。
【0138】様々な種類のディスプレイに関する以下の
実施形態例の説明の中では、生体機能を維持・増進する
効果を有する照射の波長域を、600nm〜1100n
mとして、説明を進める。但し、この波長域の下限につ
いては、ディスプレイの表示内容や、ディスプレイが使
用される環境によって、異なる値が要求される。
【0139】例えば、カラー表示装置には波長635n
m付近の赤色光が用いられることがあり、表示する画像
とは独立して、生体機能を維持・増進するエネルギー放
射を照射する場合には、前記波長域の下限を635nm
以上とする。また、画像や周囲の環境の色に影響を与え
ること無く、生体機能を維持・増進するエネルギー放射
を照射する場合には、前記波長域の下限を、人間の眼の
感度(視感度)が低い700nm以上とする。
【0140】CRTディスプレイは、蛍光体の発光によ
り、画像を構成する画素を形成する。その蛍光体とし
て、可視波長域に主発光部を有し、且つ波長600nm
から1100nmの範囲に副発光部を有する蛍光体によ
り形成した蛍光面を設けて、生体に浸透する波長範囲の
放射エネルギーを照射することにより、被照射面におけ
る使用者の生体機能を維持・増進できる。
【0141】或いは、CRTディスプレイの蛍光体とし
て、可視光を発光する蛍光体材料と発光スペクトルが波
長600nmから1100nmの範囲にある蛍光体材料
とを混合した蛍光体により蛍光面を有し、生体に浸透す
る波長範囲の放射エネルギーを照射することにより、被
照射面における使用者の生体機能を維持・増進できる。
【0142】また、CRTディスプレイにおいて、蛍光
体の可視波長域の発光により画像を構成する画素を形成
する発光部と、波長600nmから1100nmの範囲
の放射エネルギーを放射する蛍光面とを重畳或いは隣接
させ、可視波長域で発光する蛍光面へ供給する駆動エネ
ルギーの一部を波長600nmから1100nmの範囲
の放射エネルギーを放射する蛍光面に供給して、生体に
浸透する波長範囲の放射エネルギーを照射することによ
り、被照射面における使用者の生体機能を維持・増進で
きる。このような構成は、例えば、発光部を形成する蛍
光体ドットの周辺に、波長600nmから1100nm
の範囲の放射エネルギーを放射する蛍光体を塗布するこ
とによって実現できる。この場合、蛍光体ドットに照射
する電子ビームは、散乱や狙いのずれにより、その一部
が波長600nmから1100nmの範囲の放射エネル
ギーを放射する蛍光体に到達し、波長600nmから1
100nmの範囲の放射エネルギーを放射する。
【0143】或いは、CRTディスプレイにおいて、蛍
光体の可視波長域の発光により画像を構成する画素を形
成する発光部と、波長600nmから1100nmの範
囲の放射エネルギーを放射する蛍光面とを設けて、可視
波長域で発光する蛍光面へ供給する駆動エネルギーの強
度とは独立に、波長600nmから1100nmの範囲
の放射エネルギーを放射する蛍光面に駆動エネルギーを
供給し、生体に浸透する波長範囲の放射エネルギーを照
射することにより、被照射面における使用者の生体機能
を維持・増進できる。このような構成とするには、例え
ばフェースプレートの端面に,波長600nmから11
00nmの範囲の放射エネルギーをフェースプレートの
中央部に向けて放射するよう放射源を設置する。この場
合に、波長600nmから1100nmの範囲の放射エ
ネルギーは、フェースプレートの外面と内面との間で反
射を繰り返しながらフェースプレートの全面に行き渡
り、フェースプレートを二次放射源として、CRTディ
スプレイの観測者に対して、波長600nmから110
0nmの範囲の放射エネルギーを照射することができ
る。
【0144】プラズマディスプレイは、蛍光体の発光に
より、画像を構成する画素を形成する。その蛍光体とし
て、可視波長域に主発光部を有し、且つ波長600nm
から1100nmの範囲に副発光部を有する蛍光体によ
り形成した蛍光面を設けて、生体に浸透する波長範囲の
放射エネルギーを照射することにより、被照射面におけ
る使用者の生体機能を維持・増進できる。
【0145】或いは、プラズマディスプレイの蛍光体と
して、可視光を発光する蛍光体材料と発光スペクトルが
波長600nmから1100nmの範囲にある蛍光体材
料とを混合した蛍光体により蛍光面を有し、生体に浸透
する波長範囲の放射エネルギーを照射することにより、
被照射面における使用者の生体機能を維持・増進でき
る。
【0146】また、プラズマディスプレイにおいて、蛍
光体の可視波長域の発光により画像を構成する画素を形
成する発光部と、波長600nmから1100nmの範
囲の放射エネルギーを放射する蛍光面とを重畳或いは隣
接させ、可視波長域で発光する蛍光面へ供給する駆動エ
ネルギーの一部を波長600nmから1100nmの範
囲の放射エネルギーを放射する蛍光面に供給して、生体
に浸透する波長範囲の放射エネルギーを照射することに
より、被照射面における使用者の生体機能を維持・増進
できる。このような構成は、例えば、発光部を形成する
蛍光体ドットの周辺に、波長600nmから1100n
mの範囲の放射エネルギーを放射する蛍光体を塗布する
ことによって実現できる。この場合、蛍光体ドットに照
射する電子ビームは、散乱や狙いのずれにより、その一
部が波長600nmから1100nmの範囲の放射エネ
ルギーを放射する蛍光体に到達し、波長600nmから
1100nmの範囲の放射エネルギーを放射する。
【0147】或いは、プラズマディスプレイにおいて、
蛍光体の可視波長域の発光により画像を構成する画素を
形成する発光部と、波長600nmから1100nmの
範囲の放射エネルギーを放射する蛍光面とを設けて、可
視波長域で発光する蛍光面へ供給する駆動エネルギーの
強度とは独立に、波長600nmから1100nmの範
囲の放射エネルギーを放射する蛍光面に駆動エネルギー
を供給し、生体に浸透する波長範囲の放射エネルギーを
照射することにより、被照射面における使用者の生体機
能を維持・増進できる。このような構成とするには、例
えばフェースプレートの端面に,波長600nmから1
100nmの範囲の放射エネルギーをフェースプレート
の中央部に向けて放射するよう放射源を設置する。この
場合に、波長600nmから1100nmの範囲の放射
エネルギーは、フェースプレートの外面と内面との間で
反射を繰り返しながらフェースプレートの全面に行き渡
り、フェースプレートを二次放射源として、CRTディ
スプレイの観測者に対して、波長600nmから110
0nmの範囲の放射エネルギーを照射することができ
る。
【0148】電界発光型エレクトロルミネセンス(E
L)ディスプレイは、蛍光体の発光により、画像を構成
する画素を形成する。その蛍光体として、可視波長域に
主発光部を有し、且つ波長600nmから1100nm
の範囲に副発光部を有する蛍光体により形成した蛍光面
を設けて、生体に浸透する波長範囲の放射エネルギーを
照射することにより、被照射面における使用者の生体機
能を維持・増進できる。
【0149】或いは、ELディスプレイの蛍光体とし
て、可視光を発光する蛍光体材料と発光スペクトルが波
長600nmから1100nmの範囲にある蛍光体材料
とを混合した蛍光体により蛍光面を有し、生体に浸透す
る波長範囲の放射エネルギーを照射することにより、被
照射面における使用者の生体機能を維持・増進できる。
【0150】また、ELディスプレイにおいて、蛍光体
の可視波長域の発光により画像を構成する画素を形成す
る発光部と、波長600nmから1100nmの範囲の
放射エネルギーを放射する蛍光面とを重畳或いは隣接さ
せ、可視波長域で発光する蛍光面へ供給する駆動エネル
ギーの一部を波長600nmから1100nmの範囲の
放射エネルギーを放射する蛍光面に供給して、生体に浸
透する波長範囲の放射エネルギーを照射することによ
り、被照射面における使用者の生体機能を維持・増進で
きる。このような構成は、例えば、発光部を形成する蛍
光体ドットの周辺に、波長600nmから1100nm
の範囲の放射エネルギーを放射する蛍光体を塗布するこ
とによって実現できる。この場合、蛍光体ドットに照射
する電子は、散乱により、その一部が波長600nmか
ら1100nmの範囲の放射エネルギーを放射する蛍光
体に到達し、波長600nmから1100nmの範囲の
放射エネルギーを放射する。
【0151】或いは、ELディスプレイにおいて、蛍光
体の可視波長域の発光により画像を構成する画素を形成
する発光部と、波長600nmから1100nmの範囲
の放射エネルギーを放射する蛍光面とを設けて、可視波
長域で発光する蛍光面へ供給する駆動エネルギーの強度
とは独立に、波長600nmから1100nmの範囲の
放射エネルギーを放射する蛍光面に駆動エネルギーを供
給し、生体に浸透する波長範囲の放射エネルギーを照射
することにより、被照射面における使用者の生体機能を
維持・増進できる。このような構成とするには、例えば
フェースプレートの端面に、波長600nmから110
0nmの範囲の放射エネルギーをフェースプレートの中
央部に向けて放射するよう放射源を設置する。この場合
に、波長600nmから1100nmの範囲の放射エネ
ルギーは、フェースプレートの外面と内面との間で反射
を繰り返しながらフェースプレートの全面に行き渡り、
フェースプレートを二次放射源として、CRTディスプ
レイの観測者に対して、波長600nmから1100n
mの範囲の放射エネルギーを照射することができる。
【0152】発光ダイオード(LED)ディスプレイ
は、電流を注入することにより発光する半導体素子を並
置させて、画像を形成する。このとき、その発光スペク
トルにおいて、可視波長域に主発光部を有し、且つ波長
600nmから1100nmの範囲に副発光部を有する
LEDによりディスプレイを構成し、生体に浸透する波
長範囲の放射エネルギーを照射することにより、被照射
面における使用者の生体機能を維持・増進できる。
【0153】或いは、LEDディスプレイにおいて、発
光スペクトルが可視波長域にあるLEDと、発光スペク
トルが波長600nmから1100nmの範囲にあるL
EDとを一体化したLED素子によりディスプレイを構
成し、生体に浸透する波長範囲の放射エネルギーを照射
することにより、被照射面における使用者の生体機能を
維持・増進できる。
【0154】また、LEDディスプレイにおいて、可視
波長域の発光により画像を形成する発光部と、波長60
0nmから1100nmの範囲の放射エネルギーを放射
する蛍光面とを重畳或いは隣接させ、発光部へ供給する
駆動エネルギーの一部を放射部に供給して、生体に浸透
する波長範囲の放射エネルギーを照射することにより、
被照射面における使用者の生体機能を維持・増進でき
る。このような構成は、例えば、可視波長域で発光する
LEDの周辺に、波長600nmから1100nmの範
囲の放射エネルギーを放射するLEDを配置し、それら
を直列或いは並列に接続して、映像信号に対応する制御
電流で駆動すればよい。
【0155】或いは、LEDディスプレイにおいて、可
視波長域の発光により画像を形成する発光部と、波長6
00nmから1100nmの範囲の放射エネルギーを放
射する放射部とを設けて、発光部へ供給する駆動エネル
ギーの強度とは独立に、波長600nmから1100n
mの範囲の放射エネルギーを放射する放射部に駆動エネ
ルギーを供給し、生体に浸透する波長範囲の放射エネル
ギーを照射することにより、被照射面における使用者の
生体機能を維持・増進できる。このような構成とするに
は、例えば可視波長域で発光するLEDの周辺に、波長
600nm〜1100nmの範囲の放射エネルギーを放
射するLEDを配置して、可視波長域で発光するLED
には映像信号に対応する制御電流を、波長600nm〜
1100nmの範囲の放射エネルギーを放射するLED
には、前記制御電流とは独立な電流を印加すればよい。
【0156】自発光型液晶ディスプレイにおいて、蛍光
体の可視波長域の発光により画像を構成する画素を形成
する発光部と、波長600nmから1100nmの範囲
の放射エネルギーを放射する蛍光面とを設けて、可視波
長域で発光する蛍光面へ供給する駆動エネルギーの強度
とは独立に、波長600nmから1100nmの範囲の
放射エネルギーを放射する蛍光面に駆動エネルギーを供
給し、生体に浸透する波長範囲の放射エネルギーを照射
することにより、被照射面における使用者の生体機能を
維持・増進できる。このような構成とするには、例えば
液晶パネルの端面に、波長600nmから1100nm
の範囲の放射エネルギーを液晶パネルの中央部に向けて
放射するよう放射源を設置する。この場合に、波長60
0nmから1100nmの範囲の放射エネルギーは、液
晶パネルの外面と内面との間で反射を繰り返しながら液
晶パネルの全面に行き渡り、液晶パネルを二次放射源と
して、液晶ディスプレイの観測者に対して、波長600
nmから1100nmの範囲の放射エネルギーを照射す
ることができる。
【0157】自発光型液晶ディスプレイは、可視波長域
の光の空間的強度を分光及び変調して、画像を構成する
画素を形成する。このとき、可視波長域及び波長600
nmから1100nmの範囲の放射エネルギーを含む光
源を用いてディスプレイを構成することにより、波長6
00nmから1100nmの範囲の放射エネルギーが画
素を形成する分光及び変調された可視波長域に重畳され
るか或いは画素の周辺を透過して、生体に浸透する波長
範囲の放射エネルギーが照射することにより、被照射面
における使用者の生体機能を維持・増進できる。
【0158】自発光型液晶ディスプレイの液晶デバイス
に使用されている偏光膜は、可視波長域の光に対しては
偏光特性を有するが、少なくとも波長700nm以上の
赤外放射に対しては偏光特性を有しない性質がある。こ
のため、可視波長域の発光スペクトルにおいて、可視波
長域に加えて、波長600nm(或いは635nm)か
ら1100nmの範囲の放射エネルギーを含む光源をバ
ックライトとすることにより、液晶によって可視光の強
度分布を空間変調することによって提示される画像の種
類にかかわらず、一定強度以上の600nm(或いは6
35nm)〜1100nmの範囲の放射を使用者に照射
することができる。
【0159】投射型液晶ディスプレイにおいて、蛍光体
の可視波長域の発光により画像を構成する画素を形成す
る発光部と、波長600nmから1100nmの範囲の
放射エネルギーを放射する蛍光面とを設けて、可視波長
域で発光する蛍光面へ供給する駆動エネルギーの強度と
は独立に、波長600nmから1100nmの範囲の放
射エネルギーを放射する蛍光面に駆動エネルギーを供給
し、生体に浸透する波長範囲の放射エネルギーを照射す
ることにより、被照射面における使用者の生体機能を維
持・増進できる。このような構成とするには、例えば液
晶パネルの端面に、波長600nmから1100nmの
範囲の放射エネルギーを液晶パネルの中央部に向けて放
射するよう放射源を設置する。この場合に、波長600
nmから1100nmの範囲の放射エネルギーは、液晶
パネルの外面と内面との間で反射を繰り返しながら液晶
パネルの全面に行き渡り、液晶パネルを二次放射源とし
て、液晶ディスプレイの観測者に対して、波長600n
mから1100nmの範囲の放射エネルギーを照射する
ことができる。
【0160】投射型液晶ディスプレイは、可視波長域の
光の空間的強度を分光及び変調して、画像を構成する画
素を形成する。このとき、可視波長域及び波長600n
mから1100nmの範囲の放射エネルギーを含む光源
を用いてディスプレイを構成することにより、波長60
0nmから1100nmの範囲の放射エネルギーが画素
を形成する分光及び変調された可視波長域に重畳される
か或いは画素の周辺を透過して、生体に浸透する波長範
囲の放射エネルギーが照射することにより、被照射面に
おける使用者の生体機能を維持・増進できる。
【0161】投射型液晶ディスプレイの液晶デバイスに
使用されている偏光膜は、可視波長域の光に対しては偏
光特性を有するが、少なくとも波長700nm以上の赤
外放射に対しては偏光特性を有しない性質がある。この
ため、可視波長域の発光スペクトルにおいて、可視波長
域に加えて、波長600nm(或いは635nm)から
1100nmの範囲の放射エネルギーを含む光源をバッ
クライトとすることにより、液晶によって可視光の強度
分布を空間変調することによって提示される画像の種類
にかかわらず、一定強度以上の600nm(或いは63
5nm)〜1100nmの範囲の放射を使用者に照射す
ることができる。
【0162】以上のように、様々なタイプのディスプレ
イ装置に本発明を適用し、それを用いて、コンピュータ
用画像表示装置、ゲーム用画像表示装置、或いはテレビ
ジョン(TV)画像表示装置などを構成すれば、コンピ
ュータ用画像表示装置においてはコンピュータ画像を観
る観測者に対して、ゲーム用画像表示装置においてはゲ
ームを行なう使用者に対して、またテレビジョン画像再
生表示装置においては映像を観る観測者に対して、それ
ぞれ波長600nm(或いは635nm)〜1100n
mの範囲の放射エネルギーを放射する放射源が備けられ
て、観測者或いは使用者が画面(コンピュータ画像、ゲ
ーム画像、或いは映像)を観る間に生体に浸透する波長
範囲の放射エネルギーを照射することにより、観測者や
使用者の生体機能を維持・増進することができる。
【0163】コンピュータ用画像表示装置、ゲーム用画
像表示装置、或いはテレビジョン画像再生表示装置など
のディスプレイ装置において、表示部における画像の切
り替わりがあらかじめ設定された時間を超えて発生しな
かった場合に、波長600nm(635nm)〜110
0nmの放射エネルギー強度を変化させることにより、
画像の休止期間に観測者に対して生体機能を維持・増進
するための休息期間を与えるディスプレイ装置とするこ
とができる。このとき、画像も自動的に変化させること
により、スクリーンセーバー機能が得られる。
【0164】また、画像の休止期間に観測者に対して生
体機能を維持・増進するための休息期間を与えるディス
プレイ装置において、表示部における画像の切り替わり
があらかじめ設定された時間を超えて発生しなかったこ
とにより波長600nm(635nm)〜1100nm
の放射エネルギー強度を変化させた後に、画像の切り替
わりが生じた場合に、前記波長範囲の放射エネルギー強
度を変化前の強度に戻すことにより、再び元の状態に復
帰することができる。
【0165】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、光(放
射エネルギー)の照射(特に、赤色〜近赤外の波長域の
放射)により、生体機能を維持・向上させることができ
る波長域の放射を日常の生活の中で生体に与えることが
できて、免疫力の向上や自律神経の活性化など生体機能
の維持・向上やNK細胞活性の維持・向上を実現するこ
とができる。
【0166】特に、本発明の光(放射エネルギー)照射
装置は、一般的な照明装置として構成することができ
る。これにより、このようにして構成される照明装置を
設けることによって、例えば、人工照明の下での長時間
に渡る生活或いは作業を強いられて十分に昼光を浴びる
ことができない人の生体機能の維持・向上やNK細胞活
性の維持・向上を実現したり、或いは、天候、地域性、
季節などの影響を受けずに常に十分な量の照射を与えた
りすることが可能になる。
【0167】また、本発明の光(放射エネルギー)照射
装置に更に画像表示機能(ディスプレイ機能)をもたせ
て、ディスプレイ装置として機能するように構成するこ
とも可能である。例えば、TV或いはコンピュータ表示
装置などのディスプレイ装置の画面の周辺に配置すれ
ば、テレビ鑑賞中或いはディスプレイによる作業中に、
鑑賞者或いは作業者が画面近傍に顔を向ける状態で赤色
〜近赤外域の光を顔面に効率的に照射して、TV鑑賞や
OA(オフィス・オートメーション)作業などでディス
プレイに長時間に渡って向かう人の生体機能や体内のN
K細胞活性の維持・向上を図ることが可能になる。
【0168】以上のように、本発明によれば、日々の日
常生活の中で無意識のうちに、光(放射エネルギー)の
照射による生体機能の維持・向上やNK細胞活性の維持
・向上といった効果を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般に使用されている光源として、(a)三波
長域発光型昼光色蛍光ランプ、(b)白色蛍光ランプ、
(c)60Wシリカ電球、並びに、(d)発光ピーク波
長660nmの発光ダイオード(LED)の各々につい
て、分光分布(波長に対する相対分光放射エネルギーの
分布)を示す図である。
【図2】発明者らの実験で用いた試験用照明光(近赤外
放射を含む照明光IL+TR、及び近赤外放射を含まな
い照明光FL)の各々について、分光分布(波長に対す
る相対分光放射エネルギーの分布)を示す図である。
【図3】三波長域発光型蛍光ランプ(昼白色)及び白色
蛍光ランプの各々について、分光分布(波長に対する相
対分光放射エネルギーの分布)を示す図である。
【図4】近赤外波長域の近傍における、主要生体物質と
しての水及びヘモグロビンの分光吸収特性を示す図であ
る。
【図5】本発明に従って構成されるMFG蛍光ランプの
分光分布(波長に対する相対分光放射エネルギーの分
布)を示す図である。
【図6】本発明に従って構成されるALF蛍光ランプの
分光分布(波長に対する相対分光放射エネルギーの分
布)を示す図である。
【図7】MFG蛍光ランプ及びALF蛍光ランプの相対
分光放射エネルギーの分布を、発光ピーク波長660n
mのLED及び60Wシリカ白熱電球における結果とあ
わせて示す図である。
【図8】本発明に従って構成される光照射装置(照明器
具)のある構成を模式的に示す図である。
【図9】本発明に従って構成されるディスプレイ装置の
ある構成を模式的に示す図である。
【図10】本発明に従って構成されるディスプレイ装置
の他の構成を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 光照射装置(照明器具) 2 可視光源(環状蛍光ランプ) 3、12、22 近赤外放射源(赤色〜近赤外放射の放
射源) 10、20 ディスプレイ装置 11、21 表示部 23 赤外センサ 24 鑑賞者
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平11−126631 (32)優先日 平成11年5月7日(1999.5.7) (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 橋本 健次郎 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 4C082 PA02 PC09 PC10 PE01 PE02 PG16 PJ01

Claims (31)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可視波長域の放射と生体内部に浸透して
    生体機能を維持・増進させる所定の波長域の放射とを含
    む照明用の照明光を照射する手段を備えた、放射エネル
    ギー照射装置。
  2. 【請求項2】 前記所定の波長域が600nm〜110
    0nmの範囲である、請求項1に記載の放射エネルギー
    照射装置。
  3. 【請求項3】 前記所定の波長域の放射が、生体の免疫
    力を増強させて生体機能を維持・増進させる、請求項1
    に記載の放射エネルギー照射装置。
  4. 【請求項4】 前記所定の波長域の放射が、自律神経を
    活性化させて生体機能を維持・増進させる、請求項1に
    記載の放射エネルギー照射装置。
  5. 【請求項5】 前記可視波長域の放射のための放射手段
    と前記所定の波長域の放射のための放射手段とが一体化
    されている、請求項1から4の何れか一つに記載の放射
    エネルギー照射装置。
  6. 【請求項6】 前記可視波長域の放射のための放射手段
    及び前記所定の波長域の放射のための放射手段のうちの
    少なくとも一方が、独立して設けられている、請求項1
    から4の何れか一つに記載の放射エネルギー照射装置。
  7. 【請求項7】 前記照明光によって照射される被照射面
    において、波長600nm〜1100nmの範囲の放射
    照度が0.1W/m2以上である、請求項1から6の何
    れか一つに記載の放射エネルギー照射装置。
  8. 【請求項8】 前記所定の波長域の放射が600nm〜
    1100nmの範囲の放射であり、該600nm〜11
    00nmの範囲の放射が、0.5〜13Hzでパルス変
    調されて照射される、請求項1から6の何れか一つに記
    載の放射エネルギー照射装置。
  9. 【請求項9】 前記照明光によって照射される被照射面
    において、波長600nmから1100nmの範囲の放
    射の放射エネルギーが、波長380nmから780nm
    までの可視波長域の範囲の放射の放射エネルギーの15
    %以上である、請求項1から6の何れか一つに記載の放
    射エネルギー照射装置。
  10. 【請求項10】 波長600nmから1100nmの範
    囲の放射の放射効率が0.001W/lm以上である、
    請求項1から6の何れか一つに記載の放射エネルギー照
    射装置。
  11. 【請求項11】 前記照明光によって照射される被照射
    面において、波長1100nmから2.5μmの範囲の
    放射の放射エネルギーが、波長600nmから1100
    nmの範囲の放射の放射エネルギーより小さい、請求項
    1から6の何れか一つに記載の放射エネルギー照射装
    置。
  12. 【請求項12】 前記照明光が不快感を感じさせない光
    色を有しており、国際照明委員会(CIE)1960U
    CS色度図上におけるその可視波長域の色度の黒体放射
    軌跡からの外れ(duv)が±0.01以内である、請
    求項1から6の何れか一つに記載の放射エネルギー照射
    装置。
  13. 【請求項13】 放電ランプとしての構成を有してい
    る、請求項9から12の何れか一つに記載の放射エネル
    ギー照射装置。
  14. 【請求項14】 蛍光放電ランプとしての構成を有して
    いる、請求項13に記載の放射エネルギー照射装置。
  15. 【請求項15】 白熱電球としての構成を有している、
    請求項9から12の何れか一つに記載の放射エネルギー
    照射装置。
  16. 【請求項16】 固体発光素子を含む光源としての構成
    を有している、請求項9から12の何れか一つに記載の
    放射エネルギー照射装置。
  17. 【請求項17】 人間による視感度が低く且つ生体内部
    に深く浸透して生体機能を維持・増進させる所定の波長
    域の放射を照射する手段を備えた、放射エネルギー照射
    装置。
  18. 【請求項18】 前記所定の波長域が600nm〜11
    00nmの範囲である、請求項17に記載の放射エネル
    ギー照射装置。
  19. 【請求項19】 前記所定の波長域の放射が、生体の免
    疫力を増強させて生体機能を維持・増進させる、請求項
    17に記載の放射エネルギー照射装置。
  20. 【請求項20】 前記所定の波長域の放射が、自律神経
    を活性化させて生体機能を維持・増進させる、請求項1
    7に記載の放射エネルギー照射装置。
  21. 【請求項21】 前記放射によって照射される被照射面
    において、波長700nm〜1100nmの範囲の放射
    照度が0.03W/m2以上である、請求項17から2
    0の何れか一つに記載の放射エネルギー照射装置。
  22. 【請求項22】 前記所定の波長域の放射が700nm
    〜1100nmの範囲の放射であり、該700nm〜1
    100nmの範囲の放射が、0.5〜13Hzでパルス
    変調されて照射される、請求項17から20の何れか一
    つに記載の放射エネルギー照射装置。
  23. 【請求項23】 前記放射によって照射される被照射面
    において、波長1100nmから2.5μmの範囲の放
    射の放射エネルギーが、波長700nmから1100n
    mの範囲の放射の放射エネルギーより小さい、請求項1
    7から20の何れか一つに記載の放射エネルギー照射装
    置。
  24. 【請求項24】 放電ランプとしての構成を有してい
    る、請求項21から23の何れか一つに記載の放射エネ
    ルギー照射装置。
  25. 【請求項25】 蛍光放電ランプとしての構成を有して
    いる、請求項24に記載の放射エネルギー照射装置。
  26. 【請求項26】 白熱電球としての構成を有している、
    請求項21から23の何れか一つに記載の放射エネルギ
    ー照射装置。
  27. 【請求項27】 固体発光素子を含む光源としての構成
    を有している、請求項21から23の何れか一つに記載
    の放射エネルギー照射装置。
  28. 【請求項28】 照明用の照明光を供給する照明機能を
    有している、請求項17から27の何れか一つに記載の
    放射エネルギー照射装置。
  29. 【請求項29】 所定の画像を表示するディスプレイ機
    能を有している、請求項17から27の何れか一つに記
    載の放射エネルギー照射装置。
  30. 【請求項30】 前記所定の波長域の放射を照射する手
    段によって、前記所定の画像が表示される、請求項29
    に記載の放射エネルギー照射装置。
  31. 【請求項31】 前記所定の画像を表示するための表示
    手段を更に有しており、前記所定の波長域の放射を照射
    する手段が、該表示手段に取り付けられている、請求項
    29に記載の放射エネルギー照射装置。
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