JP2001021523A - 生体触媒の固定化方法 - Google Patents

生体触媒の固定化方法

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JP2001021523A
JP2001021523A JP11189315A JP18931599A JP2001021523A JP 2001021523 A JP2001021523 A JP 2001021523A JP 11189315 A JP11189315 A JP 11189315A JP 18931599 A JP18931599 A JP 18931599A JP 2001021523 A JP2001021523 A JP 2001021523A
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biocatalyst
screen
electrode
liquid
mesh
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Takashi Morita
高志 森田
Kiyoko Yano
清子 矢野
Macniven Scott
マクニーヴン スコット
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Akebono Research and Development Centre Ltd
International Center for Environmental Technology Transfer
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生体触媒電極における生体触媒の定量的な固
定を、正確かつ簡便に行うことが可能な生体触媒の固定
化方法であって、それにより、生体触媒が定量性よく固
定化された生体触媒電極の効率的な生産を可能とする生
体触媒の固定化方法を提供する。 【解決手段】 絶縁基板と絶縁基板上に固定された導体
と導体上に固定化された生体触媒とを有する生体触媒電
極における生体触媒の固定化方法であって、下記
(a)、(b)、(c)および(d)の工程を含む方
法: (a)開口部またはメッシュ部を有するスクリーンを開
口部またはメッシュ部から導体を臨ませるように絶縁基
板に固定する工程、(b)生体触媒を含有する液体であ
って後処理によって固化可能な液体をスクリーン上に供
給する工程、(c)スキージをスクリーン表面に密接さ
せ、前記液体が開口部またはメッシュ部の全体に引き伸
ばされるように、スクリーン上を移動させる工程、
(d)生体触媒を含有する液体を固化させる工程。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生体触媒電極にお
ける生体触媒の固定化方法に関し、詳しくは、生体触媒
電極における生体触媒の定量的な固定を、正確かつ簡便
に行うことが可能な生体触媒の固定化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、生体触媒(酵素、微生物、オルガ
ネラ、抗原、抗体など)の生物化学的反応を利用して電
気化学的計測を行うバイオセンサーは、環境、食品検
査、医療診断分野等に広く利用されている。バイオセン
サーにおいては、電極に生体触媒が固定化された生体触
媒電極上で生物化学的反応が行われる。この生体触媒電
極における生体触媒の固定化方法として、これまでに、
電極表面に直接またはフィルターを介して物理的に吸着
させる方法、電極表面を化学修飾して共有結合させる方
法、高分子材料に包括または架橋させて電極上に配置す
る方法等が提案されている。
【0003】特に従来のバイオセンサーは、一対の生体
触媒電極を用いて、連続的もしくは複数回測定を行う利
用形態が多く、そのため、この一対の生体触媒電極があ
る測定対象物質に対して定量的に測定可能であれば、同
じ生体触媒電極を用いて作成された検量線により測定対
象物質の定量的な濃度予測をすることができた。したが
って、同じ目的を持つ別の一対の同様な生体触媒電極と
の相関や電極間の応答値の相違などは、極端な場合を除
いて余り重要な問題ではなかった。
【0004】すなわち、同一目的のために作製された2
対の生体触媒電極のそれぞれの生体触媒固定化量が異な
り、その結果、同一濃度の基質に対する応答値が異なっ
たとしても、それぞれの応答値は独立して利用されるた
め、個々の生体触媒電極の応答値に直線性があれば定量
的な測定は可能であった。
【0005】しかしながら、近年、低コストでメンテナ
ンスフリーの使い捨て型バイオセンサーが大量に生産さ
れるようになると、生体触媒電極による測定は基本的に
1回限りとなり、検量線の作成に必要な生体触媒電極も
含めると、1つの測定試料に対して複数の生体触媒電極
を利用する可能性がでてきた。すなわち、これまでの連
続的測定に用いられていた検量線作成と試料の測定を1
対の生体触媒電極によって順次行う方法は、短時間計測
が原則である使い捨て型バイオセンサーでは採用されが
たい。このため、従来の連続又は繰り返し測定用バイオ
センサーでも無視はできないが、個々のバイオセンサー
間での応答値特性が均一であることが使い捨て型バイオ
センサーにおいては特に要求され、電極上に生体触媒が
定量性よく固定化された生体触媒電極を、大量、安価に
生産可能な、生体触媒の固定化法の開発が必須となっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記観点から
なされたものであり、生体触媒電極における生体触媒の
定量的な固定を、正確かつ簡便に行うことが可能な生体
触媒の固定化方法であって、それにより、生体触媒が定
量性よく固定化された生体触媒電極の効率的な生産を可
能とする生体触媒の固定化方法を提供することを課題と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために生体触媒の固定化方法に関して鋭意研
究を重ねた結果、スクリーン印刷の手法を応用すること
で、電極上への生体触媒の固定化が、定量的かつ簡便に
行えることを見出し、本発明を完成するに至った。すな
わち本発明は、以下の通りである。
【0008】(1)絶縁基板と絶縁基板上に固定された
導体と導体上に固定化された生体触媒とを有する生体触
媒電極における生体触媒の固定化方法であって、下記
(a)、(b)、(c)および(d)の工程を含む方法
を提供するものである。
【0009】(a)開口部またはメッシュ部を有するス
クリーンを開口部またはメッシュ部から導体を臨ませる
ように絶縁基板に固定する工程、(b)生体触媒を含有
する液体であって後処理によって固化可能な液体をスク
リーン上に供給する工程、(c)スキージをスクリーン
表面に密接させ、前記液体が開口部またはメッシュ部の
全体に引き伸ばされるように、スクリーン上を移動させ
る工程、(d)生体触媒を含有する液体を固化させる工
程。
【0010】(2)(b)工程で用いる固化可能な液体
がアルギン酸ナトリウム溶液であり、(d)工程の固化
の方法が前記溶液にカルシウム塩溶液を反応させること
で行われる(1)の方法。
【0011】(3)(a)工程が、メッシュ部のみで構
成されるスクリーンを導体全体を覆うようにして絶縁基
板に固定する工程である(1)の方法。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の生体触媒の固定化方法は、絶縁基板と絶縁基板
上に固定された導体と導体上に固定化された生体触媒と
を有する生体触媒電極における生体触媒の固定化方法で
あって、上記(a)スクリーン固定工程、(b)生体触
媒固定化用液体供給工程、(c)スキージィング工程お
よび(d)生体触媒固定化工程を含む方法である。
【0013】(a)スクリーン固定工程 本発明の生体触媒の固定化方法において生体触媒は、絶
縁基板上に導体が固定された電極基板の導体上に固定化
される。本発明の固定化方法が適用される前記電極基板
としては、通常のバイオセンサーに用いられる電極基板
が特に制限なく挙げられるが、本発明の固定化方法の効
果がより発揮される電極基板として平板状の電極基板を
挙げることができる。
【0014】上記電極基板の導体としては、安定であ
り、かつ、導電性が大きく、生体触媒に対して実質的に
無害な導体、例えば、白金、金、銀等の金属、またはグ
ラファイト、カーボン等の炭素素材が挙げられる。絶縁
基板は、生体触媒電極が使用に耐えうる強度を有するよ
うに電極全体を支持できる素材、形状のものであれば特
に制限されず、素材としては、例えば、ポリエステル等
の樹脂、ガラス、試料溶液が浸透しない様に表面処理さ
れた紙等を挙げることができる。用いる導体、絶縁基板
の素材や形状にもよるが、導体は通常絶縁基板上に、例
えば、蒸着、スパッタ、スクリーン印刷等の方法で固定
される。
【0015】本発明の方法が適用される電極基板におけ
る導体の数としては、1または2以上が挙げられ、好ま
しくは1〜3が挙げられる。導体の数が1の場合には、
その導体上に生体触媒が固定化される。導体の数が2以
上の場合には、少なくとも作用極として働く導体上に生
体触媒が固定化される。この場合、その他の導体は対
極、参照極等として働くが、作業効率を上げる等の理由
によりこれらの導体上に生体触媒が固定されても構わな
い。
【0016】本発明の固定化方法に用いるスクリーン
は、開口部またはメッシュ部を有するものである。開口
部またはメッシュ部は、スクリーンが電極基板上に固定
された際に、電極基板上の少なくとも作用極となる導体
に対応する位置に設けられる。開口部またはメッシュ部
が作用極となる導体のみに対応して設けられる場合に
は、その大きさ、形状としては、作用極となる導体と同
一であるか、あるいは作用極となる導体全体を包含しさ
らに絶縁基板の一部を含むような大きさ、形状が挙げら
れる。
【0017】電極基板の同一平面上に作用極以外の導体
が設けられている場合には、スクリーンにおける開口部
またはメッシュ部の配置は、作用極のみを対象として行
われてもよいし、それ以外の導体を含む形で行われても
よい。複数の導体に対して開口部またはメッシュ部を設
ける場合には、開口部またはメッシュ部を導体毎に上記
作用極の場合と同様に複数個設けてもよいし、1個の開
口部またはメッシュ部を絶縁基板の一部を含み全ての導
体を包含するように設けてもよい。
【0018】スクリーンは、開口部またはメッシュ部の
周囲全体を絶縁基板に固定でき、さらに固定したときに
電極基板の外縁より外に出る部分のないような大きさ、
形状を有する薄板状のものであることが好ましい。
【0019】本発明の方法では、生物触媒固定化後、ス
クリーンを電極基板から取り外す場合と、そのまま基板
上に残して最終製品とする場合がある。スクリーンの材
質は、最終的にスクリーンを取り外す場合には、生体触
媒に対して実質的に無害であり、生体触媒の固定化に用
いる各種化合物に対して安定であれば、特に限定されな
い。スクリーンをそのまま最終製品に残す場合には、ス
クリーンは、上記性質に加えて、絶縁基板との接着性が
よく、それ自身も絶縁性である材質、例えば、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリカーボネート等のプラスチックやガラス等で構成さ
れることが好ましい。
【0020】スクリーンがメッシュ部を有する場合に
は、メッシュ部とそれ以外の部分(以下、「スクリーン
本体」ということがある。)が同一材料で一体成形され
ていてもよいし、異なる材質の組み合わせで構成されて
いてもよい。メッシュ部の材質としては、例えば、ポリ
エステル、ポリアミド、セルロース、シルク、その他繊
維を形成しうる各種天然・合成材料等が挙げられる。ま
た、本発明に用いるスクリーン本体は、液体が透過でき
ないように緻密に構成されていてもよいしメッシュ状に
構成されていてもよい。つまり、本発明に用いるスクリ
ーン全体がメッシュ状であることも可能である。また、
本発明の方法に用いるスクリーンとして好ましくは、開
口部を有しそれ以外の部分が液体を透過しない緻密な材
料で構成されているスクリーン、スクリーン全体がメッ
シュ状に構成されているスクリーンが挙げられる。
【0021】本発明の方法に用いるスクリーンの厚さと
しては、特に限定されないが、好ましくは50〜200
μm程度、より好ましくは70〜150μm程度が挙げ
られる。スクリーンのメッシュ部のメッシュのサイズや
形状は、用いる生体触媒固定化用の液体が通過できるよ
うなサイズであれば特に制限されない。メッシュサイズ
は、上記用いる生体触媒固定化用の液体の種類や濃度に
もよるが、概ね#30〜#200程度とすることが好ま
しく、#80〜#150程度とすることがより好まし
い。
【0022】本発明の方法においては、上記スクリーン
を、その開口部またはメッシュ部から絶縁基板上の導体
を臨ませるようにして絶縁基材に固定する。ここで、作
用極以外にもいくつかの導体を有する電極基材にスクリ
ーンを固定し最終的にスクリーンを取り外す場合には、
スクリーン本体が作用極以外の導体を覆うように絶縁基
板にスクリーンを固定しても構わないが、スクリーンを
そのまま最終製品に残す場合に、スクリーン本体が緻密
に構成されているスクリーンを用いる場合には、スクリ
ーン本体が作用極以外の導体を覆い隠すことのないよう
に絶縁基板にスクリーンを固定する。
【0023】固定箇所は、最終的にスクリーンを取り外
す場合には、少なくとも開口部またはメッシュ部の周囲
全体であり、スクリーンをそのまま最終製品に残す場合
には、スクリーンの開口部またはメッシュ部を除いた部
分の全面である。
【0024】また、スクリーン全体がメッシュ状に構成
されている場合は、スクリーンは導体全体を覆うように
して固定される。この場合の固定箇所は、最終的にスク
リーンを取り外すのであれば、スクリーンの少なくとも
導体を含む絶縁基板に対応する部分の周囲全体である。
スクリーンをそのまま最終製品に残す場合の固定箇所
は、スクリーンの少なくとも導体を含む絶縁基板に対応
する部分を除いた部分全面である。
【0025】スクリーンを絶縁基材に固定する方法とし
ては、最終的にスクリーンを取り外す場合には、取り外
し操作が容易に行えるような固定化方法が選択される。
また、スクリーンをそのまま最終製品に残す場合には、
強固に固定化される方法、例えば、耐水性のあるエポキ
シ系樹脂や両面接着テープ等の接着剤による接着、熱融
着等の固定化方法が選択される。
【0026】(b)生体触媒固定化用液体供給工程 本発明の固定化方法においては、上記(a)工程により
絶縁基材に固定されたスクリーン上に、生体触媒を含有
する液体であって後処理によって固化可能な液体(以
下、「生体触媒固定化用液体」ということもある)を供
給する。
【0027】本発明の固定化方法が適用可能な生体触媒
としては、通常のバイオセンサーに用いられる生体触媒
が特に制限なく挙げられ、具体的には、グルコースオキ
シダーゼ、グルコアミラーゼ、ガラクトースオキシダー
ゼ、アルコールオキシダーゼ、チロシナーゼ、カテコー
ル1,2−オキシダーゼ、ピルビン酸オキシダーゼ、ウ
リカーゼ、アミノ酸オキシダーゼ、グルタミナーゼ、グ
ルタメートデヒドロゲナーゼ、アスパラキナーゼ、アミ
ンオキシダーゼ、コレステロールエステラーゼ、リパー
ゼ、ホスホリパーゼ、カタラーゼ、クレアチナーゼ、ホ
スファターゼ、ウレアーゼ等の酵素;大腸菌、バチルス
属、アシネトバクター属、グルコノバクター属、シュー
ドモナス属、メチロモナス属、ハンセヌラ属、カンジダ
属、デスルフォビブリオ属、チオバチルス属、クロスト
リジウム属、メチロコッカス属、アーソロバクター属、
マイコバクテリウム属、ラクトバチルス属あるいはブレ
ビバクテリウム属に属する細菌、放線菌などの原核微生
物や、トリコスポロン属に属する酵母等の真核微生物等
の微生物;オルガネラ;抗原;抗体等が挙げられる。
【0028】上記生体触媒を電極基板の導体上に固定化
するために、本発明においては、これら生体触媒を後処
理により固化可能な液体中に含有されるかたちで上記ス
クリーン上に供給する。
【0029】後処理により固化可能な液体としては、光
照射や、試薬の添加、乾燥等の後処理によって固化可能
な液体であり、用いる生体触媒に対して実質的に無害な
ものであれば、特に制限されない。例えば、通常のバイ
オセンサー作製時に生体触媒固定化用に用いられるアル
ギン酸ゲル、カラギーナンゲル、アガロースゲル、カー
ドランゲル、キトサンゲル等の高分子ゲルの原料液や、
光架橋性ポリビニルアルコールなどの光硬化性樹脂の原
料液、ポリアクリルアミド等の三次元架橋構造体の原料
液等を挙げることができる。
【0030】この様な各種高分子原料液に上記生体触媒
を含有させるには、通常のバイオセンサー作製時に用い
られる方法と同様の方法を用いればよい。ここで、用い
る生体触媒含有液の濃度は、作業性の点から200〜5
00ps程度の粘度であることが好ましい。
【0031】例えば、アルギン酸カルシウムゲルを用い
て生体触媒を固定化する場合には、0.5〜3%程度の
アルギン酸ナトリウム水溶液に、所要量の生体触媒を含
有する懸濁液等を加えてよく撹拌し、均一な混合液を作
製し、この混合液を上記スクリーン上に供給する。な
お、アルギン酸ナトリウム溶液は後述の(d)工程にお
いて適当な濃度のカルシウム塩溶液と接触することでア
ルギン酸カルシウムゲルとなる。また、上記アルギン酸
ナトリウム水溶液は、アルギン酸ナトリウムの他に塩化
ナトリウム、塩化カリウムなどの塩類や緩衝液等を含有
してもよい。さらに、生体触媒懸濁液等については、生
体触媒以外に、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどの塩
類や緩衝液等を含有してもよい。
【0032】本発明の生体触媒の固定化方法において
は、生体触媒固定化用液体をスクリーン上に供給する。
生体触媒固定化用液体を供給する箇所は、スクリーン上
であれば特に限定されない。ここで、本明細書におい
て、スクリーン上とは、開口部を有するスクリーンの場
合には開口部上を含むものとする。なお、開口部上と
は、実際には、開口部が臨む少なくとも導体を含む絶縁
基板上を意味する。
【0033】また、本発明において開口部を有するスク
リーンを用いる場合には、生体触媒固定化用液体は開口
部上に供給することが好ましい。この場合、スクリーン
上に供給される生体触媒固定化用液体の量は、スクリー
ン本体の表面から開口部上に延ばした延長面と、スクリ
ーンの開口部を構成する内壁(以下、「開口部内壁」と
いうこともある。)と、開口部が臨む少なくとも導体を
含む絶縁基板表面からなる空間を満たす量と少なくとも
同量であればよく、前記空間容積の1.0〜2.0倍容
量であることが好ましい。
【0034】本発明においてメッシュ部を有するスクリ
ーンを用いる場合には、生体触媒固定化用液体はメッシ
ュ部とスクリーン本体の境界付近に供給することが好ま
しい。スクリーン上に供給される生体触媒固定化用液体
の量は、メッシュ部の絶縁基板に対向する面とメッシュ
部が臨む少なくとも導体を含む絶縁基板表面とに隙間が
ない場合には、スクリーンのメッシュ部内部の小さな空
間を全て満たす量と少なくとも同量であればよい。ま
た、メッシュ部の絶縁基板に対向する面とメッシュ部が
臨む少なくとも導体を含む絶縁基板表面とに隙間がある
場合には、その隙間を満たす量と前記メッシュ部内部の
小さな空間を全て満たす量との合計量と、少なくとも同
量であればよい。なおこれらの場合についても、供給さ
れる生体触媒固定化用液体の量は、前記空間合計容積の
1.0〜2.0倍容量であることが好ましい。
【0035】さらに、スクリーン全体がメッシュ状に構
成されている場合には、生体触媒固定化用液体の供給箇
所は特に制限されない。また、生体触媒固定化用液体の
供給量は、上記メッシュ部を有するスクリーンを用いる
場合と同様である。
【0036】本発明の固定化方法における生体触媒固定
化用液体のスクリーン上への供給の方法は、特に制限さ
れない。例えば、ピストンシリンダやピペット等の定量
液体供給装置を用いることができる。生体触媒固定化用
液体の供給箇所は1カ所でもよいが、以下のスキージィ
ング工程が円滑に行われるように少量を複数箇所に分け
て供給してもよい。
【0037】(c)スキージィング工程 スキージィング工程は、スキージをスクリーン表面に密
接させた状態でスクリーン上を移動させることで、上記
スクリーン上に供給された生体触媒固定化用液体を開口
部またはメッシュ部の全体に引き伸ばす工程である。
【0038】本工程は、具体的には、通常のスクリーン
印刷におけるスキージィング工程と同様にして行うこと
ができる。つまり、本工程は、メタルマスクまたはメッ
シュスクリーンを用いたスクリーン印刷技術におけるメ
タルマスク、メッシュスクリーンを、開口部またはメッ
シュ部を有するスクリーンに置き換え、スクリーン印刷
におけるインクを生体触媒固定化用液体に置き換えた状
態で、スクリーン印刷におけるスキージィング工程を行
う工程と考えればよい。
【0039】本発明の固定化方法に用いるスキージとし
ては、通常のスクリーン印刷で用いられるのと同様のス
キージ、具体的には、ゴムブレード、テフロンブレー
ド、ウレタンブレード等を用いることができる。スキー
ジの大きさは、スキージを適当な位置でスクリーン表面
に密接させたときに、スキージの両端がスクリーンの両
端まで達するような大きさであることが好ましい。
【0040】スキージの移動は、本発明において開口部
を有するスクリーンを用いる場合には、生体触媒固定化
用液体により、スクリーン本体の表面から開口部上に延
ばした延長面と、開口部内壁と、開口部が臨む少なくと
も導体を含む絶縁基板表面からなる空間が充填されるよ
うな方法で行われる。ここで、上記(b)工程におい
て、前記空間容積以上の生体触媒固定化用液体が供給さ
れた場合には、余剰の液体を電極基板外に排出して、ス
キージィング後のスクリーン表面が平坦になるように、
スキージを移動させる。
【0041】本発明においてメッシュ部を有するスクリ
ーンを用いる場合には、生体触媒固定化用液体により、
スクリーンのメッシュ部内部の小さな空間が全て充填さ
れるような方法で、また、メッシュ部の絶縁基板に対向
する面とメッシュ部が臨む少なくとも導体を含む絶縁基
板表面とに隙間がある場合には、メッシュ部内部の小さ
な空間が全て充填され、さらに前記隙間が充填されるよ
うな方法で、スキージの移動が行われる。この場合に
も、余剰の生体触媒固定化用液体が供給されていれば、
余剰分を電極基板外に排出して、スキージィング後のス
クリーン表面が平坦になるように、スキージを移動させ
る。
【0042】また、スクリーン全体がメッシュ状に構成
されている場合も上記同様にしてスキージィング工程を
行うことができる。
【0043】(d)生体触媒固定化工程 上記(c)工程で生体触媒固定化用液体によりスクリー
ンの開口部またはメッシュ部が充填された電極基板に
は、次いで、前記液体を固化させる処理が施される。固
化処理は用いる固定化用高分子材料の種類に応じて異な
り、それぞれの材料に対応する処理、例えば、ゲル化処
理、架橋化処理、共有結合化処理などの固化処理が施さ
れる。
【0044】例えば、アルギン酸カルシウムゲルにより
生体触媒を固定化しようとして、上記生体触媒固定化用
液体として、生体触媒含有のアルギン酸ナトリウム溶液
を用いた場合には、上記(c)工程後の電極基板を塩化
カルシウム溶液等のカルシウム塩溶液に、適当な温度で
適当な時間浸漬することにより、生体触媒固定化電極と
することができる。
【0045】この様にして固定化処理が完了した生体触
媒固定化電極は、生体触媒の特性に応じて乾燥状態また
は溶液中にて保存することができる。なお、本発明の方
法においては、必要に応じて、(d)工程終了後にスク
リーンを取り外す工程を設けてもよい。
【0046】以上説明した本発明の生体触媒固定化方法
の一連の操作は、メタルマスクまたはメッシュスクリー
ンを用いたスクリーン印刷技術を応用したものといえ
る。本発明の生体触媒固定化方法における開口部または
メッシュ部を有するスクリーンは、スクリーン印刷技術
におけるメタルマスク、メッシュスクリーンに相当し、
生体触媒固定化用液体はスクリーン印刷におけるインク
に相当する。ただし、通常のスクリーン印刷技術では、
メタルマスクまたはメッシュスクリーンは、印刷後、印
刷基板から取り外されるのに対し、本発明の固定化方法
においては、開口部またはメッシュ部を有するスクリー
ンは初期工程で基板に接着される等して最終的に取り外
さない場合がある点で異なる。
【0047】本発明の生体触媒の固定化方法は、この様
なスクリーン印刷的手法を用いることで、バイオセンサ
ー用の定量性の高い生体触媒電極を短時間に、同一、均
一なものとして、しかも同時に大量に製造することを可
能にするものである。これは、1回の測定に複数の生体
触媒電極が必要とされる使い捨て型センサーの生体触媒
電極製造において、特に有利である。
【0048】また、本発明の生体触媒の固定化方法は、
単に電極基板上に生体触媒固定化用の高分子材料等を滴
下して延伸する方法と比較して、定量的な固定が正確に
行える点で優れている。さらに、本発明の方法において
メッシュ部を有するスクリーンを用いて、スクリーンを
そのまま最終製品に残す場合には、メッシュ内部の空間
にも固定化高分子材料が充填されるため、生体触媒の電
極上への固定を非常に強固なものとすることができる。
このため、高分子ゲルの膨潤等により、生体触媒を固定
化している高分子材料が電極面から剥がれるのを防止す
ることが可能となり、その結果、再現性のよい固定化電
極を作製することができる。
【0049】本発明の生体触媒の固定化方法を、用いる
スクリーンの形態別に、より具体的に説明する。まず、
開口部を有するスクリーンを用いた固定化方法の一例を
図1〜図3に基づいて説明する。
【0050】(1)開口部を有するスクリーンを用いた
固定化方法の一例 図1は、開口部を有するスクリーンを用いた本発明の固
定化方法の一例における電極基板4と開口部を有するス
クリーン3を示す図であり、図2はスクリーン3が固定
された電極基板4の正面図を示すものである。図3は、
本例における生体触媒固定化用液体供給工程およびスキ
ージィング工程を示す図である。図3(i)は、図2に
示すスクリーン3が固定された電極基板4の正面図のX
−X’線における断面図である。図3(ii)は、開口部
3aに生体触媒固定化用液体5が供給された状態を示す
図であり、図3(iii)と図3(iv)はスキージィング
工程を示す図である。
【0051】図1に示す様に本例で用いる電極基板4
は、絶縁基板1の同一平面上にカーボン材料等の導体か
らなる作用極2a、対極2bおよび参照極2cが形成さ
れたものである。スクリーン3は、電極基板の作用極2
a、対極2bおよび参照極2cに対応する位置に各電極
の大きさと同じ面積の開口部3a、3b、3cを有す
る。スクリーン本体3dは、液体不透過性の絶縁材料、
例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリカーボネート等のプラスチックや
ガラス等で形成されている。
【0052】本例では図2に示すようにして、スクリー
ン3を作用極2a、対極2bおよび参照極2cに対応す
る開口部3a、3b、3cのそれぞれから各電極を臨ま
せるようにして固定する。また、本例においてスクリー
ン3は生体触媒固定化後も電極基板上に残されるもので
あるので、上記スクリーンの固定は接着剤等を用いて強
固に行う。固定方法は、具体的には、スクリーン本体3
dの片側全面に接着剤をつけ、この面を絶縁基板に押し
当てる等の方法で行われる。用いる接着剤としては、例
えば、絶縁基材の材質がポリエチレンテレフタレートで
あり、スクリーンの材質がポリエステルである場合に
は、耐水性のエポキシ系樹脂、両面接着テープ等が挙げ
られる。
【0053】図3の(i)〜(iv)は、生体触媒固定化
用液体5をスクリーン上に供給し、前記液体をスクリー
ン開口部全体に引き伸ばす工程を示す図である。図3
(i)は、図2に示すスクリーン3が固定された電極基
板4の正面図のX−X’線における断面図であり、本例
においては、開口部3aが臨む作用極2a上に生体触媒
固定化用液体5が供給される。通常は、対極2b上、参
照極2c上には生体触媒を固定しないが、場合によって
は作業性の点から、上記同様に、開口部3bが臨む対極
2b上、開口部3cが臨む参照極2c上、に生体触媒固
定化用液体5を供給してもよい。
【0054】生体触媒固定化用液体5としては、上記で
説明したのと同様の液体を用いることができる。本例に
おいては、図3(ii)に示す通り、スクリーン上に供給
される生体触媒固定化用液体5の量は、スクリーン本体
3dの表面から開口部3a上に延ばした延長面と、開口
部3a内壁と、開口部3aが臨む作用極2a表面からな
る空間を満たす量よりもやや多めの量である。
【0055】図3(iii)、図3(iv)には、スキージ
6をスクリーン3に押し当てて一定方向に移動させるこ
とにより、生体触媒固定化用液体5がスクリーン本体3
dの表面から開口部3a上に延ばした延長面と、開口部
3a内壁と、開口部3aが臨む作用極2a表面からなる
空間を十分に満たし、前記液体の余分7が掻き出される
様子が示されている。本例において、スキージはスクリ
ーンのX’側からX側に向かって移動するものである。
スキージの移動は、前記方向に1回でもよいが、必要に
応じて同方向に数回行われてもよく、1回〜数回の往復
移動も可能である。さらに、X−X’方向と異なる方
向、例えば、X−X’方向と直角方向への移動も可能で
ある。
【0056】図3(iv)で、スクリーン上から完全に余
剰の生体触媒固定化用液体5が取り除かれた後、上記空
間を満たした生体触媒固定化用液体を固化する。生体触
媒固定化用液体の固化後、電極基板上のスクリーンはそ
のまま残された状態で生体触媒電極として用いられる。
スクリーンを取り外してもよいが、その場合には、上記
スクリーンの固定を取り外しが容易な方法で行うことが
好ましい。
【0057】次に、全体がメッシュ状に構成されたスク
リーンを用いた固定化方法の一例を図5〜図7に基づい
て説明する。
【0058】(2)全体がメッシュ状に構成されたスク
リーンを用いた固定化方法の一例 図5は、全体がメッシュ状に構成されたスクリーンを用
いた本発明の固定化方法の一例における、電極基板4、
接着部材8、およびメッシュ状スクリーン3を示す図で
あり、図6は接着部材8を介してメッシュ状スクリーン
3が固定された電極基板4を示す図である。図6(A)
は正面図、図6(B)は図6(A)に示される電極基板
4をY方向から見た断面分解図である。
【0059】図7は、本例における生体触媒固定化用液
体供給工程およびスキージィング工程を示すものであ
る。図7(i)は、図6(A)に示すメッシュ状スクリ
ーン3が固定された電極基板4の正面図のZ−Z’線に
おける断面図であり、スクリーン上に生体触媒固定化用
液体5が供給された状態を示す図である。図7(ii)と
図7(iii)はスキージィング工程を示す図である。
【0060】図5に示す様に本例で用いる電極基板4
は、絶縁基板1の同一平面上にカーボン材料等の導体か
らなる作用極2aおよび対極2bが形成されたものであ
る。メッシュ状スクリーンの材質、メッシュの大きさ等
に関しては上記の通りである。電極基板4にメッシュ状
スクリーン3を固定するための接着部材8は、作用極2
a、対極2bの両者を含む部分の周囲を囲む形状に形成
される。接着部材8としては、絶縁基材の材質がポリエ
チレンテレフタレートであり、メッシュ状スクリーンの
材質がポリエステルである場合には、両面接着テープ、
耐水性のエポキシ系樹脂等が挙げられる。
【0061】本例では図6に示すようにして、メッシュ
状スクリーン3を、上記接着部材8を介して、作用極2
aおよび対極2bを覆うようにして、電極基板4に固定
する。図7の(i)〜(iii)は、生体触媒固定化用液
体5をメッシュ状スクリーン上に供給し、前記液体がメ
ッシュ状スクリーンの内部空間を全て満たすとともに、
メッシュ状スクリーンの内側表面、接着部材の内壁およ
び電極基板表面からなる空間をも満たすように、前記液
体をスクリーン全体に引き伸ばす工程を示す図である。
【0062】図7(i)は、図6(A)に示すメッシュ
状スクリーン3が固定された電極基板4の正面図のZ−
Z’線における断面図であり、スクリーン上に生体触媒
固定化用液体5が供給された状態を示す図である。
【0063】生体触媒固定化用液体5としては、上記で
説明したのと同様の液体を用いることができる。本例に
おいては、スクリーン上に供給される生体触媒固定化用
液体5の量は、メッシュ状スクリーン3の内部空間を全
て満たすとともに、メッシュ状スクリーンの内側表面、
接着部材の内壁および電極基板表面からなる空間を満た
す量よりもやや多めの量である。
【0064】図7(ii)、図7(iii)には、スキージ
6をメッシュ状スクリーン3の表面に押し当てて一定方
向に移動させることにより、生体触媒固定化用液体5で
メッシュ状スクリーン3の内部空間を全て充填させると
ともに、メッシュ状スクリーンの内側表面、接着部材の
内壁および電極基板表面からなる空間をも充填させて、
前記液体の余分7が掻き出される様子が示されている。
本例において、スキージはスクリーンのZ側からZ’側
に向かって移動するものである。スキージの移動は、前
記方向に1回でもよいが、必要に応じて同方向に数回行
われてもよく、1回〜数回の往復移動も可能である。さ
らに、Z−Z’方向と異なる方向、例えば、Z−Z’方
向と直角方向への移動も可能である。
【0065】図7(iii)で、スクリーン上から完全に
余剰の生体触媒固定化用液体5が取り除かれた後、上記
空間を満たした生体触媒固定化用液体を固化させる。電
極基板上のスクリーンは、生体触媒固定化用液体の固化
後、取り外してもよいが、そのまま残して生体触媒電極
として用いてもよい。メッシュ状スクリーンの場合は、
特に、生体触媒を強固に固定化した状態を保つために、
好ましくは、スクリーンは取り外さない。
【0066】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。
【0067】
【実施例1】図1に示されるのと同様の、カーボン材料
からなる作用極、対極および参照極が絶縁基板の同一平
面上に形成された電極基板に、以下の様にして、開口部
を有するスクリーンを用いて、3電極全てを覆うように
微生物(シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomona
s Fluorescens))を固定化して微生物固定化電極を作
製し、評価した。
【0068】(1)微生物固定化電極の作製 (i)スクリーンの固定 ポリエチレンテレフタレート製の絶縁基板1の同一平面
上にカーボン材料からなる作用極2a、対極2bおよび
参照極2cが形成された電極基板4(図1参照)に、作
用極2a、対極2bおよび参照極2cに対応する部分に
それぞれ開口部3a、3b、3cを有するポリエステル
製のスクリーン3を接着剤(両面接着テープ)を用いて
固定した(図2参照)。
【0069】(ii)微生物固定 3%アルギン酸ナトリウム水溶液に同容量の微生物(シ
ュードモナス・フルオレセンス)懸濁液(OD(Optica
l Density(濁度))=30、懸濁媒;0.1M塩化ナト
リウム水溶液)を加え、均一に混合した混合液を、上記
開口部(3a、3b、3c)内の電極(2a、2b、2
c)上に20μlずつ滴下した。滴下前の状態は、図3
(i)に示される通りであり、滴下後の状態は、図3
(ii)に示される通りである。スクリーン3上にスキー
ジ6を押し当てて移動させることにより、スクリーン上
に供給された混合液5で、スクリーン本体3dの表面か
ら開口部(3a、3b、3c)上に延ばした延長面と、
開口部(3a、3b、3c)内壁と、開口部が臨む電極
(2a、2b、2c)表面からなる空間を十分に満たし
ながら、余分7を掻き出した(図3(iii)および(i
v)参照)。
【0070】その後、5℃の冷蔵室内において得られた
電極基板を2%塩化カルシウム溶液に30分間浸漬して
前記空間に充填させた混合液をゲル化させて微生物固定
化電極を得た。
【0071】(2)微生物固定化電極の評価 BOD5値(5日間法、JIS K102、ウィンクラ
ーアジ化ナトリウム変法)換算で35mgO/Lと70
mgO/Lの有機物混合溶液(人工排水)のそれぞれ
に、最終濃度がカッコ内の値となるように、リン酸緩衝
液(0.1M)、塩化ナトリウム(0.1M)、フェリ
シアン化カリウム(40mM)を添加した反応溶液を用
いて、得られた微生物固定化電極の評価を行った。
【0072】まず、上記反応溶液に上記で得られた微生
物固定化電極を浸漬し、前記微生物固定化電極を定電位
回路に接続した。測定時には、+400mVの電位が作
用極に印加され、電位を印加して10分後に作用極と対
極の間に流れる電流値を計測した。使用した微生物固定
化電極は全部で10本であり、上記2種類の溶液に対し
て5本ずつ測定を行った。結果を図4に示す。測定誤差
を算出したところ、どちらの溶液についても±5%以下
であり、上記本発明の生体触媒固定化方法によって再現
性の良好な微生物固定化電極が作製できることがわかっ
た。
【0073】
【実施例2】図5に示されるのと同様の、カーボン材料
からなる作用極および対極が絶縁基板の同一平面上に形
成された電極基板に、以下の様にして、メッシュ状スク
リーンを用いて、前記2電極を覆うように微生物(シュ
ードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas Fluorescen
s))を固定化して微生物固定化電極を作製し、評価し
た。
【0074】(1)微生物固定化電極の作製 (i)メッシュ状スクリーンの固定 ポリエチレンテレフタレート製の絶縁基板1の同一平面
上にカーボン材料からなる作用極2aおよび対極2bが
形成された電極基板4に、作用極2aおよび対極2bを
含む基板の約半分の面積を占める部分の周囲を取り囲む
様にして両面接着テープ8を貼附し、その全体を覆うよ
うにして#200のテトロン(商品名、ポリエステル)
メッシュよりなるスクリーン3を張り付けた(図5、図
6参照)。図6に示される通り、メッシュ状スクリーン
3は、作用極2aおよび対極2bを覆うように両面接着
テープ8を介して電極基板4に固定されている。
【0075】(ii)微生物固定 3%アルギン酸ナトリウム水溶液に同容量の微生物(シ
ュードモナス・フルオレセンス)懸濁液(OD=30、
懸濁媒;0.1M塩化ナトリウム水溶液)を加え、均一
に混合した混合液を作製し、得られた混合液をメッシュ
状スクリーン上に滴下した(図7(i)参照)。次い
で、メッシュ状スクリーン表面にスキージ6を押し当て
て、混合液5で前記液体がメッシュ状スクリーンの内部
空間全てが充填されるとともに、メッシュ状スクリーン
の内側表面、両面接着テープ8の内壁および電極基板表
面からなる空間が十分に充填されるように、スクリーン
上を移動させて、滴下された混合物の余分7を掻き出し
た(図7(ii)および(iii)参照)。
【0076】その後、5℃の冷蔵室内において得られた
電極基板を2%塩化カルシウム溶液に30分間浸漬して
前記空間に充填させた混合液をゲル化させて微生物固定
化電極を得た。
【0077】(2)微生物固定化電極の評価 上記で得られた微生物固定化電極を用いて、有機物含有
溶液に対する応答を調べた。なお、有機物含有溶液とし
ては、BOD5値に換算して0、35、70、175、
350mgO/Lの溶液(人工排水)に、フェリシアン
化カリウムを最終濃度が50mMとなるようにそれぞれ
加えたものを用いた。これら有機物含有溶液に上記微生
物固定化電極を浸漬して10分間反応を行った。反応に
際して、微生物固定化電極の作用電極側にポテンシオス
タットにより+400mVの定電位を与え、10分間の
反応終了時に作用極と対極の間に流れる電流値を測定し
た。その結果を図8に示す。この結果から、BOD5
0〜350mgO/Lの範囲において電流値とBOD5
値に極めて直線性のよい相関(相関係数;0.998
6)が得られた。なお、図8に示される式は最小二乗法
により得られた回帰直線を表す式である。
【0078】
【発明の効果】本発明の生体触媒の固定化方法によれ
ば、生体触媒電極における生体触媒の定量的な固定を、
正確かつ簡便に行うことが可能である。さらに、これに
よって、生体触媒が定量性よく固定化された生体触媒電
極の効率的な製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の固定化方法の一例における電極基板
と開口部を有するスクリーンの正面図を示す図である。
【図2】 本発明の固定化方法の一例においてスクリー
ンが固定された状態の電極基板の正面図を示す図であ
る。
【図3】 本発明の固定化方法の一例における生体触媒
固定化用液体供給工程およびスキージィング工程を示す
図である。
【図4】 実施例1で得られた微生物固定化電極の評価
結果を示す図である。
【図5】 本発明の固定化方法の他の一例における電極
基板、接着部材、およびメッシュ状スクリーンの正面図
を示す図である。
【図6】 本発明の固定化方法の他の一例において、接
着部材を介してメッシュ状スクリーンが固定された状態
の電極基板を模式的に示す図である。(A)は正面図、
(B)はY方向から見た断面分解図である。
【図7】 本発明の固定化方法の他の一例における生体
触媒固定化用液体供給工程およびスキージィング工程を
示す図である。
【図8】 実施例2で得られた微生物固定化電極の評価
結果を示す図である。
【符号の説明】
1.絶縁基板 2.導体(2a;作用極、2b;対極、2c;参照極) 3.スクリーン(3a、3b、3c;開口部、3d;本
体) 4.電極基板 5.生体触媒固定化用液体 6.スキージ 7.余剰の生体触媒固定化用液体 8.接着部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 矢野 清子 埼玉県羽生市東5丁目4番71号株式会社曙 ブレーキ中央技術研究所内 (72)発明者 スコット マクニーヴン 埼玉県羽生市東5丁目4番71号株式会社曙 ブレーキ中央技術研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁基板と絶縁基板上に固定された導体
    と導体上に固定化された生体触媒とを有する生体触媒電
    極における生体触媒の固定化方法であって、下記
    (a)、(b)、(c)および(d)の工程を含む方
    法: (a)開口部またはメッシュ部を有するスクリーンを開
    口部またはメッシュ部から導体を臨ませるように絶縁基
    板に固定する工程、(b)生体触媒を含有する液体であ
    って後処理によって固化可能な液体をスクリーン上に供
    給する工程、(c)スキージをスクリーン表面に密接さ
    せ、前記液体が開口部またはメッシュ部の全体に引き伸
    ばされるように、スクリーン上を移動させる工程、
    (d)生体触媒を含有する液体を固化させる工程。
  2. 【請求項2】 (b)工程で用いる固化可能な液体がア
    ルギン酸ナトリウム溶液であり、(d)工程の固化の方
    法が前記溶液にカルシウム塩溶液を反応させることで行
    われる請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 (a)工程が、メッシュ部のみで構成さ
    れるスクリーンを導体全体を覆うようにして絶縁基板に
    固定する工程である請求項1記載の方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004340946A (ja) * 2003-04-11 2004-12-02 Therm-O-Disc Inc 頑丈なケミレジスタセンサ
JP2007514460A (ja) * 2003-09-30 2007-06-07 エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト 増大した生物適合性を示すセンサー
JP2007278981A (ja) * 2006-04-11 2007-10-25 Japan Advanced Institute Of Science & Technology Hokuriku プレナー型電極及びこれを用いた電気化学検出センサー

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